JP2004133253A - 有機感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はチタニルフタロシアニン顔料等を用いた場合の帯電特性、感度特性の温湿度変化を改良し、カブリが発生せず、且つ環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生がない有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを用いた画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを用いた画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体はSe、ヒ素、ヒ素/Se合金、CdS、ZnO等の無機感光体から、公害や製造の容易性等の利点に優れる有機感光体(以下、単に感光体ともいう)に主体が移り、様々な材料を用いた有機感光体が開発されている。
【0003】
近年では電荷発生と電荷輸送の機能を異なる材料に担当させた機能分離型の感光体が主流となっており、なかでも電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層型の有機感光体が広く用いられている。
【0004】
また、電子写真プロセスに目を向けると潜像画像形成方式は、ハロゲンランプを光源とするアナログ画像形成とLEDやレーザを光源とするデジタル方式の画像形成に大別される。最近はパソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さからデジタル方式の潜像画像形成方式が急激に主流となりつつある。
【0005】
デジタル方式の画像形成では、デジタル電気信号に変換された画像情報を感光体上に静電潜像として書き込む際の光源としてレーザ、特に半導体レーザやLEDが用いられている。
【0006】
これらのレーザ光やLED光の発振波長は、780nmや660nmの近赤外光やそれに近い長波長光である。デジタル的に画像形成を行う際に使用される有機感光体にとって、まず第一に要求される特性としてはこれらの長波長光に対して高感度であることであり、これまで多種多様な材料についてそのような特性を有するか否かの検討がなされてきている。その中でもフタロシアニン顔料は、合成が比較的簡単である上、長波長光に対して高感度を示すものが多い点で、フタロシアニン顔料を用いた有機感光体が、幅広く検討され、実用化されている。
【0007】
なかでも、粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料(以後、単にY型チタニルフタロシアニン顔料とも云う)は高感度な素材として知られ学会報告もされている(非特許文献1)。更に、藤巻はこのY型チタニルフタロシアニン顔料が乾燥した不活性ガス中での脱水処理によっての光量子効率が低下することを見いだした。しかしながら、この光量子効率の低下は常温常湿度環境に放置して水を再吸収させると再び量子効率が上がることから、Y型チタニルフタロシアニン顔料は水を含んだ結晶構造を有し、この水分子が光によって生成した励起子のホールとエレクトロンとの解離を促進し、これが高い光量子効率を示す原因の一つと推測している。(非特許文献2)
このような素材を電荷発生物質として用いた場合、環境、特に湿度変動により、帯電特性、感度特性が変化し、環境メモリによる画像むら(高温高湿の環境から低温低湿の環境に変わったとき、帯状の画像むらが発生する現象)や黒ポチが発生しやすい。
【0008】
これらの問題を解決するため、チタニルフタロシアニンのアルカンジオール付加体を電荷発生物質として用いた有機感光体が提案されている(特許文献1、2)。このアルカンジオール付加体は前記Y型チタニルフタロシアニン顔料に比し、感度等の温湿度依存性が改善されているが、該電荷発生物質の採用だけでは、尚環境メモリによる画像むら等が完全に解決されない。また本アルカンジオール付加体は高温高湿等の厳しい環境下での耐黒ポチ性や長期の感光体使用時における耐久性に劣り、耐久末期では画像濃度が十分得られない、画像カブリが発生するなどの点で問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−273775号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平8−82949号公報
【0011】
【非特許文献1】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0012】
【非特許文献2】
Y.Fujimaki:IS&T’s 7th International Congress on Advance in Nonimpact Printing Technologies,Paper Summaries,269(1991)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、チタニルフタロシアニン顔料等を用いた場合の帯電特性、感度特性の温湿度変化を改良し、カブリが発生せず、且つ環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生がない有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを用いた画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記したような課題の原因となっている電荷発生物質及び有機感光体全体について検討を加えた結果、有機感光体の電荷発生物質にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体(以下、単にチタニルフタロシアニン付加体とも云う)を用いると共に、中間層に導電性基体からのフリーキャリアの注入を、温湿度の変化があってもブロックできるバインダー樹脂を用いることにより、感光体の帯電特性、感度特性の耐湿度依存性を改善し、カブリが発生せず、環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生も防止できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は以下のような構成を有することにより、達成される。
【0015】
1.導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
【0016】
2.導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
【0017】
3.前記チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体がCu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に回折ピークを示す結晶構造を有することを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0018】
4.前記バインダー樹脂が前記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミド樹脂であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0019】
5.前記Y1は前記化学構造を有することを特徴とする前記4に記載の有機感光体。
【0020】
6.前記中間層がN型半導性粒子を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0021】
7.前記N型半導性粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする前記6に記載の有機感光体。
【0022】
8.前記酸化チタン粒子が複数回の表面処理を施されており、且つ最終表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理であることを特徴とする前記7に記載の有機感光体。
【0023】
9.前記N型半導性粒子の数平均一次粒径が10nm以上400nm以下であることを特徴とする前記7又は8に記載の有機感光体。
【0024】
10.導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体と該有機感光体上を一様に帯電する帯電手段、帯電された有機感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段、転写後の該有機感光体上の電荷を除去する除電手段及び転写後の該有機感光体上の残留するトナーを除去するクリーニング手段の少なくとも1つの手段とが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0025】
11.前記10に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
【0026】
12.前記11に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる有機感光体は導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層しており、該電荷発生層が、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g且つ吸水率が5%以下の樹脂をバインダー樹脂として含有することを特徴とする。
【0028】
本発明の有機感光体が上記の構成を有することにより、感光体の帯電特性、感度特性の耐湿度依存性を改善し、カブリが発生せず、環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生も防止できる。
【0029】
本発明の有機感光体に使用する電荷発生物質としてはチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有することを特徴とする。本発明中、チタニルフタロシアニン化合物とは、一般式(2)で示すフタロシアニン残基中心にチタニル(O=Ti)基を持つものである。
【0030】
【化3】
【0031】
一般式(2)中、X1〜X4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0032】
本発明の2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオール(以下、単に隣接ジオールとも云う)とは、脂肪族炭化水素の隣り合う炭素原子に一つずつ水酸基があるもので、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリンなどを挙げることができる。好ましくは一般式(3)、(4)で示されるような2つの隣接する各炭素原子が不斉炭素で構成される光学活性を有するジオールを挙げることができる。
【0033】
【化4】
【0034】
(一般式(3)及び一般式(4)中、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立にアルキル基を表す。)
上記R5、R6、R7、R8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基が好ましい。即ち、R5〜R8のアルキル基が比較的炭素数が少ないアルキル基である方がチタニルフタロシアニンとの付加体を形成しやすい。中でも、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくとも1つを用いたチタニルフタロシアニン付加体が最も好ましい。チタニルフタロシアニン付加体の構造は、例えば(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの付加体で表すと、下記で示されるようなチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの脱水縮合により生成する付加体化合物と推定される。
【0035】
【化5】
【0036】
本発明のチタニルフタロシアニン付加体は上記隣接ジオールとチタニルフタロシアニンを各種溶媒中で室温あるいは加熱下に反応することで合成することができる。原料であるチタニルフタロシアニンはフタロニトリルと四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリルと尿素とアルコキシチタンから得る合成法等通常知られている何れの合成法も用いることが出来るが、特にはジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得られる塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが好ましい。またチタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理等の方法により無定形化してから隣接ジオールと反応させるものが好ましい。本発明のチタニルフタロシアニン付加体を得るには、隣接ジオールをチタニルフタロシアニンに対して0.5〜2.0モル当量を加え、反応させることが好ましく、必ずしもチタニルフタロシアニン化合物1.0モル当量に対して1.0モル当量以上の隣接ジオールを必要としない。これは本発明のチタニルフタロシアニン付加体が隣接ジオール付加チタニルフタロシアニンと隣接ジオール付加のないチタニルフタロシアニンとの混晶状態でも電荷発生物質として高感度で高性能な状態を保つことができるからと考えられる。
【0037】
チタニルフタロシアニンとジオールとの反応は、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲であることがより好ましい。
【0038】
反応溶剤としては各種有機溶媒中を使用することができ、例えば、トルエン、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン等の芳香族系有機溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ等のエーテル系有機溶剤、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン系極性有機溶剤、トリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤、ブタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール系有機溶剤等を挙げることができる。
【0039】
結晶形
また本発明のチタニルフタロシアニン付加体としては、Cu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピーク(バックグランドと明確に区別できるピーク)を有する結晶構造を有することが好ましい。その他にも9.5°、24.7°、25.1°、26.5°等に明確なピークを有してもよい。ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピークを有する結晶構造を有する本発明のチタニルフタロシアニン付加体は良好な感度特性と環境メモリによる画像むらや黒ポチ等の画像欠陥の少ない特性を併せて有する。
【0040】
本発明に用いる有機感光体の中間層のバインダー樹脂に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を用いることにより、導電性支持体からのフリーキャリア(導電性支持体から進入してくる電子やホール)のブロッキング性が向上し、感光体に高電界強度を与える帯電電位を負荷しても、黒ポチやカブリの発生を防止し、且つ現像性を増大させて、高階調で鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0041】
即ち、中間層のバインダー樹脂として上記のような融解熱と吸水率を有する樹脂を用いることにより、温湿度の外部環境が変化しても、感光体の半導体としての特性が変化しにくく、前記のような改良効果が顕著に現れる。即ち、融解熱が40J/gより大きくなると、バインダーの溶媒溶解性が低下し、中間層中で、微細なバインダー樹脂の凝集物が発生し、ミクロな物性の均一性が不足し、黒ポチの発生や、残留電位の上昇をもたらす。又後記するN型半導性粒子等の分散の均一性が十分でなくなり、フリーキャリアのブロッキング性が低下しやすい。該融解熱は0〜30J/gがより好ましく、0〜20J/gが最も好ましい。一方、前記吸水率が5質量%を超えると、中間層中の含水率が上昇し、黒ポチ等を発生させ、又残留電位の上昇、カブリの発生等の電子写真特性を低下させる。該吸水率は3質量%以下がより好ましい。
【0042】
上記樹脂の融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetory)にて測定する。但し、DSCの測定値と同じ測定値が得られれば、DSC測定法にこだわらない。該融解熱はDSC昇温時の吸熱ピーク面積から求める。
【0043】
一方、樹脂の吸水率は水中浸漬法による質量変化又はカールフィッシャー法により求める。
【0044】
本発明の中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。電子写真感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、前記した6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これらの樹脂は吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿下の帯電特性等が変化しやすく、画像むらや黒ポチが発生しやすい。
【0045】
本発明のアルコール可溶性ポリアミド樹脂には、上記のような欠点を改良し、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を与えることにより、従来のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の欠点を改良し、外部環境が変化しても、又電子写真感光体の長時間連続使用を行っても、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0046】
以下、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂について説明する。
【0047】
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の40〜100モル%含有するポリアミド樹脂が好ましい。
【0048】
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド結合単位を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
【0049】
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(5)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(6)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。
【0050】
【化6】
【0051】
一般式(5)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
【0052】
【化7】
【0053】
一般式(6)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
【0054】
前記のごとく、炭素数が7〜30の繰り返し単位構造は置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有する化学構造等が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含む基を有する化学構造が好ましい。
【0055】
本発明のポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
【0056】
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ、画像むら等が発生しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
【0057】
又、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
【0058】
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
【0059】
【化8】
【0060】
一般式(1)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
【0061】
上記一般式(1)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、画像むら、黒ポチ改善効果が著しい。
【0062】
【化9】
【0063】
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
【0064】
本発明のポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】
上記具体例中の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
【0069】
上記具体例の中でも、一般式(1)の繰り返し単位構造を有するN−1〜N−4のポリアミド樹脂が特に好ましい。
【0070】
又、本発明のポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0071】
本発明のポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
【0072】
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
【0073】
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0074】
尚、本発明の中間層を構成するバインダー樹脂(融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂)は、少しでも中間層の樹脂として用いれば効果があるが、顕著な効果を得るためには、中間層のバインダー樹脂の主たる樹脂として用いることが必要である。
【0075】
一方、本発明の中間層には前記したバインダー樹脂中にN型半導性粒子を分散、含有させることが好ましい。
【0076】
一般に中間層に無機粒子を含有させ、画像欠陥の1つであるレーザ光によるモアレを低減したり、中間層のフリーキャリア(導電性支持体等から進入してくる電子やホール)のブロッキング性を高めることは、公知のことであるが、このような無機粒子を中間層に含有させた場合、無機粒子が感光体の湿度を高めやすく、しばしば温湿度環境依存性が大きくなりやすい。本発明では中間層のバインダー樹脂として前記した融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を用い、且つ電荷発生物質に前記したチタニルフタロシアニン付加体を用いることにより、外部の温湿度変化に対しても安定した特性を有する有機感光体を得ることができ、その結果、感光体に高電界強度を付与する帯電電位を負荷しても、安定した電子写真特性(帯電電位や感度等)を維持し、良好なブロッキング性を示す。
【0077】
ここで、N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0078】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0079】
本発明に用いられるN型半導性粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のN型半導性粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のN型半導性粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲のN型半導性粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0080】
前記N型半導性微粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値する。
【0081】
本発明に用いられるN型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0082】
本発明のN型半導性粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0083】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0084】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0085】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものが特に好ましい。
【0086】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にシリカ処理を最初に行い、次いでアルミナ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
【0087】
前記酸化チタン等のN型半導性粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
【0088】
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0089】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導性粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0090】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0091】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液をセラミックビーズを用いたメディア分散を行うことが好ましい。次にメディア分散後の分散液を濾過後、加熱処理をしながら、減圧乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0092】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0093】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0094】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(7)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0095】
一般式(7)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(7)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0096】
また、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0097】
また、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0098】
nが0の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0099】
nが1の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
即ち、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0100】
nが2の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
ジメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0101】
nが3の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
トリメチルクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルメトキシジメチルシラン、メトキシ−3−メルカプトプロピルメチルメチルシラン等が挙げられる。
【0102】
また、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物は、好ましくは下記一般式(8)で示される有機ケイ素化合物が用いられる。
【0103】
一般式(8)
R−Si−X3
式中、Rはアルキル基、アリール基、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基を表す。
【0104】
一般式(8)で表される有機ケイ素化合物においては、更に好ましくはRが炭素数4から8までのアルキル基である有機ケイ素化合物が好ましく、具体的な好ましい化合物例としては、トリメトキシn−ブチルシラン、トリメトキシi−ブチルシラン、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシランが挙げられる。
【0105】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0106】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0107】
本発明の酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0108】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0109】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0110】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0111】
前記ポリアミド樹脂中に分散されるN型半導性粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0112】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層である。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108〜1015Ω・cmである。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0113】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、 80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0114】
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の表面処理N型半導性粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成されるが、分散溶媒としては前記したポリアミド樹脂の溶媒と同様なものが適宜用いられる。
【0115】
又、上記N型半導性微粒子以外に、金属酸化物の微粒子も好ましく用いられる。金属酸化物の微粒子としては、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫などの酸化物などが挙げられ、これらのうち1種を、又は、必要に応じて2種以上の金属酸化物を用いることが好ましい。又、これらの金属酸化物は、例えばチタンカップリング剤、シランカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等の疎水化処理剤により疎水化されたものが好ましい。
【0116】
前記チタンカップリング剤としては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどがある。更に、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0117】
又、脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、ヘプタデカン酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
【0118】
上記のような微粒子を本発明のポリアミド樹脂中に分散、含有させることにより、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性、更に黒ポチ、画像むら等の改善効果を増大させることができる。
【0119】
次に、中間層以外の本発明に好ましく用いられる感光体の構成について記載する。
【0120】
本発明の感光体としては本発明の目的からは有機電子写真感光体(有機感光体とも云う)に本発明の中間層を適用することが好ましい。
【0121】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0122】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有しているので電荷輸送層の代わりに用いてもよい。
【0123】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0124】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0125】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0126】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0127】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設ける。本発明の中間層の膜厚は0.2〜10μmが好ましく、0.5〜5μmが最も好ましい。
【0128】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとる。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。
【0129】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0130】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のチタニルフタロシアニン付加体を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0131】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0132】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0133】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0134】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0135】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0136】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0137】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0138】
本発明の有機感光体の膜厚(μm)とは、導電性支持体上に形成された、上記中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の膜厚を合計した乾燥膜厚を云う。但し、支持体上に接触して導電層(体積抵抗が1×105Ω・cm以下)が設けられている場合は、導電層の上に積層された乾燥膜厚の合計を云う。
【0139】
感光層、中間層、表面層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0140】
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
【0141】
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0142】
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成方法及び画像形成装置の説明をする。
【0143】
図6は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
図6に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布した本発明の感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0144】
感光体への一様帯電の後、像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0145】
その静電潜像は次いで現像工程で現像器54を用いて現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0146】
現像剤は、例えばフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、スチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は現像スリーブ541に直流バイアス電圧、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0147】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0148】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写器)58が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して転写される。
【0149】
次いで記録紙Pは転写ローラーとほぼ同時に圧接状態とされた分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0150】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0151】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0152】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0153】
合成例1
チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロルベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱する。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得る。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5Lに注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得る。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥してチタニルフタロシアニン−アモルファス品24.8g(収率86%)を得た。
【0154】
合成例2
チタニルフタロシアニン付加体CG−1の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール1.8g(0.6モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−1)19.8gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図1に示す。
【0155】
合成例3
チタニルフタロシアニン付加体CG−2の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール3.7g(1.2モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−2)20.7gを得た。CG−2のX線回折スペクトルを図2に示す。
【0156】
合成例4
チタニルフタロシアニン付加体CG−3の作製((2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体)
オルトジクロロベンゼン200mlと(2S,3S)−2,3−ブタンジオール2.1g(0.7モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いで6時間加熱還流させ反応を進行させる。放冷後、(2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−3)20.0gを得た。CG−3のX線回折スペクトルを図3に示す。
【0157】
実施例1
感光体1の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚1.7μmの中間層1を形成した。
【0158】
中間層(UCL)塗布液
バインダー樹脂(例示ポリアミドN−1) 1部
微粒子:酸化チタン(数平均一次粒径:35nm、表面処理は、シリカ処理、
アルミナ処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3部
溶媒:イソプロピルアルコール 10部
ポリアミドN−1をイソプロピルアルコールで加温溶解後、定格濾過精度0.2μmのフィルターにて濾過後、酸化チタンSMT500SASを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層分散液を作製した。該分散液を同じ混合溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製プロファイルスター絶対濾過精度:1.5μm、圧力;100kPa以下)した。
【0159】
〈電荷発生層(CGL)〉
電荷発生物質:合成例2のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(v/v) 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0160】
〈電荷輸送層(CTL)〉
電荷輸送剤(〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕−ジ−p−トリ
ルアミン) 75部
ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)100部
テトラヒドロフラン 600部
トルエン 150部
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚23μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0161】
尚、上記電荷発生層を透明ペットベース上に塗布乾燥した試料を用いて、X線回折スペクトルを測定したデータを図4に示す。図4のX線回折スペクトルは電荷発生層のバインダー(ポリビニルブチラール樹脂)の影響を受け、図1のCG−1の顔料のX線回折スペクトルに比し、0.2°〜0.3°低角度側にシフトしている。
【0162】
感光体2〜15の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液のポリアミド樹脂、微粒子、溶剤及び中間層の膜厚、電荷発生層の電荷発生物質、電荷輸送層の電荷輸送物質及び膜厚を表1のように変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、それぞれ感光体2〜15を作製した。
【0163】
上記各感光体の中間層の内容については、表1に記載した。
尚、表1中、1次処理欄に記載のものは1次処理時の酸化チタン粒子表面に析出した物質であり、2次処理欄に記載のものは2次処理時に用いた物質を示す。
【0164】
又、表1中の融解熱、吸水率の測定は以下のようにして行った。
融解熱の測定条件
測定機:島津製作所「島津熱流速示差走査熱量計DSC−50」を用いて測定した。
【0165】
測定条件:測定試料を上記測定機に設定し、室温(24℃)から測定開始、200℃迄5℃/分で昇温し、次いで室温まで5℃/分で冷却する。これを2回連続で行い、2回めの昇温時の融解による吸熱ピーク面積より融解熱を算出する。
【0166】
吸水率の測定条件
測定対象の試料を70〜80℃で3〜4時間で十分に乾燥させ、その質量を精密に秤量する。次に、20℃に維持したイオン交換水に試料を投入し、一定時間経過後に引き上げ試料表面の水を清潔な布で拭き取り、質量を測定する。以上の操作を質量増が飽和するまで繰り返し、その結果得られた試料の増加質量(増加分)を初期の質量で徐した値を吸水率とした。
【0167】
【表1】
【0168】
表中、*Aはシリカ・アルミナ、*Bはアルミナ・ジルコニアの1次処理
*Cはイソプロピルアルコール
*Dはイソプロピルアルコール/ブタノール(6/1)
*Eはエタノール/1−プロパノール(1/5)
*Fはメタノール
*Gは炭素数が7以上の単位構造の比率(モル%)を示す。
【0169】
炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。又、N−12はメトキシメチル化ナイロン6(アシド結合間の炭素数は5であり、メトキシメチル化度は25%)、N−13は下記構造のポリアミドを示す。
【0170】
【化13】
【0171】
上記N−13構造の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
【0172】
又、表中のY−TiOPcはX線回折スペクトルで、27.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(表1ではY−TiOPc)であり、下記合成例により合成した顔料である。
【0173】
Y型チタニルフタロシアニン顔料の合成例
ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得る。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロルベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニン顔料(Y−TiOPc:X線回折スペクトルは図5)を得た。
【0174】
尚、表中の中間層等の膜厚は、各層塗布乾燥後、均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値から各層の膜厚を算出した(電荷輸送層の場合は全層から中間層、電荷発生層の膜厚を差し引く)。膜厚測定は光検出方式の膜厚測定器MCPD−1000(瞬間マルチ測光検出器:大塚電子(株))を用いて行った。
【0175】
《評価》
上記感光体を図6の構造を基本的に有するコニカ製Sitios7040デジタル複写機(スコロトロン帯電器、半導体レーザ像露光器、反転現像手段を有する)に設定し、複写実験を行った。
【0176】
上記デジタル複写機に各感光体を取り付け、各々の感光体を評価した。評価項目、評価基準を下記に、表2に結果を示す。
【0177】
(黒ポチ)
高温高湿(30℃、80%RH)環境で、A4紙、5万枚の画素率7%の文字画像の複写を行い、スタート時及び1万枚コピー毎に白画像の複写を行い、黒ポチ等の画像欠陥の有無を評価した。
【0178】
黒ポチについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0179】
◎:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
(画像むら)
上記Sitios7040複写機を高温高湿下(HH:30℃、80%RH)に24hr放置後、低湿低温下(LL:20RH%、10℃)に置き、30分後、コピーした。文字画像とハーフトーン画像のオリジナル画像をコピーし、発生した残像や黒帯状の画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.05以下(良好)
○:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
画像濃度、カブリの評価
上記黒ポチ評価時の高温高湿(30℃、80%RH)環境で、A4紙、5万枚の画素率7%の文字画像の複写後、白画像及び黒ベタ画像の画像濃度を測定し、画像濃度及びカブリを評価した。
【0180】
(画像濃度)
黒ベタ画像の濃度をマクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した
◎:黒ベタ部濃度が1.3以上(良好)
○:黒ベタ部濃度が1.0〜1.3未満(実用上問題なし)
△:黒ベタ部濃度が0.7〜1.0未満(実用性の再検討要)
×:0.7未満(実用上問題あり)
(カブリ)
マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、印字されていない複写用紙(白紙)の濃度を20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均値を白紙濃度とする。次に、コピー画像の白地部分を同様に20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均濃度から前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。帯電電位の低下が大きくなるとカブリが発生する。
【0181】
◎:ベタ白画像濃度が0.005未満(良好)
○:ベタ白画像濃度が0.005以上0.01未満(実用上問題なし)
×:0.01以上(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、環境条件の厳しい高温高湿(30℃、80%RH)環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0182】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
その他評価条件
尚、上記Sitios7040を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0183】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器(負帯電)
帯電電位;約−700V
露光条件
露光部電位を約−100Vにする露光量に設定。
【0184】
露光ビーム:レーザは780nmの半導体レーザを使用
現像条件
現像剤は、フェライトをコアとして絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアとスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラックの着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる重合法で作製した体積平均粒径5.3μmの着色粒子に、シリカ、酸化チタンを外添したトナーの現像剤を使用した。
【0185】
転写条件
転写極;コロナ帯電方式(正帯電)
分離条件
分離爪ユニットの分離手段を用いた
クリーニング条件
クリーニング部に硬度70°、反発弾性65%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニングブレードをカウンター方向に線圧18(g/cm)となるように重り荷重方式で当接した。
【0186】
【表2】
【0187】
次に表2から、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有する本発明の感光体1〜3、5〜13は画像むら、黒ポチ、画像濃度、カブリ、鮮鋭性等の評価が、実用性有り以上の性能を示しているのに対し、電荷発生物質がY−TiOPcの感光体4は画像むらの評価が劣り、又、中間層のバインダー樹脂が上記範囲外の感光体14、15は黒ポチ、画像むらの評価が劣り、鮮鋭性を低下させている。
【0188】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の構成を有する有機感光体を用いることにより、鮮鋭性が著しく改善され、且つ環境メモリによる画像むらや黒ポチ等の画像欠陥も発生しない良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CG−1のX線回折スペクトルの図である。
【図2】CG−2のX線回折スペクトルの図である。
【図3】CG−3のX線回折スペクトルの図である。
【図4】感光体1の電荷発生層のX線回折スペクトルを示す図である。
【図5】Y型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの図である。
【図6】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを用いた画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体はSe、ヒ素、ヒ素/Se合金、CdS、ZnO等の無機感光体から、公害や製造の容易性等の利点に優れる有機感光体(以下、単に感光体ともいう)に主体が移り、様々な材料を用いた有機感光体が開発されている。
【0003】
近年では電荷発生と電荷輸送の機能を異なる材料に担当させた機能分離型の感光体が主流となっており、なかでも電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層型の有機感光体が広く用いられている。
【0004】
また、電子写真プロセスに目を向けると潜像画像形成方式は、ハロゲンランプを光源とするアナログ画像形成とLEDやレーザを光源とするデジタル方式の画像形成に大別される。最近はパソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さからデジタル方式の潜像画像形成方式が急激に主流となりつつある。
【0005】
デジタル方式の画像形成では、デジタル電気信号に変換された画像情報を感光体上に静電潜像として書き込む際の光源としてレーザ、特に半導体レーザやLEDが用いられている。
【0006】
これらのレーザ光やLED光の発振波長は、780nmや660nmの近赤外光やそれに近い長波長光である。デジタル的に画像形成を行う際に使用される有機感光体にとって、まず第一に要求される特性としてはこれらの長波長光に対して高感度であることであり、これまで多種多様な材料についてそのような特性を有するか否かの検討がなされてきている。その中でもフタロシアニン顔料は、合成が比較的簡単である上、長波長光に対して高感度を示すものが多い点で、フタロシアニン顔料を用いた有機感光体が、幅広く検討され、実用化されている。
【0007】
なかでも、粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料(以後、単にY型チタニルフタロシアニン顔料とも云う)は高感度な素材として知られ学会報告もされている(非特許文献1)。更に、藤巻はこのY型チタニルフタロシアニン顔料が乾燥した不活性ガス中での脱水処理によっての光量子効率が低下することを見いだした。しかしながら、この光量子効率の低下は常温常湿度環境に放置して水を再吸収させると再び量子効率が上がることから、Y型チタニルフタロシアニン顔料は水を含んだ結晶構造を有し、この水分子が光によって生成した励起子のホールとエレクトロンとの解離を促進し、これが高い光量子効率を示す原因の一つと推測している。(非特許文献2)
このような素材を電荷発生物質として用いた場合、環境、特に湿度変動により、帯電特性、感度特性が変化し、環境メモリによる画像むら(高温高湿の環境から低温低湿の環境に変わったとき、帯状の画像むらが発生する現象)や黒ポチが発生しやすい。
【0008】
これらの問題を解決するため、チタニルフタロシアニンのアルカンジオール付加体を電荷発生物質として用いた有機感光体が提案されている(特許文献1、2)。このアルカンジオール付加体は前記Y型チタニルフタロシアニン顔料に比し、感度等の温湿度依存性が改善されているが、該電荷発生物質の採用だけでは、尚環境メモリによる画像むら等が完全に解決されない。また本アルカンジオール付加体は高温高湿等の厳しい環境下での耐黒ポチ性や長期の感光体使用時における耐久性に劣り、耐久末期では画像濃度が十分得られない、画像カブリが発生するなどの点で問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−273775号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平8−82949号公報
【0011】
【非特許文献1】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0012】
【非特許文献2】
Y.Fujimaki:IS&T’s 7th International Congress on Advance in Nonimpact Printing Technologies,Paper Summaries,269(1991)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、チタニルフタロシアニン顔料等を用いた場合の帯電特性、感度特性の温湿度変化を改良し、カブリが発生せず、且つ環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生がない有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いたプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを用いた画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記したような課題の原因となっている電荷発生物質及び有機感光体全体について検討を加えた結果、有機感光体の電荷発生物質にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体(以下、単にチタニルフタロシアニン付加体とも云う)を用いると共に、中間層に導電性基体からのフリーキャリアの注入を、温湿度の変化があってもブロックできるバインダー樹脂を用いることにより、感光体の帯電特性、感度特性の耐湿度依存性を改善し、カブリが発生せず、環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生も防止できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は以下のような構成を有することにより、達成される。
【0015】
1.導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
【0016】
2.導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
【0017】
3.前記チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体がCu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に回折ピークを示す結晶構造を有することを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0018】
4.前記バインダー樹脂が前記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミド樹脂であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0019】
5.前記Y1は前記化学構造を有することを特徴とする前記4に記載の有機感光体。
【0020】
6.前記中間層がN型半導性粒子を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0021】
7.前記N型半導性粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする前記6に記載の有機感光体。
【0022】
8.前記酸化チタン粒子が複数回の表面処理を施されており、且つ最終表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理であることを特徴とする前記7に記載の有機感光体。
【0023】
9.前記N型半導性粒子の数平均一次粒径が10nm以上400nm以下であることを特徴とする前記7又は8に記載の有機感光体。
【0024】
10.導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体と該有機感光体上を一様に帯電する帯電手段、帯電された有機感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段、転写後の該有機感光体上の電荷を除去する除電手段及び転写後の該有機感光体上の残留するトナーを除去するクリーニング手段の少なくとも1つの手段とが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0025】
11.前記10に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
【0026】
12.前記11に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる有機感光体は導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層しており、該電荷発生層が、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g且つ吸水率が5%以下の樹脂をバインダー樹脂として含有することを特徴とする。
【0028】
本発明の有機感光体が上記の構成を有することにより、感光体の帯電特性、感度特性の耐湿度依存性を改善し、カブリが発生せず、環境メモリによる画像むら、黒ポチ等の画像欠陥の発生も防止できる。
【0029】
本発明の有機感光体に使用する電荷発生物質としてはチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有することを特徴とする。本発明中、チタニルフタロシアニン化合物とは、一般式(2)で示すフタロシアニン残基中心にチタニル(O=Ti)基を持つものである。
【0030】
【化3】
【0031】
一般式(2)中、X1〜X4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0032】
本発明の2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオール(以下、単に隣接ジオールとも云う)とは、脂肪族炭化水素の隣り合う炭素原子に一つずつ水酸基があるもので、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリンなどを挙げることができる。好ましくは一般式(3)、(4)で示されるような2つの隣接する各炭素原子が不斉炭素で構成される光学活性を有するジオールを挙げることができる。
【0033】
【化4】
【0034】
(一般式(3)及び一般式(4)中、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立にアルキル基を表す。)
上記R5、R6、R7、R8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基が好ましい。即ち、R5〜R8のアルキル基が比較的炭素数が少ないアルキル基である方がチタニルフタロシアニンとの付加体を形成しやすい。中でも、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくとも1つを用いたチタニルフタロシアニン付加体が最も好ましい。チタニルフタロシアニン付加体の構造は、例えば(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの付加体で表すと、下記で示されるようなチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの脱水縮合により生成する付加体化合物と推定される。
【0035】
【化5】
【0036】
本発明のチタニルフタロシアニン付加体は上記隣接ジオールとチタニルフタロシアニンを各種溶媒中で室温あるいは加熱下に反応することで合成することができる。原料であるチタニルフタロシアニンはフタロニトリルと四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリルと尿素とアルコキシチタンから得る合成法等通常知られている何れの合成法も用いることが出来るが、特にはジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得られる塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが好ましい。またチタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理等の方法により無定形化してから隣接ジオールと反応させるものが好ましい。本発明のチタニルフタロシアニン付加体を得るには、隣接ジオールをチタニルフタロシアニンに対して0.5〜2.0モル当量を加え、反応させることが好ましく、必ずしもチタニルフタロシアニン化合物1.0モル当量に対して1.0モル当量以上の隣接ジオールを必要としない。これは本発明のチタニルフタロシアニン付加体が隣接ジオール付加チタニルフタロシアニンと隣接ジオール付加のないチタニルフタロシアニンとの混晶状態でも電荷発生物質として高感度で高性能な状態を保つことができるからと考えられる。
【0037】
チタニルフタロシアニンとジオールとの反応は、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲であることがより好ましい。
【0038】
反応溶剤としては各種有機溶媒中を使用することができ、例えば、トルエン、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン等の芳香族系有機溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ等のエーテル系有機溶剤、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン系極性有機溶剤、トリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤、ブタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール系有機溶剤等を挙げることができる。
【0039】
結晶形
また本発明のチタニルフタロシアニン付加体としては、Cu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピーク(バックグランドと明確に区別できるピーク)を有する結晶構造を有することが好ましい。その他にも9.5°、24.7°、25.1°、26.5°等に明確なピークを有してもよい。ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピークを有する結晶構造を有する本発明のチタニルフタロシアニン付加体は良好な感度特性と環境メモリによる画像むらや黒ポチ等の画像欠陥の少ない特性を併せて有する。
【0040】
本発明に用いる有機感光体の中間層のバインダー樹脂に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を用いることにより、導電性支持体からのフリーキャリア(導電性支持体から進入してくる電子やホール)のブロッキング性が向上し、感光体に高電界強度を与える帯電電位を負荷しても、黒ポチやカブリの発生を防止し、且つ現像性を増大させて、高階調で鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0041】
即ち、中間層のバインダー樹脂として上記のような融解熱と吸水率を有する樹脂を用いることにより、温湿度の外部環境が変化しても、感光体の半導体としての特性が変化しにくく、前記のような改良効果が顕著に現れる。即ち、融解熱が40J/gより大きくなると、バインダーの溶媒溶解性が低下し、中間層中で、微細なバインダー樹脂の凝集物が発生し、ミクロな物性の均一性が不足し、黒ポチの発生や、残留電位の上昇をもたらす。又後記するN型半導性粒子等の分散の均一性が十分でなくなり、フリーキャリアのブロッキング性が低下しやすい。該融解熱は0〜30J/gがより好ましく、0〜20J/gが最も好ましい。一方、前記吸水率が5質量%を超えると、中間層中の含水率が上昇し、黒ポチ等を発生させ、又残留電位の上昇、カブリの発生等の電子写真特性を低下させる。該吸水率は3質量%以下がより好ましい。
【0042】
上記樹脂の融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetory)にて測定する。但し、DSCの測定値と同じ測定値が得られれば、DSC測定法にこだわらない。該融解熱はDSC昇温時の吸熱ピーク面積から求める。
【0043】
一方、樹脂の吸水率は水中浸漬法による質量変化又はカールフィッシャー法により求める。
【0044】
本発明の中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。電子写真感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、前記した6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これらの樹脂は吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿下の帯電特性等が変化しやすく、画像むらや黒ポチが発生しやすい。
【0045】
本発明のアルコール可溶性ポリアミド樹脂には、上記のような欠点を改良し、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を与えることにより、従来のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の欠点を改良し、外部環境が変化しても、又電子写真感光体の長時間連続使用を行っても、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0046】
以下、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂について説明する。
【0047】
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の40〜100モル%含有するポリアミド樹脂が好ましい。
【0048】
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド結合単位を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
【0049】
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(5)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(6)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。
【0050】
【化6】
【0051】
一般式(5)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
【0052】
【化7】
【0053】
一般式(6)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
【0054】
前記のごとく、炭素数が7〜30の繰り返し単位構造は置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有する化学構造等が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含む基を有する化学構造が好ましい。
【0055】
本発明のポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
【0056】
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ、画像むら等が発生しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
【0057】
又、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
【0058】
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
【0059】
【化8】
【0060】
一般式(1)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
【0061】
上記一般式(1)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、画像むら、黒ポチ改善効果が著しい。
【0062】
【化9】
【0063】
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
【0064】
本発明のポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】
上記具体例中の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
【0069】
上記具体例の中でも、一般式(1)の繰り返し単位構造を有するN−1〜N−4のポリアミド樹脂が特に好ましい。
【0070】
又、本発明のポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0071】
本発明のポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
【0072】
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
【0073】
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0074】
尚、本発明の中間層を構成するバインダー樹脂(融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂)は、少しでも中間層の樹脂として用いれば効果があるが、顕著な効果を得るためには、中間層のバインダー樹脂の主たる樹脂として用いることが必要である。
【0075】
一方、本発明の中間層には前記したバインダー樹脂中にN型半導性粒子を分散、含有させることが好ましい。
【0076】
一般に中間層に無機粒子を含有させ、画像欠陥の1つであるレーザ光によるモアレを低減したり、中間層のフリーキャリア(導電性支持体等から進入してくる電子やホール)のブロッキング性を高めることは、公知のことであるが、このような無機粒子を中間層に含有させた場合、無機粒子が感光体の湿度を高めやすく、しばしば温湿度環境依存性が大きくなりやすい。本発明では中間層のバインダー樹脂として前記した融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を用い、且つ電荷発生物質に前記したチタニルフタロシアニン付加体を用いることにより、外部の温湿度変化に対しても安定した特性を有する有機感光体を得ることができ、その結果、感光体に高電界強度を付与する帯電電位を負荷しても、安定した電子写真特性(帯電電位や感度等)を維持し、良好なブロッキング性を示す。
【0077】
ここで、N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0078】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0079】
本発明に用いられるN型半導性粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のN型半導性粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のN型半導性粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲のN型半導性粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0080】
前記N型半導性微粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値する。
【0081】
本発明に用いられるN型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0082】
本発明のN型半導性粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0083】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0084】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0085】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものが特に好ましい。
【0086】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にシリカ処理を最初に行い、次いでアルミナ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
【0087】
前記酸化チタン等のN型半導性粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
【0088】
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0089】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導性粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0090】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0091】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液をセラミックビーズを用いたメディア分散を行うことが好ましい。次にメディア分散後の分散液を濾過後、加熱処理をしながら、減圧乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0092】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0093】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0094】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(7)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0095】
一般式(7)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(7)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0096】
また、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0097】
また、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0098】
nが0の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0099】
nが1の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
即ち、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0100】
nが2の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
ジメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0101】
nが3の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
トリメチルクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルメトキシジメチルシラン、メトキシ−3−メルカプトプロピルメチルメチルシラン等が挙げられる。
【0102】
また、一般式(7)で表される有機ケイ素化合物は、好ましくは下記一般式(8)で示される有機ケイ素化合物が用いられる。
【0103】
一般式(8)
R−Si−X3
式中、Rはアルキル基、アリール基、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基を表す。
【0104】
一般式(8)で表される有機ケイ素化合物においては、更に好ましくはRが炭素数4から8までのアルキル基である有機ケイ素化合物が好ましく、具体的な好ましい化合物例としては、トリメトキシn−ブチルシラン、トリメトキシi−ブチルシラン、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシランが挙げられる。
【0105】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0106】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0107】
本発明の酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0108】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0109】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0110】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0111】
前記ポリアミド樹脂中に分散されるN型半導性粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0112】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層である。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108〜1015Ω・cmである。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0113】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、 80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0114】
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の表面処理N型半導性粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成されるが、分散溶媒としては前記したポリアミド樹脂の溶媒と同様なものが適宜用いられる。
【0115】
又、上記N型半導性微粒子以外に、金属酸化物の微粒子も好ましく用いられる。金属酸化物の微粒子としては、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫などの酸化物などが挙げられ、これらのうち1種を、又は、必要に応じて2種以上の金属酸化物を用いることが好ましい。又、これらの金属酸化物は、例えばチタンカップリング剤、シランカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等の疎水化処理剤により疎水化されたものが好ましい。
【0116】
前記チタンカップリング剤としては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどがある。更に、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0117】
又、脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、ヘプタデカン酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
【0118】
上記のような微粒子を本発明のポリアミド樹脂中に分散、含有させることにより、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性、更に黒ポチ、画像むら等の改善効果を増大させることができる。
【0119】
次に、中間層以外の本発明に好ましく用いられる感光体の構成について記載する。
【0120】
本発明の感光体としては本発明の目的からは有機電子写真感光体(有機感光体とも云う)に本発明の中間層を適用することが好ましい。
【0121】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0122】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有しているので電荷輸送層の代わりに用いてもよい。
【0123】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0124】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0125】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0126】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0127】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設ける。本発明の中間層の膜厚は0.2〜10μmが好ましく、0.5〜5μmが最も好ましい。
【0128】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとる。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。
【0129】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0130】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のチタニルフタロシアニン付加体を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0131】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0132】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0133】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0134】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0135】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0136】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0137】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0138】
本発明の有機感光体の膜厚(μm)とは、導電性支持体上に形成された、上記中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の膜厚を合計した乾燥膜厚を云う。但し、支持体上に接触して導電層(体積抵抗が1×105Ω・cm以下)が設けられている場合は、導電層の上に積層された乾燥膜厚の合計を云う。
【0139】
感光層、中間層、表面層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0140】
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
【0141】
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0142】
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成方法及び画像形成装置の説明をする。
【0143】
図6は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
図6に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布した本発明の感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0144】
感光体への一様帯電の後、像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0145】
その静電潜像は次いで現像工程で現像器54を用いて現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0146】
現像剤は、例えばフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、スチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は現像スリーブ541に直流バイアス電圧、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0147】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0148】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写器)58が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して転写される。
【0149】
次いで記録紙Pは転写ローラーとほぼ同時に圧接状態とされた分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0150】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0151】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0152】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0153】
合成例1
チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロルベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱する。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得る。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5Lに注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得る。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥してチタニルフタロシアニン−アモルファス品24.8g(収率86%)を得た。
【0154】
合成例2
チタニルフタロシアニン付加体CG−1の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール1.8g(0.6モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−1)19.8gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図1に示す。
【0155】
合成例3
チタニルフタロシアニン付加体CG−2の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール3.7g(1.2モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−2)20.7gを得た。CG−2のX線回折スペクトルを図2に示す。
【0156】
合成例4
チタニルフタロシアニン付加体CG−3の作製((2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体)
オルトジクロロベンゼン200mlと(2S,3S)−2,3−ブタンジオール2.1g(0.7モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いで6時間加熱還流させ反応を進行させる。放冷後、(2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−3)20.0gを得た。CG−3のX線回折スペクトルを図3に示す。
【0157】
実施例1
感光体1の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚1.7μmの中間層1を形成した。
【0158】
中間層(UCL)塗布液
バインダー樹脂(例示ポリアミドN−1) 1部
微粒子:酸化チタン(数平均一次粒径:35nm、表面処理は、シリカ処理、
アルミナ処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3部
溶媒:イソプロピルアルコール 10部
ポリアミドN−1をイソプロピルアルコールで加温溶解後、定格濾過精度0.2μmのフィルターにて濾過後、酸化チタンSMT500SASを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層分散液を作製した。該分散液を同じ混合溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製プロファイルスター絶対濾過精度:1.5μm、圧力;100kPa以下)した。
【0159】
〈電荷発生層(CGL)〉
電荷発生物質:合成例2のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(v/v) 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0160】
〈電荷輸送層(CTL)〉
電荷輸送剤(〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕−ジ−p−トリ
ルアミン) 75部
ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)100部
テトラヒドロフラン 600部
トルエン 150部
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚23μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0161】
尚、上記電荷発生層を透明ペットベース上に塗布乾燥した試料を用いて、X線回折スペクトルを測定したデータを図4に示す。図4のX線回折スペクトルは電荷発生層のバインダー(ポリビニルブチラール樹脂)の影響を受け、図1のCG−1の顔料のX線回折スペクトルに比し、0.2°〜0.3°低角度側にシフトしている。
【0162】
感光体2〜15の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液のポリアミド樹脂、微粒子、溶剤及び中間層の膜厚、電荷発生層の電荷発生物質、電荷輸送層の電荷輸送物質及び膜厚を表1のように変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、それぞれ感光体2〜15を作製した。
【0163】
上記各感光体の中間層の内容については、表1に記載した。
尚、表1中、1次処理欄に記載のものは1次処理時の酸化チタン粒子表面に析出した物質であり、2次処理欄に記載のものは2次処理時に用いた物質を示す。
【0164】
又、表1中の融解熱、吸水率の測定は以下のようにして行った。
融解熱の測定条件
測定機:島津製作所「島津熱流速示差走査熱量計DSC−50」を用いて測定した。
【0165】
測定条件:測定試料を上記測定機に設定し、室温(24℃)から測定開始、200℃迄5℃/分で昇温し、次いで室温まで5℃/分で冷却する。これを2回連続で行い、2回めの昇温時の融解による吸熱ピーク面積より融解熱を算出する。
【0166】
吸水率の測定条件
測定対象の試料を70〜80℃で3〜4時間で十分に乾燥させ、その質量を精密に秤量する。次に、20℃に維持したイオン交換水に試料を投入し、一定時間経過後に引き上げ試料表面の水を清潔な布で拭き取り、質量を測定する。以上の操作を質量増が飽和するまで繰り返し、その結果得られた試料の増加質量(増加分)を初期の質量で徐した値を吸水率とした。
【0167】
【表1】
【0168】
表中、*Aはシリカ・アルミナ、*Bはアルミナ・ジルコニアの1次処理
*Cはイソプロピルアルコール
*Dはイソプロピルアルコール/ブタノール(6/1)
*Eはエタノール/1−プロパノール(1/5)
*Fはメタノール
*Gは炭素数が7以上の単位構造の比率(モル%)を示す。
【0169】
炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。又、N−12はメトキシメチル化ナイロン6(アシド結合間の炭素数は5であり、メトキシメチル化度は25%)、N−13は下記構造のポリアミドを示す。
【0170】
【化13】
【0171】
上記N−13構造の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
【0172】
又、表中のY−TiOPcはX線回折スペクトルで、27.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(表1ではY−TiOPc)であり、下記合成例により合成した顔料である。
【0173】
Y型チタニルフタロシアニン顔料の合成例
ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得る。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロルベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニン顔料(Y−TiOPc:X線回折スペクトルは図5)を得た。
【0174】
尚、表中の中間層等の膜厚は、各層塗布乾燥後、均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値から各層の膜厚を算出した(電荷輸送層の場合は全層から中間層、電荷発生層の膜厚を差し引く)。膜厚測定は光検出方式の膜厚測定器MCPD−1000(瞬間マルチ測光検出器:大塚電子(株))を用いて行った。
【0175】
《評価》
上記感光体を図6の構造を基本的に有するコニカ製Sitios7040デジタル複写機(スコロトロン帯電器、半導体レーザ像露光器、反転現像手段を有する)に設定し、複写実験を行った。
【0176】
上記デジタル複写機に各感光体を取り付け、各々の感光体を評価した。評価項目、評価基準を下記に、表2に結果を示す。
【0177】
(黒ポチ)
高温高湿(30℃、80%RH)環境で、A4紙、5万枚の画素率7%の文字画像の複写を行い、スタート時及び1万枚コピー毎に白画像の複写を行い、黒ポチ等の画像欠陥の有無を評価した。
【0178】
黒ポチについては、周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチが、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0179】
◎:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
(画像むら)
上記Sitios7040複写機を高温高湿下(HH:30℃、80%RH)に24hr放置後、低湿低温下(LL:20RH%、10℃)に置き、30分後、コピーした。文字画像とハーフトーン画像のオリジナル画像をコピーし、発生した残像や黒帯状の画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.05以下(良好)
○:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
画像濃度、カブリの評価
上記黒ポチ評価時の高温高湿(30℃、80%RH)環境で、A4紙、5万枚の画素率7%の文字画像の複写後、白画像及び黒ベタ画像の画像濃度を測定し、画像濃度及びカブリを評価した。
【0180】
(画像濃度)
黒ベタ画像の濃度をマクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した
◎:黒ベタ部濃度が1.3以上(良好)
○:黒ベタ部濃度が1.0〜1.3未満(実用上問題なし)
△:黒ベタ部濃度が0.7〜1.0未満(実用性の再検討要)
×:0.7未満(実用上問題あり)
(カブリ)
マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、印字されていない複写用紙(白紙)の濃度を20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均値を白紙濃度とする。次に、コピー画像の白地部分を同様に20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均濃度から前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。帯電電位の低下が大きくなるとカブリが発生する。
【0181】
◎:ベタ白画像濃度が0.005未満(良好)
○:ベタ白画像濃度が0.005以上0.01未満(実用上問題なし)
×:0.01以上(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、環境条件の厳しい高温高湿(30℃、80%RH)環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0182】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
その他評価条件
尚、上記Sitios7040を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0183】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器(負帯電)
帯電電位;約−700V
露光条件
露光部電位を約−100Vにする露光量に設定。
【0184】
露光ビーム:レーザは780nmの半導体レーザを使用
現像条件
現像剤は、フェライトをコアとして絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアとスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラックの着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる重合法で作製した体積平均粒径5.3μmの着色粒子に、シリカ、酸化チタンを外添したトナーの現像剤を使用した。
【0185】
転写条件
転写極;コロナ帯電方式(正帯電)
分離条件
分離爪ユニットの分離手段を用いた
クリーニング条件
クリーニング部に硬度70°、反発弾性65%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニングブレードをカウンター方向に線圧18(g/cm)となるように重り荷重方式で当接した。
【0186】
【表2】
【0187】
次に表2から、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有する本発明の感光体1〜3、5〜13は画像むら、黒ポチ、画像濃度、カブリ、鮮鋭性等の評価が、実用性有り以上の性能を示しているのに対し、電荷発生物質がY−TiOPcの感光体4は画像むらの評価が劣り、又、中間層のバインダー樹脂が上記範囲外の感光体14、15は黒ポチ、画像むらの評価が劣り、鮮鋭性を低下させている。
【0188】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の構成を有する有機感光体を用いることにより、鮮鋭性が著しく改善され、且つ環境メモリによる画像むらや黒ポチ等の画像欠陥も発生しない良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CG−1のX線回折スペクトルの図である。
【図2】CG−2のX線回折スペクトルの図である。
【図3】CG−3のX線回折スペクトルの図である。
【図4】感光体1の電荷発生層のX線回折スペクトルを示す図である。
【図5】Y型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの図である。
【図6】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
Claims (12)
- 導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体がCu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に回折ピークを示す結晶構造を有することを特徴とする請求項2に記載の有機感光体。
- 前記中間層がN型半導性粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
- 前記N型半導性粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項6に記載の有機感光体。
- 前記酸化チタン粒子が複数回の表面処理を施されており、且つ最終表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理であることを特徴とする請求項7に記載の有機感光体。
- 前記N型半導性粒子の数平均一次粒径が10nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の有機感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層を有し、該電荷発生層に、電荷発生物質として少なくともチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有し、且つ中間層が、融解熱が0〜40J/g、吸水率が5%以下のバインダー樹脂を含有することを特徴とする有機感光体と該有機感光体上を一様に帯電する帯電手段、帯電された有機感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段、転写後の該有機感光体上の電荷を除去する除電手段及び転写後の該有機感光体上の残留するトナーを除去するクリーニング手段の少なくとも1つの手段とが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項10に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項11に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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