JP4762811B2 - 電子写真感光体とその製造方法およびそれを搭載するプロセスカートリッジないし電子写真装置 - Google Patents
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Description
本発明の電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
従来、電子写真感光体の使用形態はサプライ製品としての性格が強いため、省資源化と廃棄物の削減について改良の余地が残されていた。この対応として感光体自体の設計および使いこなし面から感光体の摩耗や創傷を抑制する高耐久化が重要となる。
以上の方策はそれぞれ一長一短がある。特に最後に挙げた架橋構造をとる二種の方策は複数の化学結合によって塗膜が形成されるため、塗膜がストレスを受けて化学結合の一部が切断しても直ちに摩耗へ進展することがない。以上のなかでも特に合理的な方策と考えられる。便宜上、これらの方策を「硬化型保護層」と分類することとする。
(1)「電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)からなる群から選択された多官能アクリレートの架橋体、ポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体および熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体を含有することを特徴とする電子写真感光体」、
(2)「前記多官能アクリレートが、トリメチロールプロパントリアクリレートであることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、
(3)「電子写真感光体の架橋型樹脂表面層をカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートで硬化したことを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真感光体」、
(4)「電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に少なくとも下記一般式(1)、(2)、(4)の群から選択された硬化型電荷輸送物質の架橋体が5wt%以上60wt%未満の割合で含有されることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体;
Xは下記(a)〜(c)のいずれかを表わす。
(a)アルキレン基
(b)アリーレン基
(c)下記一般式(3)で表わされる基
(5)「電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に含有される熱硬化性の縮合体の含有率が10wt%以上90wt%未満であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(6)「電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に金属酸化物微粒子が含有されていないことを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(7)「前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する方法であって、少なくとも下記一般式(5)のヒドロキシル基含有エーテル化合物を含有する溶媒が用いられる塗工液を塗布し、露光と加熱乾燥することでこの塗工液の被膜が架橋反応を生じ、且つ、溶媒を除去して厚さ3μm以上15μm未満の架橋型樹脂表面層が成膜されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法;
これに対し、本発明における「ポリオール化合物とイソシアヌレート化合物の配合」は表面粗さの増大を伴うことなくこれらが架橋して得られる自己治癒性物質を感光体表面に混在させることが可能となる。これにより以上の不都合が解消される。本発明において、ポリオール化合物は特にポリカプロラクトン骨格を有するポリオール体が好ましい。この化合物群は架橋膜中で力学的な負荷に対してクッションのような機能を果たし、キズをつきにくくする主要因となる。
本発明の構成では露光によって硬化膜を形成する際に発生する輻射熱は、ポリオール化合物とイソシアヌレート化合物との架橋反応に吸収されるため、輻射熱による感光層へのダメージが緩和される。勿論、製膜工程での上記のコントロールは付加した方が好ましいが、本発明により製造における歩留まりの抑制に大きく貢献できる。
架橋膜の機械強度向上に対する要因効果は化学結合エネルギーの総和や架橋密度に左右されることが多く、この因子は具体的には材料の種類に結びつけられる。本発明とこの特許文献では材料の構成が異なり、必ずしも同一の効果は得られないと思われるが、熱硬化型の材料と光硬化型の材料を混合することで発現される効果(クラックと膜剥離の予防)と軌を一にする効果が本発明において享受される。
これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば次の(a)〜(d)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系酸化防止剤
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、スチレン化フェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、シクロヘキシルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−i−プロピリデンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリスメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアネート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニレン−N’−i−プロピル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α−ナフチルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリンなど。
チオビス(β−ナフトール)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ドデシルメルカプタン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルチオカルバメート、イソプロピルキサンテート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシルホスファイト)、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイトなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば次の(a)〜(m)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば次の(a)〜(f)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど。
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど。
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなど。
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレートなど。
ニッケル〔2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート〕ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
各層に添加できる低分子電荷輸送物質は、電荷発生層の箇所で説明するものと同じものを用いることができる。
図1は本発明の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)上に電荷発生層(25)と電荷輸送層(26)と硬化型保護層(28)が設けられている。
図2は本発明の別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と電荷発生層(25)の間に下引き層(24)が設けられ、電荷発生層(25)の上に電荷輸送層(26)と硬化型保護層(28)が設けられている。
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらをDrawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨などにより表面処理した管などを使用することができる。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層との間に下引き層(24)を設けることができる。下引き層は、接着性の向上、モワレの防止、上層の塗工性の改良、導電性支持体からの電荷注入の防止などの目的で設けられる。
微粒子はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液と樹脂成分を混合した塗料とする。
下引き層は以上の塗料を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などで支持体上に成膜し、必要な場合、加熱硬化することで形成される。
下引き層の膜厚は2〜5μm程度が適当になるケースが多い。感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合、3μm未満にすると良い。
本発明における感光層は、電荷発生層(25)と電荷輸送層(26)を順次積層させた積層型感光層が好適である。
積層型感光体における各層のうち、電荷発生層(25)について説明する。電荷発生層は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能をもつ。この層は含有される化合物のうち、電荷発生物質を主成分とする。電荷発生層は必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などがあり、上述した無機系材料や有機系材料からなる層が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系又は有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。このうちの溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は通常、0.01〜5μm程度が適当である。
残留電位の低減や高感度化が必要となる場合、電荷発生層は厚膜化するとこれらの特性が改良されることが多い。反面、帯電電荷の保持性や空間電荷の形成など帯電性の劣化を来すことも多い。これらのバランスから電荷発生層の膜厚は0.05〜2μmの範囲がより好ましい。
電荷輸送層(26)は電荷発生層(25)で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う積層型感光層の一部を指す。電荷輸送層の主成分は電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分と言うことができる。
電荷輸送物質に用いることのできる材料としては、低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの正孔輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
高分子電荷輸送物質は硬化型保護層を積層する際、低分子型の電荷輸送物質と比べて、架橋型樹脂表面層へ電荷輸送層を構成する成分の滲みだしが少なく、架橋型樹脂表面層の硬化不良を防止するのに適当な材料である。また、電荷輸送物質の高分子量化により耐熱性にも優れる性状から、硬化型保護層を成膜する際の硬化熱による劣化が少なく有利である。
ここで電気的に不活性な高分子化合物とは、トリアリールアミン構造のような光導電性を示す化学構造を含まない高分子化合物を指す。
これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は、電荷輸送層の全固形分に対して50wt%以下とすることが好ましい。
また電荷輸送層に2種以上の電荷輸送物質を含有させる場合、これらのイオン化ポテンシャル差は小さい方が好ましく、具体的にはイオン化ポテンシャル差を0.10eV以下とすることにより、一方の電荷輸送物質が他方の電荷輸送物質の電荷トラップとなることを防止することができる。
このイオン化ポテンシャルの関係は電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と後述する硬化性電荷輸送物質との関係についても同様にこれらの差は0.10eVにすると良い。
なお、本発明における電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル値は理研計器社製大気雰囲気型紫外線光電子分析装置AC−1により一般的な方法で計測して得られた数値である。
高感度化を満足させるには電荷輸送成分の配合量を70phr以上とすることが好ましい。また、電荷輸送物質としてα−フェニルスチルベン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物の単量体、二量体およびこれらの構造を主鎖または側鎖に有する高分子電荷輸送物質は電荷移動度の高い材料が多く有用である。
電荷輸送層は電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層の膜厚は、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合、10〜40μm程度が適当であり、より好ましくは15〜30μm程度が適当である。
本発明における架橋型樹脂表面層は、感光体表面に製膜される保護層を指す。この保護層は塗料がコーティングされた後、重縮合反応によって架橋構造の樹脂が製膜される。樹脂膜が架橋構造をもつため感光体各層の中で最も耐摩耗性が強靱である。また、架橋性の電荷輸送材料が配合されるため電荷輸送層と類似の電荷輸送性を示す。
架橋型樹脂表面層は少なくとも下記式で表わされるネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)からなる群から選択された多官能アクリレートの架橋体、ポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体および熱または光硬化型の電荷輸送物質の架橋体を含有することが重要となる。本発明ではポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体が混合されている状態が重要で、この配合率は実質的にこれらの架橋体が機能する量として、架橋型樹脂表面層の全固形分重量に対して両者を合わせて10wt%以上90wt%未満がよい。
これにチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社イルガキュア184等の開始剤を全固形分に対して5〜10wt%程度加えてもよい。
本発明では、以下に詳述する「ポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体」が、その余の「架橋体」と混合されている状態が重要で、この配合率は実質的にこれらの架橋体が機能する量として、架橋型樹脂表面層の全固形分重量に対して両者を合わせて10wt%以上90wt%未満がよい。
ポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体について説明する。
ポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体の一部は自己治癒性を呈する。自己治癒性とは多少の擦過傷又は圧力によるへこみ傷に対して一時的には他の平面と比べて傷として存在するが、その塗膜の弾性により経時的に修復し傷を消滅させてしまう機能をいう。自己治癒性塗料は、官能基側鎖が一般の樹脂塗料に比べて長くなっている。このことは、樹脂を形成する分子骨格について、主鎖間の架橋部分の力学的自由度が非常に高い構造であることを示している。したがって、この長い側鎖が外圧に対してバネの働きをして弾性による自己治癒機能を実現する。ナトコ社から上市される自己治癒性クリヤーは非常に高い自己治癒性を呈するが、本発明の感光体ではこの塗料ほどの機能は必要とされない。すなわち、実質的に創傷が防止できれば良い。この機能を発現させる要因の一つとしてポリカプロラクトン骨格を有するポリオール体を選択することが望ましい。この化合物群は架橋膜中で力学的な負荷に対してクッションのような機能を果たし、キズをつきにくくする主要因となる。ポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートを配合することで、これらが架橋して得られる熱硬化型樹脂を感光体表面に混在させることが可能となる。
R:CH2CHCH2、CH3C(CH2)3、CH3CH2C(CH2)3)
のごとき3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。該ポリカプロラクトン(B)をポリジメチルシロキサン系共重合体(A)の骨格に導入する場合には、ラクトン変成ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類を使用するのが好ましく、例えば、
架橋型電荷輸送材料は光減衰特性と帯電特性に有利であることは勿論、均質な硬化膜を得るのに有利な上記の一般式1〜3が有利に用いられる。塗膜のラジカル重合はメタルハライドランプによる露光が簡便である。上記の電荷輸送性物質はこの露光に際してラジカル重合を阻害する無用な光吸収が少ない。均一な製膜に有利である。この材料の配合によって実質的に電荷輸送機能を発現させることが重要であることから含有量は架橋型樹脂表面層の全固形分重量に対して5wt%以上は必要となる。上限はコストや膜強度の劣化を抑制する都合で60wt%未満がよい。
架橋型樹脂表面層塗料のコーティングとして、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。多くの場合、塗工液はポットライフが長くないため、少量の塗料で必要な分量のコーティングができる手段が環境への配慮とコスト面で有利となる。このうちスプレー塗工法とリングコート法が好適である。
以下、図面に沿って本発明で用いられる電子写真装置を説明する。
図3は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図3において、感光体(11)は、架橋型樹脂表面層を積層する電子写真感光体である。感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電手段(12)は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラーを始めとする公知の手段が用いられる。帯電手段は、消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。転写手段(16)には、一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
(測定方法)
(1)表面粗さ測定
ドラム状の感光体表面を、東京精密社製ピックアップE−DT−S02Aを取り付けた触針式表面粗さ計Surfcom(東京精密社製)により感光体長手方向中心部と10cm離れた二点の最大高さRmax(JIS B0601;1982)を測定した。三箇所の平均値を感光体の最大高さとした。
(2)膜厚測定
渦電流方式膜厚測定器(FISCHER SCOPE mms、フィッシャー社製)により、感光体ドラム長手方向1cm間隔に膜厚を測定し、それらの平均値を感光層膜厚とした。
肉厚0.8mm、長さ340mm、外径φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。その上に下記組成の架橋型樹脂表面層塗工液をスプレーで塗工後、このドラムとUV硬化ランプから120mm距離を置いて、ドラムを回転させながらUV硬化を施した。この位置でのUV硬化ランプ照度は600mW/cm2(紫外線積算光量計UIT−150、ウシオ社製による測定値)であった。また、ドラムの回転速度は25rpmとした。UV硬化を行なう際、アルミニウムドラム内に棒状の金属ブロックを内包させた。また、UV硬化は30秒間の露光と120秒間の休止を繰り返し、通算6分間露光した。UV硬化後、130℃にて30分加熱乾燥した。結果、15μmの架橋型樹脂表面層を設け電子写真感光体を得た。
アルキッド樹脂溶液 12重量部
(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂溶液 8重量部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40重量部
メチルエチルケトン 200重量部
下記構造のビスアゾ顔料(リコー社製) 5重量部
Z型ポリカーボネート 10重量部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 9重量部
下記構造の架橋型電荷輸送物質 50重量部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
ポリオール(バーノックD6−439、大日本インキ化学工業社製)19重量部
イソシアヌレート型ポリイソシアネート 11重量部
(バーノックDN−980、大日本インキ化学工業社製)
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
トナーはImagioNeo C455用のシアントナーを用いた。現像剤キャリアもImagioNeo C455用のシアン用現像剤を各色現像ステーションのユニットに入れて使用した。
感光体ユニットは純正品を使用した。帯電ローラーの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行なった。また、現像バイアスは−500Vとした。なお、この装置において、除電手段は設けていない。また、クリーニング手段は純正品を印刷枚数が5万枚毎に未使用品に変えて試験を行なった。試験環境は、24℃/54%RHであった。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が僅かに滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.4μmだった。ほぼ平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は10μmだった。
実施例1の架橋型樹脂表面層塗工液中のイソシアヌレート体とポリオール体を除いた他は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行なった。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が僅かに滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で1μmだった。レーザー顕微鏡による表面観察から、極端な凹凸は現像剤成分のシリカが突き刺さった痕跡と思われる。
実施例1の架橋型樹脂表面層塗工液を以下のものに変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。架橋型樹脂表面層の膜厚は3μmだった。
〔架橋型樹脂表面層塗工液〕
下記構造の架橋型電荷輸送物質 30重量部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 15重量部
(KAYARD DPCA−120、日本化薬社)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 3重量部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
ポリオール(バーノックD6−439、大日本インキ化学工業社製) 25重量部
イソシアヌレート型ポリイソシアネート 15重量部
(バーノックDN−980、大日本インキ化学工業社製)
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
以上のように作製した実施例1の電子写真感光体を実装用にした後、電子写真装置(IPSiO Color 8150、リコー社製)に搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで8×8のマトリクス中に4ドット×4ドットを描いたハーフトーンパターンを連続5枚づつ印刷する条件で通算2万枚、コピー用紙(My Paper A4、NBSリコー社品)にプリントアウトした。試験環境は23℃55%RHの常温常湿環境下で実施した。
トナーはImagioNeo C455用のトナーを用いた。現像剤キャリアもImagioNeo C455用の現像剤を各色現像ステーションのユニットに入れて使用した。
感光体ユニットは純正品を使用した。帯電ローラーの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行なった。また、現像バイアスは−500Vとした。なお、この装置において、除電手段は設けていない。また、クリーニング手段は純正品を印刷枚数が5万枚毎に未使用品に変えて試験を行なった。試験環境は、24℃/54%RHであった。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭は明瞭だった。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.3μmだった。ほぼ平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1μmだった。
実施例2の架橋型樹脂表面層塗工液中のイソシアヌレート体とポリオール体を除いた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行なった。
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.5μmだった。程度は小さいものの図9に似た感光体の断面曲線が得られた。
実施例2の架橋型樹脂表面層塗工液中の架橋型電荷輸送物質を下記のものに変えた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行なった。
下記構造の架橋型電荷輸送物質 30重量部
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.4μmだった。ほぼ平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.0μmだった。
実施例2の架橋型樹脂表面層塗工液中のイソシアヌレート体を下記のものに変えた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行なった。
イソシアネート 25重量部
(スミジュールHT、住友バイエルウレタン社製)
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.8μmだった。感光体の表面粗さ測定では図9と類似の断面曲線が得られた。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.2μmだった。
肉厚0.8mm、長さ340mm、外径φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。その上に下記組成の架橋型樹脂表面層塗工液をスプレーで塗工後、このドラムとUV硬化ランプから120mm距離を置いて、ドラムを回転させながらUV硬化を施した。この位置でのUV硬化ランプ照度は600mW/cm2(紫外線積算光量計UIT−150、ウシオ社製による測定値)であった。また、ドラムの回転速度は25rpmとした。UV硬化を行なう際、アルミニウムドラム内に棒状の金属ブロックを内包させた。また、UV硬化は30秒間の露光と120秒間の休止を繰り返し、通算4分間露光した。UV硬化後、130℃にて30分加熱乾燥した。結果、7μmの架橋型樹脂表面層を設け電子写真感光体を得た。
アルキッド樹脂溶液 12重量部
(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂溶液 8重量部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40重量部
メチルエチルケトン 200重量部
チタニルフタロシアニン(リコー社製) 20重量部
ポリビニルアルコール 10重量部
(エスレックB BX−1、積水化学工業社製)
メチルエチルケトン 100重量部
Z型ポリカーボネート 10重量部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
下記構造の架橋型電荷輸送物質 50重量部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製) 25重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 25重量部
(KAYARD DPCA−120、日本化薬社)
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
ポリオール(バーノックD6−439、大日本インキ化学工業社製)19重量部
イソシアヌレート型ポリイソシアネート 11重量部
(バーノックDN−980、大日本インキ化学工業社製)
(バーノックDN−980、大日本インキ化学工業社製)
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
トナーはImagioNeo C455用のトナーを用いた。現像剤キャリアもImagioNeo C455用の現像剤を各色現像ステーションのユニットに入れて使用した。
感光体ユニットは純正品を使用した。帯電ローラーの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行なった。また、現像バイアスは−500Vとした。なお、この装置において、 除電手段は設けていない。また、クリーニング手段は純正品を印刷枚数が5万枚毎に未使用品に変えて試験を行なった。
試験環境は、24℃/54%RHであった。
結果、ハーフトーン画像を描くドット画像の輪郭が僅かに滲む画像が得られた。但し、実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.2μmだった。平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.4μmだった。
実施例4における架橋型樹脂表面層用塗工液の組成を以下にした以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を得た。また、実施例4と同様にして試験を行なった。
下記構造の架橋型電荷輸送物質 50重量部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製) 25重量部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 25重量部
(KAYARD DPCA−120、日本化薬社)
アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物
(BYK−UV3570、ビックケミー社製) 0.1重量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
ポリオール(バーノックD6−439、大日本インキ化学工業社製) 12重量部
イソシアヌレート型ポリイソシアネート 8重量部
(バーノックDN−980、大日本インキ化学工業社製)
酸化スズ(三菱マテリアルズ社製 S−1) 10重量部
テトラヒドロフラン 400重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 166重量部
クリーニング不良による画像ノイズは出力画像に映し出されず問題なかった。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で0.3μmだった。一応、平滑だった。また、試験による感光体表面の摩耗量は1.1μmだった。
実施例4の架橋型樹脂表面層塗工液中のイソシアヌレート体とポリオール体を除いた他は実施例2と同様にして電子写真感光体を得た。また、全く同様の試験を行なった。
結果、ドット画像の輪郭が明瞭な画像が得られた。実用上問題のないレベルである。細線パターンは1ドット毎のペアラインが識別できた。
クリーニングブレードのエッジ損傷による線状の画像ノイズが生じた。
試験終了時の感光体表面粗さ(Rmax)は各現像ステーションに取り付けた感光体の内、最大で1.2μmだった。感光体の表面粗さ測定では図9と類似の断面曲線が得られた。また、試験による感光体表面の摩耗量は2.4μmだった。
21・・・導電性支持体
24・・・下引き層
25・・・電荷発生層
26・・・電荷輸送層
28・・・架橋型保護層
(図3〜8について)
11・・・電子写真感光体
12・・・帯電手段
13・・・露光手段
14・・・現像手段
15・・・トナー
16・・・転写手段
17・・・クリーニング手段
18・・・印刷メディア(印刷用紙、OHP用スライド)
19・・・定着手段
1A・・・除電手段
1B・・・クリーニング前露光手段
1C・・・駆動手段
1D・・・第1の転写手段
1E・・・第2の転写手段
1F・・・中間転写体
1G・・・搬送転写ベルト
Claims (10)
- 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)と光硬化型の電荷輸送物質との架橋体と、ポリエステルポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートとの架橋体とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)架橋体と、ポリエステルポリオール化合物とイソシアヌレート型ポリイソシアネートと熱硬化型の電荷輸送物質との架橋体とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 熱硬化型電荷輸送物質が下記一般式(2)又は(4)で表される化合物であって、該熱硬化型電荷輸送物質が、電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に、5wt%以上60wt%未満の割合で含有されることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
Xは下記(a)〜(c)のいずれかを表わす。
(a)アルキレン基
(b)アリーレン基
(c)下記一般式(3)で表わされる基
- 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層をカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートで硬化したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体の架橋型樹脂表面層に金属酸化物微粒子が含有されていないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 少なくとも請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 少なくとも請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体または請求項8に記載のプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする電子写真装置。
- 少なくとも2色以上の現像ステーションを有し、且つ、タンデム方式であって更に重合トナーを用いて現像することを特徴とする請求項9に記載の電子写真装置。
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