JP6048028B2 - 電子写真有機感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真有機感光体の保護層を形成するための電子写真有機感光体(以下、単に「有機感光体」ともいう。)の製造方法に関する。
一般的に、電子写真方式による画像形成装置に用いられる感光体においては、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程および除電工程を経る一連の画像形成プロセスが繰り返し行われている。従って、感光体には、画像形成プロセスが繰り返し行われても、帯電性や電位保持性などの電気的特性の劣化が少ないことが求められている。
従来、感光体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アモルファスセレン系(a−Se、a−Se−Te、a−As2 Se3 )などの化合物を感光層に有する無機感光体が用いられていたが、近年、製造が容易であること、高感度設計が可能であること、低コストであること、無公害であることなどの多くのメリットを有することから、有機系の化合物を感光層に有する有機感光体が主流となっている。
しかしながら有機感光体は、感光層が低分子電荷輸送材料および不活性高分子を主成分とするため当該感光層の表面が一般に柔らかく、画像形成プロセスにおいて繰り返し使用された場合においては、現像工程やクリーニング工程における機械的な負荷により摩耗が発生しやすい。このような有機感光体の摩耗は、感度の劣化および帯電性の低下などの電気的特性の劣化の要因となり、これにより、長期間にわたって高品質な画像を形成することができないという問題がある。
上記のような問題を解決するために、有機感光体に十分な耐摩耗性を付与する目的で、感光層の表面に硬化樹脂からなる保護層を設けることが行われている。
このような保護層は、まず、当該保護層を構成する硬化樹脂の原料となる重合性化合物および必要に応じて金属酸化物微粒子などの種々の材料を含有する塗布液を調製し、この塗布液を感光層上にポンプで送液して塗布することによって塗布膜を形成し、この塗布膜を硬化処理することにより、形成している。
そして、塗布液の送液には、ギアポンプやシリンダーポンプを用いることが多い(例えば、特許文献1参照。)。その理由は、例えばギアポンプは、原理的に脈動がなく、少量を高精度で送液することができるために薄膜の形成に適しているからであり、また例えばシリンダーポンプは、送液時および塗布時の塗布液中の金属酸化物微粒子の分散性に優れているからである。
しかしながら、ギアポンプやシリンダーポンプを用いた場合には、ギアポンプやシリンダーポンプの構造上、塗布液が駆動部を通って送液されることとなる。その結果、送液時に塗布液が過大なストレスを受けて金属酸化物微粒子が凝集し、これに起因して塗布膜がスジ状の欠陥を生じたものとなるおそれがある。また、送液時に塗布液中の金属酸化物微粒子が駆動部の隙間に入り込んで送液量が変動してしまったり、塗布液中の金属酸化物微粒子の含有量が多量である場合には、当該ポンプの耐用年数未満であってもギアなどの駆動部が停止に至ってしまうこともある。
特開2003−015330号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、塗布膜にスジ状の欠陥を生じさせずに均一性の高い保護層を形成することができる電子写真有機感光体の製造方法を提供することにある。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法は、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなる電子写真有機感光体を製造する方法であって、
保護層を構成する硬化樹脂を形成すべき重合性化合物と金属酸化物微粒子とを含有する保護層形成用塗布液を、導電性支持体上に形成された有機感光層上へ送液して塗布膜を形成し、当該塗布膜を硬化処理することにより、保護層を形成する工程を有し、
前記保護層形成用塗布液における前記金属酸化物微粒子の含有量が、前記重合性化合物100質量部に対して80〜300質量部であり、
前記塗布膜の形成は、
貯留タンクに貯留されている前記保護層形成用塗布液、ダイヤフラム式ポンプによって塗布装置の塗布ヘッドへ送液し、
当該塗布ヘッドに送液された保護層形成用塗布液を前記有機感光層上へ供給することにより行われることを特徴とする。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記保護層形成用塗布液の送液が、脈動率が10%以下となる状態で行われることが好ましい。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記ダイヤフラム式ポンプが、互いに位相がずれるよう駆動される2つ以上のダイヤフラムを有するものであることが好ましい。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記金属酸化物微粒子が、数平均一次粒径が5〜100nmのものであることが好ましい。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記保護層形成用塗布液における前記金属酸化物微粒子の含有量が、前記重合性化合物100質量部に対して100〜200質量部であることが好ましい。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記金属酸化物微粒子が、酸化スズ微粒子であることが好ましい。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法によれば、金属酸化物微粒子を多く含有する保護層形成用塗布液がダイヤフラム式ポンプによって安定的に送液されることによって、当該保護層形成用塗布液に金属酸化物微粒子が高い割合で含有されていても、形成される塗布膜にスジ状の欠陥が生じることが抑制され、従って、均一性の高い保護層を形成することができる。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法における保護層を形成する工程に用いられる円形スライドホッパー塗布装置の構成の一例を示す説明用断面図である。 図1に示す円形スライドホッパー塗布装置の斜視断面図である。 本発明の電子写真有機感光体の製造方法における保護層形成用塗布液の送液に用いられるダイヤフラム式ポンプの構成の一例を示す説明用断面図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の有機感光体の製造方法は、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなる有機感光体を製造する方法であって、保護層を構成する硬化樹脂を形成すべき重合性化合物と金属酸化物微粒子とを含有する保護層形成用塗布液を、導電性支持体上に形成された有機感光層上へダイヤフラム式ポンプによって送液して塗布膜を形成し、当該塗布膜を硬化処理することにより、保護層を形成する工程を有するものである。
この有機感光体の製造方法に用いられるダイヤフラム式ポンプについては、後記に図3を参照して詳述する。
〔有機感光体〕
本発明に係る製造方法により得られる有機感光体としては、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなるものであれば特に限定されないが、具体的には下記(1)および(2)の層構成を有するものが挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生層および電荷輸送層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明において、有機感光体とは、電子写真有機感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物により発揮されて構成されるものをいい、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成される有機感光層を有する有機感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とが高分子錯体により構成される有機感光層を有する有機感光体など公知の有機感光体全てを含むものをいう。
上記(1)の層構成を有する有機感光体を製造する工程を以下に具体的に説明する。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用塗布液を塗布、乾燥し、中間層を形成する中間層形成工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用塗布液を塗布、乾燥し、電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用塗布液を塗布、乾燥し、電荷輸送層を形成する電荷輸送層形成工程。
工程(4−1):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に保護層形成用塗布液をダイヤフラム式ポンプによって送液して塗布し、塗布膜を形成する塗布膜形成工程。
工程(4−2):塗布膜に硬化処理を行って保護層を形成する硬化処理工程。
〔工程(1):中間層形成工程〕
この中間層形成工程は、例えば、バインダー樹脂を公知の溶媒に溶解して中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより中間層を形成する工程である。
中間層形成工程において形成される中間層は、導電性支持体と有機感光層との間にバリアー機能と接着機能とを付与するものである。種々の故障防止などの観点から、このような中間層を設けることが好ましい。
(導電性支持体)
中間層が形成される導電性支持体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
(バインダー樹脂)
中間層形成工程において用いられるバインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられるが、アルコール可溶性のポリアミド樹脂であることが好ましい。
(溶媒)
中間層形成工程において用いられる溶媒としては、後述する無機微粒子を良好に分散し、かつ、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましく、具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性の観点から、特に好ましい。
また、中間層形成工程においては、保存性、無機微粒子の分散性を向上するために、溶媒と共に助溶媒を用いることが好ましく、併用可能な助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
(無機微粒子)
中間層形成用塗布液には、形成される中間層の抵抗を調整する目的で、各種の導電性微粒子や金属酸化物微粒子などの無機微粒子が含有されていてもよい。
中間層形成用塗布液に含有される無機微粒子としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの金属酸化物微粒子が挙げられ、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることもできる。これらの金属酸化物微粒子は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、金属酸化物微粒子を2種類以上組み合わせて用いる場合においては、当該金属酸化物微粒子が固溶体状態であってもよいし、また、融着状態であってもよい。
このような金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
中間層形成用塗布液における無機微粒子の分散手段としては、特に限定されないが、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミルおよびホモミキサーなどの分散機が挙げられる。
無機微粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜200質量部である。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
中間層形成用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき中間層の層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥による方法が好ましい。
中間層形成工程において形成される中間層の層厚は、0.1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
〔工程(2):電荷発生層形成工程〕
この電荷発生層形成工程は、例えば、電荷発生物質を、公知の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加、分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を中間層形成工程により形成された中間層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷発生層を形成する工程である。
(バインダー樹脂)
電荷発生層形成工程において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(溶媒)
電荷発生層形成工程において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
(電荷発生物質)
電荷発生層形成工程において用いられる電荷発生物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料;ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料;キノシアニン顔料;ペリレン顔料;インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料;フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
電荷発生物質の分散手段としては、特に限定されないが、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミルおよびホモミキサーなどの分散機が挙げられる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき電荷発生層の層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥による方法が好ましい。
電荷発生層形成工程において形成される電荷発生層の層厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性および混合割合などにより異なるが、0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層形成用塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
〔工程(3):電荷輸送層形成工程〕
この電荷輸送層形成工程は、例えば、電荷輸送物質(CTM)を、公知の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を電荷発生層形成工程により形成された電荷発生層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程である。
(バインダー樹脂)
電荷輸送層形成工程において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらには、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
(溶媒)
電荷輸送層形成工程において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(電荷輸送物質)
電荷輸送層形成工程において用いられる電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷輸送物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部である。
電荷輸送層形成用塗布液には、必要に応じて酸化防止剤、電子導電剤、安定剤などが含有されていてもよい。酸化防止剤については特願平11−200135号に記載のものが挙げられ、電子導電剤については特開昭50−137543号、同58−76483号などに記載のものが挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき電荷輸送層の層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥による方法が好ましい。
電荷輸送層形成工程において形成される電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性および混合割合などにより異なるが、5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。
〔工程(4−1):塗布膜形成工程〕
この塗布膜形成工程は、保護層を構成する硬化樹脂を形成すべき重合性化合物、重合開始剤、金属酸化物微粒子、および必要に応じて滑剤粒子や酸化防止剤あるいは硬化樹脂以外の樹脂を公知の溶媒に添加して保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を電荷輸送層形成工程により形成された電荷輸送層の外周面に送液して塗布することにより、塗布膜を形成する工程である。
(重合性化合物)
塗布膜形成工程において用いられる重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。これらの重合性化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性化合物は、少ない光量または短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイル基(CH2 =CHCO−)またはメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)を重合性官能基として有する化合物よりなることが好ましい。
重合性化合物として、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の具体例としては、下記例示化合物(1)〜(44)に示すものが挙げられる。また、以下に示す基数は、アクリロイル基またはメタクリロイル基の数である。
Figure 0006048028
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上記例示化合物(1)〜(44)において、Rはアクリロイル基であり、R´はメタクリロイル基である。
重合性化合物は、重合性官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する化合物よりなることがより好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物よりなることが特に好ましい。
また、重合性化合物は、2種以上を組み合わせて用いることができるが、この場合においても、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物を50質量%以上用いることが好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも用いることができる。また、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することもできる。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(「イルガキュアー819」:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有する光重合促進剤を単独で、または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
本発明に用いられる重合開始剤としては光重合開始剤を用いることが好ましく、光重合開始剤としてはアルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物を用いることが好ましく、さらに好ましくはα−アミノアルキルフェノン構造、あるいはアシルホスフィンオキサイド構造を有する重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤の添加量は、重合性化合物100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
(金属酸化物微粒子)
保護層形成用塗布液には、形成される保護層により高い耐久性を付与する目的で、金属酸化物微粒子が含有されている。
このような金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物微粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられ、なかでも、アルミナ(Al2 3 )、酸化スズ(SnO2 )、二酸化チタン(TiO2 )の微粒子が好ましく、アルミナ、酸化スズの微粒子が更に好ましい。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、5〜100nmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜80nmである。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
金属酸化物微粒子の分散手段としては、特に限定されないが、例えば超音波分散機、ボールミル、サンドミルおよびホモミキサーなどの分散機が挙げられる。
金属酸化物微粒子の含有量は、重合性化合物100質量部に対して80〜300質量部であり、好ましくは80〜250質量部、特に好ましくは100〜200質量部である。
金属酸化物微粒子の含有量が過小である場合においては、形成される保護層の電気抵抗が低くなり、残留電位の上昇やカブリの発生を防止することができないおそれがある。一方、金属酸化物微粒子の含有量が過大である場合においては、形成される保護層に良好な成膜性が得られず、帯電性能の低下やピンホールの発生を防止することができないおそれがある。
また、金属酸化物微粒子は、重合性官能基を有する表面処理剤(以下、「重合性官能基含有表面処理剤」ともいう。)によって表面処理されたものであることが好ましく、特に重合性官能基含有表面処理剤によって表面処理されたアルミナ微粒子または酸化スズ微粒子であることが好ましい。
このような重合性官能基含有表面処理剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基等と反応性を有するものであればよく、具体的にはアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものが好ましい。
金属酸化物微粒子が重合性官能基含有表面処理剤によって表面処理されたものであることにより、重合性化合物との結合が強固になり、形成される保護層がより高い耐久性を有するものとなる。
重合性官能基含有表面処理剤としては、具体的には、下記例示化合物(S−1)〜(S−36)に示すシランカップリング剤が挙げられる。
S−1:CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 2
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OC2 5 )(OCH3 2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )(OCH3 2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 5 )(OCH3 2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 5 3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 5 3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 5 3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OC2 5 3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 2 (OCH3
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCOCH3 2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(ONHCH3 2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OC6 5 2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(C1021)(OCH3 2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH2 6 5 )(OCH3 2
また、表面処理剤としては、上記例示化合物(S−1)〜(S−36)に示すもの以外に、ラジカル重合反応可能な重合性官能基を有するシラン化合物を用いることができる。
これらのシラン化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属酸化物微粒子に対する重合性官能基含有表面処理剤による表面処理方法としては、特に限定されず、湿式処理または乾式処理を採用することができるが、湿式メディア分散型装置を用いて処理することが好ましい。
以下、湿式メディア分散型装置を用いて表面処理する方法について具体的に説明する。
すなわち、金属酸化物微粒子と重合性官能基含有表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると共に当該金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することにより表面処理された金属酸化物微粒子が得られる。
以上のような表面処理方法においては、重合性官能基含有表面処理剤の添加量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.1〜100質量部、溶媒の添加量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して50〜5000質量部であることが好ましい。
湿式メディア分散型装置は、容器内にメディアとしてビーズが充填され、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクが高速回転されることにより、金属酸化物の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する装置であり、その構成としては、金属酸化物微粒子に表面処理を行う際に当該金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できるものであれば特に限定されず、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式を採用することができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどを用いることができる。
これらの分散型装置においては、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を用いて衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料とした粉砕媒体が挙げられるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさは、通常、直径1〜2mm程度とされるが、本発明においては0.1〜1.0mm程度が好ましい。
湿式メディア分散型装置に用いられる撹拌ディスクや容器内壁には、例えば、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製の素材が用いられるが、特にジルコニアまたはシリコンカーバイドなどのセラミック製のものが好ましい。
以上のような重合性官能基含有表面処理剤による表面処理により、反応性アクリロイル基、反応性メタクリロイル基と反応可能な重合性官能基を有する金属酸化物微粒子を得ることができる。
保護層は、硬化樹脂と共に公知の樹脂を併用して構成することもできる。
公知の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
(滑剤粒子)
滑剤粒子としては、例えばフッ素原子含有樹脂粒子などが挙げられる。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の粒子の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子およびフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
滑剤粒子の数平均一次粒径は、0.01〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
本発明において、滑剤粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の滑剤粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
滑剤粒子を構成する樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
滑剤粒子の含有量は、保護層形成用塗布液において0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10質量%である。
(溶媒)
塗布膜形成工程において用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層形成用塗布液の液粘度は、3〜50mP・sであることが好ましく、より好ましくは5〜20mP・sである。
保護層形成用塗布液の液粘度が過小である場合においては、塗布ムラが発生し、所望の層厚を有し、かつ、均一な層厚を有する保護層を形成することができないおそれがある。一方、保護層形成用塗布液の液粘度が過大である場合においては、当該保護層形成用塗布液に良好な流動性が得られず、塗布面において液切れを引き起こし、均一な塗布膜を形成することができないおそれがある。
保護層形成用塗布液の液粘度は、「E型粘度計 VISCONIC ELD型」(東京計器社製)を用いて測定されるものである。
塗布膜形成工程において、保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。これらの中でも、スライドホッパー法による塗布方法が好ましい。
以下、円形スライドホッパー塗布装置を用いてスライドホッパー法により塗布する方法について具体的に説明する。
〔円形スライドホッパー塗布装置〕
図1は、本発明の有機感光体の製造方法における塗布膜形成工程に用いられる円形スライドホッパー塗布装置の構成の一例を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す円形スライドホッパー塗布装置の斜視断面図である。
この円形スライドホッパー塗布装置は、円筒状の基材251の周囲を取り囲むように設けられた環状の塗布ヘッド260と、保護層形成用塗布液(以下、単に「塗布液L」ともいう。)を貯留する貯留タンク254と、当該貯蔵タンク254から塗布ヘッド260の塗布液Lを送液するダイヤフラム式ポンプ255とから構成される。
ここでいう基材251は、保護層形成用塗布液が塗布されるべき保護層形成用基材であり、例えば導電性支持体上に中間層および有機感光層が形成された状態のものであって保護層が形成されていない状態のものである。
塗布ヘッド260には、基材251側に開口する塗布液流出口261を有する幅狭の塗布液分配スリット262が基材251の長手方向に垂直な方向に沿って環状の塗布ヘッド260の全周にわたって形成されている。この塗布液分配スリット262は、環状の塗布液分配室263に連通し、この塗布液分配室263は、貯留タンク254内の塗布液Lが後記のダイヤフラム式ポンプ255により供給管264を介して供給されるよう形成されている。
塗布液分配スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材251の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されており、さらに、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。
〔ダイヤフラム式ポンプ〕
ダイヤフラム式ポンプ255は、塗布液Lが通過するポンプ室の一部を弾性のあるゴムなどの隔膜(ダイヤフラム)により形成し、当該ダイヤフラムをモーター、電磁石、空気圧、油圧などの駆動源によって往復運動させることによって当該ポンプ室を膨らませたり、凹ませたりし、当該ダイヤフラムと連動して送液弁および給液弁を開閉し、塗布液Lを一定量送液することができるものである。
図3は、本発明の電子写真有機感光体の製造方法における保護層形成用塗布液の送液に用いられるダイヤフラム式ポンプの構成の一例を示す説明用断面図である。
このダイヤフラム式ポンプ255は、等速度カム11と、当該等速度カム11の回転によりシャフト16を介して所定の方向(図3においては左右方向)に往復運動する第1のダイヤフラム12Aと、この第1のダイヤフラム12Aと対向し、当該第1のダイヤフラム12Aと連動して同方向に往復運動する第2のダイヤフラム12Bと、2つのダイヤフラム12A,12Bの間に配置されたポンプヘッド14とを有して構成されており、これにより、第1のダイヤフラム12Aとポンプヘッド14との間には第1のポンプ室15Aが形成され、第2のダイヤフラム12Bとポンプヘッド14との間には第2のポンプ室15Bが形成される。
このポンプ室15A,15Bは、互いに液密に区画された状態とされている。
また、ポンプ室15A,15Bは、塗布液Lの進行方向(図3における上方向)において、それぞれ送液弁(図示せず)を介して同一の送液パイプ17(図1参照)に連通しており、塗布液Lの進行方向の逆方向(図3における下方向)においてそれぞれ給液弁(図示せず)を介して同一の給液パイプ18(図1参照)にそれぞれ連通している。
〔保護層形成用塗布液の塗布動作〕
このような円形スライドホッパー塗布装置においては、基材251を矢印方向に移動させる過程で、塗布液Lを塗布液分配スリット262から押し出すよう、塗布液Lをダイヤフラム式ポンプ255によって送液する。
このダイヤフラム式ポンプ255を用いた塗布液Lの送液は、脈動率が10%以下となる状態で行われることが好ましく、5%以下となる状態で行われることがより好ましい。
ここに、脈動率とは、下記式(1)によって算出されるものである。
式(1):脈動率(%)={〔(最大流量−最小流量)/平均流量〕/2}×100
上記式(1)において、最大流量および最小流量は、それぞれ、ダイヤフラム式ポンプ255を使用して塗布液Lを送液した場合の単位時間当たりの設定流量に対するものであり、各流量は、コリオリ式質量流量計「プロマス80A」(エンドレスハウザー社製)を用いて計測されるものである。
ダイヤフラム式ポンプ255を用いた塗布液Lの送液は、具体的には、送液弁を開くと共に給液弁を閉めた状態において等速度カム11の回転により第1のダイヤフラム12Aを一方向(図3においては右方向)に押すと、第1のポンプ室15Aが収縮し、当該第1のポンプ室15Aに存在していた塗布液Lが押されて所期の進行方向(図3における上方向)に送液される。次に、送液弁を閉めると共に給液弁を開いた状態において等速度カム11の回転により第1のダイヤフラム12Aを他方向(図3においては左方向)に戻すと、第1のポンプ室15Aが拡張し、塗布液Lが当該第1のポンプ室15Aに給液される。
第2のダイヤフラム12Bは、等速度カム11によって第1のダイヤフラム12Aと連動して動作される、すなわち、当該第1のダイヤフラム12Aと互いに位相が180°ずらされるよう駆動される。
具体的には、第1のダイヤフラム12Aによって第1のポンプ室15Aが収縮するときには、送液弁を閉めると共に給液弁を開いた状態において第2のダイヤフラム12Bを一方向(図3においては右方向)に押すことになり、その結果、第2のポンプ室15Bが拡張し、塗布液Lが当該第2のポンプ室15Bに給液される。
一方、第1のダイヤフラム12Aによって第1のポンプ室15Aが拡張するときには、送液弁を開くと共に給液弁を閉めた状態において第2のダイヤフラム12Bを他方向(図3においては左方向)に戻すことになり、その結果、第2のポンプ室15Bが収縮し、塗布液Lが当該第2のポンプ室15Bから所期の進行方向(図3における上方向)に送液される。
本発明において、「2つのダイヤフラム12A,12Bが互いに位相が180°ずらされるよう駆動される」とは、ポンプ室15A,15Bのそれぞれからの吐出タイミングの位相が互いに逆になるように駆動されることをいう。
上記の例のダイヤフラム式ポンプにおいては、このように2つのダイヤフラム12A,12Bが互いに位相が180°ずらされるよう駆動されることによって、塗布液Lの送液に係る脈動率が10%以下に抑制されている。
本発明において、このダイヤフラム式ポンプ255を用いた塗布液Lの送液量は、4〜10mL/分であることが好ましく、より好ましくは4〜5mL/分である。
塗布液Lの送液量が上記の範囲であることによって、均一性の高い塗布膜を確実に形成することができる。
本発明の有機感光体の製造方法において用いられるダイヤフラム式ポンプは、上記の構成のものに限定されず、例えば、3つ以上のダイヤフラムを有するものであってもよい。
3つ以上のダイヤフラムを有するダイヤフラム式ポンプにおいては、保護層形成用塗布液の送液に係る脈動率が10%以下に抑制されるよう、各ダイヤフラムが互いにずらされた位相で駆動されることが好ましい。具体的には、n個のダイヤフラムを有するダイヤフラム式ポンプにおいては、(360°/n)ずつずらした状態で駆動させる、例えば、3つのダイヤフラムを有するダイヤフラム式ポンプにおいては120°ずつずらして駆動させることが好ましい。
以上のように保護層形成用塗布液がダイヤフラム式ポンプ255によって送液されることによって、塗布膜にスジ状の欠陥が生じることが抑制され、従って、均一性の高い保護層を形成することができる。
この具体的な理由としては、ダイヤフラム式ポンプは、その構造上、送液の際に保護層形成用塗布液が摺動する部材や摩擦する部材(例えば等速度カム11やシャフト16)と直接に接触することがないため、保護層形成用塗布液に加えられる機械的なストレスを小さく抑制することができる。従って、保護層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子の凝集を抑制することができ、その結果、得られる塗布膜において塗布ムラによるスジ状の欠陥の発生が軽減されるからである。
また、以上のように保護層形成用塗布液がダイヤフラム式ポンプ255によって送液されることによって、酸化スズの微粒子を金属酸化物微粒子として用いた場合にも、塗布膜にスジ状の欠陥が生じることを抑制することができて、均一性の高い保護層を形成することができる。なお、酸化スズは比重が高いために、酸化スズの微粒子を金属酸化物微粒子として用いた場合には、通常、保護層形成用塗布液が送液し難いものとなる。
さらに、以上のように保護層形成用塗布液がダイヤフラム式ポンプ255によって送液されることによって、保護層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子の含有量が上記の範囲のように多量であっても、塗布膜にスジ状の欠陥が生じることを抑制することができて、均一性の高い保護層を形成することができる。
また、以上のように保護層形成用塗布液がダイヤフラム式ポンプ255によって送液されることによって保護層形成用塗布液に加えられる機械的なストレスを小さく抑制することができることから、当該金属酸化物微粒子の変形や破壊の発生を抑制することができ、その結果、当該ダイヤフラム式ポンプ255を所期の寿命のものとして使用することができる。
さらに、ダイヤフラム式ポンプ255による塗布液Lの送液を脈動率が10%以下となる状態で行うことにより、脈動が小さい状態で保護層形成用塗布液が送液されることによって保護層形成用塗布液に加えられる機械的なストレスをより小さく抑制することができて、得られる塗布膜において塗布ムラによるスジ状の欠陥の発生を極めて軽減させることができ、その結果、より均一性の高い保護層を形成することができる。
以上のようにダイヤフラム式ポンプ255によって送液された塗布液Lを、スライド面265に沿って流下させると、スライド面265終端に至った塗布液Lは、そのスライド面265終端と、基材251の外周面との間にビードを形成した後、基材251表面に塗布されて塗布膜Fが形成され、過剰な塗布液Lは排出口267から排出される。
このような円形スライドホッパー塗布装置を用いる塗布方法では、スライド面終端と基材は、ある間隙(約2μm〜2mm)を持って配置されているため基材を傷つけることなく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。さらに性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬塗布方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出せず、塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、例えば金属酸化物微粒子の分散性を劣化させずに塗布することができる。
このように保護層形成用塗布液が塗布されてなる塗布膜は、乾燥させることにより溶媒が除去される。
塗布膜の乾燥は、重合性化合物の重合の前後、およびその重合中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、塗布膜の流動性がなくなる程度まで1次乾燥した後、後述の硬化処理を行い、その後、さらに保護層中の揮発性物質の量を規定量にするために2次乾燥を行うことが好ましい。
塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき保護層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば室温〜180℃であることが好ましく、より好ましくは80〜140℃である。乾燥時間は、例えば1〜200分間であることが好ましく、より好ましくは5〜100分間である。
〔工程(4−2):硬化処理工程〕
この硬化処理工程は、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗布膜中の重合性化合物を重合反応させて硬化する硬化処理を行うことにより保護層を形成する工程である。
重合性化合物を重合反応させる方法としては、紫外線や電子線などの活性線を照射する方法が挙げられ、具体的には、電子線開裂により反応させる方法、重合開始剤を添加して、光、熱などにより反応させる方法などが挙げられる。
重合性化合物の重合方法としては、使用容易性の観点から紫外線により反応させる方法が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンなどが挙げられる。
照射条件は、それぞれのランプの種類によって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 とされ、好ましくは5〜100mJ/cm2 とされる。ランプの電力は、0.1〜5kWであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3kWである。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量は、0.5〜10Mradであることが好ましい。
必要な活性線の照射量を得るための照射時間は、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
硬化処理工程により形成される保護層の層厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
〔画像形成装置〕
本発明に係る製造方法により得られる有機感光体は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置において用いることができる。
本発明に係る製造方法により得られる有機感光体が用いられる画像形成装置は、例えば、有機感光体上に均一な帯電電位を付与する帯電手段と、均一な帯電電位が付与された有機感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像に顕像化する現像手段と、トナー像を転写材上に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着する定着手段と、有機感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを有するものである。
〔トナー〕
本発明に係る製造方法により得られる有機感光体上に形成される静電潜像は、現像によりトナー像として顕像化される。この現像に用いられるトナーとしては、粉砕トナーでも、重合トナーでもよいが、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で製造される重合トナーが好ましい。
重合トナーとは、バインダー樹脂(以下、「トナー用バインダー樹脂」ともいう。)の生成とトナー形状とが、トナー用バインダー樹脂の原料モノマーの重合反応および必要によりその後の化学的処理により形成されるものをいい、具体的には、懸濁重合、乳化重合などの重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるものをいう。
トナーを構成するトナー粒子の粒径は、体積平均粒径(Dv50)で2〜9μmであることが好ましく、より好ましくは3〜7μmである。
トナー粒子の粒径が上記範囲であることにより、形成される画像の解像度を高くすることができる。さらに、小粒径のトナー粒子でありながら、微細な粒径のトナー粒子の存在量を少なくすることができ、長期間にわたってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
トナー粒子の体積平均粒径(Dv50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
〔現像剤〕
以上のようなトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
一成分現像剤として用いる場合においては、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合においては、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。
キャリアを構成する磁性粒子の粒径は、体積平均粒径(Dv50)で15〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25〜80μmである。
磁性粒子の体積平均粒径(Dv50)は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定されるものである。
キャリアは、磁性粒子がさらに樹脂により被覆された樹脂被覆型のもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型のものであることが好ましい。樹脂被覆型キャリアを構成するための被覆用樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための分散用樹脂としては、特に限定されるものではなく公知のものを用いることができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:有機感光体の製造例1〕
(1)導電性支持体の作製
ドラム状のアルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体〔1〕を作製した。
(2)中間層形成工程
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式により10時間の分散を行い、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「X1010」(ダイセルデグサ社製) 1質量部
・溶媒:エタノール 20質量部
・金属酸化物微粒子:数平均一次粒径0.035μmの酸化チタン微粒子「SMT500SAS」(テイカ社製) 1.1質量部
上記導電性支持体〔1〕上に、この中間層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を110℃で20分間乾燥し、層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(3)有機感光層形成工程
(電荷発生層形成工程)
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、10時間の分散を行い、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で5少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの) 20質量部
・バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)
10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法によりで塗布して塗布膜を形成し、層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(電荷輸送層形成工程)
下記原料を混合して溶解し、電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷輸送物質:下記式(A)に示す化合物 150質量部
・バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)
300質量部
・溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000質量部
・酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
上記電荷発生層〔1〕上に、この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を120℃で70分間乾燥し、層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
Figure 0006048028
(4)塗布膜形成工程および硬化処理工程
下記重合性化合物、溶媒、重合開始剤および金属酸化物微粒子を遮光下で、分散機としてサンドミルを用いて10時間分散することにより、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・重合性化合物:例示化合物(42) 100質量部
・溶媒:2−ブタノール 500質量部
・重合開始剤:「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製) 5質量部
・金属酸化物微粒子:例示化合物(S−15)に示す表面処理剤で表面処理された数平均一次粒径20nmの酸化スズ微粒子 100質量部
この保護層形成用塗布液〔1〕を、図3に示すダイヤフラム式ポンプを備えた図1に示す円形スライドホッパー塗布装置を用いて、上記電荷輸送層〔1〕上に送液、塗布し、これにより塗布膜を形成した。その後、この塗布膜を室温で20分間乾燥し、メタルハライドランプを用いて窒素気流下において、光源と感光体表面との離間距離を100mmとして、ランプ出力4kWで紫外線を1分間照射して、層厚3.5μmの保護層〔1〕を形成し、これにより、有機感光体〔1〕を得た。
ダイヤフラム式ポンプを用いた保護層形成用塗布液〔1〕の送液は、脈動率3%となる状態で行った。
〔実施例2〜6、参考例1:有機感光体の製造例2〜7〕
有機感光体の製造例1において、保護層形成用塗布液として表1の処方のものを用いると共に、当該保護層形成用塗布液の送液を表1に示す脈動率となる状態で行うことの他は同様にして、有機感光体〔2〕〜〔7〕を得た。
〔評価1:膜厚偏差〕
以上のようにして得られた有機感光体〔1〕〜〔7〕について、膜厚偏差を測定した。
具体的には、まず、有機感光体の両端から3cmの領域を除く均一膜厚部分における、任意の点15箇所について、保護層の膜厚を、
式:保護層の膜厚(μm)=(保護層形成後の全膜厚μm)−(保護層形成前の全膜厚μm)
に従ってそれぞれ算出し、得られた15点の保護層の膜厚のうち、最大値と最小値の差分を、有機感光体の保護層の膜厚偏差とした。
保護層形成前後の膜厚は、いずれも、渦電流方式の膜厚測定器「EDDY560C」(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて測定した。
結果を表1に示す。本発明においては、膜厚偏差が0.5μm以下である場合を合格とする。
〔評価2:外観〕
以上のようにして得られた有機感光体〔1〕〜〔7〕について、その外観を目視で観察して下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。本発明においては、外観のランクが「A」、「B」または「C」である場合を合格とする。
−評価基準−
A:縦スジ欠陥が全く見られない。
B:外観良領域と不良領域が分からない縦スジ欠陥が軽微に見られる程度で問題なし。
C:外観良領域と不良領域の境界が分かる縦スジ欠陥が軽微に見られるが問題なし。
D:外観良領域と不良領域の境界がはっきりとした縦スジ欠陥が明確に見られる。
〔評価3:連続送液評価〕
有機感光体〔1〕〜〔7〕の製造に用いたそれぞれのダイヤフラム式ポンプについて、連続送液時間を評価した。
具体的には、有機感光体〔1〕〜〔7〕の製造に用いたそれぞれのダイヤフラム式ポンプを用いて、対応するそれぞれの保護層形成用塗布液を連続的に送液し、ポンプ発熱またはポンプ停止が生じるまでの時間を計測し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。本発明においては、連続送液のランクが「A」または「B」である場合を合格とする。
−評価基準−
A:送液開始時から24時間以上、問題なく送液することができた。
B:送液開始時から6〜24時間の間にポンプ発熱またはポンプ停止が生じた。
C:送液開始時から6時間未満の間にポンプ発熱またはポンプ停止が生じた。
Figure 0006048028
表1から明らかなように、金属酸化物粒子の含有量が、重合性化合物100質量部に対して80〜300質量部である保護層形成用塗布液を用いた実施例1〜6では、ダイヤフラム式ポンプにより当該保護層形成用塗布液を安定的に送液することができ、膜厚偏差が小さく良好な塗布外観を有する保護層を確実に形成することができることが確認された。
11 等速度カム
12A,12B ダイヤフラム
14 ポンプヘッド
15A,15B ポンプ室
16 シャフト
17 送液パイプ
18 給液パイプ
251 基材
254 貯留タンク
255 ダイヤフラム式ポンプ
260 塗布ヘッド
261 塗布液流出口
262 塗布液分配スリット
263 塗布液分配室
264 供給管
265 スライド面
266 唇状部
267 排出口
L 塗布液
F 塗布膜

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなる電子写真有機感光体を製造する方法であって、
    保護層を構成する硬化樹脂を形成すべき重合性化合物と金属酸化物微粒子とを含有する保護層形成用塗布液を、導電性支持体上に形成された有機感光層上へ送液して塗布膜を形成し、当該塗布膜を硬化処理することにより、保護層を形成する工程を有し、
    前記保護層形成用塗布液における前記金属酸化物微粒子の含有量が、前記重合性化合物100質量部に対して80〜300質量部であり、
    前記塗布膜の形成は、
    貯留タンクに貯留されている前記保護層形成用塗布液、ダイヤフラム式ポンプによって塗布装置の塗布ヘッドへ送液し、
    当該塗布ヘッドに送液された保護層形成用塗布液を前記有機感光層上へ供給することにより行われることを特徴とする電子写真有機感光体の製造方法。
  2. 前記保護層形成用塗布液の送液が、脈動率が10%以下となる状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  3. 前記ダイヤフラム式ポンプが、互いに位相がずれるよう駆動される2つ以上のダイヤフラムを有するものであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  4. 前記金属酸化物微粒子が、数平均一次粒径が5〜100nmのものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  5. 前記保護層形成用塗布液における前記金属酸化物微粒子の含有量が、前記重合性化合物100質量部に対して100〜200質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  6. 前記金属酸化物微粒子が、酸化スズ微粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  7. 前記保護層を形成する工程において形成される塗布膜は、円形スライドホッパー塗布装置を用いるスライドホッパー法により、前記有機感光層上に前記保護層形成用塗布液を塗布して形成されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
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