JP4132509B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体に関するものであり、詳しくは高感度で繰り返し安定性の優れた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の感光体としては、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、シリコンなどの無機光導電体を主成分とする感光層を有するものが広く知られていた。しかし、これらは感度、熱安定性、耐湿性、耐久性等において必ずしも満足し得るものではなく、また特にセレン及び硫化カドミウムはその毒性のために製造上、取扱上にも制約があった。
【0003】
一方、有機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する電子写真感光体は、製造が比較的容易であること、安価であること、取扱が容易であること、また一般にセレン感光体に比べて熱安定性が優れている等多くの利点を有し、近年多くの注目を集めている。
【0004】
このような有機光導電性化合物としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールがよく知られており、これと2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン等のルイス酸とから形成される電荷移動錯体を主成分とする感光層を有する電子写真感光体が特公昭50−10496号公報に記載されている。しかしながらこの感光体は感度、成膜性、及び耐久性において必ずしも満足できるものではなかった。
【0005】
これに対し、トリフェニルアミン類、スチルベン類、ヒドラゾン類に代表される電荷移動剤とフタロシアニン、アゾ化合物等の電荷発生剤などを組み合わせた低分子量の有機光導電体を含む電子写真感光体が提案されている。これらを適当なバインダーと組み合わせ、更に電荷発生能力の高い化合物と電荷移動能力の高い化合物を、例えば積層型感光体として組み合わせることにより、セレン等の無機感光体に近い感度を有するものも出現している。その結果、複写機やプリンター等の分野で、このような有機光導電性化合物を主成分とする感光体が大きく進出してきている。
【0006】
一方、このような有機感光体では複写機内で帯電、露光、除電といった複雑なプロセスを経る際、化合物は電荷の発生移動を担うだけでなく、高い電界中でオゾン、光などの刺激を受ける。このためにプロセスを繰り返すに従い、帯電後の初期電位が低下したり、除電後の残留電位が上昇するなど使用上多くの問題点が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は電子写真プロセス内で繰り返し使用するにあたり、高感度で繰り返し安定性の優れた電子写真感光体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の目的を達成するために種々の検討をした結果、電子写真感光体に下記一般式(1)および(2)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有させることが有効であることを見いだし本発明に至ったものである。本発明は具体的には導電性支持体上に必要に応じブロッキング層を設け、その上にバインダーと電荷発生物質及び必要に応じ種々の電荷移動物質を組み合わせた一つあるいは複数の層を設けた電子写真感光体であって、該感光体中に一般式(1)および(2)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0009】
【化3】
【0010】
(1)中、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基から選択され、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子、アルキル基及びアルコキシル基から選択され、m、nは1または2である。
【0011】
【化4】
【0012】
(2)中、R4は水素原子、置換されていてもよいアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基から選択され、R5 はそれぞれ水素原子、アルキル基及びアルコキシル基から選択され、p、qは1または2である。
【0013】
一般式(1)で示される化合物の具体例を化学式(3)から(11)に示すが、これによって限定されるものではない。
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】
【化13】
【0023】
一般式(2)で示される化合物の具体例を化学式(12)から(16)に示すが、これによって限定されるものではない。
【0024】
【化14】
【0025】
【化15】
【0026】
【化16】
【0027】
【化17】
【0028】
【化18】
【0029】
本発明にかかる電子写真感光体は、上記に示した様な一般式(1)あるいは(2)で示される化合物を含有させることにより得られ、優れた性能を有する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成要素について詳細に説明する。
【0031】
本発明において、感光体が形成される導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採用されているもの等がいずれも使用できる。具体的には、例えば金、銀、白金、チタニウム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、導電処理をした金属酸化物等のドラム、シート、ベルトあるいはこれらの薄膜のラミネート物、蒸着物等が挙げられる。
【0032】
更に、金属粉末、金属酸化物、カーボンブラック、炭素繊維、ヨウ化銅、電荷移動錯体、無機塩、イオン伝導性の高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーと共に塗布しポリマーマトリックス中に埋め込んで導電処理を施したプラスチックやセラミック、紙等で構成されるドラム、シート、ベルト等や、このような導電性物質を含有し導電性となったプラスチック、セラミック、紙等のドラム、シート、ベルト等が挙げられる。
【0033】
感光層は電荷発生物質である顔料等を分散しバインダー中に埋め込んだ顔料分散単層型や、電荷発生物質と電荷移動物質を分散混合しバインダー中に閉じ込めた単層型、電荷発生物質と電荷移動物質を分離しバインダー中に封じた積層型などにより構成される。本発明は何れの系にも適用させることが可能であるが、電荷発生物質と電荷移動物質の性能を最大限に生かし易い機能分離型積層感光体の系において用いられるのが好ましい。
【0034】
感光体の構成中には、感光層と導電性支持体の間に感光層から導電性支持体への電荷の注入をコントロールするためのブロッキング層を必要に応じ設け、また感光層表面には感光体の耐久性を向上させるために表面層を設けても構わない。一般式(1)あるいは(2)で表される化合物は、感光層を構成するこれらの種々の層に含有させる事ができる。
【0035】
ブロッキング層は、バインダー樹脂単独あるいは、バインダー樹脂と無機顔料等との混合で構成される。バインダー樹脂としてはポリアミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、無機顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)あるいは(2)で表される化合物をブロッキング層に含有させる場合、バインダー樹脂あるいは、バインダー樹脂と無機顔料100重量部に対し、0.01から1000重量部、好ましくは0.1から100重量部の範囲で用いられる。
【0037】
本発明で用いられる電荷発生物質としては、モノアゾ顔料、ポリアゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料、ピラゾロンアゾ顔料、スチルベンアゾ顔料およびチアゾールアゾ顔料等に代表されるアゾ系顔料、ペリレン無水物及びペリレン酸イミド等に代表されるペリレン系顔料、アントラキノン誘導体、アンスアンスロン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導体、ビオラントロン誘導体及びイソビオラントロン誘導体等に代表されるアントラキノン系または多環キノン系顔料、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、無金属フタロシアニン、無金属ナフタロシアニンなどに代表されるフタロシアニン系顔料、ポルフィリン誘導体等の顔料と、メチルバイオレットに代表されるトリフェニルメタン染料、キニザリン等のキノン染料やピリリウム塩、チアピリリウム塩、ベンゾピリウム塩等の染料が挙げられる。
【0038】
これらの中で、特にキャリア発生効率の高いものとしてビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、フタロシアニン系顔料を用いたものは、高い感度を与え、優れた感光体を提供するため好ましい。例えば、ビスアゾ顔料の場合であれば、特開昭62−286058号公報、同63−32557号公報、同63−243948号公報、同64−21453号公報、同64−21455号公報、特開平1−94350号公報、同1−200267号公報、同1−202757号公報等に記載の化合物を使用することが出来る。
【0039】
フタロシアニン系顔料の例としては、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、バナジウム等の金属、又はその酸化物、塩化物、水酸化物等の配位したフタロシアニン類やそれらの混晶体、ナフタロシアニン類等が挙げられる。これらの中で、チタニルフタロシアニン(チタニルオキシフタロシアニン)を用いたものは特に好ましい。
【0040】
フタロシアニン類は、中心金属の種類により吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、同じ中心金属を有するフタロシアニンでも、結晶形によってこれらの諸特性に差が生じ、特定の結晶形が電子写真感光体に選択されていることが報告されている。
【0041】
チタニルフタロシアニンを例にとると、特開昭61−217050号公報では、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°、10.2°、22.3°、25.3°、28.6°に主たる回折ピークを有するα形チタニルフタロシアニン、特開昭62−67094号公報には9.3°、10.6°、13.2°、15.1°、15.7°、16.1°、20.8°、23.3°、26.3°、27.1°に主たる回折ピークを有するβ形チタニルフタロシアニン、特開昭64−17066号公報には9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に主たる回折ピークを有するY形チタニルフタロシアニンが報告されており、全てのチタニルフタロシアニンが使用できるが、Y形に代表される、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°に主要なピークを示すチタニルフタロシアニンは、特に高い感度を与え優れた感光体を提供するため好ましい。
【0042】
積層型感光体では少なくともこれら電荷発生物質とバインダー樹脂の混合で電荷発生層が構成される。バインダー樹脂としてはスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。バインダーは電荷発生物質100重量部に対し1から1000重量部、好ましくは1から400重量部の範囲で用いられる。電荷発生層の厚さは、0.1から20μmが好ましい。
【0043】
一般式(1)あるいは(2)で表される化合物を電荷発生層に含有させる場合、電荷発生物質10重量部に対し、0.01から100重量部、好ましくは0.1から50重量部の範囲で用いられる。
【0044】
本発明で用いられる電荷移動物質には正孔移動物質と電子移動物質がある。前者の例としては、例えば特公昭34−5466号公報に示されているオキサジアゾール類、特公昭45−555号公報に示されているトリフェニルメタン類、特公昭52−4188号公報に示されているピラゾリン類、特公昭55−42380号公報に示されているヒドラゾン類、特開昭56−123544号公報に示されているオキサジアゾール類、特公昭58−32372号公報に示されているトリアリールアミン類、特開昭58−198043号公報に示されているスチルベン類等をあげることができる。一方、電子輸送物質としては、例えばクロラニル、テトラシアノエチレン、ジフェノキノン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェンなどがある。これらの電荷移動物質は単独または2種以上組み合わせて用いることが出来る。
【0045】
これらの電荷移動物質のなかで、ヒドラゾン類、スチルベン類は高い電荷(正孔)移動度をもち、優れた感光体を提供するため好ましい。ヒドラゾン類の中では、特開平1−100555号公報、同2−10367号公報、同2−51163号公報、同2−96767号公報、同2−183260号公報、同2−184856号公報、同2−184858号公報、同2−184859号公報、同2−226160号公報、同5−188609号公報、同7−140686号公報に記載の化合物が特に好ましい。またスチルベン類の中では、特開平2−51162号公報、同2−184857号公報、同3−75660号公報、同4−177358号公報、同6−194851号公報、同7−120945号公報、同7−140683号公報、同10−78671号公報、同10−90923号公報に記載の化合物が特に好ましい。
【0046】
積層型感光体では少なくともこれら電荷移動物質とバインダー樹脂の混合で電荷移動層が構成される。バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、ビスフェノールAやZに代表される骨格を持つポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。バインダーは電荷移動物質100重量部に対し、10から400重量部の範囲で用いられる。電荷移動層の厚さは、5から50μmが好ましい。
【0047】
一般式(1)あるいは(2)で表される化合物を電荷移動層に含有させる場合、電荷移動物質100重量部に対し、0.01から200重量部、好ましくは0.1から50重量部の範囲で用いられる。
【0048】
本発明の電子写真感光体は構成材料の有機化合物の酸化による劣化を防止するために周知の酸化防止剤等を添加してもよい。また成膜性、可とう性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤を使用してもよい。
【0049】
更に、本発明の電子写真感光体では、顔料の場合は溶剤に分散し、染料やバインダー及び電荷移動物質は溶解させて使用する。使用する溶剤はクロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエタン、トリクロルエチレンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、メチルセロソルブ、ジメチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系などの溶剤の単独または2種以上の混合溶剤または必要に応じてアルコール類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤を更に加え使用することができる。またドラムに塗工する場合には浸漬(ディップ)塗布方法等が用いられる。
【0050】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0051】
実施例1
アルコール可溶性ナイロン(東レ製;CM−8000)50重量部をメタノール950重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル50重量部の混合溶剤に溶解させ、それに酸化チタン(テイカ製;MT−150W)50重量部、例示化合物(4)5重量部を混合し、直径1mmのジルコニアビーズと共にサンドグラインドミルを用いて5時間分散してブロッキング層形成用塗液を作製した。このブロッキング層形成用塗布液にアルミニウムドラム素管を浸漬塗布し、自然乾燥して乾燥膜厚0.5μmのブロッキング層を形成した。
【0052】
続いて、無金属フタロシアニン顔料(東洋インキ製;TPA−891)10重量部、塩化ビニル系共重合樹脂(日本ゼオン製;MR−110)10重量部をメチルエチルケトン1000重量部に混合し、直径1mmの低アルカリガラスビーズと共にサンドグラインドミルを用いて2時間分散した。この電荷発生層形成用塗液を前記ブロッキング層上に浸漬塗布し、自然乾燥して乾燥膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0053】
更に、下記化学式(17)で示されるヒドラゾン化合物100重量部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学製;Z−200)100重量部、DL−α−トコフェロール1重量部を、テトラヒドロフラン800重量部に溶解させた。この電荷移動層形成用塗液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃で2時間加熱乾燥して乾燥膜厚25μmの電荷移動層を形成した。
【0054】
【化19】
【0055】
このように作製した電子写真感光体を室温暗所で一昼夜保管した後、室温23℃、相対湿度55%の条件下において、ドラム感光体評価装置(ジェンテック製;シンシア90)を用いて、プロセス速度:190mm/秒、帯電電圧:−7.0kV、露光光波長:780nm、露光光強度:2μW/cm2、光除電:タングステンランプアレイ、の条件で、帯電、露光、除電プロセスを行い半減露光量を測定した。また、このプロセスを10000回繰り返して行ない、その前後で、感光体の帯電電位及び残留電位を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
ブロッキング層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(9)5重量部を含有させた他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、試験を行った。結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
ブロッキング層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(13)5重量部を含有させた他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、試験を行った。結果を表1に示す。
【0058】
実施例4
ブロッキング層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(14)5重量部を含有させた他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、試験を行った。結果を表1に示す。
【0059】
比較例1
ブロッキング層に例示化合物を含有させなかった他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、試験を行った。結果を表1に示す。
【0060】
比較例2
ブロッキング層に例示化合物の代わりに下記比較化合物(18)5重量部を含有させた他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、試験を行った。結果を表1に示す。
【0061】
【化20】
【0062】
比較例3
ブロッキング層に例示化合物の代わりに下記比較化合物(19)5重量部を含有させた他は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、試験を行った。結果を表1に示す。
【0063】
【化21】
【0064】
【表1】
【0065】
実施例5
CuKα線を用いたX線回折スペクトルが図1に示す結晶形を持つチタニルフタロシアニン顔料10重量部、スチレン−ブタジエン共重合樹脂(GOODYEAR製;Pliolite S−5D)10重量部、例示化合物(4)5重量部をテトラヒドロフラン1000重量部に混合し、直径1mmの低アルカリガラスビーズと共にサンドグラインドミルを用いて2時間分散した。この電荷発生層形成用塗液にアルミニウムドラム素管を浸漬塗布し、自然乾燥して乾燥膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0066】
続いて、下記化学式(20)で示されるスチルベン化合物100重量部、ポリカーボネート樹脂(出光興産製;BPPC)100重量部、フェノール系抗酸化剤(旭電化製;アデカスタブAO−330)2重量部をテトラヒドロフラン800重量部に溶解させた。この電荷移動層形成用塗液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃で2時間加熱乾燥して乾燥膜厚25μmの電荷移動層を形成した。このように作製した電子写真感光体を用い、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0067】
【化22】
【0068】
実施例6
電荷発生層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(10)5重量部を含有させた他は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0069】
実施例7
電荷発生層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(12)5重量部を含有させた他は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0070】
実施例8
電荷発生層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(15)5重量部を含有させた他は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
比較例4
電荷発生層に例示化合物を含有させなかった他は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0071】
比較例5
電荷発生層に例示化合物の代わりに比較化合物(18)5重量部を含有させた他は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0072】
比較例6
電荷発生層に例示化合物の代わりに比較化合物(19)5重量部を含有させた他は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
実施例9
アルコール可溶性ナイロン(東レ製;CM−8000)50重量部をメタノール600重量部と1,3−ジオキソラン400重量部の混合溶剤に溶解させ、それに酸化チタン(石原産業製;TTO−M−1)50重量部を混合し、直径1mmのジルコニアビーズと共にサンドグラインドミルを用いて5時間分散してブロッキング層形成用塗液を作製した。このブロッキング層形成用塗布液にアルミニウムドラム素管を浸漬塗布し、自然乾燥して乾燥膜厚0.5μmのブロッキング層を形成した。
【0075】
続いて、CuKα線を用いたX線回折スペクトルが図1に示す結晶形を持つチタニルフタロシアニン顔料10重量部、スチレン−ブタジエン共重合樹脂(GOODYEAR製;Pliolite S−5B)10重量部を1,3−ジオキソラン1000重量部に混合し、直径1mmの低アルカリガラスビーズと共にサンドグラインドミルを用いて2時間分散した。この電荷発生層形成用塗液を前記ブロッキング層上に浸漬塗布し、自然乾燥して乾燥膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0076】
更に、下記化学式(21)で示されるスチルベン化合物100重量部、ポリカーボネート樹脂(出光興産製;BPPC)80重量部、ポリエステル樹脂80重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1重量部、例示化合物(4)2重量部をテトラヒドロフラン800重量部に溶解させた。この電荷移動層形成用塗液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃で2時間加熱乾燥して乾燥膜厚25μmの電荷移動層を形成した。このように作製した電子写真感光体を用い、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0077】
【化23】
【0078】
実施例10
電荷移動層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(6)2重量部を含有させた他は実施例9と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0079】
実施例11
電荷発生層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(12)2重量部を含有させた他は実施例9と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0080】
実施例12
電荷発生層に例示化合物(4)の代わりに例示化合物(16)2重量部を含有させた他は実施例9と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0081】
比較例7
電荷発生層に例示化合物を含有させなかった他は実施例9と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0082】
比較例8
電荷発生層に例示化合物の代わりに比較化合物(18)2重量部を含有させた他は実施例9と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0083】
比較例9
電荷発生層に例示化合物の代わりに比較化合物(19)2重量部を含有させた他は実施例9と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明によれば、高感度で繰り返し安定性の優れた電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたチタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル。
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---|---|---|---|
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Publications (2)
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