JP5765213B2 - 光照射装置および電子写真有機感光体の製造方法 - Google Patents

光照射装置および電子写真有機感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真有機感光体の保護層を形成するための光照射装置および電子写真有機感光体(以下、単に「有機感光体」ともいう。)の製造方法に関する。
一般的に、電子写真方式による画像形成装置に用いられる感光体においては、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程および除電工程を経る一連の画像形成プロセスが繰り返し行われている。従って、有機感光体には、画像形成プロセスが繰り返し行われても、帯電性や電位保持性などの電気的特性の劣化が少ないことが求められている。
従来、感光体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アモルファスセレン系(a−Se、a−Se−Te、a−As2 Se3 )などの化合物を感光層に有する無機感光体が用いられていたが、近年、製造が容易であること、高感度設計が可能であること、低コストであること、無公害であることなどの多くのメリットを有することから、有機系の化合物を感光層に有する有機感光体が主流となっている。
しかしながら有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料および不活性高分子を主成分とするため一般に柔らかく、画像形成プロセスにおいて繰り返し使用された場合においては、現像工程やクリーニング工程による機械的な負荷により摩耗が発生しやすい。このような有機感光体の摩耗は、感度の劣化および帯電性の低下などの電気的特性の劣化の要因となり、これにより、長期間にわたって高品質な画像を形成することができないという問題がある。
このような問題を解決するために、有機感光体の表面に硬化樹脂からなる保護層を設けることが行われている。
硬化樹脂からなる保護層は、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に、保護層形成用塗布液を塗布することによって硬化樹脂となる未硬化膜を形成し、これをワークとしてこれに光を照射することにより、形成することができる。
ワークに光を照射するために用いる光照射装置としては、例えば、上下方向に伸びる円柱状のワーク搬送路空間の周囲を取り囲む円筒状の機枠に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が全周にわたって形成された光照射装置がある(特許文献1参照)。
また、ワークに光を照射するに際しては、大気中の酸素ガスを窒素ガスによって置換して窒素ガス雰囲気下においてワークに光を照射することが行われている(特許文献2参照)。
酸素ガスが窒素ガスに置換された状態でワークに光が照射されることによって、酸素ガスによって生じる硬化阻害が抑制されるので、未硬化膜の十分な硬化が得られ、従って、高い耐久性を有する保護層を形成することができる。
しかしながら、例えば特許文献2に開示される技術においては、窒素ガスが充填された密閉系内においてワークに光を照射しており、このように密閉系内を窒素ガスによって置換することは、必要とされる窒素ガスが多量となることや、また、装置が大型のものになるなどの設計の自由度が低い、などの不利点がある。また、複数のワークを個々に処理するバッチ処理を行うこととなる、という工業上の不利点がある。
特開2008−083130号公報 特開2008−304746号公報
以上のような不利点が解消される光照射装置として、本発明者らは、未硬化膜における光が照射される部位へ窒素ガスを選択的に供給することができる装置を提案した(特願2011−195767号参照)。
ところで、光照射装置の光出射窓の形状によっては、ワークの表面に照射される光量の当該ワークの表面における周方向の分布にムラがある場合があり、このような周方向の光量ムラが存在する状態において硬化処理が行われると、形成される保護層に硬化ムラが発生してしまう。そして、このような硬化ムラを有する有機感光体を長期間にわたって使用した場合には、削れムラが発生し、その結果、得られた画像に画像濃度ムラが発生してしまう、という問題がある。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、未硬化膜の硬化が均質に行われ、従って、高い耐久性を有する保護層を形成することができる光照射装置および電子写真有機感光体の製造方法を提供することにある。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法は、円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる電子写真有機感光体を、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成する工程を経て製造する方法であって、
上下方向に伸びる円柱状のワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れる光照射装置を用いて、
円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークを、前記ワーク搬送路空間において円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、前記ガス吐出口から窒素ガスが供給された状態において前記光出射窓から光を照射する硬化処理を、
前記ワークを前記ワーク搬送路空間において前記導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことを特徴とする。
本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、上下方向に伸びるガス上昇流路を有し、当該ガス上昇流路の上部が前記ガス吐出口に連通しているものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記ガス吐出口が環状のスリットであるものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されているものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、光源と、複数の光ファイバーからなる光ガイド部材と、リング状の三角プリズムとを備え、
前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されるものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記ワークにおける未硬化膜が、金属酸化物微粒子を含有していることが好ましい。
本発明の光照射装置は、円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる電子写真有機感光体の製造工程において、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成するために用いられる光照射装置であって、
上下方向に伸びる円柱状の、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークが上方に向かって搬送される、ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れ、
前記ワーク搬送路空間において前記ワークを、当該ワークの導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送する回転引き上げ機構が備えられていることを特徴とする。
本発明の光照射装置においては、上下方向に伸びるガス上昇流路を有し、当該ガス上昇流路の上部が前記ガス吐出口に連通していることが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いことが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記ガス吐出口が、環状のスリットであることが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されていることが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、光源と、複数の光ファイバーからなる光ガイド部材と、リング状の三角プリズムとを備え、
前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されることが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることが好ましい。
本発明の有機感光体の製造方法によれば、未硬化膜が形成されたワークをワーク搬送路空間においてワークの円筒軸を中心に回転させながら光を照射するので、未硬化膜の硬化が均質に行われ、従って、硬化ムラが小さく抑制された保護層を形成することができ、その結果、長期間にわたって使用した場合にも、画像濃度ムラの発生が抑制される有機感光体を製造することができる。
本発明の光照射装置の一例の構成を、回転引き上げ機構を除いて示す説明用部分断面図である。 図1に示す光照射装置の底面図である。 本発明の光照射装置における回転引き上げ機構の構成を示す模式図である。 本発明の電子写真有機感光体の製造方法における保護層を形成するための未硬化膜の形成に用いられる円形スライドホッパー塗布装置の構成の一例を示す説明用断面図である。 図4に示す円形スライドホッパー塗布装置の斜視断面図である。 本発明の有機感光体の製造方法を示す説明用模式図であり、(a)はワークがワーク搬送路空間の下方に位置された図、(b)はワークに光を照射する図、(c)はワークがワーク搬送路空間の上方に位置された図である。
〔光照射装置〕
図1は、本発明の光照射装置の一例の構成を、回転引き上げ機構を除いて示す説明用部分断面図であり、図2は、図1に示す光照射装置の底面図である。
本発明の光照射装置は、円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる有機感光体の製造工程において、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成するために用いられる装置である。
具体的には、上下方向に伸びる円柱状の、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークW(図6参照)が円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送される、ワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓15が設けられると共に、当該ワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口25が、光出射窓15が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられて、当該ガス吐出口25から吐出される窒素ガスがワーク搬送路空間Sにおいて上方に流れるものである。
そして、本発明の光照射装置には、ワーク搬送路空間SにおいてワークWを、当該ワークWの導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で上方に向かって搬送する回転引き上げ機構40(図3参照)が備えられている。
光出射窓15のレベル位置とは、光出射窓15の最下端のレベル位置をいい、また、ガス吐出口25のレベル位置とは、ガス吐出口25の最上端のレベル位置をいう。
この光照射装置は、より具体的には、ワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲む略円筒状の機枠30を備えており、当該機枠30は、二重管構造の円筒体からなる下部機枠31と、当該下部機枠31の上面における外周側の周壁(以下、「外周壁」という。)と中間の周壁(以下、「区画壁」という。)とによって区画された領域を含む領域に接触して配置されたリング状の三角プリズム16および当該三角プリズム16を固定するためのリング状の固定部材19からなり全体として略円筒状の形状を有する上部機枠32とよりなる。
三角プリズム16は、具体的には、上下方向に伸びる内周面と、当該内周面の下端辺から連続して半径方向外方に伸びる、当該内周面と直交する底面と、テーパー状の外周面とを有する形状のものである。当該三角プリズム16のワーク搬送路空間Sに対向する内周面における、光が実際に出射される領域によって、光出射窓15が構成されている。
そして、当該機枠30の下部機枠31の内周側の周壁(以下、「内周壁」という。)の上部にガス吐出口25が開口されている。
この光照射装置においては、機枠30におけるガス吐出口25と機枠30の最下端との距離(L1 )が、当該ガス吐出口25と機枠30の最上端との距離(L2 )よりも長いことが好ましい。
このような構成を有することにより、窒素ガスを確実にワーク搬送路空間Sにおいて上方に流すことができ、ワークWにおける光が照射される部位に確実に窒素ガスを供給することができる。窒素ガスが上方に流れる理由としては、ガス吐出口25から機枠30の出口までの距離が長い程、圧力が大きくなり、結果として、出口までの距離が短い方向に窒素ガスが流れるためと考えられる。
ガス吐出口25と機枠30の最下端との距離(L1 )とは、ガス吐出口25の最下端と、機枠30の最下端との距離をいい、ガス吐出口25と機枠30の最上端との距離(L2 )とは、ガス吐出口25の最上端と、機枠30の最上端との距離をいう。
この光照射装置においては、機枠30におけるガス吐出口25と機枠30の最下端との距離(L1 )を、当該ガス吐出口25と機枠30の最上端との距離(L2 )よりも長い形態を確実に得る目的から、機枠30の下部に、当該機枠30と連続した状態にワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲む円筒状の脚部を設けることが好ましい。
また、本発明の光照射装置が、機枠30またはこれに連続して設けられる脚部がワーク搬送路空間Sの最下端よりも下方まで伸びて構成される場合、窒素ガスを確実に上方に流す目的から、その底部の開口を塞ぐ蓋部材を設けることが好ましい。
〔窒素ガス吐出手段〕
ガス吐出口25は、機枠30の下部機枠31の内周壁に全周にわたって伸びるよう形成された環状のスリットとされる。
ガス吐出口25が環状のスリットであることにより、未硬化膜における光が照射される部位に均一に窒素ガスを供給することができ、その結果、硬化ムラの抑制された保護層を形成することができる。
機枠30の下部機枠31の内周壁と区画壁によって区画された内部空間によって、上下方向に伸び、その上部がガス吐出口25を介してワーク搬送路空間Sに連通するガス上昇流路21が形成されている。
ガス上昇流路21の断面積は、例えば2〜20cm2 とされる。
この光照射装置においては、内部にガス導入流路が形成された柱状のガス導入流路部材23が、機枠30の下部機枠31の区画壁の下部に連続して、後述する光ガイド部材12の収容空間13を貫通して半径方向外方に突出して伸びる状態に設けられており、当該ガス導入流路部材23の外端部(図1において右端部)の下壁には、ガス導入口28が形成されている。このガス導入流路部材23は、内部のガス導入流路の内端(図1において左端)がガス上昇流路21と連通され、外端のガス導入口28が図示しない窒素ガス供給源に接続されている。
ガス吐出口25、ガス上昇流路21、ガス導入流路および窒素ガス供給源により、窒素ガス吐出手段が構成されており、当該窒素ガス吐出手段においては、窒素ガス供給源からの窒素ガスが、ガス導入口28を介してガス導入流路部材23内のガス導入流路に導入されて当該ガス導入流路を横方向に移動し、下部機枠31内のガス上昇流路21に導入されて当該ガス上昇流路21を縦方向に移動し、最終的に、ガス吐出口25からワーク搬送路空間Sに吐出される。
〔光照射手段〕
この光照射装置においては、機枠30の外部に光源11が備えられており、光源11からの光を三角プリズム16の底面に導光する光ガイド部材12が、機枠30の下部機枠31の区画壁と外周壁によって区画された収容空間13に収納されている。
光ガイド部材12は、複数の光ファイバーよりなり、具体的には、三角プリズム16に近接した一端側においては上下方向に伸び、かつ全体として円筒形状になる、すなわち一端面が全体として円環状とされるよう、互いに側面が接触した状態に固着され、中間部においては各々の光ファイバーが互いに独立して湾曲された状態とされると共に、他端側においては左右方向に伸びると共に結束された状態に形成されている。
機枠30の下部機枠31の上壁における区画壁と外周壁によって区画される領域には、円環状の光導入口13Aが開口されており、また、下部機枠31の外周壁の下部には、光ガイド部材12が挿通される挿通孔13Bが開口されており、光ガイド部材12が、光導入口13Aを介して各々の光ファイバーの一端面が三角プリズム16の底面に接触されると共に、挿通孔13Bを介して下部機枠31の外部に伸び、他端面が光源11に接続されるよう配置されている。
光ガイド部材12の三角プリズム16の底面に接触される一端面すなわち出光面が全体として円環状とされることにより、三角プリズム16の内周面において光が実際に出射される光出射窓15が、全周にわたって形成されることとなり、従って、硬化膜の周方向に均一に光を照射することができ、その結果、硬化ムラの抑制された保護層を形成することができる。
光ガイド部材12を構成する光ファイバーとしては、石英ガラス、多成分ガラスなどからなるものを用いることが好ましい。
光源11としては、重合反応を開始させるのに十分なエネルギーを持った光、例えば好ましくは波長200〜500nm、より好ましくは250〜450nmの可視光線、紫外線を出射するものを用いることができる。
光源11としては、具体的には、キセノンランプ、蛍光ケミカルランプなどの低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの高圧放電ランプ、ショートアーク放電のキセノンランプ、LEDランプなどを用いることができる。
光源11として用いられるランプの電力は、0.1〜5kWであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3kWである。
三角プリズム16、光ガイド部材12および光源11により、光照射手段が構成されており、当該光照射手段においては、光源11から出射された光が、光ガイド部材12の各光ファイバーによって三角プリズム16の底面まで導光され、三角プリズム16の底面に入射された光は、当該三角プリズム16の外周面によって反射されて三角プリズム16の内周面(光出射窓15)から出射される。
この光照射装置の寸法の一例を具体的に示すと、機枠30の下部機枠31の内径が40mm、下部機枠31の外径が100mm、区画壁の内径が46mm、下部機枠31の上下方向の長さが870mm、上部機枠32の上下方向の長さが8mm、ガス吐出口25の上下方向の大きさt1 が3mm、光出射窓15の上下方向の大きさt2 が7mm、ガス吐出口25と機枠30の最下端との距離(L1 )が855mm、ガス吐出口25と機枠30の最上端との距離(L2 )が12mm、ガス上昇流路21の断面積が7.82cm2 、三角プリズム16の内径が40mm、光ガイド部材12を構成する光ファイバーの数が4000本、光ファイバーの径φが0.2mmである。
〔回転引き上げ機構〕
本発明の光照射装置に備えられた回転引き上げ機構40は、具体的には、図3に示されるように、ワークWを導電性支持体の円筒軸を中心に回転させるヘッド部41と、当該ヘッド部41を引き上げるまたは押し下げる上下方向駆動部45とからなるものである。
ヘッド部41は、ワークWをその軸方向における上端部を保持するワーク保持チャック42と、当該ワーク保持チャック42をワークWの軸を中心に回転駆動させるワーク回転用モーター43と、ワーク保持チャック42に一体的に形成された、ワーク回転用モーター43を格納するためのモーター格納部44とからなる。ワークWをワーク保持チャック42に連接させる具体的な手段は特に限定されない。
上下方向駆動部45は、ヘッド部41の上端部に連接されると共に上下方向に伸びるヘッド部搬送用シャフト46と、当該ヘッド部搬送用シャフト46をヘッド部搬送用ギア48を介して上下方向に移動させるヘッド部搬送用モーター47とからなる。
この回転引き上げ機構40においては、ワーク回転用モーター43およびヘッド部搬送用モーター47が同時に駆動されると、ワーク回転用モーター43によってワーク保持チャック42がワークWの周方向に回転されると共に、ヘッド部搬送用モーター47によってヘッド部搬送用ギア48を介してヘッド部搬送用シャフト46が上下方向に移動される。
以上の光照射装置によれば、窒素ガスを吐出するガス吐出口25が、未硬化膜の硬化に係る光が出射される光出射窓15よりも下方のレベル位置に設けられており、ガス吐出口25から吐出される窒素ガスがワーク搬送路空間S内を上方に流れるために、未硬化膜における光が照射される部位へ窒素ガスを供給することができる。従って、未硬化膜における光が照射される部位の周辺を窒素ガス雰囲気に置換することができる。
また、この光照射装置によれば、未硬化膜における光が照射される部位へ窒素ガスが選択的に供給されるために、未硬化膜の硬化に必要とされる窒素ガス量を、密閉系内を窒素ガスによって置換する構成の装置に比較して抑制することができ、従って、高い設計の自由度が得られ、当該光照射装置を小型のものとして設計することができる。
さらに、この光照射装置によれば、ワーク搬送路空間Sが大気雰囲気とされた場合にも未硬化膜における光が照射される部位へ窒素ガスを供給することができるので、非密閉系の構成とすることにより、複数のワークWを連続処理することができる。
そして、本発明の光照射装置によれば、回転引き上げ機構40が備えられているので、未硬化膜が形成されたワークWに対する光の照射を、当該ワークWをワーク搬送路空間SにおいてワークWの円筒軸を中心に回転させた状態で上方に搬送させながら行うことができるので、未硬化膜の硬化が均質に行われ、従って、硬化ムラが小さく抑制された保護層を形成することができ、その結果、長期間にわたって使用した場合にも、画像濃度ムラの発生が抑制される有機感光体を製造することができる。
以上、本発明の光照射装置の実施形態について具体的に説明したが、本発明の光照射装置は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、光出射窓15およびガス吐出口25が共通の機枠30に設けられた構成に限定されず、これらが分離して設けられた構成とすることができる。
また例えば、内周壁に環状のスリットによるガス吐出口が一つ開口された構成に限定されず、ワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲むよう設けられていれば、ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で開口された構成とすることもできる。
ガス吐出口の数は、例えば4〜40個とされ、特に20個であることが好ましい。
各々のガス吐出口の大きさは、例えばその面積が0.15〜7mm2 とされることが好ましい。
このような複数のガス吐出口が開口されてなる構成によっても、環状のスリットによるガス吐出口が一つ開口された構成と同様の効果を得ることができる。
また例えば、光ガイド部材12は、複数の光ファイバーが三角プリズム16に近接した一端側において全体として円筒形状になるよう互いに側面が接触した状態に形成されることに限定されず、複数の光ファイバーが、三角プリズム16の円環状の底面において周方向に均等の間隔で配置される状態に形成された、多点スポットの構成とすることもできる。
このような多点スポットの構成によっても、光ガイド部材12の一端側において全体として円筒形状になるよう互いに側面が接触した状態に形成され構成と同様の効果を得ることができる。
また例えば、光照射手段は、三角プリズム16を備える構成に限定されず、複数の光ファイバーが、各々の出光面がワーク搬送路空間Sに対向して配置される構成、すなわち光ファイバーの一端側を水平方向に伸びる状態に配置させた光ガイド部材を有する構成としてもよい。
このような光ガイド部材において、複数の光ファイバーは、各々の出光面が連続するよう配置されてもよく、均等に離間して配置されてもよい。
また例えば、光照射手段は、光源11が機枠30の外部に配置された構成に限定されず、複数の光源チップを用いた構成とすることもできる。
〔有機感光体の製造方法〕
本発明の有機感光体の製造方法は、導電性支持体上に、有機感光層と、硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる有機感光体を製造する方法であって、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークWを、ワーク搬送路空間Sにおいて円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、ガス吐出口25から窒素ガスが供給された状態において光出射窓15から光を照射する硬化処理を、ワークWをワーク搬送路空間Sにおいて導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことを特徴とする
〔有機感光体〕
本発明の製造方法により得られる有機感光体としては、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなるものであれば特に限定されないが、具体的には下記(1)および(2)の層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生層および電荷輸送層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明において、有機感光体とは、電子写真有機感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物により発揮されて構成されるものをいい、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成される感光層を有する有機感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とが高分子錯体により構成される感光層を有する有機感光体など公知の有機感光体全てを含むものをいう。
上記(1)の層構成を有する有機感光体を製造する工程を以下に具体的に説明する。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用塗布液を塗布、乾燥し、中間層を形成する中間層形成工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用塗布液を塗布、乾燥し、電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用塗布液を塗布、乾燥し、電荷輸送層を形成する電荷輸送層形成工程。
工程(4−1):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に保護層形成用塗布液を塗布して未硬化膜を形成してワークWを得る未硬化膜形成工程。
工程(4−2):ワークWの未硬化膜に光を照射し、保護層を形成する光照射工程。
〔工程(1):中間層形成工程〕
この中間層形成工程(1)は、例えば、バインダー樹脂を公知の溶媒に溶解して中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより中間層を形成する工程である。
中間層形成工程(1)において形成される中間層は、導電性支持体と有機感光層との間にバリアー機能と接着機能とを付与するものである。種々の故障防止などの観点から、このような中間層を設けることが好ましい。
(導電性支持体)
中間層が形成される導電性支持体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
(バインダー樹脂)
中間層形成工程(1)において用いられるバインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられるが、アルコール可溶性のポリアミド樹脂であることが好ましい。
(溶媒)
中間層形成工程(1)において用いられる溶媒としては、後述する無機微粒子を良好に分散し、かつ、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましく、具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性の観点から、特に好ましい。
また、中間層形成工程(1)においては、保存性、無機微粒子の分散性を向上するために、溶媒と共に助溶媒を用いることが好ましく、併用可能な助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
(無機微粒子)
中間層形成用塗布液には、形成される中間層の抵抗を調整する目的で、各種の導電性微粒子や金属酸化物微粒子などの無機微粒子が含有されていてもよい。
中間層形成用塗布液に含有される無機微粒子としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの金属酸化物微粒子が挙げられ、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることもできる。これらの金属酸化物微粒子は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、金属酸化物微粒子を2種類以上組み合わせて用いる場合においては、当該金属酸化物微粒子が固溶体状態であってもよいし、また、融着状態であってもよい。
このような金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
中間層形成用塗布液における無機微粒子の分散手段としては、特に限定されないが、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどの分散機が挙げられる。
無機微粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜200質量部である。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
中間層形成用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき中間層の層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥による方法が好ましい。
中間層形成工程(1)において形成される中間層の層厚は、0.1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
〔工程(2):電荷発生層形成工程〕
この電荷発生層形成工程(2)は、例えば、電荷発生物質を、公知の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加、分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を中間層形成工程(1)により形成された中間層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷発生層を形成する工程である。
(バインダー樹脂)
電荷発生層形成工程(2)において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(溶媒)
電荷発生層形成工程(2)において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(電荷発生物質)
電荷発生層形成工程(2)において用いられる電荷発生物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料;ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料;キノシアニン顔料;ペリレン顔料;インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料;フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
電荷発生物質の分散手段としては、特に限定されないが、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどの分散機が挙げられる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき電荷発生層の層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥による方法が好ましい。
電荷発生層形成工程(2)において形成される電荷発生層の層厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性および混合割合などにより異なるが、0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層形成用塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
〔工程(3):電荷輸送層形成工程〕
この工程(3)は、例えば、電荷輸送物質(CTM)を、公知の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を工程(2)により形成された電荷発生層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程である。
(バインダー樹脂)
工程(3)において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらには、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
(溶媒)
工程(3)において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(電荷輸送物質)
工程(3)において用いられる電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷輸送物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部である。
電荷輸送層形成用塗布液には、必要に応じて酸化防止剤、電子導電剤、安定剤などが含有されていてもよい。酸化防止剤については特願平11−200135号に記載のものが挙げられ、電子導電剤については特開昭50−137543号、同58−76483号などに記載のものが挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき電荷輸送層の層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥による方法が好ましい。
工程(3)において形成される電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性および混合割合などにより異なるが、5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。
〔工程(4−1):未硬化膜形成工程〕
この工程(4−1)は、保護層を構成する硬化樹脂を形成する重合性化合物、光重合開始剤、および必要に応じて金属酸化物微粒子や滑剤粒子、酸化防止剤あるいは硬化樹脂以外の樹脂を公知の溶媒に添加して保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して未硬化膜を形成し、乾燥して、ワークWを得る工程である。
(重合性化合物)
工程(4)において用いられる重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。これらの重合性化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性化合物は、少ない光量または短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイル基(CH2 =CHCO−)またはメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)の反応性基を有する化合物よりなることが好ましい。
重合性化合物として、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の具体例としては、下記例示化合物(1)〜(44)に示すものが挙げられる。また、以下に示す基数は、アクリロイル基またはメタクリロイル基の数である。
上記例示化合物(1)〜(44)において、Rはアクリロイル基であり、R´はメタクリロイル基である。
重合性化合物は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する化合物よりなることがより好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物よりなることが特に好ましい。
また、重合性化合物は、2種以上を組み合わせて用いることができるが、この場合においても、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物を50質量%以上用いることが好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(「イルガキュアー819」:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有する光重合促進剤を単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、アルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物を用いることが好ましく、さらに好ましくはα−ヒドロキシアセトフェノン構造、あるいはアシルフォスフィンオキサイド構造を有するものである。
光重合開始剤の添加量は、重合性化合物100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
(金属酸化物微粒子)
保護層形成用塗布液には、形成される保護層により高い耐久性を付与する目的で、金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられ、なかでも、アルミナ(Al2 3 )、酸化スズ(SnO2 )、二酸化チタン(TiO2 )の微粒子が好ましく、アルミナ、酸化スズが更に好ましい。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、1〜300nmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜100nmである。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
金属酸化物微粒子の分散手段としては、特に限定されないが、例えば超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどの分散機が挙げられる。
金属酸化物微粒子の含有量は、重合性化合物100質量部に対して20〜400質量部が好ましく、より好ましくは50〜300質量部である。
金属酸化物微粒子の含有量が過小である場合においては、形成される保護層の電気抵抗が低くなり、残留電位の上昇やカブリの発生を防止することができないおそれがある。一方、金属酸化物微粒子の含有量が過大である場合においては、形成される保護層に良好な成膜性が得られず、帯電性能の低下やピンホールの発生を防止することができないおそれがある。
また、金属酸化物微粒子は、反応性基を有する表面処理剤(以下、「反応性基含有表面処理剤」ともいう。)によって表面処理されたものであることが好ましく、特に反応性基含有表面処理剤によって表面処理されたアルミナ微粒子または酸化スズ微粒子であることが好ましい。
このような反応性基含有表面処理剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基等と反応性を有するものであればよく、具体的にはアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものが好ましい。
金属酸化物微粒子が反応性基含有表面処理剤によって表面処理されたものであることにより、重合性化合物との結合が強固になり、形成される保護層がより高い耐久性を有するものとなる。
反応性基含有表面処理剤としては、具体的には、下記例示化合物(S−1)〜(S−36)に示すものが挙げられる。
S−1:CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 2
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OC2 5 )(OCH3 2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )(OCH3 2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 5 )(OCH3 2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 5 3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 5 3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 5 3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OC2 5 3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 2 (OCH3
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCOCH3 2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(ONHCH3 2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OC6 5 2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(C1021)(OCH3 2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH2 6 5 )(OCH3 2
また、表面処理剤としては、上記例示化合物(S−1)〜(S−36)に示すもの以外に、ラジカル重合反応可能な反応性基を有するシラン化合物を用いることができる。
これらのシラン化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属酸化物微粒子に対する反応性基含有表面処理剤による表面処理方法としては、特に限定されず、湿式処理または乾式処理を採用することができるが、湿式メディア分散型装置を用いて処理することが好ましい。
以下、湿式メディア分散型装置を用いて表面処理する方法について具体的に説明する。
すなわち、金属酸化物微粒子と反応性基含有表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると共に当該金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することにより表面処理された金属酸化物微粒子が得られる。
以上のような表面処理方法においては、反応性基含有表面処理剤の添加量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.1〜100質量部、溶媒の添加量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して50〜5000質量部であることが好ましい。
湿式メディア分散型装置は、容器内にメディアとしてビーズが充填され、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクが高速回転されることにより、金属酸化物の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する装置であり、その構成としては、金属酸化物微粒子に表面処理を行う際に当該金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できるものであれば特に限定されず、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式を採用することができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどを用いることができる。
これらの分散型装置においては、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を用いて衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料とした粉砕媒体が挙げられるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさは、通常、直径1〜2mm程度とされるが、本発明においては0.1〜1.0mm程度が好ましい。
湿式メディア分散型装置に用いられる撹拌ディスクや容器内壁には、例えば、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製の素材が用いられるが、特にジルコニアまたはシリコンカーバイドなどのセラミック製のものが好ましい。
以上のような反応性基含有表面処理剤による表面処理により、反応性アクリロイル基、反応性メタクリロイル基と反応可能な反応性基を有する金属酸化物微粒子を得ることができる。
有機感光体を構成する保護層は、硬化樹脂と共に公知の樹脂を併用して構成することもできる。
公知の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
(滑剤粒子)
滑剤粒子としては、例えばフッ素原子含有樹脂粒子などが挙げられる。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の粒子の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子およびフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
滑剤粒子の数平均一次粒径は、0.01〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
本発明において、滑剤粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の滑剤粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
滑剤粒子を構成する樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
滑剤粒子の含有量は、保護層形成用塗布液において0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10質量%である。
(溶媒)
工程(4−1)において用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層形成用塗布液の液粘度は、2〜50mP・sであることが好ましく、より好ましくは3〜25mP・sである。
保護層形成用塗布液の液粘度が過小である場合においては、塗布ムラが発生し、所望の層厚を有し、かつ、均一な層厚を有する保護層を形成することができないおそれがある。一方、保護層形成用塗布液の液粘度が過大である場合においては、当該保護層形成用塗布液に良好な流動性が得られず、塗布面において液切れを引き起こし、均一な未硬化膜を形成することができないおそれがある。
保護層形成用塗布液の液粘度は、「E型粘度計 VISCONIC ELD型」(東京計器社製)を用いて測定されるものである。
未硬化膜形成工程(4−1)において、保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。これらの中でも、スライドホッパー法による塗布方法が好ましい。
以下、円形スライドホッパー塗布装置を用いてスライドホッパー法により塗布する方法について具体的に説明する。
図4は、本発明の有機感光体の製造方法における未硬化膜形成工程(4−1)に用いられる円形スライドホッパー塗布装置の構成の一例を示す説明用断面図であり、図5は、図4に示す円形スライドホッパー塗布装置の斜視断面図である。
この円形スライドホッパー塗布装置は、円筒状の基材251と、その周囲を取り囲むように設けられた環状の塗布ヘッド260と、塗布液Lを貯留する貯留タンク254とから構成される。
ここでいう基材251は、保護層形成用塗布液が塗布されるべき保護層形成用基材であり、例えば導電性支持体上に中間層および有機感光層が形成された状態のものであって保護層が形成されていない状態のものである。
塗布ヘッド260には、基材251側に開口する塗布液流出口261を有する幅狭の塗布液分配スリット262が基材251の長手方向に垂直な方向に沿って環状の塗布ヘッド260の全周にわたって形成されている。この塗布液分配スリット262は、環状の塗布液分配室263に連通し、この塗布液分配室263は、貯留タンク254内の塗布液Lが圧送ポンプ255により供給管264を介して供給されるよう形成されている。
塗布液分配スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材251の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されており、さらに、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。
このような円形スライドホッパー塗布装置においては、基材251を矢印方向に移動させる過程で、塗布液Lを塗布液分配スリット262から押し出し、スライド面265に沿って流下させると、スライド面265終端に至った塗布液Lは、そのスライド面265終端と、基材251の外周面との間にビードを形成した後、基材251表面に塗布されて未硬化膜Fが形成され、過剰な塗布液Lは排出口267から排出される。
このような円形スライドホッパー塗布装置を用いる塗布方法では、スライド面終端と基材は、ある間隙(約2μm〜2mm)を持って配置されているため基材を傷つけることなく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。さらに性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬塗布方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出せず、塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、例えば金属酸化物微粒子の分散性を劣化させずに塗布することができる。
このように保護層形成用塗布液が塗布されてなる未硬化膜は、乾燥させることにより溶媒が除去される。
未硬化膜の乾燥は、光照射工程(4−2)の前後、およびその途中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、未硬化膜の流動性がなくなる程度まで1次乾燥した後、光照射工程(4−2)を行い、その後、さらに保護層中の揮発性物質の量を規定量にするために2次乾燥を行うことが好ましい。
未硬化膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき保護層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば室温〜180℃であることが好ましい。乾燥時間は、例えば1〜120分間であることが好ましく、より好ましくは5〜90分間である。
〔工程(4−2):光照射工程〕
この工程(4−2)は、上述の光照射装置を用いてワークWの未硬化膜に光を照射し、紫外線などの光を照射することによって未硬化膜中の重合性化合物を重合反応させて硬化することにより、保護層を形成する工程である。
具体的には、ワークWを、ワーク搬送路空間Sにおいて円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、ガス吐出口25から窒素ガスが供給された状態において光出射窓15から光を照射する硬化処理を、ワーク搬送路空間Sにおいて当該ワークWを導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことにより、保護層を形成させる。
硬化処理においてワークWを回転させた状態で上方に向かって搬送しながら光を照射することにより、未硬化膜の硬化を均質に行うことができる。これは、ワークWの表面に周方向の光量ムラが存在する場合にも、ワークWの回転によって当該光量ムラを誤差拡散させることができるためであると考えられる。
硬化処理は、具体的には、図6に示されるように、まず、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークWを、ワーク搬送路空間Sにおいて、機枠30の上方から、当該ワークWの上端面がガス吐出口25の中心のレベル位置に位置する状態まで降下させる(図6(a)参照)。降下に際しては、ワークWは回転させた状態であってもよく、回転させない状態であってもよい。次に、ガス吐出口25から窒素ガスを吐出すると共に光出射窓15から光を照射しながら、ワーク搬送路空間Sにおいて一定の引き上げ速度で当該ワークWの円筒軸を中心に回転させた状態で上方に搬送する(図6(b)参照)。さらに、ワークWの引き上げを、ワーク搬送路空間Sにおいて、当該ワークWの下端面が光出射窓15の最上端を通過した後(図6(c)参照)、停止させて保護層が形成された有機感光体を得る。
この硬化処理においては、ワークWの回転速度≦窒素ガスの風速の関係を満たすことが好ましい。
ここに、窒素ガスの風速とは、ガス吐出口25から半径方向内方に2.5mm離間した位置における窒素ガスの風速である。
窒素ガスの風速は、具体的には0.01〜0.3m/secであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2m/secである。
そして、ワークWの回転速度は、硬化処理に要する時間、すなわち、ワークWの上端面が光照射窓15の中心のレベル位置に達した時点から、ワークWの下端面が光出射窓15の中心のレベル位置に達する時点までの時間内に、当該ワークWが1回転する速度以上であることが好ましい。
例えば、ワークWの外径が30mm、長さが360mm、かつ、窒素ガスの風速が0.1m/secである場合には、ワークWの回転速度は15.7〜94.2mm/secであることが好ましく、より好ましくは78.5〜94.2mm/secである。ワークWの回転速度が上記の範囲内において大きい程、硬化ムラを抑制する効果が大きく得られると考えられる。ワークWの回転速度が小さすぎる場合は、形成される保護層に光量ムラに起因する硬化ムラが生じるおそれがあり、ワークWの回転速度が大きすぎる場合は、ワーク搬送路空間Sにおける窒素ガス雰囲気が乱されて不均一化され、これによって未硬化膜の光が照射される部位の周辺の酸素ガス濃度を抑制することができずに、形成される保護層に窒素ガス置換不足による硬化ムラが生じるおそれがある。
ガス上昇流路21に流す窒素ガスの流速は、未硬化膜の光が照射される部位の周辺に、当該部位における酸素ガス濃度が500ppm以下とされる量の窒素ガスが供給され、かつ、ガス吐出口25から半径方向内方に2.5mm離間した位置における窒素ガスの風速が上記の範囲になる流速であればよく、ガス上昇流路21の断面積の大きさによっても異なるが、例えば一定で0.5〜5L/minとされることが好ましい。
窒素ガスの流速が上記の範囲であることにより、未硬化膜の光が照射される部位の周辺の酸素ガス濃度を確実に抑制することができる。一方、窒素ガスの流速が小さすぎる場合は、未硬化膜の光が照射される部位の周辺の酸素ガス濃度を抑制することが確実にはできず、形成される保護層に硬化ムラなどが生じるおそれがある。また、窒素ガスの流速が大きすぎる場合は、気流の乱れを生じ、周辺の酸素を巻き込むので、未硬化膜の光が照射される部位の周辺を所望の酸素濃度に制御することが困難になり、硬化ムラを生じるおそれがある。
硬化処理におけるワークWの引き上げ速度は、例えば1〜30mm/secとすることができる。
硬化処理における光の照射条件は、光源11に用いるランプの種類によって異なるが、光の照射量は、通常100〜5000mJ/cm2 とされ、好ましくは500〜3000mJ/cm2 とされる。
また、必要な光の照射量を得るための照射時間は、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
ワークWにおける未硬化膜の膜厚は、所望の保護層の層厚に従った厚さであればよく、例えば0.2〜10μmとすることができる。
ワークWの外径は、例えば25〜35mmとされる。
ワークWと光出射窓15との距離は、例えば1〜10mmとすることが好ましい。
また、ワークWとガス吐出口25との距離は、例えば1〜5mmとすることが好ましい。
光照射工程(4−2)により形成される保護層の層厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
本発明の有機感光体の製造方法によれば、硬化処理において、未硬化膜が形成されたワークWをワーク搬送路空間SにおいてワークWの円筒軸を中心に回転させながら光を照射するので、未硬化膜の硬化が均質に行われ、従って、硬化ムラが小さく抑制された保護層を形成することができ、その結果、長期間にわたって使用した場合にも、画像濃度ムラの発生が抑制される有機感光体を製造することができる。
〔画像形成装置〕
本発明の製造方法により得られる有機感光体は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置において用いることができる。
本発明の製造方法により得られる有機感光体が用いられる画像形成装置は、例えば、有機感光体上に均一な帯電電位を付与する帯電手段と、均一な帯電電位が付与された有機感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像に顕像化する現像手段と、トナー像を転写材上に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着する定着手段と、有機感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを有するものである。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔ワークの作製例1〕
(1)導電性支持体の作製
ドラム状のアルミニウム支持体(外径30mm、長さ360mm)の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体〔1〕を作製した。
(2)中間層形成工程
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式により10時間の分散を行い、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「X1010」(ダイセルデグサ社製) 1質量部
・溶媒:エタノール 20質量部
・金属酸化物微粒子:数平均一次粒径0.035μmの酸化チタン微粒子「SMT500SAS」(テイカ社製) 1.1質量部
上記導電性支持体〔1〕上に、この中間層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を110℃で20分間乾燥し、層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(3)有機感光層形成工程
(電荷発生層形成工程)
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、10時間の分散を行い、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの) 20質量部
・バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)
10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法によりで塗布して塗布膜を形成し、層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(電荷輸送層形成工程)
下記原料を混合して溶解し、電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷輸送物質:下記式(A)に示す化合物 150質量部
・バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)
300質量部
・溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000質量部
・酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
上記電荷発生層〔1〕上に、この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を120℃で70分間乾燥し、層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(4−1)未硬化膜形成工程
下記重合性化合物、溶媒および金属酸化物微粒子を遮光下で、分散機としてサンドミルを用いて10時間分散した後、下記の光重合開始剤を加え、遮光下で混合、撹拌して溶解させて、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・重合性化合物:例示化合物(42) 100質量部
・溶媒:sec−ブタノール 400質量部
・溶媒:メチルイソプロピルケトン 100質量部
・金属酸化物微粒子:例示化合物(S−15)に示す表面処理剤で表面処理された数平均一次粒径20nmの酸化スズ微粒子 100質量部
・光重合開始剤:「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製) 10質量部
この保護層形成用塗布液〔1〕を上記電荷輸送層〔1〕上に、円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して未硬化膜を形成して室温で20分間乾燥した。これを有機感光体ワーク〔1〕とする。
<実施例1>
上記の有機感光体ワーク〔1〕を、図1に示される光照射装置を用いて、回転させた状態でワーク搬送路空間の下方から上方に移動させながら光を照射することにより、保護層〔1〕を形成して有機感光体〔1〕を得た。光照射装置およびワークの寸法並びに製造条件を以下に示す。
−光照射装置の寸法−
・下部機枠の内径:40mm
・下部機枠の外径:100mm
・区画壁の内径:46mm
・下部機枠の上下方向の長さ:870mm
・上部機枠の上下方向の長さ:8mm
・ガス吐出口の上下方向の大きさ:3mm
・光出射窓の上下方向の大きさ:7mm
・ガス吐出口と機枠の最下端との距離(L1 ):855mm
・ガス吐出口と機枠の最上端との距離(L2 ):12mm
・ガス上昇流路の断面積:7.82cm2
・三角プリズムの内径:40mm
・光ガイド部材を構成する光ファイバーの数:4000本
・光ファイバーの径φ:0.2mm
・光源:キセノンランプ、4kW
−ワークの寸法−
・ワークのサイズ:φ30mm×360mm
(・ワークと光出射窓との距離:5mm)
(・ワークとガス吐出口との距離:5mm)
−硬化処理の条件−
・強度(光出射窓付近、波長365nm):4000mW/cm2
・光の照射強度(ワーク面):1800mW/cm2
・光の照射時間:18秒間
・窒素ガスの流速(一定):4L/min
・窒素ガスの風速(一定):0.1m/sec
・ワークの回転速度:表1の通り
・ワークの引き上げ速度:20mm/sec
<実施例2〜5>
実施例1において、ワークの回転速度を表1に従って変更したことの他は同様にして、有機感光体〔2〕〜〔5〕をそれぞれ得た。
以上のようにして得られた有機感光体〔1〕〜〔5〕を、フルカラー画像形成装置「bizhub C360」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製;780nmの半導体レーザーの露光・反転現像・中間転写体のタンデム方式カラー複合機)に搭載し、下記評価1〜3を行った。結果を表1に示す。
〔評価1:有機感光体の表面汚染〕
温度30℃湿度80%RHの条件で、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を100万枚の印刷を行う耐刷試験前後の有機感光体の表面状態を目視により観察し、傷の状態を下記評価基準により評価した。なお、評価した有機感光体はシアン位置に設置されたものとする。
−評価基準−
A:100万枚印刷後に表面傷なし(良好)
B:100万枚印刷後に表面傷1〜5箇所発生(実用上問題なし)
C:100万枚印刷後に表面傷6箇所以上発生(実用上問題有り)
〔評価2:クリーニング性(CL性)〕
温度10℃、湿度15%RH環境下、エッジが15μm摩耗した劣化ブレードで、バネ荷重を変更し、ベタ画像のクリーニング限界荷重を以下のように評価した。ランクはクリーニング限界荷重(g/cm(ブレード長手方向あたり)を示す。
ランク5:9未満
ランク4:9以上、13未満
ランク3:13以上、17未満
ランク2:17以上、21未満
ランク1:21以上
ランク3以上なら実用可能である。
〔評価3:面内画像濃度ムラ〕
温度30℃、湿度80%RHの条件で、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を100万枚の印刷を行う耐刷試験後、温度10℃、湿度20%RHの条件で、A3中性紙全面にモノクロのハーフトーン画像(マクベス濃度計で平均相対反射濃度0.4)を複写し、A3紙面(縦297mm×横420mm)の隅から横方向180mmの位置で縦方向の端から33mm間隔の計8点をそれぞれa1、a2、・・・a8とし、隅から横方向195mmの位置で縦方向の端から33mm間隔の計8点を同様にb1、b2、・・・b8とし、マクベス濃度計にて各点の反射濃度を測定した。これらの16点の測定値の公差(最大値と最小値の差)を算出し、下記評価基準に従って評価した。なお、測定値の公差が小さい程、面内画像濃度ムラが抑制されていると考えられる。
−評価基準−
◎:測定値の公差が0.01未満(良好)
○:測定値の公差が0.01以上0.02未満(実用上問題なし)
△:測定値の公差が0.02以上0.04未満(実用化可能)
×:測定値の公差が0.04以上(実用上問題有り)
11 光源
12 光ガイド部材
13 収容空間
13A 光導入口
13B 挿通孔
15 光出射窓
16 三角プリズム
19 固定部材
21 ガス上昇流路
23 ガス導入流路部材
25 ガス吐出口
28 ガス導入口
30 機枠
31 下部機枠
32 上部機枠
40 回転引き上げ機構
41 ヘッド部
42 ワーク保持チャック
43 ワーク保持チャック回転用モーター
44 モーター格納部
45 上下方向駆動部
46 ヘッド部搬送用シャフト
47 ヘッド部搬送用モーター
48 ヘッド部搬送用ギア
S ワーク搬送路空間
W ワーク
251 基材
254 貯留タンク
255 圧送ポンプ
260 塗布ヘッド
261 塗布液流出口
262 塗布液分配スリット
263 塗布液分配室
264 供給管
265 スライド面
266 唇状部
267 排出口
L 塗布液
F 未硬化膜


Claims (15)

  1. 円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる電子写真有機感光体を、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成する工程を経て製造する方法であって、
    上下方向に伸びる円柱状のワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
    前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れる光照射装置を用いて、
    円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークを、前記ワーク搬送路空間において円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、前記ガス吐出口から窒素ガスが供給された状態において前記光出射窓から光を照射する硬化処理を、
    前記ワークを前記ワーク搬送路空間において前記導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことを特徴とする電子写真有機感光体の製造方法。
  2. 前記光照射装置が、上下方向に伸びるガス上昇流路を有し、当該ガス上昇流路の上部が前記ガス吐出口に連通しているものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  3. 前記光照射装置が、前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
    当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  4. 前記光照射装置が、前記ガス吐出口が環状のスリットであるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  5. 前記光照射装置が、前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されているものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  6. 前記光照射装置が、光源と、複数の光ファイバーからなる光ガイド部材と、リング状の三角プリズムとを備え、
    前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  7. 前記光照射装置が、前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることを特徴とする請求項6に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  8. 前記ワークにおける未硬化膜が、金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする請求項7に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
  9. 円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる電子写真有機感光体の製造工程において、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成するために用いられる光照射装置であって、
    上下方向に伸びる円柱状の、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークが上方に向かって搬送される、ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
    前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れ、
    前記ワーク搬送路空間において前記ワークを、当該ワークの導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送する回転引き上げ機構が備えられていることを特徴とする光照射装置。
  10. 上下方向に伸びるガス上昇流路を有し、当該ガス上昇流路の上部が前記ガス吐出口に連通していることを特徴とする請求項9に記載の光照射装置。
  11. 前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
    当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の光照射装置。
  12. 前記ガス吐出口が、環状のスリットであることを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれかに記載の光照射装置。
  13. 前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されていることを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれかに記載の光照射装置。
  14. 光源と、複数の光ファイバーからなる光ガイド部材と、リング状の三角プリズムとを備え、
    前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されることを特徴とする請求項9〜請求項13のいずれかに記載の光照射装置。
  15. 前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることを特徴とする請求項14に記載の光照射装置。


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