JP6060706B2 - 有機感光体および画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1および2には、保護層に添加されるシリコーンオイルとして直鎖状のものを用いることが開示されている。
しかしながら、保護層の形成材料として架橋型硬化樹脂を採用する場合においては、直鎖状のシリコーンオイルを含有させると、膜強度が低下し、高い耐久性が得られないという問題がある。
前記保護層は、下記一般式(1)で表わされる化合物と、当該化合物と共重合可能な重合性有機化合物との共重合体を含有し、
前記一般式(1)で表わされる化合物と前記重合性有機化合物との質量比が、1:10〜1:20であることを特徴とする。
前記金属酸化物微粒子が重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されてなるものであることが好ましい。
前記有機感光体が上記の有機感光体であることを特徴とする。
本発明の有機感光体は、導電性支持体上に、有機感光層および保護層がこの順に積層されてなるものであれば特に限定されないが、具体的には下記(1)および(2)の層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生層および電荷輸送層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、有機感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層、並びに保護層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明の有機感光体を構成する保護層は、有機感光層上に形成されるものであり、特定のシリコーン化合物と、当該特定のシリコーン化合物と共重合可能な重合性有機化合物とを共重合して得られる共重合体により構成されている。また、本発明に係る保護層には、必要に応じて、金属酸化物微粒子や滑剤粒子、酸化防止剤などの他の成分が含有されていてもよい。
本発明において、特定のシリコーン化合物と共重合可能な重合性有機化合物は、保護層を構成する共重合体の主成分を形成するモノマー材料とされる。
本発明において、重合性有機化合物は、特定のシリコーン化合物と共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。重合性有機化合物は、多官能モノマーを用いることが好ましく、単官能モノマーを併用することもできる。多官能モノマーは、重合性有機化合物中50〜100質量%の割合で用いることが好ましい。多官能モノマーとしては、具体的には、重合性官能基を2個以上有するものが挙げられる。
本発明において、特定のシリコーン化合物は、有機感光体表面における滑り性を付与する機能を有する。
特定のシリコーン化合物は、3つの分岐を有するものであり、かつ、重合性官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものである。
本発明において、保護層を構成する共重合体の形成材料として特定のシリコーン化合物が用いられることにより、この分岐構造のシリコーン化合物と重合性有機化合物との親和性が高まり、シリコーンオイルの含有量を大きくしても、塗布性が悪化することなく、はじきや塗布ムラなどが発生しない。また、特定のシリコーン化合物が重合性官能基を有することから、当該特定のシリコーン化合物と、重合性有機化合物としての多官能モノマーとが、架橋反応をすることによって編み目構造を形成し、膜強度が向上される。従って、本発明の有機感光体によれば、長期間にわたって滑り性を維持し、従って、ブレードに対する鳴きの発生や、画像ボケやメモリなどの画像不良の発生を低減し、また、高い膜強度を有するものとなる。
上記一般式(1)中、R1 はアクリロイル基またはメタクリロイル基を示す。
上記一般式(1)中、R2 〜R7 は、各々、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、特にメチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)中、R8 〜R16は、各々、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、特にメチル基であることが好ましい。
また、m、nおよびlは、各々、1以上の整数を示し、具体的には1以上10以下であることが好ましい。
本発明において、特定のシリコーン化合物の重量平均分子量(Mw)は、東ソー製 高速GPC HLC8220を用いてポリスチレン換算にて算出される値である。
特定のシリコーン化合物と重合性有機化合物との質量比が上記範囲内であることにより、長期間にわたって滑り性を確実に維持することができる。
本発明の有機感光体を構成する保護層には、金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。金属酸化物微粒子が含有されていることにより、保護層の膜強度が十分に得られると共に電位安定性が得られる。
このような金属酸化物微粒子としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化チタン(チタニア)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどを用いることができるが、なかでも、電気特性の観点から、酸化錫が好ましい。
金属酸化物微粒子が重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されてなるものであることにより、表面処理によって導入された重合性官能基が重合性有機化合物や特定のシリコーン化合物と反応することによって、保護層の膜強度がより一層高いものとなる。
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
本発明の有機感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
本発明の有機感光体においては、導電性支持体と有機感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けるのが好ましい。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明の有機感光体を構成する有機感光層における電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の有機感光体を構成する有機感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の有機感光体の製造方法としては、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化処理することにより、保護層を形成する工程。
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
保護層は、重合性有機化合物、特定のシリコーン化合物、および金属酸化物微粒子など必要に応じて他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性有機化合物および特定のシリコーン化合物を重合反応させて硬化することにより形成することができる。
本発明においては、特定のシリコーン化合物は、保護層形成用塗布液中、重合性有機化合物100質量部に対して5〜20質量部の割合で添加されることが好ましい。本発明においては、特定のシリコーン化合物の添加量が上記範囲内であっても、保護層形成用塗布液を電荷輸送層上に塗布する際に、はじきや塗布ムラなどが生じず、良好な塗布性が得られる。そして、はじきや塗布ムラなどの抑制された保護層が形成されることにより、感光体の帯電性や露光時の電位減衰が均一なものとなる。
以下、円形スライドホッパー塗布装置を用いて保護層形成用塗布液を塗布する方法について具体的に説明する。
塗布液分配スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材251の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されており、さらに、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 、好ましくは5〜100mJ/cm2 である。
ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
本発明の画像形成装置は、有機感光体と、有機感光体の表面を帯電させる帯電手段と、当該有機感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、有機感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備え、有機感光体として本発明の有機感光体が用いられてなるものである。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21および定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
直径60mmのアルミニウム製の円筒体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
下記組成の分散液を下記溶媒と同じ溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1部
金属酸化物粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 3部
溶媒:メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
中間層形成用塗布液〔1〕を用いて導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)20部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)10部、溶媒:酢酸t−ブチル700部、溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液を調製〔1〕した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2部をo−ジクロロベンゼン200部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250部中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5000部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8部(収率86%)を得た。
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)200部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3部を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
得られた顔料(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m2 /gであった。
電荷輸送物質:下記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600部、溶媒:トルエン400部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(1)金属酸化物微粒子の作製
酸化錫(数平均一次粒子径:20nm)100部、表面処理剤として例示化合物(S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3)30部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌し、さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、重合性官能基を有する化合物による酸化錫の表面処理を終了し、表面処理済み酸化錫を得た。これを金属酸化物微粒子〔1〕とする。上記の重合性官能基を有する表面処理により、酸化錫の粒子表面はS−15の化合物により被覆されていた。
金属酸化物微粒子〔1〕80部、重合性有機化合物:上記例示化合物(M1)100部、シリコーンオイル:「RTT−1011」(Gelest社製)、重合開始剤:「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製)10部、溶媒:2−ブタノール320部、溶媒:テトラヒドロフラン80部を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。この保護層形成用塗布液〔1〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚3.0μmの保護層〔1〕を形成し有機感光体〔1〕を作製した。
有機感光体の作製例1における保護層の形成において、用いるシリコーンオイルの種類と添加量を表1に従って変更したことの他は同様にして、有機感光体2〜5を作製した。
(1)塗布性の評価
実施例1〜2、参考例1,2および比較例1において、保護層の形成における保護層形成用塗布液の塗布性を下記評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:直径0.3mm以上の凸または凹状欠陥が存在しない。(良好)
B:直径0.3mm〜1mmの凸または凹欠陥が1個〜2個存在する。(実用上問題なし)
C:直径0.3mm〜1mmの凸または凹欠陥が3個以上存在する、または、直径1mm以上の凸または凹状欠陥が1個以上存在する。(実用上問題あり)
基本的に図3に示す画像形成装置の構成と同様の評価機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製)に、有機感光体〔1〕〜〔5〕をそれぞれ搭載し評価を行った。評価機「bizhub PRO C6501」の露光光源としては、波長780nmの半導体レーザーを用いた。
温度30℃、湿度85%の高温高湿環境下で、画像比率6%の文字画像をA4横送りで各300,000枚両面連続プリントを行う耐久試験を実施し、形成される画像の画質(画像ボケ、メモリ)および有機感光体の接触角の評価を行った。
上記耐久試験後に、直ぐに実機の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れ画出し可能状態になった後、直ちにA3上質紙にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)と6dot格子画像を各1枚プリントした。プリントした画像の状態を観察し以下の評価を行った。
A:ハーフトーン、格子画像とも画像ボケ発生なし。(良好)
B:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる。(実用上問題なし)
C:画像ボケによる格子画像の欠損もしくは線幅の細りが発生。(実用上問題有り)
耐久試験後に、通紙方向に対して左半分がベタ黒画像部、右半分がベタ白画像部の画像をA4の上質紙上に、横送りで10枚連続してプリントし、続いて、均一なハーフトーン画像をプリントし、このプリントされたハーフトーン画像中にベタ黒画像部とベタ白画像部の履歴が現れているか否かを、当該ハーフトーン画像中のベタ黒画像部に対応する領域の反射濃度と、当該ハーフトーン画像中のベタ白画像部に対応する領域の反射濃度との差(ΔID)を算出し、下記の評価基準に従って評価した。
反射濃度は、マクベス反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて測定した。
−評価基準−
A:ΔIDが0.05以下(良好)
B:ΔIDが0.05より大きく0.10以下(実用上問題なし)
C:ΔIDが0.10より大きい(実用上問題あり)
接触角は、水を使用して協和界面化学株式会社製、全自動接触角「CA−W」を用いて測定した。耐久試験前後の接触角が、80°以上であれば、実用可能と評価した。
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラ
5b 二次転写ローラ
6,6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
21 給紙搬送手段
20 給紙カセット
22A、22B、22C、22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 無端ベルト状中間転写体
71、72、73、74 ローラ
82L、82R 支持レール
P 転写材
251 基材
254 貯留タンク
255 圧送ポンプ
260 塗布ヘッド
261 塗布液流出口
262 塗布液分配スリット
263 塗布液分配室
264 供給管
265 スライド面
266 唇状部
267 排出口
L 塗布液
F 塗膜
Claims (4)
- 導電性支持体上に有機感光層が形成され、この有機感光層上に保護層が形成されてなる有機感光体において、
前記保護層は、下記一般式(1)で表わされる化合物と、当該化合物と共重合可能な重合性有機化合物との共重合体を含有し、
前記一般式(1)で表わされる化合物と前記重合性有機化合物との質量比が、1:10〜1:20であることを特徴とする有機感光体。
〔一般式(1)中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基または単結合を示し、R1 はアクリロイル基またはメタクリロイル基を示し、R2 〜R7 は、各々、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、R8 〜R16は、各々、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。m、nおよびlは、各々、1以上の整数を示す。〕 - 前記重合性有機化合物が、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 前記保護層が金属酸化物微粒子を含有し、
前記金属酸化物微粒子が重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されてなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機感光体。 - 有機感光体と、前記有機感光体の表面を帯電させる帯電手段と、当該有機感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、有機感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備え、
前記有機感光体が請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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