JP2008026689A - 電子写真感光体とその製造方法、及びプロセスカートリッジ、電子写真装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性に極めて優れる電子写真感光体に対して、高品位なカラー画像の作像が可能で、且つ感光体表面の創傷とシリカのフィルミングが発生しない電子写真感光体を提供することを目的とする。
【解決手段】架橋型樹脂表面層を有する電子写真感光体であって、該架橋型樹脂表面層が、トリメチロールプロパントリアクリレート架橋体と、オルガノシリカ硬化膜と、熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体とその製造方法、電子写真用プロセスカートリッジ、および電子写真装置に関する。本発明の電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置は複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
子孫に豊かな地球環境を伝承する願いを込めて制定された行動計画「アジェンダ21」が採択されて10年余りが経過し、世間の環境保護に対する認識も相当深化したと言える。例えば、ゴミを分別するようになったり、裏紙をプリント用紙として多用する様になったりしてきたことは身近な意識変化の事例と言える。現在、工業製品の環境性能はその存亡を左右するほど一般にも重要視されつつある。電子写真感光体も環境負荷の低減を目指した研究開発が近年、精力的に進められつつある。電子写真感光体の原料採掘から廃棄に至る迄のライフサイクルを展望したとき、電子写真感光体は長寿命化と健康上の無害化を第一に推進する必要がある。
従来、電子写真感光体の使用形態はサプライ製品としての性格が強いため、省資源化と廃棄物の削減について改良の余地が残されていた。この対応として感光体自体の設計および使いこなし面から感光体の摩耗や創傷を抑制する高耐久化が重要となる。
現在、高耐久感光体の代表的なものにアモルファスシリコン感光体を挙げることができる。しかしながらその製法はドライプロセスとなるため製造コストが高く、使用対象は一部の例外を除き、ハイエンド機に限定されている。アモルファスシリコン感光体の高い耐久性は全体に占める使用比率が小さいためフィーリング以上に環境負荷低減に貢献できていないと考えられる。環境負荷の低減を果たすためには、その使用比率を高める必要から感光体の高耐久化に加えて、低コスト化を図ることが必要となる。これには低コストな有機感光体を高耐久化する選択が有利である。
有機感光体の高耐久化に際して、バインダー樹脂の変更(例えば非特許文献1、田村裕之、高橋佐江子、森下浩延、坂本秀治、志熊治雄、Japan Hardcopy '97 Fall Meeting,25−28,1997)、電荷輸送物質の高分子量化(例えば特許文献1、特開平7−325409号公報)、高硬度フィラーを含む硬化型保護層のコーティング(例えば特許文献2、特開2002−258499号公報)、架橋樹脂膜の感光体表面への成膜(例えば特許文献3、特開2000−66424号公報)、ゾル−ゲル硬化膜の感光体表面への成膜(例えば特許文献4、特開2000−171990号公報)が検討されている。以上の方策はそれぞれ一長一短がある。特に最後に挙げた架橋構造をとる二種の方策は複数の化学結合によって塗膜が形成されるため、塗膜がストレスを受けて化学結合の一部が切断しても直ちに摩耗へ進展することがない。以上のなかでも特に合理的な方策と考えられる。便宜上、これらの方策を「硬化型保護層」と分類することとする。
果たして感光体に極めて高い耐摩耗性が付与された場合、同時に耐傷性が必要となる。なぜなら、感光体表面に傷が生じると、電子写真プロセスにおける放電ハザードが創傷部分に集中してその部位の変質をもたらしてしまうためである。また、創傷によって形成された溝にトナーを含む現像剤成分や紙粉が埋めこまれることが原因して、局所的に地汚れや画像ボケ等の画像欠陥が生じやすくなる。感光体表面が極端に削れなくなると一度生じた傷は刻印されるかの如く経時で消失し難い。このため、創傷が感光体のロングライフ化を阻止することになる。
ところで最近のフルカラー電子写真装置は画質や環境性能の高さから重合トナーを採用するケースが主流になりつつある。この重合トナーは球形度合いが高くなるにつれて画像の先鋭性が向上する一方、クリーニングブレードを用いるトナーの回収方法ではトナーがブレードをすり抜けてしまう確率が高くなる。これは筋状の画像ノイズを形成してしまう電子写真プロセスの異常である。これに対し、トナーのブレード部分での堰き止め用途にシリカ粉体をトナーに配合することでクリーニング機能は確保できることが見いだされてきた(例えば特許文献5、特開2002−318467号公報)。上記の高耐摩耗性感光体とこの特別なシリカ粉体を配合する重合トナーを併用する電子写真装置ではシリカが感光体表面の創傷の原因となったり、シリカ自体が感光体表面に突き刺さって、感光体表面に堆積してしまったりすることが多い。この様態を示す一例を図9に示す。シリカが突き刺さった状態の感光体の表面粗さ測定による断面曲線である。この結果、感光体の耐摩耗性能を利用できぬ事態となる。
例えば、感光体を低表面エネルギー化することでシリカと感光体表面との離型性を高め、未然に創傷やシリカのフィルミングを予防する技術が提案されてきた(例えば特許文献6、特開2005−62830号公報)。しかしこの技術の応用では耐摩耗性が劣化することが多い。高耐摩耗性の感光体は同時にキズもつかない機械強度の強化が望まれるが、これに応じることの出来る技術は未だ存在しない。
田村裕之、高橋佐江子、森下浩延、坂本秀治、志熊治雄、Japan Hardcopy '97 Fall Meeting, 25−28, 1997 特開平7−325409号公報 特開2002−258499号公報 特開2000−66424号公報 特開2000−171990号公報 特開2002−318467号公報 特開2005−62830号公報
耐摩耗性に極めて優れる電子写真感光体に対して、高品位なカラー画像の作像が可能で且つ感光体表面の創傷とシリカのフィルミングが発生しない電子写真感光体を提供することを目的とする。
発明者はラジカル重合性硬化膜を感光体表面に設ける電子写真感光体について、オルガノシリカゾルを混合することが上記の課題解決に有利であることを見いだした。更にこれらの材料を混合することでクラックや膜剥離が格別に発生することが無いことを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
(1) 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、トリメチロールプロパントリアクリレート架橋体と、オルガノシリカ硬化膜と、熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(2) 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層を、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとともに硬化することを特徴とする(1)記載の電子写真感光体。
(3) 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、少なくとも下記一般式1〜3のいずれかの熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体が5wt%以上60wt%未満の割合で含有されることを特徴とする(1)または(2)記載の電子写真感光体。
Figure 2008026689
(一般式1中、d、e、fはそれぞれ0または1の整数、R13は水素原子、メチル基を表し、R14、R15は水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。g、hは0〜3の整数を表す。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 2008026689
を表す。)
Figure 2008026689
{一般式2中、R2とR3およびR4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、またはアリール基を表す。Ar1とAr2はアリール基を表す。
Xは下記(a)〜(d)のいずれかを表す。
(a)アルキレン基
(b)アリーレン基
(c)下記一般式(5)で表される基
Figure 2008026689
(式中、Yは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の2価基を表す。
Figure 2008026689
ここで、R5とR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、p、q、r、sは1〜12の整数を表す。)}
Figure 2008026689
(一般式3中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R9、R10は同一であっても異なってもよい。また、Ar6、Ar7はアリーレン基を表し、R9およびR10と同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式2で挙げたXと同じである。)
(4) 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に含有されるオルガノシリカ硬化膜の含有率が、10wt%以上90wt%未満であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5) 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に金属酸化物微粒子が含有されていないことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6) 電子写真感光体の感光層上に、少なくとも下記一般式4で表される化合物を含有する溶媒が用い、トリメチロールプロパントリアクリレートとオルガノシリカと熱または光硬化型の電荷輸送物質を含有する塗工液を塗布し、露光と加熱乾燥することでこの塗工液の被膜が架橋反応を生じ、且つ、溶媒を除去して厚さ3μm以上15μm未満の架橋型樹脂表面層が成膜されることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
Figure 2008026689
(一般式4中R1はアルキル基を表す。)
(7) 少なくとも(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ。
(8) 少なくとも(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体または(7)記載のプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする電子写真装置。
(9) 少なくとも2色以上の現像ステーションを有し、且つ、タンデム方式であって更に重合トナーを用いて現像することを特徴とする(8)記載の電子写真装置。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を主剤とするアクリル樹脂は高い硬度を呈する。この材料を更に強靱化するには金属酸化物フィラーの配合が有利である。しかしながら、この技術はクリーニングブレードを損傷させてしまう弊害があり、使いこなし面の技術の追加が別に必要となる。フィラーの頭出による感光体表面の大きな凹凸が影響していると推察される。
これに対しオルガノシリカゾルの配合は表面粗さの増大を伴うことなくガラス成分を感光体表面に混在させることが可能となる。これにより以上の不都合が解消される。オルガノシリカゾルの硬化膜を感光体表面に応用する技術は従来いくつも提案されてきたが画像流れを招きやすく実用上、大きな障害となっていた。未硬化部位のシラノールが大量に存在してしまうため吸湿しやすく、感光体表面抵抗を低下させてしまうことが原因と考えられる。ところが本願の構成ではこの問題が圧縮される傾向にある。アクリル成分が作用していると思われる。
また、ラジカル重合性硬化膜を製膜する際、塗膜は強い輻射熱を発する。過剰なエネルギーは下の層となる感光層にダメージを与えると考えられる。このため、製膜工程では感光体支持体を水冷したり空冷と間欠露光を併用したりしてこのダメージを抑制する注意が必要となる。
本発明の構成では露光によって硬化膜を形成する際に発生する輻射熱はオルガノシリカゾルの架橋反応に吸収されるため、輻射熱による感光層へのダメージが緩和される。勿論、製膜工程での上記のコントロールは付加した方が好ましいが、本発明により製造における歩留まりの抑制に大きく貢献できる。
本発明において、架橋型樹脂表面層とは、電子写真感光体表面に製膜される保護層を指し、以下硬化型保護層と称す場合もある。
本発明は耐摩耗性に極めて優れるのみならず、重合トナーを用いる高品位なカラー画像の作像が可能で且つ感光体表面の創傷とシリカのフィルミングが予防される実用的価値の高い電子写真感光体が提供される。
以下、図面を参照しつつ本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
図7は本発明の更に別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体21上に電荷発生層25と電荷輸送層26と硬化型保護層28が設けられている。
図8は本発明の更に別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体21と電荷発生層25の間に下引き層24が設けられ、電荷発生層25の上に電荷輸送層26と硬化型保護層28が設けられている。
導電性支持体21としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨などにより表面処理した管などを使用することが出来る。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層との間に下引き層24を設けることが出来る。下引き層は、接着性の向上、モワレの防止、上層の塗工性の改良、導電性支持体からの電荷注入の防止などの目的で設けられる。
下引き層は通常、樹脂を主成分とする。通常、下引き層の上に感光層を塗布するため、下引き層に用いる樹脂は有機溶剤に難溶である熱硬化性樹脂が相応しい。特に、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂は以上の目的を十分に満たすものが多く、特に好ましい材料である。樹脂はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いて適度に希釈したものを塗料とすることができる。
また、下引き層には、伝導度の調節やモアレを防止するために、金属、または金属酸化物などの微粒子を加えてもよい。特に酸化チタンが好ましく用いられる。
微粒子はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液と樹脂成分を混合した塗料とする。
下引き層は以上の塗料を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などで支持体上に成膜し、必要な場合、加熱硬化することで形成される。
下引き層の膜厚は2〜5μm程度が適当になるケースが多い。感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合、3μm未満にすると良い。
本発明における感光層は、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層させた積層型感光層が好適である。
積層型感光体における各層のうち、電荷発生層25について説明する。電荷発生層は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能をもつ。この層は含有される化合物のうち、電荷発生物質を主成分とする。電荷発生層は必要に応じてバインダ−樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコンなどが挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子又はハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子などをドープしたものが好ましく用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料などが挙げられる。このうち、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料およびペリレン系顔料は電荷発生の量子効率が軒並み高く、本発明に用いる材料として好適である。これらの電荷発生物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。また、後述する高分子電荷輸送物質を用いることもできる。このうちポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。これらのバインダー樹脂は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷発生層を形成する方法としては、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法がある。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などがあり、上述した無機系材料や有機系材料からなる層が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系又は有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。このうちの溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行うことが出来る。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は通常、0.01〜5μm程度が適当である。
残留電位の低減や高感度化が必要となる場合、電荷発生層は厚膜化するとこれらの特性が改良されることが多い。反面、帯電電荷の保持性や空間電荷の形成など帯電性の劣化を来すことも多い。これらのバランスから電荷発生層の膜厚は0.05〜2μmの範囲がより好ましい。
また、必要により、電荷発生層中に後述する酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物およびレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して、0.1〜20phr、好ましくは、0.1〜10phr、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1phr程度が適当である。
電荷輸送層は電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う積層型感光層の一部を指す。電荷輸送層の主成分は電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分と言うことができる。
電荷輸送物質に用いることのできる材料としては、低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
正孔輸送物質としては、電子供与性物質が好ましく用いられる。
その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの正孔輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
また、以下に表される高分子電荷輸送物質を用いることができる。たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾ−ル環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開2001−330973号公報の一般式(1)〜一般式(6)に例示される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。特に特開2001−330973号公報の例示化合物は静電特性面の性能が良好であり有用である。
高分子電荷輸送物質は硬化型保護層を積層する際、低分子型の電荷輸送物質と比べて、架橋型樹脂表面層へ電荷輸送層を構成する成分の滲みだしが少なく、架橋型樹脂表面層の硬化不良を防止するのに適当な材料である。また、電荷輸送物質の高分子量化により耐熱性にも優れる性状から、硬化型保護層を成膜する際の硬化熱による劣化が少なく有利である。
電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニル、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。このうち、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートは電荷輸送成分のバインダー成分として用いる場合、電荷移動特性が良好な性能を示すものが多く、有用である。また、電荷輸送層はこの上層に硬化型保護層が積層されるため、電荷輸送層は従来型の電荷輸送層に対する機械強度の必要性が要求されない。このため、ポリスチレンなど、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料で従来技術では適用が難しいとされた材料も、電荷輸送層のバインダー成分として有効に利用することができる。
これらの高分子化合物は単独又は2種以上の混合物として、或いはそれらの原料モノマー2種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送層の改質に際して電気的に不活性な高分子化合物を用いる場合にはフルオレン等の嵩高い骨格をもつカルドポリマー型のポリエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、C型ポリカーボネートのようなビスフェノール型のポリカーボネートに対してフェノール成分の3,3’部位がアルキル置換されたポリカーボネート、ビスフェノールAのジェミナルメチル基が炭素数2以上の長鎖のアルキル基で置換されたポリカーボネート、ビフェニルまたはビフェニルエーテル骨格をもつポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンの様な長鎖アルキル骨格を有するポリカーボネート(例えば、特開平7−292095号公報に記載)やアクリル樹脂、ポリスチレン、水素化ブタジエンが有効である。
ここで電気的に不活性な高分子化合物とは、トリアリールアミン構造のような光導電性を示す化学構造を含まない高分子化合物を指す。
これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は、電荷輸送層の全固形分に対して50wt%以下とすることが好ましい。
低分子型の電荷輸送物質を用いる場合、その使用量は40〜200phr、好ましくは70〜100phr程度が適当である。また、高分子電荷輸送物質を用いる場合、電荷輸送成分100重量部に対して樹脂成分が0〜200重量部、好ましくは80〜150重量部程度の割合で共重合された材料が好ましく用いられる。
また電荷輸送層に2種以上の電荷輸送物質を含有させる場合、これらのイオン化ポテンシャル差は小さい方が好ましく、具体的にはイオン化ポテンシャル差を0.10eV以下とすることにより、一方の電荷輸送物質が他方の電荷輸送物質の電荷トラップとなることを防止することができる。
このイオン化ポテンシャルの関係は電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と後述する硬化性電荷輸送物質との関係についても同様にこれらの差は0.10eVにすると良い。
尚、本発明における電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル値は理研計器社製大気雰囲気型紫外線光電子分析装置AC−1により一般的な方法で計測して得られた数値である。
高感度化を満足させるには電荷輸送成分の配合量を70phr以上とすることが好ましい。また、電荷輸送物質としてα−フェニルスチルベン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物の単量体、二量体およびこれらの構造を主鎖または側鎖に有する高分子電荷輸送物質は電荷移動度の高い材料が多く有用である。
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
電荷輸送層は電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成出来る。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層の上層には、硬化型保護層が積層されているため、この構成における電荷輸送層の膜厚は、実使用上の膜削れを考慮した電荷輸送層の厚膜化の設計が不要であり、薄膜化も可能となる。
電荷輸送層の膜厚は、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15〜30μm程度が適当である。
また、必要により、電荷輸送層中に後述する酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物およびレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して、0.1〜20phr、好ましくは、0.1〜10phr、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1phr程度が適当である。
架橋型樹脂表面層は感光体表面に製膜される保護層を指す。この保護層は塗工液がコーティングされた後、重縮合反応によって架橋構造の樹脂が製膜される。樹脂膜が架橋構造をもつため感光体各層の中で最も耐摩耗性が強靱である。また、硬化型の電荷輸送物質が配合されるため電荷輸送層と類似の電荷輸送性を示す。
架橋型樹脂表面層は少なくともトリメチロールプロパントリアクリレート架橋体とオルガノシリカ硬化膜と熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体を含有することが重要となる。本発明ではオルガノシリカが混合されている状態が重要で、この配合率は実質的にオルガノシリカが機能する量として、架橋型樹脂表面層の全固形分重量に対して10wt%以上90wt%未満がよい。
更に、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとともに硬化させると良い。これにより架橋膜自体の耐摩耗性が向上したり、強靱性が増大したりすることが多い。
トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは、東京化成社等の試薬メーカー、日本化薬社KAYARD DPCAシリーズ、同DPHAシリーズ等により入手することができる。
これに1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社イルガキュア184)等の開始剤を全固形分に対して5〜10wt%程度加えてもよい。
本発明では架橋型樹脂表面層にオルガノシリカ硬化膜を含有させることが課題を達成するために重要となる。オルガノシリカ硬化膜は例えばメチルトリエトキシシランなどの多官能アルコキシシランが大気中等の水分を介して加水分解することでシラノールを生成し、更にこれらのシラノール同士の脱水縮合反応を繰り返すことで硬化膜が形成される。このようなオルガノシリカ硬化膜を架橋型樹脂表面層に含有させるには、アルコキシシリル基を有する化合物、その部分加水分解縮合物、又はこれらの混合物を主成分とし、必要に応じて触媒、架橋剤、オルガノシリカゾル、シランカップリング剤等の重合体が添加された組成物をトリメチロールプロパントリアクリレート等の光硬化性の塗料に混ぜたものを塗布し、次いで熱硬化させることで実現される。このときの熱硬化は光硬化時の発熱が利用される。架橋型表面層は光硬化型の樹脂と熱硬化型の樹脂が化学結合で結ばれることはなく、個々に独立に混ぜ合わさった形態で存在することになる。
アルコキシシリル基を含有する化合物としては、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン等の一種以上が適宜選択使用される。アルコキシシリル基を含有する化合物の部分加水分解縮合物は、アルコキシシリル基を含有する化合物に所定量の水、触媒等を添加して反応させる公知の方法により製造可能である。
オルガノシリカ硬化膜を形成する原料としては、市販のコーティング剤を使用することも好適な態様であり、具体的には、GR−COAT(ダイセル化学工業製)、GlassResin(オーエンスコーニング社製)、ヒートレスグラス(大橋化学工業製)、NSC(日本精化製)、ガラス原液GO150SX、GO200CL(ファイングラステクノロジー社製)、アルコキシシリル化合物にアクリル樹脂やポリエステル樹脂を共重合したものとして、MKCシリケート(三菱化学製)、シリケート/アクリルワニスXP−1030−1(大日本色材工業製)等が例示される。
硬化型電荷輸送物質は下地の電荷輸送層からの注入性に優れ、電荷輸送能の高い材料が好ましい。これに対し特開2001−330973号公報に例示される高分子電荷輸送物質の合成に用いられる電荷輸送性モノマーの利用は実績が高く、極めて有用である。また、分子骨格の硬化を担う官能基1個当たりの物質量(当量)が小さいと硬化型樹脂表面層中の硬化剤(相手剤)の含有量を高めてしまい、結果的に硬化可能な電荷輸送物質の最大含有量を制約してしまう。処方設計上、この当量は大きい材料が好ましく、具体的には当量が200以上の材料を選択すると良い。特に、上述した一般式1〜3の化合物の利用は合理的と言える。
本発明においてより好ましい化合物の一例を挙げると、一般式1に対しては、アクリル酸4′−(ジ−p−トリルアミノ)−ビフェニル−4−イル−エステル、2−メチル−アクリル酸4′−(ジ−p−トリルアミノ)−ビフェニル−4−イル−エステル、アクリル酸4′−ジフェニルアミノ−ビフェニル−4−イル−エステル、2−メチル−アクリル酸4′−ジフェニルアミノ−ビフェニル−4−イル−エステルが好ましい。
同じく、一般式2に対しては、(4−〔ビス−(4−メトキシフェニル)−メチル〕−ジフェニル−アミン、(4−〔ビス−(4−エトキシフェニル)−メチル〕−ジフェニル−アミン、(4−〔ビス−(4−メトキシフェニル)−メチル〕−ジ−p−トリル−アミン、(4−〔ビス−(4−エトキシフェニル)−メチル〕−ジ−p−トリル−アミンが好ましい。
また、一般式3に対しては、4′−〔(ジ−p−トリル−アミノ)−ビフェニル−4−イル−オキシ〕−メタノール、4′−〔(ジ−p−トリル−アミノ)−ビフェニル−4−イル−オキシ〕−エタノールが好ましい。
塗膜のラジカル重合はメタルハライドランプによる露光が簡便である。一般式1の電荷輸送物質はこの露光に際してラジカル重合を阻害する無用な光吸収が少ない。均一な製膜に有利である。この材料の配合によって実質的に電荷輸送機能を発現させることが重要であることから、これらの含有量は架橋型樹脂表面層の全固形分重量に対して5wt%以上は必要となる。上限はコストや膜強度の劣化を抑制する都合で60wt%未満が良い。
架橋型樹脂表面層塗工液は、少なくともトリメチロールプロパントリアクリレート、オルガノシリカ、熱または光硬化型の電荷輸送物質を溶媒に分散して得られる。架橋型樹脂表面層塗工液を調製する際に使用する分散溶媒はモノマーを十分に溶解するものが好ましく、上述のエーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、下記一般式4で表される1−アルコキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
Figure 2008026689
(式中R1はアルキル基を表す。)
架橋型樹脂表面層塗料のコーティングとして、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。多くの場合、塗工液はポットライフが長くないため、少量の塗料で必要な分量のコーティングができる手段が環境への配慮とコスト面で有利となる。このうちスプレー塗工法とリングコート法が好適である。
架橋型樹脂表面層を製膜する際、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できる。また、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりする。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
硬化温度は高すぎても低すぎても硬化不良を生じてしまうため、この設定は品質の安定化を左右することとなる。充分な硬化を進めるためには急激な溶媒の揮発は回避した方が良い。一方、硬化速度が緩慢すぎると硬化型樹脂表面層自体の膜厚ムラやクラック、および電荷輸送物質の結晶化など下地の変質を来すため、適正な温度で加熱する必要がある。
使用する材料によって具体的な設定温度は調整する必要があるが、通常、硬化型樹脂表面層用塗工液に用いられる塗工溶媒の沸点よりも僅かに高めの温度で加熱すると良い。通常、130℃±20℃程度で30分程度加熱乾燥すると良い。これ以上の温度設定は感光層を痛めてしまったり、これ以下の温度設定では塗料溶媒が残存してしまったりして良くない。
必要により、架橋型樹脂表面層中に電荷発生層で記載した酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物及びレベリング剤、また電荷輸送層で記載した高分子化合物を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して塗料総固形分中の0.1〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%、レベリング剤の使用量は0.1〜5wt%程度が適当である。
架橋型樹脂表面層の膜厚は3〜15μm程度が適当である。下限は製膜コストに対する効果度合いから算定される値であり、上限は帯電安定性や光減衰感度等の静電特性と膜質の均質性から設定される。
本発明で用いるレベリング剤は、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーン 、アルコキシ変性シリコーン 、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。具体的には信越化学工業社から上市されているKF−50−100CS(メチルフェニルシリコーンオイル)、東レ・ダウコーニング社製のSH200(ジメチルシリコーンオイル)が挙げられる。また、アクリロイル基を有するものは本発明において特に有利に使用することができる。例えば、ビックケミー社から上市されているBYK−UV3570(アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物)の使用は塗膜の平滑性に優れ、且つ弊害の少ない材料として有利である。
電子写真感光体の表面に架橋型樹脂膜を設けるプロセスで熱硬化と光硬化を併用する技術が特開2006−010963号公報に開示されている。この方策は同文献の[0025]に記載される通り、光重合開始剤と熱重合開始剤を用いることで架橋型樹脂表面層の硬化の均一性を高め、未反応部位の炭素炭素二重結合部への酸化性ガス吸着の防止やシワおよびクラック発生の抑止が獲得される内容と認識される。本発明と課題と構成が異なるものの、この文献に開示される効果は本発明において一部享受されると考えられる。
また、特開2005−077947号公報では大日本インキ化学工業社製のスーパーベッカミンG−821−60(メラミン)や住友バイエルウレタン社製のスミジュールHT(hdi系イソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体)をラジカル重合性モノマーと配合することで架橋膜のクラックと剥離が改善される効果が得られている。
架橋膜の機械強度向上に対する要因効果は化学結合エネルギーの総和や架橋密度に左右されることが多く、この因子は具体的には材料の種類に結びつけられる。本願とこの特許文献では材料の構成が異なり、必ずしも同一の効果は得られないと思われるが、熱硬化型の材料と光硬化型の材料を混合することで発現される効果(クラックと膜剥離の予防)は同じく享受されると思われる。
本発明においては、感光体各層のガスバリアー性向上、及び耐環境性改善のため、各層に酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することが出来る。
これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば次の(a)〜(d)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系酸化防止剤
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、スチレン化フェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、シクロヘキシルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−i−プロピリデンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリスメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアネート、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
(b)アミン系酸化防止剤
フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニレン−N′−i−プロピル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α−ナフチルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン
(c)硫黄系酸化防止剤
チオビス(β−ナフトール)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ドデシルメルカプタン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルチオカルバメート、イソプロピルキサンテート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート
(d)リン系酸化防止剤
トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシルホスファイト)、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト
各層に添加できる可塑剤として、例えば次の(a)〜(m)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば次の(a)〜(f)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル〔2,2′−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート〕ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
各層に添加できる低分子電荷輸送物質は、電荷発生層25の説明に記載したものと同じものを用いることが出来る。
以下、図面に沿って本発明で用いられる電子写真装置を説明する。
図1は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、感光体11は、架橋型樹脂表面層を積層する電子写真感光体である。感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電手段12は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラーを始めとする公知の手段が用いられる。帯電手段は、消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。転写手段16には、一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
露光手段13、除電手段1A等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
現像手段14により感光体上に現像されたトナー15は、印刷用紙やOHP用スライドなどの印刷メディア18に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング手段17により、感光体より除去される。クリーニング手段は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図2には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。図2において、感光体11は、架橋型樹脂表面層を積層する電子写真感光体である。感光体11はベルト状の形状を示しているが、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。感光体11は駆動手段1Cにより駆動され、帯電手段12による帯電、露光手段13による像露光、現像(図示せず)、転写手段16による転写、クリーニング前露光手段1Bによるクリーニング前露光、クリーニング手段17によるクリーニング、除電手段1Aによる除電が繰返し行なわれる。図12においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図2において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジの形状は多く挙げられるが、一般的な例として、図3に示すものが挙げられる。感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
図4には本発明による電子写真装置の別の例を示す。この電子写真装置では、感光体11の周囲に帯電手段12、露光手段13、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の各色トナー毎の現像手段14Bk,14C,14M,14Y、中間転写体である中間転写ベルト1F、クリーニング手段17が順に配置されている。ここで、図中に示すBk、C、M、Yの添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて添字を付けたり適宜省略する。感光体11は、架橋型樹脂表面層を積層する電子写真感光体である。各色の現像手段14Bk,14C,14M,14Yは各々独立に制御可能となっており、画像形成を行う色の現像手段のみが駆動される。感光体11上に形成されたトナー像は中間転写ベルト1Fの内側に配置された第1の転写手段1Dにより、中間転写ベルト1F上に転写される。第1の転写手段1Dは感光体11に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト1Fを感光体11に当接させる。各色の画像形成を順次行い、中間転写ベルト1F上で重ね合わされたトナー像は第2の転写手段1Eにより、印刷メディア18に一括転写された後、定着手段19により定着されて画像が形成される。第2の転写手段1Eも中間転写ベルト1Fに対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト1Fに当接する。
転写ドラム方式の電子写真装置では、転写ドラムに静電吸着させた転写材に各色のトナー像を順次転写するため、厚紙にはプリントできないという転写材の制限があるのに対し、図4に示すような中間転写方式の電子写真装置では中間転写体1F上で各色のトナー像を重ね合わせるため、転写材の制限を受けないという特長がある。このような中間転写方式は図4に示す装置に限らず前述の図1、図2、図3および後述する図5(具体例を図6に記す。)に記す電子写真装置に適用することができる。
図5には本発明による電子写真装置の別の例を示す。この電子写真装置は、トナーとしてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を用いるタイプとされ、各色毎に画像形成部が配設されている。また、各色毎の感光体11Y,11M,11C,11Bkが設けられている。この電子写真装置に用いられる感光体11は、架橋型樹脂表面層を積層する電子写真感光体である。各感光体11Y,11M,11C,11Bkの周りには、帯電手段12、露光手段13、現像手段14、クリーニング手段17等が配設されている。また、直線上に配設された各感光体11Y,11M,11C,11Bkの各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト1Gが駆動手段1Cにて掛け渡されている。この搬送転写ベルト1Gを挟んで各感光体1Y,1M,1C,1Bkに対向する転写位置には転写手段16が配設されている。
図5の形態のようなタンデム方式の電子写真装置は、各色毎に感光体1Y,1M,1C,1Bkを持ち、各色のトナー像を搬送転写ベルト1Gに保持された印刷メディア18に順次転写するため、感光体を一つしか持たないフルカラー電子写真装置に比べ、はるかに高速のフルカラー画像の出力が可能となる。
以下、実施例によって本発明を説明する。始めに本発明に係る測定方法について述べる。
(1)表面粗さ測定
ドラム状の感光体表面を、東京精密社製ピックアップE−DT−S02Aを取り付けた触針式表面粗さ計Surfcom(東京精密社製)により感光体長手方向中心部と10cm離れた二点の最大高さRmax(JIS B0601;1982)を測定した。三箇所の平均値を感光体の最大高さとした。
(2)膜厚測定
渦電流方式膜厚測定器(FISCHER SCOPE mms、フィッシャー社製)により、感光体ドラム長手方向1cm間隔に膜厚を測定し、それらの平均値を感光層膜厚とした
実施例1
肉厚0.8mm、長さ340mm、外径φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。その上に下記組成の架橋型樹脂表面層塗工液をスプレーで塗工後、このドラムとUV硬化ランプから120mm距離を置いて、ドラムを回転させながらUV硬化を施した。この位置でのUV硬化ランプ照度は600mW/cm(紫外線積算光量計UIT−150、ウシオ社製による測定値)であった。また、ドラムの回転速度は25rpmとした。UV硬化を行う際、アルミニウムドラム内に棒状の金属ブロックを内包させた。また、UV硬化は30秒間の露光と120秒間の休止を繰り返し、通算6分間露光した。UV硬化後、130℃にて30分加熱乾燥した。結果、15μmの架橋型樹脂表面層を設け電子写真感光体を得た。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂溶液
(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製) 12重量部
メラミン樹脂溶液
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)8重量部
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40重量部
メチルエチルケトン 200重量部
〔電荷発生層用塗工液〕
下記構造のビスアゾ顔料(リコー社製) 5重量部
Figure 2008026689
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 1重量部
シクロヘキサノン 200重量部
メチルエチルケトン 80重量部
〔電荷輸送層用塗工液〕
Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 10重量部
下記構造の低分子電荷輸送物質 9重量部
Figure 2008026689
テトラヒドロフラン 100重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)テトラヒドロフラン溶液 1重量部
〔架橋型樹脂表面層塗工液〕
下記構造の架橋型電荷輸送物質 50重量部
Figure 2008026689
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製) 50重量部
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ変性−2−ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 5重量部
オルガノシリカ(日本精化工業社製 NSC2319固形分) 20.0重量部
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
以上のように作製した実施例1の電子写真感光体を実装用にした後、電子写真装置(IPSiO Color 8100、リコー社製)に搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで8×8のマトリクス中に4ドット×4ドットを描いたハーフトーンパターンを連続5枚づつ印刷する条件で通算20万枚、コピー用紙(My Paper A4、NBSリコー社品)にプリントアウトした。
トナーはImagioNeo C455用のシアントナー(シリカ粉体を添加した重合トナー)を用いた。現像剤キャリアもImagioNeoC455用のシアン用現像剤を各色現像ステーションのユニットに入れて使用した。
感光体ユニットは純正品を使用した。帯電ローラーの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行った。また、現像バイアスは−500Vとした。尚、この装置において、除電手段は設けていない。また、クリーニング手段は純正品を印刷枚数が5万枚毎に未使用品に変えて試験を行った。
試験環境は、24℃/54%RHであった。
試験終了後に、画素密度が600dpi×600dpiで画像濃度が5%のハーフトーン画像、白紙画像、細線パターンの描かれる画像を各々連続10枚プリントアウトした。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が僅かに滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.4μmだった。ほぼ平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は10μmだった。
比較例1
実施例1の架橋型樹脂表面層塗工液中のオルガノシリカを除いた他は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行った。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が僅かに滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で2μmだった。感光体表面にはシリカが突き刺さっていた。
実施例2
実施例1の架橋型樹脂表面層塗工液を以下のものに変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。架橋型樹脂表面層の膜厚は3μmだった。
〔架橋型樹脂表面層塗工液〕
下記構造の架橋型電荷輸送物質 30重量部
Figure 2008026689
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製) 15重量部
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ変性−2−ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARD DPCA−120、日本化薬社) 15重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 3重量部
オルガノシリカ(日本精化工業社製 NSC1500N固形分) 40重量部
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
以上のように作製した実施例2の電子写真感光体を実装用にした後、電子写真装置(IPSiO Color 8100、リコー社製)に搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで8×8のマトリクス中に4ドット×4ドットを描いたハーフトーンパターンを連続5枚づつ印刷する条件で通算2万枚、コピー用紙(My Paper A4、NBSリコー社品)にプリントアウトした。試験環境は23℃55%RHの常温常湿環境下で実施した。
トナーはImagioNeo C455用のトナーを用いた。現像剤キャリアもImagioNeoC455用の現像剤を各色現像ステーションのユニットに入れて使用した。
感光体ユニットは純正品を使用した。帯電ローラーの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行った。また、現像バイアスは−500Vとした。尚、この装置において除電手段は設けていない。また、クリーニング手段は純正品を印刷枚数が5万枚毎に未使用品に変えて試験を行った。
試験環境は、24℃/54%RHであった。
試験終了後に、画素密度が600dpi×600dpiで画像濃度が5%のハーフトーン画像、白紙画像、細線パターンの描かれる画像を各々連続10枚プリントアウトした。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭は明瞭だった。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.3μmだった。ほぼ平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1μmだった。
比較例2
実施例2の架橋型樹脂表面層塗工液中のオルガノシリカを除いた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行った。
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.5μmだった。図9に似た感光体の断面曲線が得られた。
実施例3
実施例2の架橋型樹脂表面層塗工液中の架橋型電荷輸送物質を下記のものに変えた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行った。
下記構造の架橋型電荷輸送物質 30重量部
Figure 2008026689
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.3μmだった。ほぼ平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1μmだった。
比較例3
実施例2の架橋型樹脂表面層塗工液中のオルガノシリカを下記のものに変えた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行った。
メラミン化合物
(大日本インキ化学工業社製スーパーベッカミンG−821−60固形分)
40重量部
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で1μmだった。感光体の表面粗さ測定では図9と類似の断面曲線が得られた。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.2μmだった。
実施例4
肉厚0.8mm、長さ340mm、外径φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。その上に下記組成の架橋型樹脂表面層塗工液をスプレーで塗工後、このドラムとUV硬化ランプから120mm距離を置いて、ドラムを回転させながらUV硬化を施した。この位置でのUV硬化ランプ照度は600mW/cm(紫外線積算光量計UIT−150、ウシオ社製による測定値)であった。また、ドラムの回転速度は25rpmとした。UV硬化を行う際、アルミニウムドラム内に棒状の金属ブロックを内包させた。また、UV硬化は30秒間の露光と120秒間の休止を繰り返し、通算4分間露光した。UV硬化後、130℃にて30分加熱乾燥した。結果、8μmの架橋型樹脂表面層を設け電子写真感光体を得た。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂溶液(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)
12重量部
メラミン樹脂溶液
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)8重量部
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40重量部
メチルエチルケトン 200重量部
〔電荷発生層用塗工液〕
チタニルフタロシアニン(リコー社製) 20重量部
ポリビニルアルコール(エスレックB BX−1、積水化学工業社製) 10重量部
メチルエチルケトン 100重量部
〔電荷輸送層用塗工液〕
Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 10重量部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
Figure 2008026689
テトラヒドロフラン 100重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1重量部
〔架橋型樹脂表面層塗工液〕
下記構造の架橋型電荷輸送物質 50重量部
Figure 2008026689
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製) 25重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARD DPCA−120、日本化薬社) 25重量部
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ変性−2−ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 5重量部
オルガノシリカ(日本精化工業社製 NSC2319固形分) 30.0重量部
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
以上のように作製した実施例4の電子写真感光体を実装用にした後、電子写真装置(IPSiO Color 8100、リコー社製)に搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで8×8のマトリクス中に4ドット×4ドットを描いたハーフトーンパターンを連続5枚づつ印刷する条件で通算6万枚、コピー用紙(My Paper A4、NBSリコー社品)にプリントアウトした。試験環境は23℃55%RHの常温常湿環境下で実施した。
トナーはImagioNeo C455用のシアントナーを用いた。現像剤キャリアもImagioNeoC455用のシアン用現像剤を各色現像ステーションのユニットに入れて使用した。
感光体ユニットは純正品を使用した。帯電ローラーの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行った。また、現像バイアスは−500Vとした。尚、この装置において、除電手段は設けていない。また、クリーニング手段は純正品を印刷枚数が5万枚毎に未使用品に変えて試験を行った。
試験環境は、25℃/55%RHであった。
試験終了後に、画素密度が600dpi×600dpiで画像濃度が5%のハーフトーン画像、白紙画像、細線パターンの描かれる画像を各々連続10枚プリントアウトした。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が僅かに滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.3μmだった。平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.3μmだった。
実施例5
実施例4における架橋型樹脂表面層用塗工液の組成を以下にした以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を得た。また、実施例4と同様にして試験を行った。
〔架橋型樹脂表面層塗工液〕
下記構造の架橋型電荷輸送物質 50重量部
Figure 2008026689
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製) 25重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARD DPCA−120、日本化薬社) 25重量部
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ変性−2−ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 5重量部
オルガノシリカ(日本精化工業社製 NSC2319固形分) 20重量部
酸化スズ(三菱マテリアルズ社製 S−1) 10重量部
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が多少滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルであるが高品位とは言えない。細線パターンは4ドット毎のペアラインは識別できた。1ドット毎のペアラインは識別できなかった。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.4μmだった。一応、平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.0μmだった。
比較例4
実施例4の架橋型樹脂表面層塗工液中のオルガノシリカを除いた他は実施例4と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行った。
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で1.2μmだった。感光体の表面粗さ測定では図9と類似の断面曲線が得られた。また、試験による感光体表面の摩耗量は2.4μmだった。
本発明に係る電子写真装置の例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真装置の他の例を示す模式断面図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真装置の他の例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真装置の他の例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真装置の他の例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の層構成を示す断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の別の層構成を示す断面図である。 表面粗さ測定から得られる感光体断面曲線の一例である。
符号の説明
11・・・電子写真感光体
12・・・帯電手段
13・・・露光手段
14・・・現像手段
15・・・トナー
16・・・転写手段
17・・・クリーニング手段
18・・・印刷メディア(印刷用紙、OHP用スライド)
19・・・定着手段
1A・・・除電手段
1B・・・クリーニング前露光手段
1C・・・駆動手段
1D・・・第1の転写手段
1E・・・第2の転写手段
1F・・・中間転写体
21・・・導電性支持体
24・・・下引き層
25・・・電荷発生層
26・・・電荷輸送層
28・・・架橋型樹脂表面層

Claims (9)

  1. 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、トリメチロールプロパントリアクリレート架橋体と、オルガノシリカ硬化膜と、熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層を、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとともに硬化することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、少なくとも下記一般式1〜3のいずれかの熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体が5wt%以上60wt%未満の割合で含有されることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
    Figure 2008026689
    (一般式1中、d、e、fはそれぞれ0または1の整数、R13は水素原子、メチル基を表し、R14、R15は水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。g、hは0〜3の整数を表す。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、
    Figure 2008026689
    を表す。)
    Figure 2008026689
    {一般式2中、R2とR3およびR4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、またはアリール基を表す。Ar1とAr2はアリール基を表す。
    Xは下記(a)〜(d)のいずれかを表す。
    (a)アルキレン基
    (b)アリーレン基
    (c)下記一般式(5)で表される基
    Figure 2008026689
    (式中、Yは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の2価基を表す。
    Figure 2008026689
    ここで、R5とR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、p、q、r、sは1〜12の整数を表す。)}
    Figure 2008026689
    (一般式3中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R9、R10は同一であっても異なってもよい。また、Ar6、Ar7はアリーレン基を表し、R9およびR10と同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式2で挙げたXと同じである。)
  4. 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に含有されるオルガノシリカ硬化膜の含有率が、10wt%以上90wt%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に金属酸化物微粒子が含有されていないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 電子写真感光体の感光層上に、少なくとも下記一般式4で表される化合物を含有する溶媒を用い、トリメチロールプロパントリアクリレートとオルガノシリカと熱または光硬化型の電荷輸送物質を含有する塗工液を塗布し、露光と加熱乾燥することでこの塗工液の被膜が架橋反応を生じ、且つ、溶媒を除去して厚さ3μm以上15μm未満の架橋型樹脂表面層が成膜されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2008026689
    (一般式4中R1はアルキル基を表す。)
  7. 少なくとも請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 少なくとも請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体または請求項7記載のプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする電子写真装置。
  9. 少なくとも2色以上の現像ステーションを有し、且つ、タンデム方式であって更に重合トナーを用いて現像することを特徴とする請求項8記載の電子写真装置。
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