JP6405783B2 - 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
しかしながら、p型半導体微粒子の添加部数を上げると、当該微粒子由来のヒドロキシ基も増えるために、高温多湿下において、画像ボケが生じるという問題が発生する。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
当該表面保護層が、少なくとも、架橋性モノマーを重合することで得られる硬化樹脂と少なくともp型半導体としてのCu2Oを含む微粒子とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
一般式(1):30≦X1≦180 (単位:質量部)
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
また、p型半導体微粒子として使用される金属酸化物微粒子は、電気陰性度の大きい原子(例えば、酸素原子など。)を有し、当該電気陰性度の大きい原子の影響でp型半導体微粒子表面を覆う親水性基(例えば、ヒドロキシ基などの極性基。)がある一定数、存在していると考えられる。これら電気陰性度の大きい原子や親水性基には、水やオゾンが付着しやすいと考えられる。
さらに、p型半導体微粒子を表面保護層に添加すると、最表面において当該p型半導体微粒子周辺に空隙でき、この空隙に水やオゾンが侵入し、p型半導体微粒子表面に付着すると考えられる。
この水やオゾンがp型半導体微粒子表面に付着すると、感光体の表面が帯電し難くなり、特に高温多湿環境下において画像ボケが発生すると考えられる。
本発明では、Cu2O微粒子をp型半導体微粒子として採用するため、その添加量を減らすことができ、これにより、電気陰性度の大きい原子、親水性基及び空隙の量を減らすことができるため、感光体表面に付着する水やオゾンの量を減らすことができるものと考えられる。この結果、本発明は、水やオゾンの影響により感光体の表面が帯電し難くなることを回避でき、高温多湿環境下においても画像ボケの発生を良好に抑えることができたと推察する。
本発明に係る表面保護層は、少なくとも、架橋性モノマーを重合することで得られる硬化樹脂と少なくともp型半導体としてのCu2Oを含む微粒子とを含有する。
バインダー樹脂としては、架橋性モノマーを重合することで得られる硬化樹脂を含有することが、耐摩耗性が向上し、高耐久性の電子写真感光体が得られることから好ましい。
本発明に係る表面保護層に使用可能な硬化樹脂としては、例えば、ラジカル重合性化合物のような架橋性モノマーの重合体が挙げられる。このラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくともいずれかを有するラジカル重合性化合物(架橋性モノマー)が好ましい。
架橋性モノマーとしては、例えば以下の化合物を例示することができるが、本発明に使用可能な架橋性モノマーはこれらに限定されるものではない。
ここで、Rは下記アクリロイル基、R′は下記メタクリロイル基を表す。
本発明に係る表面保護層に使用可能な架橋性モノマーを重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により重合反応を行うことができる。ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の重合開始剤を併用することもできる。
本発明の電子写真感光体は、表面保護層に、p型半導体微粒子として、少なくともCu2Oを含む微粒子(「Cu2O微粒子」ともいう。)を含有させることを特徴とする。なお、当該Cu2O微粒子には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、他種の金属又は金属酸化物等の無機物を含有させてもよい。
本発明においては、表面保護層を構成する架橋性モノマー100質量部に対する前記Cu2Oの含有量(X1)が、下記一般式(1)を満たすことが好ましい。
一般式(1):30≦X1≦180 (単位:質量部)
これにより、より、残留電位の低減しつつ、高温多湿環境下においても画像ボケの発生を良好に抑えることができる。
本発明に係る表面保護層に用いられるCu2O微粒子は、表面修飾剤で処理された表面修飾微粒子であることが好ましく、更に反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾されたものがより好ましい。
本発明に係る表面修飾剤としては、Cu2O微粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応する表面修飾剤が好ましく、これらの表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。また、本発明においては、表面保護層の硬度を更に高くする目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤が好ましく、反応性有機基を有する表面修飾剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、本発明に係る硬化樹脂とも反応して強固な保護膜を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、ビニル基、アクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OCH3)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
表面修飾するに際して、Cu2O微粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜100質量部、溶媒(例えば、メチルエチルケトン)50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。また、乾式でも処理することができる。
表面保護層に含有させることが可能な滑剤粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面保護層は、例えば、ラジカル重合性の架橋性モノマー、表面修飾したCu2O微粒子、必要に応じて公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、その後硬化処理して作製することができる。表面保護層の厚さは、0.2〜10μmが好ましく、0.5〜6μmがより好ましい。なお、表面保護層を構成する架橋性モノマー100質量部に対する前記Cu2Oの含有量(X1)は、上記塗布液を調製する際において、架橋性モノマー100質量部に対するCu2O微粒子の添加量である。
[感光体の層構成]
本発明の感光体は、導電性支持体の上に、有機感光層、表面保護層を形成してなるものである。有機感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面保護層を含めた具体的な層構成として、例えば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、有機感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び、表面保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、有機感光層として電荷輸送物質と電荷発生材料とを含有する単層、及び、表面保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び、表面保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷輸送物質と電荷発生材料とを含有する単層、及び、表面保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層と電荷輸送層、表面保護層を順次設けて作製された上記層構成(3)が特に好ましい。
本発明で用いられる導電性支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム(円筒形)又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
本発明では、導電性支持体と有機感光層の中間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることができる。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等のバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて浸漬塗布等により形成させることができる。前記バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
前述したように、本発明の感光体を構成する有機感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に付与した単層構造のものであってもよいが、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に有機感光層の機能を分離させた層構成(機能分離構造)のものがより好ましい。このように、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。負帯電性感光体は中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層(CTL)、その上に電荷発生層(CGL)を設ける構成をとる。好ましい有機感光層の層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体である。
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有するもので、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。
本発明で形成される電荷輸送層は、少なくとも層内に電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有するものであり、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層等の各層は公知の塗布方法により形成することができる。具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報、特開2005−275373号公報に記載されている。
本発明の電子写真感光体は、電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段(一次転写手段)を少なくとも有する電子写真画像形成装置に好適に用いられる。
以下に、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真画像形成装置について説明する。図2は、本発明の実施形態の一例を示すフルカラーの電子写真画像形成装置の断面構成図である。なお、以下の説明において、感光体1Y、1M、1C及び1Bkに本発明の電子写真感光体が用いられているものとする。
本発明の電子写真画像形成装置としては、本発明の電子写真感光体と、上述の帯電手段(帯電器)、露光手段(露光器)、現像手段(現像器)又はクリーニング手段(クリーニング器)の少なくとも一つとを一体として有したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として構成し、この画像形成ユニットを電子写真画像形成装置本体に対して出し入れ可能(着脱自在)に構成されていることが好ましい。また、帯電手段、露光手段、現像手段の他、転写手段(転写器)、分離手段(分離器)の少なくとも一つを感光体とともに一体として有したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
<感光体1の作製>
下記のようにして感光体1を作製した。
表面修飾するCuO2微粒子として数平均一次粒径(表1の「粒径」)20nmの「Cu2O」100質量部、重合性表面修飾剤として前記S−15(信越化学工業社製、KBM−503)30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズとを濾別し、60℃にて乾燥して表面修飾微粒子を作製した。
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体を用意した。
下記組成の分散液を同じ溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルターを使用)し、中間層塗布液を調製した。
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3質量部
メタノール 10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
電荷発生物質:Y−TiPh(チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが0.3μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 225質量部
バインダー樹脂:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製)
300質量部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製) 6質量部
テトラヒドロフラン 1600質量部
トルエン 400質量部
レベリング剤:シリコーンオイル(KF−54:信越化学工業社製)
1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが20μmの電荷輸送層を形成した。
表面修飾微粒子:Cu2O(数平均一次粒径20nm) 10質量部
バインダー樹脂:架橋性モノマーM1(Sartomer社製、SR−350)
100質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 15質量部
2−ブタノール 500質量部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥後の厚さが2.0μmの表面保護層を得た。このようにして「感光体1」を作製した。
感光体1の作製において、表面修飾微粒子の添加量(含有量)及び数平均一次粒径を、表1に記載のように変更した以外は、感光体1の作製と同様の方法で感光体2〜7及び9〜12を作製した。
感光体5の作製において、表面保護層塗布液に架橋性モノマー(SR−350)を添加せず、代わりにポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製)をバインダー樹脂として100質量部添加し、塗布後120℃、70分条件で乾燥することで、乾燥後の厚さが2.0μmの表面保護層を形成したほかは、感光体5の作製と同様の方法で感光体8を作製した。
感光体5の作製において、Cu2O微粒子の代わりに、数平均一次粒径30nmのCuAlO2微粒子を用いた以外は、感光体5の作製と同様の方法で感光体13を作製した。
感光体5の作製において、Cu2O微粒子の代わりに、数平均一次粒径30nmのCuO微粒子を用いた以外は、感光体5の作製と同様の方法で感光体14を作製した。
感光体5の作製において、Cu2O微粒子の代わりにSnO2微粒子を用い、表面修飾微粒子の添加量を150質量部にした以外は、感光体5の作製と同様の方法で感光体15を作製した。
なお、上記感光体1〜15において使用した微粒子(Cu2O微粒子、CuAlO2微粒子、CuO微粒子及びSnO2微粒子)の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに100個の微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置(ニレコ社製「LUZEX AP」ソフトウェア Ver.1.32)を使用して写真画像上の上記微粒子について2値化処理し、微粒子の任意の100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を数平均一次粒径とした。ここで水平方向フェレ径とは、上記微粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形のx軸に平行な辺の長さをいう。
23℃・50%RH環境で、画像比率6%の文字画像をA4横送りで各300000枚両面連続してプリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験後に、感光体の残留電位、高温多湿環境下における画像ボケ(以下、「HHボケ」ともいう。)、画像メモリーの評価を行った。なお、評価は、以下に示した指標に従い実施し、結果は表1に示した。
感光体の電位特性の指標として露光後の電位を測定した。評価はジェンテック社製「CYNTHIA59」を用いて、20℃・65%RHの条件下、暗所でスコロトロン帯電器により感光体を表面電位が−500Vになるように帯電させ、33msec後に強度148μW/cm2の白色露光を行い、感光体表面上の露光後の電位(残留電位)を測定した。
前記耐久試験後に、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に前記べた黒とべた白の履歴が現れている(メモリー発生)か否(メモリー発生なし)かを目視で判定した。
◎:メモリー発生なし(良好)
○:軽微なメモリーが視認できる(実用上問題なし)
×:はっきりしたメモリーが視認できる(実用上問題あり)
前記耐久試験後、更に50万枚片面連続でプリントを行う耐久試験(環境条件30℃・80%RH、画像面積比率6%の文字画像をA4横送り)を追加した。追加の耐久試験後、直ぐに実機の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れ画出し可能状態になった後、直ちにA3中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)とA3全面の6dot格子画像を印字した。印字画像の状態を観察し以下の評価を行った。
◎:ハーフトーン、格子画像とも画像ボケ発生なし(良好)
○:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(実用上問題なし)
△:画像ボケによる格子画像の欠損若しくは線幅の細りが一部に発生(実用上問題なし)
×:画像ボケによる格子画像の欠損若しくは線幅の細りが全面的に発生(実用上問題あり)
以上の結果から明らかなように、本発明の感光体1〜12は、比較例である感光体13〜15に比べて、残留電位が低減し、かつ、画像メモリー(画像濃度差)が発生せず、さらには、高温多湿環境下においても画像ボケの発生が良好に抑えられた感光体であることが分かる。
特に、本発明の感光体1と感光体13とを比較すると、Cu2O微粒子の場合は、CuAlO2よりもホール輸送機能が高いために、粒子の添加量が少なくても同等以上の電気特性を発揮することができ、表面保護層に添加するp型半導体微粒子由来のヒドロキシ基量が減らせることにより、高温多湿下での画像ボケが改善していることが推察される。
2 有機感光層
3 中間層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 表面保護層
7 少なくともCu2Oを含む微粒子(Cu2O微粒子)
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
100 電子写真感光体
Claims (4)
- 導電性支持体上に少なくとも、有機感光層として電荷発生層と電荷輸送層と、及び表面保護層とを順に有する電子写真感光体であって、
当該表面保護層が、少なくとも、架橋性モノマーを重合することで得られる硬化樹脂と少なくともp型半導体としてのCu2Oを含む微粒子とを含有することを特徴とする電子写真感光体。 - 前記表面保護層を構成する架橋性モノマー100質量部に対する前記Cu2Oの含有量(X1)が、下記一般式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
一般式(1):30≦X1≦180 (単位:質量部) - 電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有する電子写真画像形成装置であって、当該電子写真感光体が、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
- 請求項3に記載の電子写真画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、当該プロセスカートリッジが、少なくとも請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段又はクリーニング手段の少なくとも一つを一体として有しており、当該電子写真画像形成装置に出し入れ可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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