JP4505513B2 - 電子写真感光体下引き層用塗布液、電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体下引き層用塗布液、電子写真感光体および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は電子写真感光体に関するものであり、詳しくは導電性支持体と感光層との間に設ける下引き層を形成するための下引き層用塗布液及びその製造方法とそれを用いた電子写真感光体と画像形成装置に関するものである。
一般に、光導電性の感光体を用いた電子写真プロセスは、感光体の光導電現象を利用した情報記録手段の一つである。
このプロセスは、先ず、感光体を暗所においてコロナ放電によりその表面を一様に帯電させた後、像露光を施して露光部の電荷を選択的に放電させることによって、非露光部に静電像を形成させる。次に、着色した荷電微粒子(トナー)を静電引力などで潜像に付着させて可視像とし、画像を形成する。
これら一連のプロセスにおいて感光体に要求される基本的な特性としては、
1)暗所において適当な電位に一様に帯電させることができること;
2)暗所において高い電荷保持能を有し、電荷の放電が少ないこと;
3)光感度に優れており、光照射によって速やかに電荷を放電すること;
などが挙げられる。
更には容易に感光体の表面を除電することができ、残留電位が小さいこと、機械的強度があり、可撓性に優れていることや、繰り返し使用する場合に電気的特性、特に帯電性や光感度、残留電位等が変動しないこと、熱・光・温度・湿度やオゾン劣化等に対する耐性を有していることなど、安定性・耐久性が大きい等の特性が必要である。
現在、実用化されている電子写真感光体は、導電性支持体の上に感光層を形成して構成しているが、導電性支持体からのキャリア注入が生じ易いために表面電荷が微視的にみて消失もしくは減少することによる画像欠陥が発生する。
この画像欠損を防止し、導電性支持体表面の欠陥の被覆、帯電性の改善、感光層の接着性の向上、塗布性改善等のために導電性支持体と感光層との間に下引層を設ける事が行われている。
従来、下引層としては、各種樹脂材料や無機化合物粒子、例えば酸化チタン粉末を含有するもの等が検討されている。
樹脂単一層で下引き層を形成する場合用いられる材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料やこれらの繰り返し単位のうち二つ以上を含む共重合体樹脂、更には、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース等が知られているが、これらのうち特にポリアミド樹脂が好ましいとされている(特許文献1:特開昭48−47344号)。
しかし、ポリアミド等の樹脂単一層を下引き層とした電子写真感光体では、残留電位の蓄積が大きく感度の低下や、画像のカブリなどが発生する。この傾向は、特に低湿度の環境下で顕著になる。
そこで、導電性支持体の影響による画像欠陥の発生を防止したり、残留電位の改善の目的のために、下引き層中に表面未処理の酸化チタン粉末を含有するもの(特許文献1:特開昭56−52757号)や、さらに酸化チタン粉末の分散性を改善するためにアルミナなどを被覆した酸化チタン微粒子を含有するもの(特許文献2:特開昭59−93453号)、チタネート系カップリング剤で表面処理を施した金属酸化物粒子を含有するもの(特許文献3:特開平4−172362号)などが提案されている。
しかしながら、これらの公報の提案では特性的に未だ不充分であり、さらに優れた特性を有する電子写真感光体が望まれている。
特開昭48−47344号 特開昭56−52757号 特開昭59−93453号 特開平4−172362号
本発明が解決しようとする課題は、分散性及び経時安定性に優れ、導電性支持体への塗布性が良好で、均一な下引き層を形成することができる電子写真感光体下引き層用塗布液及びその製造方法を提供すること、並びに該電子写真感光体下引き層用塗布液を用いた繰り返し使用による電気的特性の変化が少なく画像特性の良好な電子写真感光体及びその電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、電子写真感光体における下引き層用塗布液が、バインダー樹脂と共に、無機化合物として、酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子とを含有する塗布液を、下引き層の形成に用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
しかるに、本発明によれば、導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体を製造するための下引き層用塗布液が、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子とを含有することを特徴とする電子写真感光体下引き層用塗布液が提供される。
また、本発明によれば、導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体において、前記下引き層が、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子を含有していることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体を製造するための下引き層用塗布液の製造方法において、前記下引き層用塗布液が、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子または酸化チタン微粒子と窒化ケイ素微粒子とを分散して調製されることを特徴とする電子写真感光体下引き層用塗布液の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体において、前記下引き層が、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子を含有していることを特徴とする電子写真感光体を搭載することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば非常に分散性や経時安定性に優れ、導電性支持体への塗布性が良好で、均一な下引き層を形成することができる電子写真感光体下引き層用塗布液及びその製造方法を提供できる。さらに導電性支持体からの電荷の注入を抑えるために反転現像プロセスで画像形成させる装置に搭載しても非常に良好な画像特性を得ることができる。
また、長期間の繰り返し使用によっても電気的特性及び画像特性の劣化が発生せず、非常に安定した環境特性をもつ電子写真感光体を提供することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に用いられる導電性支持体としてはアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、チタンなどの金属製ドラム及びシート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどの高分子材料や硬質紙上に金属箔ラミネートや金属蒸着処理を施したドラム、シート及びシームレスベルト等が挙げられる。
本発明は、上記の導電性支持体表面に塗布される前記の電子写真感光体下引き層用塗布液が、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子とを含有しているが、前記窒化ケイ素微粒子は、前記酸化チタン微粒子に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%の割合で含有されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記酸化チタン微粒子が、針状または樹枝状の形状を有することを特徴とする。
また、本発明は、上記無機化合物のバインダー樹脂に対する重量割合が10/90から95/5であることを特徴とする。
本発明による電子写真感光体下引き層用塗布液は、酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子を含有することにより、分散性及び経時安定性に優れ、導電性支持体への塗布性が良好で感光層形成時に均一な下引き層塗膜を形成することができる。
前記の電子写真感光体は、前記の電子写真感光体下引き層用塗布液を導電性支持体上に形成した後、感光層を形成することを特徴とする。
該電子写真感光体下引き層用塗布液を用いて形成された電子写真感光体は、導電性支持体と感光層との間を所定の電気的特性を保ちながら、導電性支持体の欠陥から由来する画像欠陥を防止することができる。特にこの優れた下引き層を形成して電荷発生物質に長波長に光感度のある有機材料、例えばフタロシアニン顔料を用いて電子写真感光体を製造し、この電子写真感光体を、反転現像方法を利用した画像形成装置に搭載することにより、微小領域での表面電荷の減少や消失による反転現像特有の白地に微小な黒点(黒ポチ)のない優れた画像特性を発揮することができる。
前記の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された下引き層と、該下引き層上に形成された感光層とを備えた電子写真感光体において、下引き層の膜厚が0.05〜5μmであることを特徴とする。
従来の下引き層では膜厚を薄くすると環境特性は改善されるが、導電性支持体と感光層との接着性が低下し、導電性支持体の欠陥に起因する画像欠陥が発生するという弊害があった。一方、下引き層の膜厚を厚くすると感度低下を招き、環境特性が悪化するという問題があり、画像欠陥の低減と電気的特性の安定性向上を両立させるための実用的な膜厚が制限されることとなっていた。
しかし、酸化チタン微粒子と窒化ケイ素微粒子を含有することにより下引き層中の分散性が向上することで抵抗値を均一に保つことができる。これにより微視的な感光体特性、特に感度や残留電位の変動を抑制することで、画像欠陥の発生を防止することができる。
前記の電子写真感光体は、下引き層中に含有するバインダー樹脂が、有機溶媒可溶性のポリアミド樹脂であることを特徴とする。
下引き層中に含有するバインダー樹脂としてのポリアミド樹脂は、無機化合物粒子と馴染み易く、さらに導電性支持体との接着性にも優れるので、ポリアミド樹脂を含有し、形成された下引き層は、膜の可撓性を保つことができる。
さらに、感光体塗布液用溶剤で膨潤、溶解することが無いために、下引き層の塗布欠陥やムラの発生を防止し優れた画像特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
本発明による電子写真感光体下引き用塗布液の調製では、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子とを分散する際には、ジルコニア製または窒化ケイ素製などのような通常の分散メディアを用いることができる。しかしながら、バインダー樹脂と酸化チタンとを分散する際には、窒化ケイ素製分散メディアが本発明において用いられる。
前記の画像形成装置は、前記の電子写真感光体を搭載することを特徴とする。
前記電子写真感光体を搭載した画像形成装置は、繰り返し使用における電気的特性の変化が少なく、環境変化が変動しても極めて優れた画像特性を示すことができる。
本発明による電子写真感光体の下引き層は、無機化合物として酸化チタン微粒子及び窒化ケイ素微粒子を含有することを特徴とする。
上記の酸化チタンの結晶型は、ルチル型、アナタース型やアモルファスの何れであってもよく、その形状は一般的には、粒状のものが用いられるが、図2に示すような針状もしくは樹枝状のものが好ましい。
本発明において、無機化合物の結晶形に関して用いられる用語「針状」とは、棒状、柱状や紡錘状などを含む細長い形状であればよく、従って、必ずしも極端に細長いものでなくてもよく、先端が鋭くとがっている必要もない。
また、同様に、用語「樹枝状」とは、棒状、柱状や紡錘状などを含む細長い形状、すなわち、上記の針状の形状が枝分かれしているものを、樹枝状と呼ぶ。
針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子の粒径は、好ましくは長軸長aが100μm以下、短軸長bが1μm以下であるが、より好ましくは長軸長aが10μm以下、短軸長bが0.5μm以下であり、針状とは長軸長aと短軸長bとの比a/bであるアスペクト比が1.5以上の形状を指す。
これら針状もしくは樹枝状の軸長がこの範囲より大きければ、金属酸化物や有機化合物により表面処理を施した場合には分散安定性のある下引き層用塗布液が得られにくい。
さらに、粒子のアスペクト比は好ましくは1.5以上300以下の範囲であり、より好ましくは2以上10以下の範囲である。
粒径およびアスペクト比を測定する方法としては、重量沈降法や光透過式粒度分布測定法などの方法でも測定可能であるが、針状もしくは樹枝状であるので、直接電子顕微鏡で測定する方が好ましい。
下引き層には、無機化合物として針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子および窒化ケイ素微粒子が含有されるが、下引き層用塗布液として長期間これらの無機化合物の分散性が保持され、下引き層として均一な膜を形成するにはバインダー樹脂が含有されていることが好ましい。
前記針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子および窒化ケイ素微粒子の下引き層中の含有率としては、10重量%以上99重量%以下、好ましくは、30重量%以上99重量%以下、さらに好ましくは、35重量%以上95重量%以下の範囲である。
10重量%より少ない含有率であれば、感度が低下し、下引き層中に電荷が蓄積され残留電位が増大する。特に低温低湿下での繰り返し特性において顕著になる。
また、95重量%より多い含有率であれば下引き層用塗布液の保存安定性が悪くなり、針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子および窒化ケイ素微粒子の沈降が起こりやすくなるために好ましくない。
また、本発明においては、針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子と粒状の酸化チタン微粒子とを混合したものを用いてもよい。針状もしくは樹枝状及び粒状のいずれの酸化チタンを用いる場合にも、酸化チタンの結晶形としては、アナターゼ型とルチル型、アモルファスなどがあるが、いずれを用いてもよく、また2種以上混合してもよい。
針状もしくは樹枝状酸化チタン微粒子の粉体の体積抵抗値については、105〜1010Ωcmが好ましい。
粉体の体積抵抗値が105Ωcmより小さくなると、下引き層としての抵抗値が低下し電荷ブロッキング層として機能しなくなる。例えば、アンチモンをドープした酸化錫導電層などの導電処理を施した無機化合物粒子の場合には、100Ωcmないし101Ωcmと、非常に粉体の体積抵抗値が低くなり、これを用いた下引き層は電荷ブロッキング層として機能せず、感光体特性としての帯電性が悪化するために、画像にカブリや黒点(黒ポチ)が発生するために使用することはできない。
また、針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子の粉体の体積抵抗値が1010Ωcm以上に高くなってバインダー樹脂自身の体積抵抗値と同等あるいはそれ以上になると、下引き層としての抵抗値が高過ぎて、光照射時に生成したキャリアの輸送が抑制阻止され、残留電位が上昇し光感度が低下するので好ましくない。
針状もしくは樹枝状酸化チタン微粒子の粉体の体積抵抗値を上述の範囲に維持する限り、針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子の表面は、Al23、ZrO2等もしくはその混合物などの金属酸化物で被覆させたものを用いる。表面未処理の酸化チタン微粒子を用いると、使用する酸化チタンの粒子が微粒子であるために十分に分散された下引き層用塗布液であっても長期間の使用や塗布液の保管時に酸化チタン微粒子の凝集が避けらない。そのため、下引き層を形成する際、塗布膜の欠陥や塗布ムラが発生し画像欠陥が生じる。また、導電性支持体からの電荷の注入が起こり易くなるために、微小領域の帯電性が低下し黒点が発生することになる。
そこで、針状もしくは樹枝状の酸化チタン微粒子の表面をAl23、ZrO2もしくはその混合物などの金属酸化物で被覆させることにより針状もしくは樹枝状の酸化チタンの凝集を防止し、非常に分散性や保存安定性に優れた下引き層用塗布液が得られる。
さらに導電性支持体からの電荷の注入を防止することができるために、黒点のない優れた画像特性を有する電子写真感光体が得られる。針状もしくは樹枝状の酸化チタンの表面を被覆する金属酸化物としては、Al23、ZrO2が好ましい。また、Al23もしくはZrO2のように異なる金属酸化物の両方で表面処理を施すと、さらに優れた画像特性が得られることから、より好ましい効果が発現される。
また、Fe23などの磁性を持つ金属酸化物で酸化チタンの表面の被覆を施した場合には、感光層中に含有するフタロシアニン顔料と化学的に相互作用が起こり、感光体特性、特に感度低下や帯電性の低下が生じるために好ましくない。
針状もしくは樹枝状の酸化チタンの表面を被覆する金属酸化物として用いられるAl23、ZrO2の表面処理量としては、酸化チタンに対して0.1重量%から20重量%が好ましい。0.1重量%より少ない処理量であれば、酸化チタンの表面を十分に被覆することができないために表面処理の効果が発現しにくくなる。20重量%を超える処理量であれば表面処理としては十分に施されているために、特性としては変わらなくなりそれ以上ではコストがかかるため好ましくない。
針状もしくは樹枝状の酸化チタンの表面を被覆する有機化合物としては、一般的なカップリング剤を用いることができる。
カップリング剤の種類としては、アルコキシシラン化合物などのシランカップリング剤、ハロゲン、窒素、硫黄のような原子がケイ素と結合したシリル化剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
例えば、シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、N−3−(アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン等のシラザン類、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤、ビス(ジオクチルパイロホフェート)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらカップリング剤によって酸化チタン微粒子に表面処理を施したり、これらカップリング剤を分散剤として使用する場合に、1種または2種以上のカップリン剤を併用して用いてもよい。
酸化チタン微粒子に表面処理を施す方法としては、前処理法とインテグラルブレンド法に大別され、さらに前処理法としては湿式法と乾式法に分けられる。
湿式法としては、水処理法、溶媒処理法に分けられ、水処理法としては、直接溶解法、エマルジョン法、アミンアダクト法などがある。
湿式法の場合には、有機溶媒や水に表面処理剤を溶解または懸濁させたものに酸化チタン物粒子を添加し、その溶液を数分から1時間程度撹拌混合し、場合によっては加熱処理を施した後に、濾過などの工程を経て乾燥させることによって表面処理を施すことができる。
同様に、酸化チタン物粒子を有機溶媒や水に分散した懸濁液に表面処理剤を添加しても差し支えない。
使用できる表面処理剤としては、直接法では水に溶解する処理剤、エマルジョン法では水中乳化可能型の処理剤、アミンアダクト法ではリン酸残基を有する処理剤が挙げられる。
アミンアダクト法の場合には、トリアルキルアミンやトリアルキロールアミンなどの3級アミンを少量添加することによって調整液をpH=7〜10にし、中和発熱反応による液温の上昇を抑えるために冷却しながら処理することが好ましく、その他の工程は他の湿式法と同様に処理することにより表面処理を施すことができる。しかしながら、湿式法の場合に使用できる表面処理剤としては、使用する有機溶媒や水に溶解するか、懸濁することができるものに限られる。
乾式法としては酸化チタン微粒子に直接表面処理剤を添加し、ミキサーで撹拌混合することによって表面処理を施すことができる。一般的な方法としては、酸化チタン微粒子の表面水を除去するために予備乾燥を行うことが好ましい。例えば、ヘイシャルミキサーなどのシェアの大きい混合機で数10rpm、100℃前後の温度にて予備乾燥を行った後、表面処理剤を直接もしくは有機溶媒や水に溶解もしくは分散混合した溶液を添加する。その際、乾燥空気やN2ガスで噴霧させて処理することにより、より均一に混合することができる。添加する際には、80℃前後の温度、1000rpm以上の回転数で数10分間撹拌することが好ましい。
インテグラルブレンド法は、酸化チタン微粒子と樹脂を混練する際に表面処理剤を添加する方法であり、塗料の分野では一般的に使用されている方法である。表面処理剤及び添加剤としての添加量としては、金属酸化物粒子の種類や形態によって様々ではあるが、金属酸化物粒子の0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%である。この範囲より少ない添加量であれば、添加の効果が発現しにくく、またこの範囲より多ければ添加効果としてはあまり変わらず、コストの面で不利になる。
また、酸化チタン微粒子の表面は、不飽和結合を有するカップリング剤で処理する場合にはその処理の前後において、また、分散剤として有機溶剤中に添加する場合のいずれにおいても、酸化チタン微粒子の粉体の体積抵抗値を上述の範囲に維持する限り、酸化チタン微粒子の表面は未処理のものでも良く、さらにAl23、ZrO2等もしくはその混合物などの金属酸化物で被覆させたものでも良い。
本発明で用いられる窒化ケイ素微粒子としては、一般的な組成である四窒化三ケイ素(Si34)が代表的なものであるが、一窒化一ケイ素(Si11)などその他の組成のものを用いても良い。また、その結晶構造は、α型、β型などが知られているがいずれのものを用いても良い。窒化ケイ素微粒子の製造方法としては、直接窒化法、還元窒化法、イミド分解法などが開発されているがいずれの製造方法によって製造されたものでも良い。本発明で用いられる窒化ケイ素の形状は特にどのようなものであってもよいが、非常に高い強度と破壊靭性など他の金属酸化物やセラミックスと比較して優れた特徴を有していることから、微粒子であることが好ましい。
下引き層の膜厚としては、好ましくは、0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.05μm以上5μm以下の範囲である。下引き層の膜厚が0.01μmより小さければ実質的に下引き層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導電性支持体からのキャリアの注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じる。また、10μmよりも大きくすることは下引き層を浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり感光体の感度が低下するために好ましくない。
下引き層に含有されるバインダー樹脂としては、樹脂単一層で下引き層を形成する場合と同様の材料が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料やこれらの繰り返し単位のうち二つ以上を含む共重合体樹脂、更には、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース等が知られている。これらの中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、酢酸ビニル樹脂が好ましく、さらにポリアミド樹脂が好ましい。
この理由としては、バインダー樹脂の特性として、下引き層の上に感光体層を形成する際に用いられる溶媒に対して溶解や膨潤などが起こらないことや、導電性支持体との接着性に優れ、可撓性を有すること、さらに下引き層中に含有される金属酸化物との親和性が良く、金属酸化物粒子の分散性及び分散液の保存安定性に優れていることなどの特性が必要とされるからである。
ポリアミド樹脂のうちより好ましくは、アルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることができる。例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプが好ましい。
下引き層用塗布液の分散方法としては、分散メディアを使用しない超音波分散機や分散メディアを用いるボールミル、ビーズミル、ペイントコンディショナーなどの分散機を用いることができるが、有機溶剤に溶解させたバインダー樹脂溶液中に無機化合物を投入し、分散メディアを通じて分散機から与えられた強力な力で無機化合物を分散させることができるような分散メディアを用いる分散機が好ましい。
分散メディアの材質としては、ガラス、ジルコン、アルミナ、好ましくは耐磨耗性が高いジルコニア、チタニアを用いることが一般的になっているが、本発明で使用される分散メディアの材質としては窒化ケイ素であることがさらに好ましい。
また、分散メディアとして窒化ケイ素製分散メディアを用いた場合には、下引き層用塗布液に窒化ケイ素微粒子を添加しなくても、前記塗布液に酸化チタンと窒化ケイ素とを添加した場合と、同様の効果を奏する事が見出された。
すなわち、窒化ケイ素製分散メディアを用いた場合には、分散過程において、該メディアが磨耗することにより生じた窒化ケイ素が分散されるために前記塗布液に窒化ケイ素を添加した場合と同様の効果を奏するものと思われる。
分散メディアの形状は、0.3mmから数mmのビーズ状、数cm程度のボール状など何れを用いてもよい。
分散メディアの材質がガラスを使用した場合には、分散液の粘度が上昇し保存安定性が悪くなり、チタニアやジルコニアを使用した場合には、繰り返し使用による電気的特性の変化が大きくなり画像欠陥が発生する。
本発明による電子写真感光体の製造に窒化ケイ素製の分散メディアを使用した場合には、分散液の粘度上昇がなく保存安定性に優れた分散液が得られるとともに、繰り返し使用による電気特性や画像特性に優れた電子写真感光体及び該電子写真感光体を搭載した画像形成装置が得られる。
これは本発明で用いられる酸化チタン微粒子を分散させる場合、分散機から与えられた強力な力が酸化チタン微粒子を分散するエネルギーとしてだけでなく分散メディア自身を磨耗するエネルギーとして使用されることで分散メディアの材料が分散塗布液に混入し、分散塗布液の分散性や保存安定性、電子写真感光体下引き層を形成する際の塗布性や下引き層の膜質に何らかの影響を与えていることに基づくものと考えられる。
また、分散工程に窒化ケイ素製分散メディアを用いることで、ジルコニア製分散メディアよりも高い熱伝導率を生かして分散塗布液の液温度上昇を抑え、下引き層の構成材料である酸化チタンやバインダー樹脂の変質を低減したり、何らかの相互作用が働くことから極めて優れた繰り返し使用による電気的特性や環境特性、画像特性の向上につながったものと考えるがそのメカニズムは未だ明確とはいえない。
本発明による電子写真感光体下引き層用塗布液に使用される有機溶剤としては一般的な有機溶剤を使用することができるが、バインダー樹脂としてより好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いる場合には、炭素数1〜4の低級アルコール群と、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トルエン、テトラヒドロフランよりなる群と、から選ばれた単独系及び混合系の有機溶媒が用いられる。
より詳細には、下引き層用塗布液の溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及びノルマルプロピルアルコールよりなる群から選ばれた低級アルコールとジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トルエン、テトラヒドロフランよりなる群から選ばれた他の有機溶媒との共沸組成の混合溶媒が好ましい。
前記のポリアミド樹脂と酸化チタン微粒子、窒化ケイ素微粒子を上記の低級アルコールと上記の有機溶媒の混合溶媒、好ましくは、共沸組成の溶媒中に分散して作成した塗布液を導電性支持体上に塗布し乾燥することにより、下引き層が形成される。
ここで、前記の有機溶媒を混合することによりアルコール系溶媒単独よりもさらに塗布液の分散性が改善され、塗布液の保存安定性(下引き層用塗布液の作成からの経過日数を以下ポットライフと称する)の長期化を図ることが可能となる。また、下引き層用塗布液中に導電性支持体を浸漬塗布して下引き層を形成する際、下引き層の塗布欠陥やムラを防止し、その上に形成される感光層が均一に塗布できることより、膜欠陥の無い非常に優れた画像特性を有する電子写真感光体を形成することができる。
ここで、本発明でいう共沸とは、液体混合物が一定圧力下において、溶液の組成と蒸気の組成が一致し、定沸点混合物となる現象のことであり、本発明におけるその組成は上記低級アルコールとジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トルエン、テトラヒドロフランとからなる群から選択される有機溶媒の混合溶媒の任意の組み合わせにおいて決定される。
その組成の割合は、当該分野で既知の割合(化学便覧、基礎編)であって、例えば、メタノールと1,2−ジクロロエタンの場合、メタノール35重量部、1,2ジクロロエタン65重量部の割合で混合した溶液が共沸組成となる。
この共沸組成の混合溶媒を用いることにより、均一な蒸発が起こり、下引き層の塗布膜は、塗膜欠陥のない均一な膜に形成されるばかりでなく、下引き層用塗布液の保存安定性も向上する。
しかしながら、ハロゲン系溶剤は近年の環境問題や毒性の問題からその使用が削減もしくは禁止の方向にあることから、環状エーテル類を使用することが更に好ましい。
これらの有機溶剤としては、未置換及び/または置換基を有するテトラヒドロフラン及びその誘導体、未置換及び/または置換基を有するジオキソラン化合物及びその誘導体を挙げることができるが、好ましくは、置換基がなくすべてが水素原子である1,3−ジオキソランが特に好ましい。アルキル基が炭素数の大きな置換基を有する場合には、ジオキソラン誘導体の沸点が高くなり、100℃を超えるようになると形成された下引き層の乾燥時間が長くなるために生産性が低下するだけでなく、気流や湿度などの塗布環境により乾燥ムラが発生しやすくなることから好ましくない。
下引き層の上に形成される感光層の構造としては、電荷発生層と電荷輸送層との二層から成る機能分離型(積層型)感光層、および、これらが分離されずに単一層で形成される単層型感光層があるが、いずれを用いても良い。
機能分離型感光層の場合、下引き層の上に電荷発生層が形成される。電荷発生層に含有される電荷発生物質としては、クロロダイアンブルー等のビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロン等の多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物、アズレニウム塩系化合物等が知られているが、レーザー光やLEDなどの光源を用いて反転現像プロセスにより画像形成を行う電子写真感光体では、620nm〜800nmの長波長の範囲に感度を有することが要求される。
その際に使用される電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料やトリスアゾ顔料が高感度で耐久性に優れており従来から検討されている。その中で特にフタロシアニン顔料が更に優れた特性を有しており、これらの顔料を一種もしくは二種以上併用することも可能である。
使用されるフタロシアニン顔料は、無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニン更にはこれらの混合物や混晶化合物が挙げられる。
金属フタロシアニン顔料において用いられる金属としては、酸化状態がゼロであるもの又はその塩化物、臭化物などのハロゲン化金属、若しくは酸化物などが用いられる。好ましい金属としては、Cu、Ni、Mg、Pb、V、Pd、Co、Nb、Al、Sn、Zn、Ca、In、Ga、Fe、Ge、Ti、Cr等が挙げられる。これらのフタロシアニン顔料の製造方法は種々の手法が提案されているが、どの様な製造方法を用いても良く、顔料化された後に各種精製や結晶型を変換させる為に種々の有機溶剤で分散処理を行ったりしたものを用いても良い。
本発明においては、非晶型やα型、β型、γ型、δ型、ε型、χ型、τ型等の結晶型を有する金属を使用することができる。
これらのフタロシアニン顔料を用いた電荷発生層の作製方法としては、電荷発生物質、特にフタロシアニン顔料を真空蒸着することによって形成する方法、及び、バインダー樹脂と有機溶剤と混合分散して成膜する方法があるが、混合分散処理する前に予め粉砕機によって粉砕処理を行っても良い。その粉砕機に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、振動ミル及び超音波分散機などを用いた方法がある。
一般的にバインダー樹脂溶液中に分散した後、塗布する方法が好ましい。塗布方法としては、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法、浸漬法等があげられる。特に図1に示したような浸漬塗布方法は、電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液または単層型感光層用塗布液などの感光体塗布液を満たした塗布槽に、導電性支持体を浸漬した後、一定速度又は、逐次変化する速度で引き上げることにより感光層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及びコストの点で優れているために、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。
より詳細には、図1に示した浸漬塗布装置は、塗液槽13および撹拌槽14の内部には、塗液12が収容される。塗液12はモータ16によって循環経路17aを通って撹拌槽14から塗液槽13へ送られ、塗液槽13の上部と撹拌槽14の上部とをつなぐ傾斜する循環経路17bを通って塗液槽13から撹拌槽14へ送られ、このようにして循環される。
塗液槽13の上部には、導電性支持体2が回転軸10に取付けられている。回転軸10の軸方向は、塗液槽13の上下方向に沿っており、回転軸10をモータ11で回転させることによって、取付けられた支持体2が昇降する。モータ11を予め定められる一方向に回転させて支持体2を下降させ、塗液槽13の内部の塗液12に浸漬する。
次に、モータ11を前記一方向とは逆の他方向に回転させて支持体2を上昇させ、塗液12から引出し、乾燥させて塗液12による膜が形成される。
特に図1に示したような浸漬塗布方法は、感光体塗布液を満たした塗布槽に、導電性支持体を浸漬した後、一定速度又は、逐次変化する速度で引き上げることにより感光層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及びコストの点で優れているために、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。
したがって、下引き層用の樹脂としては、感光層用塗布液の溶媒に難溶であることが望ましく、一般にアルコール可溶性又は、水溶性の樹脂が使用され、アルコール溶液又は分散液として下引き層用塗布液を調製し、支持体上に塗布することにより、下引き層が設けられる。
感光体塗布液に用いられる結着性樹脂としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂などや二つ以上の繰り返し単位を含む共重合体樹脂、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、一般に用いられるすべての樹脂を単独あるいは二種以上混合して使用することができる。
また、これらの樹脂を溶解させる溶媒としては、塩化メチレン、2塩化エタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは、0.1μm以上1μm以下の範囲である。
フタロシアニン顔料とバインダー樹脂との配合比は、フタロシアニン顔料が10重量%から99重量%の範囲が好ましい。この範囲より少ない場合は感度が低下し、多ければ耐久性が低下するばかりでなく、分散性が低下する為に粗大粒子が増大することから画像欠陥、特に黒ポチが多くなる。
電荷発生層用塗布液を製造する際には、前述のフタロシアニン顔料とバインダー樹脂、有機溶剤を混合し分散させるが、分散条件としては用いる容器や分散メディアの摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な分散条件を選択して行う。
上記のようにして得られる分散液中に含有されるフタロシアニン顔料は、一次粒子及び/またはその凝集粒子径が3μm以下の粒子径にまで分散を進めることが肝要である。
一次粒子及び/またはその凝集粒子径が3μmよりも大きければ得られる電子写真感光体において、反転現像の際、白地に黒ポチが非常に発生することとなる。そのため各種分散機により電荷発生層用塗布液を製造する際には、分散条件を最適化しフタロシアニン顔料粒子を3μm以下、更に好ましくはメジアン径で0.5μm以下、モード径で3μm以下にまで分散し、これよりも大きい粒子を含有しないことが好ましい。
フタロシアニン顔料粒子はその化学的構造から微粒子にするためには比較的強い分散条件と長時間の分散時間を必要としており、これ以上に分散を進めることはコスト的に効率が悪く、分散メディアの摩耗等による不純物の混入が避けられない。
また、分散時の有機溶剤や熱、分散による衝撃などによりフタロシアニン顔料粒子の結晶型が変化することにより、感光体の感度が大きく低下するなどの弊害が発生する。そのため、メジアン径で0.01μm以下、モード径で0.1μm以下にフタロシアニン顔料の粒子径を小さくすることは好ましくない。
また、分散された塗布液中のフタロシアニン顔料粒子中に3μmよりも大きい粒子が含まれている場合にはろ過処理を施すことにより3μmよりも大きい一次粒子及び/または凝集粒子を除去することができる。ろ過処理に用いられるフィルターの材質は分散の際に用いられた有機溶剤に膨潤や溶解しないものであれば一般的に用いられるものが使用されるが、好ましくは孔径が均一のテフロン(登録商標)製メンブランフィルターが良い。更に遠心分離により粗大粒子や凝集物を除去しても良い。
このようにして得られた電荷発生層用塗布液を用いて形成される電荷発生層は、0.2μm〜10μmの厚みに塗布される。この厚みより小さければ、電荷発生層の膜厚が薄くなり感度低下をもたらすばかりでなく、フタロシアニン顔料を非常に小さくなるまで分散する為に結晶型が変化するなど好ましくない。
また、これより厚くなれば一定の感度を示しコスト的に好ましくないばかりか、均一に塗布することが困難となる。
電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層の作製方法としては、結着性樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送用塗布液を作製し、これを塗布して成膜する方法が一般的である。
電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジアゾール系化合物などが知られており、一種もしくは二種以上併用することも可能である。
結着性樹脂としては、前記の電荷発生層用の樹脂を一種もしくは二種以上混合して使用することができる。電荷輸送層の作製方法としては、下引き層と同様の方法が用いられる。
電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下の範囲である。
感光層が単層構造の場合には、感光層の膜厚が、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下の範囲である。その時、単層用塗布液の作製方法としては、フタロシアニン顔料と電荷輸送材料を有機溶剤に溶解させたバインダー樹脂溶液と混合して分散することにより作製することができる。その際使用される有機溶剤やバインダー樹脂は前記に示したものが用いられ、分散方法及び塗布方法も同様に前記の公知の方法が使用することができる。
なお、単層構造、積層構造いずれの場合も感光層は、下引き層が導電性支持体からのホール注入に対して障壁となり、さらに、高感度、高耐久性を有するためには、負帯電性の感光層が好ましい。
また、感度の向上、残留電位や繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、感光層に少なくとも一種以上の電子受容性物質を添加することができる。例えば、パラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノン、β−ナフトキノン等のキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2−ニトロフルオレノン等のニトロ化合物、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼン、4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼン等のシアノ化合物などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系化合物やCl、CN、NO2等の電子吸引性置換基のあるベンゼン誘導体が特に好ましい。また、安息香酸、スチルベン化合物やその誘導体、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、およびその誘導体等の含窒素化合物類などのような紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させることもできる。
さらに、必要であれば、感光層表面を保護するために保護層を設けても良い。
表面保護層には、熱可塑性樹脂や、光または熱硬化性樹脂を用いることができる。また、表面保護層中に、前記紫外線防止剤や酸化防止剤、金属酸化物等の無機材料、有機金属化合物および電子受容性物質等を含有させることもできる。
また感光層及び表面保護層には必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルや塩素化パラフィン等の可塑剤を混合させて、加工性及び可撓性を付与し、機械的物性の改良を施しても良く、シリコン樹脂などのレベリング剤を使用することもできる。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機やレーザー、LEDなどを光源とする各種プリンター及び電子写真製版システムなどに使用することができる。
以下、本発明の電子写真感光体下引き層用塗布液とその製造方法及び電子写真感光体、画像形成装置にかかる実施例を図面に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図3(b)は、本発明の単層型の電子写真感光体の一実施例を示す概略断面図である。図3(b)に示されるように、導電性支持体2の上に下引き層3が形成され、その上に電荷発生物質8と電荷輸送物質19を含有している感光層4が形成されている。
下記の成分を容積500mlのポリプロピレン製容器に下記の成分と分散メディアとして直径1mmのジルコニア製ビーズを半分の容積量まで投入の後、ペイントシェーカーで20時間分散し、下引き層用塗布液100mlを作製した。
[下引き層用塗布液]
酸化チタン(表面未処理、針状:堺化学社製:STR−60N) 1重量部
窒化ケイ素(宇部興産社製:SN−E10) 0.1重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.1重量部
メタノール 50重量部
1,3−ジオキソラン 50重量部
導電性支持体1として、厚さ100μmのアルミニウム製導電性支持体を用いて、この上に上記下引き層用塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、110℃で10分間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚0.05μmの下引き層3を設けた。
次に、下引き層上に下記の成分をボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液50mlを作製した後、その塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、100℃で1時間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚20μmの感光層4を設け、単層型の電子写真感光体1bを作製した。
[感光層塗布液]
τ型無金属フタロシアニン
Liophoton TPA-891(東洋インキ製造社製) 17.1重量部
ポリカーボネート樹脂Z−400(三菱瓦斯化学社製) 17.1重量部
フタロシアニン系化合物 下記構造式 (I) 17.1重量部
エナミン化合物 下記構造式 (II) 17.1重量部
テトラヒドロフラン 100重量部
実施例2
図3(a)は、本発明の機能分離型の電子写真感光体の一実施例を示す概略断面図である。図3(a)に示されるように、導電性支持体2の上に下引き層3が形成され、その上に電荷発生層5及び電荷輸送層6とから成る感光層4が積層された構造になっており、電荷発生層5には電荷発生物質8が、電荷輸送層6には電荷輸送物質18がそれぞれ含まれている。
下記の成分を容積500mlのポリプロピレン製容器に下記の成分と分散メディアとして直径1mmのジルコニア製ビーズを半分の容積量まで投入の後、ペイントシェーカーで20時間分散し、下引き層用塗布液100mlを作製した。
[下引き層塗布液]
酸化チタン(Al23表面処理、針状:堺化学社製:STR−60) 1.9重量部
窒化ケイ素(宇部興産社製:SN−E10) 0.1重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.1重量部
メタノール 35重量部
1,3−ジオキソラン 65重量部
導電性支持体2として、厚さ100μmのアルミニウム製導電性支持体を用いて、この上に上記下引き層用塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、110℃で10分間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚5μmの下引き層3を設けた。
次に、下記成分をボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗布液50mlを作製した後、その塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、120℃で10分間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚0.8μmの電荷発生層5を設けた。
[電荷発生層用塗布液]
τ型無金属フタロシアニン
Liophoton TPA-891(東洋インキ製造社製) 2重量部
塩化ビニル―酢酸ビニル―マレイン酸共重合体樹脂
SOLBIN M(日信化学工業社製) 2重量部
メチルエチルケトン 100重量部
さらにその電荷発生層5上に、下記成分を混合・攪拌・溶解させて電荷輸送層用塗布液
100mlを作製した。その塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、80℃で1時間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層6を設け、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
[電荷輸送層塗工液]
フタロシアニン系化合物 下記構造式 (I) 8重量部
ポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製) 10重量部
シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.002重量部
ジクロロメタン 120重量部
実施例3
実施例2で使用した下引き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例2と同様にして下引き層を作製した後、実施例2と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体を作製した。
酸化チタン(Al23、ZrO2表面処理、樹枝状:
石原産業社製:TTO−D−1) 1.9重量部
実施例4
実施例3で使用した下引き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例3と同様にして下引き層を作製した後、実施例2と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体を作製した。
ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ社製:X1010) 0.1重量部
比較例1
実施例1で使用した下引き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例1と同様にして下引き層を作製した後、実施例1と同様にして感光層を作製し、単層型電子写真感光体を作製した。
[下引き層塗布液]
酸化チタン(表面未処理粒状、酸化チタン成分:98%)
TTO−55N (石原産業社製) 2重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.1重量部
メタノール 50重量部
1,3−ジオキソラン 50重量部
比較例2
比較例1で使用した下引き層用塗布液を用いて下引き層を作製した後、 実施例2と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体を作製した。
以上のようにして実施例1〜4、比較例1および2で調製した下引き層を用いて作製した感光体、ポットライフ30日後の下引き用塗布液を用いて作製した感光体を、デジタル複写機(シャープ社製:AR−450M)改造機のアルミニウムドラムに巻き付けて装着し、反転現像方式で白ベタの画像をそれぞれ印刷した白ベタ画像の評価およびポットライフ30日後の下引き層用塗布液の評価を以下の評価方法に従って評価した。
[初期白ベタ画像の評価]
実施例1〜4、比較例1および2で作製した感光体を、それぞれ装着したデジタル複写機で印刷し、初期白ベタ画像を以下の評価基準に従って評価した。
○:黒い斑点状欠陥無し
△:やや黒い斑点状欠陥存在
×:黒い斑点状欠陥多く存在
−:データなし
また、実施例1〜4、比較例1および2で作製した下引き層用塗布液を、室温暗室下で30日間保存してそれぞれの塗布液のポットライフを調べ、ポットライフ30日後を以下の評価基準に従って評価した。
○:凝集・沈降無し
△:やや沈降有り
×:凝集・沈降多く存在
さらに、上記の30日間室温暗室下で保存した実施例1〜4、比較例1および2で調製した下引き層用塗布液を用いて感光体をそれぞれ作製し、これらの感光体を前記と同様にデジタル複写機に装着して印刷し、白ベタ画像を以下の評価基準に従って評価した。
○:黒い斑点状欠陥無し
△:やや黒い斑点状欠陥存在
×:黒い斑点状欠陥多く存在
−:データなし
得られた上記の評価結果を以下の表に示す。
Figure 0004505513
上記の結果から、初期白ベタ画像評価において実施例1〜4で得られた感光体を装着したデジタル複写機による印刷物には、いずれも欠陥の無い良好な画像が得られた。また、比較例1および2による感光体による印刷物には、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生した。
また、室温暗室下で30日保存して分散液のポットライフを調べると、実施例1〜4で調製した下引き層用塗布液については、無機化合物の凝集がやや発生しており塗布液の下部に若干の沈降が見られた。これらの塗布液のポットライフ1ヶ月目において実施例1〜4と同様に感光体をそれぞれ作製し、評価したところ、画像上に若干の黒い斑点状の欠陥が発生した。
同様に、比較例1および2で調製した下引き層用塗布液は、分散直後は十分に均一な塗布液が得られるが、室温暗室下で30日保存して分散液のポットライフを調べると、無機化合物の凝集が発生し塗布液の下部に沈降しており、下引き層を作製することができず保存安定性に問題が生じた。
したがって、上記の室温暗室下で30日保存した比較例1および2で調製した下引き層用塗布液を用いて、前記の実施例1〜4と同様に感光体を作製することはできなかった。
実施例5
下記の成分を容積600mlの横型ビーズミルに分散メディアとして直径0.5mmの窒化ケイ素製ビーズを80%の容積量まで投入の後、下記の成分を攪拌タンクにためてダイヤフラムポンプを介して分散機へ送液することで24時間循環分散し、下引き層用塗布液3000mlを作製した。
下引き層塗布液
酸化チタン(Al23、ZrO2表面処理、樹枝状:
石原産業社製:TTO−D−1) 1重量部
ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ社製:X1010) 9重量部
エタノール 50重量部
テトラヒドロフラン 50重量部
この塗液を塗工槽に満たし、直径30mm全長345mmのアルミニウム製円筒状支持体を導電性支持体として、浸漬塗布法によって、膜厚0.05μmの下引き層を導電性支持体上に形成した。
なお、窒素化ケイ素がこの塗布液中に微量に含まれていることを蛍光X線測定によって確認した。
次いで、下記成分を混合したものをボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗布液2000mlを作製した後、その塗布液を上記下引き層と同様の方法で前記下引き層上に塗布して120℃で10分間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚0.8μmの電荷発生層5を設けた。
[電荷発生層用塗布液]
オキソチタニルフタロシアニン
Cu-kα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.3°に明確な回折ピークを有する下記構造式[I]の化合物 2重量部
ポリビニルブチラール樹脂
(積水化学社製:エスレックBM-S) 2重量部
メチルエチルケトン 100重量部
Figure 0004505513
(式中、X1〜X4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、k、l、m、nは0〜4の整数である)
続いて、下記成分を混合、溶解して、電荷輸送層用塗布液3000mlを作製した後、その塗布液を上記下引き層と同様の方法で前記電荷発生層上に塗布し、110℃にて1時間乾燥し、膜厚23μmの電荷輸送層を形成し、機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
[電荷輸送層塗工液]
エナミン化合物(下記構造式(II)の化合物) 10重量部
ポリカーボネート樹脂
(三菱エンジニアリングプラスチック社製:Z200) 10重量部
シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.02重量部
テトラヒドロフラン 120重量部
Figure 0004505513
実施例6
実施例5で使用した下引き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例5と同様にして下引き層用塗布液3000mlを作製した。
[下引き層塗布液]
酸化チタン(Al23、SiO2表面処理、粒状:
テイカ社製:MT−500SA) 8重量部
ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ社製:X1010) 2重量部
エタノール 50重量部
テトラヒドロフラン 50重量部
この塗液を塗工槽に満たし、直径30mm全長345mmのアルミニウム製円筒状支持体を導電性支持体として、浸漬塗布法によって、膜厚1.0μmの下引き層を導電性支持体上に形成した。
次いで、実施例5と同様にして電荷発生層、電荷輸送層を順次形成して機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
比較例3
実施例5で使用した下引き層用塗布液を作製する際、分散メディアをジルコニア製0.5mmに変えた以外は実施例5と同様にして下引き層用塗布液を作製し、実施例5と同様に下引き層を形成した後、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成して、機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
比較例4
実施例6で使用した下引き層用塗布液を作製する際、分散メディアをジルコニア製0.5mmに変えた以外は実施例6と同様にして下引き層用塗布液を作製し、実施例5と同様に下引き層を形成した後、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成して、機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
このようにして作製した電子写真感光体サンプルを、デジタル複写機(シャープ社製:AR−450M)に搭載し、電気特性の安定性試験として常温/常湿(22℃/65%)下での帯電電位V0とレーザー露光後の表面電位VL、及び低温/低湿下(5℃/20%)におけるVLの電位変動ΔVLを測定した。また、耐久性試験として初期および10,000枚の実写Aging終了後における画像特性を行った。これらの結果を以下の表に示す。
Figure 0004505513
上記の表の実施例5、6に示されるようにN/N環境だけでなく、環境変化に伴うΔVLの悪化もない非常に安定した電位を示す。また、画像評価でもカブリや黒い斑点状欠陥の発生は認められず、優れた画質であることが確認できる。
他方、比較例3では、初期からVLの電位が高く感度が悪くなることからカブリの発生と黒い斑点状欠陥が見られた。また、環境変動による感度低下と画像欠陥が非常に悪化した。また、比較例4も比較例3と同様に初期画像でのカブリはないものの、環境変化と繰り返し使用後の画質悪化が発生した。
また、実施例5、6で作製した下引き層用塗布液を蛍光X線で分析したところ、分散された酸化チタン1に対して窒化ケイ素微粒子が、それぞれ0.013、0.012の割合で含有していることが判った。
すなわち、横型ビーズミルで下引き層用塗布液を分散する場合、非常に高温になる分散機内をチラーで冷却する際、分散メディアである窒化ケイ素の高い熱伝導率によって分散液が熱で変性するのを防いで感度低下や環境変動に対して効果あったばかりでなく、下引き層中の窒化ケイ素が何らかの相互作用で均一な膜質を形成して黒い斑点状欠陥の発生を抑えているものと考えられる。
前記実施例1〜4、比較例1および2による感光体を用いて印刷した印刷物の白ベタおよび下引き層用塗布液の評価と同様に、実施例5、6および比較例3、4で作製した下引き層用塗布液は、室温暗室下で30日保存してポットライフを調べた結果を以下に示す。
Figure 0004505513
その結果、実施例5、6については、無機化合物の凝集や沈降は発生しなかった。
さらにポットライフ30日目において実施例5、6と同様にそれぞれの感光体を作製、評価したところ、画像上に黒い斑点状の欠陥は発生しなかった。しかしながら、比較例3、4では、ポットライフ30日目においては無機化合物の凝集や沈降が若干発生し、黒い斑点状の欠陥が多く見られた。
浸漬塗布装置を示す図である。 針状および樹枝状の酸化チタンを示す図である。 本発明の実施の一形態である電子写真感光体1a、1bの断面図であり、(a)は、中間層及び電荷発生層と電荷輸送層の3層からなる積層型感光体を示す図であり、(b)は、中間層及び感光層からなる単層型感光体を示す図である。 画像形成装置の1例である。
符号の説明
1a 積層型感光体
1b 単層型感光体
2 導電性支持体
3 下引き層
4 感光層
5 電荷発生層
6 電荷輸送層
7、9 バインダ樹脂
8 電荷発生物質
10 回転軸
11 モータ
12 塗液
13 塗液槽
14 撹拌槽
15 撹拌装置
16 モータ
17a、b 循環経路
18、19 電荷輸送物質
20 画像形成装置
24 帯電器
25 現像器
26 転写器
27 クリーナ
28 露光手段
30 転写紙
31 定着器

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体を製造するための下引き層用塗布液が、分散メディアを用いて製造され、バインダー樹脂と、無機化合物として酸化チタン微粒子と該酸化チタンに対して1.2〜10重量%の割合で窒化ケイ素微粒子とを含有することを特徴とする電子写真感光体下引き層用塗布液。
  2. 前記酸化チタン微粒子が、針状または樹枝状の酸化チタンである請求項1に記載の電子写真感光体下引き層用塗布液。
  3. 前記窒化ケイ素微粒子が、分散メディアとして窒化ケイ素製ビーズを用いた場合には、該ビーズに由来し、かつ前記酸化チタン微粒子が、樹枝状または粒状酸化チタンである請求項1に記載の電子写真感光体下引き層用塗布液
  4. 前記無機化合物のバインダー樹脂に対する重量割合が、10/90から95/5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子写真感光体下引き層用塗布液。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子写真感光体下引き層用塗布液を用いて作成したことを特徴とする電子写真感光体。
  6. 前記下引き層が膜厚0.05μm〜5μmを有する請求項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記下引き層が、ポリアミド樹脂を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子写真感光体下引き層用塗布液を用いて作成した電子写真感光体を搭載することを特徴とした画像形成装置。
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