JP4075587B2 - 有機感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

有機感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体、及び該有機感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体(以下単に感光体とも云う)はSe、ヒ素、ヒ素/Se合金、CdS、ZnO等の無機感光体から、公害や製造の容易性等の利点に優れる有機感光体に主体が移り、様々な材料を用いた有機感光体が開発されている。
【0003】
近年では電荷発生と電荷輸送の機能を異なる材料に担当させた機能分離型の感光体が主流となっており、なかでも電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層型の有機感光体が広く用いられている。
【0004】
また、電子写真プロセスに目を向けると潜像画像形成方式は、ハロゲンランプを光源とするアナログ画像形成とLEDやレーザを光源とするデジタル方式の画像形成に大別される。最近はパソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さからデジタル方式の潜像画像形成方式が急激に主流となりつつある。
【0005】
デジタル方式の画像形成では、デジタル電気信号に変換された画像情報を感光体上に静電潜像として書き込む際の光源としてレーザ、特に半導体レーザやLEDが用いられている。
【0006】
また、デジタル方式の書き込みでは露光ビーム径が小さいので書き込み速度が遅くなる。そのため、露光部分の現像方法として反転現像との組み合わせが主に用いられているが、この反転現像を用いた画像形成方法の特有の問題として、本来白地部分として画像形成されるべき箇所に、トナーが付着してカブリ発生させる現象、即ち、感光体の局部的な欠陥による黒ポチの発生が知られている。
【0007】
これらの問題を解決するため、有機感光体に中間層を用いる技術が開発されている。例えば、導電性支持体と感光層の間に中間層を設け、該中間層には酸化チタン粒子を樹脂中に分散した構成を有する電子写真感光体が知られている。又、表面処理を行った酸化チタンを含有させた中間層の技術も知られている。例えば酸化鉄、酸化タングステンで表面処理された酸化チタン(特許文献1)、アミノ基含有カップリング剤で表面処理された酸化チタン(特許文献2)、有機ケイ素化合物で表面処理された酸化チタン(特許文献3)、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された酸化チタン(特許文献4)、金属酸化物、或いは有機化合物で表面処理された樹枝状酸化チタン(特許文献5)を用いた中間層を有する有機感光体が提案されている。
【0008】
しかし、これらの技術を用いても高温高湿等の厳しい環境下では、尚、黒ポチの発生防止が十分でなく、或いは、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇、露光部電位の上昇が起こり、画像濃度が十分得られないといった問題が発生している。
【0009】
更に、導電性支持体から感光層への自由キャリアを防止するため中間層の絶縁性を高め、黒ポチを少なくしていくと、黒ポチとは反対の「白ヌケ」と云う画像欠陥が発生しやすいという問題が見出されている。この白ヌケは反転現像のハーフトーン或いは黒べた画像に現像されない点状或いは線状の画像欠陥をいうが、この現象は有機感光体上への潜像形成時に、像露光部で電荷が消失しない微小部分が発生するためと思われ、前記黒ポチと逆の現象と考えられる。このように有機感光体を用いた画像形成装置では白地に黒の黒ポチ、黒地又はハーフトーンに白の白ヌケといった相反する画像欠陥が発生し、この両方の画像欠陥を解決した有機感光体の開発が必要となってきている。
【0010】
本発明者等は上記黒ポチと白ヌケを同時に解決するためには、従来の中間層を中心とした検討では不十分であることを見出し本発明に至った。
【0011】
【特許文献1】
特開平4−303846号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平9−96916号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平9−258469号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平8−328283号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平11−344826号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、電位安定性の良好な、且つ黒ポチ、白ヌケ等の画像欠陥を改良した有機感光体を提供することであり、更に詳しくは黒ポチ、白ヌケ等の画像欠陥を発生させず、良好な画質の有機感光体、及び該有機感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は有機感光体を構成する中間層、感光層に検討を加えた結果、中間層を構成するバインダーに結晶性が小さく、吸水率が低い樹脂を用い、感光層中の電荷輸送物質に立体異性体混合物を用いることにより、本発明の課題が解決できることを見出した。即ち、本発明の目的は以下の構成を有する有機感光体を用いることにより達成される。
【0018】
1.導電性支持体上に中間層、感光層を有する有機感光体において、該中間層が融解熱0〜40J/gで、吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を含有し、該感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質の少なくとも1つが、前記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物で、且つ該立体異性体混合物中の最多異性体成分の含有率が40〜90質量%であることを特徴とする有機感光体。
【0019】
2.前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構造を有することを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0026】
.前記Ar1、Ar2の置換、無置換の芳香族基が前記一般式(7)であることを特徴とする前記1又は2に記載の有機感光体。
【0027】
4.前記融解熱0〜20J/gで、吸水率3.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
.前記中間層のポリアミド樹脂がアルコール可溶性ポリアミドであることを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0028】
.前記中間層がN型半導性微粒子を含有していることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0029】
.前記1〜のいずれか1項に記載の有機感光体を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0030】
.前記に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0031】
.導電性支持体上に中間層、電荷発生層と電荷輸送層の積層構造の感光層を有し、該中間層が融解熱0〜40J/gで、吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を含有し、該感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質の少なくとも1つが、前記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物で、且つ該立体異性体混合物中の最多異性体成分の含有率が40〜90質量%である電荷輸送物質を含有する有機感光体と帯電器、像露光器、現像器、転写器、クリーニング器の少なくとも1つを一体として有しており、画像形成装置に出し入れ可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0032】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機感光体(以下、単に感光体ともいう)は導電性支持体上に中間層、感光層を有する有機感光体において、該中間層が融解熱0〜40J/gで、吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を含有し、感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を有し、該電荷輸送物質の少なくとも1つが、前記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物で、且つ該立体異性体混合物中の最多異性体成分の含有率が40〜90質量%であることを特徴とする。
【0034】
即ち、中間層に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を用い、感光層又は電荷輸送層に用いる電荷輸送物質に前記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物で、電荷輸送性を有する電荷輸送物質を用いることにより、白ヌケや黒ポチ等の画像欠陥が防止され、且つ帯電性や感度等の電子写真特性が良好な有機感光体が得られる。そして、該立体異性体混合物の最多成分(最多異性体成分のこと)の含有率は40〜90質量%であることが必要である。最多成分の含有率が90質量%より大きいと、電荷輸送物質の分散性が劣化し、カブリの発生や画像濃度の低下の原因となり、鮮鋭性の低下を起こしやすい。一方、40質量%より小さいと、白ヌケの発生が増加したり、解像度が低下したり、電子写真特性の安定性も損なわれる。特に、前記最多成分の含有率は45〜80質量%が好ましい。
【0035】
上記のような効果は、中間層のバインダー樹脂に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を用いることにより、溶媒溶解性、感光体の帯電特性、感度特性の耐湿度依存性を改善し、且つ前記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物の電荷輸送物質を用いることにより、感光層、例えば電荷輸送層のバインダーと電荷輸送物質の相溶性が良好となり、導電性支持体と接する中間層及び表面層を形成する電荷輸送層の膜質及び電子写真特性が向上することに起因すると思われる。その結果カブリが発生せず、黒ポチや白ヌケ、環境メモリ等の画像欠陥の発生も防止することができる。
【0036】
即ち、前記中間層は、バインダー樹脂として上記のような融解熱と吸水率を有するポリアミド樹脂を用いることにより、温湿度の外部環境が変化しても、感光体の半導体としての特性が変化しにくく、前記のような改良効果が顕著に現れる。即ち、融解熱が40J/gより大きくなると、バインダーの溶媒溶解性が低下し、中間層中で、微細なバインダー樹脂の凝集物が発生し、ミクロな物性の均一性が不足し、黒ポチの発生や、残留電位の上昇をもたらし、又電荷発生物質の分散の均一性が十分でなくなり、環境メモリを発生しやすくなる。該融解熱は0〜30J/gがより好ましく、0〜20J/gが最も好ましい。一方、前記吸水率が5質量%を超えると、中間層中の含水率が上昇し、黒ポチや環境メモリを発生させ、又残留電位の上昇、カブリの発生等の電子写真特性を低下させる。該吸水率は3.5質量%がより好ましい。
【0037】
上記樹脂の融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetory)にて測定する。但し、DSCの測定値と同じ測定値が得られれば、DSC測定法にこだわらない。該融解熱はDSC昇温時の吸熱ピーク面積から求める。
【0038】
一方、樹脂の吸水率は水中浸漬法による質量変化又はカールフィッシャー法により求める。
【0039】
本発明の中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。電子写真感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これらの樹脂は吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿下の帯電特性等が変化しやすく、環境メモリ(高温高湿の環境から低温低湿の環境に変わったとき、帯状の画像欠陥が発生する現象)や黒ポチが発生しやすい。
【0040】
本発明のアルコール可溶性ポリアミド樹脂には、上記のような欠点を改良し、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を与えることにより、従来のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の欠点を改良し、外部環境が変化しても、又電子写真感光体の長時間連続使用を行っても、良好な電子写真画像を得ることができる。
【0041】
以下、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂について説明する。
【0042】
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の40〜100モル%含有するポリアミド樹脂が好ましい。
【0043】
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド結合単位を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
【0044】
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(8)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(9)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。
【0045】
【化8】
Figure 0004075587
【0046】
一般式(8)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
【0047】
【化9】
Figure 0004075587
【0048】
一般式(9)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
【0049】
前記のごとく、炭素数が7〜30の繰り返し単位構造は置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有する化学構造等が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含む基を有する化学構造が好ましい。
【0050】
本発明のポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
【0051】
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ、環境メモリ等が発生しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
【0052】
又、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
【0053】
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(10)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
【0054】
【化10】
Figure 0004075587
【0055】
一般式(10)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
【0056】
上記一般式(1)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、環境メモリ、黒ポチ改善効果が著しい。
【0057】
【化11】
Figure 0004075587
【0058】
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
【0059】
本発明のポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
【0060】
【化12】
Figure 0004075587
【0061】
【化13】
Figure 0004075587
【0062】
【化14】
Figure 0004075587
【0063】
上記具体例中の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
【0064】
上記具体例の中でも、一般式(1)の繰り返し単位構造を有するN−1〜N−4のポリアミド樹脂が特に好ましい。
【0065】
又、本発明のポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0066】
本発明のポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
【0067】
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
【0068】
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0069】
又、本発明の中間層には前記したポリアミド樹脂中に一次粒子径が10〜400nmの微粒子を分散、含有させることが好ましい。
【0070】
上記数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0071】
このような微粒子を中間層に含有させると画像欠陥の1つであるレーザ光によるモアレを低減したり、中間層のフリーキャリア(導電性支持体等から進入してくる電子やホール)のブロッキング性を高めることは、公知のことであるが、このような微粒子を中間層に含有させた場合、微粒子が湿度を高めやすく、しばしば温湿度環境依存性が大きくなりやすい。本発明では中間層のバインダー樹脂として前記した融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を用いることにより、このような微粒子を含有させた中間層を形成しても、外部の温湿度変化に対しても安定した特性を有する中間層を得ることができ、その結果感光体の電子写真特性が安定し、外部の温湿度変化に対しても安定した特性を有する感光体を得ることができる。
【0072】
このような微粒子としては、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;珪酸カルシウム、珪酸マグネシウムなどの珪酸塩;チッ化ホウ素、チッ化チタンなどのチッ化物;炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウムなどの炭化物;ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタンなどのホウ化物などが挙げられるが、本発明の微粒子としては下記に記すN型半導性微粒子が好ましい。
【0073】
N型半導性粒子とは、導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質をもつことから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0074】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0075】
本発明に用いられるN型半導性粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のN型半導性粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のN型半導性粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲のN型半導性粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0076】
前記N型半導性微粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値する。
【0077】
本発明に用いられるN型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0078】
本発明のN型半導性粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0079】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0080】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0081】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものが特に好ましい。
【0082】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にシリカ処理を最初に行い、次いでアルミナ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
【0083】
前記酸化チタン等のN型半導性粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
【0084】
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0085】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導性粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0086】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0087】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液をセラミックビーズを用いたメディア分散を行うことが好ましい。次にメディア分散後の分散液を濾過後、加熱処理をしながら、減圧乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0088】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0089】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0090】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(11)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0091】
一般式(11)
(R)n−Si−(X)4-n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(11)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0092】
また、一般式(11)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0093】
また、一般式(11)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(11)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0094】
nが0の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0095】
nが1の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
即ち、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0096】
nが2の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
ジメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0097】
nが3の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
トリメチルクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルメトキシジメチルシラン、メトキシ−3−メルカプトプロピルメチルメチルシラン等が挙げられる。
【0098】
また、一般式(11)で表される有機ケイ素化合物は、好ましくは下記一般式(12)で示される有機ケイ素化合物が用いられる。
【0099】
一般式(12)
R−Si−X3
式中、Rはアルキル基、アリール基、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基を表す。
【0100】
一般式(12)で表される有機ケイ素化合物においては、更に好ましくはRが炭素数4から8までのアルキル基である有機ケイ素化合物が好ましく、具体的な好ましい化合物例としては、トリメトキシn−ブチルシラン、トリメトキシi−ブチルシラン、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシランが挙げられる。
【0101】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0102】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0103】
本発明の酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0104】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0105】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0106】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0107】
前記ポリアミド樹脂中に分散されるN型半導性粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0108】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層である。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108〜1015Ω・cmである。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0109】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、 80±5RH%
体積抵抗が1×108Ω・cm未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1×1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0110】
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の表面処理N型半導性粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成されるが、分散溶媒としては前記したポリアミド樹脂の溶媒と同様なものが適宜用いられる。
【0111】
又、上記N型半導性微粒子以外に、金属酸化物の微粒子も好ましく用いられる。金属酸化物の微粒子としては、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫などの酸化物などが挙げられ、これらのうち1種を、又は、必要に応じて2種以上の金属酸化物を用いることが好ましい。又、これらの金属酸化物は、例えばチタンカップリング剤、シランカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等の疎水化処理剤により疎水化されたものが好ましい。
【0112】
前記チタンカップリング剤としては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどがある。更に、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0113】
又、脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、ヘプタデカン酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
【0114】
上記のような微粒子を本発明のポリアミド樹脂中に分散、含有させることにより、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性、更に黒ポチ、環境メモリ等の改善効果を増大させることができる。
【0115】
本発明のビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物とはアニリンの窒素原子に同一化学構造のアリールエテニルフェニル基を2個有する化合物群を云うが、好ましくは前記一般式(1)で示される化合物であり、好ましくは一般式(2)〜一般式(6)のように、アニリン基のオルト或いはパラ位にアルキル基又はアルコキシ基を有するものが好ましい。以下に、本発明の好ましいビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の例を挙げるが、本発明は下記の化合物例に限定されない。又、これらの化合物はいずれも立体異性体構造を持つことができる。
【0116】
【化15】
Figure 0004075587
【0117】
【化16】
Figure 0004075587
【0118】
【化17】
Figure 0004075587
【0119】
【化18】
Figure 0004075587
【0120】
【化19】
Figure 0004075587
【0121】
【化20】
Figure 0004075587
【0122】
【化21】
Figure 0004075587
【0123】
【化22】
Figure 0004075587
【0124】
【化23】
Figure 0004075587
【0125】
【化24】
Figure 0004075587
【0126】
【化25】
Figure 0004075587
【0127】
又、立体異性体構造を有する電荷輸送物質の分子量は500以上、1500以下が好ましい。このような比較的高分子量の電荷輸送物質を用いることにより、電荷輸送層の膜質の向上を図ることができ、前記した本発明の効果をより顕著にすることができる。
【0128】
立体異性体混合物の電荷輸送物質とは同一の化学構造式を有する電荷輸送物質の化合物がその中の原子又は原子団の立体配置を異にすることによって起こる異性構造を持つものを云う。
【0129】
次に、上記のような電荷輸送物質を用いた有機感光体の層構成について記載する。
【0130】
本発明の有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0131】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0132】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0133】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0134】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0135】
中間層
中間層としては、前記した本発明の中間層を導電性支持体と感光層の間に、設ける。
【0136】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0137】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0138】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0139】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0140】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)として立体異性体混合物を用い、且つCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0141】
電荷輸送物質(CTM)としては前記した立体異性体混合物の電荷輸送物質の他に公知の電荷輸送物質を併用して用いることもできる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを併用して、用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0142】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0143】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。又電荷輸送層が表面層となる感光体の場合は、機械的摩耗に強いポリカーボネートが好ましく、このようなポリカーボネートとしては平均分子量が40,000〜25,000のポリカーボネートが好ましい。ここで平均分子量は数平均分子量、重量平均分子量、及び粘度平均分子量のいずれのものでもよい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0144】
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
【0145】
【化26】
Figure 0004075587
【0146】
【化27】
Figure 0004075587
【0147】
【化28】
Figure 0004075587
【0148】
【化29】
Figure 0004075587
【0149】
電荷輸送層は2層以上の層構成にしてもよい。この場合は表面の電荷輸送層に保護層として機能を付加し、クリーニングブレード等との耐摩耗特性を強化した層構成が好ましい。
【0150】
中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0151】
本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については例えば特開平3−90250号及び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0152】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
図1は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図である。
【0153】
図1に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0154】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0155】
ここで本発明の反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0156】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0157】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図1のように現像位置上部に設けて行う。
【0158】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0159】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0160】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図1では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0161】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0162】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0163】
本発明の有機電子写真感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0164】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。文中の「部」は質量部を表す。
【0165】
実施例1
合成例1(例示化合物T20の合成例)
【0166】
【化30】
Figure 0004075587
【0167】
上記式で表される化合物10gをオキシ塩化リン32gに溶解させ、50℃まで加熱しジメチルホルムアミド22mlを少しずつ滴下した(発熱し40〜70℃になる)。反応液を90℃前後にコントロールしながら、15時間撹拌した。40℃まで放冷した後、余分なオキシ塩化リンを十分に加水分解し析出した結晶をろ別し、水で懸濁して洗浄し、洗液が中性になるまで洗浄を繰り返し下記構造式で表されるビスホルミル化合物9.25g(77%)を得た。
【0168】
【化31】
Figure 0004075587
【0169】
上記得られたビスホルミル化合物2gと、下記構造式で表されるホスホネート化合物4.3gをジメチルホルムアミド20mlに溶解した。反応液を20℃前後に保ちながら、ナトリウムメトキシド1.0gを少しずつ添加した(発熱有り)。4時間撹拌後、水30mlを加え常法により精製処理を行って黄色結晶3.3g(81%)を得た。この黄色結晶を、元素分析及び質量分析を行ったところ、下記表1のような結果となり例示化合物T20であることが確認された。
【0170】
【化32】
Figure 0004075587
【0171】
元素分析(C5349N)
【0172】
【表1】
Figure 0004075587
【0173】
質量分析(C5349N)
Mw(計算値)=699
Mw+(実測値)=699
上記の合成で得られたT20の化合物をT20−1とする。このT20−1は下記液体クロマトグラフィ(HPCL)の測定結果cis−cis/cis−trans/trans−trans混合比が1.1/2.2/1.0であった。尚、T20cis−cis、T20trans−trans、T20cis−transの構造式を下記に示す。
【0174】
液体クロマトグラフィの測定条件
測定機:島津LC6A(島津製作所製)
カラム:CLC−SIL(島津製作所製)
検出波長:290nm
移動相:n−ヘキサン/ジオキサン=10〜500/1
移動相の流速:約1ml/min
サンプル(T20)溶媒:n−ヘキサン/ジオキサン=10/1
サンプル(T20):3mg/溶媒10ml
【0175】
【化33】
Figure 0004075587
【0176】
上記で得られたT20−1を液体クロマトグラフィを用いてcis−cis体、cis−trans体、trans−trans体に分離した化合物も得た。これらcis−cis体のT20をT20c−c、cis−trans体のT20をT20c−t、trans−trans体のT20をT20t−tとする。T20−1とT20c−c、T20c−t、T20t−tの4つの化合物を用い、混合比を変えて、表2に示す如くcis−cis/cis−trans/trans−transの混合比を持つT20−2〜T20−8の化合物(電荷輸送物質)を作製した。
【0177】
【表2】
Figure 0004075587
【0178】
感光体1の作製
〈中間層〉
酸化チタンA(1次処理:シリカ・アルミナ処理、2次処理:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理:酸化チタン粒径:35nm) 300部
ポリアミド樹脂(例示ポリアシドN−1) 100部
イソプロピルアルコール 1000部
酸化チタン、ポリアミド樹脂、イソプロピルアルコールを同一容器中に加え超音波ホモジナイザーを用いて分散し、中間層用の塗布液を調製した。この塗布液を円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布し、110℃、1時間の加熱硬化を行い、2μmの乾燥膜厚で中間層を設けた。
【0179】
〈電荷発生層〉
Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折の最大ピーク角度が2θで27.3) 60部
シリコーン変性ブチラール樹脂(X−40−1211M:信越化学社製)700部
2−ブタノン 2000部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0180】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質(T20−1) 225部
ポリカーボネート(粘度平均分子量:20,000) 300部
酸化防止剤(例示化合物1−3) 6部
ジクロロメタン 2000部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
【0181】
感光体2〜18の作製
感光体1で用いた中間層のポリアシド樹脂、酸化チタン、溶剤、及び電荷輸送層の電荷輸送物質(T20−1)を表3のように代えた以外は感光体1と同様にして感光体2〜18を作製した。
【0182】
【表3】
Figure 0004075587
【0183】
表中、炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。又、N−12はメトキシメチル化ナイロン6(アシド結合間の炭素数は5であり、メトキシメチル化度は25%)、N−13は下記構造のポリアミドを示す。
【0184】
又、酸化チタンAは1次処理:シリカ・アルミナ処理、2次処理:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理の数平均粒径35nmの酸化チタン、
酸化チタンBは1次処理:シリカ・アルミナ処理、2次処理:フッ化メチルトリメトキシシラン処理の数平均粒径70nmの酸化チタンを示す。
【0185】
溶媒欄のCはイソプロピルアルコール
Dはイソプロピルアルコール/ブタノール(6/1)
Eはエタノール/1−プロパノール(5/1)
Fはメタノールを示す。
【0186】
【化34】
Figure 0004075587
【0187】
評価
評価機としてコニカ社製デジタル複写機Konica7075(コロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、ブレードクリーニング、クリーニング補助ブラシローラー採用プロセスを有する)を用い、該複写機に感光体1〜18を搭載し評価した。クリーニング性及び画像評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4中性紙にコピーして行った。環境条件は厳しい条件の高温高湿環境(30℃、80%RH)と低温低湿環境(10℃、30%RH)の両方で、それぞれ連続1万枚コピーを行いハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を作製し下記の評価を行った。
【0188】
評価基準
画像濃度(マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。初期及び1万枚コピー後の画像で評価した。)
◎:黒ベタ画像が1.2以上
○:黒ベタ画像が1.2未満〜1.0
×:黒ベタ画像が1.0未満
カブリ(初期及び1万枚コピー後のベタ白画像を目視で判定)
◎:両方の環境条件下のコピーを通してカブリの発生なし
○:どちらか一方の環境下で濃度0.01〜0.02のカブリが発生
×:どちらか一方の環境下で濃度0.03以上のカブリが発生
解像度(文字画像の判別容易性で判定)
上記1万枚のコピー後に、3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0189】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
黒ポチ(上記1万枚コピー後、更にベタ白のコピー画像100枚を作製して評価)
黒ポチの評価は、長径が0.4mm以上の黒ポチがA4紙当たり何個あるかで判定した。尚、黒ポチ長径はビデオプリンター付き顕微鏡等で測定できる。黒ポチ評価の判定基準は、下記に示す通りである。
【0190】
A:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下
B:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、19個/A4以下が1枚以上発生
C:0.4mm以上の黒ポチ頻度:20個/A4以上が1枚以上発生
白ヌケ(上記1万枚コピー後、更にハーフトーン画像100枚を作製して評価)
白ヌケの評価は、長径が0.4mm以上の白ヌケがA4紙当たり何個あるかで判定した。尚、白ヌケ長径はビデオプリンター付き顕微鏡等で測定できる。白ヌケ評価の判定基準は、下記に示す通りである。
【0191】
A:0.4mm以上の白ヌケ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下
B:0.4mm以上の白ヌケ頻度:4個/A4以上、19個/A4以下が1枚以上発生
C:0.4mm以上の白ヌケ頻度:20個/A4以上が1枚以上発生
その他評価条件
尚、上記デジタル複写機Konica7075を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0192】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
露光部電位を−50Vにする露光量に設定。
【0193】
現像条件
DCバイアス;−550V
現像剤は、フェライトをコアとして絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアとスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーの現像剤を使用。
【0194】
転写条件
転写極;コロナ帯電方式
クリーニング条件
クリーニング部に硬度70°、反発弾性34%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニングブレードをカウンター方向に線圧20(N/m)となるように重り荷重方式で当接した。
【0195】
評価結果を表4に示した。
【0196】
【表4】
Figure 0004075587
【0197】
表4から明らかなように電荷輸送層に立体異性体混合物の電荷輸送物質を含有し、該混合物の最多異性体成分の含有率が本発明の範囲内にあり、且つ中間層が融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を含有する感光体1、2、5〜7、11、13〜15は、画像濃度、カブリ、解像度等の画像特性が良好であり、黒ポチ及び白ヌケ等の画像欠陥の発生も少なく全ての特性がバランスを持って改善されている。特に、最多異性体成分の含有率が51〜80質量%で、且つ中間層が融解熱0〜20J/gで、且つ吸水率3.5質量%以下の樹脂を含有する感光体1、2、6、13、14は改善効果が著しい。一方、前記混合物の最多異性体成分が37.5質量%の本発明範囲外にある感光体12では白ヌケ発生が増加しており、解像度も低下している。又、最多異性体成分が90質量%より大きい感光体16、17、18では黒ポチや白ヌケ発生が多く、画像濃度、解像度の低下が見られる。
【0198】
実施例2
合成例2(例示化合物T50の合成例)
【0199】
【化35】
Figure 0004075587
【0200】
上記式で表される化合物10gをオキシ塩化リン34gに溶解させ、50℃まで加熱しジメチルホルムアミド23mlを少しずつ滴下した(発熱し40〜70℃になる)。反応液を90℃前後にコントロールしながら、15時間撹拌した。40℃まで放冷した後、余分なオキシ塩化リンを十分に加水分解し析出した結晶をろ別し、水で懸濁して洗浄し、洗液が中性になるまで洗浄を繰り返し下記構造式で表されるビスホルミル化合物9.43g(78%)を得た。
【0201】
【化36】
Figure 0004075587
【0202】
上記得られたビスホルミル化合物2gと、下記構造式で表されるホスホネート化合物4.3gをジメチルホルムアミド20mlに溶解した。反応液を20℃前後に保ちながら、ナトリウムメトキシド1.0gを少しずつ添加した(発熱有り)。4時間撹拌後、水30mlを加え常法により精製処理を行って黄色結晶3.3g(81%)を得た。この黄色結晶を、元素分析及び質量分析を行ったところ、下記表5のような結果となり例示化合物T50であることが確認された。
【0203】
【化37】
Figure 0004075587
【0204】
元素分析(C4039N)
【0205】
【表5】
Figure 0004075587
【0206】
質量分析(C4039N)
Mw(計算値)=533
Mw+(実測値)=533
上記の合成で得られたT50の化合物をT50−1とする。このT50−1は下記液体クロマトグラフィ(HPCL)の測定結果cis−cis/cis−trans/trans−trans混合比が1.2/2.0/1.0であった。尚、T50cis−cis、T50trans−trans、T50cis−transの構造式を下記に示す。
【0207】
【化38】
Figure 0004075587
【0208】
上記で得られたT50−1を液体クロマトグラフィを用いてcis−cis体、cis−trans体、trans−trans体に分離した化合物も得た。これらcis−cis体のT50をT50c−c、cis−trans体のT50をT50c−t、trans−trans体のT50をT50t−tとする。T50−1とT50c−c、T50c−t、T50t−tの4つの化合物を用い、混合比を変えて、表6に示す如くcis−cis/cis−trans/trans−transの混合比を持つT50−2〜50−8の化合物(電荷輸送物質)を作製した。
【0209】
【表6】
Figure 0004075587
【0210】
感光体21〜38の作製
感光体1〜18で用いた電荷輸送物質(T20系)を表7のようにT50−1〜T50−8、T50t−tに代えた以外は感光体1〜18と同様にして感光体21〜38を作製した。
【0211】
【表7】
Figure 0004075587
【0212】
上記感光体21〜38を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表8に示す。
【0213】
【表8】
Figure 0004075587
【0214】
表8から明らかなように電荷輸送層に立体異性体混合物の電荷輸送物質を含有し、該混合物の最多異性体成分の含有率が本発明の範囲内にあり、且つ中間層が融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の樹脂を含有する感光体21、22、25〜27、31、33〜35は、画像濃度、カブリ、解像度等の画像特性が良好であり、黒ポチ及び白ヌケ等の画像欠陥の発生も少なく全ての特性がバランスを持って改善されている。特に、最多異性体成分の含有率が51〜80質量%で、且つ中間層が融解熱0〜20J/gで、且つ吸水率3.5質量%以下の樹脂を含有する感光体21、22、26、33、34は改善効果が著しい。一方、前記混合物の最多異性体成分が37.5質量%の本発明範囲外にある感光体32では白ヌケ発生が増加しており、解像度も低下している。又、最多異性体成分が90質量%より大きい感光体36、37、38では黒ポチや白ヌケ発生が多く、画像濃度、解像度の低下が見られる。
【0215】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の構成を有する有機感光体を用いることにより、黒ポチや白ヌケが発生せず解像度も良好な電子写真画像を得ることができる。又該有機感光体を用いた良好な電子写真画像を達成できる画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に中間層、感光層を有する有機感光体において、該中間層が融解熱0〜40J/gで、吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を含有し、該感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質の少なくとも1つが、下記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物で、且つ該立体異性体混合物中の最多異性体成分の含有率が40〜90質量%であることを特徴とする有機感光体。
    Figure 0004075587
    〔一般式(5)中、R 1 、R 2 、R 3 は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。Ar 1 は水素原子又は置換、無置換の芳香族基、Ar 2 は置換、無置換の芳香族基を示す。〕
    Figure 0004075587
    〔一般式(6)中、R 1 、R 2 は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。Ar 1 は水素原子又は置換、無置換の芳香族基、Ar 2 は置換、無置換の芳香族基を示す。〕
  2. 前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
  3. 前記Ar 1 、Ar 2 の置換、無置換の芳香族基が下記一般式(7)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機感光体。
    Figure 0004075587
    〔一般式(7)中、R 6 〜R 10 は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。〕
  4. 前記融解熱0〜20J/gで、吸水率3.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体。
  5. 前記中間層のポリアミド樹脂がアルコール可溶性ポリアミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
  6. 前記中間層がN型半導性微粒子を含有していることを特徴とする請求 項1〜5のいずれか1項に記載の有機感光体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機感光体を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  8. 請求項7に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  9. 導電性支持体上に中間層、電荷発生層と電荷輸送層の積層構造の感光層を有し、該中間層が融解熱0〜40J/gで、吸水率5質量%以下で且つアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の60〜100モル%含有するポリアミド樹脂を含有し、該感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質の少なくとも1つが、前記一般式(5)又は一般式(6)で表されるビス(アリールエテニルフェニル)アニリン系化合物の立体異性体混合物で、且つ該立体異性体混合物中の最多異性体成分の含有率が40〜90質量%である電荷輸送物質を含有する有機感光体と帯電器、像露光器、現像器、転写器、クリーニング器の少なくとも1つを一体として有しており、画像形成装置に出し入れ可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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