JP3885985B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真に用いる有機感光体に関し、より詳しくは、単層型の高感度正帯電用電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、有機系電子写真感光体では、電荷キャリアーの発生と移動の機能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の感光体が、材料選択の余地が大きく、感光体の特性の制御がし易いことから、開発の主流となっている。
層構成の観点からは、電荷発生剤と電荷輸送剤を同一の層中に有する単層型感光体と、別々の層(電荷発生層と電荷輸送層)中に分離、積層する積層型感光体が知られている。 このうち積層型感光体は、感光体設計上からは、 層ごとに機能の最適化が計りやすく、特性の制御も容易なことから現行感光体の大部分はこのタイプになっている。このような積層型感光体のほとんどのものは、基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層をこの順序で有している。該電荷輸送層においては、好適な電子輸送材料がきわめて少ないのに対して、正孔輸送材料は特性の良好な材料が数多く知られている。そのため、このような正孔輸送材料を用いた積層型感光体においては、帯電においては負帯電方式が採用される。
【0003】
このような負帯電方式において、負のコロナ放電により感光体を帯電させる場合には発生するオゾンが感光体特性等に悪影響を及ぼすことがある。それに対し、特開昭61−77054、同61−188543、特開平2−228670、特公平7−97223、同7−97225号公報記載のような単層型の正帯電感光体を使用する際には、そのようなオゾン発生が低減されることが一つの利点と考えられており、電気特性面では負帯電の積層型感光体より劣るものが多いものの、一部実用化されている。
【0004】
このようなオゾン発生に対する効果の他にも、単層型感光体は、塗布工程が少なくなる、半導体レーザー光に対する干渉縞が生じ難い、等の利点がある。また、表面近傍で電荷が発生するので、照射光の感光層中での拡散が少なく、さらに表面電荷中和に至るまでに、電荷キャリアの拡散による画像ボケが起きづらいため、高解像度が期待できる。
【0005】
しかし、従来の単層型感光体は、積層型感光体に比べ感度が低く、また繰り返し使用した場合の帯電性低下の度合いが大きく安定性に問題がある、等種々の問題を有していた。例えば、特公平7−97223号公報記載の感光体は、用途としてはアナログ用であり、青色再現性を向上させるためにフタロシアニンを一定量以下の少量含有させているに過ぎず、デジタル用、特に780nm付近の単色光使用時には感度が不十分である。同様に、特開平2−228670号公報記載の感光体も、アナログ用に用いるため、赤色再現性を得るためにX型無金属フタロシアニンの量を一定量以下に制限しており、デジタル用、特に780nm付近の単色光使用時には感度が不十分である。特開昭61−188543号公報記載の感光体は、フタロシアニンをX型無金属フタロシアニンに限定しており、感度が十分とは言えない。特公平7−97223号公報、および特開昭61−188543号公報記載の感光体は繰り返し使用時の表面電位の低下が大きいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、高感度を有すると共に、繰り返し使用時の耐久性に優れた高寿命、高安定な正帯電用の単層型電子写真感光体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、導電性基体上に、チタニルフタロシアニン、下記一般式(1)(式中、Arは置換基を有してもよい縮合多環式炭化水素残基、nは0の整数、R1 ,R2 は置換基を有してもよい芳香族炭化水素残基を表す。)で示される正孔輸送性化合物及び電子輸送性化合物を含有する単層型感光層を有し、前記電子輸送性化合物を、ペリレン系化合物又はアゾ系化合物とすることにより上記課題が解決されることを見いだした。
【0008】
【化2】
【0009】
このようにして得られる電子写真感光体は高感度を有すると共に、繰り返し特性の優れた高寿命、高安定な感光体でありデジタル方式の高解像度電子写真方式に最適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の層構成を図1、2に記す。基本となる感光層が導電性支持体上に直接形成された図1の構成と、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けた図2の構成を取り得る。さらには必要に応じて、接着層、表面保護層等を有していてもよいことは言うまでもない。
【0011】
導電性支持体は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、金、銀等の金属材料、または、表面に導電性層を設けたポリエステル等のポリマー、紙、ガラスなどの基体が挙げられ、かかる導電性層の材質はアルミニウム、パラジウム、酸化錫、酸化インジウム、導電性高分子などが挙げられる。これらのうち、値段や重さの観点から、アルミニウムまたはアルミニウムを蒸着したポリマーが好ましい。
【0012】
導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の酸化処理や薬品処理を行うことができる。電極酸化などにより、金属酸化処理した金属ドラムなどが該当する。
導電性支持体の形状はドラム、シート、ベルト、シームレスベルト等の任意の形状を取ることができる。
感光層中のフタロシアニン化合物は、本発明においては、電荷発生機能を担う。フタロシアニン化合物は、負帯電積層型感光体の電荷発生層にも使用されるが、負帯電積層感光体の電荷発生層の膜厚は通常1μm以下であり、膜中での電荷の滞留はほとんど問題にならないのに対して、本発明のような単層型感光体では通常その10倍以上の膜厚で用いられるので、電荷発生材自身が電荷の移動のトラップにならないことが必要である。
【0013】
また、負帯電積層型感光体中の電荷発生層の場合と異なり、本発明のような単層型感光体では、電荷発生材料がかなり希薄な濃度領域で使用され、しかも周りを電荷輸送材料等が取り囲む形になっているので、周りの材料と、電気物性面あるいは分散性、液安定性等の諸物性面を総合的に勘案して、より相性の良い材料を選択する必要がある。すなわち、負帯電積層型感光体の電荷発生層として使用される材料が必ずしもそのまま単層型感光体に使用できるだけでなく、単なる感度以外にも、たとえば帯電性、残留電位、繰り返し安定性、膜中の分散性、塗布液の安定性等を考慮する必要がある。
【0014】
そのような観点から、フタロシアニン化合物なかでも、チタン、ガリウム、珪素のうち少なくともいずれか一つの元素を中心金属として有する各種結晶型フタロシアニン化合物が好適に使用できる。このなかでも、特に好ましいものとして、チタニルフタロシアニン(別称オキシチタニウムフタロシアニン)、中心金属のチタンに水酸基を有する化合物を架橋させたフタロシアニン等の各種結晶型フタロシアニンが挙げられる。このうち、最も好ましくはチタニルフタロシアニンであり、その結晶型としては、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンでブラッグ角(2θ±0.2゜)9.5°、24.1°、27.3°にピークを示す結晶型、あるいはCu−Kα線による粉末X線回折パターンでブラッグ角(2θ±0.2゜)9.3°、10.6°、13.2°、20.8°、26.3°、27.1°にピークを示す結晶型が好ましい。なお、ここに挙げた好適な2種の結晶型のチタニルフタロシアニンは混合して使用することもでき、また、他のフタロシアニン化合物と混合してもよい。
【0015】
感光層中におけるフタロシアニン化合物の含有量は、バインダーポリマー100重量部に対して1重量部以上30重量部以下、より好ましくは1.5重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは2重量部以上10重量部以下使用される。フタロシアニン化合物の含有量が少なすぎる場合には、感度が低く、また感光層のより深い、基体側まで光が侵入してしまって、そこで発生した電子が排出されにくくなるので好ましくない。フタロシアニン化合物の含有量が多すぎると帯電性の低下を招くおそれがあり好ましくない。
【0016】
感光層中の正孔輸送性化合物は、上記電荷発生材料が光を吸収して電子と正孔の電荷分離を起した後に、正孔を輸送する役割を担う。本発明においては、感光体は単層で正帯電方式であるので、正孔は、表面近傍で発生し、基体まで移動することになるので、正孔の移動度が高いものを使用することが望ましい。また、単層型感光体の特徴として、オゾンに対してより敏感であるフタロシアニンの周りを正孔輸送性化合物が取り囲むようになるので、よりオゾンに酸化されにくく、またオゾンブロッキング効果のある材料を用いるのが望ましい。
そのため、本発明では正孔輸送性化合物として、上記一般式(1)で示されるヒドラゾン系正孔輸送性化合物が用いる。
【0017】
上記一般式(1)のArで表される縮合多環式炭化水素残基の例としては、ナフタレン、インデン、アズレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン、ナフタセン、ピレン、ペリレン、ペンタセン、トリフェニレン等の残基が挙げられ、このうちアントラセン、フェナントレン、アセナフチレン、アセナフテン、ピレンの残基が好ましい。上記一般式(1)のR1 、R2 で表される芳香族炭化水素残基としてはフェニル基、ナフチル基などが好ましい。芳香族炭化水素残基上の置換基としては、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子などが挙げられる。R1 、R2 で特に好ましいものはフェニル基、ナフチル基、またはアルキル基で置換されたフェニル基もしくはナフチル基である。
【0018】
上記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物の含有量としては、特に制限はないが、バインダーポリマー100重量部に対して通常は10重量部以上500重量部以下、好ましくは30重量部以上150重量部以下、さらに好ましくは40重量部以上120重量部以下である。
これらの正孔輸送性化合物の使用により、正帯電用単層型感光体の繰り返し使用時の帯電性、即ち表面電位の低下および暗減衰速度の増大が著しく抑制される。このメカニズムについては必ずしも明らかではないが、下記のように推測する。即ち、繰り返し使用時に帯電器から発生するオゾンによってヒドラゾン系正孔輸送材料中のこれらの縮合多環式炭化水素基が酸化されにくく(あるいは吸着されにくく)、しかも平面状の構造を有していることからフタロシアニン環に対して密にパッキングし、オゾンをブロックする役割を果たしている。これに対し、カルバゾール環やトリフェニルアミン環のようなヘテロ原子を含むヒドラゾン系正孔輸送材料は酸化され易い(あるいは吸着され易い)のに加えて、平面構造を取り難く、フタロシアニン環とのパッキング性も悪いため、感光層中に含まれるフタロシアニン化合物に対するブロッキング効果も小さい。このようなオゾンの影響は、負帯電積層型感光体の電荷発生層にフタロシアニンを使用した場合より、顕著である。その原因としては、単層型感光体では、より感光体表面近くに存在するフタロシアニンほど電荷発生に寄与するので、暴露されたオゾンの影響を積層型より受け易い分、正孔輸送性化合物の役割が重要になってくるためと考える。なお、一般にフタロシアニン化合物のみをバインダー樹脂中に分散した単層型感光体はオゾンによるフタロシアニンへの吸着により帯電性が著しく低下することが知られており、オゾンに対するブロッキング効果の小さい正孔輸送材料を使用した場合の帯電性の低下が、これと同様のメカニズムと考えられる。
【0019】
感光層中の電子輸送性化合物は、前記電荷発生材料が光を吸収して電子と正孔の電荷分離を起した後に、電子を輸送する役割を担う。本発明においては、感光体は単層で正帯電方式であるので、電子は、表面近傍で発生し、表面まで移動し、表面電荷を打ち消す役割を担っている。電子の移動距離としては必ずしも長くないので、電子の移動度は必ずしも正孔輸送剤量ほど高いことは必要ないものの、電子が感光層中に残留したままだと続くプロセスにおいて帯電性の低下をまねくので、十分電子の抜けが良いものを使用することが望ましい。材料としては、バインダー樹脂に対して相溶、非相溶いずれであっても良く、例えばペリレン系化合物、アゾ系化合物、チアピリリウム塩誘導体、ピリリウム塩誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等が挙げられる。このうち、ペリレン系化合物、アゾ系化合物が好適に用いられる。
【0020】
電子輸送性化合物の含有量は、バインダーポリマー100重量部に対して通常は0.1重量部以上20重量部以下、好ましくは1重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは2重量部以上10重量部以下である。電子輸送性化合物の含有量が少なすぎると電子輸送能が不足し、多すぎると帯電性が低下するため好ましくない。
なお、本発明においては、電子輸送材料は電荷発生材料と異なる材料を使用しており、使用上、電荷発生材料に電子輸送機能を担わせてはおらず、電子輸送材料に電荷発生機能を担わせてはいない。もちろん、ペリレン系化合物、アゾ系化合物はそれ自身、電荷発生機能を有するものがあるが、本発明においては、その電荷発生量は、特に近赤外光に対してはほとんど無く、また可視域の光を使用した際にも、その電荷発生量は、高感度なフタロシアニン系化合物の電荷発生量に比べてはるかに少なく、ほとんど無視できる。また、本発明で使用するフタロシアニン系化合物は、ほとんど電子輸送機能を有していない。即ち、本発明では電子輸送性化合物は専ら電子輸送機能のみで、実質電荷発生を行っておらず、また電荷発生材料は専ら電荷発生機能のみで実質電子輸送機能を有しておらず、両者の機能はほぼ完全に分離されている。従って、本発明は、電荷発生顔料に、それ自身電子の輸送機能を持たせて使用する、例えば特許第2729616号公報記載の感光体とは、主旨および構成を異にするものである。
【0021】
感光層の膜形成に際してはバインダーポリマーが使用される。この場合、感光層はフタロシアニン化合物、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物および各種添加剤とバインダーポリマーを溶剤に溶解あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。
バインダーポリマーとしては、例えばブタジエン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらは適当な硬化剤等を用いて熱、光等により架橋させて用いる事もできる。これらのバインダーは単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
更に、上記感光層は成膜性、可とう性、塗布性機械的強度、製膜性、耐久性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。
感光層形成のための塗布液作製に際しては、フタロシアニン化合物、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物、バインダーポリマー等の組成物を別々に乾式あるいは適当な溶媒中で分散/溶解した後に混合する方法、あるいは、組成物のうち2種以上を一緒に分散あるいは溶解した後に混合する等の方法が適宜用いられる。分散には通常ボールミル、超音波分散器、ペイントシェイカー、アトライター、サンドグラインダ等を使用する。
【0024】
分散あるいは溶解に用いる溶媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2ージクロルエタン、1,2ージクロルプロパン、1,1,2−トリクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルグリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、等が挙げられる。これらの分散媒は、1種単独で使用してもよく、或いは2種以上を混合溶媒として用いても良い。
【0025】
この塗布液をディッピング法、スプレー法、バーコーター法、ブレード法、ロールコーター法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、等の塗布法により塗布後、乾燥する。
感光層の膜厚は通常8μm〜100μm、好ましくは13μm〜80μmの範囲で使用される。
本感光体は必要に応じて、下引き層、透明絶縁層、表面保護層等を有していてもよいことは言うまでもない。
【0026】
下引き層は通常、感光層と導電性支持体の間に使用され、通常使用される公知のものが使用できる。下引き層としては酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコニア、酸化珪素などの無機微粒子、有機顔料および架橋ポリマー等の有機微粒子、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、カゼイン、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどの樹脂等の成分を使用することができる。これらの微粒子、樹脂は単独でまたは2種以上を混合してしようできる、厚さは、通常0.01〜50μm 、好ましくは0.01〜10μm である。
【0027】
本感光体に表面保護層を設ける場合、保護層の厚みは0.01〜20μm が可能であり、好ましくは0.1〜10μm である。保護層には前記のバインダーを用いることができるが、前記の電荷発生剤、電荷輸送剤、添加剤、金属、金属酸化物などの導電材料、滑剤等を含有しても良い。
本発明の電子写真感光体を使用するのにあたって、帯電器はコロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器、帯電ローラー、帯電プラシ等の接触帯電器などが用いられる。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。
【0028】
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。転写行程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
上記のようにして得られた本発明の電子写真感光体は、従来の感光体に比べ、高感度でかつ繰り返して使用する際の安定性に優れており、複写機、プリンター、ファックス、製版機等の電子写真分野に好適である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、下記記載中、「部」は「重量部」を表す。
【0030】
実施例1
図3に示すCuKα線による粉末X線回折パターンを有するオキシチタニウムフタロシアニン5部をトルエン70部と共にサンドグラインダーにより分散した。同様に下記構造式のペリレン顔料(クラリアントジャパン製PV FASTRED B)8部をトルエン112部と共にサンドグラインダーにより分散した。一方、下記表1中の正孔輸送材料1を70重量部、ポリカーボネート樹脂100部をトルエン420部に溶解し、これに上記の2種の分散液を、ホモジナイザーにより均一になるように混合した。このように調整した塗布液を、支持体として、アルミニウム蒸着層を有する膜厚75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥膜厚が30μmになるように塗布し、単層型の電子写真感光体A1を得た。
【0031】
【化3】
【0032】
実施例2
実施例1においてオキシチタニウムフタロシアニンの重量部数を2部にした以外は全て同じ方法で電子写真感光体A2を得た。
実施例3
実施例1においてオキシチタニウムフタロシアニンを図4に示すX線回折パターンを示す結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンに代えた以外は全て同じ方法で電子写真感光体A3を得た。
【0033】
実施例4
実施例1においてペリレン顔料8部に代えて下記構造のアゾ顔料2部を電子輸送性材料に用いた以外は全て同様な方法で電子写真感光体A4を得た。
【0034】
【化4】
【0035】
比較例1
実施例1と同じペリレン顔料5部をトルエン112部と共にサイドグラインダーにより分散した。一方、下記表−1中の正孔輸送材料1を70部、ポリカーボネート樹脂100部をトルエン420部に溶解し、これに上記2種の分散液をホモジナイザーにより均一になるように混合した。このように調整した塗布液を、アルミニウム蒸着膜を有する膜厚75μmのポリエステルフィルム支持体上に、乾燥膜厚が18μmとなるように塗布し、単層型の電子写真感光体P1を得た。
【0036】
【表1】
【0037】
<実施例1−4、比較例1の感光体の評価>
上記で得られた各実施例及び各比較例の感光体の感度として半減露光量(E1/2 )をElectrostatic Paper Analyzer(川口電機製モデルEPA−8100)により測定した。即ち、暗所でコロナ電流が50μAになるように設定した印可電圧によるコロナ放電により感光体を正帯電し、ついで0.055μW/cm2 の強度の780nmの単色光により露光し、表面電位が700Vから350Vに半減するのに要した露光量(E1/2 )を求めた。それらの結果を表−2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
比較例2、3
正孔輸送材料を表−1中の化合物1に代えて表−1中の化合物2、3を使用した以外はすべて実施例1と同様の方法で電子写真感光体P2、P3を得た。
<実施例1、および比較例2、3の感光体の繰り返し耐久試験>電子写真学会測定標準に従って作製された測定装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体A1、P2及びP3の帯電、露光、電位測定、除電のサイクルの繰り返し耐久試験を行った。その結果、A1では初期700Vであった表面電位が5万回の繰り返し後にも660Vと低下が極めて小さかったのに対し、上記感光体P2は繰り返し後の表面電位が600V、P3は400Vと低下が大きかった。結果を表−3にまとめる。
【0040】
【表3】
【0041】
実施例5
感光体A1およびP2、P3を50ppmの濃度のオゾン雰囲気中に5時間暴露した前後の表面電位(コロナ電流:50μA)および暗減衰をElectrostatic Paper Analyzer(川口電機製モデルEPA−8100)により測定した。結果を表−4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
実施例6
支持体として、アルミニウム製ドラム(直径30mm、長さ247mm)を使用し、実施例1記載の方法と同様に塗布液を調整し、浸せき塗布により電子写真感光体ドラムを作製した。このドラムをブラザー工業製レーザープリンターHL−1040に装填し、印刷テストを行ったところ、良好な画像が得られ、しかも2万枚印刷後も画像にほとんど変化は見られなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、高感度で繰り返し安定性に優れた、正帯電用の単層型電子写真感光体が提供される。本発明の電子写真感光体はデジタル式電子写真複写機やレーザープリンター、ファックスに効果的に使用されるが、さらに電子写真技術を利用した各種製版システム、軽印刷機等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の概略断面図である。
【図2】本発明の別の態様の概略断面図である。
【図3】実施例1で使用したオキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折パターンである。
【図4】実施例3で使用したオキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折パターンである。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 下引き層
Claims (4)
- チタニルフタロシアニンが、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンでブラッグ角(2θ±0.2゜)9.5°、24.1°、27.3°にピークを示す結晶型のチタニルフタロシアニンである請求項1に記載の電子写真感光体。
- チタニルフタロシアニンが、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンでブラッグ角(2θ±0.2゜)9.3°、10.6°、13.2°、20.8°、26.3°、27.1°にピークを示す結晶型のチタニルフタロシアニンである請求項1に記載の電子写真感光体。
- デジタル方式で露光されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
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