JP2012104857A - 導電性基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に導電性薄膜を有する導電性基板の製造方法であって、該導電性基板は、該導電性薄膜の少なくとも最表面は金属微粒子が融着しており、該導電性薄膜の少なくとも基材と接する面は微粒子が粒子形状を維持しており、基材上に金属又は金属化合物の微粒子の分散液を印刷し、焼成することによって少なくとも最表面の金属微粒子を融着することを特徴とする、導電性基板の製造方法である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、この方法では導電性材料として金属微粒子を用いるために、粒子間の界面での電気抵抗が問題であり、金属箔なみの導電性を達成するためには、金属微粒子を数百度の温度で焼結させることが必要である。ところが、数百度の温度での焼結を必要とすると、金属微粒子を分散させた塗料を塗布する基材が制限され、例えば、歪点が600℃程度の通常のガラスやPET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックフィルムからなる基材を用いることは困難となる。
このような、金属が超微粒子化するとその金属の融点よりも格段に低い温度で焼結する性質を利用して、金属微粒子の平均粒子径を1〜100nmに制御した低温焼結型導電性金属ペーストが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1で提案される低温焼結型導電性金属ペーストは、該金属ペーストを構成する導電性媒体としての金属超微粒子に加えて、より粒子径の大きな金属フィラーを用いたものであり、基板上に塗布、焼成した際、密着力が高く、比較的厚さを増した際にも、表面形状がなめらかで、また、低抵抗かつ微細な回路を形成できるとされている。
しかしながら、特許文献1で提案される低温焼結型導電性金属ペーストを用いた場合であっても、焼成処理を通常180〜230℃の温度で60分程度は行っており、必ずしも基材への損傷を完全に抑制することはできず、また、導電性についても必ずしも満足できるものではなかった。
しかしながら、金属微粒子が焼結するに際して収縮が起きるが、基材が薄いフィルムである場合などは、基材がカールしたり、変形する場合があり、その場合に、その部分から密着層に割れが生じ、密着が低下する場合があった。
さらに、このような基材と金属層との密着性を付与するための密着層を設けるのは、密着層を形成するための塗布又は印刷のプロセスが必要であり、煩雑であるとともに、製造コストが増大するという問題点があった。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に導電性薄膜を有する導電性基板の製造方法であって、該導電性基板は、該導電性薄膜の少なくとも最表面は金属微粒子が融着しており、該導電性薄膜の少なくとも基材と接する面は微粒子が粒子形状を維持しており、基材上に金属又は金属化合物の微粒子の分散液を印刷し、焼成することによって少なくとも最表面の金属微粒子を融着することを特徴とする、導電性基板の製造方法、
(2)前記焼成の工程は、還元性気体を含む気体のプラズマに晒すことによって行う上記(1)に記載の導電性基板の製造方法、
を提供するものである。
本発明において用いる基材としては、導電性基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料、紙などを用いることもできる。本発明においては、基材に直接、金属微粒子分散液を印刷するので、従来のフォトレジスト等による方法では使用できなかった紙基材を用いることもできる。また、本発明では後に詳述するように、金属又は金属化合物の微粒子が低温で焼結されて導電性薄膜が形成されるため、基材に損傷を与えることがなく、高歪点ガラスなど耐熱性の高い特殊なガラスを使わなくてもよく、耐熱性の低い通常のソーダライムガラス等であっても使用することができる。さらには、プラスチックなどの高分子材料も基材とすることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
基材の厚さについては特に制限はないが、通常10〜300μmの範囲である。10μm以上であると、導電性薄膜を形成するに際して、基材が変形することがなく、印刷配線の形状安定性の点で好適である。一方、300μm以下であると連続の巻き取り加工を行う場合に、柔軟性の点で好適である。
密着性が確保されるメカニズムについては、必ずしも明らかとはなっていないが、微粒子を保護する有機物や酸化物により付与されるものと考えられる。すなわち、後に詳述するような微粒子を保護する有機物が基材との密着付与剤として機能したり、微粒子表面の酸化物が、同じ酸化物であるガラス等のセラミックスなどとの密着性を付与することが要因と考えられる。なお、ここで微粒子表面の酸化物は、金属微粒子の表面が酸化を受けることにより生じたり、あるいは微粒子として金属酸化物微粒子を用いる場合には、焼成過程で還元されずに残存しているものと考えられる。
なお、本明細書において、金属微粒子とは金属状態の微粒子をいい、単に微粒子という場合には、金属の微粒子又は金属化合物の微粒子を意味する。
また、本明細書において、微粒子の融着とは、微粒子どうしが焼結、溶融などにより連続の膜を形成している状態のことをいう。全面が金属箔状になっていてもよいし、一部が結合している形状でもよい。
一方、例えば、材料や焼結温度によっては、加熱により微粒子表面から保護層や酸化物層が除去されると、微粒子は溶融せずに粗大粒子に粒成長し、その上で焼結することがある。このような構造の場合、微粒子表面の有機物や酸化物が少なかったり、微粒子の表面積が相対的に小さくなるために、密着性が悪くなることがある。
一方、融着層の平均厚さは、導電性薄膜の平均厚さに対して3/4以下であることが好ましい。3/4以下であると、後述する微粒子層が十分な厚さで得られ、導電性薄膜と基材との十分な密着性が得られる。以上の点から、融着層の平均厚さは、導電性薄膜の平均厚さに対して2/3以下であることがさらに好ましい。
すなわち、融着層の平均厚さは、導電性薄膜の平均厚さに対して1/15〜3/4の範囲であることが好ましく、1/10〜2/3の範囲であることがさらに好ましい。
一方、微粒子層の平均厚さは、導電性薄膜の平均厚さに対して14/15以下であることが好ましい。14/15以下であると、上記した融着層が十分な厚さのものとして得られ、導電性が確保される。以上の点から、微粒子層の平均厚さは、導電性薄膜の平均厚さに対して9/10以下であることがさらに好ましい。
すなわち、微粒子層の平均厚さは、導電性薄膜の平均厚さに対して1/4〜14/15の範囲であることが好ましく、1/3〜9/10の範囲であることがさらに好ましい。
得られた微粒子は、分散液とするために、微粒子にポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子やグラフト共重合高分子のような保護剤、界面活性剤、金属と相互作用するようなチオール基やアミノ基、水酸基、カルボキシル基を有する化合物で被覆することが好ましい。また、合成法によっては、原料の熱分解物や金属酸化物が粒子表面を保護し、分散性に寄与する場合もある。熱分解法や化学還元法などの湿式法で作製した場合は、還元剤などがそのまま微粒子の保護剤として作用することがある。
また、分散液の分散安定性を高めるために、微粒子の表面処理を行ったり、高分子、イオン性化合物、界面活性剤等からなる分散剤を添加してもよい。
また、本発明では、基材上に微粒子分散液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いた手法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアの他、メタノール、エタノール等のアルコール蒸気等が挙げられる。使用の簡便性の点で水素が好ましく用いられる。還元性気体を含む気体のプラズマ処理には、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、窒素ガス等のガスとの混合気体を用いたプラズマも包含される。
プラズマ処理は微粒子分散液の内部にまで熱を付与しないため、基材へのダメージを抑制することができ、樹脂フィルム等の耐熱性の低い基材を用いることを可能とする。また、プラズマ処理の条件を制御することで、より具体的には、短時間のプラズマ照射を行うことにより、微粒子分散液を印刷した印刷層の最表面近傍に存在する微粒子のみを焼結させることができ、上述のような、最表面は金属微粒子が融着した状態であり、基材と接する面は微粒子の粒子形状が維持された導電性薄膜を効果的に形成することができる。
また、還元性気体を含む気体のプラズマ処理を用いることで、酸化しやすい銅であっても焼結することができ、また酸化銅を還元しつつ焼結させることができる。
プラズマの生起は、高周波電力を電極に印加し、電力量を100〜5000Wとして、所望のプラズマ密度を得る。プラズマ雰囲気中は、プラズマによる温度上昇もあるが、通常、20〜300℃の範囲、好ましくは20〜200℃の範囲に制御する。プラズマ処理の時間に関しては、プラズマ密度、雰囲気温度等との関係で、本発明の効果を奏する範囲で適宜決定されるものであるが、通常、10秒〜3分の範囲であり、30秒〜2分の範囲がより好ましい。
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた導電性基板について、以下の方法によって評価した。
1.基材の損傷
焼成後の基材の損傷を目視にて観察した。
2.表面抵抗
表面抵抗計(ダイアインスツルメンツ社製「ロレスタGP」)を用いて、4探針法にて測定した。
3.密着性
導電性基板の導電性薄膜側表面を、1ミリ間隔の縦横10区分の碁盤目状にカッターで切り、粘着性テープ(ニチバン(株)社製「セロテープ(登録商標)No.405(商品名)」幅24mm)を貼った後に剥がし、何枚の枡目が剥がれず残っているかを数えることで評価した。
4.走査型電子顕微鏡観察
(株)日立ハイテクノロジー製の走査型電子顕微鏡「S−4500」を用い、加速電圧1〜5kVで観察した。
銅微粒子の水分散液(住友金属鉱山(株)製、平均一次粒子径40nm)を、固形分30質量%に調整し、ガラス基材(コーニング社製「1737」)にスピンコート法を用いて塗布した後、120℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥膜厚は、約0.7μmであった。基板表面の表面抵抗を上記方法により測定したところ、導電性はなかった。また、基板の表面及び基板を破断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。それぞれのSEM像を図1(a)及び(b)に示す。図1(a)から明らかなように、粒径が約40nmの微粒子が密に並んでいる様子が観察された。また、図1(b)より、有機物が微粒子を覆った部分も観察された。
続いて、高周波プラズマによる処理を行った。13.56MHzの高周波電源と、真空チャンバー内に平板電極型プラズマ発生部を備える装置により行った。銅微粒子を塗布した基板を、真空チャンバー内に設置して、約1×10-3Paまで減圧し、約30Paとなるまで、水素ガスを流量100mL/minで供給し、該圧力を維持したまま高周波電力を印加して90秒間の処理を行った後、基板を取り出した。
基板の表面抵抗を上記方法により測定したところ、0.37Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。続いて、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかった。
また、基板の表面及び基板を破断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。それぞれのSEM像を図2(a)及び(b)に示す。図2から明らかなように、導電性薄膜の表面においては、微粒子どうしが溶融・焼結して融着し、導電性薄膜の内部及び基材と接する部分に微粒子が残存する構造が確認された。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.52μm、融着層の厚さは0.11μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/4.7)、及び微粒子層の厚さは0.41μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=7.8/10)であった。
実施例1と同じ銅微粒子分散液を、固形分30質量%に調整し、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン製「カプトン200H」)にバーコーターによって塗布した後、120℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥膜厚は約1.0μmであった。
続いて、実施例1と同様の条件で高周波プラズマによる処理を実施した後、基板を取り出した。基板の表面抵抗は0.45Ω/□であった。また、ポリイミドフィルムに対する損傷などは確認されなかった。続いて、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、実施例1と同様に、微粒子どうしが溶融・焼結して融着した構造が観察された。また、基板をミクロトームにより切断し、断面を観察したところ、内部及び基材と接する部分には微粒子が残存し、表面のみ融着している構造が観測された。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.73μm、融着層の厚さは0.17μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/4.3)、及び微粒子層の厚さは0.56μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=7.7/10)であった。
実施例2と同様にして、基材に微粒子分散液を塗布し、乾燥した後、大気圧プラズマによる処理を行った。平板電極の一方に誘電体を配置し、13.56MHzの高周波電源を印加することにより、誘電体バリア放電によって大気圧下、電極間にプラズマを発生させ、電極間に基板を挿入し、移動させることによって処理を行った。キャリアガスとして、水素ガスを10%含むアルゴンガスを流量4L/minで流し、基板は20mm/minのスピードで移動させた。その後、基板を取り出した。基板の表面抵抗は16Ω/□と、実施例2に比べて高抵抗であるものの、真空チャンバーへの導入や減圧などの煩雑な工程を経ることなく、導電性を発現させることができた。また、ポリイミドフィルムに対する損傷などは確認されなかった。また、上記方法にて密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかった。さらに、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、微粒子どうしが溶融・焼結して融着した構造が観察された。また、基板をミクロトームにより切断し、断面を観察したところ、内部及び基材と接する部分には微粒子が残存し、表面のみ融着している構造が観測された。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.85μm、融着層の厚さは0.15μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/5.7)、及び微粒子層の厚さは0.70μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=8.2/10)であった。
銅微粒子のトルエン分散液(商品名:Cuメタルインク、アルバックマテリアル(株)製、平均一次粒子径5nm)を、固形分30質量%に調整し、ガラス基材(コーニング社製「1737」)にスピンコート法を用いて塗布した後、120℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥膜厚は、約1.0μmであった。基板表面の表面抵抗を上記方法により測定したところ、導電性はなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、粒径が約5nmの微粒子が密に並んでいる様子が観察された。
続いて、実施例1と同様にして高周波プラズマによる処理を行った後、基板を取り出した。
基板の表面抵抗を上記方法により測定したところ、0.5Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。続いて、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかった。また、基板の表面及び基板を破断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。それぞれのSEM像を図3(a)及び(b)に示す。図3から明らかなように、導電性薄膜の表面においては、微粒子どうしが溶融・焼結して融着し、導電性薄膜の内部及び基材と接する部分に微粒子が残存する構造が確認された。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.88μm、融着層の厚さは0.06μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/14.7)、及び微粒子層の厚さは0.82μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=9.3/10)であった。
銅微粒子のトルエン分散液(商品名:Cuメタルインク、アルバックマテリアル(株)製、平均一次粒子径5nm)を、固形分30質量%に調整し、ガラス基材(コーニング社製「1737」)にバーコート法を用いて塗布した後、120℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥膜厚は、約0.5μmであった。基板表面の表面抵抗を上記方法により測定したところ、導電性はなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、粒径が約5nmの微粒子が密に並んでいる様子が観察された。
続いて、照射時間を120秒としたこと以外は実施例1と同様に、高周波プラズマによる処理を行った後、基板を取り出した。
基板の表面抵抗を上記方法により測定したところ、0.21Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。続いて、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、微粒子どうしが溶融・焼結して融着した構造が確認され、基板を破断し、断面を観察したところ、内部及び基材と接する部分に微粒子が残存し、表面のみ融着した構造が観測された(図4参照)。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.37μm、融着層の厚さは0.20μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/1.9)、及び微粒子層の厚さは0.17μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=4.6/10)であった。
酸化銅微粒子のアルコール分散液(シーアイ化成製、平均一次粒子径40nm)を、固形分15質量%に調整し、ガラス基材(コーニング社製「1737」)にスピンコート法を用いて塗布した後、120℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥膜厚は、約0.34μmであった。基板表面の表面抵抗を上記方法により測定したところ、導電性はなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、粒径が約40nmの微粒子が密に並んでいる様子が観察された。
続いて、実施例1と同様にして高周波プラズマによる処理を行った後、基板を取り出した。
基板の表面抵抗を上記方法により測定したところ、0.62Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。次に、基板表面にセロハンテープを貼り付けて剥離したが、塗膜の剥離、破壊等は起こらなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、微粒子どうしが溶融・焼結して融着した構造が確認され、基板を破断し、断面を観察したところ、内部及び基材と接する部分に微粒子が残存し、表面のみ融着した構造が観測された。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.17μm、融着層の厚さは0.09μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/1.9)、及び微粒子層の厚さは0.08μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=4.7/10)であった。
銀微粒子のアルコール系分散液(商品名:AG−IJ−G−100−S1、キャボット製、平均一次粒子径40nm)を、固形分20質量%に調整し、ガラス基材(コーニング社製「1737」)にスピンコート法を用いて塗布した後、120℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥膜厚は、1.0μmであった。基板表面の表面抵抗を上記方法により測定したところ、導電性はなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、粒径が約40nmの微粒子が密に並んでいる様子が観察された。
続いて、実施例1と同様にして高周波プラズマによる処理を行った後、基板を取り出した。
基板の表面抵抗を上記方法により測定したところ、0.12Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。続いて、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかった。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、微粒子どうしが溶融・焼結して融着した構造が確認され、基板を破断し、断面を観察したところ、内部及び基材と接する部分に微粒子が残存し、表面のみ融着した構造が観測された。焼成後の導電性薄膜の厚さは0.87μm、融着層の厚さは0.21μm(融着層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=1/4.1)、及び微粒子層の厚さは0.66μm(微粒子層の厚さ/導電性薄膜の厚さ=7.6/10)であった。
実施例2と同様にして、基材に微粒子分散液を塗布し、乾燥した後、焼成炉により焼成することによって、塗膜全体を加熱して焼結させた。焼成炉はいったん減圧し、その後水素10%を含むアルゴンガスを2mL/minの流量で供給しながら、昇温速度10℃/minで300℃まで昇温し、5分間保持して、約30分で室温まで冷却し、その後基板を取り出した。基板の表面抵抗を測定したが、導電性は発現しなかった。また、ポリイミドフィルムに対する損傷などは確認されなかった。この基板に対して、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対しいずれの部分の剥離も確認されなかったが、基板表面を碁盤目状にカッターで傷をつけた際に細かな割れが生じ、そこから発生した金属粉がセロハンテープに貼りついた。焼成後の塗膜を走査型電子顕微鏡により観察したところ、表面及び断面に微粒子が残存していることが確認された。また、焼成後の導電性薄膜の厚さは0.77μmであった。
実施例2と比較して、基材と接する部分に微粒子が残存しているために密着性は良好であったが、表面にも微粒子が残存している構造であったために、表面抵抗が高かったと考えられる。
焼成炉での焼成条件を以下のようにしたこと以外は、比較例1と同様にして基板を作製した。焼成炉をいったん減圧し、その後水素10%を含むアルゴンガスを2mL/minの流量で供給しながら、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、30分間保持して、約30分で室温まで冷却し、その後基板を取り出した。
ポリイミドフィルムに対する損傷などは確認されなかったが、基材フィルムが強くカールして微粒子塗膜に若干の傷が入っていた。基板の表面抵抗は1.7Ω/□であった。この基板に対して、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対し25箇所の剥離が確認された(75/100)。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、導電性が発現しているにもかかわらず、表面に微粒子が残存している構造であった。また、焼成後の導電性薄膜の厚さは0.50μmであった。
実施例2と比較して、基材と接する部分に微粒子が残存していたが、加熱炉により基材表面及び基材近傍の微粒子が加熱されたことにより、基材の熱収縮や基材近傍の微粒子から密着付与成分に何らかの影響があったために、密着性が低下したものと考えられる。また、表面にも微粒子が残存している構造であったために、表面抵抗が高かったと考えられる。
高周波プラズマによる処理時間を5分間としたこと以外は実施例2と同様にして、基板を作製した。基板の表面抵抗は0.35Ω/□であった。また、ポリイミドフィルムに対して変形が起こっており、基材フィルムのカールも起きていた。微粒子塗膜焼結膜表面に細かな割れも生じていた。
この基板について、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対し、70箇所の剥離が確認された(30/100)。また、基板表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、微粒子どうしが溶融・焼結して融着した構造が観察された。また、基板をミクロトームにより切断し、断面を観察したところ、深部も融着して、基板面から微粒子の焼結した層が部分的に剥離している様子が観察された。また、焼成後の導電性薄膜の平均厚さは0.49μmであった。
実施例4における高周波プラズマによる焼成に代えて、焼成炉での焼成を行ったこと以外は実施例4と同様にして、基板を作製した。焼成炉での焼成方法としては、焼成炉をいったん減圧し、その後水素10%を含むアルゴンガスを2mL/minの流量で供給しながら、昇温速度10℃/minで300℃まで昇温し、30分間保持して、約30分で室温まで冷却し、その後基板を取り出した。
基板の表面抵抗は0.52Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。この基板に対して、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対し、全ての部分で剥離が確認された(0/100)。また、塗膜の剥離、焼成後の塗膜を走査型電子顕微鏡により観察したところ、表面及び断面で、元の粒径5nmと比較して大きく粒成長し(約100nm)、焼結していることが確認された(図5参照)。また、焼成後の導電性薄膜の平均厚さは0.91μmであった。
実施例4と比較して、基材と接する部分に微粒子が残存していたが、加熱炉により基材表面及び基材近傍の微粒子が加熱されたことにより、金属微粒子表面の有機物や酸化物が少なくなったり、金属微粒子の表面積が相対的に小さくなったために、密着性が低下したと考えられる。
実施例5において、高周波プラズマによる処理時間を10分間としたこと以外は実施例5と同様にして、基板を作製した。基板の表面抵抗は0.14Ω/□であった。また、基材に損傷などは確認されなかった。この基板に対して、上記方法により密着性を評価したところ、100個のマス目に対し、全ての部分で剥離が確認された(0/100)。また、塗膜の剥離、焼成後の塗膜を走査型電子顕微鏡により観察したところ、表面及び断面が溶融・焼結して融着していることが確認された(図6参照)。また、焼成後の導電性薄膜の平均厚さは0.22μmであった。
実施例4と比較して、基材と接する部分に微粒子が残存していないために、密着性が低下したものと考えられる。
Claims (2)
- 基材上に導電性薄膜を有する導電性基板の製造方法であって、該導電性基板は、該導電性薄膜の少なくとも最表面は金属微粒子が融着しており、該導電性薄膜の少なくとも基材と接する面は微粒子が粒子形状を維持しており、基材上に金属又は金属化合物の微粒子の分散液を印刷し、焼成することによって少なくとも最表面の金属微粒子を融着することを特徴とする、導電性基板の製造方法。
- 前記焼成の工程は、還元性気体を含む気体のプラズマに晒すことによって行う請求項1に記載の導電性基板の製造方法。
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