JP3475080B2 - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置

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JP3475080B2 JP15045098A JP15045098A JP3475080B2 JP 3475080 B2 JP3475080 B2 JP 3475080B2 JP 15045098 A JP15045098 A JP 15045098A JP 15045098 A JP15045098 A JP 15045098A JP 3475080 B2 JP3475080 B2 JP 3475080B2
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和茂 森田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下引き層を有する
電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】―般に、光導電性を有する感光体を用い
た電子写真プロセスは、感光体の光導電現象を利用した
情報記録手法の一つである。まず、感光体の表面を暗所
においてコロナ放電によって一様に帯電させた後、像露
光を施して露光部の電荷を選択的に放電させることによ
って、非露光部に静電潜像を形成する。次に、着色した
荷電微粒子(トナー)を静電引力などで静電潜像に付着
させて可視像とし、画像を形成する。
【0003】これら一連のプロセスにおいて感光体に要
求される基本的な特性としては、暗所において適当な電
位に一様に帯電可能なこと、暗所において高い電荷保持
能を有し、電荷の放電が少ないこと、および光感度に優
れ光照射によって速やかに電荷を放電することが挙げら
れる。さらに、感光体表面の電荷を容易に除電すること
ができて残留電位が小さいこと、機械的強度が高くて可
撓性に優れていること、繰返し使用時に帯電性、光感度
および残留電位などの電気的特性が変動しないこと、
熱、光、温度、湿度およびオゾンなどの環境に対する耐
性が優れていることなど、安定性および耐久性に優れて
いることが必要である。
【0004】現在、実用化されている電子写真感光体
は、導電性支持体上に感光層を形成して構成されるが、
導電性支持体からのキャリア注入が生じやすいので、感
光体表面の電荷が微視的に見て消失もしくは減少して画
像欠陥が発生する。これを防止するためには、導電性支
持体表面の欠陥の被覆、帯電性の改善、感光層の接着性
向上および塗布性改善などが効果的であり、このために
導電性支持体と感光層との間に下引き層が設けられる。
【0005】従来から下引き層として、各種樹脂材料、
金属粒子および金属酸化物粒子を含む層が検討されてい
る。たとえば、酸化チタン粒子を含有する下引き層が検
討されている。樹脂単一層で下引き層を形成する場合に
用いられる樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、これらの
樹脂の操返し単位のうち2以上を含む共重合体樹脂、カ
ゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびエチル
セルロースなどが知られているが、特にポリアミド樹脂
が好ましいことが特開昭48−47344号公報に開示
されている。
【0006】しかし、ポリアミド樹脂から成る単一の下
引き層を有する電子写真感光体は、残留電位の蓄積が大
きいので感度が低下する傾向があり、またカブリなどの
画像欠陥が発生する傾向がある。この傾向は、特に低温
低湿度の環境下で顕著である。そこで、導電性支持体に
起因する画像欠陥の防止および残留電位の低減を目的と
して、表面未処理の酸化チタン粒子を含有する下引き層
を設けることが、特開昭56−52757号公報に提案
されている。また、酸化チタン粒子の分散性を改善する
ためにチタネート系カップリング剤で表面処理を施した
金属酸化物粒子を含有する下引き層を設けることが、特
開平4−172362号公報に提案されている。しか
し、これらの公報の提案では特性的に未だ不充分であ
り、さらに優れた特性を有する電子写真感光体が望まれ
ている。なお、金属酸化物粒子を含有する下引き層にお
いては、粒状の金属酸化物粒子が用いられる。
【0007】また、電子写真感光体の製造方法に関し
て、特に感光層の形成方法には各種塗布方法が挙げら
れ、たとえばスプレー法、バーコート法、ロールコート
法、ブレード法、リング法および浸漬法などの塗布方法
が挙げられる。特に浸漬法は、塗布液を満たした塗布槽
に導電性支持体を浸漬した後、―定速度または逐次変化
する速度で引上げて所望の層を形成する方法であり、比
較的簡単で生産性およびコストの点で優れているので多
く利用される。
【0008】このように多く採用される浸漬法を下引き
層の製造に採用する場合、下引き層用塗布液に含まれる
樹脂としては、感光層用塗布液の溶剤に難溶であること
が望ましく、一般にアルコール可溶性または水溶性の樹
脂が使用される。このような樹脂を用いてアルコール溶
液または分散液として下引き層用塗布液が調製され、支
持体上に浸漬塗布することによって下引き層が形成され
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】表面未処理の酸化チタ
ン粒子を含有する下引き層やチタネート系カップリング
剤で表面処理を施した金属酸化物粒子を含有する下引き
層を設けた電子写真感光体は特性的に未だ不充分であ
り、感度や耐久性にさらに優れ、欠陥のない画像を形成
することができる電子写真感光体が望まれている。
【0010】本発明の目的は、感度や耐久性に優れた欠
陥のない画像を形成することができる電子写真感光体を
提供することである。また本発明の他の目的は、そのよ
うな電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性支持体
と、導電性支持体上に形成された下引き層と、下引き層
上に形成された感光体とを備える電子写真感光体におい
て、前記下引き層は、金属酸化物および/または有機化
合物で表面被覆された樹枝状の酸化チタンと、アルコー
ルに可溶のポリアミド樹脂とを含有し、前記酸化チタン
は、短軸長が1μm以下に選ばれ、長軸長が100μm
以下に選ばれ、導電性処理が施されておらず、下引き層
に対して酸化チタンが10重量%以上99重量%以下の
範囲で含有されることを特徴とする電子写真感光体であ
る。
【0012】本発明に従えば、下引き層中に含有される
樹枝状の酸化チタンは、粒状の酸化チタンよりもその凝
集が抑制される。したがって、下引き層用塗布液中の酸
化チタン含有量を多くしても高い分散性が得られ、この
ような塗布液を用いて作製した下引き層を有する感光体
は、塗布欠陥の少ないものとなる。また、当該感光体は
帯電性に優れかつ残留電位が小さく、また繰返し使用時
において残留電位の蓄積量が少なくかつ光感度の劣化が
小さい。したがって、安定性および環境特性に優れた電
子写真感光体が得られる。
【0013】下引き層中に金属粒子を含有した場合、帯
電性が低下し、繰返し使用時において画像濃度が低下す
る。また、下引き層中に金属酸化物粒子、たとえば酸化
チタンを含有した場合、結着性樹脂に対する酸化チタン
量が少ないときには、下引き層の体積抵抗値が大きくな
り、光照射時に生成したキャリアの輸送が抑制阻止さ
れ、残留電位が大きくなる。また、繰返し使用時におい
て残留電位の蓄積量が多くなる。特に低温低湿度時に多
くなる。酸化チタン量を増加しても、長期にわたる繰返
し使用による特性の低下は抑制できない。なお、結着性
樹脂がほとんど無いときには、下引き層の膜強度が低下
し、また下引き層と導電性支持体との接着性が低下し、
繰返し使用時において下引き層の破断による感度低下や
画像欠陥が発生する。また、体積抵抗値が急激に低下
し、帯電性が低下する。しかし、本発明では樹枝状の酸
化チタンを用いるので比較的多く含有することができ、
欠陥のない画像が形成可能な高感度でかつ高耐性の電子
写真感光体を実現することができる。
【0014】また、金属酸化物および有機化合物で表面
を被覆した樹枝状の酸化チタンを用いることによって、
あるいは金属酸化物および有機化合物のうちのいずれか
一方で表面を被覆した樹枝状の酸化チタンを用いること
によって、帯電性の低下および残留電位の上昇をさらに
抑制し、また繰返し使用時における残留電位蓄積量の増
加および光感度の低下をさらに抑制することができる。
また、下引き層用塗布液中の酸化チタン粒子の凝集がさ
らに防止でき、また塗布液のゲル化が防止できる。
【0015】下引き層中の酸化チタン量が増加すると、
酸化チタンの結着性樹脂に対する親和性が低下し、また
下引き層用塗布液の分散性および安定性が低下する。こ
のような塗布液を用いて作製した下引き層には、塗布む
らが生じ、良好な画像が得られない。しかし本発明で
は、表面被覆した樹枝状の酸化チタンを含有するので、
上述したような不都合は生じず、欠陥のない画像が形成
可能な高感度でかつ高耐性の電子写真感光体を実現する
ことができる。
【0016】また、金属酸化物および/または有機化合
物で表面を被覆した樹枝状の酸化チタンとアルコールに
可溶のポリアミド樹脂とを含有する下引き層を用いるこ
とによって、帯電性の低下および残留電位の上昇をさら
に抑制し、また繰返し使用時における残留電位蓄積量の
増加および光感度の低下を抑制することができる。ま
た、下引き層用塗布液中の酸化チタン粒子の凝集が防止
でき、塗布液のゲル化が防止できる。特に、フタロシア
ニン顔料を含有する感光層において、これらの効果を得
ることができる。
【0017】また、短軸長が1μm以下に選ばれ、長軸
長が100μm以下に選ばれた樹枝状の酸化チタンを含
有することによって、酸化チタン粒子同士の接触機会が
多くなり、接触面積が増す。したがって、少ない酸化チ
タン含有量で下引き層の電気抵抗値を小さく保つことが
できる。これによって、感度の低下および残留電位の上
昇を抑制することができる。また、下引き層用塗布液の
分散性および保存安定性が向上する。さらに、導電性支
持体の欠陥に起因する画像欠陥の防止、下引き層の膜強
度の向上および支持体と下引き層との接着強度の向上を
図ることができる。
【0018】また、導電性処理が施されていない樹枝状
の酸化チタンを含有することによって酸化チタン粒子同
士の接触機会が多くなるので、酸化チタンの表面を導電
性処理しなくても、すなわち導電性処理が未処理の酸化
チタンを用いても、少ない酸化チタン含有量で下引き層
の電気抵抗値を小さく保って、感度の低下および残留電
位の上昇を抑制し、優れた帯電性を得ることができる。
【0019】粒状の酸化チタン、具体的には粒子径が
0.01μm以上1μm以下の範囲で、アスペクト比の
平均値が1以上1.3以下の範囲で、やや凹凸はあるが
ほぼ球形である酸化チタンを下引き層中に分散した場
合、酸化チタン粒子同士の接触が点接触に近く、接触面
積が小さくなる。このため、酸化チタン含有量を多くし
ないと、下引き層の電気抵抗値が高くなり、感度が低下
し、残留電位が上昇する。しかし、酸化チタン含有量を
増加すると、塗布液の分散性および保存安定性が低下
し、下引き層の膜強度が低下し、また導電性支持体との
接触強度が低下する。酸化チタン表面の電気抵抗値を低
くするために酸化チタン表面に導電性処理を施すと、感
光体の帯電性が低下してしまう。また、高精度に導電性
処理を施すことは難しい。しかし本発明では、樹枝状の
酸化チタンを含有するので、導電性処理を施すことなく
少ない酸化チタン含有量で優れた帯電性を得ることがで
きる。
【0020】また、下引き層に対して酸化チタンを10
重量%以上99重量%以下の範囲で含有させることによ
って、少ない酸化チタン含有量であっても残留電位の上
昇を抑制して、環境特性、特に比較的低温低湿度下にお
ける耐性に優れた電子写真感光体を実現することができ
る。
【0021】また本発明は、前記感光層は、フタロシア
ニン顔料を含有することを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、フタロシアニン顔料を含
有する感光層を有する感光体は、該顔料の吸収波長から
レーザ光を用いて反転現像プロセスを行う画像形成装置
に搭載されることが多い。このような画像形成装置で
は、感光層や支持体の欠陥が、たとえば白地に黒い斑点
状の画像となって形成されるので、下引き層用塗布液の
分散性および下引き層の電気的特性に対する要求はさら
に厳しくなる。フタロシアニン顔料を含有する感光層に
対して金属酸化物および/または有機化合物で表面を被
覆した樹枝状の酸化チタンを含有する下引き層を用いる
ことによって、厳しい要求を満たし、欠陥のない画像が
形成可能な高感度でかつ高耐性の電子写真感光体を実現
することができる。
【0023】また本発明は、前記感光層は電荷発生層と
電荷輸送層とを有し、電荷発生層がフタロシアニン顔料
を含有することを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、電荷発生層がフタロシア
ニン顔料を含有する機能分離型の感光層に対して、金属
酸化物および/または有機化合物で表面を被覆した樹枝
状の酸化チタンを含有する下引き層を用いることによっ
て、あるいは金属酸化物および/または有機化合物で表
面を被覆した樹枝状の酸化チタンとアルコールに可溶の
ポリアミド樹脂とを含有する下引き層を用いることによ
って、上述したような厳しい要求を満たし、欠陥のない
画像が形成可能な高感度でかつ高耐性の電子写真感光体
を実現することができる。
【0025】なお、下引き層は、樹枝状の酸化チタンま
たは表面被覆した樹枝状の酸化チタンを結着性樹脂中に
分散して構成することが好ましい。これによって、下引
き層用塗布液の分散性および保存安定性が向上し、導電
性支持体と感光層との間を所定の電気的特性を保ちなが
ら均一な下引き層を形成して、導電性支持体の欠陥に起
因する画像欠陥を防止することができる。
【0026】また、前記結着性樹脂としては、特に有機
溶剤に可溶のポリアミド樹脂が好ましい。該樹脂は、酸
化チタンとなじみやすく、導電性支持体との接着性に優
れ、また可撓性に優れる。さらに、感光層用塗布液によ
って膨潤したり溶解したりしない。したがって、下引き
層の塗布むらや欠陥を防止して優れた画像特性を得るこ
とができる。また、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂に比べ
て、製造工程が簡単で製造コストが安価である。
【0027】また、樹枝状の酸化チタン表面を被覆する
金属酸化物としては、アルミニウムの酸化物またはジル
コニアの酸化物が好ましい。また、樹枝状の酸化チタン
表面を被覆する有機化合物としては、シランカップリン
グ剤、シリル化剤、アルミニウム系カップリング剤およ
びチタネート系カップリング剤のうちのいずれかである
ことが好ましい。さらに、金属酸化物および/または有
機化合物による表面被覆量は、酸化チタンの量に対して
0.1重量%以上20重量%以下の範囲であることが好
ましい。これによって、下引き層用塗布液の分散性およ
び保存安定性がさらに向上し、導電性支持体と感光層と
の間を所定の電気的特性を保ちながら均一な下引き層を
形成して、導電性支持体の欠陥に起因する画像欠陥をさ
らに防止することができる。
【0028】また、下引き層の膜厚は0.05μm〜1
0μmの範囲であることが好ましい。下引き層の膜厚を
薄くすると、環境特性に対する耐性は向上するが、導電
性支持体と感光層との接着性が低下し、支持体の欠陥に
起因する画像欠陥が生じる。また厚くすると、感度が低
下し、環境特性に対する耐性が低下する。しかし、本発
明では樹枝状の酸化チタンを含有するので、酸化チタン
粒子同士の接触機会が多くなり、接触面積が増す。した
がって、電気抵抗値を小さく保って感度の低下および残
留電位の上昇を抑制しながら、下引き層の膜厚を厚くす
ることができる。これによって、導電性支持体の欠陥に
起因する画像欠陥の防止、下引き層の膜強度の向上およ
び支持体と下引き層との接着強度の向上を図ることがで
きる。
【0029】また本発明は、上述の電子写真感光体を用
い、反転現像プロセスで画像を形成することを特徴とす
る画像形成装置である。
【0030】本発明に従えば、上述したような感光体を
反転現像プロセスで画像を形成する画像形成装置に適用
することによって、画像欠陥のない優れた特性の画像を
形成することができる。したがって、画像形成装置を画
像処理装置、ファクシミリ装置およびプリンタなどと複
合することができる。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】以下、本発明を詳細に説明する。下引き層
中に含有される酸化チタン粒子の形状としては、樹枝状
が好ましい。樹枝状とは、棒状、柱状および紡錘状など
を含む細長くかつ枝分かれしている形状を指す。したが
って、必ずしも極端に細長い形状でなくてもよく、先端
が鋭くとがった形状である必要はない。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】粒径およびアスペクト比を測定する方法と
しては、重量沈降法や光透過式粒度分布測定法などの方
法があるが、樹枝状または針状であることから、電子顕
微鏡で観察し、直接測定する方法が好ましい。
【0056】下引き層には樹枝状の酸化チタン粒子が含
有されるが、下引き層用塗布液の酸化チタンの分散性が
長期間保持され、下引き層として均一な膜を形成するた
めに、下引き層には結着性樹脂がさらに含有されている
ことがより好ましい。樹枝状の酸化チタン粒子の含有率
は、下引き層の重量に対して10重量%以上99重量%
以下の範囲が好ましいが、30重量%以上99重量%以
下の範囲がより好ましく、35重量%以上95重量%以
下の範囲が特に好ましい。10重量%よりも少ない含有
率であれば、感度が低下し、下引き層中に電荷が蓄積さ
れて残留電位が増大する。また、特に低温低湿下での繰
返し特性において劣化が顕著になる。99重量%よりも
多い含有率であれば下引き層用塗布液の保存安定性が悪
くなり、樹枝状の酸化チタン粒子が沈降しやすくなるの
で好ましくない。
【0057】また、樹枝状の酸化チタン粒子と、粒状の
酸化チタン粒子とを混合して下引き層に含有しても構わ
ない。樹枝状および粒状の酸化チタンの結晶型として
は、アナターゼ型、ルチル型およびアモルファス型など
があるが、いずれの結晶型を用いてもよく、また2種以
上の結晶型を混合して用いても構わない。
【0058】酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値は、1
5 Ω・cm〜1010Ω・cmの範囲が好ましい。粉体
の体積抵抗値が105 Ω・cmよりも小さくなると、下
引き層の抵抗値が低下して電荷ブロッキング層として機
能しなくなる。たとえば、アンチモンをドープした酸化
錫導電層などのように、導電処理を施した金属酸化物粒
子を含有する下引き層の場合、粉体の体積抵抗値が10
0 Ω・cm〜101 Ω・cmと著しく低く、このような
下引き層は電荷ブロッキング層として機能せず、帯電性
が低下して、画像にカブリや黒点が発生するので使用す
ることはできない。また、粉体の体積抵抗値が101 0
Ω・cmよりも大きくなり、結着性樹脂自身の体積抵抗
値と同等あるいはそれ以上になると、下引き層としての
抵抗値が高過ぎて、光照射時に生成したキャリアの輸送
が抑制阻止され、残留電位が上昇し光感度が低下する。
【0059】酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値を上述
の範囲に維持するためには、酸化チタン粒子の表面は、
アルミニウムの酸化物またはジルコニアの酸化物で被覆
することが好ましい。特に、Al23,ZrO,ZrO
2 もしくはその混合物などの金属酸化物で被覆すること
が好ましい。表面未被覆の酸化チタン粒子を用いると、
使用する酸化チタン粒子が微粒子であるため、充分に分
散された下引き層用塗布液であっても長期間の使用や塗
布液の保管時に酸化チタン粒子が凝集し、形成された下
引き層に欠陥や塗布ムラが発生し、画像欠陥が生じる。
また、導電性支持体からの電荷注入が起こりやすくなる
ので、微小領域の帯電性が低下し黒点が発生する。上述
したように酸化チタン粒子の表面をAl23,ZrO,
ZrO2もしくはその混合物などの金属酸化物で被覆す
ることによって、酸化チタンの凝集を防止し、分散性や
保存安定性に優れた下引き層用塗布液を得ることができ
る。また、導電性支持体からの電荷の注入を防止するこ
とができるので、黒点のない優れた画像特性を有する電
子写真感光体が得られる。
【0060】酸化チタンの表面を被覆する金属酸化物と
しては、Al23,ZrO,ZrO が好ましいが、優れ
た画像特性を得るためにはAl23とZrOとで、また
はAl23とZrO2とで表面被覆することがより好ま
しい。SiO2などで表面被覆した場合は、その表面が
親水性を示すために有機溶剤になじみにくくなり、酸化
チタンの分散性が低下して凝集を引起こしやすいので、
長期間の使用には適さない。また、Fe23などの磁性
を有する金属酸化物で表面被覆した場合には、感光層中
に含有するフタロシアニン顔料と化学的な相互作用が起
こり、感光体の電気的特性、特に感度や帯電性が低下す
るので、好ましくない。
【0061】Al23,ZrO,ZrO2 などの金属酸
化物による酸化チタンの表面被覆量は、酸化チタンに対
して0.1重量%以上20重量%以下の範囲が好まし
い。0.1重量%よりも少ない表面被覆量であれば、酸
化チタンの表面を充分に被覆することができないので、
表面被覆の効果が得られにくい。20重量%よりも多い
表面被覆量では、表面被覆による効果はほとんど変わら
ず、コスト的に好ましくない。
【0062】また、酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値
を上述の範囲に維持するために、酸化チタン粒子の表面
は、有機化合物で被覆することが好ましい。酸化チタン
の表面を被覆する有機化合物としては、一般的なカップ
リング剤を用いることができる。カップリング剤の種類
としては、たとえばアルコキシシラン化合物などのシラ
ンカップリング剤、ハロゲン、窒素および硫黄などの原
子がケイ素と結合したシリル化剤、チタネート系カップ
リング剤、およびアルミニウム系カップリング剤が挙げ
られる。
【0063】シランカップリング剤としては、たとえば
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
ジエチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ア
ミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラ
ン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル
−1−プロペニルトリメトキシシラン、(3−アクリロ
キシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキ
シプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロ
キシプロピル)ジメチルメトキシシランおよびN−3−
(アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミ
ノプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン
化合物、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラ
ン、ジメチルジクロロシランおよびフェニルトリクロロ
シランなどのクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン
およびオクタメチルシクロテトラシラザンなどのシラザ
ン類が挙げられ、またチタネート系カップリング剤とし
ては、たとえばイソプロピルトリイソステアロイルチタ
ネートおよびビス(ジオクチルパイロホフェート)など
が挙げられ、さらにアルミニウム系カップリング剤とし
ては、たとえばアセトアルコキシアルミニウムジイソプ
ロピレートなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0064】また、これらカップリング剤によって酸化
チタンの表面を被覆する、またはこれらのカップリング
剤を分散剤として使用する場合、1種または2種以上の
カップリング剤を併用して用いても構わない。
【0065】酸化チタンの表面を被覆する方法としては
大別して、前処理法とインテグラルブレンド法とがあ
る。前処理法は湿式法と乾式法とに分けられ、湿式法は
水処理法と溶媒処理法とに分けられる。
【0066】水処理法には、直接溶解法、エマルジョン
法およびアミンアダクト法などがある。湿式法は、有機
溶剤や水に対して表面処理剤を溶解または懸濁させ、こ
れに酸化チタンを添加し、このような溶液を数分から1
時間程度撹拌して混合し、場合によっては加熱処理を施
した後に、濾過などの工程を経て乾燥し、このようにし
て酸化チタン表面を被覆する方法である。なお、有機溶
剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に表面処理
剤を添加しても構わない。表面処理剤としは、直接溶解
法では水に溶解する品種、エマルジョン法では水中乳化
可能型の品種、アミンアダクト法ではリン酸残基を有す
る品種が適用できる。アミンアダクト法では、トリアル
キルアミンやトリアルキロールアミンなどの3級アミン
を少量添加することによって調整液をpH=7〜10に
し、かつ中和発熱反応による液温の上昇を抑えるために
冷却しながら処理することが好ましく、その他の工程は
他の湿式法と同様に処理することで表面被覆が可能であ
る。湿式法において使用可能な表面処理剤としては、使
用する有機溶剤や水に溶解したり懸濁可能なものに限ら
れる。
【0067】乾式法は、酸化チタンに直接表面処理剤を
添加し、ミキサで撹拌し混合することによって表面を被
覆する方法である。一般的に、酸化チタン表面の水分を
除去するために予備乾燥を行うことが好ましい。たとえ
ば、ヘイシャルミキサなどの混合機を用いて数十rpm
で100℃前後の温度にて予備乾燥を行った後、表面処
理剤を直接もしくは有機溶剤や水に溶解もしくは分散し
混合した溶液を添加する。その際、乾燥空気やN2 ガス
で噴霧処理することによって、より均一に混合すること
ができる。表面処理剤を添加し、80℃前後の温度で、
1000rpm以上の回転数で数十分間撹拌することが
好ましい。
【0068】インテグラルブレンド法は、塗料の分野で
一般的に使用される方法であり、酸化チタンと樹脂とを
混練する際に表面処理剤を添加して表面を被覆する。表
面処理剤の添加量は、酸化チタンの種類や形態によって
選ばれるが、たとえば酸化チタン重量の0.01重量%
〜30重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜20重
量%の範囲に選ばれる。この範囲よりも少ない添加量で
あれば、添加の効果が発現しにくく、またこの範囲より
も多ければ添加効果としてはあまり変わらず、コストの
面で不利になる。
【0069】また、不飽和結合を有するカップリング剤
で処理する場合の処理前後において、およびカップリン
グ剤を分散剤として有機溶剤中に添加する場合におい
て、酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値を上述した範囲
に維持するために、酸化チタンの表面には導電性処理を
施さないことが好ましく、さらに導電性処理を施さずに
Al23,ZrO,ZrO2 またはその混合物などの金
属酸化物で表面被覆すること、また有機化合物で表面被
覆することが好ましい。
【0070】下引き層に含有される結着性樹脂として
は、樹脂単一層で形成する場合と同様の材料が用いられ
る。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、ポリアミド樹脂、これらの繰返し単位のうち2
以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビ
ニルアルコールおよびエチルセルロースが用いられる
が、特にポリアミド樹脂が好ましい。この理由は、結着
性樹脂の特性として、下引き層上に感光層を形成する際
に用いられる溶剤に対して溶解や膨潤せず、また導電性
支持体との接着性に優れ、可撓性を有するからである。
ポリアミド樹脂のうち、特にアルコール可溶性ナイロン
樹脂が好ましく、具体的には6−ナイロン、66−ナイ
ロン、610−ナイロン,11−ナイロンおよび12−
ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロ
ン、N−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキ
シエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変
性させたタイプが好ましい。
【0071】下引き層用塗布液に用いられる有機溶剤と
しては、一般的な有機溶剤が使用可能であるが、結着性
樹脂としてアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いる場合
には、炭素数1〜4の低級アルコール群から選ばれた溶
剤と、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トルエンおよび
テトラヒドロフランから成る群から選ばれた溶剤との混
合系の有機溶剤が好ましい。特に、メチルアルコール、
エチルアルコール、イソプロピルアルコールおよびノル
マルプロピルアルコールから成る群から選ばれた低級ア
ルコールと、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−
ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トルエン
およびテトラヒドロフランから成る群から選ばれた他の
有機溶剤との共沸組成の混合溶剤が好ましい。
【0072】ポリアミド樹脂と酸化チタンとを上述の混
合系有機溶剤、好ましくは共沸組成の混合系有機溶剤中
に分散して作製した塗布液を導電性支持体上に塗布し乾
燥することによって、下引き層が形成される。
【0073】前述の混合系有機溶剤を用いることによっ
て、単独系のアルコール溶剤を用いるよりも塗布液の保
存安定性は向上し、また塗布液の再生が可能となる。な
お、保存安定性として、下引き層用塗布液の作製日から
の経過日数を以下の説明では「ポットライフ」と称す
る。
【0074】また、下引き層用塗布液中に導電性支持体
を浸漬塗布して下引き層を形成することが好ましい。下
引き層用塗布液の分散性および保存安定性が向上するの
で、下引き層の塗布欠陥や塗布むらが防止でき、下引き
層上に形成される感光層を均一に塗布することができ、
欠陥のない優れた画像特性を有する電子写真感光体を形
成することができる。
【0075】なお、共沸とは、液体混合物が一定圧力下
において、溶液の組成と蒸気の組成とが一致して、定沸
点混合物となる現象のことであり、その組成は上記低級
アルコール群から選ばれた溶剤と、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロ
ロプロパン、トルエンおよびテトラヒドロフランから成
る群から選ばれた溶剤との混合溶剤の任意の組合わせに
よって決定され、たとえば化学便覧基礎編(丸善株式会
社発行、社団法人日本化学会著作)に記載された組成を
採用することができる。具体的に、メタノールと、1,
2−ジクロロエタンとの混合溶剤の場合、メタノールを
35重量部、1,2−ジクロロエタンを65重量部の割
合で混合した溶剤が共沸組成となる。この共沸組成によ
り、均一な蒸発が起こり、下引き層は塗膜欠陥のない均
一な膜に形成される。また、下引き層用塗布液の保存安
定性が向上する。
【0076】下引き層の膜厚は、0.01μm以上20
μm以下の範囲が好ましく、0.05μm以上10μm
以下の範囲が特に好ましい。膜厚が0.01μmよりも
小さければ下引き層として実質的に機能せず、導電性支
持体の欠陥を被覆した均一な表面性が得られず、導電性
支持体からのキャリアの注入を防止することができなく
なり、帯電性が低下する。膜厚を20μmよりも大きく
することは浸漬塗布法において難しく、また感光体の感
度が低下するので好ましくない。
【0077】下引き層用塗布液の分散方法としては、ボ
ールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超
音波分散機などを用いた分散方法がある。また、塗布手
段としては、前記の浸漬塗布法などの一般的な方法が適
用できる。
【0078】導電性支持体としては、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレスおよびチタンな
どの金属製ドラムやシートが挙げられる。また、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロンおよびポリスチレンな
どの高分子材料や硬質紙上に、金属箔をラミネートした
ドラム、シートおよびシームレスベルト、および金属を
蒸着処理したドラム、シートおよびシームレスベルトが
挙げられる。
【0079】下引き層上に形成される感光層の構造とし
ては、電荷発生層と電荷輸送層との2層から成る機能分
離型、およびこれらが分離されずに単一層で形成される
単層型があるが、いずれを用いてもよい。
【0080】機能分離型感光層の場合、下引き層上に電
荷発生層が形成される。電荷発生層に含有される電荷発
生物質としては、クロロダイアンブルーなどのビスアゾ
系化合物、ジブロモアンサンスロンなどの多環キノン系
化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フ
タロシアニン系化合物およびアズレニウム塩系化合物な
どがあり、これらを1種もしくは2種以上併用して用い
ても構わない。
【0081】電荷発生層の作製方法としては、電荷発生
物質を真空蒸着する方法および結着性樹脂溶液中に分散
し塗布する方法があるが、一般に後者の方法が好まし
い。塗布による成膜の場合、結着性樹脂溶液中への電荷
発生物質の混合分散方法および電荷発生層用塗布液の塗
布方法は、下引き層と同様の方法が用いられる。
【0082】電荷発生層用の結着性樹脂としては、メラ
ミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン
樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリ
レート樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、2以上
の繰返し単位を含む共重合体樹脂、および塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体樹脂やアクリロニトリル−スチレン
共重合体樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができる
が、これらに限定されるものではなく、一般に用いられ
るすべての樹脂を単独あるいは2種以上混合して使用す
ることができる。
【0083】電荷発生層用の結着性樹脂を溶解する溶剤
としては、塩化メチレンおよび2塩化エタンなどのハロ
ゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよび
シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢
酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよび
ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよ
びキシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチル
ホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなど
の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
【0084】電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5
μm以下の範囲が好ましく、0.1μm以上1μm以下
の範囲が特に好ましい。
【0085】電荷発生層上に設けられる電荷輸送層の作
製方法としては、結着性樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶
解させた電荷輸送用塗布液を作製し、これを塗布して成
膜する方法が一般的である。電荷輸送層に含有される電
荷輸送物質としては、たとえばヒドラゾン系化合物、ピ
ラゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリ
フェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物およびオ
キサジアゾール系化合物が挙げられ、1種もしくは2種
以上併用して用いることが可能である。
【0086】電荷輸送層用の結着性樹脂としては、前述
した電荷発生層用結着性樹脂を1種もしくは2種以上混
合して使用することができる。電荷輸送層の作製方法と
しては下引き層と同様の方法が用いられる。電荷輸送層
の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲が好ましく、
10μm以上40μm以下の範囲が特に好ましい。
【0087】単層型感光層の場合、感光層の膜厚は5μ
m以上50μm以下の範囲が好ましく、10μm以上4
0μm以下の範囲が特に好ましい。
【0088】なお、単層型、機能分離型のいずれの場合
も、感光層は負帯電性とすることが好ましい。これは、
下引き層を導電性支持体からのホール注入に対する障壁
とするため、および感度や耐久性を高くするためであ
る。
【0089】また、感度の向上、残留電位の低減および
繰返し使用時の疲労低減などを目的として、感光層に少
なくとも1種以上の電子受容性物質を添加しても構わな
い。電子受容性物質としは、たとえばパラベンゾキノ
ン、クロラニル、テトラクロロ1,2−ベンゾキノン、
ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチ
ル1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノンおよびβ−
ナフトキノンなどのキノン系化合物、2,4,7−トリ
ニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニ
トロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンおよび2
−ニトロフルオレノンなどのニトロ化合物、テトラシア
ノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタ
ン、4−(P−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’
−ジシアノビニルベンゼンおよび4−(m−ニトロベン
ゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼン
などのシアノ化合物が挙げられる。これらのうちフルオ
レノン系化合物、キノン系化合物、Cl,CN,NO2
などの電子吸引性置換基のあるベンゼン誘導体が特に好
ましい。
【0090】また、安息香酸、スチルベン化合物やその
誘導体、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オ
キサジアゾール化合物、チアゾール化合物およびその誘
導体などの含窒素化合物類のような紫外線吸収剤や酸化
防止剤を含有しても構わない。
【0091】さらに、必要であれば、感光層表面を保護
するために保護層を設けても構わない。保護層には、熱
可塑性樹脂、光または熱硬化性樹脂を用いることができ
る。保護層中に、紫外線防止剤や酸化防止剤、金属酸化
物などの無機材料、有機金属化合物および電子受容性物
質などを含有させても構わない。また、感光層および保
護層には必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エス
テル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化
パラフィンなどの可塑剤を混合させて、加工性および可
撓性を付与し、機械的物性の改良を施してもよく、シリ
コン樹脂などのレベリング剤を混合しても構わない。
【0092】本発明の下引き層を有する電子写真感光体
は、その膜厚が均一であり、塗布欠陥が少ないので、感
光層の膜厚が均一となり、導電性支持体の欠陥を被覆す
ることができる。このため、電気的および環境特性に非
常に優れた欠陥の少ない電子写真感光体を作製すること
ができる。この感光体を反転現像プロセスで画像形成す
る装置に搭載することによって、感光体の欠陥に起因す
る画像欠陥、すなわち白地上に発生する黒点を低減する
ことができ、また塗布ムラによる画像ムラのない良好な
画像特性が得られる。
【0093】すなわち、樹枝状酸化チタンを使用するこ
と、または金属酸化物および/または有機化合物で表面
を被覆した樹枝状の酸化チタンを使用することで、結着
性樹脂とのなじみが向上し、酸化チタン粒子同士の凝集
が抑制されて、分散性および保存安定性に優れた下引き
層用塗布液が得られる。また、導電性支持体からの電荷
の注入を抑えて、良好な画像特性を得ることができる。
【0094】また、下引き層用塗布液に使用する低級ア
ルコールとその他の有機溶剤との混合溶剤、特に共沸組
成の混合溶剤を用いることによって、さらに安定した分
散性を示し、長期間にわたってその安定性が持続する。
したがって、塗布ムラのない均一な塗布膜が形成され、
良好な画像特性が得られる。
【0095】さらに、酸化チタン粒子が樹枝状であれ
ば、粒子が細長いため、下引き層が形成されたときに
は、酸化チタン粒子同士の接触機会が増し、接触面積が
大きくなる。したがって、粒状の酸化チタンを使用する
場合と比べて、下引き層中の酸化チタン粒子の含有量を
低下させても、同等の性能を持つ下引き層を容易に作製
することができる。酸化チタン含有量を少なくすること
ができるので、下引き層の膜強度および導電性支持体と
の接着性を向上することができる。また、長期間の繰返
し使用によっても電気的特性および画像特性の劣化が発
生せず、優れた安定性を持つ電子写真感光体が得られ
る。
【0096】また、酸化チタン含有量が同じ場合、粒状
よりも樹枝状の酸化チタンを用いた方が下引き層の電気
抵抗値が低くなり、下引き層の膜厚を厚くすることがで
きる。このため、下引き層表面には導電性支持体の表面
欠陥が現れず、平坦な下引き層表面を得るうえで有利で
ある。
【0097】これらの作用は、金属酸化物および/また
は有機化合物を2種以上用いて酸化チタン粒子の表面を
被覆することによって、さらにその効果を高めることが
できる。
【0098】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子写真感光体、
電子写真感光体の製造方法、および画像形成装置にかか
る実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明
は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0099】図1(a)に示される感光体1aは機能分
離型であり、該感光体1aの感光層4は電荷発生層5と
電荷輸送層6とに分離されて構成される。下引き層3上
に形成される前記電荷発生層5は、結着性樹脂7と電荷
発生物質8とを含んで構成され、該電荷発生層5上に形
成される前記電荷輸送層6は結着性樹脂18と電荷輸送
物質9とを含んで構成される。図1(b)に示される感
光体1bは単層型であり、該感光体1bの感光層4は単
一である。感光層4は結着性樹脂19と電荷発生物質8
と電荷輸送物質9とを含んで構成される。
【0100】図2は、前記電子写真感光体1a,1bの
製造方法を説明するための浸漬塗布装置を示す図であ
る。塗布液槽13および撹拌槽14内には、塗布液12
が収容される。塗布液12は、モータ16によって循環
経路17aを通って撹拌槽14から塗布液槽13へ送ら
れ、塗布液層13の上部と撹拌層14とをつなぐ下方に
傾斜する循環経路17bを通って塗布液槽13から撹拌
槽14へ送られ、このようにして循環される。塗布液槽
13の上方には、支持体2が回転軸10に取付けられて
いる。回転軸10の軸方向は、塗布液槽13の上下方向
に沿っており、回転軸10をモータ11で回転させるこ
とによって、取付けられた支持体2が昇降する。
【0101】モータ11を予め定められる一方方向に回
転させて支持体2を降下させ、塗布液槽13内の塗布液
12に浸漬する。次に、モータ11を前記一方方向とは
逆の他方方向に回転させて支持体2を上昇させ、塗布液
12から引出し、乾燥させて塗布液12による膜が形成
される。下引き層3、機能分離型の電荷発生層5および
電荷輸送層6、単層型の感光層4は、このような浸漬塗
布法で形成可能である。
【0102】(実施例1)下記の成分をペイントシェー
カーで10時間分散して下引き層用塗布液を調整した。
【0103】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1 (石原産業社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 導電性支持体2として、厚さ100μmのアルミニウム
製導電性支持体を用いて、該支持体2の上に下引き層用
塗布液をベーカアプリケータによって塗布し、110℃
で10分間の熱風乾燥を行って、乾燥膜厚1.0μmの
下引き層3を設けた。
【0104】次に、下記の成分をボールミルで12時間
分散して感光層用塗布液を調整した。その後、該塗布液
をベーカアプリケータによって下引き層3の上に塗布
し、100℃で1時間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚20
μmの感光層4を設け、このようにして単層型の電子写
真感光体1bを作製した。
【0105】 〔感光層用塗布液〕 τ型無金属フタロシアニン Liophoton TPA−891(東洋インキ製造社製) 17.1重量部 ポリカーボネート樹脂 Z−400(三菱瓦斯化学社製) 17.1重量部 ヒドラゾン系化合物 構造式 17.1重量部
【0106】
【化1】
【0107】 ジフェノキノン化合物 構造式 17.1重量部
【0108】
【化2】
【0109】 テトラヒドロフラン 100重量部 (実施例2)実施例1で使用した下引き層用塗布液を用
い、同様にして導電性支持体2の上に下引き層3を設け
た。次に、下記成分をボールミルで12時間分散し、電
荷発生層用塗布液を調整した。その後、該塗布液をベー
カアプリケータによって下引き層3の上に塗布し、12
0℃で10分間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚0.8μm
の電荷発生層5を設けた。
【0110】 〔電荷発生層用塗布液〕 τ型無金属フタロシアニン Liophoton TPA−891(東洋インキ製造社製) 2重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体樹脂 SOLBIN M(日信化学工業社製) 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 さらに、下記成分を混合し、撹拌し溶解して電荷輸送層
用塗布液を調整した。その後、該塗布液をベーカアプリ
ケータによって電荷発生層5の上に塗布し、80℃で1
時間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層
6を設け、このようにして機能分離型の電子写真感光体
1aを作製した。
【0111】 〔電荷輸送層用塗布液〕 ヒドラゾン系化合物 構造式 8重量部
【0112】
【化3】
【0113】 ポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製) 10重量部 シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.002重量部 ジクロロメタン 120重量部 (実施例3)実施例1で使用した下引き層用塗布液を以
下の成分に変えた以外は、実施例1と同様にして下引き
層3を設けた。その後、実施例2と同様にして感光層4
を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0114】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2,ステアリン酸表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分80%) TTO−D−2(石原産業社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例4)実施例1で使用した下引き層用塗布液を以
下の成分に変えた以外は、実施例1と同様にして下引き
層3を設けた後、実施例2と同様にして感光層4を設
け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0115】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分97%) TTO−MI−1(石原産業社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例5)実施例1で使用した下引き層用塗布液を以
下の成分に変え、さらに乾燥条件を120℃、20分間
に変えた以外は、実施例1と同様にして下引き層3を設
けた後、実施例1と同様にして感光層4を設け、単層型
の電子写真感光体1bを作製した。
【0116】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 (実施例6)実施例5で使用した下引き層用塗布液を用
いて実施例5と同様に下引き層3を設けた後、実施例2
と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感
光体1aを作製した。
【0117】(実施例7〜10)実施例5で使用した下
引き層用塗布液を各実施例7〜10で以下の成分にそれ
ぞれ変えた以外は、実施例5と同様にして下引き層3を
設けた後、実施例2と同様にして感光層4を設け、機能
分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0118】 〔下引き層用塗布液(実施例7)〕 酸化チタン(Al23,ZrO2,ステアリン酸表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分80%) TTO−D−2(石原産業社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 〔下引き層用塗布液(実施例8)〕 酸化チタン(Al23表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分97%) TTO−MI−1(石原産業社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 〔下引き層用塗布液(実施例9)〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 3重量部 エポキシ樹脂 BPO−20E(理研化学社製) 3重量部 メタノール 70重量部 水 30重量部 〔下引き層用塗布液(実施例10)〕 酸化チタン(Al2O,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 3重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂 SOLBIN A(日信化学工業社製) 3重量部 メタノール 70重量部 水 30重量部 以上のようにして実施例1〜10で作製した各感光体1
a,1bをシャープ社製デジタル複写機AR−5030
改造機のアルミニウムドラムにそれぞれ巻付けて装着
し、反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、各
実施例1〜10においていずれも欠陥のない良好な画像
が得られた。ただし、下引き層用塗布液を室温暗室下で
30日間保存してポットライフを調べたところ、実施例
1〜4に用いた塗布液において、酸化チタンの凝集がや
や発生しており、塗布液の下部に若干の沈降が見られ
た。ポットライフ30日目において、上述した実施例1
〜10と同様にして各感光体1a,1bを作製して画像
を形成したところ、画像上に若干の黒い斑点状の欠陥が
発生した。
【0119】(比較例1)実施例1で使用した下引き層
用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例1と同様
にして下引き層3を設けた後、実施例1と同様にして感
光層4を設け、単層型の電子写真感光体1bを作製し
た。
【0120】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理粒状、酸化チタン成分:98%) TTO−55N(石原産業社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして作製した感光体1bを用いて実施例1
〜10と同様にして反転現像方式で白ベタの画像を形成
したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生し
た。また、比較例1に用いた下引き層用塗布液は、分散
直後は充分に均一であったが、ポットライフ30日目に
おいて酸化チタンが凝集して塗布液の下部に沈降し、下
引き層3を作製することができず、保存安定性の悪いも
のであった。
【0121】(比較例2)実施例1で使用した下引き層
用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例1と同様
にして下引き層3を設けた後、実施例1と同様にして感
光層4を設け、単層型の電子写真感光体1bを作製し
た。
【0122】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理針状、酸化チタン成分:98%) STR−60N(堺化学社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして作製した感光体1bを用いて実施例1
〜10と同様にして反転現像方式で白ベタの画像を形成
したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生し
た。また、比較例2の下引き層用塗布液のポットライフ
30日目では、酸化チタンはほとんど凝集しておらず、
塗布液の保存安定性には問題がなかった。しかし、ポッ
トライフ30日目において、上述した比較例2と同様に
して感光体1bを作製し画像を形成したところ、画像上
に多数の黒い斑点状の欠陥が発生した。
【0123】(比較例3)比較例1で使用した下引き層
用塗布液を用いて下引き層3を設けた後、実施例2と同
様にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体
1aを作製した。
【0124】以上のようにして作製した感光体1aを用
いて実施例1〜10と同様にして反転現像方式で白ベタ
の画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の
欠陥が発生した。また、比較例3の下引き層用塗布液は
分散直後は充分に均一であったが、ポットライフ30日
目において酸化チタンが凝集して塗布液の下部に沈降し
ており、下引き層3を作製することができず、保存安定
性に問題が生じた。
【0125】(比較例4)比較例2で使用した下引き層
用塗布液を用いて下引き層3を設けた後、実施例2と同
様にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体
1aを作製した。
【0126】以上のようにして作製した感光体1aを用
いて実施例1〜10と同様にして反転現像方式で白ベタ
の画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の
欠陥が発生した。また、比較例4の下引き層用塗布液の
ポットライフ30日目では酸化チタンの凝集はほとんど
発生しておらず、塗布液の保存安定性には問題がなかっ
た。しかし、ポットライフ30日目において上述した比
較例4と同様にして感光体1aを作製し画像を形成した
ところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生した。
【0127】(比較例5)実施例1で使用した下引き層
用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を120
℃、20分間に変えた以外は、実施例1と同様にして下
引き層3を設けた後、実施例1と同様にして感光層4を
設け、単層型の電子写真感光体1bを作製した。
【0128】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理粒状、酸化チタン成分:98%) TTO−55N(石原産業社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 以上のようにして作製した感光体1bを用いて実施例1
〜10と同様にして反転現像方式で白ベタの画像を形成
したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生し
た。また、比較例5の下引き層用塗布液は分散直後は充
分に均一であったが、ポットライフ30日目において塗
布液が増粘していた。またポットライフ30日目におい
て上述した比較例5と同様にして感光体1bを作製する
と、下引き層3に塗布ムラが生じた。さらに画像を形成
したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生
し、塗布ムラに起因する画像欠陥も生じていた。
【0129】(比較例6)比較例3で使用した下引き層
用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を120
℃、20分間に変えた以外は、実施例2と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0130】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理針状、酸化チタン成分:98%) STR−60N(堺化学社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして作製した感光体1aを用いて実施例1
〜10と同様にして反転現像方式で白ベタの画像を形成
したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生し
た。また、比較例6の下引き層用塗布液は分散直後は充
分に均一であったが、ポットライフ30日目において塗
布液が増粘していた。またポットライフ30日目におい
て上述した比較例6と同様にして感光体1aを作製する
と、下引き層3に塗布ムラが生じた。さらに画像を形成
したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が発生
し、塗布ムラに起因する画像欠陥も生じた。
【0131】(比較例7)比較例3で使用した下引き層
用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を120
℃、20分間に変えた以外は、実施例2と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0132】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Fe23表面処理樹枝状、酸化チタン成分:95%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして作製した感光体1aを用いて実施例1
〜10と同様にして反転現像方式で白ベタの画像を形成
したところ、感光体の帯電性および感度はともに著しく
低下し、画像濃度の階調性に乏しいものとなった。さら
に、黒い斑点状の欠陥が非常に多く見られた。なお、比
較例7で用いた酸化チタンは、表面未処理の樹枝状酸化
チタンに5%Fe23を外添処理したものである。
【0133】(比較例8)比較例3で使用した下引き層
用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を120
℃、20分間に変えた以外は、実施例2と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0134】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23:15%,ZrO2:15%表面処理樹枝状、 酸化チタン成分:70%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして作製した感光体1aを用いて実施例1
〜10と同様にして反転現像方式で白ベタの画像を形成
したところ、感光体の感度が著しく低下し、画像濃度の
階調性に乏しいものとなった。また、比較例8の下引き
層用塗布液は分散直後は充分に均一であったが、ポット
ライフ30日目において塗布液が増粘していた。またポ
ットライフ30日目において上述した比較例8と同様に
して感光体1aを作製すると、下引き層3に塗布ムラが
生じた。さらに画像を形成したところ、画像上に多数の
黒い斑点状の欠陥が発生し、塗布ムラに起因する画像欠
陥も生じた。
【0135】実施例1〜10および比較例1〜8の結果
から、酸化チタンの表面を金属酸化物および/または有
機化合物で表面処理することによって、下引き層用塗布
液の保存安定性が向上し、画像欠陥のない良好な画像特
性が得られることが判る。さらに、酸化チタンの表面を
被覆する金属酸化物としては、Al23および/または
ZrO,ZrO2が好ましいことが判る。また、酸化チ
タンの形状としては、図3に示されるような樹枝状が好
ましいことが判る。
【0136】(実施例11)実施例1で使用した下引き
層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例1と同
様にして下引き層3を設けた後、実施例2と同様にして
感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作
製した。
【0137】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例12)実施例1で使用した下引き層用塗布液を
以下の成分に変えた以外は、実施例1と同様にして下引
き層3を設けた後、実施例2と同様にして感光層4を設
け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0138】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン 0.15重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例13〜16)実施例12で使用した下引き層用
塗布液に用いられたシランカップリング剤を各実施例1
3〜16で以下の成分および使用量にそれぞれ変えた以
外は、実施例1と同様にして下引き層3を設けた後、実
施例2と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電子
写真感光体1aを作製した。
【0139】 (実施例13) γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン 0.6重量部 (実施例14) フェニルトリクロロシラン 0.15重量部 (実施例15) ビス(ジオクチルパイロホフェート) 0.15重量部 (実施例16) アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート 0.15重量部 (実施例17,18)実施例11で使用した下引き層用
塗布液に用いられた結着性樹脂を各実施例17,18で
以下の樹脂にそれぞれ変えた以外は、実施例11と同様
にして下引き層3を設けた後、実施例2と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0140】(実施例17)N−メトキシメチル化ナイ
ロン樹脂 EF−30T(帝国化学社製) (実施例18)アルコール可溶性ナイロン樹脂 VM1
71 (ダイセル・ヒュルス社製) (実施例19)実施例11で使用した下引き層用塗布液
に用いられた酸化チタンを以下の酸化チタンに変えた以
外は、実施例11と同様にして下引き層3を設けた後、
実施例2と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電
子写真感光体1aを作製した。
【0141】 酸化チタン(Al,ZrO表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85% ) TTO−D−1(石原産業社製) 1.5重量部 酸化チタン(Al,SiO表面処理針状ルチル型 チタン成分91% ) STR−60S(堺化学社製) 1.5重量部 (実施例20) 実施例11で使用した下引き層用塗布液に用いられた酸
化チタンを以下の酸化チタンに変えた以外は、実施例1
1と同様にして下引き層3を設けた後、実施例2と同様
にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1
aを作製した。
【0142】 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 2重量部 表面処理粒状アナターゼ型 チタン成分98% TA−300(富士チタン工業社製) 1重量部 以上のようにしてして実施例11〜20で作製した感光
体1aを用いて実施例1〜10と同様にして反転現像方
式で白ベタの画像を形成したところ、各実施例11〜2
0においていずれの感光体1aでも欠陥のない良好な画
像が得られた。さらに、ポットライフ30日目において
酸化チタンの凝集は発生しておらず、実施例19を除い
て塗布液の保存安定性は問題がなかった。実施例19で
は、若干の酸化チタンの沈降が見られた。またポットラ
イフ30日目において上述したのと同様にして各感光体
1aを作製し、画像を形成したところ、実施例19,2
0を除いてポットライフの初期と同様に欠陥のない良好
な画像が得られた。実施例19,20では、若干の黒い
斑点状の欠陥が発生した。
【0143】(比較例9)実施例11で使用した下引き
層用塗布液に用いられた酸化チタンを以下の酸化チタン
に変えた以外は、実施例11と同様にして下引き層3を
設けた後、実施例2と同様にして感光層4を設け、機能
分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0144】 SnO2 Sbドープ表面処理樹枝状 導電性処理 FT−1000(石原産業社製) 3重量部 以上のようにしてして比較例9で作製した感光体1aを
用いて実施例1〜10と同様にして反転現像方式で白ベ
タの画像を形成したところ、帯電性が非常に悪く、カブ
リの多い画像となった。
【0145】実施例11〜20および比較例9の結果か
ら、酸化チタンの表面を金属酸化物および/または有機
化合物で表面処理することによって、下引き層用塗布液
の保存安定性が向上し、画像欠陥のない良好な画像特性
が得られることが判る。さらに、酸化チタンの表面を被
覆する金属酸化物としては、Al23および/またはZ
rO,ZrO2が好ましいことが判る。また、導電性処理
を施した酸化チタンを用いると、感光体の帯電性が著し
く低下することが判る。また、酸化チタンの形状として
は、樹枝状が好ましいことが判る。さらに、結着性樹脂
としてポリアミド樹脂を使用するこよとによって、下引
き層用塗布液の保存安定性が向上し、長時間経過後の塗
布液を用いて作製した感光体において、優れた画像特性
が得られることが判る。
【0146】(実施例21)実施例1で使用した下引き
層用塗布液を以下の成分に変え、実施例1と同様にして
下引き層用塗布液を調整した。次に、図2に示した浸漬
塗布装置を用い、直径65mm、長さ348mmのアル
ミニウムドラムを下引き層用塗布液に浸漬し、ドラム表
面に塗布液を塗布して、乾燥膜厚0.05μmの下引き
層3を設けた。
【0147】次に、実施例2と同様にして感光層用塗布
液を調整し、電荷発生層5および電荷輸送層6を順次設
けるために、各塗布液に浸漬塗布した後、80℃で1時
間の熱風乾燥をそれぞれ行い、乾燥膜厚27μmの感光
層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0148】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理樹枝状ルチル型 チタン成分85%) TTO−D−1(石原産業社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例22〜24)実施例21で使用した下引き層塗
布液を用いて乾燥膜厚をそれぞれ1,5および10μm
の下引き層3とした以外は実施例21と同様にして下引
き層3を設けた後、実施例21と同様にして感光層4を
設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0149】 (実施例22) 下引き層3の膜厚 1μm (実施例23) 下引き層3の膜厚 5μm (実施例24) 下引き層3の膜厚 10μm 以上のようにして実施例21〜24で作製した感光体1
aをシャープ社製デジタル複写機AR−5030に搭載
して反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、実
施例21〜24においていずれも欠陥のない良好な画像
が得られた。
【0150】(比較例10,11)実施例21で使用し
た下引き層用塗布液を用いて乾燥膜厚をそれぞれ0.0
1および5μmの下引き層3とした以外は実施例21と
同様にして下引き層3を設けた後、実施例21と同様に
して感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1a
を作製した。
【0151】 (比較例10) 下引き層3の膜厚 0.01μm (比較例11) 下引き層3の膜厚 15μm 以上のようにして比較例10,11で作製した感光体1
aをシャープ社製デジタル複写機AR−5030に搭載
して反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、比
較例10,11においていずれも欠陥のない良好な画像
が得られた。さらに、10℃、15%RHの低温低湿環
境下で30000枚の耐刷試験を行ったところ、表1に
示すような結果が得られた。
【0152】
【表1】
【0153】表1から、下引き層3の膜厚が0.05μ
m〜10μmの範囲であると安定した感度を示すことが
判る。また、30000枚の耐刷試験後の画像特性にお
いて、実施例21〜24では初期と同様の良好な画像が
得れたが、比較例10では耐刷試験後非常に多くの黒い
斑点状の欠陥が発生した。
【0154】(実施例25〜28)実施例21で使用し
た下引き層用塗布液を用いて、酸化チタン(P)とポリ
アミド樹脂(R)との比率を各実施例25〜28でそれ
ぞれ10/90,35/65,70/30,99/1に
した以外は、実施例21と同様にして乾燥膜厚1.0μ
mの下引き層3を設けた後、実施例21と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0155】 (実施例25) P/R=10/90 (実施例26) P/R=35/65 (実施例27) P/R=70/30 (実施例28) P/R=99/1 以上のようにして実施例25〜28で作製した感光体1
aをシャープ社製デジタル複写機AR−5030に搭載
して反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、実
施例25〜28のいずれも欠陥のない良好な画像が得ら
れた。さらに、10℃、15%RHの低温低湿環境下で
30000枚の耐刷試験を行ったところ、表2に示すよ
うな結果が得られた。
【0156】
【表2】
【0157】表2から、下引き層中の酸化チタン含有量
が10重量%〜99重量%の範囲のときに、安定した感
度を示すことが判る。また、30000枚の耐刷試験後
の画像特性を調べると、実施例25〜27では初期と同
様の良好な画像が得れたが、実施例28では耐刷試験後
若干の黒い斑点状の欠陥が発生した。
【0158】(実施例29〜34)実施例22で使用し
た下引き層用塗布液を用い、使用する有機溶剤を下記の
ような組成にした以外は実施例21と同様にして下引き
層3を設けた後、実施例22と同様にして感光層4を設
け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。各溶
剤の数字は重量部を示す。
【0159】(実施例29) メチルアルコール/1,2−ジクロロプロパン=43.
46/38.54 (実施例30) メチルアルコール/クロロホルム=10.33/71.
67 (実施例31) メチルアルコール/テトラヒドロフラン=25.50/
56.50 (実施例32) メチルアルコール/トルエン=58.30/23.70 (実施例33) エチルアルコール/クロロホルム=30/52 (実施例34) エチルアルコール/ジクロロメタン=70/12 以上のようにして実施例29〜34で作製した感光体1
aを、下引き層3のみを形成した場合と、感光層4まで
形成した場合との、塗布ムラを目視で調べたところ、い
ずれの有機溶剤を使用した場合でも塗布ムラは見られな
かった。また、画像欠陥のない良好な画像特性が得られ
た。さらに、ポットライフ30日目に同様の塗布膜を形
成し、画像特性を調べても初期と同様の良好な膜特性と
画像特性が得られた。
【0160】(比較例12)実施例22で使用した下引
き層用塗布液に使用する有機溶剤をメチルアルコール8
2重量部にした以外は、実施例22と同様にして下引き
層3を設けた後、実施例21と同様にして感光層4を設
け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0161】以上のようにして比較例12で作製した感
光体1aを、下引き層3のみを形成した場合と、感光層
4まで形成した場合との、塗布ムラを目視で調べたとこ
ろ、下引き層3の塗布時においてタレが発生し、画像ム
ラとしてキメの粗いざらついた画像となった。さらに、
ポットライフ30日目に同様の塗布膜を形成し、画像特
性を調べると、下引き層3のタレが大きくなり、キメの
粗く黒い斑点状の欠陥が発生した。
【0162】(実施例35)実施例1で使用した下引き
層用塗布液中に、直径80mm、長さ348mmのアル
ミニウムドラムを浸漬し、ドラム表面に塗布液を塗布し
て、乾燥膜厚が1.0μmの下引き層3を設けた。次
に、下記の成分をペイントシェーカーで8時間分散し、
電荷発生層用塗布液を調整した。
【0163】 〔電荷発生層用塗布液〕 ビスアゾ顔料 構造式 2重量部
【0164】
【化4】
【0165】 塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体樹脂 SOLBIN M(日信化学工業社製) 2重量部 1,2−ジメトキシエタン 100重量部 下引き層3を設けたアルミニウムドラムを電荷発生層用
塗布液中に浸漬塗布して、乾燥膜厚が1.0μmの電荷
発生層5を設けた。続いて、下記の成分を混合し撹拌し
溶解して電荷輸送層用塗布液を調整した。該塗布液中に
電荷発生層5まで形成したアルミニウムドラムを浸漬塗
布し、80℃で1時間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚20
μmの電荷輸送層6を設け、機能分離型の電子写真感光
体1aを作製した。
【0166】 〔電荷輸送層用塗布液〕 ヒドラゾン系化合物 構造式 8重量部
【0167】
【化5】
【0168】 ポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製) 10重量部 シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.002重量部 ジクロロメタン 120重量部 以上のようにして実施例35で作製した電子写真感光体
1aをシャープ社製SF−8870の画像形成装置に搭
載して画像を形成したところ、感光層4の塗布ムラがな
く、画像欠陥のない優れた画像特性が得られた。
【0169】以上のように実施例1〜35から、樹枝状
の酸化チタン粒子を下引き層3に含有し、さらに酸化チ
タン表面を金属酸化物および/または有機化合物で被覆
することによって、非常に分散性や保存安定性の優れた
下引き層用塗布液が得られる。また、導電性支持体2か
らの電荷の注入が抑制されるので、反転現象プロセスの
画像形成装置に搭載した場合でも非常に良好な画像特性
が得られる。さらに、結着性樹脂との馴染みがよくなり
酸化チタン粒子同士の凝集が少なくなる。また、下引き
層用塗布液に使用する低級アルコールとその他の有機溶
剤との混合溶剤、もしくはその共沸組成の混合溶剤を用
いることによって、非常に安定した分散性を示し、長期
間にわたってその安定性が持続し、均一な下引き層3を
形成することができ、良好な画質特性が得られる。ま
た、樹枝状の酸化チタンを用いるので、環境特性に優
れ、長期間の繰返し使用による電気的特性および画像特
性の劣化が発生せず、非常に安定した特性をもつ電子写
真感光体1a,1bが得られる。
【0170】このように、下引き層用塗布液は分散性お
よび安定性に優れ、導電性支持体2に浸漬塗布して均一
な下引き層3が得られ、良好な画質特性を有する高感度
かつ長寿命の電子写真感光体1a,1b、その製造方法
およびそれを用いた画像形成装置を提供することができ
る。
【0171】(実施例36)下記の成分をペイントシェ
ーカーで10時間分散し、下引き層用塗布液を調整し
た。
【0172】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(ZnO表面処理針状、酸化チタン成分:90%) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 導電性支持体2として、厚さ100μmのアルミニウム
製導電性支持体を用いて、この上に上記下引き層用塗布
液をベーカアプリケータによって塗布し、110℃で1
0分間の熱風乾燥を行って、乾燥膜厚が1.0μmの下
引き層3を設けた。なお、実施例36で用いた酸化チタ
ンは、表面未処理の酸化チタンを10%ZnOで処理し
たものである。
【0173】次に、下記の成分をボールミルで12時間
分散し、感光層用塗布液を作製したその後、該塗布液を
ベーカアプリケータによって下引き層3の上に塗布し、
100℃で1時間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚が20μ
mの感光層4を設け、単層型の電子写真感光体1aを作
製した。
【0174】 〔感光層用塗布液〕 τ型無金属フタロシアニン Liophoton TPA−891(東洋インキ製造社製) 17.1重量部 ポリカーボネート樹脂 Z−400(三菱瓦斯化学社製) 17.1重量部 ヒドラゾン系化合物 構造式 17.1重量部
【0175】
【化6】
【0176】 ジフェノキノン化合物 構造式 17.1重量部
【0177】
【化7】
【0178】 テトラヒドロフラン 100重量部 (実施例37)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を用いて同様に下引き層3を設けた。次に、下記成分を
ボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗布液を調
整した。その後、該塗布液をベーカアプリケータによっ
て下引き層3の上に塗布し、120℃で10分間の熱風
乾燥を行い、乾燥膜厚が0.8μmの電荷発生層5を設
けた。
【0179】 〔電荷発生層用塗布液〕 τ型無金属フタロシアニン Liophoton TPA−891(東洋インキ製造社製) 2重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体樹脂 SOLBIN M(日信化学工業社製) 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 さらに、下記成分を混合し、撹拌し、溶解して電荷輸送
層用塗布液を調整した。その後、該塗布液をベーカアプ
リケータによって電荷発生層5の上に塗布し、80℃で
1時間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚が20μmの電荷輸
送層6を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0180】 〔電荷輸送層用塗布液〕 ヒドラゾン系化合物 構造式 8重量部
【0181】
【化8】
【0182】 ポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製) 10重量部 シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.002重量部 ジクロロメタン 120重量部 (実施例38)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を以下の成分に変えた以外は、実施例36と同様にして
下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光層
4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0183】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23表面処理針状、酸化チタン成分:90%) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例39)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を以下の成分に変えた以外は、実施例36と同様にして
下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光層
4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0184】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(アミノプロピルトリメトキシシラン表面処理針状、 酸化チタン成分:90%) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例40)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を120℃、20
分間に変えた以外は、実施例36と同様にして下引き層
3を設けた後、実施例36と同様にして感光層4を設
け、単層型の電子写真感光体1aを作製した。
【0185】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(ZnO表面処理針状、酸化チタン成分:90%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 (実施例41)実施例40で使用した下引き層用塗布液
を用いて実施例40と同様にして下引き層3を設けた
後、実施例37と同様にして感光層4を設け、機能分離
型の電子写真感光体1aを作製した。
【0186】(実施例42〜45)実施例40で使用し
た下引き層用塗布液を各実施例42〜45で以下の成分
にそれぞれ変えた以外は、実施例40と同様にして下引
き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光層4を
設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0187】 〔下引き層用塗布液(実施例42)〕 酸化チタン(Al23表面処理針状、酸化チタン成分:95%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 〔下引き層用塗布液(実施例43)〕 酸化チタン(ZrO2 表面処理針状、酸化チタン成分:95%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 〔下引き層用塗布液(実施例44)〕 酸化チタン(Al23:5%、ZrO2:5%表面処理針状、 酸化チタン成分:90%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 〔下引き層用塗布液(実施例45)〕 酸化チタン(Al23:10%、ZrO2:10%表面処理針状、 酸化チタン成分:80%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 以上のようにして実施例36〜45で作製した各感光体
1a,1bをシャープ社製デジタル複写機AR−503
0改造機のアルミニウムドラムに巻付けてそれぞれ装着
し、反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、実
施例36〜45においていずれも欠陥のない良好な画像
が得られた。しかし、ポットライフ30日目において、
実施例36〜39については酸化チタンの凝集がやや発
生しており塗布液の下部に若干の沈降が見られた。ま
た、ポットライフ30日目において上述した実施例36
〜45と同様にして各感光体1a,1bを作製し画像を
形成したところ、画像上に若干の黒い斑点状の欠陥が発
生した。これらの結果を表3にまとめて示す。
【0188】
【表3】
【0189】(比較例13)実施例36で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例36
と同様にして下引き層3を設けた後、実施例36と同様
にして感光層4を設け、単層型の電子写真感光体1bを
作製した。
【0190】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理粒状、酸化チタン成分:98%) TTO−55N(石原産業社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして比較例13で作製した感光体1bを用
いて実施例36〜45と同様に反転現像方式で白ベタの
画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠
陥が発生した。また、下引き層用塗布液は、分散直後は
充分に均一であったが、ポットライフ30日目において
酸化チタンが凝集して塗布液の下部に沈降しており、下
引き層3を作製することができず保存安定性に問題が生
じた。
【0191】(比較例14)実施例36で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例36
と同様にして下引き層3を設けた後、実施例36と同様
にして感光層4を設け、単層型の電子写真感光体1bを
作製した。
【0192】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理針状、酸化チタン成分:98%) STR−60N(堺化学社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして比較例14で作製した感光体1bを用
いて実施例36〜45と同様にして反転現像方式で白ベ
タの画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状
の欠陥が発生した。さらに、ポットライフ30日目にお
いて酸化チタンの凝集はほとんど発生しておらず、塗布
液の保存安定性は問題がなかった。しかし、ポットライ
フ30日目において比較例14と同様にして感光体1b
を作製し画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑
点状の欠陥が発生した。
【0193】(比較例15)比較例13で使用した下引
き層用塗布液を用いて下引き層3を設けた後、実施例3
7と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真
感光体1aを作製した。
【0194】比較例15で作製した感光体1aを用いて
実施例36〜45と同様にして反転現像方式で白ベタの
画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠
陥が発生した。また、下引き層用塗布液は分散直後は充
分に均一であったが、ポットライフ30日目において酸
化チタンが凝集して塗布液の下部に沈降しており、下引
き層3を作製することができず保存安定性に問題が生じ
た。
【0195】(比較例16)比較例14で使用した下引
き層用塗布液を用いて下引き層3を設けた後、実施例3
7と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真
感光体1aを作製した。
【0196】比較例16で作製した感光体1aを用いて
実施例36〜45と同様に反転現像方式で白ベタの画像
を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥が
発生した。また、ポットライフ30日目において酸化チ
タンの凝集はほとんど発生しておらず、塗布液の保存安
定性は問題がなかった。しかし、ポットライフ30日目
において比較例16と同様にして感光体1aを作製し画
像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠陥
が発生した。
【0197】(比較例17)実施例36で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を1
20℃、20分間に変えた以外は、実施例36と同様に
して下引き層3を設けた後、実施例36と同様にして感
光層4を設け、単層型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0198】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理粒状、酸化チタン成分:98%) TTO−55N(石原産業社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 70重量部 水 30重量部 以上のようにして比較例17で作製した感光体1aを用
いて実施例36〜45と同様に反転現像方式で白ベタの
画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状の欠
陥が発生した。また、下引き層用塗布液は分散直後は充
分に均一であったが、ポットライフ30日目において塗
布液が増粘していた。このとき、比較例17と同様にし
て感光体1aを作製すると、下引き層3に塗布ムラが生
じた。また、画像を形成したところ、画像上に多数の黒
い斑点状の欠陥が発生し、塗布ムラに起因する画像欠陥
も生じた。
【0199】(比較例18)比較例15で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を1
20℃、20分間に変えた以外は、実施例37と同様に
して下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0200】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理針状、酸化チタン成分:98%) STR−60N(堺化学社製) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして比較例18で作製した感光体1aを用
いて実施例36〜45と同様にして反転現像方式で白ベ
タの画像を形成したところ、画像上に多数の黒い斑点状
の欠陥が発生した。また、下引き層用塗布液は分散直後
は充分に均一であったが、ポットライフ30日目におい
て塗布液が増粘していた。このとき、比較例18と同様
にして感光体1aを作製すると、下引き層3に塗布ムラ
が生じた。また画像を形成したところ、画像上に多数の
黒い斑点状の欠陥が発生し、塗布ムラに起因する画像欠
陥も生じた。
【0201】(比較例19)比較例15で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を1
20℃、20分間に変えた以外は、実施例37と同様に
して下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0202】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Fe23表面処理針状、酸化チタン成分:95%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして比較例19で作製した感光体1aを用
いて実施例36〜45と同様にして反転現像方式で白ベ
タの画像を形成したところ、感光体1aの帯電性および
感度とも著しく低下し、画像濃度の階調性に乏しいもの
であった。さらに、黒い斑点状の欠陥が非常に多く見ら
れた。また、ポットライフ30日後では、下引き層用塗
布液はやや凝集し沈降しており、画像に黒い斑点状の欠
陥が非常に多く見られた。
【0203】(比較例20)比較例15で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変え、さらに乾燥条件を1
20℃、20分間に変えた以外は、実施例37と同様に
して下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感
光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製
した。
【0204】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23:15%,ZrO3:15%表面処理針状、 酸化チタン成分:70%) 3重量部 水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業製) 3重量部(固形分重量) メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして比較例20で作製した感光体1aを用
いて実施例36〜45と同様に反転現像方式で白ベタの
画像を形成したところ、感光体1aの感度が著しく低下
し、画像濃度の階調性に乏しく、黒い斑点状の欠陥が多
く見られた。また、下引き層用塗布液は分散直後は充分
に均一であったが、ポットライフ30日目において塗布
液が増粘していた。このとき、比較例20と同様にして
感光体1aを作製すると、下引き層3に塗布ムラが生じ
た。また画像を形成したところ画像上に多数の黒い斑点
状の欠陥が発生し、塗布ムラに起因する画像欠陥も生じ
た。比較例13〜20の評価結果を表4にまとめて示
す。
【0205】
【表4】
【0206】実施例36〜45および比較例13〜20
の結果から、酸化チタンの表面を金属酸化物および/ま
たは有機化合物で表面処理することによって、下引き層
用塗布液の保存安定性が向上することが判る。また、画
像欠陥のない良好な画像特性が得られることが判る。さ
らに、酸化チタン表面を被覆する金属酸化物としては、
Al23および/またはZrO,ZrO2が好ましいこと
が判る。また、酸化チタンの形状としては、針状が好ま
しいことが判る。
【0207】(実施例46)実施例36で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例36
と同様にして下引き層3を設けた後、実施例37と同様
にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1
aを作製した。
【0208】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23表面処理針状、酸化チタン成分:90%) STR−60(堺化学社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例47)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を以下の成分に変えた以外は、実施例36と同様にして
下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光層
4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0209】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23表面処理針状、酸化チタン成分:90%) STR−60(堺化学社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン 0.15重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例48〜51)実施例47で使用した下引き層用
塗布液に用いたシランカップリング剤を、各実施例48
〜51で以下の成分および使用量にそれぞれ変えた以外
は、実施例36と同様にして下引き層3を設けた後、実
施例37と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電
子写真感光体1aを作製した。
【0210】 (実施例48) γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン 0.6重量部 (実施例49) フェニルトリクロロシラン 0.15重量部 (実施例50) ビス(ジオクチルパイロホフェート) 0.15重量部 (実施例51) アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート 0.15重量部 (実施例52,53)実施例46で使用した下引き層用
塗布液に用いた結着性樹脂を各実施例52,53で以下
の樹脂にそれぞれ変えた以外は、実施例46と同様にし
て下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光
層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0211】(実施例52) N−メトキシメチル化ナ
イロン樹脂EF−30T(帝国化学社製) (実施例53) アルコール可溶性ナイロン樹脂VM1
71 (ダイセル・ヒュルス社製) (実施例54)実施例46で使用した下引き層用塗布液
中に用いた酸化チタンを以下の酸化チタンに変えた以外
は、実施例46と同様にして下引き層3を設けた後、実
施例37と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電
子写真感光体1aを作製した。
【0212】 Al23,ZrO2表面処理針状ルチル型 チタン成分86% TTO−M−1(石原産業社製) 1.5重量部 Al23,SiO2表面処理針状ルチル型 チタン成分91% STR−60S(堺化学社製) 1.5重量部 (実施例55)実施例46で使用した下引き層用塗布液
中に用いた酸化チタンを以下の酸化チタンに変えた以外
は、実施例46と同様にして下引き層3を設けた後、実
施例37と同様にして感光層4を設け、機能分離型の電
子写真感光体1aを作製した。
【0213】 Al23,ZrO2表面処理針状ルチル型 チタン成分88% TTO−S−1(石原産業社製) 2重量部 表面処理粒状アナターゼ型 チタン成分98% TA−300(富士チタン工業社製) 1重量部 以上のようにしてして実施例46〜55で作製した感光
体1aを用いて実施例36〜45と同様に反転現像方式
で白ベタの画像を形成したところ、いずれの感光体でも
欠陥のない良好な画像が得られた。さらに、ポットライ
フ30日目において酸化チタンの凝集は発生しておら
ず、実施例54を除いて塗布液の保存安定性は問題がな
かった。実施例54では、若干の酸化チタンの沈降が見
られた。またポットライフ30日目において各実施例4
6〜55と同様にして感光体1aを作製し画像を形成し
たところ、実施例54,55を除いてポットライフの初
期と同様に欠陥のない良好な画像が得られた。実施例5
4,55では、若干の黒い斑点状の欠陥が発生した。こ
れらの評価結果を表5にまとめて示す。
【0214】
【表5】
【0215】(比較例21)実施例46で使用した下引
き層塗布液中に用いた酸化チタンを以下の酸化チタンに
変えた以外は、実施例46と同様にして下引き層3を設
けた後、実施例37と同様にして感光層4を設け、機能
分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0216】 SnO2 Sbドーブ表面処理針状 導電性処理 FT−1000(石原産業社製) 3重量部 以上のようにしてして比較例21で作製した感光体1a
を用いて実施例36〜45と同様に反転現像方式で白ベ
タの画像を形成したところ、帯電性が非常に悪くカブリ
の多い画像となった。また、ポットライフ30日後で
は、塗布液に凝集および沈降が発生し、画像は初期と同
様にカブリの多いものであった。この結果を表5に併せ
て示す。
【0217】実施例46〜55および比較例21の結果
から、酸化チタンの表面を金属酸化物および/または有
機化合物で表面処理することによって、下引き層用塗布
液の保存安定性が向上することが判る。また、画像欠陥
のない良好な画像特性が得られることが判る。さらに、
酸化チタン表面を被覆する金属酸化物としては、Al2
3および/またはZrO,ZrO2が好ましいことが判
る。また、導電性処理を施した酸化チタンでは、感光体
の帯電性が著しく低下することが判る。また、酸化チタ
ンの形状としては、針状が好ましいことが判る。さら
に、結着性樹脂としてポリアミド樹脂を使用するこよと
によって、下引き層用塗布液の保存安定性が向上し、長
時間経過後の塗布液を用いて作製した感光体の画像特性
が優れていることが判る。
【0218】(実施例56)実施例36で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変え、実施例36と同様に
して下引き層用塗布液を調整した。その後、図2に示す
浸漬塗布装置を用い、直径65mm、長さ348mmの
アルミニウムドラムを下引き層用塗布液に浸漬し、ドラ
ム表面に塗布液を塗布して、乾燥膜厚が0.5μmの下
引き層3を設けた。次に、実施例37と同様にして電荷
発生層5および電荷輸送層6を順次設けるために、各塗
布液を調整してアルミニウムドラムを浸漬塗布した後、
80℃で1時間の熱風乾燥を行い、乾燥膜厚が27μm
の感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを
作製した。
【0219】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23,ZrO2表面処理針状ルチル型 チタン成分86%) TTO−M−1(石原産業社製) 1.5重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例57〜59)実施例56で使用した下引き層塗
布液を用いて乾燥膜厚を1,5および10μmとした以
外は、実施例56と同様にして下引き層3を設けた後、
実施例56と同様にして感光層4を設け、機能分離型の
電子写真感光体1aを作製した。
【0220】 (実施例57) 下引き層3の膜厚 1μm (実施例58) 下引き層3の膜厚 5μm (実施例59) 下引き層3の膜厚 10μm 以上のようにして実施例56〜59で作製した感光体1
aをシャープ社製デジタル複写機AR−5030に搭載
して反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、実
施例56〜59において欠陥のない良好な画像が得られ
た。
【0221】(比較例22,23)実施例56で使用し
た下引き層用塗布液を用いて乾燥膜厚を0.01および
15μmとした以外は、実施例56と同様にして下引き
層3を設けた後、実施例56と同様にして感光層4を設
け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0222】 (比較例22) 下引き層3の膜厚 0.01μm (比較例23) 下引き層3の膜厚 15μm 以上のようにして比較例22,23で作製した感光体1
aをシャープ社製デジタル複写機AR−5030に搭載
して反転現像方式で白ベタの画像を形成したところ、比
較例22,23において欠陥のない良好な画像が得られ
た。
【0223】さらに、実施例56〜59および比較例2
2,23で作製した感光体1aに対して、10℃、15
%RHの低温低湿環境下で30000枚の耐刷試験を行
ったところ、表6に示す結果が得られた。
【0224】
【表6】
【0225】表6から、下引き層3の膜厚が0.05μ
m〜10μmの範囲であれば、安定した感度を示すこと
が判る。また、30000枚の耐刷試験後の画像特性を
調べたところ、実施例56〜59では初期と同様の良好
な画像が得れた。しかし、比較例22では耐刷試験後に
非常に多くの黒い斑点状の欠陥が発生し、比較例23で
は感度が著しく低下した。
【0226】(実施例60〜63)実施例56で使用し
た下引き層用塗布液を用いて、酸化チタン(P)とポリ
アミド樹脂(R)との比率を各実施例60〜63でそれ
ぞれ10/90,35/65,70/30,99/1に
した以外は、実施例56と同様にして下引き層3を設け
た後、実施例56と同様にして感光層4を設け、機能分
離型の電子写真感光体1aを作製した。
【0227】(実施例60) P/R=10/90 (実施例61) P/R=35/65 (実施例62) P/R=70/30 (実施例63) P/R=99/1 以上のようにして作製した感光体1aをシャープ社製デ
ジタル複写機AR−5030に搭載して反転現像方式で
白ベタの画像を形成したところ、実施例60〜63のい
ずれも欠陥のない良好な画像が得られた。さらに、10
℃、15%RHの低温低湿環境下で30000枚の耐刷
試験を行ったところ、表7に示す結果が得られた。
【0228】
【表7】
【0229】表7から、下引き層中の酸化チタンの含有
量が、10重量%〜99重量%の範囲であると、安定し
た感度を示すことが判る。また、30000枚の耐刷試
験後の画像特性を調べたところ、実施例60〜62では
初期と同様の良好な画像が得れた。しかし、実施例63
では耐刷試験後に若干の黒い斑点状の欠陥が発生した。
【0230】(実施例64〜69)実施例56で使用し
た下引き層用塗布液を用い、使用する有機溶剤を各実施
例64〜69で下記のような組成にした以外は、実施例
56と同様にして下引き層3を設けた後、実施例56と
同様にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光
体1aを作製した。各溶剤の数字は重量部を示す。
【0231】(実施例64) メチルアルコール/1,2-ジクロロプロパン=43.4
6/38.54 (実施例65) メチルアルコール/クロロホルム=10.33/71.6
7 (実施例66) メチルアルコール/テトラヒドロフラン=25.50/
56.50 (実施例67) メチルアルコール/トルエン=58.30/23.70 (実施例68) エチルアルコール/クロロホルム=30/52 (実施例69) エチルアルコール/ジクロロメタン=70/12 以上のようにして実施例64〜69で作製した感光体1
aにおいて、下引き層3のみを形成した場合と、感光層
4まで形成した場合との、塗布ムラを目視で調べたとこ
ろ、いずれの有機溶剤を使用した場合でも塗布ムラは見
られなかった。また、画像欠陥のない良好な画像特性が
得られた。さらに、ポットライフ30日後に各実施例6
4〜69と同様の塗布膜を形成し画像特性を調べたとこ
ろ、初期と同様の良好な膜特性と画像特性が得られた。
【0232】(比較例24)実施例56で使用した下引
き層用塗布液を用い、使用する有機溶剤をメチルアルコ
ール82重量部にした以外は、実施例56と同様にして
下引き層3を設けた後、実施例56と同様にして感光層
4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0233】以上のようにして比較例24で作製した感
光体1aにおいて、下引き層3のみを形成した場合と、
感光層4まで形成した場合との、塗布ムラを目視で調べ
たところ、下引き層の塗布時においてタレが発生し、画
像ムラとしてキメの粗いざらついた画像となった。さら
に、ポットライフ30日後に比較例24と同様の塗布膜
を形成し画像特性を調べたところ、下引き層のタレが大
きくなり、キメの粗く黒い斑点状の欠陥が発生した。
【0234】(実施例70)実施例36で使用した下引
き層用塗布液を以下の成分に変えた以外は、実施例36
と同様にして下引き層3を設けた後、実施例37と同様
にして感光層4を設け、機能分離型の電子写真感光体1
aを作製した。
【0235】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(Al23表面処理針状、酸化チタン成分:90%) 0.05μm×0.01μm アスペクト比5 STR−60(堺化学社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 0.15重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例71)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を以下の成分に変えた以外は、実施例36と同様にして
下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光層
4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0236】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(ラウリン酸Al表面処理針状、酸化チタン成分:83%) 0.02μm×0.01μm アスペクト比2 MT−100S(テイカ社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 0.15重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 (実施例72)実施例36で使用した下引き層用塗布液
を以下の成分に変えた以外は、実施例36と同様にして
下引き層3を設けた後、実施例37と同様にして感光層
4を設け、機能分離型の電子写真感光体1aを作製し
た。
【0237】 〔下引き層用塗布液〕 酸化チタン(表面未処理針状、酸化チタン成分:83%) 3〜6μm×0.05〜0.1μm アスペクト比30〜120 FTL−100(石原産業社製) 3重量部 アルコール可溶性ナイロン樹脂 CM8000(東レ社製) 3重量部 γ−クロロプロピルトリメトキシシラン 0.15重量部 メタノール 35重量部 1,2−ジクロロエタン 65重量部 以上のようにして実施例70〜72で作製した感光体1
aを用いて実施例36〜45と同様にして反転現像方式
で白ベタの画像を形成したところ、いずれの感光体でも
欠陥の無い良好な画像が得られた。また、ポットライフ
30日目において酸化チタンの凝集は発生しておらず、
塗布液の保存安定性は問題がなかった。またポットライ
フ30日目において各実施例70〜72と同様に感光体
1aをそれぞれ作製し画像を形成したところ、ポットラ
イフの初期と同様にいずれの感光体でも欠陥の無い良好
な画像が得られた。
【0238】以上のように実施例36〜72から、針状
の酸化チタン粒子の表面を金属酸化物および/または有
機化合物で表面を被覆することによって、非常に分散性
や保存安定性の優れた下引き層用塗布液が得られる。ま
た、導電性支持体2からの電荷の注入が抑制されるの
で、反転現像プロセスの画像形成装置に搭載して非常に
良好な画像特性を得ることができる。さらに、結着性樹
脂との馴染みがよくなり、酸化チタン粒子同士の凝集が
少なくなる。また、下引き層用塗布液に使用する低級ア
ルコールとその他の有機溶剤との混合溶剤、もしくはそ
の共沸組成の混合溶剤を用いることによって、塗布液は
非常に安定した分散性を示し、長期間にわたってその安
定性が持続する。また、該塗布液によって均一な下引き
層3を形成でき、良好な画質特性が得られる。さらに、
針状の酸化チタン粒子を用いるので、環境特性に優れ、
長期間の繰返し使用による電気的特性および画像特性の
劣化が発生せず、非常に安定した特性をもつ電子写真感
光体1a,1bが得られる。また、下引き層用塗布液は
分散性および安定性に優れ、導電性支持体2を浸漬塗布
して均一な下引き層3を形成することができ、良好な画
質特性を有する高感度かつ長寿命の電子写真感光体1
a,1b、その製造方法およびそれを用いた画像形成装
置を提供することができる。
【0239】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、下引き層
中に樹枝状の酸化チタンを含有したので、酸化チタン含
有量を増して酸化チタンの凝集が少ない高い分散性の下
引き層用塗布液が得られる。該塗布液を用いて作製した
下引き層を有する感光体は、塗布欠陥が少なく、また帯
電性の低下および残留電位の上昇が抑制され、さらに繰
返し使用時における残留電位の蓄積量が少なくかつ光感
度の低下が小さい。したがって、安定性および環境特性
に優れた電子写真感光体を実現することができる。
【0240】また、下引き層中に含有する樹枝状の酸化
チタンの表面を金属酸化物および/または有機化合物で
被覆したので、酸化チタンの凝集がさらに少なくなり、
塗布液のゲル化を防止することができる。また、感光体
の帯電性の低下および残留電位の上昇をさらに抑制し、
また繰返し使用時における残留電位蓄積量の増加および
光感度の低下をさらに抑制することができる。
【0241】また、フタロシアニン顔料を含有する感光
層と、金属酸化物および/または有機化合物で表面を被
覆した樹枝状の酸化チタンを含有する下引き層とを組合
わせて、優れた電気的特性および繰返し特性の電子写真
感光体を実現することができる。
【0242】また、フタロシアニン顔料を含有する感光
層と、金属酸化物および/または有機化合物で表面を被
覆した樹枝状の酸化チタンとアルコールに可溶のポリア
ミドとを含有する下引き層とを組合わせて、優れた電気
的特性および繰返し特性の電子写真感光体を実現するこ
とができる。また、下引き層用塗布液中の酸化チタン粒
子の凝集が防止でき、塗布液のゲル化が防止できる。
【0243】また、フタロシアニン顔料を含有する電荷
発生層を有する感光層と、金属酸化物および/または有
機化合物で表面を被覆した樹枝状の酸化チタンを含有す
る下引き層とを組合わせた。または、フタロシアニン顔
料を含有する電荷発生層を有する感光層と、金属酸化物
および/または有機化合物で表面を被覆した樹枝状の酸
化チタンとアルコールに可溶のポリアミドとを含有する
下引き層とを組合わせた。したがって、優れた電気的特
性および繰返し特性の電子写真感光体を実現することが
できる。
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】また、短軸長が1μm以下、長軸長が10
0μm以下の樹枝状の酸化チタンを含有したので、酸化
チタン粒子同士の接触機会が多くなって接触面積が増
し、酸化チタン含有量を少なくしても下引き層の電気抵
抗値を小さく保つことができる。したがって、感度の低
下および残留電位の上昇を抑制でき、また下引き層用塗
布液の分散性および保存安定性が向上する。さらに、導
電性支持体の欠陥に起因する画像欠陥の防止、下引き層
の膜強度の向上、および支持体と下引き層との接着強度
の向上を図ることができる。
【0248】
【0249】また、表面に導電性処理を施していない樹
枝状の酸化チタンを用いることによって、感度の低下お
よび残留電位の上昇を抑制して優れた帯電性を得ること
ができる。
【0250】また、下引き層に対する酸化チタンの割合
を10重量%以上99重量%以下の範囲に選ぶことによ
って、残留電位の上昇を抑制して環境特性、特に低温低
湿度下における耐性に優れた電子写真感光体を実現する
ことができる。
【0251】
【0252】
【0253】また本発明によれば、上述したような感光
体を反転現像プロセスで画像を形成する画像形成装置に
適用することによって、画像欠陥のない優れた特性の画
像が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である電子写真感光体1
a,1bをそれぞれ示す断面図である。
【図2】浸漬塗布装置を示す図である。
【図3】酸化チタン粒子を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b 電子写真感光体 2 導電性支持体 3 下引き層 4 感光層 5 電荷発生層 6 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角井 幹男 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 石橋 裕子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 中村 雅 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 坂元 雅遊亀 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 森田 竜廣 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 森田 和茂 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 金澤 朋子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 川原 在彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−96916(JP,A) 特開 平7−84393(JP,A) 特開 平9−62021(JP,A) 特開 平7−138021(JP,A) 特開 平9−258464(JP,A) 特開 平6−202366(JP,A) 特開 平2−306249(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体と、導電性支持体上に形成
    された下引き層と、下引き層上に形成された感光体とを
    備える電子写真感光体において、 前記下引き層は、金属酸化物および/または有機化合物
    で表面被覆された樹枝状の酸化チタンと、アルコールに
    可溶のポリアミド樹脂とを含有し、 前記酸化チタンは、短軸長が1μm以下に選ばれ、長軸
    長が100μm以下に選ばれ、導電性処理が施されてお
    らず、下引き層に対して酸化チタンが10重量%以上9
    9重量%以下の範囲で含有されることを特徴とする電子
    写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記感光層は、フタロシアニン顔料を含
    有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】 前記感光層は、電荷発生層と電荷輸送層
    とを有し、電荷発生層がフタロシアニン顔料を含有する
    ことを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つに記載の電
    子写真感光体を用い、反転現像プロセスで画像を形成す
    ることを特徴とする画像形成装置。
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