JP6631267B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体 Download PDF

Info

Publication number
JP6631267B2
JP6631267B2 JP2016006419A JP2016006419A JP6631267B2 JP 6631267 B2 JP6631267 B2 JP 6631267B2 JP 2016006419 A JP2016006419 A JP 2016006419A JP 2016006419 A JP2016006419 A JP 2016006419A JP 6631267 B2 JP6631267 B2 JP 6631267B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
tio
metal oxide
conductive metal
protective layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016006419A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017126034A (ja
Inventor
弘毅 ▲高▼尾
弘毅 ▲高▼尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2016006419A priority Critical patent/JP6631267B2/ja
Publication of JP2017126034A publication Critical patent/JP2017126034A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6631267B2 publication Critical patent/JP6631267B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置において用いられる電子写真感光体に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)としては、無機感光体および有機感光体が知られている。
ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料などの着色剤および樹脂材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
有機感光体は、無機感光体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性、およびコスト面などにおいて利点を有するため、現在ではほとんどの感光体には有機感光体が用いられている。
近年、環境負荷低減、生産性向上およびコストダウンなどの観点から感光体の高信頼化、すなわち、長寿命化および画質安定性の向上が求められている。感光体においては、感光体表面の摩耗によって感光体の寿命が決定され、また、電位安定性が不十分であることにより画質劣化が引き起こされる。
感光体の高耐久化の技術的方法の一つとして、特許文献1には、導電性支持体上の感光層の上に保護層を設け、保護層中に導電性金属酸化物粒子を含有させ、これによって保護層の抵抗を制御することが提案されている。
特開2001−125297号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、保護層の膜強度および形成される画像の画質安定性を向上させる効果が不十分であることがわかった。特に、電位安定性を向上させるために保護層中に金属酸化物を多量に添加すると、膜強度が低下して保護層の減耗量が大きくなったり、高湿時の吸湿による低抵抗化によって画像ボケが発生してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長期間にわたって保護層の減耗量が少なく、形成される画像に高い画質安定性が得られる、電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程で、電子写真感光体において、保護層に多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有させることによって、長期間にわたって保護層の減耗量が少なく、形成される画像に高い画質安定性が得られることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に、感光層および保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
前記保護層が、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
2.前記導電性金属酸化物粒子が、酸化チタンまたは酸化タングステンを含有する、前記1に記載の電子写真感光体。
3.前記多電子還元触媒が、白金、パラジウム、銅、鉄、ロジウム、金、クロム、ニッケル、セリウム、タングステンおよびルテニウムからなる群から選択される1以上の元素を含む、前記1または2に記載の電子写真感光体。
4.前記導電性金属酸化物粒子が10〜1000nmの数平均一次粒径を有する、前記1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
5.前記多電子還元触媒が、前記導電性金属酸化物粒子に対して0.0001〜40質量%の割合で担持されている、前記1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
6.前記保護層が、重合性化合物の重合物からなるバインダー樹脂を含有し、前記バインダー樹脂に対して、20〜300質量%の割合で前記多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有する、前記1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
本発明によれば、長期間にわたって保護層の減耗量が少なく、形成される画像の画質安定性が向上しうる感光体が提供される。
本発明の一実施形態を示すフルカラーの電子写真画像形成装置の断面構成図である。
本発明は、導電性支持体上に、感光層および保護層を順次積層した電子写真感光体であって、前記保護層が、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有することを特徴とする、電子写真感光体である。
以下、本発明の構成要素および本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で用いる。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、感光層および保護層を順次積層した電子写真感光体であって、前記保護層が、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有することを特徴とする。
感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有し、感光層の層構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層構成であってもよく、また、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構成であってもよい。
また、必要に応じて導電性支持体と感光層との間に中間層を設けてもよい。
感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、保護層を含めた具体的な層構成として、例えば、負帯電性感光体では、以下(1)〜(4)に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層および保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層および保護層を順次積層した層構成
負帯電性感光体は、好ましくは、中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)を設ける構成をとり、正帯電性感光体は、好ましくは、中間層の上に電荷輸送層(CTL)、その上に電荷発生層(CGL)を設ける構成をとる。
したがって、正帯電性感光体は、上記(2)、(4)の他に、以下(1’)、(3’)を好ましい層構成として有しうる:
(1’)導電性支持体上に、電荷輸送層、電荷発生層、および保護層を順次積層した層構成
(3’)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送層、電荷発生層、および保護層を順次積層した層構成。
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)、(1’)、(3’)のいずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、好ましい感光層の層構成は、前記機能分離構造を有する負帯電感光体であり、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を順次設けて作製された上記(3)の層構成のものが特に好ましい。
次に、本発明の感光体を構成する保護層、導電性支持体、中間層、感光層(電荷発生層および電荷輸送層)の構成について順を追って説明する。
<保護層>
本発明の電子写真感光体は、感光層上に保護層を有する。保護層は、感光体を外部環境や衝撃から保護する役割を担う。本発明の電子写真感光体における保護層は、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有する。このような構成を有することにより、本発明の電子写真感光体は、長期間にわたって保護層の減耗量が少なく、形成される画像の画質安定性に優れる。
電子写真感光体においては、環境負荷低減、生産性向上、コストダウンの観点から、感光体の高寿命化および画質安定性の向上が求められている。
かような問題に対し鋭意検討を行った結果、保護層に多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物を導入することによって上記の問題が解決されることが明らかになった。
近年、感光体の高耐久化の方法として、酸化チタンのような導電性金属酸化物粒子を保護層に分散させて添加し、強度を高めて寿命を延ばす方法が知られている。このとき、導電性金属酸化物のキャリア移動能によって感光体表面の電位の調整が容易になるため、画質安定性が向上しうると考えられている。
しかしながら、この方法では、繰り返し露光後の残留電位を改善する効果が十分ではなく、安定した画像形成を行うことが難しい。これは、酸化チタンのようなn型半導体として作用する導電性金属酸化物粒子であれば、ホール輸送性を有さないため、感光層と保護層との界面および表面保護層内の金属酸化物粒子界面でホールがトラップされ、効果的に感光体表面の負電荷をキャンセルできないことに起因すると考えられる。
十分な電位安定性の向上を得るためには導電性金属酸化物粒子を多量に添加することが必要になるが、吸湿しやすいことから、高湿環境下では吸湿によって保護層が低抵抗化してしまい、帯電性能が低下して画像ボケが発生してしまう。さらに導電性金属酸化物粒子を多量に添加すると、膜強度が低下したり、ピンホールの原因となる場合があることがわかった。
これに対して、多電子還元触媒を導電性金属酸化物粒子に担持させると、多電子還元触媒と導電性金属酸化物とがショットキー接合となり、導電性金属酸化物粒子中の電子が多電子還元触媒に移行しやすくなる。その結果ホールがトラップされる確率を減らし、導電性金属酸化物粒子の有しているキャリア移動能をさらに向上させることができるものと考えられる。したがって、感光体表面における電位安定性が大幅に向上でき、得られる画像の安定性も向上しうるものと考えられる。
さらに、多電子還元触媒が担持された導電性金属酸化物粒子は、多電子還元触媒が担持されていない場合と比較して、少量の添加で電位安定性を確保できるため、必要とされる導電性金属酸化物粒子の量が少ない。そのため、導電性金属酸化物粒子を多量に添加することによる膜強度の低下や、高湿環境下での吸湿による低抵抗化に起因する画像ボケが生じにくい。
(導電性金属酸化物粒子)
多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子における導電性金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化スズなどを用いることができる。本発明の感光体においては、キャリア移動能や化学安定性の観点から、酸化チタンまたは酸化タングステンを用いることが好ましい。
[酸化チタン]
酸化チタンは、特に制限されないが、四塩化チタンを原料として、気相法(四塩化チタンと酸素との気相反応により酸化チタンを得る方法)によって得られたものが好ましい。気相法で得られた酸化チタンは、粒径が均一であると同時に、製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高いものとなり、その結果、得られる酸化チタンまたは多電子還元触媒を担持した酸化チタンのキャリア移動度が良好なものとなる。
酸化チタンとしては、市販されている酸化チタンをそのまま使用するほうが、触媒調製の工程を考えると有利である。市販されている酸化チタンには、液相法で製造されたものと気相法で製造されたものがあるが、液相法で製造されたものは、結晶性が低いため、焼成等を行って最適な比表面積および結晶性を有する酸化チタンにすることが好ましい。このような焼成工程による手間やコスト、焼成時の着色などを避ける観点から、市販されたものを用いる場合は、適度な結晶性と比表面積を有する、気相法で得られた酸化チタンの市販品(例えば、昭和電工セラミックス株式会社製の酸化チタン)を、そのまま使用することが好ましい。
[酸化タングステン(WO)]
酸化タングステンには特に制限はなく、市販品(例えば、株式会社高純度化学研究所製)を適宜使用することができる。酸化タングステンは、一部がV価に還元されている場合もあるため、高温で焼成する等してVI価に酸化してから使用することが好ましい。酸化タングステンの結晶構造にも特に制限はないが、単斜晶系が好ましい。
導電性金属酸化物粒子は、平均一次粒径(数平均一次粒径)が10〜1000nmであることが好ましく、20〜500nmであることがより好ましい。平均一次粒径が10nm以上であれば、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子の凝集力が強くなりすぎず、優れた分散性が得られうる。また、表面積が大きくなりすぎないため、高湿時の吸湿による低抵抗化による画像ボケが発生しにくい。また、平均一次粒径が1000nm以下であれば、書き込み光が散乱されてしまうことによる光透過性の低下が生じにくいため、高い感度が得られうる。
導電性金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)から自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(ニレコ社製)を使用して数平均一次粒径を算出する。
(多電子還元触媒)
多電子還元触媒は、光誘起電子のアクセプター(電子を受け取ることができる物質)となり、多電子を貯蔵し、効率的に還元反応を行う触媒である。
多電子還元触媒は、白金、パラジウム、銅、鉄、ロジウム、金、クロム、ニッケル、セリウム、タングステン、ルテニウムのうち少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。具体的には、上記の元素の少なくとも1つを含む金属、金属化合物などが用いられうる。これらの中でも、白金、パラジウム、ルテニウム、銅、鉄、タングステンを含むことが好ましい。また、安価で汎用性が高いという観点から、銅および鉄がより好ましい。
上記の多電子還元触媒は、金属単体の状態で導電性金属酸化物粒子に担持されていてもよく、金属化合物の状態で導電性金属酸化物粒子に担持されていてもよい。金属化合物としては、上記金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物;酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の塩;水酸化物、酸化物等が挙げられる。タングステンカーバイドなどの炭化物も好ましく用いられうる。好ましくは、金属単体、金属の水酸化物または酸化物である。
多電子還元触媒は、導電性金属酸化物粒子の数平均一次粒径や比表面積にもよるが、導電性金属酸化物粒子に対して0.0001〜40質量%の割合で担持されてなるのが好ましい。より好ましくは、導電性金属酸化物粒子に対して0.001〜30質量%であり、さらに好ましくは0.002〜10質量%であり、特に好ましくは0.003〜1質量%である。多電子還元触媒の担持量が導電性金属酸化物粒子に対して0.0001質量%以上であれば、十分な感度向上が得られうる。一方、多電子還元触媒の担持量が導電性金属酸化物粒子に対して40質量%以下であれば、優れた分散性が維持され、コストも抑制されうるため好ましい。なお、多電子還元触媒が上記の金属元素を含む場合、金属の担持量が導電性金属酸化物粒子に対して上記範囲となるように制御することが好ましい。
多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子は、後述するバインダー樹脂100質量%に対して20〜300質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは50〜200質量%であり、さらに好ましくは50〜150質量%である。20質量%以上であれば、電位、画像の安定性が効果的に得られうる。また、300質量%以下であれば、電位安定性に優れ、膜強度の低下や高湿度環境における画像ボケが生じにくいため好ましい。なお、バインダー樹脂に対する多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子の割合は、バインダー樹脂を構成する硬化性化合物などの重合性化合物の合計質量(固形分量)に対する多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子の質量の割合として求めることができる。
(多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子の調製方法)
多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子は、公知の方法で材料を適宜選択し、調製条件を適宜設定することにより調製することができる。
例えば、担持させる多電子還元触媒を水性媒体中で導電性金属酸化物粒子の表面に付着させ、濾過・乾燥の後、加熱焼成して、粒子に変換することにより、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を得ることができる。
例えば、多電子還元触媒の供給原料、導電性金属酸化物粒子、水性溶媒、および必要に応じてアルカリ性物質を含む混合物を撹拌することにより、導電性金属酸化物粒子に多電子還元触媒を結合または吸着させて担持する。
多電子還元触媒の供給原料としては、多電子還元触媒を構成する金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物;酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の酸の共役塩基;水酸化物等が挙げられる。多電子還元触媒の供給原料は、無水物であっても水和物であってもよい。多電子還元触媒の供給原料は、特に制限されないが、導電性金属酸化物粒子に対して、0.002〜800質量%の仕込み量とすることが好ましい。
水性溶媒としては、水が用いられるが、更に水以外の極性溶媒を含んでもよい。水以外の極性溶媒としては、多電子還元触媒の供給原料、水およびアルカリ性物質を溶解するものが用いられ、アルコール類、ケトン類、またはそれらの混合液が例示できる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、その他、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、あるいはこれらの混合液が例示できる。
必要に応じて添加されるアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、塩基性界面活性剤等が挙げられる。
導電性金属酸化物粒子、多電子還元触媒の供給原料、水性溶媒、および必要に応じてアルカリ性物質を混合および撹拌する順序には特に制限はない。例えば、まず水性溶媒に導電性金属酸化物粒子を混合すると共に必要に応じて撹拌し、次いで多電子還元触媒の供給原料を混合し、これらを撹拌することが好ましい。ただし、まず水性溶媒に多電子還元触媒の供給原料を混合すると共に必要に応じて撹拌し、次いで導電性金属酸化物粒子を混合し、これらを撹拌してもよい。また、溶媒に導電性金属酸化物粒子および多電子還元触媒を同時に混合し、撹拌してもよい。
アルカリ性物質を添加する場合には、水性溶媒に導電性金属酸化物粒子および/または多電子還元触媒を混合する前、途中、および後の3つのタイミングのうち少なくとも1つのタイミングで添加すればよいが、溶媒に導電性金属酸化物粒子および多電子還元触媒を混合して十分に撹拌した後に添加するのが好ましい。
撹拌時間には特に制限はなく、例えば5〜120分間、好ましくは10〜90分程度である。また、撹拌温度には特に制限はないが、例えば室温〜120℃程度である。
上記のようにして得られた多電子還元触媒を付着させた導電性金属酸化物粒子は、混合液から固形分として分離することができる。この分離方法には特に限定はなく、ろ過、沈降分離、遠心分離、蒸発乾固等が挙げられる。
分離した多電子還元触媒を担持させた導電性金属酸化物粒子は、必要に応じて水洗、乾燥される。乾燥温度は、特に制限されないが、例えば、90〜150℃である。
必要に応じて、乾燥後、例えば100〜600℃で加熱焼成して金属粒子に変換することにより、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を得ることができる。
また、市販品を適宜使用することができ(例えば、昭和電工セラミックス株式会社製の銅担持酸化チタンや銅担持酸化タングステン:商品名ルミレッシュ)、市販品をそのまま使用してもよい。
さらに、分散性向上や疎水化処理、粒子と樹脂との接着性向上の為、多電子還元触媒を担持する前後いずれの状態でも、導電性金属酸化物粒子に表面処理を行ってもよい。
表面処理としては、例えば、上記導電性金属酸化物粒子を表面修飾剤で処理する方法が挙げられる。
(表面修飾剤)
表面修飾剤としては、金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応する表面修飾剤が好ましく、これらの表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、本発明においては、保護層の硬度をさらに高くする目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤が好ましく、反応性有機基を有する表面修飾剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、後述する硬化性化合物とも反応して強固な保護層を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、ビニル基、アクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
また、表面修飾剤としては、前記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらの表面修飾剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(表面修飾導電性金属酸化物粒子の作製方法)
表面修飾するに際して、粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜100質量部の範囲内、溶媒50〜5000質量部の範囲内を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。また、乾式でも処理することができる。
以下に、均一に表面修飾剤で表面修飾する方法について説明する。
すなわち、導電性金属酸化物粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、導電性金属酸化物粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することで均一に表面修飾剤により表面修飾された導電性金属酸化物粒子を得ることができる。
本発明において用いられる表面修飾装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、導電性金属酸化物の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置である。その構成としては、導電性金属酸化物粒子に表面修飾を行う際に、導電性金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。
具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。
また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以上のような湿式処理により、表面修飾剤によって表面修飾された導電性金属酸化物粒子を得ることができる。
(バインダー樹脂)
本発明の感光体は保護層にバインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂としては、重合性化合物の重合物からなる樹脂を含有することが好ましい。
重合性化合物を重合して得られる重合物である樹脂としては、硬化性化合物を硬化して得られる硬化物である硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることが好ましく、特に、高い膜強度が得られることから、硬化性樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のビニル系重合体よりなる樹脂が挙げられる。また、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の縮合系の高分子材料などを用いることもできる。
バインダー樹脂として硬化性化合物を硬化して得られる硬化性樹脂を用いる場合、保護層に使用可能な硬化性化合物としては、ラジカル重合性の化合物が挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体が好ましい。
これらの重合性単量体としては、例えば、以下の化合物を例示することができるが、本発明に使用可能な重合性単量体はこれらに限定されるものではない。
上記のラジカル重合性化合物は公知であり、また市販品として入手できる。ここで、Rは下記アクリロイル基、R’は下記メタクリロイル基を表す。
本発明の感光体の保護層には、これらの他に必要に応じて重合開始剤、滑剤粒子等を含有させて形成してもよい。
(重合開始剤)
保護層に使用可能な硬化性化合物を硬化反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により硬化反応を行うことができる。
ラジカル重合開始剤を用いて硬化反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
本発明で使用できる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(イルガキュア369:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア819:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明に用いられる重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキシド系化合物が好ましく、さらに好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、またはアシルホスフィンオキシド構造を有する開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤は、1種または2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し0.1〜40質量部の範囲内、好ましくは0.5〜20質量部の範囲内である。
(滑剤粒子)
また、保護層に各種の滑剤粒子を含有させることも可能である。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の中から1種または2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂およびフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
(溶媒)
保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(保護層の形成)
保護層は、バインダー樹脂(または、ラジカル重合性の硬化性化合物などの重合性化合物)、および上記の多電子還元触媒を担持した導電性酸化物粒子、必要に応じて公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥または熱乾燥を行い、その後硬化処理して作製することができる。
保護層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜6μmの範囲内がより好ましい。
本発明では、保護層の硬化は、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間および分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化性樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使い易さ等の見地から紫外線が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LED等を用いることができる。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cmの範囲内、好ましくは、5〜15mJ/cmの範囲内である。光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5〜10Mrad)の範囲内であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であり、具体的には0.1秒〜10分の範囲内が好ましく、硬化効率または作業効率の観点から1秒〜5分の範囲内がより好ましいとされる。
本発明では、活性線の照射前後、および、活性線を照射中に表面保護層を乾燥処理することができ、乾燥を行うタイミングは活性線の照射条件と組み合わせて適宜選択することができる。
保護層の乾燥条件は、塗布液に使用する溶媒の種類や保護層の膜厚などにより適宜選択することが可能である。また、乾燥温度は、室温〜180℃の範囲内が好ましく、80〜140℃の範囲内が特に好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分の範囲内が好ましく、5〜100分の範囲内が特に好ましい。
(導電性支持体)
本発明で用いられる導電性支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムおよび酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
(中間層)
本発明では、導電性支持体と感光層との中間にバリア機能および接着機能を有する中間層を設けることができる。
中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタンおよびゼラチン等のバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて浸漬塗布等により形成させることができる。前記バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
また、中間層には、抵抗調整の目的で各種導電性微粒子や金属酸化物粒子のような無機粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
これらの無機粒子は1種類、または2種類以上混合して用いることができる。2種類以上混合して用いる場合には、固溶体または融着の形態をとってもよい。このような無機粒子は、数平均一次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
中間層の形成に使用可能な溶媒としては、前述した導電性微粒子や金属酸化物粒子等の無機粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。
また、保存性や無機粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して助溶剤を併用することができ、好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
塗布液形成時のバインダー樹脂濃度は、中間層の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択することができる。また、無機粒子等を分散させたとき、バインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子を20〜400質量部の範囲内とすることが好ましく、50〜350質量部の範囲内とすることがより好ましい。
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー、および、ホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
また、中間層の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。
中間層の膜厚は、0.1〜15μmの範囲内が好ましく、0.3〜10μmの範囲内がより好ましい。
(感光層)
前述したように、本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを一つの層に付与した単層構造の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。
このように、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。
以下に、感光層の具体例として機能分離型の負帯電感光体の感光層の各層について説明
する。
(電荷発生層)
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有するものであることが好ましく、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものがより好ましい。
電荷発生物質は、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴおよびチオインジゴ等のインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料、チタニルフタロシアニン顔料等があり、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は、単独若しくは公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
電荷発生層を形成するバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂のうち二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)およびポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、サンドグラインダーおよびホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部の範囲内が好ましく、50〜500質量部の範囲内がより好ましい。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性および混合割合等により異なるが0.01〜5μmの範囲内が好ましく、0.05〜3μmの範囲内がより好ましい。
なお、電荷発生層用の塗布液は、塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発
生を防ぐことができる。また、電荷発生層は、上記の顔料などの電荷発生物質を真空蒸着することによって形成することもできる。
(電荷輸送層)
本発明で形成される電荷輸送層は、少なくとも層内に電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有するものであることが好ましく、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成されうる。
電荷輸送物質は、公知の化合物を用いることが可能で、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの化合物を単独または2種類以上混合して使用することができる。
また、電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることが可能で、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリカーボネート樹脂が好ましく、さらに、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等のタイプのポリカーボネート樹脂が耐クラック性、耐磨耗性、帯電特性の観点から好ましいものである。
電荷輸送層は、塗布法に代表される公知の方法で形成することが可能であり、例えば、塗布法では、バインダー樹脂と電荷輸送物質とを溶解して塗布液を調製し、塗布液を一定の膜厚で塗布後、乾燥処理することにより所望の電荷輸送層を形成することができる。
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質とを溶解する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。なお、電荷輸送層形成用の塗布液を作製する際に使用する溶媒は、上記のものに限定されるものではない。また、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との混合比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10〜500質量部の範囲内とすることが好ましく、20〜100質量部の範囲内とすることがより好ましい。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、および、これらの混合比等により異なるが、5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
電荷輸送層中には公知の酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイル等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号公報、特開昭58−76483号公報等に記載のものが好ましく用いられうる。
(感光体の塗布方法)
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層、および表面保護層等の各層は、公知の塗布方法により形成することができる。
具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。
なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報、特開2005−275373号公報に記載されている。
[画像形成装置および画像形成方法]
本発明の感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができる。また、本発明の感光体は、該画像形成装置を用いた画像形成方法に好適に用いることができる。
以下に、画像形成装置とともに画像形成方法について説明する。
本発明の効果を実現する画像形成装置は、好ましくは、(1)本実施形態の電子写真感光体、(2)前述した電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、(3)帯電手段により帯電された電子写真感光体表面に像露光を行い潜像形成を行う露光手段、(4)露光手段により形成された潜像を顕像化してトナー画像を形成する現像手段、(5)現像手段により電子写真感光体表面に形成されたトナー画像を用紙等の転写媒体または転写ベルト上に転写する転写手段、を有するものである。
なお、電子写真感光体を帯電させる帯電手段では、非接触帯電装置を用いることが好ましい。非接触帯電装置としては、コロナ帯電装置、コロトロン帯電装置、スコロトロン帯電装置を挙げることができる。
図1は、本発明の実施形態の一つを示すカラー画像形成装置の一例を説明する断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21および定着手段24と、を有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C、2Bk、像露光手段3Y、3M、3C、3Bk、現像手段4Y、4M、4C、4Bk、および、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkに、それぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、または帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、またはクリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォック(登録商標)レンズ)とから構成されるもの、またはレーザ光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
また、帯電器、像露光器、現像器、転写または分離器、およびクリーニング器の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、およびレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。
カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて、機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70からは、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bk、およびクリーニング手段6bと、を有する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りない限り「質量部」または「質量%」を表す。
[実施例1]
<感光体1の作製>
下記のようにして感光体1を作製した。
(支持体)
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の導電性支持体を用意した。
(中間層)
バインダー樹脂としてのポリアミド樹脂(東レ社製CM8000)100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて、20℃で撹拌混合した。この溶液に、酸化チタン粒子1(テイカ株式会社製SMT500SAS)を200質量部、酸化チタン粒子2(テイカ株式会社製SMT150MK)を140質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間5時間として分散させた。そして、この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルターとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルター(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた中間層塗布液を、上記の支持体を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分乾燥して乾燥膜厚2μmの中間層を形成した。
(電荷発生層)
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層)
電荷輸送物質(4,4’−ジメチル−4”−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 225質量部
バインダー樹脂:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン、BHT) 6質量部
テトラヒドロフラン(THF) 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF−96:信越化学工業社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、120℃で70分間乾燥して乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
(保護層)
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
下記TiO/Cu2+系化合物1 100質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射後、120℃で70分間乾燥を行い、乾燥膜厚3.0μmの保護層を得た。
TiO/Cu2+系化合物1の調製
導電性金属酸化物粒子としてルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を用い、このTiOの微粒子を蒸留水中に、水に対してTiOが10質量%となる濃度で懸濁させ、次いでこれに、CuCl・2HO(和光純薬工業株式会社製)をCu(II)がTiOに対して0.1質量%となる量で加え、撹拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。次に、得られた懸濁液を吸引濾過によって濾別した後に、残渣を蒸留水によって洗浄し、さらに110℃で加熱乾燥することによって、銅二価塩を担持したTiO微粒子を得た。
得られた銅二価塩担持TiO微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、TiOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
[実施例2]
<感光体2の作製>
TiO/Fe3+系化合物の調製
上記の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、CuCl・2HOに代えて、塩化鉄(III)六水和物(FeCl・6HO、関東化学株式会社製、純度99.9質量%)をTiOに対してFe(III)が0.1質量%となる量で加えたことを除いては同様の手順で、鉄三価塩を担持したTiO微粒子を得た。
得られた鉄三価塩担持TiO微粒子について、上記と同様にFe(III)担持量を評価したところ、TiOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Fe3+系化合物に代えたことを除いては同様の手順で、感光体2を作製した。
[実施例3]
<感光体3の作製>
TiO/Ptの調製
上記の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、CuCl・2HOに代えて、塩化白金(4)酸(キシダ化学株式会社製)をTiOに対して白金が0.1質量%となる量で加えたことを除いては同様の手順で、Ptを担持したTiO微粒子を得た。
得られたPt担持TiO微粒子について、上記と同様にPt担持量を評価したところ、TiOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Ptに代えたことを除いては同様の手順で、感光体3を作製した。
[実施例4]
<感光体4の作製>
TiO/Pdの調製
上記の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、CuCl・2HOに代えて、塩化パラジウムをTiOに対してパラジウムが0.1質量%となる量で加えたことを除いては同様の手順で、Pdを担持したTiO微粒子を得た。
得られたPd担持TiO微粒子について、上記と同様にPd担持量を評価したところ、TiOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Pdに代えたことを除いては同様の手順で、感光体4を作製した。
[実施例5]
<感光体5の作製>
TiO/Niの調製
上記の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、CuCl・2HOに代えて、酸化ニッケル試薬(1級)をTiOに対してニッケルが0.1質量%となる量で加えたことを除いては同様の手順で、Niを担持したTiO微粒子を得た。
得られたNi担持TiO微粒子について、上記と同様にNi担持量を評価したところ、TiOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Niに代えたことを除いては同様の手順で、感光体5を作製した。
[実施例6]
<感光体6の作製>
WO/Cu2+系化合物の調製
WO粉末(数平均一次粒径90nm、株式会社高純度化学研究所製)をフィルターに通して粒径1μm以上の粒子を除去し、650℃で3時間焼成する前処理を行なうことによって、三酸化タングステン微粒子を得た。
上記の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」の調製において、TiOの微粒子に代えて、上記で調製した三酸化タングステン微粒子を用い、「TiO/Cu2+系化合物1の調製」と同様の手法で銅二価塩を担持させることによって、銅二価塩を担持した三酸化タングステン微粒子を得た。
この銅二価塩担持三酸化タングステン微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、WOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したWO/Cu2+系化合物に代えたことを除いては同様の手順で、感光体6を作製した。
[実施例7]
<感光体7の作製>
WO/Pdの調製
上記の「WO/Cu2+系化合物の調製」において、CuCl・2HOに代えて、塩化パラジウムをWOに対してパラジウムが0.1質量%となる量で加えたことを除いては同様の手順で、Pdを担持したWO微粒子を得た。
得られたPd担持WO微粒子について、上記と同様にPd担持量を評価したところ、WOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したWO/Pdに代えたことを除いては同様の手順で、感光体7を作製した。
[実施例8]
<感光体8の作製>
TiO/Cu2+系化合物2の調製
導電性金属酸化物粒子としてルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を用い、このTiOの微粒子を蒸留水中に10質量%(TiOvs.HO)で懸濁させ、次いでこれに、CuCl・2HO(和光純薬工業株式会社製)をTiOに対してCu(II)が0.002質量%の量で加え、撹拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。次に、得られた懸濁液を吸引濾過によって濾別した後に、残渣を蒸留水によって洗浄し、さらに110℃で加熱乾燥することによって、銅二価塩を担持したTiO微粒子を得た。
得られた銅二価塩担持TiO微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、TiOに対して0.0001質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物2に代えたことを除いては同様の手順で、感光体8を作製した。
[実施例9]
<感光体9の作製>
TiO/Cu2+系化合物3の調製
導電性金属酸化物粒子としてルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を用い、このTiOの微粒子を蒸留水中に10質量%(TiOvs.HO)で懸濁させ、次いでこれに、CuCl・2HO(和光純薬工業株式会社製)をTiOに対してCu(II)が800質量%の量で加え、撹拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。次に、得られた懸濁液を吸引濾過によって濾別した後に、残渣を蒸留水によって洗浄し、さらに110℃で加熱乾燥することによって、銅二価塩を担持したTiO微粒子を得た。
得られた銅二価塩担持TiO微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、TiOに対して40質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物3に代えたことを除いては同様の手順で、感光体9を作製した。
[実施例10]
<感光体10の作製>
TiO/Cu2+系化合物4の調製
実施例1の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、導電性金属酸化物であるルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を、ルチル型TiO粉末(数平均一次粒径10nm)に変更したこと以外は同様の手順で、TiO/Cu2+系化合物4を調製した。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物4に代えたことを除いては同様の手順で、感光体10を作製した。
[実施例11]
<感光体11の作製>
TiO/Cu2+系化合物5の調製
実施例1の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、導電性金属酸化物であるルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を、ルチル型TiO粉末(数平均一次粒径1000nm)に変更したこと以外は同様の手順で、TiO/Cu2+系化合物5を調製した。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物5に代えたことを除いては同様の手順で、感光体11を作製した。
[実施例12]
<感光体12の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体12を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 20質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例13]
<感光体13の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体13を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 150質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例14]
<感光体14の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体14を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 200質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例15]
<感光体15の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体15を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 250質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例16]
<感光体16の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体16を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 300質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例17]
<感光体17の作製>
TiO/WO/Cu2+系化合物の調製
実施例1の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」の調製において、ルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)10質量%に代えて、ルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)5質量%と、実施例6で調製した三酸化タングステン微粒子(数平均一次粒径90nm)5質量%とを用いたことを除いては、上記「TiO/Cu2+系化合物1の調製」と同様の手法で銅二価塩を担持させることによって、銅二価塩を担持した酸化チタン/三酸化タングステン微粒子を得た。このとき、酸化チタン/三酸化タングステン微粒子の数平均一次粒径は95nmであった。
得られた銅二価塩担持TiO/WO微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、TiO/WOに対して0.0050質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/WO/Cu2+系化合物に代えたことを除いては同様の手順で、感光体17を作製した。
[実施例18]
<感光体18の作製>
感光層を以下のように作製したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体18を作製した。
(感光層)
熱可塑性樹脂(ポリカーボネート樹脂、三菱ガス化学株式会社製 Z−300) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 100質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、保護層を塗布した。塗布後、120℃にて70分間乾燥を行い、乾燥膜厚3.0μmの保護層を得た。
[実施例19]
<感光体19の作製>
TiO/Cu2+系化合物6の調製
導電性金属酸化物粒子としてルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を用い、このTiOの微粒子を蒸留水中に10質量%(TiOvs.HO)で懸濁させ、次いでこれに、CuCl・2HO(和光純薬工業株式会社製)をCu(II)がTiOに対して0.001質量%の量で加え、撹拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。次に、得られた懸濁液を吸引濾過によって濾別した後に、残渣を蒸留水によって洗浄し、さらに110℃で加熱乾燥することによって、銅二価塩を担持したTiO微粒子を得た。
得られた銅二価塩担持TiO微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、TiOに対して0.00005質量%(仕込量の5質量%が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物6に代えたことを除いては同様の手順で、感光体19を作製した。
[実施例20]
<感光体20の作製>
TiO/Cu2+系化合物7の調製
導電性金属酸化物粒子としてルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を用い、このTiOの微粒子を蒸留水中に10質量%(TiOvs.HO)で懸濁させ、次いでこれに、CuCl・2HO(和光純薬工業株式会社製)をCu(II)がTiOに対して1000質量%の量で加え、撹拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。次に、得られた懸濁液を吸引濾過によって濾別した後に、残渣を蒸留水によって洗浄し、さらに110℃で加熱乾燥することによって、銅二価塩を担持したTiO微粒子を得た。
得られた銅二価塩担持TiO微粒子について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES,P−4010,HITACHI)および偏光ゼーマン原子吸光分析(Polarized Zeeman AAS,Z−2000,HITACHI)でCu(II)担持量を評価したところ、TiOに対して50質量%(仕込量の5質量%)が担持されていた。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物7に代えたことを除いては同様の手順で、感光体20を作製した。
[実施例21]
<感光体21の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体21を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 10質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例22]
<感光体22の作製>
保護層塗布液を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同様の手順で感光体22を作製した。
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
上記TiO/Cu2+系化合物1 400質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 5質量部
2−ブタノール 330質量部
テトラヒドロフラン 17質量部。
[実施例23]
<感光体23の作製>
TiO/Cu2+系化合物8の調製
実施例1の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、導電性金属酸化物粒子であるルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を、ルチル型TiO粉末(数平均一次粒径5nm)に変更したこと以外は同様の手順で、TiO/Cu2+系化合物8を調製した。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物8に代えたことを除いては同様の手順で、感光体23を作製した。
[実施例24]
<感光体24の作製>
TiO/Cu2+系化合物9の調製
実施例1の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、導電性金属酸化物粒子であるルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を、ルチル型TiO粉末(数平均一次粒径1500nm)に変更したこと以外は同様の手順で、TiO/Cu2+系化合物9を調製した。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したTiO/Cu2+系化合物9に代えたことを除いては同様の手順で、感光体24を作製した。
[比較例1]
<比較感光体1の作製>
実施例1の(保護層)において、導電性金属酸化物粒子に多電子還元触媒を担持させなかったこと、および導電性金属酸化物粒子の添加量を重合性化合物100質量部に対して150質量部としたことを除いては同様の手順で、比較感光体1を作製した。
[比較例2]
<比較感光体2の作製>
実施例6の(保護層)において、導電性金属酸化物粒子に多電子還元触媒を担持させなかったこと、および導電性金属酸化物粒子の添加量を重合性化合物100質量部に対して150質量部としたことを除いては同様の手順で、比較感光体2を作製した。
[比較例3]
<比較感光体3の作製>
Al/Cu2+系化合物の調製
実施例1の「TiO/Cu2+系化合物1の調製」において、導電性金属酸化物粒子であるルチル型TiO粉末(MT−150A、数平均一次粒径100nm、テイカ株式会社製)を、Al粉末(数平均一次粒径100nm)に変更したこと以外は同様の手順で、Al/Cu2+系化合物を調製した。
実施例1の(保護層)において、TiO/Cu2+系化合物1を上記で調製したAl/Cu2+系化合物に代えたこと、および導電性金属酸化物粒子の添加量を重合性化合物100質量部に対して150質量部としたことを除いては同様の手順で、比較感光体3を作製した。
[比較例4]
<比較感光体4の作製>
比較例1において、多電子還元触媒を担持させていない導電性金属酸化物粒子の添加量を重合性化合物100質量部に対して300質量部としたことを除いては同様の手順で、比較感光体4を作製した。
[評価方法]
(1)分散性の評価
保護層塗布液の成分を十分に溶解・分散して、保護層塗布液を作製後、所定の時間静置し微粒子の沈降度合いを観察し評価した。
◎:静置後12時間で沈降なし(良好)、
○:静置後9時間で沈降なし、12時間で沈降あり(実用上問題なし)、
△:静置後6時間で沈降なし、9時間で沈降あり(実用上問題なし)、
×:静置後6時間で沈降あり(実用上問題有り)。
(2)減耗量の評価
温度30℃、湿度85%RHの高温高湿環境下で、画像比率6%の文字画像をA4横送りで各500,000枚両面連続プリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験前後における感光体の表面層の膜厚減耗量により評価した。
具体的には、表面層の膜厚は、均一膜厚部分(塗布の先端部および後端部の膜厚変動部分を膜厚プロフィールを作製して除く)をランダムに10ヶ所測定し、その平均値を表面層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器「EDDY560C」(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用い、耐久試験前後の表面層の膜厚の差を膜厚減耗量(μm)として算出した。膜厚減耗量が3μm未満であれば実用可能と評価した。
(3)転写メモリの評価
温度30℃、湿度85%RHの高温高湿環境下で、画像比率6%の文字画像をA4横送りで各500,000枚両面連続プリントを行う耐久試験を実施し、前記耐久試験後に、転写電流20μA〜100μAまで変化させて、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に前記べた黒とべた白の履歴(濃度ムラ)が現れている(メモリ発生)か否(メモリ発生なし)かで判定した。
◎:転写電流60μA以上でも、濃度ムラが全くみられない、
○:転写電流40〜60μAでわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル、
△:転写電流40μA未満でもわずかに濃度ムラがみられるが、実用上問題ないレベル、
×:転写電流40μA未満でも濃度ムラが明確にみられ、実用上問題となるレベル。
(4)画像ボケの評価
温度30℃、湿度80%RHでの500,000枚の画出し耐刷試験後、直ぐに実機の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れ画出し可能状態になった後、直ちにA3中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)とA3全面の6dot格子画像を印字した。印字画像の状態を観察し以下の評価を行った。
◎:ハーフトーン、格子画像とも画像ボケ発生なし(良好)、
○:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(実用上問題なし)、
△:画像ボケによる格子画像の欠損もしくは線幅の細りが発生(実用上問題なし)、
×:画像ボケによる格子画像の欠損もしくは線幅の細りが発生(実用上問題有り)。
(5)電位安定性の評価
温度30℃、湿度85%RHの高温高湿環境下で、画像比率6%の文字画像をA4横送りで各500,000枚両面連続プリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験前後における露光部電位の電位変動の大きさにより評価した。
具体的には、初期の帯電電位を600±50Vに調整し、耐久試験前と500,000枚後の露光部電位の変化量(ΔV)を算出した。露光部電位の変化量が100V未満であれば実用可能と評価した。
得られた結果を下記表1に示す。
表1に示した結果より、実施例1〜24の感光体は、比較例1〜4の感光体に比べて、保護層の減耗量が少なく、形成される画像に高い画質安定性が得られることが認められる。
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 無端ベルト状中間転写体
71、72、73、74 ローラー
82L、82R 支持レール
A 画像形成装置
P 転写材
SC 原稿画像読み取り装置

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に、感光層および保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
    前記保護層が、多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有し、
    前記導電性金属酸化物粒子が、酸化チタンまたは酸化タングステンを含有し、
    前記多電子還元触媒が、白金、パラジウム、銅、鉄およびニッケルからなる群から選択される1以上の元素を含み、
    前記多電子還元触媒が、前記導電性金属酸化物粒子に対して0.0001〜1質量%の割合で担持されていることを特徴とする、電子写真感光体。
  2. 前記多電子還元触媒が、銅または鉄を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記導電性金属酸化物粒子が10〜1000nmの数平均一次粒径を有する、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記保護層が、重合性化合物の重合物からなるバインダー樹脂を含有し、前記バインダー樹脂に対して、20〜300質量%の割合で前記多電子還元触媒を担持した導電性金属酸化物粒子を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
JP2016006419A 2016-01-15 2016-01-15 電子写真感光体 Active JP6631267B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016006419A JP6631267B2 (ja) 2016-01-15 2016-01-15 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016006419A JP6631267B2 (ja) 2016-01-15 2016-01-15 電子写真感光体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017126034A JP2017126034A (ja) 2017-07-20
JP6631267B2 true JP6631267B2 (ja) 2020-01-15

Family

ID=59365596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016006419A Active JP6631267B2 (ja) 2016-01-15 2016-01-15 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6631267B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7337649B2 (ja) 2019-10-18 2023-09-04 キヤノン株式会社 プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3814555B2 (ja) * 2002-04-19 2006-08-30 キヤノン株式会社 電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP2007057792A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US20090148182A1 (en) * 2007-12-06 2009-06-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Image holding member, image forming apparatus, and charging member for image forming apparatus
JP2011154260A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Konica Minolta Business Technologies Inc 電子写真感光体と画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2011221382A (ja) * 2010-04-13 2011-11-04 Konica Minolta Business Technologies Inc 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5892462B2 (ja) * 2012-01-10 2016-03-23 株式会社リコー 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017126034A (ja) 2017-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5664538B2 (ja) 電子写真感光体
JP6024247B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
JP6048461B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
JP6093217B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP5464025B2 (ja) 有機感光体及び画像形成装置
JP5391672B2 (ja) 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5968585B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2012198278A (ja) 有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法
JP5584974B2 (ja) 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP6197668B2 (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
JP2012189976A (ja) 有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法
US9904234B2 (en) Electrophotographic image forming method
JP6447254B2 (ja) 電子写真感光体及び電子写真画像形成装置
JP6717004B2 (ja) 電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置
JP6631267B2 (ja) 電子写真感光体
JP2012078620A (ja) 電子写真感光体
JP5776366B2 (ja) 有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法
JP5772217B2 (ja) 電子写真感光体
JP2011186120A (ja) 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2012173511A (ja) 電子写真感光体
JP6551217B2 (ja) 電子写真感光体及び電子写真画像形成装置
JP6405783B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP7302266B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置及び電子写真感光体の製造方法
JP6005329B2 (ja) 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010032606A (ja) 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180914

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6631267

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150