JP4118012B2 - 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高解像度で高感度な電子写真感光体およびそれを用いた電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
C.F.Carlsonの発明による電子写真技術は、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターやファクシミリの分野でも広く使われ、大きな広がりをみせている。この電子写真のプロセスは基本的に、「▲1▼ 感光体の均一な帯電」、「▲2▼ 像露光による静電潜像の形成」、「▲3▼ 該潜像のトナーによる現像」、「▲4▼ 該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経由する場合もある)」及び「▲5▼ 定着による画像形成」という5つのプロセスから構成されている。
【0003】
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、従来からのSe、As−Se合金、CdS、ZnOといった無機系の光導電材料から、最近では、無公害で成膜が容易、製造がが容易である等の無機系では見られない利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。中でも高い電荷発生機能を持つ物質で構成される電荷発生層と、高い電荷輸送機能を持つ物質で構成された電荷輸送層とを積層した、いわゆる積層型感光体は、それぞれの層で機能を限定しているため材料の選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、より高感度な感光体が得られること、また塗布による製造が可能で生産性が高くコスト面でも有利なことから、現在では感光体の主流となっており大量に生産されている。
【0004】
近年、画像情報のデジタル化等に伴って、従来の白色光に替わって、半導体レーザーあるいはLEDアレイを記録光源として、半導体レーザー光あるいはLEDアレイ光により感光層を露光して画像情報を記録することが行われるようになっている。現在、感光層の感光光源として、780nmの近赤外光や650nmの赤色光源が、最もよく使用されている。
デジタル化された画像情報は、文字等の情報をコンピュータ出力として直接利用する場合には、光信号こ変換されたコンピュータの出力情報によって感光体上に画像情報が記録されるが、原稿の画像情報が入力される場合には、原稿の画像情報は光情報として読み取られてデジタル電気信号に変換された後に、再度、光信号に変換されて、その光信号によって感光体上に画像情報が記録される。
【0005】
いずれの場合にも、光記録ヘッド、記録光学系等から感光層に照射される微小の光スポットによって、画像情報が感光層に記録されるようになっており、光スポットが照射された部分がトナーによって現像される。画像は、トナーによって現像された画素と呼ばれる微小ドットの集合および配列によって表現される。このために、光記録ヘッド、記録光学系等では、高密度で画像情報が記録されるように、できるだけ微小なスポットを形成し得るように、高分解能化が進められている。
感光層に画像情報を記録する光学系に関しては、可変スポットレーザー記録方式(O plu E 1996年 5月)、マルチレーザービーム記録方式、超精密および超高速ポリゴンミラー(Japan Hardcopy '96論文集)等が開発されている。その結果、現在では、光学系によって、1200dpi(dot/inch=1インチ当たりのドット数)以上の記録密度で、感光層に画像情報を記録するための光学系が開発されている。
【0006】
上記のように感光層に高密度に画像情報を記録する光学系が開発されても、画像情報を再現性よく静電潜像として感光層に記録することは必ずしも容易ではない。これはレーザー光の特徴として光強度分布が中央部が強く周辺部に広がりを持つガウシアン分布をしていることにある。従来の高感度な電子写真感光体では周辺部に広がった光に対しても感光し、現像されるためドットが広がってしまい高画質化が困難であった。
高感度な電子写真感光体としては特許登録第1950255号公報および特許登録第2128593号公報には、いわゆるY型結晶オキソチタニルフタロシアニン、他の例としては特開平10−237347号公報に新規な結晶型オキソチタニルフタロシアニンが開示されている。
【0007】
さらに、半導体レーザーの発光波長である780nm付近での高感度化を目的として2種以上のフタロシアニンを用いる電子写真感光体として特許登録第2780295号公報ではオキソチタニルフタロシアニンと無金属フタロシアニンの混晶、特許登録第2754739号公報ではオキソチタニルフタロシアニンと無金属フタロシアニンの組成物を用いた電子写真感光体が提案されている。しかし、これらの高感度な感光体は弱い露光に対しても高感度であるために上記の理由で高解像度を実現することができない。
また、2種のフタロシアニンを混合する感光体としては、特許登録第3005052号公報では特定の結晶型オキソチタニルフタロシアニンと無金属フタロシアニンを混合する感光体が、また特開平5−134437号公報には2種の特定の結晶型オキソチタニルフタロシアニンを混合する感光体が提案されているが若干の解像度改良の効果はあるものの、いまだ不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
高解像度を実現するための手段として低感度な感光体を用い、このような周辺部の光に対する感度を落とし中央部の強力な光のみに感光させて忠実なドット形成を行う方法がある。しかし、低速なプリンタではこの方法で十分であったが、高速化の進展でこのような感光体では低感度であるがために高出力な半導体レーザーが必要なことや、残留電位が高く、さらに繰返し使用時には顕著となり、反転現像のプロセスでは画像濃度が低下するなどの問題が発生している。このように高感度と高解像度を両立させることはできていないのが現状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高感度と高解像度を両立させる感光体を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、電荷発生物質として特定の結晶型オキソチタニルフタロシアニンとX型無金属フタロシアニンを混合して用いることにより本発明を完成するに至った。本発明の感光体は図5に示すように小さな露光エネルギーに対しても高感度である感光体(比較感光体B)ではなく弱い露光には光減衰が少なく、強い露光に対し高感度で、完全に電位減衰する、露光エネルギーに対しリニアに応答する高感度な感光体(感光体A)である。
本発明のオキソチタニルフタロシアニンにX型無金属フタロシアニンを混合することにより所望の光減衰曲線が得られる理由については定かではないが、無金属フタロシアニンを用いた単層感光体においては、ある露光量に達するまでは電位減衰せず、ある露光量を越えると急峻な電位減衰が起こる、いわゆるハイガンマ型光電位減衰特性を有する感光体が報告されている。
【0010】
本発明の混合物の中でのX型無金属フタロシアニンはこの性質を維持したまま存在していると考えられる。すなわち、弱い露光域では無金属フタロシアニンの特性が支配的で少ない光減衰であり、強い露光域では本発明のオキソチタニルフタロシアニンの高感度な特性と無金属フタロシアニンのハイガンマな急峻な電位減衰が支配的となり、全体として露光量に対しリニアな所望の光減衰曲線が得られるのではないかと推測される。一方、従来報告されている結晶型そのものを変えてしまう混晶体などの形態では無金属フタロシアニンのこのようなハイガンマ的な性質が失われてしまっているのではないかと考えられる。すなわち本発明の、第1では、電荷発生物質に特定の2種のフタロシアニンを用い、第2では、2種のフタロシアニンの含有比率を特定し、第3〜6では、電荷輸送物質を特定し、第7では、導電性支持体と感光層の間に中間層を設け、第8では、露光光源を特定し、第9では、現像方法を特定し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
(作用)
以上の構成により、高解像度と高感度を両立させた繰返し使用に強い電子写真感光体およびそれを用いた電子写真装置が実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体の構成としては図1に示すように感光層が電荷発生層と電荷輸送層の2層から構成される積層型電子写真感光体、図2に示すように感光層中に電荷輸送物質と電荷発生物質を含有する単層型感光体、図3に示すように導電性支持体と感光層の間に中間層として下引き層を設けた積層型電子写真感光体、図4に示すように導電性支持体と感光層の間に中間層として下引き層を設けた単層型電子写真感光体の構成である。
【0013】
導電性支持体としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン等の金属材料やアルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、酸化インジウム、酸化錫等を蒸着したプラスチック基体、ポリエステルフィルム、紙、または導電性粒子を含有したプラスチックや紙、導電性ポリマーを含有するプラスチック等が使用できる。それらの形状としては、ドラム状、シート状、シームレスベルト状のもの等が使用できる。
【0014】
本発明の電荷発生物質としては特定の2種のフタロシアニン化合物を用いる。具体的には、下記構造(5)を有し、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルでブラッグ角(2θ±0.2°)で7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に主ピークを有する結晶型オキソチタニルフタロシアニンであって、9.4°と9.6°の重なったピーク束か最大ピークであり、かつ、27.2°のピークが第2の最大ピークであることを特徴とする結晶型オキソチタニルフタロシアニンと、7.5°、9.1°、16.7°、17.3°、22.3°にピークを有するX型無金属フタロシアニンが用いられる。
【0015】
【化5】
(式中、X1、X2、X3、X4は水素原子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、t、u、v、wは0〜4の整数を表す。)
その混合比率は、好ましくはX型無金属フタロシアニンの含有量がオキソチタニルフタロシアニンの10〜70重量%であり、より好ましくは40〜70重量%である。
【0016】
積層型電子写真感光体の場合、電荷発生層の製造方法としては、これらのフタロシアニン化合物の微粒子に有機溶媒を加え、ボールミル、サンドグラインダー、ペイントシェーカー、超音波分散機等によって粉砕、分散して得られる塗液を用い、シートの場合にはベーカーアプリケーター、バーコーター、キャスティング、スピンコート等により、ドラムの場合にはスプレー法、垂直リング法、浸漬塗工法により作製される。結着性を増すためにバインダー樹脂として、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等の各種バインダー樹脂を加えてもよい。その膜厚は、通常0.05〜5μmが好ましく、特に0.1〜1μmが好適である。また、電荷発生層には必要に応じて、塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
【0017】
電荷輸送層は主に電荷輸送物質とバインダー樹脂から構成され、電荷輸送物質としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキノジメタン、ジフェノキノン等の電子吸引性物質、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチリル化合物、エナミン化合物、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられるが、特に、特定のスチリル系化合物、ビスアミン系化合物およびブタジエン系化合物は高移動度であるので高感度、高解像度化には好適である。これらの電荷輸送物質は単独でも、複数を混合して用いてもよい。
【0018】
本発明で使用するスチリル化合物としては、具体的には次の構造式で示されるものが挙げられる。
【化6】
【0019】
また、ビスアミン化合物としては、次の構造式で示されるものが挙げられる。
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
また、ブタジエン化合物としては、次の構造式で示されるものが挙げられる。
【化9】
【0022】
これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ樹脂,エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常バインダー樹脂100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の範囲で使用される。また膜厚は、一般に5〜50μm、好ましくは10〜45μmがよい。なお電荷輸送層には、本発明の添加剤に加えて成膜性、可とう性、塗布性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの添加剤を含有させても良い。これらの電荷輸送層は、電荷発生層上に電荷発生層と同様な装置で塗布される。
【0023】
単層型電子写真感光体の場合、感光層として上記のような配合比の電荷輸送層中に、本発明の電荷発生物質として特定のオキソチタニルフタロシアニンとX型無金属フタロシアニンが分散される。その場合の粒径は十分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は過少では感度不足、過多では帯電性低下、感度低下を誘発する等の弊害があり、0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%で使用される。感光層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmで使用される。また、この場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改善するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイル、その他の添加剤が加えられても良い。
【0024】
導電性支持体と感光層との間には中間層が設けられていてもよい。中間層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層が使用される。また、これらの中間層には、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、チタンなどの金属あるいは金属酸化物などの導電性または半導電性微粒子を含んでいてもよい。中間層の膜厚は0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μmで使用される。
さらに、必要であれば感光層表面を保護するために保護層を設けてもよい。表面保護層には、熱可塑性樹脂や、光または熟硬化性樹脂を用いることができる。
【0025】
(実施例)
以下に実施例などをあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例などにより何ら限定されるものではない。
(製造例1)
o−フタロジニトリル40gと四塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱攪拌し反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得る。この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を行う。
濾過後得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を繰り返した後、乾燥してオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
この結晶をメチルエチルケトンに添加し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により直径2mmのガラスビーズと共にミリング処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して本発明の結晶を得た。
この結晶は図6に示すようなX線回折スペクトルを示す。
【0026】
なお、X線回折スペクトルの測定条件は、以下の測定条件で行なった。
X線源 CuKα=1.5418Å
電圧 30〜40kV
電流 50mA
スタート角度 5.00
ストップ角度 30.00
ステップ角度 0.01〜0.020
測定時間 2.0〜0.5°/min.
測定方法 θ/2θ スキャン方法
【0027】
(実施例1)
酸化チタン(石原産業社製:TTO66A)71.6重量部と共事合ナイロン(東レ社製:CM8000)107.4重量部をメチルアルコール287重量部と1,2−ジクロロエタン533重量部の混合溶剤に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し中間層用塗液を調整した。この塗液を塗布槽に満たし、導電性支持体として直径30mm、全長326.3mmのアルミニウム製のドラム状支持体を、浸漬し引き上げ、自然乾燥して膜厚1μmの中間層をドラム状支持体上に形成した。
【0028】
そして製造例1で合成した図6のX線回折スペクトルを有するオキソチタニルフタロシアニン10重量部と、7.5°、9.1°、16.7°、17.3°、22.3°にピークを有するX型無金属フタロシアニン(大日本インキ社製:Fastogen Blue 8120BS)5重量部、ブチラール樹脂(積水化学社製:BL−1)10重量部をメチルエチルケトン980重量部に混合しペイントシェーカーにて分散処理して得られた電荷発生層用塗液を上記中間層上に塗布し、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
続いて例示化合物〔化8〕の構造式で示されるスチリル化合物10重量部、下記構造式(6)で示される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製:PCZ400)16重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の電荷輸送層用塗液を作り、上記電荷発生層上に塗布し、110℃にて1時間乾燥し、膜厚21μmの電荷輸送層を形成した。
【0029】
【化10】
【0030】
次に作製した電子写真感光体の光減衰特性の測定を行った。
ドラム感度試験機(Gentec社製)を用いて、電子写真感光体の表面をスコロトロンチャージャーで、−600±20Vに帯電させて、露光光源である半導体レーザー光(波長780nm)の光強度をNDフィルターで調整して感光体の表面に照射し各光強度における表面電位を測定した。
結果は図5の(感光体A)に示すとおり弱い露光に対しては光減衰が小さく、強い露光に対しては完全に光減衰していることがわかった。
【0031】
次に解像度の検討を行った。
作製した電子写真感光体を市販の複写機(AR−N200)を1200dpi相当のドットが出力できるように改造した実験機に搭載し、パソコンにて黒ベタに白1ドットを書かせるデータ(レーザーを全面走査し1ドットのみオフとするデータ)を作成しこのデータをプリンターインターフェースを介して送信し、プリントアウトされた出力画像を観察した。その結果、黒ベタ上に1ドットの白点がはっきりと確認できた。
本発明の感光体は十分な高解像度画像を出力できることがわかった。
さらに、搭載した状態でA4;1万枚のコピーを行い、使用後に再び画像を検討した。
使用後も解像度の劣化もなく画像濃度の低下も発生しなかった。
【0032】
(実施例2)
実施例1においてX型無金属フタロシアニンを1重量部とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し画像を評価した。
(実施例3)
実施例1においてX型無金属フタロシアニンを7重量部とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し画像を評価した。
(実施例4)
実施例1において電荷輸送物質を例示化合物〔化11〕とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し画像を評価した。
【0033】
(実施例5)
実施例1において電荷輸送物質を例示化合物〔化15〕とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し画像を評価した。
(実施例6)
実施例1において電荷輸送物質を例示化合物〔化22〕とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し画像を評価した。
(実施例7)
実施例1において電荷輸送物質を例示化合物〔化36〕とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し画像を評価した。
【0034】
(実施例8)
製造例1で合成したオキソチタニルフタロシアニン10重量部とX型無金属フタロシアニン(Fastgen Blue 8120BS:大日本インキ社製)5重量部をテトラヒドロフラン185重量部に混合しペイントシェーカーにて分散処理した後、例示化合物〔化14〕の構造式で示されるビスアミン化合物100重量部、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製:PCZ400)160重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の塗液を作製した。この塗液を塗布槽に満たし、導電性支持体として直径30mm、全長326.3mmのアルミニウム製のドラム状支持体を、浸漬し引き上げ、110℃で1時間乾燥して膜厚20μmの単層感光体をドラム状支持体上に形成した。
【0035】
次に市販の複写機(AR−N200)を1200dpi相当のドットが出力できるように改造した実験機をさらに、正帯電プロセスに改造した後、作製した電子写真感光体を搭載し、パソコンにて黒ベタに白1ドットを書かせるデータ(レーザーを全面走査し1ドットのみオフとするデータ)を作成し、このデータをプリンターインターフェースを介して送信し、プリントアウトされた出力画像を観察した。その結果、黒ベタ上に1ドットの白点がはっきりと確認できた。
本発明の感光体は十分な高解像度画像を出力できることがわかった。
【0036】
(比較例1)
実施例1においてX型無金属フタロシアニンを用いなかった以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し光減衰特性と画像を評価した。
光減衰特性は図5の(比較感光体B)に示すとおり弱い露光でも光減衰が大きい。
画像を検討したとところドットを出力させるデータを送ったのにもかかわらず、出力された画像は黒ベタとなっており、ドットがきちんと形成されていないことが判明した。
【0037】
(比較例2)
実施例1において電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニン15重量部とした以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し、光減衰特性と画像を評価した。
光減衰特性は図5の(比較感光体C)に示すとおり、強い露光に対しても光減衰が不十分で、残留電位として残っていることがわかった。
画像を検討すると出力された画像はドットは判別可能だが、黒ベタ部分の濃度が低くなっていた。
実施例1〜8、及び比較例1、2の評価結果を表1にまとめた。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
以上の実施例、比較例から明らかなように、本発明の、第1によれば、高解像度と高感度を両立させた繰返し使用に強い電子写真感光体が提供でき、第2によれば、より高解像度なプロセスに対応でき、第3によれば、より高感度な電子写共感光体が提供でき、第4〜7によれば、より高感度、高解像度な電子写真感光体が提供でき、第8によれば、画像欠陥の少ないより高解像度な電子写真感光体が提供でき、第9によれば、より良好な潜像形成ができ、第10によれば、デジタルデータの出力に適した複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】電荷発生層と電荷輸送層の2層からなる積層型感光体を示す図。
【図2】感光層に電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層型感光体を示す図。
【図3】中間層及び電荷発生層と電荷輸送層の3層からなる積層型感光体を示す図。
【図4】中間層及び感光層からなる感光体を示す図。
【図5】実施例、比較例の電子写真感光体の光減衰特性を示す図。
【図6】本発明の製造例1で得られたオキソチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトル図。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生物質
3 電荷輸送物質
4、4’ 感光層
5 電荷発生物質
6 電荷輸送物質
7 中間層
Claims (9)
- 電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体であって、電荷発生層がCuKα特性X線(波長:1.5418Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッグ角(2θ±0.2°)で7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に主ピークを有する結晶型オキソチタニルフタロシアニンであって、9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大ピ−クであり、かつ、27.2°のピークが第2の最大ピークである結晶型オキソチタニルフタロシアニン及び7.5°、9.1°、16.7°、17.3°、22.3°にピークを有するX型無金属フタロシアニンを含有することを特徴とする1200dpi以上の高解像度で画像形成する画像形成装置に用いる電子写真感光体。
- X型無金属フタロシアニンの含有量が、オキソチタニルフタロシアニンの10〜70重量%であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 下記一般式(1)で表されるスチリル化合物を電荷輸送物質として含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 下記一般式(2)で表されるビスアミン化合物を電荷輸送物質として含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 下記一般式(3)で表されるビスアミン化合物を電荷輸送物質として含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 下記一般式(4)で表されるブタジエン化合物を電荷輸送物質として含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体であって、導電性支持体と感光層の間に中間層を設けたことを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体に対して、半導体レーザーで画像露光することを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体を帯電させ画像露光した後、反転現像して画像を得ることを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000322475A JP4118012B2 (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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