JP2010192841A - 導電性基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に、金属又は金属酸化物微粒子を含む塗布液を印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理して金属微粒子焼結膜を形成してなる導電性基板であって、前記金属微粒子焼結膜おけるX線回折により測定した結晶子径が25nm以上であり、かつ前記金属微粒子焼結膜の断面の空隙率が1%以下である導電性基板及びその製造方法である。
【選択図】なし
Description
また、ポリイミドなどの基材に、銅などによって直接回路を形成する場合には、密着させることが困難であり、従来は、基材と回路の界面に密着性を付与する層を形成したり、被着面を荒らして密着性を向上させる方法がとられてきた。しかしながら、密着層を形成すると導電性や絶縁性が低下するという問題があり、被着面を荒らす方法では、被着界面の凹凸による導電性の低下といった問題があった。
しかしながら、この方法では、ポリイミドに銅がマイグレートしているため、配線が短絡したり、界面の凹凸が大きいために、電気信頼性が低下するという問題がある。
しかしながら、特許文献2に開示される積層体では、金属酸化物層、特に酸化銅の層は強酸に弱く、電解銅メッキ法によって配線を厚膜化する際に、金属酸化物層が溶解し、密着性が低下することが予想される。
を提供するものである。
本発明において用いる基材としては、導電性基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス基板、アルミナ、シリカなどのセラミックス基板等の無機材料を用いることができ、さらに高分子材料、紙などを用いることもできる。
また、本発明では後に詳述するように、金属又は金属酸化物微粒子が低温かつ短時間で焼結されて導電性薄膜が形成されるため、基材に損傷を与えることが少なく、高歪点ガラスなど耐熱性の高い特殊なガラスを使わなくてもよく、耐熱性の低い通常のソーダライムガラス等であっても使用することができる。さらには、プラスチックなどの高分子材料も基材とすることができ、特にポリイミドなどの樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
本発明の導電性基板において、ポリイミド基材に対しても、金属微粒子焼結膜の密着性が良好である理由は定かではないが、ポリイミド表面にわずかに存在するカルボキシル基など極性の強い官能基と、本発明のような特異な構造を持つ金属微粒子焼結膜が、界面でイオン結合などの化学的な相互作用をしているためと考えられる。
一方、プラスチック基材の場合には、通常10〜300μmの範囲である。10μm以上であると、導電層を形成する際に基材の変形が抑制され、形成される導電層の形状安定性の点で好適である。また、300μm以下であると巻き取り加工を連続して行う場合に、柔軟性の点で好適である。
金属の種類としては、導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムなどの貴金属;銅、ニッケル、スズ、鉄、クロムなどの卑金属が挙げられる。
これらのうち、高い導電性を有し、かつ微粒子を容易に維持できる点から、金、銀、銅、及びニッケルが好ましく、導電性、経済性、耐マイグレーション性などを加味すると、銅が好ましい。
これらの金属は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して、又は合金化して使用してもよい。また、金属酸化物としては、酸化銀、酸化第一銅、酸化第二銅又はこれらの混合物などが好適に挙げられる。これらのうち、特に銅の化合物が好ましく、とりわけ、銅の酸化物(酸化第一銅、酸化第二銅又はこれらの混合物)が好適である。
なお、ここで金属酸化物には、金属の表面が酸化された態様も含み、本発明においては、表面が酸化された銅が好ましい。
得られた微粒子は、分散液とするために、微粒子にポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子やグラフト共重合高分子のような保護剤、界面活性剤、金属と相互作用するようなチオール基やアミノ基、水酸基、カルボキシル基を有する化合物で被覆することが好ましい。また、合成法によっては、原料の熱分解物や金属酸化物が粒子表面を保護し、分散性に寄与する場合もある。熱分解法や化学還元法などの湿式法で作製した場合は、還元剤などがそのまま微粒子の保護剤として作用することがある。
また、分散液の分散安定性を高めるために、微粒子の表面処理を行ったり、高分子、イオン性化合物、界面活性剤等からなる分散剤を添加してもよい。
なお、これらの微粒子は、単結晶からなる微粒子であっても、より小さい結晶子が複数集まった多結晶微粒子であってもよい。
また、本発明では、基材上に微粒子分散液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いた手法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
次に、本発明における焼成は、金属又は金属化合物微粒子が融着して、導電性薄膜を形成することができる方法であれば特に制限はなく、例えば、焼成炉で行ってもよいし、プラズマ、加熱触媒、紫外線、真空紫外線、電子線、赤外線ランプアニール、フラッシュランプアニール、レーザーなどを用いてもよい。これらの焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行うのが、金属微粒子焼結膜の導電性の観点から好ましい。
これらの焼成処理は、短時間に行われるのが好ましく、昇温速度は100℃/分以上、好ましくは200℃/分以上で行うのがよい。焼成反応にかかる時間は、5分以内、さらには2分以内とすることが好ましく、粒成長を抑制することができる。
上記のような焼成方法のうち、特に、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称することがある。)による焼成処理は、基材への熱ダメージが少なく、大面積の処理が可能で、短時間の焼成処理が可能である。
なお、表面波プラズマの処理の前に、金属又は金属酸化物微粒子を含む塗布液を印刷した印刷層に含まれる分散剤等の有機物を除去するために、大気下または酸素を含む雰囲気下、200〜500℃程度の温度で10分から2時間程度加熱することが好ましい。この加熱により、有機物が酸化分解除去される。
前記表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは、一般に周波数が300MHz〜3000GHzの電磁波であるが、例えば、2450MHzの電磁波が用いられる。この際、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲を持っている。
また、マイクロ波表面波プラズマは、例えばポリイミドのような樹脂基材に対する金属微粒子焼結膜の密着性を高めるのに好ましい。この理由としては、マイクロ波表面波プラズマは、金属微粒子焼結膜との界面で水酸基やカルボキシル基などの極性官能基を発生させやすいためと推測される。
このように、還元性気体の雰囲気下で、マイクロ波表面波プラズマを発生させ、前記印刷層を焼成処理することにより、金属微粒子表面に存在する酸化物が還元除去されるので、本発明においては、金属微粒子として、表面が酸化されている粒子や、内部まで酸化されている粒子を用いることができる。
なお、還元性雰囲気を形成する還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどのガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられるが、特に、副生成物が少ない点で水素ガスが好ましい。
また、還元性気体には、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生し易くなるなどの効果がある。
X線回折測定の方法としては、薄膜X線回折装置を用いて、X線回折ピークを得る。得られた結果から、最も強度の強い結晶面のピークに関し、シェラーの式(D=kλ/βcosθ、D;結晶子径(nm)、k;定数、ここでは0.9を用いる、λ;X線波長(CuKα線)0.154nm、β;ピーク半値幅(rad))を用いて結晶子径を算出する。
この空隙率は、走査型電子顕微鏡を用いて金属微粒子焼結膜の断面観察を行い、得られた画像を画像処理によって黒色の部分を空隙とし、空隙部の面積比から算出する。なお、空隙率は、基材を除く金属微粒子焼結膜から算出し、基材と金属微粒子焼結膜の界面の空隙は、金属微粒子焼結膜の方に含める。
該炭素量の測定は、X線光電子分光装置を用い、金属微粒子焼結膜をエッチングしながら、炭素の元素分析を行うものである。金属微粒子焼結膜と基材の界面までエッチングを行い、得られる全元素量中の炭素の相対量(%)で表す。
このような、本発明の導電性基板を用いた電子部材は、例えばプリント配線板、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
(評価方法)
この例で得られた導電性基板について、以下の方法によって評価した。
1.表面抵抗
表面抵抗計((株)ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」)を用いて、4探針法にて表面抵抗を測定し、膜厚から体積抵抗率を算出した。
2.走査型電子顕微鏡観察
(株)日立ハイテクノロジー製の走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」を用い、加速電圧1〜5kVで観察した。ミクロトームを用いて試料を切断し、任意の5箇所について、幅1μmの範囲において、断面観察を10万倍の倍率で行った。画像処理によって、金属膜に占める空隙部の面積比を算出し、5箇所の平均値を空隙率とした。また、SEM写真から、基材の損傷の有無を観察し、また金属微粒子焼結膜の膜厚を測定した。
3.金属微粒子焼結膜の結晶子径
薄膜X線回折装置((株)リガク製「ATX−E」)を用いて、X線回折測定を行った。X線源としてはCuKα線(波長λ;0.154nm)を用い、測定角度(2θ)を20〜100度とした。得られた結果から、シェラーの式に基づいて結晶子径を算出した。
4.金属微粒子焼結膜中の元素分析
X線光電子分光装置((株)島津製作所製「ESCA−3400」)を用い、イオンエッチング深さ方向の元素分析を行った。エッチング条件は以下の通りであり、金属元素が検出されなくなるまでエッチングを行った。
使用ガス;アルゴン、加速電圧;0.1kV、エミッション電流;30mA
金属元素成分量が50%となる点を、金属微粒子焼結膜と基材との界面として、表面と界面からそれぞれ10%の部分を除いた金属微粒子焼結膜内部の炭素原子の相対量を求めた(図4参照)。
5.密着性(碁盤目剥離試験)
金属微粒子焼結膜側の表面を、1mm間隔の縦横10区分の碁盤目状にカッターで切り、粘着性テープ(ニチバン(株)製「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)を貼った後に剥がし、升目の剥がれの程度で評価した。剥がれの表記方法としては、100個の碁盤目の剥がれが全くない場合を100/100と表記し、90個が残り10個が剥がれた場合を90/100、100個の碁盤目のすべてが剥がれた場合は0/100と表記した。
平均1次粒子径が5nmの銅ナノ粒子トルエン分散液(アルバックマテリアル(株)製固形分30質量%)を、厚さ75μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製「カプトン200H」)に、スピンコート法により塗布し、自然乾燥させた。その後、銅微粒子を塗布した基板を、有機成分を除去するために大気下で、あらかじめ300℃で、30分間焼成した。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子(株)製)により処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力20Pa、水素流量100sccmとし、マイクロ波出力1000Wで、昇温開始から30秒間プラズマ処理を行った。昇温速度は約400℃/minで、到達温度は230℃とした。
得られた銅ナノ粒子焼結膜について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
また、図3は実施例1の導電性基板のX線構造回折の結果であり、横軸は測定角度(2θ)、縦軸はX線検出強度(cps)を意味する。この結果から、金属微粒子焼結膜における結晶子径は、41.2nmと算出された。
次に、図4は、実施例1の導電性基板のイオンエッチング深さ方向の元素分析を行った結果である。炭素含有量は0.5%であった。
マイクロ波出力800W、昇温速度は約320℃/minで、到達温度は190℃としたこと以外は実施例1と同様とした。得られた銅ナノ粒子焼結膜について、実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
マイクロ波出力600W、昇温速度は約250℃/minで、到達温度は150℃としたこと以外は実施例1と同様とした。得られた銅ナノ粒子焼結膜について、実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、マイクロ波表面波プラズマによる焼成処理に代えて、高周波プラズマ装置(ED−350特型、キヤノンアネルバエンジニアリング(株)製)を用いて焼成したこと以外は、実施例1と同様にして銅ナノ粒子焼結膜を得た。焼成の具体的方法としては、水素導入圧力10Pa、水素ガス流量100sccm、出力300W、昇温速度は約100℃/minで、到達温度は120℃とし、120℃到達後、3分間処理を行った。得られた銅ナノ粒子焼結膜について、実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、マイクロ波表面波プラズマによる焼成処理に代えて、電気炉(ネムス(株)製)を用いて焼成したこと以外は実施例1と同様にして銅ナノ粒子焼結膜を得た。焼成の具体的方法としては、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気下、10℃/minで300℃まで昇温後30分保持し、その後自然冷却した。
得られた銅ナノ粒子焼結膜について、実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。また、図2に断面の走査型電子顕微鏡写真(以下「SEM写真2」)及び図5にX線構造回折の結果を示す。
図5の結果から、金属微粒子焼結膜における結晶子径は、23.9nmと算出された。
また、該SEM写真2から明らかなように、比較例2の導電性基板は、金属微粒子焼結膜の厚さが約500nmであり、基材に損傷がないことがわかる。しかしながら、SEM写真1と比較することで明らかなように、空隙が多く見られ、該SEM写真2から算出した空隙率は11.1%と算出された。
Claims (16)
- 基材上に、金属又は金属酸化物微粒子を含む塗布液を印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理して金属微粒子焼結膜を形成してなる導電性基板であって、前記金属微粒子焼結膜おけるX線回折により測定した結晶子径が25nm以上であり、かつ前記金属微粒子焼結膜の断面の空隙率が1%以下である導電性基板。
- 前記金属微粒子焼結膜内部の、X線光電子分光法により測定した炭素含有量が5%未満である請求項1に記載の導電性基板。
- 前記金属又は金属酸化物が、銅、酸化銅、及び表面が酸化された銅から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の導電性基板。
- X線回折パターンにおいて、(111)面のピーク面積が、(200)面のピーク面積の2倍以上である請求項3に記載の導電性基板。
- 前記金属微粒子焼結膜と基材の間に、異種金属層又は金属酸化物層を有さない請求項1〜4のいずれかに記載の導電性基板。
- 前記基材がポリイミド樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性基板。
- 前記焼成が、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行われる請求項1〜6のいずれかに記載の導電性基板。
- 前記焼成が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマにより行われる請求項1〜7のいずれかに記載の導電性基板。
- 基材上に、金属又は金属酸化物微粒子を含む塗布液を印刷して印刷層を形成する工程、該印刷層を焼成処理して金属微粒子焼結膜を形成する工程を有する導電性基板の製造方法であって、金属微粒子焼結膜おけるX線回折により測定した結晶子径が25nm以上であり、かつ金属微粒子焼結膜の断面の空隙率が1%以下である導電性基板の製造方法。
- 前記金属微粒子焼結膜内部の、X線光電子分光法により測定した炭素含有量が5%未満である請求項9に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記金属又は金属酸化物が、銅、酸化銅、及び表面が酸化された銅から選ばれる少なくとも1種である請求項9又は10に記載の導電性基板の製造方法。
- X線回折パターンにおいて、(111)面のピーク面積が、(200)面のピーク面積の2倍以上である請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記金属微粒子焼結膜と基材の間に、異種金属層又は金属酸化物層を有さない請求項9〜12のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 前記基材がポリイミド樹脂である請求項9〜13のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成が、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行われる請求項9〜14のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマにより行われる請求項9〜15のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
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