^ 細 書
技術分野
本発明は、 実装された I Cチップに対して非接触でデータの読み書きを行うこ とを特徴とする R F I D (Radio Frequency Identification) システムのアンテナ の構造に関し、 特に、 金属に近接して使用することができるリーダ/ライタ用ァ ンテナの構造に関する。 背景技術
近年、 I Cチップを備えたトランスボンダとリーダノライタ (又はリーダ) と の間でデータの交信を行う R F I Dシステムが普及している。 この R F I Dシス テムは、 トランスボンダ及びリーダ Zライタの各々に備えたアンテナを用いてデ ータの交信を行うため、 トランスボンダをリーダ Zライタから数 c m乃至数十 c m離しても通信可能であり、 また、 汚れや静電気等に強いという長所から、 工場 の生産管理、 物流の管理、 入退室管理等の様々な分野に利用されるようになって きている。
この R F I Dシステムのリーダ/ライタ及びトランスボンダに用いるアンテナ として、 安価で優れた性能を有することから、 従来は空芯のコイルが用いられて いた。 この空芯コイルのアンテナとしては、 例えば、 絶縁層で被覆された導線を 渦巻き状に卷回してベース板に貼り付けて形成したものや、 ベース板に堆積した アルミニゥム箔ゃ銅箔等の金属箔をェツチングにより除去して形成したもの等が 知られている (特開平 4一 3 2 1 1 9 0号公報等)。
し力 しながら、 上述した空芯コイルのアンテナでは、 磁束がベース板を貫通す る方向に生じるため、 アンテナコイルを金属製の物品に密着させた場合、 磁束が ベース板を貫通して金属製の物品に到達し、これにより金属内に渦電流が発生し、 アンテナコイルとコンデンサとで形成される共振回路の共振周波数が変化したり、 損失が増加してしまうという問題がある。
特に、 リーダ Zライタの場合はトランスボンダと異なり、 リーダ/ライタを駆 動する回路や制御回路、 電源等の多くの電子回路が必要であり、 これらの電子回 路ゃ該回路の保持部材には金属材料が多く含まれるため、 リ一.ダ /ライタ用アン テナはこれらの金属材料の影響を受けて共振周波数の変化や損失の増加が大きく なりやすい。 このため、 従来のリーダ ライタでは、 アンテナと電子回路とを別 のケースに収め、 その間をケーブルで接続するといつた構造が用いている。
しかしながら、 このような構造では、 装置を持ち運ぶ度に電子回路のケースと アンテナのケースとを分断し、 使用の度にケーブルで接続しなければならず、 使 用上不便である。 また、 持ち運ぶ場合には、 ケースを鉄やアルミニウム、 マグネ シゥム等の金属製とし、 小型で強固なものとすることが望ましいが、 空芯コイル のアンテナをケースに接して配置すると、 共振周波数の変化や損失の増加は著し いものとなる。 また、 ケースがプラスチック製であっても、 アルミニウム等の蒸 着膜がある場合や、 充填材または塗装層にアルミフレーク等の金属が含まれる場 合にはコイルの損失が著しくなつてしまう場合がある。 発明の開示
本発明は、 上記問題点に鑑みてなされたものであって、 その主たる目的は、 金 属ケース等の導電性物品に接して設置される場合であっても共振周波数の変化や 損失の増加を抑制することができる R F I D用アンテナ、 特にリーダ /ライタ用 アンテナを提供することにある。
上記目的を達成するため、 本発明のリーダ ライタ用アンテナは、 非接触でデ ータの通信を行う R F I Dシステムにおけるリーダ/ライタ用アンテナであって、 1ターン以上のループで構成されるアンテナコイルの物品設置面側に、 平板状の 軟磁性材を設けたものである。
また、 本発明のリーダ Zライタ用アンテナは、 非接触でデータの通信を行う R F I Dシステムにおけるリーダ Zライタ用アンテナであって、 平面内で渦巻き状 に卷回して構成されるアンテナコイルの物品設置面側に、 平板状の軟磁性材を設 けたものである。
本発明においては、前記アンテナコイルのアンテナ面に直交する方向から見て、
前記軟磁性材が前記アンテナコイルの一部と相重なるように形成され、 前記アン テナコイルにより生じる磁束が、 該アンテナコイルの中心軸に対して非対称に形 成される構成とすることができる。
また、 本発明のリーダ/ライタ用アンテナは、 非接触でデータの通信を行う R F I Dシステムにおけるリーダ Zライタ用アンテナであって、 軟磁性材からなる 平板状の磁芯に、 該平板の表裏面を卷回するようにアンテナコイルを形成したも のである。
また、 本発明のリーダ Zライタ用アンテナは、 非接触でデータの通信を行う R F I Dシステムにおけるリーダ/ライタ用アンテナであって、 軟磁性材からなる 円柱状の磁芯に、 該円柱の円周面を卷回するようにアンテナコイルを形成したも のである。
本発明においては、 前記軟磁性材又は前記平板状の磁芯の厚さが、 1 0 mm以 下に設定され、 又は、 前記アンテナコイルの面積を S、 前記アンテナコイルの周 長を L、 前記軟磁性材の透磁率を μとしたとき、 前記軟磁性材又は前記平板状の 磁芯の厚さ tが、 S / L > t > S / ( L X μ ) の関係を満たすことが好ましい。 また、 本発明においては、 前記軟磁性材が、 金属粉、 前記金属粉を扁平化した フレーク又はフェライ トの粒のいずれかと有機物との複合材よりなる構成とする ことができ、 前記金属粉が、 カーボニル鉄粉、 還元鉄粉、 アトマイズ粉、 又はァ モルファス粉のいずれかからなり、 前記金属粉又は前記フレークが、 水アトマイ ズされた鉄基合金又は水ァトマイズされた鉄基合金粉末を機械的に扁平化したフ レークであり、 前記複合材が、 射出成形材、 圧縮成形材、 圧延材又は塗料の塗布 材のいずれかであることが好ましい。
また、 本発明においては、 前記軟磁性材が、 アモルファス合金、 パーマロイ、 電磁鋼、 珪素鉄、 センダスト合金、 F e— A 1合金又は軟磁性フェライ トのいず れかである構成、 又は、 アモルファス箔又はアモルファス箔の積層材からなる構 成とすることもできる。
また、 本発明においては、 前記軟磁性材と前記物品との間に、 非磁性で固有抵 抗が略 1 0 X 1 0— 8 Ω πι以下、 好ましくは略 3 X 1 0— 8 Ω πι以下の導電材が 配設されている構成、 又は、 非磁性で長さ 1 c m、 幅 1 (:111の抵抗が略0 . 0 1
5 Ω以下、 好ましくは略 0 . 0 0 5 Ω以下の導電材が配設されている構成とする ことができる。
また、 本発明のリーダ/ライタは、 上記リーダ/ライタ用アンテナを、 非磁性 で固有抵抗が略 1 0 X 1 0— 8 Ω ηι以下の材料で形成したケース上に接して配置 したものであり、 前記ケースが、 非磁性で長さ 1 c m、 幅 1 。111の抵抗が略0 . 0 1 5 Ω以下、 好ましくは略 0 . 0 0 5 Ω以下の導電材よりなる構成とすること ができる。
このように、 本発明では、 R F I D用アンテナ、 特にリーダ/ライタ用アンテ ナのアンテナコイルと金属ケース等の導電性物品との間に 金属の粒状粉体また はフレーク、 フェライ トの粒状粉体と有機物の複合材、 フェライ ト等、 ァモルフ ァス箔またはアモルファス箔の積層材からなる軟磁性材を介在させることにより、 アンテナコイルで発生する磁束を軟磁性材に通し、 金属内で発生する渦電流によ る共振周波数の変化や損失の増加を抑制することができる。 特に、 フレークの配 向方向を制御して形成した 合材を用いることにより、 軟磁性材の厚みを薄くす ることができ、 アンテナコイルをケース表面等の金属の平板上に設置することが 可能となる。 - - また、 軟磁性材と金属面との間に所定の電気抵抗の導電材を揷入することによ り、 アンテナを設置する導電性物品の材料の差異によるィンダクタンスゃ損失の 変化を抑制することができ、 どのような場所にアンテナコイルを設置する場合で あっても、 常に安定したアンテナ性能を得ることができる。
更に、 リーダ/ライタの電子回路から種々の電波が漏洩しており、 この漏洩電 波がアンテナに入るとハウリング等の障害が発生するが、 アンテナとケースの間 に導電材を挿入し、 又はケースを金属製とすることにより、 電子回路からの漏洩 電波を遮蔽することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の R F I Dシステムの構成を示す図である。
図 2 Aおよび図 2 Bは、 本発明の第 1の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテ ナの構造を示す図であり、 軟磁性材のみを介在させた例を示す図である。
図 3 Aおよび図 3 Bは、 本発明の第 1の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテ ナの構造を示す図であり、 軟磁性材及び導電材を介在させた例を示す図である。 図 4Aおよび図 4 Bは、 本発明のリーダ/ライタ用アンテナに適用する軟磁性 材の構造を模式的に示す断面図である。
図 5 A〜図 5 D は、 本発明の第 1の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテナの 他の構造を示す図である。 ·
図 6 Aおよび図 6 Bは、 本発明の第 1の実施例に係るリーダ/ライタ用アンテ ナの設置位置を示す図である。
図 7Aおよび図 7 Bは、 本発明の第 2の実施例に係るリーダ/ライタ用アンテ ナの構造を示す図であり、軟磁性材及びスペ一サを介在させた例を示す図である。 図 8 Aおよび図 8 Bは、 本発明の第 2の実施例に係るリーダ/ライタ用アンテ ナの構造を示す図であり、 軟磁性材、 スぺーサ及び導電材を介在させた例を示す 図である。
図 9 Aおよび図 9 Bは、 本発明の第 3の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテ ナの構造を示す図であり、 軟磁性材の周りにアンテナコイルを巻回した例を示す 図である。
図 1 OAおよび図 1 0 Bは、 本発明の第 3の実施例に係るリーダ Zライタ用ァ ンテナの構造を示す図であり、 軟磁性材の周りにアンテナコイルを卷回し、 その 下面に導電材を介在させた例を示す図である。
図 1 1 Aおよぴ図 1 1 Bは、 本発明の第 3の実施例に係るリーダ Zライタ用ァ ンテナの設置位置を示す図である。
図 1 2Aおよび図 1 2 Bは、 本発明の第 4の実施例に係るリーダ/ライタ用ァ ンテナの構造を示す図であり、 円柱状の軟磁性材にアンテナコイルを巻回した例 を示す図である。
図 1 3 Aおよび図 1 3 Bは、 本発明の第 4の実施例に係るリーダ ライタ用ァ ンテナの構造を示す図であり、 円柱状の軟磁性材下面に平板状の軟磁性材を介在 させた構造を示す図である。
図 1 4 Aおよび図 1 4 Bは、 本発明の第 4の実施例に係るリーダ/ライタ用ァ 構造を示す図であり、 円柱状の軟磁性材下面に平板状の軟磁性材及び導
電材を介在させた例を示す図である。
図 1 5 Aおよび図 1 5 Bは、 従来の構造と軟磁性材を挾む本発明の構造におけ る磁束の状態を示す図である。
図 1 6 Aおよび図 1 6 Bは、 従来のリーダ Zライタ用アンテナの構造を示す図 で ¾>る。 発明を実施するための最良の形態
本発明に係る R F I D用リーダ/ライタアンテナは、 その好ましい一実施の形 態において、 1ターン以上のループで構成されるアンテナコイルと、 アンテナコ ィルを設置する金属ケース等の導電性物品との間に、 金属の粒状粉体またはフレ ーク、 フェライ トの粒状粉体と有機物の複合材、 フヱライ ト等、 アモルファス箔 またはアモルファス箔の積層材からなる、 略 1 O mm以下の厚さの軟磁性材ゃ、 固有抵抗が略 1 0 X 1 0— 8 Ω m以下、 好ましくは略 3 X 1 0— 8 Ω m以下、 又 は、 長さ 1 c m、 幅 1 c mの抵抗が略 0 . 0 1 5 Ω以下、 好ましくは略 0 . 0 0 5 Ω以下の金属板等の導電材を備えるものであり、 軟磁性材ゃ導電材により、 導 電性物品に侵入する磁束を遮断し、 その影響を抑制することができる。 また、 導 電材により、 リーダ Zライタの電子回路から漏洩する電波を有効に遮断すること ができる。
すなわち、 図 2 Aおよび図 2 Bに示すように、 薄い軟磁性材 5と卷線よりなる アンテナコイル 4とをケース等の金属面 6に密着して配置する。 このような使用 形態であっても、 軟磁性材 5を介在させることにより、 アンテナコイル 4で発生 する磁束 9は軟磁性材 5内を通過するため、 ケースやその内部の電子回路等の影 響を受けにくくすることができる。
更に、 図 3 Aおよび図 3 Bに示すように、 軟磁性材 5とケース等の金属面 6と の間に、 導電性のアルミ板、 銅板等の所定の電気抵抗の導電材 7を配置すること により、 アンテナコイル 4で発生する磁束を完全にシールドすることができ、 金 属面 6の影響を確実に防止することができる。 この導電性のアルミ板や銅板等の 導電材 7による損失の増加は微小であり、 導電材 7を含む状態で最適の共振周波 数となる様に電子回路 8のコンデンサの容量等を選定することにより、 金属面 6
の材料の種別によらずリーダ/ライタ用アンテナコイルの性能を一定に保つこと がことが可能となる。
また、 ケース等の金属面 6の材料としてアルミ板、 マグネシウムダイカス ト等 の非磁性で、 略 1 0 X 1 0— 8 Ω m以下、 好ましくは略 3 X 1 0— 8 Ω m以下の 固有抵抗を有する材料を用いた場合、又は、長さ 1 c m、幅 1 (;!11の抵抗が略0 . 0 1 5 Ω以下、 好ましくは略 0 . 0 0 5 Ω以下の材料を用いた場合は、 これに接 した状態で共振周波数を選定することにより導電材 7を省略することもできる。 なお、 トランスボンダ 2の場合は単独で設置されるものであり、 その設置場所 も任意に選択することができるが、 リーダ/ライタ 3の場合は本体とアンテナと が対となって設置されるものであり、 本体内の電子回路を保護するために通常、 金属製のケースが用いられる場合が多いため、 アンテナには金属の影響を防止す る施策が必要である。 また、 R F I Dシステム 1の携帯性を重視する場合、 そも そもトランスボンダ 2は小型、 薄型に形成されているが、 リーダ/ライタ 3は電 子回路を組み込む必要上、 本体のサイズ縮小には限界があり、 アンテナをいかに 設置するかが重要なポイントとなる。 このようにトランスボンダ 2とリーダ/ラ イタ 3とは形態が異なるため両者を同一視することはできず、 リーダ /ライタ用 アンテナ特有の構造が必要となり、 上記構造はこのようなリーダ/ライタ特有の 問題点を考慮して案出されたものである。 上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、 本発明の実施 例について説明する。
[実施例 1 ]
まず、 本発明の第 1の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテナについて、 図 1 A乃至図 6 Bを参照して説明する。 図 1は、 本発明の R F I Dシステムの構成を 示す図であり、 図 2 A〜図 3 Bは、 第 1の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテ ナの構造を示す図である。 図 2 Aおよび図 3 Aはは斜視図、 図 2 Bおよび図 3 B はその断面図である。 また、 図 4 Aおよび図 4 Bは、 本実施例のリーダノライタ 用アンテナに用いる軟磁性材の構造を模式的に示す断面図であり、 図 5 A〜図 6 Bは、 本実施例のリーダ Zライタ用アンテナの他の構造を示す図である。
図 1に示すように、 R F I Dシステム 1は、 リーダ Zライタ用アンテナを用い てデータの交信を行うリーダ/ライタ 3 (又はリーダ、 以下、 リ一ダ /ライタと して記述する。) と、 ラベル型、 シート型、 スティック型等の種々の形状のトラン スボンダ 2 (タグとも呼ばれる。) とからなり、 リーダ Zライタ 3には、 送受信信 号を変換するための通信回路や送受信信号をデコードするための演算処理回路等 の電子回路が内蔵され、 リーダ Zライタ用アンテナは、 例えばこれらの電子回路 を収納するケース等の金属面上に設置されている。 なお、 図 1ではリーダ Zライ タ,用アンテナをわかりやすく示すためにリーダ Zライタ 3表面の中央に大きく記 載しているが、 図の構成は例示であり、 リーダ Zライタ用アンテナの大きさ、 設 置位置は任意であり、 例えば、 図 6 Aに示すように、 リーダ Zライタ 3の金属面 の側面 6 bに設置してもよく、 図 6 Bに示すように、 リーダ Zライタ用アンテナ が金属面からはみ出していてもよい。
図 2 Aおよび図 2 Bは、 金属面上に設置されたリーダ/ライタ用ァンテナの構 造を示す図であり、 両端が電子回路 8に接続される卷線よりなるアンテナコイル 4と金属面 6との間には、 所定の材料、 製法で形成された軟磁性材 5が配置され ており、 アンテナコイル 4で発生する磁束は図 2 Bに示すように、 軟磁性材 5内 部を通過し、 金属面 6内部にほとんど到達しないために、 金属内で発生する渦電 流に起因する共振周波数の変化や損失の増加を抑制することができる。
なお、 図では、 アンテナコイル 4に接続される電子回路 8と金属面 6とを別々 に記載しているが、 金属面 6は電子回路 8を収納するリーダ/ライタ 3のケース 表面や、 リーダ Zライタ 3を内蔵する装置のケース表面であってもよい。 また、 図 2 Aおよび図 2 Bに示す金属面 6は金属製ケース等の導電性部材の表面の一部 を模式的に示したものであり、 金属面 6の厚さ、 形状等は図の構成に限定される ものではない。 この金属面 6は、 鉄、 アルミニウム、 マグネシウム等の任意の金 属材料を含んでもよく、 また、 絶縁材料に金属の蒸着膜が形成された構造や、 充 填材ゃ塗装層に金属材料が含まれる構造等であってもよい。
また、 図では、 矩形状のアンテナコイル 4を 3回卷回した構成としているが、 アンテナコイル 4の構造は図の構成に限定されず、 金属面 6に略平行な面内で渦 卷き状に卷回される構造であればよく、 そのサイズ、 形状、 巻き数、 線幅等はリ
ーダ ライタ 3'に要求される性能を勘案して適宜設定することができる。 このァ ンテナコイル 4を形成する方法としては、 表面が絶縁層に被覆された導電材をべ ース板に貼り付けた構造や、 絶縁フィルム等のベース板にアルミニウム箔ゃ銅箔 等の金属膜を形成し、 エッチングや打ち抜き法等によって渦巻き状のコイルを形 成する構造等の任意の手法を用いることができる。
また、 軟磁性材 5は、 アモルファス合金、 パーマロイ、 電磁鋼、 珪素鉄、 セン ダスト合金、 F e— A 1合金又は軟磁性フェライ 卜の急冷凝固材、 铸造材、 圧延 材、 鍛造材又は焼結材ゃ、 アモルファス箔又はアモルファス箔の積層材や、 金属 粉、 カーボニル鉄粉、 還元鉄粉、 アトマイズ粉 (純鉄、 S i、 C r、 A 1等を含 む鉄、 パーマロイ、 C 0 _ F e等)、 アモルファス粉 (B、 P、 S i、 C r等を含 む鉄、 C o、 N iを水アトマイズして製造したもの) 等の粒状の粉体若しくはフ レークとプラスチック、 ゴム等の有機物との複合材、 又は上記粉体若しくはフレ 一クを含む塗料の塗膜であつても良い。
なお、 通常の珪素鉄の珪素の含有量は 5 w %以下で固有抵抗は 6 7 X 1 0 - 8 Ω πι以下である。珪素をそれ以上多くすれば固有抵抗が増し損失は少なくなるが、 鎵造時の偏祈、 鍛造時の割れ、 硬すぎて圧延できない等の問題を起こすためであ る。 粉末を水ァトマイズ法で製造すれば珪素を 6 w%以上にしても微細な溶湯が 急冷されるため偏析の問題はなく、 組織が微細であるため脆くなく機械的に扁平 化が可能である。 扁平化はボールミル、 アトライター等を用いて行う。 珪素を増 すと固有抵抗は増し損失は減り、 また溶湯の粘性が減り水ァトマイズにより微細 な粉末を得やすくなる。 1 5 w%を越えると飽和磁束密度が減る問題が生じる。 従って、 珪素の含有量は 6 w%から 1 5 w %の範囲が好ましい。
また、 鉄基合金に含まれる各種金属材料の含有量は以下の点を留意して設定し た。
A 1 ;含有量が増えると固有抵抗を増す効果があるが溶湯の粘度を上げるので 1 w%以下が好ましい、
C u、 N i ;含有量が増えるとヒステリシス損を少なくするが 3 w%を越える と飽和磁束密度が減少するため、 3 w%以下が好ましい、
C r ;含有量が増えると固有抵抗が増し損失を減少させる。 また、 耐高温酸化
性を向上させる効果がある。 5 w %を越えると飽和磁束密度を減少させるため、 5 w %以下が好ましい、
C o ;含有量が増えると飽和磁束密度を向上させる。 1 0 w %を越えると飽和 磁束密度の向上はないため、 1 O w %以下が好ましい。
上記複合材を製造する方法としては、 射出成形、 塗布、 圧縮成形、 圧延等を用 いることができる。 射出成形又は圧縮成形により形成された軟磁性材 5はフェラ ィ トにより形成されたものと比較して、 強靭であるため薄く しても割れ難いとい う特徴がある。 塗布の場合は、 例えば、 粒状粉体をアトラター、 ボールミル、 ス タンプミル等で扁平化してフレークとした後、 フレーク又は粒状粉体を含む塗料 をフィルム上に塗布ノ乾燥を繰り返して形成することができ、 その際、 塗布中に 磁場を印加することによりフレークを一定の方向に配向させることができ、 特性 を向上させることができる。
また、 複合材におけるプラスチックとしては加工性の良い熱可塑性のプラスチ ックを用いたり、 或いは耐熱性の良い熱硬化性のプラスチックを用いたりするこ とができ、 また、 絶縁性を有するアクリル、 ポリエステル、 ポリ塩化ビニル、 ポ リエチレン、 ポリスチレン、 エポキシ等の樹脂を用いることもできる。
上記各種材料、 製法は、 リーダノライタ用アンテナコイルに求められる性能に 応じて、 適宜選択することができる。 例えば、 複合材の場合は、 図 4 Aに示すよ うな構造となり、 プラスチック、 ゴム等の樹脂バインダー 1 1中に粉体、 フレー ク 1 0が分散され、その粉体若しくはフレーク 1 0が相互に絶縁されているため、 軟磁性材 5全体としては導電性を有せず、 高周波の電波を受けても渦電流損失を 減少させることができ、 本発明の構造に用いる材料として望ましい。 また、 ァモ ルファス箔の積層材の場合は、 図 4 Bに示すようにアモルファス箔 1 2と絶縁層 1 3とが交互に積層された構造となり、 製造が容易であるがアモルファス箔 1 2 での損失が大きいという問題がある。
ここで、 複合材に分散される材料を粒状粉にした場合と、 扁平粉 (フレーク) にした場合の効果、 及びフレークを分散する過程で磁場を印加して配向させた場 合の効果について実験を行った。 実験はアルミニウム板上に複合材からなる軟磁 性材 5を挟んで 4 7 m m X 1 7 mm、 巻き数 5のアンテナコイル 4を置き、 その
特性(インダクタンス L及び Q) を測定した。その結果を表 1に示す。表 1より、 分散材をフレーク状にすることにより、 広い周波数範囲にわたって、 インダクタ ンスを向上させることができ、 更に、 分散に際して磁場を印加してフレーク 1 0 を配向することにより、 1 3 . 5 6 MH z近傍の周波数域で Qを著しく増加させ ることができ、 図 4 Aに示すフレーク 1 0を配向させた構造が最も特性的に優れ ていることが分かる。
また、 軟磁性材 5の厚さとしては、 アンテナコイル 4で発生する磁束を有効に 導くためにはある程度の厚さが必要であるが、 アンテナコイル 4を金属面 6に設 置した場合のアンテナコイル 4の突出を抑制するためには薄い方が好ましく、 厚 さが 1 O mmを越えるとアンテナが突出するため携帯用機器としては適当ではな くなる。 一方、 厚さ 0 . 0 2 mmより薄い磁芯は入手困難であり、 入手できたと しても特性が不安定であり、 また軟磁性材 5を 0 . 0 2 mmとしてもアンテナ特 性上も携帯の容易さも影響がない。 以上を総合的に判断すると、 軟磁性材 5の厚 さの範囲は、 1 O mm以下、 好ましくは 0 . 0 2 mm以上 1 O mm以下が適当で ある。
また、 軟磁性材 5の厚さ (t) を、 アンテナコイル 4の面積 (S)、 アンテナコ ィル 4の周長 (L)、 軟磁性材 5の透磁率 (μ) を用いて規定することもできる。 図面を参照して説明すると、 図 1 5Aに示すように、 アンテナコイル 4力 周辺 に導電材等の磁束の通過を妨げるもののなレ、状態で単独に配置されている場合、 磁束 9の通過する面積で磁束間隔が最も狭い領域はアンテナコイル 4の導体に囲 まれている領域 (S) である。 また、 図 1 5 Bに示すように、 アンテナコイル 4 を金属面 6等の導電材に平行に配置した場合の磁束 9の通過する面積で磁束間隔 が最も狭い領域は、 アンテナコイル 4の卷線と導電材 (金属面 6) の間の領域で ある。 この領域は、 アンテナコイル 4と金属面 6の間隔を tとするとアンテナコ ィル 4の周長 LX tである。 この面積がアンテナコイル 4の面積 S以上の場合は 磁束は導電材があってもコィル単独の場合と同様に通過できる。 即ち軟磁性材 5 がなくても差し支えない。 ここで、 軟磁性材 5を用いる目的は、 アンテナコイル 4の金属面 6からの突出を少なく し携帯を容易にすることであるので軟磁性材 5 の厚さがこれを越えれば軟磁性材 5を用いるメリットがなくなる。 従って、 S〉 L X t、 即ち、 S Z L > tでなければ軟磁性材 5を用いる意味がない。
また、 軟磁性材 5を配置すると磁束 9の通過する量は透磁率に比例する。 換言 すれば金属面 6とアンテナコイル 4との間の面積は実効的には μ X L X tとなる。 この実効的な面積が Sより大きければ金属面 6とアンテナコイル 4の間を磁束 9 が容易に通過できる。 従って、 Sく; u XLX t、 即ち、 t〉SZ (L X μ) であ ればよレヽ。 以上の結果より、 軟磁性材 5の厚さ tは、 S/L> t >SZ (LX/ の範囲であることが好ましいと言える。
このような材料、 製法、 厚さで形成された軟磁性材 5をアンテナコイル 4と金 属面 6との間に介在させることにより、 金属面 6で発生する渦電流の影響を抑制 することができ、 リーダ Zライタ用アンテナを金属製のケース上に直接配置する こともでき、 設計の自由度を広げることができる。
また、 アンテナがどのような材料の金属面 6上に配置されるかが不明の場合に は、 例えば、 図 3 Aおよび図 3 Bに示すように、 軟磁性材 5と金属面 6との間に 所定の材料、 厚さの導電材 7を介在させることにより、 アンテナコイル 4で発生 する磁束 9が軟磁性材 5を貫通した場合であっても導電材 7で留めることができ、
下面の金属面 6の影響を確実に防止することができる。
具体的に説明すると、 アンテナコイル 4が設置される金属面 6の材料が明確な 場合は、 金属面 6の影響を予め見積もることができるが、 その材料が不明の場合 は材料によって受ける影響が異なる。 ここで、 アンテナの最適の Qは電気回路の 設計により決定され、 Qは導線を細くする等により容易に低くすることはできる が、 Qを高くすることは困難である。 従って、 金属面 6を構成する金属材料が不 明な場合は Qの変化が大きく最適値に調整できない場合がある。 そこで、 予め軟 磁性材 5の下層に導電材 7を介在させておけば、 金属面 6の材料如何に関わらず Qを所定の範囲内に留めることができ、 Qを最適値に設定することが可能となる。 この場合、 導電材 7としては磁束を確実に遮断し、 かつ導電材 7による Qの損 失を調整範囲内に収める必要から電気抵抗を所定の値に設定する必要がある。 そ こで、 本願発明者は厚さ 7 μ πιの箔を用いた試料の固有抵抗 rを変化させた時の アンテナコイルの Qの変化量を計算した。 その結果を表 2に示す。
表 2
ここで、 共振時の Lまたは Cの電圧は電源電圧の Q値となるため、 Q値はある 程度の値が必要であり、 少なくとも 5以上、 多くの場合 1 0以上必要である。 こ のため Q値が 5以下のアンテナを使用できることはなく、 1 0以上あれば多くの アンテナで使用可能である。 そして Q値を 5以上、 好ましくは 1 0以上とするに は、 表 2より、 厚さ 7 / mの箔を用いた場合、 固有抵抗としては略 1 0 X 1 0— 8 Ω c m以下、 好ましくは略 3 X 1 0— 8 Ω c m以下であることが必要であると 判断できる。 この抵抗条件を満足する金属としては、純鲖、アルミニウム、黄銅、 アルミ青銅、 洋銀、 チタン、 S U S 3 0 4、 インコネル等があり、 これらの材料 を用いて導電材 7を形成することにより、 Qの損失を抑制しつつ金属面 6の影響 を完全に防止することが可能となる。 逆に、 金属面 6が上記条件を満足する材料 で構成されている場合は、 導電材 7を省略することができる。
表 2では、 厚さ 7 μ πιの箔を用いた場合の好ましい固有抵抗について議論した
が、 箔の厚さが厚くなれば導電材 7の抵抗は低減し、 Qの損失も小さくなる。 表 3は、 表 2の箔の膜厚を変化させたときの長さ 1 c m、 幅 l c mの長さ方向の抵 抗 (Ω) を示しており、 表 3より、 箔の厚さが変われば固有抵抗の好ましい範囲 は変化する。 すなわち、 箔が厚くなれば固有抵抗の上限値は高くなる。 表 3
そこで、 上記各々の材料について厚さを変えたときの抵抗 (幅 1 cm、 長さ cmの試料の長さ方向の抵抗) と Qを測定した。 その結果を表 4に示す。 また. 各々の材料の固有抵抗と組成を表 5に示す。
表 4
享電材の厚さ ( m)
導!:材
30 50 100 200 抵抗 Q 抵抗 Q 抵抗 Q 抵抗 Q 抵抗 Q 純銅 腿 23 13:7. •0.0035 :4:5: 0.DO03 .1.4.8. 0.ODC2 ■1-5Λ •1-5.4· ァルミ DIQQ34: 12. no a :13:9: 0.0005 :1:4:4: :0.0002 :1:5: 0.0C01 :1:5.4: 黄銅 O.GG89 .6.2· :0.0021: .12;6: 0.0012 ■13:1. Ό.0006 ' 个 4· 0.0003: :1:4:.8: アルミ青銅 0:01-43 Q0CG3 .1.1..5. :0.001 15:5 :0.001 •15:6 0.0005 •1-4.5 · 洋銀 0.0274 3.9 00064 7:3 0.0038 9;9 noots :12:3 O.DDi: :1:4: チタン 0.0686 3.8 0.016 4.8 G.0O98 5: & Ο.Θ04Β 8:2 0.0024 :13 :
SU3304 0.1 3.8 0.0233 0.014 4.9 ■0.Θ07 · 1.-2- 0.0CS5 .1.2' インコネル 0.1471 3.8 0.0343 3.9 0.0206 0.01 CQ 4.9 0.0052 8; 6: 抵抗は幅 1 cm、長さ 1 cmの導電材の長さ方向の抵抗(Ω )
Qが 1 0以上の範囲
Qが 5以上の範囲 表 5 固有抵抗 (X 10— 8 Qm) 組成
純銅 1.6 Cu
アルミ 2.4 A1
黄銅 6.2 30%Zn 残 Cu
アルミ青銅 10 5%A1 残 Cu
洋銀 19.2 20%Zn-15%Ni 残 Cu チタン 48 Ti
SUS304 70 18%Cr-8%Ni 残 Fe ィンコネノレ 103 16%Cr-6%Fe 残 Ni
表 4より、 導電材 7の厚さが厚く、 すなわち抵抗が小さくなるに従って Qは大 きくなり、 金属面 6の影響を抑制する効果が大きくなることがわかる。 ここで、 Qを 5以上 (表の網掛け部) とするには、 上記幅 1 cm、 長さ 1 cmの長さ方向 の抵抗はアルミ青銅の 0. 0143から判断して略 0. 0 1 5 Ω以下であればよ く、更に、 Qを 1 0以上(表の太枠内) とするには上記抵抗は SUS 304の 0. 0035、 アルミの 0. 0034、 アルミ青銅の 0. 0033から総合的に判断 して略 0. 005 Ω以下であればよいことが分かる。
以上説明した構造の効果を確認するために、 軟磁性材 5を介在させた図 2の構 造、 及び軟磁性材 5と導電材 7とを介在させた図 3の構造のリーダ/ライタ用ァ ンテナを製作し、 コイルのみのィンダクタンス及び Q、 アルミ板、 鉄板、 ステン レス板上に各々設置した場合のインダクタンス及び Qを測定した。 また、 比較の ために軟磁性材 5及び導電材 7を介在させなレ、従来構造のアンテナコイルでも同 様に測定した。 その結果を表 6及び表 7に示す。
コイルのみ アルミ板上 鉄板上 ステンレス板上 分類 t¾じ、 図 L(ii H) Q L( . H) Q Ι_<μ Η) Q し(μΗ) Q 上ヒ較^ なし 11 4.90 98 1.55 23.2 1.92 5.0 1.63 11.9 空芯 ¾性板 なし なし 2 7.19 75 6.28 61.1 6.54 42.2 6.46 57.7 ft]]也 1タリ 111
空芯 磁性板 なし あり 3 6.26 62 6.21 63.1 6.52 60.2 6.13 59.9 空芯 磁性板 あり なし 5 6.92 62 6.01 63.3 6.27 80.5 6.20 60.2 mmm 2
空芯 磁性板 あり あり 6 6.00 63 5.95 63.5 6.25 60.8 5.86 60.5 卷線形 なし 7 6.39 99 5.69 74.0 5.65 28.8 5.72 55.8 実施例 3
卷線形 あり 8 5.45 74 5.79 71.7 5.59 74.1 5.64 74.1
表 7
表 6及び表 7より、 コイルのみで測定した場合、 軟磁性材 5を介在させること により渦電流の発生が抑制されてィンダクタンスが増加していることが分かる。 また、 各々の金属板上に設置した場合は、 比較例の従来構造ではインダクタンス が著しく低下しているのに対して、 軟磁性材 5を介在させた本実施例の構造では インダクタンスの減少は少なく、 また、 Qの変化量も少ないことが分かる。 更に、 導電材 7を介在させることにより、 インダクタンスは多少低下するもの
の、 Qの変化は下地の金属面 6の材料によらずほぼ一定であり、 アンテナコイル 4を設置する金属面 6がどのような材料であっても、 Qを調整可能な範囲に抑え ることができることが分かる。
なお、 図 1乃至図 3 Bでは、 平面状の金属面 6上にリーダ Zライタ用アンテナ を設置する構造について記載したが、 リーダ /ライタ用アンテナが金属面 6から 突出すると不都合が生じる場合には、 図 5 Aおよび図 5 Bに示すように金属面 6 に予め凹部を形成しておき、 その凹部にリーダ/ライタ用アンテナを設置して突 出を防止することもできる。 また、 図 5 Cに示すように、 リーダノライタ用アン テナ表面に保護シート 1 5を被せてアンテナを保護する構成とすることもできる。 更に、 図 5 Dに示すように、 リーダ/ライタ用アンテナに取り付けられる導電材 7を金属面 6に接合し、 導電材 7をケースの一部として使用することもできる。
[実施例 2 ]
次に、 本発明の第 2の実施例に係るリ一ダ /ライタ用アンテナについて、 図 7 A〜図 8 Bを参照して説明する。 図 7 A〜図 8 Bは、 第 2の実施例に係るリーダ ノライタ用アンテナの構造を示す図である。 なお、 本実施例は軟磁性材をアンテ ナコイルと金属面との間の一部に配置したことを特徴とするものであり、 その他 の構造、 材料、 製法等は前記した第 1の実施例と同様である。
図 7 Aおよび図 7 Bに示すように、 本実施例のリーダ Zライタ用アンテナは、 アンテナコイル 4と金属面 6との間の一部に、 第 1の実施例で示した材料、 製法 で形成された軟磁性材 5が配設され、 他の部分には厚さを調整するためのスぺー サ 1 4が配設されている。 このような構造では、 アンテナコイル 4で発生する磁 束 9の対称性が崩れ、 磁束 9は図 7 Bに示すように、 軟磁性材 5が配設された部 分 (図の右側) で大きく、 かつ、 軟磁性材 5内部を通過した後、 斜め方向に広が つていく。 従って、 軟磁性材 5の配 ^位置や面積を調整することにより、 磁束 9 の広がり方を制御することができ、 例えば、 アンテナ設置面に対して所定の角度 でトランスボンダ 2を近づける場合などでは、 リーダ/ライタ 3と トランスボン- ダ 2との交信状態を良好に保つことができる。
なお、 スぺーサ 1 4は磁性を有さない材料又は磁性体 5と磁気的特性が異なる
材料であればよく、プラスチック、ゴム等の有機物を用いることができる。また、 図 8に示すように、 軟磁性材 5及びスぺーサ 1 4と金属面 6との間に第 1の実施 例で示した導電材 7を配設してもよく、 特に、 スぺーサ 1 4として磁束 9を透過 する材料を用いる場合には、 金属面 6の影響を抑制し、 金属面 6の材料の違いに よるィンダクタンスゃ Qの変化を抑える効果が得られる。
なお、図では、軟磁性材 5とスぺーサ 1 4とを明確に区別して配置しているが、 例えば、 複合材に分散される粒状粉体やフレークの含有量を調整し、 軟磁性材 5 の磁性を徐々に変化させる構造とすることもでき、 このような構造によっても、 磁束 9の広がり方を制御することができる。
上記アンテナの効果を確認するために、 軟磁性材 5及びスぺーサ 1 4を介在さ せた図 7の構造、 及びその下層に導電材 7を介在させた図 8 Aおよび図 8 Bの構 造のリーダ Zライタ用アンテナを製作し、 第 1の実施例と同様に、 コイルのみの インダクタンス及び Qと、 アルミ板、 鉄板、 ステンレス板上に各々設置した場合 のインダクタンス及び Qを測定した。 その結果を前述した表 6及び表 7 (実施例 2の欄) に示す。
表 6及び表 7より、 第 1の実施例と同様に、 軟磁性材 5又は導電材 7を介在さ せることにより、比較例よりインダクタンスを大きくできることが分かる。また、 各々の金属板上に設置した場合のィンダクタンス及び Qの変化量は小さく、 アン テナコイル 4を設置する金属面 6がどのような材料であっても良好なァンテナ性 能を維持できることが分かる。 なお、 本実施例では軟磁性材 5とスぺーサ 1 4の 大きさを略等しく設定しているにも関わらず、 インダクタンス及び Qの値は第 1 の実施例とそれほど変わらず、 軟磁性材 5をアンテナ面の一部に配設するだけで も十分な効果が得られることが分かる。
[実施例 3 ]
次に、 本発明の第 3の実施例に係るリーダノライタ用アンテナについて、 図 9 A〜図 1 1 Bを参照して説明する。 図 9 A〜図 1 0 Bは、 第 3の実施例に係るリ ーダ Zライタ用アンテナの構造を示す図であり、 図 1 1 Aおよび図 1 1 Bは、 リ ーダノライタ用アンテナの設置位置を示す図である。 なお、 本実施例はアンテナ
コイルを軟磁性材の周りに巻回することを特徴とするものであり、その他の構造、 材料、 製法等は前記した第 1及び第 2の実施例と同様である。
図 9に示すように、 本実施例のリーダ Zライタ用アンテナは、 平板状の軟磁性 材 5を金属面 6に略平行に設置し、 その軟磁性材 5を磁芯としてその周りにアン テナコイル 4を卷回するものであり、 このような構造では、 アンテナコイル 4を 立体的に卷回するためにアンテナコイル 4の突出量が大きくなるが、 アンテナコ ィル 4内の磁束 9を金属面 6と略平行にすることにより、 金属面 6の影響を受け にくくすることができ、 また、 卷き数を多くすることによってアンテナコイル 4 の性能を容易に向上させることができる。
また、 図 1 O Aおよび図 1 O Bに示すように、 アンテナコイル 4と金属面 6と の間に、 第 1及び第 2の実施例で示した導電材 7を配設してもよく、 導電材 7に より更に金属面 6の影響を抑制することができ、 大きな Qを得ることができる。 上記ァンテナの効果を確認するために、 軟磁性材 5にアンテナコイル 4を卷回 した図 9の構造、 及びその下層に導電材 7を介在させた図 1 O Aおよび図 1 0 B の構造のリ一ダ /ライタ用アンテナを製作し、 第 1及び第 2の実施例と同様に、 コイルのみのィンダクタンス及び Qと、 アルミ板、 鉄板、 ステンレス板上に各々 設置した場合のィンダクタンス及び Qを測定した。 その結果を前述した表 6及び 表 7 (実施例 3の欄) に示す。
表 6及び表 7より、 第 1及び第 2の実施例と同様に、 軟磁性材 5又は導電材 7 を介在させることにより、 比較例に比べてィンダクタンス及び Qを大きくするこ とができ、 特に、 導電材 7を配設した構造では、 金属面 6の影響を受けにくく、 第 1及び第 2の実施例よりも大きな Qを得ることができる。
なお、 本実施例のリーダ Zライタ用アンテナの構造の場合、 図 9 A〜図 1 0 B に示すようにアンテナコイル 4の磁束 9は金属面 6に平行な方向に向いているた め、 トランスボンダ 2は、 金属面 6の法線方向からではなく磁束 9の方向から近 づけた方がよい場合もある。 その場合には、 図 1 1 Aおよび図 1 1 Bに示すよう に、 軟磁性材 5の磁束通過面を金属面の側面 6 b側に寄せて設置し、 トランスポ ンダ 2を側面 6 b側から近づけて使用すればよい。
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[実施例 4 ]
次に、 本発明の第 4の実施例に係るリーダ Zライタ用アンテナについて、 図 1 2 A〜図 1 4 Bを参照して説明する。 図 1 2 A〜図 1 4 Bは、 第 4の実施例に係 るリーダ Zライタ用アンテナの構造を示す図である。 なお、 本実施例はアンテナ 面が金属面と略平行となるように、 アンテナコィルを円柱状の軟磁性材の周りに 卷回することを特徴とするものであり、 その他の構造、 材料、 製法等は前記した 第 1乃至第 3の実施例と同様である。
図 1 2 Aおよび図 1 2 Bに示すように、 本実施例のリーダ/ライタ用アンテナ は、 その底面が金属面 6と略平行な円柱状の軟磁性材 5 aを磁芯としてその周り にアンテナコイル 4を巻回するものであり、 このような構造では、 アンテナコィ ル 4を立体的に卷回するためにアンテナコイル 4の突出量が大きくなるが、 第 3 の実施例の構造と同様に巻き数を多くすることによってアンテナコイル 4の性能 を容易に向上させることができ、 また、 第 3の実施例よりもアンテナの面積を大 きくすることができるという特徴がある。
また、 図 1 3 Aおよび図 1 3 Bに示すように、 アンテナコイル 4を卷回した軟 磁性材 5 aと金属面 6との間に、更に平板状の軟磁性材 5 bを配設したり、また、 図 1 4 Aおよび図 1 4 Bに示すように、 軟磁性材 5 bと金属面 6との間に導電材 7を配設してもよく、 軟磁性材 5 bや導電材 7により金属面 6の影響を抑制する ことができる。
なお、 上記各実施例では、 リーダ Zライタ用のアンテナについて記載したが、 本発明は上記実施例に限定される'ものではなく、 金属ケース等の導電性の物品に 近接して設置される トランスボンダ用アンテナに適用することもできる。 産業上の利用の可能性
以上説明したように、 本発明のリーダ Zライタ用アンテナによれば、 下記記載 の効果を奏する。
本発明の第 1の効果は、 金属面上にアンテナコイルを配置する場合であっても 金属面の影響を抑制し、 大きなィンダクタンス及び Qを得ることができるという ことである。
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その理由は、 アンテナコイルと金属面との間に軟磁性材を介在させて、 アンテ ナコイルで発生する磁束を軟磁性材内を通過させ、 金属内で発生する渦電流の影 響を抑制することができるからである。 また、 軟磁性材と金属面との間に、 所定 の固有抵抗の導電材を介在させることにより、 磁束を確実にカツ 卜することがで きるからである。
また、 本発明の第 2の効果は、 アンテナコイルを設置する機器内の電子回路の 影響を受けにくくすることができるということである。
その理由は、 リーダ/ライタの電子回路から種々の電波が漏洩しており、 この 漏洩電波がアンテナに入るとハウリング等の障害が発生するが、 アンテナとケー スの間に導電材を揷入したり、 ケースを金属製とすることにより、 電子回路から の漏洩電波を遮蔽することができるからである。
また、 本発明の第 3の効果は、 リーダ Zライタのケース等の平板状の金属面上 にアンテナコィルを直に設置することが可能となり、 装置設計の自由度を広げる ことができるということである。
その理由は、 軟磁性材として粒状粉体ゃフレークを有機物に分散させた複合材 を用いることにより、軟磁性材の厚さを薄くすることができるからであり、特に、 複合材の製造時に磁場を印加してフレークを配向させた構造では、 軟磁性材を数 mm以下にしても所望の性能をえることができ、 アンテナ部分の突出を抑えるこ とができるからである。