JP2006047656A - 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 電子写真有機感光体において、製造が容易で、かつ高い耐摩耗性と良好な電子写真特性を有し、さらにクリーニング不良を起こさず、長期的に安定した画像形成を行うことができる高耐久な電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置を提供する。
【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が少なくともバインダー樹脂と、ノニオン界面活性剤を含有することを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、静電記録などに用いられる電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置、画像形成方法、さらに該画像形成装置用プロセスカートリッジに関し、特に有機感光体の保護層の改良に関する。
電子写真方式を利用した複写機、プリンタ及びファクシミリ装置等の画像形成装置においては、一様に帯電された感光体上に、画像データにより変調された書込光を照射して、感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された感光体に現像部よりトナーを供給してトナー画像を感光体上に形成して現像する。画像形成装置は、この感光体上のトナー画像を転写部で転写紙(記録紙)に転写した後、定着部で転写紙上に転写したトナーを加熱・加圧して定着させ、感光体表面に残留したトナーをクリーニング部でクリーニングブレードにより掻き取る等の方法により回収する。
このような電子写真方式を利用した画像形成装置においては、感光体として有機光導電性物質を含有する有機感光体が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等が他の感光体に対して有利な点であるが、機械的強度が弱く、長期間使用することで感光層が摩耗し、ある一定量削り取られると、感光体の電気特性が変化して、適正な作像プロセスを行えなくなる。この摩擦は、上記作像プロセスで、感光体と他の作像部である現像部や転写部等の接触する部位全てで発生する。従って、該感光層の摩耗を低減することで感光体寿命を向上させる検討がなされており、最表層に耐摩耗性が高い保護層を形成する方法などが数多く報告されている。
従来では、感光体の表面保護層として、コロイダルシリカ含有硬化性シリコーン樹脂を用いることが報告されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、コロイダルシリカ含有硬化性シリコーン樹脂の表面層では耐摩耗特性は改善されるが、繰り返し使用時の電子写真特性が不十分であり、カブリや画像ボケが発生しやすく、また近年要求される高寿命感光体としての耐久性に対しては不十分である。
この様な欠点を改善する方法として、有機ケイ素変性正孔輸送性化合物を、硬化性有機ケイ素系高分子中に結合させた樹脂層を、表面層として有する感光体を提案している(例えば特許文献2、3参照)。しかし、この樹脂層は高湿環境下でカブリや画像ボケが発生しやすく十分な耐久性を有していない。
さらに、電荷輸送性付与基を有する硬化性シロキサン樹脂を3次元網目構造状に硬化させる方法が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、この方法は、体積収縮に起因すると考えられる塗膜の亀裂が生じる場合があった。特に、安価で取り扱いの容易な市販のコーティング剤との組み合わせにおいて、上記問題が発生する場合が見られた。また、硬化性シロキサン樹脂は、表面エネルギーが高く、トナーの付着力が大きい。そのため、板状のウレタンゴムを当接させてトナークリーニングを行う、ブレードクリーニング方式の電子写真装置に搭載した場合、トナーのブレードすり抜けが発生し、クリーニング不良による異常画像を引き起こすことが大きな問題となっている。
また、硬化性シロキサン樹脂は、電子写真感光体感光層に広く用いられているポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂と、屈折率が大きくことなり、かつ積層した場合の界面が顕著になることが知られている。ここで、可干渉光を用いて露光するデジタル画像形成装置に該界面が顕著な電子写真感光体を搭載すると、界面と表面との乱反射によるものと思われるモアレ画像が見られる場合があった。このように、高い耐久性、良好な電気特性を有し、クリーニング不良やモアレなどの異常画像を起こさない電子写真感光体を安価にかつ容易に得るには不十分であった。
特開平6−118681号公報 特開平9−124943号公報 特開平9−190004号公報 特開2000−171990号公報
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、上記課題を解決し、製造が容易で、かつ高い耐摩耗性と良好な電子写真特性を有し、さらにクリーニング不良を起こさず、長期的に安定した画像形成を行うことができる高耐久な電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、かかる画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が少なくともバインダー樹脂と、ノニオン界面活性剤を含有する電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤を含有する保護層のバインダー樹脂が少なくとも水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して樹脂層を形成する硬化性シロキサン系樹脂である請求項1に記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤の親水性−親油性バランスを示す指標HLBが3以上20以下である請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤が、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造を有する多価アルコール脂肪酸エステルの少なくとも1種類以上からなる請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤の多価アルコールが、グリセリンまたは/及びソルビトールであるグリセリン脂肪酸エステルまたは/及びソルビタン脂肪酸エステルの少なくとも1種類以上からなる請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤が、硬化性シロキサン系樹脂と架橋した構造を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤中に炭素数6〜20のカルボン酸エステルを含有する請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤中に含有する脂肪酸エステルは1〜3個である請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記ノニオン界面活性剤中の脂肪酸エステルが、少なくともステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸から選ばれる脂肪酸により形成される請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段及び転写手段を有する画像形成方法において、該電子写真感光体に請求項1乃至9に記載の電子写真感光体を使用する画像形成方法を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記画像形成方法が、電子写真感光体表面に当接し、該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を使用する請求項10に記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、前記画像形成方法において、該帯電手段が、電子写真感光体に接触または非接触配置された帯電部材に直流並びに交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電する帯電手段である請求項10又は11のいずれかに記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、前記画像形成方法が複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型画像形成装置を使用する請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、前記画像形成方法が電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有する画像形成方法であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写する請求項10乃至13のいずれかに記載の画像形成方法を特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段及び転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体である画像形成装置を特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、前記画像形成装置が、電子写真感光体表面に当接し、該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を有する請求項15に記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、前記画像形成装置が複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型である請求項15又は16のいずれかに記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、前記画像形成装置が電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有する画像形成装置であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写する請求項15乃至17のいずれかに記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段の少なくとも一つと請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体とを具備してなるプロセスカートリッジを特徴とする。
本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が少なくともバインダー樹脂と、ノニオン界面活性剤を含有することを特徴とする電子写真感光体とすることにより、樹脂の耐摩耗性を維持したまま、残留電位の上昇を抑え、かつ表面自由エネルギーを低減することで、クリーニング性の向上も達成することが可能となる。
また、本発明によれば、前記保護層のバインダー樹脂が少なくとも水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して樹脂層を形成する硬化性シロキサン系樹脂である電子写真感光体とすることを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。
硬化性シロキサン系樹脂は、非常に高密度な三次元架橋構造を形成することから、耐摩耗性が著しく向上することが知られており、保護層のバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体の大幅な長寿命化が達成できる。本発明の電子写真感光体は、ノニオン界面活性剤を含有することで、しばしば問題となる、露光部電位の上昇を抑制し、また下層である感光層と保護層との界面を消失する効果を発現する。該界面は、保護層と感光層との屈折率の違いと、保護層と感光層の濡れ性の不足により発生すると考えられ、界面が顕著な感光体を可干渉光によって書き込みを行うデジタル画像形成装置に用いた場合、該界面と表面との乱反射によってモアレが発生し、ハーフトーン画像などに顕在化することが確認されている。ノニオン界面活性剤を含有する硬化性シロキサン系樹脂によって形成される保護層は、保護層と感光層との濡れ性の改善に効果を発揮し、前記界面が目立たなくなり、モアレの発生が低減されると考えられる。
また、本発明によれば、前記ノニオン界面活性剤のHLB(Hydrophile-lipophile balance)が3以上20以下であることを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。HLBとは、界面活性剤の親水性−親油性バランスを示す指標であり、数値が小さいほど親油性を示し、数値が大きいほど親水性を示す。ここで、HLBが3以上20以下であるノニオン界面活性剤は、比較的良好な成膜性、残留電位抑制効果を示し、さらに下層の感光層との界面が目立たなくなるなどの効果がより顕著に発現する。その理由はよくわからないが、親水性、親油性のバランスが良く、保護層バインダー樹脂との相溶性、感光層との濡れ性向上などの効果がより大きく発現しているのではないかと考えられる。
また、本発明によれば、前記ノニオン界面活性剤が、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造を有する多価アルコール脂肪酸エステルの少なくとも1種類以上からなること、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これらの界面活性剤は、エステル型ノニオン界面活性剤の中でも、食品添加物に認可されるほど安全性が高く、種類も豊富で、効果も大きいことから、非常に好適に用いることが出来る。
また、本発明によれば、前記多価アルコールが、グリセリン又は/及びソルビトールである、グリセリン脂肪酸エステル又は/及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる多価アルコール脂肪酸エステルの少なくとも1種類以上からなること、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これらの界面活性剤は、多価アルコール脂肪酸エステルの中でも、食品添加物に認可されるほど安全性が高く、生産量が多いことから、非常に安価であり、入手も容易であることから、感光体のコストダウンにつながり、非常に好適に用いることが出来る。
また、本発明によれば、前記ノニオン界面活性剤が、硬化性シロキサン系樹脂と架橋した構造を有することを、より好ましい態様の一つとして包含するモノである。前記ノニオン界面活性剤中にエステル結合に使われていない水酸基を有する場合、硬化性シロキサン系樹脂と架橋することが可能であり、該多価アルコール脂肪酸エステルが架橋構造に組み込むことは、塗膜の均一化、強靱化に対して、非常に有効である。その結果、透明性が高い良好な保護層を形成することが出来、かつ高い耐摩耗性を維持した保護層を得ることが出来るのである。
さらに、保護層中の電荷トラップとなるような官能基が減少するために、繰り返し使用時の残留電位上昇がより抑えられた電子写真感光体を得ることが出来る。
また、本発明によれば、前記ノニオン界面活性剤中に炭素数6〜20のカルボン酸エステルを含有することを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。
これら長鎖の脂肪酸は、塗膜表面の低表面エネルギー化の効果を発揮し、クリーニング性向上、トナー転写性向上などの効果が発現される。
また、本発明によれば、前記ノニオン界面活性剤中に少なくとも1〜3つの脂肪酸エステルを含有することを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。前記ノニオン界面活性剤中の脂肪酸エステル数があまり多すぎると、分子が大きくなりすぎて、樹脂との相溶性が悪くなったり、樹脂のシラノールとの架橋サイトがなくなり、樹脂との結合が弱くなったりすることが考えられる。従って、脂肪酸エステルは1〜3程度であることが好ましいと考えられる。
また、本発明によれば、前記ノニオン界面活性剤中の脂肪酸エステルが、少なくともステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸から選ばれる脂肪酸により形成されている電子写真感光体とすることを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これらの脂肪酸によって形成された脂肪酸エステルは、高級脂肪酸であるため、保護層の表面エネルギー低減に効果を発揮し、撥水性、離型性が向上する。そのため、高湿環境下の画像ボケ低減、トナーの転写性などが向上する。また、該脂肪酸と多価アルコールのエステルは、食品添加物に認可されるほど安全性が高く、現在食品分野や化粧品分野でも広く用いられているため、生産量が多く、入手も容易であり、電子写真感光体に用いた場合のコストパフォーマンスが高いことなどから、非常に有用である。
また、本発明によれば、少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段及び転写手段を有する画像形成方法、画像形成装置において、該電子写真感光体が前述の本発明の電子写真感光体であることを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。
本発明の電子写真感光体は、耐摩耗性が非常に高く、また、表面エネルギーが小さいため、トナーのクリーニング性、転写性が著しく向上し、特にクリーニングが困難といわれる、球形トナーのクリーニング性が非常に高くなる。従って、粉砕トナーのみならず、球形トナーを用いた画像形成方法においても、長期間繰り返し、良好な画像を出力することが出来る。
また、本発明によれば、前記画像形成方法、画像形成装置が、電子写真感光体表面に当接し、該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を有することを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これによって、電子写真感光体表面に当接し、該電子写真感光体表面に残留するトナーと除去するクリーニング手段を有するような、感光体に対するハザードが大きい画像形成方法、画像形成装置を用いた長期間の繰り返し使用時においても、安定して良好な画像を出力することが出来る。
また、本発明によれば、前記画像形成方法、画像形成装置において、該帯電手段が、電子写真感光体に接触または非接触配置された帯電部材に直流並びに交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電する帯電手段を有する画像形成方法、画像形成装置とすることを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これによって、良好な画像品質が得られるが、感光体に対するハザードが大きい前述の帯電手段を有する画像形成方法、画像形成装置を用いた長期間の繰り返し使用時においても、安定して良好な画像を出力することが出来る画像形成方法、画像形成装置を得ることができる。
また、本発明によれば、前記画像形成方法、画像形成装置が複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型であることを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これによって、フルカラー画像を高速で出力できるフルカラー画像形成方法、画像形成装置を得ることが出来る。
また、本発明によれば、前記画像形成方法、画像形成装置が電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有する画像形成方法であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを、そのより好ましい態様の一つとして包含するものである。これによって、色ズレの少ない高品質はフルカラー画像を高速で出力できるフルカラー画像形成方法、画像形成装置を得ることが出来る。
また、本発明によれば、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段の少なくとも一つと、前述の本発明の電子写真感光体とを具備してなる画像形成装置用プロセスカートリッジを得ることができる。これによって、電子写真感光体や、その他プロセス部材の交換を短時間に、容易に行うことができるので、メンテナンスに要する時間が短縮でき、コストダウンにつながる。また、プロセス部材と電子写真感光体が一体となっているので、取り付け位置の精度向上などの利点がある。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の電子写真用感光体の模式断面図であり、導電性基体上に感光層、保護層を設けた構成のものである。図2、3、4は各々本発明のおける他の電子写真用感光体の構成例を示すものであり、図2は感光層が電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)より構成される機能分離型タイプのもの、図3は導電性基体と機能分離型タイプの感光層のCGL、CTLの間に下引き層を入れたもの、図4は電荷輸送層の上に電荷発生層を積層した逆層タイプのものである。なお、導電性支持体上に感光層と保護層を少なくとも有していれば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
本発明において電子写真感光体に使用される導電性支持体としては、導電体もしくは導電処理をした絶縁体、例えばAl、Ni、Fe、Cu、Auなどの金属、もしくはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属あるいはIn23、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙等が使用できる。導電性支持体の形状は特に制約はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できるが、ベルト状の支持体を用いると、内部に駆動ローラ、従動ローラを設ける必要があるなど装置が複雑化したり、大型化する反面、レイアウトの自由度が増すなどのメリットがある。しかしながら、保護層を形成する場合は、該保護層の可撓性が不足して、表面にクラックとよばれる亀裂が入る可能性があり、それが原因で粒状の地肌汚れが発生することが考えられる。このようなことから、支持体としては剛性の高いドラム状のものが好ましく用いられる。
導電性支持体と感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。かかる下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は、一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂は、その上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
更に、かかる下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、かかる下引き層として、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けてもよい。下引き層の膜厚は約0.1〜10μmが適当であり、さらに好ましくは1μm〜5μmである。
本発明の電子写真感光体に用いられる感光層の種類は、Se系、OPC系等のいずれも適用できる。無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。特に、環境に対して優しくかつ安価なOPCが良好である。
本発明における感光層は、単層型でも積層型でもよく、まず積層型について述べる。はじめに、電荷発生層について説明することにする。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層であって、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。また、必要に応じて、電荷輸送性物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送性物質も良好に用いられる。
電荷発生層形成用塗工液に用いられる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられ、これら有機溶媒は単独でも2種類以上混合して用いても良い。特に、沸点が40℃以上、80℃以下のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールは、塗工後の乾燥が容易であることなどから、好適に用いられる。
電荷発生層形成用塗工液は、上記有機溶媒中に電荷発生材料と必要に応じてバインダー樹脂を分散、溶解して製造する。有機顔料を有機溶媒に分散する方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミルなどの分散メディアを用いた分散方法や、高速液衝突分散方法などが挙げられる。
電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、電荷発生層形成用塗工液を用いて、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行なうことができる。
電荷発生層の膜厚は、その厚みに応じて電子写真特性、特に光感度が変化し、一般的に膜厚が厚いほど光感度が高くなる。従って、電荷発生層の膜厚は、要求される画像形成装置のスペックによって好適な範囲に設定する必要がある。一般的には、電子写真方式の感光体として要求される感度を得るためには、0.01〜5μm程度の膜厚が適当であり、好ましくは0.05〜2μm程度である。
電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性が良いことが要求される。
これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送性物質及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂により構成される。かかる電荷輸送層は、これらの電荷輸送性物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。かかる電荷輸送層には、必要により、電荷輸送性物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
電荷輸送性物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、たとえば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、高分子電荷輸送性物質は、以下のような構造を有していてもよい。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
また、本発明に用いられる高分子電荷輸送性物質として更に有用なトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルとしては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載の化合物が例示される。
更に、電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷移動性物質の共重合体として構成されていても良い。電荷輸送層の膜厚は、約5〜100μm程度が適当であるが、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、より好ましくは5〜30μm程度が適当である。
次に、感光層が単層構成の場合について説明する。
キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くの場合、かかる単層感光層は、電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送性物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。電荷発生物質並びに電荷輸送性物質としては、前述した材料を用いることができる。
また、かかる単層感光層には、必要により、可塑剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いることができる。その他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
本発明の電子写真感光体は、前述の感光層の上に保護層が設けられる。保護層は、少なくともバインダー樹脂と、ノニオン界面活性剤を含有する。バインダー樹脂は、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いることが出来る。また、バインダー樹脂として、水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して樹脂層を形成する硬化性シロキサン系樹脂を用いることは、電子写真感光体の耐摩耗性を著しく向上させることができ、非常に有用である。硬化性シロキサン系樹脂は、アルコキシシリル基を有する化合物、その部分加水分解縮合物、又はこれらの混合物を主成分とし、必要に応じて触媒、架橋剤、オルガノシリカゾル、シランカップリング剤、アクリルポリマー等の重合体が添加された組成物を反応硬化させて得られる。
アルコキシシリル基を含有する化合物としては、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン等の1種以上が適宜選択使用される。これらの化合物に、エポキシ基又はメタクリロイル基、あるいはビニル基を導入したものも使用可能である。
アルコキシシリル基を含有する化合物の部分加水分解縮合物は、アルコキシシリル基を含有する化合物に所定量の水、触媒等を添加して反応させる公知の方法により製造可能である。
硬化性シロキサン樹脂を形成する原料としては、市販のコーティング剤を使用することも好適な態様であり、具体的には、GR−COAT(ダイセル化学工業製)、Glass Resin(オーエンスコーニング社製)、ヒートレスグラス(大橋化学工業製)、NSC(日本精化製)、ガラス原液GO150SX、GO200CL(ファイングラステクノロジー社製)、アルコキシシリル化合物にアクリル樹脂やポリエステル樹脂を共重合したものとして、MKCシリケート(三菱化学製)、シリケート/アクリルワニスXP−1030−1(大日本色材工業製)等が例示される。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、多くのメーカーから多種多様なものが上市されており、それら既存のものが使用できる。ノニオン界面活性剤は分子内の主要なる結合の仕方によって、エステル型、エーテル型、エステルエーテル型等に分類することができる。エステル型の界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、とくにこれらは、食品添加物として認可されているものも多く、非常に安全性が高いのが特徴である。
エーテル型の界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(POE)アルキルフェニルエーテルなどが挙げられる。エステルエーテル型は、脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エステルに酸化エチレンをふかしたタイプで、分子中にエステル結合とエーテル結合の両方を有するもので、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、脂肪酸については、特に限定されないが、炭素数6〜20の脂肪酸が好ましく、特にステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸が好ましく用いられる。これについては、理由はよくわからないが、界面活性効果が高いため、広く用いられており、安価で入手も比較的容易であることが挙げられる。
また、多価アルコールと脂肪酸によるエステル結合は、1分子当たり、1〜3個であることが好ましい。特に、これは、前記高級脂肪酸エステルが分子中に多数存在すると、バインダー樹脂との相溶性が悪化したり、塗工液への溶解性が低下するためで、高級脂肪酸による表面エネルギー低減効果とのバランスで、上記範囲であることが好ましい。
これらノニオン界面活性剤は、市販の界面活性剤を使用することも好適な態様であり、具体的には、エマレックスシリーズ(日本エマルジョン社製)、レオドールシリーズ(花王社製)、ポエムシリーズ(リケン社製)、ニッコールシリーズ(日光ケミカルズ社製)、カデナックスシリーズ(ライオン社製)などが挙げられる。
ノニオン界面活性剤の保護層中の含有量は、1wt%〜60wt%が好ましく、より好ましくは5wt%〜30wt%である。ノニオン界面活性剤の含有量が多すぎると、硬化性シロキサン系樹脂の架橋を阻害し、保護層の耐摩耗性が低下してしまったり、塗膜が白濁してしまうことが考えられる。また極端に少ない場合、残留電位抑制が不十分となったり、感光層との界面が顕著になり、モアレ画像を引き起こしたりすることが考えられる。
本発明の保護層には、必要に応じて、電荷輸送物質を含有することができる。電荷輸送物質としては、前述のものを用いることが出来る。しかしながら、電荷輸送物質単独では、残留電位の抑制には効果があるが、界面の除去や表面エネルギー低減などの効果はなく、しかも電荷輸送物質は高価である場合が多い。そのため、本発明においては、電荷輸送物質は残留電位抑制に対して、ノニオン界面活性剤の補助的な役割にとどめることで、本発明のコストダウンの効果がより大きくなる。
また、保護層中にはさらなる耐摩耗性向上の目的で、微粒子を添加しても良い。添加する微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂微粒子、シリコ−ン樹脂微粒子、グアナミンホルムアルデヒド樹脂微粒子、などの有機樹脂微粒子と、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機微粒子が挙げられるが、耐摩耗性向上のためには、無機微粒子が好ましく、とくに電子写真特性とのバランスがよい、シリカ、酸化チタン、酸化アルミ等の微粒子を単独もしくは2種類以上混合して用いる。
更に、本発明に係る電子写真感光体の保護層には、シロキサン樹脂の硬化を阻害しない程度に、接着性、平滑性、化学的安定性を向上させる目的で、種々の添加剤を加えてもかまわない。
本発明にかかる保護層は、浸漬塗工、スプレー塗工、ブレード塗工、ナイフ塗工等の常法の塗工方法を用いて感光層上に形成される。特に、量産性、塗膜品質などの面から浸漬塗工、スプレー塗工が有利である。こうして得られる保護層の膜厚は0.1〜15μmの範囲が適当であり、より好ましくは1〜10μmである。
次に本発明に係る画像形成装置について、図を参照して説明する。
図5は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。なお、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図5に示すように、本発明に係る電子写真感光体を用いた画像形成装置は、本発明に係るドラム状の感光体1と、帯電チャージャ3と、転写前チャージャ7と、転写チャージャ10と、分離チャージャ11と、クリーニング前チャージャ13などから構成されている。
なお、感光体1の形状は、ドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。また、各種チャージャーとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。特に接触配置またはギャップテープを介して連れ回るように近接配置された帯電ローラによる帯電方式を用いた場合や、直流並びに交流電圧を重畳印加する帯電方式は、コロトロンやスコロトロン帯電方式に比べて、感光体表面に対するハザードが大きく、より摩耗が進行することが知られているbが、このような帯電方式においても、本発明の電子写真感光体は高い耐摩耗性を有することが確認されている。また、本発明の電子写真感光体は、ノニオン界面活性剤を保護層に含有していることから、表面エネルギーが低減されている。その結果、放電によって生成する低抵抗物質の付着が抑えられ、画像ボケの抑制が達成される。
転写手段としては、一般には上記の帯電器が使用できるが、図示するような転写チャージャと分離チャージャとを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図5に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光を照射することができる。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上にトナーが残存する。このようなトナーは、クリーニングブラシ14及びブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシ又はブレード単独で行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。さらに、本発明の電子写真感光体は、表面エネルギーの低減によって、トナーの付着力が低減されているので、クリーニング性、転写性が向上し、カブリや転写残トナーの低減につながっている。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段としては、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。現在主流のデジタル画像形成装置は、可干渉光による書き込みで潜像を形成し、ネガ画像を現像する方式が一般的であるが、従来の保護層を有する電子写真感光体、特に硬化性シロキサン系樹脂を保護層に用いる電子写真感光体は、保護層と、下層の感光層との間に界面が生じ、この界面と表面との乱反射によって生じると思われる干渉縞が画像にあらわれることが多かった。本発明の電子写真感光体は、上記界面を干渉が起こらない程度に目立たなくすることが出来、その結果、上記モアレ画像は発生しない。
図6には、本発明による画像形成装置を用いた別のプロセスの例を示す。図6において、感光体22は、本発明の電子写真感光体であり、駆動ローラ23により駆動され、帯電チャージャ20による帯電、像露光光源21による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャー帯電器25を用いる転写、クリーニングブラシ26によるクリーニング、除電光源27による除電が繰返し行なわれる。
さらに、本発明を適用したフルカラー画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。図において、潜像担持体たる感光体56は、図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロンやスコロトロンなどを用いる帯電チャージャ53によって一様帯電せしめられた後、図示しないレーザ光学装置から発せられるレーザ光Lの走査を受けて静電潜像を担持する。この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、感光体ドラム56上にはイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックという単色用の静電潜像が形成される。感光体ドラム56の図中左側には、リボルバ現像ユニット50が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を感光体ドラム56に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを付着せしめて静電潜像を現像するものである。感光体ドラム56上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成され、これらはリボルバ現像ユニット50の各現像器によって順次現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像となる。
上記現像位置よりも感光体ドラム56の回転下流側には中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ59a、転写手段たる中間転写バイアスローラ57、2次転写バックアップローラ59b、ベルト駆動ローラ59cによって張架している中間転写ベルト58を、ベルト駆動ローラ59cの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめる。感光体ドラム56上で現像されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像は、感光体ドラム56と中間転写ベルト58とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ57からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト58上に重ね合わせて中間転写されて、4色重ね合わせトナー像となる。
回転に伴って中間転写ニップを通過した感光体ドラム56表面は、ドラムクリーニングユニット55によって転写残トナーがクリーニングされる。このクリーニングユニット55は、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラによって転写残トナーをクリーニングするものであるがファーブラシ、マグファーブラシ等からなるクリーニングブラシや、クリーニングブレードなどを用いるものであってもよい。
転写残トナーがクリーニングされた感光体ドラム56表面は、除電ランプ54によって除電せしめられる。除電ランプ54には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
中間転写ユニットの図中下側には、転写ベルトと転写バイアスローラ、駆動ローラ等各種ローラーからなる転写ユニットが配設されており、これの図中左側には、搬送ベルト64、定着ユニット65が配設されている。転写ユニットは、無端移動する転写ベルトは、図示しない移動手段によって図中上下方向に移動するようになっていてもよく、少なくとも、中間転写ベルト58上の1色トナー像(イエロートナー像)や、2色又は3色重ね合わせトナー像が紙転写バイアスローラ63との対向位置を通過する際には、中間転写ベルト58に接触しない位置まで待避移動する。そして、中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像の先端が紙転写バイアスローラ63との対向位置に進入してくる前に、中間転写ベルト58との接触位置まで移動して2次転写ニップを形成する。
一方、図示しない給紙カセットから送られてきた転写紙60を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対61は、転写紙60を中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像は、2次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ63からの2次転写バイアスの影響を受けて転写紙P上に一括して2次転写される。この2次転写により、転写紙60上にはフルカラー画像が形成される。
フルカラー画像が形成された転写紙60は、転写ベルト62によって紙搬送ベルト64に送られる。搬送ベルト64は、転写ユニットから受け取った転写紙60を定着装置65内に送り込む。
定着装置65は、送り込まれた転写紙60を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。転写紙60上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて転写紙60上に定着せしめられる。
なお、図示を省略しているが、転写ベルト62や搬送ベルト64には、転写紙Pを吸着させるためのバイアスが印加されている。また、転写紙60を除電する紙除電チャージャや、各ベルト(中間転写ベルト58、転写ベルト62、搬送ベルト64)を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されている。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット55と同様の構成のベルトクリーニングユニットも備えており、これによって中間転写ベルト58上の転写残トナーをクリーニングする。
図8は、本実施形態に係るプリンタの変形例である。この装置は、いわゆるタンデム方式のプリンタであり、感光体ドラム80を各色で共有させるのではなく、各色用の感光体ドラム80Y、80M、80C、80Bkを備えている。また、ドラムクリーニングユニット85、除電ランプ83、ドラムを一様帯電せしめる帯電ローラ84も、各色用のものを備えている。なお、図7に示したプリンタではドラム一様帯電手段として帯電チャージャ53を設けていたが、このプリンタでは帯電ローラ84を設けている。
タンデム方式では、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、下記実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製))15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))10重量部をメチルエチルケトン150重量部に溶解し、これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL(石原産業社製))90重量部を加えボールミルで12時間分散し、下引層用塗工液を作製した。これをφ30mmの円筒状アルミニウム基体に浸漬塗工法によって塗工し130℃で20分間乾燥し厚み3.5μmの下引き層を形成した。
次にポリビニルブチラール樹脂(XYHL(UCC社製))4重量部をシクロヘキサノン150重量部に溶解し、これに下記構造式(1)で表される化合物にビスアゾ顔料10重量部を加え、ボールミルで48時間分散後、さらにシクロヘキサノン210重量部を加えて3時間分散を行った。これを容器に取り出し固形分が1.5重量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液を前記中間層上に塗工し130℃で20分間乾燥し厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2006047656
次に、テトラヒドロフラン100重量部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10重量部、シリコーンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002重量部を溶解し、これに下記構造式(2)で表される電荷輸送物質10重量部を加えて電荷輸送層用塗工液を作製した。こうして得られた電荷輸送層用塗工液を電荷発生層上に浸漬塗工法によって塗工し、その後110℃で20分間乾燥し、厚み20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2006047656
次に、メチルトリメトキシシラン7重量部をフラスコに入れ、氷水で0℃近傍に冷却した後、1wt%の酢酸水溶液3重量部を、1時間かけて滴下し、その後攪拌しつつ6時間かけて25℃まで昇温した。
これにシクロヘキサノン18重量部、エタノール18重量部を加え攪拌し、さらに表.1、No.22に記載の非架橋性電荷輸送物質7重量部添加して溶解した。さらに、トリス(2,4ペンタンジオナト)アルミニウム(III)を0.5重量部、アセチルアセトン0.15重量部を加えて保護層用塗工液を作製した。こうして得られた保護層用塗工液を電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、その後、基体を回転させた状態で10分間放置して指触乾燥を行った後、130℃30分間加熱硬化して、厚み2μmの保護層を形成し、実施例1の電子写真感光体を作製した。
次に、メチルトリメトキシシラン7重量部をフラスコに入れ、氷水で0℃近傍に冷却した後、1wt%の酢酸水溶液3重量部を、1時間かけて滴下し、その後攪拌しつつ6時間かけて25℃まで昇温した。これにシクロヘキサノン18重量部、エタノール18重量部を加え攪拌し、さらにソルビタンモノステアレート(NIKKOL SS-10、HLB:4.7;日光ケミカルズ社製)1.4重量部を添加して溶解した。さらに、トリス(2,4ペンタンジオナト)アルミニウム(III)を0.5重量部、アセチルアセトン0.15重量部を加えて保護層用塗工液を作製した。こうして得られた保護層用塗工液を電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、その後、基体を回転させた状態で10分間放置して指触乾燥を行った後、130℃30分間加熱硬化して、厚み2μmの保護層を形成し、実施例1の電子写真感光体を作製した。
こうして得られた電子写真感光体をフルカラープリンター IPSiO CX 8200(リコー社製)の改造機(クリーニングブレード当接圧を2倍にして、感光体の摩耗に対して負荷を加えたもの)に搭載して、非露光部電位(VD)が−800Vになるように帯電器の電圧を調節したのち、600dpi相当の書き込みによって、A4サイズ、画像面積率5%となるテスト画像を出力するランニング試験を5万枚行い、ランニング試験前後の感光層の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー製)を用いた。さらに、ランニング試験後の耐久画像出力を実施し、画像品質について評価を行った。
(実施例2)
保護層形成用塗工液を以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして実施例2の電子写真感光体を作製し、評価を行った。メチルトリメトキシシラン3重量部、フェニルトリメトキシシラン4重量部をフラスコに入れ、氷水で0℃近傍に冷却した後、1wt%の酢酸水溶液3重量部を1時間かけて滴下し、その後攪拌しつつ6時間かけて25℃まで昇温した。
これにシクロヘキサノン18重量部、エタノール18重量部を加え攪拌し、さらにソルビタンモノステアレート(NIKKOL SS-10、HLB:4.7;日光ケミカルズ社製)1.4重量部を添加して溶解した。さらに、トリス(2,4ペンタンジオナト)アルミニウム(III)を0.5重量部、アセチルアセトン0.15重量部を加えて保護層用塗工液を作製した。こうして得られた保護層用塗工液を電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、その後、基体を回転させた状態で10分間放置して指触乾燥を行った後、130℃30分間加熱硬化して、厚み2μmの保護層を形成し、実施例2の電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
保護層形成用塗工液を以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にして実施例2の電子写真感光体を作製し、評価を行った。テトラヒドロフラン280重量部とシクロヘキサノン80重量部の混合溶媒に、ソルビタンモノステアレート(NIKKOL SS-10、HLB:4.7;日光ケミカルズ社製)3.5重量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂7重量部を溶解し、保護層形成用塗工液を作製した。こうして得られた保護層形成用塗工液を電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、その後130℃30分間乾燥し、厚み8μmの保護層を形成し、実施例3の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例4)
バインダー樹脂としてビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例4の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例5)
バインダー樹脂としてビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例5の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例6)
バインダー樹脂としてUポリマーU−100(ポリアリレート樹脂、ユニチカ社製)を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例6の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例7)
バインダー樹脂として、NSC1274(シリコーンハードコート、日本精化社製)とした以外は、実施例1と同様にして実施例7の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例8)
ソルビタンモノステアレートの添加量を0.14重量部とした以外は、実施例7と同様にして実施例8の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例9)
ソルビタンモノステアレートの添加量を0.7重量部とした以外は、実施例7と同様にして実施例9の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例10)
ソルビタンモノステアレートの添加量を7重量部とした以外は、実施例7と同様にして実施例10の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例11)
ソルビタンモノステアレートの代わりにソルビタンモノラウレート(NIKKOL SL−10、HLB:8.6;日光ケミカルズ社製)を0.7重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例11の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例12)
ソルビタンモノステアレートの代わりにソルビタンモノオレエート(NIKKOL SO−10、HLB:4.3;日光ケミカルズ社製)を0.7重量部添加した以外は、実施例17同様にして実施例12の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例13)
ソルビタンモノステアレートの代わりにグリセリルモノステアレート(NIKKOL MGS−A、HLB:4.0;日光ケミカルズ社製)を0.35重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例13の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例14)
ソルビタンモノステアレートの代わりにグリセリルモノオレエート(NIKKOL MGO、HLB:2.5;日光ケミカルズ社製)を0.35重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例14の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例15)
ソルビタンモノステアレートの代わりにグリセリルモノイソステアレート(NIKKOL MGIS、HLB:4.0;日光ケミカルズ社製)を0.35重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例15の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例16)
ソルビタンモノステアレートの代わりにデカグリセリルトリステアレート(NIKKOL Decaglyn3−S、HLB:7.5;日光ケミカルズ社製)を1.4重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例16の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例17)
ソルビタンモノステアレートの代わりにポリオキシエチレン(2)(POE(2))モノステアレート(NIKKOL MYS−2、HLB:4.0;日光ケミカルズ社製)を0.35重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例17の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例18)
ソルビタンモノステアレートの代わりにPOE(10)モノステアレート(NIKKOL MYS−10、HLB:11.0;日光ケミカルズ社製)を0.35重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例18の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例19)
ソルビタンモノステアレートの代わりにPOE(2)ラウリルエーテル(NIKKOL BL−2、HLB:9.5;日光ケミカルズ社製)を0.35重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例19の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例20)
ソルビタンモノステアレートの代わりにPOE(4)ステアリン酸アミド(NIKKOL TAMDS−4、HLB:9.5;日光ケミカルズ社製)を1.4重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例20の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(実施例21)
ソルビタンモノステアレートの代わりにPOE(15)ステアリン酸アミド(NIKKOL TAMDS−15、HLB:18;日光ケミカルズ社製)を1.4重量部添加した以外は、実施例7と同様にして実施例20の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(比較例1〜7)
ソルビタンモノステアレートを添加しなかった以外は、実施例1〜7と同様にして比較例1〜7の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(比較例8)
ソルビタンモノステアレートの代わりに電荷輸送物質(1)を3重量部添加した以外は、実施例7と同様にして、比較例8の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
(比較例9)
ソルビタンモノステアレートの代わりに下記の電荷輸送物質(3)を3重量部添加した以外は、実施例7と同様にして、比較例9の電子写真感光体を作製し、評価を行った。
Figure 2006047656
これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2006047656
本発明の電子写真感光体の単層構成の例を示す断面図である。 本発明の電子写真感光体の機能分離型構成の例の断面図である。 本発明の電子写真感光体の機能分離型の他の例の断面図である。 本発明の電子写真感光体の機能分離型の更に他の例の断面図である。 本発明の画像形成装置の一例の概略構成図である。 本発明のベルト感光体使用の画像形成装置の概略構成図である。 本発明のフルカラー画像形成装置の例の概略構成図である。 本発明のタンデム型カラー画像形成装置の概略構成図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
13 クリーニング前チャージャ
14 クリーニングブラシ
15 ブレード
20 帯電チャージャ
21 像露光光源
25 転写チャージャー帯電器
26 クリーニングブラシ
27 除電光源
53 帯電チャージャ
54 除電ランプ
55 ドラムクリーニングユニット
56 感光体ドラム
57 中間転写バイアスローラ
58 中間転写ベルト
59a 張架ローラ
59b 2次転写バックアップローラ
59c ベルト駆動ローラ
60 転写紙
61 レジストローラ対
63 紙転写バイアスローラ
64 搬送ベルト
65 定着ユニット
80 感光体ドラム
80Y、80M、80C、80Bk 感光体ドラム
83 除電ランプ
84 帯電ローラ
85 ドラムクリーニングユニット

Claims (19)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が少なくともバインダー樹脂と、ノニオン界面活性剤を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記ノニオン界面活性剤を含有する保護層のバインダー樹脂が少なくとも水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を加熱架橋して樹脂層を形成する硬化性シロキサン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ノニオン界面活性剤の親水性−親油性バランスを示す指標HLBが3以上20以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感光体。
  4. 前記ノニオン界面活性剤が、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造を有する多価アルコール脂肪酸エステルの少なくとも1種類以上からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記ノニオン界面活性剤の多価アルコールが、グリセリンまたは/及びソルビトールであるグリセリン脂肪酸エステルまたは/及びソルビタン脂肪酸エステルの少なくとも1種類以上からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記ノニオン界面活性剤が、硬化性シロキサン系樹脂と架橋した構造を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記ノニオン界面活性剤中に炭素数6〜20のカルボン酸エステルを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記ノニオン界面活性剤中に含有する脂肪酸エステルは1〜3個であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記ノニオン界面活性剤中の脂肪酸エステルが、少なくともステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸から選ばれる脂肪酸により形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段及び転写手段を有する画像形成方法において、該電子写真感光体に請求項1乃至9に記載の電子写真感光体を使用することを特徴とする画像形成方法。
  11. 前記画像形成方法が、電子写真感光体表面に当接し、該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を使用することを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
  12. 前記画像形成方法において、該帯電手段が、電子写真感光体に接触または非接触配置された帯電部材に直流並びに交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電する帯電手段であることを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 前記画像形成方法が複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型画像形成装置を使用することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 前記画像形成方法が電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有する画像形成方法であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. 少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段及び転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  16. 前記画像形成装置が、電子写真感光体表面に当接し、該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段を有することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記画像形成装置が複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型であることを特徴とする請求項15又は16のいずれかに記載の画像形成装置。
  18. 前記画像形成装置が電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有する画像形成装置であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載の画像形成装置。
  19. 帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段の少なくとも一つと請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体とを具備してなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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