JP2002162763A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP2002162763A
JP2002162763A JP2000362548A JP2000362548A JP2002162763A JP 2002162763 A JP2002162763 A JP 2002162763A JP 2000362548 A JP2000362548 A JP 2000362548A JP 2000362548 A JP2000362548 A JP 2000362548A JP 2002162763 A JP2002162763 A JP 2002162763A
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Kazushige Morita
和茂 森田
Tomoki Nakamura
知己 中村
Yuriko Shinto
ゆり子 新堂
Yoshihide Shimoda
嘉英 下田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化された高速プロセスでも、光キャリア
発生能力が高く、電荷輸送層へのキャリア注入が行われ
やすく高感度であり、膜厚減少も発生し難く、電子写真
特性と耐久性とを両立することのできる電子写真用感光
体を提供する。 【解決手段】 プロセススピードが100mm/sec
以上である電子写真プロセスに用いる感光体であって、
該感光体が電荷発生層と電荷輸送層とを積層してなり、
該電荷発生層中の電荷発生材料がオキソチタニルフタロ
シアニン(TiOPc)でかつ、CuKα特性X線回折
スペクトルにおいてブラッグ角2θ=27.3°±0.
2°にピ−クを有し、電荷発生層のイオン化ポテンシャ
ル(IpCG)と電荷輸送層のイオン化ポテンシャル
(IpCT)が下記式を満足し、前記電荷輸送層中の電
荷輸送材料/バインダー比が10/14〜10/20で
かつ、電荷輸送層の移動度が電界強度20V/μmにお
いて1×10−6cm/V・sec以上であることを
特徴とする電子写真用感光体、及び該感光体を搭載した
電子写真装置。 IpCT − IpCG ≧ 0 (eV)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真用感光体
および該感光体を用いた電子写真装置に関し、詳しく
は、有機材料を含む感光層が導電性基体上に積層された
電子写真用感光体であって、電子写真方式のプリンタ
ー、複写機、FAXなどに用いられる感光体および該感
光体を用いた電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真用感光体は、有機光導電
材料を用いた有機電子写真用感光体が、無公害、低コス
ト、材料選択の自由度より感光体特性を様々に設計でき
る点から、数多く提案され、実用化されている。有機電
子写真用感光体の感光層は、主として有機光導電材料を
樹脂に分散させた層からなり、電荷発生材料を樹脂に分
散させた層(電荷発生層)と電荷輸送材料を樹脂に分散
させた層(電荷輸送層)を積層させた構造や、電荷発生
材料および電荷輸送材料を樹脂に分散させた単層構造な
どが数多く提案されている。中でも、感光層として、電
荷発生層の上に電荷輸送層を積層させた機能分離型の感
光体は、電子写真特性や耐久性にすぐれ、広く実用化さ
れている。このような電荷輸送層の多くは、主成分とし
て電荷輸送物質とバインダー樹脂とからなるものが用い
られている。実用的な感光体は電荷輸送物質とバインダ
−樹脂の重量比は4:6〜6:4の範囲で用いられる。
これは、適切な耐摩耗性、感度、繰り返し特性を維持す
るためである。また、近年複写機、プリンターは共にモ
ノクロからカラーに向かい、マシン本体の小型化、高速
化が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、高速マシン
の小型化及びプロセス配置の緻密化は、感光体も小径で
高耐刷化しなければならない。通常の帯電プロセスでは
有害なオゾンや窒素酸化物が発生するといった問題があ
り、マシンの設計としてはプロセス周辺にファンを設置
し、有害物質を排出する方法が一般的ではあるが、フル
カラーのマシンでの帯電ムラは即座に画像ムラとして現
れ致命傷である。また、有害なオゾンや窒素酸化物は感
光体に多大なダメージを引き起こす。例えば、メインチ
ャージャー直下において活性種が感光体塗膜中に吸着
し、感光体の一部の抵抗が下がり、潜像が乱れる。ま
た、繰り返しダメージを受けた場合は電荷輸送材料(C
TM)が分解し帯電が一部落ちるという現象も引き起こ
される。
【0004】一方、感光体において耐摩耗性向上を行う
ために、バインダー樹脂の改良やバインダー樹脂比の増
大などを行うと、結果として電荷輸送層中の移動度が低
下することで感光体の光応答性が低下するため、高速プ
ロセスへの適用が困難である。また、応答性が悪いため
に、感光体の表面電位が十分に減衰していない状態で繰
り返し使用すると残留電位上昇に伴う電位変化が増大
し、早期に画像品質の低下を招く等の弊害を伴う。特許
第2564875号公報では無金属フタロシアニンを使
用し電荷発生層、電荷輸送層のイオン化ポテンシャルと
の関係の最適化が行われているが、無金属フタロシアニ
ンでは一部の結晶形以外は光キャリア発生能力が高くな
く感度が悪い。光キャリア発生能力が高い結晶形は熱キ
ャリアが非常に多く帯電ムラが発生し画像濃度に現れ
る。いわゆる電子写真プロセスのスピードが100mm
/secを超えるような高速では使用できない恐れがあ
る。
【0005】特開平6−250421号公報ではオキソ
チタニルフタロシアニンを使用し、電荷発生物質と電荷
輸送物質の仕事関数についての最適化が行われ、感光体
が1回転する時間を1.5秒以下にすることが提案され
ているが、この場合には物質の仕事関数で設計されてい
るためポリマーや酸化防止剤との相互作用が一切無視さ
れ特性が安定しない恐れがある。また、感光体の回転す
る時間を規定されているが小型、高速化についてのもの
ではなく、十分な特性が得られていないのが現状であ
る。すなわち、最近のデジタル複写機、プリンタ−等の
電子写真装置は小型化,高速化が要求されており、感光
体特性としては耐摩耗性向上による長寿命化と高速化に
対応した高感度化及び有害なオゾンや窒素酸化物に対し
て強いこと等すべてが要求されるが、これまで提案され
た感光体ではまだまだ不十分であった。本発明は、上記
の問題点を解決するためになされたもので、その目的
は、小型化された高速プロセスでも、光キャリア発生能
力が高く、電荷輸送層へのキャリア注入が行われやすく
高感度であり、膜厚減少も発生し難く、電子写真特性と
耐久性とを両立することのできる電子写真用感光体を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子写真用
感光体は、図1に示すような電荷発生層と電荷輸送層と
を積層してなる機能分離型の積層感光体であり、プロセ
ススピードが100mm/sec以上の電子写真プロセ
スに用いることを特徴とする電子写真用感光体である。
このような感光体では、電荷発生材料としてフタロシア
ニンがよく用いられるが、オキソチタニルフタロシアニ
ンは汎用のレーザー光に対し大きな吸光特性を有し高感
度、高キャリア発生能力である。一方、電荷発生層と電
荷輸送層のイオン化ポテンシャルの関係を最適化するこ
とで、発生したキャリアが電荷発生層から電荷輸送層に
障壁とならずにスムーズに注入を行う事ができる。ま
た、高耐刷化は単に電荷輸送層におけるバインダー樹脂
の含有率を上げるのみでは、これに伴って電荷輸送材料
の比率が下がることとなり、よって感光体の感度が低下
することが予想される。また、バインダー樹脂の含有率
を下げると、感光体の感度は向上するが、感光体の耐久
性が落ちることとなる。本発明の感光体では、上記電荷
輸送層の電荷輸送材料/バインダー比を最適に決定する
ことにより、耐久性と電子写真特性とを両立した感光体
を提供する。
【0007】従来、使用される感光体においては、電荷
輸送材料/バインダー比は通常10/10〜10/12
程度に設定されているが、本発明の上記感光体は、電荷
輸送材料/バインダー比が10/14〜10/20であ
り、電荷輸送層の移動度が電界強度20V/μmにおい
て1×10−6cm/V・sec以上であることで小
型化、高速プロセスでも耐久性に優れ、電子写真特性も
良好である。即ち本発明は、プロセススピードが100
mm/sec以上である電子写真プロセスに用いられる
感光体であって、該感光体が電荷発生層と電荷輸送層と
を積層してなり、該電荷発生層中の電荷発生材料がオキ
ソチタニルフタロシアニン(TiOPc)でかつ、Cu
Kα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ
±0.2°=27.3°にピ−クを有し、電荷発生層の
イオン化ポテンシャル(IpCG)と電荷輸送層のイオ
ン化ポテンシャル(IpCT)が下記式を満足し、前記
電荷輸送層中の電荷輸送材料/バインダー比が10/1
4〜10/20でかつ電荷輸送層の移動度が電界強度2
0V/μmにおいて1×10−6cm/V・sec以
上であることを特徴とする電子写真用感光体である。 IpCT − IpCG ≧ 0 (eV)
【0008】該電子写真用感光体を用いることにより、
反転現像を用いるデジタルプロセスにおいて、汎用のレ
ーザー光に対し大きな吸光特性を有し、高感度である。
小型化された高速プロセスでも、光キャリア発生能力が
高く、電荷輸送層(CTL)へのキャリア注入が行われ
やすく高感度であり、膜厚減少も発生し難く、電子写真
特性と耐久性とを両立することのできる電子写真用感光
体が得られる。
【0009】本発明では、上記感光体の電荷輸送層にお
ける電荷輸送材料として、下記一般式(1)で表される
トリフェニルアミン誘導体化合物が使用される。
【化10】 (式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、または置
換アミノ基を表わす。Rは、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、または置
換アミノ基を表わす。) 上記化合物は、ホール輸送特性が高いため、上述のよう
なバインダ−リッチになっても高移動度で高感度を維持
できる。
【0010】本発明では、上記感光体の電荷輸送層にお
ける電荷輸送材料としては、下記一般式(1)で表され
るアミンスチリル誘導体化合物が使用される。
【化11】 (式中、Arは置換基を有しても良いアリール基を表
し、Arは置換基を有しても良いフェニレン基、ナフ
チレン基、ビフェニレン基、あるいはアントリレン基を
表し、Rは水素原子、低級アルキル基または低級アル
コキシ基を表し、Xは水素原子、置換基を有しても良い
アルキル基または置換基を有しても良いアリール基を表
し、Yは置換基を有しても良いアリール基または下記一
般式(3)で表される基を表わす。
【化12】 (式中、Rは前記と同じ基を表す。) 上記化合物は、ホール輸送特性が高いため、上述のよう
なバインダーリッチになっても高移動度で高感度を維持
できる。また、化合物としてオゾンや窒素酸化物などに
より損傷を受け難い。
【0011】本発明では、電荷輸送層中に含有される酸
化防止剤が下記一般式(5)で示されるヒンダードアミ
ン化合物が使用される。
【化13】 (式中、R、R、R及びRは水素原子、アルキ
ル基もしくはアリール基表し、Zは含窒素飽和複素環を
形成するのに必要な原子団、並びにX及びYは有機残基
を表す。更にR、Rの組及びR、Rの組の夫々
において、それらの1つは該含窒素飽和複素環の中に組
込まれて二重結合を形成してもよい。式中、A、Bおよ
びCはそれぞれ水素原子または一価の有機残基を表し、
及びR はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒド
ロキシル基または置換基を有していてもよいアルキル基
を表す。) 上記化合物を電荷輸送層中に含有させることで、オゾン
や窒素酸化物などにより損傷を受け難く、耐久性に富む
感光体が得られる。
【0012】本発明では、電荷輸送層中に含有されるヒ
ンダードアミン化合物が下記構造式(6)で示される化
合物が使用される。
【化14】 上記特定の化合物を用いることによりさらにオゾンや窒
素酸化物などにより損傷を受け難く、耐久性に富む感光
体が得られる。本願の第8の発明では、電荷輸送層中に
含有されるヒンダードアミン化合物が上記構造式(6)
で示される化合物が使用される場合、電荷輸送材料10
0重量部に対して0.05重量部以上20重量部以下含
有することにより初期感度の低下や繰り返し特性の悪化
という弊害を防止することができ、かつオゾンや窒素酸
化物などにより損傷を受け難く、耐久性に富む感光体が
得られる。
【0013】本発明では、電荷輸送層中に含有されるヒ
ンダードアミン化合物が下記構造式(7)で示される化
合物が使用される。
【化15】 上記特定の化合物を用いることによりさらにオゾンや窒
素酸化物などにより損傷を受け難く、耐久性に富む感光
体が得られる。本発明では、電荷輸送層中に含有される
ヒンダードアミン化合物が上記構造式(7)で示される
化合物が使用される場合、電荷輸送材料100重量部に
対して0.05重量部以上10重量部以下含有すること
により初期感度の低下や繰り返し特性の悪化という弊害
を防止することができ、かつオゾンや窒素酸化物などに
より損傷を受け難く、耐久性に富む感光体が得られる。
【0014】本発明では、電荷輸送層中に含有される酸
化防止剤として少なくとも2種類以上のヒンダードアミ
ン化合物が併用される。特定の酸化防止剤を2種類以上
併用することでオゾンや窒素酸化物などに対し相乗効果
によりさらに損傷を受け難く、耐久性に富む感光体が得
られる。本発明では、電荷輸送層のバインダー樹脂とし
て下記上記構造式(8)で表されるポリカーボネート
(ビスフェノールZ型ポリカーボネート)が使用され
る。
【化16】 (式中、nは10〜1000の整数を表す。) 該ポリカーボネートは耐摩耗性が良いため、バインダー
比10/14でも十分な耐久性を有し長寿命を達成でき
る。
【0015】本発明では、電荷輸送層のバインダー樹脂
として少なくとも2種類以上のポリカーボネートが使用
される。耐摩耗性が良い為、バインダー比10/14で
も十分な耐久性を有し長寿命を達成できる。また、樹脂
の分子量を幅広く選択でき、膜べりと塗布液の粘度を調
整しやすい。本発明では、電荷輸送層に潤滑剤(シリコ
ンオイル、ポリフッ化ビニリデン等)を含有させる。こ
れにより、感光体の表面性が良くなり、耐久性が向上す
る。本発明では、導電性支持体と感光層との間に下引き
層が形成されることで、基盤からの電荷の注入による微
小黒点やカブリによる画像欠陥を生じ難くなる。また、
環境特性が安定する。本発明では、前記本発明の電子写
真用感光体を搭載してなる電子写真装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に、本発明について1つの実
施形態である機能分離型感光体の概略断面を示す。図
中、1は導電性支持体(基体)を、2は電荷発生層を、
3は電荷輸送層を、4は感光層を、5は下引き層を表
す。次に、本発明における有機電子写真用感光体の材料
について説明する。基体としては導電性を有するもの、
例えば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ス
テンレス、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウ
ム、チタン、金、白金等の金属及び合金材料を用いるこ
とができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金、
酸化錫、金や酸化インジウム等を蒸着または塗布したポ
リエステルフィルム、紙及び金属フィルム、導電性粒子
を含有するプラスチックや紙、ならびに導電性ポリマー
を含有するプラスチック等を用いることができる。これ
らの材料は、円筒状、円柱状、または薄膜シート状に加
工して用いられる。特に本発明に用いられる導電性基体
は、円筒状であることが好ましい。
【0017】感光層の形成にあたり、導電性基体の傷及
び凸凹の被覆、繰り返し使用時の帯電性の劣化防止、低
温/低湿環境下での帯電特性の改善等の理由により、導
電性基体と感光層(電荷発生層/電荷輸送層)との間に
下引き層を設ける場合がある。導電性支持体と感光層と
の間に設けられる下引き層中には酸化チタンを含有させ
ることができる。含有する酸化チタン粒子の形状として
は、図2に示されるように、針状及び樹枝状のうち少な
くともいずれかの酸化チタンが用いられる。
【0018】針状とは、棒状、柱状や紡錘状などを含む
細長い形状である。図の長軸長aと短軸長bとの比a/
bであるアスペクト比が1.5以上の形状を指す。した
がって、必ずしも極端に細長いものでなくてもよく、先
端が鋭くとがっている必要もない。アスペクト比の平均
値は1.5以上300以下の範囲が好ましいが、2 以上
10以下の範囲がより好ましい。この範囲よりも小さけ
れば針状としての効果が得られにくく、またこの範囲よ
り大きくても針状としての効果は変わらない。樹枝状と
は、棒状、柱状や紡錘状などを含む細長くかつ枝分かれ
している形状を指す。従って、必ずしも極端に細長い形
状でなくてもよく、先端が鋭くとがった形状である必要
もない。樹枝状の酸化チタン粒子の粒径は、短軸長が1
μm以下で、長軸長が100μm以下であることが好ま
しいが、短軸長が0.5μm以下で、長軸長が10μm
以下であることがより好ましい。粒径がこの範囲内にな
い場合、金属酸化物や有機化合物により表面処理を施し
ても分散安定性のある下引き層用塗布液が得られにく
い。
【0019】粒径およびアスペクト比を測定する方法と
しては、重量沈降法や光透過式粒度分布測定法などの方
法でも測定可能であるが、針状または樹枝状であるの
で、直接電子顕微鏡で測定する方が好ましい。下引き層
には上記の針状または樹枝状の酸化チタン粒子が含有さ
れるが、下引き層用塗布液として長期間酸化チタンの分
散性が保持され、下引き層として均一な膜を形成するに
はバインダー樹脂が含有されていることがより好まし
い。前記針状または樹枝状の酸化チタン粒子の含有率と
しては、10重量%以上99重量%以下、好ましくは3
0重量%以上99重量%以下、さらに好ましくは35重
量%以上95重量%以下の範囲である。10重量%より
少ない含有率であれば、感度が低下し、下引き層中に電
荷が蓄積され残留電位が増大する。特に低温低湿下での
繰り返し特性において顕著になる。また、99重量%よ
り多い含有率であれば下引き層用塗布液の保存安定性が
悪くなり、酸化チタン粒子の沈降が起こりやすくなるた
めに好ましくない。
【0020】また、本発明においては、針状または樹枝
状の酸化チタン粒子と粒状の酸化チタン粒子とを混合し
たものを用いてもよい。針状または樹枝状及び粒状のい
ずれの酸化チタンを用いる場合にも、酸化チタンの結晶
形としては、アナターゼ型とルチル型、アモルファスな
どがあるが、いずれを用いてもよく、また2種以上混合
してもよい。酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値につい
ては、10〜10 Ωcmが好ましい。粉体の体積
抵抗値が10Ωcmより小さくなると、下引き層とし
ての抵抗値が低下し電荷ブロッキング層として機能しな
くなる。例えば、アンチモンをドープした酸化錫導電層
などの導電処理を施した金属酸化物粒子の場合には、1
Ωcmないし10Ωcmと非常に粉体の体積抵抗
値が低くなり、これを用いた下引き層は電荷ブロッキン
グ層として機能せず感光体特性としての帯電性が悪化す
るために、画像にカブリや黒点が発生するために使用す
ることはできない。また、酸化チタン粒子の粉体の体積
抵抗値が1010Ωcm以上に高くなってバインダー樹
脂自身の体積抵抗値と同等あるいはそれ以上になると、
下引き層としての抵抗値が高過ぎて、光照射時に生成し
たキャリアの輸送が抑制阻止され、残留電位が上昇し光
感度が低下するので好ましくない。
【0021】酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値を上述
の範囲に維持する限り、樹枝状の酸化チタン粒子の表面
は、Al、ZrO等もしくはその混合物などの
金属酸化物で被覆させたものを用いることが好ましい。
表面未処理の酸化チタン粒子を用いると、使用する酸化
チタンの粒子が微粒子であるために十分に分散された下
引き層用塗布液であっても長期間の使用や塗布液の保管
時に酸化チタン粒子の凝集が避けらない。そのため、下
引き層を形成する際、塗布膜の欠陥や塗布ムラが発生し
画像欠陥が生じる。又、導電性支持体からの電荷の注入
が起こりやすくなるために、微小領域の帯電性が低下し
黒点が発生することになる。そこで酸化チタン粒子の表
面をAl、ZrOもしくはその混合物などの金
属酸化物で被覆させることにより酸化チタンの凝集を防
止し、非常に分散性や保存安定性に優れた下引き層用塗
布液が得られる。さらに導電性支持体からの電荷の注入
を防止することができるために、黒点のない優れた画像
特性を有する電子写真感光体が得られる。
【0022】酸化チタンの表面を被覆する金属酸化物と
しては、Al、ZrOが好ましい。又、Al
とZrOの異なる金属酸化物の両方で表面処理を
施すと、さらに優れた画像特性が得られることから、よ
り好ましい効果が発現される。SiO等の表面処理を
施した場合は、その表面が親水性を示すために有機溶剤
になじみにくくなり酸化チタンの分散性が低下し凝集を
引き起こしやすいために長期間の使用には好ましくな
い。又、Feなどの磁性を持つ金属酸化物で酸化
チタンの表面の被覆を施した場合には、感光層中に含有
するフタロシアニン顔料と化学的に相互作用が起こり、
感光体特性、特に感度低下や帯電性の低下が生じるため
に好ましくない。
【0023】酸化チタンの表面を被覆する金属酸化物と
して用いられるAl2 O3 、ZrO2 の表面処理量とし
ては、酸化チタンに対して0.1重量%から20重量%
が好ましい。0.1重量%より少ない処理量であれば、
酸化チタンの表面を十分に被覆することができないため
に表面処理の効果が発現しにくくなる。20重量%を超
える処理量であれば表面処理としては十分に施されてい
るために、特性としては変わらなくなりそれ以上ではコ
ストがかかるため好ましくない。酸化チタンの表面を被
覆する有機化合物としては、一般的なカップリング剤を
用いることができる。カップリング剤の種類としては、
アルコキシシラン化合物などのシランカップリング剤、
ハロゲン、窒素、硫黄のような原子がケイ素と結合した
シリル化剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウ
ム系カップリング剤などが挙げられる。
【0024】例えばシランカップリング剤としては、テ
トラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジ
エチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ア
ミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラ
ン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル
−1−プロペニルトリメトキシシラン、(3−アクリロ
キシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキ
シプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロ
キシプロピル)ジメチルメトキシシラン、N−3−(ア
クリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン化合
物、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等
のクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、オクタメ
チルシクロテトラシラザン等のシラザン類、イソプロピ
ルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチル
パイロホフェート)等のチタネート系カップリング剤、
アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等の
アルミニウム系カップリング剤等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0025】また、これらカップリング剤によって金属
酸化物粒子に表面処理を施したり、分散剤として使用す
る場合に、1種または2種以上のカップリン剤を併用し
て用いてもよい。金属酸化物粒子に表面処理を施す方法
としては、前処理法とインテグラルブレンド法に大別さ
れ、さらに前処理法としては湿式法と乾式法に分けられ
る。湿式法としては、水処理法、溶媒処理法に分けら
れ、水処理法としては、直接溶解法、エマルジョン法、
アミンアダクト法などの公知の方法を用いることができ
る。また、酸化チタン粒子の表面は、カップリング剤で
処理する場合にはその処理の前後において、また分散剤
として有機溶剤中に添加する場合のいずれにおいても、
酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗値を上述の範囲に維持
する限り、酸化チタン粒子の表面は未処理のものでも良
く、さらにAl、ZrO等もしくはその混合物
などの金属酸化物で被覆させたものでも良い。
【0026】下引き層に含有されるバインダー樹脂とし
ては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピ
ロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、
デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の
樹脂を用いることができるが、好ましくはポリアミド樹
脂が用いられる。その理由は、バインダー樹脂の特性と
して、下引き層の上に感光体層を形成する際に用いられ
る溶媒に対して溶解や膨潤などが起こらないことや、導
電性支持体との接着性に優れ、可とう性を有すること等
の特性が必要とされるからである。ポリアミド樹脂のう
ちより好ましくは、アルコール可溶性ナイロン樹脂を用
いることができる。例えば、6−ナイロン、66−ナイ
ロン、610−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイ
ロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N
−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキシエチ
ル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させ
たタイプなどがある。
【0027】本発明において下引き層用塗布液に使用さ
れる有機溶剤としては一般的な有機溶剤を使用すること
ができるが、バインダー樹脂としてより好ましいアルコ
ール可溶性ナイロン樹脂を用いる場合には、炭素数1〜
4の低級アルコール群と、例えばジクロロメタン、クロ
ロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロ
プロパン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジ
オキソランなどの他の有機溶媒よりなる群と、から選ば
れた単独系及び混合系の有機溶媒からなることが好まし
い。ここで、上記の有機溶媒を混合することによりアル
コール系溶媒単独よりも酸化チタンの分散性が改善さ
れ、塗布液の保存安定性(下引き層用塗布液の作成から
の経過日数を以下ポットライフと称する)の長期化や塗
布液の再生が可能となる。又、下引き層用塗布液中に導
電性支持体を浸漬塗布して下引き層を形成する際、下引
き層の塗布欠陥やムラを防止し、その上に形成される感
光層が均一に塗布できることより、膜欠陥の無い非常に
優れた画像特性を有する電子写真感光体を形成すること
ができる。
【0028】下引き層の膜厚としては、好ましくは、
0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.0
5μm以上10μm以下の範囲である。下引き層の膜厚
が0.01μmより小さければ実質的に下引き層として
機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な
表面性が得られず、導電性支持体からのキャリアの注入
を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じ
る。また、20μmよりも大きくすることは下引き層を
浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり感
光体の感度が低下するために好ましくない。下引き層用
塗布液の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、
アトライター、振動ミル、超音波分散機などがあり、塗
布手段としては、前述の浸漬法などの一般的な方法が適
用できる。
【0029】さらに、必要であれば感光層表面を保護す
るために保護層を設けてもよい。表面保護層には、熱可
塑性樹脂や、光または熱硬化性樹脂を用いることができ
る。保護層中に、紫外線吸収剤や酸化防止剤、金属酸化
物などの無機材料、有機金属化合物及び電子受容性物質
などを含有させても構わない。また、感光層と同様に保
護層には必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エス
テル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化
パラフィンなどの可塑剤を混合させて、加工性および可
塑性を付与し、機械的物性の改良を施しても良く、レベ
リング剤等の添加剤を混合しても構わない。
【0030】電荷発生層は、光照射により電荷を発生す
る電荷発生材料を主成分とし、必要に応じて公知の結合
剤、可塑剤、増感剤を含有する。電荷発生材料として
は、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物とのペリレン系
顔料、キナクリドン、アントラキノン等の多環キノン系
顔料、金属及び無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金
属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、スクエア
リウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、
及びカルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリ
フェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサ
ジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨
格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリル
カルバゾール骨格を有するアゾ顔料等が挙げられる。特
に高い電荷発生能を有する顔料としては、無金属フタロ
シアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フ
ローレン環及びフルオレノン環を含有するビスアゾ顔
料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔
料が挙げられ、高い感度を有する感光体を提供すること
ができる。ただし、本発明においては、最も高い電荷発
生能を有する有機顔料としてCuKα特性X線回折スペ
クトルにおいて、ブラッグ角2θ=27.3°±0.2
°にピ−クを有するオキソチタニルフタロシアニンを必
ず用いる。
【0031】また、結着剤樹脂溶液用の結着剤樹脂とし
ては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポ
リウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、これ
らの樹脂を溶解させる溶剤としては、アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性
溶媒等を用いることができる。
【0032】電荷発生層の作成方法としては、真空蒸着
で直接化合物を成膜する方法及び結着剤樹脂溶液中に分
散し塗布して成膜する方法が挙げられるが、一般に後者
の方法が好ましく、結着剤樹脂溶液中への電荷発生物質
の混合分散の方法及び塗布方法は、下引き層と同様の方
法が用いられる。電荷発生層中の電荷発生材料の割合
は、30〜90重量%の範囲が好ましい。電荷発生層の
膜厚は、0.05〜5μmで、好ましくは0.1〜2.
5μmの範囲である。
【0033】電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層
は、電荷発生材料が発生した電荷を受け入れ、これを輸
送する能力を有する電荷輸送材料、結着剤を必須成分と
し、必要に応じて公知の可塑剤、増感剤、潤滑剤等を含
有する。電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカル
バゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチ
ルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデ
ヒ縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニ
ルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾ
ール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチル
アミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジ
ベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラ
セン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニ
ルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミ
ン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフ
ェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチ
ル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物等の
電子供与性物質、或いはフルオレノン誘導体、ジベンゾ
チオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナ
ンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオ
キサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フ
ェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テ
トラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベ
ンゾキノン等の電子受容性物質等が挙げられる。本発明
においては特に、トリフェニルアミン誘導体、アミンス
チリル誘導体が好ましい。
【0034】本発明に用いられる前記一般式(2)で表
わされる化合物について詳述する。前記一般式(2)に
おいて、Arが置換基を有するアリール基である場
合、置換基としては、炭素数が1〜4の低級アルキル
基、炭素数が1〜4の低級アルコキシ基、炭素数が5〜
6のシクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はハ
ロゲン原子などが挙げられ、置換基が低級アルキル基あ
るいは低級アルコキシ基の場合は炭素数が1〜4の低級
アルコキシ基やハロゲン原子で更に置換されていてもよ
く、置換基がベンジル基あるいはフェニル基の場合は炭
素数が1〜4の低級アルキル基や炭素数が1〜4の低級
アルコキシ基又はハロゲン原子で更に置換されていても
よい。また、Arのアリール基としては、フェニル
基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、ピレ
ニル基などが挙げられる。
【0035】Arが置換基を有するフェニレン基、ナ
フチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基である場
合、置換基としては、炭素数が1〜4の低級アルキル
基、炭素数が1〜4の低級アルコキシ基又はハロゲン原
子などが挙げられ、置換基が低級アルキル基あるいは低
級アルコキシ基の場合は炭素数が1〜4の低級アルコキ
シ基やハロゲン原子で更に置換されていてもよい。前記
一般式(2)中のXやYが置換基を有するアリール基で
ある場合、置換基としては、Arが有することのでき
る前述した置換基と同じものが挙げられる。Xが置換基
を有するアルキル基である場合、置換基としては、炭素
数が1〜4の低級アルコキシ基、炭素数が5〜6のシク
ロアルキル基、ハロゲン原子などが挙げられる。また、
XあるいはYのアリール基としては、フェニル基、ナフ
チル基、ビフェニリル基、アントリル基、ピレニル基な
どが挙げられる。
【0036】本発明に用いられる前記一般式(2)で表
わされる化合物の具体例としては次のようなものが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】電荷輸送層を構成する結着剤樹脂として
は、電荷輸送材料と相溶性を有するものであれば良く、
例えば、ポリカーボネート及び共重合ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウ
レタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリ
ルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスル
ホン樹脂等及びそれらの共重合樹脂が挙げられる。これ
らを単独または2種以上混合して用いても良い。中で
も、ビスフェノ−ルZ型ポリカーボネート、ビスフェノ
−ルZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートの混
合が成膜性及び耐摩耗性、電気特性等の点で好ましい。
特に本発明では、ビスフェノールA型ポリカーボネート
とビフェノール型ポリカーボネートの共重合樹脂とビス
フェノ−ルZ型ポリカーボネート、ビスフェノールA型
ポリカーボネートとビフェノール型ポリカーボネートと
ポリシロキサンとの共重合樹脂とビスフェノ−ルZ型ポ
リカーボネートとの混合が好ましい。
【0045】またこれらの材料を溶解させる溶剤として
は、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル
類、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等
の脂肪族、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、クロロベン
ゼン、トルエン等の芳香族類等が挙げられる。本発明の
電荷輸送層用塗布液には、酸化防止剤としてビタミン
E、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフ
ェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン
およびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物
などを配合して用いてもよい。
【0046】本発明の電荷輸送層中には、特に前記一般
式(5)で示されるヒンダードアミン系化合物を含有さ
せることが好ましく、これらのヒンダードアミン系化合
物の中でも前記構造式(6)、(7)で示されるヒンダ
ードアミン化合物を含有させることが好ましい。それら
化合物の含有量は、構造式(6)で示されるヒンダード
アミン化合物の場合は電荷輸送材料100重量部に対し
て0.05重量部以上20重量部以下であり、好ましく
は0.1重量部以上15重量部以下、更に好ましくは
0.5重量部以上10重量%以下であり、また構造式
(7)で示されるヒンダードアミン化合物の場合は電荷
輸送材料100重量部に対して0.05重量部以上10
重量部以下であり、好ましくは0.07重量部以上7重
量部以下、更に好ましくは0.5重量部以上5重量%以
下である。
【0047】電荷輸送層用塗布液の作成は、結着剤樹脂
溶液中へ電荷輸送材料を溶解して作成され、塗布方法と
しては、下引き層及び電荷発生層と同様の方法が用いら
れる。膜厚は、10〜50μmで、好ましくは15〜4
0μmである。これらの積層感光層は前述の方法にて順
次塗布形成された後に、各感光層は熱風または遠赤外線
等の乾燥機を用いて乾燥され、感光体形成が完了され
る。乾燥は40℃〜130℃で10分〜2時間が好まし
い。
【0048】〔実施例〕 (実施例1)導電性支持体として、φ40mm×L34
0mmのアルミニウム製円筒管(ドラム)を用いた。こ
れに、酸化チタン粒子4重量部、バインダー樹脂として
共重合ナイロン樹脂(東レ社製;商品名:CM800
0)6重量部をメチルアルコール35重量部と1,2−
ジクロロエタン65重量部の混合溶媒に加えた後、その
混合溶媒をペイントシェーカーにて8時間分散して得た
下引き層用塗布液を、タンクに満たし、上記アルミ製円
筒状支持体を浸漬し、引き上げて塗工し、0.9μmの
下引き層をアルミドラム上に形成した。また、溶媒は乾
燥時に蒸発するので、酸化チタン粒子および共重合ナイ
ロン樹脂が下引き層として残り、酸化チタン粒子の含有
量は40重量%、バインダ−樹脂の含有量は60重量%
となる。
【0049】次いで、CuKα特性X線回折におけるブ
ラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.3°に
明確なピークを有するオキソチタニルフタロシアニン顔
料2部とポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製;商
品名:エスレックBMS)1部とジクロロエタン97部
とをボールミル分散機で12時間分散して、分散液を調
製し、これをタンクに満たし、前述の下引き層を設けた
アルミドラムを浸漬し、引き上げて塗布し、厚さ約0.
2μmの電荷発生層を下引き層上に形成した。次に、こ
の電荷発生層の形成に用いた塗布液をポリエチレンテレ
フタレートフイルム(PET)上にアプリケーターによ
り塗工し、110℃で30分乾燥しイオン化ポテンシャ
ル(IpCG)を表面分析装置(商品名AC−1:理研
計器(株)製)を用いて求めたところIpCGは5.5
4eVであった。
【0050】さらに、テトラヒドロフラン1200重量
部に下記構造式のトリフェニルアミン誘導体化合物10
0重量部と前記一般式(8)で表されるポリカーボネー
ト樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製;商品
名:ユーピロン(Z−200))200重量部とシリコ
ーン系レベリング剤(信越化学工業社製;商品名:KF
−96)0.0001重量部を混合したものを電荷輸送
層塗工用塗布液に調製した。上記のようにして形成され
た電荷発生層上に電荷輸送層塗工用塗布液を、浸漬塗布
し、110℃で1時間乾燥を行い、厚さ約23μmの電
荷輸送層を形成し、図1に示すような積層機能分離型感
光体を作製した。ここで、溶剤の量は、粘度、塗工性を
考慮して適時変えた。
【0051】次に、この電荷輸送層の形成に用いた塗布
液をPET上にアプリケーターにより塗工し、110℃
で30分乾燥しイオン化ポテンシャル(IpCT)を求
めたところIpCTは5.43eVであった。
【0052】
【化24】 本実施例においては、プロセススピードを117mm/
secとした電子写真プロセスで操作した。
【0053】(実施例2)電荷輸送材料を前記構造式
(I−1)で表される化合物とした以外は実施例1と同
様に感光体を形成した。電荷輸送層のイオン化ポテンシ
ャルを求めたところIpCTは5.46eVであった。 (実施例3)電荷輸送材料を前記構造式(I−2)で表
される化合物とした以外は実施例1と同様に感光体を形
成した。電荷輸送層のイオン化ポテンシャルを求めたと
ころIpCTは5.50eVであった。
【0054】(実施例4)電荷輸送材料を前記構造式
(I−3)で表される化合物とした以外は実施例1と同
様に感光体を形成した。電荷輸送層のイオン化ポテンシ
ャルを求めたところIpCTは5.45eVであった。 (実施例5)電荷輸送材料を前記構造式(I−4)で表
される化合物とした以外は実施例1と同様に感光体を形
成した。電荷輸送層のイオン化ポテンシャルを求めたと
ころIpCTは5.50eVであった。
【0055】(実施例6)電荷輸送層用塗布液における
ポリカーボネート樹脂200重量部を140重量部にす
る以外は、実施例1と同様に感光体を形成した。電荷輸
送層のイオン化ポテンシャルを求めたところIpCTは
5.42eVであった。 (実施例7)電荷輸送層用塗布液におけるポリカーボネ
ート樹脂200重量部を160重量部にする以外は、実
施例1と同様に感光体を形成した。電荷輸送層のイオン
化ポテンシャルを求めたところIpCTは5.43eV
であった。
【0056】(比較例1)電荷輸送層用塗布液における
ポリカーボネート樹脂200重量部を100重量部にす
る以外は、実施例2と同様に感光体を形成した。電荷輸
送層のイオン化ポテンシャルを求めたところIpCTは
5.45eVであった。 (比較例2)電荷輸送層用塗布液におけるポリカーボネ
ート樹脂200重量部を250重量部にする以外は、実
施例2と同様に感光体を形成した。電荷輸送層のイオン
化ポテンシャルを求めたところIpCTは5.42eV
であった。
【0057】(比較例3)電荷輸送層用塗布液における
トリフェニルアミン誘導体化合物をヒドラゾン系電荷輸
送材料である4−ジベンジルアミノ−2−メチルベンズ
アルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン(商品名
「CTC191」;(株)アナン製)にする以外は、実
施例1と同様に感光体を形成した。電荷輸送層のイオン
化ポテンシャルを求めたところIpCTは5.35eV
であった。 (比較例4)電荷輸送層用塗布液におけるトリフェニル
アミン誘導体化合物を下記構造式で表されるトリフェニ
ルアミン系電荷輸送材料にする以外は、実施例1 と同様
に感光体を形成した。電荷輸送層のイオン化ポテンシャ
ルを求めたところIpCTは5.62eVであった。
【0058】
【化25】
【0059】(比較例5)電荷発生層用塗布液における
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角( 2θ±0.
2°) が少なくとも27.3°に明確なピークを有する
オキソチタニルフタロシアニン顔料をα型チタニルフタ
ロシアニンにする以外は、実施例1と同様に感光体を形
成した。電荷発生層のイオン化ポテンシャルを求めたと
ころIpCGは5.45eVであった。 (比較例6)電荷輸送層用塗布液におけるトリフェニル
アミン誘導体化合物を下記構造式で表されるヒドラゾン
系化合物にする以外は、実施例1と同様に感光体を形成
した。電荷輸送層のイオン化ポテンシャルを求めたとこ
ろIpCTは5.35eVであった。
【0060】
【化26】
【0061】以上のようにして作製した実施例1〜7、
比較例1〜6の電子写真感光体を、タンデム方式を用い
たフルカラー複写機(シャープ社製:AR−C150を
改造したもの)に搭載して、現像部での感光体表面電
位、具体的には帯電性をみるために露光プロセスを除い
た暗中での感光体表面電位Vo と、レーザー露光後の感
光体表面電位VLを測定した。また、これらの各感光体
の初期および40,000枚複写後における画像特性
と、膜減り量についても測定した。さらに電荷輸送層の
移動度をドラム試験機CYNTHIA (GENTEC社製)によるゼ
ログラフィックTOF法で測定した。これらの結果を表
1、2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】このように比較例1のサンプルは、初期感
度、初期画像共に問題なかったが、膜べりが著しく3万
枚後から画像にカブリが発生した。比較例2のサンプル
は、移動度が低い為応答性悪く帯電性と感度共悪く初期
よりカブリが発生し、濃度も低かった。比較例3のサン
プルは、比較例2に比べ更に感度悪く濃度も更に低かっ
た。比較例4のサンプルは、初期若干濃度不足で、耐刷
試験開始後VL上昇著しく濃度低下が起った。これは電
荷発生層と電荷輸送層との障壁による感度低下と考えら
れる。比較例5のサンプルは、初期感度悪く濃度も低か
った。比較例6のサンプルは、初期的には問題なかった
が、3万枚後からオゾン、窒素酸化物による損傷と思わ
れる画像濃度ムラ(画像ボケ)が発生した。
【0065】実施例の結果から明らかなように本発明の
感光体では、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角
( 2θ±0.2°) が少なくとも27.3°に明確なピ
ークを有するTiOPcを用いることで反転現像を用い
るデジタルプロセスにおいて、汎用のレーザー光に対し
大きな吸光特性を有し、高感度であるのがわかる。ま
た、電荷輸送層の電荷輸送材料/バインダー比及び電荷
発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャルの関係を最
適にすることにより、耐久性と電子写真特性とを両立し
た感光体が得られる。更に特定の化合物を用いることで
ホ−ル輸送特性が高くバインダーリッチになっても高移
動度で高感度を維持でき、十分な耐久性を有し長寿命を
達成でき、画像欠陥を生じ難くなることがわかる。
【0066】(実施例8)導電性支持体として、φ40
mm×L340mmのアルミニウム製円筒管(ドラム)
を用いた。これに、酸化チタン粒子4重量部、バインダ
ー樹脂として共重合ナイロン樹脂(東レ社製;商品名:
CM8000)6重量部をメチルアルコール35重量部
と1,2−ジクロロエタン65重量部の混合溶媒に加え
た後、その混合溶媒をペイントシェーカーにて8時間分
散して得た下引き層用塗布液を、タンクに満たし、上記
アルミ製円筒状支持体を浸漬し、引き上げて塗工し、
0.9μmの下引き層をアルミドラム上に形成した。ま
た、溶媒は乾燥時に蒸発するので、酸化チタン粒子およ
び共重合ナイロン樹脂が下引き層として残り、酸化チタ
ン粒子の含有量は40重量%、バインダ−樹脂の含有量
は60重量%となる。
【0067】次いで、CuKα特性X線回折におけるブ
ラッグ角( 2θ±0.2°) が少なくとも27.3°に
明確なピークを有するオキソチタニルフタロシアニン顔
料2部とポリビニルアセタール樹脂(積水化学社製;商
品名:エスレックB)1部と1,3−ジオキソラン97
部とをボールミル分散機で12時間分散して、分散液を
調製し、これをタンクに満たし、前述の下引き層を設け
たアルミドラムを浸漬し、引き上げて塗布し、厚さ約
0.2μmの電荷発生層を下引き層上に形成した。さら
に、テトラヒドロフラン1200重量部に前記構造式
(I−1)で表されるの化合物100重量部と前記一般
式(8)で表されるポリカーボネート樹脂(三菱エンジ
ニアリングプラスチック社製;商品名:ユーピロン(Z
−200))160重量部と前記構造式(6)で表され
るヒンダードアミン(三共社製:商品名:サノールLS-4
40)0.5重量部とシリコーン系レベリング剤(信越化
学工業社製;商品名:KF−96)0.0001重量部
を混合したものを電荷輸送層塗工用塗布液に調製した。
上記のようにして形成された電荷発生層上に電荷輸送層
塗工用塗布液を、浸漬塗布し、110℃で1時間乾燥を
行い、厚さ約23μmの電荷輸送層を形成し積層機能分
離型感光体を作製した。ここで、溶剤の量は、粘度、塗
工性を考慮して適時変えた。
【0068】(実施例9)電荷輸送層中のヒンダードア
ミン化合物を10重量部とした以外は実施例8と同様に
感光体を形成した。 (実施例10)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物
を20重量部とした以外は実施例8と同様に感光体を形
成した。 (実施例11)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物
を前記構造式(7)とした以外は実施例8と同様に感光
体を形成した。
【0069】(実施例12)電荷輸送層中のヒンダード
アミン化合物を5重量部とした以外は実施例11と同様
に感光体を形成した。 (実施例13)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物
を10重量部とした以外は実施例11と同様に感光体を
形成した。 (実施例14)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物
を前記構造式(6)で表される化合物1重量部と前記構
造式(7)で表される化合物5重量部とした以外は実施
例8と同様に感光体を形成した。
【0070】(比較例7)電荷輸送層中のヒンダードア
ミン化合物を除いた以外は実施例8と同様に感光体を形
成した。 (比較例8)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物を
30重量部とした以外は実施例8と同様に感光体を形成
した。 (比較例9)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物を
15重量部とした以外は実施例11と同様に感光体を形
成した。 (比較例10)電荷輸送層中のヒンダードアミン化合物
をヒンダードフェノール化合物とした以外は実施例9と
同様に感光体を形成した。
【0071】このようにして作製した電子写真感光体
を、タンデム方式を用いたフルカラー複写機(シャープ
社製:AR−C150を改造したもの)に搭載して、現
像部での感光体表面電位、具体的には帯電性をみるため
に露光プロセスを除いた暗中での感光体表面電位Vo
と、レーザー露光後の感光体表面電位VLを測定した。
また、これらの各感光体の初期および40,000枚複
写後における画像特性と、膜減り量についても測定し
た。さらに電荷輸送層の移動度をドラム試験機CYNTHIA
(GENTEC社製)によるゼログラフィックTOF法で測定
した。次に、この電荷発生層、電荷輸送層の形成に用い
た塗布液をそれぞれPET上にアプリケーターにより塗
工し、110℃で30分乾燥しイオン化ポテンシャル
(IpCG)、(IpCT)を表面分析装置(商品名A
C−1:理研計器(株))を用いて測定した。これらの
結果は表3、4に示す。更に、耐オゾン、耐窒素酸化物
の試験を行うため、上記フルカラー複写機を低温低湿
(5℃/20%RH)環境下において加速試験として5
000枚連続複写後電源を切り1晩約20時間放置を行
いハーフトーン画像を取り、ドットの観察を行い画像ボ
ケが発生しているか評価した。これらの結果を表4に示
した。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】以上、表3、4に示すように比較例7のサ
ンプルは、酸化防止剤を含んでいないため、常温常湿環
境下での耐刷試験では、実施例と同等レベルではあるが
低温低湿環境下での耐オゾン、耐窒素酸化物の試験では
若干の画像ボケが発生し、損傷を受けていた。また、規
定量より過剰に酸化防止剤を含有させた比較例8、9の
サンプルではオゾン、窒素酸化物の劣化による画像ボケ
は発生していないものの、常温あるいは低温低湿下の画
像評価にて初期から実施例のものと比較して画像濃度が
若干低く過剰添加したことで感度が大幅に悪くなってい
ることが明白である。
【0075】また、本発明にて規定した酸化防止剤以外
の構造のもの(比較例10)では初期若干の濃度不足で
耐刷試験ですぐに画像濃度が低下し、感度が大幅に悪く
なった。このように本発明で明記した特定の酸化防止剤
を規定量内で含有させたサンプルにおいては画像ボケと
いったオゾン、窒素酸化物での損傷がなく防止効果がは
っきりと現れていることがわかる。
【0076】(実施例15)電荷輸送層用塗布液におけ
るポリカーボネート樹脂を(三菱エンジニアリングプラ
スチック社製;商品名:ユーピロン(Z−400))1
00重量部と下記構造式で示されるポリカーボネート樹
脂(出光興産社製;商品名:B−300)100重量部
にし、電荷輸送材料を前記(I−3)の化合物にした以
外は、実施例8と同様に感光体を形成した。
【0077】
【化27】
【0078】(実施例16)電荷輸送層用塗布液におけ
るポリカーボネート樹脂として、(三菱エンジニアリン
グプラスチック社製;商品名:ユーピロン(Z−20
0))100重量部と下記構造式で表されるビスフェノ
ールA型ポリカーボネートとビフェニルとポリシロキサ
ンとの共重合樹脂100重量部を用いる以外は、実施例
8と同様に感光体を形成した。
【0079】
【化28】
【0080】(実施例17)電荷輸送層用塗布液におけ
るシリコーン系レベリング剤0.0001重量部をポリ
弗化ビニリデン1重量部にする以外は、実施例1と同様
にして感光体を形成した。 (実施例18)プロセススピードを140mm/sec
とした以外は実施例1と同様な電子写真プロセスで操作
した。
【0081】(比較例11)電荷輸送層用塗布液におけ
るポリカーボネート樹脂をビスフェノールA型ポリカー
ボネートにし、溶剤をジクロルメタンにした以外は、実
施例1と同様に感光体を形成した。 (比較例12)電荷輸送層用塗布液におけるシリコーン
系レベリング剤を使用しない以外は、実施例1と同様に
感光体を形成した。 (比較例13)下引き層を形成しない以外は、実施例1
と同様に感光体を形成した。
【0082】このようにして作製した電子写真感光体
を、タンデム方式を用いたフルカラー複写機(シャープ
社製:AR−C150を改造しプロセススピードを任意
に設定できるようにしたもの)に搭載して、現像部での
感光体表面電位、具体的には帯電性をみるために露光プ
ロセスを除いた暗中での感光体表面電位Vo と、レーザ
ー露光後の感光体表面電位VLを測定した。また、これ
らの各感光体の初期および40,000枚複写後におけ
る画像特性と、膜減り量についても測定した。さらに電
荷輸送層の移動度をドラム試験機CYNTHIA (GENTEC社
製)によるゼログラフィックTOF法で測定した。次
に、この電荷発生層、電荷輸送層の形成に用いた塗布液
をそれぞれPET上にアプリケーターにより塗工し、1
10℃で30分乾燥した後、イオン化ポテンシャル(I
pCG)、(IpCT)を表面分析装置(商品名AC−
1:理研計器(株))を用いて測定した。これらの結果
は表5、6に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】以上、表5、6に示すように比較例11の
サンプルは、初期的には問題なかったが、3万枚後から
オゾン、窒素酸化物による損傷と思われる画像濃度ムラ
(画像ボケ)が発生し、4万枚後の膜べりも電荷輸送材
/バインダー比が同じものに比べ大きかった。比較例1
2のサンプルは、初期的には問題なかったが、2万枚後
から膜べり不均一から画像濃度ムラ(白スジ、黒スジ)
が発生し、4万枚後の膜べりも電荷輸送材/バインダー
比が同じものに比べ大きかった。比較例13のサンプル
は、初期から黒点、カブリが発生したが4万枚後の画像
は初期と同等で変化がなかった。
【0086】このように本発明の感光体では、電荷輸送
層の電荷輸送材料/バインダー比を最適に決定すること
により、耐久性と電子写真特性とを両立した感光体が得
られる。また、電荷輸送層の移動度が電界強度20V/
μmにおいて1 ×10−6cm/V・sec以上であ
り、かつプロセススピードが100mm/sec以上の
電子写真プロセスに用いても特定の化合物を用いること
でホ−ル輸送特性が高くバインダーリッチになっても高
移動度で高感度を維持でき、特定のバインダー樹脂を用
いることで耐摩耗性が良好で、十分な耐久性を有し長寿
命を達成できる。一方、電荷輸送層に潤滑剤を含有させ
ることにより、感光体の表面性が良くなり、更に耐久性
が向上する。また、オキソチタニルフタロシアニン(T
iOPc)を用いることで反転現像を用いるデジタルプ
ロセスにおいて、汎用のレーザー光に対し大きな吸光特
性を有し、高感度である。更に、導電性支持体と感光層
との間に下引き層が形成されることで、基盤からの電荷
の注入による微小黒点やカブリによる画像欠陥を生じ難
くなることがわかる。
【0087】
【発明の効果】本発明では、小型化された高速プロセス
でも、光キャリア発生能力が高く、電荷輸送層(CT
L)へのキャリア注入が行われやすく高感度であり、膜
厚減少も発生し難く、電子写真特性と耐久性とを両立す
ることのできる電子写真用感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に従う積層機能分離型感光
体の例を示す模式的断面図。
【図2】本発明の下引き層中に含有される酸化チタン粒
子の針状及び樹枝状の形状を示す概略図。
【図3】ブラッグ角( 2θ±0.2°) が少なくとも2
7.3°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニ
ンのCuKα特性X線回折図。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生層 3 電荷輸送層 4 感光層 5 下引き層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/05 104 G03G 5/05 104B 5/14 101 5/14 101 (72)発明者 新堂 ゆり子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 下田 嘉英 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA13 AA16 AA19 AA20 AA28 AA41 BA12 BA13 BA14 BA39 BA60 BB26 BB34 BB54

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロセススピードが100mm/sec
    以上である電子写真プロセスに用いる感光体であって、
    該感光体が電荷発生層と電荷輸送層とを積層してなり、
    該電荷発生層中の電荷発生材料がオキソチタニルフタロ
    シアニン(TiOPc)でかつ、CuKα特性X線回折
    スペクトルにおいてブラッグ角2θ±0.2°=27.
    3°にピ−クを有し、電荷発生層のイオン化ポテンシャ
    ル(IpCG)と電荷輸送層のイオン化ポテンシャル
    (IpCT)が下記式を満足し、前記電荷輸送層中の電
    荷輸送材料/バインダー比が10/14〜10/20で
    かつ、電荷輸送層の移動度が電界強度20V/μmにお
    いて1×10−6cm/V・sec以上であることを
    特徴とする電子写真用感光体。 IpCT − IpCG ≧ 0 (eV)
  2. 【請求項2】 電荷輸送層が、電荷輸送材料として下記
    一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体化合
    物を含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真
    用感光体。 【化1】 (式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ
    基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、または置
    換アミノ基を表わす。Rは、アルキル基、アルコキシ
    基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、または置
    換アミノ基を表わす。)
  3. 【請求項3】 電荷輸送層が、電荷輸送材料として下記
    一般式(2)で表されるアミンスチリル誘導体化合物を
    含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真用感
    光体。 【化2】 (式中、Arは置換基を有しても良いアリール基を表
    し、Arは置換基を有しても良いフェニレン基、ナフ
    チレン基、ビフェニレン基、あるいはアントリレン基を
    表し、Rは水素原子、低級アルキル基または低級アル
    コキシ基を表し、Xは水素原子、置換基を有しても良い
    アルキル基または置換基を有しても良いアリール基を表
    し、Yは置換基を有しても良いアリール基または下記一
    般式(3)で表される基を表わす。 【化3】 (式中、Rは前記と同じ基を表す。)
  4. 【請求項4】 前記一般式(2)中のYが、下記一般式
    (3)で表される基である請求項3記載の電子写真用感
    光体。 【化4】 (式中、Rは前記と同じ基を表す。)
  5. 【請求項5】 前記一般式(2)中のYが、下記一般式
    (4)で表される基である請求項3記載の電子写真用感
    光体。 【化5】 (式中、Rは水素原子、低級アルキル基または低級ア
    ルコキシ基の少なくとも1種を表し、Rは水素原子、
    ハロゲン原子、または低級アルキル基を表し、Zは水素
    原子、置換基を有しても良いアリール基の少なくとも1
    種を表わし、mは4、nは5の整数を表す。)
  6. 【請求項6】 電荷輸送層が、酸化防止剤として下記一
    般式(5)で表されるれるヒンダードアミン化合物を含
    有するすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の電子写真用感光体。 【化6】 (式中、R、R、R及びRは水素原子、アルキ
    ル基もしくはアリール基表し、Zは含窒素飽和複素環を
    形成するのに必要な原子団、並びにX及びYは有機残基
    を表す。更にR、Rの組及びR、Rの組の夫々
    において、それらの1つは該含窒素飽和複素環の中に組
    込まれて二重結合を形成してもよい。式中、A、Bおよ
    びCはそれぞれ水素原子または一価の有機残基を表し、
    及びR はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒド
    ロキシル基または置換基を有していてもよいアルキル基
    を表す。)
  7. 【請求項7】 電荷輸送層中に含有されるヒンダードア
    ミン化合物が下記構造式(6)で示される化合物である
    こと特徴とする請求項6記載の電子写真用感光体。 【化7】
  8. 【請求項8】 請求項7記載のヒンダードアミン化合物
    が、電荷輸送材料100重量部に対して0.05重量部
    以上20重量部以下含有することを特徴とする請求項6
    記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 電荷輸送層中に含有されるヒンダードア
    ミン化合物が下記構造式(7)で示される化合物である
    こと特徴とする請求項6記載の電子写真用感光体。 【化8】
  10. 【請求項10】 請求項9記載のヒンダードアミン化合
    物が、電荷輸送材料100重量部に対して0.05重量
    部以上10重量部以下含有することを特徴とする請求項
    6記載の電子写真用感光体。
  11. 【請求項11】 電荷輸送層中に含有される酸化防止剤
    が、少なくとも2種類以上のヒンダードアミン化合物を
    併用することを特徴とする請求項6記載の電子写真用感
    光体。
  12. 【請求項12】 電荷輸送層のバインダー樹脂として下
    記一般式(8)で表されるポリカーボネートを用いるこ
    とを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子
    写真用感光体。 【化9】 (式中、nは10から1000の整数を表す。)
  13. 【請求項13】 電荷輸送層のバインダー樹脂として少
    なくとも2種類以上のポリカーボネートを用いることを
    特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真
    用感光体。
  14. 【請求項14】 電荷輸送層が、潤滑剤を含有すること
    を特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電子写
    真用感光体。
  15. 【請求項15】 潤滑剤が、シリコンオイルであること
    を特徴とする請求項14記載の電子写真用感光体。
  16. 【請求項16】 導電性支持体と感光層との間に下引き
    層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜15の
    いずれかに記載の電子写真用感光体。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかに記載の電
    子写真用感光体を搭載してなる電子写真装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2078988A2 (en) 2008-01-10 2009-07-15 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus and image forming method
JP2010250174A (ja) * 2009-04-17 2010-11-04 Sharp Corp 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置

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EP2078988A2 (en) 2008-01-10 2009-07-15 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus and image forming method
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