JPH10312071A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH10312071A
JPH10312071A JP12413797A JP12413797A JPH10312071A JP H10312071 A JPH10312071 A JP H10312071A JP 12413797 A JP12413797 A JP 12413797A JP 12413797 A JP12413797 A JP 12413797A JP H10312071 A JPH10312071 A JP H10312071A
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αcal
semi
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光幸 三森
Naruyuki Shiyouda
考行 庄田
Mikiko Satou
美貴子 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気特性等に優れた電子写真感光体を提供す
る。 【解決手段】 導電性支持体上に電荷発生物質及び電荷
輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体にお
いて、該電荷輸送物質のPM3パラメータを使った半経
験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による(以下
これを単に半経験的分子軌道計算によるとする)分極率
αの計算値αcalが、次式 αcal>70(Å^3) を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モー
メントPの計算値Pcalが、次式 Pcal<1.8(D) を満たすことを特徴とする電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用感光体に
関するものである。さらに詳しくは有機系の光導電性物
質を含有する感光層を有する高感度の電子写真用感光体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真用感光体の感光層にはセ
レン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性
物質が、広く用いられていた。しかしながら、セレン、
硫化カドミウムは毒物として回収が必要であり、セレン
は熱により結晶化するための耐熱性に劣り、硫化カドミ
ウム、酸化亜鉛は耐湿性に劣り、また酸化亜鉛は耐刷性
がないなどの欠点を有しており、新規な感光体の開発の
努力が続けられている。最近は、有機系の光導電性物質
を電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、その
いくつかが実用化された。有機系の光導電性物質は無機
系のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光
体の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を
製造できる等の利点を有する。
【0003】最近は、電荷キャリヤーの発生と移動の機
能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の
感光体が高感度化に有効であることから、開発の主流と
なっており、このタイプによる有機系感光体の実用化も
行なわれている。電荷キャリヤーの移動媒体(以下、
「CTM」と略す。)としては、ポリビニルカルバゾー
ルなどの高分子光導電性化合物を用いる場合と低分子光
導電性化合物をバインダーポリマー中に分散溶解する場
合とがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特に、有機系の低分子
光導電性化合物は、バインダーとして皮膜性、可とう
性、接着性などのすぐれたポリマーを選択することがで
きるので容易に機械的特性の優れた感光体を得ることが
できる(例えば、特開昭63−172161号公報、特
開昭63−174053号公報、特開平4−26726
1号公報、特公平5−15259号公報参照)。
【0005】ここで、電子写真用感光体として要求され
る性能を挙げると、(1)暗所におけるコロナ放電によ
る帯電性が高いこと、(2)コロナ帯電による表面電位
の暗所における減衰が小さいこと、(3)光照射による
表面電位の減衰が大きいこと、(4)光照射後の残留電
位が小さいこと、(5)繰り返し使用した時の表面電位
の変動や感度の低下、残留電位の蓄積等が少なく耐久性
にすぐれていることなどがある。
【0006】特に残留電位が大きい場合、露光部にも電
荷が残り、トナー現像を行なうと、非画線部にもトナー
が現像され、いわゆるカブリ画像となる。また、プリン
ターなどで多く用いられる反転現像においては、画像濃
度あるいはコントラストが低下し、極端な場合には画線
部にトナーが付着しない欠陥が生じ、いわゆる白ぬけ画
像となる。これはいずれも画像の再現性を著しく低下さ
せ、実用に供し得ない。近年、反転現像方式のレーザー
プリンター等の普及により、フタロシアニン系顔料など
の長波長光用電荷発生材料との組合せに適した高感度で
残留電位が低く、かつ移動度が高く、耐久性にすぐれた
CTMの開発が強く望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは高感度、低
残留電位、高移動度で、高耐久性の電子写真用感光体を
提供する有機系の低分子光導電性化合物について鋭意研
究したところ特定のパラメータを満たす分子が好適であ
ることを見出し本発明に至った。即ち、本発明の要旨
は、導電性支持体上に電荷発生物質及び電荷輸送物質を
含有する感光層を有する電子写真感光体において、該電
荷輸送物質の半経験的分子軌道計算による分極率αの計
算値αcalが、次式 αcal>70(Å^3) を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モー
メントPの計算値Pcalが、次式 Pcal<1.8(D) を満たすことを特徴とする電子写真感光体に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
有機電荷輸送物質の半経験的分子軌道計算による分極率
αの計算値αcalが、次式 αcal>70(Å^3) を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モー
メントPの計算値Pcalが、次式 Pcal<1.8(D) を満たす物質が、高い移動度を示し、この有機電荷輸送
物質と電荷発生物質を用いることによって、帯電性、感
度、残留電位等に優れた電子写真感光体が得られる。
【0009】本発明において有機電荷輸送剤の分極率、
双極子能率は半経験的分子軌道計算により求めた。分子
軌道法ではシュレディンガー方程式で用いる波動関数
を、原子軌道の線形結合で表される分子軌道からなるス
レーター行列式で近似し、その波動関数を構成する分子
軌道をつじつまの合った場(self−consist
ent field、略してSCF)の近似を用いて求
めることにより全エネルギー、波動関数および波動関数
の期待値として種々の物理量を計算できる。つじつまの
合った場の近似により分子軌道を求める際、計算時間の
かかる積分計算を種々の実験値を使ってパラメータし近
似することにより計算時間を短縮するのが半経験的分子
軌道法である。本発明では半経験的パラメータとしてP
M3パラメータセットを用い半経験的分子軌道計算プロ
グラムMOPACのバージョンMOPAC93を用いて
計算した(PM3及びMOPACに関してはJ.J.P
Stewart,Journal of Compu
ter−Aided Molecular Desig
n,,1(1990)ならびにその中の引用文献を参
照)。
【0010】本発明者らは、上記特定のパラメータを有
する電荷輸送剤が優れた性能を示す理由について、以下
のように考察した。即ち、本発明者らは、有機電子輸送
機構に、隣接電子輸送剤間の軌道の重なりと、電場(局
所電場を含む)に対する電荷分布の変化が大きく関与し
ていることに着目し、該電荷輸送物質の分極率及び双極
子モーメントについて考察を行った。
【0011】電荷輸送剤は、その電子雲の広がりが大き
いほど、電荷輸送層内で隣接電荷輸送剤との電子雲の重
なりが大きくなるため電子の移動が行われやすくなり、
その結果移動度が大きくなると考えられる。一方、電子
雲の広がりが大きいほど、電子は正電荷を持つ原子核か
らの束縛が弱くなり、電場がかかった際に生じる電荷分
布の変化は大きくなると考えられる。従って、電荷輸送
剤の移動度は、分子に電場がかかることにより生じる電
荷分布の変化に起因する分極の度合いを示す物理量であ
る分極率が大きいほど大きくなると考えられる。
【0012】又、双極子モーメントの大きな有機電荷輸
送剤は、電荷輸送層にキャリア(有機電荷輸送剤イオ
ン)が存在するとき、キャリアの電荷と周辺の有機電荷
輸送剤の双極子モーメントとに働く相互作用エネルギー
が大きく、大きな安定化エネルギーを得ることから、隣
接有機電荷輸送剤分子との間で電荷輸送する際の活性化
エネルギーが大きくなる。それ故双極子能率がある程度
小さいことを満たすことは、高い移動度を実現するため
重要な要素となると考えられる。
【0013】以上の理由より、上記特定の分極率及び双
極子モーメントを示す電荷輸送剤が高い移動度を示すと
考察した。分極率の計算値αcalは、好ましくはαc
al>80(Å^3)であり、更に好ましくは、αca
l>85(Å^3)であり、更に好ましくは、αcal
>90(Å^3)である。
【0014】また、双極子モーメントの計算値Pcal
は、好ましくは、Pcal<1.7(D)であり、更に
好ましくはPcal<1.65(D)である。又αca
l/Pcalの値は、好ましくはαcal/Pcal>
75(Å^3/D)であり、より好ましくは、αcal
/Pcal>80(Å^3/D)である。請求項1を満
たす分子において、分子量あたりの分極率の計算値の大
きさ αcal/Mw>0.11(Å^3) (αcal:半経験的分子軌道計算による分極率の計算
値、Mw:分子量) 又は、単位体積あたりの分極率の計算値の大きさ αcal/V>0.11 (αcal:半経験的分子軌道計算による分極率の計算
値、V:半経験的分子軌道法により求めた分子構造にお
ける分子のvan der Waals体積の計算値)
を満たす物質が、高い移動度を示し、この有機電荷輸送
物質と電荷発生物質を用いることによって、帯電性、感
度、残留電位等に優れた電子写真感光体が得られる。
【0015】これは、同じ分極率の分子の場合、分子量
の小さい物の方が、感光体中により多いモル数存在する
ことになるため、発明の効果が強くでていると考えられ
る。これらの値は、好ましくは、αcal/Mw>0.
115(Å^3)、αcal/V>0.115を満たす
ことは高移動度、高感度化の点において好ましく、より
好ましくは、αcal/Mw>0.12(Å^3)、α
cal/V>0.12である。該電荷輸送物質の分子量
は一万以下が好ましい。
【0016】又、該電荷輸送物質の半経験的分子軌道計
算によるイオン化ポテンシャルの計算値が7.9〜8.
3eVであることは、高感度、低残留電位の意味におい
て、好ましい。電荷輸送物質と電荷発生物質のイオン化
ポテンシャルの差は0.4eV以内、さらには0.3e
Vであることが、高感度という意味において好ましい。
また、電荷発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャル
の差が0.2eV以内、さらには0.1eV以内である
ことは、高感度という意味において好ましい。
【0017】有機電荷輸送物質の分極率、双極子モーメ
ント、イオン化ポテンシャルはMOPAC93を用い容
易に求められる。本発明によれば、有機電荷輸送物質に
ついて、分極率及び双極子モーメントを、合成すること
なく、計算により求めることにより、電子写真感光体に
おける適否が推定できるので、適切な有機電荷輸送物質
を使用して、電子写真感光体の製造を容易に行うことが
できる。
【0018】本発明における、有機電荷輸送物質の具体
例としては例えば以下のようなものが挙げられる。構造
は、考えうる、種々の初期構造から出発し、最安定構造
を求めた。単一の構造にならない場合は、これらの平均
値を求めた。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】本発明の電子写真感光体は、請求項1〜1
3を満たす電荷輸送物質を1種、または、2種以上含有
する感光層を有する。電子写真感光体の感光層の形態と
しては、種々のものが知られているが、本発明の電子写
真感光体の感光層としてはそのいずれであっても良い。
感光層(光伝導層)は、電荷発生層、電荷輸送層をこの
順に積層したもの、あるいは、逆に積層したものである
積層型、さらには電荷輸送媒体中に電荷発生材料(電荷
発生物質)の粒子を分散したいわゆる分散型など、いず
れの構成も用いることができる。
【0022】たとえばバインダー中に電荷輸送媒体と必
要に応じ、増感剤となる色素や、電子吸引性化合物を添
加した感光層、光を吸収すると極めて高い効率で電荷キ
ャリヤーを発生する電荷発生材料(光伝導性粒子)と電
荷輸送媒体をバインダー中に添加した感光層、電荷輸送
媒体とバインダーからなる電荷発生層と光を吸収すると
極めて高い効率で電荷キャリアーを発生する電荷発生材
料からなるあるいはこれとバインダーからなる電荷発生
層を積層した感光層等があげられる。
【0023】これらの感光層には、有機光伝導体として
優れた性能を有する公知の他のアリールアミン化合物、
ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物を混合してもよ
い。本発明においては、特定パラメータを満たす電荷輸
送媒体を含有する電荷発生層と電荷輸送層(電荷移動
層)の2層からなる感光層の電荷輸送層中に用いる場合
に、特に感度が高く、残留電位が小さく、かつ、繰り返
し使用した場合に、表面電位の変動や感度の低下、残留
電位の蓄積等が小さく、耐久性に優れた感光体を得るこ
とができる。
【0024】具体的には通常、電荷発生材料を直接蒸着
あるいはバインダーとの分散液として塗布して電荷発生
層を作成し、その上に、前記電荷輸送媒体を含む有機溶
剤溶液をキャストするか、あるいは電荷輸送媒体をバイ
ンダー等とともに溶解し、その分散液を塗布することに
より、電荷輸送層を作成してなる積層型感光体である
が、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆の構成でも
良い。
【0025】また電荷発生材料と電荷輸送材料とが、バ
インダー中に分散、溶解した状態で伝導性支持体上に塗
布した一層型感光体であってもよい。電荷発生材料とし
ては、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合
金、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光
伝導性粒子;無金属フタロシアニン、金属含有フタロシ
アニン、ペリノン系顔料、チオインジゴ、キナクリド
ン、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔
料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキス系
アゾ顔料、シアニン系顔料等の有機光伝導性粒子が挙げ
られる。更に、多環キノン、ピリリウム塩、チオピリリ
ウム塩、インジゴ、アントアントロン、ピラントロン等
の各種有機顔料、染料が使用できる。中でも無金属フタ
ロシアニン、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、錫、
オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属又はその
酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノア
ゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が
好ましい。
【0026】さらにその中でも、金属含有又は無金属フ
タロシアニンと、上記電荷輸送材料を組合せるとレーザ
ー光に対する感度が向上した感光体が得られ、特に、導
電性支持体上に、少なくとも、電荷発生材料と電荷輸送
材料とを含有する感光層を有する電子写真用感光体にお
いて、該電荷発生材料として、X線回折スペクトルのブ
ラック角(2θ±0.2°)27.3°に主たる回折ピ
ークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
電子写真感光体が好ましい。
【0027】この様にして得られる電子写真用感光体は
高感度で、残留電位が低く帯電性が高く、かつ、繰返し
による変動が小さく、特に、画像濃度に影響する帯電安
定性が良好であることから、高耐久性感光体として用い
ることができる。又750〜850nmの領域の感度が
高いことから、特に半導体レーザープリンター用感光体
に適している。
【0028】電荷発生材料として使用される好ましいオ
キシチタニウムフタロシアニンはそのX線回折スペクト
ルにおいて、ブラック角(2θ±0.2°)の27.3
°に主たる回折ピークを有する。前記の「主たる回折ピ
ーク」とは、そのX線回折スペクトルにおける強度が一
番強い(高い)ピークを指す。使用されるオキシチタニ
ウムフタロシアニンの粉末X線スペクトルは、ブラック
角(2θ±0.2°)27.3°の回折ピークが主たる
ピークであり、そのピーク以外は細かい条件によって種
々ふれるが、27.3°のピーク強度に対していずれの
ピークもその強度(ピーク高さの比較)は50%以下で
あるものが、電子写真用感光体として、帯電性、感度等
の点から好ましい。
【0029】前記のX線回折スペクトルのブラック角
(2θ±0.2°)27.3°に主たる回折ピークを示
すオキシチタニウムフタロシアニン粒子はバインダーポ
リマーおよび必要に応じ他の有機光導電性化合物、色
素、電子吸引性化合物等と共に溶剤に溶解あるいは分散
し、こうして得られる塗布液を塗布乾燥して電荷発生層
を得る。例えば前記のX線回折スペクトルのブラック角
(2θ±0.2°)27.3°に主たる回折ピークを示
すオキシチタニウムフタロシアニンとX線回折スペクト
ルのブラック角(2θ±0.2°)9.3°、13.2
°、26.2°および27.1°に主たる回折ピークを
示すオキシチタニウムフタロシアニンとを用いること、
又は前記のX線回折スペクトルのブラック角(2θ±
0.2°)27.3°に主たる回折ピークを示すオキシ
チタニウムフタロシアニンとX線回折スペクトルのブラ
ック角(2θ±0.2°)8.5°、12.2°、1
3.8°、16.9°、22.4°、28.4°および
30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタ
ロシアニンとを用いることは好ましい。
【0030】
【実施例】
実施例1 X線回折スペクトルにおいて、ブラック角(2θ±0.
2°)9.3°、10.6°、13.2°、15.1
°、15.7°、16.1°、20.8°、23.3
°、27.1°に強い回折ピークを示すチタニウムオキ
シフタロシアニン顔料1.0部をジメトキシエタン14
部に加え、サンドグラインダーで分散処理をした後、ジ
メトキシエタン14部と4−メトキシ−4−メチルペン
タノン−2 (三菱化学(株)社製)14部を加え希釈
し、さらに、ポリビニルブチラール(電気化学工業
(株)社製、商品名デンカブチラール#6000−C)
0.5部と、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド
(株)社製、商品名UCAR(商標登録)PKHH)
0.5部をジメトキシエタン6部、4−メトキシ−4−
メチルペンタノン−2 6部の混合溶媒に溶解した液と
混合し、分散液を得た。この分散液を75μmに膜厚の
ポリエステルフィルムに蒸着されたアミノ蒸着層の上に
乾燥後の重量が0.4g/m2 になる様にワイヤーバー
で塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成させた。この
上に前記表−1の化合物No.1 70部と下記に示す
ポリカーボネート樹脂
【0031】
【化2】
【0032】100部をテトラヒドロフラン900部に
溶解した塗布液を塗布、乾燥し、膜厚20μmの電荷輸
送層を形成させた。このようにして得た2層からなる感
光層を有する電子写真感光体によって感度すなわち半減
露光量を測定したところ0.42μJ/cm2 であっ
た。半減露光量はまず、感光体を暗所で50μAのコロ
ナ電流により負帯電させ、次いで20ルックスの白色光
を干渉フィルターに通して得られた780nmの光(露
光エネルギー10μW/cm2 )で露光し、表面電位が
−450Vから−225Vまで減衰するのに要する露光
量を測定することにより求めた。さらに露光時間を9.
9秒とした時の表面電位を残留電位として測定したとこ
ろ、−1Vであった。この操作を2000回繰り返した
が、残留電位の上昇はみられなかった。
【0033】又該電荷輸送層の電界強度E=2e+5
(V/cm)、温度21℃下におけるホールドリフト移
動度をTOF法により測定したところ、2.2e−5
(cm2/Vs)であった。該電荷輸送物質(前記表−1
の化合物No.1)のイオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを、MOPAC93により計算した
ところ、イオン化ポテンシャル=8.07eV、分極率
αcal=93.7(Å^3)及び双極子モーメントP
cal=0.79(D)であった。
【0034】実施例2 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
前記表−1の化合物No.2を用いる以外は実施例1と
同様にして電子写真感光体を得た。次いで実施例1と同
様にして感度、残留電位、移動度、を測定し、イオン化
ポテンシャル、分極率及び双極子モーメントを計算し
た。この結果を実施例1の感光体についての測定結果と
共に表−2に示す。
【0035】実施例3 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
前記表−1の化合物No.4を用いる以外は実施例1と
同様にして電子写真感光体を得た。次いで実施例1と同
様にして感度、残留電位、移動度、を測定し、イオン化
ポテンシャル、分極率及び双極子モーメントを計算し
た。この結果を実施例1の感光体についての測定結果と
共に表−2に示す。
【0036】比較例1 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
下記に示す比較化合物1を用いる以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を得た。 比較化合物1
【0037】
【化3】
【0038】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、移動度を測定し、イオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを計算した。この結果を実施例1の
感光体についての測定結果と共に表−2に示す。
【0039】比較例2 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
下記に示す比較化合物2を用いる以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を得た。 比較化合物2
【0040】
【化4】
【0041】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、移動度を測定し、イオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを計算した。この結果を実施例1の
感光体についての測定結果と共に表−2に示す。
【0042】比較例3 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
下記に示す比較化合物3を用いる以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を得た。 比較化合物3
【0043】
【化5】
【0044】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、移動度を測定し、イオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを計算した。この結果を実施例1の
感光体についての測定結果と共に表−2に示す。
【0045】比較例4 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
下記に示す比較化合物4を用いる以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を得た。 比較化合物4
【0046】
【化6】
【0047】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、移動度を測定し、イオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを計算した。この結果を実施例1の
感光体についての測定結果と共に表−2に示す。
【0048】比較例5 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
下記に示す比較化合物5を用いる以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を得た。 比較化合物5
【0049】
【化7】
【0050】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、移動度を測定し、イオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを計算した。この結果を実施例1の
感光体についての測定結果と共に表−2に示す。
【0051】比較例6 実施例1で用いたアリールアミン系化合物の代わりに、
下記に示す比較化合物6を用いる以外は実施例1と同様
にして電子写真感光体を得た。 比較化合物6
【0052】
【化8】
【0053】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、移動度を測定し、イオン化ポテンシャル、分極率及
び双極子モーメントを計算した。この結果を実施例1の
感光体についての測定結果と共に表−2に示す。
【0054】
【表3】
【0055】表−2より、明らかに実施例1、2、3の
化合物は比較例1、2、3、4、5、6の化合物に比
べ、移動度、又は感度、残留電位、に優れた数値を示す
ことがわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は移動度、感度
が非常に高く、かつ、かぶりの原因となる残留電位が小
さく、とくに光疲労が少ないために繰返し使用による残
留電位の蓄積や、表面電位および感度の変動が小さく耐
久性に優れるという特徴を有する。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に電荷発生物質及び電荷
    輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体にお
    いて、該電荷輸送物質のPM3パラメータを使った半経
    験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による(以下
    これを単に半経験的分子軌道計算によるとする)分極率
    αの計算値αcalが、次式 αcal>70(Å^3) を満たし、かつ半経験的分子軌道計算による双極子モー
    メントPの計算値Pcalが、次式 Pcal<1.8(D) を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 電荷輸送物質が、次式 αcal/Mw>0.11(Å^3) 又は αcal/V>0.11 (αcal:半経験的分子軌道計算による分極率の計算
    値、Mw:分子量、V:半経験的分子軌道法により求め
    た分子構造における分子のvan der Waals
    体積の計算値)を満たすことを特徴とする請求項1に記
    載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 電荷輸送物質が、次式 αcal/Pcal>70(Å^3/D) (αcal:半経験的分子軌道計算による分極率の計算
    値、Pcal:半経験的分子軌道計算による双極子モー
    メントPの計算値)を満たすことを特徴とする請求項1
    又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 電荷輸送物質の半経験的分子軌道計算に
    よるイオン化ポテンシャルの計算値が7.9〜8.3e
    Vであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子
    写真感光体。
  5. 【請求項5】 電荷輸送層中に、バインダーとしてポリ
    カーボネートを含み、該電荷輸送層の、電場E=2e−
    5(V/cm)における、ホール移動度μが、 μ>7.5e−6(cm2 /Vs) であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の電子写
    真感光体。
  6. 【請求項6】 電荷輸送物質と電荷発生物質のイオン化
    ポテンシャルの差が0.4eV以内であることを特徴と
    する請求項1乃至5に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷
    輸送物質を含む電荷輸送層を有し、電荷輸送層と電荷発
    生層のイオン化ポテンシャルの差が0.2eV以内であ
    ることを特徴とする請求項1乃至6に記載の電子写真感
    光体。
  8. 【請求項8】 感光体が、下引き層を有するか、又は素
    管にアルマイトを使用することを特徴とする請求項1乃
    至7に記載の電子写真用感光体。
  9. 【請求項9】 電荷発生材料がアゾ系顔料であり、カッ
    プラーとして下記一般式(I)(II)で表わされる構造
    を有することを特徴とする請求項1乃至8に記載の電子
    写真用感光体。 【化1】
  10. 【請求項10】 電荷発生材料としてフタロシアニン系
    顔料を含有する感光層を有することを特徴とする請求項
    1乃至8に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 電荷発生材料としてオキシチタニウム
    フタロシアニン、又は無金属フタロシアニンを含有する
    感光層を有することを特徴とする請求項1乃至8に記載
    の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 電荷発生材料としてX線回折スペクト
    ルのブラック角(2θ±0.2°)27.3°に主たる
    回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、ま
    たは(2θ±0.2°)9.3°、13.2°、26.
    2°および27.1°に主たる回折ピークを示すオキシ
    チタニウムフタロシアニンを含有する感光層を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至8に記載の電子写真感光
    体。
  13. 【請求項13】 電荷発生層中に電荷発生材料とバイン
    ダーを含むことを特徴とする請求項1乃至12に記載の
    電子写真感光体。
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