JP3617292B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下引き層を有する電子写真感光体に関する。詳しくは、電気特性及び画像特性が良好な電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真感光体には、セレン、セレン−テルル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム等の無機系光導電物質が広く用いられてきた。
一方、近年では低公害であり、製造が容易な有機系の光導電物質を感光層に用いた研究が盛んになっている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層及び電荷移動層からなる積層型の感光体が主流となっている。これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の分野に広く用いられている。
電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成したものが基本構成である。支持体からの電荷注入や支持体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上が帯電性の改善のために、感光層と支持体の間に下引き層を設けることが行われている。
【0003】
従来より、下引き層としては、例えば、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ガゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることが知られている。これらの樹脂材料の中でも特に可溶性ポリアミド樹脂が好ましいとされている(特開昭51−114132号、同52−25638号、同56−21129号各公報参照)。
より好ましいものとして、下記一般式(I′)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミドが提案されている(特開平4−31870号公報参照)。
【0004】
【化2】
【0005】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表す。)
更にポリアミド樹脂に無機材料を分散させた下引き層として、例えば、酸化チタンと酸化スズを8−ナイロンに分散させたもの(特開昭62−280864号公報参照)、アルミナ処理酸化チタンをポリアミド樹脂に分散させたもの(特開平2−181158号公報参照)、メチル水素ポリシロキサン処理酸化チタン(この酸化チタンには、アルミナ処理も施されている。)を12/6/66共重合ポリアミド樹脂に分散させたもの(特開平8−328283号公報参照)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの下引き層を用いた場合、電気特性または画像特性の環境依存性が大きくなり、両方とも満足させることが困難であった。例えば、特開昭62−258471号公報記載の実施例の下引き層を用いた場合、膜厚が厚いほど、画像特性は良好になるものの、逆に残留電位は、特に低温低湿環境において急激に悪化する。一方、薄くすると残留電位は改善するものの、画像欠陥は十分に解消できなかった。
【0007】
そこで、導電剤として、例えば表面処理の無い酸化チタンの微粒子を分散させると、確かに低湿環境における残留電位は改善するが、しかし、逆に高温恒湿条件での画像特性が悪化して、膜厚を上げても十分に改善できなった。また、アルミナ表面処理を施した酸化チタンを分散させたものに関しても同様である。アルミナ処理を施し更にメチル水素ポリシロキサン処理を施した酸化チタンを分散させたものは無処理酸化チタンを分散させたもの及びアルミナ処理酸化チタンを分散させたものに比べると、特性の改善はみられるが、まだ不十分であった。
本発明は、高温高湿から低温低湿にわたる全環境下における電子写真感光体の電気特性及び画像特性の改善を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の要求特性を満足できる下引き材料について鋭意検討した結果、実質的にメチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理されていて他の不純物を含まない酸化チタン粒子か、又はメチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理されていて、0.1重量%から1重量%のコロイダルシリカを含有する以外は他の不純物を含まないものと、バインダー樹脂を含む下引き層が非常に効果的であることを見出し本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は、導電性基体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有する有機電子写真感光体において、該下引き層が上述のコーティング処理された酸化チタン粒子とバインダー樹脂とを含有することを特徴とする電子写真感光体にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における導電性支持体としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属からなるもの、或いはポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性基体の表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化錫、酸化インジウム等からなる導電層を設けたものがある。なかでも、アルミニウム等の金属のエンドレスパイプを適当な長さに切断したものが望ましい。導電性支持体の表面には、画質に影響のない範囲で、例えば酸化処理や薬品処理等の各種の処理を施すことができる。
【0010】
メチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理された酸化チタンは、乾式法及び湿式法の製造法で製造することができる。すなわち、乾式法では、酸化チタン粒子をよく攪拌しながら、メチル水素ポリシロキサンを添加し、酸化チタンにコーティングし、必要に応じて加熱処理を行う方法で製造出来る。湿式法では、適当な溶媒にメチル水素ポリシロキサンと酸化チタンを混合し、メチル水素ポリシロキサンが均一に付着されるまでよく攪拌又はメディア分散し、その後乾燥し、必要に応じて加熱処理を行う方法で製造することができる。
被覆するメチル水素ポリシロキサンの量は酸化チタンの粒径にもよるが、酸化チタンに対して0.1〜10重量%程度に調整することが好ましい。特に0.2〜5重量%が好ましい。
【0011】
また、本発明では、実質的にメチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理された酸化チタン粒子として規定しているが、そのメチル水素ポリシロキサンによるコーティングの効果を損なわない範囲で、ごく少量のメチル水素ポリシロキサン以外の処理がなされていても良い。その量は、処理剤の種類によって変動すると考えられるが、おおよそ、メチル水素ポリシロキサンの30重量%以下である。
用いられる酸化チタンとしては、その1次粒径が100nm以下のものが好ましく、10〜60nmが特に好ましい。粒径は、均一であっても、また、異なる粒径の複合系であっても良い。例えば、0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いても良い。
【0012】
酸化チタンは結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナタース、ルチル、ブルッカイトのいずれでも良いが、ルチルが一般的に用いられる。
酸化チタン粒子には、特性に問題が無ければ、少量の不純物を含んでいても良い。特にコロイダルシリカ粒子の場合は、無処理のチタニアの粉砕時に添加することにより、チタニアの凝集を防ぎ、メチル水素ポリシロキサンとのなじみもよく、本発明の処理チタニアの場合は、逆に好ましい不純物の例である。量に関しては酸化チタン粒子に対して、0.1重量%から1重量%含付着していることが好ましい。
【0013】
バインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール,ポリアミド,フェノール樹脂,ポリエステル,エポキシ樹脂,ポリウレタン,ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることが出来る。
なかでも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。その中でも下記一般式(I)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、環A、環Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキシル環を表し、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を表す。)
【0016】
次に、チタニウム粒子とバインダー樹脂の比率は任意に選ぶことが出来るが、液の安定性及び特性面からバインダー樹脂1重量部に対して、0.5重量部から6重量部の範囲が好ましい。
下引き層は主として、実質的にメチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理された酸化チタンとバインダー樹脂で構成されるが、必要に応じて、他の表面処理酸化チタン、表面処理無し酸化チタン、酸化防止剤、添加剤、導電剤等を加えても良い。
【0017】
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明の下引き層の膜厚は0.1〜10μmで、より好ましくは0.3〜5μmで使用されるのが望ましい。
実質的にメチル水素ポリシロキサンのみで被覆された酸化チタン粒子とバインダー樹脂を含有する下引き塗布液を得るには、コボールミル,遊星ミル,ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの粉砕及び分散処理装置で処理されたチタニアスラリーに、バインダー樹脂又は、バインダー樹脂溶解液を混合し、溶解及び攪拌処理を行えばよい。また、逆にバインダー樹脂溶解液にチタニア粒子を添加し、上記のような分散装置で、粉砕及び分散処理を行えばよい。
【0018】
下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いても良いが、一般的には、浸漬塗布やスプレー塗布、ノズル塗布等の方法で塗布される。
下引き層の上には感光層が形成される。感光層は、単層構造でもよいが、電荷発生層と電荷輸送層の分離された、積層構造の方が好ましい。
感光層が単層構造の場合には、感光材料が結着材料に分散してなる公知のものが使用される。例えば、色素増感されたZnO感光層、CdS感光層、電荷発生物質を電荷輸送物質に分散させた感光層が挙げられる。
感光層が積層構造の場合は、下引き層上に電荷発生層、電荷輸送層が形成される。
【0019】
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、色素が使用できる。中でも無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属、又は酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。このうち特に好ましくは、チタニルフタロシアニンである。
【0020】
電荷発生層は、これらの物質の微粒子とバインダーポリマーを溶剤に溶解あるいは分散して得られる塗布液を塗布乾燥して得ることができる。バインダーとしては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0021】
電荷発生物質とバインダーポリマーの割合は、特に制限はないが、一般には電荷発生物質100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
また電荷発生層は上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
電荷発生層の膜厚は、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmになるようにする。
【0022】
電荷移動層は、上記電荷発生層の上に、バインダーとして優れた性能を有する公知のポリマーと混合して電荷移動材料と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じて電子吸引性化合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を添加して得られる塗布液を塗布することにより、製造することができる。電荷移動層の膜厚は通常は10〜50μm、好ましくは13〜35μmの範囲で使用される。
【0023】
電荷移動層中の電荷移動材料としては、ポリビニルカルバゾール、ポリピニルピレン、ポリアセナフチレン等の高分子化合物、又は各種ピラゾリン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アリールアミン誘導体等の低分子化合物が使用できる。
バインダーポリマーとしては、上記電荷移動材料と相溶性が良く、塗膜形成後に電荷移動材料が結晶化したり、相分離することのないポリマーが好ましい。それらの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0024】
電子吸引性化合物としては、テトラシアノキノジメタン、ジシアノキノメタン、ジシアノキノビニル基を有する芳香族エステル類等のシアノ化合物、2,4,6−トリニトロフルオレノン等のニトロ化合物、ペリレン等の縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、キノン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、酸無水物、フタリド類、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアノ化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩を用いるのがよい。
【0025】
更に、本発明の電子写真用感光体の感光層は成膜性、可とう性、塗布性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。
更に、感光層の上に、機械的特性の向上及びオゾン,NOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を設けても良い。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよいことは言うまでもない。
【0026】
尚、このようにして作製した電子写真感光体は、帯電,露光,現像,転写のプロセスを含む複写機及びプリンター及びファクシミリで使われるが、どのプロセスに対しても通常用いられる方法で、問題なく使用されることが出来る。具体的には、帯電方法としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯電、導電性ローラーあるいはブラシ、シートによる接触帯電などいずれが用いられていても問題ない。現像方法としては、磁性あるいは非磁性の一成分現像剤、二成分現像剤などを接触あるいは非接触させて現像するのいずれが用いられても問題ない。又、正規現像あるいは反転現像いずれで用いられても問題ない。転写方法としては、コロナ放電によるもの、転写ローラーを用いた方法等いずれで用いられても問題ない。又、これらのプロセスの他にクリーニング、除電等のプロセスを有している装置でも用いられることが出来る。
【0027】
【実施例】
以下本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は断りがない限り、「重量部」を示す。
【0028】
分散液(P1)の調液
メチル水素ポリシロキサン表面処理酸化チタンは、先ず、酸化チタンとして石原産業(株)製 製品名TTO−55N(結晶型 ルチル 1次粒径0.03〜0.05μm,コロイダルシリカ含有量:0.39%)を用い、この表面にメチル水素ポリシロキサンを3重量%均一に施して調製した。
【0029】
次に、得られるメチル水素ポリシロキサン処理酸化チタンと混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=7/3)をボールミルで16時間分散した。
ここで得られた酸化チタン分散液を特開平4−31870号公報の実施例で記載された製造法により製造された下記構造のランダム共重合ポリアミドの混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=70/30)溶液に加えた。最終的に酸化チタン/ナイロン比3/1(重量比)で固形分濃度16重量%の分散液を調製し、これを分散液(P1)とした。
【0030】
【化4】
【0031】
分散液(P2)の調液
バインダー樹脂が、12/6/66共重合ポリアミド樹脂(ダイセルヒュルス社製:商品名T−171)であること以外分散液(P1)と全く同様にして調液し、分散液(P2)とした。
分散液(Q1)の調液
酸化チタンとして、三好化成(株)製、製品名SI−UFTR−ZF(TTO55Aに、2重量%のメチル水素ポリシロキサンが表面処理されている)を用いる以外は、分散液(P1)と全く同様にして調液し、分散液(Q1)とした。
*TTO55A:石原産業(株)製 ルチル型チタニア(TTO55Nベースで、
1重量%のアルミナが処理されている)
【0032】
分散液(Q2)の調液
酸化チタンとして、三好化成(株)製、製品名SI−UFTR−ZF(TTO55Aに、2重量%のメチル水素ポリシロキサンが表面処理されている)を用いる以外は、分散液(P2)と全く同様にして調液し、分散液(Q2)とした。
【0033】
実施例1
分散液(P1)に、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が、0.75μmとなるように下引き層を設けた。
次に、CuKα線により粉末X線スペクトルでブラッグ角2θ=27.3に主たる回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシニアン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液に先に下引き層を設けたアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.3g/m2 (約0.3μm)となるように電荷発生層を設けた。
次に、このアルミニウム製シリンダーを、次に示すヒドラゾン化合物56重量部と
【0034】
【化5】
【0035】
次に示すヒドラゾン化合物14重量部、
【0036】
【化6】
【0037】
及び下記のシアン化合物1.5重量部
【0038】
【化7】
【0039】
及び、特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造法により製造された、2つの繰り返し構造単位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマーモル比1:1)100部
【0040】
【化8】
【0041】
を1,4ジオキサン、テトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させた液を浸漬塗布することにより、乾燥膜厚が17μmになるように電荷移動層を設けた。このようにして得られたドラムを感光体A1とする。電荷移動層の膜厚が13μmである以外は、A1と全く同じようにして得られた感光体ドラムを感光体A1’とする。
【0042】
実施例2
下引き塗布液を、分散液(P2)とした以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得た感光体ドラムを感光体A2とする。電荷移動層の膜厚が13μmである以外は、A2と全く同じようにして得られた感光体ドラムを感光体A2’とする。
【0043】
比較例1
下引き塗布液を、分散液(Q1)とした以外は、実施例1と全く同様にして得た感光体ドラムを感光体B1とする。電荷移動層の膜厚が13μmである以外は、B1と全く同じようにして得られた感光体ドラムを感光体B1’とする。
【0044】
比較例2
下引き塗布液を、分散液(Q2)とした以外は、実施例1と全く同様にして得た感光体ドラムを感光体B2とする。電荷移動層の膜厚が13μmである以外は、B2と全く同じようにして得られた感光体ドラムを感光体B2’とする。
【0045】
比較例3
下引き層を塗布しない以外は、実施例1と全く同様にして得た感光体ドラムを感光体B3とする。
評価
次にこれらの感光体を市販のレーザープリンター(HEWLETT PACKARD製 LASER JET 4 Plus)に装着して、各環境下において白地画像を出し、画像評価を行った。その結果を表1に示す。実施例の感光体A1、A2も比較例の感光体B1,B2もいずれも温度/湿度が5℃/10%、25℃/50℃、35℃/85%のいずれの環境下においても良好な画像が得られた。しかし、電荷移動層の膜厚が、13μmと薄い場合(繰り返し使用により、電荷移動層が摩耗し、薄くなった状態に対応)は、実施例の感光体A1’は、各環境下で良好な画像が得られるが、A2’は、温度/湿度が35℃/85%の高温高湿環境下のみで、画像が悪化する。比較例の感光体も、B1’は、各環境下で良好な画像が得られるが、B2’は、各環境下で画像が悪化する。
【0046】
【表1】
【0047】
次にこれらの電子写真感光体を感光体特性測定機に装着して、表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を照射した時の半減露光量、660nmのLED光除電後の残留電位を測定した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
本発明の感光体A1、A2、温度/湿度が5℃/10%、25℃/50%、35℃/85%の環境下において、下引き層がない感光体B3と比べて、半減露光量は同等で有り、残留電位についても上昇は小さくほぼ同等である。
各環境下において、画像特性が良好であった比較例の感光体B1は、5℃/10%、25℃/50%の残留電位の上昇が、実施例の感光体に比べて大きく、低温低湿度での特性に特に問題がある。
感光体B2(電荷移動層を13μmにしたB2’は、画像に問題が有る)については、5℃/10%の環境での半減露光量が若干悪化の傾向にあるが、他は特に問題の無いレベルであった。
【0050】
以上の結果から、本発明の電子写真感光体は、非常に優れた性能を有していると判断できる。さらに、実施例1と2の結果から、その中でも、バインダー樹脂が、下記一般式(I)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミドである場合は、電荷移動層の膜厚が薄くなっても、各環境下で良好な画像が得られ、特に優れた特性を示す。
更に本発明の塗布液は、低沸点のアルコール溶媒のみで分散でき、保存安定性も優れている。
【0051】
尚、本発明の塗布液の分散安定性が、優れている理由は定かではないが、おそらく以下のように考えられる。ポリシロキサンとして一般的に使用されているジメチルポリシロキサンと比べて、メチル水素ポリシロキサンは、極性の大きなSi−H基が存在するために、この処理をされた酸化チタン粒子の溶媒中でのゼータ電位が大きくなることにより、塗布液の分散安定性が向上すると考えられる。実際、表面処理酸化チタンとして、石原産業(株)製 製品名TTO−55S(TTO55Aに、2重量%のジメチルポリシロキサン処理がなされている)及びTTO55Nに2重量%のジメチルポリシロキサン処理された粒子を用いて、本発明の実施例と同様な下引き塗布液を作製したところ、塗布液の分散安定性は非常に悪く、実使用上問題のあるものであった。更に、シクロヘキサノン等を混合することにより、初期的な分散性はある程度改善出来るが、経時安定性については非常に悪く、やはり実使用上問題のあるものであった。
【0052】
尚、メチル水素ポリシロキサンのみで処理された酸化チタン粒子を用いると、優れた性能を示すことの理由は定かではないが、以下のように考えられる。低温低湿から高温高湿の各環境下での下引き層の特性向上にとって、酸化チタン粒子を被覆する処理剤として、メチル水素ポリシロキサンは、最も効果的な処理剤の一つと考えられる。そのため、他の処理が為されていると、特性が低下するものと考えられる。
しかしながら、製造上の問題で、メチル水素ポリシロキサンのみで酸化チタン粒子をコーティングするのは難しく、特に1次粒子径が100nm以下の小粒径のものは難しいので、一般的には処理を容易にし、生産性を高めるために、前処理としてアルミナ等で表面処理が為されている。また、電子写真感光体等の特殊な用途以外には、おそらくアルミナ処理等の影響が小さく、そのため、市販されているメチル水素ポリシロキサン処理チタニアは、ほとんどが、前処理としてアルミナ処理が為されているのであろうと推測される。
【0053】
【発明の効果】
本発明の下引き層を用いた電子写真感光体は、高温高湿から低温低湿にわたる全環境において電気特性及び画像特性が良好であり、帯電性及び、感光層と導電性基体との接着性が改善され、優れている。又、本発明の下引き塗布液は、経時の分散安定性も優れている。
Claims (5)
- 導電性基体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層が、実質的にメチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理されていて他の不純物を含まない酸化チタン粒子と、バインダー樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性基体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層がコーティング処理された酸化チタン粒子とバインダー樹脂を含んでおり、かつ該コーティング処理された酸化チタン粒子が実質的にメチル水素ポリシロキサンのみでコーティング処理されていて、0.1重量%から1重量%のコロイダルシリカを含有する以外には他の不純物を含まないものであることを特徴とする電子写真感光体。
- 酸化チタン粒子の平均一次粒子径が、100nm以下(TEM写真からの測定による)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- バインダー樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04161398A JP3617292B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | 電子写真感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04161398A JP3617292B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | 電子写真感光体 |
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