JP4155055B2 - 有機感光体、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる有機感光体、及び該有機感光体を用いた画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用感光体(以下単に感光体とも云う)はSe、ヒ素、ヒ素/Se合金、CdS、ZnO等の無機感光体から、公害や製造の容易性等の利点に優れる有機感光体に主体が移り、様々な材料を用いた有機感光体が開発されている。
【0003】
近年では電荷発生と電荷輸送の機能を異なる材料に担当させた機能分離型の感光体が主流となっており、なかでも電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層型の有機感光体が広く用いられている。
【0004】
また、電子写真プロセスに目を向けると潜像画像形成方式は、ハロゲンランプを光源とするアナログ画像形成とLEDやレーザを光源とするデジタル方式の画像形成に大別される。最近はパソコンのハードコピー用のプリンターとして、また通常の複写機においても画像処理の容易さや複合機への展開の容易さからデジタル方式の潜像画像形成方式が急激に主流となりつつある。
【0005】
デジタル方式の画像形成では、デジタル電気信号に変換された画像情報を感光体上に静電潜像として書き込む際の光源としてレーザ、特に半導体レーザやLEDが用いられている。
【0006】
これらのレーザ光やLED光の発振波長は、780nmや660nmの近赤外光やそれに近い長波長光である。デジタル的に画像形成を行う際に使用される有機感光体にとって、まず第一に要求される特性としてはこれらの長波長光に対して高感度であることであり、これまで多種多様な材料についてそのような特性を有するか否かの検討がなされてきている。その中でもフタロシアニン顔料は、合成が比較的簡単である上、長波長光に対して高感度を示すものが多い点で、フタロシアニン顔料を用いた有機感光体が、幅広く検討され、実用化されている。
【0007】
なかでも、粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θが7.5°、28.7°に顕著なピークを有するチタニルフタロシアニン顔料(以後、単にB型チタニルフタロシアニン顔料又はB型顔料とも云う)は安定した感度を示し且つ合成しやすい電荷発生物質として知られている(特許文献1)。
【0008】
しかし、このB型顔料の電荷発生物質を用いて有機感光体を作製した場合、繰り返し使用に伴う残留電位の増加や黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0009】
本発明者等は前記のような問題を検討した結果、前記B型顔料の電荷発生物質を用いた場合の問題は、電荷発生層に隣接する中間層の影響が大きいことが見出された。
【0010】
例えば、酸化チタン粒子等をポリアミド樹脂に分散させて中間層を形成する方法は、広く知られている。しかし、この場合のポリアミド樹脂として通常用いられる主に、6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂は、吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は高温高湿下で、繰り返し使用に伴う残留電位の増加や黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすく、環境メモリ(高温高湿の環境から低温低湿の環境に変わったとき、帯状の画像欠陥が発生する現象)も発生しやすい。
【0011】
アミド結合間の炭素鎖の多い構成単位から構成される共重合ポリアミド樹脂、例えば12−ナイロン系樹脂は、吸水率が低い為、環境依存性が低い感光体を作るのに有効な材料であると予想される。しかし、このようなポリアミドは通常の有機溶媒には不溶で、感光体の製造には適さない。又、メトキシメチル化により溶解性を向上させて用いる例があるが(特許文献2、3)、メトキシメチル化は著しく吸水率を増加させる為、残留電位の増加防止、黒ポチや環境メモリを十分低くすることは難しい。
【0012】
【特許文献1】
特開昭61−239248号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平5−72787号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平6−186767号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、B型チタニルフタロシアニン顔料を用いた場合の帯電特性、感度特性の湿度変化を改良し、画像濃度の低下が発生せず、且つ黒ポチや環境メモリ等の画像欠陥の発生がない有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は既存のポリアミド樹脂を用いた中間層の前記したような欠点を改良すべく検討を加えた結果、アミド結合間の炭素数が大きいポリアミド樹脂で、吸水率が小さく、且つ溶媒溶解性が良好なポリアミド樹脂を発見し、該ポリアミド樹脂を導電性支持体上の中間層のバインダー樹脂として用いることにより、溶媒溶解性、感光体の帯電特性、感度特性の対湿度依存性を改善し、画像濃度の低下が発生せず、黒ポチや環境メモリ等の画像欠陥の発生も防止できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は以下のような構成を有することにより、達成される。
【0017】
1.導電性支持体上に中間層、感光層とを有する有機感光体において、該中間層は、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分を、全繰り返し単位構造のアミド成分の60〜100モル%含有し且つ該炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分が10モル%以上であり、且つ前記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミド樹脂及び数平均一次粒径が10〜400nmの表面処理を施されている酸化チタン微粒子を含有し、且つ感光層がCu−Kα特性X線によるX線回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする有機感光体。
【0024】
2.前記Y1は前記化学構造を有することを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0026】
3.導電性支持体と感光層の間に、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分を、全繰り返し単位構造のアミド成分の60〜100モル%含有し且つ該炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分が10モル%以上であり、且つ前記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミド樹脂及び数平均一次粒径が10〜400nmの表面処理を施されている酸化チタン微粒子を含有する中間層を有し、且つ感光層がCu−Kα特性X線によるX線回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を含有する有機感光体上に、静電潜像を形成する潜像形成手段、該有機感光体上に形成された静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段、顕像化して得られた該有機感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段及びトナー像転写後に該感光体上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【0027】
4.前記3に記載の画像形成装置を用いて、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0028】
5.前記1又は2に記載の有機感光体と該有機感光体上を一様に帯電する帯電手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段、転写後の該有機感光体上の電荷を除去する除電手段及び転写後の該有機感光体上の残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂は、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分を、全繰り返し単位構造のアミド成分の40〜100モル%含有し且つ該炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分が10モル%以上であるポリアミド樹脂を含有することを特徴とする。
【0030】
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド成分(アミド結合単位)を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
【0031】
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(2)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド成分の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(3)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド成分の炭素数である。
【0032】
【化3】
【0033】
一般式(2)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
【0034】
【化4】
【0035】
一般式(3)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
【0036】
又、本発明のポリアミド樹脂は、前記炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分が10モル%以上含有することを特徴とする。前記炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分を10モル%以上含有させることにより、ポリアミド樹脂が非晶質構造に成りやすく、溶媒溶解性が良好となり、黒ポチや環境メモリを改善する前記直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分の比率は10モル%〜75モル%がより好ましく、20モル%〜50モル%が最も好ましい。10モル%より小さいと溶媒溶解性が低下し、黒ポチや環境メモリが劣化しやすい。75モル%より大きくても同様の傾向になりやすい。
【0037】
前記直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分とは、炭素鎖構造中に分岐構造又は環式構造を含有する繰り返し単位構造を云う。例えば、分岐アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有するアミド成分が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含むアミド成分を有する化学構造が好ましい。
【0038】
本発明のポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド成分の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド成分の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造のアミド成分中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
【0039】
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ、環境メモリ等が発生しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
【0040】
又、アミド成分の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造のアミド成分中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
【0041】
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
【0042】
【化5】
【0043】
一般式(1)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
【0044】
上記一般式(1)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、環境メモリ、黒ポチ改善効果が著しい。
【0045】
【化6】
【0046】
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
【0047】
本発明のポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
上記具体例中の(C/D)は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(C:モル%)及び直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分の比率(D:モル%)を示す。
【0053】
上記具体例の中でも、一般式(1)のアルキル置換されたシクロアルカン基を含む繰り返し単位構造を有するN−1〜N−5、N−9、N−12、N−13のポリアミド樹脂が特に好ましい。
【0054】
又、本発明のポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
【0055】
本発明のポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
【0056】
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
【0057】
本発明のポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0058】
又、本発明の中間層には前記したポリアミド樹脂中に一次粒子径が10〜400nmの微粒子を分散、含有させることが好ましい。
【0059】
上記数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0060】
このような微粒子としては、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;珪酸カルシウム、珪酸マグネシウムなどの珪酸塩;チッ化ホウ素、チッ化チタンなどのチッ化物;炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウムなどの炭化物;ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタンなどのホウ化物などが挙げられるが、微粒子としては下記に記すN型半導性微粒子が好ましい。
【0061】
N型半導性粒子とは、導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質をもつことから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0062】
前記N型半導性粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
【0063】
本発明に用いられるN型半導性粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のN型半導性粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のN型半導性粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲のN型半導性粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0064】
本発明に用いられるN型半導性粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0065】
N型半導性粒子に行われる表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0066】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0067】
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0068】
また、該複数回の表面処理をアルミナ、シリカを用いて表面処理を行い、次いで反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものが特に好ましい。
【0069】
なお、前述のアルミナ、シリカの処理は同時に行っても良いが、特にシリカ処理を最初に行い、次いでアルミナ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
【0070】
前記酸化チタン等のN型半導性粒子のアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったN型半導性粒子は以下の様に作製することができる。
【0071】
N型半導性粒子として酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
【0072】
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子等のN型半導性粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えば酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
【0073】
上記の金属酸化物による表面処理の次に行われる反応性有機ケイ素化合物による表面処理は以下の様な湿式法で行うことが好ましい。
【0074】
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記金属酸化物で処理された酸化チタンを添加し、この液をセラミックビーズを用いたメディア分散を行うことが好ましい。次にメディア分散後の分散液を濾過後、加熱処理を施し、減圧乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆した酸化チタン粒子を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0075】
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0076】
前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にて前記金属酸化物で処理された酸化チタン100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部が好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の分散性等が悪くなる。また、上記範囲を超えてしまうと電気性能を悪化させる結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0077】
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(4)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0078】
一般式(4)
(R)n−Si−(X)4-n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(4)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0079】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0080】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0081】
nが0の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0082】
nが1の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
即ち、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0083】
nが2の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
ジメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0084】
nが3の化合物例としては下記の化合物が挙げられる。
トリメチルクロロシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3−クロロプロピルメトキシジメチルシラン、メトキシ−3−メルカプトプロピルメチルメチルシラン等が挙げられる。
【0085】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物は、好ましくは下記一般式(5)で示される有機ケイ素化合物が用いられる。
【0086】
一般式(5)
R−Si−X3
式中、Rはアルキル基、アリール基、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基を表す。
【0087】
一般式(5)で表される有機ケイ素化合物においては、更に好ましくはRが炭素数4から8までのアルキル基である有機ケイ素化合物が好ましく、具体的な好ましい化合物例としては、トリメトキシn−ブチルシラン、トリメトキシi−ブチルシラン、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシランが挙げられる。
【0088】
又、最後の表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0089】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0090】
酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
【0091】
即ち、有機溶剤や水に対して前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させ、この中に未処理の酸化チタンを添加し、このような溶液をメディア分散し、濾過、加熱処理を施した後に、乾燥し、酸化チタン表面をフッ素原子を有する有機ケイ素化合物で被覆する。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散した懸濁液に前記フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
【0092】
尚、前記酸化チタン表面がフッ素原子を有する有機ケイ素化合物によって被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析装置を用いて複合的に確認することができる。
【0093】
本発明に用いられるフッ素原子を有する有機ケイ素化合物としては、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0094】
前記ポリアミド樹脂中に分散されるN型半導性粒子の量は、例えば表面処理酸化チタンの場合では、該バインダー樹脂100質量部に対し、10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部である。該表面処理酸化チタンをこの範囲で用いることにより、該酸化チタンの分散性を良好に保つことができ、黒ポチの発生しない、良好な中間層を形成することができる。
【0095】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層である。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108〜1015Ω・cmである。又、本発明の中間層の体積抵抗は好ましくは1×109〜1014Ω・cm、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmが良い。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0096】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、 80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、有機感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
【0097】
本発明の中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の表面処理N型半導性粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成されるが、分散溶媒としては前記したポリアミド樹脂の溶媒と同様なものが適宜用いられる。
【0098】
又、上記N型半導性微粒子以外に、金属酸化物の微粒子も好ましく用いられる。金属酸化物の微粒子としては、例えば酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫などの酸化物などが挙げられ、これらのうち1種を、又は、必要に応じて2種以上の金属酸化物を用いることが好ましい。又、これらの金属酸化物は、例えばチタンカップリング剤、シランカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等の疎水化処理剤により疎水化されたものが好ましい。
【0099】
前記チタンカップリング剤としては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどがある。更に、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0100】
又、脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、ヘプタデカン酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
【0101】
上記のような微粒子を本発明のポリアミド樹脂中に分散、含有させることにより、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性、更に黒ポチ、環境メモリ等の改善効果を増大させることができる。
【0102】
次に、中間層以外の本発明に好ましく用いられる感光体の構成について記載する。
【0103】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0104】
本発明の有機感光体は電荷発生物質として、前記B型チタニルフタロシアニン顔料を用いることを特徴とする。該B型チタニルフタロシアニン顔料はオキシチタニウムフタロシアニンとも云われ、化学式としては下記構造式で表される。
【0105】
【化11】
【0106】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、nは0〜1の数を示す)。前記Xが塩素原子の場合nは0〜0.5が好ましく、0〜0.1がより好ましい。
【0107】
前記ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料の製造方法は特開平1−239248号、同1−217050号等に開示されており、これらの開示された製造方法を用いて作製することができ、これらの製造方法で作製したチタニルフタロシアニン顔料は、例えば図1に示したようなブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するX線回折スペクトルを示す結晶構造を有する。該チタニルフタロシアニン顔料は上記7.5°又は28.7°に最大回折ピークを有し、他に、ブラッグ角(2θ±0.2°)10.3°、12.3°、16.3°、18.4°、22.6°、24.5°、25.4°にも明瞭な回折ピークを示すことが好ましい。
【0108】
上記の電荷発生物質を含有する有機感光体の層構成は、特に限定はないが、基本的には電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層から構成されるが、その上に表面層を塗設した構成でもよい。又、表面層は保護層の機能と電荷輸送の機能を有しているので電荷輸送層の代わりに用いてもよい。
【0109】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0110】
円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0111】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0112】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0113】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設ける。
【0114】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0115】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0116】
本発明の有機感光体には、前記したB型チタニルフタロシアニン顔料を電荷発生物質として含有するが、その他の電荷発生物質と併用してもよい。例えば、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などと併用して用いることができる。
【0117】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0118】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0119】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0120】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0121】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0122】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0123】
表面層
感光体の表面層(保護層)として、シロキサンポリカーボネートや架橋タイプのシロキサン系樹脂をバインダーとした層を設けてもよい。
【0124】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0125】
感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0126】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0127】
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図2は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図である。
【0128】
図2に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0129】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0130】
ここで反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0131】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0132】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図2のように現像位置上部に設けて行う。
【0133】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0134】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0135】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図2では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0136】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0137】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0138】
本発明の有機感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0139】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0140】
以下のようにして各実施例、比較例の中間層分散液を作製した。
中間層分散液1の作製
ポリアミド樹脂(例示ポリアミドN−1) 1部
微粒子:酸化チタンSMT−500SAS(テイカ社製;表面処理は、シリカ処理、アルミナ処理、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3部
イソプロピルアルコール 10部
ポリアミドN−1をイソプロピルアルコールで加温溶解後、定格濾過精度0.2ηmのフィルターにて濾過後、酸化チタンSMT−500SASを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層分散液1を作製した。
【0141】
中間層分散液2〜15の作製
ポリアミド樹脂、微粒子及びその表面処理と粒径、及び溶剤を表1、表2に示す様に変えた以外は、中間層分散液1と同様に中間層分散液2〜15(8と15は溶液)を作製した。
【0142】
感光体1の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液1を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚2μmの中間層1を形成した。
【0143】
乾燥後の中間層の体積抵抗は前記測定条件で2×1010Ω・cmであった。
中間層(UCL)塗布液1
中間層分散液1を同じ混合溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5μm、圧力;5×104Pa)した。
【0144】
〈電荷発生層(CGL)〉
B型チタニルフタロシアニン顔料(図1に示したX線回折スペクトルを有する顔料) 20部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0145】
〈電荷輸送層(CTL)〉
電荷輸送剤(〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕−ジ−p−トリルアミン) 75部
ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)100部
塩化メチレン 750部
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0146】
感光体2〜15の作製
中間層塗布液1の中間層分散液1を中間層分散液2〜15(8と15は分散液でなく溶液)に変更した他は、感光体1の作製と同様にして、それぞれ感光体2〜15を作製した。但し、感光体8及び15の中間層の乾燥膜厚は0.8μmとし、それ以外の感光体の中間層の乾燥膜厚は感光体1と同様に2.0μmとした。
【0147】
これら感光体2〜15の中間層の体積抵抗は、前記測定条件下で1×108〜1015Ω・cmであった。
【0148】
上記各感光体の中間層の内容については、表1、表2に記載した。
尚、表1、表2中、1次処理欄に記載のものは1次処理時の酸化チタン粒子表面に析出した物質であり、2次処理欄に記載のものは2次処理時に用いた物質を示す。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
表中、炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。又、N−14はメトキシメチル化ナイロン6(アシド結合間の炭素数は5であり、メトキシメチル化度は25%)、N−15、N−16は下記構造のポリアミドを示す。
【0152】
【化12】
【0153】
上記N−15、N−16構造の(C/D)は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(C:モル%)及び直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分の比率(D:モル%)を示す。
【0154】
評価(画像評価)
Konica7050(コニカ社製レーザデジタル複写機:感光体と帯電器、現像器、クリーニング装置及び除電器とが一体となったカートリッジを備えている)に感光体1〜15を装着し、反転現像で評価した。帯電条件及びクリーニング条件等の画像形成条件は下記のように設定した。
【0155】
帯電条件
帯電器;初期帯電電位を−650V
現像条件
DCバイアス ;約−500V
現像剤層規制 ;磁性H−Cut方式
現像スリーブ径;40mm
転写極;コロナ帯電方式、転写ダミー電流値:45μA
クリーニング条件
弾性体ゴムブレード;自由長:9mm、厚さ:2mm、硬度:70°、反発弾性:35、感光体当接圧(線圧):15N/m
評価項目
上記のように感光体1〜15をKonica7050に装着し、30℃、80%RH環境下(HH)において、A4紙10万枚のコピーを行い、その後、コピー画像の画像濃度、カブリ、黒ポチ、環境メモリ等について以下の評価基準にて画像評価を行った。
【0156】
コピーは画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4での複写を行い評価した。
【0157】
各評価項目の判定基準は、下記に示す通りである。
画像濃度(マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。多数枚のコピーで残留電位が増加すると、画像濃度が低下する。)
◎:黒ベタ画像が1.2以上
○:黒ベタ画像が1.2未満〜1.0
×:黒ベタ画像が1.0未満
カブリ
マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、印字されていないコピー用紙(白紙)の濃度を20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均値を白紙濃度とする。次に、コピー画像の白地部分を同様に20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均濃度から前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。帯電電位の低下が大きくなるとカブリが発生する。
【0158】
◎:ベタ白画像濃度が0.005未満(良好)
○:ベタ白画像濃度が0.005以上0.01未満(実用上問題なし)
×:0.01以上(実用上問題あり)
黒ポチ
黒ポチは10万枚のコピー終了後、ベタ白画像をA4紙に100枚連続コピーして評価した。評価は長径0.4mm以上の黒ポチの出現頻度で判定した。尚、黒ポチ長径はビデオプリンター付き顕微鏡等で測定できる。
【0159】
◎:0.4mm以上の黒ポチ頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上の黒ポチ頻度:4個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上の黒ポチ頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
環境メモリ:上記Konica7050複写機をHH下に24hr放置後、低湿低温下(LL:20RH%、10℃)に置き、30分後、コピーした。オリジナル画像で0.4の濃度のハーフトーン画像を0.4の濃度にコピー、コピー画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:ΔHDが0.05以下(良好)
○:ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
評価結果を表3に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
表3より本発明の中間層を有する感光体1、2、5、10、11は画像濃度、カブリ、環境メモリ、黒ポチの評価が良好な特性を示しているのに対し、本発明外の中間層を有する感光体12では樹脂N−16の溶解溶媒性が十分でなく、カブリ、黒ポチが発生し、画像濃度も低下している。感光体14、15でも樹脂N−15の溶媒溶解性が十分でなく、カブリ、黒ポチが発生しており、感光体13では樹脂N−14が吸湿性が高いことから環境メモリが劣化し、カブリ、黒ポチも発生している。
【0162】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、本発明の構成を有する有機感光体を用いることにより、高温高湿下で、多数枚のコピーを行っても残留電位増加による画像濃度の低下が改善され、黒ポチの発生も少なく、更に温湿度条件の環境変化に対して発生しやすい画像不良の発生が防止され、良好な電子写真画像を形成することができる。又該有機感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
Claims (5)
- 導電性支持体上に中間層、感光層とを有する有機感光体において、該中間層は、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分を、全繰り返し単位構造のアミド成分の60〜100モル%含有し且つ該炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分が10モル%以上であり、且つ下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミド樹脂及び数平均一次粒径が10〜400nmの表面処理を施されている酸化チタン微粒子を含有し、且つ感光層がCu−Kα特性X線によるX線回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする有機感光体。
- 導電性支持体と感光層の間に、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分を、全繰り返し単位構造のアミド成分の60〜100モル%含有し且つ該炭素数が7〜30の繰り返し単位構造のアミド成分中で、直鎖でない繰り返し単位構造のアミド成分が10モル%以上であり、且つ下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミド樹脂及び数平均一次粒径が10〜400nmの表面処理を施されている酸化チタン微粒子を含有する中間層を有し、且つ感光層がCu−Kα特性X線によるX線回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を含有する有機感光体上に、静電潜像を形成する潜像形成手段、該有機感光体上に形成された静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段、顕像化して得られた該有機感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段及びトナー像転写後に該感光体上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項3に記載の画像形成装置を用いて、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1又は2に記載の有機感光体と該有機感光体上を一様に帯電する帯電手段、該有機感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該有機感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段、転写後の該有機感光体上の電荷を除去する除電手段及び転写後の該有機感光体上の残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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