JP4056063B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
本発明の電子写真感光体、及びそれを用いる画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジは、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
また、前記したように高速化、小型化に伴い感光体が小径化され、加えて、ローラー帯電方式の採用による高エネルギーのアーク放電による感光体表面の損傷がひどく、機械的劣化を増長させる。特に高画質化の要求からトナー粒子の微細化に伴いクリーニング部では充分にクリーニングするためにゴムブレードが使用され、ゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、そのために感光体の摩耗が促進され、電荷輸送剤の脱落、電位変動、感度変動が生じ、それによる異常画像、カラー画像の色バランスがくずれ、色再現性に問題が発生するなどの不具合が生じる。
しかし、このような従来技術によれば、硬度の上昇はあるものの、クラックの発生、あるいは体積収縮が大きく、膜中に応力をため込み衝撃に対して脆く、支持体から剥離する現象がみられる。
水酸基をもった反応性電荷輸送物質とアルコール可溶バインダー樹脂の硬化膜(特許文献7、8参照)が開示されている。
一方、感光体の摩耗現象は主にバインダー樹脂の分子鎖切断であり、特に絡み合い点分子量以下になると低分子量化したバインダー樹脂が感光層バルクから抜けて、摩耗速度が速くなる。バインダー樹脂の分子量依存性はそのためと考えられる。
前記した従来技術の重合性トリアリールアミン骨格を有する重合性電荷移動モノマーを用いて感光層中で硬化させるものは、強靱な膜を形成するが、反応溶媒を使用しないバルク重合反応のために、反応開始後モノマーの移動が拘束され、三次元構造をとるものの長距離な連鎖反応は望めない。したがって、分子量の巨大化までは至っておらず、脆い膜、クラック発生、接着性不備などの現象が発生する。
すなわち、上記課題は本発明の(1)「分子鎖中に異種硬化部位をもち、これら硬化部位を硬化させたことを特徴とする電子写真感光体」、(2)「硬化部位が水酸基、及び炭素−炭素二重結合を分子鎖中に持った反応性バインダー樹脂であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、(3)「反応性バインダー樹脂の硬化部位と硬化反応する電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、(4)「下記一般式(1)で示される硬化部位を二カ所もったことを特徴とするバインダー樹脂;
(式中、R1、R2、R3は水素またはメチル基を表わし、Ar1は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、Xは−COO−であり、nは0または1、a,bは共重合比を表わし、全重量比で0.05≦a≦0.9、0.1≦b≦0.95、dは繰り返し単位を表わし5〜1000の整数である。)」、(5)「下記一般式(2)で示される硬化部位を二カ所もったことを特徴とするバインダー樹脂;
(式中、R4は水素またはメチル基を表わし、mは0から100までのである。)」、(6)「反応性バインダー樹脂と硬化反応する電荷輸送物質が炭素−炭素二重結合をもつことを特徴とする前記第(3)項に記載の電子写真感光体」、(7)「反応性バインダー樹脂と硬化反応する電荷輸送物質が水酸基をもつことを特徴とする前記第(3)項に記載の電子写真感光体」、(8)「硬化方法が光、電子線、光あるいは熱エネルギーで硬化させることを特徴とした前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、(9)「感光層中にメラミン樹脂を含有させ硬化させることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、(10)「感光層中にイソシアネート化合物を含有させ硬化させることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、(11)「感光体の形状がベルト状、シート状またはドラム状であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体」によって解決される。
本発明の異種硬化部位もったバインダー樹脂はスチレン誘導体、または(メタ)アクリル酸アリールエステルモノマーとグリシジル基が置換されたモノマーを共重合し、その後アクリル酸、あるいはメタクリル酸を付加反応させ生じた反応性炭素−炭素二重結合基、あるいは水酸基を含有した高分子化合物であり、この反応性基と反応性トリアリールアミン化合物とを含有し、紫外線、電子線あるいは熱エネルギーで硬化させた電子写真感光体である。
(式中、R1、R2、R3は水素またはメチル基を表わし、Ar1は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、Xは−COO−であり、nは0または1、a,bは共重合比を表わし、全重量比で0.05≦a≦0.9、0.1≦b≦0.95、dは繰り返し単位を表わし5〜1000の整数である。)
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR20)。
R20はアルキル基を表わす。
アルキル基とは炭素数1から4のアルキル基とは直鎖、分岐のアルキル基を表わし、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基で定義され、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)下記式で表わされる基。
(式中、R21及びR22は各々独立に水素原子、前記で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらは炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R21及びR22は共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(6)置換又は無置換のスチリル基、置換無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
(7)下記式で表わされる基。
共重合比は前記一般式(1)で示される共重合体Ar1のアリールモノマー部が全重量比で0.05〜0.9であり、グリシジルモノマーは0.1〜0.95で共重合される。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)でポリスチレン換算分子量が重量平均分子量で3000以上、好ましくは5000以上で3000未満であると塗膜の硬度低下傾向が確認される。50万を超えると作業性、塗料作成時、粘度が高くそのため希釈する塗料として固形分が低下し所望の膜厚が得られない不具合が生じ、40万以下が望ましい。
同様な反応で下記一般式(2)エポキシ樹脂も末端エポキシ基を(メタ)アクリル酸で付加反応して下記構造のエポキシ樹脂が合成できる。
異種硬化部位をもつバインダー樹脂としては以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
これら触媒は、一般式(1)の高分子化合物及び炭素−炭素二重結合を有するトリアリーレン化合物を含有する塗工液を作成する際、固形分全量に対して1〜10%で添加される。
また、塗工液は、無溶媒、またはトルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒などの単独、または混合溶媒を用いて調製される。
2官能のモノマー、オリゴマー及びポリマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。3官能モノマー、オリゴマー及びポリマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、4官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、5官能以上のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が使用することができ、これらの2官能以上の、モノマー、オリゴマー及びポリマーは、単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
メラミン樹脂は大日本インキ社からベッカミンの商標名で、日立化成社からメランの商標名で販売され、ベンゾグアナミン樹脂はアミコートの商標名で日本触媒社から、フェノール樹脂は大日本インキ社からプライオーヘンの商標名で、メチロールナイロン樹脂はトレジンの商標名で帝国化学産業社からそれぞれ市販されている。またイソシアネート化合物はスミジュールの商標名で住友化学社から市販されている。
これらは一般式(1)、あるいは一般式(2)で示されるバインダー樹脂と伴に添加され塗工、紫外線、電子線、あるいは熱エネルギーで硬化され、またはこれらエネルギーの併用でもかまわず硬化する。
異種硬化部位で重合性炭素−炭素二重結合の場合は紫外線、電子線、熱などのエネルギーに対しては活性であり硬化する。水酸基の硬化は主に熱エネルギーである。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(101)上に、少なくとも電荷発生物質を含有し、前記一般式(1)或いは一般式(2)で示される高分子化合物と反応性炭素−炭素二重結合をもつ電荷輸送物質、或いは水酸基をもつ電荷輸送物質の単独、或いは二種以上とを含有する感光層(102)が設けられている。
図2は、本発明の電子写真感光体の異なる実施形態を示している。即ち、導電性支持体(101)上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(201)と、一般式(1)或いは一般式(2)で示される高分子化合物と反応性炭素−炭素二重結合をもつ電荷輸送物質、或いは水酸基をもつ電荷輸送物質の単独、或いは二種以上とを含有する硬化電荷輸送層(202)とが、積層された構成をとっている。
更に図3、4は電荷輸送層が積層構造を有した場合である。
図3は導電性支持体(101)上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(201)と、低分子電荷輸物質とバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層(203)と、一般式(1)或いは一般式(2)で示される高分子化合物と反応性炭素−炭素二重結合をもつ電荷輸送物質、或いは水酸基をもつ電荷輸送物質の単独、或いは二種以上とを含有する硬化電荷輸送層(301)とから構成されるものである。この硬化層には有機、あるいは無機フィラーを含有してもよい。
図4は、感光層が、導電性支持体(101)上に中間層(302)を設け、その上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(201)と、低分子電荷輸物質とバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層(203)と、一般式(1)或いは一般式(2)で示される高分子化合物と反応性炭素−炭素二重結合をもつ電荷輸送物質、或いは水酸基をもつ電荷輸送物質の単独、或いは二種以上とを含有する硬化電荷輸送層(301)から構成される場合を示し、硬化電荷輸送層(301)には有機、あるいは無機フィラーを含有してもよい。
始めに電荷発生層(201)について説明する。
電荷発生層(201)は、電荷発生物質を主成分として含有する層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層(201)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
図2で示される層構成では電荷輸送層(202)が、一般式(1)或いは一般式(2)で示される高分子化合物と反応性炭素−炭素二重結合をもつトリアリールアミン化合物、或いは水酸基をもつトリアリールアミン化合物の単独、或いは二種以上とを含有する硬化層であり、前述した塗工液を塗工し、光、あるいは熱エネルギーで硬化させる。
電荷輸送物質を含有させるが、電荷輸送物質には正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
低分子電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号公報、特開昭52−139066号公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭58−190953号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号公報、特開昭55−156954号公報、特開昭55−52063号公報、特開昭56−81850号公報などに記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号公報、特開昭58−198043号公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体。
これら低分子電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層(203)の膜厚は解像度・応答性の点から、30μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
フィラーは、有機性フィラー及び無機性フィラーの両者が使用でき、有機フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機フィラーを用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性で好ましい。シランカップリング剤による処理は、やや抵抗が下がるものの、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。この塗料を浸漬法、スプレー法、リング法で塗工し、その後光、あるいは熱エネルギーで硬化させ1〜10μmの膜厚で硬化層(301)が作製される。
この中間層(302)上には、電荷発生層(201)、電荷輸送層(203)、及び一般式(1)あるいは一般式(2)の高分子化合物と硬化性トリアリールアミン電荷輸送物質とを反応硬化せしめた硬化電荷輸送層(301)が積層される。
モノフェノール系化合物;
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
図5において、感光体(1)は導電性支持体上に少なくとも感光層が設けられ、最表面層に少なくとも、本発明の一般式(1)で表わされるバインダー樹脂と硬化性トリアリールアミン化合物とから形成された硬化層を有している。
感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。また、この図5の電子写真装置においては、感光体周囲に、帯電チャージャー(3)、転写前チャージャー(7)、転写チャージャー(10)、分離チャージャー(11)、クリーニング前チャージャー(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ等の手段が設けられているが、これら手段はそれ自体公知の手段が使用可能である。
転写手段には、一般に用いられている帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャー(10)と分離チャージャー(11)を併用したものが効果的である。
光源等は、図5に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
このベルト状感光体は駆動ローラ(22a),(22b)により駆動、支持され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(25)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ(27)によるクリーニング、光源(28)による除電が繰返し行なわれる。図6においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側から光源(26)によるクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
なお、ベルト感光体と駆動、支持ローラとが一体で、装置への脱着が自在にできるようにユニット化することも可能である。
本発明のプロセスカートリッジは、上記した電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体的に具備し、画像形成装置本体に着脱自在に装着されるものであるが、この図7のプロセスカートリッジにおいては、感光体(1)の周辺には帯電手段として帯電ローラー(3)、感光体表面に現像材を適量供給する現像ユニット(6)、画像転写後に感光体表面をクリーニングする手段として、ブレードを備えたクリーニングユニット(16)が一体に組み込まれている。
このカートリッジは光書きこみ手段、転写手段、除電手段、定着手段、記録紙の搬送手段などの画像形成に必要な手段を具備した画像形成装置に着脱自在に取り扱い可能なように形成されている。
このカートリッジに搭載される感光体(1)としては、前記図1〜4を参照して示される感光体が使用でき、導電性支持体上に少なくとも感光層が設けられ、最表面層に少なくともトリアリールアミン硬化層を有している。
[樹脂合成例1]
撹拌器、温度計、精留塔及びガス導入管を備え付けた1リットルの四つ口フラスコに、アクリル酸144部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)370部及びトリフェニルホスフィン3部を加え、空気気流下115℃まで徐々に昇温し更に同温度にて10時間反応させ、エポキシメタクリレートを得た。
φ30mmアルミニウムシリンダー上にポリアミド樹脂(CM8000、東レ社製)10部、メタノール220部、n−ブタノール100部からなる溶液を5mm/secで浸漬塗工し、100℃で10分間乾燥して0.3μmの中間層を設けた。
次いで下記分散液を浸漬塗工し、120℃、10分間乾燥して0.2μmの電荷発生層を設けた。
15cmボールミルポットに下記電荷発生物質、溶剤を仕込み、φ10mmのジルコニアメディアを用いて48時間ボールミルし、その後シクロヘキサノン500部を加えミルベースを調整した。
下記構造の組成物 22部
シクロヘキサノン 400部
次いで、上記ミルベースをメチルエチルケトン900部で希釈して電荷発生層塗工液とした。
次いで電荷発生層上に以下の塗料を調整し、リング塗工して、150℃、40分間乾燥、硬化して18μmの硬化電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
B1の共重合体(50%トルエン溶液) 20部
V20電荷輸送物質 15部
パーカードックス12−EB(化薬アクゾ社) 8部
メラミン樹脂、スーパーベッカミンG821
(60%溶液)(大日本インキ社) 10部
テトラヒドロフラン 10部
実施例1と同様にして中間層、電荷発生層を設けた上に表4の組成で電荷輸送層を設けた。
異種硬化部位をもつバインダー樹脂は全て50%トルエン溶液であり、共重合比率は1:1重量でグリシジルメタクリレート(GMA)共重合し、GMAの当量をアクリル酸で付加させた。B13は四元共重合体でこれは1:1:1:1重量で共重合しGMAの当量をアクリル酸で付加させた。B8、B12、B20は三元共重合体でこれは1:1:1重量で共重合しGMAの当量をアクリル酸で付加させた。パーカードックス12は25%溶液。
φ30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層1用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。更に、その上に下記硬化電荷輸送層用塗工液をスプレー法で塗工して、図8、9に示した光硬化装置で光硬化させ、その後150℃で30分間熱硬化させ3μ硬化電荷輸送層を設けた。
〔中間層用塗工液〕
下記組成をボールミルで24時間分散して調整した。
アルキッド樹脂
(ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製) 6部
メラミン樹脂
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製) 4部
酸化チタン(CREL 石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
下記組成をボールミルで24時間分散して調整した。
オキソチニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層1用塗工液〕
下記組成を溶解し調整した。
ポリスチレン(MW1C 東洋スチレン社製) 12部
下記構造の組成物 12部
ジクロルメタン 90部
1%シリコーンオイル(KF50信越シリコーン社製)
ジクロルメタン溶液 1部
〔電荷輸送層2用塗工液〕
B16のバインダー樹脂 10部
V12の電荷輸送物質 5部
イルガキュア184(チバスペシャルティーケミカルズ) 1部
スミジュールHT(住友化学社) 5部
THF 15部
実施例14と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に表5に示した調合液をスプレー法で塗工し硬化電荷輸送層を設けた
実施例14と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に下記処方の塗料をリング法で塗工し、150℃で40分間硬化させ硬化電荷輸送層3μmを設けた。
B20共重合体 5部
アルミナ(スミコランダムAA03、住友化学社) 1.9部
H18 2.5部
アセトン 5部
処方液はジルコニアメディアを用いて3時間振動ミルを行ない分散した。この液12部にジペンタエリスリトールポリアクリレート(NKエステルA−9530、新中村化学社)1部、スミジュールHTを1部、カヤエステルO(化薬アクゾ社)0.5部を添加、混合して塗料とした。
実施例1と同様にして中間層、電荷発生層を設けた上に下記電荷輸送層液をリング塗工して20μmの電荷輸送層を設けた。
下記構造の組成物 8部
実施例1と同様にして中間層、電荷発生層を設けた上に水酸基硬化部位を硬化反応しない以下の塗料を調整し、リング塗工して、150℃、40分間乾燥、硬化して18μmの硬化電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
B1の共重合体(50%トルエン溶液) 20部
V20電荷輸送物質 15部
パーカードックス12−EB(化薬アクゾ社) 8部
テトラヒドロフラン 10部
実施例1と同様にして中間層、電荷発生層を設けた上に以下の炭素−炭素二重結合の硬化反応しない(ラジカル発生剤未添加)塗料を調整し、リング塗工して、150℃、40分間乾燥、硬化して18μmの硬化電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
B1の共重合体(50%トルエン溶液) 20部
V20電荷輸送物質 15部
メラミン樹脂、スーパーベッカミンG821
(60%溶液)(大日本インキ社) 10部
テトラヒドロフラン 10部
初期暗部電位(VD)を−600V、初期明部電位(VL)を−150Vにした。表中のΔVD、ΔVLは初期電位からの変化量であり、それぞれ以下のように求めた。
摩耗量はラン前後の差をフィッシャー製渦電流膜厚計で計測した。
支持体をアルミニウムシリンダーから電鋳法で作製した厚さ30μm、周長180mm、ベルト幅340mmの円筒状ニッケル製ベルトに代え、実施例14と同様の中間層、電荷発生層設けた上に下記電荷輸送層、熱硬化電荷輸送層を設けて、エンドレスベルト状感光体を作製した。
下記電荷輸送層塗工液を浸漬法で塗工し、130℃、30分間乾燥して20μmの電荷輸送層を設けた。
下記構造の組成物 8部
ポリカーボネート樹脂(TS2050、帝人化成社) 10部
ジクロルメタン 90部
下記硬化電荷輸送層液をスプレー法で塗工し、光照射装置で光硬化後、150℃で30分間硬化し、3μmの硬化電荷輸送層を設けた。
B2 10部
V12 5部
イルガキュアー184 1部
スミジュールHT 5部
THF 15部
実施例20と同様にニッケル製ベルト上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に下記硬化層塗工液をスプレー法で塗工し、光照射装置で光硬化後、150℃で30分間硬化し、3μmの硬化電荷輸送層を設けた。
B15 10部
V15 5部
イルガキュアー369 1部
スミジュールHT 5部
THF 15部
実施例20と同様に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けて25μmの比較例感光体とした。
実施例20と同様の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、下記硬化電荷輸送層液を塗工、光硬化装置で硬化し、150℃で30分間乾燥して、エンドレスベルト状感光体を作製した。
B2 10部
V12 5部
イルガキュアー184 1部
THF 15部
現像は、負帯電トナーとキャリアーからなる2成分現像剤を用いて反転現像を行なった。
(1)常温常湿(22−25℃、40−60%RH)環境下で50000枚の画像評価、
(2)感光体マガジンを常温常湿環境下に1ヶ月放置後、感光体の耐クラック性評価、及び画像評価、
(3)感光体マガジンを30℃、85%環境下に2週間放置後、感光体の耐クラック性評価、及び画像評価、
結果を表7に示した。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャー
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 ブレード
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
101 導電性支持体
102 感光層
201 電荷発生層
202 硬化電荷輸送層
203 電荷輸送層
301 硬化電荷輸送層
302 中間層
Claims (6)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層の最表面層が、分子鎖中に2種の硬化部位を有する反応性樹脂と、該架橋剤としてメラミン樹脂またはイソシアネート基を有する化合物を混合し、前記反応性樹脂の2種の硬化部位をそれぞれ反応させた硬化膜であり、前記反応性樹脂の2種の硬化部位の一種は上記メラミン樹脂あるいはイソシアネート基を有する化合物と脱水反応により硬化する水酸基であり、もう一種はラジカル重合性の炭素−炭素二重結合であることを特徴とする電子写真感光体。 - 感光層の最表面が、更に水酸基又は炭素−炭素二重結合からなる重合性基を有する電荷輸送物質を含み、前記電荷輸送物質を同時に硬化させた架橋膜であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記反応性樹脂の硬化方法が光、電子線、あるいは熱エネルギーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 少なくとも、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備した画像形成装置であって、該電子写真感光体が請求項1乃至4のいずれかに記載のものであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体的に具備し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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