JP2010131574A - 塩基性炭酸重金属の製造方法、重金属酸化物粒子の製造方法、表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents

塩基性炭酸重金属の製造方法、重金属酸化物粒子の製造方法、表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物を生成するための中間生成物である中和反応生成物の組成のばらつきを解消した塩基性炭酸重金属の製造方法を提供すること。
【解決手段】重金属塩化物水溶液をマイクロ流路L1に送液し、炭酸ナトリウム水溶液をマイクロ流路L2に送液し、マイクロ流路L1及びマイクロ流路L2が合流するマイクロ流路L3において塩基性炭酸重金属を析出させる中和工程、及び/又は、前記塩基性炭酸重金属の懸濁液をマイクロ流路L21に送液し、洗浄水をマイクロ流路L22に送液し、マイクロ流路L21とマイクロ流路L22とが合流するマイクロ流路L23において残存する水溶性塩を前記塩基性炭酸重金属から除去する水洗工程、を含むことを特徴とする塩基性炭酸重金属の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩基性炭酸重金属の製造方法、重金属酸化物粒子の製造方法、表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
電子写真装置は高速でかつ高品質の印字が得られることから、複写機及びレーザープリンター(レーザービームプリンター)等において利用されている。電子写真装置に、更なる高機能化、高画質化、低コスト化、耐環境性等の要求が高まる近年、電子写真プロセスにおいて潜像及び画像形成のはたらきをする電子写真感光体に対しても、同様に高い要求性能を求められつつある。それらの要求に応じるため、電子写真感光体は、最近、有機の光導電性材料を用いた有機感光体の研究開発及び商品化が主流となってきている。構成上も単層型から機能分離型の感光体へと変遷させることで性能を向上させることに成功し、実用化されてきている。この機能分離型感光体の場合、現在ではアルミニウム基体の上に下引層をまず形成し、その後電荷発生層及び電荷輸送層の感光層を形成する場合が多い。
下引層は、画質欠陥の防止に関して大きな役割を果たし、基体の欠陥や汚れあるいは感光層中の塗膜欠陥やむらに起因する画質欠陥を抑制するために重要な機能層である。また、電気特性上の繰り返し安定性や環境安定性に関しても、電荷発生層や電荷輸送層のみならず下引層にも依存する分が多く、繰り返し使用による電荷蓄積性の少ない下引層が要求されている。さらに、最近では、電子写真装置においてコロトロンに代わりオゾン発生が少ない接触帯電方式の帯電装置が用いられるようになり、下引層に新たな要求特性も付加されてきている。例えば、感光体の欠陥部に接触帯電時に加わる高電場により、局所的に電気的なピンホールリークを生じこれが画質欠陥となる場合があることから、耐ピンホールリーク層としての要求である。
このピンホールリークは上述の感光体自体の塗膜欠陥により発生する場合もあるが、それ以外に電子写真装置内より発生した導電性の異物が感光体中に接触または感光体中に貫入して、接触帯電装置と感光体基体との導電路を形成しやすくなっているために生じている。顕著な場合には電子写真装置内の他の部材から混入した異物や電子写真装置内に混入したゴミが感光体に突き刺さり、接触帯電装置からのリーク点を形成する場合もある。そのような課題に対して、下引層を厚膜化し、感光層中の欠陥や装置内に混入してきた異物の影響を軽減化し、耐ピンホールリーク性能を向上させる手段が、最近盛んに研究されている。
下引層を厚膜化して耐ピンホールリーク性能を確保させながら、電気特性、画質安定性等、を満足させるために、導電性微粉末を層中に分散して適当な抵抗と導電性を保つ方法が最も有力である。それらは、その層構成上、次の2つの方法に分類される。
その一つはアルミニウム基体上に厚膜の導電粉分散型の導電層を形成し、さらにその上層に下引層を形成する方法である(以下、「導電層型下引層」と称する。)。この場合厚膜の導電層で、基体欠陥隠蔽を行うと同時に、抵抗調整を行い、耐ピンホールリーク性能を保持し、ブロッキング(電荷注入制御)機能は下引層で持たせるものである。この方法は、下引層の機能を2層に機能分離しているため、品質を確保する上では有利である。特に、導電層の設計上、耐ピンホールリーク性能を維持できる範囲で、低抵抗化できることから、電気的安定性を得やすいというメリットがある。
もう1つの方法は、厚膜の下引層と電荷発生層の界面で、ブロッキング(電荷注入制御)機能も同時に持たせることで、1層で上記導電層と下引層の機能を兼ねる層(以下、「分散型下引層」と称する。)を形成させる方法である。前記分散型下引層は、バインダー樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液に、ボールミルやサンドミルといった分散メディアを用いる装置を使って、導電性粉末として金属酸化物粒子を分散させた分散液を塗布乾燥することで形成している。そして、この分散液中での金属酸化物粒子の分散状態が電子写真感光体としたときの電気特性や画像特性に大きな影響を与えることがわかっている。分散型下引層は、導電層型下引層と比較して積層数が1層少なく、感光体の製造設備やプロセスを簡略化することができ、コスト低減の大きな要因になることから、最近では、分散型下引層の実用化が盛んに検討される傾向にある。
例えば、特許文献1のように、シラン化合物等で表面処理された金属酸化物粒子を分散させた下引層や、表面処理された金属酸化物粒子を用いて、表面処理剤の量によりブロッキング機能と抵抗調整機能を調節する手段、さらには特許文献2〜4のように、下引層に電子受容性物質や電子輸送性物質などの添加剤を含有させる手法についても多く提案されている。
特許文献5のように後工程である重金属酸化物の表面処理工程にマイクロリアクタを利用し表面処理状態を制御する手法についても提案されている。ところで、重金属酸化物の基材のばらつきとして、(1)重金属酸化物の中間生成物である塩基性炭酸亜鉛の組成ばらつき、(2)カチオン残存による粒子形状ばらつきが考えられる。(1)について、例えば酸化亜鉛の場合、種々の文献によれば中間生成物である塩基性炭酸亜鉛として数種の異なる組成が記載されている。また(2)について、非特許文献1によれば、Na+のような強い付着力を持つカチオンを核としシリカ粒子が吸着するとの報告がある。
特開平4−229872号公報 特開平7−175249号公報 特開平8−44097号号公報 特開平9−197701号公報 特開2007−331987号公報 Journal of Interface Science 227,111−118(2000)
本発明が解決しようとする課題は、金属酸化物を生成するための中間生成物である中和反応生成物の組成のばらつきを解消した塩基性炭酸重金属の製造方法を提供すること、すなわち、重金属塩化物水溶液と炭酸ナトリウム水溶液との中和反応で得られる塩基性炭酸重金属の組成のばらつきを抑制した塩基性炭酸重金属の製造方法を提供することである。
その他の本発明の課題は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明が解決しようとする課題は、下記の<1>、<3>、<5>、<6>、<7>、及び<8>によって解決された。好ましい実施形態である<2>及び<4>と共に以下列記する。
<1>重金属塩化物水溶液をマイクロ流路L1に送液し、炭酸ナトリウム水溶液をマイクロ流路L2に送液し、マイクロ流路L1及びマイクロ流路L2が合流するマイクロ流路L3において塩基性炭酸重金属を析出させる中和工程、及び/又は、前記塩基性炭酸重金属の懸濁液をマイクロ流路L21に送液し、洗浄水をマイクロ流路L22に送液し、マイクロ流路L21とマイクロ流路L22とが合流するマイクロ流路L23において残存する水溶性塩を前記塩基性炭酸重金属から除去する水洗工程、を含むことを特徴とする塩基性炭酸重金属の製造方法、
<2>前記中和工程と前記水洗工程の間に、前記塩基性炭酸重金属を固液分離した後得られた塩基性炭酸重金属を水中に再分散して懸濁液とする工程を含む、<1>に記載の塩基性炭酸重金属の製造方法、
<3><1>又は<2>に記載の製造方法により得られた塩基性炭酸重金属を、乾燥・焙焼して重金属酸化物粒子を得る工程を含む、重金属酸化物粒子の製造方法、
<4>重金属塩化物が塩化亜鉛であり、塩基性炭酸重金属が塩基性炭酸亜鉛であり、又は重金属酸化物粒子が酸化亜鉛粒子である、<1>〜<3>いずれか1つに記載の製造方法、
<5><4>に記載の製造方法により得られた酸化亜鉛粒子をマイクロ流路中でシランカップリング剤により表面処理する工程を含む、表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法、
<6><5>に記載の製造方法により製造された電子写真感光体、
<7><6>に記載の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、
<8><6>に記載の電子写真感光体を用いた画像形成装置。
前記<1>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、組成のばらつきを抑えた塩基性炭酸重金属を生成することができた。
前記<2>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、副成した塩の除去効率を高めた塩基性炭酸重金属を提供することができた。
前記<3>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、組成が均一であり、形状ばらつきを抑制した重金属酸化物粒子を提供することができた。
前記<4>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、組成の均一な塩基性炭酸亜鉛を中間生成物として製造することができ、最終的に表面構造のばらつきが抑制された酸化亜鉛粒子を提供することができた。
前記<5>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、電子写真感光体の下引層の使用に適した酸化亜鉛粒子を提供することができた。
前記<6>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、環境依存性や繰り返し使用時のばらつきの小さい良好な帯電特性及び画質を得ることができる電子写真感光体を提供することができた。
前記<7>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、環境依存性や繰り返し使用時のばらつきの小さい良好な帯電特性及び画質を得ることができるプロセスカートリッジを提供することができた。
前記<8>に記載の発明よれば、この構成を有しない場合に比べて、環境依存性や繰り返し使用時のばらつきの小さい良好な帯電特性及び画質を得ることができる画像形成装置を提供することができた。
以下に図面を参照しながら、本実施形態について述べる。
(塩基性炭酸重金属の製造方法)
本実施形態の塩基性炭酸重金属の製造方法<1>は、前段工程と後段工程からなり、いずれもマイクロ流路を有する装置(マイクロリアクター)中での工程であり、前段工程は重金属塩化物水溶液を炭酸ナトリウム水溶液により中和して、塩基性炭酸重金属を析出させる中和工程である。また、後段は前段の中和反応により副成した塩化ナトリウムを主生成物である塩基性炭酸重金属から除去する水洗工程である。本実施形態においては、前段工程と後段工程の少なくとも片方の工程を必須とするが、両工程を含む塩基性炭酸重金属の製造方法であることが好ましい。
また、前段工程と後段工程は1つのマイクロリアクター中で連続して実施してもよいが、それぞれ別のマイクロリアクター中で実施することもできる。
前記中和工程と前記水洗工程の間に、前記塩基性炭酸重金属を固液分離した後得られた塩基性炭酸重金属を水中に再分散して懸濁液とする工程を含む、<1>に記載の塩基性炭酸重金属の製造方法とすることが好ましい。
固液分離の方法については後述する。
(中和反応に使用するマイクロリアクター)
中和反応に用いるマイクロリアクターは、図1に例示するように、2種類の組成物をそれぞれ送液する第1のマイクロ流路L1及び第2のマイクロ流路L2、並びに、第1及び第2のマイクロ流路が合流して形成される第3のマイクロ流路L3を有する微小反応器である。
本実施の形態に用いるマイクロリアクターは、不図示であるが、第1、第2及び第3のマイクロ流路である、L1、L2及びL3を備え、マイクロミキサーを含む構成としてもよく、第1及び第2のマイクロ流路がマイクロミキサー(微小混合装置)に流入して、これから第3のマイクロ流路として排出させる構成としてもよい。
また、マイクロリアクターは、後に詳しく述べるように、必要に応じて原料組成物を送液するための送液ポンプP1、P2及びマイクロシリンジ1、2、温度制御手段等を備えていることが好ましい。
マイクロリアクターのマイクロ流路(微小流路)はマイクロスケールであるため、寸法及び流速がいずれも小さく、レイノルズ数は200以下であるため、マイクロスケールの流路を有するマイクロリアクターは、通常の反応装置のような乱流支配ではなく層流支配の装置である。
層流支配の装置内においては、2つの液体の流れを接触させても界面を通した拡散でしか混合できない。そして、マイクロスケールの空間で比界面積が大きいため、層流が接触する界面での拡散混合に有利である。
微小流路内において、2液の混合に要する時間は、2液の接する界面の断面積と液層の厚さに依存するため、拡散理論に従うと、混合時間(t)はt=W2/D(W:流路幅、D:拡散係数)となり、流路幅を小さくすればするほど拡散時間は速くなる。すなわち流路幅が1/10になれば混合時間は1/100になる。また、単位体積あたりの表面積が大きいために熱交換の効率がきわめて高く、温度制御が容易に行える。このような理由でマイクロリアクターの層流下の反応では、これまでのマクロな反応装置を用いる場合の乱流下での反応に比べて均一な反応を行えることが期待できるほか、マクロな混合装置を用いた場合の乱流下での混合に比べて均一な化学反応が期待できる。
このように、微小流路内で重金属塩化物水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を拡散混合することによって、塩基性炭酸重金属の均一な組成を得ることが可能となる。
図1を詳述すると、図1は本実施形態の塩基性炭酸重金属の製造方法に好適に使用される、マイクロリアクターの一例を示す概略構成図である。
図1に示すマイクロリアクター3は、組成物1aを送液する第1のマイクロ流路L1と、組成物2aを送液する第2のマイクロ流路L2と、マイクロ流路L1、L2それぞれの終端部に連結されており、組成物1aと組成物2aとを合流させ、拡散混合させるマイクロ流路L3とを備える。マイクロ流路L1の上流端部には組成物1aが収容されたマイクロシリンジ1が、マイクロ流路L2の上流端部には組成物2aが収容されたマイクロシリンジ2が連結されている。組成物1aは重金属塩化物水溶液を、また、組成物2aは塩化ナトリウム水溶液を充填することができる。
また、図1に示すように、マイクロシリンジ1内の組成物1a、マイクロシリンジ2内の組成物2a、はそれぞれ送液ポンプP1及びP2によりマイクロ流路L1、L2に押し出され、フィルターF1及びF2を通ってマイクロリアクター3に送液され、組成物1aと組成物2aとはマイクロ流路L3で合流して中和反応に基づく中和生成物3a1を生成し、中和生成物3a1は貯留容器4に貯留される。なお、ここでフィルターF1及びF2は、必ずしも設けなくともよい。
また、本実施の形態において、第1の組成物の送液速度V1及び第2の組成物の送液速度V2は、下記式(1)で表される条件を満たすように、第1及び第2の組成物それぞれをマイクロリアクターに送液することが好ましい。
1≦(V2/V1)≦100 (1)
上記範囲であると、中和反応がスムーズに進行し、生産性が良くなる。
本実施の形態に用いることができるマイクロリアクターの流路(チャンネル)の幅(流路径)は、好ましくは10〜1,000μmの範囲であり、より好ましくは15〜900μmの範囲であり、さらに好ましくは30〜800μmの範囲である。上記範囲であると、層流が良好に形成されるため、十分に分子拡散させることができる。従って、本実施の形態に用いることができるマイクロリアクターでは、組成物の流量及び流速はいずれも小さく、レイノルズ数(式ρUL/μで示され、液体の慣性力と粘性力の比を示し、200以下では層流支配域となる。ρは液体の密度、Uは平均流速、μは液体の粘性係数を示す。)は200以下となる。
マイクロリアクター中の微小流路は、固体基板上に微細加工技術により作製される。基板に使用される材料は、ガラス、セラミックス、シリコン、プラスチックのほかに、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、タングステン等の金属、又はその合金類が挙げられる。
微小流路を形成するための微細加工方法としては、例えば、X線を用いたLIGA技術を用いる方法、フォトリソグラフィー法によりレジスト部を構造体として使用する方法、レジスト開口部をエッチング処理する方法、マイクロ放電加工法、レーザー加工法、ダイヤモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法がある。これらの技術は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
また、マイクロリアクターを組み立てる際には、接合技術が用いられる。接合技術は、大きく固相接合と液相接合とに分けられる。固相接合には、陽極接合、直接接合、拡散接合等がある。また、液相接合には、融接、接着剤等がある。
マイクロリアクターには、ヒーター装置又は冷却装置を設置することもできる。その際、温度度制御装置を用いて温度調節することが好ましい。また、ヒーター装置または冷却装置はマイクロリアクター内に作り込むこともできる。本実施の形態においては、温度制御のために装置全体を温度制御された容器中にいれてもよく、分散液の混合状態を観察・制御するために、マイクロリアクター全体を透明にしたり、又はマイクロリアクター内に観察装置等を設置することもできる。
図1は、既に説明したように、上記前段工程を実施するための一実施態様を示す、いわゆるY字型のマイクロリアクターである。
塩基性炭酸重金属の製造方法は、重金属塩化物水溶液をマイクロ流路L1に送液し、炭酸ナトリウム水溶液をマイクロ流路L2に送液し、マイクロ流路L1及びマイクロ流路L2が合流するマイクロ流路L3において塩基性炭酸重金属を析出させる中和工程を前段工程とする。得られた塩基性炭酸重金属を含む反応液は容器4に貯留される。
別の実施形態では、マイクロ流路L3を、脱塩を目的とする洗浄マイクロリアクター装置のインレット側に接続することもできる。洗浄マイクロリアクターとしては、インレット側から導入されたマイクロ流路を芯流として、洗浄水がこの芯流の周囲を同心円流を形成して流れ、芯流から不純物イオンが周囲の同心円流に抽出されるような洗浄マイクロリアクターが例示できる。
(中和反応の化学量論)
塩基性炭酸重金属の製造方法において、重金属が亜鉛などの2価の陽イオンである場合には、重金属塩化物と炭酸ナトリウムの反応化学量論は、重金属塩化物の1モルに対して、炭酸ナトリウム0.9〜1.1モルであることが好ましく、0.95〜1.05モルであることがより好ましく、0.98〜1.02モルであることが更に好ましく、当モルを使用して完全中和することが特に好ましい。
ここで、「重金属」とは、比重が4.0以上の金属をいい、鉄、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、スズ、チタン、亜鉛が含まれる。
重金属としては、亜鉛、スズ、チタンが好ましく例示でき、亜鉛であることが好ましい。以下、重金属が亜鉛である場合について説明する。
重金属が亜鉛である場合には、塩基性炭酸重金属の製造方法において、重金属塩化物が塩化亜鉛となり、塩基性炭酸重金属が塩基性炭酸亜鉛となり、また、後述の重金属酸化物粒子が酸化亜鉛粒子となる。
塩化亜鉛を水溶液として完全に溶解するために鉱酸を少量加えることができる。この場合鉱酸としては、塩酸、硝酸、硫酸が例示できるが、塩酸が好ましい。塩酸を加えた場合には、中和反応において、その分だけ炭酸ナトリウムを過剰に使用することが好ましい。
2価の塩化亜鉛と炭酸ナトリウムをマイクロリアクターで反応させる場合、両化合物は水溶液として反応させることが好ましく、その濃度は適宜選択できるが、0.1〜10モル/Lの範囲が好ましく、0.5〜3モル/Lの濃度がより好ましい。
反応試薬として、塩化亜鉛の代わりに酢酸亜鉛を使用することもできる。また、塩化亜鉛と酢酸亜鉛の混合物を使用することもできる。
反応温度は、適宜選択できるが、10〜50℃とすることが好ましく、20〜30℃とすることがより好ましい。
マイクロリアクターに注入する反応液の、単位時間当たりの送液速度は、適宜選択できるが、0.1〜100ml/hrとすることが好ましい。
上記の中和反応を、塩化亜鉛水溶液を炭酸ナトリウム水溶液により中和して、塩基性炭酸亜鉛が析出する反応について説明する。この場合、生成する塩基性炭酸亜鉛の具体的な組成は、例えば、Zn5(CO32(OH)6(JCPDS191458)、Zn4CO3(OH)6・H2O(JCPDS361351)、2ZnCO3・3Zn(OH)2・H2O(化学工業日報社)、3Zn(OH)2・2ZnCO3(Merck Index)、Zn4(CO3)(OH)6・H2O(00-003-0787)のように標記されており、単一の組成というよりは、いくつかの混合物であるように考えられる。
また、これらを形成するときには、塩化ナトリウムが副成する。
図1において、マイクロ流路L3の中を塩化亜鉛水溶液と炭酸亜鉛水溶液が2層の層流を形成しながら送液され、この層流界面において2液が拡散混合されることにより、組成分布が一様な塩基性炭酸亜鉛が生成すると考えられる。
特に、マイクロリアクター全体は、温度調節をした水浴中に浸漬することにより温度制御が可能である。このような温度制御は、生成する塩基性炭酸亜鉛の組成分布を均一にするために有用である。
(固液分離工程)
本実施形態の塩基性炭酸重金属の製造方法において、前段階の前記中和工程と後段階の前記水洗工程の間に、中和反応により析出した前記塩基性炭酸重金属を固液分離した後得られた塩基性炭酸重金属を水中に再分散して懸濁液とする工程を実施することが好ましい。
固液分離の方法は公知の方法を採用することができ、遠心分離法やフィルター濾過法が含まれる。遠心分離法では、遠心分離操作により沈殿した固体の上澄みを除去する。固形分を再度水に再分散して遠心分離操作を繰り返すことにより副成塩の濃度を低下させることができる。フィルター濾過法では濾取した固形分をさらに水洗して付着する副成塩化ナトリウムを洗浄することが好ましい。
このように、中和工程の後に、固液分離して得られた固形分から、以下に詳述するマイクロ流路を用いた洗浄工程を採用することにより、痕跡の副成塩化ナトリウムを効率よく除去することができる。
(水洗工程に用いるマイクロリアクター)
図2は、塩基性炭酸重金属の製造方法の後段工程を実施するための一実施態様を示す、いわゆる2流路合流2流路分岐型のマイクロリアクターである。
この後段工程では、前記塩基性炭酸重金属の分散懸濁液をマイクロ流路L21に送液し、洗浄水をマイクロ流路L22に送液し、マイクロ流路L21とマイクロ流路L22とが合流するマイクロ流路L23において懸濁液と洗浄水とが層流を形成しながら送液され、残存する水溶性塩が塩基性炭酸重金属から洗浄水側に移動する水洗工程を含み、精製された塩基性炭酸重金属の懸濁液をマイクロ流路L24から排出して、塩化ナトリウムを含む洗浄水をマイクロ流路L25から排出する。
このような水洗マイクロリアクターは、必要に応じて、2つ以上を直列に接続して使用してもよい。
また、重金属としては亜鉛が好ましい。
図2に示すマイクロリアクター23は、組成物21aを送液する第1のマイクロ流路L21と、組成物22aを送液する第2のマイクロ流路L22と、マイクロ流路L21、L22それぞれの終端部に連結されており、組成物21aと組成物22aとを合流させ、拡散混合させるマイクロ流路L23とを備える。マイクロ流路L21の上流端部には組成物21aが収容されたマイクロシリンジ21が、マイクロ流路L22の上流端部には組成物22a(単一物質の場合を含む。)が収容されたマイクロシリンジ22が連結されている。組成物21aとして塩基性炭酸重金属の分散物を、また、組成物22aとして洗浄水を充填することができる。水洗された塩基性炭酸重金属の分散物は生成塩基性炭酸亜鉛含有液24a1としてマイクロ流路L24を経て貯留容器24に貯留される。洗浄水は排出洗浄水25a1としてマイクロ流路L25を経て貯留容器25に貯留される。
図2は、図1と同様の構成を採っており、詳細な説明は重複するので割愛する。なお、フィルターF21及びF22は、必ずしも設けなくともよい。
(乾燥・焙焼)
痕跡の塩化ナトリウムを除去した塩基性炭酸重金属(好ましくは塩基性炭酸亜鉛)は、乾燥した後焙焼することにより脱炭酸を行って重金属酸化物(好ましくは酸化亜鉛)とすることができる。
乾燥温度は、適宜選択できるが、100〜160℃の温度が好ましく、2〜20時間乾燥することが好ましい。
焙焼温度は、350〜600℃が好ましい。焙焼時間は1〜10時間とすることができる。重金属酸化物として酸化亜鉛が得られたことはX線回折により確認することができる。平均粒子径が50〜100nmの微細な一次粒子が得られる。
(酸化亜鉛粒子の表面処理)
得られた酸化亜鉛粒子は、表面処理剤で表面処理を行うことにより、結合剤である合成樹脂とのぬれ及び相溶性を改良することができる。
ここで「金属酸化物粒子の表面処理」とは、金属酸化物粒子表面に表面処理剤を反応させ、金属酸化物粒子表面の少なくとも一部を化学的に処理することである。
本実施形態により得られた重金属酸化物粒子、好ましくは酸化亜鉛粒子は、マイクロ流路中でシランカップリング剤により表面処理することが好ましい。
金属酸化物粒子の表面処理をマイクロリアクター中で行うことは公知であり、特開2007−331987号公報に記載されている。以下にその要点を述べる。
図3を参照すると、本実施形態の酸化亜鉛粒子を表面処理する工程は、3種類の組成物をそれぞれ送液するマイクロ流路L31、L32及びL34、マイクロ流路L31及びL32が合流して形成される中間合流マイクロ流路L33、並びに、マイクロ流路L33に別のマイクロ流路L34が合流して形成される最終合流マイクロ流路L35を有するマイクロリアクターを用意する工程、金属酸化物粒子と溶剤とを含む第1の組成物31aをマイクロ流路L31に送液し、前記金属酸化物粒子に反応性を有する表面処理剤と溶剤とを含む組成物32aをマイクロ流路L32に送液してマイクロ流路L33において金属酸化物粒子の表面処理を行う工程、並びに、表面処理剤を失活させる失活剤と溶剤とを含む組成物33aを別のマイクロ流路L34に送液してマイクロ流路L35において過剰の表面処理剤を失活させる工程、を有する。
次いで、上記の表面処理方法により表面処理された金属酸化物粒子は、結合剤、及び添加剤と共に分散処理して得られる下引層用塗布液を導電性基体上に塗設することにより下引層を形成する工程に使用される。
本実施の形態において表面処理剤として用いられる化合物としては、例えばジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等の反応性の有機金属化合物及びシランカップリング剤などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの有機金属化合物の中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物、特にジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、チタニウムキレート化合物及びシランカップリング剤は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用されるが、特にその中でもシランカップリング剤は、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上の点でより好ましい。
シランカップリング剤としては所望の感光体特性を得られるものであればいかなるものでも用いることができる。具体的なシランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのシランカップリング剤は2種以上を混合して使用することもできる。
表面処理剤と一緒に使用する溶剤としては、前記第1の組成物で使用した溶剤と同様に、通常の有機溶剤を用いることができる。前記表面処理剤と溶剤の混合液の濃度は、好ましくは0.001〜10重量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜8重量%の範囲であり、さらに好ましくは0.05〜7重量%の範囲である。上記範囲であると、電気特性、環境安定性及び画質向上において優れた効果が得られ、材料コスト面においても適切である。
<失活剤>
第3の組成物に使用される失活剤としては、使用した表面処理剤と反応し失活させる化合物であれば、特に制限はないが、水、アルコール類、酸等を好ましく用いることができ、イオン交換水、純水、または蒸留水等の精製した水を用いることがより好ましい。また、特に表面処理剤としてシランカップリング剤を用いた場合、失活剤として水を用いることが好ましい。前記失活剤と溶剤の混合液における溶剤濃度は、好ましくは0.1〜50重量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜40重量%の範囲であり、さらに好ましくは1〜30重量%の範囲である。
さらに本実施の形態において第3の組成物として失活剤と一緒に使用する溶剤としては、酢酸、又はメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類を使用することが好ましい。
<Si強度>
本実施の形態において、前記金属酸化物粒子に対する表面処理剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であることが必須である。電子写真特性は表面処理後に金属酸化物粒子に付着している量によって影響され、その付着量はシランカップリング剤を使用した場合には、蛍光X線分析におけるSi強度と該金属酸化物の主たる金属元素強度から求められる。蛍光X線分析における好ましいSi強度は該金属酸化物の主たる金属元素強度の1.0×10-5〜1.0×10-2の範囲である。上記範囲であると、下引層から感光層(電荷発生層)への電荷注入や、残留電位を抑制するため、優れた画質が得られる。本実施の形態においては、マイクロリアクターを用いた表面処理方法を採用することにより、金属酸化物粒子の表面に表面処理剤を均一に付着させることが可能となるために、従来の表面処理方法の場合と比較して、金属酸化物粒子に対する表面処理剤の付着量が若干増加しやすいことが特徴である。
(乾燥又は焼き付け処理)
前記マイクロリアクターにより表面処理された金属酸化物粒子は、その後、この液から蒸留、ろ過、遠心分離等の方法により溶剤を留去した後、乾燥させることができる。
また、前記マイクロリアクターにより表面処理された金属酸化物粒子は、焼き付け処理を行ってもよい。これにより表面処理剤の脱水縮合反応を十分に進行させることができる。焼き付け処理は所望の電子写真特性が得られる温度であれば任意の温度条件で実施できるが、先に述べた表面処理剤を用いる場合には、100℃以上の温度で行うことが好ましく、150〜250℃の温度で行うことがより好ましい。上記範囲であると、表面処理剤を熱により分解させることなく、脱水縮合反応を十分に進行させることができる。次に、必要に応じて、表面処理後の金属酸化物粒子を解砕する。これにより、金属酸化物粒子の凝集体を解砕することができるので、下引層中における金属酸化物粒子の分散性を向上させることができる。
(電子写真感光体の層構成例)
図4は、本実施の形態の電子写真感光体の一実施形態を示す断面図である。図4に示すように、電子写真感光体100は、導電性基体103と、下引層104と、感光層106と、感光層106を構成する電荷発生層101と電荷輸送層102から構成されている。この下引層104は、先に述べた本実施の形態の中和工程と水洗工程により製造された酸化亜鉛粒子を表面処理方法により表面被覆処理された酸化亜鉛粒子、結合剤及び添加剤とともに分散処理して得られる下引層用塗布液を使用して塗設されるものである。
(電子写真感光体の下引層)
下引層、特に分散型下引層は、導電性微粉末として用いられる金属酸化物粒子の分散性の制御が困難なために膜抵抗が変動しやすく、電荷発生層との界面での注入阻止の低下が原因と考えられる黒点やカブリ等の画質欠陥を生じやすい。また、それらの影響を改善するために層中の抵抗を高めに設定して電気的導通路が形成されにくいようにした場合には、層中の不純物や欠陥部がトラップサイトとなってネガ・ゴーストの発生や、残留電位の上昇等が発生している。
表面処理剤の量の調整や、下引層に電子受容性物質や電子輸送性物質などの添加剤を含有させる手法を用いた場合でも、下引層の厚膜化による耐ピンホールリーク性能向上と電気特性の両立や、カブリやネガ・ゴースト等の画質欠陥の発生防止など、感光体に要求されるすべての品質を満足しうる下引層を得ることは非常に困難である。
鋭意検討の結果、表面処理を行う前の重金属酸化物の基材にばらつきがあり、後工程である重金属酸化物の表面処理工程にマイクロリアクタを利用し表面処理状態を制御する手法だけでは不十分であることがわかった。重金属酸化物の基材のばらつきとして、(1)重金属酸化物の中間生成物である塩基性炭酸亜鉛の組成ばらつき、(2)カチオン残存による粒子形状ばらつきが考えられる。(1)について、例えば酸化亜鉛の場合、種々の文献によれば中間生成物である塩基性炭酸亜鉛として数種の異なる組成が記載されている。
また(2)について、Na+のような強い付着力を持つカチオンを核としシリカ粒子が吸着するとの報告がある。同様に、金属酸化物粒子の酸化反応時に生成されるカチオンが存在すると金属酸化物粒子がその周囲に吸着しその後の乾燥工程・焙焼工程を経ることにより凝集してしまう可能性がある。カチオン量が多いと凝集状態は制御不能となり、最終製品の特性・粒径がばらつく原因となる。
これに対して、前記<1>又は<2>に記載の方法により塩基性重炭酸重金属を製造した後、<3>に記載の方法により重金属酸化物粒子を製造すると、組成が均一であり、形状ばらつきを抑制した重金属酸化物が得られる。
本実施の形態による表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法は、上記の製造方法により得られた酸化亜鉛粒子をマイクロ流路中でシランカップリング剤により表面処理する工程を含む。
また、本実施の形態による電子写真感光体は、上記の製造方法により製造された表面処理酸化亜鉛粒子、結合剤、及び添加剤を分散処理して得られる下引層用塗布液を導電性基体上に塗設することにより得られる下引層を含有する。
図3に本実施の形態の重金属酸化物の表面処理に好適に使用されるマイクロリアクター装置の一例を概略構成図として示す。
すなわち、本実施の形態による電子写真感光体の下引層の製造方法は、3種類の組成物をそれぞれ送液する第1、第2及び第3の微小流路、第1及び第2の微小流路が合流して形成される中間合流流路、並びに、該中間合流流路に第3の微小流路が合流して形成される最終合流流路を有するマイクロリアクターを用意する工程、金属酸化物粒子と溶剤とを含む第1の組成物を第1の微小流路に送液し、前記金属酸化物粒子に反応性を有する表面処理剤と溶剤とを含む第2の組成物を第2の微小流路に送液して中間合流流路において金属酸化物粒子の表面処理を行う工程、並びに、表面処理剤を失活させる失活剤と溶剤とを含む第3の組成物を第3の微小流路に送液して最終合流流路において過剰の表面処理剤を失活させる工程、を有する表面処理方法により表面処理された金属酸化物粒子、結合剤、及び添加剤を分散処理して得られる下引層用塗布液を導電性基体上に塗設することにより下引層を形成する工程を含むことを特徴とする。
また、本実施の形態による電子写真感光体の下引層の製造方法は、導電性基体上に少なくとも1層の下引層を塗設する工程を含み、さらに引き続いて、少なくとも1層の感光層を塗設する工程を設けて、積層型の電子写真感光体を製造するために使用することができる。
以下、図4を参照しつつ、本実施の形態の好適な代表的実施形態について説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
また、本実施形態により得られた感光体は、図4に示すように感光層を2層(電荷発生層と電荷輸送層)とする場合には、高解像度を得るための電荷発生層より上方に配置される層は50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層の膜厚が25μm以下の薄膜の場合、保護層を電荷輸送層上に配置した構成の感光体が特に有効に用いられる。
以下、電子写真感光体の構成について、詳細に説明する。
(導電性基体)
図4に示す導電性基体103は、導電性を有していれば特に限定されるものはなく、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属ドラムを使用することができる。また、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状のもの使用できる。さらには、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に、酸化インジウム等の導電性金属化合物を蒸着するか、又は金属箔をラミネートすることによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の物も使用できる。また、この他にも、カーンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結合剤に分散し、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に塗設することよって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の物等も使用することができる。
ここで、金属パイプ基体を導電性基体103として用いる場合、その表面は素管のままであっても、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理等の処理を行ってもよい。表面処理を行わない基体表面を粗面化することによりレーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
(下引層)
下引層104は、画質欠陥の防止に関して大きな役割をはたし、基体の欠陥や汚れあるいは感光層中の塗膜欠陥やむらに起因する画質欠陥を抑制するために重要な機能層である。下引層は、先に述べた表面被覆処理された金属酸化物粒子、結合剤及び添加剤を分散処理して得られる下引層用塗布液を導電性基体上に塗設することにより形成される。
(1)下引層の結合剤
下引層形成用塗布液の結合剤(バインダー樹脂、結着樹脂)としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。下引層形成用塗布液中の金属酸化物粒子と結合剤との比率は所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
(2)下引層の添加剤
下引層形成用塗布液には電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を用いることができる。添加剤としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン化合物、テトラシアノキノジメタン化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール化合物、キサントン化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性化合物、多環縮合化合物、アゾ化合物等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。これらの中でも、電子輸送性化合物や電子輸送性顔料等のアクセプター性化合物であることが好ましい。
ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
シランカップリング剤は金属酸化物粒子の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いることもできる。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらの添加剤は1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、また、複数の化合物の混合物又は重縮合物として用いてもよい。
下引層における添加剤の使用量は、金属酸化物粒子の使用量に対し、0.1〜10重量%であることが好ましい。上記範囲であると、分散性と塗布適性が改善され、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等の効果が得られるため好ましい。
(3)下引層の塗布溶媒
下引層形成用塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤を用いることができる。例えば、アルコール、芳香族、ハロゲン化炭化水素、ケトン、ケトンアルコール、エーテル、エステル等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の有機溶剤を用いることができる。また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結合剤を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
(4)下引層塗布液用の金属酸化物の分散方法
前記金属酸化物粒子を結合剤中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。
(5)下引層の塗設方法
さらにこの下引層を設けるときに用いる塗設方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ビーム法、インクジェット法等の通常の方法を用いることができる。このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層が成膜される。下引層は、塗布後、乾燥機内で乾燥もしくは自然乾燥により、膜中の溶剤を除去することが好ましい。乾燥温度、時間については、必要に応じ任意に設定できる。
(6)下引層表面の硬度、厚さ及び表面粗さ
また、下引層は、ビッカース硬度が35以上とされていることが好ましい。さらに、下引層は、厚さが15μm以上が好ましく、さらに好ましくは20μm以上50μm以下とされていることが好ましい。さらに、下引層の表面粗さはモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)〜λに調整される。表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加することもできる。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂粒子等を用いることができる。下引層は表面粗さ調整のために研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることができる。
(感光層(電荷発生層))
図4に示す感光層106を構成する電荷発生層101は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布する(以下、「分散塗布」ともいう。)ことにより形成される。分散塗布により電荷発生層を形成する場合、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹脂、添加剤等とともに分散し、得られた分散液を塗布することにより電荷発生層は形成される。
(1)電荷発生材料
本実施の形態において使用される電荷発生物質としては、クロロダイアンブルー等のアゾ顔料、臭素化アントアントロン、ピレンキノン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、アズレニウム塩、スクエアリウム、キナクリドン等が挙げられる。上記電荷発生物質の中で、フタロシアニン顔料は、レーザープリンター等のデジタル記録用の感光体に使用する電荷発生物質として最も効果的であり、特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましいものとして挙げられるが、本実施の形態においてはこれらに限定されるものではない。
本実施の形態について、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を例にとって説明する。本実施の形態において好適に用いられる、優れた感度と環境安定性を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、22.1°、24.1°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が選択される。上記結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、1,3−ジイソイミノインドリンと三塩化ガリウムを溶媒中で加熱縮合して得られるクロロガリウムフタロシアニンを、硫酸、トリフルオロ酢酸等の酸で溶解した後、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液または冷水中で再析出してアシッドペースティングし(I型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの作製)、その後、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤を用いて溶剤処理して結晶変換することによって作製される。
本実施の形態においては、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の中でも、特に分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピークが810〜839nmに吸収を有することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンが、粗大粒子の含有がないことや顔料粒子の微細性などの効果により、最も好ましく用いることができる。このようなヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、前記アシッドペースティング処理によって得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンを溶剤とともに湿式粉砕処理して結晶変換することによって得られるが、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法では、該湿式粉砕処理が、外径0.1〜3.0mmの球状状メディアを使用した粉砕装置が好ましく、外径0.2〜2.5mmの球状状メディアを用いることが特に好ましい。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成し易い。また、0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を分離し難くなる。さらに、メディアが球状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の特性を劣化させ易くなる。
メディアの材質は、いかなるものでも使用できるが、顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生しにくいものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノーなどを好ましく使用できる。
容器材質もいかなるものでも使用できるが、顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生しにくいものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)(デュポン社)、ポリフェニレンサルファイドなどを好ましく使用できる。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイドなどをライニングしてもよい。
メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン1重量部に対して50重量部以上、好ましくは55〜100重量部が選択される。また、メディアの外径が小さくなると同じ重量でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量をコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
また、該湿式粉砕処理の温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは5〜80℃、さらに好ましくは10〜50℃の範囲で行う。上記範囲であると、適切な結晶転移の速度を保つことができ、容易に適当な粒子サイズとすることができる。
前記湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、前記有機溶剤を用いることができる。これらの溶剤の使用量はヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して通常1〜200重量部、好ましくは1〜100重量部が選択される。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
結晶変換の進行スピードは、湿式粉砕処理工程のスケール、撹拌スピード、メディア材質などによって大きく影響されるが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピークが810〜839nmの範囲内に吸収を有するように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら、所定のヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換されるまで継続する。一般的には、湿式粉砕処理の処理時間は5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲で行われる。処理時間が5時間より少ないと、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足の問題が生じやすい。また、処理時間が500時間より増えると、粉砕ストレスの影響により感度低下を生じるほか、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などの問題が生じる。湿式粉砕処理時間をこのように決定することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン粒子が均一に粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となり、複数ロットの繰り返し湿式粉砕処理を実施した場合における、ロット間の品質ばらつきを抑えることが可能となる。
(2)電荷発生層の結合剤
電荷発生層用分散液の製造方法において使用される結合剤(バインダー樹脂、結着樹脂)としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリエステルカーボネート、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル単独重合体又は共重合体、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリブタジエン、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの部分架橋硬化物等が挙げられ、これらの結着樹脂のうちの1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(3)電荷発生層分散液の溶剤
電荷発生層用分散液の製造方法において使用される溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。
(4)電荷発生層の配合量
結合剤溶液の固形分濃度としては0.1〜10重量%の範囲であることが好ましく、1.0〜7.0重量%の範囲がより好ましい。上記範囲であると、分散液中の電荷発生物質の量が適切なため、良好な感度が得られ、また、分散液の粘度が適切であるため、感光体塗布時の生産性も良い。
また、前記電荷発生物質と溶剤の混合液の固形分濃度は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%の範囲である。上記の数値範囲内であると、塗膜接着性や密着性が良好であり、感度やサイクル安定性に優れた電荷発生層が得られる。前記電荷発生物質と溶剤はあらかじめ分散処理を施しておくことが好ましく、この場合の分散処理を行う方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられる。
(5)電荷発生層の塗設方法
電荷発生層101を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。電荷発生層塗布後、乾燥機内で乾燥もしくは自然乾燥により、膜中の溶剤を除去する。乾燥温度、時間については、任意に設定できる。
(6)電子写真感光体の添加剤
また、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、本実施の形態の電子写真感光体の感光層には、酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤等の添加剤を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
具体的には、例えば、メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフィート等が挙げられる。
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系等の1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系等の誘導体が挙げられる。
例えば、ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他の化合物としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメート等がある。
また、感光層には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
本実施の形態に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、−Cl、−CN、−NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましく用いられる。さらに、本実施の形態の感光層形成用塗布液には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
(感光層(電荷輸送層))
(1)電荷輸送物質
次に電荷輸送層について説明する。電荷輸送層に含有される電荷輸送物質は、特に限定されるものではなく、公知の物質を使用することができる。例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−ニトリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質等が挙げられる。さらには、電荷輸送物質は、以上例示した化合物の基本構造を主鎖又は側鎖に有する重合体等も挙げられる。そして、これらの電荷輸送物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用することもできる。
(2)電荷輸送層の結合剤
また、電荷輸送層に含有される結合剤は特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができるが、電機絶縁性のフィルムを形成することが可能な樹脂が好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。そして、これらの結合剤は、単独又は2種類以上混合して用いることができる。特に、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送物質との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れているので好ましく用いられる。
(3)電荷輸送層の配合比
また、結合剤と電荷輸送物質との配合比(重量比)は電気特性低下、膜強度低下に考慮しつつ任意に設定することができる。この電荷輸送層の層厚は5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
(4)電荷輸送層の製造方法
電荷輸送層は、電荷輸送物質、有機溶剤、結合剤等を混合して塗布液を調製し、これを電荷発生層上に塗布して更に乾燥させることにより形成することができる。
電荷輸送層の形成用の塗布液を調製するには、電荷輸送物質、有機溶剤、結合剤等とともに混合する。電荷輸送物質を液中に高分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の分散方法を用いることができる。
さらに、成膜性の観点から、電荷輸送層を形成するための塗布液に含まれる顔料等の分散粒子の粒子径は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.15μm以下であることが更に好ましい。分散粒子の粒子径が0.5μmを超えると、電荷輸送層の成膜性が悪くなり、画質欠陥を生じ易い。
さらに、電荷輸送層の形成用の塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送層の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ビード法、インクジェット法等の通常の方法を用いることができる。
(感光層(単層型))
図4に示す感光層106は、電荷発生層101と電荷輸送層102を別層として設けているが、図5に示す電子写真感光体110のように、電荷発生物質と電荷輸送物質をはじめとする物質を合わせて含有する単層型の感光層106とすることができる。感光層がこのように単層型の場合には、顔料の含有量は、感光層の全重量に対して、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。上記の範囲であると、適度な感度が得られ、帯電性の低下などの弊害が発生しない。
また、このように感光層が単層型の場合、結合剤としては、正孔輸送性材料との相溶性の観点から、特にポリカーボネート樹脂及びメタクリル樹脂が好ましく用いられる。さらに、これらの樹脂のポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性材料の中から選択して使用してもよい。なお、上記の結合剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。この感光層も、上述した電荷発生物質、上述した電荷輸送物質、上述した有機溶剤、結合剤等を混合して塗布液を調製し、上述と同様の方法により導電性基体上に塗布して更に乾燥させることにより形成することができる。
(中間層)
下引層104と感光層106との間に、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために中間層を設けてもよい。この中間層の構成材料は特に限定されず、合成樹脂、有機物質あるいは無機物質の粉末、電子輸送性物質から任意に選択することができる。中間層の詳細は、特開2007−331987号公報の段落0107〜0117に記載されている。
(保護層)
図4において、不図示であるが、保護層は、電子写真感光体100の帯電時の電荷輸送層102の化学的変化を防止したり、感光層106の機械的強度をさらに改善するために用いることができる。この保護層は、導電性材料を適当な結合剤中に含有させた塗布液を感光層106上に塗布することにより形成することができる。
この保護層は、例えば、硬化性樹脂、電荷輸送物質を含むシロキサン樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させた構成を有する。硬化性樹脂としては公地の樹脂であれば何でも使用できるが、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン樹脂等が挙げられる。電荷輸送物質を含むシロキサン樹脂硬化膜の場合、電荷輸送物質として公知の材料であればいかなるものでも使用可能である。例えば、特開平10−95787号公報、特開平10−251277号公報、特開平11−32716号公報、特開平11−38656号公報、特開平11−236391号公報に示された化合物等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
その他保護層に使用できる詳細な材料、保護層の厚み及び保護層塗設に適した溶媒についての記載は、特開2007−331987号の段落0120〜0127に記載されている。
(プロセスカートリッジ及び画像形成装置)
次に、本実施の形態の電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ及び画像形成装置について説明する。
本実施の形態のプロセスカートリッジは、本実施の形態の電子写真感光体、並びに、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも1種、を備えることを特徴とする。
すなわち、本実施の形態のプロセスカートリッジは、重金属塩化物水溶液をマイクロ流路L1に送液し、炭酸ナトリウム水溶液をマイクロ流路L2に送液し、マイクロ流路L1及びマイクロ流路L2が合流するマイクロ流路L3において塩基性炭酸重金属を析出させる中和工程、及び/又は、前記塩基性炭酸重金属の懸濁液をマイクロ流路L21に送液し、洗浄水をマイクロ流路L22に送液し、マイクロ流路L21とマイクロ流路L22とが合流するマイクロ流路L23において残存する水溶性塩を前記塩基性炭酸重金属から除去する水洗工程、を含む製造方法により得られた塩基性炭酸重金属を原料として、この塩基性炭酸重金属を、乾燥・焙焼して得られる重金属酸化物粒子をさらにマイクロ流路中でシランカップリング剤により表面処理して得られた表面処理重金属酸化物粒子を下引層に含有する電子写真感光体を含むことを特徴とする。
本実施の形態の電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、好ましくは、塩化亜鉛水溶液をマイクロ流路L1に送液し、炭酸ナトリウム水溶液をマイクロ流路L2に送液し、マイクロ流路L1及びマイクロ流路L2が合流するマイクロ流路L3において塩基性炭酸亜鉛を析出させる中和工程、及び/又は、前記塩基性炭酸亜鉛の懸濁液をマイクロ流路L21に送液し、洗浄水をマイクロ流路L22に送液し、マイクロ流路L21とマイクロ流路L22とが合流するマイクロ流路L23において残存する水溶性塩を前記塩基性炭酸亜鉛から除去する水洗工程、を含む製造方法により得られた塩基性炭酸亜鉛を原料として、この塩基性炭酸亜鉛を、乾燥・焙焼して得られる酸化亜鉛粒子をさらにマイクロ流路中でシランカップリング剤により表面処理して得られた表面処理酸化亜鉛粒子を下引層に含有する電子写真感光体を含む。
上記のようにして製造され、次いで表面処理された酸化亜鉛粒子は、結合剤、及び添加剤と共に分散して下引層用塗布液とされ、この下引層塗布液は導電性基体上に塗設することにより下引層を含む電子写真感光体とすることができる。さらに、電子写真感光体に必要な、電荷発生層と電荷輸送層を塗設することにより電子写真感光体とすることができる。
また、本実施の形態の画像形成装置は、本実施の形態の電子写真感光体、前記電子写真感光体に静電荷を帯電させる帯電手段、帯電した前記電子写真感光体に露光する露光手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段、を備えることを特徴とする。
本実施の形態の電子写真感光体は、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザープリンター、デイジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリ等の電子写真装置や、このような画像形成装置に備えられるプロセスカートリッジに搭載することができる。レーザービームとしては高精細な画像を得るために350〜800nmの光を発振するレーザーが好ましい。さらに、レーザービームとしては高精細な画像を得るためにスポット径1×104μm2以下が好ましく、3×103μm2以下がより好ましく用いられる。
また、本実施の形態の電子写真感光体は一成分系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも合わせて用いることができる。さらに、高精細な画像を得るためのトナーの粒子径としては、10μm以下が好ましく、更に8μm以下が好ましく用いられる。これらのトナーは公知の製造方法により得ることができるが、特に溶解懸濁法、重合法によって得られる球状トナーが好ましく用いられる。また、トナーには表面潤滑剤(金属脂肪酸塩)や研磨効果を有する粒子を添加することもできる。
また、本実施の形態の電子写真感光体は帯電ローラーや帯電ブラシを用いた接触帯電方式の画像形成装置に搭載されても電流リークの発生が少ない良好な特性が得られる。
図6は、本実施の形態の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図6に示す画像形成装置200は、電子写真感光体7と、電子写真感光体7をコロナ放電方式により帯電させるコロトロンやスコロトロン等の帯電手段8と、帯電手段8に接続された電源9と、帯電手段8により帯電される電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成する露光手段10と、露光手段10により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段11と、現像手段11により形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写手段12と、クリーニング装置13と、除電器14と、定着装置15とを備える。
また、図7は、図6に示す画像形成装置とは別の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図7に示す画像形成装置210は、電子写真感光体7を接触方式により帯電させる帯電手段8を備えていること以外は、図6に示した画像形成装置200と同様の構成を有する。特に、直流電圧に交流電圧を重畳した接触式の帯電手段を採用する画像形成装置においては、優れた耐摩耗性を有するため、好ましく使用できる。なお、この場合には、除電器14が設けられていないものもある。
帯電手段(帯電用部材)8は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置され、感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。帯電手段8にはアルミニウム、鉄、銅等の金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料にカーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化けい素、金属酸化物等を分散したもの等を用いることができる。
この金属酸化物の例としてはZnO、SnO2、TiO2、In23、MoO3等、あるいはこれらの複合酸化物が挙げられる。また、帯電手段8にはエラストマー材料中に過塩素酸塩を含有させて導電性を付与したものを使用してもよい。
さらに、帯電手段8にはその表面に被覆層を設けてもよい。被覆層を形成する材料としては、N−アルコキシメチル化ナイロン、セルロース樹脂、ビニルピリジン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、メラミン等が単独、あるいは併用して用いられる。また、エマルジョン樹脂系材料、たとえば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、ポリウレタン、特にソープフリーのエマルジョン重合により合成されたエマルジョン樹脂を用いることもできる。
これらの樹脂にはさらに抵抗率を調整するために、導電剤粒子を分散してもよいし、劣化を防止するために酸化防止剤を含有させることもできる。また、被覆層を形成する時の成膜性を向上させるために、エマルジョン樹脂にレベリング剤または界面活性剤を含有させることもできる。また、この接触帯電用部材の形状としては、ローラー型、ブレード型、ベルト型、ブラシ型、等が挙げられる。
さらに、帯電手段8の電気抵抗値は、好ましくは102〜1014Ωcm、さらに好ましくは102〜1012Ωcmの範囲が良い。また、この接触帯電用部材への印加電圧は、直流、交流いずれも用いることができる。また、直流+交流の形で印加することもできる。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
<塩基性炭酸亜鉛の製造>
1mol/Lの塩化亜鉛水溶液(組成物1a)、及び1mol/L炭酸ナトリウム水溶液(組成物2a)を、それぞれ、図1に示すようなマイクロリアクター装置の、送液ポンプP1、P2を備えたマイクロシリンジ1、2にセットし、それぞれマイクロリアクター3における流路L1、L2のインレット部に送液した。
なお、マイクロリアクター3におけるマイクロ流路L1、L2、L3の幅は、それぞれ300μmであり、深さ300μm、マイクロ流路L3の長さは60cmとした。
まず、マイクロ流路L1及びL2の流量(送液速度)をそれぞれ20ml/hr及び20ml/hrに設定して送液したところ、マイクロ流路L3においてマイクロ流路L1から送液された組成物1aとマイクロ流路L2から送液された組成物2aが合流した。マイクロ流路L3において合流したマイクロ流路L1から送液された組成物1a及びマイクロ流路L2から送液された組成物2aはそれぞれ2層の層流を形成し、マイクロ流路L3を通過しながら拡散混合され、塩化亜鉛と炭酸ナトリウムの中和反応が進行した。ここで、「中和反応」とは、塩基性炭酸亜鉛を生成すると共に、塩化ナトリウムを副成する反応をいう。マイクロ流路L3を通過しながら層流界面において拡散混合した塩基性炭酸亜鉛の析出物を含む組成物3a1は連続的にマイクロリアクター3のアウトレット部より排出され、貯留容器4に回収された。マイクロ流路L3を含むマイクロリアクター3の全体を、図示されていない温度制御装置で25℃に調節しながら、中和反応を進行させた。このとき中和生成物の漏洩、損失は全くなかった。回収した水溶液のpHは8であった。
<濾過洗浄>
組成物3aをフィルターでろ過して得られた析出物1重量部をイオン交換水10重量部に分散し組成物21aを得た。組成物21aとイオン交換水(洗浄水22a)、それぞれを図2に示すようなマイクロリアクターの、送液ポンプP21、P22を備えたマイクロシリンジ21、22にセットし、それぞれマイクロリアクター23におけるマイクロ流路L21、L22のインレット部に送液した。
なお、マイクロリアクター23におけるマイクロ流路L21、L22、L23、L24、L25の幅は、それぞれ300μmであり、深さ120μm、マイクロ流路L23の長さは50cmとした。
まず、マイクロ流路L21及びL22の流量(送液速度)をそれぞれ10ml/hr及び50ml/hrに設定して送液したところ、マイクロ流路L23においてマイクロ流路L21から送液された組成物21aとマイクロ流路L22から送液された組成物22aが合流した。マイクロ流路L23において合流したマイクロ流路L21から送液された組成物21a及びマイクロ流路L22から送液された組成物22aはそれぞれ2層の層流を形成し、塩基性炭酸亜鉛の脱塩処理が行われた後、マイクロ流路L23を通過しながらマイクロ流路L24から連続的に、貯留容器24に回収された。イオン交換水は、マイクロ流路L25から貯槽容器25に洗浄水25a1として回収された。得られた塩基性炭酸亜鉛を含む流体の上澄み液を採取し、汚染性の指標である上澄み液の電気伝導度を調べたところ、処理前の組成物21aでは約4,000μS/cmであったが、処理後の流体21a1では100μS/cmへと低下し、目標の脱塩処理が連続的に迅速に行えたことが確認できた。
<乾燥・焙焼>
得られた流体21a1を150℃12時間で乾燥した後、550℃3時間で培焼し、粉体を得た。得られた粉体はX線回折の結果、酸化亜鉛であることが確認された。また粉砕後この粉体を走査型顕微鏡(SEM)ならびに透過型顕微鏡(TEM)にて観察したところ、平均粒子径70nmの微細な一次粒子であった。
<酸化亜鉛粒子の表面処理>
酸化亜鉛1部をトルエン20部とともに、ホモミキサー(エースホモジナイザー、日本精機(株)製)に投入し、毎分15,000回転で2分間撹拌し、固形分濃度4.76重量%の酸化亜鉛混合液として組成物31aを調製した。
表面処理剤としてシランカップリング剤(KBM603、信越化学工業(株)製)0.15部を使用し、トルエン20部とともに混合撹拌して組成物32Aを調整した。
水と酢酸の重量比が97:3の混合溶液20部(酢酸濃度3重量%水溶液)を作製して組成物33aを調製した。
上記組成物31a、組成物32a、組成物33aを、それぞれ図3に示すようなマイクロリアクター処理装置の、送液ポンプP31、P32、P33を備えたマイクロシリンジ331、332、及び333にセットし、それぞれマイクロリアクター336におけるマイクロ流路L31、L32、L33のインレット部に送液した。
なお、マイクロリアクター336におけるマイクロ流路L31、L32、L33、L34、L35の幅は、それぞれ300μm、500μm、500μm、500μm、500μm、であり、深さもそれぞれ300μm、500μm、500μm、500μm、500μmとして、マイクロ流路L34、L35の長さはそれぞれ60cm、20cmとした。
まず、マイクロ流路L31及びL32の流量(送液速度)をそれぞれ20ml/hr及び25ml/hrに設定して送液したところ、マイクロ流路L34においてL31から送液された組成物31aとL32から送液された組成物32aが合流した。マイクロ流路L33において合流したマイクロ流路L31から送液された組成物31a及びマイクロ流路L32から送液された組成物32aはそれぞれ2層の層流を形成し、マイクロ流路L33を通過しながら拡散混合され、前記金属酸化物粒子表面へのシランカップリング剤による表面処理反応が進行した。マイクロ流路L34で合流した組成物が拡散混合しながら流路を進んでマイクロ流路L35に到達する直前に、マイクロ流路L33から送液速度を30ml/hrに設定した組成物33aを送液することによって、マイクロ流路L35においてマイクロ流路L34から送液された組成物とマイクロ流路L33から送液された組成物33aが合流した。合流した2つの組成物はマイクロ流路L35を通過しながら拡散混合され、前記金属酸化物粒子表面へのシランカップリング剤による表面処理反応が進行するとともに、前記表面処理反応に寄与しなかった未反応のシランカップリング剤の加水分解反応を進行させた。マイクロ流路L35を通過しながら拡散混合した組成物は連続的にマイクロリアクター336のアウトレット部より排出され、貯留容器335に回収された。また、このとき金属酸化物粒子の漏洩、損失は全くなかった。上記回収した組成物を減圧蒸留によりトルエンを留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Zn元素強度に対するSi元素強度の比(Si/Zn)は1.2×10-4であった。
<下引層の形成>
次に、得られた表面処理後の酸化亜鉛粒子60部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175,住友バイエルンウレタン(株)製):15部と、ブチラール樹脂(商品名:「BM−1」,積水化学工業(株)製):15部と、メチルエチルケトン:85部とを混合した。得られた液:38部とメチルエチルケトン:25部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間媒体分散を行って分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005部と、シリコーンオイルSH29PA(東レダウコーニングシリコーン(株)製):0.01部とを添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、厚さ1mmのアルミニウム基体(導電性基体)上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引層を形成した。
<感光層の形成>
1,3−ジイミノイソインドリン30部及び三塩化ガリウム9.1部をジメチルスルホキシド230部に加え、160℃で6時間撹拌しながら反応させて赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキシドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28部を得た。次に、得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶10部を60℃に加熱した硫酸(濃度97%)300部に十分に溶解したものを、25%アンモニア水600部とイオン交換水200部との混合溶液中に滴下した。析出した結晶を濾過により採取し、さらにイオン交換水で洗浄し、乾燥してI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン8部を得た。
上記I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン6部を、N,N−ジメチルホルムアミド90部、外径0.9mmのガラス製球状メディア350部とともに、ガラス製ボールミルを使用して25℃で168時間湿式粉砕処理した。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピークλMAXが820nmであることを確認した。次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥してCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5部を得た。
次に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニ15部、バインダー樹脂となる塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー(株)製)10部、n−酢酸ブチル300部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層形成用の塗布液として前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、層厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1]ビフェニル−4,4’−ジアミン4部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万)6部とをクロロベンゼン80部に加えて溶解した。得られた分散液を電荷輸送層形成用の塗布液として電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃、40分の乾燥を行うことにより層厚が25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体の作製を完了した。
(比較例1)
マイクロリアクターを使用しないで、通常の反応釜を用いて湿式法により得られた酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、テイカ(株)製試作品)用いて、バッチ処理により表面処理を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の電子写真特性評価試験>
(1)使用初期の特性評価(初期電位測定)
実施例1及び比較例1の電子写真感光体を図7と同様の構造を有するレーザープリンタ(商品名:XP−15の改造機、富士ゼロックス(株)製)に搭載し、それぞれの電子写真感光体の電子写真特性を以下のように評価した。常温常湿(20℃、40%RH)環境下、グリッド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器で各電子写真感光体を帯電させたときの各電子写真感光体の表面の電位A[V]を測定した。
次に、780nmの半導体レーザーを用いて、帯電させてから1秒後の各電子写真感光体に10mJ/m2の光を照射して放電を行わせ、このときの各電子写真感光体の表面の電位B[V]を測定した。
続いて、放電させてから3秒後各電子写真感光体に50mJ/m2の赤色LED光を照射して除電を行い、このときの各電子写真感光体の表面の電位C[V]を測定した。
ここで、電位Aの絶対値が高いほど、電子写真感光体の受容電位が高いので、コントラストを高く取ることができることになる。また、電位Bの絶対値が低いほど高感度な電子写真感光体であることになる。さらに、電位Cの絶対値が低いほど残留電位が少なく、画像メモリーやいわゆるカブリが少ない電子写真感光体と評価される。これらの結果を表1に示す。
(2)繰り返し使用後の特性評価
上述の(1)で説明した操作を1万回繰り返し、帯電、露光後の電位A〜電位Cの測定を行った。これらの結果を表1に示す。
(3)使用環境の変化に対する安定性評価
上記の操作を低温低湿(10℃、15%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)の2つの異なる環境下で行い、帯電、露光後の電位Aから電位Cの測定を行った。そして、これらの異なる環境間での電位Aから電位Cの値の変動量(ΔA、ΔB、ΔC)を測定し、使用環境の変化に対する各電子写真感光体の安定性評価を行った。これらの結果を表1に示す。
(4)初期及び1万枚プリント後の画質評価
実施例1及び比較例1の電子写真感光体を図7と同様の構造を有する接触帯電装置、中間転写装置を有するフルカラープリンター(商品名:Docu Centre Color C620、富士ゼロックス(株)製)に搭載し、初期プリント画質評価と1万枚の紙への連続プリントテストを行った。
そして、1万枚プリント後の画質を、以下のような評価基準のもとで評価した。これらの結果を表1に示す。
(評価基準)
「異常なし」:良好な画質が得られた
「異常なし(数個の黒点発生)」:全体に良好な画質であったが、紙面全体(100mm×200mm)に数個の黒点が発生
「黒点発生」:紙面全体(100mm×200mm)に大きな黒点(直径0.3mm以上)が多数(100個以上)確認できた
「全面カブリ」:紙面全体(100mm×200mm)に微細な黒点(直径0.15mm以下)が多数(5,000個以上)確認できた
Figure 2010131574
本実施形態の塩基性炭酸重金属の製造方法における中和反応に好適に使用されるマイクロリアクター装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態の塩基性炭酸重金属の製造方法における水洗工程に好適に使用されるマイクロリアクター装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態の重金属酸化物の表面処理に好適に使用されるマイクロリアクター装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態の画像形成感光体の一例を示す断面図である。 本実施形態の電子写真感光体の別の一例を示す断面図である。 本実施形態の画像形成装置の一例の基本構成を概略的に示す断面図である。 本実施形態の画像形成装置の別の一例の基本構成を概略的に示す断面図である。
符号の説明
1,2,21,22,331,332,333:マイクロシリンジ
3,23,336:マイクロリアクター
4,24,25,335:貯留容器
7:電子写真感光体
8:帯電手段
9:電源
10:露光手段
11:現像手段
12:転写手段
13:クリーニング装置
14:除電器
15:定着装置
100:電子写真感光体
101:感光層(電荷発生層)
102:感光層(電荷輸送層)
103:導電性基体
104:下引層
106:感光層
110:電子写真感光体
200:画像形成装置(コロナ放電方式)
210:画像形成装置(接触帯電方式)
P1,P2,P21,P22P31,P32,P33:送液ポンプ
F1,F2,F21,F22,F31,F32,F33:フィルター
L1,L2,L3L21,L22,L23,L24,L25、L31,L32,L33,L34,L35:マイクロ流路
1a:組成物(重金属塩化物水溶液又は塩化亜鉛水溶液)
2a:組成物(炭酸ナトリウム水溶液)
3a1:中和生成物
21a:組成物(塩基性炭酸亜鉛未精製分散液)
22a:洗浄水
24a1:生成塩基性炭酸亜鉛含有液
25a1:排出洗浄水
31a:組成物(酸化亜鉛懸濁液)
32a:組成物(表面処理剤溶液)
33a:組成物(表面処理剤失活剤溶液)

Claims (8)

  1. 重金属塩化物水溶液をマイクロ流路L1に送液し、炭酸ナトリウム水溶液をマイクロ流路L2に送液し、マイクロ流路L1及びマイクロ流路L2が合流するマイクロ流路L3において塩基性炭酸重金属を析出させる中和工程、及び/又は、
    前記塩基性炭酸重金属の懸濁液をマイクロ流路L21に送液し、洗浄水をマイクロ流路L22に送液し、マイクロ流路L21とマイクロ流路L22とが合流するマイクロ流路L23において残存する水溶性塩を前記塩基性炭酸重金属から除去する水洗工程、を含むことを特徴とする
    塩基性炭酸重金属の製造方法。
  2. 前記中和工程と前記水洗工程との間に、前記塩基性炭酸重金属を固液分離した後得られた塩基性炭酸重金属を水中に再分散して懸濁液とする工程を含む、請求項1に記載の塩基性炭酸重金属の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により得られた塩基性炭酸重金属を、乾燥・焙焼して重金属酸化物粒子を得る工程を含む、重金属酸化物粒子の製造方法。
  4. 重金属塩化物が塩化亜鉛であり、塩基性炭酸重金属が塩基性炭酸亜鉛であり、又は重金属酸化物粒子が酸化亜鉛粒子である、請求項1〜3いずれか1つに記載の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により得られた酸化亜鉛粒子をマイクロ流路中でシランカップリング剤により表面処理する工程を含む、表面処理酸化亜鉛粒子の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により製造された表面処理酸化亜鉛粒子を下引層に含有する電子写真感光体。
  7. 請求項6に記載の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ。
  8. 請求項6に記載の電子写真感光体を用いた画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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