JP5765213B2 - 光照射装置および電子写真有機感光体の製造方法 - Google Patents
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硬化樹脂からなる保護層は、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に、保護層形成用塗布液を塗布することによって硬化樹脂となる未硬化膜を形成し、これをワークとしてこれに光を照射することにより、形成することができる。
ワークに光を照射するために用いる光照射装置としては、例えば、上下方向に伸びる円柱状のワーク搬送路空間の周囲を取り囲む円筒状の機枠に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が全周にわたって形成された光照射装置がある(特許文献1参照)。
また、ワークに光を照射するに際しては、大気中の酸素ガスを窒素ガスによって置換して窒素ガス雰囲気下においてワークに光を照射することが行われている(特許文献2参照)。
酸素ガスが窒素ガスに置換された状態でワークに光が照射されることによって、酸素ガスによって生じる硬化阻害が抑制されるので、未硬化膜の十分な硬化が得られ、従って、高い耐久性を有する保護層を形成することができる。
上下方向に伸びる円柱状のワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れる光照射装置を用いて、
円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークを、前記ワーク搬送路空間において円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、前記ガス吐出口から窒素ガスが供給された状態において前記光出射窓から光を照射する硬化処理を、
前記ワークを前記ワーク搬送路空間において前記導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことを特徴とする。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記ガス吐出口が環状のスリットであるものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されているものであることが好ましい。
前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されるものであることが好ましい。
また、本発明の電子写真有機感光体の製造方法においては、前記光照射装置が、前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることが好ましい。
上下方向に伸びる円柱状の、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークが上方に向かって搬送される、ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れ、
前記ワーク搬送路空間において前記ワークを、当該ワークの導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送する回転引き上げ機構が備えられていることを特徴とする。
また、本発明の光照射装置においては、前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いことが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記ガス吐出口が、環状のスリットであることが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されていることが好ましい。
前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されることが好ましい。
また、本発明の光照射装置においては、前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることが好ましい。
図1は、本発明の光照射装置の一例の構成を、回転引き上げ機構を除いて示す説明用部分断面図であり、図2は、図1に示す光照射装置の底面図である。
本発明の光照射装置は、円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる有機感光体の製造工程において、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成するために用いられる装置である。
具体的には、上下方向に伸びる円柱状の、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークW(図6参照)が円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送される、ワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓15が設けられると共に、当該ワーク搬送路空間Sの周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口25が、光出射窓15が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられて、当該ガス吐出口25から吐出される窒素ガスがワーク搬送路空間Sにおいて上方に流れるものである。
そして、本発明の光照射装置には、ワーク搬送路空間SにおいてワークWを、当該ワークWの導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で上方に向かって搬送する回転引き上げ機構40(図3参照)が備えられている。
三角プリズム16は、具体的には、上下方向に伸びる内周面と、当該内周面の下端辺から連続して半径方向外方に伸びる、当該内周面と直交する底面と、テーパー状の外周面とを有する形状のものである。当該三角プリズム16のワーク搬送路空間Sに対向する内周面における、光が実際に出射される領域によって、光出射窓15が構成されている。
そして、当該機枠30の下部機枠31の内周側の周壁(以下、「内周壁」という。)の上部にガス吐出口25が開口されている。
このような構成を有することにより、窒素ガスを確実にワーク搬送路空間Sにおいて上方に流すことができ、ワークWにおける光が照射される部位に確実に窒素ガスを供給することができる。窒素ガスが上方に流れる理由としては、ガス吐出口25から機枠30の出口までの距離が長い程、圧力が大きくなり、結果として、出口までの距離が短い方向に窒素ガスが流れるためと考えられる。
ガス吐出口25と機枠30の最下端との距離(L1 )とは、ガス吐出口25の最下端と、機枠30の最下端との距離をいい、ガス吐出口25と機枠30の最上端との距離(L2 )とは、ガス吐出口25の最上端と、機枠30の最上端との距離をいう。
また、本発明の光照射装置が、機枠30またはこれに連続して設けられる脚部がワーク搬送路空間Sの最下端よりも下方まで伸びて構成される場合、窒素ガスを確実に上方に流す目的から、その底部の開口を塞ぐ蓋部材を設けることが好ましい。
ガス吐出口25は、機枠30の下部機枠31の内周壁に全周にわたって伸びるよう形成された環状のスリットとされる。
ガス吐出口25が環状のスリットであることにより、未硬化膜における光が照射される部位に均一に窒素ガスを供給することができ、その結果、硬化ムラの抑制された保護層を形成することができる。
ガス上昇流路21の断面積は、例えば2〜20cm2 とされる。
この光照射装置においては、機枠30の外部に光源11が備えられており、光源11からの光を三角プリズム16の底面に導光する光ガイド部材12が、機枠30の下部機枠31の区画壁と外周壁によって区画された収容空間13に収納されている。
機枠30の下部機枠31の上壁における区画壁と外周壁によって区画される領域には、円環状の光導入口13Aが開口されており、また、下部機枠31の外周壁の下部には、光ガイド部材12が挿通される挿通孔13Bが開口されており、光ガイド部材12が、光導入口13Aを介して各々の光ファイバーの一端面が三角プリズム16の底面に接触されると共に、挿通孔13Bを介して下部機枠31の外部に伸び、他端面が光源11に接続されるよう配置されている。
光源11としては、具体的には、キセノンランプ、蛍光ケミカルランプなどの低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの高圧放電ランプ、ショートアーク放電のキセノンランプ、LEDランプなどを用いることができる。
光源11として用いられるランプの電力は、0.1〜5kWであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3kWである。
本発明の光照射装置に備えられた回転引き上げ機構40は、具体的には、図3に示されるように、ワークWを導電性支持体の円筒軸を中心に回転させるヘッド部41と、当該ヘッド部41を引き上げるまたは押し下げる上下方向駆動部45とからなるものである。
ヘッド部41は、ワークWをその軸方向における上端部を保持するワーク保持チャック42と、当該ワーク保持チャック42をワークWの軸を中心に回転駆動させるワーク回転用モーター43と、ワーク保持チャック42に一体的に形成された、ワーク回転用モーター43を格納するためのモーター格納部44とからなる。ワークWをワーク保持チャック42に連接させる具体的な手段は特に限定されない。
上下方向駆動部45は、ヘッド部41の上端部に連接されると共に上下方向に伸びるヘッド部搬送用シャフト46と、当該ヘッド部搬送用シャフト46をヘッド部搬送用ギア48を介して上下方向に移動させるヘッド部搬送用モーター47とからなる。
また、この光照射装置によれば、未硬化膜における光が照射される部位へ窒素ガスが選択的に供給されるために、未硬化膜の硬化に必要とされる窒素ガス量を、密閉系内を窒素ガスによって置換する構成の装置に比較して抑制することができ、従って、高い設計の自由度が得られ、当該光照射装置を小型のものとして設計することができる。
さらに、この光照射装置によれば、ワーク搬送路空間Sが大気雰囲気とされた場合にも未硬化膜における光が照射される部位へ窒素ガスを供給することができるので、非密閉系の構成とすることにより、複数のワークWを連続処理することができる。
例えば、光出射窓15およびガス吐出口25が共通の機枠30に設けられた構成に限定されず、これらが分離して設けられた構成とすることができる。
ガス吐出口の数は、例えば4〜40個とされ、特に20個であることが好ましい。
各々のガス吐出口の大きさは、例えばその面積が0.15〜7mm2 とされることが好ましい。
このような複数のガス吐出口が開口されてなる構成によっても、環状のスリットによるガス吐出口が一つ開口された構成と同様の効果を得ることができる。
このような多点スポットの構成によっても、光ガイド部材12の一端側において全体として円筒形状になるよう互いに側面が接触した状態に形成され構成と同様の効果を得ることができる。
このような光ガイド部材において、複数の光ファイバーは、各々の出光面が連続するよう配置されてもよく、均等に離間して配置されてもよい。
本発明の有機感光体の製造方法は、導電性支持体上に、有機感光層と、硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる有機感光体を製造する方法であって、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークWを、ワーク搬送路空間Sにおいて円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、ガス吐出口25から窒素ガスが供給された状態において光出射窓15から光を照射する硬化処理を、ワークWをワーク搬送路空間Sにおいて導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことを特徴とする
本発明の製造方法により得られる有機感光体としては、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなるものであれば特に限定されないが、具体的には下記(1)および(2)の層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生層および電荷輸送層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用塗布液を塗布、乾燥し、中間層を形成する中間層形成工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用塗布液を塗布、乾燥し、電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用塗布液を塗布、乾燥し、電荷輸送層を形成する電荷輸送層形成工程。
工程(4−1):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に保護層形成用塗布液を塗布して未硬化膜を形成してワークWを得る未硬化膜形成工程。
工程(4−2):ワークWの未硬化膜に光を照射し、保護層を形成する光照射工程。
この中間層形成工程(1)は、例えば、バインダー樹脂を公知の溶媒に溶解して中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより中間層を形成する工程である。
中間層が形成される導電性支持体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
中間層形成工程(1)において用いられるバインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられるが、アルコール可溶性のポリアミド樹脂であることが好ましい。
中間層形成工程(1)において用いられる溶媒としては、後述する無機微粒子を良好に分散し、かつ、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましく、具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性の観点から、特に好ましい。
また、中間層形成工程(1)においては、保存性、無機微粒子の分散性を向上するために、溶媒と共に助溶媒を用いることが好ましく、併用可能な助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液には、形成される中間層の抵抗を調整する目的で、各種の導電性微粒子や金属酸化物微粒子などの無機微粒子が含有されていてもよい。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
この電荷発生層形成工程(2)は、例えば、電荷発生物質を、公知の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加、分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を中間層形成工程(1)により形成された中間層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷発生層を形成する工程である。
電荷発生層形成工程(2)において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成工程(2)において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成工程(2)において用いられる電荷発生物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料;ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料;キノシアニン顔料;ペリレン顔料;インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料;フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この工程(3)は、例えば、電荷輸送物質(CTM)を、公知の溶媒で溶解したバインダー樹脂中に添加して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を工程(2)により形成された電荷発生層の外周面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程である。
工程(3)において用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらには、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
工程(3)において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
工程(3)において用いられる電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この工程(4−1)は、保護層を構成する硬化樹脂を形成する重合性化合物、光重合開始剤、および必要に応じて金属酸化物微粒子や滑剤粒子、酸化防止剤あるいは硬化樹脂以外の樹脂を公知の溶媒に添加して保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して未硬化膜を形成し、乾燥して、ワークWを得る工程である。
工程(4)において用いられる重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。これらの重合性化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、重合性化合物は、2種以上を組み合わせて用いることができるが、この場合においても、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物を50質量%以上用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
保護層形成用塗布液には、形成される保護層により高い耐久性を付与する目的で、金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物微粒子が挙げられ、なかでも、アルミナ(Al2 O3 )、酸化スズ(SnO2 )、二酸化チタン(TiO2 )の微粒子が好ましく、アルミナ、酸化スズが更に好ましい。
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の金属酸化物微粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
金属酸化物微粒子の含有量が過小である場合においては、形成される保護層の電気抵抗が低くなり、残留電位の上昇やカブリの発生を防止することができないおそれがある。一方、金属酸化物微粒子の含有量が過大である場合においては、形成される保護層に良好な成膜性が得られず、帯電性能の低下やピンホールの発生を防止することができないおそれがある。
このような反応性基含有表面処理剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基等と反応性を有するものであればよく、具体的にはアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものが好ましい。
金属酸化物微粒子が反応性基含有表面処理剤によって表面処理されたものであることにより、重合性化合物との結合が強固になり、形成される保護層がより高い耐久性を有するものとなる。
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
これらのシラン化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
すなわち、金属酸化物微粒子と反応性基含有表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると共に当該金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することにより表面処理された金属酸化物微粒子が得られる。
これらの分散型装置においては、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を用いて衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
公知の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
滑剤粒子としては、例えばフッ素原子含有樹脂粒子などが挙げられる。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の粒子の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子およびフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
本発明において、滑剤粒子の数平均一次粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の滑剤粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子を除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、ニレコ社製)を使用して算出する。
工程(4−1)において用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層形成用塗布液の液粘度が過小である場合においては、塗布ムラが発生し、所望の層厚を有し、かつ、均一な層厚を有する保護層を形成することができないおそれがある。一方、保護層形成用塗布液の液粘度が過大である場合においては、当該保護層形成用塗布液に良好な流動性が得られず、塗布面において液切れを引き起こし、均一な未硬化膜を形成することができないおそれがある。
保護層形成用塗布液の液粘度は、「E型粘度計 VISCONIC ELD型」(東京計器社製)を用いて測定されるものである。
この円形スライドホッパー塗布装置は、円筒状の基材251と、その周囲を取り囲むように設けられた環状の塗布ヘッド260と、塗布液Lを貯留する貯留タンク254とから構成される。
塗布液分配スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材251の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されており、さらに、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。
未硬化膜の乾燥は、光照射工程(4−2)の前後、およびその途中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、未硬化膜の流動性がなくなる程度まで1次乾燥した後、光照射工程(4−2)を行い、その後、さらに保護層中の揮発性物質の量を規定量にするために2次乾燥を行うことが好ましい。
未硬化膜の乾燥方法は、溶媒の種類、形成すべき保護層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば室温〜180℃であることが好ましい。乾燥時間は、例えば1〜120分間であることが好ましく、より好ましくは5〜90分間である。
この工程(4−2)は、上述の光照射装置を用いてワークWの未硬化膜に光を照射し、紫外線などの光を照射することによって未硬化膜中の重合性化合物を重合反応させて硬化することにより、保護層を形成する工程である。
具体的には、ワークWを、ワーク搬送路空間Sにおいて円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、ガス吐出口25から窒素ガスが供給された状態において光出射窓15から光を照射する硬化処理を、ワーク搬送路空間Sにおいて当該ワークWを導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことにより、保護層を形成させる。
ここに、窒素ガスの風速とは、ガス吐出口25から半径方向内方に2.5mm離間した位置における窒素ガスの風速である。
窒素ガスの風速は、具体的には0.01〜0.3m/secであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2m/secである。
例えば、ワークWの外径が30mm、長さが360mm、かつ、窒素ガスの風速が0.1m/secである場合には、ワークWの回転速度は15.7〜94.2mm/secであることが好ましく、より好ましくは78.5〜94.2mm/secである。ワークWの回転速度が上記の範囲内において大きい程、硬化ムラを抑制する効果が大きく得られると考えられる。ワークWの回転速度が小さすぎる場合は、形成される保護層に光量ムラに起因する硬化ムラが生じるおそれがあり、ワークWの回転速度が大きすぎる場合は、ワーク搬送路空間Sにおける窒素ガス雰囲気が乱されて不均一化され、これによって未硬化膜の光が照射される部位の周辺の酸素ガス濃度を抑制することができずに、形成される保護層に窒素ガス置換不足による硬化ムラが生じるおそれがある。
窒素ガスの流速が上記の範囲であることにより、未硬化膜の光が照射される部位の周辺の酸素ガス濃度を確実に抑制することができる。一方、窒素ガスの流速が小さすぎる場合は、未硬化膜の光が照射される部位の周辺の酸素ガス濃度を抑制することが確実にはできず、形成される保護層に硬化ムラなどが生じるおそれがある。また、窒素ガスの流速が大きすぎる場合は、気流の乱れを生じ、周辺の酸素を巻き込むので、未硬化膜の光が照射される部位の周辺を所望の酸素濃度に制御することが困難になり、硬化ムラを生じるおそれがある。
また、必要な光の照射量を得るための照射時間は、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
ワークWと光出射窓15との距離は、例えば1〜10mmとすることが好ましい。
また、ワークWとガス吐出口25との距離は、例えば1〜5mmとすることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる有機感光体は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置において用いることができる。
本発明の製造方法により得られる有機感光体が用いられる画像形成装置は、例えば、有機感光体上に均一な帯電電位を付与する帯電手段と、均一な帯電電位が付与された有機感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像に顕像化する現像手段と、トナー像を転写材上に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を定着する定着手段と、有機感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを有するものである。
(1)導電性支持体の作製
ドラム状のアルミニウム支持体(外径30mm、長さ360mm)の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体〔1〕を作製した。
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式により10時間の分散を行い、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「X1010」(ダイセルデグサ社製) 1質量部
・溶媒:エタノール 20質量部
・金属酸化物微粒子:数平均一次粒径0.035μmの酸化チタン微粒子「SMT500SAS」(テイカ社製) 1.1質量部
上記導電性支持体〔1〕上に、この中間層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を110℃で20分間乾燥し、層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(電荷発生層形成工程)
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて、10時間の分散を行い、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの) 20質量部
・バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)
10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法によりで塗布して塗布膜を形成し、層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
下記原料を混合して溶解し、電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷輸送物質:下記式(A)に示す化合物 150質量部
・バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)
300質量部
・溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000質量部
・酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
上記電荷発生層〔1〕上に、この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を120℃で70分間乾燥し、層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
下記重合性化合物、溶媒および金属酸化物微粒子を遮光下で、分散機としてサンドミルを用いて10時間分散した後、下記の光重合開始剤を加え、遮光下で混合、撹拌して溶解させて、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・重合性化合物:例示化合物(42) 100質量部
・溶媒:sec−ブタノール 400質量部
・溶媒:メチルイソプロピルケトン 100質量部
・金属酸化物微粒子:例示化合物(S−15)に示す表面処理剤で表面処理された数平均一次粒径20nmの酸化スズ微粒子 100質量部
・光重合開始剤:「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製) 10質量部
この保護層形成用塗布液〔1〕を上記電荷輸送層〔1〕上に、円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して未硬化膜を形成して室温で20分間乾燥した。これを有機感光体ワーク〔1〕とする。
上記の有機感光体ワーク〔1〕を、図1に示される光照射装置を用いて、回転させた状態でワーク搬送路空間の下方から上方に移動させながら光を照射することにより、保護層〔1〕を形成して有機感光体〔1〕を得た。光照射装置およびワークの寸法並びに製造条件を以下に示す。
−光照射装置の寸法−
・下部機枠の内径:40mm
・下部機枠の外径:100mm
・区画壁の内径:46mm
・下部機枠の上下方向の長さ:870mm
・上部機枠の上下方向の長さ:8mm
・ガス吐出口の上下方向の大きさ:3mm
・光出射窓の上下方向の大きさ:7mm
・ガス吐出口と機枠の最下端との距離(L1 ):855mm
・ガス吐出口と機枠の最上端との距離(L2 ):12mm
・ガス上昇流路の断面積:7.82cm2
・三角プリズムの内径:40mm
・光ガイド部材を構成する光ファイバーの数:4000本
・光ファイバーの径φ:0.2mm
・光源:キセノンランプ、4kW
−ワークの寸法−
・ワークのサイズ:φ30mm×360mm
(・ワークと光出射窓との距離:5mm)
(・ワークとガス吐出口との距離:5mm)
−硬化処理の条件−
・強度(光出射窓付近、波長365nm):4000mW/cm2
・光の照射強度(ワーク面):1800mW/cm2
・光の照射時間:18秒間
・窒素ガスの流速(一定):4L/min
・窒素ガスの風速(一定):0.1m/sec
・ワークの回転速度:表1の通り
・ワークの引き上げ速度:20mm/sec
実施例1において、ワークの回転速度を表1に従って変更したことの他は同様にして、有機感光体〔2〕〜〔5〕をそれぞれ得た。
温度30℃湿度80%RHの条件で、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を100万枚の印刷を行う耐刷試験前後の有機感光体の表面状態を目視により観察し、傷の状態を下記評価基準により評価した。なお、評価した有機感光体はシアン位置に設置されたものとする。
−評価基準−
A:100万枚印刷後に表面傷なし(良好)
B:100万枚印刷後に表面傷1〜5箇所発生(実用上問題なし)
C:100万枚印刷後に表面傷6箇所以上発生(実用上問題有り)
温度10℃、湿度15%RH環境下、エッジが15μm摩耗した劣化ブレードで、バネ荷重を変更し、ベタ画像のクリーニング限界荷重を以下のように評価した。ランクはクリーニング限界荷重(g/cm(ブレード長手方向あたり)を示す。
ランク4:9以上、13未満
ランク3:13以上、17未満
ランク2:17以上、21未満
ランク1:21以上
ランク3以上なら実用可能である。
温度30℃、湿度80%RHの条件で、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を100万枚の印刷を行う耐刷試験後、温度10℃、湿度20%RHの条件で、A3中性紙全面にモノクロのハーフトーン画像(マクベス濃度計で平均相対反射濃度0.4)を複写し、A3紙面(縦297mm×横420mm)の隅から横方向180mmの位置で縦方向の端から33mm間隔の計8点をそれぞれa1、a2、・・・a8とし、隅から横方向195mmの位置で縦方向の端から33mm間隔の計8点を同様にb1、b2、・・・b8とし、マクベス濃度計にて各点の反射濃度を測定した。これらの16点の測定値の公差(最大値と最小値の差)を算出し、下記評価基準に従って評価した。なお、測定値の公差が小さい程、面内画像濃度ムラが抑制されていると考えられる。
−評価基準−
◎:測定値の公差が0.01未満(良好)
○:測定値の公差が0.01以上0.02未満(実用上問題なし)
△:測定値の公差が0.02以上0.04未満(実用化可能)
×:測定値の公差が0.04以上(実用上問題有り)
12 光ガイド部材
13 収容空間
13A 光導入口
13B 挿通孔
15 光出射窓
16 三角プリズム
19 固定部材
21 ガス上昇流路
23 ガス導入流路部材
25 ガス吐出口
28 ガス導入口
30 機枠
31 下部機枠
32 上部機枠
40 回転引き上げ機構
41 ヘッド部
42 ワーク保持チャック
43 ワーク保持チャック回転用モーター
44 モーター格納部
45 上下方向駆動部
46 ヘッド部搬送用シャフト
47 ヘッド部搬送用モーター
48 ヘッド部搬送用ギア
S ワーク搬送路空間
W ワーク
251 基材
254 貯留タンク
255 圧送ポンプ
260 塗布ヘッド
261 塗布液流出口
262 塗布液分配スリット
263 塗布液分配室
264 供給管
265 スライド面
266 唇状部
267 排出口
L 塗布液
F 未硬化膜
Claims (15)
- 円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる電子写真有機感光体を、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成する工程を経て製造する方法であって、
上下方向に伸びる円柱状のワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れる光照射装置を用いて、
円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークを、前記ワーク搬送路空間において円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送しながら、前記ガス吐出口から窒素ガスが供給された状態において前記光出射窓から光を照射する硬化処理を、
前記ワークを前記ワーク搬送路空間において前記導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で行うことを特徴とする電子写真有機感光体の製造方法。 - 前記光照射装置が、上下方向に伸びるガス上昇流路を有し、当該ガス上昇流路の上部が前記ガス吐出口に連通しているものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
- 前記光照射装置が、前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真有機感光体の製造方法。 - 前記光照射装置が、前記ガス吐出口が環状のスリットであるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
- 前記光照射装置が、前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されているものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。
- 前記光照射装置が、光源と、複数の光ファイバーからなる光ガイド部材と、リング状の三角プリズムとを備え、
前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子写真有機感光体の製造方法。 - 前記光照射装置が、前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることを特徴とする請求項6に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
- 前記ワークにおける未硬化膜が、金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする請求項7に記載の電子写真有機感光体の製造方法。
- 円筒状の導電性支持体上に有機感光層と硬化樹脂よりなる保護層とがこの順に積層されてなる電子写真有機感光体の製造工程において、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に形成された未硬化膜に光を照射して硬化樹脂よりなる保護層を形成するために用いられる光照射装置であって、
上下方向に伸びる円柱状の、円筒状の導電性支持体上の有機感光層上に未硬化膜が形成されたワークが上方に向かって搬送される、ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に光を出射する光出射窓が設けられると共に、
前記ワーク搬送路空間の周囲を取り囲む状態に、半径方向内方に窒素ガスを吐出するガス吐出口が、前記光出射窓が設けられたレベル位置よりも下方のレベル位置に設けられ、当該ガス吐出口から吐出される窒素ガスが上方に流れ、
前記ワーク搬送路空間において前記ワークを、当該ワークの導電性支持体の円筒軸を中心に回転させた状態で円筒軸が上下方向に伸びる姿勢で上方に向かって搬送する回転引き上げ機構が備えられていることを特徴とする光照射装置。 - 上下方向に伸びるガス上昇流路を有し、当該ガス上昇流路の上部が前記ガス吐出口に連通していることを特徴とする請求項9に記載の光照射装置。
- 前記光出射窓および前記ガス吐出口が共通にワーク搬送路空間の周囲を取り囲む略円筒状の機枠に設けられ、
当該機枠におけるガス吐出口と機枠の最下端との距離が、当該ガス吐出口と機枠の最上端との距離よりも長いことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の光照射装置。 - 前記ガス吐出口が、環状のスリットであることを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれかに記載の光照射装置。
- 前記ガス吐出口を複数有し、各々のガス吐出口が、周方向に均等の間隔で配置されていることを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれかに記載の光照射装置。
- 光源と、複数の光ファイバーからなる光ガイド部材と、リング状の三角プリズムとを備え、
前記光ファイバーの各々が、前記光源からの光を前記三角プリズムの一面に導光する状態に配置され、前記三角プリズムにおける当該一面と直交する一面によって光出射窓が構成されることを特徴とする請求項9〜請求項13のいずれかに記載の光照射装置。 - 前記光源がキセノンランプであり、前記光ファイバーが石英ガラスからなるものであることを特徴とする請求項14に記載の光照射装置。
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