JP3560798B2 - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性支持体の上に下引き層を介して光導電層を備える電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な情報記録手法の1つであり、感光体の光導電現象を利用した電子写真プロセスでは、まず暗所においてコロナ放電によって感光体表面を一様に帯電させた後、像露光を施して露光部の電荷を選択的に放電させることによって非露光部に静電潜像を形成させる。次に、着色した荷電微粒子(トナー)を静電力などで静電潜像に付着させて可視像とし、画像を形成する。これら一連のプロセスにおいて感光体に要求される基本的な特性としては、
(1)暗所において適当な電位に一様に帯電可能であること
(2)暗所において高い電荷保持能を有し、電荷の放電が少ないこと
(3)光感度に優れており、光照射によって速やかに電荷を放電すること
などがある。さらに、感光体表面を容易に除電できる、残留電位が小さい、機械的強度が高い、可撓性に優れている、繰返し使用時の電気的特性、特に帯電性、光感度および残留電位などが変動しない、熱、光、温度、湿度およびオゾンなどに対する耐性を有しているなど、高い安定性や耐久性が要求される。
【0003】
導電性支持体上に光導電層である感光層を形成して構成される電子写真感光体では、感光層において導電性支持体からのキャリア注入が生じ易いため、表面電荷が微視的に消失もしくは減少して画像欠陥が発生する。これを防止し、導電性支持体表面の欠陥の被覆、帯電性の改善、感光層の接着性の向上、塗布性の改善などのために、導電性支持体と感光層との間に下引き層が設けられる。
【0004】
下引き層用の結着樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、これらの繰返し単位のうちの2以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースおよび水溶性ポリビニルアセタール樹脂などがある。
【0005】
特開昭63−178249号公報には、導電性支持体と感光層との間に中間層を有する感光体であって、中間層が水溶性ポリビニルアセタール樹脂を主成分とする感光体、また導電性支持体と中間層との間に酸化チタンなどの白色顔料を分散させた下引き層を有する感光体が開示されている。ここでの中間層は、導電性支持体側から感光層へキャリア注入を防止するために設けられる。また下引き層は、レーザ光源を用いた画像形成装置に適用するため、光干渉を防止するために設けられる。該公報では、低温低湿下および高温高湿下での繰返し使用において高い感度を維持することを目的としており、作成した感光体に対して各環境下で1時間の露光を繰返し、その前後の静電特性を評価している。
【0006】
また、特開平6−59489号公報には、導電性支持体と感光層との間に、水とアルコールとの混合溶剤に可溶なポリビニルアセタール樹脂を主成分とする下引き層を有する感光体が開示されている。ここでの下引き層は、導電性支持体と感光層との接着性を改善し、繰返し使用における感度の維持を目的として設けられるものである。該公報では、作成した感光体に対して10000回の露光を繰返し、その前後の静電特性および画像特性を評価している。
【0007】
しかし、特開昭63−178249号公報および特開平6−59489号公報のいずれにおいても、樹脂を単独で使用するため繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生などを充分に抑制できない。
【0008】
一方、結着樹脂中に無機顔料を分散させた下引き層がある。特開昭59−93453号公報には、無機顔料として表面処理した酸化チタンを用いる例が開示されている。該公報では、導電性支持体表面の凹凸によって発生する感光層の塗布むらや膜厚むらを切削加工や鏡面研磨などを行うことなく抑制し、画像欠陥や濃度むらを防止するために、酸化チタンをアルミナなどの被覆によって表面処理し、その分散性を高めている。
【0009】
また、特開昭63−298251号公報には、酸化チタンと結着樹脂との割合を容量比で1/1〜3/1の範囲とする例が開示されている。該公報では、酸化チタンの含有量を最適化して感光体の長寿命化を図っており、作成した感光体に対して10万回の露光を繰返し、その前後の静電特性を評価している。
【0010】
しかし、特開昭59−93453号公報および特開昭63−298251号公報では、酸化チタンと組合わせる結着樹脂やその条件によって、繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生などの抑制が不充分であり、さらに改良することが望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繰返し使用時において感光特性の低下が少ない電子写真感光体を提供することである。また本発明の他の目的は、そのような感光体を用いて高い画像特性の画像が形成できる画像形成装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性支持体上に下引き層を介して光導電層を有する電子写真感光体において、
前記光導電体層は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有し、
前記下引き層は、表面にアルミナ処理が施されている酸化チタンと、水溶性ポリビニルアセタールとを含有し、
前記酸化チタンと水溶性ポリビニルアセタールとの重量比が、酸化チタン/水溶性ポリビニルアセタールで1/9〜9/1の範囲であり、
前記水溶性ポリビニルアセタール中のナトリウムイオン濃度が40ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0013】
本発明に従えば、導電性支持体と光導電層との間に設けられた下引き層において、表面にアルミナ処理が施された酸化チタンと水溶性ポリビニルアセタールとを含有させることによって、繰返し使用時の静電的な安定性が向上する。
【0015】
また、酸化チタンを選ぶことによって、感度が向上しかつ繰返し使用時の静電的な安定性が向上する。
【0017】
また、酸化チタンと水溶性ポリビニルアセタールとの重量比を1/9〜9/1の範囲に選ぶことによって、感度が向上しかつ繰返し使用時の静電的な安定性が向上する。
【0018】
なお、下引き層厚を0.5〜5μmの範囲に選ぶことによって、さらに感度が向上しかつ繰返し使用時の静電的な安定性が向上する。
【0020】
また、表面にアルミナ処理が施された酸化チタンを用いることによって、感度が向上しかつ繰返し使用時の静電的な安定性が向上する。またこのような感光体を用いて形成された画像は欠陥が少なく、画像特性の優れたものである。
【0021】
なお、95重量%以下の範囲で酸化チタン成分が含まれている表面処理が施された酸化チタンを用いることによって、感度が向上する。またこのような感光体を用いて形成された画像は欠陥が少なく、画像特性が優れたものである。
【0023】
また、ナトリウムイオン濃度が40ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールを用いることによって、このような感光体を用いて形成された画像は欠陥が少なく優れた画像特性となる。
【0025】
また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有する光導電層を用いることによって、優れた感度が得られる。またこのような感光体を用いて優れた特性の画像が形成できる。
【0030】
また本発明は、導電性支持体上に下引き層を介して光導電層を有する電子写真感光体において、
前記光導電体層は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有し、
前記下引き層は、表面にアルミナ処理が施されている酸化チタンと、水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールとを含有し、
前記酸化チタンと前記ポリビニルアセタールとの重量比が、酸化チタン/ポリビニルアセタールで1/9〜9/1の範囲であり、
前記ポリビニルアセタール中のナトリウムイオン濃度が40ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0031】
本発明に従えば、導電性支持体と光導電層との間に設けられた下引き層において、表面にアルミナ処理が施された酸化チタンと、水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールとを含有させることによって、繰返し使用時において優れた静電的安定性が得られる。
【0033】
また、酸化チタンを選ぶことによって、高感度でかつ繰返し使用時の優れた静電的安定性が得られる。
【0035】
また、酸化チタンと水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールとの重量比を1/9〜9/1の範囲に選ぶことによって、高感度でかつ繰返し使用時の優れた静電的安定性が得られる。
【0036】
なお、下引き層厚を0.5〜5μmの範囲に選ぶことによって、高感度でかつ繰返し使用時の優れた静電的安定性が得られる。
【0038】
また、表面にアルミナ処理が施されている酸化チタンを用いることによって、高感度でかつ繰返し使用時の優れた静電的安定性が得られる。また、このような感光体を用いて形成された画像は欠陥が少なく、優れた画像特性を有する。
【0039】
なお、95重量%以下の範囲で酸化チタン成分が含まれている表面処理が施された酸化チタンを用いることによって、感度が向上する。また、このような感光体を用いることによって、優れた特性の画像が形成できる。
【0041】
また、ナトリウムイオン濃度が40ppm以下であるポリビニルアセタールを用いることによって、このような感光体を用いて形成された画像の特性は優れたものとなる。
【0043】
また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有する光導電層を用いることによって、優れた感度が得られる。また、このような感光体を用いて形成された画像の特性は優れたものとなる。
【0044】
なお、前記電子写真感光体は、導電性支持体上に無機顔料、水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタール、および水とアルコールとの混合溶剤を含む下引き層用塗工液を塗布して下引き層を形成し、さらに光導電層を形成して作成される。このような下引き層用塗工液は分散性が高く、したがって均一な下引き層が形成でき、繰返し使用時の感光特性の低下が抑制できる。
【0045】
また、水とアルコールとの混合溶剤の重量比を1/9〜7/3の範囲に選ぶことによって、さらに分散性の高い下引き用塗工液によって均一な下引き層が形成できる。
【0046】
また本発明は、上記の電子写真感光体を用い、反転現像プロセスで画像を形成することを特徴とする電子写真感光体を用いた画像形成装置である。
【0047】
本発明に従えば、上述したような感光体を反転現像プロセスで画像を形成する画像形成装置に適用することによって、高感度で静電的安定性に優れ、高い画像特性の画像が形成できる。
【0048】
本発明の下引き層に含有され、水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタール樹脂は、一般のポリビニルアセタールとは異なり、アセタール化度を低くしたものであり、構成単位中にビニルアルコール成分が多く存在し、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびエチレングリコールなどのアルコール類には良く溶けるが、一般の有機溶剤には溶けにくい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセトアセタールなどが挙げられる。具体的に、水溶性ポリビニルアセタールはエスレックKW(積水化学工業社製)、水/アルコール可溶性ポリビニルアセタールはエスレックKX(積水化学工業社製)として市販され、容易に入手することができる。エスレックKXは、水/アルコール混合溶剤のみに溶解し、水単独やアルコール単独には溶解しない性質を持つ。
【0049】
本発明の下引き層に含有され、水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタールと組合わされる無機顔料としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アンチモン、酸化インジウムおよび酸化ジルコニウムなどが挙げられるが、特に特性面から酸化チタンが好ましい。これらの無機顔料は必要に応じて、アルミナやシリカなどの無機材料またはステアリン酸などの有機材料で表面処理しても構わない。
【0050】
水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタールと無機顔料とを含有した下引き層を有する感光体の特性の改良としては、静電特性面では残留電位の低減が挙げられる。従来、アルコール可溶性ナイロンなどのアルコール可溶性樹脂と無機顔料を組合わせた下引き層による残留電位の低減を図る試みはこれまで数多くされてきたが、樹脂自身が低温低湿時に抵抗が高くなるという欠点を有するので、残留電位の上昇を充分に改良できなかった。水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタールでは、低温低湿時の抵抗上昇はアルコール可溶性樹脂より少なく、樹脂単独として下引き層に使用したときでもアルコール可溶性ナイロンなどよりは残留電位は小さいが、本発明のように無機顔料と組合わせた構成にすることで、無機顔料の電子伝導の性質が電荷の移動を助けるので、よりいっそう残留電位を低減することができる。
【0051】
また、水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタールと無機顔料とを含有した下引き層を有する感光体の特性の改良は、画像欠陥の低減という面でも現れる。特に、感光体を反転現像プロセスで使用するときに発生し、導電性支持体から電荷が光導電層内にリークして、それが白ベタ画像中の黒点となって現れる画像欠陥に対して、従来、水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタールを樹脂単独で下引き層に使用したときには、樹脂が吸湿することで樹脂中のイオン成分が電荷発生物質に作用し、黒点等の画像欠陥が発生し易かった。しかし、本発明では下引き層中に水、または水/アルコールに可溶なポリビニルアセタールと、一般的に誘電率が高いという性質を持つ無機顔料とを含有する構成をとっているので、画像形成時に感光層にかかる電圧が一定であっても下引き層にかかる分圧を低く抑えることができ、下引き層樹脂中のイオン成分が電荷発生材料に作用しにくくなり、黒点等の画像欠陥が抑えられると考えられる。
【0052】
下引き層の膜厚としては、0.1μm以上20μm以下の範囲、好ましくは0.5μm以上5μm以下の範囲に選ばれる。下引き層の膜厚が0.1μmより小さければ実質的に下引き層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導電性支持体からのキャリアの注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じる。また、20μmよりも大きくすることは下引き層を浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり塗布膜の機械的強度が低下するために好ましくない。下引き層用塗布液の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、振動ミルおよび超音波分散機などがあり、塗布手段としては、前記の浸漬法など一般的な方法が適用できる。
【0053】
導電性支持体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、チタンなどの金属製ドラムおよびシート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどの高分子材料や硬質紙上に金属箔ラミネートや金属蒸着処理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトなどが挙げられる。
【0054】
下引き層の上に形成される感光層の構造としては、電荷発生層と電荷輸送層との2層から成る機能分離型、およびこれらが分離されずに単一層で形成される単層型があるが、いずれを用いても良い。
【0055】
機能分離型の場合、下引き層の上に電荷発生層が形成される。電荷発生層に含有される電荷発生物質としては、たとえばクロロダイアンブルー等のビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロン等の多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物およびアズレニウム塩系化合物が知られており、これらを1種もしくは2種以上併用しても構わない。
【0056】
電荷発生層の作成方法としては、電荷発生物質を真空蒸着することによって形成する方法および結着性樹脂溶液中に分散し塗布して成膜する方法があるが、一般に後者の方法が好ましい。塗布による作成の場合、結着性樹脂溶液中へ電荷発生物質を混合して分散する方法並びに塗布する方法としては、下引き層と同様の方法が用いられる。結着性樹脂としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、これらの二つ以上の繰返し単位を含み、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やアクリロニトリル−スチレン共重合体などの共重合体樹脂など、絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、一般に用いられるすべての樹脂を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの樹脂を溶解させる溶媒としては、塩化メチレンや2塩化エタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランやジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下の範囲、好ましくは0.1μm以上1μm以下の範囲に選ばれる。
【0057】
電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層の作成方法としては、結着性樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送用塗布液を作製し、これを塗布して成膜する方法が一般的である。電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化台物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化台物、スチルベン系化合物、オキサジアゾール系化合物およびエナミン系化合物などが知られており、これらを1種もしくは2種以上併用しても構わない。結着性樹脂としては、前記の電荷発生層用の樹脂を1種もしくは2種以上混合して使用することができる。電荷輸送層の作成方法としては、下引き層と同様の方法が用いられ、電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲、好ましくは10μm以上40μm以下の範囲に選ばれる。
【0058】
感光層が単層構造の場合、感光層の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲、好ましくは10μm以上40μm以下の範囲に選ばれる。
【0059】
また、感度の向上、残留電位や繰返し使用時の疲労低減などを目的として、感光層に少なくとも1種以上の電子受容性物質を添加しても構わない。たとえばパラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノン、β−ナフトキノン等のキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンおよび2−ニトロフルオレノンなどのニトロ化合物、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(P−ニトロベンゾイルオキシ)−2′,2′,−ジシアノビニルベンゼンおよび4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−2′,2′,−ジシアノビニルベンゼンなどのシアノ化合物などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系化合物やCl,CN,NO 等の電子吸引性の置換基のあるベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0060】
また、安息香酸、スチルベン化合物やその誘導体、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物およびその誘導体などの含窒素化合物類の紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させても構わない。
【0061】
さらに、必要であれば感光層表面を保護するために保護層を設けても構わない。表面保護層には、熱可塑性樹脂や光または熱硬化性樹脂を用いることができる。保護層中に、前記紫外線防止剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物、および電子受容性物質などを含有させても構わない。また感光層および表面保護層に必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤を混合させて加工性および可撓性を付与し、機械的物性の改良を施しても良く、シリコン樹脂などのレベリング剤を使用しても構わない。
【0062】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
直径65mm、長さ332mmのアルミニウム製ドラムを準備した。3重量部の酸化チタン TTO−55B(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:91%、石原産業社製)と、3重量部の水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業社製)と、30重量部の水と、70重量部のメタノールとを混合し、ペイントシェーカで10時間分散し、下引き層用塗工液を調整した。ドラムを下引き層用塗工液に浸漬し、引き上げた後、120℃で20分乾燥し、ドラム上に膜厚2μmの下引き層を形成した。なお、水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1は実際は水溶液であるが、固形分の重量を記している。また該樹脂のアセタール化度は9mol%である。
【0063】
次に、2重量部のτ型無金属フタロシアニン Liophoton TPA−891(東洋インキ製造社製)と、2重量部の塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体 SOLBIN M(日信化学工業社製)と、100重量部のMEK(メチルエチルケトン)とを混合し、ボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗工液を調整した。下引き層が形成されたドラムを電荷発生層用塗工液に浸漬し、引き上げた後、120℃で10分乾燥し、下引き層上に膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
さらに、8重量部の
【0064】
【化1】
Figure 0003560798
【0065】
で表される電荷輸送物質と、10重量部のポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製)と、0.002重量部のシリコンオイル KF50(信越化学社製)と、120重量部のジクロロメタンとを混合し、撹拌して溶解し、電荷輸送層用塗工液を調整した。電荷発生層が形成されたドラムを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、引き上げた後、120℃で20分乾燥し、電荷発生層上に膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。このようにして感光体を作成した。
【0066】
(実施例2)
実施例1の下引き層用塗工液に代わって、3重量部の酸化チタン TTO−55B(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:91%、石原産業社製)と、3重量部の水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−3(積水化学工業社製)と、30重量部の水と、70重量部のメタノールとの混合液を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。なお、水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−3のアセタール化度は30mol%である。
【0068】
(比較例1)
実施例1の下引き層用塗工液に代わって、6重量部の水溶性ポリビニルアセタール樹脂 KW−1(積水化学工業社製)と、30重量部の水と、70重量部のメタノールとの混合液を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。なお、該塗工液はスターラで撹拌した。
【0069】
(比較例2)
実施例1の下引き層用塗工液に代わって、3重量部の酸化チタン TTO−55B(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:91%、石原産業社製)と、3重量部のアルコール可溶性ナイロン樹脂 CM4000(東レ社製)と、80重量部のメタノールと、20重量部のn−ブタノールとの混合液を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0070】
(比較例3)
実施例1の下引き層用塗工液に代わって、3重量部の酸化亜鉛 FINEX−25(堺化学社製)と、3重量部のアルコール可溶性ナイロン樹脂 CM4000(東レ社製)と、80重量部のメタノールと、20重量部のn−ブタノールとの混合液を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0071】
実施例1,2および比較例1〜3の感光体をデジタル複写機AR5130(シャープ社製)改造機に装着して、耐刷試験を行った結果を表1に示す。耐刷試験としては、10℃15%RHの低温低湿環境下で、初期および30000枚画像形成後のそれぞれについて、暗部電位VO(−V)および明部電位VL(−V)を評価した。感度に関して、初期の明部電位VLが低いことが好ましく、静電的な安定性に関して、繰返し使用における暗部電位VOおよび明部電位VLの変化が少ないことが好ましい。また、実施例1および比較例1の感光体を前記複写機に装着して反転現像方式で全面白色である白ベタ画像を形成したところ、実施例1では欠陥のない画像が得られ、比較例1では黒い斑点状の欠陥を若干有する画像が得られた。
【0072】
【表1】
Figure 0003560798
【0073】
以上の評価結果から、実施例1,2の水溶性ポリビニルアセタール樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体は、比較例2,3のアルコール可溶性ナイロン樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体に比べて、繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。また、実施例1,2の水溶性ポリビニルアセタール樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体は、比較例1の無機顔料を含有しない下引き層を有する感光体に比べて、画像欠陥が少ないことが分かった。
【0075】
(実施例5)
実施例1の下引き層用塗工液の酸化チタンを0.6重量部に、水溶性ポリビニルアセタール樹脂を5.4重量部にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0076】
(実施例6)
実施例1の下引き層用塗工液の酸化チタンを5.4重量部に、水溶性ポリビニルアセタール樹脂を0.6重量部にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0078】
実施例1,5,6の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表2に示す。酸化チタンと水溶性ポリビニルアセタール樹脂との混合比率を、重量比で、酸化チタン/水溶性ポリビニルアセタール樹脂=1/9,1/1,9/1とした実施例1,5,6の下引き層を有する感光体は、繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0079】
【表2】
Figure 0003560798
【0080】
以上の評価結果から、酸化チタン/水溶性ポリビニルアセタール樹脂=1/9〜9/1(重量比)の範囲の下引き層を有する感光体において、高感度でかつ特に繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0081】
(実施例8)
実施例1の下引き層において、膜厚を0.3μmに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0082】
(実施例9)
実施例1の下引き層において、膜厚を0.5μmに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0083】
(実施例10)
実施例1の下引き層において、膜厚を5μmに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0084】
(実施例11)
実施例1の下引き層において、膜厚を7μmに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0085】
実施例1,8〜11の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表3に示す。下引き層の膜厚を0.5,2,5μmとした実施例1,9,10の下引き層を有する感光体は、実施例8,11に比べて繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0086】
【表3】
Figure 0003560798
【0087】
以上の評価結果から、膜厚が0.5〜5μmの範囲の下引き層を有する感光体において、高感度でかつ特に繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0089】
(実施例13)
実施例1の下引き層用塗工液の酸化チタンを3重量部の酸化チタン TTO−55C(アルミナ+ステアリン酸表面処理、酸化チタン成分:89%、石原産業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。なお、ステアリン酸表面処理によって、分散性を向上することができ、画像欠陥の発生を抑制することができる。
【0090】
(実施例14)
実施例1の下引き層用塗工液の酸化チタンを3重量部の酸化チタン TTO−55A(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:96%、石原産業社製)に変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。
【0093】
実施例1,13,14の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表4に示す。また、実施例1,13,14の感光体を前記複写機に装着して反転現像方式で全面白色である白ベタ画像を形成したところ、実施例1,13では欠陥のない画像が得られ、実施例14では黒い斑点状の欠陥を若干有する画像が得られた。
【0094】
【表4】
Figure 0003560798
【0095】
以上の結果から、アルミナ処理を施した酸化チタンを含有する下引き層、酸化チタン成分(純度)が95%以下の酸化チタンを含有する下引き層、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有する電荷発生層、ナトリウムイオン濃度が40ppm以下の水溶性ポリビニルアセタール樹脂を含有する下引き層を有する感光体は、感度、繰返し使用における電位安定性および画像欠陥の点で特に優れていることが分かった。
【0102】
(実施例22)
直径65mm、長さ332mmのアルミニウム製ドラムを準備した。3重量部の酸化チタン TTO−55B(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:91%、石原産業社製)と、3重量部の水/アルコール可溶性ポリビニルアセタール樹脂KX−1精製品(積水化学工業社製)と、60重量部の水と、40重量部のイソプロピルアルコールとを混合し、ペイントシェーカで10時間分散し、下引き層用塗工液を調整した。ドラムを下引き層用塗工液に浸漬し、引き上げた後、120℃で20分乾燥し、ドラム上に膜厚2μmの下引き層を形成した。なお、水/アルコール可溶性ポリビニルアセタール樹脂 KX−1は、水/アルコール混合溶剤にしか溶けず、実際は水/アルコール溶液であるが、固形分の重量を記している。また、KX−1精製品とは、KX−1を精製してナトリウムイオン濃度を40ppm以下にしたものである。
【0103】
次に、2重量部のチタニルフタロシアニンと、2重量部の塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 SOLBIN A(日信化学工業社製)と、100重量部のMEKとを混合し、ペイントシェーカで2時間分散し、電荷発生層用塗工液を調整した。下引き層が形成されたドラムを電荷発生層用塗工液に浸漬し、引き上げた後、80℃で10分乾燥し、下引き層上に膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
さらに、8重量部の
【0104】
【化2】
Figure 0003560798
【0105】
で表される電荷輸送物質と、10重量部のポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製)と、0.002重量部のシリコンオイル KF50(信越化学社製)と、120重量部のジクロロメタンとを混合し、撹拌して溶解し、電荷輸送層用塗工液を調整した。電荷発生層が形成されたドラムを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、引き上げた後、120℃で20分乾燥し、電荷発生層上に膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。このようにして感光体を作成した。
【0107】
(比較例4)
実施例22の下引き層用塗工液に代わって、6重量部の水/アルコール可溶性ポリビニルアセタール樹脂 KX−1精製品(積水化学工業社製)と、60重量部の水と、40重量部のイソプロピルアルコールとの混合液を使用した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。なお、該塗工液はスターラで撹拌した。
【0108】
(比較例5)
実施例22の下引き層用塗工液に代わって、3重量部の酸化チタン TTO−55B(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:91%、石原産業社製)と、3重量部のアルコール可溶性ナイロン樹脂 CM4000(東レ社製)と、80重量部のメタノールと、20重量部のn−ブタノールとの混合液を使用した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0109】
(比較例6)
実施例22の下引き層用塗工液に代わって、3重量部の酸化亜鉛 FINEX−25(堺化学社製)と、3重量部のアルコール可溶性ナイロン樹脂 CM4000(東レ社製)と、80重量部のメタノールと、20重量部のn−ブタノールとの混合液を使用した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0110】
実施例22および比較例4〜6の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表5に示す。また、実施例22および比較例4の感光体を前記複写機に装着して反転現像方式で全面白色である白ベタ画像を形成したところ、実施例22では欠陥のない画像が得られたが、比較例4では黒い斑点状の欠陥を若干有する画像が得られた。
【0111】
【表5】
Figure 0003560798
【0112】
以上の評価結果から、実施例22、すなわち水/アルコール可溶性ポリビニルアセタールと無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体は、比較例4の水/アルコール可溶性ポリビニルアセタールを含有し、無機顔料を含有しない下引き層を有する感光体、および比較例5,6のアルコール可溶性ナイロン樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体に比べて、繰返し使用時の電位安定性が優れていることが分かった。
【0114】
(実施例25)
実施例22の下引き層用塗工液の酸化チタンを0.6重量部に、水/アルコール可溶性ポリビニルアセタール樹脂を5.4重量部にそれぞれ変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0115】
(実施例26)
実施例22の下引き層用塗工液の酸化チタンを5.4重量部に、水/アルコール可溶性ポリビニルアセタール樹脂を0.6重量部にそれぞれ変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0117】
実施例22,25,26の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表6に示す。酸化チタンと水/アルコール可溶性ポリビニルアセタール樹脂との比率を、重量比で、酸化チタン/(水/アルコール)可溶性ポリビニルアセタール樹脂=1/9,1/1,9/1とした下引き層を有する感光体において、繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0118】
【表6】
Figure 0003560798
【0119】
以上の評価結果から、酸化チタン/(水/アルコール)可溶性ポリビニルアセタール樹脂=1/9〜9/1(重量比)の範囲の下引き層を有する感光体において、高感度でかつ特に繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0120】
(実施例28)
実施例22の下引き層において、膜厚を0.3μmに変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0121】
(実施例29)
実施例22の下引き層において、膜厚を0.5μmに変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0122】
(実施例30)
実施例22の下引き層において、膜厚を5μmに変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0123】
(実施例31)
実施例22の下引き層において、膜厚を7μmに変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0124】
実施例22,28〜31の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表7に示す。下引き層の膜厚を0.5,2,5μmとした実施例22,29,30の下引き層を有する感光体は、実施例28,31の下引き層を有する感光体に比べて繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0125】
【表7】
Figure 0003560798
【0126】
以上の評価結果から、膜厚が0.5〜5μmの範囲の下引き層を有する感光体において、高感度でかつ特に繰返し使用時に高い電位安定性を示すことが分かった。
【0128】
(実施例33)
実施例22の下引き層用塗工液の酸化チタンを、3重量部の酸化チタン TTO−55C(アルミナ+ステアリン酸表面処理、酸化チタン成分:89%、石原産業社製)に変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0129】
(実施例34)
実施例22の下引き層用塗工液の酸化チタンを、3重量部の酸化チタン TTO−55A(アルミナ表面処理、酸化チタン成分:96%、石原産業社製)に変更した以外は実施例22と同様にして感光体を作成した。
【0132】
実施例22,33,34の感光体を前記複写機に装着して、同様の耐刷試験を行った結果を表8に示す。また、実施例22,33,34の感光体を前記複写機に装着して反転現像方式で全面白色である白ベタ画像を形成したところ、実施例22,33では欠陥のない画像が得られ、実施例34では黒い斑点状の欠陥を若干有する画像が得られた。
【0133】
【表8】
Figure 0003560798
【0134】
以上の評価結果から、アルミナ処理を施した酸化チタンを含有する下引き層、酸化チタン成分(純度)が95%以下の酸化チタンを含有する下引き層、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有する電荷発生層、ナトリウムイオン濃度が40ppm以下の樹脂を含有する下引き層を有する感光体は、感度、繰返し使用における電位安定性および画像欠陥の点で特に優れていることが分かった。
【0135】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電子写真感光体において導電性支持体と光導電層との間に水溶性ポリビニルアセタールと無機顔料とを含有する下引き層を設けた。また、水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールと無機顔料とを含有する下引き層を設けた。したがって、高い感度が得られ、かつ繰返し使用時の静電的な安定性を向上することができる。特に、無機顔料として酸化チタンを選ぶこと、水溶性ポリビニルアセタールまたは水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールと酸化チタンとの重量比を1/9〜9/1の範囲に選ぶこと、下引き層の膜厚を0.5〜5μmの範囲に選ぶこと、表面処理が施された酸化チタンを用いること、表面処理としてアルミナ処理を施すこと、95重量%以下の範囲で酸化チタン成分が含まれている表面処理が施された酸化チタンを用いること、ナトリウムイオン濃度が40ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールまたは水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールを用いること、および塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有する光導電層を用いることによって、高感度で、かつ繰返し使用時において優れた静電的安定性が得られる。
【0137】
また本発明によれば、上述したような感光体を反転現像プロセスで画像を形成する画像形成装置に適用することによって欠陥の少ない高い画像特性の画像が形成できる。

Claims (3)

  1. 導電性支持体上に下引き層を介して光導電層を有する電子写真感光体において、
    前記光導電体層は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有し、
    前記下引き層は、表面にアルミナ処理が施されている酸化チタンと、水溶性ポリビニルアセタールとを含有し、
    前記酸化チタンと水溶性ポリビニルアセタールとの重量比が、酸化チタン/水溶性ポリビニルアセタールで1/9〜9/1の範囲であり、
    前記水溶性ポリビニルアセタール中のナトリウムイオン濃度が40ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 導電性支持体上に下引き層を介して光導電層を有する電子写真感光体において、
    前記光導電体層は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含有し、
    前記下引き層は、表面にアルミナ処理が施されている酸化チタンと、水とアルコールとの混合溶剤のみに可溶のポリビニルアセタールとを含有し、
    前記酸化チタンと前記ポリビニルアセタールとの重量比が、酸化チタン/ポリビニルアセタールで1/9〜9/1の範囲であり、
    前記ポリビニルアセタール中のナトリウムイオン濃度が40ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  3. 請求項1または2に記載の電子写真感光体を用い、反転現像プロセスで画像を形成することを特徴とする電子写真感光体を用いた画像形成装置。
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