JP5867455B2 - 有機感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、中間層の電子輸送性を単純に高めた場合、特に高感度の電荷発生物質を用いると、電荷発生層からの不整電子の注入を抑制することができず、ポチやカブリなどの画像欠陥が発生するという問題がある。
溶媒中にバインダー樹脂が溶解されていると共に、第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子が分散されてなる中間層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥する工程を有し、
前記中間層形成用塗布液中には、前記バインダー樹脂100質量部に対して、前記第1の金属酸化物微粒子および前記第2の金属酸化物微粒子が合計で200〜600質量部含有されており、
前記第1の金属酸化物微粒子および前記第2の金属酸化物微粒子の各々を用いて、下記の測定条件で下記のPe数評価液について、下記数式(1)で表わされるPe数を測定したとき、前記第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が、前記第2の金属酸化物微粒子に係るPe数の2倍以上であることを特徴とする。
数式(1):Pe数=(6πμEHR)/kT
〔上記数式(1)中、μはPe数評価液2の粘度(Pa・s)、EはPe数評価液1のウェット膜を形成したときの液膜収縮速度(m/s)、HはPe数評価液1のウェット膜厚(m)、Rは金属酸化物微粒子の数平均一次粒径(m)、kはボルツマン定数(J/K)、Tは液温(K)を示す。〕
〔測定条件〕
Pe数評価液1:中間層形成用塗布液に用いる溶媒と同じ溶媒1700質量部中に中間層形成用塗布液に用いるバインダー樹脂と同じバインダー樹脂100質量部が溶解されていると共に、前記第1の金属酸化物微粒子または前記第2の金属酸化物微粒子260質量部が分散されてなるもの
Pe数評価液2:中間層形成用塗布液に用いる溶媒と同じ溶媒850質量部中に、中間層形成用塗布液に用いるバインダー樹脂と同じバインダー樹脂100質量部が溶解されていると共に、前記第1の金属酸化物微粒子または前記第2の金属酸化物微粒子260質量部が分散されてなるもの
液温:296K
ウェット膜厚:32×10-6m
本発明の有機感光体の製造方法は、導電性支持体上に中間層が形成され、この中間層上に有機感光層が積層されてなる有機感光体を製造する方法であって、溶媒中にバインダー樹脂が溶解されていると共に、第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子が分散されてなる中間層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥する工程を有し、第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子の各々を用いて、下記の測定条件で下記のPe数評価液について、下記数式(1)で表わされるPe数を測定したとき、第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が、第2の金属酸化物微粒子に係るPe数の2倍以上とされる。
有機感光層は、電荷発生機能と、電荷輸送機能とを同一の層で行う単層構造を有していてもよく、電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる層で行う積層構造を有していてもよい。
本発明の製造方法により得られる有機感光体としては、導電性支持体上に、中間層および有機感光層がこの順に積層されてなるものであれば特に限定されないが、繰り返し使用による残留電位の増加を抑制する有機感光体を得るためには、電荷発生層と電荷輸送層との積層構造を有するものが好ましい。
以下、積層構造を有する負帯電型の有機感光体を製造する方法について説明する。
(1)導電性支持体上に、中間層、並びに、有機感光層として電荷発生層および電荷輸送層がこの順に積層されてなる層構成。
また、本発明の製造方法により得られる有機感光体は、有機感光層上にさらに保護層が形成されていてもよい。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより、電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより、電荷輸送層を形成する工程。
また、本発明において、各塗布膜の乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、熱乾燥による方法などが挙げられる。
この工程(1)においては、具体的には、溶媒中にバインダー樹脂が溶解されていると共に、第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子が分散されてなる分散液を調製する。その後、この分散液を一昼夜程度静置し、濾過して、中間層形成用塗布液を調製する。次いで、この中間層形成用塗布液を上記の方法で導電性支持体の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより、中間層を形成することができる。
中間層形成用塗布液が塗布される導電性支持体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
この工程(1)において用いられる中間層形成用塗布液には、第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子が少なくとも含有、分散されている。
この2種の金属酸化物微粒子は、Pe数のより大きい値となる第1の金属酸化物微粒子と、Pe数のより小さい値となる第2の金属酸化物微粒子とから少なくとも構成される。そして、第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が、第2の金属酸化物微粒子に係るPe数の2倍以上とされ、好ましくは3倍以上100倍以下、より好ましくは5倍以上50倍以下とされる。
具体的には、第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が、第2の金属酸化物微粒子に係るPe数の2倍以上となる第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子を含有させた中間層形成用塗布液を用いると、Pe数の相違により、Pe数のより大きい値となる第1の金属酸化物微粒子とPe数のより小さい値となる第2の金属酸化物微粒子とが偏在した状態で中間層が形成されると推測される。Pe数のより大きい値となる第1の金属酸化物微粒子が中間層内で薄い層を形成することにより、電荷発生層からの不整電子の注入や導電性支持体からの正孔の注入、および中間層内に注入された不整電子の移動を効果的に抑制でき、ポチおよびカブリなどの画像欠陥を抑制できると考えられる。さらに、電荷発生層中の電荷発生物質として特に高感度の電荷発生物質を使用した場合にも、熱励起など、露光以外の要因で発生したキャリアのリークが原因で生じるポチおよびカブリなどの画像欠陥を抑制できると考えられる。また、Pe数のより小さい値となる第2の金属酸化物微粒子が電子輸送性の維持に寄与するため、濃度ムラも効果的に抑制できると考えられる。
ここで、Pe数(ペクレ数)とは、粒子のブラウン運動と乾燥に伴い液膜が収縮することにより発生する流動の比を表わす無次元数である。
数式(1):Pe数=(6πμEHR)/kT
〔上記数式(1)中、μはPe数評価液2の粘度(Pa・s)、EはPe数評価液1のウェット膜を形成したときの液膜収縮速度(m/s)、HはPe数評価液1のウェット膜厚(m)、Rは金属酸化物微粒子の数平均一次粒径(m)、kはボルツマン定数(J/K)、Tは液温(K)を示す。〕
〔測定条件〕
Pe数評価液1:中間層形成用塗布液に用いる溶媒と同じ記溶媒1700質量部中に中間層形成用塗布液に用いるバインダー樹脂と同じバインダー樹脂100質量部が溶解されていると共に、前記第1の金属酸化物微粒子または前記第2の金属酸化物微粒子260質量部が分散されてなるもの
Pe数評価液2:中間層形成用塗布液に用いる溶媒と同じ溶媒850質量部中に、中間層形成用塗布液に用いるバインダー樹脂と同じバインダー樹脂100質量部が溶解されていると共に、第1の金属酸化物微粒子または第2の金属酸化物微粒子260質量部が分散されてなるもの
液温:296K
ウェット膜厚:32×10-6m
以上のように、上記数式(1)で表わされるPe数において、粘度(μ)は上記Pe数評価液2を用いて測定し、それ以外のパラメータは上記Pe数評価液1を用いて測定される。
まず、液膜収縮速度(E)については、バインダー樹脂100質量部を溶媒1700質量部に加えて20℃で撹拌混合する。この溶液に、第1の金属酸化物微粒子または第2の金属酸化物微粒子を260質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させ、Pe数評価液1を調製する。このPe数評価液1について、液温(T)を296K(23℃)とし、Pe数評価液1のウェット膜厚(H)を32μmとなるように形成したときの、塗布直後のウェット膜厚(H)から乾燥膜厚を引いた値を、乾燥に要した時間で割ることにより算出する。ここで、ウェット膜の塗布対象面を、アルミ蒸着シート「メタルミーTS(#75)」(東レフィルム加工株式会社製)とし、23℃の室温下で、ワイヤーバー(R.D.Specialities,U.S.A ROD No.14)を用いて膜厚が32μmとなるように形成する。なお、乾燥に要した時間とは、乾燥中の塗膜の質量を10秒間毎に計測し、10秒間あたりの質量減少率が1%以下となった時までの時間とする。具体的には、質量減少率(%)=[1−{(n+10)秒間乾燥後の塗膜の重量/n秒間乾燥後の塗膜の重量}]×100が1%以下となる時間とする。乾燥膜厚とは、乾燥に要した時間経過時の塗膜の膜厚を、膜厚計「DIAL GAUGE STAND TYPE SIS−3」(PEACOCK社製)で測定した時の値とする。乾燥条件としては、23℃の室温下とする。
また、粘度(μ)については、バインダー樹脂100質量部を溶媒850質量部に加えて20℃で撹拌混合する。この溶液に、第1の金属酸化物微粒子または第2の金属酸化物微粒子を260質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させ、Pe数評価液2を調製する。このPe数評価液2について、液温(T)を296K(23℃)とし、B型粘度計「型式:BL」(東京計器社製)を用いて粘度(μ)を測定する。
さらに、数平均一次粒径(R)は、金属酸化物微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像を倍率100000倍で観察し、100個の粒子を一次粒子としてランダムに選択し、これらの一次粒子の水平方向フェレ径を画像解析により測定し、それらの平均値を「数平均一次粒径」として求めるものとする。
第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子の数平均一次粒径が上記の範囲内であることにより、中間層形成用塗布液中の分散性が良好となり、形成される中間層に十分な電子輸送性が得られるため、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を十分に抑制でき、かつ、濃度ムラの発生を十分に抑制できる。
反応性有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、n‐ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシブチルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザン、およびメチルハイドロジェンポリシロキサンなどのポリシロキサン化合物などが挙げられる。このうち、金属酸化物微粒子に係るPe数を制御しやすいことから、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
有機チタン化合物としては、例えば、アルコキシチタン(すなわち、チタンアルコキシド)、チタンポリマー、チタンアシレート、チタンキレート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどが挙げられる。このうち、金属酸化物微粒子に係るPe数を制御しやすいことから、チタンアシレート、チタンキレートが好ましい。
有機系化合物よりなる表面処理剤の乾式処理による表面処理方法としては、例えば、表面処理されていない金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」ともいう。)を撹拌などによりクラウド状に分散させたものに、アルコールなどで溶解した表面処理剤溶液を噴霧するか或いは気化した表面処理剤を接触させて付着させる方法が挙げられる。
また、有機系化合物よりなる表面処理剤の湿式処理による表面処理方法としては、例えば、表面処理剤を水または有機溶媒に分散させた溶液に、未処理金属酸化物微粒子を添加して混合・撹拌する、または、未処理金属酸化物微粒子を溶液中に分散させ、その中に表面処理剤を滴下して付着させ、その後、得られた溶液をろ過、乾燥し、得られた金属酸化物微粒子をアニール処理(焼き付け)する方法が挙げられる。なお、湿式処理においては、ビーズミルなどによって湿式解砕処理を行ってもよい。
溶媒の添加量は、未処理金属酸化物粒子100質量部に対して100〜600質量部、より好ましくは200〜500質量部である。
例えば、金属酸化物微粒子(酸化チタン,数平均一次粒径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩または水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリまたは酸を添加して中和し、酸化チタンの表面にシリカまたはアルミナを析出させる。その後、濾過、洗浄、乾燥を行う。水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用する場合には、硫酸、硝酸、塩酸などの酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを使用する場合には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリで中和することができる。
工程(1)において用いられるバインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。なかでも、後述する電荷発生層を形成するための電荷発生層形成用塗布液を中間層上に塗布する際に、当該中間層が溶解することを抑制する観点などから、ポリアミド樹脂が好ましい。また、上記の表面処理された金属酸化物微粒子はアルコール系溶媒に分散させることが好適であるため、メトキシメチロール化ポリアミド樹脂などのアルコール可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
工程(1)において用いられる溶媒としては、金属酸化物微粒子を良好に分散し、かつ、バインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。
また、工程(1)においては、保存性、金属酸化物微粒子の分散性を向上するために、溶媒と共に助溶媒を用いることが好ましく、併用可能な助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
また、中間層形成用塗布液中の金属酸化物粒子濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して、合計で200〜600質量部が好ましく、より好ましくは250〜500質量部である。
なお、この中間層形成用塗布液中の成分比が、形成された中間層中の成分比となる。
乾燥条件としては、温度は、例えば100〜150℃であり、時間は、例えば10〜60分間である。
中間層の膜厚が0.5μm以上であれば、導電性支持体表面全体を確実に被覆することができ、導電性支持体からの正孔の注入を十分にブロックすることができ、黒ポチやカブリなど画像欠陥の発生を十分に抑制することができる。一方、中間層の膜厚が25μm以下であれば、電気的抵抗が小さく、十分な電子輸送性が得られることにより、濃度ムラの発生を十分に抑制することができる。
この工程(2)においては、例えば、電荷発生物質を、適宜の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加、分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を工程(1)により形成された中間層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷発生層を形成することができる。このようにして形成された電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂とを含有する。
なお、電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層の有機感光層を形成する場合にも、電荷発生層の形成と同様の方法で有機感光層を形成することができる。
工程(2)において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましい。
バインダー樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はないが、10000〜150000であることが好ましく、より好ましくは15000〜100000である。
工程(2)において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は、単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。より好ましくは、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンである。
工程(2)において用いられる電荷発生物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ顔料;ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料;キノシアニン顔料;ペリレン顔料;インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料;フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
フタロシアニン顔料としては、露光光源の発振波長、例えば波長780nmに対する感度を高めるためには、Y型チタニルフタロシアニン顔料、または、チタニルフタロシアニン顔料とブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料、特に2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料との混合物を用いることが好ましい。これらのフタロシアニン顔料は、高感度電荷発生物質と称されるものである。
〔数式(2)中、Rλは、波長λにおける感光体試料の反射強度を、波長λにおけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる相対反射率を示す。〕
電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生物質濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して20〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
電荷発生物質の添加量が上記の範囲内であることにより、形成される電荷発生層が、露光により十分な電荷を発生させるものとなり、有機感光層(電荷発生層)が十分な感度を有するものとすることができ、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加を防止できる。
なお、この電荷発生層形成用塗布液中の成分比が、形成された電荷発生層中の成分比となる。
また、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。塗布方法も、上記した方法を採用することができる。
この工程(3)においては、例えば、電荷輸送物質を、適宜の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加して電荷輸送層形成用塗布液を調製し、この電荷輸送層形成用塗布液を工程(2)により形成された電荷発生層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷輸送層を形成することができる。このようにして形成された電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有する。
工程(3)において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは、単独でも、二種以上を用いてもよい。なかでも、吸水率が低く、電荷輸送物質を良好に分散させることができることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
工程(3)において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
工程(3)において用いられる電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷輸送層形成用塗布液中の電荷輸送物質濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは60〜90質量部である。
また、電荷輸送層形成用塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。
本発明の製造方法により得られる有機感光体は、上記有機感光層上にさらに保護層を有していてもよい。保護層は、有機感光体を外部環境や衝撃から保護する役割を担っている。保護層が形成される場合には、当該保護層は、無機粒子およびバインダー樹脂により構成されることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤や滑剤などの他の成分が含有されていてもよい。
本発明において、無機粒子の数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出して得られた値である。
本発明の製造方法により得られる有機感光体は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置において用いることができる。
本発明に係る有機感光体が用いられる画像形成装置は、例えば、有機感光体上に均一な帯電電位を付与する帯電手段と、均一な帯電電位が付与された有機感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像に顕像化する現像手段と、トナー像を転写材上に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着する定着手段と、有機感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを有するものである。
露光ドット径とは、露光ビームの強度がピーク強度の1/e2 以上の領域の、主走査方向の露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を示す。
本発明の製造方法により得られる有機感光体上に形成される静電潜像は、現像によりトナー像として顕像化される。この現像に用いられるトナーとしては、粉砕トナーでも、重合トナーでもよいが、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で製造される重合トナーが好ましい。
トナー粒子の粒径が上記範囲であることにより、形成される画像の解像度を高くすることができる。さらに、小粒径のトナー粒子でありながら、微細な粒径のトナー粒子の存在量を少なくすることができ、長期間にわたってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
トナー粒子の体積平均粒径(Dv50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
本発明に係るトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
本発明において、磁性粒子の体積平均粒径(Dv50)は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定されるものである。
この実施例においては、数式(1)で表わされるPe数は以下の通り測定した。
バインダー樹脂として下記式(1)で表わされるポリアミド樹脂100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて20℃で撹拌混合した。この溶液に、金属酸化物微粒子260質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させ、Pe数評価液1を調製した。
このPe数評価液1について、液温(T)を296Kとし、ウェット膜厚が32μmとなるように形成したときの、塗布直後のウェット膜厚(H)から乾燥膜厚を引いた値を、乾燥に要した時間で割ることにより、液膜収縮速度(E)を算出した。
また、バインダー樹脂として下記式(1)で表わされるポリアミド樹脂100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒850質量部に加えて20℃で撹拌混合した。この溶液に、金属酸化物微粒子260質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させ、Pe数評価液2を調製した。
このPe数評価液2について、液温(T)を296Kとし、B型粘度計「型式:BL」(東京計器社製)を用いて粘度(μ)を測定した。
さらに、数平均一次粒径(R)は、金属酸化物微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像を倍率100000倍で観察し、100個の粒子を一次粒子としてランダムに選択し、これらの一次粒子の水平方向フェレ径を画像解析により測定し、それらの平均値を「数平均一次粒径」として求めた。
ルチル型酸化チタンにシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン「MT−500SA」(テイカ(株)製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)25質量部と、トルエン1500質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間25分間、温度35℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、数平均一次粒径が35nm、アスペクト比が1.3の表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕を得た。この金属酸化物微粒子〔1〕に係るPe数は115であった。
ルチル型酸化チタン500質量部をトルエン2000質量部と撹拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業(株)製)60質量部を添加し、50℃で3時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で3時間焼き付けを行った。それにより、数平均一次粒径が15nm、アスペクト比が5.0の表面処理済み金属酸化物微粒子〔2〕を得た。この金属酸化物微粒子〔2〕に係るPe数は614であった。
ルチル型酸化チタンにシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン「MT−100SA」(テイカ(株)製)500質量部と、MHPS25質量部と、トルエン1300質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分間、温度35℃の条件で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、数平均一次粒径が15nm、アスペクト比が3.5の表面処理済み金属酸化物微粒子〔3〕を得た。この金属酸化物微粒子〔3〕に係るPe数は328であった。
ルチル型酸化チタン100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合し、チタンキレートとしてチタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)「TC−200」((株)マツモト交商製)5.5質量部を添加し、80℃で2時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、180℃で3時間焼き付けを行い、チタンキレート表面処理酸化チタンを得た。上記、金属酸化物粒子を500質量部に、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)を30質量部、トルエン1500質量部に撹拌混合し、ビーズミルによりミル滞留時間25分間、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得たスラリーは、ニーダーを用いて減圧蒸留によりトルエンを分離し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理後の粉体を、室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕し、チタンキレートおよびMHPSにより表面処理を施した金属酸化物微粒子〔4〕を得た。この金属酸化物微粒子〔4〕に係る数平均一次粒径は35nm、アスペクト比は1.2、Pe数は153であった。
アナタース型酸化チタン500質量部をトルエン1500質量部と撹拌混合し、チタンアシレート「オルガチックスTPHS」(マツモトファインケミカル社製)50質量部を添加し、50℃で2時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で2時間焼き付けを行った。上記、金属酸化物粒子を500質量部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)を30質量部、トルエン1500質量部に撹拌混合し、ビーズミルによりミル滞留時間25分間、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得たスラリーは、ニーダーを用いて減圧蒸留によりトルエンを分離し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理後の粉体を、室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕し、チタンアシレートおよびMHPSにより表面処理を施した金属酸化物微粒子〔5〕を得た。この金属酸化物微粒子〔5〕に係る数平均一次粒径は25nm、アスペクト比は1.1、Pe数は137であった。
酸化亜鉛にシリカ処理を施した無機処理酸化亜鉛(堺化学社製)500質量部と、MHPS40質量部と、トルエン1800質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間60分間、温度35℃の条件で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物微粒子〔6〕を得た。この金属酸化物微粒子〔6〕に係る数平均一次粒径は20nm、アスペクト比は1.4、Pe数は109であった。
表面処理済み金属酸化物粒子3の作製において、MHPSの添加量を10質量部に変更した以外は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔7〕を得た。この金属酸化物微粒子〔7〕に係る数平均一次粒径は15nm、アスペクト比は3.5、Pe数は573であった。
以下の手順により、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層および電荷輸送層が順次形成された「有機感光体〔1〕」を作製した。
長さ362±0.2mmのアルミニウム合金製素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径59.95±0.04mm、表面のRzjisが1.2±0.2μmになるように切削加工を行い、導電性支持体〔1〕を作製した。
バインダー樹脂として上記式(1)のポリアミド樹脂100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて、20℃で撹拌混合した。この溶液に、金属酸化物微粒子〔2〕を200質量部、金属酸化物微粒子〔1〕を150質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させた。そして、この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層形成用塗布液を調製した。ろ過は、ろ過フィルタとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を120℃で30分間乾燥して、層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(3−1)電荷発生物質の合成
1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラ−n−ブトキシドとから粗チタニルフタロシアニンを合成した。得られた粗チタニルフタロシアニンを硫酸に溶解させた溶液を、水に注入して結晶を析出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶を水で十分に洗浄して、ウエットペースト品を得た。次いで、ウエットペースト品を冷凍庫にて凍結させ、再度解凍した後、濾過および乾燥して、無定型チタニルフタロシアニンを得た。
得られた無定型チタニルフタロシアニンと、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとを、無定型チタニルフタロシアニンに対する(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの当量比が0.6となるように、オルトジクロロベンゼン(ODB)中にて混合した。得られた混合物を、60〜70℃で6時間加熱撹拌した。得られた溶液を一夜静置した後、メタノールをさらに添加して結晶を析出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶をメタノールで洗浄して、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含む電荷発生物質〔1〕を得た。
電荷発生物質〔1〕のX線回折スペクトルを測定した結果、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°にピークが確認された。得られた電荷発生物質〔1〕は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、チタニルフタロシアニン(非付加体)との混合物であると推定した。
得られた感光体の、相対反射スペクトルを、光学式膜厚測定装置Solid Lambda Thickness(スペクトラコープ社製)を用いて以下の手順で測定した。
(1)まず、各波長におけるアルミニウム支持体の反射強度をベースラインとして測定した。次いで、各波長における感光体試料の反射強度を測定した。そして、各波長における感光体試料の反射強度を、アルミニウム支持体の反射強度で割って得られる値を「相対反射率(Rλ)」として、相対反射スペクトルを得た。
(2)得られた感光体試料の相対反射スペクトルを、下記数式(2)により吸光度スペクトルに換算した。
数式(2):Absλ=−log(Rλ)
〔数式(2)中、Rλは、波長λにおける感光体試料の反射強度を、波長λにおけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる相対反射率を示す。〕
(3)次いで、干渉縞による凹凸を除去するために、上記(2)で換算した吸光度スペクトルデータを、波長領域765〜795nmおよび波長領域685〜715nmのそれぞれにおいて、二次の多項式に近似した。
(4)近似した二次の多項式における、波長780nmにおける吸光度Abs(780)と、波長700nmにおける吸光度Abs(700)とを求め、吸光度比(Abs(780)/Abs(700))を算出した。得られた吸光度比(Abs(780)/Abs(700))は0.99であった。
下記成分を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS−600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)にて循環流量40L/Hで0.5時間分散して電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
上記電荷発生物質〔1〕 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12質量部
溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法によりで塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を乾燥させて、層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
下記成分を混合して電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液を、前述と同様の浸漬塗布法により電荷発生層〔1〕上に塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を乾燥させて、層厚25μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。これにより有機感光体〔1〕を製造した。
電荷輸送物質:下記式(CTM−1) 225質量部
ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
溶媒:テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 2000質量部
レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
有機感光体1の製造例において、中間層形成用塗布液に添加する金属酸化物微粒子の種類および添加量を下記表1に従って変更したことの他は同様にして有機感光体〔2〕〜〔4〕、〔6〕〜〔9〕を製造した。
有機感光体4の製造例において、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を以下の電荷発生層形成用塗布液〔2〕に変更した以外は同様にして、有機感光体〔5〕を製造した。
有機感光体9の製造例において、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を以下の電荷発生層形成用塗布液〔2〕に変更した以外は同様にして、有機感光体〔10〕を製造した。
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて15時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔2〕を調製した。
電荷発生物質:Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルでブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂「BM−1」(積水化学(株)製) 10質量部
溶媒:メチルエチルケトン 700質量部
溶媒:シクロヘキサノン 300質量部
有機感光体を、それぞれ電気特性測定装置にセットし、感光体の表面電位を測定した。表面電位の測定は、温度10℃、湿度15%RH環境下にて、有機感光体を130rpmで回転させながら、グリッド電圧−800V、露光量0.5μJ/cm2 の条件で、帯電と露光を繰り返し、感光体1回転目(初期)の露光後の電位Viaと65回転目(30秒間後)の露光後の電位Vibを、それぞれ測定し、その電位差(ΔVi=|Vib−Via|)を求めた。ΔViの評価は、以下の基準に基づいて行なった。
A:耐刷前後ともΔViが20V以下
B:耐刷前はΔViが20V以下、耐刷後は20V超30V以下
C:耐刷前はΔViが20V超30V以下、または、耐刷前は20V以下、かつ、耐刷後は30V超(NG)
D:耐刷前からΔViが30V超(NG)
(2−1)濃度ムラ
有機感光体を画像形成装置のブラック(BK)の画像形成ユニットの位置に配置し、転写電流を10μA毎に20μAから100μAまで変化させて、図1で示されるチャートを出力した。画像支持体としては「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙(株)製)を用いた。形成された画像を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:転写電流60μA以上でも、濃度ムラが全くみられない
B:転写電流60μA以上でわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル
C:転写電流40〜50μAでわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル(ただし、高画質の画像を形成する際には問題となるレベル)(NG)
D:転写電流40μA未満でも濃度ムラが明確にみられ、実用上問題となるレベル(NG)
有機感光体を画像形成装置のブラック(BK)の画像形成ユニットの位置に配置した。白紙の画像支持体「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙(株)製)を準備し、この画像支持体をブラックの位置まで搬送し、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成した。そして、得られた画像支持体上のカブリの有無を評価した。
A:カブリなし
B:拡大すると僅かにカブリがみられるが、実用上問題ないレベル
C:目視で僅かにカブリがみられ、実用上問題となるレベル(NG)
D:カブリが目立つ(NG)
一方、第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が、第2の金属酸化物微粒子に係るPe数が2倍未満の値となるものを用いた比較例1〜4とにおいては、得られる有機感光体において、濃度ムラとカブリの発生を両立することができないことが確認された。
Claims (4)
- 導電性支持体上に中間層が形成され、この中間層上に有機感光層が積層されてなる有機感光体を製造する方法であって、
溶媒中にバインダー樹脂が溶解されていると共に、第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子が分散されてなる中間層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥する工程を有し、
前記中間層形成用塗布液中には、前記バインダー樹脂100質量部に対して、前記第1の金属酸化物微粒子および前記第2の金属酸化物微粒子が合計で200〜600質量部含有されており、
前記第1の金属酸化物微粒子および前記第2の金属酸化物微粒子の各々を用いて、下記の測定条件で下記のPe数評価液について、下記数式(1)で表わされるPe数を測定したとき、前記第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が、前記第2の金属酸化物微粒子に係るPe数の2倍以上であることを特徴とする有機感光体の製造方法。
数式(1):Pe数=(6πμEHR)/kT
〔上記数式(1)中、μはPe数評価液2の粘度(Pa・s)、EはPe数評価液1のウェット膜を形成したときの液膜収縮速度(m/s)、HはPe数評価液1のウェット膜厚(m)、Rは金属酸化物微粒子の数平均一次粒径(m)、kはボルツマン定数(J/K)、Tは液温(K)を示す。〕
〔測定条件〕
Pe数評価液1:中間層形成用塗布液に用いる溶媒と同じ溶媒1700質量部中に中間層形成用塗布液に用いるバインダー樹脂と同じバインダー樹脂100質量部が溶解されていると共に、前記第1の金属酸化物微粒子または前記第2の金属酸化物微粒子260質量部が分散されてなるもの
Pe数評価液2:中間層形成用塗布液に用いる溶媒と同じ溶媒850質量部中に、中間層形成用塗布液に用いるバインダー樹脂と同じバインダー樹脂100質量部が溶解されていると共に、前記第1の金属酸化物微粒子または前記第2の金属酸化物微粒子260質量部が分散されてなるもの
液温:296K
ウェット膜厚:32×10-6m - 前記第1の金属酸化物微粒子に係るPe数が200以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体の製造方法。
- 前記第1の金属酸化物微粒子および第2の金属酸化物微粒子が、それぞれ酸化チタンよりなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機感光体の製造方法。
- 前記有機感光層が、電荷発生物質として、Y型チタニルフタロシアニン顔料、または、チタニルフタロシアニン顔料と2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料との混合物を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機感光体の製造方法。
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