JP4546896B2 - 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(例えば、特許文献2参照。)
(3)電荷輸送層に無機フィラーを分散させたもの(例えば、特許文献3参照。)
(4)多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させたもの(例えば特許文献4参照)。
(5)炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けたもの(例えば、特許文献5参照。)
(6)同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有させたもの(例えば、特許文献6参照。)
特に近年は高画質化及び省エネルギー化の要望からトナーの粒径が小さく、軟化温度が低くなっており、その流動性を確保するためにシリカ等の無機微粒子をトナー中に添加することがよく行なわれるようになってきている。このシリカ粒子が現像過程でOPC表面に刺さる場合が有り、その周囲にトナーのワックス成分等が堆積して現像できなくなり、白斑点状の画像欠陥が発生する問題が生じている。
これらの電子輸送性構造はアミン誘導体であり正孔輸送構造である。従って、感光層は正孔を輸送することしかできなく、静電潜像を形成するためには表面帯電極性はマイナス帯電となる。しかしながら、マイナス帯電を行なうための帯電器はプラス帯電に比べ帯電安定性が悪いことや、人体や電子写真感光体性能へ悪影響をおよぼすオゾンやNOxガスなどの酸化性ガス発生量が1桁以上高いことなどが知られている。
また、本発明の課題は、その白斑点画像欠陥の少ない長寿命な電子写真感光体を使用し、長期間にわたり高画質化を実現した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することである。
(1)「少なくとも下記の成分A、B、Cを含有する硬化性被覆組成物をラジカル重合させて得られる硬化被覆層を表面に有することを特徴とする電子写真感光体
A ラジカル重合性基を分子内に3個以上有するラジカル重合性モノマー
B 下記一般式(1)で表わされる電荷輸送性のラジカル重合性化合物
C 光重合開始剤」;
(2)「前記B成分が下記一般式(2)で表わされるラジカル重合性化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体
(3)「前記硬化被覆層のゲル分率が95%以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体」;
(4)「前記硬化被覆層のゲル分率が97%以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体」;
(5)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂からなる感光層、架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体であって、該架橋型電荷輸送層が前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の硬化被覆層からなることを特徴とする電子写真感光体」;
(6)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体であって、該架橋型電荷輸送層が前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の硬化被覆層からなることを特徴とする電子写真感光体」;
(7)「前記架橋型電荷輸送層の膜厚が2μm以上、10μm以下であることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の電子写真感光体」;
(8)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法」;
(9)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置」;
(10)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」。
また、該B成分のラジカル重合性化合物はシロール化合物であり電子輸送性にも優れているため、プラス表面帯電でも使用可能な電子写真感光体を提供することができる。
特に、その硬化被覆層のゲル分率が95%以上、より好ましくは97%以上にすることで耐摩耗性はさらに向上し、且つ前記画像欠陥の少ない長寿命な電子写真感光体を提供することができる。
したがって、この感光体を用いることにより、長期間にわたり高画質化を実現した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することができる。
本発明は、ラジカル重合性基を分子内に3個以上有するラジカル重合性モノマーと特定の構造を有するラジカル重合性化合物と光重合開始剤とをラジカル重合させて得られる架橋膜を硬化被覆層として表面に配した電子写真感光体、及びその物を使用した画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジを基本としている。
これにより優れた耐摩耗性と電気特性を維持したままでシリカ微粒子等非常に硬度の高いトナー中の外添剤が感光体に刺さることを防止し、白斑点の画像欠陥を減らすことができる。
その理由については次のように考えられる。
このように全ての特性を満足することが困難な状況にあって、本発明で使用する電荷輸送性成分として機能する特定のラジカル重合性化合物は次のような特徴を有する。
以上のことから、良好な電気特性を維持しつつ、且つ、クラック等の発生を起さずに架橋密度の極めて高い膜を形成することができ、そのことで感光体の諸特性を満足し、且つシリカ微粒子等が感光体に刺さることを防止し、白斑点の画像欠陥を減らすことができる。
A ラジカル重合性基を分子内に3個以上有するラジカル重合性モノマーとしては、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
前記一般式(1)中、R1、R2は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換又は無置換の芳香族炭化水素基を表わす。アルキル基としては炭素数1〜12のアルキル基等が、アルコキシ基としては炭素数1〜12のアルコキシ基等が、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が、また芳香族炭化水素基としてはフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
Ar1〜Ar4は置換又は無置換の芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基を表わす。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
それらの置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、上記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基等を置換基として有していてもよい。
前記一般式(2)中、R3〜R6は、置換もしくは無置換のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ポリフルオロアルキル基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わす。アルキル基、ハロゲン原子、芳香族炭化水素基、及びそれらの置換基は前記で述べたものが同様に適用される。ポリフルオロアルキル基としては、例えば炭素数が1〜12で、具体的には、例えばトリフルオロメチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ポリフルオロデカニル基などを挙げることができる。
本発明で使用される硬化性被覆組成物は、少なくとも前記成分A、B、Cを含むものであり、本発明における硬化被覆層は該組成物からなる塗工液を作製し、次いでその塗工液を感光体表面に塗工した後、光重合開始剤の吸収波長に応じた光照射を行ない、重合させることにより形成される。
塗工液を塗布後、場合によっては乾燥工程を入れ、光照射により硬化を行なう。
また、光照射時に窒素置換をして酸素による重合阻害を防止してもよい。
また、光照射は、連続して行なってもよく、間欠的に複数回に分けて照射してもよい。
光照射量が多いほど硬化被覆層のゲル分率が上がり、より不溶不融の状態になる。本発明の目的を達成するためには、このゲル分率が95%以上であることが好ましい。ゲル分率は、硬化被覆層をテトラヒドロフランのような溶解性の高い有機溶媒中に5日間浸漬し、重量減少量を測定することで見ることができる。
さらに、好ましくはゲル分率97%以上まで硬化させることが望ましい。ゲル分率を上げることで、さらにシリカ等の刺さりを防止できる。この場合、20J/cm2以上の積算照射エネルギーを照射することが望ましい。
このように、本発明で使用される硬化性被覆組成物の硬化には、通常の光硬化樹脂に比べて桁違いの照射エネルギーを必要とする。これは、成分Bのラジカル重合性化合物が大きな光吸収性を有するために光開始剤の開裂が妨害されるからである。しかしながら、本発明では、このラジカル重合性化合物への光吸収もスチルベン構造部の二重結合の架橋への参加と関係していると予想され、塗工液組成と光照射条件の複合的影響で極めて架橋密度が高く、白斑点画像欠陥を防止できる感光体の提供が可能になっている。
アニール時間は、1分〜60分程度である。
本発明の電子写真感光体は、前記硬化被覆層を表面に有するものであり、その構成に制限はないが、B成分の特性が電子輸送性のため、正帯電方式の有機感光体表面に形成されるのが好ましい。
有機感光体の層構成としては、導電性支持体上に感光層を設けたものであり、感光層に前記硬化性被覆組成物を適用することができる。しかしながらこの場合、感光層の膜厚に硬化条件による制約が生じるため、感光層の上に架橋型電荷輸送層を更に積層した感光体構成とし、該架橋型電荷輸送層に前記硬化性被覆組成物を適用するのが最も好ましい。
図3は、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層(33)が設けられ、更に感光層表面に架橋型電荷輸送層(39)が設けられてなる。
図4は、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に架橋型電荷輸送層(39)が設けられてなる。
図5は、導電性支持体(31)上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)とが積層された構成をとっており、更に電荷発生層上に架橋型電荷輸送層(39)が設けられてなる。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1×1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。
(電荷発生層)
電荷発生層(35)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
これらの電荷発生物質は、単独または2 種以上の混合物として用いることができる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層(37)は電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(35)上に塗布、乾燥することにより形成させる。電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(35)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、架橋型電荷輸送層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、好ましくは20〜300重量部、より好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。電荷輸送層の塗工に用いられる溶剤としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2 種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層(35)と同様な塗工法が可能である。
本発明の感光体においては、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の間に、架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。このため、中間層としては架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性または難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶剤及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋型電荷輸送層、電荷輸送層、電荷発生層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%程度が適当である。
本発明の架橋型電荷輸送層の膜厚は、好ましくは1μm以上、10μm以下、より好ましくは2μm以上、10μm以下、さらに好ましくは3μm以上、10μm以下である。10μmより厚い場合、クラックや膜剥がれが発生しやすくなり、光開始剤の光開裂によるラジカル重合開始が深部で起こりにくくなるため、架橋密度の高い膜を形成することができにくくなる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進行しないため、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm以下で、この膜厚以下の架橋型電荷輸送層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、架橋型電荷輸送層塗工時において下層の低分子成分の混入が生ずる。架橋型電荷輸送層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の架橋型電荷輸送層は1μm以上の膜厚で高密度な架橋体を形成でき、白斑点防止になる。また、繰り返しの使用において摩耗による膜厚減少は、局部的な帯電性や感度変動を起しやすく、長寿命化の観点から架橋型電荷輸送層の膜厚を3μm以上にすることが望ましい。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、耐摩耗性及び耐傷性が非常に高く、且つクラックや膜剥がれが生じにくい架橋型電荷輸送層を表面に有する前記本発明の感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
本発明は、耐摩耗性及び耐傷性が非常に高く、且つクラックや膜剥がれが生じにくい架橋型電荷輸送層を表面に有する積層型感光体と帯電、現像、転写、クリーニング、除電手段の少なくとも一つを一体化した画像形成装置用プロセスカートリッジを提供するものである。プロセスカートリッジの一例を図7に示す。画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
文献(S. Yamaguchi et al, Chem. Eur. J., 6(9), 1683(2000) )に従い、下記構造式で表わされる2,5−ビス(p−メトキシフェニル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールを合成した(融点176.0〜177.0℃)。
合成例1で得られた2,5−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール8.50g(19.0mmol)、テトラヒドロフラン100ml、12%濃度の水酸化ナトリウム水溶液21.5gを入れ、窒素気流下、5℃でメタクリル酸クロリド5.97g(57.1mmol)を30分かけて滴下した。その後、同温度で3時間反応させた。反応液を水にあけ、トルエンで抽出した後、濃縮してシリカゲルによるカラム精製を行なった。得られた粗収物をエタノールで再結晶し、下記構造式で表わされる黄色晶のメタクリル酸エステル化合物(例示化合物No.6)6.90gを得た。(収率62.3%)
以下にB成分として使用されるラジカル重合性化合物の具体例を示すが、それらに限定されるものではない。
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの感光層を形成した。この感光層上に下記組成の架橋型電荷輸送層用塗工液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:110mm、照射強度:750mW/cm2、照射時間:240秒の条件で光照射し、塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え3.0μmの架橋型電荷輸送層用を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
X型無金属フタロシアニン(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製) 2部
下記構造式で表わされる低分子電荷輸送物質 30部
A成分 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA 、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
B成分 例示化合物No.2 10部
C成分 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
溶剤 テトラヒドロフラン 100部
実施例1のB成分を例示化合物No.1に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1のB成分を例示化合物No.6に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1のB成分を例示化合物No.8に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、15μmの電荷輸送層を形成した。この電荷輸送層上に下記組成の架橋型電荷輸送層用塗工液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:110mm、照射強度:750mW/cm2、照射時間:240秒の条件で光照射を行ない塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え5.0μmの架橋型電荷輸送層用を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、
日本インキ化学工業製) 6部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、
大日本インキ化学工業製) 4部
酸化チタン 40部
メチルエチルケトン 50部
下記構造式で表わされるビスアゾ顔料 2.5部
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製) 10部
前記電荷輸送物質(A−1) 9部
前記電荷輸送物質(A−2) 1部
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイル
(KF50−100CS、信越化学工業製)
のテトラヒドロフラン溶液 0.2部
A成分 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA 、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
B成分 例示化合物No.1 10部
C成分 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
溶剤 テトラヒドロフラン 100部
実施例2のB成分を例示化合物No.4に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例2のB成分を例示化合物No.5に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例2のB成分を例示化合物No.7に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において光照射条件をメタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:110mm、照射強度:750mW/cm2、照射時間:360秒の条件で光照射した他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において光照射条件をメタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射した他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において光照射条件をメタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:120秒の条件で光照射した他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において架橋型電荷輸送層の膜厚を2μmとした他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において架橋型電荷輸送層の膜厚を5μmとした他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において架橋型電荷輸送層の膜厚を7μmとした他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において架橋型電荷輸送層の膜厚を10μmとした他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において架橋型電荷輸送層を設けなかった以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例2において架橋型電荷輸送層を設けなかった以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
特に本発明の硬化被覆層のゲル分率95%以上の物はほとんど画像欠陥が発生しない優れた有機の電子写真感光体を与える。さらに、本発明の硬化被覆層のゲル分率97%以上の物は耐摩耗性も格段に優れ且つほとんど画像欠陥が発生しない優れた有機の電子写真感光体を与える。
また、架橋型電荷輸送層の膜厚が、2〜10μmの範囲で耐摩耗性に優れ画像欠陥のない優れた有機の電子写真感光体を与える。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 架橋型電荷輸送層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段(クリーニングブレード)
Claims (10)
- 少なくとも下記の成分A、B、Cを含有する硬化性被覆組成物をラジカル重合させて得られる硬化被覆層を表面に有することを特徴とする電子写真感光体。
A ラジカル重合性基を分子内に3個以上有するラジカル重合性モノマー
B 下記一般式(1)で表わされる電荷輸送性のラジカル重合性化合物
C 光重合開始剤 - 前記硬化被覆層のゲル分率が95%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化被覆層のゲル分率が97%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂からなる感光層、架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体であって、該架橋型電荷輸送層が請求項1乃至4のいずれかに記載の硬化被覆層からなることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体であって、該架橋型電荷輸送層が請求項1乃至4のいずれかに記載の硬化被覆層からなることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記架橋型電荷輸送層の膜厚が2μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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