JP2007293372A - 電子写真感光体及び電子写真方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高感度、低残留電位、高移動度、高耐久等の電子写真感光体の基礎特性を高性能に維持しつつ、さらにフォトメモリー特性を改良した、実用上極めて高性能な電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 導電性支持体上に、下引き層、及び電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層がこの順に形成されてなる電子写真感光体であって、電荷輸送物質における、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による分極率αの計算値α cal が、α cal >70(Å)を満たし、半経験的分子軌道計算による双極子モーメントPの計算値P cal が、P cal <1.8(D)を満たす。さらに、下引き層が有機珪素化合物で被覆された酸化チタン粒子を含むものであり、この有機珪素化合物がメチル水素ポリシロキサン、又は、所定の化合物である。
【選択図】なし
【解決手段】 導電性支持体上に、下引き層、及び電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層がこの順に形成されてなる電子写真感光体であって、電荷輸送物質における、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による分極率αの計算値α cal が、α cal >70(Å)を満たし、半経験的分子軌道計算による双極子モーメントPの計算値P cal が、P cal <1.8(D)を満たす。さらに、下引き層が有機珪素化合物で被覆された酸化チタン粒子を含むものであり、この有機珪素化合物がメチル水素ポリシロキサン、又は、所定の化合物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真感光体に関するものである。さらに詳しくは有機系の光導電性物質を含有する感光層を有する高感度・高性能の電子写真感光体に関するものである。
従来、電子写真用感光体の感光層にはセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物質が広く用いられてきた。しかしながら、セレン、硫化カドミウムは毒物として回収が必要であり、セレンは熱により結晶化するため耐熱性に劣り、硫化カドミウム、酸化亜鉛は耐湿性に劣り、また酸化亜鉛は耐刷性がないなどの欠点を有しており、新規な感光体の開発の努力が続けられている。最近は、有機系の光導電性物質を電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、そのいくつかが実用化された。有機系の光導電性物質は無機系のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光体の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を製造できる等の利点を有する。
これら有機光導電性化合物を用いた電子写真感光体は、電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能分離型の感光体として利用されることが多い。これは電気的、機械的双方の特性を満足させる電子写真感光体の設計が容易だからである。ここで電子写真感光体が満足すべき電気的、機械的双方の特性には、初期的に優れた性能を有するだけでなく、繰り返し使用される場合に十分な耐久性が必要なことも含まれる。
電子写真感光体の露光部にトナーを付着させる、いわゆる反転現像方式の電子写真プロセスにおいて、初期的に優れた性能とは、使用される電子写真プロセスにマッチする最適感度・電気特性を有することをいい、繰り返し使用される場合の十分な耐久性とは、繰り返し使用時に電子写真感光体表面に直接加えられる、コロナ又は直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程及び表面クリーニング等による、電気的、機械的外力による劣化に対する耐久性を有することをいう。
電子写真感光体が繰り返し使用される場合の発生する電気的劣化は、電子写真感光体特性に対し、繰り返し使用した場合の暗部電位(Vo)の低下や露光電位(VL)の上昇として現れる他、光が照射された部分にキャリアーが滞留し光が照射していない部分と電位差を生じる、いわゆるフォトメモリーの現象としても現れる。
以上の諸特性を満足させるための一つの手段として、優れた電気的特性、機械的特性を有する電荷輸送物質の開発が望まれる。このような電荷輸送物質として、例えば特開平10−312071号公報には特定のパラメータを満たす電荷輸送物質が高感度、低残留電位、高移動度で、高耐久性の電子写真感光体を提供する旨開示されている。
しかしながら、使用される電子写真プロセスの構成によっては、上記開示されている特定のパラメータを有する電荷輸送物質においても、未だフォトメモリー特性が不十分であった。さらに、このフォトメモリーの問題は、前記したように電子写真感光体が電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合に発生するだけでなく、コピー機、プリンターの製造時に電子写真感光体に照射される光、または、市場においてコピー機・プリンターのメンテナンス時に電子写真感光体を外部に取り出したときに照射される光によっても引き起こされる場合があり、電子写真感光体の特性上軽視できない技術的課題であった。
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討を行った結果、これら、高感度、低残留電位、高移動度で高耐久性の電子写真感光体を提供する特定のパラメータを有する電荷輸送物質を使用し、且つ電子写真感光体の導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることによって、前記電荷輸送物質により発現される高感度、低残留電位、高移動度、高耐久等の種々の長所を損なうことなく、さらにフォトメモリー特性を改善できることを見い出し本発明を完成した。
すなわち、本発明の第一の要旨は、導電性支持体上に、下引き層、及び電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層がこの順に形成されてなる電子写真感光体であって、該電荷輸送物質が、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算(以下「半経験的分子軌道計算」と称する)による分極率αの計算値αcalが、次式
本発明においては、感光層に特定の電荷輸送物質を用い、感光層と導電性支持体の間に所定の下引き層を設けることによって、該電荷輸送物質の有する高感度、低残留電位、高移動度、高耐久等の電子写真感光体の基礎特性を高性能に維持しつつ、さらにフォトメモリー特性を改良した、実用上極めて高性能な電子写真感光体を得ることができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質及び後述する特定の電荷輸送物質を含有する感光層を有し、さらに導電性支持体と感光層との間に下引き層を有するものである。この構成とすることにより、高感度、低残留電位、高移動度、高耐久、かつフォトメモリー特性に優れる電子写真感光体が得られる。
<導電性支持体>
導電性支持体としては公知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。又、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。なかでもアルミニウム等の金属のエンドレスパイプが好ましい支持体である。
導電性支持体としては公知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。又、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。なかでもアルミニウム等の金属のエンドレスパイプが好ましい支持体である。
<下引き層>
本発明においては、前記導電性支持体と感光層との間に下引き層が挿入される。下引き層は、導電性支持体からの電荷の注入を阻止し、反転現像における画像黒点・正転現像における画像白点の発生を抑制する(印字画像の画質向上させる)ことを目的として挿入されるのが通常である。しかしながら、本発明では、前記通常の目的のために使用されるのみならず、さらにフォトメモリー性改良のために使用される。
本発明においては、前記導電性支持体と感光層との間に下引き層が挿入される。下引き層は、導電性支持体からの電荷の注入を阻止し、反転現像における画像黒点・正転現像における画像白点の発生を抑制する(印字画像の画質向上させる)ことを目的として挿入されるのが通常である。しかしながら、本発明では、前記通常の目的のために使用されるのみならず、さらにフォトメモリー性改良のために使用される。
下引き層は、通常、少なくともバインダー樹脂単独又は有機珪素化合物で被覆された酸化チタン粒子とバインダー樹脂とから構成されるが、必要に応じて、酸化防止剤、添加剤、導電剤を加えても良い。下引き層の膜厚は、薄すぎると前記反転現像における画像黒点・正転現像における画像白点の原因となる、局所的な帯電不良に対する効果が十分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層間の接着強度低下の原因となる。本発明の下引き層の膜厚は0.1〜10μmで、より好ましくは0.3〜5μmで使用されるのが望ましい。
(1)バインダー樹脂
本発明において、下引き層中に含有されるバインダー樹脂としては、下記一般式(3)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、下引き層中に含有されるバインダー樹脂としては、下記一般式(3)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。
(一般式(3)中、
は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキシル環を表し、R17、R18はそれぞれ独立して水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を表す。)
かかる共重合ポリアミドの数平均分子量は1万〜5万、より好ましくは1万5千〜3万5千である。この範囲を外れると塗布性や保存性に問題を生じることもある。又、上記構造で、アミド基がパラ位にあり、その他の基が水素原子、メチル基及びエチル基であることがより好ましい。また、かかる共重合ポリアミドには通常用いられる他のジアミン成分、例えば1,6−ジアミノヘキサン等を含んでいてもよく、また、アミノカルボン酸成分、例えばカプロラクタムの開環重合成分等を含んでいてもよい。ジカルボン酸成分には特に制限はなく、ポリアミドに通常用いられるものであればいずれでもよく、例えばHOOC(CH2)4COOH、HOOC(CH2)8COOH、HOOC(CH2)10COOH、HOOC(CH2)18COOH等のポリメチレンジカルボン酸が挙げられる。
(2)酸化チタン
酸化チタンは、その1次粒子が100nm以下のものが好ましく、10〜60nmが特に好ましい。粒径は、均一であってもまた、異なる粒径の複合系でもよい。例えば、0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いてもよい。
酸化チタンは、その1次粒子が100nm以下のものが好ましく、10〜60nmが特に好ましい。粒径は、均一であってもまた、異なる粒径の複合系でもよい。例えば、0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いてもよい。
酸化チタンは結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナタース、ルチル、ブルッカイトのいずれでもよいが、ルチルが一般的に用いられる。本発明において用いられる酸化チタンは、無処理の酸化チタンでもよいが、アルミナ、シリカ、ジルコニア等の無機物で被覆された酸化チタンでも良い。
本発明において、必要に応じて用いられる酸化チタンは、有機珪素化合物で表面を被覆されたものであることが好ましい。本発明に使用される有機珪素化合物としてまず挙げられるのは、ジメチルポリシロキサンやメチル水素ポリシロキサン等のシロキサン化合物であり、この中でも特にメチル水素ポリシロキサンが、特性及び溶液安定性の面で好ましい。この場合の有機珪素化合物被覆は以下のような製造方法により行われる。すなわち、有機珪素化合物と酸化チタンを粉砕機の中に計量しながら供給して被覆する乾式法、或いは適当な溶媒に溶解した有機珪素化合物溶液を酸化チタンスラリーに加え、有機珪素化合物が均一に付着されるまでよく掻き混ぜた後、乾燥させる湿式法のいずれかの方法が採用されるのである。
本発明に使用される有機珪素化合物は、下記一般式(4)で表される、単分子有機珪素化合物であってもよい。
一般式(4)中、R19及びR20は、それぞれ独立してアルキル基を示す。R21はアルキル基又はアルコキシ基を示す。R22は水素原子またはアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。なお、これらの珪素原子に結合しているアルキル基及びアルコキシ基には、更にアルコキシ基が結合していてもよく、R19〜R22のそれぞれの全炭素数は1〜6である。母体の酸化チタンと表面被覆剤との強固な結合を達成するためには、R19〜R22で示されるアルキル基及びアルコキシ基は小さい方が好ましく、その全炭素数は1〜4であるのが好ましい。特に好ましいのは、R19〜R21で示されるアルキル基及びアルコキシ基が、いずれもメチル基、エチル基、メトキシ基及びエトキシ基よりなる群から選ばれたものであることである。最も好ましくは、R19及びR20がそれぞれ独立してメチル基又はエチル基であるものであり、さらに表面処理に際しての酸化チタンとの反応性、及び表面処理した酸化チタンを液状媒体中に懸濁させたときの安定性の点からして、R22は水素原子であるのが好ましい。
この場合の有機珪素化合物被覆は、前記シロキサン化合物を被覆するのと同様に、乾式法及び湿式法のいずれでも行うことができる。乾式法による場合は、母体の酸化チタンをヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどのような高速攪拌基に仕込み、高速攪拌しながらこれに上記した単分子有機珪素化合物の溶液を滴下ないしは噴霧して均一に付着させた後、乾燥させればよい。また湿式法による場合には、溶媒中に母体の酸化チタンと単分子有機珪素化合物とを加え、ボールミル、コボールミル、サンドグラインドミル、パールミル等のビーズミルで分散したのち、溶媒を蒸発させればよい。いずれの場合でも、処理中又は処理後に、100〜200℃に加熱して母体の酸化チタンと表面処理剤との結合をより強固なものとするのが好ましい。
被覆する有機珪素化合物の量は酸化チタンの粒径にもよるが、酸化チタンに対して0.1〜10%重量%程度に調整することが好ましい。特に0.2〜5重量%が好ましい。また、有機珪素化合物被覆酸化チタン粒子と上述したバインダー樹脂の比率は任意に選ぶことができるが、液の安定性及び特性面からバインダー樹脂1重量部に対して、0.5〜6重量部の範囲が好ましい。
(3)下引き層用塗布液の作製方法
有機珪素化合物被覆酸化チタンを共重合ポリアミド樹脂溶液に分散させた塗布液を得るためには有機珪素化合物被覆酸化チタンを共重合ポリアミド樹脂溶液に加えてボールミル、サンドミル、ロールミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの手段で処理すればよい。
有機珪素化合物被覆酸化チタンを共重合ポリアミド樹脂溶液に分散させた塗布液を得るためには有機珪素化合物被覆酸化チタンを共重合ポリアミド樹脂溶液に加えてボールミル、サンドミル、ロールミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの手段で処理すればよい。
(4)下引き層の形成方法
下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いてもよいが、一般的には、ワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリケータ、浸積、スプレーなどの塗布方法により行われる。
下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いてもよいが、一般的には、ワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリケータ、浸積、スプレーなどの塗布方法により行われる。
<感光層>
(1)電荷輸送物質
前述した下引き層の上には、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層が形成される。
(1)電荷輸送物質
前述した下引き層の上には、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層が形成される。
本発明における感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層に分離した積層型でもよいが、何れの場合にも以下に詳述する特定の電荷輸送性物質を用いることを必要とする。本発明に用いられる電荷輸送物質は、半経験的分子軌道計算による、分極率αの計算値αcalが、次式
を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モーメントPの計算値P cal が、次式
を満たす必要がある。なお、本発明における上記計算値は、半経験的パラメータとしてPM3パラメータセットを用い半経験的分子軌道計算プログラムMOPACのバージョンMOPAC93を用いて計算したものである(PM3及びMOPACに関しては、J.J.P Stewart, Journal of Computer−Aided Molecular Design,4,1(1990)ならびにその中の引用文献を参照)。
分極率の計算値αcalは、好ましくは、
であり、更に好ましくは、
であり、最も好ましくは、
である。また、総極子モーメントの計算値P cal は、好ましくは、
であり、更に好ましくは、
である(特定の分極率及び総極子モーメントを示す電荷輸送物質が高性能な電子写真特性を示す考察については、特開平10−312071号公報参照)。
上記電荷輸送物質は、例えば、下記一般式(1)で表されるアリールアミン系化合物が挙げられる。
(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換アミノ基を表し、これらはお互いに同一でも異なっていてもよい。k、l、m、n、o及びpは、それぞれ、0〜4の整数を表し、2以上の整数の場合に複数存在するR1〜R6のそれぞれは、同一でも異なっていてもよい。また、一般式(1)中、X1は、下記一般式(2)を、X2は、下記一般式(2’)を表す。)
(一般式(2)、(2’)中、iは1または2の整数を表し;hは0〜2の整数を表し:R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。さらにR10とR11からなる対、又はR15とR16からなる対は縮合して炭素環基または複素環基を形成してもよい。但しR10とR11からなる対、又はR15とR16からなる対は、どちらか一方が水素原子またはアルキル基の場合は、もう一方はアリール基、又は複素環基である。i=2の場合、それぞれのR7とR8は同一でも異なっていてもよく、またh=2の場合、それぞれのR15とR16は同一でも異なっていてもよい。X1及びX2は同一でも異なっていてもよい。)
上記アリールアミン系化合物の具体的な構造例としては、以下のようなものが挙げられる。構造は、考え得る種々の初期構造から出発し、最安定構造を求めた。単一の構造にならない場合は、これらの平均値を求めた。
上記化合物No.1〜3の分極率αの計算値αcal、双極子モーメントPの計算値Pcalを表−1に示す。
(2)積層型感光層
(ア)電荷発生層
積層型の場合、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層したものでも、電荷輸送層の上に電荷発生層を積層したものでもよい。はじめに電荷発生層について説明する。前記下引き層の上には、好ましくは電荷発生層が形成される。電荷発生層は、電荷発生物質を蒸着することによっても形成することができるが、電荷発生物質および必要に応じ他の有機光導電性化合物、色素、電子吸引性化合物等をバインダー樹脂と共に溶剤に溶解あるいは分散し、得られた塗布液をワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリケータ、浸積、スプレーなどの公知の塗布方法により塗工し乾燥させることにより形成することができる。
(ア)電荷発生層
積層型の場合、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層したものでも、電荷輸送層の上に電荷発生層を積層したものでもよい。はじめに電荷発生層について説明する。前記下引き層の上には、好ましくは電荷発生層が形成される。電荷発生層は、電荷発生物質を蒸着することによっても形成することができるが、電荷発生物質および必要に応じ他の有機光導電性化合物、色素、電子吸引性化合物等をバインダー樹脂と共に溶剤に溶解あるいは分散し、得られた塗布液をワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリケータ、浸積、スプレーなどの公知の塗布方法により塗工し乾燥させることにより形成することができる。
電荷発生物質としては、セレン、セレンーテルル合金、セレンーヒ素合金、硫化カドミウム,アモルファスシリコン等の無機光伝導性粒子、無金属フタロシアニン、金属含有フタロシアニン、ペリノン系顔料、チオインジゴ、キクリドン、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキス系アゾ顔料、シアニン系顔料等の有機光伝導性粒子が挙げられる。更に、多環キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、インジゴ、アントアントロン、ピラントロン等の各種有機顔料、染料が使用できる。中でも無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウム,塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属又は、その酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料及びペリレン系顔料が好ましく、さらにオキシチタニウムフタロシアニンが好ましい。
バインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ、エポキシ、ウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形の分散層で使用してもよい。更に、バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリアミド、けい素樹脂等が挙げられる。
この場合の電荷発生物質の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して通常20〜2000重量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは33〜500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜0.8μmが好適である。また電荷発生層は塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(イ)電荷輸送層
積層型の場合、電荷発生層の上に、主として本発明に用いられる上述した電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送層が形成される。
積層型の場合、電荷発生層の上に、主として本発明に用いられる上述した電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送層が形成される。
バインダー樹脂としては、例えばポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂など重合体、及びその共重合体でもよく、又これらの部分的架橋硬化物も使用できる。さらに、前記バインダー樹脂の2種以上をブレンドして用いてもよい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対して30〜90重量部、好ましくは40〜70重量部の範囲で使用される。また電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚は10〜60μm、好ましくは10〜45μm、さらに好ましくは25μm〜40μmの厚みで使用されるのがよい。
電荷輸送層の成形方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液をワイヤーバー、ドクターブレード、フィルムアプリケータ、浸積、スプレーなどの公知の塗布方法により塗工し乾燥させることにより形成することができる。
(3)単層型感光層
次に感光層が単層型の場合について説明する。キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質と電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。特に本発明においては、電荷輸送物質は、前記材料が用いられる。単層感光層は、電荷発生物質及び前記電荷輸送物資及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、電子輸送剤等を添加することもできる。バインダー樹脂としては、先に積層型の電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、前出の積層型の電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
次に感光層が単層型の場合について説明する。キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質と電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。特に本発明においては、電荷輸送物質は、前記材料が用いられる。単層感光層は、電荷発生物質及び前記電荷輸送物資及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、電子輸送剤等を添加することもできる。バインダー樹脂としては、先に積層型の電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、前出の積層型の電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
単層型感光層の場合、電荷発生物質、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は、ワイヤバー、ドクターブレード、フィルムアプリケータ、浸漬やスプレーなどの公知の塗布方法を用いて行うことができる。ビリリウム系染料、ビスフェノールA系ポリカーボネイトから形成される非晶錯体に、電荷輸送物質を添加した感光体も、適当な溶媒から同様な塗工法で形成できる。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、上述したように導電性支持体上に少なくとも下引き層及び感光層を設けてなるものであるが、必要に応じて、さらに、中間層、透明絶縁層、表面保護層等を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、本感光体に表面保護層を設ける場合、保護層の厚みは0.01〜20μmが可能であり、好ましくは0.1〜10μmである。保護層には前記のバインダーを用いることができるが、前記の電荷発生剤、電荷輸送剤、添加剤、金属、金属酸化物などの導電材料、滑剤等を含有しても良い。さらには、従来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリマーを主体とする表面保護層を設けても良い。
本発明の電子写真感光体は、上述したように導電性支持体上に少なくとも下引き層及び感光層を設けてなるものであるが、必要に応じて、さらに、中間層、透明絶縁層、表面保護層等を有していてもよいことは言うまでもない。例えば、本感光体に表面保護層を設ける場合、保護層の厚みは0.01〜20μmが可能であり、好ましくは0.1〜10μmである。保護層には前記のバインダーを用いることができるが、前記の電荷発生剤、電荷輸送剤、添加剤、金属、金属酸化物などの導電材料、滑剤等を含有しても良い。さらには、従来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリマーを主体とする表面保護層を設けても良い。
このようにして得られる電子写真感光体は長期間にわたって優れた耐刷性を維持する感光体であり、複写機、プリンター、ファックス、製版機等の電子写真分野に好適である。
<電子写真装置及び電子写真方法>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機・プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いても良い。
本発明の電子写真感光体を使用する複写機・プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いても良い。
帯電方法(帯電器)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯電、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを用いても良い。このうち、コロナ放電を利用した帯電方法では暗部電位を一定に保つためにスコロトロン帯電が用いられることが多い。本発明において、露光は、通常、波長500nm以上のものを用い、具体的には、He−Ne等のレーザー光、あるいは、ハロゲンランプ、蛍光灯等が用いられるが、レーザー光を用いることがより好ましい。
現像方法としては、磁性あるいは非磁性の一成分現像剤、二成分現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法としては、コロナ放電によるもの、転写ローラーあるいは転写ベルトを用いた方法等いずれでもよい。転写は、紙やOHP用フィルム等に対して直接行っても良いし、一旦中間転写体(ベルト状あるいはドラム状)に転写したのちに、紙やOHP用フィルム上に転写しても良い。
通常、転写の後、現像剤を紙などに定着させる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的に用いられる熱定着、圧力定着などを用いることができる。これらのプロセスのほかに、通常用いられるクリーニング、除電等のプロセスを有しても良い。
以下に実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中「重量部」とは「重量%」を示す。
実施例1
実験にはメチル水素ポリシロキサン表面酸化処理酸化チタンを用いた。その製造方法は以下の通りである。まず、酸化チタンとして石原産業(株)製 製品名TTO−55N(結晶型 ルチル 1次粒径0.03〜0.05μm)を用い、この表面にメチル水素ポリシロキサンを3重量%均一に施して調製した。このようにして得たメチル水素ポリシロキサン処理酸化チタンは、混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=7/3)とともにボールミルで16時間分散した。次に、得られた酸化チタン分散液を特開平4−31870号公報の実施例で記載された製造法により製造された下記構造のランダム共重合体ポリアミドの混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=70/30)溶液に加えた。最終的に酸化チタン/ナイロン比3/1(重量比)で固形分濃度16重量%の分散液を調製した。
実験にはメチル水素ポリシロキサン表面酸化処理酸化チタンを用いた。その製造方法は以下の通りである。まず、酸化チタンとして石原産業(株)製 製品名TTO−55N(結晶型 ルチル 1次粒径0.03〜0.05μm)を用い、この表面にメチル水素ポリシロキサンを3重量%均一に施して調製した。このようにして得たメチル水素ポリシロキサン処理酸化チタンは、混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=7/3)とともにボールミルで16時間分散した。次に、得られた酸化チタン分散液を特開平4−31870号公報の実施例で記載された製造法により製造された下記構造のランダム共重合体ポリアミドの混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=70/30)溶液に加えた。最終的に酸化チタン/ナイロン比3/1(重量比)で固形分濃度16重量%の分散液を調製した。
この分散液をポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム蒸着面上にバーコーターにより乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように下引き層を設けた(以下これを「下引き層a」と呼ぶ)。粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラック角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、7.4°、9.7°及び24.2°に回折ピークを示す結晶系のオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を200重量部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2に加え、サンドクラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散予備液を調整した。これを、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)5重量部の10%メタノール溶液と混合し分散液を作成した。
そして、この分散液を前述の下引き層の上にバーコーターにより乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を設けた。この電荷発生層の上に、特開平9−244278号公報に開示された方法で製造された、前記した電荷輸送物質(No.1)を60重量部、および、下記のシアン化合物0.25重量部
及びジブチルヒドロキシトルエン(BHT)8重量部、特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造法により製造された、2つの繰り返し構造単位を有する下記ポリカーボネート樹脂(モノマーモル比1:1)100重量部
をテトラヒドロフラン、トルエン混合溶液 1000重量部で溶解させた溶液をフィルムアプリケータにより塗布し、乾燥後の膜厚が25μmとなるように電荷輸送層を設けた。この様にして作成した感光体を「感光体A」とする。
実施例2
下引き層中に含有される酸化チタン粒子を下記方法で表面被覆して得た以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。すなわち、表面被覆は、酸化チタンとして石原産業(株)製 製品名TTO−55N(結晶型:ルチル、1次粒径0.03〜0.05μm)100重量部、メチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製品、TSL8117)3重量部、及びメタノール267重量部をボールミル分散処理後、メタノールを蒸発させ、酸化チタンを140℃で焼成することによって得られた。この様にして表面被覆した酸化チタンを含有する下引き層を「下引き層b」、感光体を「感光体B」とする。
下引き層中に含有される酸化チタン粒子を下記方法で表面被覆して得た以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。すなわち、表面被覆は、酸化チタンとして石原産業(株)製 製品名TTO−55N(結晶型:ルチル、1次粒径0.03〜0.05μm)100重量部、メチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製品、TSL8117)3重量部、及びメタノール267重量部をボールミル分散処理後、メタノールを蒸発させ、酸化チタンを140℃で焼成することによって得られた。この様にして表面被覆した酸化チタンを含有する下引き層を「下引き層b」、感光体を「感光体B」とする。
比較例1
実施例1において、下引き層を除く以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。この様にして作成した感光体を「感光体C」とする。
実施例1において、下引き層を除く以外は実施例1と同様にして感光体を作成した。この様にして作成した感光体を「感光体C」とする。
実施例3
実施例2において、下引き層bの膜厚を0.5μmとした以外は、実施例2と同様にして感光体を作成した。この様にして作成した感光体を「感光体D」とする。
実施例2において、下引き層bの膜厚を0.5μmとした以外は、実施例2と同様にして感光体を作成した。この様にして作成した感光体を「感光体D」とする。
参考例1
実施例3における下引き層を、実施例1に記載のランダム共重合体ポリアミド単独(有機珪素化合物で表面被覆された酸化チタンを含有させない)のみで形成し、その膜厚を0.5μmとすること以外は実施例3と同様にした感光体を作成した。この様にして作成した下引き層を「ポリアミド単独下引き層」、感光体を「感光体E」とする。
実施例3における下引き層を、実施例1に記載のランダム共重合体ポリアミド単独(有機珪素化合物で表面被覆された酸化チタンを含有させない)のみで形成し、その膜厚を0.5μmとすること以外は実施例3と同様にした感光体を作成した。この様にして作成した下引き層を「ポリアミド単独下引き層」、感光体を「感光体E」とする。
<感光体の評価>
このようにして得た感光層を有する電子写真感光体を、(株)川口電気製作所製、モデルEPA−8100を用いて、温度25℃/相対湿度50%(NN環境)における電気特性を測定した。測定項目は、暗所での電子写真感光体の初期表面電位(Vo)及び、半減露光量(E1/2)、残留電位(Vr)である。
このようにして得た感光層を有する電子写真感光体を、(株)川口電気製作所製、モデルEPA−8100を用いて、温度25℃/相対湿度50%(NN環境)における電気特性を測定した。測定項目は、暗所での電子写真感光体の初期表面電位(Vo)及び、半減露光量(E1/2)、残留電位(Vr)である。
Voは、暗所で−25μAのコロナ電流により電子写真感光体を負帯電させた場合の表面電位を測定することによって行った。また、E1/2は、20ルックスの白色光を干渉フィルターに通して得られた780nmの光(露光エネルギー0.016μW/cm2)で露光し、表面電位がVoの半分になるまでに照射される露光量を算出することによって得た。さらに、露光時間を10秒後の電子写真感光体の表面電位を測定し、これをVrとした。その結果を表−2に示す。
さらに、感光体A及びCについては、川口電気(株)製、モデルEPA−8100を用いて、前記帯電・露光の電子写真プロセスを2000回繰り返し行うことにより、その耐久性を評価した。繰り返し使用の前後でのVo、Vrを表−3に示す。尚、このとき測定条件をより過酷にするため、Voに帯電させるためのコロナ電流をで−35μAとした。
次に、感光体A、感光体B、感光体C、感光体D、感光体Eについて、フォトメモリ性を測定した。フォトメモリ性は3000luxの蛍光灯を5分間照射する前後での暗部電位(Vo)及び、照射後190回帯電―露光を繰り返した後のVoを測定することによって評価した。尚、フォトメモリ性測定用の評価機として川口電気(株)製、モデルEPA−8100を用いた。その結果を表−4に示す。表中、括弧内に示された数字は、照射前Voからの差である。
蛍光灯照射によっても感光体の電位変動が小さい電子写真感光体の方がフォトメモリー性に優れるといえる。下引き層を導電性支持体と感光層の間に設けたもの(感光体A、B、D、E)と設けないもの(感光体C)について得られた結果を考察すると、下引き層を設けることによって、3000luxの光を5分間照射した後のVoの低下量が大幅に軽減され、結果として帯電―露光を繰り返し行った際のVoの回復も早くなることがわかる(表−4)。つまり表−4の結果から、下引き層の挿入によりフォトメモリ性が大幅に改良されることがわかる。
さらに下引き層の構成によっても効果に差が見られる。表−2の結果からわかるように、ポリアミド樹脂のみからなる下引き層では、フォトメモリ性は改善されるものの感光体の残留電位が大幅に上昇してしまう傾向がある(表−2 感光体E)。従って、本発明が達成しようとする高性能の感光体を得るためには、下引き層に酸化チタン粒子を含有させることがより好ましいことがわかる。
以上の表−2〜4の結果から、導電性支持体と感光層の間に本発明で提供される下引き層を設けることにより、本発明の電子輸送物質の有する、高感度、低残留電位、高移動度、高耐久等の電子写真感光体の基礎特性を損なうことなく、さらにフォトメモリー特性をも改良できることがわかる。下引き層を設けることによる、フォトメモリー性の改良の理由は明らかでないが、一応以下のように考えられる。すなわち、フォトメモリーは、光が照射された部分にキャリアーが滞留し光を照射していない部分と電位差を生じることにより発生すると推測される。本発明における、感光層と導電性支持体の間に挿入される下引き層は、感光層から下引き層さらには下引き層から導電性支持体へのキャリアーの注入特性を変化させ、フォトメモリーの発生原因となる、上記のいわゆる「滞留キャリアー」を導電性支持体へと逃がしやすくするのではないかと予想される。そして、この滞留キャリアーが感光層外へと逃れやすくなる結果、光が照射された部分と照射されない部分の電位差が小さくなり、フォトメモリー性が改良されると考えられるのである。
Claims (8)
- 導電性支持体上に、下引き層、及び電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層がこの順に形成されてなる電子写真感光体であって、該電荷輸送物質が、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算(以下「半経験的分子軌道計算」と称する)による分極率αの計算値αcalが、次式
前記有機珪素化合物が、下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
- 電荷輸送物質が、下記一般式(1)で表されるアリールアミン系化合物である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 酸化チタン粒子の平均一次粒径が100nm以下(TEM写真からの測定による)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 電荷発生物質がオキシチタニウムフタロシアニンである請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6に記載の電子写真感光体に500nm以上の光で静電潜像を形成することを特徴とする電子写真方法。
- 電子写真感光体に静電潜像を形成する光がレーザー光である請求項7に記載の電子写真方法。
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