JP6307899B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において備えられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)としては、無機感光体および有機感光体が知られている。
ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料等の着色剤および樹脂材料等で構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
有機感光体は、無機感光体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面等において利点を有するため、現在ではほとんどの感光体には有機感光体が用いられている。
感光体の製造過程においては、各層を形成するための塗布液の塗布性が良好でないと、塗布ムラとなり、均一な層が形成されないという問題がある。このようにして得られた感光体を用いると、黒ポチやカブリ等の画像欠陥が発生する。特に、中間層など含まれるフィラーが小径のものである場合においては、塗布液中でフィラーが凝集しやすく、良好な塗布性が得られない。
中間層としての要求特性を満足させるために、中間層に金属酸化物微粒子等の無機微粒子、特に酸化チタン微粒子等を含有させることが行われている。更に中間層としての性能を向上させるために、有機化合物で表面処理した金属酸化物微粒子を含有させる場合が多い。このような有機化合物で表面処理された金属酸化物微粒子を含む塗布液を調製する場合は、一般的には、分散処理および加熱処理などを行うために、金属酸化物に処理を施している有機化合物が塗布液中に遊離することとなる。また、調製後においても経時とともに、有機化合物が塗布液中に遊離し、金属酸化物から遊離した有機化合物の処理剤が、塗布液中で会合しやすくなるため、塗布性が悪化するという問題がある。
特許文献1には、有機化合物で表面処理された金属酸化物微粒子を有機溶媒で洗浄処理した後、バインダー樹脂に分散して調製した中間層形成用塗布液を用いると、塗布液の塗布性および保存安定性が良好となることが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法においても、有機化合物による表面処理剤と金属酸化物微粒子との結合の強さが不十分である。
特開2000−112164号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、中間層形成用塗布液の塗布性に優れ、塗布ムラがなく均一な中間層を形成することのできる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、湿度環境が異なる場合であっても画像変動が小さい画像を形成することのできる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上に中間層が形成され、この中間層上に感光層が形成されてなる電子写真感光体の製造方法において、
金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子およびバインダー樹脂を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布することにより、中間層を形成する工程を有し、
前記金属酸化物微粒子原料が、酸化チタンであり、
前記疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下であることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体の製造方法においては、前記金属酸化物微粒子原料を洗浄処理した後に前記疎水化処理することが好ましい。
本発明の電子写真感光体の製造方法においては、前記金属酸化物微粒子が、数平均一次粒径が5〜100nmのものであることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の製造方法においては、疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が特定範囲内であることにより、金属酸化物微粒子原料への有機化合物の疎水化処理を均一に施すことが可能となる。このような均一な疎水化処理が施された金属酸化物微粒子を含む中間層形成用塗布液は、金属酸化物微粒子の分散性が良好となり、塗布性に優れたものとなる。従って、この中間層形成用塗布液を用いることにより、塗布ムラがなく均一な中間層を形成することができる。このようにして得られた電子写真感光体によれば、カブリ等の画像欠陥の発生を抑制することができ、また、中間層を構成する金属酸化物微粒子表面の残存水酸基量が少ないものとなるので、湿度環境が異なる場合であっても画像変動が小さい画像の形成が可能となる。
本発明の製造方法により得られる電子写真感光体が備えられる画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔電子写真感光体〕
本発明の製造方法で得られる感光体の層構成は、導電性支持体上に、中間層が形成され、この中間層上に感光層が形成されるものである。具体的には下記(1)および(2)に示すような層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生層および電荷輸送層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明の製造方法で得られる感光体においては、感光層上に表面層として保護層が形成されていてもよい。
本発明の製造方法で得られる感光体は、有機感光体であり、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物によって発現される電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体等を含むものとする。
以下、本発明の製造方法により得られる感光体の各層について具体的に説明する。
<導電性支持体>
感光体を構成する導電性支持体としては、円筒状、またはシート状のものであって、導電性を有していればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
<中間層>
感光体を構成する中間層は、バインダー樹脂および有機物によって疎水化処理された金属酸化物粒子が含有されてなるものであり、中間層には必要に応じて他の粒子が含有されていてもよい。
中間層を構成するバインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体及びゼラチン等が挙げられる。中でも、後述する電荷発生層を形成するための塗布液を中間層上に塗布する際に、当該中間層が溶解することを抑制する観点等から、ポリアミド樹脂が好ましい。また、有機物によって疎水化処理され金属酸化物微粒子はアルコール系溶媒に分散させることが好適であるため、メトキシメチロール化ポリアミド樹脂等のアルコール可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
中間層を構成する金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等からなる微粒子が挙げられ、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム等の微粒子を用いることができる。これら金属酸化物微粒子は単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、電子輸送性および分散性の観点から酸化チタン微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、5〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径が上記範囲内であることにより、中間層での電荷繰り返し使用によって感光体中の残留電位の安定性が良好となる。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定される値である。
金属酸化物微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像を倍率100000倍で観察し、100個の粒子を一次粒子としてランダムに選択する。これらの一次粒子のフェレ方向平均径を画像解析により測定し、それらの平均値を「数平均一次粒径」として求めるものとする。
金属酸化物微粒子の含有割合は、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して50〜800質量部であることが好ましく、より好ましくは100〜500質量部である。
金属酸化物微粒子の含有割合が上記範囲内であることにより、中間層の電子輸送性が良好となる。
中間層に他の粒子が含有される場合においては、他の粒子としては、例えば、疎水化処理されていない、または他の表面処理が施された酸化チタン、アルミナ、シリカなどが挙げられる。
中間層の層厚は、0.5〜15μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。
中間層の層厚が0.5μm以上であれば、導電性支持体表面全体を確実に被覆することができ、導電性支持体からの正孔の注入を十分にブロックすることができ、黒ポチやカブリ等の画像欠陥の発生を十分に抑制することができる。一方、中間層の膜厚が15μm以下であれば、電気的抵抗が小さく、十分な電子輸送性が得られることにより、電気的安定性を維持できると共に濃度ムラの発生を十分に抑制することができる。
<感光層>
感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に付与した単層構造の構成のものよりも、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。この様に、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御し易いメリットがある。負帯電性感光体は中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層、その上に電荷発生層を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電性感光体である。
以下に、感光層の好ましい具体例として機能分離型の負帯電性感光体の感光層、すなわち電荷発生層および電荷輸送層を積層した感光層について説明する。
(電荷発生層)
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂が含有されてなるものである。
電荷発生層を構成する電荷発生物質としては、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、チタニルフタロシアニン顔料である。これらの電荷発生物質は単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生物質は、上記の中から露光光源の発振波長に対する感度に応じて選択されればよいが、デジタル複写機における露光光源の発振波長に対する感度を高めるためには、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料としては、露光光源の発振波長、例えば波長780nmに対する感度を高めるためには、Y型チタニルフタロシアニン顔料、または、チタニルフタロシアニン顔料およびブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料、特に2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料の混合物を用いることが好ましい。
電荷発生層を構成するバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂である。バインダー樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はないが、10000〜150000であることが好ましく、さらに好ましくは15000〜100000である。
電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質20〜600質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。
電荷発生物質の含有割合が上記範囲内であることにより、露光により十分な電荷を発生させることができ、感光層(電荷発生層)の十分な感度が確保でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加を防止できる。
電荷発生層の層厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び含有割合等により異なるが0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。
(電荷輸送層)
感光体を構成する電荷輸送層は、電荷(正孔)輸送物質およびバインダー樹脂が含有されてなるものである。
電荷輸送層を構成する電荷輸送物質としては、公知の化合物を用いることが可能で、例えば、以下のようなものが挙げられる。すなわち、トリアリールアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等である。これらの化合物を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。このうち、好ましくはトリアリールアミン誘導体である。
電荷輸送層を構成するバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)としては、公知の樹脂を用いることが可能で、例えば、以下のようなものがある。すなわち、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、吸水率が低く、電荷輸送物質を良好に分散させることができることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
電荷輸送層には、必要に応じて例えば酸化防止剤等の他の成分が含有されていてもよい。
電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。
電荷輸送物質の含有量が上記の範囲内であると、電荷輸送性が十分確保できるため、電荷発生層で発生した電荷を感光体表面まで十分に輸送でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加が防止できる。
電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、及び、これらの混合比等により異なるが、10〜40μmが好ましい。
<保護層>
本発明の製造方法により得られる感光体は、上記感光層上にさらに表面層として保護層を有していてもよい。保護層は、感光体を外部環境や衝撃から保護する役割を担っている。保護層が形成される場合には、当該保護層は、無機粒子およびバインダー樹脂より構成されることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤や滑剤等の他の成分が含有されていてもよい。
保護層を構成する無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の粒子を好ましく用いることができる。特に表面を疎水化した疎水性シリカや疎水性アルミナ、疎水性ジルコニア、微粉末焼結シリカ等が好ましい。
無機粒子の数平均一次粒子径は、1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。
無機粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出して得られた値とされる。
保護層を構成するバインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。例えば、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
保護層に含有される滑剤としては、例えば、樹脂微粉末(例えば、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等)、金属酸化物微粉末(例えば、酸化チタン、酸化アルミ、酸化スズ等)、固体潤滑剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、シリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等)、フッ素系樹脂粉体(例えば、四フッ化エチレン樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、フッ化二塩化エチレン樹脂粉体及びそれらの共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂粉体(例えば、ポリエチレン樹脂粉体、ポリプロピレン樹脂粉体、ポリブテン樹脂粉体、ポリヘキセン樹脂粉体等のホモポリマー樹脂粉体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等のコポリマー樹脂粉体、これらとヘキセン等の三元共重合体、更にこれらの熱変成物のようなポリオレフィン系樹脂粉体等)等が挙げられる。
滑剤として用いられる樹脂の分子量や粉体の粒径は、適宜選択される。樹脂の粒径は、特に0.1〜10μmであることが好ましい。これらの滑剤を均一に分散するため、分散剤を保護層用バインダー樹脂にさらに添加してもよい。
〔電子写真感光体の製造方法〕
本発明の感光体の製造方法は、例えば、金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子およびバインダー樹脂を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布することにより、中間層を形成する工程を有し、疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下であることを特徴とし、具体的には下記工程を有する。
工程(1):中間層用バインダー樹脂、および、電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下の金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理した金属酸化物微粒子を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
〔工程(1):中間層の形成〕
中間層は、金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子を、溶媒中にバインダー樹脂を溶解させた溶液中に分散させて中間層形成用塗布液を調製し、必要に応じて他の成分を分散、溶解させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
(金属酸化物微粒子)
中間層形成用塗布液に添加される金属酸化物微粒子は、電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下の金属酸化物微粒子原料が有機化合物によって疎水化処理されたものである。
金属酸化物微粒子原料としては、上述の中間層の構成で示したように、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等が挙げられ、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム等を用いることができる。これらの中でも、電子輸送性および分散性の観点から酸化チタンが好ましい。
疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料においては、電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下とされ、好ましくは30μS/cm以上400μS/cm以下とされる。
疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が上記範囲内であることにより、有機化合物による疎水化処理が均一に施され、これにより、調製される中間層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子同士の凝集が抑制され、中間層形成用塗布液が塗布性の高いものとなる。
一般的に、塗布液中の金属酸化物微粒子は、当該金属酸化物微粒子表面の過剰な水酸基と溶剤の水酸基との作用により凝集が生じると考えられる。本発明においては、疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量を特定範囲内に規定することにより、表面処理剤(有機化合物)が金属酸化物微粒子原料の表面に吸着する反応が阻害されずに、均一に疎水化処理を施すことができる。その結果、金属酸化物微粒子表面の水酸基を低減することができ、金属酸化物微粒子同士の凝集が抑制され、塗布液の塗布性が高いものとなる。
本発明において、金属酸化物微粒子原料の電解質量は、以下のように測定される値である。
金属酸化物微粒子15gを容量200mlのビーカーに量り取り、純水135gを加え、ビーカー込みの総重量を量る。良くかき混ぜながら5分間煮沸した後、常温まで冷却する。煮沸による水の減量を冷却水で補った後、導電率計「CM−21P」(東亜ディーケーケー社製)で電気伝導率を測定する。
ここで、金属酸化物微粒子原料には、一般的に電解質が含まれている。この電解質は、金属酸化物微粒子の製造過程において不可避的に混入されるものである。本発明では、この電解質の量を制御することにより、疎水化処理の均一化を達成している。
具体的には、例えば酸化チタンの製造方法としては、以下(a)〜(c)の工程を経る方法が採用される。(a)二酸化チタン水和物に対し塩基処理を行い、得られた二酸化チタン水和物スラリーを塩酸で中和する。(b)中和した二酸化チタン水和物スラリーを加熱し、塩酸を添加する。(c)塩酸添加後、更に加熱し、熟成した後に、アンモニア水、苛性ソーダ水溶液、炭酸ソーダ水溶液等の塩基で中和し、濾過、水洗、乾燥を行う。このように、酸化チタンの製造過程においては、例えば塩化アンモニウム等の電解質が含まれることとなる。
金属酸化物微粒子原料の電解質量は、疎水化処理前の金属酸化物微粒子原料への洗浄処理の回数や洗浄水量、洗浄時の撹拌速度等によって制御することができる。
本発明においては、金属酸化物微粒子原料の電解質量を20μS/cm以上500μS/cm以下の範囲内とするためには、例えば、金属酸化物微粒子原料への洗浄処理を1〜50回行うことが好ましい。
金属酸化物微粒子原料への洗浄処理方法としては、例えば金属酸化物微粒子原料100質量部を1000質量部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥により純水を分離除去する方法などを採用することができる。
疎水化処理剤としての有機化合物は、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物等が挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、下記一般式(1)で表されるシラン化合物、または、シラザン化合物、もしくはポリシロキサン化合物等が挙げられる。
一般式(1):R−Si−(X)3
上記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、または、炭素数6〜13の置換もしくは非置換のアリール基を表し、Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、または、ハロゲン原子を表す。
Rに含まれる置換基としては、ビニル基、メタクリロキシ基およびアクリロキシ基が挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、メトキシメチルジクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、ジメトキシエチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシランn−ヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、等のアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザン、およびメチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。これらは、一種単独でまたは二種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、メチルハイドロジェンポリシロキサンは、メチルハイドロジェンシロキサン単位−(HSi(CH)O)−の構造単位を含むポリシロキサンであり、これ以外の他のシロキサン構造単位との共重合体が好ましい。他のシロキサン単位としては、ジメチルシロキサン単位、メチルエチルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位及びジエチルシロキサン単位等が挙げられ、2種以上が含まれていてもよい。メチルハイドロジェンシロキサン単位を含む重合体の分子量は1000〜20000のものが表面処理効果が高い。
これらのうち、本発明の所期の効果をより達成しやすいことから、有機ケイ素化合物としては、特に、n−ヘキシルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
有機チタン化合物としては、アルコキシチタン(即ち、チタンアルコキシド)、チタンポリマー、チタンアシレート、チタンキレート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
金属酸化物微粒子原料は、疎水化処理の前に、他の表面処理が施されていてもよい。
中間層に含まれる金属酸化物微粒子が表面処理されているかどうかは、製造工程の確認、または中間層に含まれる金属酸化物微粒子の表面の無機分析を、透過型、エネルギー分散型X線分析法(TEM−EDX)や、波長分散型蛍光X線分析(WDX)によって行い確認することができる。
有機化合物による疎水化処理方法は、公知の方法により行うことができ、特に限定されず、湿式処理または乾式処理を採用することができる。乾式処理としては、金属酸化物微粒子原料を撹拌等によりクラウド状に分散させたものに、アルコール等で溶解した有機化合物溶液を噴霧するかまたは気化した有機化合物溶液を接触させて付着させることができる。また、湿式処理としては、例えば、有機化合物を有機溶媒に溶解または分散させた溶液に、金属酸化物微粒子原料を添加して混合・撹拌する、または、金属酸化物微粒子原料を溶液中に分散させ、その中に有機化合物を滴下して付着させ、ビーズミル等によって湿式解砕処理する。その後、得られた溶液から溶媒を減圧蒸留等により除去し、得られた金属酸化物微粒子をアニール処理(焼き付け)することにより行うことができる。このうち、製造工程がより簡便であることから、湿式処理が好ましい。
有機化合物溶液を調製するための溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。
上記の混合・撹拌は、金属酸化物微粒子原料が十分に分散されるまで適宜行えばよい。上記の解砕処理の際の温度は、15〜100℃程度であることが好ましく、20〜50℃がより好ましい。解砕処理時間は、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間がより好ましい。また、焼き付け温度は、例えば100〜220℃、好ましくは110〜150℃とすることができる。焼き付け時間は0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜5時間である。しかしながら、これらの条件は一例であり、処理装置によって変動する場合があるため、必ずしも上記の範囲で実施しなくともよい。
湿式処理においては、有機化合物の使用量は、その種類によって異なるため一概に規定することはできないが、具体的には、金属酸化物微粒子原料100質量部に対して、有機化合物0.1〜20質量部が好ましくは、より好ましくは1〜15質量部である。溶媒の添加量は、金属酸化物微粒子原料100質量部に対して100〜600質量部が好ましく、より好ましくは200〜500質量部である。
有機化合物の使用量が上記範囲内であることにより、金属酸化物に対して十分な疎水化処理を行うことができる。
中間層形成用塗布液において使用する溶媒としては、金属酸化物微粒子等の微粒子を良好に分散し、バインダー樹脂を溶解するものであればよい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコール類が、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
中間層形成用塗布液中に金属酸化物微粒子等の微粒子を分散させる手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層形成用塗布液中のバインダー樹脂の濃度は、中間層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
金属酸化物微粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、50〜800質量部が好ましく、より好ましくは100〜500質量部である。
〔工程(2):電荷発生層の形成〕
電荷発生層は、溶媒中にバインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液において使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生物質を分散させる手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層形成用塗布液中のバインダー樹脂の濃度は、電荷発生層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
電荷発生物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、20〜600質量部が好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
〔工程(3):電荷輸送層の形成〕
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液において使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層形成用塗布液中のバインダー樹脂の濃度は、電荷輸送層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
電荷輸送物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、より好ましくは20〜100質量部である。
本発明の製造方法により得られる感光体の感光層上に保護層が形成される場合においては、保護層の形成方法は、上記中間層等と同様の方法を採用できる。すなわち、保護層を形成する成分を溶媒中に分散または溶解させて塗布液を調製し、上記の塗布方法で所望の厚さになるように塗布液を塗布し、乾燥させて保護層を形成することができる。
以上のように、本発明の製造方法においては、疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が特定範囲内であることにより、金属酸化物微粒子原料への有機化合物の疎水化処理を均一に施すことが可能となる。このような均一な疎水化処理が施された金属酸化物微粒子を含む中間層形成用塗布液は、金属酸化物微粒子の分散性が良好となり、塗布性に優れたものとなる。従って、この中間層形成用塗布液を用いることにより、塗布ムラがなく均一な中間層を形成することができる。このようにして得られた電子写真感光体によれば、カブリ等の画像欠陥の発生を抑制することができ、また、中間層を構成する金属酸化物微粒子表面の残存水酸基量が少ないものとなるので、湿度環境が異なる場合であっても画像変動が小さい画像の形成が可能となる。
〔画像形成装置〕
本発明の製造方法により得られる感光体は、従来公知の電子写真式の画像形成装置に備えることができる。
画像形成装置としては、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、当該感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去する、ブレードよりなるクリーニング手段とを備え、感光体として本発明の製造方法により得られる感光体が用いられる。
図1は、本発明の製造方法により得られる感光体が備えられる画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
この画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であって、4組の画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット130と、給紙搬送手段150と、定着手段170とを有する。画像形成装置100の本体の上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、鉛直方向に並べて配置されている。画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、第1の像担持体である感光体111Y、111M、111C、111Bkと、その周囲にドラムの回転方向に順次配置された、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkと、露光手段115Y、115M、115C、115Bkと、現像手段117Y、117M、117C、117Bkと、クリーニング手段119Y、119M、119C、119Bkとを有する。そして、感光体111Y、111M、111C、111Bk上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)のトナー画像をそれぞれ形成できるようになっている。画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、感光体111Y、111M、111C、111Bkに形成するトナー画像の色が異なる以外は同様に構成されるため、以下、画像形成ユニット110Yの例で説明する。
感光体111Yは、本発明の製造方法により得られる感光体であって、当該感光体を構成する中間層には、有機化合物で疎水化処理された金属酸化物微粒子が含有されている。
帯電手段113Yは、感光体111Yに対して一様な電位を与える手段である。本実施の形態においては、帯電手段113Yとしてコロナ放電型の帯電器が好ましく用いられる。
露光手段115Yは、帯電手段113Yによって一様な電位を与えられた感光体111Y上に、画像信号(イエローの画像信号)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する機能を有する。露光手段115Yは、感光体111Yの軸方向にアレイ状に発光素子が配列されたLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいはレーザー光学系等でありうる。
露光光源は、発振波長が使用する電荷発生物質の最大吸光度の5割以上の範囲の半導体レーザーまたは発光ダイオードであることが好ましい。例えば、電荷発生物質として、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を用いる場合には、650〜800nmであることが好ましい。これらの露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込み、感光体上にデジタル露光を行うことで、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)〜2400dpiあるいはそれ以上の高解像度の電子写真画像を形成しうる。
露光ドット径とは、露光ビームの強度がピーク強度の1/e2 以上の領域の、主走査方向の露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を示す。
現像手段117Yは、感光体111Yにトナーを供給し、感光体111Yの表面に形成された静電潜像を現像可能に構成されている。
クリーニング手段119Yは、感光体111Yの表面に圧接するローラや、ブレードを有しうる。
無端ベルト状中間転写体ユニット130は、感光体111Y、111M、111C、111Bkと当接可能に設けられている。無端ベルト状中間転写体ユニット130は、第2の像担持体である無端ベルト状中間転写体131と、当該無端ベルト状中間転写体131と当接して配置された一次転写ローラ133Y、133M、133C、133Bkと、当該無端ベルト状中間転写体131のクリーニング手段135とを有する。
無端ベルト状中間転写体131は、複数のローラ137A、137B、137C、137Dにより巻回され、回動可能に支持されている。
この画像形成装置100において、感光体111Y、現像手段117Y、およびクリーニング手段119Y等は、一体的に結合され、装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)であってもよい。あるいは、帯電手段113Y、露光手段115Y、現像手段117Y、一次転写ローラ133Yおよびクリーニング手段119Yからなる群から選ばれる一以上の部材と、感光体111Yとを一体的に構成したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)としてもよい。
プロセスカートリッジ200は、筐体201と、それに収容された感光体111Y、帯電手段113Y、現像手段117Yおよびクリーニング手段119Yと、無端ベルト状中間転写体ユニット130とを有する。また、装置本体には、プロセスカートリッジ200を装置本体内にガイドする手段として支持レール203L、203Rが設けられている。それにより、プロセスカートリッジ200を装置本体に着脱可能となっている。これらのプロセスカートリッジ200は、装置本体に着脱自在に構成された単一の画像形成ユニットとなりうる。
給紙搬送手段150は、給紙カセット211内の転写材Pを、複数の中間ローラ213A、213B、213C、213Dおよびレジストローラ215を経て、二次転写ローラ217に搬送可能に設けられている。
定着手段170は、二次転写ローラ217により転写されたカラー画像を定着処理する。排紙ローラ219は、定着処理された転写材Pを挟持して、画像形成装置外部に設けられた排紙トレイ221上に載置可能に設けられている。
このように構成された画像形成装置100では、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にコロナ放電して負に帯電させる。次いで、露光手段115Y、115M、115C、115Bkで、感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段117Y、117M、117C、117Bkで、感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にトナーを付与し、現像する。
次いで、一次転写ローラ(一次転写手段)133Y、133M、133C、133Bkを、回動する無端ベルト状中間転写体131と当接させる。それにより、感光体111Y、111M、111C、111Bk上にそれぞれ形成した各色の画像を、回動する無端ベルト状中間転写体131上に逐次転写させて、カラー画像を転写する(一次転写する)。画像形成処理中、一次転写ローラ133Bkは、常時、感光体111Bkに当接する。一方、他の一次転写ローラ133Y、133M、133Cは、カラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体111Y、111M、111Cに当接する。
そして、一次転写ローラ133Y、133M、133C、133Bkと無端ベルト状中間転写体131とを分離させた後、感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面に残留するトナーを、クリーニング手段119Y、119M、119C、119Bkで除去する。そして、次回の画像形成に備えて、必要に応じて感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を除電手段(不図示)によって除電した後、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより負に帯電させる。
一方、給紙カセット211内に収容された転写材P(例えば普通紙、透明シート等の最終画像を担持する支持体)を、給紙搬送手段150で給紙し、複数の中間ローラ213A、213B、213C、213D、レジストローラ215を経て二次転写ローラ(二次転写手段)217に搬送する。そして、二次転写ローラ217を回動する無端ベルト状中間転写体131と当接させて、転写材P上にカラー画像を一括して転写する(二次転写する)。二次転写ローラ217は、転写材P上に二次転写を行うときのみ、無端ベルト状中間転写体131と当接する。その後、カラー画像が一括転写された転写材Pを、無端ベルト状中間転写体131の曲率が高い部位で分離する。
このようにしてカラー画像が一括して転写された転写材Pを、定着手段170で定着処理した後、排紙ローラ219で挟持して装置外の排紙トレイ221上に載置する。また、カラー画像が一括転写された転写材Pを無端ベルト状中間転写体131から分離した後、クリーニング手段135で無端ベルト状中間転写体131上の残留トナーを除去する。
前述したように、本実施の形態の画像形成装置100は、本発明の製造方法により得られる感光体111Y、111M、111C、111Bkを備えているため、カブリ等の画像欠陥の発生を抑制することができ、また、湿度環境が異なる場合であっても画像変動が小さい画像の形成が可能となる。
上記のような画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、真球を100とする形状係数SFが140未満のトナーが好ましい。この形状係数SFが140未満であれば、良好な転写性等が得られ、得られる画像の画質が向上する。トナーを構成するトナー粒子は、高画質化を企図する観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmであることが好ましい。
トナー粒子は、通常、結着樹脂および着色剤が含有され、所望により離型剤が含有される。この結着樹脂、着色剤および離型剤はいずれも、従来トナーに用いられている材料を用いることができ、特に制限されない。
上記のトナー粒子を製造する方法としては、特に制約されないが、例えば、通常の粉砕法や、分散媒中で作成する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法等が挙げられる。
また、上記トナー粒子に、外添剤として、平均粒径10〜300nm程度のシリカおよびチタニア等の無機微粒子、0.2〜3μm程度の研磨剤を適宜量外添することができる。また、上記トナー粒子と、平均粒径25〜45μmのフェライトビーズ等からなるキャリアを混合して二成分現像剤として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、下記中「部」とは「質量部」を示す。
〔金属酸化物微粒子原料1〕
数平均一次粒径15nmのルチル型酸化チタン「MT−150A」(テイカ株式会社製)よりなる金属酸化物微粒子原料〔1〕を用意した。この金属酸化物微粒子原料〔1〕の電解質量は700μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料2〕
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計2回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔2〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔2〕の電解質量は450μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料3〕
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計5回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔3〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔3〕の電解質量は200μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料4〕
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計15回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔4〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔4〕の電解質量は30μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料5〕
金属酸化物微粒子原料〔1〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計40回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔5〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔5〕の電解質量は15μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料6〕
数平均一次粒径35nmの酸化亜鉛「MZ−300」(テイカ社製)よりなる金属酸化物微粒子原料〔6〕を用意した。この金属酸化物微粒子原料〔6〕の電解質量は450μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料7〕
金属酸化物微粒子原料〔6〕100部を1000部の純水に分散させて5分間撹拌を行い、減圧乾燥による純水を分離除去する操作を合計3回行った。得られた乾燥物をピンミルにより粉砕し、金属酸化物微粒子原料〔7〕を作製した。この金属酸化物微粒子原料〔7〕の電解質量は200μS/cmであった。
〔金属酸化物微粒子原料8〕
数平均一次粒径50nmのルチル型酸化チタン「MT−600B」(テイカ社製)よりなる金属酸化物微粒子原料〔8〕を用意した。この金属酸化物微粒子原料〔8〕の電解質量は450μS/cmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1〕
金属酸化物微粒子原料〔3〕500部と、トルエン2000部とを撹拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業株式会社製)60部を添加し、50℃で3時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で3時間焼き付けを行い、表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例2〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔4〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔2〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔2〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例3〕
金属酸化物微粒子原料〔2〕500部と、MHPS(メチルハイドロジェンポリシロキサン)30部と、トルエン1300質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分間、温度30℃の条件で湿式解砕処理を行った。得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを留去した。その後、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物微粒子〔3〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔3〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例4〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例3において、金属酸化物微粒子原料〔2〕を金属酸化物微粒子原料〔7〕に変更し、また、MHPSの添加量を30部から35部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔4〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔4〕の数平均一次粒径は、35nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例5〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例4において、金属酸化物微粒子原料〔7〕を金属酸化物微粒子原料〔6〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔5〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔5〕の数平均一次粒径は、35nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例6〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔8〕に変更し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」の添加量を60部から50部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔6〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔6〕の数平均一次粒径は、50nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例7〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」60部をヘキシルトリメトキシシラン70部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔7〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔7〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例8〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」60部をp−スチリルトリメトキシシラン100部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔8〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔8〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例9〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」60部を3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−5103」(信越化学工業株式会社製)60部に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔9〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔9〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例10〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔5〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔10〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔10〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例11〕
表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例1において、金属酸化物微粒子原料〔3〕を金属酸化物微粒子原料〔1〕に変更したことの他は同様にして、表面処理済み金属酸化物微粒子〔11〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔11〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例12〕
表面処理済み金属酸化物微粒子〔11〕1部をトルエン4部に混合し、4時間撹拌した後に、分離、乾燥して表面処理済み金属酸化物微粒子〔12〕を得た。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔12〕の数平均一次粒径は、15nmであった。
〔表面処理済み金属酸化物微粒子の製造例13〕
数平均一次粒径35nmのルチル型酸化チタンにシリカ処理およびアルミナ処理を施した無機処理酸化チタン「MT−500SA」(テイカ社製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)15質量部と、トルエン1500質量部とを撹拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間25分間、温度35℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み金属酸化物微粒子〔13〕を作製した。この表面処理済み金属酸化物微粒子〔13〕の数平均一次粒径は、35nmであった。
Figure 0006307899
<感光体の製造例1:実施例1>
(導電性支持体の作製)
長さ362mmのアルミニウム合金製の素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径59.95mm、表面粗さRzjisが1.2μmとなるように切削加工を行、導電性支持体〔1〕を作製した。
(中間層の形成)
バインダー樹脂として下記ポリアミド樹脂(N−1)100部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比60/20/20)の混合溶媒1700部に加えて、20℃で撹拌混合した。この溶液に、表面処理済み金属酸化物微粒子〔1〕300部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させた(金属酸化物微粒子/バインダー樹脂の体積比85/100)。この溶液を一昼夜静置した後、濾過することにより、中間層形成用塗布液を調製した。濾過は、濾過フィルターとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルター(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分間乾燥して、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
Figure 0006307899
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)24部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)12部、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(体積比4/1)400部を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP」(株式会社日本精機製)を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間分散して、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(顔料(CG−1)の合成)
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラ−n−ブトキシドから粗チタニルフタロシアニンを合成した。得られた粗チタニルフタロシアニンを硫酸に溶解させた溶液を、水に注入して結晶を抽出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶を水で十分に洗浄して、ウエットペースト品を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニンを得た。
(2)(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成
上記無定形チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)中にて混合した。得られた混合物を60〜70℃で6時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質:下記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)/トルエン(体積比3/1)2000部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に浸漬塗布法により塗布し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
Figure 0006307899
<感光体の製造例2〜13:実施例2〜8、参考例1,2および比較例1〜3>
感光体の作製例1における中間層の形成において、表面処理済み金属酸化物微粒子の種類および添加量を表2に従って変更したことの他は同様にして、感光体〔2〕〜〔13〕を作製した。
<性能評価1:フィルター圧の評価>
感光体〔1〕〜〔13〕の製造過程において用いた中間層形成用塗布液500mlを、毎分100mlの流量で循環させながら、表示濾過精度10μmフィルター「LPD−10PB」で循環濾過したときの、フィルター圧の評価を行った。なお、循環させる配管は内径3mmのものを用い、平均流量(1分間にフィルタを通過して排出される液量)を114ml/minとした。ここで、フィルター圧は、塗布液の流動性、すなわち塗布液中の金属酸化物微粒子の凝集の程度の指標といえる。
フィルター圧が0.1MPaになるまでの循環日数が10日以上である場合を「A」、5日以上10日未満である場合を「B」、2日以上5日未満である場合を「C」、2日未満である場合を「D」とした。結果を表2に示す。
<性能評価2>
画像形成装置「bizhub PRO C6501」(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機、コニカミノルタ株式会社製)に、感光体〔1〕〜〔13〕をブラック画像形成位置にそれぞれ搭載した。常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)下において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色を印字率2.5%でA4サイズの中性紙に30万枚印刷した。その後、カブリと湿度変動による感度変動の評価を行った。結果を表2に示す。
(1)カブリの評価(官能評価)
画像が形成されていない転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙社製)を準備し、この転写材をブラック画像形成位置まで搬送し、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成した。そして、得られた転写材上のカブリの有無を下記評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:カブリなし(合格)
B:拡大すると僅かにカブリが確認される(合格)
C:目視で僅かにカブリが確認される(不合格)
D:カブリが目立つ(不合格)
(2)湿度変動による感度変動の評価
画像形成装置「bizhub PRO C6501」を、現像手段を外し、その位置に表面電位計を設置し、感光体表面の電位が測定可能なように改造した。高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)下において、感光体の表面電位を−700Vとなるように帯電し、露光して、表面電位が−350Vまで減衰するのに必要な光量を測定し、感度(E1/2:μJ/cm2 )を求めた。同様にして低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)下での感度も求めた。低温低湿環境下と高温高湿環境下での感度の差を求めた。その差が小さい程良好であり、0.0075以下を合格とする。
Figure 0006307899


100 画像形成装置
110Y、110M、110C、110Bk 画像形成ユニット
111Y、111M、111C、111Bk 感光体
113Y、113M、113C、113Bk 帯電手段
115Y、115M、115C、115Bk 露光手段
117Y、117M、117C、117Bk 現像手段
119Y、119M、119C、119Bk クリーニング手段
130 無端ベルト状中間転写体ユニット
131 無端ベルト状中間転写体
133Y、133M、133C、133Bk 一次転写ローラ(転写手段)
135 クリーニング手段
137A、137B、137C、137D ローラ
150 給紙搬送手段
170 定着手段
200 プロセスカートリッジ
201 筐体
203R、203L 支持レール
211 給紙カセット
213A、213B、213C、213D 中間ローラ
215 レジストローラ
217 二次転写ローラ(転写手段)
219 排紙ローラ
221 排紙トレイ
P 転写材
SC 原稿画像読み取り装置

Claims (3)

  1. 導電性支持体上に中間層が形成され、この中間層上に感光層が形成されてなる電子写真感光体の製造方法において、
    金属酸化物微粒子原料を有機化合物によって疎水化処理することにより金属酸化物微粒子を得、この金属酸化物微粒子およびバインダー樹脂を含有する中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布することにより、中間層を形成する工程を有し、
    前記金属酸化物微粒子原料が、酸化チタンであり、
    前記疎水化処理に供される金属酸化物微粒子原料の電解質量が20μS/cm以上500μS/cm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記金属酸化物微粒子原料を洗浄処理した後に前記疎水化処理することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記金属酸化物微粒子が、数平均一次粒径が5〜100nmのものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
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