JP6489432B2 - 感光体とそれを用いた画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

感光体とそれを用いた画像形成方法および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、感光体、画像形成方法および画像形成装置に関する。
一般に電子写真方式のプリンターや複写機、ファクシミリのような画像形成装置は帯電、露光、現像、転写、クリーニングという一連のプロセスで画像形成が行なわれる。このような画像形成を行う手段には少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段(特に反転現像手段)、転写手段、クリーニング手段および感光体から構成されている。
前記地肌汚れを改善するためには、感光体の導電性支持体上に下引き層や中間層を設け、これらの層を介して感光層を設ける構成が有効であり、このような方策は一般的な技術として利用されている。導電性支持体上に下引き層や中間層を設けた構成の感光体において、地肌汚れを改善する手法としては、材料構成、表面形状など多様な技術が種々提案されている。
材料構成に関する提案として、下引き層や中間層に特定の金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン粒子など)を含有するものが知られている。
特許文献1では、導電性支持体上に中間層および感光層を有する電子写真感光体において、中間層が平均粒径の異なる二種の酸化チタン粒子とバインダー樹脂とを含有し、二種の酸化チタン粒子の各平均粒径(D1)、(D2)の比(D2/D1)を規定することにより、画像欠陥のない高画質な画像を与え、かつ耐久性に優れた電子写真感光体が提供されるとしている。
一方、地肌汚れを改善する手法として表面形状に着目したものが知られている。
また、特許文献2では、電子写真感光体表面の凹凸形状を表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して得た一次元データ配列を、ウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析を行い、更に特定の方法で得られる6個の各周波数成分との合計12個の各周波数成分の個々の算術平均粗さについて特定の関係を有することにより、電子写真感光体に潤滑剤を必要なときに必要量だけを供給でき、クリーニング性の高安定化が図られ、高画質の画像が得られるとしている。
しかし、これら従来技術によっても近年の高画質化および高耐久化に対応できる中間層が得られていないのが現状である。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、地肌汚れが抑制され、耐久性に優れた感光体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対し鋭意検討した結果、下記(1)に示す構成を備えた感光体により上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
(1)導電性支持体上に中間層及び感光層を有する感光体であって、
前記中間層は金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含有し、
前記中間層の下記式(1)で定義される凹部面積率Smrが下記式(2)を満たし、
前記中間層の膜厚が4μm以上7μm以下であることを特徴とする感光体。
Smr=Scut/Sk (1)
0.4≦Smr≦0.6 (2)
(但し、式(1)中、Skは基準面積を示しScutは基準面積にて得られた3次元表面形状曲面を平均高さ面(全測定データの高さ値を平均した高さにて構成される面)にて切断して得られる断面積を示す)
本発明によれば、地肌汚れが抑制され、耐久性に優れた感光体が提供される。
本発明の感光体の構成例を示す断面図である。 本発明の感光体の別の構成例を示す断面図である。 本発明の感光体のさらに別の構成例を示す断面図である。 本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を説明するための概略図である。 本発明のプロセスカートリッジを使用した電子写真装置の一例を示す図である。
前述のように本発明における感光体は、導電性支持体上に中間層および感光層を有する感光体であって、前記中間層は金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含有し、該中間層の表面形状は以下の式(1)で定義される中間層についての「凹部面積率Smr」が下記式(2)を満たす。
本発明においては中間層についての「凹部面積率Smr」は下記式(1)で定義される。
Smr=Scut/Sk (1)
ここで、Skは基準面積を示し、Scutは基準面積にて得られた3次元表面形状曲面を平均高さ面(全測定データの高さ値を平均した高さにて構成される面)にて切断して得られる断面積を示す。
そして、本発明においては、前記凹部面積率Smrは下記式(2)を満たす。
0.2≦Smr≦0.6 (2)
本発明者らは地汚れが感光体の支持体からの電荷リークに起因するものと帯電性の劣化に起因するものとがあり、両者の性能を高めることが重要であること、及び両者の性能を高めるには中間層に適度な表面形状を形成することが有利であることを見出した。
地肌汚れをつくる個々のドットは直径50μm前後のものが多い。地肌汚れの程度が悪くなるにつれてこのドットサイズが大きくなる。中間層は一般に膜厚を厚くすることで電荷のリークを抑えている。そこで発明者等はドット形成をもたらす中間層膜厚の凹みや尖りを抑えることが有利と考えた。そして、電荷リークを抑えるには概して平坦化が有利であった。
また、中間層膜厚は感光体の帯電性にも影響する。帯電性が劣化すると感光体の帯電電位と現像バイアスとの差が狭隘化してかぶりが生じ易くなる。意外にも中間層の表面形状は微細な凹凸周期を平坦化するとバルク抵抗が低下する現象が見られた。
このため、総合的な地汚れを抑制するには中間層を単純に平坦化しても有効とは言えず、凹凸周期を区別した形状制御が必要である。
中間層の適度な凹凸形状が感光体の表面形状に影響を及ぼし地肌汚れを抑制する。ここで表面の凹凸形状は精密な解析が必要であり、レーザー顕微鏡による解析が有効である。
中間層は製膜条件と塗料の処方に応じて固有の表面形状が形成される。種々の成膜方式の中でスプレー塗工は塗膜の形状制御に有利な方法である。本発明者らの実験から外観上半光沢に感じられる形状が最適であることが分かった。
前記中間層の凹凸形状は中間層に含まれる金属酸化物粒子によって制御することができる。
前記中間層に含有される金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン粒子)の平均一次粒子径は、0.18μm以上0.22μm以下であることが好ましい。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径を0.18μm以上0.22μm以下とすることにより、中間層の凹部面積率を0.2≦Smr≦0.6としやすく製造上においても有利となる。
なお、金属酸化物粒子の平均一次粒子径は試薬または塗工膜中に分散される金属酸化物粒子を走査電子顕微鏡やコンフォーカル顕微鏡などにより観察される微粒子を直接観察することで計量される。平均一次粒子径の算出にはアメリカNIHから公開されるimageJに代表される画像解析ソフトウエアを利用することができる。
前記中間層に含有される平均一次粒子径が0.18μm以上0.22μm以下である金属酸化物粒子が、平均一次粒子径の異なる二種の金属酸化物粒子Tおよび金属酸化物Tの混合体からなり、かつ一方の金属酸化物粒子Tの平均一次粒子径(D)が0.05μm<D<0.10μmであることが好ましい。
すなわち、TおよびTの混合体の一方の金属酸化物粒子Tの平均一次粒子径(D)を0.05μm<D2<0.10μmとすると、本発明の目指す中間層の表面形状の形成に有利である。
現在、金属酸化物粒子として安価に入手できる酸化チタン微粒子は、平均一次粒子径が0.18μm以上0.22μm以下の平均一次粒子径である条件を満たさないものが多い。そこで複数の酸化チタン粒子を混合し、混合体として使用するのが好ましい。平均一次粒子径の異なる酸化チタン粒子を用いた場合、大きな粒子間で形成される空隙が粒子径の小さな酸化チタンで埋め込まれ、酸化チタン粒子とバインダー樹脂とを含有してなる中間層を形成する塗工膜中の酸化チタン粒子の隠蔽性が良好になる。このような性状が地肌汚れの抑制に作用するものと思われる。また、このような粒径の異なる酸化チタン粒子を用いれば中間層の表面形状の精密な制御に利用でき有利である。
ここで、金属酸化物粒子Tの平均一次粒子径(D)としては、中間層に含有される平均一次粒子径が0.18μm以上0.22μm以下であること、および金属酸化物粒子Tの平均一次粒子径(D)が0.05μm<D<0.10μmであることから必然的に条件を満たすものが選択される。
前記中間層の膜厚は、4μm以上7μm以下であることが好ましい。
中間層の膜厚を4μm以上から7μm以下に設定すると、地肌汚れの抑制に有利な表面形状が形成しやすく、例えば、平均一次粒子径の異なる二種の酸化チタン粒子とバインダー樹脂を溶媒中に含む中間層用塗工液を用いて中間層を成膜する際に必要な乾燥時間も比較的短時間で十分である場合が多いほか、製造費の低コスト化に有利である。また、膜厚が4μm以上7μm以下の中間層は地肌汚れの抑制、残留電位の抑制、および感光体の帯電性の改良のバランスに優れ、画像形成装置の使用に当たり制約が少なく扱いやすい。
前記感光体中に、シクロヘキサノンが10ppm以上100ppm以下の割合で含有されていることが好ましい。
中間層は、金属酸化物粒子とバインダー樹脂を溶媒中に含む中間層用塗工液を用いて成膜することができる。金属酸化物粒子としては、前記したように平均一次粒子径の異なる二種類の混合体を用いるのが好ましい。本発明の特別な表面形状を持つ中間層の造形は中間層用塗工液を塗布した後に適度に乾かしつつ重ね塗りすることで実現することができる。その際、中間層用塗工液にシクロヘキサノンを混合すると造形しやすく有利であり、このような易造形性はシクロヘキサノンの沸点や粘度が作用していると想定される。また、中間層中に、シクロヘキサノンが100ppm以上1,000ppm以下の割合で含有されていると、感光体の表面形状、並びに感光層の表面形状の効果と相まって、感光体の耐久性(走行距離)によい効果をもたらす。
中間層における表面形状のSmrが0.4から0.6の範囲内に制御した本発明の感光体を用いた画像形成装置は中間層の表面形状を制御しない構成の感光体を用いた画像形成装置に比べて地肌汚れの耐性が長く(例えば、地肌汚れの耐性が5倍以上)優れている。本発明の感光体を用いた画像形成方法においても同様である。すなわち、このような優れた特性は、本発明の感光体の表面形状、並びに感光層の表面形状の効果により達成されたものであり、実用的価値が高い。
以下、本発明の感光体の構成について説明する。
図1は、本発明の感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に、少なくとも本発明に示される金属酸化物粒子を含有する中間層(23)と感光層(25)を積層した構成をとっている。図1の構成において、感光層は電荷発生と電荷輸送との機能が分離されない単層型からなる。
図2は本発明の感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に、少なくとも金属酸化物粒子を含有する中間層(23)とこの上に電荷発生層(27)と電荷輸送層(29)を積層した構成をとっている。図2の構成において、感光層は電荷発生層と電荷輸送層とに機能が分離された積層型からなる。
図3は、本発明の感光体のさらに別の構成例を示す断面図であり、図2に示す構成の電荷輸送層(29)の上に保護層(31)を設けたものである。
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などの表面処理した管などを使用することができる。
アルミ素管についてはJIS3003系、JIS5000系、JIS6000系等のアルミニウム合金を、EI法、ED法、DI法、II法など一般的な方法により管状に成形を行なったもの、さらにはダイヤモンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処理等を行なったものを用いることができる。
また、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(21)として用いることができる。また、前述したように導電性支持体のコストダウンのために無切削アルミニウム管が用いられることがある。
このための無切削アルミニウム管としては、特開平3−192265号公報に記載されているように、アルミニウム円板を深絞り加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたDI管、アルミニウム円板をインパクト加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたII管、アルミニウム押出管の外表面をしごき加工によって仕上げたEI管、押出加工後冷間引抜き加工したED管が知られている。
これらの無切削アルミニウム管は、上記したようにモアレ等の異常画像が発生しやすいものであるが、本発明によれば、後記する実施例からも明らかなように、無切削アルミニウム管を使用してもモアレ等の異常画像が発生せず、本発明においてはこれらの無切削アルミニウム管を用いて、高画質で耐久性に優れた感光体とすることができる。
この他、さらに近年ではプラスチックを加工した支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(21)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉などが挙げられる。
また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、2−ブタノン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(21)として良好に用いることができる。
中間層(23)は本発明に示す金属酸化物粒子とバインダー樹脂(「結着樹脂」、または「樹脂」と呼称することがある。)を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
本発明の中間層に含有される金属酸化物粒子としては酸化チタン粒子が好ましく使用できる。以下では金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いた場合を例にとって説明する。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、酸化チタン粒子と樹脂の質量比は、酸化チタン粒子/樹脂=3/1〜8/1であることが好ましい。3/1未満であると中間層のキャリア輸送能が低下し残留電位が生じたり、光応答性が低下したりするようになる。8/1を超えると中間層中の空隙が増大し、中間層上に感光層を塗工した場合に気泡が生じるようになる。
酸化チタンは、硫酸法または塩素法により製造することができるが、高純度の酸化チタンを得るには塩素法が好ましい。
塩素法は原料のチタンスラグを塩素により塩素化し四塩化チタンとし、これを分離・凝縮・精製後酸化し、生成した酸化チタンを粉砕・分級、必要に応じ表面処理し、濾過・洗浄・乾燥後、粉砕することで酸化チタンを製造する製造法である。粒径は、酸化生成した酸化チタンの一次粒径を小さくすることで得ることができる。
本発明に示すように平均一次粒子径の異なる粒径の酸化チタンを用いることで、導電性基体に対する隠蔽力を向上させてモアレを抑制することが可能となるとともに、異常画像の原因となるピンホールをなくすことができる。
このために2種の酸化チタン粒子の粒径比を一定範囲内にすることが重要となる。本発明で規定する酸化チタン粒子の平均一次粒子径(前述のように、好ましくは0.18μm以上0.22μm以下)を逸脱する場合、すなわち平均一次粒子径が小さすぎる場合は、酸化チタン粒子の表面での活性が増加し、感光体としたときの静電的安定性が損なわれるようになる。また、平均一次粒子径が大きすぎる場合は、導電性基体に対する隠蔽力が低下し、モアレや異常画像に対する抑制力が低下する。
酸化チタンの純度は原料純度または酸化チタン表面処理の有無によりコントロールでき、特に塩素法の場合に高純度の酸化チタンを得ることができる。本発明に例示する酸化チタンは純度が99.0%以上であることが好ましい。金属酸化物に含有される不純物はNaO、KO等の吸湿性物質およびイオン性物質が主であり、金属酸化物の純度が99.0%より低い場合には、感光体特性が環境(特に湿度)および繰り返しの使用により大きく変動する原因となるので好ましくない。また、これら不純物は黒斑点等の画像欠陥の原因となりやすい。酸化チタンの純度は、例えば、JIS K5116に示される測定法により求めることができる。
さらに、本発明の感光体を構成する中間層に含有される酸化チタン粒子として含まれる酸化チタンのうちルチル化されたものの、少なくともそのルチル化率が10%〜100%である酸化チタンを含むことが好ましい。
一般に酸化チタンはアナターゼとルチルという2つの結晶型を有し、この結晶型により比重、屈折率、硬度等の物性が変わる。ルチル、アナターゼ間での結晶型のコントロールは、酸化チタン作成時の焼結条件に依存し、マイルドな条件ではアナターゼ型となり、焼結温度を上げるにつれてルチル型に転移していく。したがって、焼結条件をコントロールすることでルチル化率をコントロールでき、本発明に例示するようなルチル化率10〜60%の酸化チタンを得ることができる。本発明で示されるルチル化率10%〜60%である酸化チタンが好ましい理由は明らかでないが、この範囲とすることで地肌汚れが改善されるようになる。特に酸化チタンのルチル化率は30〜60%であることが好ましい。
ルチル化率は粉末X線回折におけるそれぞれの結晶型に起因する干渉線の強度より求めることができる。
前述のように、中間層に含有される平均一次粒子径が0.18μm以上0.22μm以下である金属酸化物粒子が、平均一次粒子径の異なる二種の金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン粒子)Tおよび金属酸化物Tの混合体からなり、かつ一方の金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン粒子)Tの平均一次粒子径(D)が0.05μm<D<0.10μmであることが好ましい。
二種の金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)Tおよび金属酸化物粒子(酸化チタン粒子T)の混合体総量に対する金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)Tの混合比率(質量比)は、0.2≦[T/(T+T)]≦0.8であることが好ましい。
金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)Tの混合比率が0.2より小さい場合は異常画像(特に黒ポチ・地肌汚れ)に対する抑制力が小さくなる、また、金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)Tの混合比率が0.8より大きい場合は中間層での光散乱力が低下し、モアレ等が発生しやすくなる。
中間層(23)は、前述のように酸化チタン粒子とバインダー樹脂を適当な溶媒中に含む中間層用塗工液を用い塗工法により成膜することができる。
前述のように、中間層(23)の膜厚は1.0μm〜10μmが適当である。より好ましくは4μm以上から7μm以下が適当である。
電荷発生層(27)は、少なくとも電荷発生物質と必要に応じて結着樹脂を含有する。
結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
電荷発生物質としては、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリツク酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、テトラアゾ顔料等のアゾ顔料を用いることができる。
電荷発生層(27)は、電荷発生層用塗工液(塗工液)を中間層(23)上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。塗工液は、少なくとも電荷発生物質および必要に応じて結着樹脂を適当な溶剤中に、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散して調製することができる。
ここで用いられる溶剤としては、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。
塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層(27)の膜厚は、0.01μm〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1μm〜2μmである。
電荷輸送層(29)は電荷輸送物質を主成分としてなる層であり、電荷輸送層用塗工液を電荷発生層(27)上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。電荷輸送層用塗工液は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤中に溶解あるいは分散して調製することができる。
適当な溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、アニソール、トルエン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、3,5−ジメチル−3′,5′−ジターシヤリーブチル−4,4′−ジフェノキノン、その他ベンゾキノン誘導体などの公知の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられ、これらの正孔輸送物質は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート(ビスフェノ−ルA型、ビスフェノ−ルZ型等)、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂や、各種ポリカーボネート共重合体(例えば、特開平5−158250号公報、特開平6−51544号公報等に記載)等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、結着樹脂としての機能および電荷輸送物質としての機能を有する高分子電荷輸送物質を用いることもできる。このような高分子電荷輸送物質としては、下記のような化合物が例示できる。
(a)主鎖および/または側鎖にカルバゾール環を有する重合体(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−183719号公報に記載の化合物など。)
(b)主鎖および/または側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体(例えば、特開昭57−78402号公報、特開平3−50555号公報に記載の化合物など。)
(c)ポリシリレン重合体(例えば、特開昭63−285552号公報、特開平5−19497号公報、特開平5−70595号公報に記載の化合物など。)
(d)主鎖および/または側鎖に第3級アミン構造を有する重合体(例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−13061号公報、特開平1−19049号公報、特開平1−1728号公報、特開平1−105260号公報、特開平2−167335号公報、特開平5−66598号公報、特開平5−40350号公報に記載の化合物など。)
結着樹脂の使用量は、電荷輸送物質100質量部に対して0〜200質量部が適当である。
また、電荷輸送層には、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
可塑剤としては、例えば、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等やポリエステル等の重合体および共重合体などが挙げられる。その使用量はバインダー樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂に対して0〜1質量部程度が適当である。
また、オゾン・NOx等の酸化性ガスに対する耐環境性の改善のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、硫黄系化合物、燐系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、モルホリン誘導体等の酸化防止剤を使用でき、その使用量は結着樹脂100質量部に対して0〜5質量部程度が適当である。
このようにして形成される電荷輸送層の膜厚は、5〜50μm程度が適当である。好ましくは20〜40μm、更に好ましくは25〜35μmである。
単層型感光体の感光層(25)は、電荷発生物質、分散剤、電荷輸送物質、および結着樹脂を組成分として構成することができる。電荷発生物質、分散剤、電荷輸送物質としては、前述の電荷発生層および電荷輸送層で記載した材料を用いることができる。
このような単層型の感光層を形成するには、電荷発生物質、電荷輸送物質、分散剤および結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶剤にボールミル、アトライター、サンドミルなどにより溶解ないし分散させ、これを適度に希釈して塗布し乾燥させればよい。塗布は浸債塗工法、スプレーコート法、ロールコート法、ブレード塗工法などを用いて行なうことができる。
結着樹脂としては、電荷輸送層の結着樹脂として例示した結着樹脂をそのまま用いることができ、また電荷発生層の結着樹脂として例示した結着樹脂と混合して用いてもよい。
また、ピリリウム系染料およびビスフェノールA型ポリカーボネートから形成される共晶錯体に、電荷輸送物質を添加した単層型の感光層も、適当な溶媒を用い、上記と同様な塗工法により形成することができる。
さらに単層型の感光層には、必要により可塑剤やレべリング剤、酸化防止剤などを添加することもできる。
このようにして形成される単層型の感光層の膜厚は、5〜50μm程度が適当である。
保護層(31)は感光体(感光体)の耐久性向上の目的で設けられる。
保護層に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。
保護層(31)には、耐摩耗性を向上させる目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂、また酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、シリカおよびそれらの表面処理品等の無機材料を添加することができ、さらに電荷輸送物質を加えたものを用いることができる。
保護層(31)の形成法としては、通常の塗布法を用いることができる。なお、保護層(31)の厚さは0.1μm〜10μmが適当である。
また、以上の他に真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなどの公知の材料も保護層(31)として用いることができる。
本発明においては感光層(25)と保護層(31)との間に別の中間層を設けることも可能である。
前記別の中間層は一般に樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としてはポリアミド、アルコール可溶性ナイロン樹脂、水溶性ブチラール樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。前記別の中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法を用いることができる。なお、膜厚は0.05〜2μmが適当である。
本発明の感光体の特徴について説明する。
本発明の感光体の中間層についての凹部面積率Smrは下記式(1)で定義される。
Smr=Scut/Sk (1)
(Skは基準面積を示しScutは基準面積にて得られた3次元表面形状曲面を平均高さ面(全測定データの高さ値を平均した高さにて構成される面)にて切断して得られる断面積を示す)
そして、本発明においては前記凸部面積率Smrは下記式(2)を満たすことを特徴としている。
0.2≦Smr≦0.6 (2)
ここで本発明におけるScutとは、JIS B 0601−2001で定義される粗さ曲線の負荷長さRmr(50%)を面方向に拡張して得た値である。
中間層の表面の凹部の測定は市販のレーザー顕微鏡により可能である。たとえば次のようなレーザー顕微鏡が利用可能である。
・(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、VK−8700
・(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機
・オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000
・レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130
個々の凹形状のScut値が1μm以下となる場合でもレーザー顕微鏡および光学顕微鏡による観察が可能であるが、より精度を高める場合には、次の如き電子顕微鏡による観察を行うことが好ましい。
・(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−9500GII、VK−9700
・(株)島津製作所のナノサーチ顕微鏡SFT−3500の如きバイオレットレーザー顕微鏡
・(株)キーエンス製のリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800、VE−8800、VE−9800
・日本電子(株)製のキャリースコープJCM−5100
感光体の中間層表面において形成される複数の凹部はすべてが同一の形状、大きさ、深さであってもよいし、あるいは異なる形状、大きさのものが混在していてもよい。
なお、中間層の表面形状の解析は中間層単独膜を直接測定してもよいし、中間層の上に感光層を積層したものは感光層を剥離し、析出した中間層を必要に応じて洗浄した後、断面曲線を測定することで解析することが可能である。
次に、本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置について詳しく説明する。なお、画像形成方法は電子写真方法とも称され、画像形成装置は電子写真装置とも称される。
前述のように、本発明の画像形成方法は、感光体に帯電を施す帯電工程と、帯電した感光体の表面に静電潜像を書き込む露光工程と、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する現像工程と、感光体表面のトナー像を被転写体に転写する転写工程と、被転写体上のトナー像を定着させる定着工程とを有し、必要により他の工程を有することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により実施できる。本発明の画像形成装置は、感光体と、潜像を担持する感光体と、感光体表面に帯電を施す帯電手段と、帯電した該感光体の表面に静電潜像を書き込む露光手段と、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し現像する現像手段と、感光体潜像担持体表面に現像されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、被転写体上のトナー像を定着させる定着手段とを備え、必要により他の手段を有することができる。
図4は、本発明の画像形成方法(電子写真方法)ならびに画像形成装置(電子写真装置)を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図4において、感光体(感光体)(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電手段である帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写手段である転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャと分離チャージャを併用したものや転写ローラが効果的である。
また、露光手段である画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。図4中、符号4はイレーサ、符号8はレジストローラ、符号12は分離爪を示す。
現像手段である現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、被転写体である被転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(感光体)(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)および/またはクリーニングブレード(15)により、感光体(感光体)より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
以上の図示した画像形成方法(電子写真方法)は、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、画像形成装置(電子写真装置)を構成する画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内にプロセスカートリッジの形でその装置内に組み込まれていてもよい。
プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。すなわち、プロセスカートリッジは、感光体と、感光体上の静電潜像をトナーにより現像する現像手段とを一体に備え、画像形成装置本体に着脱可能に構成することができる。
プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、イマジオMF200((株)リコー製)に使用されているカートリッジを図5に示す。図5はプロセスカートリッジを使用した電子写真装置の一例を示す図であり、この装置について以下説明する。図中、符号101は感光体である。
まず、帯電手段である帯電装置(102)により、感光体が帯電される。感光体が帯電された後、露光手段である露光装置から露光(103)を受け、露光された部分で、電荷が発生し、感光体表面に静電潜像が形成される。感光体表面に静電潜像を形成した後、現像手段である現像装置(104)を介して現像剤と接触し、トナー像を形成する。感光体表面に形成されたトナー像は、転写手段である転写装置(106)により紙などの被転写体(105)へ転写され、定着手段である定着装置(109)を通過してハードコピーとなる。
感光体(101)上の残留トナーはクリーニングブレード(107)により除去され、残留電荷は除電ランプ(108)で除かれて、次の電子写真サイクルに移る。この装置においては、被転写体(105)、転写装置(106)、除電手段である除電ランプ(108)、定着装置(109)はカートリッジ部分には含まれていない。
一方、光照射工程は、画像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、画像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
[実施例1]
肉厚3mm、長さ970mm、外径Φ80mmのアルミニウムドラムに、下記組成の中間層塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次塗布乾燥することにより、5μmの中間層、1μmの電荷発生層、30μmの電荷輸送層を形成した。
〔中間層〕
下記組成分からなる混合物をボールミルで72時間分散し、中間層用塗工液を作成した。
〔中間層用塗工液の組成分〕
・酸化チタン粒子T: 120質量部
(純度:99.7%、ルチル化率99.1%、平均一次粒子径0.25μm)
・酸化チタン粒子T 30質量部
(純度:99.8%、アナターゼ型、平均一次粒子径0.40μm)
・アルキッド樹脂: 84質量部
(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)DIC社製)
・メラミン樹脂 : 47質量部
(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、DIC社製)
・メチルエチルケトン: 1330質量部
・シクロヘキサノン : 570質量部
得られた中間層用塗工液を直径φ80mm、長さ970mmの切削アルミニウム素管上にスプレー塗布し、150℃で35分間乾燥して膜厚5μmの中間層を形成した。
〔電荷発生層〕
下記組成分からなるミルベースをボールミルにて72時間分散を行なった。
〔ミルベースの組成分〕
・下記構造式(X)に示す非対称ジスアゾ顔料: 10質量部
Figure 0006489432
・無金属フタロシアニン顔料: 5質量部
・ポリビニルブチラール(Butvar−B90): 3質量部
・シクロヘキサノン: 150質量部
分散終了後得られた分散物にシクロヘキサノン250質量部、2-ブタノン1200質量部を加え3時間分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作成した。
得られた電荷発生層用塗工液を前記中間層上に塗布し、膜厚1μmの電荷発生層を形成した。
〔電荷輸送層〕
下記組成分を溶解し、電荷輸送層用塗工液を作成した
〔電荷輸送層用塗工液の組成分〕
・下記構造式(Y)に示す化合物: 7質量部
Figure 0006489432
・ポリカーボネート樹脂(TS−2040:帝人化学社製): 11質量部
・シリコーンオイル(KF−50:信越化学工業社製): 0.002質量部
・酸化防止剤(SumilizerTPS:住友化学社製): 0.08質量部
・下記構造式(Z)に示す化合物: 0.5質量部
・テトラヒドロフラン: 90質量部
・シクロヘキサノン: 160質量部
Figure 0006489432
得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に塗布し、155℃60分間乾燥して平均膜厚30μmとなるように電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
[実施例2]
実施例1における中間層の溶媒を下記の通り変更した以外は実施例1と同様にして感光体を得た。
メチルエチルケトン:1330質量部(実施例1)を1620質量部に変更
シクロヘキサノン:570質量部(実施例1)を280質量部に変更
[比較例1]
実施例1における中間層の溶媒を下記の通り変更した以外は実施例1と同様にして感光体を得た。
メチルエチルケトン:1330質量部(実施例1)を1720質量部に変更
シクロヘキサノン:570質量部(実施例1)を180質量部に変更
[実施例3]
実施例1における酸化チタン粒子Tを下記の通り変更した以外は実施例1と同様にして感光体を得た。
酸化チタン粒子T(純度:99.8%、アナターゼ型、平均一次粒子径0.40μm)30質量部(実施例1)を酸化チタン粒子T(純度:99.99%、ルチル化率90.1%、平均一次粒子径0.13μm)30質量部に変更
[実施例4]
実施例1における酸化チタン粒子Tを下記の通り変更した以外は実施例1と同様にして感光体を得た。
酸化チタン粒子T(純度:99.8%、アナターゼ型、平均一次粒子径0.4μm)30質量部(実施例1)を酸化チタン粒子T(純度:99.99%、ルチル化率46.7%、平均一次粒子径0.07μm)30質量部に変更
[実施例5]
実施例1における酸化チタン粒子Tと酸化チタン粒子Tを下記の通り変更した以外は実施例1と同様にして感光体を得た。
酸化チタン粒子T(純度:99.7%、ルチル化率99.1%、平均一次粒子径0.25μm)120質量部(実施例1)を酸化チタン粒子T(純度:99.1%、ルチル化率99.1%、平均一次粒子径0.25μm)85質量部に変更
酸化チタン粒子T(純度:99.8%、アナターゼ型、平均一次粒子径0.4μm):30質量部(実施例1)を酸化チタン粒子T(純度:99.99%、ルチル化率46.7%、平均一次粒子径0.07μm)65質量部に変更
[実施例6]
実施例1における酸化チタン粒子Tと酸化チタン粒子Tを下記の通り変更した以外は実施例1と同様にして感光体を得た。
酸化チタン粒子T(純度:99.7%、ルチル化率99.1%、平均一次粒子径0.25μm)120質量部(実施例1)を酸化チタン粒子T(純度:99.1%、ルチル化率99.1%、平均一次粒子径0.25μm)130質量部に変更
酸化チタン粒子T(純度:99.8%、アナターゼ型、平均一次粒子径0.4μm)30質量部(実施例1)を酸化チタン粒子T(純度:99.8%、アナターゼ化率80%、平均一次粒子径0.036μm)20質量部に変更
[実施例7]
実施例4における中間層の膜厚5μmを変更し、膜厚3.5μmとなるようにスプレー塗工を調整して行った以外は実施例4と同様にして感光体を得た。
[実施例8]
実施例4における中間層の膜厚5μmを変更し、膜厚4μmとなるようにスプレー塗工を調整して行った以外は実施例4と同様にして感光体を得た。
[実施例9]
実施例4における中間層の膜厚5μmを変更し、膜厚7μmとなるようにスプレー塗工を調整して行った以外は実施例3と同様にして感光体を得た。
[実施例10]
実施例4における中間層の膜厚5μmを変更し、膜厚10μmとなるようにスプレー塗工を調整して行った以外は実施例4と同様にして感光体を得た。
[比較例2]
実施例4の中間層における溶媒を下記の通り変更した以外は実施例4と同様にして感光体を得た。
メチルエチルケトン:1330質量部(実施例1)を570質量部に変更
シクロヘキサノン:570質量部(実施例1)を1330質量部に変更
[比較例3]
実施例4の中間層における溶媒を下記の通り変更した以外は実施例4と同様にして感光体を得た。
メチルエチルケトン:1330質量部(実施例1)を1900質量部に変更
シクロヘキサノン:570質量部(実施例1)を0質量部に変更
[比較例4]
実施例4の中間層における溶媒を下記の通り変更し、更に塗工方法をスプレー方式からディッピング方式に変更した。
メチルエチルケトン:1330質量部(実施例1)を500質量部に変更
シクロヘキサノン:570質量部(実施例1)を0質量部に変更
<試験>
実施例1〜実施例10および比較例1〜比較例4で作成した感光体およびこれを用いた画像形成装置について下記(1)と(2)の試験を行った。なお、感光体中のシクロヘキサン含有率を下記(3)の条件で測定した。評価結果を下記表2に示す。
(1)感光体の中間層の表面形状測定
感光体の中間層の凹凸形状はコンフォーカル顕微鏡(レーザーテック社製)を用い、ドラム周方向任意一点についてドラム端部から194mm毎に観察した。データ解析を実施し中間層表面の凹部のSmrを算出した。また、測定パラメータは以下の様に定めた。
基準面積(Sk)=100μm
カットオフ値(λs)=0.25μm
カットオフ値(λc)=0.08μm
中間層は後述する耐久試験終了後、感光体をドラム周方向任意一点についてドラム端部から194mm毎に20mm×20mmの矩形状に感光層をカッターで剥離し、露出される中間層に対して断面曲線を測定した。中間層に付着する電荷発生層はメタノールで拭きとった。中間層の断面曲線は塗工直後に単独膜を測定した場合と感光層を塗布後、感光層を剥離して計測した場合で有意な違いは認められなかった。
(2)地肌汚れ試験
以上の通り作製した感光体をリコー社製imagio MP W7140に搭載し、25℃55%RH環境下で画像濃度が6%となるテキスト画像パターンを連続プリントした。試験開始時の感光体の帯電電位は−800Vとなるよう帯電器のグリッドバイアスで調整した。プリント用紙はNBSリコーMyPaper:841mm×200mを用い、A1サイズ全面に現像した。トナーと現像剤は純正品を使用した。地肌汚れを5段階に分けて、地肌汚れが市場実績から許容されなくなるレベルまでプリントを行った。そこで、地肌汚れ耐久性の評価は試験が可能だった感光体走行距離の長さで評価した。
(3)感光体のシクロヘキサノン含有率分析
感光体はAl支持体ごと適当な大きさに切り出し測定試料とした。塗膜質量は切り出した試料から、Al支持体の質量を差し引いたものとした。感光体に含まれるシクロヘキサノンはガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)法〔装置:島津製作所社製QP−2010、カラム:Ultra ALLOY−5 L=30m I.D=0.25mm Film=0.25μm〕により分析した。
Figure 0006489432
上記表1の結果から明らかなように、中間層の表面形状において0.2≦Smr≦0.6である本発明の感光体はいずれも地肌汚れがなく、耐久性に優れ走行距離が20km以上である。特に、高純度で且つ平均一次粒子径の異なる二種の酸化チタン粒子含有する中間層を用いることで、画像上黒斑点等の異常画像がない良好な特性を示す感光体が得られる。さらに、ルチル化率が30%〜60%である酸化チタンを含むことで、黒斑点等の異常画像の発生をさらに抑制し改良することができる。 また、本発明感光体を用いた電子写真装置も良好な特性を示すものが得られるようになる。
一方、中間層の表面形状において0.2≦Smr≦0.6の範囲を満たさない比較例1乃至比較例4の場合には、いずれも地肌汚れが発生し、耐久性も悪い(走行距離は10km)。
すなわち、本発明の感光体は、地肌汚れが抑制され、耐久性に優れ長寿命であるため、長期の繰り返し使用でも画像濃度ムラや地汚れ等の異常画像の発生が抑制され、安定して高品質の画像形成が可能である。このような感光体を用いれば、複写機、レーザープリンターあるいは普通ファクシミリ等の画像形成装置や画像形成方法において強く要請されている高速化、小型化、カラー化、高画質化、易メンテナンス性に対応することができる。
<図1〜図3の符号について>
21 導電性支持体
23 中間層
25 感光層
27 電荷発生層
29 電荷輸送層
31 保護層
<図4の符号について>
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 被転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
<図5の符号について>
101 感光体
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 被転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
108 除電ランプ
109 定着装置
特許第3878445号公報 特開2012−063720号公報

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に中間層及び感光層を有する感光体であって、
    前記中間層は金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含有し、
    前記中間層の下記式(1)で定義される凹部面積率Smrが下記式(2)を満たし、
    前記中間層の膜厚が4μm以上7μm以下であることを特徴とする感光体。
    Smr=Scut/Sk (1)
    0.4≦Smr≦0.6 (2)
    (但し、式(1)中、Skは基準面積を示しScutは基準面積にて得られた3次元表面形状曲面を平均高さ面(全測定データの高さ値を平均した高さにて構成される面)にて切断して得られる断面積を示す。)
  2. 前記金属酸化物粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1に記載の感光体。
  3. 前記中間層に含有される金属酸化物粒子の平均一次粒子径が0.18μm以上0.22μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光体。
  4. 前記中間層に含有される金属酸化物粒子が、平均一次粒子径の異なる二種の金属酸化物粒子Tおよび金属酸化物粒子Tの混合体からなり、かつ一方の金属酸化物粒子Tの平均一次粒子径(D)が0.05μm<D<0.10μmであることを特徴とする請求項3に記載の感光体。
  5. 前記金属酸化物粒子として、ルチル化率が30%〜60%である酸化チタン粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の感光体。
  6. 前記感光体中に、シクロヘキサノンが10ppm以上100ppm以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の感光体。
  7. 感光体に帯電を施す帯電工程と、
    帯電した感光体の表面に静電潜像を書き込む露光工程と、
    感光体表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する現像工程と、
    感光体表面のトナー像を被転写体に転写する転写工程と、
    被転写体上のトナー像を定着させる定着工程と、
    を有する画像形成方法であって、
    前記感光体が、請求項1乃至のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成方法。
  8. 潜像を担持する感光体と、
    感光体表面に帯電を施す帯電手段と、
    帯電した該感光体の表面に静電潜像を書き込む露光手段と、
    感光体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し現像する現像手段と、
    感光体潜像担持体表面に現像されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
    被転写体上のトナー像を定着させる定着手段と、
    を備える画像形成装置であって、
    前記感光体が、請求項1乃至のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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