JP6089916B2 - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体、特に電子写真方式の画像形成方法において用いられる電子写真感光体、および、当該電子写真感光体を備える画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置には、より一層の高画質化が要請されている。高画質化の要請としては、具体的には、ページ内またはページ間での濃度ムラを改善することなどが挙げられる。画像形成装置においては、形成する画像が高画質化かつ高解像度化されてきていることに伴い、検知性が向上していることから濃度ムラが生じるケースが増加しつつある。濃度ムラ改善のため、画像形成装置においては従来様々な対策が取られ、引き続き検討されている。
また、近年広範に使用されている、負帯電型の積層構造を有する電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)は、その表面が負に帯電された後、露光されると、感光層において電荷が発生し、このうち負電荷(電子)は下引き層を経て導電性支持体へ移動し、一方、正孔(ホール)は電子写真感光体表面へ移動し、当該表面の負電荷を打ち消して静電潜像が形成される。そのため、下引き層には、電子輸送性を有すること(感光層で発生した電子を速やかに導電性支持体へ移動させること)および正孔ブロッキング性を有すること(導電性支持体から感光層への正孔の注入を抑制すること)が求められている。
濃度ムラを低減させる従来の試みとして、下引き層に疎水化度40〜95のN型半導体微粒子を含有させ、下引き層のアルミニウム蒸着面に対する接触電位差を特定範囲とする電子写真感光体が知られている(下記特許文献1)。特許文献1には、このような下引き層を設けることにより、特に高温高湿下または低温低湿下での画像欠陥が低減できることが開示されている。
また、転写メモリ(濃度ムラに対応する)に加えて絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥を低減させる別の試みとして、電子写真感光体の中間層に疎水化度10〜50で数平均一次粒子径が特定範囲のN型半導性粒子を含有させ、導電性支持体および中間層の表面粗さをそれぞれ特定範囲に制御した従来技術が知られている(下記特許文献2)。特許文献2には、このような電子写真感光体を用いることにより、特に高温高湿下または低温低湿下での画像欠陥が低減できることが記載されている。
特開2002−287396号公報 特開2005−338445号公報
上記の濃度ムラを改善する方法としては、単純には下引き層の電子輸送性を高めることが考えられる。しかしながら、単に下引き層の電子輸送性を高めるのみでは、導電性支持体から感光層への正孔の注入を十分に抑制することができない、すなわち十分な正孔ブロッキング性が得られない。また、電荷発生層に含有される電荷発生物質として高感度のものを用いた場合においては、熱的励起により発生したキャリアのリークが生じ、これにより、電子写真感光体の表面電位が部分的に低下し、黒ポチやカブリなどの画像欠陥が発生するという問題がある。
この点に関連し、上記特許文献1に記載の従来技術によっては、下引き層の電子輸送性が低下してしまい、濃度ムラの抑制が十分ではない。一方、上記特許文献2に記載の従来技術では、中間層を厚膜化することで電子輸送性を高めかつ正孔ブロッキング性を確保し、濃度ムラおよび黒ポチ等の画像欠陥を低減させている。また、保護層硬化時の光照射の影響による画像ムラも低減させている。しかし、特許文献2に記載の従来技術によっても、検知性の向上した近年の画像形成装置においては、十分に濃度ムラを抑制することができていない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、形成される画像における濃度ムラの発生を抑制しうる電子写真感光体および画像形成装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を抑制しうる電子写真感光体および画像形成装置を提供することである。
上記諸目的は、導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層を順次積層してなる電子写真感光体において、該下引き層は、バインダー樹脂および平均一次粒径の異なる2種の酸化チタン粒子を含有し、該2種の酸化チタン粒子は、いずれも、少なくとも反応性有機ケイ素化合物又は有機チタン化合物のいずれかにより表面処理されたものであり、かつ、下記式(1):
ただし、d1は、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(nm)であり、d2は、もう一方の酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(nm)である、
の関係を満たし、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)及び他方の酸化チタン粒子(Ti2)の疎水化度の差が20%以上であることを特徴とする電子写真感光体によって達成される。
上記諸目的は、上記本発明の電子写真感光体を備える画像形成装置によっても達成される。
本発明の電子写真感光体は、電気的安定性を長期にわたり維持することができ、画像の濃度ムラを抑制できる。また、本発明の電子写真感光体は、黒ポチおよびカブリ等の画像欠陥を長期にわたり併せて抑制することができる。さらに、本発明の電子写真感光体を用いることで安定した画像形成が長期にわたりできる画像形成装置が提供される。
本発明の下引き層中の2種の酸化チタン粒子の平均一次粒径の関係を示す概略断面図である。 本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。 実施例での画像評価のためのチャートを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<電子写真感光体の構成>
(電子写真感光体の層構成)
本発明の電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)は、負帯電型の電子写真感光体であり、導電性支持体上に下引き層を有し、この下引き層上に感光層が積層されてなるものである。
本発明の電子写真感光体においては、感光層は、露光によって電荷を発生させる機能と、発生させた電荷(正孔)を感光体表面に輸送する機能とを有する。感光層は、電荷発生機能と、電荷輸送機能とを同一の層で行う単層構造を有していてもよく、電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる層で行う積層構造を有していてもよい。しかし、繰り返し使用による残留電位の増加を抑制するためには、電荷発生層と電荷輸送層との積層構造を有することが好ましい。また、本発明の電子写真感光体は、感光層上にさらに保護層が形成されていてもよい。
本発明の電子写真感光体の層構成は、特に限定されるものではないが、具体的な例としては、下記(1)および(2)の層構成が挙げられる。すなわち、(1)導電性支持体上に、下引き層を有し、この下引き層上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層がこの順に積層された積層構造の感光層が積層され、前記電荷輸送層が最表面層となる層構成、(2)導電性支持体上に、下引き層を有し、この下引き層上に、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層構造の感光層が積層され、前記感光層(単層)が最表面層となる層構成である。
本発明において、電子写真感光体は、電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物により発揮されて構成されるものが好ましい。本発明の電子写真感光体には、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成される感光層を有する感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とが高分子錯体により構成される感光層を有する感光体など公知の電子写真感光体全てが含まれる。
上記(1)および(2)の層構成のうち、下記の理由により、電子写真感光体が(1)の層構成をとることが好ましい。すなわち、本発明の電子写真感光体が上記(1)の好ましい層構成である場合について具体的に説明する。上記(1)の層構成の電子写真感光体では、導電性支持体上に、下引き層を介して電荷発生層および電荷輸送層がこの順に積層されてなる感光層が形成されている。この電子写真感光体の表面が負に帯電された後、露光されると、電荷発生層において電荷が発生する。電荷発生層で発生した電荷のうち、負電荷(電子)は下引き層を経て導電性支持体に移動し、正孔は電荷輸送層を経て電子写真感光体表面に移動して電子写真感光体表面の負電荷を打ち消すことにより、電子写真感光体表面に静電潜像が形成される。
図1は、本発明の下引き層中の2種の酸化チタン粒子の平均一次粒径の関係を示す概略断面図である。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層が順次積層する構造を有する。ここで、下引き層は、平均一次粒径の異なる2種の酸化チタン粒子を含有し、(a)粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1)とし、もう一方の酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(d2)とした時に、d2<1/2×d1の関係を満たし、かつ(b)Ti1とTi2の疎水化度の差が20%以上であることが特徴である。なお、本明細書では、平均一次粒径(粒径)の大きい酸化チタン粒子酸化チタン粒子を単に「Ti1」とも称する。同様にして、平均一次粒径(粒径)の小さい酸化チタン粒子を単に「Ti2」とも称する。
上記構成により、電子輸送性を確保するとともに不整電子や正孔の注入を抑制でき、画像ムラの発生を抑制すると共に、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生も抑制することができる。上記した効果を奏するメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。なお、本発明は下記推測に限定されるものではない。
すなわち、下引き層が酸化チタン粒子を含有する場合、酸化チタン粒子はN型半導体性粒子なので電子輸送性を有し、感光層からの電子を基体へ移動させる役割を担う。一方、バインダー樹脂は言わば絶縁体であり、基体(導電性支持体)からのホール注入を抑制すると同時に電子の移動を妨げる性質を持つため、残留電位上昇を引き起こすと考えられる。また、層内の粒子同士の凝集による不均一な分布が電荷トラップの要因となり残留電位上昇を引き起こすと考えられる。そこで、本発明者らは、層内の酸化チタン粒子同士がバインダー樹脂を介して一定の距離で均一に点在する構成を取れば、ホール注入を抑制しつつ残留電位上昇を抑制し、画像ムラが抑制できると考えた。そこで、まず、分散溶媒やバインダー樹脂のもつ極性に近しくなるよう酸化チタン粒子の表面処理を実施し、分散性の向上を図ったが、これだけでは目的としている課題に対して満足する結果を得ることができなかった。
そこで、本発明者らは、上記課題に対して、層内の粒子間距離制御(下引き層内の配置の仕方)が重要ではないかと考え、粒子の添加量や粒径の配合を検討した。その結果、粒径(平均一次粒径)の大きな粒子では、その粒子と周りの粒子間距離がまちまちとなり、残留電位上昇の抑制効果が不十分である。逆に、粒径(平均一次粒径)の小さな粒子では、最密充填な構造を取ると、大きな粒子に比べ粒子間距離は均一な方向に向かうため、電子は粒子を介してとどまらず速やかに移動し、残留電位の上昇は抑制される。しかし一方、粒径が小さい分、下引き層表面は平滑になり、書込み光に対する反射が乱反射より正反射の作用が強くなるため、干渉縞(モアレ)といった異常画像に対する抑制力が低下してしまい、十分満足する結果を得ることはできなかった。
次に、本発明者らは、層内の粒子間距離制御(下引き層内の配置の仕方)について更に鋭意検討を重ねた結果、(a)粒径の大きい側の酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1)、小さい側の酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(d2)とした時に、d2<1/2×d1の関係であり、(b)酸化チタン粒子の疎水化度の差が20%以上である2種の酸化チタン粒子を下引き層に含有させることによって、得られる電子写真感光体は、形成される画像における濃度ムラの発生および黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を抑制できることを見出し、本発明に至った。これにより、下引き層では、図1に示されるように、(a)上記2種の酸化チタン粒子のうち、小径の粒子(Ti2)が大径の粒子(Ti1)の間を通過して、粒子間距離を均一にして、全体的に酸化チタン粒子が下引き層中で最密充填される。このため、粒子(Ti1、Ti2)を介して電子がとどまらず速やかに移動する。このため、残留電位の上昇が抑制されて、画像における濃度ムラの発生を抑制できる。また、(b)2種の粒子の疎水化度の差を20%以上にすることによって、上記2種の粒子を含む凝集塊の形成が抑制されて、下引き層内の粒子間が近接して均一に点在する構成が取れる。このため、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を抑制できる。ただし、上記のメカニズムは推測であり、本発明を限定するものではない。
以下、本発明の感光体を構成する導電性支持体、下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を備える感光層について、それぞれの層を構成する部材について説明する。
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体を構成する導電性支持体としては、円筒状、またはシート状のものであって、導電性を有していればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属を管(ドラム)またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
<下引き層>
本発明では、導電性支持体と感光層の間に、バインダー樹脂と粒径の大きい側の酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1(nm))、小さい側の酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(d2(nm))とした時に、d2<1/2×d1の関係であり、酸化チタン粒子の疎水化度の差が20%以上である2種の酸化チタン粒子を含有する下引き層を設ける。
下引層には、バインダー樹脂と平均粒径が異なり疎水化度の差のある2種の酸化チタン粒子を用いることで、電荷発生層及び導電性支持体からの電荷注入を抑制し、濃度ムラを抑制できると共に、黒ポチおよびカブリなどの画像欠陥も抑制できる。このためには、用いる2種の酸化チタン粒子の平均粒径がd2<1/2×d1の関係にあり、Ti1とTi2の疎水化度の差が20%以上であることが必要である。2種の酸化チタン粒子の平均粒径がd2≧1/2×d1の場合、Ti1の間をTi2が通過でき得る粒子はほとんどまたはまったくなく、層内の粒子が近接して均一に点在する構成が不十分となり、残留電位上昇の抑制効果が不十分になる。また、Ti1とTi2の疎水化度の差が20%未満であると、凝集による不均一な分布が電荷トラップの要因となり残留電位上昇の抑制効果が不十分になる。
平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1(nm))および平均一次粒径の小さい酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(d2(nm))との関係は、d2<1/2×d1を満たすものであれば特に制限されない。残留電位上昇のより高い抑制効果を考慮すると、d1およびd2は、3/14×d1<d2≦12/25×d1の関係を満たすことが好ましく、2/7×d1≦d2≦9/20×d1の関係を満たすことがより好ましい。
本明細書において、平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。すなわち、金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)のTEM(透過型電子顕微鏡)画像を倍率100,000倍で観察し、100個の粒子を一次粒子としてランダムに選択する。これらの一次粒子の水平方向フェレ径を画像解析により測定し、それらの平均値を「平均一次粒径」として求めるものである。
また、本発明において、2種の酸化チタン粒子の疎水化度は、20%以上であれば特に制限されない。しかしながら、2種の酸化チタン粒子の疎水化度の差が20〜60%であることが好ましく、25〜55%であることがより好ましい。疎水化度の差が60%以下であると、分散状態が安定する領域がより広くなり、生産性にも貢献する。なお、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)および平均一次粒径の小さい酸化チタン粒子(Ti2)の疎水化度の大小関係は、いずれの酸化チタン粒子の疎水化度が大きくてもよい。
本明細書において、疎水化度は、メタノールに対する濡れ性の尺度(%)を表し、以下の式で求められる。下記式中、a(ml)は、50mlの蒸留水に添加した0.2gの粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量を表す。
酸化チタン粒子が2種以上の混合物の形態の場合の、酸化チタン粒子の疎水化度は、各酸化チタン粒子の疎水化度に当該酸化チタン粒子の質量比を乗じた値の合計とする。
また、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1)は、特に制限されないが、70nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。上記大きさであれば、層内の粒子間が近接して均一に点在すると共に、空隙率が低いため、残留電位上昇の抑制効果を十分発揮できる。残留電位上昇のより高い抑制効果などを考慮すると、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1)は、20〜70nmであることが好ましく、25〜50nmであることがより好ましい。なお、以下で詳述するが、疎水化度を制御するために酸化チタン粒子を表面処理剤によって表面処理することがあるが、表面処理によっては、酸化チタン粒子の平均一次粒径は実質的に変化しない。このため、本明細書において、「平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1)」または「平均一次粒径の小さい酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(d2)」は、酸化チタン粒子が表面処理剤によって表面処理された場合であっても、表面処理前の酸化チタン粒子の平均一次粒子径を、それぞれ、意味する。
また、2種の酸化チタン粒子の配合比については特に制限はない。しかしながら、好ましくは、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)および平均一次粒径の小さい酸化チタン粒子(Ti2)の混合比(質量比)は、好ましくは20:80〜80:20であり、より好ましくは30:70〜70:30、特に好ましくは35:65〜60:40である。上記の範囲であれば、本発明の画像欠陥抑制および残留電位上昇抑制の効果をより確実に得ることができる。
本発明に用いられる酸化チタン粒子(Ti1およびTi2)の形状は、針状および粒状等の形状がある。また、このような形状の酸化チタン粒子の結晶型としては、特に制限されず、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があり、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが特に好ましい。ここで、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。同様にして、平均一次粒径の小さい酸化チタン粒子(Ti2)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
酸化チタン粒子の疎水化度を制御するためには、表面処理剤によって表面処理することが知られている。その際、表面処理剤の種類、表面処理剤の使用量、表面処理の条件等によって、粒子の疎水化度を変化させることができる。典型的には、表面処理剤および表面処理剤の使用量を適当に選択することにより疎水化度を比較的大きく変化させることができ、表面処理条件を調整することによりさらに所望の疎水化度に近づけることができる。通常、疎水化度を高くする表面処理は、無機系化合物の表面処理剤を用いた表面処理をした後に、有機系化合物の表面処理剤を用いた表面処理を施すことが知られている。
表面処理剤としては、例えば、無機系化合物、有機系化合物が挙げられ、有機系化合物としては、反応性有機ケイ素化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。表面処理剤は、単独でも、二種以上を用いてもよい。
無機系化合物としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニアやそれらの水和物などが挙げられる。このうち、酸化チタン粒子の疎水化度を制御しやすいことから、特にアルミナ、シリカ、アルミナおよびシリカの組み合わせが好ましい。これらは、単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、無機系化合物による表面処理を施した酸化チタン粒子は、シリカ、アルミナ処理を施した市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、T−805(日本アエロジル社製)、STT−30A、STT−65S−S(チタン工業社製)、TAF−500T、TAF−1500T(富士チタン工業社製)、MT−100S、MT−100T、MT−150A、MT−500B、MT−600B、MT−100SA、MT−500SA、MT−600SA(テイカ社製)、IT−S、PT−401M(石原産業社製)などが挙げられる。
反応性有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシブチルメチルジメトキシシラン、などのアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザン、およびメチルハイドロジェンポリシロキサンなどのポリシロキサン化合物などが挙げられる。このうち、金属酸化物粒子の疎水化度を制御しやすいことから、特に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
有機チタン化合物としては、アルコキシチタン(即ち、チタンアルコキシド)、チタンポリマー、チタンアシレート、チタンキレート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等を使用できる。このうち、特にチタンアシレート及び、チタンキレートが好ましい。
表面処理剤による酸化チタン粒子の表面処理は、公知の方法により行うことができ、特に限定されず、湿式処理または乾式処理を採用することができる。乾式処理としては、酸化チタン粒子を撹拌等によりクラウド状に分散させたものに、アルコール等で溶解した疎水化処理剤溶液を噴霧するか或いは気化した疎水化処理剤を接触させて付着させることができる。また、湿式処理による表面処理方法としては、例えば、表面処理剤を水または有機溶媒に分散させた溶液に、金属酸化物粒子を添加して混合・撹拌する、または、酸化チタン粒子を溶液中に分散させ、その中に疎水化処理剤を滴下して付着させることができる。また、湿式処理の際、ビーズミル等によって湿式解砕処理を行ってもよい。その後、得られた溶液をろ過、乾燥し、得られた酸化チタン粒子をアニール処理(焼き付け)することにより行うことができる。
湿式処理の際の混合・撹拌時の温度は、30〜150℃程度であることが好ましく、40〜60℃がより好ましい。混合・撹拌時間は、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間がより好ましい。また、湿式解砕処理を行う場合の処理温度は20〜50℃が好ましく、より好ましくは30〜40℃である。湿式解砕処理の時間は、好ましくは10〜120分が好ましく、より好ましくは30〜70分である。アニール処理温度は、例えば100〜220℃、好ましくは110〜150℃とすることができる。アニール処理時間は0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜5時間である。
湿式の表面処理方法においては、表面処理剤の使用量は、目的とする疎水化度および表面処理剤の種類によって異なるため一概に規定することはできず、適宜選択して表面処理することが好ましい。例えば、反応性有機ケイ素化合物の場合には、未処理酸化チタン粒子100質量部に対して0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部を使用することができる。有機チタン化合物の場合には、未処理酸化チタン粒子100質量部に対して0.1〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部を使用することができる。溶媒の添加量は、未処理酸化チタン粒子100質量部に対して100〜600質量部、より好ましくは200〜500質量部であることが好ましい。
表面処理剤の使用量がそれぞれ上記の下限値以上であれば、未処理酸化チタン粒子に対して十分な表面処理を行えるため、下引き層の正孔ブロッキング性を維持することができ、黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を十分に抑制することができる。一方、表面処理剤の使用量がそれぞれ上記の上限値以下であれば、表面処理剤同士が反応することにより、酸化チタン粒子の表面に均一な被膜が付着されず、リークが発生しやすくなることを防止できる。
(バインダー樹脂)
下引き層を構成するバインダー樹脂(以下、下引き層用バインダー樹脂とも称する)としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体及びゼラチンなどが挙げられる。中でも、後述する電荷発生層を形成するための塗布液を下引き層上に塗布する際に、当該下引き層が溶解することを抑制する観点などから、ポリアミド樹脂が好ましい。また、上記の表面処理された酸化チタン粒子はアルコール系溶媒に分散させることが好適であるため、メトキシメチロール化ポリアミド樹脂などのアルコール可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
下引き層の膜厚は、0.5〜15μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。下引き層の膜厚が0.5μm以上であれば、導電性支持体表面全体を確実に被覆することができ、導電性支持体からの正孔の注入を十分にブロックすることができ、黒ポチやカブリなど画像欠陥の発生を十分に抑制することができる。一方、下引き層の膜厚が15μm以下であれば、電気的抵抗が小さく、十分な電子輸送性が得られることにより、濃度ムラの発生を十分に抑制することができる。
<感光層>
本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に付与した単層構造の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。このように、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御し易いメリットがある。負帯電性感光体は下引き層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層を設ける構成をとり、正帯電性感光体は下引き層の上に電荷輸送層、その上に電荷発生層を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電性感光体である。
以下に、感光層の好ましい具体例として機能分離型の負帯電性感光体の感光層、すなわち電荷発生層および電荷輸送層を積層した感光層について説明する。
(電荷発生層)
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質と電荷発生層用バインダー樹脂を含有するものが好ましい。さらに、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。
電荷発生物質は、特に制限されない。具体的には、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン化合物、キノシアニ化合物、ペリレン化合物、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ化合物等の縮合多環化合物;フタロシアニン化合物等が挙げられる。電荷発生物質は、上記の中から露光光源の発振波長に対する感度に応じて選択されればよく、チタニルフタロシアニン化合物やペリレン化合物等の縮合多環化合物等が高感度で好ましい。すなわち、感光層が、電荷発生層と電荷輸送層とを有し、前記電荷発生層が、チタニルフタロシアニン化合物および縮合多環化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。また、縮合多環化合物がペリレン系化合物であることがより好ましい。これらの電荷発生物質は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
(フタロシアニン化合物)
フタロシアニン化合物としては、中心金属を有するフタロシアニン化合物が好ましく、Ti、Fe、V、Ga、Si、Pb、Al、Zn、Mgの少なくとも1種を有するものが挙げられる。中でもTiを有するチタニルフタロシアニンが好ましく、Y型チタニルフタロシアニン顔料、または、チタニルフタロシアニン顔料およびブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料、特に2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料の混合物を用いることが好ましい。これらのフタロシアニン化合物は、高感度電荷発生物質に含まれるものである。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3°にピークが最大であり、7.4°、9.7°、24.2°に明瞭な回折ピークを有するものである。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、例えば、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンが挙げられる。この2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンの構造を模式的に示すと、下記式(1)の通りである。
2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、ブタンジオールの付加比率によって異なる結晶型をとりうる。良好な感度を得るためには、チタニルフタロシアニン1モルに対してブタンジオール化合物を1モル以下となるように反応させて得られる結晶型のものが好ましい。そのような結晶型を有する2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、粉末X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)8.3°において、特徴的なピークを有する。この2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、8.3°以外にも、24.7°、25.1°、26.5°にピークがみられる。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、単独で含まれてもよいが、非付加のチタニルフタロシアニンと共に含まれてもよい。
電荷発生物質としては、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと、非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を用いることもできる。この混合物を含む感光層(電荷発生層)を備えた電子写真感光体の相対反射スペクトルから換算して得られる、当該感光層の波長780nmにおける吸光度Abs(780)と波長700nmにおける吸光度Abs(700)との吸光度比(Abs(780)/Abs(700))が0.8〜1.1であることが好ましい。
吸光度比(Abs(780)/Abs(700))は、以下のようにして求めることができる。
(1)まず、アルミニウム支持体上に、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと、非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を含む感光層を形成した感光体試料を準備する。そして、この感光体試料の相対反射光の吸収スペクトルを測定する。反射光の吸収スペクトルは、光学式膜厚測定装置「Solid Lambda Thickness」(スペクトラコープ社製)を用いて測定することができる。
即ち、まず各波長におけるアルミニウム支持体の反射強度をベースラインとして測定する。次いで、各波長における感光体試料の反射強度を測定する。そして、各波長における感光体試料の反射強度を、各波長におけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる値を「相対反射率(Rλ)」とする。それにより、相対反射スペクトルを得る。
(2)次いで、得られた感光体試料の相対反射スペクトルを、下記式(A)により吸光度スペクトルに換算する。
式(A):Absλ=−log(Rλ)〔式(A)中、Rλは、波長λにおける感光体試料の反射強度を、波長λにおけるアルミニウム支持体の反射強度で割って得られる相対反射率を示す。〕
(3)次いで、干渉縞による凹凸を除去するために、上記(2)で換算した吸光度スペクトルデータを、波長領域765〜795nmおよび波長領域685〜715nmのそれぞれにおいて、二次の多項式に近似する。
(4)そして、近似した二次の多項式における、波長780nmにおける吸光度Abs
(780)と、波長700nmにおける吸光度Abs(700)とを求める。それにより、吸光度比(Abs(780)/Abs(700))を算出する。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンは、これを含む感光層(電荷発生層)を備えた電子写真感光体の相対反射スペクトルから換算して得られる、当該感光層の波長780nmにおける吸光度Abs(780)と波長700nmにおける吸光度Abs(700)との吸光度比(Abs(780)/Abs(700))が0.8〜1.1であることが好ましい。ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンを含む感光層の吸光度比(Abs
(780)/Abs(700))が上記範囲内である場合においては、適切な分散シェアによって顔料結晶が安定化しやすく、光感度や、繰り返し露光による画像特性が安定する。
ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンを含む感光層の吸光度比は、前述と同様にして測定することができる。
(縮合多環化合物)
縮合多環化合物とは、それぞれの環が環構造の一部を共有している3個以上の環構造を有し、かつ該化合物が金属原子を有しない化合物を言う。このような化合物としては、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタセン、ヘキサフェン、トリナフチレン、コロネン等が挙げられる。
本発明においては、ペリレン系化合物が好ましく、特に3,4位、9,10位を含窒素連結基で結合した構造のペリレン系化合物が電位安定化に対する効果が高く好ましい。さらに上述のフタロシアニン化合物と組み合わせた時の安定性に対する効果が著しく特に好ましい。
本発明に好ましく用いられるペリレン系化合物の具体例を以下に示す。
(電荷発生層用バインダー樹脂)
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂である。バインダー樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はないが、10000〜150000であることが好ましく、さらに好ましくは15000〜100000である。
電荷発生層用バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、特に制限されないが、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して、電荷発生物質20〜600質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。電荷発生物質の含有量が上記の範囲内であると、露光により十分な電荷を発生させることができ、感光層(電荷発生層)の十分な感度が確保でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加を防止できる。
電荷発生層の膜厚は、特に制限されず、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。
(電荷輸送層)
本発明で形成される電荷輸送層は、電荷(正孔)輸送物質と電荷輸送層用バインダー樹脂とを含有して構成されることが好ましい。電荷輸送層は、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解させ、塗布して形成されたものが好ましい。
電荷輸送物質は、公知の化合物を用いることが可能で、たとえば、以下の様なものが挙げられる。すなわち、トリアリールアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等である。これらの化合物を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。このうち、好ましくはトリアリールアミン誘導体(実施例:(4,4’−ジメチル−4”−(α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン))である。
また、電荷輸送層用バインダー樹脂は公知の樹脂を用いることが可能で、たとえば、以下の様なものがある。すなわちポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらは、単独でも、二種以上を用いてもよい。なかでも、吸水率が低く、電荷輸送物質を良好に分散させることができることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
電荷輸送層は、必要に応じて例えば酸化防止剤などの他の成分が含有されていてもよい。
電荷輸送物質の含有量は、特に制限されないが、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。電荷輸送物質の含有量が上記の範囲内であると、電荷輸送性が十分確保できるため、電荷発生層で発生した電荷を電子写真感光体表面まで十分に輸送でき、かつ、繰り返し使用に伴う残留電位の増加が防止できる。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、及び、これらの混合比等により異なるが、10〜40μmが好ましい。
〔保護層〕
本発明の電子写真感光体は、上記感光層上にさらに保護層を有していてもよい。保護層は、感光体を外部環境や衝撃から保護する役割を担っている。保護層が形成される場合には、当該保護層は、無機粒子およびバインダー樹脂より構成されることが好ましく、必要に応じて酸化防止剤や滑剤などの他の成分が含有されていてもよい。すなわち、感光層上に無機粒子を含む保護層をさらに有することが好ましい。
(無機粒子)
保護層に含まれる無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化錫、酸化ジルコニウム等の粒子を好ましく用いることができる。特に表面を疎水化した疎水性シリカや疎水性アルミナ、疎水性ジルコニア、微粉末焼結シリカなどが好ましい。
無機粒子の大きさは、特に制限されないが、数平均一次粒子径が1〜300nmのものが好ましく、5〜100nmのものが特に好ましい。
ここで、無機粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析により水平方向フェレ径の数平均径として測定値を算出して得られた値とされる。
(保護層用バインダー樹脂)
保護層に用いるバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。例えば、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。また、硬化性化合物を硬化させて得られる成分も好ましい。これらのバインダー樹脂は併用して用いることもできる。
(硬化性化合物)
保護層に使用可能な硬化性化合物としては、ラジカル重合性化合物が挙げられ、ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体が好ましい。ここで、上記ラジカル重合性化合物が有する反応基(官能基)の数は特に制限されないが、膜強度の観点から、保護層は、3官能以上のラジカル重合性化合物を含有する塗布液を塗布後、硬化して形成されることが好ましい。
これらの重合性単量体としては、例えば以下の化合物を例示することができる。
上記のラジカル重合性化合物は公知であり、また市販品として入手できる。
ここで、Rは、下記アクリロイル基、R’は、下記メタクリロイル基を表す。
(ラジカル重合性官能基を有する処理剤で表面処理された無機粒子)
無機粒子としては、遷移金属も含めたいずれかの金属酸化物粒子で記載すると、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化錫、チタニア(酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等が例示される。これらの無機粒子にラジカル重合性官能基を有する処理剤、特に、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する表面処理剤により表面処理されていることが好ましい。
上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する表面処理剤としては、下記に記すような化合物が例示される。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
表面処理剤としては、前記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらの表面処理剤は単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
また、表面処理剤の無機粒子への処理量は、特に制限されないが、処理前の粒子100質量部に対して表面処理剤0.1〜200質量部が好ましい。
〔ラジカル重合性官能基を有する処理剤により表面処理された金属酸化物粒子の製法〕
以下、ラジカル重合性官能基を有する処理剤により表面処理された無機粒子の製造方法を、酸化錫粒子を例にして説明する。
本発明に係わるラジカル重合性を有する処理剤で表面処理された酸化錫粒子は、酸化錫粒子を、ラジカル重合性官能基を有するシラン化合物(前記の例示化合物)等を用いて表面処理することにより、得ることが出来る。該表面被覆処理するに際、処理前の酸化錫粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面処理剤として0.1〜200質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
以下に、均一で、しかもより微細にラジカル重合性官能基を有するシラン化合物で表面被覆処理された酸化錫粒子を製造する表面処理方法を述べる。
即ち、酸化錫粒子とラジカル重合性官能基を有するシラン化合物の表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、酸化錫粒子を微細化すると同時に酸化錫粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一で、しかもより微細なシラン化合物により表面処理された酸化錫粒子を得ることができる。
本発明において用いられる表面処理装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、無機粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、無機粒子に表面処理を行う際に無機粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば問題なく、たとえば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、
ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以上のような湿式処理により、表面処理剤で表面処理された酸化錫粒子を得ることができる。
以上、酸化錫粒子で説明したが、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ等の無機粒子も、酸化錫と同様に表面に水酸基を有しているので、酸化錫と同様に表面処理剤で表面処理された粒子を得ることができる。
硬化性化合物を含む保護層には、これらの他に必要に応じて重合開始剤、滑剤粒子等を含有させて形成してもよい。
(重合開始剤)
保護層に使用可能な硬化性化合物を硬化反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により硬化反応を行うことができる。ラジカル重合開始剤を用いて硬化反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(イルガキュアー369:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(イルガキュアー819:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明に用いられる重合開始剤としては光重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物が好ましく、更に好ましくはα−ヒドロキシアセトフェノン構造、あるいはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜20質量部である。
(滑剤粒子)
また、保護層に各種の滑剤粒子を含有させることも可能である。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から一種あるいは二種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
(溶媒)
保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記溶媒は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用してもよい。
(硬化性化合物を含む保護層の形成)
保護層は、ラジカル重合性の硬化性化合物、表面処理した無機粒子や反応性基を有する無機粒子、必要に応じて公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、その後硬化処理して作製することができる。保護層の膜厚は、0.2〜15μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。
本発明では、保護層の硬化は、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使い易さ等の見地から紫外線が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LED等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cm、好ましくは5〜15mJ/cmである。光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWであり、特に好ましくは、0.5〜3kWである。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5〜10Mrad)であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であり、具体的には0.1秒〜10分が好ましく、硬化効率又は作業効率の観点から1秒〜5分がより好ましいとされる。
<電子写真感光体の製造方法>
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、特に制限はなく、導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層および電荷輸送層、または単層の感光層、必要に応じて保護層の各層を構成しうる塗布液を調製し、塗布液を順に公知の塗布方法により塗布し、乾燥させて各層を順に形成することができる。塗布方法としては、具体的には、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンナーコート法、ビードコート法、ブレードコート法、ビームコート法、円形量規制型塗布法(スライドホッパー型塗布装置を用いた塗布方法)等が挙げられる。尚、保護層は、前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。円形量規制型塗布ついては、例えば特開昭58−189061号に詳細に記載されている。
(下引き層の形成)
下引き層を形成するには、特に制限はないが、例えば以下のような方法を用いることができる。まずバインダー樹脂を溶媒中に溶解または分散させ、次いで、この分散液に上記した酸化チタン粒子を添加し、均一になるまで分散させ、分散液を調製する。その後、この分散液を一昼夜程度静置し、濾過して、下引き層形成用塗布液を調製する。次いで、この塗布液を上記の方法で導電性支持体上に塗布し、乾燥させることで下引き層を形成する。
塗布液形成時のバインダー樹脂濃度は、下引き層の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択することができる。好ましくは、バインダー樹脂100質量部に対して、溶媒100〜3000質量部、より好ましくは500〜2000質量部である。互いに異なる粒径の酸化チタン粒子濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して、合計で200〜600質量部が好ましく、より好ましくは250〜500質量部である。なお、この塗布液中の成分比が、形成された下引き層中の成分比となる。
下引き層の形成に使用可能な溶媒としては、酸化チタン粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。上記溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、保存性や酸化チタン粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して以下の様な助溶剤を併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。上記助溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
導電性微粒子や金属酸化物粒子等の分散手段は、超音波分散機、ビーズミル、ボールミル、サンドグラインダー、及び、ホモミキサー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、下引き層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。
下引き層用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。乾燥条件は、例えば100〜150℃で10〜60分、熱乾燥することができる。
(電荷発生層の形成)
電荷発生層を形成するには、電荷発生層用バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に、分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製する。次いで、塗布液を上記した塗布方法で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して電荷発生層を作製することが好ましい。また、電荷輸送物質および電荷輸送物質を含む単層の感光層を形成する場合にも、電荷発生層の形成と同様の方法で感光層を形成することができる。
電荷発生層塗布液中の電荷発生層用バインダー樹脂濃度は、塗布に適した粘度となるように適宜選択できるが、好ましくは、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して、溶媒が100〜5000質量部であり、より好ましくは1000〜4000質量部である。電荷発生物質濃度は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは80〜400質量部であり、より好ましくは150〜300質量部である。
電荷発生層に使用する電荷発生層用バインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。より好ましくは、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンである。
電荷発生物質の分散手段としては、上記した下引き層の酸化チタン粒子の分散手段と同様の方法が採用できる。また、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。塗布方法も、上記した方法を採用することができる。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送層を形成するには、電荷輸送層用バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に、
電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製する。次いで、塗布液を上記した塗布方法で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して電荷輸送層を作製することが好ましい。
電荷輸送層塗布液中の電荷輸送層用バインダー樹脂濃度は、上記の塗布方法に適した粘度となるように適宜選択できる。好ましくは、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して、溶媒が100〜1000質量部、より好ましくは400〜800質量部である。電荷輸送物質濃度は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは60〜90質量部である。
電荷輸送物質の分散手段としては、上記した下引き層の酸化チタン粒子の分散手段と同様の方法が採用できる。また、電荷輸送層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。塗布方法も、上記した下引き層と同様の方法を採用することができる。
<保護層>
保護層の形成方法も、上記下引き層等と同様の方法を採用できる。保護層を形成する成分を溶媒中に分散または溶解させて塗布液を調製し、上記の塗布方法で所望の厚さになるように塗布液を塗布し、乾燥させて保護層を形成することができる。
<画像形成装置>
本発明の電子写真感光体は、電気的安定性を長期にわたり維持することができ、画像の濃度ムラを抑制できる。また、本発明の電子写真感光体は、黒ポチおよびカブリ等の画像欠陥を長期にわたり併せて抑制することができる。このため、本発明の電子写真感光体は、画像形成装置に好適に使用できる。したがって、本発明は、本発明の電子写真感光体を備える画像形成装置をも提供する。本発明の電子写真感光体備える画像形成装置は、安定した画像形成が長期にわたり提供できる。
本発明の画像形成装置は、少なくとも本発明の電子写真感光体を有するものである。このため、本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真感光体を備える以外は、公知の画像形成装置と同様でありうるまたは公知の画像形成装置に適宜修飾された画像形成装置でありうる。
図2は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略断面図である。
この画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置であって、4組の画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット130と、給紙搬送手段150と、定着手段170とを有する。画像形成装置100の本体の上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、鉛直方向に並べて配置されている。画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、第1の像担持体である電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkと、その周囲にドラムの回転方向に順次配置された、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkと、露光手段115Y、115M、115C、115Bkと、現像手段117Y、117M、117C、117Bkと、クリーニング手段119Y、119M、119C、119Bkとを有する。そして、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bk上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)のトナー画像をそれぞれ形成できるようになっている。画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkは、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkに形成するトナー画像の色が異なる以外は同様に構成されるため、以下、画像形成ユニット110Yの例で説明する。
電子写真感光体111Y、111M、111C、110Bkの少なくとも1つは、本発明に係る電子写真感光体であって、当該電子写真感光体を構成する下引き層は、互いに粒径の異なる2種の酸化チタン粒子を含有し、かつ該酸化チタン粒子の疎水化度の差が20%以上である。電子写真感光体111Y、110M、110C、110Bkの少なくとも2つの感光体が本発明の電子写真感光体であることが好ましく、少なくとも3つの感光体が本発明の電子写真感光体であることがより好ましく、すべての感光体が本発明の電子写真感光体であることが特に好ましい。
帯電手段113Yは、電子写真感光体111Yに対して一様な電位を与える手段である。本実施の形態においては、帯電手段113Yとしてコロナ放電型の帯電器が好ましく用いられる。
露光手段115Yは、帯電手段113Yによって一様な電位を与えられた電子写真感光体111Y上に、画像信号(イエローの画像信号)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する機能を有する。露光手段115Yは、電子写真感光体111Yの軸方向にアレイ状に発光素子が配列されたLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいはレーザー光学系などでありうる。
露光光源は、発振波長が使用する電荷発生物質の最大吸光度の5割以上の範囲の半導体レーザーまたは発光ダイオードであることが好ましい。例えば、電荷発生物質として、2,3−ブタンジオール付加チタニルフタロシアニンと非付加のチタニルフタロシアニンとの混合物を用いる場合には、650〜800nmであることが好ましい。これらの露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込み、感光体上にデジタル露光を行うことで、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)
〜2400dpiあるいはそれ以上の高解像度の電子写真画像を形成しうる。
露光ドット径とは、露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の、主走査方向の露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を示す。
現像手段117Yは、電子写真感光体111Yにトナーを供給し、電子写真感光体111Yの表面に形成された静電潜像を現像可能に構成されている。
クリーニング手段119Yは、電子写真感光体111Yの表面に圧接するローラや、ブレードを有しうる。
無端ベルト状中間転写体ユニット130は、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkと当接可能に設けられている。無端ベルト状中間転写体ユニット130は、第2の像担持体である無端ベルト状中間転写体131と、当該無端ベルト状中間転写体131と当接して配置された一次転写ローラ133Y、133M、133C、133Bkと、当該無端ベルト状中間転写体131のクリーニング手段135とを有する。
無端ベルト状中間転写体131は、複数のローラ137A、137B、137C、137Dにより巻回され、回動可能に支持されている。
この画像形成装置100において、前述の電子写真感光体111Y、現像手段117Y、およびクリーニング手段119Y等は、一体的に結合され、装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)であってもよい。あるいは、帯電手段113Y、露光手段115Y、現像手段117Y、一次転写ローラ133Yおよびクリーニング手段119Yからなる群から選ばれる一以上の部材と、電子写真感光体111Yとを一体的に構成したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)としてもよい。
プロセスカートリッジ200は、筐体201と、それに収容された電子写真感光体111Y、帯電手段113Y、現像手段117Yおよびクリーニング手段119Yと、無端ベルト状中間転写体ユニット130とを有する。また、装置本体には、プロセスカートリッジ200を装置本体内にガイドする手段として支持レール203L、203Rが設けられている。それにより、プロセスカートリッジ200を装置本体に着脱可能となっている。これらのプロセスカートリッジ200は、装置本体に着脱自在に構成された単一の画像形成ユニットとなりうる。
給紙搬送手段150は、給紙カセット211内の転写材Pを、複数の中間ローラ213A、213B、213C、213Dおよびレジストローラ215を経て、二次転写ローラ217に搬送可能に設けられている。
定着手段170は、二次転写ローラ217により転写されたカラー画像を定着処理する。排紙ローラ219は、定着処理された転写材Pを挟持して、画像形成装置外部に設けられた排紙トレイ221上に載置可能に設けられている。
このように構成された画像形成装置100では、画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkにより画像を形成する。具体的には、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にコロナ放電して負に帯電させる。次いで、露光手段115Y、115M、115C、115Bkで、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段117Y、117M、117C、117Bkで、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にトナーを付与し、現像する。
次いで、一次転写ローラ(一次転写手段)133Y、133M、133C、133Bkを、回動する無端ベルト状中間転写体131と当接させる。それにより、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bk上にそれぞれ形成した各色の画像を、回動する無端ベルト状中間転写体131上に逐次転写させて、カラー画像を転写する(一次転写する)。画像形成処理中、一次転写ローラ133Bkは、常時、電子写真感光体111Bkに当接する。一方、他の一次転写ローラ133Y、133M、133Cは、カラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する電子写真感光体111Y、111M、111Cに当接する。
そして、一次転写ローラ133Y、133M、133C、133Bkと無端ベルト状中間転写体131とを分離させた後、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面に残留するトナーを、クリーニング手段119Y、119M、119C、119Bkで除去する。そして、次回の画像形成に備えて、必要に応じて電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を除電手段(不図示)によって除電した後、帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより負に帯電させる。
一方、給紙カセット211内に収容された転写材P(例えば普通紙、透明シート等の最終画像を担持する支持体)を、給紙搬送手段150で給紙し、複数の中間ローラ213A、213B、213C、213D、レジストローラ215を経て二次転写ローラ(二次転写手段)217に搬送する。そして、二次転写ローラ217を回動する無端ベルト状中間転写体131と当接させて、転写材P上にカラー画像を一括して転写する(二次転写する)。二次転写ローラ217は、転写材P上に二次転写を行うときのみ、無端ベルト状中間転写体131と当接する。その後、カラー画像が一括転写された転写材Pを、無端ベルト状中間転写体131の曲率が高い部位で分離する。
このようにしてカラー画像が一括して転写された転写材Pを、定着手段170で定着処理した後、排紙ローラ219で挟持して装置外の排紙トレイ221上に載置する。また、カラー画像が一括転写された転写材Pを無端ベルト状中間転写体131から分離した後、クリーニング手段135で無端ベルト状中間転写体131上の残留トナーを除去する。
前述したように、本実施の形態の画像形成装置100に含まれる電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの下引き層は、互いに粒径が異なり、かつ疎水化度の差が20%以上である2種の酸化チタン粒子を含有しているため、十分な電子輸送性を有し、感光体表面の残存電位の増加を抑制でき、画像の濃度ムラを少なくすることができる。さらに、電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkの下引き層は、高い正孔ブロッキング性を有するため、特に高感度の電荷発生層を有する電子写真感光体111Y、111M、111C、111Bkにおいても、導電性支持体からの不要な正孔の注入や電荷発生層からの不要な熱励起キャリアの移動を少なくすることができ、黒ポチやカブリなどの画像欠陥を抑制することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、下記実施例および比較例中に記載の「部」は「質量部」を表すものである。
<表面処理済み酸化チタン粒子の作製>
(表面処理済み酸化チタン粒子1の作製)
70nmのルチル型酸化チタン粒子(PT−401M;石原産業社製)600質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)25質量部と、トルエン1500質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分、温度35度で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み酸化チタン粒子1を得た。この粒子の疎水化度は60%、真比重3.7であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子2の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子1の作製において、70nmのルチル型酸化チタン粒子を、50nmのルチル型酸化チタン粒子にシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン粒子(MT−600SA;テイカ社製)420質量部に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子1の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子2を得た。表面処理済み酸化チタン粒子2を得た。この粒子の疎水化度は65%、真比重は3.8であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子3の作製)
50nmのルチル型酸化チタン粒子(MT−600B;テイカ社製)500質量部をトルエン2000部と撹拌混合し、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103;信越化学工業社製)50質量部を添加し、50度で3時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、130℃で3時間焼き付けを行った。それにより、表面処理済み酸化チタン粒子3を得た。この粒子の疎水化度は25%、真比重は3.6であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子4の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子3の作製において、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103;信越化学工業社製)に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子3の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子4を得た。この粒子の疎水化度は30%、真比重は3.6であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子5の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子3の作製において、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランをチタンアシレート(オルガチックスTPHS;マツモトファインケミカル社製)に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子3の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子5を得た。この粒子の疎水化度は50%、真比重は3.7であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子6の作製)
35nmのルチル型酸化チタン粒子にシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン粒子(MT−500SA;テイカ社製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)30質量部と、トルエン2000質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分、温度35℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み酸化チタン粒子6を得た。この粒子の疎水化度は70%、真比重は3.7であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子7の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子6の作製において、MHPSの量を15質量部に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子6の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子7を得た。この粒子の疎水化度は55%、真比重は3.6であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子8の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子4の作製において、50nmのルチル型酸化チタン粒子を、35nmのルチル型酸化チタン粒子(MT−500B;テイカ社製)に変更した以外は表面処理済み酸化チタン粒子4の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子8を得た。この粒子の疎水化度は35%、真比重は3.7であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子9の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子5の作製において、50nmのルチル型酸化チタン粒子を、35nmのルチル型酸化チタン粒子(MT−500B;テイカ社製)に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子5の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子9を得た。この粒子の疎水化度は60%、真比重は3.7であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子10の作製)
15nmのルチル型酸化チタン粒子(MT−150A;テイカ社製)400質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)30質量部と、トルエン1500質量部とを攪拌混合した後、ビーズミルによりミル滞留時間40分、温度35℃で湿式解砕処理を行った。湿式解砕処理して得られたスラリーから、減圧蒸留によりトルエンを分離除去した。得られた乾燥物に、120℃で2時間、MHPSの焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、表面処理済み酸化チタン粒子10を得た。この粒子の疎水化度は50%、真比重3.4であった。
(表面処理済み酸化チタン粒子11の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子10の作製において、15nmのルチル型酸化チタン粒子をシリカ、アルミナ処理を施した無機処理酸化チタン粒子(MT−100SA;テイカ社製)に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子10の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子11を得た。この粒子の疎水化度は65%、真比重は3.5であった。
(表面処理済み金属酸化物粒子12の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子10の作製において、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)を3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103;信越化学工業社製)に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子10の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子12を得た。この粒子の疎水化度は20%、真比重は3.5であった。
(表面処理済み金属酸化物粒子13の作製)
表面処理済み酸化チタン粒子10の作製において、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103;信越化学工業社製)に変更した以外は、表面処理済み酸化チタン粒子10の作製と同様にして、表面処理済み酸化チタン粒子13を得た。この粒子の疎水化度は25%、真比重は3.5であった。
上記のように得られた表面処理済み酸化チタン粒子について、下記表1にまとめる。なお、疎水化度は以下のように測定した。
<疎水化度の測定方法>
内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の粒子を0.2g秤量し添加した。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で粒子の全体が濡れるまで(全部が沈降するまで)ゆっくり滴下した。この粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、疎水化度(%)は下記式により算出した。
[実施例1](感光体1)
以下の手順により、導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成してなる積層構造を有する「感光体1」を作製した。
〈導電性支持体の作製〉
長さ364mmのアルミニウム合金素管をNC施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径77.98mm、表面のRzが0.8μmになるように切削加工を行った。
〈感光体1の作製〉
〈下引き層の形成〉
バインダー樹脂としての下記ポリアミド樹脂(N−1)100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて、20℃で攪拌混合した。この溶液に、上記表面処理済み酸化チタン粒子1を140質量部、表面処理済み酸化チタン粒子13を200質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させた。そして、この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、下引き層用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルタとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた下引き塗布液を、前記基体を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分乾燥して乾燥膜厚2μmの「下引き層」を形成した。
〈電荷発生層の作製〉
(CG−1の合成)
1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラ−n−ブトキシドとから粗チタニルフタロシアニンを合成した。得られた粗チタニルフタロシアニンを硫酸に溶解させた溶液を、水に注入して結晶を析出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶を水で十分に洗浄して、ウエットペースト品を得た。次いで、ウエットペースト品を冷凍庫にて凍結させ、再度解凍した後、濾過および乾燥して、無定型チタニルフタロシアニンを得た。
得られた無定型チタニルフタロシアニンと、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとを、無定型チタニルフタロシアニンに対する(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの当量比が0.6となるように、オルトジクロロベンゼン(ODB)中にて混合した。得られた混合物を、60〜70℃で6時間加熱撹拌した。得られた溶液を一夜静置した後、メタノールをさらに添加して結晶を析出させた。この溶液を濾過した後、得られた結晶をメタノールで洗浄して、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含む電荷発生物質CG−1を得た。
電荷発生物質CG−1のX線回折スペクトルを測定した結果、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°にピークが確認された。得られた電荷発生物質CG−1は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、チタニルフタロシアニン(非付加体)との混合物であると推定した。
(電荷発生層用塗布液1の調製および電荷発生層の形成)
下記成分を混合し、循環式超音波ホモジナイザーRUS−600TCVP(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)にて循環流量40L/Hで0.5時間分散して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、下引き層と同様の浸漬塗布法により下引き層上に塗布した後、乾燥させて、厚さ0.5μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生物質:CG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400部
〈電荷輸送層の作製〉
下記成分を混合して電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を、下引き層と同様の浸漬塗布法により電荷発生層上に塗布した後、乾燥させて、厚さ25μmの電荷輸送層を形成した。これにより電子写真感光体1(感光体1)を得た。
電荷輸送物質「(4,4’−ジメチル−4”−(α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン)」 225.0部
ポリカーボネート「ユーピロンZ400(三菱ガス化学社製)」 300.0部
酸化防止剤「Irganox1010(BASFジャパン社製)」 6.0部
テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 2000.0部
シリコーンオイル「KF−96(信越化学社製)」 1.0部
[実施例2、3](感光体2、3)
実施例1において、感光体1の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体2、3をそれぞれ作製した。
[実施例4](感光体4)
実施例1において、感光体1の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷輸送層の膜厚を25μmから20μmとし、さらに以下のようにして保護層を設けた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体4を作製した。
〈保護層塗布液1の調製及び保護層の形成〉
下記成分を混合し、分散・溶解して保護層塗布液1を調製した。
無機粒子「シリカ粒子(一次処理:ジメチルジクロロシラン、二次処理:ヘキサメチルジシラザンで表面処理された平均一次粒径50nmのシリカ)」 10.0部
電荷輸送物質「(4,4’−ジメチル−4”−(α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン)」 35.0部
ポリカーボネート「Z500(三菱ガス化学社製)」 50.0部
酸化防止剤「BHT−F(武田キリン社製)」 3.0部
テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 700.0部
シリコーンオイル「KF−96( 信越化学社製)」 1.0部
この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー型塗布機で塗布し、120℃で70分の乾燥を行い、乾燥膜厚8μmの保護層を形成し、電子写真感光体4を得た。
[実施例5](感光体5)
実施例1において、感光体1の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、さらに以下のようにして保護層を設けた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体5を作製した。
〈保護層塗布液2の調製及び保護層の形成〉
下記成分を混合し、分散・溶解して保護層塗布液2を調製した。
無機粒子「反応性基を有する酸化錫粒子(同一質量のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(例示S−15)で表面処理した数平均一次粒径20nmの酸化錫粒子)」
120部
重合性化合物「トリメチロールプロパントリメタクリレート(例示M1)」 100部
光重合開始剤「Irgacure369(BASFジャパン社製)」 10部
2−ブタノール 500部
この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー型塗布機で塗布した。塗布後、低圧水銀灯を用いて紫外線を3kW、1分間照射して、乾燥膜厚2μmの保護層を得た。これを80℃で20分乾燥し、感光体5を得た。
[実施例6、7](感光体6、7)
実施例1において、感光体1の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷発生層用塗布液1を下記電荷発生層用塗布液2に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体6、7をそれぞれ作製した。
〈電荷発生層用塗布液2の調製および電荷発生層の形成〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて15時間分散し、電荷発生層塗布液2を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で下引き層の上に塗布し、乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルでブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20部
ポリビニルブチラール(BM−1、積水化学(株) 10部
メチルエチルケトン 700部
シクロヘキサノン 300部
[実施例8](感光体8)
実施例4において、感光体4の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷発生層用塗布液1から電荷発生層用塗布液2へ変更した以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体8を作製した。
[実施例9](感光体9)
実施例5において、感光体5の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷発生層用塗布液1から電荷発生層用塗布液2へ変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体9を作製した。
[実施例10](感光体10)
実施例1において、感光体1の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷発生層用塗布液1を下記電荷発生層用塗布液3に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体10を作製した。
〈電荷発生層用塗布液3の調製および電荷発生層の形成〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて20時間分散した。この分散液と電荷発生層用塗布液2を1:1の割合で混合して電荷発生層塗布液3を調製した。この塗布液を、浸漬塗布法で下引き層の上に塗布し、乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生物質:ペリレン(例示化合物P−18) 10部
ポリビニルブチラール(BM−1、積水化学(株)製) 10部
メチルエチルケトン 700部
シクロヘキサノン 300部
[実施例11](感光体11)
実施例4において、感光体4の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷発生層用塗布液1から電荷発生層用塗布液3へ変更した以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体11を作製した。
[実施例12](感光体12)
実施例5において、感光体5の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更し、電荷発生層用塗布液1から電荷発生層用塗布液3へ変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体12を作製した。
[比較例1〜3](感光体13〜15)
実施例1において、感光体1の下引き層に含まれる表面処理済み酸化チタン粒子を、表2に示されるようにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体13〜15を作製した。
<性能評価>
実施例1〜12および比較例1〜3で得た電子写真感光体を搭載したコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRESS C8000(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機)を用いて、40万枚のプリントを行った。耐刷前後(1枚目と40万枚目プリント後)の表面電位および画像(濃度ムラ、カブリ)を、以下のようにして評価した。これらの評価結果を表2に示す。
<電子写真感光体の表面電位>
得られた電子写真感光体表面の、10℃、15%RH下における初期(0秒後)の電位と30秒後の電位との差(電位変動ΔVi)を、電気特性測定装置により測定した。表面電位変動の測定は、電子写真感光体を120rpmで回転させながら、グリッド電圧−800V、露光量0.5μJ/cmの条件で、帯電と露光を繰り返して行った。ΔViの評価は、以下の基準に基づいて行い、A〜Cランクを合格とした。
A:ΔViは10V以下
B:ΔViは10V超20V以下であり、画像上では影響なし
C:ΔViは20V超30V以下で制御装置にて画像形成に影響を及ぼさないレベル
D:ΔViは30V以上であり、画像上濃度変化が避けられないレベル。
<画像の評価>
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRESS C8000(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機)を用いて、30℃、80%RH下で画像を形成し、評価を行った。
1)濃度ムラ
得られた各電子写真感光体をイエロー(Yellow)及びシアン(Cyan)の位置に配置した。そして、イエロー位置の転写電流を20μAに固定し、シアン位置の転写電流を20μA〜100μAまで変化させて、図3で示されるGreenチャート(イエローとシアン混合)を出力した。図3中、Dは電子写真感光体の回転軸方向を示す。転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙(株)製)を用いて、当該転写材上に形成した画像を目視観察した。画像の濃度ムラは、以下の基準で評価し、A〜Cランクを合格とした。
A:転写電流60μA以上でも、濃度ムラなし
B:転写電流60μA以上でわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル
C:転写電流40〜50μAでわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル
(ただし、高画質の画像を形成する際には問題となるレベル)
D:転写電流40μA未満でも濃度ムラが明確にみられ、実用上問題となるレベル。
2)カブリ(官能評価)
得られた電子写真感光体をブラック(BK)の位置に配置した。画像が形成されていない転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙(株)製)
を準備し、この転写材をブラックの位置まで搬送し、グリッド電圧−850V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成した。そして、得られた転写材上のカブリの有無を評価した。カブリの有無の評価は、以下の基準に基づいて行い、A〜Bランクを合格とした。
A:カブリなし
B:拡大すると僅かにカブリがみられるが、実用上問題ないレベル
C:目視で僅かにカブリがみられ実用上問題となる、もしくは明らかに目立つ(NG)
上記表2に示されるように、下引き層に酸化チタン粒子Ti1/Ti2のそれぞれの平均一次粒径d1/d2とした時に、d2<1/2×d1の関係を満たし、かつTi1とTi2の疎水化度の差が20%以上の粒子を用いた実施例1〜12の電子写真感光体は、表面電位のΔViが30V以下と低く、電気的安定性が維持され、かつ、濃度ムラとカブリの発生を共に抑制することができたことが確認された。一方、比較例1〜3の通り、下引き層に含まれる粒子が1種類である比較例1に係わる感光体13、酸化チタン粒子の疎水化度の差が20%未満である粒子を用いた比較例2に係わる感光体14、互いの酸化チタン粒子の粒径d2<1/2×d1の関係を満たさない比較例3に係わる感光体15は、電子写真感光体の電気的安定性が維持できず、濃皮ムラとカブリの発生の抑制を両立することができないことが確認された。
10 電子写真感光体
12 導電性支持体
14 下引き層
16 電荷発生層
17 感光層
18 電荷輸送層
100 画像形成装置
110Y、110M、110C、110Bk 画像形成ユニット
111Y、111M、111C、111Bk 電子写真感光体
113Y、113M、113C、113Bk 帯電手段
115Y、115M、115C、115Bk 露光手段
117Y、117M、117C、117Bk 現像手段
119Y、119M、119C、119Bk クリーニング手段
130 無端ベルト状中間転写体ユニット
131 無端ベルト状中間転写体
133Y、133M、133C、133Bk 一次転写ローラ(転写手段)
135 クリーニング手段
137A、137B、137C、137D ローラ
150 給紙搬送手段
170 定着手段
200 プロセスカートリッジ
201 筐体
203R、203L 支持レール
211 給紙カセット
213A、213B、213C、213D 中間ローラ
215 レジストローラ
217 二次転写ローラ(転写手段)
219 排紙ローラ
221 排紙トレイ
D 電子写真感光体の回転軸方向
P 転写材
SC 原稿画像読み取り装置

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層を順次積層してなる電子写真感光体において、該下引き層は、バインダー樹脂および平均一次粒径の異なる2種の酸化チタン粒子を含有し、
    該2種の酸化チタン粒子は、
    いずれも、少なくとも反応性有機ケイ素化合物又は有機チタン化合物のいずれかにより表面処理されたものであり、かつ、下記式(1):
    ただし、d1は、平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(nm)であり、d2は、もう一方の酸化チタン粒子(Ti2)の平均一次粒径(nm)である、
    の関係を満たし、
    平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)及び他方の酸化チタン粒子(Ti2)の疎水化度の差が20%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記平均一次粒径の大きい酸化チタン粒子(Ti1)の平均一次粒径(d1)が50nm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層が、電荷発生層と電荷輸送層とを有し、前記電荷発生層が、チタニルフタロシアニン化合物および縮合多環化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記縮合多環化合物がペリレン系化合物である、請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層上に無機粒子を含む保護層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記保護層は、3官能以上のラジカル重合性化合物を含有する塗布液を塗布後、硬化して形成される、請求項5記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備える画像形成装置。
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