JP2010278117A - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 X−Y方向の焼成収縮を抑制するともに、ボイドが形成されにくく、かつ絶縁信頼性に優れた配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dを作製する工程と、第1のセラミックグリーンシート11aから11dの焼成収縮開始温度よりも高い焼成収縮開始温度の第2のセラミックグリーンシート12a〜12cとが積層され、層間に配線層用導体ペースト2が塗布されたセラミックグリーンシート積層体4を焼成する工程とを有する配線基板の製造方法であって、配線層用導体ペースト2として、焼成収縮開始温度が第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも100℃〜410℃低いものを用いることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子収納用パッケージや高周波モジュール等に適用される配線基板の製造方法に関するものであり、特に、絶縁層が薄層化された配線基板の製造方法に関するものである
従来、アルミナセラミックスからなる絶縁基板に配線層が形成された配線基板では、絶縁基板の焼成温度が1600℃程度であることから、絶縁基板と配線層とを同時焼成によって形成するために、配線層の形成材料として1600℃で融解しないモリブデンやタングステンを主成分とするものが用いられていた。
ところが、近年における情報通信技術の急速な発展により、各種電子部品に対する小型化、高機能化が求められ、具体的には、絶縁層の薄層化や信号の伝送損失を低減するための配線層の低抵抗化が求められている。そこで、配線層として導体抵抗の低い銀、銅または金を主成分とし、これらの材料が融解しない1000℃以下の焼成温度で緻密化できる低温焼成セラミックスを絶縁層とした配線基板が用いられるようになってきた。
ここで、上記の配線基板を製造するに際し、焼成収縮時の収縮率がばらついて配線層の寸法精度が低下するという問題がある。これは、上記の配線基板の製造時の収縮率が13〜20%程度と大きいことに起因している。配線基板の内部に形成されるコンデンサ、コイル等の各種素子の特性は、配線層を構成するラインや電極パッド等の寸法や相対位置により大きく左右されることから、配線層の寸法精度の低下は各種素子の特性に影響を及ぼしてしまう。
このような問題に対し、拘束焼成と呼ばれるX−Y方向(積層方向(Z方向)に垂直な方向)の収縮率を小さくする配線基板の製造方法が提案されている。
例えば、セラミックグリーンシート積層体の上下に焼成によって焼結し難い剥離層(拘束シート)を積層して焼成し、焼成後に剥離層(拘束シート)を除去することにより、平面方向の収縮率を低減する配線基板の製造方法が提案されている(特許文献1を参照)。
また、ガラス転移点が80℃以上異なったガラス成分を有するセラミックグリーンシートを複数積層することにより、両セラミックグリーンシート間でガラスの流動開始温度に差を設け、焼成収縮時の収縮応力を平面的に互いに緩和しあうことにより、X−Y方向の収縮率を低減する配線基板の製造方法が提案されている(特許文献2を参照)。この製造方法によれば、剥離層(拘束シート)を除去する工程が必要なくなるという点で、特許文献1に記載された製造方法よりもメリットがある。
そして、上述の配線基板の製造方法においては、配線層を形成するための配線層用導体ペーストの焼成収縮開始温度をセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度に近づけるとともに、配線層用導体ペーストの焼成収縮挙動をセラミックグリーンシートの焼成収縮挙動に近づけることが行われる。
特表平5−503498号公報 特開平8−236936号公報
しかしながら、このような配線基板の製造方法においては、本来、X−Y−Zの3方向に収縮しようとするセラミックグリーンシートのX−Y方向の収縮を強制的に抑制してZ方向にのみ収縮させるため、セラミックグリーンシートに含まれる成分の拡散や粒子の再配列の自由度が失われ、焼成収縮の進行が不十分となり、絶縁層(セラミックグリーンシートの焼成後の状態)中にボイドが形成されやすくなる。そのため、ボイドによる絶縁層厚みの実質的な減少、ボイドの内部を経由したマイグレーション等により絶縁信頼性が低下するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、X−Y方向の焼成収縮を抑制するともに、ボイドが形成されにくく、かつ絶縁信頼性に優れた配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1のセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度よりも高い焼成収縮開始温度の第2のセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記第2のセラミックグリーンシートに貫通孔を形成して該貫通孔に銀または銅からなる金属粉末を主成分とする貫通導体用導体ペーストを充填するとともに、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記第2のセラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面に銀または銅からなる金属粉末を主成分とする配線層用導体ペーストを塗布する工程と、前記貫通孔に前記貫通導体用導体ペーストが充填された前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを複数積層して、層間に前記配線層用導体ペーストが設けられているセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、該セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを有する配線基板の製造方法であって、前記配線層用導体ペーストとして、焼成収縮開始温度が前記第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度よりも100℃〜410℃低いものを用いることを特徴とするものである。
本発明の配線基板の製造方法によれば、セラミックグリーンシートの焼成収縮の温度域と配線層用導体ペーストの焼成収縮の温度域との重なりが減少ないしなくなることで、X−Y方向の焼成収縮を抑制したとしても、ボイドが形成されにくくなる。したがって、絶縁信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
本発明の配線基板の製造方法を説明する概略断面図である。
以下、本発明の配線基板の製造方法を図面に基づいて説明する。
まず、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dを作製する工程と、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも高い焼成収縮開始温度の第2のセラミックグリーンシート12a〜12cを作製する工程とを有している。
第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cは、ガラス粉末、セラミック粉末、焼結助剤粉末等を適宜組み合わせたものを原料粉末とし、上記のような焼成収縮開始温度の関係となるように原料粉末の種類と配合比が適宜選択される。
ここで、焼成収縮開始温度の関係として、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの焼成収縮開始温度が第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも50℃以上、特に100℃以上高いことが、2種のセラミックグリーンシートの焼成収縮している状態の重なる温度域が少なくなるので好ましい。
理想的には、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの焼成収縮開始温度が第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮終了温度よりも高いことが、互いの平面方向(X−Y方向)の焼成収縮を抑制しあう効果が最大となり、最も高い寸法精度が得られることから好ましい。
このとき、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dは、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの焼成収縮開始温度よりも低い温度で焼成収縮を終了する。そのため、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dが焼成収縮している際には、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cがまだ焼成収縮を開始せず、平面方向(X−Y方向)に焼成収縮しないことにより、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの平面方向(X−Y方向)の焼成収縮が抑制され、主に積層方向(Z方向)に焼成収縮するようになる。一方、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cが焼成収縮している際には、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dがすでに焼成収縮を終了し、平面方向(X−Y方向)に焼成収縮しないことにより、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの平面方向(X−Y方向)の焼成収縮が抑制され、主に積層方向(Z方向)に焼成収縮するようになる。
このように、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dと第2のセラミックグリーンシート12a〜12cとが異なる焼成収縮開始温度を有することにより、互いにセラミックグリーンシートの平面方向(X−Y方向)の焼成収縮を抑制しあう結果、平面方向(X−Y方向)の焼成収縮量が減少し、通常では15〜20%程度の収縮率を5%以下、特に3%以下、最適には1%以下とすることができる。
したがって、焼成収縮量のバラツキに起因する焼成後の寸法バラツキが小さく、平面方向(X−Y方向)に関して高い寸法精度が得られる。
なお、焼成収縮開始温度はセラミックグリーンシートが熱膨張により最も膨張した点から高温側で3%焼成収縮した温度とし、焼成収縮終了温度はセラミックグリーンシートが焼結により最も焼成収縮した点から低温側で3%焼成収縮していない温度とした。
第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cに含まれる原料粉末としてのガラス粉末は、SiOを含み、ZrO、TiO、SnOといった4価金属酸化物、Al、B、Y、Laといった3価の金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物(以下、MOという)、ZnO、PbOなどの2価の金属酸化物および遷移金属酸化物のうち少なくとも1種を含むことが好ましく、SiO−B系ガラス、SiO−B−MO系ガラス、SiO−B−Al−MO系ガラス等のほう珪酸系ガラスが例示できる。これらのガラスのなかでも、軟化温度を制御することが容易なSiO−B−MO系ガラスを採用するのが好ましく、より優れた耐薬品性を有する点で、さらにAl、Y、ZrO等を含有させるのが好ましい。その他、Bi系ガラスやP系ガラスでもよい。
なお、環境調和性を考慮すると、上記ガラス粉末にはPbO、As、CdO、Hg等の有害物質が実質的に含まれないことが望ましい。実質的に含まれないとは、意図的に含有させていないことを指し、微量の不可避不純物はこの限りではない。
ここで、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度を第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの焼成収縮開始温度よりも低くするために、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dに含まれるガラス粉末(第1のガラス粉末)と第2のセラミックグリーンシート12a〜12cに含まれるガラス粉末(第2のガラス粉末)として異なるガラス粉末を用いるとともに、第2のガラス粉末の軟化点を第1のガラス粉末の軟化点よりも高くするのが好ましい。
第1のガラス粉末と第2のガラス粉末とを上述の関係とするためには、ガラスの軟化温度を低下させる成分であるB、アルカリ金属酸化物、BaO、ZnO等を第2のガラス粉末よりも第1のガラス粉末に多く含有させればよく、逆に、ガラスの軟化温度を上昇させる成分であるSiOやZrO、Al、Y、MgO等を第1のガラス粉末よりも第2のガラス粉末に多く含有させればよい。
なお、ガラス粉末としては、焼成中に結晶化する結晶性ガラスと焼成中に結晶化しない非晶質ガラスとに大別されるが、結晶性ガラスの場合には焼成後の絶縁層中に結晶相を析出させることができる。
第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cに含まれる原料粉末としてのセラミック粉末としては、アルミナ、ジルコニア、クオーツ、クリストバライト、コーディエライト、ムライト、スピネル、ガーナイト、エンスタタイト、フォルステライト、アノーサイト、スラウソナイト、セルジアン、ディオプサイド、モンティセライト、アケルマナイト、ウイレマイト、MgTiO、CaTiO、SrTiO、BaTiO、CaZrOやその固溶体、置換誘導体などを例示でき、原料粉末中に複数のセラミック粉末が共存していても差し支えない。ここで、誘電率を低下させ、高周波信号の伝送損失を低減させるためには、フォルステライト、エンスタタイト、クオーツ、クリストバライト、コーディエライト、ムライトが好ましく、特に、フォルステライト、クオーツ、コーディエライトが好ましい。
第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cに含まれる原料粉末としての焼結助剤粉末としては、B、Bi、LiCO、NaCO、KCO、CsCO、ZnO、Co、Mnやその固溶体、置換誘導体などを例示でき、原料粉末中に複数の焼結助剤粉末が共存していても差し支えなく、また、複数の成分を予め熱処理することにより一体化したものでも差し支えない。
例えば、ガラス粉末とセラミック粉末との組み合わせにてセラミックグリーンシートを作製する場合には、ガラス粉末の比率としては、40〜100質量%が望ましく、特に50〜90質量%、最適には55〜85質量%であることが望ましく、セラミック粉末の比率としては、0〜60質量%が望ましく、特に10〜50質量%、最適には15〜45質量%であることが望ましく、用途や特性に応じて適宜変更することができる。
また、ガラス粉末を含まずに、セラミック粉末と焼結助剤粉末との組合せにてセラミックグリーンシートを作製してもよく、この場合の焼結助剤粉末の含有量としては、0.5〜40質量%が望ましく、特に1〜30質量%、最適には3〜15質量%であることが望ましく、用途や特性に応じて適宜変更することができる。
そして、所望の割合で配合された原料粉末に、適当な有機樹脂バインダー、溶媒等を添加した後、混合してスラリーを得る。得られたスラリーから、所望の成形手段、例えばドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法等により第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cを作製する。
次に、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cに貫通孔を形成してこの貫通孔に銀または銅からなる金属粉末を主成分とする貫通導体用導体ペースト3を充填するとともに、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの少なくとも一方の主面に銀または銅からなる金属粉末を主成分とする配線層用導体ペースト2を塗布する。
貫通孔の形成にはパンチング加工やレーザー加工などが用いられ、貫通導体用導体ペースト3の貫通孔への充填には、貫通孔に対応する箇所に穿孔されたメタルマスク、あるいは、エマルジョンメッシュスクリーンマスクを用いて、スクリーン印刷する方法などが用いられる。このとき、マスクを通して貫通導体用導体ペースト3を押し出す方法として、通常のポリウレタン製等の板状(あるいは剣状)のスキージを用いる方法でもよく、ペースト押し出し式のスキージヘッドを用いて加圧注入する方法でもよい。また、配線層用導体ペースト2の塗布は、スクリーン印刷法やグラビア印刷法などによって行われる。
貫通導体用導体ペースト3および配線層用導体ペースト2は、主成分としての銀粉末または銅粉末に有機バインダーおよび有機溶剤を混練したものであり、さらに必要に応じて、ガラス粉末、セラミック粉末、金属粉末等を添加しても差し支えない。この添加成分としては、前述の各種ガラスからなるガラス粉末やセラミック粉末、あるいは、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト等の金属粉末が例示できる。
ここで、配線層用導体ペースト2として、焼成収縮開始温度が第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも100℃〜410℃低いものを用いることが重要である。
一般に、配線層用導体ペーストの焼成収縮開始温度をセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度に近づけるとともに、配線層用導体ペーストの焼成収縮挙動をセラミックグリーンシートの焼成収縮挙動に近づけてなる拘束焼成による配線基板の製造方法では、本来、X−Y−Zの3方向に収縮しようとするセラミックグリーンシートのX−Y方向の収縮を強制的に抑制してZ方向にのみ収縮させるため、セラミックグリーンシートに含まれる成分の拡散や粒子の再配列の自由度が失われ、焼結の進行が不十分となり、絶縁層(セラミックグリーンシートの焼成後の状態)中にボイドが形成されやすくなる。
これに対し、本発明の配線基板の製造方法では、配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度を第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも100℃以上低くすることで、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始時において、配線層用導体ペースト2が全収縮量の50%以上収縮している状態とさせている。このように、配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度と第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度とを大きく離すことで、ボイドを減少させることができる。焼成収縮の温度域が近いと互いに焼成収縮を阻害しあうが、焼成収縮の温度域が遠くなるともはや互いに焼成収縮を阻害しなくなると考えられる。
ただし、配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度と第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度との差が過剰に大きくなると、焼成後の配線基板の反りや変形が大きくなってしまうおそれがある。したがって、本発明の配線基板の製造方法では、配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度を第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも410℃を超えて低くしないこと、換言すれば、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度から配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度を減じた値が410℃以内であることとしている。
特に、配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度を第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも250℃〜300℃低くするのが好ましい。このようにすることで、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始時に、配線層用導体ペースト2が全収縮量の70%以上収縮している状態となり、より互いの焼成収縮の阻害の抑制を図ることができる。
ここで、配線層用導体ペースト2を低温から収縮開始させるためには、微粉かつ粒径バラツキの少ない金属粉末を選択し、必要により焼結性を悪化させないような無機成分を含有させることが重要である
配線層用導体ペースト2に含まれる金属粉末は球状または擬球状であり、少なくとも配線層用導体ペースト2に含まれる金属粉末の平均粒径は、マクロトラックにより測定したD50の値が5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは3.0μm以下、最適には2.0μm以下である。また、少なくとも配線層用導体ペースト2に含まれる金属粉末のD90−D10の値は、同様にマイクロトラックにて測定したD90及びD10の値から求められ、金属粉末のD90−D10の値が6.0μm以下であるのが好ましく、より好ましくは4.0μm以下、最適には2.0μm以下である。金属粉末の粒径を小さくすると、より低温から焼成を開始させることが可能となり、D90−D10の値を小さくすると(粒度分布をより均一にすると)、焼成収縮が起こる温度範囲を狭くすることが可能となる。さらに、金属粉末は、アトマイズ法または湿式還元法により製造されたものがより低温から焼成収縮する導体ペーストを得ることができる点で好ましく、特に湿式還元法にて製造されたものがより均一な粒度分布を得やすいという点で好ましい。
なお、D10とは、金属粉末の粒径の小さいものから累積した累積量が全粒子の10%になる粒径をいい、平均粒径(D50)とは、金属粉末の粒径の小さいものから累積した累積量が全粒子の50%になる粒径をいい、D90とは、金属粉末の粒径の小さいものから累積した累積量が全粒子の90%になる粒径をいう。また、上記の平均粒径および粒度分布の金属粉末は、例えばボールミルを用いて製造することができる。
ボイドが形成され、絶縁信頼性が低下してしまうとの問題は、絶縁層の厚みが25μm以下に薄層化されたときに顕著なものとなるが、本発明によれば、このような場合においても絶縁層のボイドを大幅に低減できる。ここで、ボイドの低減とは、ボイド面積率が4%以下、ボイドの平均径が3μm以下となっていることをいう。ボイド面積率は、少なくとも一方主面に配線層の形成された絶縁層の断面(配線層が切断されるようにして露出させた断面)を鏡面研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて写真を撮影し、画像解析によりボイドと絶縁層とを2値化し、画像中におけるボイドの面積比率を算出して求める。また、ボイドの平均径は、上記画像解析により、各ボイドの面積を算出した上で、ボイドが全て円であると仮定した場合のその円の直径を算出し、平均化して求める。
なお、本発明においては、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの焼成収縮開始温度は、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dの焼成収縮開始温度よりも高いため、配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度との焼成収縮開始温度の差は当然に100℃以上となる。ただし、配線基板の反りや変形が大きくならないように、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの焼成収縮開始温度と配線層用導体ペースト2の焼成収縮開始温度との差は、500℃以内、特に400℃以内であるのが望ましい。
次に、貫通孔に貫通導体用導体ペースト3が充填された第1のセラミックグリーンシート11a〜11dと第2のセラミックグリーンシート12a〜12cとを複数積層して、層間に配線層用導体ペースト2が設けられているセラミックグリーンシート積層体4を作製する。
積層には、熱圧着法や積層助剤を用いて加圧する方法が採用される。また、セラミックグリーンシート積層体4の層構成としては、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dを「A」、第2のセラミックグリーンシート12a〜12cを「B」とすると、図1に示すABABABAとの層構成の他、AAABAAA、AABBBAA、AABABAA、AABBAAA、ABAAAAA、ABAAABA、ABBABBA、AABAAAA、ABBAAAA、ABBBAAA、ABBBBAAなどの層構成としてもよい。また、この層構成において、AとBとを反対に入れ替えてもよい。さらに、ガラスセラミックグリーンシート積層体4には、第1のセラミックグリーンシート11a〜11dおよび第2のセラミックグリーンシート12a〜12cの他に、第3のセラミックグリーンシートが例えば一層か二層程度含まれていてもよい。
最後に、セラミックグリーンシート積層体4を焼成する。
配線層用導体ペースト2および貫通導体用導体ペースト3として、銀を主成分とするものを用いた場合には、大気中で500℃前後までセラミックグリーンシート積層体4の積層界面の剥離がないように昇温し、必要に応じて500℃前後にて保持する。続いて、大気中で700〜950℃まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間焼成する。
一方、銅を主成分とするものを用いた場合には、窒素中あるいは水蒸気含有窒素中で700℃前後までセラミックグリーンシート積層体4の積層界面の剥離がないように昇温し、必要に応じて700℃前後にて保持する。続いて、窒素中あるいは水蒸気含有窒素中で700〜1050℃まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間焼成する。
その後、必要に応じて、表面の配線層にNi−AuめっきやCu−Auめっき、Snめっき等のめっき処理を行う。
以上詳述したように、本発明によれば、X−Y方向の焼成収縮を抑制するともに、ボイドが形成されにくく、かつ絶縁信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
まず、第1のセラミックグリーンシートおよび第2のセラミックグリーンシートを作製した。具体的には、表1、表2に示す原料粉末に、有機バインダーとしてのメタクリル樹脂と、有機溶剤としてのトルエンと、可塑剤とを混合してスラリーを作製し、これをドクターブレード法により表4に示す第1のセラミックグリーンシートおよび第2のセラミックグリーンシートをそれぞれ得た。
このとき、セラミックグリーンシート積層体を作製した際の層構成が図1に示す7層構造であって、表裏層(11a、11d)の焼成後の厚みが50μm、内層(11b、11c、12a〜12c)の焼成後の厚みが20μmとなるように、セラミックグリーンシートを作製した。
なお、表1に示すガラス粉末の軟化温度は、DTA(示差熱分析)により、10℃/分で昇温して得られた曲線から決定した。
また、各セラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度をTMA(熱機械分析)により求めた。具体的には、表1、表2に示した各セラミックグリーンシートの原料粉末の組成物を混合し、そこにパラフィンワックスを添加して、100MPaでプレスすることにより圧粉体を別途形成し、この圧粉体に対して空気中でTMA(熱機械分析)により40℃〜1000℃の温度範囲の収縮曲線を測定した。なお、焼成収縮開始温度は圧粉体が熱膨張により最も膨張した点から高温側で3%焼成収縮した温度とした。
続いて、配線層用導体ペーストを作製した。表3に示す原料粉末に有機バインダーとしてメタクリル樹脂、有機溶剤としてテルピネオール、任意の分散剤を混合して作製した。また、銀粉末又は銅粉末と任意のガラス粉末とを用いて、同様に貫通導体用導体ペーストを作製した。
そして、セラミックグリーンシートと同様の方法にて、配線層用導体ペーストの焼成収縮開始温度を測定し、その結果を表3に示した。また、表3に示す組合せにおいて、第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度において、配線層用導体ペーストが全収縮量に対してどれだけ収縮しているかの収縮割合をTMA(熱機械分析)により求め、その結果を表4に示した。
得られたセラミックグリーンシートの所定の位置にレーザーを用いて貫通孔を形成して貫通導体用導体ペーストを充填し、乾燥した。続いて、配線層用導体ペーストをスクリーン印刷にてセラミックグリーンシート上に印刷し、乾燥した。そして、これらのセラミックグリーンシートを図1に示す層構成と同じように、熱圧着にて積層し、セラミックグリーンシート積層体を作製した。
続いて、焼成を行った。ここで、銀を主成分とする配線層用導体ペースト(D1〜D8)を用いた場合には、大気中400℃で脱有機バインダー処理し、200℃/時間の条件で昇温し、910℃、1時間の条件にて焼成した。一方、銅を主成分とする配線層用導体ペースト(D9、D10)を用いた場合には、水蒸気含有窒素中700℃で脱有機バインダー処理し、200℃/時間の条件で昇温し、910℃、1時間の条件にて焼成した。
最後に、表面の配線層にニッケル−金めっき処理を施すことにより、配線基板を作製した。
そして、焼成前に測定しておいたセラミックグリーンシート積層体の所定のポイント間の長さと、焼成後の配線基板の同一ポイント間の長さから、配線基板のX−Y方向の焼成収縮率を測定した。
また、得られた配線基板に対して、その断面を鏡面研磨し、中央の絶縁層(12b)の複数断面についてSEM写真を撮影し、画像解析によりボイドと絶縁層とを2値化することによりボイド面積率を算出し、その結果を表4に示した。また、上記画像解析により、各ボイドの面積を算出した上で、ボイドが全て円であると仮定した場合のその円の直径をボイド径としたときの、全ボイドの平均ボイド径を算出し、その結果を表4に示した。
さらに、内層である第1の絶縁層(第1のセラミックグリーンシートの焼成後の状態)および第2の絶縁層(第2のセラミックグリーンシートの焼成後の状態)のそれぞれの上下に、1mm×1mmの四角形の対向電極をそれぞれ22個配置したサンプルを作製し、高温高湿バイアス試験(85℃、85%RH、直流10V)を1000時間行い、試験後の絶縁抵抗を測定し、全ての測定箇所において絶縁抵抗が10Ω以上のものを合格とし、その結果を表4に示した。
なお、比較例として、第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度と配線層用導体ペーストの焼成収縮開始温度との差が100℃未満である配線基板(試料No.12〜14)および第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度と第2のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度との差が同じである配線基板を作製し、同様の評価を行い、その結果を表4に示した。
Figure 2010278117
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本発明の範囲内の試料No.1〜11では、配線基板のX−Y方向の焼成収縮率が5%以下と小さく、かつ絶縁層のボイド率、平均ボイド径を小さくできることがわかる。このことから、本発明の配線基板の製造方法を用いれば、絶縁性の長期信頼性に優れる配線基板を作製することができる。
これに対して、配線層用導体ペーストの焼成収縮開始温度が第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度より100℃以上低くなっていない本発明範囲外の試料No.12〜14では、絶縁層のボイド率および平均ボイド径が大きかった。
さらに、第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートとの焼成収縮開始温度が一致する本発明範囲外の試料No.15では、X−Y方向の焼成収縮が大きくなった。
11a、11b、11c、11d・・・第1のセラミックグリーンシート
12a、12b、12c・・・第2のセラミックグリーンシート
2・・・配線層用導体ペースト
3・・・貫通導体用導体ペースト
4・・・セラミックグリーンシート積層体

Claims (1)

  1. 第1のセラミックグリーンシートを作製する工程と、
    前記第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度よりも高い焼成収縮開始温度の第2のセラミックグリーンシートを作製する工程と、
    前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記第2のセラミックグリーンシートに貫通孔を形成して該貫通孔に銀または銅からなる金属粉末を主成分とする貫通導体用導体ペーストを充填するとともに、前記第1のセラミックグリーンシートおよび前記第2のセラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面に銀または銅からなる金属粉末を主成分とする配線層用導体ペーストを塗布する工程と、
    前記貫通孔に前記貫通導体用導体ペーストが充填された前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを複数積層して、層間に前記配線層用導体ペーストが設けられているセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、
    該セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを有する配線基板の製造方法であって、
    前記配線層用導体ペーストとして、焼成収縮開始温度が前記第1のセラミックグリーンシートの焼成収縮開始温度よりも100℃〜410℃低いものを用いることを特徴とする配線基板の製造方法。
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JP7309666B2 (ja) 2016-12-08 2023-07-18 株式会社村田製作所 多層セラミック基板及び電子装置

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