JP6064492B2 - 有機感光体および画像形成装置 - Google Patents
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Description
その結果として、電子写真法による画像形成装置においては、さらに高いレベルの画質が要求されている。また、従来の電子写真法による画像形成装置においては稀な用途、例えばコート紙へのプリント、高カバレッジ画像のプリント、極めて高精細な画像や微妙なトーン(色調)を有する画像のプリントや、同一画像の大量連続プリントなどに電子写真法による画像形成装置が利用されている。これらに伴い、従来は殆どあるいは全く指摘されなかった不具合が生じている。
この斜めスジ状濃度ムラは、いわゆるスクリーン干渉スジと呼ばれるものであって、電子写真法による画像形成装置において用いられる有機感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)の円筒状基体の表面には、その外径などの寸法精度を所望のレベルにする、表面の酸化膜を除きフレッシュにするなどの目的で、その外周面に中心軸方向に沿って周期的に切削凹凸が形成されているところ、当該感光体の円筒状基体の表面に形成された切削凹凸の周期と、スクリーン処理に用いるスクリーンパターン(露光パターン)の周期(ピッチ)との間の干渉に起因して生じるものと推測される。
このような切削凹凸を形成した円筒状基体の感光体を用いた画像形成装置においては、オフィスなどにおいて普通紙に出力される一般のハーフトーン画像については、十分な画像品質レベルを有するものとして満足されていた。
このようなY型チタニルフタロシアニンと同程度の高感度を有しながら感度の湿度依存性が小さい電荷発生物質として、例えば特許文献5には、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンが開示されている。また、その中で特に優れた性質を有するものとして、特許文献6、7には、立体規則性を有する2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンが開示されており、さらにその中でも、高感度を示すものとして2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンと未付加のチタニルフタロシアニンとの混晶が報告されている(特許文献8参照)。
前記円筒状基体が、その外周面に中心軸方向に沿って周期的に切削凹凸が形成されたものであって、下記式(1)の条件を満たすと共に短波長カットオフ値を80μmとして測定したときの表面粗さRa(S80)が0.02μm以上0.07μm以下である切削加工形状を有し、
前記感光層が2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する電荷発生物質を有するものであることを特徴とする。
式(1):ΔL≧10μm
〔式(1)中、ΔLは、円筒状基体の外周面の画像形成領域内における、中心軸方向の切削凹凸の周期幅の最大値と最小値との差である。〕
前記中間層に、第一の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第一の酸化チタン粒子、および、当該第一の反応性有機ケイ素化合物と異なる第二の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第二の酸化チタン粒子が含有されることが好ましい。
当該保護層が、重合性化合物を硬化して得られる硬化樹脂中に、反応性有機基を有する表面処理剤によって表面処理された金属酸化物微粒子および非反応性電荷輸送物質が含有されてなるものであることが好ましい。
前記有機感光体が、上記の有機感光体であることを特徴とする。
本発明の感光体は、円筒状基体上に感光層が積層された電子写真法による画像形成用の有機感光体であって、円筒状基体が、その外周面に中心軸方向に沿って周期的に切削凹凸が形成されたものであって、上記式(1)の条件を満たすと共に表面粗さRa(S80)が0.02μm以上0.07μm以下である切削加工形状(以下、「特定の切削加工形状」ともいう。)を有し、感光層が2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する電荷発生物質を有するものである。
本発明の感光体を構成する円筒状基体は、導電性を有し、その表面に特定の切削加工形状が形成された円筒状のものである。
円筒状基体は、回転することによりエンドレスに画像を形成することができるものであり、真直度0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にあるものを用いることが好ましい。この真直度および振れの範囲を超えるものを用いた場合には、良好な画像形成を行うことが困難になる。
特定の切削加工形状に係る上記式(1)の条件において、ΔLは、切削凹凸の周期の変動の幅を示し、具体的には、円筒状基体の外周面の画像形成領域内における、軸方向の切削凹凸の周期幅(図2においてWで示す。)の最大値と最小値との差であり、10μm以上とされる。
すなわち、図2に示すように、当該円筒状基体1aの表面の切削凹凸の形状が中間層1bを介して電荷発生層(CGL)1cの膜厚に反映され、具体的には円筒状基体1aの切削凹凸の深さの大小に対応して膜厚が厚い部分βや膜厚の薄い部分αなどが生じ、その結果、感光体1が、電荷発生層1cの膜厚が規則的な周期に従って変動するものとなる。
そして、感光体1の感度は、電荷発生層1cの膜厚に従って変動するので、当該感光体1の感度の周期と、レーザー光やLED光源などによる露光が行われるときの当該露光に係るスクリーンパターンの周期とが干渉して静電潜像に周期性を有する電位ムラが生じ、当該静電潜像が現像、転写および定着されて得られた画像において、当該画像が高画質なものとされる場合に、周期的な濃度ムラ、すなわちスクリーン干渉スジとして可視化される。
本発明においては、ΔLが10μm以上であることによって、円筒状基体の表面に切削により生じる切削凹凸の周期幅をある程度以上変動させられ、これによって、スクリーン干渉スジの発生が確実に抑制される。
特定の切削加工形状に係る表面粗さRa(S80)は、0.02μm以上0.07μm以下である。
円筒状基体の表面粗さRa(S80)が上記の範囲にあることによって、電荷発生物質として2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを用いていても、切削スジおよび木目調の干渉縞の発生が抑制された高画質のハーフトーン画像を得ることができる。円筒状基体の表面粗さRa(S80)が過大である場合は、ハーフトーン画像に切削スジが発生してしまう。一方、円筒状基体の表面粗さRa(S80)が過小である場合は、当該円筒状基体の表面が滑らか過ぎてハーフトーン画像に木目調の干渉縞が生じてしまう。
円筒状基体は、例えば円筒管よりなる素管の表面にバイト切削加工によって特定の切削加工形状を形成させることにより、作製することができる。
具体的には、素管の表面をバイト切削加工によって整形するときに、素管を円筒軸を中心として回転させると共に切削バイトを非定速的に移動させながら当接させることにより、特定のΔLを有するよう調整することができ、また、当該バイト切削加工の際のダイヤモンド焼結バイトなどの切削バイトの素管に対する当接角度や用いる切削バイトの種類や切削バイトの刃先の研磨条件などを変更することにより、特定の表面粗さRa(S80)を有するよう調整することができる。
このように、特定の切削加工形状におけるΔLの値と表面粗さRa(S80)の値とは、当該特定の切削加工形状を形成させるためのバイト切削加工において、別個に制御することができる。
なお、従来のバイト切削加工で仕上げられた円筒状基体は、その中心軸方向に沿って極めて規則的に切削凹凸が形成された形状を有するものとなり、円筒状基体上に形成された感光層の膜厚分布は、当該形状を反映した周期性を有し、その反映は間に中間層を介するなど、層を重ねても容易には消失しない。
本発明における円筒状基体の外周面の画像形成領域内における、切削凹凸の周期幅の最大値と最小値との差ΔLは、例えば図3に例示するように、当該外周面の画像形成領域の断面曲線から読み取られたものである。具体的には、図3(a)の断面曲線から、繰り返し形状および周期に目ぼしをつけ、図3(b)の断面曲線に示すように適切な倍率に上げてその周期幅を読み取ったものである。なお、図3(b)の断面曲線は、横倍率を図3(a)の断面曲線の4倍にしたものである。
断面曲線の測定長さは、具体的には例えば4mmとされる。
・測定モード:粗さ測定(JIS’01規格)
・測定長:4.0mm
・長波長カットオフλc:0.8mm(ガウシアン)
・測定速度:0.3mm/sec
中間層は、円筒状基体と有機感光層との間にバリアー機能と接着機能とを付与するものである。種々の故障防止などの観点から、このような中間層を設けることが好ましい。
中間層としては、特に、第一の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第一の酸化チタン粒子、および、当該第一の反応性有機ケイ素化合物と異なる第二の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第二の酸化チタン粒子、並びに、バインダー樹脂を含むものを設けることが好ましい。
すなわち、中間層に互いに異なる反応性有機ケイ素化合物によってそれぞれ表面処理された、第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子を含有させることにより、バインダー樹脂中における第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子の配向性、すなわち相互の位置関係を制御できるものと推測される。具体的には、後述する中間層の形成工程において、第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子を混合して中間層となるべき塗布膜を形成すると、当該塗布膜においては第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子は均一に分散していると考えられるが、塗布膜の乾燥中にこれらが互いに移動し、得られた中間層においてはそれぞれが偏在するようになると推測される。互いに異なる反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子は、中間層中において互いに異なる機能を担う部分があると推測され、これらが偏在していることにより、電荷発生層からの正孔(キャリア)の注入を効果的に抑制することができて黒ポチやカブリなどの画像欠陥の発生を抑制し、かつ、中間層全体の電子輸送性が維持されてページ内またはページ間における濃度ムラを抑制することができるものと推測される。
第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子は、それぞれ、少なくとも互いに置換基が異なる、第一の反応性有機ケイ素化合物および第二の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理されたものであればよい。第一の反応性有機ケイ素化合物および第二の反応性有機ケイ素化合物としては、特に制限はないが、下記一般式(1)で表されるシラン化合物、または、シラザン化合物、もしくはポリシロキサン化合物を用いることが好ましい。
〔上記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、または、炭素数6〜13の置換もしくは非置換のアリール基を表し、Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、または、ハロゲン原子を表す。〕
中間層を構成するバインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体およびゼラチンなどが挙げられる。中でも、後述する電荷発生層を形成するための電荷発生層形成用塗布液を中間層上に塗布する際に、当該中間層が溶解されることを抑制する観点などから、ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。また、上記の表面処理された第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子はアルコール系溶媒に分散させることが好適であるため、メトキシメチロール化ポリアミド樹脂などのアルコール可溶性ポリアミド樹脂を用いることがより好ましい。
以上のような中間層は、例えば、バインダー樹脂を溶媒中に溶解または分散させ、次いで、この分散液に上記の第一の反応性有機ケイ素化合物および第二の反応性有機ケイ素化合物によってそれぞれ表面処理した第一の酸化チタン粒子および第二の酸化チタン粒子を添加し、均一になるまで分散させて中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を円筒状基体の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。
本発明の感光体を構成する電荷発生層は、電荷発生物質(CGM)が含有されたものであり、必要に応じて分散媒としてバインダー樹脂や、その他の添加物が含有されたものとすることもできる。
本発明において、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンとは、未付加のチタニルフタロシアニンに2,3−ブタンジオールを付加させた化合物をいう。
また、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンを含む顔料とは、少なくとも未付加のチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンとが1つの顔料粒子中に混合状態あるいは混晶状態で含有された顔料を意味する。
電荷発生物質として特定のチタニルフタロシアニン混合顔料を用いることにより、感光体について感度の湿度依存性が小さく抑制されて、形成される画像において帯状の画像欠陥の発生が抑制される。
9.5°型の2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンは、IRスペクトルにおいて970cm-1付近のTi=Oの吸収がなく、630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れること、熱分析(TG)において390〜410℃に約11%の質量減少があること(熱分解によるブチレンオキシドの脱離のためと考えられる)、およびマススペクトルの結果から、未付加のチタニルフタロシアニンと原料ブタンジオール化合物とが、1/1で脱水縮合した構造を有するものと推測される。
8.3°型の2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンは、IRスペクトルにおいて970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れること、熱分析において390〜410℃における質量減少が11%未満であること、およびマススペクトルの結果から、ブタンジオール/チタニルフタロシアニン=1/1付加体とチタニルフタロシアニンとが、ある割合で混晶を形成しているものと推測される。原料ブタンジオール化合物の付加比は、熱分析における390〜410℃における質量減少から、40〜70モル%と推測される。
原料である未付加のチタニルフタロシアニンは、フタロニトリルおよび四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンおよびアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリル、尿素およびアルコキシチタンから得る合成法など通常知られているいずれの合成法を用いて合成することもできるが、特に、塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが得られることから、ジイミノイソインドリンおよびアルコキシチタンから得る合成法を用いることが好ましい。
また、未付加のチタニルフタロシアニンとしては、上記の合成法によって得られた粗チタニルフタロシアニンをアシッドペースト処理などの方法によって無定形化したものを用いることが好ましい。
未付加のチタニルフタロシアニンと原料ブタンジオール化合物との付加反応には、通常原料の5〜30質量倍の溶媒が使用される。
溶媒としては、特に限定されず、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロナフタレン、キノリンなどの芳香族溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;その他ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒などを挙げることができる。
BET比表面積が上記の範囲にある特定のチタニルフタロシアニン混合顔料を用い、さらに当該特定のチタニルフタロシアニン混合顔料の分散性を維持するよう後述する電荷発生層形成用塗布液の調製時に低いシェアで当該特定のチタニルフタロシアニン混合顔料を分散させることによって、良好な感度および繰り返し電位安定性が得られる感光体を作製することができる。
BET比表面積は、流動式比表面積自動測定装置「マイクロメトリックス・フローソープ型」(島津製作所社製)を用いて測定されるものである。
当該吸光度比(Abs780/Abs700)は、特定のチタニルフタロシアニン混合顔料の電荷発生層における分散性と結晶性との両立の度合いを示す指標であり、当該吸光度比(Abs780/Abs700)が上記の範囲にあることにより、感度が高く、かつ、繰り返し電位安定性が高い感光体を得ることができる。
吸光度比(Abs780/Abs700)が0.80未満である場合は、顔料の結晶が破砕されたことを示し、結晶の欠陥箇所における2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンの分解が起こりやすくなり、その結果、感度が低くなったり繰り返し電位安定性が得られないおそれがある。また、吸光度比(Abs780/Abs700)が1.1を超える場合は、分散不良で二次凝集した顔料粒子や粗大粒子が存在することを示し、得られる画像の画像濃度が低いものとなるなどの画像欠陥を生じることとなる。
数式(1):Absλ=−log(Rλ)
〔数式(1)において、Rλは、波長λの感光層の反射強度を示し、波長λにおける感光体試料の反射強度を、円筒状基体のみの反射強度で割った相対反射率である。〕
反射スペクトルは、光学式膜厚測定装置「Solid Lambda Thickness」(スペクトラコープ社製)を用いて測定した。
本発明の感光体を構成する電荷発生層は、電荷発生物質を溶媒中に添加、分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を中間層の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。電荷発生層がバインダー樹脂を含有するものとして構成される場合においては、電荷発生層形成用塗布液を溶媒中に当該バインダー樹脂が溶解されたものとして構成すればよい。
メディア分散法は、容器内にメディアとしてビーズが充填され、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクが高速回転されることにより、凝集粒子を砕いて粉砕・分散する方法である。
上記のようなシェアの低い分散方法を採用することによって、二次凝集した粒子や粗大粒子などが十分に解砕された状態が得られながら、電荷発生物質を構成する特定のチタニルフタロシアニン混合顔料の結晶構造が変化してその特性が損なわれることが回避され、従って、形成される感光体に良好な感度および繰り返し電位安定性が得られる電荷発生層形成用塗布液を調製することができる。
感光体を構成する電荷輸送層は、バインダー樹脂中に電荷輸送物質(CTM)が含有されたものである。
電荷輸送物質の混合割合が過少である場合は、十分な電荷輸送性が得られず、電荷発生層において発生した電荷を感光体の表面まで十分に輸送できないおそれがある。一方、電荷輸送物質の混合割合が過多である場合は、機械的強度の減少や、繰り返し使用に伴う残留電位の増加が顕著となりやすい。
電荷輸送層の形成において用いられる溶媒としては、電荷発生層の形成に用いられる溶媒と同じものを挙げることができる。
また、電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としても、電荷発生層形成用塗布液の塗布方法として挙げた方法と同じ方法を挙げることができる。
本発明の感光体には、必要に応じてその最表面、すなわち電荷輸送層上に保護層が設けられていることが好ましく、保護層としては、重合性化合物を硬化して得られる硬化樹脂中に、反応性有機基を有する表面処理剤によって表面処理された金属酸化物微粒子および非反応性電荷輸送物質が含有されてなるものであることが好ましい。当該保護層中には、必要に応じて酸化防止剤や滑剤などのその他の成分が含有されていてもよい。
感光層の膜厚と帯電性とはおおよそ比例する関係にあり、例えば多数枚を出力することによって感光体の軸方向の膜厚ムラが生じると、感光体の軸方向の色ムラが生じることがあるが、保護層が上記のように硬化樹脂中に表面処理された金属酸化物微粒子および非反応性電荷輸送物質が含有されてなるものであることによって、このような感光体の軸方向の色ムラの低減させることができる。
保護層を構成する硬化樹脂は、紫外線や電子線などの活性線の照射により、重合性化合物を重合し、硬化することにより得られるものである。重合性化合物としては、重合性官能基を2個以上有するものを用いることが好ましく、重合性官能基を1個有するものを併用することもできる。具体的には、重合性化合物としては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
保護層には、反応性有機基を有する表面処理剤(以下、「反応性有機基含有表面処理剤」ともいう。)によって表面処理された金属酸化物微粒子が含有されている。この金属酸化物微粒子は、原料となる金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」ともいう。)が反応性有機基含有表面処理剤によって表面処理されることにより、未処理金属酸化物微粒子表面に反応性有機基が導入されたものである。
また、反応性有機基含有表面処理剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤が好ましい。ラジカル重合性反応基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。このようなラジカル重合性反応基は、本発明に係る重合性化合物とも反応して強固な保護層を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
保護層には、非反応性電荷輸送物質が含有される。
本発明において、非反応性電荷輸送物質とは、保護層を形成する際に、重合性化合物や金属酸化物微粒子の反応性有機基と反応しないものをいう。
この非反応性電荷輸送物質は、保護層中の電荷キャリアを輸送する電荷輸送性を有するものであり、紫外光領域での吸収を実質的に示さず、かつ、分子量も450以下(好ましくは、320以上420以下)のものが多く、保護層の硬化樹脂の空隙に入り込むことが可能である。このため、保護層の耐摩耗性を低下させることなく、電荷輸送層からのスムーズな電荷キャリアの注入を可能とし、保護層表面に電荷を輸送することができる。
保護層は、溶媒中に、重合性化合物、非反応性電荷輸送物質、金属酸化物微粒子および重合開始剤を混合した保護層形成用の塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷輸送層上に塗布して、塗膜を形成し、塗膜を乾燥して、硬化処理を行うことによって形成することができる。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(「イルガキュアー819」:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有する光重合促進剤を単独で、または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 、好ましくは5〜100mJ/cm2 である。
ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
本発明の画像形成装置は、上記の感光体を備え、当該感光体に静電潜像を形成する手段、当該静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する手段、形成されたトナー像を画像支持体に転写する手段、転写されたトナー像を画像支持体上に定着する手段を有するものである。
この画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置と称せられるもので、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンまたは黒のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、これらの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにおいて形成された各色のトナー像を画像支持体P上に転写する中間転写ユニット7と、画像支持体Pに対してトナー像を定着させる定着手段24とを備える画像形成装置本体Aを有し、当該画像形成装置本体Aの上部に、原稿を光学的に走査して画像情報をデジタルデータ(原稿画像データ)として読み取るための原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット10M、10C、10Bkは、各々、イエロートナーに代えて、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーによってトナー像を形成するものであり、基本的には画像形成ユニット10Yと同様の構成を有するものである。
さらに、カラートナー像の形成に同期して、給紙カセット20内に収容された普通紙や透明シートなどの画像支持体Pが、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22Dおよびレジストローラ23を経て、二次転写ローラ5bに搬送され、当該画像支持体P上に、二次転写ローラ5bによって中間転写体70上に転写されたカラートナー像が一括して転写される。
画像支持体P上に転写されたカラートナー像は、定着手段24において例えば加熱および加圧により定着されて可視画像が形成され、その後、可視画像が形成された画像支持体Pが、排紙ローラ25によって機外に排出されて排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写ローラ5bにより画像支持体P上にカラートナー像を転写し、画像支持体Pが曲率分離された後の中間転写体70は、クリーニング手段6bにより当該中間転写体70上に残留したトナーを除去した後に、次のトナー像の中間転写に供される。
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、粉砕トナーであっても重合トナーであってもよいが、本発明の画像形成装置においては、高い画質の画像が得られる観点から、重合法で作製された重合トナーを用いることが好ましい。
例えば、感光体の具体的な層構成は、上記の構成に限定されるものではない。
なお、ΔLは、円筒状基体の外周面の中央付近における断面曲線を、「サーフコム1400D」((株)東京精密製)を用い、JIS’01規格において、測定長4.0mm、長波長カットオフλc0.8mm(ガウシアン)、測定速度0.3mm/secの測定条件で行った粗さ測定によって得、この断面曲線を用いて上述の通りに測定した。
またRa(S80)は、円筒状基体の外周面の中央付近を、「サーフコム1400D」((株)東京精密製)を用い、JIS’01規格において、測定長4.0mm、長波長カットオフλc0.8mm(ガウシアン)、短波長カットオフλs80μm、測定速度0.3mm/secの測定条件で行った粗さ測定によって得た算術平均粗さRaである。
数平均一次粒子径が35nmのシリカおよびアルミナ処理済みのルチル型酸化チタン粒子「MT−500SA」(テイカ社製)500質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン「KF−99」(信越化学工業社製)25質量部と、トルエン1500質量部とを撹拌混合した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間25分間で解砕処理を行い、得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持してMHPSの焼き付けを行った。その後、粉砕と分級を行うことにより、表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕を得た。
数平均一次粒子径が15nmのルチル型酸化チタン粒子「MT−150A」(テイカ社製)500質量部と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン粒子「KBM−503」(信越化学工業社製)60質量部と、トルエン2000質量部とを撹拌混合した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間40分間で解砕処理を行い、得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持してKBM−503の焼き付けを行った。その後に粉砕と分級を行うことにより、表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕を得た。
(1)円筒状基体の作製
長さ362mmのアルミニウム合金製の素管を、NC旋盤に装着し、適宜のダイヤモンド焼結バイトを用いて、外径59.95mm、表面粗さRa(S80)が0.07μmになるように、当該ダイヤモンド焼結バイトの素管に対する当接角度を0°〜3°の間で変更しながら、下記条件でバイト切削加工を行うことにより、円筒状基体〔1〕を作製した。
バイト切削加工は、旋盤の主軸回転数を3000rpmに設定し、バイト移動速度(バイト送り速度)は400μm/回転で一定にし、素管端部をスタートとして、加工距離が1.09mm、1.74mm、1.26mm、1.90mm、1.42mm、2.07mm、1.58mm、2.22mm、を繰り返すように設定したプログラムによって行った。
円筒状基体〔1〕の外周面におけるΔLを測定したところ、10μmであった。
なお、ダイヤモンド焼結バイトの素管に対する当接角度とは、素管が水平面内にその軸が伸びるよう設置された状態において、切削バイトが当該水平面内において素管の軸方向に垂直な方向に伸びた状態でその先端が当該素管に当接する場合を0°として、素管の回転方向に切削バイトを立てた角度をいう。
下記式(N−1)で表されるバインダー樹脂(ポリアミド樹脂)100質量部を、エタノールとn−プロピルアルコールとテトラヒドロフランとの混合溶媒(体積比=60:20:20)1700質量部に加えて撹拌混合して溶解させた。この溶液に、上記の表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕120質量部および表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕160質量部を添加し、セラミックビーズミルにより、ミル滞留時間3時間で分散させた。そして、この溶液を一昼夜静置した後、濾過することにより、中間層形成用塗布液を得た。濾過フィルタは、公称濾過精度が10μmのポリプロピレン製フィルタ(ロキテクノ社製)を用いて行った。このようにして得られた中間層形成用塗布液を、上記の円筒状基体〔1〕を洗浄した後の外周面に浸漬塗布法によって塗布し、120℃で乾燥することにより、円筒状基体〔1〕上に乾燥膜厚1.5μmの中間層〔1〕を形成した。
(a)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gをオルトジクロロベンゼン(ODB)200mlに分散させ、チタニウムテトラ−n−ブトキシド20.4gを加えて窒素雰囲気下において150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムによる洗浄、2%塩酸水溶液による洗浄、水洗、メタノールによる洗浄を順に行い、乾燥することにより、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、この粗チタニルフタロシアニンを濃硫酸250ml中に添加し、5℃以下で1時間撹拌して溶解させ、これを20℃の水5Lに注ぎ、析出した結晶を濾過し、充分に水洗することによりウェットペースト品225gを得、これを冷凍庫にて凍結させ、解凍した後、濾過、乾燥することにより、無定形チタニルフタロシアニン〔1〕24.8g(収率86%)を得た。
無定形チタニルフタロシアニン〔1〕10.0gおよび(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94g(無定形チタニルフタロシアニンに対する当量比=0.6)を、オルトジクロロベンゼン(ODB)200ml中に混合し、反応温度60〜70℃で6時間加熱撹拌した。一夜放置後、当該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールにより洗浄することにより、電荷発生物質〔CG−1〕10.3gを得た。
この電荷発生物質〔CG−1〕のX線回折スペクトルを測定したところ、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークが見られた。また、マススペクトル、IRスペクトル、熱分析(TGA)を測定した。これらの結果から、当該電荷発生物質〔CG−1〕が、チタニルフタロシアニンおよび(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶と推定した。
次いで、下記成分を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS−600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)にて循環流量40L/H、滞留時間0.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質〔CG−1〕 24質量部
・ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12質量部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400質量部
この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法によって中間層〔1〕上に塗布した後、24℃で乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
次いで、下記成分を混合し、溶解させることにより、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層〔1〕上に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
・下記式(CTM−1)で表わされる電荷輸送物質 225質量部
・ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製) 300質量部
・酸化防止剤「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
・テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 2000質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学工業(株)製) 1質量部
数平均一次粒子径20nm、体積抵抗率3.0×105 Ω・cmの酸化錫(CIKナノテック社製)100質量部、表面処理剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)7質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300質量部を撹拌混合した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間30分間で解砕処理を行った。得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持して上記「KBM−503」の焼き付けを行い、その後、粉砕および分級を行うことにより、表面処理済み酸化錫〔A〕を得た。
続いて、
・表面処理済み酸化錫〔A〕 50質量部
・重合性化合物「SR−350」(サートマー社製) 100質量部
・2−ブタノール 320質量部
・テトラヒドロフラン 80質量部
を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS−600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)にて循環流量40L/Hで滞留時間1.0時間で分散し、
・上記式(CTM−8)で表わされる電荷輸送物質 15質量部
・重合開始剤「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製) 10質量部
を加えて溶解させて、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この保護層形成用塗布液〔1〕を円形スライドホッパー塗布機を用いて電荷輸送層上に塗布し、その後メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射し、さらに120℃で1時間乾燥させて乾燥膜厚3.0μmの保護層〔1〕を形成し、これにより、感光体〔1〕を作製した。
感光体の製造例1において、円筒状基体〔1〕の代わりに下記の円筒状基体〔2〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔2〕を作製した。
バイト切削加工は、旋盤の主軸回転数を3000rpmに設定し、バイト移動速度(バイト送り速度)は400μm/回転で一定にし、素管端部をスタートとして、加工距離が1.07mm、1.72mm、1.24mm、1.88mm、1.40mm、2.05mm、1.56mm、2.20mm、を繰り返すように設定したプログラムによって行った。
円筒状基体〔2〕の外周面におけるΔLを測定したところ、20μmであった。
感光体の製造例2において、中間層〔1〕の代わりに下記の中間層〔2〕を形成したことの他は同様にして、感光体〔3〕を作製した。
感光体の製造例2において、電荷輸送層の膜厚を28μmとし、保護層を設けなかったことの他は同様にして、感光体〔3〕を作製した。
感光体の製造例1において、円筒状基体〔1〕の代わりに下記の円筒状基体〔3〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔5〕を作製した。
バイト切削加工は、旋盤の主軸回転数を3000rpmに設定し、バイト移動速度(バイト送り速度)は400μm/回転で一定にし、素管端部をスタートとして、加工距離が1.05mm、1.70mm、1.22mm、1.86mm、1.38mm、2.03mm、1.54mm、2.18mm、を繰り返すように設定したプログラムによって行った。
円筒状基体〔3〕の外周面におけるΔLを測定したところ、30μmであった。
感光体の製造例1において、円筒状基体〔1〕の代わりに下記の円筒状基体〔4〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔6〕を作製した。
バイト切削加工は、旋盤の主軸回転数を3000rpmに設定し、バイト移動速度(バイト送り速度)は400μm/回転で一定に設定して行った。
円筒状基体〔4〕の外周面におけるΔLを測定したところ、7μmであった。
感光体の製造例1において、円筒状基体〔1〕の代わりに下記の円筒状基体〔5〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔7〕を作製した。
バイト切削加工は、旋盤の主軸回転数を3000rpmに設定し、バイト移動速度(バイト送り速度)は400μm/回転で一定にし、素管端部をスタートとして、加工距離が1.07mm、1.72mm、1.24mm、1.88mm、1.40mm、2.05mm、1.56mm、2.20mm、を繰り返すように設定したプログラムによって行った。
円筒状基体〔5〕の外周面におけるΔLを測定したところ、20μmであった。
感光体の製造例1において、円筒状基体〔1〕の代わりに下記の円筒状基体〔6〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔8〕を作製した。
バイト切削加工は、旋盤の主軸回転数を3000rpmに設定し、バイト移動速度(バイト送り速度)は400μm/回転で一定にし、素管端部をスタートとして、加工距離が1.07mm、1.72mm、1.24mm、1.88mm、1.40mm、2.05mm、1.56mm、2.20mm、を繰り返すように設定したプログラムによって行った。
円筒状基体〔6〕の外周面におけるΔLを測定したところ、20μmであった。
感光体の製造例1において、電荷発生層〔1〕の代わりに下記の電荷発生層〔2〕を形成したことの他は同様にして、感光体〔9〕を作製した。
・電荷発生物質〔CG−X〕(Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Ka特性X線によるX線回折のスペクトルでブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料))
20質量部
・ポリビニルブチラール樹脂「BM−1」(積水化学社製) 10質量部
・メチルエチルケトン 700質量部
・シクロヘキサノン 300質量部
この電荷発生層形成用塗布液〔2〕を浸漬塗布法によって中間層〔1〕上に塗布した後、24℃で乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層〔2〕を形成した。
上記の感光体〔1〕〜〔9〕のいずれかを組み込んだ各色の画像形成ユニット(各色に係る画像形成ユニットに搭載する感光体は同一種類の感光体とする。)を、高温高湿(温度30℃、湿度80%RH)環境下で一晩放置した後、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下に予め設置しておいた市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C65hc」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に組み込み、画像形成ユニットを高温高湿環境から常温常湿環境に移してから30〜60分間後に、「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙社製)に各色ごとに全面ハーフトーン画像を出力してテスト画像を得た。
得られたテスト画像を目視で観察し、温度メモリ(感光体の軸方向に延びる黒帯)、切削スジ(基体の切削方向に沿った切削ピッチ幅で繰り返されるスジ)、スクリーン干渉スジ(基体の切削方向からやや傾いた、切削ピッチ幅より広い周期で繰り返されるスジ)および木目調干渉縞について、以下の評価基準に従って画質評価を行った。結果を表1に示す。
上記の感光体〔1〕〜〔9〕のいずれかを組み込んだ各色の画像形成ユニットを、市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C65hc」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に組み込み、「Jペーパー(A4サイズ、64g/m2 )」(コニカミノルタビジネスソリューションズ社製)にドラム周方向の平均印字率が各色とも5%であるチャートを30万枚出力し、次いで、低温低湿(温度10℃、湿度20%RH)環境下で一晩放置した後、平均印字率25%の全面ハーフトーン画像を連続100枚出力した。この全面ハーフトーン画像は、「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2 )」(王子製紙社製)上にブラック(Bk)で出力した。
この全面ハーフトーン画像100枚のうち1枚目を目視で観察し、感光体軸方向ムラ(濃淡の境界が不明確であり、感光体の周方向ではおおよそ均一な場合が多いムラ)について、以下の評価基準に従って画質評価を行った。
また、この全面ハーフトーン画像100枚のうち1枚目と100枚目とを目視で観察し、ページ間色ムラ(二枚を見比べた場合の全体的な濃度差)について、以下の評価基準に従って画質評価を行った。
結果を表1に示す。
○:均一である(温度メモリ、切削スジ、スクリーン干渉スジ、木目調干渉縞、感光体軸方向ムラ、ページ間色ムラが観察されない)。
△:わずかな不均一が見られるが、実用上問題ないレベルである。
×:実用上問題となるレベルの不均一が見られる。
1a 円筒状基体
1b 中間層
1c 電荷発生層
1d 電荷輸送層
1e 保護層
1α 有機感光層
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラ
5b 二次転写ローラ
6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
6b クリーニング手段
7 中間転写ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 中間転写体
71〜74 支持ローラ
82L、82R 支持レール
A 画像形成装置本体
P 画像支持体
SC 原稿画像読み取り装置
Claims (4)
- 円筒状基体上に感光層が積層された電子写真法による画像形成用の有機感光体であって、
前記円筒状基体が、その外周面に中心軸方向に沿って周期的に切削凹凸が形成されたものであって、下記式(1)の条件を満たすと共に短波長カットオフ値を80μmとして測定したときの表面粗さRa(S80)が0.02μm以上0.07μm以下である切削加工形状を有し、
前記感光層が2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する電荷発生物質を有するものであることを特徴とする有機感光体。
式(1):ΔL≧10μm
〔式(1)中、ΔLは、円筒状基体の外周面の画像形成領域内における、中心軸方向の切削凹凸の周期幅の最大値と最小値との差である。〕 - 前記円筒状基体と前記感光層との間に中間層が積層されており、
前記中間層に、第一の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第一の酸化チタン粒子、および、当該第一の反応性有機ケイ素化合物と異なる第二の反応性有機ケイ素化合物によって表面処理された第二の酸化チタン粒子が含有されることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。 - 前記感光層上に保護層が積層されており、
当該保護層が、重合性化合物を硬化して得られる硬化樹脂中に、反応性有機基を有する表面処理剤によって表面処理された金属酸化物微粒子および非反応性電荷輸送物質が含有されてなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機感光体。 - 有機感光体に静電潜像を形成する手段、当該静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する手段、形成されたトナー像を画像支持体に転写する手段、転写されたトナー像を画像支持体上に定着する手段を有し、
前記有機感光体が、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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