本書に記述される実施形態は、被覆層に電子ビームを照射して導電体を基板上に形成することを含む電気部品を製造する方法を含む。本書に記述される実施形態は、電子ビームを使用して基板上の被覆層に照射して被覆層を変換し被覆層の1つ以上の電気的性質を向上するシステムを含む。本書に記述される実施形態は、電子ビームからのエネルギーによって変換されて被覆層の電気的性質を向上して導電体を形成する被覆層を有する電気部品を含む。
本書に記述される実施形態は、上に回路を形成する導電体を有する回路基板の形態を有する電気部品を含むことができ、これらの導電体は、電子ビームによって処理される。他のタイプの電気部品を本書に記述されるシステム及び方法を使用して製造することができる。
本書に記述される実施形態は、非断熱性電子ビーム処理技術を使用することによって高品質導電体を達成できる。例えば、熱は、被覆層の内側で素早く(例えば、マイクロ秒以内)発生されることができ、それは、被覆層を変換して被覆層の性質を向上する。その熱は、被覆層の化合物又は材料の幾らか又は全てを溶融又は再溶融するために使用されることができる。他の実施形態では、電子ビームの電子は、被覆層の材料と反応して被覆層を導電性構造体へ変換することができる。被覆層の材料の幾つかは、処理中の電子ビームによって分離されることや気化されることで被覆層の組成を変換することができる。被覆層のために使用される材料は、電子ビーム処理と良好に機能するように選択することができる。
本書に記述される実施形態は、被覆層の電子ビーム処理中に除去されるペースト又はインク(被覆層を基板に塗布するために使用される)から実質的に全ての残留非金属(例えば、有機物)材料を有する被覆層及び導電体を提供することができる。後処理された導電体は、密度が高く孔の無い金属被覆である。被覆層は、従来のペースト(例えば、加熱炉で処理されるペースト)よりも低い、それどころかはるかに低い非金属材料(例えば、結合剤)の初期濃度を有することができる。被覆層は、従来のペースト(例えば、加熱炉で処理されるペースト)で作られる部品よりも低い、それどころかはるかに低い非金属材料(例えば、結合剤)の最終濃度を有することができる。
本書に記述される実施形態は、高品質導電体を達成するために制御パラメータを向上又は選択できる。電子ビームの塗布された被覆層と基板との相互作用が考察される。例えば、金属インク組成を含むパラメータの相互作用、印刷技術(例えば、マイクロディスペンシング、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、エアロゾルジェット印刷やその他の印刷)や、電子ビームレベルが考察されてバランスが取られる。
本書に記述される実施形態は、電気部品の耐用年数を通して安定的な電気機械性能を提供するのに必要な性質を有する導電体を生成する。例えば、導電体は、低く安定した電気接触抵抗と腐食ガス又は高温曝露のような環境劣化要因に対する良好な抵抗を有することができる。電子ビームは、正確に制御されて導電体の高い空間分解能を可能にする。導電体の仕上げは、電子ビームプロセスと被覆層の材料によって制御されて望ましい性質を達成することができる。例えば、導電体は、層組成、膜厚、粗さ、形態、構造等のような適切な被覆品質を有することができる。
図1は、電気部品100が処理されて基板104上に導電体102を形成することを示す。処理中に、被覆層106は、基板104の外表面108に塗布される。被覆層106は、照射源112から発生する電子ビーム110によって処理される。図1は、その処理の異なるステージすなわち異なる状態にある電気部品100を示す。例えば、状態120では、電気部品100の被覆層106は、前処理状態で示される。状態122では、電気部品100の被覆層106は、処理状態で示され、電子ビーム110が少なくとも部分的に被覆層106を透過する。被覆層106は、照射されて被覆層106の材料の1つ以上の性質を変換する。被覆層106は、電気部品100の回路のような導電構造体に変換されることができる。状態124で、電気部品100の被覆層106は、電子ビーム110からの照射後の後処理状態で示される。
一例示的実施形態では、基板104は、非金属基板である。例えば、基板104は、ベース材料として、プラスチック材料、FR−4材料、セラミック材料、ガラスエポキシ材料、箔、半導体、又は他のタイプの誘電体材料である。基板104は、回路基板又はアンテナ構造体を形成するために使用することができる。図2をさらに参照すると、図2は、電子ビーム110を使用して選択的に付着された被覆層106に照射して回路を画定する導電性トレースの形態の導電体102を形成して製造される電気部品100を画定する、一例示的実施形態に係る回路基板130を示す。任意ではあるが、被覆層106の異なる部分が、抵抗器131又は導電体102の1つ以上で抵抗器ネットワークを形成するためのように異なるように照射されることができる。抵抗器131は、導電体102を処理することや高抵抗を有する被覆層106を付着することによって形成することができる。抵抗器131は、照射中に、電子ビーム110のパラメータの変化によって導電体102パス又は回路に組み込まれてもよい。抵抗器の回路基板130への組み込み又は取り付けは必要ではない。
図1に戻って、前処理状態120で又はそれに先立って、被覆層106は、導電性又は金属インク又はペーストを外表面108へ印刷することによって塗布することができる。任意ではあるが、被覆層106が、外表面108へ直接に塗布されてもよい。或いは、1つ以上の層が、基板104と被覆層106との間に設けられてもよい。基板104は、被覆層106の外表面108への接着を向上するために、被覆層106を外表面108上へ印刷することに先立って、清掃、酸化物除去、化学的活性化が行われる。
一例示的実施形態では、被覆層106は、様々な形状及びサイズの金属粒子を含む。被覆層106は、印刷時の接着を促進するための結合剤や、金属粒子の凝集を防止するための界面活性剤を含むことができる(例えば、1乃至2重量%)。被覆層106は、印刷プロセス(単数又は複数)に必要な溶媒やその他の添加剤を含むことができる。任意ではあるが、回路層106は、例えば、1乃至10重量%のレベルの更なるフラックス添加剤(例えば、市販のろう付け用フラックス、ホウ砂、及び四ホウ酸カリウム)を含有してもよい。フラックスは、電子ビーム110による後処理中に被覆層106の濡れ挙動を調整するために追加することができる。一例示的実施形態では、被覆層106は、高い金属濃度(例えば、50重量%を超える)を有することができる。一例示的実施形態では、金属粒子は、100%銀粒子とすることができる。他の実施形態では、金属粒子は、100%銅粒子又はその他の高い導電性金属とすることができる。他の実施形態では、金、銅、ニッケル、錫、亜鉛、チタン、パラジウム、白金等や、それらの合金等のその他の種類の金属が使用されてもよい。被覆層106の材料は、金属に化学的に還元されることができる金属前駆体を含むことができる。例えば、塩化銀、塩化錫、硝酸銀等の金属塩、金属酸化物、及びその他の金属化合物を使用することができる。前駆体は、錫、亜鉛、銅、銀等の低融点を有する金属を含むことができる。金属又は合金の混合物を用いる場合、被覆層106に関して所望の特性すなわち性質を得るために電子ビーム処理中には金属間構造体を形成することができる。
一例示的実施形態では、被覆層106は、マイクロ粒子やナノ粒子の微小構造体である。任意ではあるが、被覆層106は、SnとAg粒子のような固体金属粒子と結合剤や、溶剤、フラックス混合物との混合粉末を含むことができる。金属粒子は、電子ビーム110で溶融されて材料が原子スケールで混合される溶液を発生する。任意ではあるが、被覆層106は、迅速に冷却されて素早くその溶液を固化して相分離と粒子成長を禁止する。良好な材料の混合を有し且つ素早い固化を有することによって、微細な材料の微小構造体をもたらす。任意ではあるが、異なるサイズと形状の金属粒子を使用してもよい。照射及び溶融プロセス中に金属粒子へ還元される前駆体(例えば、金属塩、金属酸化物)を使用することができる。任意ではあるが、基板104の材料と被覆層106の材料との間の相互拡散を減少するように、拡散障壁層を基板104と被覆層106との間に設けてもよい。
結合剤濃度は、金属粒子濃度に比較して、相対的に低くてよい(例えば、5重量%未満)。結合剤濃度は、従来の加熱炉の後処理用途で使用される従来のペーストに比較して相対的に低くてよい。結合剤濃度は、約25重量%と5重量%との間であってもよい。或いは、結合剤濃度は、非常に低くて良い(例えば、1重量%未満)。結合剤の例は、デキストリン、ポリビニルブチラール樹脂(例えば、Butvar)、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、を含むが、他の実施形態では、他のタイプの結合剤が使用されてもよい。結合剤は、糊や他の添加物を含み基板104への塗布を容易にするための被覆材料の粘度を変化させることができる。
被覆層106は、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、エアゾルジェット印刷、マイクロディスペンシング、スピンコーティング、ワイピング塗布等のような種々の異なる印刷技術の1つによって塗布されることができる。印刷以外の他の塗布技術が他の実施形態で使用されて被覆層106を基板104に塗布してもよい。例えば、被覆層106は、紛末コーティング、スプレー塗布、浸漬、液浸又は他のプロセスによって塗布されることができる。塗布技術は、所定の回路トレースパスに沿うように、被覆層106を基板104に選択的に塗布することができる。印刷技術は、標準化されたパターンが基板104上に印刷されることを可能とし、その印刷は、バッチ印刷塗布又は連続リール印刷塗布で行うことができる。印刷技術は、ペースト又はインクの最小構造体サイズ、塗布される層の厚み、被覆層材料の組成等に従って選択することができる。
図3をさらに参照すると、図3は、例示的実施形態に係る電気部品100に電子ビーム110を照射するために使用される電気部品形成システム140を示す。本システム140は、電子ビーム110を生成することができる電子ビームマイクロ溶接機であることができる。処理は、真空室142で実施される。照射源112の出力は、処理中に制御することができる。電子ビーム110のエネルギー密度は、処理中に制御することができる。電子の偏向速度は、処理中に制御することができる。最大加速電圧は、処理中に制御することができる。最大電子ビーム電流は、処理中に制御することができる。ターゲット上へのビームフォーカススポットサイズと深さは、処理中に制御することができる。電子ビーム110は、付着層の性質(例えば、層厚、層組成)及び被覆層106の材料の性質(例えば、密度、熱伝導性、化学組成)に基づいて制御することができる。被覆層106や基板104は、融点未満の温度まで加熱されて、材料同士を反応させることや層(単数又は複数)を焼結することによって、層(単数又は複数)の特性を変化させることができる。
システム140は、走査電子顕微鏡(SEM)に類似する、ワークピースの電子ビーム画像を生成するために使用することができる後方散乱電子及び二次電子検出器の両方を装備できる。画像は、コンピュータを使用して画面上で生で見ること、又は保存することができる。システム140は、電子ビーム110をプログラムして画定されたパスをサンプル上で走査する又は画定されたパターンに照射するように照射源112の機能を制御するソフトウェアを含むことができる。電子ビームパスは、掃引パス、走査パス、スパイラルパス、又は他の不規則なパスであり得る。ソフトウェアは、連続移動リールのような、電子ビーム110の照射されたサンプルとの同期移動を可能とすることができる。このように、連続再溶融プロセスが可能である。任意ではあるが、システム140は、高い熱容量を有しターゲットと良好な熱接触に配置される厚いアルミニウム板ヒートシンクのようなヒートシンクを含むことができる。
図4は、電子ビーム110の被覆層106との相互作用を示す。電子ビーム110は、被覆層106の内側に焦点を合せる。電子ビーム110は、少なくとも部分的に被覆層106を透過する。一例示的実施形態では、ビームフォーカススポット150は、基板104内よりもむしろ被覆層106内にある。基板104の照射又は加熱は、被覆層106上に焦点を合される電子ビーム110を有することによって制限される。電子ビーム110は、被覆層106の材料に照射して被覆層内に導電性を達成するために使用される。電子ビーム110の衝突電子が被覆層106の材料によって散乱されるので、電子の運動エネルギーは、熱エネルギーに変換される。散乱確率は、電子のエネルギー、被覆層106の照射材料の密度、ビームフォーカス深さに等に依存し得る。任意ではあるが、電子ビームの透過深さは、0.5μmと20μmとの間であり得る。一例示的実施形態では、散乱確率のエネルギー依存性の特徴は、発生熱密度の最大が材料の表面にはないが透過深さの約1/3にあることである。熱は、被覆層106の表面のみならず、その材料の内側でも発生される。電子の一部は、被覆層106から反射又は再射出される。そのような電子は、フィードバック制御システムを介して照射プロセスを制御するように、照射中に現場SEM画像を発生するために利用されることができる。
発生する熱の出力は、固定加速電圧のための電子電流に依存する。加速電圧とビーム電流の積は、ビームに出力を与える。その出力は、電子電流や加速電圧を制御することによって調整することができる。照射プロセスを制御するように調整されることができる他のパラメータは、被覆層106のスポットで又はその近くでの照射の存続期間である。被覆層106の印刷材料は、発生された熱が材料をその融点及びその材料の溶融の潜熱まで加熱するために必要な熱エネルギーを越えると、溶融する。基板104に対して、被覆層106に焦点が当てられる熱エネルギーを有することは、非常に迅速に熱を発生し、被覆層106の溶融を発生する。任意ではあるが、基板104は、照射後の被覆層106から熱を素早く放散して溶融膜の高冷却率を可能とするためのヒートシンクとして働くことができる。迅速な加熱率と冷却率は、被覆層106によって形成される導電体の性質に影響を及ぼし得る。例えば導電体の硬度は、基板104がペーストに加えて加熱される加熱炉における熱硬化の典型である、被覆層106のゆっくりした加熱と冷却に対して、迅速な加熱と冷却ではより高くなり得る。加えて、ペーストに加えて基板が加熱されるので、加熱炉ではペーストを加熱するためにより多くの熱エネルギーが必要である。任意ではあるが、熱を被覆層106において主に又はそれのみに発生することができるので、感熱性基板104の使用が可能である。被覆層106の迅速な加熱と冷却は、熱伝導による基板104の過熱を回避できる。
結合剤は、典型的には、被覆層106における金属粒子よりも低い桁の質量密度を有するので、被覆層106における結合剤の体積百分率は非常により高い。例えば、加熱炉で硬化される用途で使用される典型的な従来のペーストは、23重量%Butvar結合剤を有する90Ag/10Mo材料であり、それは、高い結合剤濃度であり、非常に高い結合剤濃度のボーダーラインである。そのような従来のペーストは、約75%の結合剤体積分率を有する。従来のペーストの高い結合剤濃度又は非常に高い結合剤濃度は、印刷構造体を基板上に確実に固定するために必要とされ、結合剤は、従来の加熱炉を使用する後熱処理で残る。
一例示的実施形態では、電子ビーム110での処理のために、被覆層106は、結合剤が照射のために電子ビーム110に対して基板104を転送するのに十分な長さ基板104へ接着される印刷被覆層106を保つために必要とされるに過ぎないので、そのように高い結合剤含有量を必要としない。例えば、結合剤含有量は、約1重量%であり、同様に体積百分率を大きく減少する。溶融後、被覆層106は、密になり、基板への良好な接着を有する。一例示的実施形態では、結合剤は、気化によって又は分解によって照射処理中に、被覆層106から実質的に全体的に除去されることが意図される。被覆層106において低濃度の結合剤を使用することによって、照射中に、結合剤のより迅速でより完全な気化又は除去が可能となる。高いペースト品質、高い印刷膜接着性、照射後の被覆層106の膜品質(例えば、照射後のカーボン残留物(炭化物)が低濃度)等のような性質を有する結合剤は、結合剤材料を選択する時に考慮される。結合剤の例は、デキストリン、ポリビニルブチラール樹脂(例えば、Butvar)、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))を含むが、他の実施形態では、他のタイプの結合剤が使用されてもよい。一例示的実施形態では、結合剤の全て又は実質的に全てが電子ビーム110によって照射され、少量のカーボン残留物が残り、それは掻き落し又は他の処理技術によって除去することができる。
処理中、電子ビーム110の作用は、被覆層106の材料のタイプに基づいて変化し得る。例えば、その動作は、純粋な金属材料の使用の場合と金属前駆体の使用の場合とで異なっている。一例示的実施形態では、純粋な金属成分の場合、被覆層106の後処理と照射は、金属粒子が焼結する又は金属成分の少なくとも一部が溶融相になり、被覆層106が均質な金属層に融解するようにエネルギー密度と露出時間を調整することによって制御することができる。幾つかの実施形態では、焼結と後続の溶融を有する二段プロセスが可能である。非金属成分(例えば、結合剤)は、分離されるか気化されて純粋な金属層を残す。一例示的実施形態では、金属前駆体の場合、被覆層106の後処理と照射は、被覆層106への入熱によって間接的に又は金属前駆体の電子ビーム110の電子との相互作用によって直接的に金属前駆体が化学的に金属に還元されるようにエネルギー密度と露出時間によって制御することができる。非金属成分(例えば、結合剤)は、分離されるか気化されて金属層を残す。被覆層106は、前駆体が電子ビーム110によって化学的に変更される時に、均質な金属層に変換することができる。
被覆層106の内側で電子ビーム110によって発生される熱エネルギーは、電子ビーム110のパラメータを調節することによって制御することができる。低熱エネルギーと長照射時間で、被覆層106は部分的に溶融されるに過ぎず、基板104へ接合しない。低熱エネルギーと長照射時間で、被覆層106の粒子は焼結することができるに過ぎず、完全には溶融されない。そのような状況では、被覆層106は、基板104に良好には接着せず、時間経過に従って機械的に容易に変位され得る。低熱エネルギーではあるが短い照射時間では、被覆層106の一部は、照射で材料を跳ね飛ばすこと等によって、電子ビームによって除去することができる。より高いエネルギーでは、大きな湿潤除去ドロップ(滴状部)と三次元アイランド(島状構造部)が残り、好ましくない。エネルギーが高すぎる場合のような更により高いエネルギーでは、基板104は、被覆層106に加えて溶融して、より貧弱な電気的インターフェースを提供する。電子ビーム110のエネルギーレベルは、基板104の良好な被覆を有しながら基板104への過剰な損傷無しに被覆層106の溶融を達成するために制御されるべきである。
使用中、被覆層106の粒子の吹き付け又はスパッタリングは、任意のエネルギーレベルで発生する可能性がある。金属粒子の吹き付けの効果は、幾つかの物理的効果によって説明される。即ち、a)運動量移行、b)静電効果、c)電気力学的効果、及びd)熱力学効果である。粒子の吹き付けを減少するために、過剰な電荷を接地へ「流出」させるために、粒子間の充填剤が少ないほど粒子間の導電路の数が多くなるため、非金属成分の量は減少又は最小化されることができる。粒子の吹き付けを減少するために、被覆層106は、実際の溶融前に、より低いビーム出力が要求されるように、予加熱されることができる。例えば、被覆層106は、例えば、加熱炉、電子ビームの使用、又はその他の方法によって、被覆層106の融点未満の温度に予加熱されることができる。照射プロセス中、被覆層106は、次に、被覆層106の融点より高い温度に更に加熱される。粒子の吹き付けを減少するために、粒子間の接触が機械的であるほど、より多くの導電路が形成される可能性があるだけでなく、粒子同士を相対的に移動させる力が大きくなるため、粒子の吹き付けの効果を減少するために、より粒径の大きな材料の被覆層106が使用されるか、不規則な(非球形の)形状の粒子が使用されることができる。粒子の吹き付けを減少するために、例えば基板104を介して、熱伝導によって間接的に被覆層106の材料を加熱するように、走査即ち照射パターンが選択されることができる。粒子の吹き付けを減少するために、被覆層106の材料組成は、導電性及び熱伝導率を増すように、高い金属粒子密度や低い孔隙率を有することができる。
電子ビーム110での照射中に基板104の帯電の可能性を回避するために、被覆層106は接地することができる。電子ビーム110での照射中に基板104の帯電の可能性を回避するために、電子ビーム110は、電子照射を増加するように低加速電圧で動作することができる。電子ビーム110の照射中に基板104の帯電の可能性を回避するために、光(例えば、UV又はレーザ)は、被覆層106の光導電性を増加するように使用することができる。電子ビーム110での照射中に基板104の帯電の可能性を回避するために、被覆層106は、増加された圧力(例えば、アルゴン分圧)で処理することができる。
一例示的実施形態では、電子ビーム110によって発生する熱エネルギーの量のような電子ビーム110の制御は、被覆層106に沿って変えることができる。例えば、電子ビーム110の作用を、被覆層106の一部に比較して、被覆層106の他の一部に沿って変化させることによって、被覆層106の特性を変化することができる。例えば、抵抗器は、電子ビーム110のパラメータの変化によって導電体パス又は導電体回路に組み込むことができる。次に、抵抗器の組み付け又は取り付けは必要ない。一例示的実施形態では、照射源112は、約2kWの電力で電子ビーム110を生成できるが、電子ビーム110は、他の実施形態では、それよりも多くても少なくてもよい。電子ビーム110は、約60kVの加速電圧を有することができるが、電子ビーム110は、他の実施形態では、それよりも多くても少なくてもよい。電子ビーム110は、約0.15mAと15mAとの間の電子ビーム電流を有することができるが、電子ビーム110は、他の実施形態では、約40mAのように、それよりも多くても少なくてもよい。被覆層106上のビーム焦点スポットサイズは、約100μmであることができるが、そのビーム焦点スポットサイズは、他の実施形態では、約30乃至50μmの間のように、それよりも大きくても小さくてもよい。電子ビーム110は、約12μs/スポットと1000μs/スポットとの間の照射時間期間を有することができるが、電子ビーム110は、他の実施形態では、それよりも多くても少なくてもよい。
図5は、回路基板、アンテナ等のような電気部品を製造する方法200を示す。この方法200は、外表面を有する絶縁基板を提供する工程202を含む。その基板は、回路基板製造に使用されるためのような、プラスチック、ガラス、セラミック等のような絶縁性ベースを含むことができる。
方法200は、被覆層を基板の外表面に塗布する工程204を含む。被覆層はペーストでもよいし、インクでもよい。被覆層は粉末でもよいし、他の形態を有していてもよい。被覆層は、基板上に回路トレース又は被覆のような高品質導電体を形成するために高濃度の金属粒子を含む。任意ではあるが、被覆層は、被覆層を基板に固定するために結合剤を含むことができる。結合剤濃度は、処理中に結合剤の実質的に全てを除去する意図があるので、低くて良い。被覆層は、後の工程で処理される金属酸化物又は金属塩のような前駆体を含むことができる。
被覆層は、被覆層を基板に印刷することによって塗布される(工程204)。例えば、被覆層は、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、エアロゾルジェット印刷することができる。覆層は、マイクロディスペンシング、スピンコーティング、ワイピング塗布、紛末コーティング、スプレー塗布、浸漬、液浸又は他のプロセスによって塗布することができる。被覆層は、基板の外表面に直接に塗布することができる。或いは、他の層が被覆層と外表面との間に設けられてもよい。
本方法200は、被覆層を電子ビームで処理する等の他の処理工程に先立って、被覆層を予加熱する工程206を含む。被覆層は、他の処理工程に先立って、被覆層の融点未満の温度まで予加熱されることができ、その温度は、被覆層の融点を越える温度まで増加することができる。
本方法200は、被覆層を電子ビームで処理する等の他の処理工程に先立って、被覆層を電気的に接地する工程208を含む。接地工程208は、電子ビームでの処理中に被覆層のスパッタリングを減少することができる。
本方法200は、導電体を基板に形成するために被覆層に電子ビームを照射する工程210を含む。電子ビームは、被覆層の深さの約1/3から2/3のような被覆層内にスポット集束され、それによって、材料の表面のみならず材料の内側も熱を発生することが可能となる。電子ビームでの照射は、被覆層を加熱して被覆層を溶融し導電体を形成することができる。任意ではあるが、金属前駆体が被覆層に使用される場合等では、金属前駆体は、照射中に電子ビームが電子と相互作用して被覆層を導電構造に変換できる。電子ビームは、金属前駆体を金属に化学的に還元して導電体を形成できる。
照射工程210は、被覆層の結合剤又は非金属材料の実質的に全てを気化して実質的に純粋な金属層を残して導電体を形成する。被覆層は、被覆層の非金属材料が完全に除去されるまで照射される。照射プロセスは、結合剤の厚み、組成、濃度等のような被覆層の性質に基づいて電子ビームの動作パラメータを制御する等によって制御することができる。任意ではあるが、被覆層の異なる部分は、抵抗器を導電体内に形成する等のために異なるように照射することができる。電気部品は構造化された電気部品でもよい。例えば、電気部品の層は、構造化的方法で印刷され、電子ビームを介して照射されて層の内の1つ以上に予め画定された性質を得ることができる。電気部品は、平坦な構造体を画定する方法で表面に積層又は印刷されることができる。電子ビームは、層化された構造体の全ての又は選択された部分に照射し、次に、過剰な積層材料や印刷材料を除去することができる。
被覆層106を電子ビーム110で処理する、本書に記述される方法及びシステムは、電子部品のための高品質導電体を達成する。プロセスは、湿式化学技法無しで且つ環境への影響を少なくして実施することができる。電気部品を製造するための金属の消費は、他の製造技術に比較して減少することができる。プロセスは、被覆層106の高選択性と正確な配置を達成する。被覆層106と電子部品は、素早く処理され、連続リールツーリールシステムの一部又はバッチシステムとして処理することができる。処理された被覆層106によって画定される導電体は、標準手順に比較して向上した性質を提供する。例えば、導体は、導電性が増加し、熱伝導性が増加し、より良好な耐腐食性を有し、硬度が増加する等である。
当然のことながら、上記の記述は一例であって、制限的なものではない。例えば、上述の実施形態(やその態様)は互いに組み合わせて使用されることができる。更に、本発明の範囲から逸脱することなくその教示に特定の状況又は材料を適応させるために、多くの変更がなされることができる。寸法、材料の種類、様々な部品の向き、及び本書に記述された様々な部品の個数及び位置は、特定の実施形態のパラメータを定義することを意図するものであり、決して限定するものではなく、例示的実施形態に過ぎない。本請求項の精神及び範囲内の多くの他の実施形態及び変形は、上記の記述を再検討することにより、当業者には明らかである。