JP2006237493A - 配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 寸法精度に優れ、シート抵抗値が低い配線基板を提供する。
【解決手段】 焼成収縮開始温度の異なる少なくとも2種の絶縁層を含む絶縁基板と、該絶縁層の表面及び内部に形成された配線導体層とを具備しており、該絶縁基板と配線導体層とが同時焼成により形成された配線基板において、前記配線導体層は、空隙率が5%以下に抑制された断面を有していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の絶縁層から形成された絶縁基板を有する配線基板の製造方法に関するものであり、より詳細には、絶縁基板を構成する絶縁層として焼成収縮開始温度の異なる少なくとも2種の絶縁層を含む配線基板及びその製造方法に関するものである。
セラミックス製の絶縁基板を備えた配線基板が従来から用いられているが、近年、配線基板に対して種々の機能の付加が求められ、互いに異種セラミックスからなる複数の絶縁層により絶縁基板を備えた配線基板が提案されている。例えば、低強度の絶縁層に高強度の絶縁層を積層することにより絶縁基板の強度が補強された配線基板や、絶縁基板の中に容量値の高いキャパシタを形成するために、低誘電率の絶縁層の間に高誘電率の絶縁層が積層されているキャパシタ内臓の絶縁基板を備えた配線基板などが知られている。
このような多層構造の絶縁基板を備えた配線基板では、異種絶縁層間でのクラックやデラミネーション(層間剥離)を防止するために、異種絶縁層間で焼成収縮率および熱膨張係数を一致させるように絶縁層材料の特性を選択、制御することが通常行われている。
また、近年においては、配線基板の低コスト化や、配線基板上(絶縁基板上)に形成された電極の寸法精度向上のため、焼成時の平面方向(X−Y方向)における絶縁基板の収縮率を小さくすることが要求されており、従来の配線基板では、この要求を達成することができなかった。
このような要求を満足するため、近年では、未焼成の絶縁性グリーンシートの積層体(即ち、異種の絶縁層となる複数種のシートを含む)を、Al焼結板を介して加圧しながら焼成して厚み方向(Z方向)への焼成収縮を増大させる加圧焼成法により絶縁基板を形成せしめる配線基板の製造法が提案されている。また、グリーンシートの積層体の表面に、該積層体の焼成温度では焼結しない未焼成セラミック層を設け、該未焼成セラミック層によってグリーンシート積層体を拘束し、焼成時に厚み方向にのみ収縮させた後、未焼成セラミック層を取り除く方法が開発されている(特許文献1)。これらの方法においては、上記グリーンシートの表面または内部に配線パターンを形成する導体ペーストと塗布し或いは充填されており、積層体の焼成(同時焼成)により絶縁基板と配線導体層が同時に形成される。
しかしながら、前者の加圧焼成法では、反りのないAl焼結板が必要であるとともに特殊な加圧手段が必要であった。また、未焼成セラミック層によって拘束する方法では、焼成終了後に未焼成セラミック層を取り除く必要があるために製造工程が増える、という問題があった。
そこで、焼成収縮開始温度の異なる2種の絶縁性グリーンシートを積層して同時焼成するにあたり、焼成収縮開始温度が高温側のグリーンシートが収縮開始する時、焼成収縮開始温度が低温側のグリーンシートでは、すでに最終焼成体積収縮量の90%以上焼成収縮が進行しているように設定することにより、寸法変化を抑制する回路基板の製造方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
特許第2554415号 特開平2002−261443号公報
しかしながら、特許文献2に記載の製造方法は、寸法変化を制御することが容易であるが、これだけでは基板の平面方向の収縮を完全に0に近づけることができない、又は収縮量がばらつく、という問題があった。また、焼成収縮開始温度が高温側のグリーンシートと焼成収縮開始温度が低温側のグリーンシートでは、目的に応じて該シートの材料特性を変えることはできるが、それぞれの収縮挙動を調整する必要が有り、材料設計にも限度が生じ、大幅に材料特性を変えることはできない。従って、より効果的に機能を向上させるためには、上記の収縮挙動の制約がない別の絶縁性グリーンシートを用いる必要がある。また、上記のような拘束焼成技術によって得られた配線導体層は、平面方向の収縮が基板と同様に抑制され、焼成収縮の大部分を厚み方向の収縮で補わざるを得ない。この結果、配線導体層と絶縁層の界面には凸凹が形成されやすくなり、導体抵抗の増加や界面導電率の低下が起こり、絶縁基板にコンデンサ等の機能を内蔵させた場合の電気特性を劣化させる。
従って、本発明の目的は、焼成時の収縮曲線(挙動)が異なる複数の絶縁層同士を一体化して焼成することにより、互いの平面方向の焼成収縮が抑制され、寸法精度に優れ且つ優れた電気特性を有する配線基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、焼成収縮開始温度の異なる少なくとも2種の絶縁層を含む絶縁基板と、該絶縁層の表面及び内部に形成された配線導体層とを具備しており、該絶縁基板と配線導体層とが同時焼成により形成された配線基板において、
前記配線導体層は、空隙率が5%以下に抑制された断面を有していることを特徴とする配線基板が提供される。
本発明の配線基板においては、
(1)少なくとも2種の前記絶縁層は、熱膨張係数差が2×10−6/℃以内となっていること、
(2)少なくとも2種の前記絶縁層が、それぞれ、ディオプサイド、ハーディストナイト、セルシアン、コージェライト、アノーサイト、ガーナイト、ウィレマイト、スピネル、ムライト、フォルステライト及びスーアナイトから選ばれる1種以上の結晶相を含有していること、
が好ましい。
また、本発明によれば、少なくとも結晶化ガラス粉末を含む焼成用粉末と揮発性バインダーとからなる成形用スラリーを調製し、該成形用スラリーを用いて複数毎の絶縁性グリーンシートを作製し、該複数毎の絶縁性グリーンシートの少なくとも一部に、表面に導体ペーストを配線パターン状に塗布し、これら複数毎のグリーンシートを積層して積層体を作製し、該積層体を焼成することにより、配線基板を製造する方法において、
前記複数毎の絶縁性グリーンシートの内の少なくとも2種は、互いに焼成収縮開始温度が異なるように焼成用粉末が選択されており、
前記導体ペーストとして、金属元素密度(d20)に対して15%以上のタップ嵩密度を有する金属粉末を有機バインダー及び溶剤に混合することにより調製されたものを使用することを特徴とする配線基板の製造方法が提供される。
上記の製造方法においては、
(3)前記複数毎の絶縁性グリーンシートは、軟化点の異なる結晶化ガラス粉末を用いて作製されたものであること、
(4)各絶縁性グリーンシート中の焼成用粉末には、70質量%以下の量でフィラー粉末が含まれていること、
が好ましい。
本発明の配線基板は、配線導体層の断面の空隙率が5%以下に抑制されているため、絶縁基板が焼成収縮開始温度の異なる少なくとも2種の絶縁層を含んでいるにもかかわらず、導体抵抗が低く且つ界面導電率が高いものとなる。
即ち、本発明の配線基板においては、配線導体層の断面のうち、空隙が占める割合が5%以下である。このため、焼成過程において、収縮開始温度が異なる絶縁層が互いに密着した面で拘束しあうこととなり、平面方向(X−Y方向)の焼成収縮が抑制された場合においても導体抵抗が低く且つ界面導電率が高いものとなるのである。例えば、配線導体層の断面に空隙が占める割合が5%よりも高いと、後述する実験例に示されているように(試料No.11,12)、シート抵抗が1.6mΩ□以上となり、配線基板の電気特性を劣化させてしまう。
即ち、拘束焼成を行っても、配線導体層の断面のうち、空隙が占める割合が5%以下であれば、配線導体層の断面を占める空隙の割合が小さいため、配線導体層としても欠陥が少なく、配線導体層と絶縁層との界面での凸凹の発生が抑制され、配線導体層も寸法精度が高く、導体抵抗が低く且つ界面導電率が高いものとなる。従って、本発明では、材料設計にほとんど制約を与えることなく優れた機能を内蔵した配線基板を実現することができる。
また、上記のような配線導体層の断面を占める空隙率を5%以下とすることは、配線導体層を形成するために使用する導体ペーストとして、金属元素密度に対して15%以上のタップ嵩密度を有する金属粉末を有機バインダー及び溶剤に混合することにより調製されたものを使用することにより達成することができる。
本発明を以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板の一例の概略断面図を示す。
図1において、全体として10で示す配線基板10は、絶縁基板1と、絶縁基板1の表裏面に形成された表面導体層2、絶縁基板1の内部に形成された内部導体層3、導体層間を接続するためのビアホール導体4を有する。
かかる構造を有する本発明の配線基板10において、絶縁基板10は、複数の絶縁層1a〜1gが積層された積層構造を有しており、内部導体層3は、これら絶縁層の層間に形成されており、ビアホール導体4は、少なくとも1つの絶縁層を貫通して延びている。
本発明において、絶縁基板1を構成する絶縁層1a〜1gは、焼成時の収縮開始温度によって、少なくとも2種に区分され、例えば、絶縁基板1の表面或いは裏面に存在する絶縁層1a、1gは、同一の材料から形成され、従って同一の焼成収縮温度を有する第1絶縁層に属し、絶縁基板1の内部に存在する絶縁層1b〜1fは、第1の絶縁層とは異なる材料で形成され、従って第1の絶縁層とは焼成収縮温度が第1の絶縁層と異なる第2の絶縁層に属する。
このように絶縁層1a〜1gを複数のタイプに区分するのは、配線基板10(絶縁基板1)の内部にコンデンサ等の機能を持たせるためである。即ち、図1において、絶縁基板1の内部に位置する絶縁層1b〜1fを高誘電率の材料で形成すれば、内部導体層3,3が容量電極として機能するため、この配線基板10は高容量のコンデンサを内蔵するものとなる。このように、絶縁基板1の内部に所定の機能を持たせると、必然的に、内部絶縁層1b〜1fは、表面絶縁層1a,1gとは焼結開始温度が異なるものとなり、従って、絶縁層1a〜1gは、第1の絶縁層(絶縁層1a,1g)と、第1の絶縁層とは焼結開始温度の異なる第2の絶縁層(絶縁層1b〜1f)とに区分されることとなるのである。
上記では、絶縁層1a〜1gが第1の絶縁層と第2の絶縁層との2種に分類される場合を例に採ったが、勿論、2種に限定されるものではなく、内部に持たせる機能に応じて、比誘電率、曲げ強度、誘電損失、熱伝導率、嵩密度、温度係数などの物性によって3種或いはそれ以上に分類することも可能である。例えば、図1の例において、中心部分に位置する絶縁層1c、1dを、さらに焼結開始温度の異なる材料(例えば更に高誘電率の材料)で形成された第3の絶縁層とすることで、さらに、その内部にコンデンサとしての機能を持たせることができる。また、絶縁層1a〜1gを、どのように第1の絶縁層及び第2の絶縁層(或いはそれ以上の絶縁層)に区分されるようにするかは、目的とする内蔵機能に応じて適宜決定される。
ところで、上記のように絶縁層1a〜1gが焼結温度の異なる複数種材料で形成されている場合、同時焼成により、この配線基板10を製造する際に問題を生じる。例えば、第1の絶縁層と第2の絶縁層とでは焼成収縮挙動が異なるため、寸法精度が低くなり、絶縁基板1の内部にクラック等の欠陥が生じ易く、さらに、絶縁基板1の表面や内部に形成される配線導体層(表面導体層2、内部導体層3、ビアホール導体4)の寸法精度も低くなり、特に微細配線などが困難となってしまう。このために、本発明では、上記の配線導体層、即ち、表面導体層2、内部導体層3、ビアホール導体4について、その断面での空隙率を5%以下、特に2.5%以下に抑制するのである。
即ち、本発明においては、配線導体層断面での空隙率が低いため、焼成時に、収縮開始温度が異なる第1の絶縁層と第2の絶縁層とが互いに密着した面で拘束しあい、この結果、平面方向(X−Y方向)の焼成収縮が抑制された場合でも、平面方向の収縮率が小さく且つ該収縮率のバラツキも少なくなる。また、空隙率が小さく抑制されているため、配線導体層(表面導体層2、内部導体層3、ビアホール導体4)の導体抵抗が低く、界面導電率が高く、配線基板10の内蔵機能を優れたものとすることできる。
このような本発明において、各絶縁層1a〜1gは、結晶化ガラスを含むガラスセラミックスにより形成されていることが平面方向での収縮を抑制する上で好ましい。例えば、第1絶縁層(絶縁層1a、1g)のガラスの結晶化温度を、第2絶縁層(絶縁層1b〜1f)のガラスの軟化点よりも低くなるように、各絶縁層1a〜1gを形成するガラスセラミックを選択することにより、平面方向での焼成収縮を可及的にゼロに近づけることができる。即ち、低温から収縮が開始する第1絶縁層(1a、1g)に含まれるガラスの結晶化温度は、第2絶縁層(1b〜1f)に含まれるガラスの軟化点より低いため、焼成に際して、第2絶縁層(1b〜1f)が収縮開始するときには、第1絶縁層(1a、1g)の焼成収縮はほぼ終了しており、例えば最終焼成体積収縮量の97%以上、特に98%以上、更には99%以上となる割合で第1絶縁層(1a,1g)の焼成収縮は進行してしまっている。このことは、第1絶縁層が収縮しているときには第2絶縁層が収縮せず、第2絶縁層が収縮しているときには、第1絶縁層は収縮しないことを意味しており、このような第1絶縁層と第2絶縁層とにより、お互いの平面方向(X−Y方向)の収縮が相互に抑制しあうこととなり、この結果、収縮のばらつきをさらに抑制でき、収縮をゼロに近づけることができるのである。
本発明において、より効果的に平面方向の収縮を相互に抑制させるためには、第1絶縁層(1a,1g)に含まれるガラスの結晶化温度が、第2絶縁層(1b〜1f)に含まれるガラスの軟化点よりも10℃以上低いことが望ましい。尚、絶縁層1a〜1gを3種以上の絶縁層に区分する場合には、第3或いは第3以上の絶縁層は、デラミネーションや反りの観点から第1若しくは第2絶縁層のどちらか一方の収縮挙動に類似するように材料選択することが好ましい。
上記のように絶縁層1a〜1gの形成に用いる結晶化ガラスとしては、ディオプサイド、ハーディストナイト、セルシアン、コージェライト、アノーサイト、ガーナイト、ウィレマイト、スピネル、ムライト、フォルステライト、スーアナイトのうち少なくとも1種を焼成により析出するものであることが好ましく、このような結晶相が各絶縁層1a〜1gに析出していると、誘電特性、機械的強度等の特性を向上させることができる。これらの中でも、特に誘電特性の点では、ディオプサイド、ハーディストナイト、セルシアン、ウィレマイト、フォルステライトを析出するものが望ましく、強度の点では、ディオプサイド、セルシアン、コージェライト、アノーサイトを析出するものが望ましく、誘電特性と強度とを満足させるという点で、ディオプサイド、セルシアンを析出するものが好適である。
また、本発明においては、絶縁基板1を構成する絶縁層1a〜1gは、互いに異なる材料で形成される少なくとも2種に区分されるとしても、その熱膨張係数差(室温〜900℃)が2×10−6/℃以内、特に1×10−6/℃以内に収まるように材料選択することが好ましい。これにより、焼成後の冷却時に、熱膨張差(熱収縮差)によるクラックやデラミネーションを有効に抑制することができる。
上記のような熱膨張係数差の調整は、各絶縁層1a〜1g中に、結晶化ガラス成分と共にフィラー成分を含有させ、その量を調整することにより実現することができる。
このようなフィラーとしては、Al、SiO、MgTiO、CaZrO、CaTiO、MgSiO、BaTi、ZrTiO、SrTiO、BaTiO、TiO、AlN、SiNなどを例示できる。これらの中でも、特に誘電特性の点でAl、MgTiO、CaZrO、CaTiO、MgSiO、BaTiが好適であり、強度の点でAl、AlN、SiNが望ましく、さらには誘電特性と強度の点でAlが最も好適である。
本発明においては、上述した結晶化ガラスとフィラーとは、焼結性と層間の接着性の観点から、各絶縁層1a〜1g中に、30質量%以上、特に40〜90質量%、更には50〜80質量%の結晶化ガラス成分が含まれるように用いることが好ましい。即ち、フィラー含量が70質量%以下であり、結晶化ガラス成分を30質量%以上含んでいると、絶縁層中のガラスが占める割合が増えてガラスの持つ粘性流動が得られやすくなることにより、安定した焼結性及び接着性を得ることができるのである。
このように、本発明の配線基板10に用いられる絶縁基板1を構成する絶縁層1a〜1gは、結晶化ガラス及びセラミックスからなるガラスセラミックスにより形成できるため、1000℃以下での焼成が可能であり、従って、配線導体層を形成する金属として、Cu、Ag、Alなどの低抵抗導体を用いることが可能となり、また、低誘電率化も可能であり、高速伝送化に適している。
上述した本発明の配線基板10は、以下のようにして製造することができる。
まず、絶縁層1a〜1gに相当するセラミックグリーンシートを作製するために、前述した結晶化ガラスの粉末とフィラーとを前述した量比で混合した混合粉末を用意する。この場合、第1絶縁層(1a、1g)を形成するグリーンシートの作製に使用する結晶化ガラスの種類を、その結晶化温度Tcが第2絶縁層(1b〜1f)のガラスの軟化点Tgよりも低く(特に10℃以上)なるように選択することが好ましいことは既に述べた通りである。即ち、この条件を満足するように、適宜、混合粉末の組成(結晶化ガラスやフィラーの種類及び量)を代えて、各混合粉末を、焼成過程で揮発する揮発性バインダー(例えばエチルセルロースやアクリル系樹脂など)、溶媒(例えばイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤など)及び必要により可塑剤を加えて成形用スラリー乃至ペーストを調製し、リップコーター法やドクターブレード法等の公知の成形手段を用いて、第1絶縁層(1a、1g)用のグリーンシート、及び第2絶縁層(1b〜1f)のグリーンシートを作製する。
上記のようにして作製されたグリーンシートには、対応する絶縁層に応じて、表面導体層2や内部導体層3のパターンに対応して、スクリーン印刷などにより導体ペーストを塗布し、或いはビア導体4に対応する位置にパンチングなどによってスルーホールを形成し、その内部に導体ペーストを充填する。
上記の導体ペーストは、前述した表面導体層2、内部導体層3、ビアホール導体4(これらを単に配線導体層と呼ぶ)を形成する金属の粉末(例えばCu,Ag,Alなどの低抵抗導体の粉末)を、絶縁層形成用のグリーンシートと同様、有機バインダー及び有機溶媒と混合することにより調製される。本発明に置いて、この金属粉末としては、当該金属元素の密度(d20)の15%以上、特に35%以上のタップ嵩密度(JIS R
1628)を有するものを用いなければならない。即ち、このようにタップ嵩密度が大きく調整された金属粉末を用いることにより、形成される配線導体層の断面での空隙率を5%以下、特に2.5%以下に設定することができ、これにより、各絶縁層層間が密となり、先に述べたように、焼成時における第1絶縁層と第2絶縁層間における相互拘束力を高め、焼成収縮を緩和し、収縮率のバラツキも回避することができ、さらには配線導体層の導体抵抗を低減させ、界面導電率を高めることができるのである。
即ち、本発明において用いる上記金属粉末は、かなり高いタップ嵩密度を有しており、金属の粉末粒子が密に詰まっており、このような金属粉末を用いることにより、粒子間の空隙を少なくし、配線導体層の断面における空隙率を5%以下、特に2.5%以下に低減できるのである。
尚、金属粉末のタップ嵩密度を上記範囲に高めるためには、粒径の細かい粒子を多く含有させるとともに、ボールミルでの攪拌処理を行い、場合によっては減圧下での加圧処理を行うのがよい。また、粉末粒子の形状を扁平状とすることもタップ嵩密度を高める上で有用である。
さらに、上記の金属粉末として、2種以上の金属の粉末を混合した混合粉末を用いることもできるが、この場合、混合粉末における金属元素の密度(d20)は、混合されている各金属元素の密度(d20)を混合粉末中の質量比に応じて加算することにより算出でき、これにより、タップ嵩密度の金属元素密度に対する割合を算出することができる。また、金属粉末の表面に、ガラス、酸化物等をコーティングして収縮挙動を制御する場合においても、上記の方法で算出することができる。
また、導体ペースト中の金属粉末含有量は、通常、80質量%以上、特に85質量%以上とすることが好ましい。金属粉末含有量が少ないと、空気の巻き込みや塗布に際しての流動などによって、粒子間隙の空間が大きくなり、配線導体層の断面での空隙率が高まるおそれがあるからである。
このようにして得られた第1絶縁層(1a,1g)及び第2絶縁層(1b〜1f)に対応する各グリーンシートを、図1の積層構造に対応して積層圧着して積層体を形成し、この積層体を所定の温度で脱バインダーした後、さらに昇温して焼成することにより、本発明の配線基板10を得ることができる。
焼成温度は、一般に1000℃以下、特に850乃至950℃程度の温度で行われるが、先に述べたように、配線導体層用の導体ペースト中の空隙が著しく抑制されているため、この焼成に際して、第1絶縁層(1a,1g)と第2絶縁層(1b〜1f)との界面での密着性が強く、界面で高い相互拘束力が発生し、この結果、これら絶縁層の焼成収縮差が緩和され、平面方向での収縮率が低減され、そのバラツキも少なくなる。
また、本発明においては、前述したように作製されたグリーンシートでは、第1絶縁層用グリーンシートの収縮終了温度をT,第2絶縁層用グリーンシートの収縮開始温度をTとすると、第1絶縁層(1a、1g)用結晶化ガラスの結晶化温度Tcが第2絶縁層(1b〜1f)用結晶化ガラスの軟化点Tgよりも低く設定されているため、以下の関係が成立している。尚、温度T,T等はTMA(熱機械的分析)やDTA(示唆熱分析)により測定することができる。
<Tc<Tg<T
即ち、上記の温度関係から理解されるように、第1絶縁層用グリーンシート(1a,1g)が収縮している際には、第2絶縁層用グリーンシート(1b〜1f)の収縮は始まっていない。従って、非流動状態の第2絶縁層用シートが第1絶縁層用シートの平面方向における収縮を抑制する。一方、第2絶縁層用シートの焼結が進行し、収縮が始まる際には、第1絶縁層用シートの収縮はほぼ完了している。従って、非流動状態の第1絶縁層用シートにより、第2絶縁層用シートの平面方向の収縮が抑制され、この結果、焼結完了後の基板全体として平面方向の焼成収縮が一層抑制され、さらに、第1絶縁層用シートに含まれるガラスの結晶化温度が第2絶縁層用シートに含まれるガラス粉末の軟化点よりも低いため、第1絶縁層用シートの収縮は終了して結晶化されており、収縮のバラツキがさらに抑制され、かつ収縮率をゼロに近づけることができ、寸法精度の高い配線基板を得ることができるのである。
従って、最終的な焼成は、第2絶縁層用グリーンシート(1b〜1f)の収縮開始温度Tよりも高い温度で行われるが、例えば第1絶縁シートの収縮終了温度Tと第1絶縁シートに含まれるガラス粉末の結晶化温度Tcとの間の温度領域に一旦保持して第1段の焼成を行い、次いで前記温度Tよりも高い温度での第2段の焼成を行うことも可能であり、このような多段焼成により、第1絶縁層用シートと第2絶縁層用シートとの相互作用による収縮抑制効果をさらに高めることもできる。
本発明を、次の実験例で説明する。
(実験例1)
表1に示すガラス粉末及びフィラー粉末を、表1に示す割合で混合し、この混合粉末に、エチルセルロース(有機バインダー)と、2−2−4−トリメチル・ペンタジオール・モノイソブチレート(有機溶剤)とを添加してスラリーを作製し、これをドクターブレード法により薄層化し、グリーンシートを作製し、多層絶縁基板用の絶縁シートとした(シートA〜H)。尚、ガラスの結晶化温度Tcと、ガラスの軟化点Tgは、DTA(示唆熱分析)により、10℃/分で昇温して得られた曲線より決定した。
各絶縁シートの焼成収縮開始温度、収縮終了温度、熱膨張係数、誘電率を表1に併せて示した。これらの測定は、各絶縁シート用の混合粉末にワックスを添加して、100MPaでプレスすることにより圧粉体を別途形成し、この圧粉体に対して空気中でTMA(熱機械分析)による室温〜1000℃の温度範囲により、各セラミックスの収縮開始温度S、収縮終了温度E、室温〜900℃における熱膨張係数を測定した。
次いで、種々の粒径のAg粒子からなり、ボールミル混合処理などによりタップ嵩密度が種々異なるAg粉末を用い、これを有機バインダー(エチルセルロース)及び溶媒(2,2,4−トリメチルペンタジオールモノイソブチレート)と混合し、Ag粉末含量が84質量%の導体ペーストを調製した。この導体ペーストの調製に用いたAg粉末の粒径、密度比を表2に示した。尚、密度比は、JIS R
1628に準拠して測定したタップ嵩密度と、日本金属学界出版の金属データブックから引用したAgの密度(d20)とから、下記式により算出した。
密度比=(金属粉末のタップ嵩密度/金属元素の密度)×100(%)
得られた絶縁シートの所定の位置にパンチング等により貫通孔を形成し、この貫通孔に、表2に示す導電性ペーストを充填するとともに、この導電性ペーストを絶縁シート表面にスクリーン印刷して配線パターンを形成した後、これを乾燥させた。そして、これらの絶縁シートを第1及び第2絶縁シートとして使用し、積層圧着して積層体を作製した。
積層体の層構成は、最上層及び最下層となるグリーンシートを第1絶縁シートとし、これらに挟まれるグリーンシートを第2絶縁シートとして、図1に示した層構成とした。なお、第1絶縁層に含まれるガラスの結晶化温度Tcと、第2絶縁層に含まれるガラスの軟化点Tgとの差を表2に示した。
この積層体を大気中で加熱し、400℃で脱バインダーした後、910℃に昇温し、1時間、同時焼成を行い、図1に示す層構成の配線基板を得た(試料No.1〜12)。かかる配線基板において、各絶縁層1a〜1gの厚みは0.1mmであり、多層基板の大きさは、縦50mm、横40mm、厚み0.7mmであった。
得られた配線基板について、配線層断面の空隙割合とシート抵抗値を測定し、表2に示した。
シート抵抗値は、抵抗計により測定し導体厚みt=20μm換算時の値を示した。
空隙割合は断面の(鏡面)研磨面のSEM観察から、下記式:
(配線層中の空隙面積/配線層面積)×100(%)
により求めた。尚、ここで断面の空隙の割合をX%とした場合のバルク内の空隙の割合Y%の関係は、Y=X3/2となる。
また、焼成前の積層体と焼成により得られた配線基板について、所定のポイント間の長さを測定することにより、下記式:
収縮率:((a−b)/a)×100(%)
a:焼成前長さ、b:焼成後長さ
により、平面方向(X−Y方向)の収縮率を算出し、さらに収縮率のバラツキを測定し、その結果を表2に示した。なお、収縮率は、各試料番号について10個の試料を作製してそれぞれ収縮率測定し、平均値を収縮率とするとともに、10個の試料のうち、最大収縮率と最小収縮率との差を収縮バラツキとして評価した。
また、配線基板の表面を研磨して光学顕微鏡で表面観察することにより、クラック、デラミネーションの有無を調べ、これを欠陥として評価した。
Figure 2006237493
Figure 2006237493
本発明の試料No.1〜10の配線基板は、収縮率が4%以下と小さく、また、収縮バラツキが0.3%以下であり、配線基板にクラックやデラミネーションなどの欠陥は観察されなかった。またシート抵抗は1.5mΩ/□以下であった。このように、本発明の配線基板は、寸法精度に優れ、平面方向の収縮率が0に近く、収縮率のばらつきが小さく、導体抵抗が低い優れた特性を示した。
一方、配線層内の空隙の割合が5%を超える本発明の範囲外の試料No.11及び12は、シート抵抗が1.6mΩ/□以上の高い値を示した。
本発明のセラミック多層基板の一例を示す概略断面図を示す。
符号の説明
1・・・絶縁基板
2・・・表面導体層
3・・・内部導体層
4・・・ビアホール導体
10・・・配線基板

Claims (6)

  1. 焼成収縮開始温度の異なる少なくとも2種の絶縁層を含む絶縁基板と、該絶縁層の表面及び内部に形成された配線導体層とを具備しており、該絶縁基板と配線導体層とが同時焼成により形成された配線基板において、
    前記配線導体層は、空隙率が5%以下に抑制された断面を有していることを特徴とする配線基板。
  2. 少なくとも2種の前記絶縁層は、熱膨張係数差が2×10−6/℃以内となっている請求項1に記載の配線基板。
  3. 少なくとも2種の前記絶縁層が、それぞれ、ディオプサイド、ハーディストナイト、セルシアン、コージェライト、アノーサイト、ガーナイト、ウィレマイト、スピネル、ムライト、フォルステライト及びスーアナイトから選ばれる1種以上の結晶相を含有している請求項1または2の何れかに記載の配線基板。
  4. 少なくとも結晶化ガラス粉末を含む焼成用粉末と揮発性バインダーとからなる成形用スラリーを調製し、該成形用スラリーを用いて複数毎の絶縁性グリーンシートを作製し、該複数毎の絶縁性グリーンシートの少なくとも一部に、表面に導体ペーストを配線パターン状に塗布し、これら複数毎のグリーンシートを積層して積層体を作製し、該積層体を焼成することにより、配線基板を製造する方法において、
    前記複数毎の絶縁性グリーンシートの内の少なくとも2種は、互いに焼成収縮開始温度が異なるように焼成用粉末が選択されており、
    前記導体ペーストとして、金属元素密度(d20)に対して15%以上のタップ嵩密度を有する金属粉末を有機バインダー及び溶剤に混合することにより調製されたものを使用することを特徴とする配線基板の製造方法。
  5. 前記複数毎の絶縁性グリーンシートは、軟化点の異なる結晶化ガラス粉末を用いて作製されたものである請求項4に記載の配線基板の製造方法。
  6. 各絶縁性グリーンシート中の焼成用粉末には、70質量%以下の量でフィラー粉末が含まれている請求項4または5に記載の配線基板。
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