JP2005017580A - 有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、1200dpi以上の高解像度の電子写真画像を形成するに当たり、有機感光体を長時間使用し、膜厚減耗が進んでも、ドット画像の潜像形成の大きさやコントラストの劣化を防止し、高階調、高精細の電子写真画像を形成できる有機感光体を提供することであり、且つ該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供することである。
【解決手段】導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体(以下、単に感光体とも云う)、及び該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真画像の高画質化のために、有機感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm2以下の光源を用いて有機感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献1)。このような小径スポット露光方式で、正確な潜像を形成するには、有機感光体への像露光による潜像形成時に、露光により発生する電荷キャリアの拡散を小さくすることが重要である。即ち、画像情報を静電潜像として忠実に再現するためには露光/未露光部の電位コントラストが十分確保されている必要があるが、これは発生キャリアが表面電荷に到達するまでのキャリアの拡散を押さえることが重要である。例えば1200dpiのような高密度画像の潜像劣化は、電荷輸送層の拡散定数(D)とドリフト移動度(μ)との比D/μが大きくなると静電潜像形成時の拡散の効果が無視できず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなると記述されている(非特許文献1)。更に1ドットの潜像の解析結果から、電荷輸送層のドリフト移動度(μ)が大きくなるほど潜像の拡散が大きくなることも報告されている。(非特許文献2)このため高解像度のプロセスにおいては電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体が既に提案されている(特許文献2)。
【0003】
しかしながら、これらの提案された有機感光体は、感光体の耐久性の面では、十分な解決とはなり得ていない。即ち、有機感光体は一般的に帯電能、感度等の膜厚の膜厚依存性が大きく、繰り返し使用による膜厚減耗は、カブリや黒ポチ等の画像欠陥増大の原因と成りやすい。特に、感光層を薄膜化した有機感光体では、静電潜像形成時の帯電電位の負荷条件が、単位膜厚当たりの電界強度を大きくする傾向にあり、繰り返し使用におけるドット画像の劣化や残留電位上昇などの問題が発生しやすい。
【0004】
更に、最近のデジタル複写機,プリンター等の電子写真装置は高画質化の追求と共に、小型,高速化が進み、感光体特性として高速化に対応した高感度化と、耐摩耗性向上による長寿命化の両方が要求されている。
【0005】
前記した、高画質化、小型化、高速化の要求を満たすために、感光体の感度の時間応答性を高めることが要求されている。これらの要求を満たすために、従来高感度の電荷発生物質を開発する努力がなされてきた。その結果、代表的な高感度の電荷発生物質として、Y型フタロシアニン等のフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線のスペクトルで、ブラッグ角2θが27.3°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)が開発され、該顔料を用いた電子写真感光体が実用化されている(非特許文献3)。しかしながら、これらの電子写真感光体は、感光体のラインスピードが速く、帯電時間や露光工程から現像工程間迄の移動時間が短い高速の画像形成プロセスで、帯電電位が安定せず、ドット画像の劣化や残留電位上昇が発生し、カブリが発生したり、画像濃度が低下したりしやすい。
【0006】
即ち、高画質、高速特性が要求される有機感光体においては、繰り返し使用に伴う感光体の膜厚変化が、ドット画像の静電潜像の大きさや電位コントラストの形成に作用し、ドット画像の劣化や残留電位上昇が発生し、カブリが発生したり、画像濃度が低下したりしやすい。特に、1200dpi以上のドット画像が要求され、階調再現性が重視される写真画像のプリント画像等では感光体の膜厚減耗が引き起こすドット画像の劣化が発生しやすく、これを防ぐことが必要である。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−272197号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平5−119503号公報
【0009】
【非特許文献1】
日本画像学会誌第38巻第4号296頁
【0010】
【非特許文献2】
富士時報第75巻第3号194頁
【0011】
【非特許文献3】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決して、1200dpi以上の高解像度の電子写真画像を形成するに当たり、有機感光体を長時間使用し、膜厚減耗が進んでも、ドット画像の潜像形成の大きさやコントラストの劣化を防止し、画像濃度の低下が少なく、高階調、高精細の電子写真画像を形成できる有機感光体を提供することであり、且つ該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明者等は上記課題について鋭意検討した結果、1200dpi以上の高解像度の電子写真画像を形成するには、繰り返し使用中に発生する有機感光体の膜厚減耗により発生するドット画像の静電潜像の大きさやコントラストの劣化を防止することが重要であることに思い至った。その為には、有機感光体への像露光により発生したキャリアの拡散を防止し、ドット画像の静電潜像の大きさやコントラストの感光体の膜厚依存性を小さくすることにより、有機感光体の膜厚が変化しても、ドット画像の変化が小さく、高精細のドッド画像が大きさ及びコントラスト共に、コンスタントに形成できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の有機感光体を構成する電荷発生層(以下、CGLとも云う)でのキャリア発生、電荷発生層から電荷輸送層(以下、CTLとも云う)へのキャリア注入、CTLでのキャリアの輸送等、帯電及び像露光により発生したキャリアの分布を有機感光体全体で捕らえ、該キャリアの分布を移動方向に適度に分散させ、キャリアの空間密度を低減することにより、ドット画像の静電潜像の膜厚による変動を小さくし、特に薄膜化を行わなくても、1ドット画像の拡散や縮小を抑制することが可能となることが見出された。本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
【0014】
1.1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
【0015】
2.前記電荷輸送層の膜厚が20〜35μmであることを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0016】
3.前記電荷輸送層の膜厚が25〜35μmであることを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0017】
4.前記有機感光体が更に表面保護層を有することを特徴とする前記1〜3に記載の有機感光体。
【0018】
5.1200dpi以上の解像度で有機感光体上にデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも1つと導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体とを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0019】
6.少なくとも有機感光体、帯電手段、露光手段及び現像手段を有し、1200dpi以上の解像度で有機感光体上にデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置において、該有機感光体が導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする画像形成装置。
【0020】
7.前記帯電手段による有機感光体の帯電電位が200〜400Vであることを特徴とする前記6に記載の画像形成装置。
【0021】
8.少なくとも有機感光体と、該有機感光体上に1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段と、該有機感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段を有する画像形成ユニットを複数配列し、画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いて形成した各トナー像を順次記録材に転写してカラー画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする画像形成装置。
【0022】
9.前記6〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0023】
10.帯電電位が200〜400Vの条件で、デジタル画像の書き込みを行い、デジタル画像の静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
【0024】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の有機感光体は、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする。
【0025】
有機感光体が上記構造を有することにより、1200dpi以上のドット画像の潜像形成が可能となり、細線再現性が良好で、且つ繰り返し、多数枚の画像形成を行なっても、画像品質が劣化しない有機感光体を提供することができる。
【0026】
本発明の有機感光体は導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする。
【0027】
即ち、10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定とは、絶縁層の膜厚が20μmの有機感光体を仮定すると、200Vの帯電電位を付加した条件での過渡光電流(TOF)の測定であり、比較的弱い電界強度での過渡光電流(TOF)の測定を意味する。本発明はこの比較的弱い電界強度での過渡光電流(TOF)の測定から、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体は、電荷発生層(以下、CGLとも云う)でのキャリア発生、電荷発生層から電荷輸送層(以下、CTLとも云う)へのキャリア注入、CTLでのキャリアの輸送等の課程で発生するキャリアの拡散を小さくし、該有機感光体を長期に使用し、膜厚が減少しても、1200dpi以上の解像度の高画質の電子写真画像の品質の変動を小さくし、良好な細線再現性、階調性、鮮鋭性、及びカラー画像等の品質劣化を防止することができる。
【0028】
ここで、10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定の測定方法と時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることについて説明する。
【0029】
TOFの測定条件
TOFの測定は公知の一般的な方法で行うことができる。
【0030】
露光光源波長:感光体の分光感度で最大感度に近い波長を用いる(最大感度×0.9以上の波長の単波長光):本実施例では露光光源にはXeフラッシュランプ(浜松フォトニクス製)を用い、NDフィルターとバンドパスフィルターを通過した780nmの単色光を用いた。
【0031】
露光強度は表面電荷を1/10以下に低減できる光量を基準に条件出しを行い適正な波形が検知できるのを確認してから測定した。
【0032】
パルス発光時間:2μsec
サンプリング速度 1μsec
帯電電位Vは、電荷発生層、電荷輸送層及び絶縁性中間層(108Ω・cm以上)の膜厚合計をdとした場合のV/dが10V/μmとなるように設定する。
【0033】
次に、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることについて説明する。
【0034】
図5は、有機感光体の10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定のデータである。横軸(X軸)が時間軸(μ秒=μsec)、縦軸(Y軸)は検出電流値(最大電流値を1として規格化した相対電流値)を示す。
【0035】
図6は、図5のデータから得られる時間に対する検出電流の積算値をプロットした曲線である。横軸(X軸)が時間軸(μ秒=μsec)、縦軸(Y軸)は検出電流の積算値を示す。
【0036】
本発明の接線とは図6のX、Y軸の交点即ち原点を起点とした接線Aと3000μsecを起点とした接線Bの交差角αが15°〜45°の範囲にあることを意味する。
【0037】
本発明の有機感光体は10V/μmの電界強度の測定により得られる上記交差角αが15°〜45°の範囲にあるように構成したとき、解像度の膜厚依存性が小さく、且つ長期使用により有機感光体の膜厚が減耗しても、解像度の高い画像を得ることが出来る。交差角αが15°未満になると応答遅れのキャリアの影響が無視できなくなり、繰り返し使用時の残留電位上昇などの問題が発生する。該交差角αは20°〜40°がより好ましい。
【0038】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0039】
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
【0040】
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。
【0041】
本発明の有機感光体に10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である特性を付与するには、電荷発生層に用いる電荷発生物質(CGM)と電荷輸送層に用いる電荷輸送物質(CTM)の組み合わせを選択することが重要である。CGMに電荷キャリア発生効率が高い顔料を用いた場合は(例えば、後記するY型顔料)は、電荷輸送層に用いられるCTMは電荷発生層から電荷キャリアの注入効率を低下させ、電荷輸送層中の電荷キャリアの分布を膜厚方向に適度に分散させることにより、前記2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体を作製することができる。
【0042】
一方、Y型顔料のCGMに比し、電荷キャリア発生効率が低い顔料を用いた場合は(例えば、後記するGa型顔料)は、電荷輸送層に用いられるCTMは電荷発生層から電荷キャリアの注入効率をあまり低下させなくても、電荷発生層中に注入される電荷キャリアは自然と時間差が発生し、電荷輸送層中の膜厚方向に電荷キャリアの適度な分散が達成され、前記2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体を作製することができる。
【0043】
このように、本発明の有機感光体を作製するには、前記したCGMとCTMの組み合わせを選択することが重要であるが、同時に電荷発生層のバインダー樹脂や電荷輸送層のバインダー樹脂によっても電荷発生効率、電荷注入効率、電荷輸送性等が微妙に変化するので、電荷輸送層、電荷発生層及び下記に述べる中間層等の全ての構成を選択することにより、前記2つの接線の公差角を15°〜45°の範囲に構成することが必要である。
【0044】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0045】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0046】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0047】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0048】
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0049】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを、単独又は併用して用いることができる。これらの顔料の中でも、高感度で且つ電位安定性が良好なチタニルフタロシアニン顔料、ガリウムフタロシアニン顔料、ぺリレン顔料等が好ましく用いられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン、Cu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン顔料、又は少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料等が繰り返し使用に伴う帯電性能や感度の変化がほとんどなく、良好に用いられる。
【0050】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0051】
電荷輸送層
本発明の有機感光体の電荷輸送層は基本的には電荷輸送物質(CTM)と該CTMを分散させ膜形成機能を有するバインダー樹脂等から構成される。
【0052】
電荷輸送物質としては、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどを単独で、或いは併用して用いることができる。これらの電荷輸送物質の中でも、前記した電荷発生物質と組み合わせて、2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体を作製し、安定した電子写真特性(帯電能や感度等)を得るには、電荷輸送物質をトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物から選択することが好ましい。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0053】
又、電荷輸送層のバインダー樹脂としては、誘電率が小さいバインダー樹脂を用いることが好ましく、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体等が上げられる。
【0054】
電荷輸送層には必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わなが、誘電率が小さいバインダー樹脂を用いることが好ましく、特に好ましいバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体、ポチカーボネート等を単独で、或いはブレンドして用いることが好ましい。
【0055】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0056】
又、電荷輸送層は複数の電荷輸送層で構成してもよい。電荷輸送層の膜厚は、20〜35μmが好ましく、更に25〜35μmがより好ましい。
【0057】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、導電性支持体からの電荷の注入を防止できるブロッキング機能を有する中間層を設けることが好ましい。
【0058】
ブロッキング機能を有する中間層としては、ポリアミド樹脂等を用いた下引き層、無機微粒子を含有させた下引き層を兼ねた中間層、有機金属化合物とシランカップリング剤等から形成される無機質中間層等が前記したブロッキング性と導電性支持体或いは電荷発生層との接着性を両立させる上で好ましく用いられる。本発明の中間層は実質的に半導電性又は絶縁層である。ここで半導電性又は絶縁層とは、体積抵抗が1×108Ω・cm以上であることを意味し、1×108〜1015Ω・cmが好ましい。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、1×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0059】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層が導電性に近くなり、電界強度が10V/μm未満になりやすい。又、導電性支持体からの電荷ブロッキング性が低下し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、黒ポチ等の画像欠陥も発生しやすく、良好な画質が得られない。一方1×1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0060】
尚、本発明では体積抵抗が1×108未満の層は導電層とみなし、本発明の電界強度(10V/μm)の算出に当たっては、感光体の膜厚合計から除くものとする。
【0061】
本発明の中間層としては、導電性支持体上にN型半導性粒子を含有する中間層を設が好ましい。
【0062】
ここで、N型半導性粒子とは、主たる導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質とは、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させることにより、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性を示さない性質を有するものをいう。
【0063】
ここで、N型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
【0064】
N型半導性粒子とは、上記評価で、負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子という。
【0065】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0066】
本発明に用いられるN型半導性粒子の平均粒径は、数平均一次粒径において10nm以上500nm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは10nm〜200nm、特に好ましくは、15nm〜50nmである。
【0067】
数平均一次粒径の値が前記範囲内にあるN型半導性粒子を用いた中間層は層内での分散を緻密なものとすることができ、十分な電位安定性、及び黒ポチ発生防止機能を有する。
【0068】
前記N型半導性粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定される。
【0069】
本発明に用いられるN型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型のものが最も良い。
【0070】
N型半導性粒子に行われる疎水化表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理であり、最後に反応性有機ケイ素化合物の表面処理を行うことが好ましい。
【0071】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0072】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0073】
又、本発明に用いられる中間層は前記半導性粒子をバインダー樹脂中に分散し中間層を形成することが好ましい。該中間層のバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、前記半導性粒子の平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。このような中間層の膜厚は、0.5〜20μmが好ましい。
【0074】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0075】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0076】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0077】
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0078】
上記反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0079】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0080】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0081】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0082】
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0083】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0084】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0085】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0086】
図1は、タンデム中間転写式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。本例は、ドラム型の中間転写手段を有する装置であり、転写手段10上に現像剤であるカラートナーを重ね合わせてカラー画像を形成したのち、記録材(最終画像に支持体:普通紙、透明シート等)である記録紙Pに転写を行う形態である。
【0087】
転写手段10は、その周囲に配置されている4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kにより形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を順次重ね合わせて担持する。前記転写手段10は、ドラム状の転写体10であって、円筒状の金属基体であるアルミニウム基体11上に、弾性層として導電性ゴム層12(厚さ500〜5000μm、電気抵抗108〜1014Ω・cmのウレタンゴム層)と、更に、その上に離形性フィルム13(分離用として、厚さ20〜200μm、電気抵抗1010〜1016Ω・cmのテフロン(R)層)が設けられている。転写体10の周囲には、4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kと、記録紙転写手段30、クリーニング手段16が各々配設されている。又、転写体10は、軸101によってカラー画像形成装置100に回転自在に軸支されている。
【0088】
又、前記4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、各々枠体26Y、26M、26C、26K内に設けられ、該枠体26Y、26M、26C、26Kがカラー画像形成装置100内で移動可能に設けられ、各画像形成ユニットを、ドラム状の転写体10に対して使用色に応じて画像転写位置か、又は非画像転写位置に移動させるための移動用部材27Y、27M、27C、27Kが各々枠体26Y、26M、26C、26Kと接触して設けられている。
【0089】
前記4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kを中心に、回転する帯電手段22Y、22M、22C、22Kと、像露光手段23Y、23M、23C、23Kと、回転する現像手段24Y、24M、24C、24K、及び、感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kをクリーニングするクリーニング手段25Y、25M、25C、25Kより構成されている。
【0090】
前記画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、転写体10にそれぞれ形成するトナー像の色が異なるだけで、同じ構成であり、図2(本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの断面構成図)により画像形成ユニット20Yを例にして詳細に説明する。
【0091】
枠体26Y内に設けた画像形成ユニット20Yは、像形成体である感光体ドラム21Yの周囲に、像形成体帯電手段22Y(以下、単に帯電手段22Y、あるいは、帯電器22Yという)、露光手段23Y、現像手段24Y、像形成体クリーニング手段25Y(以下、単にクリーニング手段25Y、あるいは、クリーニングブレード25Yという)を配置し、感光体ドラム21Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット20Yのうち、少なくとも感光体ドラム21Y、帯電手段22Y、現像手段24Y、クリーニング手段25Yを一体化するように設けている。
【0092】
帯電手段22Yは、感光体ドラム21Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム21Yと接触しながら従動回転をするローラ状の帯電器22Yが用いられている。
【0093】
像露光手段23Yは、ローラ状の帯電器22Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム21Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段23Yとしては、感光体ドラム21Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0094】
本発明の有機感光体には、1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成することを前提としている。このような高解像度のドット画像の静電潜像を感光体に形成するには、像露光をスポット面積が5.00×10−10m2(500μm2)以下の露光ビームを用いて行うことが好ましい。
【0095】
このような小径のビーム露光を行っても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した静電画像を忠実に形成することができ、1200dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上のドット画像を持つ、鮮鋭性が良好で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。本発明の有機感光体に形成するドット画像数は1200dpi以上であるが、好ましくは1200〜3000dpi、より好ましくは1200〜2500dpiである。該ドット画像数を大きくする為には、前記露光ビームのスポット面積をより小さくして、感光体上に、露光することが必要である。
【0096】
又、前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0097】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0098】
現像手段24Yは、現像剤であるイエロートナーを収容し、感光体ドラム21Y上に形成された静電潜像を反転現像して、イエロートナー像を形成する手段である。本実施の形態の現像手段24Yにおいては、現像手段24Y内に収容されているイエロートナーを、撹拌部材241Yにより撹拌した後、矢示の方向に回転する表面が弾性(スポンジ)のトナー供給ローラ242Yにより、現像スリーブ243Yへ供給する。このとき、薄層形成部材244Yにより現像スリーブ243Y上のイエロートナーを均一の薄層とする。現像手段24Yの現像作用に際しては、矢示の方向に回転する現像スリーブ243Yに対し、直流あるいはさらに交流を加えた現像バイアスが印加され、現像手段24Yの収容する一成分によるジャンピング現像が行われて、接地されている感光体ドラム21Yに対して、トナーと同極性の直流成分と交流成分とを重畳したバイアスを印加して、非接触の反転現像が行われる。なお、現像スリーブ243Yの画像領域外の両端部に設けられた突当コロが、感光体ドラム21Yに当接することにより、現像スリーブ243Yと感光体ドラム21Yとを非接触に保っている。なお、非接触現像ではなく、接触現像を用いることもできる。
【0099】
感光体ドラム21Y上に形成されたイエローのトナー像は、突当コロが、転写体10の位置決め部に接触しながら回転し、トナーと逆極性のバイアス電圧の印加される転写体10により、順次、転写体10上に転写される。
【0100】
クリーニング手段25Yは、イエロートナー像が転写体10に転写された後に、感光体ドラム21Y上に残留したイエロートナーを、感光体ドラム10上から除去するための手段であって、本実施の形態においては、クリーニング手段25Yが感光体ドラム21Yに摺接することにより、残留トナーの除去を行っている。
【0101】
このようにして、画像形成ユニット20Yにより、帯電、露光、現像の工程により形成された画像信号(イエロー)に対応したイエロートナー像は、転写体10上に転写される。
【0102】
そして、図1に示すように、その他の画像形成ユニット20M、20C、20Kも同様に、それぞれ感光体ドラム21M、21C、21K上に、画像信号(マゼンタ)に対応したマゼンタトナー像、画像信号(シアン)に対応したシアントナー像、画像信号(K)に対応した黒トナー像が並列処理的に、同期をとりながら形成される。このような操作により、各画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kの各感光体ドラム21Y、21M、21C、21K上に形成されたトナー像は、順次、1〜2kVの転写バイアスを印加した転写体10上に転写され、トナー像が重ね合わされる。全てのトナー像が重ね合わさると、転写体10上に、カラートナー像が形成される。
【0103】
一方、転写体10の下部には、記録材収納手段である給紙カセットCAが設けられ、給紙カセットCA内に収容された記録材である記録紙Pは、給紙ローラr1の作動により、給紙カセットCA内から搬出され、タイミングローラ対r2へと送られる。タイミングローラ対r2は、転写体10上に形成されたカラートナー像と同期するように、記録紙Pを送り出す。
【0104】
送り出された記録紙Pは、転写位置で記録紙転写手段30により、転写体10上に形成されたカラートナー像を転写される。この記録紙転写手段30は、アースされたローラ31、転写ベルト32、紙帯電器33、転写電極34、紙分離AC除電器35から構成されている。
【0105】
送り出された記録紙Pは、ローラ31に張設され、転写体10の周速度に同期して矢示の方向に回転する転写ベルト32により、転写位置へと搬送される。転写ベルト32は、106〜1010Ω・cmの高抵抗のベルト状のものである。この際、記録紙Pは、記録材帯電手段としての紙帯電器33によりトナーと同極性に紙帯電され、転写ベルト32に吸着されて転写位置へと給送される。トナーと同極性に紙帯電を行うことにより、転写体10上のカラートナー像と引き合うことを防止して、カラートナー像の乱れを防止している。また、記録材帯電手段としては、転写ベルト32に接離可能な通電ローラやブラシ帯電器など用いることができる。
【0106】
転写位置では、転写電極34により、転写体10上のカラートナー像が、記録紙P上へと転写される。この転写電極34により、記録紙Pの裏面には、転写体10のバイアスより高いトナーと反対極性の電圧である1.5〜3kVの電位となるように、コロナ放電がなされる。
【0107】
カラートナー像の転写を受けた記録紙Pは、転写ベルト32によりさらに搬送され、記録材分離用としての紙分離AC除電器35により除電され、転写ベルト32より分離され、定着手段40へと搬送される。定着手段40において、加熱ローラ41と加圧ローラ42とにより加熱・圧着されカラートナー像が記録紙P上に容着・定着された後、記録紙Pは排紙ローラ対r3によりカラー画像形成装置の上部に設けられたトレイ上に排出される。
【0108】
一方、カラートナー像が記録紙Pへ転写された転写体10は、転写体クリーニング手段16であるクリーニングブレード161によって、転写体10上を摺擦され、転写体10上に残留した残留トナーを除去・清掃される。また、転写ベルト32上には、転写ベルトクリーニング手段36としてブレードが摺接しており、紙分離後の転写ベルト32上をクリーニングする。
【0109】
図2に示される画像形成ユニットは、現像手段と、感光ドラムとを、画像形成ユニットから脱着可能なプロセスカートリッジとしているが、本発明においてプロセスカートリッジはこれに限定されるわけではなく、感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段、分離手段、クリーニング手段のうち少なくとも一つを有するプロセスカートリッジであればよい。
【0110】
図3は、本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの他の例を示す断面構成図である。図3では現像手段と、感光体ドラムを画像形成ユニットより着脱可能なプロセスカートリッジとし、交換できる図2とは少々構成が異なる画像形成ユニットの断面図である。
【0111】
本実施例を前記画像形成ユニット20Cの構成を例にして説明する。
画像形成ユニット20Cを構成した枠体26Cはカラー画像形成装置に設けた案内部材111に設けられており、該枠体26Cの一部に接触するようにカム構造の移動用部材27Cが設けられ、スプリングSCに抗して枠体26Cと共に画像形成ユニット20Cを所定の画像形成位置で停止している。枠体26C内には像形成体である感光体ドラム21Cの周囲に、帯電手段22C、露光手段23Cが設けられ、枠体26Cと着脱自在に設けられ交換可能なプロセスカートリッジとなした第2枠体261C内には、現像手段24Cと、現像剤供給手段241C、及び、現像剤撹拌手段242Cが各々設けられ、現像手段24Cが感光体ドラム21Cの周囲に対峙するように配置されている。
【0112】
更に、第2枠体261C内には、一成分現像剤Tよりなるシアン(C)のトナーが内蔵されており、該一成分現像剤Tの残量を検知する現像剤残量検知手段Aが現像手段24C内に設けられている。
【0113】
前記感光体ドラム21C上には、前記画像形成プロセスによりシアン(C)のトナー像を形成し、前記同様転写体10にシアン(C)のトナー像を感光体ドラム21C上より転写した後、感光体ドラム21Cの周囲をクリーニング手段25Cでクリーニングするように配置されている。
【0114】
図4は、本発明の他の画像形成装置の断面構成図である。図4では転写ベルト上の記録材に直接転写する画像形成装置である。図4の画像形成手順は、図1〜3にてのものとほぼ同一であり、中間転写体の代わりに直接記録材に転写している点が異なるのみである。
【0115】
図4の転写ベルト上の記録材に直接転写する画像形成装置説明を行う。感光体を4組並列に配置して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー画像を順次転写してゆくタンデムカラー画像形成装置によるカラー画像形成例である。
【0116】
図4によれば、感光体ドラム21Y(21M、21C、21K)、スコロトロン帯電器(帯電手段)22Y(22M、22C、22K)、露光光学系(露光手段)、現像器(現像手段)24Y(24M、24C、24K)及びクリーニング装置(クリーニング手段)25Y(25M、25C、25K)よりなるY、M、C及びKの画像形成ユニット20Y(20M、20C、20K)を設け、Y、M、C及びKのトナー画像形成ユニットにより形成した各トナー像を、タイミングを合わせて記録材(記録紙P)を供給し、転写手段としての転写器34Y(34M、34C、34K)により順次転写して、重ね合わせカラートナー像を形成する。
【0117】
記録材は、搬送ベルト115に乗って搬送され、記録材分離手段としての紙分離AC除電器161による除電作用と、所定の間隔を空けて搬送部160に設けられる分離部材である分離爪210とにより、搬送ベルトから分離される。
【0118】
さらに搬送部160を通った後、加熱ローラ41と、加圧ローラ42とにより構成される定着装置(定着手段)40へと搬送され、加定着ローラ41と加圧ローラ42により形成されるニップ部Tで記録紙Pが挟持され、熱と圧力とが加えられることにより記録紙P上の重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
【0119】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0120】
実施例1
感光体1群の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの直径30mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、中間層を形成した。
【0121】
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
【0122】
中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5ミクロン、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。該塗布液を前記円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、120℃、1時間の加熱を行い、乾燥膜厚4.0μmの中間層を形成した。乾燥後の中間層の体積抵抗は前記測定条件で3×1013Ω・cmあった。
【0123】
〈電荷発生層(CGL)〉
電荷発生物質(G−1) 20部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10部
2−ブタノン 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0124】
〈電荷輸送層(CTL)〉
電荷輸送物質(T−1) 200部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に円型量規制型塗布法で塗布し、105℃で70分間の乾燥を行い、乾燥膜厚、25μmの電荷輸送層を形成し、残留溶媒を100ppm以下とした感光体1群(タンデム用に同一処方の感光体を4本)を作製した。
【0125】
感光体2群〜感光体13群の作製
感光体1群の作製に於いて、電荷発生物質G−1、電荷輸送物質T−1及び電荷輸送層の乾燥膜厚25μmを表1のように変化させた以外は同様にして、感光体2群〜感光体13群を作製した。
【0126】
感光体1T〜感光体13TのTOF測定用感光体の作製
上記、感光体1群〜感光体13群の作製に於いて、直径30mmの円筒状アルミニウム基体をPETベース上にアルミニウムを蒸着した支持体に代えた他は同様にして各中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成したTOF測定用の各感光体1T〜13Tを作製した。
【0127】
〈評価1:TOFの評価〉
感光体1T〜13Tを用い、前記したTOFの測定条件で、各感光体の過渡光電流(TOF)を測定し、続いて過渡光電流(TOF)測定データから図6に示したような時間に対する検出電流の積算値をプロットした曲線を作製し、該曲線から各感光体の原点を起点とした接線Aと3000μsecを起点とした接線Bの交差角αを求めた。TOFの測定時の帯電電位Vは、中間層、電荷発生層、電荷輸送層の膜厚合計をdとした場合のV/dが10V/μmとなるように設定した。これらの結果を表1に示す。
【0128】
〈評価2:画像評価〉
図1に示した画像形成装置を基本構成とした1200dpiのデジタルカラープリンター(露光波長650nm)に各感光体群を表1のように組み合わせ、常温常湿(20℃50%RH)下で、画素率8%の文字及びハーフトーンの混在したモノクロ画像及びカラー画像を、連続してA4紙に5万枚プリントした。モノクロ画像とカラー画像の比率は、タンデム型カラー画像形成装置のモノクロ及びカラーのプリント比率を考慮して、モノクロ画像9枚、カラー画像1枚の割合で、即ち9:1の割合でプリントした。但し、下記評価に必要な時はプリントを一時停止した。評価項目、評価基準を下記に示す。又評価結果を表1に示す。
【0129】
評価項目と評価基準
「モノクロ画像のドット再現性」
黒色画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント開始時(S)、1万枚後(1万)、5万枚後(5万)の黒色画像で評価した。
【0130】
◎:ドット画像が露光スポット面積に対し30%未満の増減で作製され、それぞれ独立に再現されている(良好)
○:ドット画像が露光スポット面積に対し30〜60%の増減で作製され、それぞれ独立に再現されている(実用性があるレベル)
×:ドット画像が露光スポット面積に対し60%を超した増減で作製され、部分的にドット画像が消失したり、連結したりしている(実用上問題のレベル)
「カラー画像のドット再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント開始時(S)、1万枚後(1万)、5万枚後(5万)のカラー画像で評価した。
【0131】
◎:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが少なく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30%未満)再現されており、カラー画像の色バランスも良好である(良好)
○:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが、各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30〜60%で、再現されており、カラー画像の色バランスが保たれている(実用性があるレベル)
×:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが大きく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で60%より大きい)再現されており、カラー画像の色バランスが失われている。(実用上問題のレベル)
「周期性の画像欠陥」
感光体の周期と一致した画像欠陥(黒ポチ(カラーポチも含む)や白ヌケ又は線状の画像欠陥として発生する)の発生を評価した。5万枚後のモノクロ及びカラー画像で評価した。
【0132】
評価基準は
◎:明瞭な周期性の画像欠陥の発生がほとんど見られない(黒ポチの場合は3個/A4以下、線状の場合は濃度が0.02以内:良好)
○:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が実用性の範囲内(黒ポチの場合は4〜10個/A4以下、線状の場合は濃度が0.03〜0.04:実用性があるレベル)
△:明瞭な周期性の画像欠陥の発生があり、実用性の再検討を要する範囲(黒ポチの場合は11〜20個/A4以下、線状の場合は濃度が0.05〜0.06:実用性再検討要のレベル)
×:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が多発(黒ポチの場合は21個/A4以上、線状の場合は濃度が0.07以上:実用上問題のレベル)
「鮮鋭性」
画像の鮮鋭性は、線画像の解像性で評価した。下記の判断基準で評価した。5万枚後のモノクロ及びカラー画像で評価した。
【0133】
◎:線画像の解像性が16本/mm以上を達成している(良好)
○:線画像の解像性が10〜15本/mmを達成している(実用上問題なし)
×:線画像の解像性が9本/mm以下(高解像性の画像としては不適)
「階調性」
上記評価条件を常温常湿(20℃、60%RH)環境に変更し、白画像から黒ベタ画像まで60の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、階調性を評価した。評価は階調段差の画像を十分な昼光条件下で目視評価し、有意性のある階調段差の合計段差数で評価した。
【0134】
◎:階調段差が41段差以上(良好)
○:階調段差が21〜40段差(実用上問題なし)
△:階調段差が11〜20段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調段差が10段差以下(実用上問題あり)
感光体の電位特性
感光体の電位特性として、スタート時から5万プリントまでの残留電位(Vr)を測定し、その変動幅(ΔVr)を算出した。
【0135】
その他の評価条件
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、目標電位を−800Vとした。
【0136】
像露光:半導体レーザ(波長:650nm)
像露光条件:半導体レーザ、露光スポット面積:3.54×10−10m2、1200dpi
除電条件
帯電前の除電条件は680nmのLED光(露光部電位に到達するのに必要な光量の3倍以上の光量値)を照射した。除電後の表面電位の値を残留電位として測定した。
【0137】
現像条件:現像剤は下記の現像剤を用い反転現像で行った。
現像剤1Bk:カーボンブラックを着色顔料とした体積平均5.2μmの着色粒子100質量部に、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部、及び0.05μmの酸化チタン0.25質量部を添加したトナーと樹脂被覆した45μmフェライトキャリア(トナーとキャリアの混合比は質量比で1/10)を用いた。
【0138】
現像剤1Y:現像剤1Bkのトナーの着色顔料をカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロー185を使用した以外同様にして作製した現像剤を用いた。
【0139】
現像剤1M:現像剤1Bkのトナーの着色顔料をカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外同様にして作製した現像剤を用いた。
【0140】
現像剤1C:現像剤1Bkのトナーの着色顔料をカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用した以外同様にして作製した現像剤を用いた。
【0141】
【表1】
【0142】
表中、
G−1はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料
G−2はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料
T−1〜T−7は下記の電荷輸送物質を示す。
【0143】
【化1】
【0144】
【化2】
【0145】
表1から明らかなように、10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°の範囲にある本発明の感光体1〜6群、8〜10群、12群、13群はモノクロ及びカラー画像のドット再現性が良好であり、このことから階調性、鮮鋭性が良好であり、又、周期性の画像欠陥の発生や残留電位の上昇も少ない。特に、交差角αが20°〜40°の範囲で、電荷輸送層の膜厚が25〜35μmの範囲の感光体2〜4群、6群、8〜10群、13群は各評価の改良効果が顕著である。一方、前記交差角αが本発明外の感光体7群(交差角αが13°)では、モノクロ及びカラー画像のドット再現性がプリント枚数の増加と共に劣化しており、且つ周期性の画像欠陥が発生し、残留電位の上昇も大きい。又、交差角αが本発明外の感光体11群(交差角αが50°)では、モノクロ及びカラー画像のドット再現性の劣化が大きく、階調性も劣化している。
【0146】
〈評価3:画像評価〉
本発明内の感光体1〜6群、8〜10群、12群、13群を用い、前記評価2の像露光条件を下記のように変更した。
【0147】
像露光条件:露光スポット面積:9.00×10−11m2、2400dpi
評価結果
2400dpiの露光条件でも、本発明の感光体1〜6群、8〜10群、12群、13群は、各評価項目とも1200dpiの露光条件の場合とほぼ同等の評価結果が得られた。
【0148】
〈評価4:画像評価〉
本発明内の感光体1〜6群を用い、前記評価2の感光体の帯電条件を下記のように変更した以外は評価2と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0149】
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、目標電位を−400Vとした。
【0150】
【表2】
【0151】
帯電条件を目標電位−400Vとした場合は、本発明の感光体1〜6群は、評価2の目標電位が−800Vの場合に比し、周期性の画像欠陥、鮮鋭性、階調性の改良効果が向上しているのが見出される。
【0152】
〈評価5:画像評価〉
本発明内の感光体1〜6群を用い、前記評価4の感光体の帯電条件を下記のように変更した以外は評価4と同様にして評価を行った。
【0153】
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、目標電位を−200Vと−300Vの2水準で評価した。
【0154】
評価結果
帯電条件を目標電位−200V、−300Vとした場合は、本発明の感光体1〜6群は、評価4の目標電位が−400Vの場合とほぼ同様の効果が得られた。
【0155】
【発明の効果】
本発明の有機感光体を用いることにより、1200dpi以上の高画質のドット画像を形成でき、画像不良を伴わない鮮鋭性、階調性が良好な電子写真画像を提供することができ、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンデム中間転写式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの断面構成図である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの他の例を示す断面構成図である。
【図4】本発明の他の画像形成装置の断面構成図である。
【図5】有機感光体の10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定のデータである。
【図6】図5のデータから得られる時間に対する検出電流の積算値をプロットした曲線である。
【符号の説明】
10 転写体(転写手段)
20Y、20M、20C、20K 画像形成ユニット
21Y、21M、21C、21K 感光体ドラム(像形成体)
22Y、22M、22C、22K 帯電手段
23Y、23M、23C、23K 露光手段
24Y、24M、24C、24K 現像手段
25Y、25M、25C、25K クリーニング手段
26Y、26M、26C、26K 枠体
27Y、27M、27C、27K 移動用部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体(以下、単に感光体とも云う)、及び該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真画像の高画質化のために、有機感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm2以下の光源を用いて有機感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献1)。このような小径スポット露光方式で、正確な潜像を形成するには、有機感光体への像露光による潜像形成時に、露光により発生する電荷キャリアの拡散を小さくすることが重要である。即ち、画像情報を静電潜像として忠実に再現するためには露光/未露光部の電位コントラストが十分確保されている必要があるが、これは発生キャリアが表面電荷に到達するまでのキャリアの拡散を押さえることが重要である。例えば1200dpiのような高密度画像の潜像劣化は、電荷輸送層の拡散定数(D)とドリフト移動度(μ)との比D/μが大きくなると静電潜像形成時の拡散の効果が無視できず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなると記述されている(非特許文献1)。更に1ドットの潜像の解析結果から、電荷輸送層のドリフト移動度(μ)が大きくなるほど潜像の拡散が大きくなることも報告されている。(非特許文献2)このため高解像度のプロセスにおいては電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体が既に提案されている(特許文献2)。
【0003】
しかしながら、これらの提案された有機感光体は、感光体の耐久性の面では、十分な解決とはなり得ていない。即ち、有機感光体は一般的に帯電能、感度等の膜厚の膜厚依存性が大きく、繰り返し使用による膜厚減耗は、カブリや黒ポチ等の画像欠陥増大の原因と成りやすい。特に、感光層を薄膜化した有機感光体では、静電潜像形成時の帯電電位の負荷条件が、単位膜厚当たりの電界強度を大きくする傾向にあり、繰り返し使用におけるドット画像の劣化や残留電位上昇などの問題が発生しやすい。
【0004】
更に、最近のデジタル複写機,プリンター等の電子写真装置は高画質化の追求と共に、小型,高速化が進み、感光体特性として高速化に対応した高感度化と、耐摩耗性向上による長寿命化の両方が要求されている。
【0005】
前記した、高画質化、小型化、高速化の要求を満たすために、感光体の感度の時間応答性を高めることが要求されている。これらの要求を満たすために、従来高感度の電荷発生物質を開発する努力がなされてきた。その結果、代表的な高感度の電荷発生物質として、Y型フタロシアニン等のフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線のスペクトルで、ブラッグ角2θが27.3°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)が開発され、該顔料を用いた電子写真感光体が実用化されている(非特許文献3)。しかしながら、これらの電子写真感光体は、感光体のラインスピードが速く、帯電時間や露光工程から現像工程間迄の移動時間が短い高速の画像形成プロセスで、帯電電位が安定せず、ドット画像の劣化や残留電位上昇が発生し、カブリが発生したり、画像濃度が低下したりしやすい。
【0006】
即ち、高画質、高速特性が要求される有機感光体においては、繰り返し使用に伴う感光体の膜厚変化が、ドット画像の静電潜像の大きさや電位コントラストの形成に作用し、ドット画像の劣化や残留電位上昇が発生し、カブリが発生したり、画像濃度が低下したりしやすい。特に、1200dpi以上のドット画像が要求され、階調再現性が重視される写真画像のプリント画像等では感光体の膜厚減耗が引き起こすドット画像の劣化が発生しやすく、これを防ぐことが必要である。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−272197号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平5−119503号公報
【0009】
【非特許文献1】
日本画像学会誌第38巻第4号296頁
【0010】
【非特許文献2】
富士時報第75巻第3号194頁
【0011】
【非特許文献3】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決して、1200dpi以上の高解像度の電子写真画像を形成するに当たり、有機感光体を長時間使用し、膜厚減耗が進んでも、ドット画像の潜像形成の大きさやコントラストの劣化を防止し、画像濃度の低下が少なく、高階調、高精細の電子写真画像を形成できる有機感光体を提供することであり、且つ該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明者等は上記課題について鋭意検討した結果、1200dpi以上の高解像度の電子写真画像を形成するには、繰り返し使用中に発生する有機感光体の膜厚減耗により発生するドット画像の静電潜像の大きさやコントラストの劣化を防止することが重要であることに思い至った。その為には、有機感光体への像露光により発生したキャリアの拡散を防止し、ドット画像の静電潜像の大きさやコントラストの感光体の膜厚依存性を小さくすることにより、有機感光体の膜厚が変化しても、ドット画像の変化が小さく、高精細のドッド画像が大きさ及びコントラスト共に、コンスタントに形成できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の有機感光体を構成する電荷発生層(以下、CGLとも云う)でのキャリア発生、電荷発生層から電荷輸送層(以下、CTLとも云う)へのキャリア注入、CTLでのキャリアの輸送等、帯電及び像露光により発生したキャリアの分布を有機感光体全体で捕らえ、該キャリアの分布を移動方向に適度に分散させ、キャリアの空間密度を低減することにより、ドット画像の静電潜像の膜厚による変動を小さくし、特に薄膜化を行わなくても、1ドット画像の拡散や縮小を抑制することが可能となることが見出された。本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
【0014】
1.1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
【0015】
2.前記電荷輸送層の膜厚が20〜35μmであることを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0016】
3.前記電荷輸送層の膜厚が25〜35μmであることを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0017】
4.前記有機感光体が更に表面保護層を有することを特徴とする前記1〜3に記載の有機感光体。
【0018】
5.1200dpi以上の解像度で有機感光体上にデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも1つと導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体とを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0019】
6.少なくとも有機感光体、帯電手段、露光手段及び現像手段を有し、1200dpi以上の解像度で有機感光体上にデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置において、該有機感光体が導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする画像形成装置。
【0020】
7.前記帯電手段による有機感光体の帯電電位が200〜400Vであることを特徴とする前記6に記載の画像形成装置。
【0021】
8.少なくとも有機感光体と、該有機感光体上に1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段と、該有機感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段を有する画像形成ユニットを複数配列し、画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いて形成した各トナー像を順次記録材に転写してカラー画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする画像形成装置。
【0022】
9.前記6〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0023】
10.帯電電位が200〜400Vの条件で、デジタル画像の書き込みを行い、デジタル画像の静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
【0024】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の有機感光体は、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする。
【0025】
有機感光体が上記構造を有することにより、1200dpi以上のドット画像の潜像形成が可能となり、細線再現性が良好で、且つ繰り返し、多数枚の画像形成を行なっても、画像品質が劣化しない有機感光体を提供することができる。
【0026】
本発明の有機感光体は導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする。
【0027】
即ち、10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定とは、絶縁層の膜厚が20μmの有機感光体を仮定すると、200Vの帯電電位を付加した条件での過渡光電流(TOF)の測定であり、比較的弱い電界強度での過渡光電流(TOF)の測定を意味する。本発明はこの比較的弱い電界強度での過渡光電流(TOF)の測定から、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体は、電荷発生層(以下、CGLとも云う)でのキャリア発生、電荷発生層から電荷輸送層(以下、CTLとも云う)へのキャリア注入、CTLでのキャリアの輸送等の課程で発生するキャリアの拡散を小さくし、該有機感光体を長期に使用し、膜厚が減少しても、1200dpi以上の解像度の高画質の電子写真画像の品質の変動を小さくし、良好な細線再現性、階調性、鮮鋭性、及びカラー画像等の品質劣化を防止することができる。
【0028】
ここで、10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定の測定方法と時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることについて説明する。
【0029】
TOFの測定条件
TOFの測定は公知の一般的な方法で行うことができる。
【0030】
露光光源波長:感光体の分光感度で最大感度に近い波長を用いる(最大感度×0.9以上の波長の単波長光):本実施例では露光光源にはXeフラッシュランプ(浜松フォトニクス製)を用い、NDフィルターとバンドパスフィルターを通過した780nmの単色光を用いた。
【0031】
露光強度は表面電荷を1/10以下に低減できる光量を基準に条件出しを行い適正な波形が検知できるのを確認してから測定した。
【0032】
パルス発光時間:2μsec
サンプリング速度 1μsec
帯電電位Vは、電荷発生層、電荷輸送層及び絶縁性中間層(108Ω・cm以上)の膜厚合計をdとした場合のV/dが10V/μmとなるように設定する。
【0033】
次に、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることについて説明する。
【0034】
図5は、有機感光体の10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定のデータである。横軸(X軸)が時間軸(μ秒=μsec)、縦軸(Y軸)は検出電流値(最大電流値を1として規格化した相対電流値)を示す。
【0035】
図6は、図5のデータから得られる時間に対する検出電流の積算値をプロットした曲線である。横軸(X軸)が時間軸(μ秒=μsec)、縦軸(Y軸)は検出電流の積算値を示す。
【0036】
本発明の接線とは図6のX、Y軸の交点即ち原点を起点とした接線Aと3000μsecを起点とした接線Bの交差角αが15°〜45°の範囲にあることを意味する。
【0037】
本発明の有機感光体は10V/μmの電界強度の測定により得られる上記交差角αが15°〜45°の範囲にあるように構成したとき、解像度の膜厚依存性が小さく、且つ長期使用により有機感光体の膜厚が減耗しても、解像度の高い画像を得ることが出来る。交差角αが15°未満になると応答遅れのキャリアの影響が無視できなくなり、繰り返し使用時の残留電位上昇などの問題が発生する。該交差角αは20°〜40°がより好ましい。
【0038】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0039】
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
【0040】
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。
【0041】
本発明の有機感光体に10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である特性を付与するには、電荷発生層に用いる電荷発生物質(CGM)と電荷輸送層に用いる電荷輸送物質(CTM)の組み合わせを選択することが重要である。CGMに電荷キャリア発生効率が高い顔料を用いた場合は(例えば、後記するY型顔料)は、電荷輸送層に用いられるCTMは電荷発生層から電荷キャリアの注入効率を低下させ、電荷輸送層中の電荷キャリアの分布を膜厚方向に適度に分散させることにより、前記2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体を作製することができる。
【0042】
一方、Y型顔料のCGMに比し、電荷キャリア発生効率が低い顔料を用いた場合は(例えば、後記するGa型顔料)は、電荷輸送層に用いられるCTMは電荷発生層から電荷キャリアの注入効率をあまり低下させなくても、電荷発生層中に注入される電荷キャリアは自然と時間差が発生し、電荷輸送層中の膜厚方向に電荷キャリアの適度な分散が達成され、前記2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体を作製することができる。
【0043】
このように、本発明の有機感光体を作製するには、前記したCGMとCTMの組み合わせを選択することが重要であるが、同時に電荷発生層のバインダー樹脂や電荷輸送層のバインダー樹脂によっても電荷発生効率、電荷注入効率、電荷輸送性等が微妙に変化するので、電荷輸送層、電荷発生層及び下記に述べる中間層等の全ての構成を選択することにより、前記2つの接線の公差角を15°〜45°の範囲に構成することが必要である。
【0044】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0045】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0046】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0047】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0048】
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0049】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを、単独又は併用して用いることができる。これらの顔料の中でも、高感度で且つ電位安定性が良好なチタニルフタロシアニン顔料、ガリウムフタロシアニン顔料、ぺリレン顔料等が好ましく用いられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン、Cu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン顔料、又は少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料等が繰り返し使用に伴う帯電性能や感度の変化がほとんどなく、良好に用いられる。
【0050】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0051】
電荷輸送層
本発明の有機感光体の電荷輸送層は基本的には電荷輸送物質(CTM)と該CTMを分散させ膜形成機能を有するバインダー樹脂等から構成される。
【0052】
電荷輸送物質としては、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどを単独で、或いは併用して用いることができる。これらの電荷輸送物質の中でも、前記した電荷発生物質と組み合わせて、2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体を作製し、安定した電子写真特性(帯電能や感度等)を得るには、電荷輸送物質をトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物から選択することが好ましい。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0053】
又、電荷輸送層のバインダー樹脂としては、誘電率が小さいバインダー樹脂を用いることが好ましく、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体等が上げられる。
【0054】
電荷輸送層には必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わなが、誘電率が小さいバインダー樹脂を用いることが好ましく、特に好ましいバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体、ポチカーボネート等を単独で、或いはブレンドして用いることが好ましい。
【0055】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0056】
又、電荷輸送層は複数の電荷輸送層で構成してもよい。電荷輸送層の膜厚は、20〜35μmが好ましく、更に25〜35μmがより好ましい。
【0057】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、導電性支持体からの電荷の注入を防止できるブロッキング機能を有する中間層を設けることが好ましい。
【0058】
ブロッキング機能を有する中間層としては、ポリアミド樹脂等を用いた下引き層、無機微粒子を含有させた下引き層を兼ねた中間層、有機金属化合物とシランカップリング剤等から形成される無機質中間層等が前記したブロッキング性と導電性支持体或いは電荷発生層との接着性を両立させる上で好ましく用いられる。本発明の中間層は実質的に半導電性又は絶縁層である。ここで半導電性又は絶縁層とは、体積抵抗が1×108Ω・cm以上であることを意味し、1×108〜1015Ω・cmが好ましい。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、1×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0059】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層が導電性に近くなり、電界強度が10V/μm未満になりやすい。又、導電性支持体からの電荷ブロッキング性が低下し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、黒ポチ等の画像欠陥も発生しやすく、良好な画質が得られない。一方1×1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0060】
尚、本発明では体積抵抗が1×108未満の層は導電層とみなし、本発明の電界強度(10V/μm)の算出に当たっては、感光体の膜厚合計から除くものとする。
【0061】
本発明の中間層としては、導電性支持体上にN型半導性粒子を含有する中間層を設が好ましい。
【0062】
ここで、N型半導性粒子とは、主たる導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質とは、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させることにより、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性を示さない性質を有するものをいう。
【0063】
ここで、N型半導性粒子の判別方法について説明する。
導電性支持体上に膜厚5μmの中間層(中間層を構成するバインダー樹脂中に粒子を50質量%分散させた分散液を用いて中間層を形成する)を形成する。該中間層に負極性に帯電させて、光減衰特性を評価する。又、正極性に帯電させて同様に光減衰特性を評価する。
【0064】
N型半導性粒子とは、上記評価で、負極性に帯電させた時の光減衰が正極性に帯電させた時の光減衰よりも大きい場合に、中間層に分散された粒子をN型半導性粒子という。
【0065】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0066】
本発明に用いられるN型半導性粒子の平均粒径は、数平均一次粒径において10nm以上500nm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは10nm〜200nm、特に好ましくは、15nm〜50nmである。
【0067】
数平均一次粒径の値が前記範囲内にあるN型半導性粒子を用いた中間層は層内での分散を緻密なものとすることができ、十分な電位安定性、及び黒ポチ発生防止機能を有する。
【0068】
前記N型半導性粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定される。
【0069】
本発明に用いられるN型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型のものが最も良い。
【0070】
N型半導性粒子に行われる疎水化表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理であり、最後に反応性有機ケイ素化合物の表面処理を行うことが好ましい。
【0071】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0072】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0073】
又、本発明に用いられる中間層は前記半導性粒子をバインダー樹脂中に分散し中間層を形成することが好ましい。該中間層のバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、前記半導性粒子の平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。このような中間層の膜厚は、0.5〜20μmが好ましい。
【0074】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0075】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0076】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0077】
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0078】
上記反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0079】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0080】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0081】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0082】
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0083】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0084】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0085】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0086】
図1は、タンデム中間転写式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。本例は、ドラム型の中間転写手段を有する装置であり、転写手段10上に現像剤であるカラートナーを重ね合わせてカラー画像を形成したのち、記録材(最終画像に支持体:普通紙、透明シート等)である記録紙Pに転写を行う形態である。
【0087】
転写手段10は、その周囲に配置されている4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kにより形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を順次重ね合わせて担持する。前記転写手段10は、ドラム状の転写体10であって、円筒状の金属基体であるアルミニウム基体11上に、弾性層として導電性ゴム層12(厚さ500〜5000μm、電気抵抗108〜1014Ω・cmのウレタンゴム層)と、更に、その上に離形性フィルム13(分離用として、厚さ20〜200μm、電気抵抗1010〜1016Ω・cmのテフロン(R)層)が設けられている。転写体10の周囲には、4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kと、記録紙転写手段30、クリーニング手段16が各々配設されている。又、転写体10は、軸101によってカラー画像形成装置100に回転自在に軸支されている。
【0088】
又、前記4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、各々枠体26Y、26M、26C、26K内に設けられ、該枠体26Y、26M、26C、26Kがカラー画像形成装置100内で移動可能に設けられ、各画像形成ユニットを、ドラム状の転写体10に対して使用色に応じて画像転写位置か、又は非画像転写位置に移動させるための移動用部材27Y、27M、27C、27Kが各々枠体26Y、26M、26C、26Kと接触して設けられている。
【0089】
前記4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kを中心に、回転する帯電手段22Y、22M、22C、22Kと、像露光手段23Y、23M、23C、23Kと、回転する現像手段24Y、24M、24C、24K、及び、感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kをクリーニングするクリーニング手段25Y、25M、25C、25Kより構成されている。
【0090】
前記画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、転写体10にそれぞれ形成するトナー像の色が異なるだけで、同じ構成であり、図2(本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの断面構成図)により画像形成ユニット20Yを例にして詳細に説明する。
【0091】
枠体26Y内に設けた画像形成ユニット20Yは、像形成体である感光体ドラム21Yの周囲に、像形成体帯電手段22Y(以下、単に帯電手段22Y、あるいは、帯電器22Yという)、露光手段23Y、現像手段24Y、像形成体クリーニング手段25Y(以下、単にクリーニング手段25Y、あるいは、クリーニングブレード25Yという)を配置し、感光体ドラム21Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット20Yのうち、少なくとも感光体ドラム21Y、帯電手段22Y、現像手段24Y、クリーニング手段25Yを一体化するように設けている。
【0092】
帯電手段22Yは、感光体ドラム21Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム21Yと接触しながら従動回転をするローラ状の帯電器22Yが用いられている。
【0093】
像露光手段23Yは、ローラ状の帯電器22Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム21Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段23Yとしては、感光体ドラム21Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0094】
本発明の有機感光体には、1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成することを前提としている。このような高解像度のドット画像の静電潜像を感光体に形成するには、像露光をスポット面積が5.00×10−10m2(500μm2)以下の露光ビームを用いて行うことが好ましい。
【0095】
このような小径のビーム露光を行っても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した静電画像を忠実に形成することができ、1200dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上のドット画像を持つ、鮮鋭性が良好で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。本発明の有機感光体に形成するドット画像数は1200dpi以上であるが、好ましくは1200〜3000dpi、より好ましくは1200〜2500dpiである。該ドット画像数を大きくする為には、前記露光ビームのスポット面積をより小さくして、感光体上に、露光することが必要である。
【0096】
又、前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0097】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0098】
現像手段24Yは、現像剤であるイエロートナーを収容し、感光体ドラム21Y上に形成された静電潜像を反転現像して、イエロートナー像を形成する手段である。本実施の形態の現像手段24Yにおいては、現像手段24Y内に収容されているイエロートナーを、撹拌部材241Yにより撹拌した後、矢示の方向に回転する表面が弾性(スポンジ)のトナー供給ローラ242Yにより、現像スリーブ243Yへ供給する。このとき、薄層形成部材244Yにより現像スリーブ243Y上のイエロートナーを均一の薄層とする。現像手段24Yの現像作用に際しては、矢示の方向に回転する現像スリーブ243Yに対し、直流あるいはさらに交流を加えた現像バイアスが印加され、現像手段24Yの収容する一成分によるジャンピング現像が行われて、接地されている感光体ドラム21Yに対して、トナーと同極性の直流成分と交流成分とを重畳したバイアスを印加して、非接触の反転現像が行われる。なお、現像スリーブ243Yの画像領域外の両端部に設けられた突当コロが、感光体ドラム21Yに当接することにより、現像スリーブ243Yと感光体ドラム21Yとを非接触に保っている。なお、非接触現像ではなく、接触現像を用いることもできる。
【0099】
感光体ドラム21Y上に形成されたイエローのトナー像は、突当コロが、転写体10の位置決め部に接触しながら回転し、トナーと逆極性のバイアス電圧の印加される転写体10により、順次、転写体10上に転写される。
【0100】
クリーニング手段25Yは、イエロートナー像が転写体10に転写された後に、感光体ドラム21Y上に残留したイエロートナーを、感光体ドラム10上から除去するための手段であって、本実施の形態においては、クリーニング手段25Yが感光体ドラム21Yに摺接することにより、残留トナーの除去を行っている。
【0101】
このようにして、画像形成ユニット20Yにより、帯電、露光、現像の工程により形成された画像信号(イエロー)に対応したイエロートナー像は、転写体10上に転写される。
【0102】
そして、図1に示すように、その他の画像形成ユニット20M、20C、20Kも同様に、それぞれ感光体ドラム21M、21C、21K上に、画像信号(マゼンタ)に対応したマゼンタトナー像、画像信号(シアン)に対応したシアントナー像、画像信号(K)に対応した黒トナー像が並列処理的に、同期をとりながら形成される。このような操作により、各画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kの各感光体ドラム21Y、21M、21C、21K上に形成されたトナー像は、順次、1〜2kVの転写バイアスを印加した転写体10上に転写され、トナー像が重ね合わされる。全てのトナー像が重ね合わさると、転写体10上に、カラートナー像が形成される。
【0103】
一方、転写体10の下部には、記録材収納手段である給紙カセットCAが設けられ、給紙カセットCA内に収容された記録材である記録紙Pは、給紙ローラr1の作動により、給紙カセットCA内から搬出され、タイミングローラ対r2へと送られる。タイミングローラ対r2は、転写体10上に形成されたカラートナー像と同期するように、記録紙Pを送り出す。
【0104】
送り出された記録紙Pは、転写位置で記録紙転写手段30により、転写体10上に形成されたカラートナー像を転写される。この記録紙転写手段30は、アースされたローラ31、転写ベルト32、紙帯電器33、転写電極34、紙分離AC除電器35から構成されている。
【0105】
送り出された記録紙Pは、ローラ31に張設され、転写体10の周速度に同期して矢示の方向に回転する転写ベルト32により、転写位置へと搬送される。転写ベルト32は、106〜1010Ω・cmの高抵抗のベルト状のものである。この際、記録紙Pは、記録材帯電手段としての紙帯電器33によりトナーと同極性に紙帯電され、転写ベルト32に吸着されて転写位置へと給送される。トナーと同極性に紙帯電を行うことにより、転写体10上のカラートナー像と引き合うことを防止して、カラートナー像の乱れを防止している。また、記録材帯電手段としては、転写ベルト32に接離可能な通電ローラやブラシ帯電器など用いることができる。
【0106】
転写位置では、転写電極34により、転写体10上のカラートナー像が、記録紙P上へと転写される。この転写電極34により、記録紙Pの裏面には、転写体10のバイアスより高いトナーと反対極性の電圧である1.5〜3kVの電位となるように、コロナ放電がなされる。
【0107】
カラートナー像の転写を受けた記録紙Pは、転写ベルト32によりさらに搬送され、記録材分離用としての紙分離AC除電器35により除電され、転写ベルト32より分離され、定着手段40へと搬送される。定着手段40において、加熱ローラ41と加圧ローラ42とにより加熱・圧着されカラートナー像が記録紙P上に容着・定着された後、記録紙Pは排紙ローラ対r3によりカラー画像形成装置の上部に設けられたトレイ上に排出される。
【0108】
一方、カラートナー像が記録紙Pへ転写された転写体10は、転写体クリーニング手段16であるクリーニングブレード161によって、転写体10上を摺擦され、転写体10上に残留した残留トナーを除去・清掃される。また、転写ベルト32上には、転写ベルトクリーニング手段36としてブレードが摺接しており、紙分離後の転写ベルト32上をクリーニングする。
【0109】
図2に示される画像形成ユニットは、現像手段と、感光ドラムとを、画像形成ユニットから脱着可能なプロセスカートリッジとしているが、本発明においてプロセスカートリッジはこれに限定されるわけではなく、感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段、分離手段、クリーニング手段のうち少なくとも一つを有するプロセスカートリッジであればよい。
【0110】
図3は、本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの他の例を示す断面構成図である。図3では現像手段と、感光体ドラムを画像形成ユニットより着脱可能なプロセスカートリッジとし、交換できる図2とは少々構成が異なる画像形成ユニットの断面図である。
【0111】
本実施例を前記画像形成ユニット20Cの構成を例にして説明する。
画像形成ユニット20Cを構成した枠体26Cはカラー画像形成装置に設けた案内部材111に設けられており、該枠体26Cの一部に接触するようにカム構造の移動用部材27Cが設けられ、スプリングSCに抗して枠体26Cと共に画像形成ユニット20Cを所定の画像形成位置で停止している。枠体26C内には像形成体である感光体ドラム21Cの周囲に、帯電手段22C、露光手段23Cが設けられ、枠体26Cと着脱自在に設けられ交換可能なプロセスカートリッジとなした第2枠体261C内には、現像手段24Cと、現像剤供給手段241C、及び、現像剤撹拌手段242Cが各々設けられ、現像手段24Cが感光体ドラム21Cの周囲に対峙するように配置されている。
【0112】
更に、第2枠体261C内には、一成分現像剤Tよりなるシアン(C)のトナーが内蔵されており、該一成分現像剤Tの残量を検知する現像剤残量検知手段Aが現像手段24C内に設けられている。
【0113】
前記感光体ドラム21C上には、前記画像形成プロセスによりシアン(C)のトナー像を形成し、前記同様転写体10にシアン(C)のトナー像を感光体ドラム21C上より転写した後、感光体ドラム21Cの周囲をクリーニング手段25Cでクリーニングするように配置されている。
【0114】
図4は、本発明の他の画像形成装置の断面構成図である。図4では転写ベルト上の記録材に直接転写する画像形成装置である。図4の画像形成手順は、図1〜3にてのものとほぼ同一であり、中間転写体の代わりに直接記録材に転写している点が異なるのみである。
【0115】
図4の転写ベルト上の記録材に直接転写する画像形成装置説明を行う。感光体を4組並列に配置して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー画像を順次転写してゆくタンデムカラー画像形成装置によるカラー画像形成例である。
【0116】
図4によれば、感光体ドラム21Y(21M、21C、21K)、スコロトロン帯電器(帯電手段)22Y(22M、22C、22K)、露光光学系(露光手段)、現像器(現像手段)24Y(24M、24C、24K)及びクリーニング装置(クリーニング手段)25Y(25M、25C、25K)よりなるY、M、C及びKの画像形成ユニット20Y(20M、20C、20K)を設け、Y、M、C及びKのトナー画像形成ユニットにより形成した各トナー像を、タイミングを合わせて記録材(記録紙P)を供給し、転写手段としての転写器34Y(34M、34C、34K)により順次転写して、重ね合わせカラートナー像を形成する。
【0117】
記録材は、搬送ベルト115に乗って搬送され、記録材分離手段としての紙分離AC除電器161による除電作用と、所定の間隔を空けて搬送部160に設けられる分離部材である分離爪210とにより、搬送ベルトから分離される。
【0118】
さらに搬送部160を通った後、加熱ローラ41と、加圧ローラ42とにより構成される定着装置(定着手段)40へと搬送され、加定着ローラ41と加圧ローラ42により形成されるニップ部Tで記録紙Pが挟持され、熱と圧力とが加えられることにより記録紙P上の重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
【0119】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0120】
実施例1
感光体1群の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの直径30mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、中間層を形成した。
【0121】
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
【0122】
中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5ミクロン、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。該塗布液を前記円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、120℃、1時間の加熱を行い、乾燥膜厚4.0μmの中間層を形成した。乾燥後の中間層の体積抵抗は前記測定条件で3×1013Ω・cmあった。
【0123】
〈電荷発生層(CGL)〉
電荷発生物質(G−1) 20部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10部
2−ブタノン 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0124】
〈電荷輸送層(CTL)〉
電荷輸送物質(T−1) 200部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に円型量規制型塗布法で塗布し、105℃で70分間の乾燥を行い、乾燥膜厚、25μmの電荷輸送層を形成し、残留溶媒を100ppm以下とした感光体1群(タンデム用に同一処方の感光体を4本)を作製した。
【0125】
感光体2群〜感光体13群の作製
感光体1群の作製に於いて、電荷発生物質G−1、電荷輸送物質T−1及び電荷輸送層の乾燥膜厚25μmを表1のように変化させた以外は同様にして、感光体2群〜感光体13群を作製した。
【0126】
感光体1T〜感光体13TのTOF測定用感光体の作製
上記、感光体1群〜感光体13群の作製に於いて、直径30mmの円筒状アルミニウム基体をPETベース上にアルミニウムを蒸着した支持体に代えた他は同様にして各中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成したTOF測定用の各感光体1T〜13Tを作製した。
【0127】
〈評価1:TOFの評価〉
感光体1T〜13Tを用い、前記したTOFの測定条件で、各感光体の過渡光電流(TOF)を測定し、続いて過渡光電流(TOF)測定データから図6に示したような時間に対する検出電流の積算値をプロットした曲線を作製し、該曲線から各感光体の原点を起点とした接線Aと3000μsecを起点とした接線Bの交差角αを求めた。TOFの測定時の帯電電位Vは、中間層、電荷発生層、電荷輸送層の膜厚合計をdとした場合のV/dが10V/μmとなるように設定した。これらの結果を表1に示す。
【0128】
〈評価2:画像評価〉
図1に示した画像形成装置を基本構成とした1200dpiのデジタルカラープリンター(露光波長650nm)に各感光体群を表1のように組み合わせ、常温常湿(20℃50%RH)下で、画素率8%の文字及びハーフトーンの混在したモノクロ画像及びカラー画像を、連続してA4紙に5万枚プリントした。モノクロ画像とカラー画像の比率は、タンデム型カラー画像形成装置のモノクロ及びカラーのプリント比率を考慮して、モノクロ画像9枚、カラー画像1枚の割合で、即ち9:1の割合でプリントした。但し、下記評価に必要な時はプリントを一時停止した。評価項目、評価基準を下記に示す。又評価結果を表1に示す。
【0129】
評価項目と評価基準
「モノクロ画像のドット再現性」
黒色画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント開始時(S)、1万枚後(1万)、5万枚後(5万)の黒色画像で評価した。
【0130】
◎:ドット画像が露光スポット面積に対し30%未満の増減で作製され、それぞれ独立に再現されている(良好)
○:ドット画像が露光スポット面積に対し30〜60%の増減で作製され、それぞれ独立に再現されている(実用性があるレベル)
×:ドット画像が露光スポット面積に対し60%を超した増減で作製され、部分的にドット画像が消失したり、連結したりしている(実用上問題のレベル)
「カラー画像のドット再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント開始時(S)、1万枚後(1万)、5万枚後(5万)のカラー画像で評価した。
【0131】
◎:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが少なく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30%未満)再現されており、カラー画像の色バランスも良好である(良好)
○:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが、各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30〜60%で、再現されており、カラー画像の色バランスが保たれている(実用性があるレベル)
×:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが大きく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で60%より大きい)再現されており、カラー画像の色バランスが失われている。(実用上問題のレベル)
「周期性の画像欠陥」
感光体の周期と一致した画像欠陥(黒ポチ(カラーポチも含む)や白ヌケ又は線状の画像欠陥として発生する)の発生を評価した。5万枚後のモノクロ及びカラー画像で評価した。
【0132】
評価基準は
◎:明瞭な周期性の画像欠陥の発生がほとんど見られない(黒ポチの場合は3個/A4以下、線状の場合は濃度が0.02以内:良好)
○:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が実用性の範囲内(黒ポチの場合は4〜10個/A4以下、線状の場合は濃度が0.03〜0.04:実用性があるレベル)
△:明瞭な周期性の画像欠陥の発生があり、実用性の再検討を要する範囲(黒ポチの場合は11〜20個/A4以下、線状の場合は濃度が0.05〜0.06:実用性再検討要のレベル)
×:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が多発(黒ポチの場合は21個/A4以上、線状の場合は濃度が0.07以上:実用上問題のレベル)
「鮮鋭性」
画像の鮮鋭性は、線画像の解像性で評価した。下記の判断基準で評価した。5万枚後のモノクロ及びカラー画像で評価した。
【0133】
◎:線画像の解像性が16本/mm以上を達成している(良好)
○:線画像の解像性が10〜15本/mmを達成している(実用上問題なし)
×:線画像の解像性が9本/mm以下(高解像性の画像としては不適)
「階調性」
上記評価条件を常温常湿(20℃、60%RH)環境に変更し、白画像から黒ベタ画像まで60の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、階調性を評価した。評価は階調段差の画像を十分な昼光条件下で目視評価し、有意性のある階調段差の合計段差数で評価した。
【0134】
◎:階調段差が41段差以上(良好)
○:階調段差が21〜40段差(実用上問題なし)
△:階調段差が11〜20段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調段差が10段差以下(実用上問題あり)
感光体の電位特性
感光体の電位特性として、スタート時から5万プリントまでの残留電位(Vr)を測定し、その変動幅(ΔVr)を算出した。
【0135】
その他の評価条件
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、目標電位を−800Vとした。
【0136】
像露光:半導体レーザ(波長:650nm)
像露光条件:半導体レーザ、露光スポット面積:3.54×10−10m2、1200dpi
除電条件
帯電前の除電条件は680nmのLED光(露光部電位に到達するのに必要な光量の3倍以上の光量値)を照射した。除電後の表面電位の値を残留電位として測定した。
【0137】
現像条件:現像剤は下記の現像剤を用い反転現像で行った。
現像剤1Bk:カーボンブラックを着色顔料とした体積平均5.2μmの着色粒子100質量部に、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部、及び0.05μmの酸化チタン0.25質量部を添加したトナーと樹脂被覆した45μmフェライトキャリア(トナーとキャリアの混合比は質量比で1/10)を用いた。
【0138】
現像剤1Y:現像剤1Bkのトナーの着色顔料をカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロー185を使用した以外同様にして作製した現像剤を用いた。
【0139】
現像剤1M:現像剤1Bkのトナーの着色顔料をカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外同様にして作製した現像剤を用いた。
【0140】
現像剤1C:現像剤1Bkのトナーの着色顔料をカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用した以外同様にして作製した現像剤を用いた。
【0141】
【表1】
【0142】
表中、
G−1はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料
G−2はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料
T−1〜T−7は下記の電荷輸送物質を示す。
【0143】
【化1】
【0144】
【化2】
【0145】
表1から明らかなように、10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°の範囲にある本発明の感光体1〜6群、8〜10群、12群、13群はモノクロ及びカラー画像のドット再現性が良好であり、このことから階調性、鮮鋭性が良好であり、又、周期性の画像欠陥の発生や残留電位の上昇も少ない。特に、交差角αが20°〜40°の範囲で、電荷輸送層の膜厚が25〜35μmの範囲の感光体2〜4群、6群、8〜10群、13群は各評価の改良効果が顕著である。一方、前記交差角αが本発明外の感光体7群(交差角αが13°)では、モノクロ及びカラー画像のドット再現性がプリント枚数の増加と共に劣化しており、且つ周期性の画像欠陥が発生し、残留電位の上昇も大きい。又、交差角αが本発明外の感光体11群(交差角αが50°)では、モノクロ及びカラー画像のドット再現性の劣化が大きく、階調性も劣化している。
【0146】
〈評価3:画像評価〉
本発明内の感光体1〜6群、8〜10群、12群、13群を用い、前記評価2の像露光条件を下記のように変更した。
【0147】
像露光条件:露光スポット面積:9.00×10−11m2、2400dpi
評価結果
2400dpiの露光条件でも、本発明の感光体1〜6群、8〜10群、12群、13群は、各評価項目とも1200dpiの露光条件の場合とほぼ同等の評価結果が得られた。
【0148】
〈評価4:画像評価〉
本発明内の感光体1〜6群を用い、前記評価2の感光体の帯電条件を下記のように変更した以外は評価2と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0149】
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、目標電位を−400Vとした。
【0150】
【表2】
【0151】
帯電条件を目標電位−400Vとした場合は、本発明の感光体1〜6群は、評価2の目標電位が−800Vの場合に比し、周期性の画像欠陥、鮮鋭性、階調性の改良効果が向上しているのが見出される。
【0152】
〈評価5:画像評価〉
本発明内の感光体1〜6群を用い、前記評価4の感光体の帯電条件を下記のように変更した以外は評価4と同様にして評価を行った。
【0153】
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、目標電位を−200Vと−300Vの2水準で評価した。
【0154】
評価結果
帯電条件を目標電位−200V、−300Vとした場合は、本発明の感光体1〜6群は、評価4の目標電位が−400Vの場合とほぼ同様の効果が得られた。
【0155】
【発明の効果】
本発明の有機感光体を用いることにより、1200dpi以上の高画質のドット画像を形成でき、画像不良を伴わない鮮鋭性、階調性が良好な電子写真画像を提供することができ、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンデム中間転写式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの断面構成図である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの他の例を示す断面構成図である。
【図4】本発明の他の画像形成装置の断面構成図である。
【図5】有機感光体の10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定のデータである。
【図6】図5のデータから得られる時間に対する検出電流の積算値をプロットした曲線である。
【符号の説明】
10 転写体(転写手段)
20Y、20M、20C、20K 画像形成ユニット
21Y、21M、21C、21K 感光体ドラム(像形成体)
22Y、22M、22C、22K 帯電手段
23Y、23M、23C、23K 露光手段
24Y、24M、24C、24K 現像手段
25Y、25M、25C、25K クリーニング手段
26Y、26M、26C、26K 枠体
27Y、27M、27C、27K 移動用部材
Claims (10)
- 1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
- 前記電荷輸送層の膜厚が20〜35μmであることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 前記電荷輸送層の膜厚が25〜35μmであることを特徴とする請求項2に記載の有機感光体。
- 前記有機感光体が更に表面保護層を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の有機感光体。
- 1200dpi以上の解像度で有機感光体上にデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも1つと導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°である有機感光体とを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 少なくとも有機感光体、帯電手段、露光手段及び現像手段を有し、1200dpi以上の解像度で有機感光体上にデジタル画像の書き込みを行い、静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置において、該有機感光体が導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする画像形成装置。
- 前記帯電手段による有機感光体の帯電電位が200〜400Vであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 少なくとも有機感光体と、該有機感光体上に1200dpi以上の解像度でデジタル画像の書き込みを行い静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段と、該有機感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段を有する画像形成ユニットを複数配列し、画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いて形成した各トナー像を順次記録材に転写してカラー画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体が導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 帯電電位が200〜400Vの条件で、デジタル画像の書き込みを行い、デジタル画像の静電潜像を形成する電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機感光体において、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した構成を有し、且つ10V/μmの電界強度での過渡光電流(TOF)測定において、時間に対する検出電流の積算値をプロットした場合に得られる曲線に接する2つの接線の交差角αが15°〜45°であることを特徴とする有機感光体。
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