JP2002148826A - 電子写真感光体、電子写真感光体用塗布液およびその製造方法、これを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体用塗布液およびその製造方法、これを用いた画像形成装置

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JP2002148826A
JP2002148826A JP2000348000A JP2000348000A JP2002148826A JP 2002148826 A JP2002148826 A JP 2002148826A JP 2000348000 A JP2000348000 A JP 2000348000A JP 2000348000 A JP2000348000 A JP 2000348000A JP 2002148826 A JP2002148826 A JP 2002148826A
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Satoshi Katayama
聡 片山
Tatsuhiro Morita
竜廣 森田
Tomoki Nakamura
知己 中村
幹男 ▲角▼井
Mikio Kadoi
Koichi Toriyama
幸一 鳥山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度および高粘度の分散系塗布液におい
て、分散安定性に優れた電子写真感光体用塗布液、それ
を用いた電子写真感光体、その製造方法、およびその電
子写真感光体を搭載した画像形成装置を提供する。 【解決手段】 顔料などの分散材料が分散された分散系
に周波数を変えた交流電圧をかけ、誘電率または誘電正
接ε”/ε’などの電気的特性を測定し、その誘電率の
減衰が極大値を示す緩和周波数、または、誘電正接ε”
/ε’の極大値を示す緩和周波数が7kHz以上で、水
溶性かつ非プロトン性有機溶剤を含有する分散系である
下引き層用塗布液中に、導電性支持体を浸漬塗布して下
引き層を形成し、電子写真感光体を製造する。また、こ
の電子写真感光体を反転現像方式を採用する画像形成装
置において用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料などの分散材
料を溶液中に分散した分散系液体、特に電子写真感光体
用塗布液、これを用いる電子写真感光体、その製造方法
およびその電子写真感光体を用いる画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真感光体(以下、単に「感
光体」とも称す)において有機系の光導電性材料は、そ
の開発の進歩により、従来から用いられてきた無機系の
光導電性材料と比較して、一般的によく使用されるよう
になってきた。これは有機系光導電性材料を用いた電子
写真感光体は、感度、耐久性および環境に対する安定性
などに若干の問題はあるが、毒性、原価および材料設計
の自由度の点において無機系光導電性材料に比べ、多く
の利点を有しているからである。
【0003】現在一般的に実用化されている有機系光導
電性材料を用いた電子写真感光体の構成としては、光導
電性機能における電荷発生機能と電荷輸送機能とを、各
々別個の物質に分担させた積層型または分散型の機能分
離型感光体が提案されている。このような機能分離型感
光体は、各々の物質の選択範囲が広く、帯電特性、感
度、残留電位、繰返し特性および耐刷性などの電子写真
特性において、最良の物質を組合せることによって高性
能な感光体を提供することができる。また有機系光導電
性材料を用いた電子写真感光体は、導電性支持体上に感
光層を塗工することにより生産できるため、極めて生産
性が高くて安価な感光体を提供できるとともに、電荷発
生物質を適当に選択することにより感光波長域および光
感度を自在に制御することができる。
【0004】このような機能分離型感光体において、有
機系光導電性材料を用いた電子写真感光体は、電荷輸送
層中に含有するバインダ樹脂を適宜選択することによ
り、耐摩耗特性に優れた感光体を設計することができる
など、従来からの特性の問題点を克服するようにその性
能の向上が図られている。このため、有機系の光導電性
材料が無機系の光導電性材料に比べて多用されるように
なった。
【0005】また実用化されている電子写真感光体は、
導電性支持体上に感光層を形成して構成され、導電性支
持体からのキャリア注入が生じやすいために、表面電荷
含有が微視的に見て消失または減少することにより、画
像欠陥が発生する。この画像欠陥を防止するとともに、
導電性支持体表面の欠陥の被覆、帯電性の改善、感光層
の接着性の向上および塗布性改善などのために、導電性
支持体と感光層との間に下引き層が設けられている。
【0006】たとえば電子写真複写機およびプリンタな
どは、画像処理を施すことによる高画質の維持および画
像の加工のため、さらにはプリンタや複写機およびFA
Xとの複合化を進めるために、高機能化が図られてい
る。高機能化された電子写真複写機などでは反転現像法
が用いられることが多い。この反転現像法においては、
露光部の表面電荷が減少した部分にトナー像が形成され
るので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると白地に
トナーが付着する微小黒点、いわゆる黒ポチと呼ばれる
画像のカブリが発生し、画質の著しい劣化が生じる。こ
のような画像欠陥を防止するために、反転現像法が使用
される機器に用いる感光体には、下引き層を設けること
が有効な手法として用いられている。
【0007】このように、導電性支持体からの不要な電
荷注入の阻止、およびピンホール発生の防止のため、さ
らには帯電性改善、導電性支持体上の欠陥の被覆および
感光層の接着性改善のために、導電性支持体上に下引き
層を設けることによって画像特性および耐久性の向上が
図られている。
【0008】有機電子写真感光層の塗布方法としては、
スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード
法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。前記
浸漬塗布法は、感光材料を含有した塗布液を満たした塗
布槽に、導電性支持体を浸漬した後、一定速度または逐
次変化する速度で引上げることにより、感光層を形成す
る方法である。この浸漬塗布法は比較的簡単で、生産性
および原価の点で優れているため、電子写真感光体を製
造する場合に多く利用されている。
【0009】前述のようにして形成された有機電子写真
感光体において、その電子写真特性に直接影響を与える
因子としては、電荷発生層における電荷発生物質および
樹脂の組成、電荷輸送層における電荷輸送物質および樹
脂の組成、電荷発生層および電荷輸送層の膜厚、ならび
に電荷発生層および電荷輸送層中の欠陥の存在が挙げら
れる。このような感光体に設ける下引き層については、
帯電性改善および導電性支持体からの不要な電荷注入の
阻止などの役割を考えると、欠陥ができるだけ少なく、
膜厚や組成が均一であることが望ましい。
【0010】浸漬塗布法で電荷輸送層の塗布に用いる電
荷輸送層用塗布液においては、形成される感光層の膜厚
および組成の不均一や欠陥を避けるために、電荷輸送物
質および樹脂を完全に溶解することが要求される。また
下引き層用塗布液のような顔料分散塗布液においては、
樹脂を完全に溶解するだけでなく、顔料を安定に分散さ
せることが要求される。さらに生産レベルを考えると、
塗布液の寿命、すなわち顔料の凝集、ゲル化および粘度
上昇などにより、生産に使用できなくなるまでの期間が
より長いことも要求される。そこで、下引き層用塗布液
においては、顔料の分散状態を測定し、評価することが
重要になる。
【0011】ところで、従来から分散系の分散程度を評
価するために、様々な方法が提案および実施されてい
る。低粘度かつ低濃度の分散系の安定性を評価する際に
有用なパラメータとしては、ゼータ電位が挙げられる。
ゼータ電位について簡単に説明する。ゼータ電位に関す
る記述は、日本化学会編“コロイド化学”東京化学同人
(1995)および家氏信康著“MINOLTA TE
CHNO REPORTNo.5”(1988)p.31
〜p.36を参照する。
【0012】図8は、分散系における粒子の帯電のモデ
ルである。分散系液体中の個々の粒子101の表面に
は、ステルン層と呼ばれる粒子表面の固定層102と、
固定層102の符号と反対符号を有して固定層102の
周囲の拡散電気層103とから成る界面電気二重層10
4が形成されている。その界面電気二重層104の界面
電位がゼータ電位と呼ばれるものである。この界面電気
二重層104における粒子間の相互作用は反発力として
働くが、粒子間には、吸引力として働くファン・デル・
ワールス力も存在するので、分散が安定か否かは、この
反発力と吸引力との組合せで決まる。ゼータ電位が高け
れば反発力も大きくなり、分散は安定となる。反対に、
ゼータ電位が低ければ反発力は小さくなるで、相対的に
吸引力が大きくなり、凝集が起こりやすくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】実際の下引き層用塗布
液のような高濃度および高粘度の分散系において、ゼー
タ電位は測定できないので、安定性を評価するには低粘
度および低濃度の分散系での現象および理論を拡張して
類推せざるを得ない。しかし、高濃度および高粘度の分
散系は、低粘度および低濃度の分散系とレオロジー特性
などの点で異なるので、実際の下引き層用塗布液の分散
安定性が低濃度および低粘度の分散系と一致する保証は
ない。また、実験室レベルと生産レベルとでは、塗布液
の分散に使用される分散機が異なることもあり、両レベ
ルでの塗布液の分散状態が同一である保証もない。した
がって、実験室レベルで測定されたゼータ電位を、生産
レベルでの塗布液の分散安定性の評価に用いることは困
難である。そこで、下引き層用塗布液のような高濃度お
よび高粘度の顔料分散系について、希釈などの変化を加
えることなく分散安定性を評価する方法が必要となる。
【0014】しかしながら、従来の分散安定性の評価方
法では、前述したとおり下引き層用塗布液のような高濃
度および高粘度の分散系に応用できるものではなく、非
常に分散安定性に優れた下引き層用塗布液が得られない
要因の1つとなっている。
【0015】本発明の目的は、高濃度および高粘度の分
散系塗布液において、分散安定性に優れた電子写真感光
体用塗布液、それを用いた電子写真感光体、その製造方
法、およびその電子写真感光体を搭載した画像形成装置
を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、水溶性かつ非
プロトン性有機溶剤に樹脂を溶解させた溶液中に顔料を
分散させた電子写真感光体用塗布液において、周波数を
変えて交流電圧を印加することによって測定した誘導率
の減衰の極大値が7kHz以上であることを特徴とする
電子写真感光体用塗布液である。
【0017】本発明に従えば、顔料などの材料が分散さ
れた分散系溶液に周波数を変えた交流電圧をかけて誘電
率を測定し、その誘電率の減衰の極大値を示す緩和周波
数が7kHz以上であり、水溶性かつ非プロトン性有機
溶剤を含有することによって、分散系溶液自体の分散安
定性を、顔料分散系の状態に希釈等の変化を加えること
なく評価するので、実験室レベルと生産レベルの双方で
同一基準において評価することを可能とし、誘電率の測
定値が分散の安定性に対応することを利用して、分散性
に優れた電子写真感光体用塗布液を得ることができる。
【0018】また本発明は、水溶性かつ非プロトン性有
機溶剤に樹脂を溶解させた溶液中に顔料を分散させた電
子写真感光体用塗布液において、周波数を変えて交流電
圧を印加することによって測定した誘電正接の極大値が
7kHz以上であることを特徴とする電子写真感光体用
塗布液である。
【0019】また本発明に従えば、顔料などの材料が分
散された分散系溶液に周波数を変えた交流電圧をかけて
誘電正接ε”/ε’を測定し、その極大値を示す緩和周
波数が7kHz以上であり、水溶性かつ非プロトン性有
機溶剤を含有することによって、分散系溶液自体の分散
安定性を顔料分散系の状態に希釈等の変化を加えること
なく評価するので、実験室レベルと生産レベルの双方で
同一基準において評価することを可能とし、誘電正接の
測定値が分散の安定性に対応することを利用して、分散
性に優れた電子写真感光体用塗布液を得ることができ
る。
【0020】また本発明は、前記電気的特性を有する分
散系溶液が下引き層用塗布液であることを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、前記電子写真感光体用塗
布液が下引き層用塗布液であることによって、該塗布液
自体の分散の安定性を、該塗布液の状態に希釈などの変
化を加えることなく評価するので、実験室レベルと生産
レベルの双方で同一基準において評価することを可能と
し、塗布液の電気特性を評価することによって分散安定
性に優れた電子写真感光体の下引き層用塗布液を得るこ
とができる。
【0022】また本発明は、前記電気的特性を有する下
引き層用塗布液中に分散させた顔料が、金属酸化物であ
ることを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、下引き層用塗布液中に金
属酸化物を分散させることによって、帯電性がよく残留
電位が低い良好な特性の電子写真感光体を提供し、また
繰返し使用しても残留電位の蓄積が少なく光感度の劣化
の小さい、繰返し安定性と環境特性に優れた電子写真感
光体を提供することができる電子写真感光体の下引き層
用塗布液を得ることができる。さらに、画像ムラや黒ポ
チなどの画像欠陥のない良好な画質特性を有することが
できることから、高感度、高耐久性を維持しながら、画
像欠陥のない良好な画質特性を両立し、分散安定性に優
れた電子写真感光体下引き層用塗布液を得ることができ
る。
【0024】また本発明は、前記金属酸化物が酸化チタ
ンであることを特徴とする。本発明に従えば、金属酸化
物として酸化チタン粒子を含有させることによって、帯
電性がよく残留電位が低い良好な特性の電子写真感光体
を提供し、また繰返し使用しても残留電位の蓄積が少な
く光感度の劣化の小さい、繰返し安定性と環境特性に優
れた電子写真感光体を提供することができる電子写真感
光体の下引き層用塗布液を得ることができる。さらに、
画像ムラや黒ポチなどの画像欠陥のない良好な画質特性
を有することができることから、高感度、高耐久性を維
持しながら、画像欠陥のない良好な画質特性を両立し、
分散安定性に優れた電子写真感光体下引き層用塗布液を
得ることができる。
【0025】また本発明は、前記酸化チタンの形状が針
状または樹枝状の形態であることを特徴とする。
【0026】本発明に従えば、針状または樹枝状酸化チ
タン粒子を含有させることによって、帯電性がよく残留
電位が低い良好な特性の電子写真感光体を提供し、また
繰返し使用しても残留電位の蓄積が少なく光感度の劣化
の小さい、繰返し安定性と環境特性に優れた電子写真感
光体を提供することができる電子写真感光体下引き層用
塗布液を得ることができる。さらに、画像ムラや黒ポチ
などの画像欠陥のない良好な画質特性を有することがで
きることから、高感度、高耐久性を維持しながら、画像
欠陥のない良好な画質特性を両立し、分散安定性に優れ
た電子写真感光体下引き層用塗布液を得ることができ
る。
【0027】また本発明は、前記酸化チタンの表面が、
アルミニウムおよび/またはジルコニウムの酸化物で被
覆されていることを特徴とする。
【0028】本発明に従えば、少なくともアルミニウム
がジルコニウムの酸化物で表面が被覆されている酸化チ
タンを含有していることによって、酸化チタン粒子を高
い含有率で分散しても分散性および保存安定性の優れた
塗布液を得ることができる。これによって、下引き層上
に感光層を形成する際、導電性支持体の欠陥を被覆し、
均一な下引き層が形成されることから感光層を均一に形
成することが可能となり、画像ムラや黒ポチなどがない
良好な画質特性を有する電子写真感光体を提供すること
ができる下引き層用塗布液を得ることができる。さらに
下引き層のキャリアに対するブロッキング性が高まり微
小な黒ポチの発生を防止した電子写真感光体下引き層用
塗布液を得ることができる。
【0029】また本発明は、前記酸化チタンの表面が、
シランカップリング剤、シリル化剤、アルミニウム系カ
ップリング剤またはチタネート系カップリング剤で被覆
されていることを特徴とする。
【0030】本発明に従えば、シランカップリング剤、
シリル化剤、アルミニウム系カップリング剤またはチタ
ネート系カップリング剤で表面が被覆されている酸化チ
タンを含有していることによって、酸化チタン粒子を高
い含有率で分散しても分散性および保存安定性の優れた
塗布液を得ることができる。これによって、下引き層上
に感光層を形成する際、導電性支持体の欠陥を被覆し、
均一な下引き層が形成されることから感光層を均一に形
成することが可能となり、画像ムラや黒ポチなどがない
良好な画質特性を有する電子写真感光体を提供すること
ができる下引き層用塗布液を得ることができる。さらに
下引き層のキャリアに対するブロッキング性が高まり微
小な黒ポチの発生を防止した電子写真感光体下引き層用
塗布液を得ることができる。
【0031】また本発明は、前記水溶性かつ非プロトン
性有機溶剤がテトラヒドロフラン化合物および/または
ジオキソラン化合物であることを特徴とする。
【0032】本発明に従えば、テトラヒドロフラン化合
物および/またはジオキソラン化合物を使用することに
よって、分散性に優れ、タレや乾燥ムラなどの塗工欠陥
の発生を抑制して均一な下引き層を形成することがで
き、さらに従来使用されてきたハロゲンを含有した有機
溶剤とは異なり、環境問題のない安全性に優れた下引き
層用塗布液を提供することができる。
【0033】また本発明は、前記水溶性かつ非プロトン
性有機溶剤がテトラヒドロフラン化合物および/または
ジオキソラン化合物と低級アルコールとの混合溶剤であ
ることを特徴とする。
【0034】本発明に従えば、テトラヒドロフラン化合
物および/またはジオキソラン化合物に低級アルコール
を加えた混合溶剤を使用することによって、感光層用塗
布液中の有機溶剤に溶解しない下引き層形成のために下
引き層用塗布液に添加されるポリアミド樹脂の溶解性を
保ち、下引き層用塗布液の保存安定性を向上しながら、
塗工性をよくし、下引き層の塗布膜の均一性を高めるこ
とができるとともに、感光層形成時に感光層用塗布液に
対する溶解性が低下して、下引き層の溶解を防止するこ
とができる。また金属酸化物を分散させた下引き層用塗
布液の分散性および保存安定性が向上し、非常に均一な
下引き層の塗布膜を得ることができる下引き層用塗布液
を提供することができる。
【0035】また本発明は、前記電気的特性を有する下
引き層用塗布液中にアルコール可溶性の樹脂を含有して
いることを特徴とする。
【0036】本発明に従えば、樹脂としてアルコール可
溶性の樹脂を含有することによって、金属酸化物粒子と
馴染み易くて分散性に優れ、導電性支持体との接着性に
優れ、膜の可撓性を保つ下引き層を形成することができ
る。さらに感光層塗布液用溶剤で膨潤、溶解することが
ないために下引き層の塗布欠陥やムラの発生を防止し優
れた画像特性を有する電子写真感光体を作製することが
できる電子写真感光体下引き層用塗布液を提供すること
ができる。
【0037】また本発明は、前記アルコール可溶性の樹
脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする。
【0038】本発明に従えば、アルコール可溶性の樹脂
としてポリアミド樹脂を含有することによって、金属酸
化物粒子と馴染み易くて分散性に優れ、導電性支持体と
の接着性に優れ、膜の可撓性を保つ下引き層を形成する
ことができる。さらに感光層塗布液用溶剤で膨潤、溶解
することがないために下引き層の塗布欠陥やムラの発生
を防止し優れた画像特性を有する電子写真感光体を作製
することができる電子写真感光体下引き層用塗布液を提
供することができる。
【0039】また本発明は、導電性支持体と、導電性支
持体上に形成された下引き層と、下引き層上に形成され
た感光層とを備える電子写真感光体の製造方法であっ
て、前記の電子写真感光体用塗布液中に、導電性支持体
を浸漬塗布することにより下引き層を形成した後、該下
引き層上に感光層を形成することを特徴とする電子写真
感光体の製造方法である。
【0040】本発明に従えば、非常に優れた分散安定
性、塗布性を有する電子写真感光体下引き層用塗布液を
用いて、該塗布液中に導電性支持体を浸漬塗布すること
によって、非常に均一な下引き層を形成し、画像欠陥が
なく、電気的特性、耐久性に優れた電子写真感光体を製
造することができる。
【0041】また本発明は、前記の電子写真感光体の製
造方法により得られる電子写真感光体である。
【0042】本発明に従えば、前述の非常に優れた分散
安定性および塗布性を有する下引き層用塗布液中に導電
性支持体を浸漬塗布して形成された非常に均一な下引き
層を備えることによって、画像欠陥がなく、電気的特性
および耐久性に優れた電子写真感光体を提供することが
できる。
【0043】また本発明は、前記電子写真感光体中にフ
タロシアニン化合物を含有することを特徴とする。
【0044】本発明に従えば、電子写真感光体中にフタ
ロシアニン化合物を含有することによって、分散安定性
に優れ、感度に影響を及ぼさない環境特性に優れた下引
き層を用いることで画像ムラや黒ポチなどがない良好な
画像特性を有する電子写真感光体を提供することができ
る。
【0045】また本発明は、前記フタロシアニン化合物
がチタニルフタロシアニン化合物であることを特徴とす
る。
【0046】本発明に従えば、フタロシアニン化合物と
してチタニルフタロシアニン化合物を含有することによ
って、分散安定性に優れ、感度に影響を及ぼさない環境
特性に優れた下引き層を用いることで画像ムラや黒ポチ
などがない良好な画像特性を有する電子写真感光体を提
供することができる。
【0047】また本発明は、前記の電子写真感光体が反
転現象プロセスを用いて画像を形成する装置に搭載され
ていることを特徴とする画像形成装置である。
【0048】本発明に従えば、非常に均一な塗布欠陥や
ムラのない塗布膜が形成されて製造された電子写真感光
体を使用することによって、半導体レーザやLEDを用
いて反転現像プロセスを使用する場合でも、露光以外の
要因で表面電荷が減少することがなく、白地にトナーが
付着する黒ポチの発生がない優れた画像特性を長期間に
わたって有する画像形成装置を提供することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】本発明による電子写真感光体用塗
布液は、分散材料を溶剤中に分散した分散系液体であっ
て、電子写真感光体の下引き層を形成するための下引き
層用塗布液や、電荷発生層を形成するための電荷発生層
用塗布液などである。分散材料として、下引き層用塗布
液には金属酸化物が分散され、電荷発生層には無機顔料
や有機顔料などが分散される。該金属酸化物は、酸化チ
タン粒子であることが好ましい。
【0050】下引き層中に導電性粒子として金属微粒子
を含有する場合、感光体の帯電性が悪くなりやすい。ま
た、下引き層中に金属酸化物微粒子、たとえば酸化チタ
ン粉末を用いる場合、酸化チタンの含有量が少なくバイ
ンダ樹脂の含有量が多いと、下引き層の体積抵抗値が大
きくなり、光照射時に発生したキャリアの輸送が抑制さ
れ、残留電位が上昇する。また、繰返し使用すると、残
留電位の蓄積や温湿度の影響が大きく、特に低い湿度時
に残留電位の蓄積が顕著になるなど、耐久性にも問題が
あり充分な特性が得られない。酸化チタンの含有量を増
加するに伴ってこれらの問題は軽減されるが、長時間繰
返し使用すると、残留電位が蓄積する傾向が現れ、特に
低湿度の環境下ではこの傾向が著しくなり、長期の安定
性と環境特性の問題を完全に解決することが困難であ
る。
【0051】このような酸化チタンの含有量が少なくバ
インダ樹脂の含有量が多い下引き層用塗布液では、塗布
液の経時変化に伴って塗布液の粘度が上昇しゲル化が発
生するなど、安定性に優れた塗布液を得ることが困難で
ある。
【0052】また、酸化チタンの含有量が増加しバイン
ダ樹脂の含有量が殆どなくなると、下引き層の膜強度が
低下したり、下引き層と導電性支持体との接着性が低下
し、感光体を繰返し使用すると膜の破断などによる感度
劣化や画像への影響が現れる。また、急激に体積抵抗値
が低下し帯電性が悪くなる。さらに、酸化チタンの含有
量が多くなると、導電性支持体からのキャリア注入が生
じやすいために、表面電荷が微視的に見て消失または減
少することにより、黒ポチが増大することから著しく画
質が悪化するなど、下引き層としてキャリア注入を抑制
する効果が低下する。
【0053】このような酸化チタンの含有量が多くバイ
ンダ樹脂の含有量が少ない下引き層用塗布液では、塗布
液の経時変化に伴って酸化チタンの凝集・沈降が発生し
やすいために、均一な組成の塗布ムラのない下引き層が
得られないなど、安定性に優れた塗布液を得ることが困
難である。したがって、金属酸化物、特に酸化チタンを
含有する下引き層用塗布液においては、分散安定性が高
いことが必要である。そこで、後述するように、酸化チ
タン粒子の形状などにより分散安定性を高める。
【0054】前記下引き層用塗布液のように、分散材料
が溶剤中に分散された分散系液体の分散安定性は、該分
散系液体における電気的特性を求めることにより、判断
することができる。
【0055】図1は、本発明の実施の形態による電子写
真感光体用塗布液の分散性を測定する装置例の概略構成
を示す構成図である。分散性測定装置であるインピーダ
ンス測定装置1は、セル3、電極4、インピーダンス測
定機5、ケーブル6、演算装置7および表示装置8を含
む。セル3は、絶縁性で、測定の対象となる下引き層用
塗布液および電荷発生層用塗布液など、顔料が分散され
た電子写真感光体用の塗布液2を収容する。一対の電極
4は、セル3に付属して絶縁性のセル3を介して対向し
ている。インピーダンス測定機5は、塗布液2に交流電
圧を印加した際のインピーダンスを測定する。ケーブル
6は、電極4とインピーダンス測定機5とをつなぎ、塗
布液2に対する印加電圧およびそれに対する応答である
電気信号の経路となる。演算装置7は、インピーダンス
測定機5の測定結果に所定の演算処理を加えることによ
り、塗布液2の分散状態を計測するためのデータを求め
る。表示装置8は、演算装置7における演算処理により
得られたデータを表示する。
【0056】図1においては、電極4の形状を平行平板
電極とし、セル3については箱状形状として電極4に挟
まれた位置に設定しているが、セル3の形状および位置
設定ならびに電極4の形状については、特に限定される
ものではない。また、セル3および電極4の材質につい
ても特に指定はない。
【0057】次に、インピーダンス測定装置1を用い
て、塗布液2のインピーダンス特性を測定する方法につ
いて説明する。
【0058】まず塗布液2として、酸化チタン(TTO
−D−1:石原産業社製)2.1重量%と、ポリアミド
樹脂(CM8000:東レ社製)3.9重量%と、メタ
ノール/1,3−ジオキソラン混合溶剤(重量比60/
40)94重量%とを混合してダイノーミルで分散し、
下引き層用塗布液を調整する。調整した下引き層用塗布
液をインピーダンス測定装置1のセル3に入れ、様々な
周波数の交流インピーダンスをかけ、それに対する応答
を測定する。その結果、誘電率ε’を得た。
【0059】図2は、インピーダンス測定装置1におい
て得られた誘電率ε’の周波数依存を示す相関図であ
る。図3は、インピーダンス測定装置1において得られ
た誘電正接ε”/ε’の周波数依存を示す相関図であ
る。図2および図3において、比較的長期にわたって分
散状態が安定な塗布液、すなわち高分散安定性が高い塗
布液の結果を■および黒実線(a)で示し、1週間以上
経過後ゲル化した塗布液、すなわち分散安定性が低い塗
布液の結果を□および破線(b)で示す。
【0060】図2から明らかなように、分散安定性の高
い塗布液の誘電率εa’は、分散安定性の低い塗布液の
誘電率εb’と比較して、印加電圧の周波数依存性がよ
り高い。すなわち、分散安定性の高い塗布液の誘電率ε
a’は、印加する交流電圧の周波数を低周波から高周波
に変化させた際に、分散安定性の低い塗布液の誘電率ε
b’よりも高い周波数で著しい誘電率の減衰が生じる。
換言すると、分散安定性の高い塗布液の誘電率εa’
は、分散安定性の低い塗布液の誘電率εb’に比べて、
より高周波数側で低い値に安定する。したがって、特定
周波数範囲において交流電圧を印加した際の誘電率ε’
を測定し、誘電率の減衰する極大値を示す周波数fp
(緩和周波数)を調べることによって、塗布液の分散安
定性を評価することができる。
【0061】本発明において、鋭意検討の結果、誘電率
が大きく減少する緩和周波数が7kHz以上である塗布
液の分散安定性が高いと評価できることがわかった。
【0062】また図3から明らかなように、分散安定性
の高い塗布液の誘電正接εa”/εa’の最大値をとる
ピーク周波数fpa’は、分散安定性の低い塗布液の誘
電正接εb”/εb’の最大値をとるピーク周波数fp
b’よりもかなり高周波数側に現れる。したがって、塗
布液について、誘電正接ε”/ε’が最大値をとるとき
の印加電圧のピーク周波数fp’を測定することによ
り、塗布液の分散安定性を評価することができる。本発
明において鋭意検討の結果、誘電正接のピーク周波数f
p’が7kHz以上である塗布液は、比較的長期にわた
って分散状態が安定で、1週間以上経過してもゲル化せ
ず、分散安定性が高いと評価できることがわかった。
【0063】複素誘電率の実部ε’および虚部ε”の周
波数依存性は、理論的には各々式(1)および式(2)
のとおりになる。 ε’= ε∞ + Δε /(1+ω2τ2) …(1) ε”= ωτΔε /(1+ω2τ2) …(2)
【0064】式(1)および式(2)において、ω=2
πf、fは周波数である。式(1)より、誘電率ε’
は、低周波側でε1=ε∞+Δεとなるが、ピーク周波
数fp=1/2πτをほぼ境に、高周波側でεh=ε∞
に減少する。この現象を誘電緩和現象という。電気的に
中性な系に外部交流電場がかかると、低周波では系中の
電荷(双極子)が充分に移動(配向)して大きい誘電率
として観測され、高周波では外部電場の変化が激しく系
中の電荷(双極子)が充分に移動(配向)しきれないた
めに小さな誘電率しか観測されない。このことが式
(1)のような周波数依存性として現れるものと説明で
きる。
【0065】ここで、図2におけるεa’とεb’の周
波数依存性の違いは、式(1)において、εa’でのf
p(すなわち図2でfpa’)がεb’でのfp(すな
わち図2でfpb’)より高いことを反映している。
【0066】また、誘電正接ε”/ε’の周波数依存性
は、式(2)を式(1)で割った式(3)で表される。 ε”/ε’=(Δε/ε∞){ωτ/ (1+Δε/ε∞+ω2τ2)} …(3)
【0067】式(3)をグラフに表すと、 fp’=(1/2πτ)(1+Δε/ε∞)1/2=fp(1+Δε/ε∞)1/2 …(4) で、ε”/ε’の最大値であるε”/ε’maxが、 ε”/ε’max = (Δε/ε∞)/2(1+Δε/ε∞)1/2 …(5) となる曲線が描け、曲線形は、ほぼ図3のようになる。
ただし、半値幅が理論値よりも大きいのでピークの幅
は、理論値より広くなっている。測定により得られるピ
ーク周波数fp’および該ピーク周波数fp’における
誘電正接の最大値ε”/ε’maxの値から、式(4)
および式(5)を用いてfp,εh,ε1を求めること
ができる。したがって、ピーク周波数fp’は、誘電緩
和現象を説明する際のパラメータとして使用できる。
【0068】図3において、分散安定性の高い塗布液の
ピーク周波数fpa’が分散安定性の低い塗布液のピー
ク周波数fpb’よりも高い値を示しているのは、分散
の安定な塗布液中の粒子の方が、周囲の粒子との反発が
大きい。すなわち粒子が凝集しにくいために、電荷が移
動しやすく、外部電場の激しい変化に追随しやすいこと
に対応しているのではないかと推測される。
【0069】以上のようにして、塗布液2に様々な周波
数の交流電圧を印加して得た誘電正接の値を測定し、誘
電正接の周波数依存性を調べ、誘電正接が最大値をとる
ピーク周波数fp’を求めることにより、塗布液の分散
安定性を評価することができる。このようにして分散安
定性が高いと評価された塗布液を電子写真感光体用塗布
液として用いる。
【0070】以下、分散安定性の高い塗布液を得るた
め、酸化チタン粒子の形状など該塗布液に含有される種
々の材料について説明する。
【0071】下引き層用塗布液中に含有される酸化チタ
ン粒子の形状は、針状または樹枝状であることが好まし
い。前記針状は、棒状、柱状および紡錘状などを含む細
長い形状を意味し、必ずしも極端に細長いものでなくて
もよく、先端が鋭くとがっている必要もない。前記樹枝
状は、棒状、柱状および紡錘状などを含む細長い形状が
枝分かれしているものを呼ぶこととする。
【0072】図4(A)は、針状の酸化チタン粒子の例
を示す模式図である。図4(B)は、樹枝状酸化チタン
粒子の例を示す模式図である。針状または樹枝状酸化チ
タン粒子の粒子径は、長軸長aおよび短軸長bにより表
す。針状および樹枝状酸化チタン粒子のいずれについて
も、長軸長aが100μm以下で短軸長bが1μm以下
の粒径が好ましく、より好ましくは長軸長aが10μm
以下で短軸長bが0.5μm以下である。また長軸長a
と短軸長bとの比a/bである粒子のアスペクト比は、
1.5以上300以下の範囲が好ましく、より好ましく
は2以上10以下の範囲である。
【0073】これら針状または樹枝状の軸長がこの範囲
より大きければ、金属酸化物や有機化合物により表面処
理を施した場合には、分散安定性のある下引き層用塗布
液が得られにくい。また前述のように細長い形状の針状
形状や、その針状形状が枝分かれしている樹枝状におい
て、細長い形状であるためには、粒子のアスペクト比が
1.5以上であることが必要である。なお、粒径および
アスペクト比を測定する方法としては、重量沈降法や光
透過式粒度分布測定法などの方法でも測定可能である
が、針状または樹枝状であるので、直接電子顕微鏡で測
定する方が好ましい。
【0074】酸化チタン粒子は、針状または樹枝状の粒
子に、粒状の粒子が混合されている粒子であってもよ
い。針状、樹枝状および粒状のいずれの粒子形状の酸化
チタンについても、アナターゼ型、ルチル型およびアモ
ルファスなどのいずれの酸化チタンの結晶を用いてもよ
く、2種以上混合してもよい。
【0075】前記針状または樹枝状酸化チタン粒子の含
有率としては、10重量%以上99重量%以下が好まし
く、より好ましくは30重量%以上99重量%以下であ
り、最も好ましくは35重量%以上95重量%以下の範
囲である。10重量%より少ない含有率であれば、感度
が低下し、下引き層中に電荷が蓄積され残留電位が増大
する。特に低温低湿下での繰返し特性において顕著にな
る。99重量%より多い含有率であれば下引き層用塗布
液の保存安定性が悪くなり、針状または樹枝状酸化チタ
ン粒子の沈降が起こりやすくなるために好ましくない。
【0076】下引き層用塗布液には、バインダ樹脂が含
有されていることが好ましい。バインダ樹脂を針状また
は樹枝状酸化チタン粒子が含有された下引き層用塗布液
に含有することによって、下引き層用塗布液において長
期間酸化チタンの分散性が保持され、下引き層として均
一な膜を形成することができるからである。
【0077】針状または樹枝状酸化チタン粒子の粉体の
体積抵抗値については、105〜1010Ω・cmが好ま
しい。粉体の体積抵抗値が105Ω・cmより小さくな
ると、該粉体が含有される下引き層としての抵抗値が低
下し、電荷ブロッキング層として機能しなくなる。たと
えば、アンチモンをドープした酸化スズ導電層などの導
電処理を施した金属酸化物粒子の場合には、100Ω・
cm〜101Ω・cmと非常に粉体の体積抵抗値が低く
なる。これを用いた下引き層は電荷ブロッキング層とし
て機能せず、感光体特性としての帯電性が悪化するため
に、画像にカブリや黒点が発生して使用することはでき
ない。針状または樹枝状酸化チタン粒子の粉体の体積抵
抗値が1010Ω・cm以上に高くなって、前述のように
含有されるバインダ樹脂の体積抵抗値と同等またはそれ
以上になると、下引き層としての抵抗値が高過ぎて、光
照射時に生成したキャリアの輸送が抑制阻止され、残留
電位が上昇し光感度が低下するので好ましくない。
【0078】針状または樹枝状酸化チタン粒子の表面
は、該酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値を前述の範囲
に維持する限り、金属酸化物で被覆されていることが好
ましい。表面未処理の酸化チタン粒子を用いると、使用
する酸化チタンの粒子が微粒子であるために、充分に分
散された下引き層用塗布液であっても長期間の使用や塗
布液の保管時に、酸化チタン粒子の凝集が避けられな
い。そのため、下引き層を形成する際、塗布膜の欠陥お
よび塗布ムラが発生して画像欠陥が生じる。また、導電
性支持体からの電荷の注入が起こりやすくなるために、
微小領域の帯電性が低下し黒点が発生することになる。
そこで、針状または樹枝状酸化チタン粒子の表面を金属
酸化物で被覆させることにより、該酸化チタンの下引き
層用塗布液中での凝集を防止することができ、分散性や
保存安定性が非常に優れた下引き層用塗布液が得られ
る。このような下引き層用塗布液は、導電性支持体から
の電荷の注入を防止することができるために、黒点のな
い優れた画像特性を有する電子写真感光体が得られる。
【0079】針状または樹枝状酸化チタンの表面を被覆
する金属酸化物の表面処理量としては、酸化チタンに対
して0.1重量%〜20重量%が好ましい。0.1重量
%より少ない処理量であれば、酸化チタンの表面を充分
に被覆することができないため、表面処理の効果が発現
しにくくなる。20重量%を超える処理量であれば、表
面処理としては充分に施され、特性としては、20重量
%の処理量のものと変わらなくなるので、20重量%を
超えて処理量を増やしても原価がかかるだけで好ましく
ない。
【0080】前記金属酸化物としては、Al23、Zr
2およびそれらの混合物などが好ましい。特に、異な
る金属酸化物のAl23とZrO2との両方で表面処理
を施すと、さらに優れた画像特性が得られるので、より
好ましい効果が発現される。SiO2などで酸化チタン
の表面処理を施した場合は、その表面が親水性を示すた
めに有機溶剤になじみにくくなり、酸化チタンの分散性
が低下し凝集を引起こし易いために、長期間の使用には
好ましくない。また、Fe23などの磁性を持つ金属酸
化物で表面の被覆を施した酸化チタンを用いると、感光
層中に電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を含有す
る場合、フタロシアニン顔料とFe23との化学的な相
互作用が起こり、感光体特性、特に感度低下および帯電
性の低下が生じ、好ましくない。
【0081】針状または樹枝状酸化チタンの表面は、有
機化合物で被覆してもよい。該有機化合物としては、一
般的なカップリング剤を用いることができる。カップリ
ング剤の種類としては、アルコキシシラン化合物などの
シランカップリング剤、ハロゲン、窒素および硫黄など
の原子がケイ素と結合したシリル化剤、チタネート系カ
ップリング剤、ならびにアルミニウム系カップリング剤
などが挙げられる。
【0082】前記シランカップリング剤としては、テト
ラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノ
エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アリ
ルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3
−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−
プロペニルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプ
ロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロ
ピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプ
ロピル)ジメチルメトキシシランおよびN−3−(アク
リロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロ
ピルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン化合
物、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、
ジメチルジクロロシランおよびフェニルトリクロロシラ
ンなどのクロロシラン類、ならびにヘキサメチルジシラ
ザンおよびオクタメチルシクロテトラシラザンなどのシ
ラザン類が挙げられる。
【0083】前記チタネート系カップリング剤として
は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートなど
が挙げられる。前記アルミニウム系カップリング剤とし
ては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレー
トなどが挙げられる。これらの具体例に、前記カップリ
ング剤が限定されるものではない。また、これらのカッ
プリング剤は、単独で、または2種以上を併用して、酸
化チタン粒子に表面処理を施したり、分散剤として使用
してもよい。
【0084】酸化チタン粒子に表面処理を施す方法は、
前処理法とインテグラルブレンド法とに大別される。前
処理法は、湿式法と乾式法とに分けられる。
【0085】前記湿式法は、水処理法と溶媒処理法とに
分けられ、該水処理法には、直接溶解法、エマルジョン
法およびアミンアダクト法などがある。該湿式法におい
ては、有機溶媒または水に表面処理剤を溶解または懸濁
させた後に酸化チタン粒子を添加して溶液を調製し、そ
の溶液を数分〜1時間程度撹拌混合し、場合によっては
加熱処理を施した後に、濾過などの工程を経て乾燥させ
ることによって表面処理を施すことができる。また、前
記溶液を、酸化チタン粒子を有機溶媒または水に分散し
た懸濁液に、表面処理剤を添加することによって調製
し、同様に表面処理を施しても差し仕えない。使用でき
る表面処理剤としては、直接溶解法では水に溶解する品
種、エマルジョン法では水中乳化可能型の品種、アミン
アダクト法ではリン酸残基を有する品種を適用できる。
アミンアダクト法の場合には、表面処理剤および酸化チ
タン粒子を含有する溶液に、トリアルキルアミンおよび
トリアルキロールアミンなどの3級アミンを少量添加す
ることによって、該溶液をpH=7〜10にし、中和発
熱反応による液温の上昇を抑えるために冷却しながら処
理することが好ましい。その他の工程は、他の湿式法と
同様に処理することにより表面処理を施すことができ
る。しかしながら、湿式法の場合に使用できる表面処理
剤としては、使用する有機溶媒や水に溶解したり懸濁す
ることができるものに限られる。
【0086】前記乾式法においては、酸化チタン粒子に
直接表面処理剤を添加し、ミキサーで撹拌混合すること
によって表面処理を施すことができる。一般的には、酸
化チタン粒子の表面水を除去するために予備乾燥を行う
ことが好ましい。たとえば、ヘイシャルミキサーなどの
シェアの大きい混合機で数10rpm、100℃前後の
温度にて、酸化チタン粒子を予備乾燥した後、該酸化チ
タン粒子に、表面処理剤を直接添加、または表面処理剤
を有機溶媒や水に溶解もしくは分解混合した溶液を添加
する。前記予備乾燥の際には、乾燥空気またはN2ガス
を噴霧することにより、より均一に混合することができ
る。また表面処理剤を添加する際には、80℃前後で、
1000rpm以上の回転速度で数10分間撹拌するこ
とが好ましい。
【0087】前記インテグラルブレンド法は、酸化チタ
ン粒子と樹脂を混練する際に表面処理剤を添加する方法
であり、塗料の分野では一般的に使用されている方法で
ある。
【0088】前記表面処理剤の添加量としては、金属酸
化物粒子の種類や形態によって様々ではあるが、金属酸
化物粒子の0.01重量%〜30重量%が好ましく、よ
り好ましくは0.1重量%〜20重量%である。0.0
1重量%より少ない添加量であれば、添加の効果が発現
しにくく、30重量%より多くても添加効果としては3
0重量%とあまり変わらず、原価の面で不利になる。
【0089】酸化チタン粒子の表面は、酸化チタン粒子
の粉体の体積抵抗値を一定範囲に維持する限り、前述の
カップリング剤などの有機化合物や、Al23、ZrO
2およびそれらの混合物などの金属酸化物で被覆されて
いることが好ましいが、被覆されなくてもよい。該有機
化合物および金属酸化物の両方で被覆されてもよく、い
ずれが先に被覆されてもよい。
【0090】前述のように下引き層に含有されるバイン
ダ樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル
樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチ
ラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂材料、これ
らの樹脂を構成する2種以上のモノマーの共重合体樹
脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、なら
びにエチルセルロースなどが知られている。
【0091】これらのうちポリアミド樹脂が特に好まし
い。その理由は、バインダ樹脂の特性として、下引き層
上に感光体層を形成する際に用いられる溶媒に対して溶
解や膨潤などが起こらないこと、導電性支持体との接着
性に優れること、および可撓性を有することなどの特性
が必要とされるからである。ポリアミド樹脂のうち、さ
らに好ましくは、アルコール可溶性ナイロン樹脂であ
る。たとえば、6−ナイロン、66−ナイロン、610
−ナイロン、11−ナイロンおよび12−ナイロンなど
を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−アル
コキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル
変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた
タイプが好ましい。
【0092】下引き層用塗布液に使用される有機溶剤と
しては、後述する理由から、水溶性かつ非プロトン性有
機溶剤を用いる。すなわち、下引き層を形成する際に使
用される溶剤としては、下引き層上に形成される感光層
用塗布液に使用される有機溶剤に溶解しない、または溶
解性の低い樹脂が、下引き層用樹脂として選択されるこ
とが多いので、一般に水または低級アルコールを用いる
ことが多い。しかし、これらの溶剤を使用した場合に
は、該溶剤の表面張力が大きいために、導電性支持体と
して使用されるアルミニウムなどの金属表面とのなじみ
が悪くなり、下引き層にハジキなどが発生し均一な下引
き層が形成されないために画像欠陥となる。また、これ
らの溶剤は沸点が高く蒸発速度が遅いことから、特に下
引き層を浸漬塗布する際には、タレや乾燥ムラが発生し
やすく、さらに下引き層を均一に塗布することが困難と
なり、生産性が悪化して原価が高くなる要因の1つとな
る。なお、乾燥速度を速めるためには、これらの低級ア
ルコールにハロゲンを含有する有機溶剤を混合して塗工
性を改良することができるが、近年の環境問題や毒性の
問題からその使用が削減または禁止の方向にあるハロゲ
ン系溶剤は好ましくない。
【0093】したがって、下引き層用塗布液に使用され
る有機溶剤として、水溶性かつ非プロトン性有機溶剤を
用い、金属表面との親和性を増大することにより、下引
き層の塗工性が向上する。また、前記水溶性かつ非プロ
トン性有機溶剤として、環状エーテルを使用することに
より、有機溶剤の蒸発速度が速くなって塗工性がよくな
り生産性が向上する。これらの有機溶剤としては、置換
基を含んでもよいテトラヒドロフランおよびその誘導
体、ならびに置換基を含んでもよいジオキソラン化合物
およびその誘導体を挙げることができる。ジオキソラン
およびオキソラン誘導体としては、下記一般式(I)で
表される化合物が挙げられる。
【0094】
【化1】
【0095】(式中、R1〜R6は、各々、水素原子ま
たは置換基を含んでもよいアルキル基であり、アルキル
基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基およびヒ
ドロキシル基などが挙げられる。)
【0096】一般式(I)において、より好ましくはR
1〜R6のいずれかが水素原子であり、R1〜R6の全
てが水素原子である1,3−ジオキソランが特に好まし
い。R1〜R6のアルキル基が炭素数の大きな置換基を
有する場合、ジオキソラン誘導体の沸点が高くなる。沸
点が100℃を超えるジオキソラン誘導体は、該ジオキ
ソラン誘導体を用いて形成された下引き層の乾燥時間が
長くなるため、生産性が低下するだけでなく、気流およ
び湿度などの塗布環境により乾燥ムラが発生しやすくな
るので、好ましくない。
【0097】さらに、前述のように、下引き層上に形成
される感光層用塗布液に使用される有機溶剤に溶解しな
いようにポリアミド樹脂を用いた下引き層を形成するた
め、前記テトラヒドロフランおよびジオキソラン化合物
には、炭素数1〜4の低級アルコールを混合して用いる
ことが好ましい。これにより、ポリアミド樹脂の溶解性
を保ち、下引き層用塗布液の保存安定性を向上しなが
ら、塗工性を良くし、下引き層の塗布膜の均一性を高め
ることができる。さらに、感光層を形成する際に感光層
用塗布液に対する溶解性が低下するため、下引き層が溶
解することを防止することができる。また、このような
混合溶剤を用いることにより、金属酸化物を分散させた
下引き層用塗布液の分散性および保存安定性が向上し、
下引き層を形成する際に非常に均一な塗布膜が得られ
る。しかもハロゲンを有する有機溶剤を用いないので、
環境問題や健康問題が生じる恐れがより少なく、優れた
特性を有する下引き層用塗布液を製造することができ
る。
【0098】すなわち、下引き層用塗布液に使用される
有機溶剤としてさらに好ましい具体例は、炭素数1〜4
の、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、ノルマルプロピルアルコールおよびノル
マルブタノールから群から選ばれる低級アルコールと、
テトラヒドロフランまたはジオキソラン化合物との混合
溶剤である。
【0099】以上のような材料を用いて下引き層用塗布
液を調製する。すなわち、アルコール可溶性樹脂と金属
酸化物粒子とを、前述の水溶性かつ非プロトン性有機溶
剤と低級アルコールとの混合溶媒、好ましくは非沸組成
の溶媒中に分散して下引き層用塗布液を調製する。テト
ラヒドロフラン化合物および/またはジオキソラン化合
物を混合することにより、前述のように、低級アルコー
ル溶媒単独よりもさらに塗布液の分散性が改善され、塗
布液の保存安定性の長期化や塗布液の再生が可能とな
る。また、下引き層用塗布液中に導電性支持体を浸漬塗
布して下引き層を形成する際、下引き層の塗布欠陥やム
ラを防止し、その上に形成される感光層が均一に塗布で
きるので、膜欠陥のない非常に優れた画像特性を有する
電子写真感光体を製造することができる。なお、塗布液
の保存安定性の指標として、下引き層用塗布液の調製か
らの経過日数(以下、「ポットライフ」と称する)を採
用する。
【0100】前記共沸組成における共沸とは、液体混合
物が一定圧力下において、溶液の組成と蒸気の組成とが
一致し、定沸点混合物となる現象のことであり、その組
成は、前記低級アルコールと他の有機溶媒との混合溶媒
の任意の組合せにおいて決定される。その割合は、当該
分野で既知の割合(化学便覧、基礎編)であって、たと
えば、メタノールとテトラヒドロフランとの場合、メタ
ノール31.1重量部およびテトラヒドロフラン68.
9重量部の割合で混合した溶液が共沸組成となる。この
共沸組成により、均一な蒸発が起こり、下引き層の塗布
膜が、塗膜欠陥のない均一な膜に形成されるだけでな
く、下引き層用塗布液の保存安定性も向上する。
【0101】また、ジオキソラン化合物、特に1,3−
ジオキソランと低級アルコール、特にメタノールとの混
合溶剤の場合には、当該分野の文献には共沸組成として
示されていないが、1,3−ジオキソランとメタノール
との混合割合は、60/40重量%〜5/95重量%が
好ましく、50/50重量%〜30/70重量%がより
好ましい。60/40重量%より1,3−ジオキソラン
の含有量が多ければ、下引き層中に分散された金属酸化
物粒子とアルコール可溶性樹脂との親和性が低下して分
散液の粘度が増粘し、下引き層用塗布液の保存安定性が
悪くなる。5/95重量%より少なければ混合溶剤とし
ての効果が薄れて金属酸化物の分散性が著しく低下し、
均一な下引き層を形成することができなくなる。
【0102】下引き層用塗布液の分散方法、すなわちア
ルコール可溶性樹脂と金属酸化物粒子とを、前述の水溶
性かつ非プロトン性有機溶剤と低級アルコールとの混合
溶媒中に分散する方法としては、ボールミル、サンドミ
ル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などがあ
る。
【0103】このように調製した下引き層用塗布液につ
いて、前述のようにして誘電率または誘電正接ε”/
ε’を測定することにより、その測定値が分散の安定性
に対応することを利用して、分散安定性が評価される。
すなわち、下引き層用塗布液に周波数を変えた交流電圧
をかけて、誘電率または誘電正接ε”/ε’を測定し、
その誘電率の減衰の極大値を示す緩和周波数または誘電
正接ε”/ε’の極大値を示す緩和周波数が7kHz以
上であれば、分散安定性が高いと判断される。この場
合、下引き層用塗布液自体の分散安定性を該塗布液の状
態に希釈などの変化を加えることなく評価することがで
きるので、実験室レベルと生産レベルの双方で同一基準
において評価することが可能となり、分散性に優れた下
引き層用塗布液を得ることができる。
【0104】前記下引き層用塗布液を導電性支持体上に
塗布して乾燥することにより、下引き層が形成される。
【0105】導電性支持体としては、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレスおよびチタンな
どの金属製ドラムやシート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ならびに、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分
子材料や硬質紙上に金属箔ラミネートまたは金属蒸着処
理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトなど
が挙げられる。
【0106】下引き層用塗布液の塗布手段としては、浸
漬塗布法など一般的な方法が適用できる。
【0107】図5は、浸漬塗布法において用いる浸漬塗
布装置の一例を示す構成図である。塗布槽13内に満た
された塗布液12中に、円筒状の導電性の基体2が浸漬
される。基体2は、モータ11を備える昇降装置10に
よって下降され、塗布液12中に浸漬される。昇降装置
10はモータ11の回転量を制御することによって、所
望の深さだけ基体2を塗布槽4に浸漬することができ
る。基体2は充分浸漬された後、昇降装置10によって
一定速度または逐次変化する速度で引上げられる。基体
浸漬時に塗布槽13からオーバフローした塗布液12
は、回収槽14に回収される。回収された塗布液は撹拌
装置15にて撹拌された後、ポンプ16によって塗布槽
13に戻される。このような浸漬塗布装置を用いる浸漬
塗布法は、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れ
ているために、電子写真感光体を製造する場合に多く利
用されている。
【0108】浸漬塗布法などにより形成される下引き層
の膜厚としては、好ましくは、0.01μm以上20μ
m以下で、より好ましくは0.05μm以上10μm以
下の範囲である。下引き層の膜厚が0.01μmより薄
ければ、実質的に下引き層として機能しなくなり、導電
性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導
電性支持体からのキャリアの注入を防止することができ
なくなり、帯電性の低下が生じる。20μmよりも厚く
することは、下引き層を浸漬塗布する場合、感光体を製
造する上で難しくなり感光体の感度が低下する。
【0109】下引き層上には、感光層が形成される。図
6(A)は、電荷発生層と電荷輸送層との二層から成る
積層構造の感光層を有する感光体の概略構造を示す断面
図である。図6(B)は、単層構造の感光層を有する感
光体の概略構造を示す断面図である。導電性支持体2上
に形成された下引き層3上に、感光層4が形成されてい
る。感光層4の構造としては、電荷発生物質を含有する
電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との
二層から成る図6(A)のような機能分離型の積層構造
と、これらが分離されずに、電荷発生物質と電荷輸送物
質とを含有する単一層で形成される図6(B)のような
単層型の単層構造とがあり、いずれを用いてもよい。
【0110】機能分離型の場合、下引き層上に電荷発生
層が形成され、該電荷発生層上に電荷輸送層が形成され
る。
【0111】電荷発生層に含有される電荷発生物質とし
ては、クロロダイアンブルなどのビスアゾ系化合物、ジ
ブロモアンサンスロンなどの多環キノン系化合物、ペリ
レン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン
系化合物、アズレニウム塩系化合物などが知られてい
る。レーザ光およびLEDなどの光源を用いて反転現像
プロセスにより画像形成を行う電子写真感光体では、6
20nm〜800nmの長波長の範囲に感度を有するこ
とが要求される。その際に使用される電荷発生物質とし
ては、フタロシアニン顔料およびトリスアゾ顔料が高感
度で耐久性に優れる。しかし、フタロシアニン顔料は、
結晶型の転移により感度の変化を引起こして感光体特性
に影響を及ぼす。高感度を維持するために結晶型を維持
すると、フタロシアニン顔料の粒子径が比較的大きくな
ることが要因で黒ポチが発生する問題がある。
【0112】また、フタロシアニン顔料を用いて反転現
像を行う電子写真複写機やプリンタおよび電子写真製版
システムなどの場合、顔料粒子の粗大粒子や凝集物によ
り黒ポチが発生することを防止するために、高感度を維
持しながら結晶型を変えることなく微粒子になるまで分
散を行うことが非常に困難であり、さらにフィルタリン
グや遠心分離などにより粗大粒子や凝集物を除去するこ
となどは生産性に乏しい。
【0113】そこで、それらの防止のために、前記下引
き層を使用するとともに、後述するようにしてフタロシ
アニン顔料の分散条件を最適化することで、電荷発生物
質の結晶型を崩すことなく比較的大きな粒子や凝集物が
存在しても黒ポチを発生しないようにして、生産性の高
い、高感度で耐久性に優れた電子写真感光体を提供す
る。
【0114】使用されるフタロシアニン顔料は、無金属
フタロシアニン、金属フタロシアニン、ならびにこれら
の混合物および混晶化合物が挙げられる。金属フタロシ
アニン顔料において用いられる金属としては、酸化状態
がゼロである金属、その塩化物、臭化物などのハロゲン
化金属、および酸化物などが用いられる。好ましい金属
としては、Cu,Ni,Mg,Pb,V,Pd,Co,
Nb,Al,Sn,Zn,Ca,In,Ga,Fe,G
e,TiおよびCrなどが挙げられる。これらのフタロ
シアニン顔料の製造方法は、種々の手法が提案され、ど
のような製造方法を用いてもよい。また顔料化された後
に、各種精製処理を行い、または結晶型を変換させるた
めに種々の有機溶剤で分散処理を行ったフタロシアニン
顔料を用いてもよい。非晶型や、α型、β型、γ型、δ
型、ε型、χ型およびτ型などの結晶型を使用すること
ができる。
【0115】これらの電荷発生物質を用いる電荷発生層
の形成方法としては、電荷発生物質、特にフタロシアニ
ン顔料を真空蒸着することによって形成する方法、およ
び、バインダ樹脂および有機溶剤とともに混合分散して
成膜する方法があり、混合分散処理する前に予め粉砕機
によって粉砕処理を行ってもよい。その粉砕に用いられ
る粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライ
タ、振動ミルおよび超音波分散機などがある。電荷発生
物質をバインダ樹脂溶液中に分散した後、塗布する方法
が好ましい。塗布方法としては、下引き層の塗布方法と
同様、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブ
レード法、リング法および浸漬法などが挙げられる。生
産性面および原価面から浸漬法が好ましい。
【0116】バインダ樹脂としては、メラニン樹脂、エ
ポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、
フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、およびこれらの樹脂
を構成する2種以上のモノマの共重合体樹脂が挙げられ
る。該共重合体樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレ
ン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができ
る。バインダ樹脂は、これらに限定されるものではな
く、一般に用いられる全ての樹脂を単独で、または2種
以上混合して使用することができる。
【0117】これらのバインダ樹脂を溶解させる有機溶
媒としては、塩化メチレンおよび2塩化エタンなどのハ
ロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよ
びシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび
酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジ
オキサンおよび1,3−ジオキソランなどのエーテル
類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭
化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N
−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒、
ならびにこれらの混合溶剤などを用いることができる。
【0118】フタロシアニン顔料とバインダ樹脂との配
合比は、フタロシアニン顔料とバインダ樹脂との合計量
に対して、フタロシアニン顔料が10重量%〜99重量
%の範囲が好ましい。10重量%より少ない場合は感度
が低下し、99重量%より多ければ耐久性が低下するば
かりでなく、分散性が低下するために粗大粒子が増大す
るので画像欠陥、特に黒ポチが多くなる。
【0119】電荷発生層用塗布液を調製する際、前述の
フタロシアニン顔料およびバインダ樹脂を有機溶剤に混
合して分散させる。分散条件としては、用いる容器に応
じ、分散媒質の摩耗などによる不純物の混入が起こらな
いように、適当な分散条件を選択して行う。
【0120】このように調製した電荷発生層用塗布液に
ついて、前述の下引き層用塗布液と同様にして、誘電率
または誘電正接ε”/ε’を測定することにより、その
測定値が分散の安定性に対応することを利用して、分散
安定性を評価する。分散安定性が高い電荷発生層用塗布
液を使用する。
【0121】前記電荷発生層用塗布液を用いて形成され
る電荷発生層は、0.2μm〜10μmの厚みに塗布さ
れる。0.2μmより薄ければ、乾燥後の電荷発生層の
膜厚が薄くなり感度低下をもたらすだけでなく、フタロ
シアニン顔料を非常に小さくなるまで分散するために結
晶型が変化するなど好ましくない。10μmより厚くな
れば一定の感度を示し原価的に好ましくないだけでな
く、均一に塗布することが困難となる。乾燥後の電荷発
生層の膜厚は、好ましくは0.05μm以上5μm以
下、より好ましくは0.1μm以上1μm以下の範囲で
ある。
【0122】電荷発生層上に設けられる電荷輸送層の形
成方法としては、バインダ樹脂溶液中に電荷輸送物質を
溶解させた電荷輸送用塗布液を調製し、これを塗布して
成膜する方法が一般的である。電荷輸送層に含有される
電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリ
ン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニ
ルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジアゾ
ール系化合物およびブタジエン系化合物などが知られ、
単独使用、または2種以上併用することが可能である。
バインダ樹脂としては、前述の電荷発生層用のバインダ
樹脂を単独で、または2種以上混合して使用することが
できる。電荷輸送層の形成方法としては、下引き層と同
様の浸漬塗布方法が用いられ、電荷輸送層の膜厚は、好
ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10
μm以上40μm以下の範囲である。
【0123】感光層が単層構造の場合には、下引き層上
に、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層
が形成される。感光層は、単層用塗布液を下引き層上に
塗布して形成される。単層用塗布液の調製方法として
は、前述の電荷発生層に用いた電荷発生物質および電荷
輸送層に用いた電荷輸送物質を、有機溶剤にバインダ樹
脂が溶解されたバインダ樹脂溶液に混合して分散するこ
とにより、調製することができる。その際使用される有
機溶剤およびバインダ樹脂は、前述の機能分離型の場合
電荷移動層において示したものが用いられる。分散方法
および塗布方法も同様に前述の従来公知の方法を使用す
ることができる。単層構造の感光層の膜厚は、好ましく
は5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以
上40μm以下の範囲である。
【0124】なお、単層構造および積層構造のいずれの
感光層を有する感光体においても、下引き層が導電性支
持体からのホール注入に対して障壁となり、さらに、高
感度および高耐久性を有するためには、感光層は負帯電
性が好ましい。
【0125】また、感光層には、感度の向上、残留電
位、および繰返し使用時の疲労低減などを目的として、
少なくとも1種以上の電子受容性物質を添加することが
できる。たとえば、パラベンゾキノン、クロラニル、テ
トラクロロ1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、
2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル1,4−ベンゾ
キノン、α−ナフトキノンおよびβ−ナフトキノンなど
のキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フル
オレン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、
p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニ
トロ−9−フルオレノンおよび2−ニトロフルオレノン
などのニトロ化合物、テトラシアノエチレン、7,7,
8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(P−ニトロ
ベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベン
ゼンおよび4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−
2’,2’−ジシアノビニルベンゼンなどのシアノ化合
物などを挙げることができる。
【0126】これらのうち、フルオレノン系、キノン系
化合物、ならびにCl,CN,NO 2などの電子吸引性
置換基のあるベンゼン誘導体が特に好ましい。また、安
息香酸、スチルベン化合物およびその誘導体、ならび
に、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサ
ジアゾール化合物、チアゾール化合物およびそれらの誘
導体などの含窒素化合物類などのような紫外線吸収剤や
酸化防止剤を含有させることもできる。
【0127】必要であれば、感光層表面を保護するため
に表面保護層を設けてもよい。表面保護層には、熱可塑
性樹脂、または、光もしくは熱硬化性樹脂を用いること
ができる。表面保護層中には、前記紫外線防止剤や酸化
防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物、
および電子受容性物質などを含有させることもできる。
感光層および表面保護層には、必要に応じて、二塩基酸
エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸
エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤を混合さ
せて、加工性および可撓性を付与し、機械的物性の改良
を施してもよく、シリコンオイルなどのレベリング剤を
使用することもできる。
【0128】以上のようにして形成された下引き層およ
び感光層を有する電子写真感光体は、電子写真複写機、
レーザおよびLEDなどを光源とする各種プリンタ、な
らびに電子写真製版システムなどに使用することができ
る。特に、該電子写真感光体に含有される電荷発生物質
は長波長に光感度を有する有機顔料であるので、長波長
に光源を有する半導体レーザおよびLEDを用いて反転
現像方式を採用する画像形成装置に搭載される。
【0129】図7は、本発明による電子写真感光体を搭
載したレーザプリンタ30を示す構成図である。画像形
成装置であるレーザプリンタ30は、感光体100、半
導体レーザ31、コロナ帯電器36、現像器37、転写
帯電器41、分離帯電器42、定着器44、排紙トレイ
45およびクリーナ46を含んで構成される。レーザプ
リンタ30では、コロナ帯電器36によって感光体10
0の表面をマイナス極性に均一に帯電させ、半導体レー
ザ31で画像情報に基づいて光照射して像露光を行い、
感光体100を回転させて露光領域を現像装置と対向す
る現像領域に到達させ、露光領域にマイナス帯電された
トナーを付着させて現像する反転現像方式を採用する。
【0130】このような反転現像プロセスを用いて画像
を形成する場合には、露光部の表面電荷が減少した部分
にトナー像が形成されることから、露光以外の要因で表
面電荷が減少すると白地にトナーが付着する黒ポチなど
の画像のカブリが発生し、著しい画質劣化を生じる。こ
れは、導電性支持体や感光層の欠陥に起因して微小な領
域での帯電性の低下を招くことにより、白地に黒点が発
生するなど著しい画像欠陥となる。しかし、前述のよう
にして下引き層を形成した電子写真感光体においては、
塗布欠陥やムラのない非常に均一な感光層の塗布膜を製
造することができる。したがって、前記電子写真感光体
を搭載すれば、露光以外の要因で表面電荷が減少するこ
とがなく、白地にトナーが付着する黒ポチの発生がない
優れた画像特性を長期間にわたって有する画像形成装置
を提供することができる。
【0131】以下、本発明による電子写真感光体用塗布
液、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、およ
び画像形成装置について、実施例により具体的に説明す
るが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0132】
【実施例】〔塗布液例1〜7〕針状の表面未処理の酸化
チタン(STR−60N:堺化学社製)5重量部および
ブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)5重量部を
テトラヒドロフラン90重量部に加え、ペイントシェー
カを用いて所定時間分散させ、固形分10%の下引き層
用塗布液を調製した。分散に要した時間は、様々に変
え、番号がより大きい塗布液例ほど、より長時間となる
ように、塗布液例1から7へ順に、各々、10分、1時
間、2時間、4時間、6時間、8時間および24時間と
した。
【0133】調製された下引き層用塗布液について、前
述のようにして図1の分散性測定装置により誘電正接が
最大値となるピーク周波数を測定するとともに、粘度η
0も測定した。さらに、下引き層用塗布液を90日間静
置した後、該塗布液について、粘度η1を測定するとと
もに、分散状態を濁度により評価した。濁度は、調製後
90日間静置した下引き層用塗布液を0.2mm厚のセ
ルに入れ、積分球式濁度計(SEP−PT−501D:
三菱化学社製)を用いて測定した。これらの結果を表1
に示す。
【0134】
【表1】
【0135】表1から、f0が7kHz未満の下引き層
用塗布液は、時間がたつと増粘またはゲル化し、f0が
7kHz以上のものは、分散が安定に保たれていたこと
が判る。
【0136】〔実施例1〕粒状の酸化亜鉛(FINEX
−50:堺化学社製)5重量部およびブチラール樹脂
(BX−1:積水化学社製)5重量部をテトラヒドロフ
ラン90重量部に加え、ペイントシェーカを用いて12
時間分散させ、固形分10%の下引き層用塗布液を調製
した。
【0137】〔実施例2〜8〕実施例1の酸化亜鉛に代
えて、7種類の金属酸化物をそれぞれ用いた以外は、実
施例1と同様にして、実施例2〜8の7種類の下引き層
用塗布液を調製した。用いた金属酸化物は、粒状の酸化
スズ(S−1:三菱マテリアル社製)、粒状の酸化アル
ミニウム(Aluminium Oxide C:日本アエロジル社
製)、表面未処理の粒状酸化チタン(TTO−55N:
石原産業社製)、Al23で表面処理を行った粒状の酸
化チタン(TTO−55A:石原産業社製)、表面未処
理の針状酸化チタン(STR−60N:堺化学社製)、
Al23で表面処理を行った針状酸化チタン(STR−
60:堺化学社製)、ならびに、Al23およびZrO
2で表面処理を行った樹枝状酸化チタン(TTO−D−
1:石原産業社製)であった。
【0138】〔実施例9〕カップリング剤としてのγ−
(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン0.02重量部をn−ヘキサン500重量部に加
え、この溶液に表面未処理の針状酸化チタン(STR−
60N:堺化学社製)20重量部を撹拌しながら加え、
1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、撹拌した溶液を濾過
し、100℃で3時間加熱乾燥した。このようにしてカ
ップリング剤で表面処理された酸化チタンを得た。この
表面処理された酸化チタンを、実施例1の酸化亜鉛に代
えて用いた以外は、実施例1と同様にして下引き層用塗
布液を調製した。
【0139】〔実施例10〜13〕表面処理剤であるシ
ランカップリング剤の成分および使用量を、4種類の成
分および使用量にそれぞれ代えて用いた以外は、実施例
9と同様にして、4種類の表面処理を施した酸化チタン
を作製した。用いたシランカップリング剤の成分および
使用量は、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン4重量部(実施例10)、フェニ
ルトリクロロシラン0.15重量部(実施例11)、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタネート0.15重
量部(実施例12)およびアセトアルコキシアルミニウ
ムジイソプロピレート0.15重量部(実施例13)で
あった。各カップリング剤で表面処理された酸化チタン
を、実施例1の酸化亜鉛に代えて用いた以外は、実施例
1と同様にして、実施例10〜13の4種類の下引き層
用塗布液を調製した。
【0140】〔実施例14および15〕表面未処理の針
状酸化チタンに代えて、各々、Al23で表面処理を行
った針状酸化チタン(STR−60:堺化学社製)、ま
たはAl23およびZrO2で表面処理を行った樹枝状
酸化チタン(TTO−D−1:石原産業社製)を用いた
以外は、実施例9と同様にして、2種類の表面処理を施
した酸化チタンを作製した。各表面処理を施された酸化
チタンを、実施例1の酸化亜鉛に代えて用いた以外は、
実施例1と同様にして、実施例14および15の2種類
の下引き層用塗布液を調製した。
【0141】〔比較例1〜15〕実施例1〜15におけ
る有機溶剤に代えて、メチルアルコールを用いた以外
は、各実施例と同様にして、比較例1〜15の15種類
の下引き層用塗布液を調製した。
【0142】〔評価1〕実施例1〜15および比較例1
〜15において調製した下引き層用塗布液を、それぞれ
0.2mm厚のセルに入れ、調製直後の濁度を積分球式
濁度計(SEP−PT−501D:三菱化学社製)を用
いて測定した。この結果によって下引き層用塗布液の分
散性を評価した。また、調製された下引き層用塗布液に
ついて、前述のようにして図1の分散性測定装置により
誘電正接が最大値となるピーク周波数を測定した。さら
に、下引き層用塗布液を90日間静置した後、該塗布液
について、調製直後と同様にして濁度を測定した。この
結果によって下引き層用塗布液の保存安定性を評価し
た。これらの結果を表2および表3に示す。
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】表2から、調製直後の分散性については、
いずれの実施例も濁度値は低い値を示しており、非常に
透明性が高く分散性に優れていることが判る。また、誘
電正接のピーク周波数はいずれも7kHz以上であっ
た。保存安定性については、いずれの実施例も初期の濁
度からやや増大しているものの、金属酸化物の凝集によ
る沈降物などは見られなかった。
【0146】しかし、表3からは、いずれの比較例にお
いても濁度値が高く非常に濁った分散性の悪い下引き層
用塗布液となっていることが判る。また、誘電正接のピ
ーク周波数はいずれも7kHz以下であった。さらに、
比較例4および6では分散直後から凝集・沈降している
ことから、表面未処理の酸化チタンは非常に分散性が悪
いことが判る。その酸化チタン表面を、アルミニウムお
よびジルコニウムなどの金属酸化物やカップリング剤で
表面処理を施すことにより、比較的分散性が向上する
が、分散した金属酸化物の凝集および沈降物が見られ、
保存安定性が悪いことが判る。
【0147】したがって、水溶性かつ非プロトン性の有
機溶剤を用いて金属酸化物を分散することにより、調製
直後において優れた分散性が得られ、かつ長期間保存し
ても分散性の変わらない安定した下引き層用塗布液が得
られることが判る。
【0148】〔実施例16〜18〕酸化亜鉛の代わり
に、Al23およびZrO2で表面処理を行った樹枝状
酸化チタン(TTO−D−1:石原産業社製)を使用
し、テトラヒドロフランの代わりに、3つの組合せの有
機溶剤をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にし
て、3種類の下引き層用塗布液を調製した。用いた有機
溶剤の組合せは、テトラヒドロフラン45重量部および
メチルアルコール45重量部(実施例16)、テトラヒ
ドロフラン4.1重量部およびメチルアルコール77.
9重量部(実施例17)、ならびにテトラヒドロフラン
56.5重量部およびメチルアルコール25.5重量部
(実施例18)であった。
【0149】〔実施例19〕ブチラール樹脂の代わり
に、共重合ナイロン樹脂(CM8000:東レ社製)を
使用した以外は、実施例18と同様にして下引き層用塗
布液を調製した。
【0150】〔実施例20〜22〕テトラヒドロフラン
の代わりに、3つの組合せの有機溶剤を混合して使用し
た以外は、実施例19と同様に、下引き層用塗布液を調
製した。使用した有機溶剤の組合せは、1,3−ジオキ
ソラン49.2重量部およびメチルアルコール:32.
8重量部(実施例20)、1,3−ジオキソラン4.1
重量部およびメチルアルコール77.9重量部(実施例
21)、ならびに1,3−ジオキソラン32.8重量部
およびメチルアルコール49.2重量部であった。
【0151】〔実施例23〕Al23およびZrO2
表面処理を行った樹枝状酸化チタン(TTO−D−1:
石原産業社製)6.3重量部および共重合ナイロン樹脂
(CM8000:東レ社製)11.7重量部を、1,3
−ジオキソラン32.8重量部およびメチルアルコール
49.2重量部の混合溶液に加え、ペイントシェーカを
用いて12時間分散させ、下引き層用塗布液を調製し
た。
【0152】〔実施例24〕1,3−ジオキソランおよ
びメチルアルコールの添加量を、各々、232.8重量
部および349.2重量部に代えた以外は、実施例23
と同様にして、固形分3%の下引き層用塗布液を調製し
た。
【0153】〔実施例25〕1,3−ジオキソランおよ
びメチルアルコールの添加量を、各々、112.8重量
部および169.2重量部に代えた以外は、実施例23
と同様にして、固形分6%の下引き層用塗布液を調製し
た。
【0154】〔評価2〕実施例16〜25において調製
した下引き層用塗布液について、実施例1と同様にし
て、調製直後および90日後の濁度と、誘電正接が最大
値となるピーク周波数とを測定し、分散性および保存安
定性を評価した。これらの結果を表4に示す。
【0155】
【表4】
【0156】調製直後の分散性については、いずれの実
施例も濁度値は低い値を示し、非常に透明性が高く分散
性に優れていることが判る。また、保存安定性について
は、いずれの実施例も初期の濁度値とあまり変化がな
く、金属酸化物の凝集による沈降物初期の分散性を維持
していることが判る。さらに、調製直後の、誘電正接が
最大値となるピーク周波数はいずれも7kHz以上であ
った。このことから、使用する有機溶剤を水溶性かつ非
プロトン性の環状エーテル、特にジオキソラン化合物に
することにより分散液である下引き層用塗布液の分散性
および保存安定性をさらに向上させることができること
が判る。
【0157】〔実施例26〕図5に示した浸漬塗布装置
を用いて、実施例22で調製した下引き層用塗布液を満
たした塗布槽13に、アルミニウム製で厚さ1mm
(t)×直径80mm(φ)×長さ348mmの導電性
支持体を浸漬し、その導電性支持体の表面に下引き層用
塗布液を塗布した。その後、自然乾燥を行い、乾燥膜厚
が1.0μmの下引き層を形成した。
【0158】次いで、形成された下引き層上に、電荷発
生層を形成する。具体的には、1,2−ジメトキシエタ
ン97重量部に、下記構造式(II)で示されるビスア
ゾ顔料(クロロダイアンブル)1.5重量部とフェノキ
シ樹脂(PKHH:ユニオンカーバイド社製)1.5重
量部とを混合した溶液を、ペイントシェーカを用いて1
2時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製した。図5
に示した浸漬塗布装置を用い、調製した電荷発生層用塗
布液を満たした塗布槽13に、下引き層を形成した導電
性支持体を浸漬し、下引き層上に電荷発生層用塗布液を
塗布した。導電性支持体を引上げた後、90℃で10分
間熱風乾燥し、乾燥膜厚が1.0μmの電荷発生層を形
成した。
【0159】
【化2】
【0160】次いで、形成された電荷発生層上に、さら
に電荷輸送層を形成する。具体的には、テトラヒドロフ
ラン8重量部に、下記構造式(III)で示されるヒド
ラゾン系化合物1重量部と、ポリカーボネート樹脂(Z
−400:三菱瓦斯化学社製)1重量部とを混合した溶
液を撹拌して溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製し
た。図5に示した浸漬塗布装置を用い、調製した電荷輸
送層用塗布液を満たした塗布槽13に、下引き層および
電荷発生層を順次形成した導電性支持体を浸漬し、下引
き層上に電荷発生層用塗布液を塗布した。導電性支持体
を引上げた後、110℃で1時間熱風乾燥し、乾燥膜厚
が25.0μmの電荷発生層を形成し、図6(A)に示
した機能分離型の感光体を作製した。
【0161】
【化3】
【0162】〔比較例16〕実施例22における酸化チ
タンの代わりに、両面にSnO2(Sbドープ)によっ
て導電処理を施した針状酸化チタン(TFL−100
0:石原産業社製)を用いた以外は、実施例22と同様
にして下引き層用塗布液を調製した。このようにして調
製した下引き層用塗布液を使用して下引き層を形成した
以外は、実施例26と同様にして機能分離型の感光体を
作製した。
【0163】以上のようにして作製した実施例26およ
び比較例16の機能分離型の感光体を、反転現像方式を
用いないアナログ方式の画像形成装置(SF−887
0:シャープ社製)改造機に搭載し、30000枚の耐
刷試験を行ったところ、表5のような結果であった。
【0164】
【表5】
【0165】表5から、比較例16では、下引き層中の
酸化チタンの表面に導電性処理を施すことにより感光体
の帯電性が著しく低下し、黒べたの濃度が出なくなった
ことが判る。
【0166】〔実施例27〕図5に示した浸漬塗布装置
を用いて、実施例25で調製した下引き層用塗布液を満
たした塗布槽13に、アルミニウム製で厚さ1mm
(t)×直径65mm(φ)×長さ350mmの導電性
支持体を浸漬し、その導電性支持体の表面に下引き層用
塗布液を塗布した。その後、自然乾燥し、乾燥膜厚が
1.0μmの下引き層を形成した。
【0167】次いで、形成された下引き層上に、電荷発
生層を形成する。具体的には、メチルエチルケトン10
0重量部に、τ型無金属フタロシアニン(Liophoton T
PA−891:東洋インキ製造社製)2重量部と塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体樹脂(SOLB
IN M:日信化学工業社製)2重量部とを混合した溶
液を、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、電
荷発生層用塗布液を調製した。図5に示した浸漬塗布装
置を用い、調製した電荷発生層用塗布液を満たした塗布
槽13に、下引き層を形成した導電性支持体を浸漬し、
下引き層上に電荷発生層用塗布液を塗布した。導電性支
持体を引上げた後、120℃で10分間熱風乾燥し、乾
燥膜厚が0.8μmの電荷発生層を形成した。
【0168】次いで、形成された電荷発生層上に、さら
に電荷輸送層を形成する。具体的には、テトラヒドロフ
ラン120重量部に、前記構造式(III)で示される
ヒドラゾン系化合物8重量部と、ポリカーボネート樹脂
(Z−400:三菱瓦斯化学社製)10重量部と、シリ
コンオイル(KF50:信越化学社製)0.002重量
部とを混合した溶液を撹拌して溶解させ、電荷輸送層用
塗布液を調製した。図5に示した浸漬塗布装置を用い、
調製した電荷輸送層用塗布液を満たした塗布槽13に、
下引き層および電荷発生層を順次形成した導電性支持体
を浸漬し、下引き層上に電荷発生層用塗布液を塗布し
た。導電性支持体を引上げた後、80℃で1時間熱風乾
燥し、乾燥膜厚が25.0μmの電荷発生層を形成し、
図6(A)に示した機能分離型の感光体を作製した。
【0169】以上のようにして作製した感光体を、反転
現像方式を採用したデジタル複写機(AR2030:シ
ャープ社製)の改造機に搭載し、30000枚の耐刷試
験を行ったところ、初期および30000枚後の画像は
いずれも白地に微小な黒点(黒ポチ)や下引き層の塗布
欠陥などに起因する画像ムラのない非常に良好な画質が
得られた。さらに同様にして、35℃/85%RHの高
温高湿度下および5℃/20%RHの低温低湿度下で、
画像を評価したところ、いずれの環境下でも感度低下が
なく、カブリや黒ポチ、塗布ムラなどに起因する画像欠
陥の発生は、耐久試験前後で変わらない良好な画像であ
った。
【0170】〔実施例28〕実施例27におけるポリア
ミド樹脂の代わりに、N−メトキシメチル化ナイロン樹
脂(EF−30T:帝国化学社製)を用いた以外は、実
施例27と同様にして下引き層用塗布液を調製した。こ
のようにして調製した下引き層用塗布液を使用して下引
き層を形成した以外は、実施例27と同様にして機能分
離型の感光体を作製した。
【0171】この感光体を用いて実施例27と同様にし
て画像特性を評価したところ、初期および30000枚
後の画像はいずれも白地に微小な黒点(黒ポチ)や下引
き層の塗布欠陥などに起因する画像ムラのない非常に良
好な画質が得られた。
【0172】〔実施例29〕表面未処理の粒状酸化チタ
ン(TTO−55N:石原産業社製)3重量部および共
重合ナイロン樹脂(CM8000:東レ社製)3重量部
を、メチルアルコール50重量部と1,3−ジオキソラ
ン50重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを
用いて10時間分散し、下引き層用塗布液を調製した。
【0173】厚さ100μm(t)×縦200mm×長
さ300mmのアルミニウム製導電性支持体上に、調製
した下引き層用塗布液を、ベーカーアプリケータによっ
て塗布し、自然乾燥を行い、乾燥膜厚1.0μmの下引
き層を形成した。
【0174】次いで、形成された下引き層上に、電荷発
生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層を形成する。
具体的には、テトラヒドロフラン100重量部に、τ型
無金属フタロシアニン(Liophoton TPA−891:東
洋インキ製造社製)17.1重量部と、ポリカーボネー
ト樹脂(Z−400:三菱瓦斯化学社製)17.1重量
部と、前記構造式(III)で示されるヒドラゾン系化
合物17.1重量部と、下記構造式(IV)で示される
ジフェノキノン化合物17.1重量部とを混合した溶液
をボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製
した。その塗布液をベーカーアプリケータによって下引
き層上に塗布し、100℃で1時間の熱風乾燥を行い、
乾燥膜厚20μmの感光層を形成し、単層型の電子写真
感光体を作製した。
【0175】
【化4】
【0176】以上のようにして作製したシート状の感光
体を、反転現像方式を採用したデジタル複写機(AR2
030:シャープ社製)の改造機に搭載し、室温下で画
像評価試験を行ったところ、画像は白地に微小な黒点
(黒ポチ)、ならびに、下引き層の塗布欠陥および導電
性支持体上の表面欠陥などに起因する画像ムラや欠陥の
ない非常に良好な画質が得られた。
【0177】
【発明の効果】以上のようにして本発明によれば、顔料
などの分散材料が分散された分散系に周波数を変えた交
流電圧をかけて、誘電率または誘電正接などの電気的特
性を測定し、その誘電率の減衰が極大値を示す緩和周波
数、または、誘電正接ε”/ε’の極大値を示す緩和周
波数が7kHz以上であり、水溶性かつ非プロトン性有
機溶剤を含有することによって、分散系自体の分散の安
定性を、顔料分散系の状態に希釈などの変化を加えるこ
となく評価することができる。これによって、実験室レ
ベルと生産レベルの双方で同一基準において評価するこ
とを可能とし、特定の電気的特性の測定値が分散の安定
性に対応することを利用して、分散性に優れた電子写真
感光体用塗布液を得ることができる。
【0178】また本発明によれば、非常に優れた分散安
定性、塗布性を有する電子写真感光体下引き層用塗布液
を用いて、該塗布液中に導電性支持体を浸漬塗布するこ
とによって、非常に均一な下引き層を形成し、画像欠陥
がなく、電気的特性、耐久性に優れた電子写真感光体を
製造することができる。
【0179】また本発明によれば、非常に均一な塗布欠
陥やムラのない塗布膜が形成されて製造された電子写真
感光体を使用することによって、半導体レーザやLED
を用いて反転現像プロセスを使用する場合でも、露光以
外の要因で表面電荷が減少することがなく、白地にトナ
ーが付着する黒ポチの発生がない優れた画像特性を長期
間にわたって有する画像形成装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による電子写真感光体用塗
布液の分散性を測定する装置例の概略構成を示す構成図
である。
【図2】インピーダンス測定装置1において得られた誘
電率ε’の周波数依存を示す相関図である。
【図3】インピーダンス測定装置1において得られた誘
電正接ε”/ε’の周波数依存を示す相関図である。
【図4】図4(A)は、針状の酸化チタン粒子の例を示
す模式図である。図4(B)は、樹枝状酸化チタン粒子
の例を示す模式図である。
【図5】浸漬塗布法において用いる浸漬塗布装置の一例
を示す構成図である。
【図6】図6(A)は、電荷発生層と電荷輸送層との二
層から成る積層構造の感光層を有する感光体の概略構造
を示す断面図である。図6(B)は、単層構造の感光層
を有する感光体の概略構造を示す断面図である。
【図7】本発明による電子写真感光体を搭載したレーザ
プリンタ30を示す構成図である。
【図8】分散系における粒子の帯電のモデルである。
【符号の説明】
1 分散性測定装置 2 基体 3 セル 4 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 知己 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 ▲角▼井 幹男 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 鳥山 幸一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA19 AA21 AA43 AA45 BA39 BA57 BA58 BB28 CA29 CA33 DA67 EA13 EA14 EA15

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性かつ非プロトン性有機溶剤に樹脂
    を溶解させた溶液中に顔料を分散させた電子写真感光体
    用塗布液において、周波数を変えて交流電圧を印加する
    ことによって測定した誘導率の減衰の極大値が7kHz
    以上であることを特徴とする電子写真感光体用塗布液。
  2. 【請求項2】 水溶性かつ非プロトン性有機溶剤に樹脂
    を溶解させた溶液中に顔料を分散させた電子写真感光体
    用塗布液において、周波数を変えて交流電圧を印加する
    ことによって測定した誘電正接の極大値が7kHz以上
    であることを特徴とする電子写真感光体用塗布液。
  3. 【請求項3】 前記電気的特性を有する分散系溶液が下
    引き層用塗布液であることを特徴とする請求項1または
    2記載の電子写真感光体用塗布液。
  4. 【請求項4】 前記電気的特性を有する下引き層用塗布
    液中に分散させた顔料が、金属酸化物であることを特徴
    とする請求項3記載の電子写真感光体用塗布液。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物が酸化チタンであること
    を特徴とする請求項4記載の電子写真感光体用塗布液。
  6. 【請求項6】 前記酸化チタンの形状が針状または樹枝
    状の形態であることを特徴とする請求項5記載の電子写
    真感光体用塗布液。
  7. 【請求項7】 前記酸化チタンの表面が、アルミニウム
    および/またはジルコニウムの酸化物で被覆されている
    ことを特徴とする請求項5または6記載の電子写真感光
    体用塗布液。
  8. 【請求項8】 前記酸化チタンの表面が、シランカップ
    リング剤、シリル化剤、アルミニウム系カップリング剤
    またはチタネート系カップリング剤で被覆されているこ
    とを特徴とする請求項5または6記載の電子写真感光体
    用塗布液。
  9. 【請求項9】 前記水溶性かつ非プロトン性有機溶剤が
    テトラヒドロフラン化合物および/またはジオキソラン
    化合物であることを特徴とする請求項1〜3のうちのい
    ずれか1つに記載の電子写真感光体用塗布液。
  10. 【請求項10】 前記水溶性かつ非プロトン性有機溶剤
    がテトラヒドロフラン化合物および/またはジオキソラ
    ン化合物と低級アルコールとの混合溶剤であることを特
    徴とする請求項9記載の電子写真感光体用塗布液。
  11. 【請求項11】 前記電気的特性を有する下引き層用塗
    布液中にアルコール可溶性の樹脂を含有していることを
    特徴とする請求項3〜10のうちのいずれか1つに記載
    の電子写真感光体用塗布液。
  12. 【請求項12】 前記アルコール可溶性の樹脂がポリア
    ミド樹脂であることを特徴とする請求項11記載の電子
    写真感光体用塗布液。
  13. 【請求項13】 導電性支持体と、導電性支持体上に形
    成された下引き層と、下引き層上に形成された感光層と
    を備える電子写真感光体の製造方法であって、請求項1
    〜12のいずれかに記載の電子写真感光体用塗布液中
    に、導電性支持体を浸漬塗布することにより下引き層を
    形成した後、該下引き層上に感光層を形成することを特
    徴とする電子写真感光体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の電子写真感光体の製
    造方法により得られる電子写真感光体。
  15. 【請求項15】 前記電子写真感光体中にフタロシアニ
    ン化合物を含有することを特徴とする請求項14記載の
    電子写真感光体。
  16. 【請求項16】 前記フタロシアニン化合物がチタニル
    フタロシアニン化合物であることを特徴とする請求項1
    5記載の電子写真感光体。
  17. 【請求項17】 請求項14〜16のいずれかの電子写
    真感光体が反転現象プロセスを用いて画像を形成する装
    置に搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
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