JP2009115944A - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びカラー画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びカラー画像形成装置 Download PDF

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裕文 早田
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Toshiyuki Fujita
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Abstract

【課題】表面傷が付き難く、画像流れ、画像ムラも改良された電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、該感光体を使用するプロセスカートリッジ及びカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有する感光層を有し、該感光層上に少なくとも硬化性官能基を有する化合物を含有する塗膜を形成し、該塗膜に光を照射することで該硬化性官能基を有する化合物を硬化した組成物を含有する保護層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層に少なくとも縮合多環化合物及びフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。前記縮合多環化合物が、ペリレン系化合物、又は多環キノン系化合物から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置に関する。
近年、電子写真感光体(以下、単に感光体とも言う)は有機光導電物質を含有する電子写真感光体が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料を開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いことなどが他の感光体に対して有利な点であるが、機械的強度が弱く、多数枚の複写やプリント時に感光体表面の劣化や傷が発生することがある。このように要求される様々な特性を満たすため、これまで種々のことが検討されて来た。
有機感光体の耐久性を向上するための課題としてクリーニングブレード等の擦過による摩耗や傷を抑制することが強く求められて来た。そのためのアプローチとして、感光体の表面に高強度の保護層を設置するなどの技術が検討されて来た。特に保護層として、熱可塑性樹脂よりも機械的強度の高い硬化性樹脂を用いたものが、感光体の耐久性向上の観点から優れており、多くの技術が提案されている。
例えば、コロイダルシリカ含有熱硬化性シロキサン樹脂を用いた保護層(特許文献1)、光硬化性アクリル樹脂を含有した保護層(特許文献2)、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び該正孔輸送性化合物を熱又は光を用いて重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有した保護層(特許文献3)、ポリシロキサンとシリル基を有するビニル系ポリマーとが化学的に結合した重合体を含有する保護層(特許文献4)などが挙げられる。
これらの硬化性樹脂は、官能基を有するモノマーやオリゴマーが、熱及び/又は光のエネルギーによって重合反応や架橋反応を起こし、硬化する材料であり、架橋密度を上げて耐久性を向上するために、硬化温度や照射光量などの製造条件の検討も盛んに行われて来た。
硬化性樹脂の内、熱硬化樹脂は、有機感光体の耐熱性の制約から硬化温度を十分上げることができないため、架橋密度を上げることが難しく、最近は、光等の放射エネルギーによる硬化性樹脂が多く用いられるようになって来ている。しかし、光硬化性樹脂においても、架橋密度を向上させるために照射光エネルギーを高くすると電位特性を損ない易くなる傾向があり、耐傷性や耐磨耗性等の膜強度と、ライフを通じての電位安定性は両立できていないのが現状である。
特開平6−118681号公報 特開平9−281736号公報 特開2000−66424号公報 特開2000−221723号公報
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、その目的は、表面傷が付き難く、画像流れ、画像ムラも改良された電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、該電子写真感光体を使用するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成できる。
1.
導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有する感光層を有し、該感光層上に少なくとも硬化性官能基を有する化合物を含有する塗膜を形成し、該塗膜に光を照射することで該硬化性官能基を有する化合物を硬化した組成物を含有する保護層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層に少なくとも縮合多環化合物及びフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
2.
前記縮合多環化合物がペリレン系化合物又は多環キノン系化合物から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする前記1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
3.
前記ペリレン系化合物が下記一般式(1)〜(4)で表される化合物であることを特徴とする前記1又は2項に記載の電子写真感光体の製造方法。
Figure 2009115944
〔式中、R1及びR2は各々、水素原子、それぞれ置換もしくは未置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ベンジル基、フェネチル基又は複素環基を表す。又、多量体を形成する場合には、R1、R2は1,4−フェニレン基でもよい。Zは置換もしくは未置換の複素環を形成するに必要な原子群を表す。〕
4.
前記硬化性官能基がアクリロイル基又はメタクリロイル基であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
5.
前記保護層に金属酸化物を含有することを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
6.
前記金属酸化物が酸化チタンであることを特徴とする前記5項に記載の電子写真感光体の製造方法。
7.
前記感光層が、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有する電荷輸送層とを、この順に有する構成であり、かつ前記縮合多環化合物及びフタロシアニン化合物を含有する層が電荷発生層であることを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
8.
前記1〜7項のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
9.
前記8項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする画像形成装置。
10.
前記8項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
11.
前記8項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とするカラー画像形成装置。
本発明により、表面傷が付き難く、画像流れ、画像ムラが改良された電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、該電子写真感光体を使用するプロセスカートリッジ及び画像形成装置の提供を可能にした。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有する感光層を有し、該感光層上に少なくとも硬化性官能基を有する化合物を含有する塗膜を形成し、該塗膜に光を照射することで該化合物を硬化した組成物を含有する保護層を有する電子写真感光体の製造方法に関する発明である。
保護層を硬化するために保護層形成用塗膜に照射した光は、非常に高エネルギーであり、その殆どが硬化性官能基の架橋又は連鎖重合反応に寄与して吸収されるが、一部の光は保護層形成用塗膜を透過し下層の感光層に照射される。
一方、感光層には、電荷発生物質としてフタロシアニン化合物が分散の均一性や高感度であることから好ましく用いられる。フタロシアニン化合物は、前述した保護層を透過して来た保護層硬化用の光に対しても非常に敏感であり、感光体製造時に照射された保護層硬化を目的とした光の影響が、電子写真画像形成を連続して行った時に感度低下による濃度変動や画像ムラとなって顕在化してしまっていた。これに対して、光に影響を少なくするために、光強度や照射距離を調整して光量を減らそうとすると、保護層の硬化が不十分で未反応基が多く存在することになり、画像形成時に水分や放電生成物の未反応基への吸着による表面抵抗低下の影響で画像流れが発生していた。
このような状況下、発明者等は鋭意検討した結果、感光層に縮合多環化合物及びフタロシアニン化合物を含有させることによって、本発明の課題を解決できることを見い出した。即ち、縮合多環化合物とフタロシアニン化合物を感光層に含有させることによって、本発明の硬化性官能基を有する化合物を含有する塗膜を形成し、保護層の反応を十分確保し膜強度や画像流れに対して良好な性能が得られる光を塗膜に照射しても、フタロシアニン化合物の光劣化に起因する感度低下がなく、非常に良好な特性の感光体を得ることができた。
縮合多環化合物は、一般にフタロシアニン化合物に比べて耐光性が高いことが知られているが、縮合多環化合物単独では、本発明の課題を十分満足する効果には至らず、フタロシアニン化合物と近接して縮合多環化合物が存在した場合のみ、効果が得られることが判っている。
この理由は明確ではないが、フタロシアニン化合物に保護層硬化を目的とした高エネルギー光が照射された時に、フタロシアニン化合物が励起状態になった時に、近接して存在する縮合多環化合物を介在して、効率よく励起状態から失活して基底状態に戻る場合と、反対に縮合多環化合物の励起状態からフタロシアニン化合物を介在して失活する場合が考えられ、これらが混在していると推定している。
従って、フタロシアニン化合物と縮合多環化合物は、近接して存在することが好ましく、その手段としては、別々に分散処理した分散液を予め混合した液を塗工する、両者の化合物を同時に分散処理した液を塗工する等が挙げられるが、特定の顔料作製段階で該顔料と他の顔料や化合物を一旦溶解し、この複数の物質を分子レベルで混合する操作を経て作製した混成顔料が特に好ましい。
混成顔料は、該顔料粒子製造段階で複数の物質(例えばフタロシアニン化合物と縮合多環化合物)を一旦分子レベルで混合する混成処理を経ることを特徴とする。混成処理後に粒子化する操作を行うため、複数の物質、化合物を同時に含有する顔料粒子として形成される。こうすることによって、フタロシアニン化合物と縮合多環化合物が分子レベルで近接するため、より相互作用が強くなり電位変動に対する安定性が高まる。
(縮合多環化合物)
本発明における縮合多環化合物とは、それぞれの環が環構造の一部を共有している3個以上の環構造を有し、かつ該化合物が金属原子を有しない化合物を言う。この様な化合物にはフェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタセン、ヘキサフェン、トリナフチレン、コロネン等が挙げられる。
本発明においては、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物が好ましく、特に3,4位、9,10位を含窒素連結基で結合した、前記一般式(1)〜(4)から選ばれるペリレン系化合物が電位安定化に対する効果が高く好ましい。
一般式中、R1及びR2は各々、水素原子、それぞれ置換もしくは未置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ベンジル基、フェネチル基又は複素環基を表す。又、多量体を形成する場合には、R1、R2は1,4−フェニレン基でもよい。Zは置換もしくは未置換の複素環を形成するに必要な原子群を表す。
1及びR2で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、ブチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ基等が挙げられる。アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ基等が、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ基等が、複素環基としてはチエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリミジニル、インドリル、キノリル基等が挙げられる。
これらの基は、更に上述の基の他、ハロゲン原子、ニトロ基などで置換されてもよい。
本発明に好ましく用いられるペリレン系化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2009115944
Figure 2009115944
Figure 2009115944
(フタロシアニン化合物)
フタロシアニン化合物としては、中心金属を有するフタロシアニン化合物が好ましく、Ti、Fe、V、Ga、Si、Pb、Al、Zn、Mgの少なくとも1種を有するものが挙げられる。中でもTiを有するチタニルフタロシアニンが好ましい。CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3°にピークが最大であり、7.4°、9.7°、24.2°に明瞭な回折ピークを示すY型チタニルフタロシアニンが高感度であり、ペリレンと組み合わせた時の安定性に対する効果が著しく特に好ましい。
前記縮合多環化合物に対するフタロシアニン化合物の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
縮合多環化合物とフタロシアニン化合物の混成顔料を得る為に成される混成処理は、共蒸着、アシッドペースト処理、溶融混合等の方法があるが、アシッドペースト処理による混成処理が好ましい。アシッドペースト処理とは、顔料を溶解可能な酸(硫酸等)に一度溶解し、必要により不溶分はフィルターで除去した後、該顔料溶液を適当な貧溶媒(例えば水)中に注ぎ、再度粒子化する処理方法である。
(硬化性官能基を有する化合物)
硬化性官能基を有する化合物としては、活性光線で硬化する光重合型化合物であれば何れも用いることができるが、アクリロイル基又はメタクリロイル基を少なくとも1個有する化合物が好ましい。この様な化合物としては、光硬化型樹脂組成物の素材としてよく知られており、例えばエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が挙げられる。
既知のモノアクリレートの他、硬化性組成物の硬化速度、耐薬品性及び導電性の環境安定性を考慮すれば、ポリマー鎖間に架橋構造が効率良く形成されるジアクリレート、トリアクリレート、ヘキサアクリレート等の多官能性アクリレートモノマー、オリゴマーが挙げられる。具体的にはエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
これ等の化合物は市販品を入手することもでき、例えば東亞合成社製Mシリーズ、日本化薬社製SRシリーズ、ダイセルサイテック社製Ebecrylシリーズ等がある。
(金属化合物)
本発明の保護層に好ましく含有させる金属化合物はN型半導体として機能するものである。具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)等の金属酸化物微粒子が挙げられる。
この金属化合物の添加は、電気抵抗の安定化、膜強度の向上に寄与すると共に、保護層の硬化時に照射する光を散乱させて、硬化性官能基を有する化合物の硬化を促進し、更には保護層を透過して感光層に到達する光の量、波長を調整してフタロシアニン化合物や縮合多環化合物の光ダメージを低減する効果を有している。上記効果を得るためには、特に酸化チタンが好ましい。
酸化チタン等の微粒子の平均粒径は、数平均1次粒径において10〜500nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは10〜200nm、特に好ましくは15〜50nmである。微粒子の形状は、樹枝状、針状及び粒状等の形状があり、このような形状の微粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としてはアナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、何れの結晶型のものを用いてもよく、又、2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型のものが最も良い。
以下、本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
(導電性支持体)
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いてもよいが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
円筒状導電性支持体とは、回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウム等を蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては、常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いてもよい。アルマイト処理は、通常、例えばクロム酸、硫酸、蓚酸、燐酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
(中間層)
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。即ち、導電性支持体と感光層との接着性改良、あるいは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰返し単位の内の二つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で、繰返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
又、本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
又、本発明に好ましく用いられる中間層は無機粒子をバインダー樹脂中に分散した中間層が挙げられる。無機粒子の平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。特に、表面処理をしたN型半導性微粒子をバインダー中に分散した中間層が好ましい。例えばシリカ・アルミナ処理及びシラン化合物で表面処理した平均粒径が0.01〜1μmの酸化チタンをポリアミド樹脂中に分散した中間層が挙げられる。このような中間層の膜厚は、1〜20μmが好ましい。
N型半導性微粒子とは、導電性キャリアを電子とする性質を持つ微粒子を示す。即ち、導電性キャリアを電子とする性質とは、該N型半導性微粒子を絶縁性バインダーに含有させることにより、基体からのホール注入を効率的にブロックし、又、感光層からの電子に対してはブロッキング性を示さない性質を有するものを言う。
ここで、N型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
N型半導性粒子とは、上記評価で負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子と言う。このN型半導性微粒子は、具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
本発明に用いられるN型半導性微粒子の平均粒径は、数平均1次粒径が10〜500nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは10〜200nm、特に好ましくは15〜50nmである。
(感光層)
本発明の感光層構成は、前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1層に持たせた単層構造の感光層構成でもよいが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成を採るのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御し易い。更に、保護層を硬化するために照射した光に対して電荷輸送層がフィルターの役目をして、電荷発生層に到達する光の量、波長を調整できるため、電荷発生層、電荷輸送層、保護層をこの順に有する構成が特に好ましい。
負帯電用の感光体では、中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では、前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。
本発明の最も好ましい感光層構成は、前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
(電荷発生層)
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有してもよい。
電荷発生物質としては、前記したフタロシアニン化合物、縮合多環化合物を用いることが好ましいが、必要により、公知の他の電荷発生物質を併用することもできる。例えばトリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料などのアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン、アズレニウム顔料などを併用することができる。
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
(電荷輸送層)
電荷輸送層には、電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては公知の生孔輸送性(P型)のCTMを用いることが好ましい。必要により酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。
CTMとしては、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを併用して用いることができる。これらCTMは、通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
電荷輸送層に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰返し単位構造の内の二つ以上を含む共重合体樹脂、又、これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
これら電荷輸送層のバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂は、CTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは電子写真感光体中ないしは電子写真感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし抑制する性質を有する物質である。
電荷輸送層は2層以上の層構成にしてもよい。この場合は表面の電荷輸送層が本発明の構成を満たせばよい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、これに限定されない。
(保護層)
本発明の保護層は、少なくとも硬化性官能基を有する化合物を光照射によって硬化した組成物を含有するものである。
保護層は、上記硬化性官能基を有する化合物の他に、必要に応じて重合開始剤、フィラー、滑剤粒子及び酸化防止剤等を配合した塗布液を塗布し、反応させて塗膜形成できる。好ましくは、前記硬化性官能基を有する化合物とフィラー(例えば導電性金属酸化物微粒子)を分散した塗布液を塗布し、反応させて塗膜形成したものである。
本発明の硬化性官能基を有する化合物を反応させる際には、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤を添加して、光で反応する方法が用いられる。重合開始剤は光重合開始剤を使用するが、熱重合開始剤を使用することもできる。
重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系、又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−i−ブチルエーテル、ベンゾイン−i−プロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられる。又、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸−i−アミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、アクリル系化合物100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
又、膜強度の向上や抵抗調整のために各種フィラーを添加することもできる。フィラーとしてはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物、錫をドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化錫及び酸化ジルコニウム等の超微粒子を用いることができる。これら金属酸化物を1種類もしくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には固溶体又は融着の形を採ってもよい。フィラーの粒径は、数平均一次粒径が1〜300nmのものが好ましい。特に好ましくは3〜100nmのものである。保護層中のフィラーの割合は、アクリル系化合物100質量部に対して1〜100質量部、特に好ましくは10〜80質量部である。
上記フィラーの分散性の向上及び平滑性の向上を目的としてフィラーに対して種々の表面処理を加えることができる。表面処理剤としては、各種の無機物処理や珪素化合物、含弗素シランカップリング剤、弗素変性シリコーンオイル、弗素系界面活性剤及び弗素系グラフトポリマー等による処理が挙げられる。
保護層には各種の滑剤粒子を加えることができる。例えば弗素原子含有樹脂粒子を加えることができる。弗素原子含有樹脂粒子としては、四弗化エチレン樹脂、三弗化塩化エチレン樹脂、六弗化塩化エチレンプロピレン樹脂、弗化ビニル樹脂、弗化ビニリデン樹脂、二弗化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四弗化エチレン樹脂及び弗化ビニリデン樹脂が好ましい。
保護層中の滑剤粒子の割合は、アクリル系樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜60質量%である。滑剤粒子の粒径は、平均1次粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。特に好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
フィラー及び滑剤粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
前記保護層中に耐候性を向上させる目的で酸化防止剤などの添加物を加えてもよい。酸化防止剤は、電荷輸送層に添加するものと同様のものを選択できる。
本発明においては、硬化性官能基を有する化合物に加え、他の樹脂、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂及び塩ビ−酢ビ共重合体などの樹脂と混合して用いることもできる。
保護層を形成するための溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層は、塗布後、自然乾燥又は熱乾燥を行った後、活性線を照射して反応させることが好ましい。
塗布方法は、中間層、感光層と同様の浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法など公知の方法を用いることができる。
本発明の感光体は、塗膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては紫外線や電子線が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2、好ましくは5〜100mJ/cm2である。ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWであり、特に好ましくは0.5〜3kWである。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては0.5〜10Mradであることが好ましい。
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては0.1秒〜10分が好ましく、アクリル系化合物の硬化効率又は作業効率の観点から0.1秒〜5分がより好ましい。
活性線としては、紫外線が使用し易く特に好ましい。
本発明の感光体は、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことが出来、乾燥を行うタイミングは、これらを組み合わせて適宜選択できる。乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃であり、特に好ましくは80〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1分〜200分であり、特に好ましくは5分〜100分である。
保護層の膜厚は好ましくは0.2〜10μmであり、より好ましくは0.5〜6μmである。
(塗布加工)
有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型に代表される)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。尚、保護層は、前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。円形量規制型塗布については、例えば特開昭58−189061号に詳細に記載される。
感光層(電荷発生層、電荷輸送層)、中間層、表面層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、i−プロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、i−プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。又、これらの溶媒は単独或あるは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
(画像形成装置)
次に、本発明に係る有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読取り位置13aにて画像の読取りが行われる。原稿読取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26及び光除電手段(光徐電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。又、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明に係る有機感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電が為された後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査が為されるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い静電潜像を形成する。
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、発振波長が350〜500nmの半導体レーザ又は発光ダイオードを像露光光源として用いる。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜50μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、600〜2,500dpi(dpi=1インチ即ち2.54cm当たりのドット数)の高解像度の電子写真画像を得ることができる。前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e2以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を言う。
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるが、それぞれのピーク強度の1/e2以上の領域を露光ドット径とする。
感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明に係る有機感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、又、側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行った後、再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24及び分離極25によって転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送されながら転写紙Pに転写され、該転写紙Pは感光体21面より分離し、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
以上は、転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は、排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
再び、上述したように感光体21方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも一つを感光体と共に一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
図2は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、1次転写手段(1次転写工程)としての1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Bkより構成されている。画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkに、それぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Yあるいは帯電器2Yと言う)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Y(以下、単にクリーニング手段5Yあるいはクリーニングブレード5Yと言う)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。又、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yの内、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエロー画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいはレーザー光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも一つを感光体と共に一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に2次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
一方、2次転写手段としての2次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の1次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
2次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して2次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
次に図3は本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置(少なくとも有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段及び中間転写体を有する複写機あるいはレーザービームプリンタ)の構成断面図である。ベルト状の中間転写体70は中程度の抵抗の弾性体を使用している。
1は像形成体として繰り返し使用される回転ドラム型の感光体であり、矢示の反時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
感光体1は回転過程で、帯電手段(帯電工程)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段(像露光工程)3により画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームによる走査露光光等による画像露光を受けることにより目的のカラー画像のイエロー(Y)の色成分像(色情報)に対応した静電潜像が形成される。
次いで、その静電潜像がイエロー(Y)の現像手段:現像工程(イエロー色現像器)4Yにより第1色であるイエロートナーにより現像される。この時第2〜4の現像手段(マゼンタ色現像器、シアン色現像器、ブラック色現像器)4M、4C、4Bkの各現像器は作動オフになっていて感光体1には作用せず、上記第1色目のイエロートナー画像は上記第2〜4の現像器により影響を受けない。
中間転写体70はローラ79a、79b、79c、79d、79eで張架されて時計方向に感光体1と同じ周速度を持って回転駆動されている。
感光体1上に形成担持された上記第1色目のイエロートナー画像が、感光体1と中間転写体70とのニップ部を通過する過程で、1次転写ローラ5aから中間転写体70に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体70の外周面に順次中間転写(1次転写)されていく。
中間転写体70に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置6aにより清掃される。以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のクロ(ブラック)トナー画像が順次中間転写体70上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した重ね合せカラートナー画像が形成される。
2次転写ローラ5bで、2次転写対向ローラ79bに対応し平行に軸受させて中間転写体70の下面部に離間可能な状態に配設してある。
感光体1から中間転写体70への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスはトナーとは逆極性で、バイアス電源から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
感光体1から中間転写体70への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写ローラ5b及び中間転写体クリーニング手段6bは中間転写体70から離間することも可能である。
ベルト状の中間転写体70上に転写された重ね合わせカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、2次転写ローラ5bが中間転写体70のベルトに当接されると共に、対の給紙レジストローラ23から転写紙ガイドを通って、中間転写体70のベルトに2次転写ローラ5bとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送される。2次転写バイアスがバイアス電源から2次転写ローラ5bに印加される。この2次転写バイアスにより中間転写体70から第2の画像担持体である転写材Pへ重ね合わせカラートナー画像が転写(2次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着手段24へ導入され加熱定着される。
本発明の感光体は、電子写真複写機、レーザープリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
(トナー)
本発明の有機感光体上に形成された静電潜像は、現像によりトナー像として顕像化される。現像に用いられるトナーは、粉砕トナーでも、重合トナーでもよいが、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で作製できる重合トナーが好ましい。
重合トナーとは、トナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には、懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
尚、トナーの体積平均粒径、即ち50%体積粒径(Dv50)は2〜9μm、より好ましくは3〜7μmであることが望ましい。この範囲とすることにより、解像度を高くすることができる。更に上記の範囲と組み合わせることにより、小粒径トナーでありながら、微細な粒径のトナーの存在量を少なくすることができ、長期に亘ってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
(現像剤)
本発明に用いるトナーは、1成分現像剤でも2成分現像剤として用いてもよい。
1成分現像剤として用いる場合は、非磁性1成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性1成分現像剤としたものが挙げられ、何れも使用できる。
又、キャリアと混合して2成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径として15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させた所謂、樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては特に限定はないが、例えばオレフィン系、スチレン系、スチレン−アクリル系、シリコーン系、エステル系あるいは弗素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては特に限定されず、公知のものを使用することが出来、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、弗素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
〔感光体1の作製〕
以下の様に感光体1を作製した。
〈支持体〉
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5μmの導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて10時間バッチ式にて分散し、中間層分散液を作製した。これを上記支持体上に塗布し、2.0μmの中間層を設置した。
(中間層分散液)
ポリアミド樹脂 N−1* 1部
アナターゼ形酸化チタン(1次粒径35nm,メチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体(モル比1:1)を用い、酸化チタン全質量の5%の量で表面処理したもの) 3.5部
エタノール/プロパノール/テトラヒドロフラン(45/20/30質量比)10部
Figure 2009115944
*N−1の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112部、1,12−ドデカンジカルボン酸153部及び水2部を混合し、加熱・加圧下、水を溜出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、合成された共重合体のメルトフローインデックス(MFI)は、230℃/2.16kgの条件で5g/10minであった。
〈感光層=電荷発生層+電荷輸送層〉
〈電荷発生層〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、二つの分散液を得た。この分散液を1:1の割合で混合して電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を、前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層塗布液)
分散液1
Y形オキシチタニルフタロシアニン 20部
シリコーン変性ポリビニルブチラール 10部
4−メトキシ−4−メチル−2ーペンタノン 700部
t−ブチルアセテート 300部
分散液2
電荷発生物質(ジフタロイルピレン) 24部
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−1:積水化学社製) 12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン(4/1体積比) 300部
〈電荷輸送層〉
下記成分を混合・溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
(電荷輸送層塗布液)
電荷輸送物質(〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕−ジ−p−トリルアミン) 75部
バインダー樹脂(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製ポリカーボネート樹脂)
100部
酸化防止剤(BHT−F:武田キリン社製) 8部
テトラヒドロフラン/トルエン(8/2体積比) 750部
〈保護層〉
下記成分を混合し、溶解して保護層塗布液を調製した。
(保護層塗布液)
メタクリレートモノマー(SR−350:日本化薬社製) 100部
光重合開始剤(Irgacure184:チバスペシャリティケミカルズ社製)5部
アナターゼ型酸化チタン(STT−30A:チタン工業社製) 60部
この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形量規制型塗布機を用いて、保護層を塗布した。塗布後、90℃で20分乾燥後、低圧水銀灯を用いて紫外線を3kW、1分間照射して、乾燥膜厚2.0μmの保護層を得た。これを感光体1とする。
〈感光体2〜11の作製〉
感光体1の作製において、保護層中の光硬化性化合物、重合開始剤及び金属酸化物を、感光層中の電荷発生物質を表1に示すように変化させて感光体2〜9(本発明)及び10、11(比較例)を作製した。尚、感光体9は、感光体7の電荷発生層を下記に代えた以外は同様にして作製した。
〈感光体9の電荷発生層〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散した。この塗布液を、中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層塗布液)
電荷発生物質(合成例2**の顔料) 24部
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−1:前出) 12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン(4/1体積比) 300部
**合成例2
チタニルフタロシアニン0.3gとビスベンズイミダゾールペリレン30gを900mlの濃硫酸に室温で加え、更に2時間撹拌を行った。この硫酸溶液をガラスフィルターで濾過し不溶物を除いた後、30℃以下の水温を保って水15Lに注ぎ込んだ。析出した粒子を濾過した後、更に5Lの水で3回洗浄した。得られたウエットケーキを一旦凍結した後、解凍し再び濾過、乾燥して混成顔料28gを得た。
〔感光体の評価〕
作製した各感光体について、下記のように評価した。
《表面傷》
感光体をセイコーエプソン社製レーザープリンターLP1500C(レーザー露光・反転現像・中間転写ベルト・ブレードクリーニングプロセスを有する4サイクル中間転写システム)を評価が行えるように改造し、露光量を適正化した評価機に搭載し、初期帯電電位を−450Vに設定し、高温・高湿環境(38℃・80%RH)でA4フルカラー画像を1,000枚焼き出す前後に黒化率7%の文字画像をA4でプリントを行い、下記基準でハーフトーン画像を目視にて3段階評価した。
◎:1,000枚焼出し後にも表面傷なく良好
○:1,000枚焼出し後に、表面傷1〜2箇所発生
×:1,000枚焼出し前に、表面傷3箇所以上発生。
《画像流れ》
高温・高湿環境(38℃・80%RH)でA4フルカラー画像を80枚焼き出す前後に黒化率7%の文字画像をA4でプリントを行い、下記基準でハーフトーン画像を目視にて3段階評価した。
◎:80枚焼出し後にも画像流れなく良好
○:80枚焼出し後に、画像流れ発生
×:80枚焼出し前に、画像流れ発生。
《画像ムラ》
高温・高湿環境(33℃・80%RH)で10,000枚のプリントを行い、10,000枚目のプリント画像のハーフトーン部濃度を目視で観察し、傷による画像ムラを評価した。
◎:ハーフトーンムラなく問題なし
○:ハーフトーンムラ1〜2箇所あるも、実用上問題ないレベル
×:ハーフトーンムラ3箇所以上あり、実用上問題となるレベル。
結果を表1に纏めた。
Figure 2009115944
本発明に係る感光体は、何れの評価においても優れている。
本発明の画像形成装置の機能が組み込まれた概略図である。 本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。 本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置の構成断面図である。
符号の説明
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段

Claims (11)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有する感光層を有し、該感光層上に少なくとも硬化性官能基を有する化合物を含有する塗膜を形成し、該塗膜に光を照射することで該硬化性官能基を有する化合物を硬化した組成物を含有する保護層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層に少なくとも縮合多環化合物及びフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記縮合多環化合物がペリレン系化合物又は多環キノン系化合物から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記ペリレン系化合物が下記一般式(1)〜(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2009115944
    〔式中、R1及びR2は各々、水素原子、それぞれ置換もしくは未置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ベンジル基、フェネチル基又は複素環基を表す。又、多量体を形成する場合には、R1、R2は1,4−フェニレン基でもよい。Zは置換もしくは未置換の複素環を形成するに必要な原子群を表す。〕
  4. 前記硬化性官能基がアクリロイル基又はメタクリロイル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記保護層に金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記金属酸化物が酸化チタンであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記感光層が、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有する電荷輸送層とを、この順に有する構成であり、かつ前記縮合多環化合物及びフタロシアニン化合物を含有する層が電荷発生層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  9. 請求項8に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項8に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  11. 請求項8に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とするカラー画像形成装置。
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