JP6447254B2 - 電子写真感光体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体及び電子写真画像形成装置に関し、特に、繰り返し使用し摩耗しても表面保護層の低表面エネルギー性及び潤滑性を保つことができ、寿命末期まで高いクリーニング性を維持し、さらに、耐摩耗性及び耐傷性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置に関する。
近年、電子写真画像形成装置においては、プリント出力の高速化とともに、装置の小型化、メンテナンスフリー化が要請されている。これらの要請に伴い、電子写真画像形成装置に用いられる電子写真感光体においても、ドラム状感光体の小径化(小型化)及び高耐久化への要請が高まっている。電子写真感光体として、一般に用いられている有機感光体(以下、「感光体」ともいう。)の感光層は、電荷輸送物質やバインダー樹脂等から構成されており、機械的付加によって摩耗しやすい特性を有している。
感光体は、繰り返し画像形成を行うことで、クリーニングブレードとの摩擦による摩耗の他、帯電、露光の繰り返しにより、帯電特性や光感度などの電気的特性も劣化していく。これらは、画像濃度の低下、又は地肌汚れなどの画像不良を発生させる。また、感光体表面の摩耗によって、局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ汚れ等の画像不良を発生させ、感光体の寿命を低下させる原因となっている。
また、感光体に優れたクリーニング性及び転写性を付与させるために、感光体表面の低表面エネルギー化技術が提案されている。低表面エネルギー化技術としては、感光体の表面保護層に潤滑剤を添加する技術が提案されており、この潤滑剤として、種々のフッ素樹脂やシリコーン化合物を添加する技術が開示されている。例えば、特許文献1では、フッ素原子含有化合物として、フッ化アルキル基(CF(CF−)を有する界面活性剤(−COOH基)によって処理された導電性微粒子が開示されている。
しかしながら、これらの潤滑剤は、高い表面配向性を有しており、感光体の表面近傍に集まっていて、初期は高い潤滑性を示すが、経時によって感光体表面が摩耗することにより潤滑成分も除去されてしまい、潤滑性が失われる。
感光体の高耐久化において、摩耗性を向上させることは不可欠であり、さらに、より優れたクリーニング性及び転写性を持続させるために、摩耗しても感光体表面の低表面エネルギー性が低下しないことが求められている。
また、上記特許文献1に記載のフッ化アルキル基(CF(CF−)を有する界面活性剤(−COOH基)、すなわち、フッ化アルキルカルボン酸類(CF(CF等の類似体)は、生体蓄積性が高く、自然界ではほとんど分解しないため、世界中で削減の方向へ進んでいる。
特開平11−84706号公報
本発明者は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、繰り返し使用し摩耗しても表面保護層の低表面エネルギー性及び潤滑性を保つことができ、寿命末期まで高いクリーニング性を維持し、さらに、耐摩耗性及び耐傷性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、金属酸化物微粒子に特定のフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾処理を行い、これを表面保護層中に添加して硬化させることで、より均一に膜中にフッ素成分が存在するので、寿命末期まで高いクリーニング性を維持し、耐摩耗性及び耐傷性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
当該表面保護層が、バインダー樹脂と下記一般式(1)で表される構造を有するフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする電子写真感光体。
一般式(1):Rf−O−Rf−T
(一般式(1)中、Tは、−CF−COOH、−CFCF−COOH、又は、−CF(CF)−COOHを表す。Rfは、CF(CF)x−、又は(CFCF−を表す。xは、0〜3の整数を表す。Rfは、−CFyO−、−(CF)zO−、−CF(CF)CFO−、又は、−CFCF(CF)O−を表す。yは、F又はCF表す。zは、2〜4の整数を表す。)
2.前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
3.前記表面保護層が、さらに下記一般式(2)で表される構造を有する含フッ素多官能モノマーを反応させて得られる架橋樹脂を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
一般式(2):Rf−(L(X)m)n
(一般式(2)中、Rfは、直線状、分岐状又は環状のn価のフッ化炭化水素基を表す。Lは、(m+1)価のフッ素原子を含まない連結基を表す。Xは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。nは、2又は3を表し、mは、1〜3の整数を表す。Xの総数(n×m)は、3以上である。)
4.電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有する電子写真画像形成装置であって、
前記電子写真感光体が、第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
本発明の上記手段により、繰り返し使用し摩耗しても表面保護層の低表面エネルギー性及び潤滑性を保つことができ、寿命末期まで高いクリーニング性を維持し、さらに、耐摩耗性及び耐傷性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
金属酸化物微粒子に反応基がカルボニル(−COOH)基であるフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾を行うことによって、表面保護層中にフッ素原子を導入して表面保護層の表面エネルギーを下げ、表面保護層の離型性を向上させることでクリーニング性を良好にすることができる。本発明で使用するフッ素原子含有表面修飾剤は、エーテル結合を有するフッ素原子含有(CFCFCFO−CFCFO−等)のカルボン酸である。フッ化アルキル(CF(CF−)基を有する表面修飾剤に比べて、エーテル結合を有することで、表面保護層のバインダー樹脂や溶媒との相溶性が向上するために、より均一に表面保護層中へ存在し、減耗しても離型性及びクリーニング性を維持することができる。
また、金属酸化物微粒子によるフィラー効果(摩耗抵抗性の向上)も期待され、高い表面硬度を有し、耐摩耗性及び耐傷性に優れた電子写真感光体が得られる。
さらに、前記フッ素原子含有表面修飾剤は、エーテル結合を有するフッ素原子含有のカルボン酸であるので、フッ化アルキルカルボン酸類に比べて、生体蓄積性が低い有機フッ素化合物とされている点でも好ましい。
感光体の層構成の一例を示す模式図 本発明の実施形態の一例を示すフルカラーの電子写真画像形成装置の断面構成図
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、当該表面保護層が、バインダー樹脂と上記一般式(1)で表される構造を有するフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することが、表面保護層の耐摩耗性が向上する点で好ましい。
また、前記表面保護層が、さらに上記一般式(2)で表される構造を有する含フッ素多官能モノマーを反応させて得られる架橋樹脂を含有することが好ましい。これによって、表面保護層用の塗布液への相溶性が増し、分散性が良好で、均一な表面保護層を形成することができる。さらに、より表面エネルギーを低減することができ、高いクリーニング性及び転写性の維持につながる。
本発明の電子写真感光体は、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有する電子写真画像形成装置に好適に使用することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)は、導電性支持体上に感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、当該表面保護層が、バインダー樹脂と上記一般式(1)で表される構造を有するフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする。
感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有し、感光層の層構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層構成であってもよく、また、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層の積層構成であってもよい。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に中間層を設けてもよい。感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面保護層を含めた具体的な層構成として、例えば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層及び表面保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層、及び表面保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、及び表面保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
図1は、本発明の感光体の層構成の一例を示す模式図である。図1において、1は導電性支持体、2は感光層、3は中間層、4は電荷発生層、5は電荷輸送層、6は表面保護層、7はフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子(以下、表面修飾金属酸化物微粒子ともいう。)を示す。
次に、本発明の感光体を構成する表面保護層、導電性支持体、中間層、及び感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の構成について順を追って説明する。
<表面保護層>
本発明に係る表面保護層は、バインダー樹脂と、下記一般式(1)で表される構造を有するフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子を含有する。
《フッ素原子含有表面修飾剤》
一般式(1):Rf−O−Rf−T
(一般式(1)中、Tは、−CF−COOH、−CFCF−COOH、又は、−CF(CF)−COOHを表す。Rfは、CF(CF)x−、又は(CFCF−を表す。xは、0〜3の整数を表す。Rfは、−CFyO−、−(CF)zO−、−CF(CF)CFO−、又は、−CFCF(CF)O−を表す。yは、F又はCF表す。zは、2〜4の整数を表す。)
本発明のフッ素原子含有表面修飾剤のフッ化アルキル鎖の長さは、C(炭素原子)が4〜16の範囲内が十分な潤滑性を得られ、生体蓄積性が低い点で好ましく、Cが6〜12の範囲内がより好ましい。
本発明のフッ素原子含有表面修飾剤の例を以下に示す。
Figure 0006447254
Figure 0006447254
《金属酸化物微粒子》
金属酸化物微粒子は、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン及び酸化バナジウム等の金属酸化物微粒子が例示されるが、中でも、酸化スズ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子及びアルミナ微粒子が好ましい。
上記金属酸化物微粒子は、公知の方法、例えば気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが好ましい。
上記金属酸化物微粒子の個数平均一次粒径は、1〜300nmの範囲内が好ましい。特に好ましくは3〜100nmの範囲内である。
《金属酸化物微粒子の粒径の測定法》
上記金属酸化物微粒子の個数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウエアVer.1.32を使用して、2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出し、その平均値を個数平均一次粒径として算出する。ここで水平方向フェレ径とは、金属酸化物微粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
《フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子》
本発明に係るフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子(以下、単に「表面修飾金属酸化物微粒子」ともいう。)は、上記表面修飾剤に加えて、さらに重合性反応基を有するシランカップリング剤で表面修飾してもよい。重合性反応基を有するシランカップリング剤で金属酸化物微粒子の表面を修飾すると、さらに強度の高い表面保護層とすることができるので、耐摩耗性を向上させることができる。
《重合性反応基を有するカップリング剤》
本発明に係る金属酸化物微粒子に用いられる重合性反応基を有するカップリング剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応するカップリング剤が好ましい。さらに表面保護層の硬度をさらに高くする目的で、重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
重合性反応基を有するシランカップリング剤としては、ラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、本発明に係る架橋性の重合性化合物とも反応して強固な保護膜を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤としては、ビニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤としては、下記に示すような公知の化合物が例示される。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
また、シランカップリング剤としては、前記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらのシランカップリング剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
《金属酸化物微粒子の表面修飾方法》
金属酸化物微粒子の表面修飾においては、湿式メディア分散型装置を用いて、金属酸化物微粒子100質量部に対して、前記フッ素原子含有表面修飾剤0.1〜100質量部を添加し分散処理することが好ましい。この範囲内であると表面保護層を設けることによる電気特性の低下がなく、また画像メモリー改善の効果が得られる。また、金属酸化物微粒子100質量部に対して、溶媒50〜5000質量部を用いて処理することが好ましい。
また、前記フッ素原子含有表面修飾剤に加えて、重合性反応基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、同時に添加して金属酸化物微粒子を表面修飾してもよいし、2段階に分けて表面修飾してもよい。好ましくは、最初に前記フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した後に、残った未反応のヒドロキシ基を重合性反応基を有するシランカップリング剤で表面修飾することが、前記フッ素原子含有表面修飾剤を金属酸化物微粒子の表面に十分に結合させることができるので、表面保護層の正孔輸送能を高くすることができる。
重合性反応基を有するシランカップリング剤の添加割合は、前記フッ素原子含有表面修飾剤100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。重合性反応基を有するシランカップリング剤の添加量が上記範囲内であるとシランカップリング剤の自己縮合によって生成する不純物の影響を無視できる程度に小さく抑えることができ、かつ表面保護層の耐摩耗性を向上させる効果を発揮させることができる。
表面修飾に用いる溶媒としては、金属酸化物微粒子を良好に分散し、前記フッ素原子含有表面修飾剤を溶解する溶媒であればよく、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
本発明において用いられる表面修飾を行う装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物微粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。
具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル及びダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
上記サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール又はフリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製及びセラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以下に、前記フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した均一で微細な金属酸化物微粒子を製造する表面修飾方法について詳しく述べる。
すなわち、金属酸化物微粒子と前記フッ素原子含有表面修飾剤及び必要に応じて重合性反応基を有するシランカップリング剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると同時に金属酸化物微粒子の表面修飾が進行する。このスラリーを湿式粉砕する際に、40〜80℃の範囲内の温度で粉砕を行ってもかまわない。
これは、温度をかけて表面修飾を行っても前記フッ素原子含有表面修飾剤同士の反応が起こらないため、金属酸化物微粒子との反応を促進するために加熱することも可能となる。
この表面修飾処理の終了後、溶媒を除去し、熱処理した後、粉体化するので、前記フッ素原子含有表面修飾剤により表面修飾した均一で微細な金属酸化物微粒子を得ることができる。
《バインダー樹脂》
表面保護層のバインダー樹脂は、ポリカーボネートやポリアリレート等の硬度の高いポリマーを用いてもよいが、より好ましくは、架橋性の重合性化合物を用いて硬化形成された樹脂が好ましい。
(架橋性の重合性化合物)
架橋性の重合性化合物は、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂となるモノマーが好適であり、特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。これらの中でも、少ない光量又は短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有するラジカル重合性化合物が特に好ましい。
本発明においては、これら架橋性の重合性化合物は単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
以下に架橋性の重合性化合物の例を示す。以下にいうAc基数又はMc基数とは、一分子中のアクリロイル基又はメタクリロイル基の数を表す。
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
ただし、上記においてRは下記で示される。
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
Figure 0006447254
ただし、上記においてR′は下記で示される。
Figure 0006447254
本発明においては、架橋性の重合性化合物は官能基(反応性基のこと)が3以上の化合物を用いることが好ましい。また、重合性化合物は、2種以上の化合物を併用してもよいが、この場合でも、重合性化合物は官能基が3以上の化合物を50質量%以上用いることが好ましい。
また、前記フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子は、バインダー樹脂又は架橋性の重合性化合物100質量部に対して、50〜200質量部の範囲内で添加されることが好ましく、より好ましくは、100〜150質量部の範囲内である。この範囲内であると、耐摩耗性の高い強固な表面保護層の効果が得られる。また、十分な正孔輸送性能が得られるので、電子写真特性が損なわれることがない。
《一般式(2)で表される構造を有する含フッ素多官能モノマー》
本発明に係る表面保護層には、下記一般式(2)で表される構造を有する含フッ素多官能モノマーを反応させて得られる架橋樹脂を含有させることが好ましい。
一般式(2):Rf−(L(X)m)n
(式中、Rfは、直線状、分岐状又は環状のn価のフッ化炭化水素基を表す。Lは、(m+1)価のフッ素原子を含まない連結基を表す、Xは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。nは、2又は3を表し、mは1〜3の整数を表し、かつ、Xの総数(n×m)は、3以上である。)
前記フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子は、フッ素原子含有表面修飾剤の被覆率が高くなるにつれ、塗布液への分散性が悪くなるため、上記含フッ素多官能モノマーを反応させて得られる架橋樹脂を使用することによって、塗布液への相溶性が増し、分散性が良好で、均一な表面保護層を形成することができる。さらに、表面保護層の表面エネルギーを低減させることができ、高いクリーニング性及び転写性の維持につながる。
上記含フッ素多官能モノマーの具体例を以下に示す。
Figure 0006447254
《その他の添加剤》
本発明に係る表面保護層には、さらに各種の電荷輸送物質や酸化防止剤を含有させることもできる。また、各種の滑剤粒子を加えることができる。
滑剤粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。表面保護層中の滑剤粒子の割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜60質量%である。滑剤粒子の粒径は、個数平均一次粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。特に好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
<表面保護層の形成>
表面保護層は、架橋性の重合性化合物、フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子、必要に応じて、その他のバインダー樹脂、重合開始剤、滑剤粒子等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、硬化処理して作製することができる。表面保護層の層厚は、0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜6μmの範囲内がより好ましい。
《溶媒》
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
《重合開始剤》
本発明に係る表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により重合反応を行うことができる。ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
本発明に係る表面保護層に使用できる重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)及び2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル及び過酸化ラウロイルなどの過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1(イルガキュア369:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン及び1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン及び2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア819:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物及びイミダゾール系化合物が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル及び4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明に係る表面保護層に用いられる重合開始剤としては光重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系化合物、及びホスフィンオキシド系化合物が好ましく、さらに好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、又はアシルホスフィンオキシド構造を有する開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、架橋性の重合性化合物100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲内、好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。
《表面保護層の硬化方法》
本発明では、表面保護層の重合反応は、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使いやすさ等の見地から紫外線が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン又は紫外線LED等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cmの範囲内、好ましくは5〜15mJ/cmの範囲内である。光源の出力電圧は、好ましくは、0.1〜5kWの範囲内であり、さらに好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5rad〜10Mrad)の範囲内であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であり、具体的には0.1秒〜10分が好ましく、重合効率又は作業効率の観点から1秒〜5分がより好ましいとされる。
本発明では、活性線の照射前後、及び活性線を照射中に表面保護層を乾燥処理することができ、乾燥を行うタイミングは活性線の照射条件と組み合わせて適宜選択することができる。表面保護層の乾燥条件は、塗布液に使用する溶媒の種類や表面保護層の層厚などにより適宜選択することが可能である。また、乾燥温度は、室温〜180℃が好ましく、80〜140℃の範囲内が特に好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分の範囲内が好ましく、5〜100分の範囲内が特に好ましい。本発明においては、上記乾燥条件で表面保護層を乾燥することにより、表面保護層に含有される溶媒量を20〜75ppmの範囲内に制御することができる。
以上のようにして感光層上に表面保護層を設けることにより、感光体表面の硬度を上げ、耐摩耗性を向上させ耐久性を向上させることができる。
次に、本発明の感光体を構成する表面保護層以外の構成材料について説明する。
<導電性支持体>
本発明で用いる支持体は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
<中間層>
本発明においては、導電性支持体と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
また、中間層の抵抗調整の目的で各種金属酸化物微粒子等の無機微粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物微粒子、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
これら無機微粒子を1種類若しくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。このような無機微粒子の平均粒径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
中間層に使用する溶媒としては、金属酸化物微粒子等の無機微粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、微粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
バインダー樹脂溶液の濃度は、中間層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
無機微粒子などを分散したときのバインダー樹脂に対する無機微粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機微粒子20〜400質量部の範囲内が好ましく、さらに好ましくは50〜200質量部の範囲内である。
無機微粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
塗布後の中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の層厚は、0.1〜15μmの範囲内が好ましく、0.3〜10μmの範囲内がより好ましい。
<電荷発生層>
本発明の感光体に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質を使用することができ、スーダンレッド及びダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン及びアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ並びにチオインジゴなどのインジゴ顔料及びフタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は単独、若しくは公知の樹脂中に分散する形態で使用することができる。
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の層厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部の範囲内が好ましく、さらに好ましくは50〜500質量部の範囲内である。電荷発生層の層厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μmの範囲内、より好ましくは0.05〜3μmの範囲内である。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成することもできる。
<電荷輸送層>
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
電荷輸送物質としては、公知の電荷輸送物質を使用することができ、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン及びトリフェニルアミン誘導体等を挙げることができる。これらは2種以上混合して使用してもよい。
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。さらにはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐摩耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の層厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500質量部の範囲内が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部の範囲内である。
電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは5〜40μmの範囲内で、さらに好ましくは10〜30μmの範囲内である。
電荷輸送層中には酸化防止剤、電子導電剤、安定剤等を添加してもよい。酸化防止剤については特願平11−200135号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報等に記載のものがよい。
[感光体の塗布方法]
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層等の各層は公知の塗布方法により形成することができる。具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法及び円形量規制型塗布法(円形スライドホッパー塗布方法)等が挙げられる。なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報及び特開2005−275373号公報に記載されている。
[画像形成装置及び画像形成方法]
本発明の電子写真感光体は、電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有する、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができる。また、本発明の電子写真感光体は、当該画像形成装置を用いた画像形成方法に好適に用いることができる。
以下に、画像形成装置とともに画像形成方法について説明する。
図2は、本発明の実施形態の一例を示すフルカラーの電子写真画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニットともいう。)10Y、10M、10C、及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7aと、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラー5Y及びクリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M及びクリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C及びクリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk及びクリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C又は1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C又は2Bkと、露光手段3Y、3M、3C又は3Bkと、現像手段4Y、4M、4C又は4Bk、及び感光体1Y、1M、1C又は1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C又は6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C又は1Bkに、それぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、帯電器2Yともいう。)、露光手段3Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名:セルフォック(登録商標)レンズ)とから構成されるもの、又はレーザー光学系などが用いられる。
無端ベルト状中間転写体ユニット7aは、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラー5Y、5M及び5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、又は1Cに当接する。
二次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L及び82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7aとから成る。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、及び10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C及び1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7aが配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7aは、ローラー71、72、76、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bk及びクリーニング手段6bとから成る。
[プロセスカートリッジ]
本発明の電子写真画像形成装置としては、本発明の感光体と、帯電手段(帯電器)、露光手段(露光器)又は現像手段(現像器)の少なくとも一つとを一体として有したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として構成し、この画像形成ユニットを電子写真画像形成装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。また、帯電手段、露光手段、現像手段の他、転写手段(転写器)、分離手段(分離器)又はクリーニング手段(クリーニング器)の少なくとも一つを感光体とともに一体として有したプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
本発明の電子写真画像形成装置は電子写真複写機、レーザープリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真画像形成装置一般に適応するが、さらに、電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[表面修飾金属酸化物微粒子〔1〕の作製]
金属酸化物微粒子として数平均一次粒径25nmの「SnO」100質量部、表面修飾剤として「パーフルオロ−3,6−ジオキサデカン酸(和光純薬社製)(例示化合物ST−10)」7質量部とメタノール750質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて4時間混合、その後、メタノールとアルミナビーズを濾別し、120℃にて乾燥し、フッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した表面修飾金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。
[表面修飾金属酸化物微粒子〔3〕の作製]
金属酸化物微粒子として、個数平均一次粒径25nmの「SnO」100質量部、フッ素原子含有表面修飾剤として「ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン(例示化合物ST−1)」3質量部、メタノール500質量部とトルエン500部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて4時間混合、その後、メタノール、トルエンとアルミナビーズを濾別し、120℃にて乾燥した。
次に、重合性反応基を有するシランカップリング剤として「3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503:信越化学工業(株)製」(例示化合物:S−15)5質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、金属酸化物微粒子「SnO」を前記フッ素原子含有表面修飾剤と重合性反応基を有するシランカップリング剤(S−15)で表面修飾した表面修飾金属酸化物微粒子〔3〕を作製した。
[表面修飾金属酸化物微粒子〔2〕、〔4〕〜〔22〕の作製]
表面修飾金属酸化物微粒子〔1〕又は〔3〕の作製において、金属酸化物微粒子、フッ素原子含有表面修飾剤、重合性反応基を有するシランカップリング剤の種類及び添加量を表1に示すとおりに変更した以外は、同様にして表面修飾金属酸化物微粒子〔2〕、〔4〕〜〔22〕を作製した。なお、上記シランカップリング剤を使用しない場合には、表面修飾金属酸化物微粒子〔1〕の作製と同様に行い、上記シランカップリング剤を使用する場合には、表面修飾金属酸化物微粒子〔3〕の作製と同様に行った。また、表面修飾金属酸化物微粒子〔21〕は、フッ素原子含有表面修飾剤を使用せず、表面修飾金属酸化物微粒子〔22〕は、フッ素原子含有表面修飾剤として、下記の構造を有するPFNAを使用した。
Figure 0006447254
Figure 0006447254
[感光体1の作製]
まず、円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工した導電性支持体を用意した。
<中間層>
下記組成の中間層塗布液を作製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「X1010」(ダイセルデグサ株式会社製)
1.0質量部
金属酸化物微粒子:二酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製)
1.1質量部
溶媒:エタノール 20質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記中間層塗布液を用いて前記導電性支持体上に、110℃で20分乾燥後の層厚2μmとなるようにして浸漬塗布法で塗布した。
<電荷発生層>
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製) 10質量部
溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記成分を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
<電荷輸送層>
電荷輸送物質:CTM「下記化合物A」 150質量部
バインダー樹脂:ポリカーボネート「Z300」(三菱ガス化学社製)
300質量部
酸化防止剤:「Irganox(登録商標)1010」(BASFジャパン社製)
6質量部
溶媒:トルエン/テトラヒドロフラン=1/9体積% 2000質量部
添加剤:シリコンオイル「KF−54」(信越化学社製)
1質量部
上記成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法を用いて、110℃で60分乾燥後層厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0006447254
表面修飾金属酸化物微粒子:表面修飾金属酸化物微粒子〔1〕 100質量部
重合性化合物:例示化合物「Mc−1」 100質量部
溶媒1:2−ブタノール 320質量部
溶媒2:テトラヒドロフラン 80質量部
上記成分をサンドミルにて10時間分散した後、重合開始剤〔1〕(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド:「イルガキュア819」(BASFジャパン社製))8質量部を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面保護層塗布液を作製した(保存中は遮光)。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程(重合開始条件:光))、層厚3μmの表面保護層を得た。
表面保護層の形成で用いた重合開始剤は以下のとおりである。
重合開始剤〔1〕:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド
重合開始剤〔2〕:1−(4−モルホリノフェニル)−2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−ブタノン
重合開始剤〔3〕:2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル
Figure 0006447254
[感光体2の作製]
感光体1の作製において、表面修飾金属酸化物微粒子〔1〕を表面修飾金属酸化物微粒子〔2〕を用い、さらに、表面保護層塗布液のバインダー樹脂として、例示化合物「Mc−1」に加えて、含フッ素多官能モノマー(例示化合物「FMc−3」)を、表2に示す添加量で添加した以外は、同様にして感光体2を作製した。
[感光体4の作製]
感光体1の作製において、表面保護層の形成で、紫外線硬化工程を下記に示すとおりに熱硬化工程に変更した以外は、同様にして感光体4を作製した。
<表面保護層>
表面金属酸化物微粒子:表面修飾金属酸化物微粒子〔4〕 100質量部
バインダー樹脂:例示化合物「Ac−31」 100質量部
溶媒1:2−ブタノール 320質量部
溶媒2:テトラヒドロフラン 80質量部
上記成分をサンドミルにて10時間分散した後、重合開始剤〔2〕10質量部を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面保護層塗布液を作製した(保存中は遮光)。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、内温120℃の恒温槽に70分入れて熱硬化させ(熱硬化工程(重合開始条件:熱))、層厚3μmの表面保護層を得た。
[感光体3、5〜23の作製]
感光体1、2又は4の作製において、表面修飾金属酸化物微粒子、バインダー樹脂、重合開始剤の種類と添加量、及び重合条件を表2に示すとおりに変更した以外は、感光体1、2又は4のいずれかと同様にして感光体3、5〜23を作製した。
[感光体24の作製]
感光体1の作製において、金属酸化物微粒子として、表面修飾を行っていない個数平均一次粒径20nmの酸化スズ100質量部を使用し、重合開始剤の種類と添加量を表2に示すように変更した以外は、同様にして感光体24を作製した。
[感光体25の作製]
感光体1の作製において、金属酸化物微粒子を用いずに、かつ、バインダー樹脂、重合開始剤の種類と添加量を表2に示すように変更した以外は、同様にして感光体25を作製した。
Figure 0006447254
[評価]
以上のようにして作製した感光体を、図2に示す画像形成装置の構成と同様の評価機であるデジタルフルカラー複合機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ(株)製)に搭載した。光源としては、780nmの半導体レーザーの露光光を使用した。
高温高湿環境下(30℃・85%RH)で、Y、M、C、Bk各色印字率2.5%のA4画像をA4サイズの中性紙に70万枚の画像出し耐刷試験を行い、その後、下記の個別の環境条件下で評価し、その結果を下記表3に示した。
<1.感光体の減耗量>
前記耐刷試験の前後の膜厚差で評価した。感光体の膜厚は、均一膜厚部分(感光体の両端は膜厚が不均一になりやすいので、少なくとも両端3cmは除く)をランダムに10か所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器「EDDY560C」(HELMUT FISCHER GMBH CO社製)を用いて行い、耐刷試験前後の感光体膜厚の差を膜厚減耗量とする。
(評価基準)
◎:減耗量が、0.7μm以下(極めて良好)
○:減耗量が、0.7μmより大きく、1.6μm以下(良好)
△:減耗量が、1.6μmより大きく、2.0μm以下(実用上問題なし)
×:減耗量が、2.0μmより大きい(実用上問題あり)
<2.クリーニング性>
前記耐刷試験後に、電子写真感光体の表面と出力画像の目視観察により下記評価を行った。
(評価基準)
◎:70万枚までトナーすり抜けがなく、全く問題ないレベル
○:70万枚までの時点で感光体上にトナーのすり抜けが一部見られるが、出力画像は良好であり、実用上問題ないレベル
△:70万枚以前にトナーすり抜けにより、出力画像上にスジ状の軽微な画像不良が発生したが、実用上問題ないレベル
×:70万枚以前にトナーすり抜けにより、出力画像上にスジ状の明らかな画像不良の発生が認められる(実用上問題あり)
<3.表面耐傷性>
前記耐刷試験後、A3紙全面にハーフトーン画像の画出しを行い、感光体の表面状態を観察し傷の状態を評価した。
(評価基準)
◎:感光体表面に目視で見られる目立った傷の発生はなく、ハーフトーン画像にも感光体傷に対応する画像不良の発生は見あたらない(良好)
○:感光体表面に目視で軽微な傷の発生があるが、ハーフトーン画像には感光体傷に対応する画像不良の発生は見あたらない(実用上問題なし)
△:70万枚印字後に表面傷4〜5か所発生(実用上問題なし)
×:感光体表面に目視で明確に傷の発生があり、ハーフトーン画像にも該傷に対応する画像不良の発生が認められる(実用上問題あり)
Figure 0006447254
表3に示した結果から明らかなように、本発明の感光体は、比較例の感光体に比べて、減耗量、クリーニング性及び表面耐傷性のいずれの項目においても優れていることが認められる。特に、含フッ素多官能モノマーを添加した感光体21は、含フッ素多官能モノマーを添加しない感光体1に比べて、クリーニング性がより良好であった。
1 導電性支持体
2 感光層
3 中間層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 保護層
7 表面修飾金属酸化物微粒子
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成部(画像形成ユニット)

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
    当該表面保護層が、バインダー樹脂と下記一般式(1)で表される構造を有するフッ素原子含有表面修飾剤で表面修飾した金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする電子写真感光体。
    一般式(1):Rf−O−Rf−T
    (一般式(1)中、Tは、−CF−COOH、−CFCF−COOH、又は、−CF(CF)−COOHを表す。Rfは、CF(CF)x−、又は(CFCF−を表す。xは、0〜3の整数を表す。Rfは、−CFyO−、−(CF)zO−、−CF(CF)CFO−、又は、−CFCF(CF)O−を表す。yは、F又はCF表す。zは、2〜4の整数を表す。)
  2. 前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面保護層が、さらに下記一般式(2)で表される構造を有する含フッ素多官能モノマーを反応させて得られる架橋樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
    一般式(2):Rf−(L(X)m)n
    (一般式(2)中、Rfは、直線状、分岐状又は環状のn価のフッ化炭化水素基を表す。Lは、(m+1)価のフッ素原子を含まない連結基を表す。Xは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。nは、2又は3を表し、mは、1〜3の整数を表す。Xの総数(n×m)は、3以上である。)
  4. 電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有する電子写真画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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