JP6307899B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料等の着色剤および樹脂材料等で構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
特許文献1には、有機化合物で表面処理された金属酸化物微粒子を有機溶媒で洗浄処理した後、バインダー樹脂に分散して調製した中間層形成用塗布液を用いると、塗布液の塗布性および保存安定性が良好となることが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法においても、有機化合物による表面処理剤と金属酸化物微粒子との結合の強さが不十分である。
金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子およびバインダー樹脂を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布することにより、中間層を形成する工程を有し、
前記金属酸化物微粒子原料が、酸化チタンであり、
前記疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下であることを特徴とする。
本発明の製造方法で得られる感光体の層構成は、導電性支持体上に、中間層が形成され、この中間層上に感光層が形成されるものである。具体的には下記(1)および(2)に示すような層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生層および電荷輸送層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明の製造方法で得られる感光体においては、感光層上に表面層として保護層が形成されていてもよい。
感光体を構成する導電性支持体としては、円筒状、またはシート状のものであって、導電性を有していればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
感光体を構成する中間層は、バインダー樹脂および有機物によって疎水化処理された金属酸化物粒子が含有されてなるものであり、中間層には必要に応じて他の粒子が含有されていてもよい。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径が上記範囲内であることにより、中間層での電荷繰り返し使用によって感光体中の残留電位の安定性が良好となる。
金属酸化物微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像を倍率100000倍で観察し、100個の粒子を一次粒子としてランダムに選択する。これらの一次粒子のフェレ方向平均径を画像解析により測定し、それらの平均値を「数平均一次粒径」として求めるものとする。
金属酸化物微粒子の含有割合が上記範囲内であることにより、中間層の電子輸送性が良好となる。
中間層の層厚が0.5μm以上であれば、導電性支持体表面全体を確実に被覆することができ、導電性支持体からの正孔の注入を十分にブロックすることができ、黒ポチやカブリ等の画像欠陥の発生を十分に抑制することができる。一方、中間層の膜厚が15μm以下であれば、電気的抵抗が小さく、十分な電子輸送性が得られることにより、電気的安定性を維持できると共に濃度ムラの発生を十分に抑制することができる。
感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に付与した単層構造の構成のものよりも、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。この様に、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御し易いメリットがある。負帯電性感光体は中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層、その上に電荷発生層を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電性感光体である。
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂が含有されてなるものである。
電荷発生物質の含有割合が上記範囲内であることにより、露光により十分な電荷を発生させることができ、感光層(電荷発生層)の十分な感度が確保でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加を防止できる。
感光体を構成する電荷輸送層は、電荷(正孔)輸送物質およびバインダー樹脂が含有されてなるものである。
電荷輸送物質の含有量が上記の範囲内であると、電荷輸送性が十分確保できるため、電荷発生層で発生した電荷を感光体表面まで十分に輸送でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加が防止できる。
本発明の製造方法により得られる感光体は、上記感光層上にさらに表面層として保護層を有していてもよい。保護層は、感光体を外部環境や衝撃から保護する役割を担っている。保護層が形成される場合には、当該保護層は、無機粒子およびバインダー樹脂より構成されることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤や滑剤等の他の成分が含有されていてもよい。
本発明の感光体の製造方法は、例えば、金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子およびバインダー樹脂を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布することにより、中間層を形成する工程を有し、疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下であることを特徴とし、具体的には下記工程を有する。
工程(1):中間層用バインダー樹脂、および、電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下の金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理した金属酸化物微粒子を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
中間層は、金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子を、溶媒中にバインダー樹脂を溶解させた溶液中に分散させて中間層形成用塗布液を調製し、必要に応じて他の成分を分散、溶解させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液に添加される金属酸化物微粒子は、電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下の金属酸化物微粒子原料が有機化合物によって疎水化処理されたものである。
疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が上記範囲内であることにより、有機化合物による疎水化処理が均一に施され、これにより、調製される中間層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子同士の凝集が抑制され、中間層形成用塗布液が塗布性の高いものとなる。
一般的に、塗布液中の金属酸化物微粒子は、当該金属酸化物微粒子表面の過剰な水酸基と溶剤の水酸基との作用により凝集が生じると考えられる。本発明においては、疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量を特定範囲内に規定することにより、表面処理剤(有機化合物)が金属酸化物微粒子原料の表面に吸着する反応が阻害されずに、均一に疎水化処理を施すことができる。その結果、金属酸化物微粒子表面の水酸基を低減することができ、金属酸化物微粒子同士の凝集が抑制され、塗布液の塗布性が高いものとなる。
金属酸化物微粒子15gを容量200mlのビーカーに量り取り、純水135gを加え、ビーカー込みの総重量を量る。良くかき混ぜながら5分間煮沸した後、常温まで冷却する。煮沸による水の減量を冷却水で補った後、導電率計「CM−21P」(東亜ディーケーケー社製)で電気伝導率を測定する。
具体的には、例えば酸化チタンの製造方法としては、以下(a)〜(c)の工程を経る方法が採用される。(a)二酸化チタン水和物に対し塩基処理を行い、得られた二酸化チタン水和物スラリーを塩酸で中和する。(b)中和した二酸化チタン水和物スラリーを加熱し、塩酸を添加する。(c)塩酸添加後、更に加熱し、熟成した後に、アンモニア水、苛性ソーダ水溶液、炭酸ソーダ水溶液等の塩基で中和し、濾過、水洗、乾燥を行う。このように、酸化チタンの製造過程においては、例えば塩化アンモニウム等の電解質が含まれることとなる。
本発明においては、金属酸化物微粒子原料の電解質量を20μS/cm以上500μS/cm以下の範囲内とするためには、例えば、金属酸化物微粒子原料への洗浄処理を1〜50回行うことが好ましい。
金属酸化物微粒子原料への洗浄処理方法としては、例えば金属酸化物微粒子原料100質量部を1000質量部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥により純水を分離除去する方法などを採用することができる。
一般式(1):R−Si−(X)3
上記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、または、炭素数6〜13の置換もしくは非置換のアリール基を表し、Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、または、ハロゲン原子を表す。
Rに含まれる置換基としては、ビニル基、メタクリロキシ基およびアクリロキシ基が挙げられる。
有機化合物の使用量が上記範囲内であることにより、金属酸化物に対して十分な疎水化処理を行うことができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
金属酸化物微粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、50〜800質量部が好ましく、より好ましくは100〜500質量部である。
電荷発生層は、溶媒中にバインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、20〜600質量部が好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、より好ましくは20〜100質量部である。
本発明の製造方法により得られる感光体は、従来公知の電子写真式の画像形成装置に備えることができる。
画像形成装置としては、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、当該感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去する、ブレードよりなるクリーニング手段とを備え、感光体として本発明の製造方法により得られる感光体が用いられる。
この画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であって、4組の画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット130と、給紙搬送手段150と、定着手段170とを有する。画像形成装置100の本体の上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
数平均一次粒径15nmのルチル型酸化チタン「MT−150A」(テイカ株式会社製)よりなる金属酸化物微粒子原料〔1〕を用意した。この金属酸化物微粒子原料〔1〕の電解質量は700μS/cmであった。
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計2回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔2〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔2〕の電解質量は450μS/cmであった。
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計5回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔3〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔3〕の電解質量は200μS/cmであった。
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計15回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔4〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔4〕の電解質量は30μS/cmであった。
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計40回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔5〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔5〕の電解質量は15μS/cmであった。
数平均一次粒径35nmの酸化亜鉛「MZ−300」(テイカ社製)よりなる金属酸化物微粒子原料〔6〕を用意した。この金属酸化物微粒子原料〔6〕の電解質量は450μS/cmであった。
金属酸化物微粒子原料〔6〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計3回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔7〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔7〕の電解質量は200μS/cmであった。
数平均一次粒径50nmのルチル型酸化チタン「MT−600B」(テイカ社製)よりなる金属酸化物微粒子原料〔8〕を用意した。この金属酸化物微粒子原料〔8〕の電解質量は450μS/cmであった。
金属酸化物微粒子原料〔3〕500部と、トルエン2000部とを撹拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業株式会社製)60部を添加し、50℃で3時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で3時間焼き付けを行い、表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔4〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔2〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔2〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
金属酸化物微粒子原料〔2〕500部と、MHPS(メチルハイドロジェンポリシロキサン)30部と、トルエン1300質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分間、温度30℃の条件で湿式解砕処理を行った。得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを留去した。その後、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物微粒子〔3〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔3〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例3において、金属酸化物微粒子原料〔2〕を金属酸化物微粒子原料〔7〕に変更し、また、MHPSの添加量を30部から35部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔4〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔4〕の数平均一次粒径は、35nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例4において、金属酸化物微粒子原料〔7〕を金属酸化物微粒子原料〔6〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔5〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔5〕の数平均一次粒径は、35nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔8〕に変更し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」の添加量を60部から50部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔6〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔6〕の数平均一次粒径は、50nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」60部をヘキシルトリメトキシシラン70部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔7〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔7〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」60部をp−スチリルトリメトキシシラン100部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔8〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔8〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」60部を3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−5103」(信越化学工業株式会社製)60部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔9〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔9〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔5〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔10〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔10〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔1〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔11〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔11〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
表面処理済み金属酸化物微粒子〔11〕1部をトルエン4部に混合し、4時間撹拌した後に、分離、乾燥して表面処理済み金属酸化物微粒子〔12〕を得た。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔12〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
数平均一次粒径35nmのルチル型酸化チタンにシリカ処理およびアルミナ処理を施した無機処理酸化チタン「MT−500SA」(テイカ社製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)15質量部と、トルエン1500質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間25分間、温度35℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物微粒子〔13〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔13〕の数平均一次粒径は、35nmであった。
(導電性支持体の作製)
長さ362mmのアルミニウム合金製の素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径59.95mm、表面粗さRzjisが1.2μmとなるように切削加工を行、導電性支持体〔1〕を作製した。
バインダー樹脂として下記ポリアミド樹脂(N−1)100部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比60/20/20)の混合溶媒1700部に加えて、20℃で撹拌混合した。この溶液に、表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕300部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させた(金属酸化物微粒子/バインダー樹脂の体積比85/100)。この溶液を一昼夜静置した後、濾過することにより、中間層形成用塗布液を調製した。濾過は、濾過フィルターとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルター(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分間乾燥して、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)24部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)12部、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(体積比4/1)400部を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP」(株式会社日本精機製)を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間分散して、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラ−n−ブトキシドから粗チタニルフタロシアニンを合成した。得られた粗チタニルフタロシアニンを硫酸に溶解させた溶液を、水に注入して結晶を抽出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶を水で十分に洗浄して、ウエットペースト品を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニンを得た。
上記無定形チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)中にて混合した。得られた混合物を60〜70℃で6時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
電荷輸送物質:下記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)/トルエン(体積比3/1)2000部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に浸漬塗布法により塗布し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
感光体の作製例1における中間層の形成において、表面処理済み金属酸化物微粒子の種類および添加量を表2に従って変更したことの他は同様にして、感光体〔2〕〜〔13〕を作製した。
感光体〔1〕〜〔13〕の製造過程において用いた中間層形成用塗布液500mlを、毎分100mlの流量で循環させながら、表示濾過精度10μmフィルター「LPD−10PB」で循環濾過したときの、フィルター圧の評価を行った。なお、循環させる配管は内径3mmのものを用い、平均流量(1分間にフィルタを通過して排出される液量)を114ml/minとした。ここで、フィルター圧は、塗布液の流動性、すなわち塗布液中の金属酸化物微粒子の凝集の程度の指標といえる。
フィルター圧が0.1MPaになるまでの循環日数が10日以上である場合を「A」、5日以上10日未満である場合を「B」、2日以上5日未満である場合を「C」、2日未満である場合を「D」とした。結果を表2に示す。
画像形成装置「bizhub PRO C6501」(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機、コニカミノルタ株式会社製)に、感光体〔1〕〜〔13〕をブラック画像形成位置にそれぞれ搭載した。常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)下において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色を印字率2.5%でA4サイズの中性紙に30万枚印刷した。その後、カブリと湿度変動による感度変動の評価を行った。結果を表2に示す。
画像が形成されていない転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙社製)を準備し、この転写材をブラック画像形成位置まで搬送し、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成した。そして、得られた転写材上のカブリの有無を下記評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:カブリなし(合格)
B:拡大すると僅かにカブリが確認される(合格)
C:目視で僅かにカブリが確認される(不合格)
D:カブリが目立つ(不合格)
画像形成装置「bizhub PRO C6501」を、現像手段を外し、その位置に表面電位計を設置し、感光体表面の電位が測定可能なように改造した。高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)下において、感光体の表面電位を−700Vとなるように帯電し、露光して、表面電位が−350Vまで減衰するのに必要な光量を測定し、感度(E1/2:μJ/cm2 )を求めた。同様にして低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)下での感度も求めた。低温低湿環境下と高温高湿環境下での感度の差を求めた。その差が小さい程良好であり、0.0075以下を合格とする。
110Y、110M、110C、110Bk 画像形成ユニット
111Y、111M、111C、111Bk 感光体
113Y、113M、113C、113Bk 帯電手段
115Y、115M、115C、115Bk 露光手段
117Y、117M、117C、117Bk 現像手段
119Y、119M、119C、119Bk クリーニング手段
130 無端ベルト状中間転写体ユニット
131 無端ベルト状中間転写体
133Y、133M、133C、133Bk 一次転写ローラ(転写手段)
135 クリーニング手段
137A、137B、137C、137D ローラ
150 給紙搬送手段
170 定着手段
200 プロセスカートリッジ
201 筐体
203R、203L 支持レール
211 給紙カセット
213A、213B、213C、213D 中間ローラ
215 レジストローラ
217 二次転写ローラ(転写手段)
219 排紙ローラ
221 排紙トレイ
P 転写材
SC 原稿画像読み取り装置
Claims (3)
- 導電性支持体上に中間層が形成され、この中間層上に感光層が形成されてなる電子写真感光体の製造方法において、
金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子およびバインダー樹脂を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布することにより、中間層を形成する工程を有し、
前記金属酸化物微粒子原料が、酸化チタンであり、
前記疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記金属酸化物微粒子原料を洗浄処理した後に前記疎水化処理することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記金属酸化物微粒子が、数平均一次粒径が5〜100nmのものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
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