JP5776366B2 - 有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法 - Google Patents

有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体(以後、単に感光体とも云う)、該有機感光体を用いた画像形成装置関し、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる有機感光体、該有機感光体を用いた画像形成装置、画像形成方法に関するものである。
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、有機感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、これを定着して最終画像が形成される。
一方、近年の画像形成方法はデジタル化が進展し、有機感光体の静電潜像の形成にはレーザー光を露光光源とした画像形成方法が多く用いられている。
しかしながら、有機感光体はクリーニング部材等の接触部材との摩擦により、表面が摩耗しやすいという問題を有している。この表面の摩耗劣化を防止するために、電荷輸送層のバインダーに耐摩耗性が高いポリカーボネート樹脂、即ち、中心炭素原子がシクロヘキシレン基のポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートZ(単に、BPZとも云う)として知られている)を用いる感光体が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、上記バインダーを用いた有機感光体の耐摩耗特性の改良は十分ではなく、特に、電荷輸送性化合物を表面層に含有させると、その改良効果は大きいものではなかった。
次に、感光体の耐摩耗特性を改善する為に、感光体の保護層にアクリル系の重合性化合物と不飽和炭素原子の重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の組成物から形成された架橋硬化樹脂の保護層を設けた感光体が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載されたアクリル系の架橋硬化樹脂の保護層では、剛直な芳香環構造を有する電荷輸送性化合物がアクリル架橋構造の主骨格に組み込まれるため、保護層が剛直になり、耐摩耗特性の改善効果が小さく、更に、保護層の電荷輸送性の改善効果も小さく、残留電位の上昇や画像メモリー(特に、転写時の逆極性帯電による転写メモリー)が発生しやすいと云う問題を発生させている。
特開昭60−172044号公報 特開2000−66425号公報 特開2006−138951号公報
本願発明の目的は、前記したアクリル系架橋硬化樹脂の保護層の課題を解決できる有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法を提供することである。
又、本願発明の目的は、耐摩耗特性を改善した上で、更に、残留電位の上昇や転写メモリーの発生を防止した、長期的に安定して、良好な電子写真の画像形成を行うことが出来る有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決するためには、保護層のアクリル系架橋硬化樹脂構造中への電荷輸送性化合物の取り入れ方に工夫が必要であるとの考えの下に、種々の検討を行い、その分析を行った。その結果、反応性の電荷輸送性化合物に、重合開始剤に対してプロトンドナーとなりうる電荷輸送性化合物を用いて、アクリル系架橋硬化樹脂中に、電荷輸送性の構造を導入することが、保護膜の膜質向上や電子写真特性の改善に顕著な効果を示すことを見いだし、本願発明を達成した。
即ち、本願発明は以下のような構成を有する有機感光体を用いることにより達成される。
1.導電性支持体上に感光層及び保護層を順次積層した有機感光体において、該保護層が、ラジカル重合性化合物、下記式P−1〜P−4からなる群から選択される少なくとも1つの水素引き抜き型の重合開始剤及びプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物を含有する組成物を塗布後、硬化して得られる樹脂層であることを特徴とする有機感光体。
2.前記組成物が、さらに重合促進剤を含有することを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
.前記ラジカル重合性化合物がメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物であり、前記プロトンドナー型官能基がOH、SH及びNHを有する基から選択された1種以上の官能基であることを特徴とする前記1または2に記載の有機感光体。
.前記ラジカル重合性化合物がメタクリロイル基又はアクリロイル基を、電荷輸送性化合物がヒドロキシアルキル基を有することを特徴とする前記に記載の有機感光体。
.有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置において、該有機感光体が、前記1〜のいずれか一項に記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
.前記に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明の有機感光体を用いることにより、耐摩耗特性を改善した上で、更に、残留電位の上昇や転写メモリーの発生を防止でき、長期的に安定して、良好な電子写真の画像形成を行うことが出来る有機感光体を提供することができる。
本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図。
以下、本発明について詳細に説明する。
本願発明の有機感光体は、その保護層に特徴を有するものであり、該保護層が、ラジカル重合性化合物、水素引き抜き型の重合開始剤及びプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物を含有する組成物を塗布後、硬化して得られる樹脂層である。
このような保護層を有機感光体の保護層として用いることにより、耐摩耗特性を改善した上で、更に、残留電位の上昇や転写メモリーの発生を防止でき、長期的に安定して、良好な電子写真の画像形成を行うことが出来る有機感光体を提供することができる。
このような効果が発現された理由は、上記組成物の塗布後の硬化反応で生成した硬化樹脂は、重合開始剤の水素引き抜き作用により発生した電荷輸送性化合物のラジカルが、ビニル系モノマー等のラジカル反応の起点として作用し、樹脂構造の主骨格には入らず、樹脂構造の先端や側鎖に電荷輸送構造が導入されているためと推定している。
以下、本願発明の有機感光体について、詳細に説明する。
先ず、本願発明の係わる保護層から説明する。
本願発明に係わるラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン等の電荷輸送性構造を有しない、且つ、ラジカル重合が可能な化合物をいう。
本願発明に好ましく用いられるラジカル重合性化合物は、連鎖重合反応の活性度が高く、は短い時間での硬化が可能であるアクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有するラジカル重合性化合物が好ましい。
更に、上記ラジカル重合性化合物はアクリロイル基やメタクリロイル基の他にメチロールやヒロドキシエチル基等のヒドロキシアルキル基を有していてもよい。即ち、これらヒドロキシアルキル基を有するラジカル重合性化合物を用いることにより、ラジカル重合性化合物から形成された硬化樹脂層の主骨格ではなく、側鎖に電荷輸送性構造を生成することができる。
本発明においては、これらラジカル重合性化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。又、これらの重合性化合物は、モノマーを用いてもよいが、オリゴマー化して用いてもよい。
以下にラジカル重合性化合物の例を示す。以下にいうAc基数(アクリロイル基数)又はMc基数(メタクリロイル基数)とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基の数を表す。
但し、上記においてRは下記で示される。
但し、上記においてR′は下記で示される。
本願発明の硬化して得られる樹脂層の硬化とは、保護層の樹脂層が架橋して、硬化していることを意味し、このことから、上記ラジカル重合性化合物は官能基(反応性基のこと)が3以上の化合物を用いることが好ましい。又、ラジカル重合性化合物は、2種以上の化合物を併用してもよいが、この場合でも、ラジカル重合性化合物は官能基が3以上の化合物を50質量%以上用いることが好ましい。又、硬化性反応基等量、即ち、「硬化性官能基分子量/官能基数」は1000以下が好ましく、500以下がより好ましい。このことにより、架橋密度が高くなり、耐摩耗特性が向上する。
水素引き抜き型の重合開始剤とは、後述の重合開始スキームに示すような、2分子型の光重合開始剤であり、重合開始剤が分解して発生したラジカルが、ラジカルモノマーに付加する反応や成長反応と共に、溶媒やプロトンドナー型化合物から水素を引き抜く反応を起こす重合開始剤を意味する。
本願発明に好ましく用いられる水素引き抜き型の重合開始剤としては、チオキサントン誘導体、アントラキノン等が好ましい。下記に、好ましい水素引き抜き型の重合開始剤の例をあげる。
又、保護層の重合硬化反応には、該水素引き抜き型の重合開始剤と共に、重合促進剤を併用することもできる。重合促進剤としてはN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(PS−1)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(PS−2)等のアミン類が用いられる。
プロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物
本願発明に係わるプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物とは、ラジカル反応の進行過程で発生する水素引き抜き反応において、水素原子を放出して電荷輸送性化合物自身がラジカル反応に関与する電荷輸送性化合物を意味する。
上記のようなプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物としては、OH、SH及びNHから選択された一種以上の官能基を有する電荷輸送性化合物が好ましい。プロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物が水素引き抜き型の重合開始剤と反応して反応が開始された場合、電荷輸送性化合物が反応開始点として反応が開始されるため、電荷輸送性構造は、生成した分子の末端、或いは複数個のプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物の場合にも、分子鎖中にはほとんど存在しない重合体が得られる。従って、アクリル架橋構造の主骨格が比較的柔軟で、耐摩耗特性の改善効果大きくなる上、確実に分子鎖に電荷輸送構造を取り込んだ高分子が形成されるため、電位特性も良好となる。プロトンドナー型官能基を1個有する化合物は、電荷輸送性構造が生成した分子の末端にしか存在しない重合体であるため、電荷輸送構造にストレスを与えず、良好な電荷輸送性を維持できることから、好ましい化合物である。このような電荷輸送性化合物としては、下記に例示する化合物が挙げられる。
尚、上記化合物は特開2002−244325号公報等で公知の化合物である。
ここで、本願発明に好ましく用いられる水素引き抜き型重合開始剤、プロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物等を用いた重合開始スキームの1例を下記に示す。
上記重合開始スキームにおいて、*は励起状態を示す。又、・はラジカルを示す。
本願発明の水素引き抜き型重合開始剤を用いたラジカル重合では、光重合反応が好ましく用いられる。
即ち、水素引き抜き型重合開始剤を前記したラジカル重合性化合物やプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物と、更には必要に応じて、重合促進剤、溶媒等とを混合した組成物を作製して、表面層の塗布液とし、該塗布液を感光層の上に塗布後、光重合を行い、加熱乾燥して、本発明に係わる保護層を形成する。
これらの水素引き抜き型重合開始剤は1種または2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物の100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
前記光重合の光としては、紫外線が好ましい。紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cmである。ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
保護層(感光体)は、紫外線を照射する前後、及び紫外線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などのよって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃であり、特に好ましくは80℃〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1分〜200分であり、特に好ましくは5分〜100分である。
保護層の膜厚は好ましくは0.2〜10μmであり、より好ましくは0.5〜6μmである。
保護層中には、金属酸化物粒子を含有させてもよい。金属酸化物粒子としては、遷移金属も含めたいずれかの金属酸化物粒子で記載すると、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化錫、チタニア(酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物粒子が例示されるが、中でも、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましい。
又、本発明の金属酸化物粒子の数平均一次粒径は1〜300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3〜100nmである。又、これら金属酸化物粒子は、疎水化表面処理されたものが好ましい。
上記金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウエアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した。
保護層中での金属酸化物粒子の割合は、保護層の樹脂層を全体で100質量%とすると、金属酸化物粒子は20〜50質量%が好ましい。
又、本発明の保護層には、さらに各種の酸化防止剤を含有させることも出来るし、各種の滑剤粒子を加えることができる。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
酸化防止剤としては、下記のような化合物が好ましく用いられる。
保護層を形成するための溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層の塗布方法は、感光層と同様の、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などの公知の方法を用いることができる。
〔有機感光体の構成〕
以下に、前記保護層以外の有機感光体の構成を記載する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
本発明の有機感光体は、導電性支持体上に、感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び保護層を順次積層した層構成を有するものである。又、導電性支持体と電荷発生層の間には、中間層を有することが好ましい。
上記を中心に、本発明の有機感光体の層構成を記載する。
(導電性支持体)
本発明で用いる支持体は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
(中間層)
本発明においては、導電層と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けるのが好ましい態様といえる。
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
また、中間層の抵抗調整の目的で各種の導電性微粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
これら金属酸化物粒子を1種類もしくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。このような金属酸化物粒子の平均粒径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
中間層に使用する溶媒としては、無機粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
バインダー樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
無機粒子などを分散したと時のバインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子20〜400質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜200部である。
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
(電荷発生層)
本発明に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
電荷発生物質は、スーダンレッド及びダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン及びアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン及びジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は単独、もしくは公知の樹脂中に分散する形態で使用することができる。
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
(電荷輸送層)
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
電荷輸送物質は、公知の各種電荷輸送物質を用いることができる。例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体等を2種以上混合して使用してもよい。
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部である。
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは5〜40μmで、さらに好ましくは10〜30μmである。
電荷輸送層中には酸化防止剤、電子導電剤、安定剤等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号、電子導電剤は特開昭50−137543号、同58−76483号等に記載のものがよい。
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
〔画像形成装置〕
図1は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、あるいは、クリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての画像支持体Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、画像支持体P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された画像支持体Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や画像支持体等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより画像支持体Pにカラー画像を転写した後、画像支持体Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラ5bは、ここを画像支持体Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
尚、図1の画像形成装置では、カラーのレーザプリンタを示したが、勿論、モノクローのレーザプリンタやコピーにも同様に適用可能である。又、露光光源もレーザ以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
次に本発明を実際の構成とその効果を示しながら更に説明する。しかし、無論本発明の態様はこれらに限定されるものではない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
(感光体1の作製)
下記の様に感光体1を作製した。
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記組成の分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を作製した。
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3部
メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
〈電荷発生層〉
電荷発生物質:下記顔料(CG−1):チタニルフタロシアニンと
(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの
1:1付加体と非付加体チタニルフタロシアニンの混晶 20部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(顔料(CG−1)の合成)
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2質量部をo−ジクロロベンゼン200質量部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4質量部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250質量部中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225質量部を得た。
ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
(2)(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成
前述の無定型チタニルフタロシアニン10.0質量部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトジクロロベンゼン(ODB)200質量部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3質量部を得た。CG−1のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混晶と推定される。
得られたCG−1のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m/gであった。
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質(下記化合物A) 225部
バインダー:ポリカーボネートZ(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製) 6部
THF(テトラヒドロフラン) 1600部
トルエン 400部
シリコーンオイル(KF−50:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。
この塗布液を前記電荷発生層の上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
〈保護層〉
重合性化合物(例示化合物(Mc−1)) 100部
電荷輸送性化合物(感光体例示化合物B−7) 30部
重合開始剤(例示化合物P−2) 5部
重合促進剤(p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(PS−1)) 1部
酸化防止剤(例示化合物AO−1) 2部
溶媒:2−ブタノール 100部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、表面層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面層を塗布した。塗布後、メタルハライドランプを用いて窒素雰囲気下で紫外線を1分間照射して、その後、100℃、60分の乾燥を行った後、乾燥膜厚3.0μmの保護層を形成し感光体1を作製した。
(感光体2〜10、14〜16の作製)
感光体1の作製において、保護層の重合性化合物、電荷輸送性化合物、重合開始剤等を表1のように変化させた以外は同様にして、感光体2〜10、14〜16を作製した。
(感光体11の作製)
感光体1の作製において、保護層の電荷輸送性化合物を特開2006−138951号公報に記載された下記化合物Bを用いた他は同様にして感光体11を作製した。
(感光体12の作製)
感光体1の作製において、保護層の重合開始剤を自己開列型重合開始剤の下記化合物Cに変更した以外は同様にして感光体12を作製した。
(感光体13の作製)
感光体1の作製において、保護層の重合性化合物、重合開始剤及び重合促進剤を除いて、代わりにポリカーボネート(ポリカーボネートZ(Z−300))を用い、溶媒を2−ブタノールからn−プロピルアルコールとTHF(テトラヒドロフラン)の混合溶媒(混合比(部):1:1)に変更した以外は同様にして、感光体13を作製した。
表1中、
重合促進剤PS−1はp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを
重合促進剤PS−2はp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルを表す。
溶媒Aは2−ブタノール、
溶媒Bはn−プロピルアルコールと2−ブタノールの混合溶媒(混合比(部):1:1)
溶媒Cはn−プロピルアルコールとTHF(テトラヒドロフラン)の混合溶媒(混合比(部):1:1)を表す。
評価
基本的に図1の構成を有するコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6501(カラーの複合機、露光光は780nmの半導体レーザー)に各感光体を搭載して評価を行った。
23℃/50%RH環境で、画像比率6%の文字画像をA4横送りで各300,000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験中或いは耐久試験後に、感光体の耐摩耗特性、残留電位及び画像メモリーの評価を行った。尚、評価は、以下に示した指標に従い実施した。
耐摩耗特性の評価
前記耐久試験前後における感光層の膜厚を測定し、膜厚減耗量を算出し、評価した。
感光層の膜厚は均一膜厚部分(塗布の先端部及び後端部の膜厚変動部分を膜厚プロフィールを作製して除く)をランダムに10ケ所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光層膜厚の差を膜厚減耗量とする。100krot(10万回転)あたりの減耗量をα値として表2に記載する。
残留電位の評価
前記耐久試験における露光部電位の電位変動の大きさにより評価した。
判定基準は、下記に示す通りである。
初期の帯電電位を600±50Vに調整し、初期と5万枚後の露光部電位の変化量(ΔV)で評価した。
◎:ΔVが50V未満(良好)
○:ΔVが50〜100V(実用上問題なし)
×:ΔVが100Vより大きい(実用上問題あり)
画像メモリーの評価
前記耐久試験後に、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に前記べた黒とべた白の履歴が現れているかどうかを判定した。
判定基準は、下記に示す通りである。
耐久試験終了時点の画像に対し、マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いてSPIフィルターを使用し反射濃度を測定し、以下に示す評価ランクに分類した。
ΔIDは、べた白履歴部の濃度とべた黒履歴部の濃度の差分である。
◎;ΔIDが0.05未満(良好)
○;ΔIDが0.05〜0.10(実用上問題なし)
×;ΔIDが0.10より大きい(実用上問題あり)
評価結果を表2にまとめて示す。
表2の結果より、本願発明の構成を有し、保護層が、ラジカル重合性化合物、水素引き抜き型の重合開始剤及びプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物を含有する組成物を塗布後、硬化して得られる樹脂層である感光体(感光体No.1〜10、14〜16)は、各評価項目において良好な評価を獲得している。
一方、保護層の電荷輸送性化合物がラジカル重合性である感光体11では、保護層の電荷輸送性基が樹脂構造の主骨格に入っており、膜強度が低下し、耐摩耗特性が劣化している。又、自己開裂型の重合開始剤を用いた保護層の感光体12では、電荷輸送性化合物が保護層の樹脂構造に取り込まれず、保護層全体としては、膜強度の低下による耐摩耗特性が劣化し、又、残留電位や画像メモリーの特性も劣化している。又、感光体13では、保護層の樹脂がポリカーボネートであるため、耐摩耗特性の劣化が著しい。
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
7 中間転写体
P 画像支持体(転写材ともいわれ、普通紙等)

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に感光層及び保護層を順次積層した有機感光体において、該保護層が、ラジカル重合性化合物、下記式P−1〜P−4からなる群から選択される少なくとも1つの水素引き抜き型の重合開始剤及びプロトンドナー型官能基を有する電荷輸送性化合物を含有する組成物を塗布後、硬化して得られる樹脂層であることを特徴とする有機感光体。
  2. 前記組成物が、重合促進剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
  3. 前記ラジカル重合性化合物がメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物であり、前記プロトンドナー型官能基がOH、SH及びNHを有する基から選択された1種以上の官能基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機感光体。
  4. 前記ラジカル重合性化合物がメタクリロイル基又はアクリロイル基を、電荷輸送性化合物がヒドロキシアルキル基を有することを特徴とする請求項に記載の有機感光体。
  5. 有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置において、該有機感光体が、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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