JP4999177B2 - 可動型伝送装置 - Google Patents

可動型伝送装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4999177B2
JP4999177B2 JP2007311751A JP2007311751A JP4999177B2 JP 4999177 B2 JP4999177 B2 JP 4999177B2 JP 2007311751 A JP2007311751 A JP 2007311751A JP 2007311751 A JP2007311751 A JP 2007311751A JP 4999177 B2 JP4999177 B2 JP 4999177B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
signal
power
wall portion
pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007311751A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009135842A (ja
Inventor
修平 ▲高▼櫻
篤 出口
真也 佐々木
俊和 向井
宏 吉田
昇 奥山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MIE ELECTRONICS CO Ltd
Original Assignee
MIE ELECTRONICS CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MIE ELECTRONICS CO Ltd filed Critical MIE ELECTRONICS CO Ltd
Priority to JP2007311751A priority Critical patent/JP4999177B2/ja
Publication of JP2009135842A publication Critical patent/JP2009135842A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4999177B2 publication Critical patent/JP4999177B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、相対変位する部材間に設けられて、電磁誘導を用いて電気信号の伝送を行なう可動型伝送装置に関するものである。
従来から、例えばロボットの関節部分などのような相対変位せしめられる部材間で電力や信号などの電気信号を伝送する手段の一つとして、可動型伝送装置が用いられている。このような可動型伝送装置は、一般的に、透磁性材からなるコア部材の内部にコイル部材を設けたコイルヘッドの一対を所定のギャップを隔てて相対変位可能に対向位置せしめ、これら両コイル部材を電磁結合せしめることによって、電気信号の伝送を行なうようにされている。
ところで、このような可動型伝送装置を用いて電力と信号の双方を伝送したり、2チャンネル以上の信号を伝送しようとする場合には、伝送しようとする電気信号の数だけコイルヘッドの組を設ける必要があって、スペース効率の悪化を招くという問題があった。
このような問題に対処するために、例えば特許文献1には、電力を伝送するコア部材と信号を伝送するコア部材を同一中心軸上に配設した可動型伝送装置が開示されている。しかし、特許文献1に記載の如き可動型伝送装置においては、互いの磁路が干渉してノイズが発生することを避けるために、電力を伝送するコア部材を、信号を伝送するコア部材と軸方向で重なり合わない程度に大きく形成する必要があることから、未だ十分なコンパクト化は実現困難であった。更に、これら電力用のコア部材と信号用のコア部材との位置合わせと共に、これらに対向する他方のコア部材との位置合わせも高精度に行なわなければならず、製造工程の増加を招くものであった。
一方、特許文献2および特許文献3には、共通のコア部材に電力用のコイル部材と信号用のコイル部材とを設けた可動型伝送装置が開示されている。このようにすれば、電力用と信号用でそれぞれ別個のコア部材を設けることが不要とされることから、更なるコンパクト化を図り得る。しかし、特許文献2や3に記載の如き可動型伝送装置においては、電力用のコイル部材から生ぜしめられる磁束と信号用のコイル部材から生ぜしめられる磁束との干渉に起因するノイズの発生を避けるために、コア部材における電力用のコイル部材と信号用のコイル部材との間にこれらの磁路を区切る溝などのギャップを形成する必要があることから、やはり十分なコンパクト化は実現困難であった。また、ギャップを形成するために特別な加工や特別な成形型が必要とされることから、製造が難しく、製造コストの増加をも招くものであった。
特開平9−298121号公報 特開平7−66057号公報 特開平11−354348号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、複数の電気信号の伝送に際して、磁路の干渉に起因して生じるノイズを抑えつつ、構造の簡易化とコンパクト化を図ることの出来る、新規な構造の可動型伝送装置を提供することにある。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、本発明の第一の態様は、中央壁部の外周側に外壁部が形成されて該中央壁部と該外壁部の間において軸方向一方の端面に開口する溝部が形成された透磁性材からなるコア部材に対して、該溝部に第一のコイル部材が組み付けられると共に、該外壁部の外周面に第二のコイル部材が組み付けられることによってコイルヘッドが構成されている一方、該コイルヘッドの一対が用いられて、かかる一対のコイルヘッドが同一中心軸上で配されていると共に、各該コイルヘッドの該コア部材における該溝部の開口側の軸方向端面が相互に対向位置せしめられており、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第一のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第一の伝送路が構成されていると共に、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第二のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第二の伝送路が構成されており、更に、前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記コア部材にノイズ抑制用コイル部材が設けられていることを特徴とする可動型伝送装置にある。
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、共通のコア部材を用いて、第一の伝送路と第二の伝送路が構成されている。これにより、複数の伝送路を有する可動型伝送装置をよりコンパクトに実現することが出来る。それと共に、溝などのギャップを形成することも不要とされていることから、コア部材の外径寸法を小さくすることが出来て、コンパクト化がより有利に実現されると共に、より簡易な構成とすることが出来て、製造効率の向上も図られ得る。
さらに、本態様においては、両コイルヘッドを対向位置せしめることによって電力や信号の伝送が可能とされていることから、コネクタなどのような物理的な嵌合が不要とされる。これにより、例えば基板間の電気的な接続に本態様に従う構造とされた可動型伝送装置を用いれば、繰り返しの接続による物理的な損傷のおそれも有利に回避することが出来る。
そして、特に本態様においては、第二のコイル部材をコア部材の外周面上に設けることによって、共通のコア部材を用いつつも、第一のコイル部材から生ぜしめられる磁束と第二のコイル部材から生ぜしめられる磁束との干渉を可及的に回避しつつ、ノイズの発生を抑えた電気信号の伝送を行なうことが可能とされている。即ち、本態様においては、第二のコイル部材がコア部材の外周面上に設けられている、換言すれば、第二のコイル部材の外側にはコア部材が設けられていない。これにより、第二のコイル部材の外側の透磁率がコア部材に比して小さくされており、第一のコイル部材から生ぜしめられる磁力線の殆どは、コア部材から外部に飛び出すことなく外壁部内を通るようにされる。その結果、第一のコイル部材から生ぜしめられる磁力線がコア部材の外壁部から外部に飛び出して第二のコイル部材の外側に回り込み、第二のコイル部材から生ぜしめられる磁力線と干渉するようなことが抑えられている。
それと共に、本願発明者は、コイル部材から生ぜしめられる磁力線は磁気抵抗が最小となる最短経路を通ることに着目し、第一のコイル部材から生ぜしめられてコア部材の外壁部を通る磁力線は、外壁部の内側を通り、外壁部の外側は殆ど通らないであろうと予測した。そして、殆ど磁力線が通らないと予想される外壁部の外側を第二のコイル部材の磁路として用いることによって、溝などの特別なギャップを形成すること無しに、共通のコア部材を用いつつも互いの磁束の干渉に起因するノイズの発生を抑えた伝送を可能としたのである。加えて、第二のコイル部材の外側にコア部材が設けられないことから、コア部材の寸法を更に小さくすることが出来て、更なるコンパクト化を図ることも出来る。また、本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、第一の伝送路又は第二の伝送路に生ぜしめられるノイズ起電力をキャンセルする逆起電力をこれら伝送路に生ぜしめる磁界をノイズ抑制用コイルへの通電によって惹起させることによって、フィルタ回路等のような複雑な構造を用いることなく、簡易な構成をもって第一の伝送路や第二の伝送路に生じるノイズを更に軽減乃至は解消することが出来る。ここにおいて、ノイズ抑制用コイルの配設位置や巻数は、ノイズ抑制の対象となる伝送路が第一および第二の何れであるか、抑制すべきノイズの大きさや周波数等を考慮して適宜に設定されるものである。例えば、ノイズ抑制用コイルを、第一のコイル部材と同様にコア部材における中央壁部と外壁部の対向面間に配設しても良いし、第二のコイル部材と同様にコア部材の外壁部の外周面上に配設しても良い。また、例えばノイズ抑制用コイルの巻数は、第一のコイル部材や第二のコイル部材と同数であっても良いし、それ以上でもそれ以下でも良い。更には、ノイズ抑制用コイルは、必ずしも1周以上巻回される必要も無いのであって、例えば半周だけ巻回せしめる等しても良い。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る可動型伝送装置において、略環形状の透磁性材に対して前記溝部としての周溝が形成されることによって前記中央壁部としての該周溝の内周壁部と前記外壁部としての該周溝の外周壁部が形成された前記コア部材とされていると共に、前記第一のコイル部材が該内周壁部と該外周壁部の対向面間を該周溝に沿って周方向に延びるように該コア部材に組み付けられている一方、前記第二のコイル部材が該外周壁部の外周面上を周方向に延びるように該コア部材に組み付けられていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、コア部材が環形状とされていることから、対向位置せしめられたコア部材が周方向に変位せしめられた場合でも、周溝の開口側の軸方向端面の対向状態が維持されることによって、第一および第二のコイル部材間の電磁結合状態を維持することが出来る。これにより、コイルヘッド間の周方向の位置合わせを不要とすることが出来ると共に、対向位置せしめられたコア部材間での周方向の相対変位を許容することも出来る。
なお、第一の伝送路および第二の伝送路は、電力を伝送するものでも良いし、信号を伝送するものでも良い。例えば、第一及び第二の伝送路の両方を電力を伝送する電力用伝送路としたり、第一及び第二の伝送路の両方を信号を伝送する信号用伝送路とする等しても良い。好適には、本発明の第三の態様として、前記第一又は第二の態様に係る可動型伝送装置において、前記第一の伝送路が電力を伝送する電力用伝送路とされていると共に、前記第二の伝送路が信号を伝送する信号用伝送路とされている態様が採用される。
すなわち、第一のコイル部材は内外両側にコア部材の中央壁部および外壁部が配設されていることから、第一のコイル部材を用いて構成される第一の伝送路は、外側がコア部材の外側に露出せしめられている第二コイル部材を用いて構成される第二の伝送路に比して、安定した伝送を行なうことが出来る。従って、信号に比して大きな誘導起電力が必要とされる電力の伝送路として第一の伝送路を用いることによって、安定した伝送を行なうことが出来る。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に係る可動型伝送装置において、前記一対のコイルヘッドが前記中心軸回りに相対回転可能に配されていることを、特徴とする。本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、互いに相対回転する部材の一方にコイルヘッドの一方を装着し、他方にコイルヘッドのもう一方を装着することによって、互いに相対回転する部材間で電力や信号の伝送を行なうことが出来る。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係る可動型伝送装置において、前記一対のコイルヘッドを構成する各前記コア部材が、互いに離隔して対向位置せしめられていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、両コア部材が非接触とされた状態で電力や信号の伝送を行なうことが出来る。これにより、両コア部材の相対的な変位に伴う擦れによる磨耗等も回避出来ることから、ロボットの関節部等に好適に用いることが出来る。また、コア部材を互いに非接触とした状態で電力や信号の伝送を行なえることから、例えば基板間の接続に本態様に従う構造とされた可動型伝送装置を用いれば、基板間を互いに接触せしめることなく両基板を電気的に接続することが出来て、接続に際する物理的な損傷のおそれを有利に軽減することが出来る。
本発明の第の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係る可動型伝送装置において、前記第一の伝送路が電力を伝送する電力用伝送路とされていると共に、前記第二の伝送路が信号を伝送する信号用伝送路とされている一方、前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記外壁部の外周面上に前記ノイズ抑制用コイル部材が設けられたことを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、ノイズ抑制用コイル部材によって、第一のコイル部材から第二の伝送路に生ぜしめられるノイズ起電力を低減して、信号に混入するノイズを軽減することが出来る。即ち、本態様においては、第二のコイル部材に比して大きな誘導起電力を生じる第一のコイル部材が電力用伝送路として用いられることによって、信号用伝送路を構成する第二のコイル部材にノイズ起電力が生じ易い。そこで、第二のコイル部材に対応するノイズ抑制用コイル部材を設けることによって、ノイズが生じ易い第二のコイル部材におけるノイズの発生を軽減して、より安定した信号の伝送を行うことが可能となる。
本発明の第の態様は、前記第の態様に係る可動型伝送装置において、前記電力用伝送路を通じての電力伝送に伴って前記信号用伝送路に生ぜしめられるノイズ起電力に対応して、該ノイズ起電力を低減する逆起電力を該信号用伝送路に生ぜしめるだけの磁界を、前記ノイズ抑制用コイル部材への通電によって惹起させるノイズ抑制用給電手段が設けられたことを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、信号用伝送路に生ぜしめられるノイズ起電力に対応する逆起電力を信号用伝送路に生ぜしめることによって、信号用伝送路に生じるノイズを有利に軽減することが出来る。ここにおいて、ノイズ抑制用給電手段としては、信号用伝送路に生ぜしめられ得るノイズ起電力を予め測定し、かかる測定値に基づいて所定の電力をノイズ抑制用コイルへ通電するようにしても良いし、或いは、信号用伝送路に生ぜしめられたノイズ起電力に応じて、ノイズ抑制用コイルへの通電量を変化せしめる等しても良い。
本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れか一つの態様に係る可動型伝送装置において、前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記コア部材の外側に電磁遮蔽部材が設けられていることを、特徴とする。本態様によれば、コイルヘッドから生ぜしめられる電磁波が他の電子部品に与える影響を抑えることが出来ると共に、他の電子部品から受けるノイズを軽減することも出来て、電力や信号の送受信をより安定して行うことが出来る。
本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れか一つの態様に係る可動型伝送装置において、前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記コア部材の外側に低透磁率部材が設けられていることを、特徴とする。本態様によれば、第二のコイル部材が設けられたコア部材の周囲の比透磁率をコア部材よりも十分に低くすることによって、コア部材からの漏れ磁束を抑えて、第一のコイル部材から生ぜしめられる磁束が第二のコイル部材から生ぜしめられる磁束と干渉するおそれをより有利に抑えることが出来る。ここにおいて、低透磁率部材としては、例えばポリテトラフルオロエチレンやエポキシ樹脂等従来公知の部材が適宜に採用可能である。
なお、本態様においては、前記第の態様に係る可動型伝送装置において、前記コア部材と前記電磁遮蔽部材との間に低透磁率部材が介在せしめられている態様が、好適に採用される。このようにすれば、コイルヘッドから発せられる磁束によって電磁遮蔽部材に生ぜしめられる渦電流を抑えることが出来て、渦電流によってコイルヘッドの磁気エネルギーが吸収されるようなことを抑えることが出来る。
本発明の第十の態様は、中央壁部の外周側に外壁部が形成されて該中央壁部と該外壁部の間において軸方向一方の端面に開口する溝部が形成された透磁性材からなるコア部材に対して、該溝部に第一のコイル部材が組み付けられると共に、該外壁部の外周面に第二のコイル部材が組み付けられることによってコイルヘッドが構成されている一方、該コイルヘッドの一対が用いられて、かかる一対のコイルヘッドが同一中心軸上で配されていると共に、各該コイルヘッドの該コア部材における該溝部の開口側の軸方向端面が相互に対向位置せしめられており、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第一のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第一の伝送路が構成されていると共に、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第二のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第二の伝送路が構成されており、更に、前記一対のコア部材が中心軸上を貫通する貫通孔を有する環形状とされていると共に、これら一対のコア部材の該貫通孔に跨って挿通されて該一対のコア部材に跨って巻装された第三のコイル部材の一対を設けて、該第三のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第三の伝送路が構成されていることを特徴とする可動型伝送装置にある
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、コア部材の周方向に延びる磁路を用いて、一対の第三のコイル部材が電磁結合せしめられる。これにより、一対の第三のコイル部材の間で電気信号の伝送を行なうことが可能とされる。即ち、第一のコイル部材および第二のコイル部材によってコア部材に及ぼされるコア部材の軸方向の磁気モーメントに対して、第三のコイル部材によって、コア部材の周方向の磁気モーメントが合成される。そして、第一のコイル部材および第二のコイル部材は合成された磁気モーメントの軸方向成分を用いた相互誘導作用によって電気信号の伝送を行なうことが可能とされると共に、第三のコイル部材は合成された磁気モーメントの周方向成分を用いた相互誘導作用によって電気信号の送受信を行なうことが可能とされる。これにより、共通のコア部材を用いて、第一乃至第三の3つの伝送路を構成することが可能となり、より優れたスペース効率を得ることが出来る。
本発明の第十の態様は、前記第一乃至第十の何れか一つの態様に係る可動型伝送装置において、コレステリック液晶素子および該コレステリック液晶素子の駆動回路を含んで構成された液晶表示装置に前記一対のコイルヘッドの一方が装着されると共に、該液晶表示装置と独立して別体形成されて、該液晶表示装置の該駆動回路との間で表示制御信号を送受信するコントロール回路および電力を供給する給電回路を含んで構成された表示制御装置に該一対のコイルヘッドの他方が装着されて構成される一方、前記第一の伝送路が電力を伝送する電力用伝送路とされていると共に、前記第二の伝送路が信号を伝送する信号用伝送路とされていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた可動型伝送装置においては、コレステリック液晶素子を備えた液晶表示装置に対して、共通のコア部材を用いて電力及び信号の両方を伝送することが可能とされている。これにより、液晶表示装置の更なる小型化を図ることが出来る。また、一対のコイルヘッドを対向位置せしめることによって液晶表示装置と表示制御装置が電気的に接続されることから、コネクタなどの物理的な嵌合による損傷のおそれも軽減されると共に、接続の自由度も向上せしめられて、接続を容易に行なうことが出来る。
また、コレステリック液晶は、双安定性によって、電圧を供給せずとも表示内容を維持出来る特性を有する。そこで、第二の伝送路を用いて書き換えに必要な信号を送信する際に、第一の伝送路を用いてコレステリック液晶素子の駆動に必要な電力を併せて供給することによって、液晶表示装置内に電源を内蔵することを不要とすることが出来て、液晶表示器の更なるコンパクト化および省電力化を図ることが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1および図2に、本発明の第一の実施形態に係る可動型伝送装置としての可動型トランス10を示す。可動型トランス10は、コア部材12に第一のコイル部材としての電力用コイル14aおよび第二のコイル部材としての信号用コイル16aが組み付けられて構成されたコイルヘッド18aと、コア部材12に第一のコイル部材としての電力用コイル14bおよび第二のコイル部材としての信号用コイル16bが組み付けられて構成されたコイルヘッド18bとの一対が対向位置せしめられた構造とされている。
コイルヘッド18aを構成するコア部材12は、例えばフェライト等の強磁性材から形成された所謂ポット型コアとされており、中心軸上を貫通する貫通孔20を備えた全体として略円環形状とされている。更に、コア部材12には、軸方向(図2中、上下方向)の一方の端面に開口して全周に亘って延びる溝部を構成する周溝としてのリード溝22が形成されることによって、リード溝22の底壁部24と、リード溝22の内側を全周に亘って延びる中央壁部としての内周壁部26と、リード溝22の外側を全周に亘って延びる外壁部としての外周壁部28が形成されている。これにより、本実施形態においては、内周壁部26と外周壁部28の間にリード溝22が形成されており、換言すれば、内周壁部26の径方向両側に、リード溝22を隔てて外周壁部28が配設されている。
そして、リード溝22内に銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、電力用コイル14aが形成されている。これにより、図3に示すように、電力用コイル14aは、内周壁部26と外周壁部28との間をリード溝22に沿ってコア部材12の周方向に延びるようにコア部材12に組み付けられている。なお、本実施形態においては、電力用コイル14aを構成するリード線はコア部材12に直接に巻回せしめられているが、例えば、コア部材12と別途に用意したボビンにリード線を巻回せしめて電力用コイル14aを形成して、かかる電力用コイル14aを備えたボビンをリード溝22内に取り付けることによって、電力用コイル14aをコア部材12に組み付ける等しても良い。
また、コア部材12の外周面を構成する外周壁部28の外周面30上には、銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって、信号用コイル16aが形成されている。これにより、図3に示すように、信号用コイル16aは、コア部材12の外周面30上でコア部材12の周方向に延びるようにして組み付けられている。
なお、図3は、電力用コイル14aおよび信号用コイル16aの延び出し方向を明らかにするためにモデル的に示したものであり、電力用コイル14aおよび信号用コイル16aの巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものである。例えば、電力用コイル14aや信号用コイル16aをコア部材12の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、電力用コイル14aをリード溝22内に略隙間の無い程度に幾重にも重ねて巻回する等しても良い。
次に、コイルヘッド18bについて説明する。コイルヘッド18bは、上述のコイルヘッド18aと略同様の構造とされていることから、コイルヘッド18aと略同様の構造とされた部材および部位については、図中に同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
コイルヘッド18bは、コア部材12のリード溝22内に、コイルヘッド18aにおける電力用コイル14aと略同様の構造とされた電力用コイル14bが組み付けられていると共に、コア部材12の外周面30上に、コイルヘッド18aにおける信号用コイル16aと略同様の構造とされた信号用コイル16bが組み付けられて構成されている。なお、電力用コイル14bおよび信号用コイル16bの巻数は、要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものであって、何等限定されるものではなく、また、コイルヘッド18aに設けられた電力用コイル14aや信号用コイル16aと同じ巻き数とされても良いし、異ならされても良い。
さらに、コイルヘッド18bのコア部材12の外周面30には、ノイズ抑制用コイルとしてのキャンセルコイル32が組み付けられている。キャンセルコイル32は、信号用コイル16bと略同様に、銅などによって形成されたリード線が所定回数巻回せしめられることによって形成されており、これにより、キャンセルコイル32は、コア部材12の外周面30上でコア部材12の周方向に延びるようにして組み付けられている。ここにおいて、キャンセルコイル32の巻数は、信号用コイル16bに生じ得るノイズ起電力などを考慮して適宜に設定されるものであり、例えば、コア部材12の半周のみ巻回せしめる等しても良いし、コア部材12を複数回に亘って重ねて巻回せしめる等しても良い。
このような構造とされたコイルヘッド18a,18bは、例えば一方のコイルヘッド18aが互いに相対回転せしめられる部材33a,33b(図4参照)の一方の部材33aに装着されると共に、他方のコイルヘッド18bが他方の部材33bに装着されて、互いにリード溝22の開口側の端面を所定距離を隔てて向き合わせた状態で、同軸上に配設される。これにより、図1および図2に示すように、両コイルヘッド18a,18bにおける内周壁部26、26の開口側の端面34、34および外周壁部28、28の開口側の端面36,36が互いにコイルヘッド18a,18bの軸方向で所定距離を隔てた非接触状態で対向位置せしめられる。
そして、本実施形態における可動型トランス10は、例えば図4に示すように、コイルヘッド18aにおける電力用コイル14aを形成するリード線が、部材33aに設けられたインバータ38と電気的に接続されると共に、信号用コイル16aを形成するリード線が、部材33aに設けられた通信用回路40と電気的に接続される。一方、コイルヘッド18bにおける電力用コイル14bを形成するリード線が、部材33bに設けられた整流安定化回路42と電気的に接続されると共に、信号用コイル16bを形成するリード線が、部材33bに設けられた通信用回路44と電気的に接続される。更に、コイルヘッド18bに設けられたキャンセルコイル32を形成するリード線が、部材33bに設けられたノイズ除去回路46と電気的に接続される。これにより、コイルヘッド18aとコイルヘッド18bとの間で、電力および信号の伝送が可能とされる。
先ず、コイルヘッド18aからコイルヘッド18bに供給される電力の伝送経路について説明する。コイルヘッド18aの電力用コイル14aが接続されたインバータ38としては、例えば、CVCF型やVVVF型の従来公知のインバータが適宜に採用可能である。そして、部材33aに設けられた図示しない電源回路の直流電圧が、インバータ38によって高周波電圧に変換される。ここにおいて、インバータ38によって変換された高周波電圧の周波数(出力周波数)は、供給する電力や使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜500MHz程度の範囲内で適当に設定されている。
そして、インバータ38によって変換された高周波電圧が電力用コイル14aに給電されることによって、電力用コイル14aを貫き、出力周波数に応じて変化する磁束BP(図2参照)が発生する。電力用コイル14aを貫く磁束BPは、コア部材12の内周壁部26、底壁部24、および外周壁部28における内側寄りの部位を通ると共に、互いに対向位置せしめられた内周壁部26の端面34,34、および外周壁部28の端面36,36を出入りして、対向するコイルヘッド18bに設けられた電力用コイル14bと鎖交する。このように、本実施形態においては、コア部材12における内周壁部26の開口側の端面34および外周壁部28の開口側の端面36が送受面とされている。
これにより、電力用コイル14a,14bが電磁結合せしめられて、電力用コイル14bには、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、電力用コイル14aに供給された高周波電圧が、電力用コイル14bから取り出される。このようにして、電力用コイル14aから電力用コイル14bに電力が非接触の状態で伝送される。そして、電力用コイル14bから取り出された高周波電圧は、整流安定化回路42によって直流電圧に変換された後に、通信用回路44やノイズ除去回路46等に供給されることとなる。このように、本実施形態においては、電力用コイル14a,14bによって第一のコイル部材の一対が構成されており、これら電力用コイル14a,14bによって構成される第一の伝送路が、電力を伝送する電力用伝送路とされている。
次に、コイルヘッド18aとコイルヘッド18bとの間で送受信される信号の伝送経路について説明する。先ず、コイルヘッド18aの信号用コイル16aが接続された通信用回路40によって、部材33aに設けられた図示しない制御回路等によって生成された信号が、高周波電圧に重畳された後に、信号用コイル16aに供給される。なお、信号が重畳される高周波電圧は、通信用回路40によって生成されるようになっており、その周波数は、信号のデータサイズや使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜10GHz程度の範囲内で適当に設定されている。
そして、信号用コイル16aに高周波電圧が給電されることによって、信号用コイル16aを貫き、出力周波数に応じて変化する磁束BS(図2参照)が発生する。信号用コイル16aを貫く磁束BSは、コア部材12の外周壁部28における外側寄りの部位およびコア部材12の外部を通ると共に、互いに対向位置せしめられた外周壁部28の端面36,36および外周面30を出入りして、対向するコイルヘッド18bに設けられた信号用コイル16bと鎖交する。
これにより、信号用コイル16a,16bが電磁結合せしめられて、信号用コイル16bには、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、信号用コイル16aに供給された高周波電圧が、信号用コイル16bから取り出される。このようにして、信号用コイル16aから信号用コイル16bに電力が非接触の状態で伝送される。そして、信号用コイル16bから取り出された高周波電圧に重畳されている信号は、通信用回路44によって取り出された後に、部材33bに設けられた図示しない各種の制御回路等に送信される。このように、本実施形態においては、信号用コイル16a,16bによって第二のコイル部材の一対が構成されており、これら信号用コイル16a,16bによって構成される第二の伝送路が、信号を伝送する信号用伝送路とされている。
なお、例えば部材33bから部材33aに信号を送信することも可能である。そのような場合には、前述の如き部材33aから部材33bに信号を送信した場合とは逆に、部材33bに設けられた図示しない制御回路等によって生成された信号が、通信用回路44で高周波電圧に重畳されて信号用コイル16bから信号用コイル16aにコア部材12,12を介して無接触の状態で伝送された後に、通信用回路40によって高周波電圧から取り出されることとなる。
さらに、特に本実施形態においては、コイルヘッド18bに設けられたキャンセルコイル32が、部材33bに設けられたノイズ抑制用給電手段としてのノイズ除去回路46と電気的に接続されている。ノイズ除去回路46は、周波数および電圧が予め設定された所定の高周波電圧をキャンセルコイル32に供給するものである。ここにおいて、ノイズ除去回路46によって供給される所定の高周波電圧としては、電力用コイル14aによって生ぜしめられる磁束BPに起因して信号用コイル16bに生ぜしめられるノイズ起電力を低減する逆起電力を信号用コイル16bに生ぜしめる磁束BCを、キャンセルコイル32への通電によって惹起し得る高周波電圧が採用される。また、ノイズ起電力を低減する逆起電力としては、ノイズ起電力に対する逆位相で同電圧の高周波電圧乃至はそれに近い高周波電圧が望ましい。なお、キャンセルコイル32へ供給する高周波電圧の周波数及び電圧の好適値は、例えば、信号用コイル16bから取り出される電気信号に混入するノイズ量を測定しつつ、キャンセルコイル32に供給する高周波電圧の周波数および電圧を次第に変化させてノイズ量の増減を測定することによって、好適な値にチューニングすることが出来る。
これにより、ノイズ除去回路46からキャンセルコイル32に所定の高周波電圧が給電されて、キャンセルコイル32を貫き、出力周波数に応じて変化する磁束BCが発生する。そして、キャンセルコイル32から生ぜしめられた磁束BCが、信号用コイル16bと鎖交することによって、信号用コイル16bには電力用コイル14aから生ぜしめられる磁束BPに起因するノイズ起電力を軽減乃至は解消する誘導起電力が生ぜしめられる。これにより、信号用コイル16bから取り出される信号に混入するノイズを軽減乃至は解消することが可能とされている。
このような構造とされた可動型トランス10においては、コア部材12の外周面30上に信号用コイル16a,16bを設けたことによって、電力用コイル14aから生ぜしめられる磁束BPと、信号用コイル16aから生ぜしめられる磁束BSとの干渉を可及的に軽減することが出来る。即ち、本実施形態においては、信号用コイル16a,16bの外側にコア部材が設けられていないことによって、信号用コイル16a,16bの回りの比透磁率がコア部材12の比透磁率よりも十分に小さくされている。これと磁気抵抗が最小となる最短経路を採る磁力線の特性が協働して、電力用コイル14aから生ぜしめられる磁束BPは、殆どコア部材12における外周壁部28の外側部分を通ることなく外周壁部28の内側部分を通る一方、信号用コイル16aから生ぜしめられる磁束BSは、外周壁部28の外側部分を通ることとなる。これにより、本実施形態における可動型トランス10においては、電力用コイル14aによって形成される磁路と信号用コイル16aによって形成される磁路とを区切る溝等のギャップをコア部材12に形成せずとも、電力を伝送する磁束BPと信号を伝送する磁束BSとの干渉を可及的に軽減して、ノイズの発生を抑えた電力および信号の伝送が可能とされている。その結果、電力と信号の伝送を行う可動型伝送装置の更なるコンパクト化が実現されている。
さらに、本実施形態においては、電力の伝送路を形成する電力用コイル14a,14bがコア部材12のリード溝22内に配設されていることによって、電力用コイル14a,14bの内外両側にコア部材12の内周壁部26および外周壁部28が配設されている。これにより、信号の伝送に比してより大きな磁束が必要とされる電力の伝送路の略全体がコア部材12内に形成されるようになっており、多くの磁束を安定して確保して、電力の伝送を安定して行うことが可能とされている。
更にまた、本実施形態においては、コイルヘッド18bにキャンセルコイル32が設けられていると共に、ノイズ除去回路46からキャンセルコイル32に供給される高周波電圧によって、電力用コイル14aから生ぜしめられた磁束に起因して信号用コイル16bに生ぜしめられるノイズ起電力を軽減することが出来る。これにより、フィルタ回路などの複雑な構成を用いることなく、簡易な構成をもって信号用コイル16bから取り出される信号に混入するノイズをより有効に低減乃至は解消することが可能とされており、電力と信号を同時に伝送する場合でも、安定した信号の送受信を行うことが可能とされている。
なお、本実施形態における両コイルヘッド18a,18bを軸方向で互いに接触せしめた状態で電力及び信号の伝送を行うことも勿論可能である。このようにすれば、送受面となる端面34、34および36,36が互いに接触せしめられることから、コア部材12からの漏れ磁束をより有効に抑えることが出来て、より安定した伝送を行うことが可能となる。
次に、図5に、本発明の第二の実施形態に係る可動型伝送装置としての可動型トランス60を示す。なお、以下の説明において、前述の実施形態と実質的に同じ部材については、前述の実施形態と同一の符号を付することによって、詳細な説明を省略する。
可動型トランス60は、前述の第一の実施形態と略同様の構造とされたコイルヘッド18a,18bを備えている。そして、特に本実施形態においては、コイルヘッド18a、18bそれぞれのコア部材12において送受面となる端面34,36を除く外周部分の全体が、軸方向一方に開口する略有底円筒形状を有する低透磁率部材としてのギャップ部材62に覆われている。これにより、コア部材12の外周面30上に設けられた信号用コイル16a,16bおよびキャンセルコイル32が、ギャップ部材62に覆われている。ここにおいて、ギャップ部材62としては、比透磁率の小さな従来公知の部材が適宜に採用可能であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレンやエポキシ樹脂などが例示される。より好適には、ギャップ部材62としては、非導電性を有する部材が採用される。本実施形態においては、ギャップ部材62としてポリテトラフルオロエチレンが用いられている。
さらに、それぞれのコイルヘッド18a,18bにおいて、ギャップ部材62の外側には、軸方向一方に開口する略有底円筒形状を有する電磁遮蔽部材としてのシールド部材64が設けられている。シールド部材64は、例えばアルミニウムや銅などの非磁性材料から形成されている。そして、ギャップ部材62の外側がシールド部材64で覆われることによって、コア部材12の送受面となる端面34、36を除く外周部分と信号用コイル16a,16bの外周部分およびキャンセルコイル32の外周部分がシールド部材64に覆われるようになっている。
このような構造とされた可動型トランス60によれば、シールド部材64によって電磁遮蔽構造が構成されており、コア部材12から漏れ出す磁力線が、シールド部材64の外部に設けられた電子部品等に影響を与えるおそれや、シールド部材64の外部に設けられた電子部品等からの磁力線が電力用コア14a,14bや信号用コア16a,16bの電磁誘導作用に影響を与えるおそれが軽減されている。
また、コア部材12の外周面30上に透磁率の低いギャップ部材62が配設されていることによって、電力用コイル14aから生ぜしめられた磁束がコア部材12の外に飛び出すことをより有利に抑えることが出来る。これにより、電力用コイル14aから生ぜしめられる磁束が信号用コイル16aから生ぜしめられる磁束と干渉することをより有効に抑えることが出来て、より安定した伝送を行なうことが出来る。
さらに、特に本実施形態においては、コア部材12とシールド部材64との間にギャップ部材62が介在せしめられており、かかるギャップ部材62が非導電性材によって形成されている。これにより、磁力線の影響によってシールド部材64に渦電流が生ぜしめられることも抑えられており、渦電流によって電力用コイル14a、14bや信号用コイル16a,16bの磁気エネルギーが減少せしめられるおそれも軽減されている。
なお、これらギャップ部材62やシールド部材64は、必ずしも両方のコイルヘッド18a,18bに設けられる必要は無く、コイルヘッド18a,18bの何れか一方にのみ設けても良い。また、ギャップ部材62およびシールド部材64の何れか一方のみを設けることも可能である。また、本実施形態におけるギャップ部材62およびシールド部材64は何れも有底円筒形状とされていたが、底部は必ずしも必要ではなく、これらギャップ部材62およびシールド部材64を、軸方向両側に開口する円筒形状とする等しても良い。
次に、図6に、本発明の第三の実施形態に係る可動型伝送装置としての可動型トランス70を示す。可動型トランス70は、前述の第一の実施形態と略同様の構造とされた一対のコイルヘッド18a,18bが軸方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられている。そして、特に本実施形態においては、銅などによって形成されたリード線が、同軸上に位置せしめられた両コア部材12,12の貫通孔20,20に跨って挿通されて、両コア部材12,12を跨いで所定回数巻回せしめられることによって、第三のコイル部材としての信号用コイル72a,72bが設けられている。換言すれば、信号用コイル72aおよび72b内に両コイルヘッド18a,18bのコア部材12,12が挿通せしめられている。なお、図6においては、理解を容易とするために、信号用コイル72a,72bの巻数は一周に満たない巻数とされているが、信号用コイル72a,72bの巻数は要求される伝送特性等を考慮して適宜に設定され得るものであり、例えば、幾重にも重ねて複数回巻回する等しても良い。
ここにおいて、本実施形態における可動型トランス70は、例えば一方のコイルヘッド18aと一方の信号用コイル72aが互いに相対回動せしめられる部材74a,74b(図7参照)の一方の部材74aに装着されると共に、他方のコイルヘッド18bと他方の信号用コイル72bが他方の部材74bに装着される。これにより、コイルヘッド18aと信号用コイル72a,およびコイルヘッド18bと信号用コイル72bがそれぞれ、コイルヘッド18a,18bの中心軸回りで回動可能とされている。なお、特に本実施形態においては、信号用コイル72a,72bはそれぞれ、コア部材12に対して接触することなく巻装せしめられているが、例えば、一方の信号用コイル72aをこれと一体的に変位せしめられるコイルヘッド18aのコア部材12にのみ固定すると共に、他方の信号用コイル72bをこれと一体的に変位せしめられるコイルヘッド18bのコア部材12にのみ固定する等しても良い。このようにしても、コイルヘッド18aと信号用コイル72aが、コイルヘッド18bと信号用コイル72bに対してコイルヘッド18a,18bの中心軸回りで回動可能とすることが出来る。
そして、本実施形態における可動型トランス70は、例えば図7に示すように、前述の第一の実施形態と同様に、コイルヘッド18aにおける電力用コイル14aを形成するリード線および信号用コイル16aを形成するリード線が、それぞれ、部材74aに設けられたインバータ38および通信用回路40と電気的に接続されると共に、コイルヘッド18bにおける電力用コイル14bを形成するリード線および信号用コイル16bを形成するリード線が、それぞれ、部材74bに設けられた整流安定化回路42および通信用回路44と電気的に接続される。更に、部材74aと一体的に変位せしめられる信号用コイル72aを形成するリード線が、部材74aに設けられた通信用回路76と電気的に接続される一方、部材74bと一体的に変位せしめられる信号用コイル72bを形成するリード線が、部材74bに設けられた通信用回路78と電気的に接続されている。なお、これら通信用回路76,78は、前述の第一の実施形態における通信用回路40、44と略同様の構造とされたものである。
そして、前述の第一の実施形態と同様に、電力用コイル14a,14bの間で電力の伝送が行なわれると共に、信号用コイル16a,16bの間で信号の送受信が行なわれる。加えて、特に本実施形態においては、信号用コイル72a,72bの間でも信号の送受信が行なえるようにされている。
先ず、信号用コイル72aが接続された通信用回路76によって、部材74aに設けられた図示しない制御回路等によって生成された信号が、高周波電圧に重畳された後に、信号用コイル72aに供給される。なお、信号が重畳される高周波電圧は、通信用回路76によって生成されるようになっており、その周波数は、信号のデータサイズや使用環境等によって異なるものであるが、本実施形態においては、100Hz〜10GHz程度の範囲内で適当に設定されている。
そして、信号用コイル72aに高周波電圧が給電されることによって、信号用コイル72aを貫き、出力周波数に応じて変化する磁束が発生する。ここにおいて、本実施形態においては、信号用コイル72a内にコア部材12,12が挿通されていることによって、信号用コイル72aを貫く磁束の略全てがコア部材12,12の中を通るようにされている。そして、コア部材12,12によって閉磁路が形成されており、信号用コイル72aに発生した磁束は、コア部材12,12に対して外挿せしめられている信号用コイル72bと鎖交することとなる。その結果、信号用コイル72a,72bが電磁結合せしめられて、信号用コイル72bに、相互誘導作用による誘導起電力が生じることとなり、信号用コイル72aに供給された高周波電圧が、信号用コイル72bから取り出される。
このようにして、信号用コイル72aから信号用コイル72bに電力が非接触の状態で伝送される。そして、信号用コイル72bから取り出された高周波電圧に重畳されている信号は、通信用回路78によって取り出された後に、部材74bに設けられた図示しない各種の制御回路等に送信される。このように、本実施形態においては、信号用コイル72a,72bによって第三のコイル部材の一対が構成されており、これら信号用コイル72a,72bによって構成される第三の伝送路が、信号を伝送する信号用伝送路とされている。
なお、例えば部材74bから部材74aに信号を送信することも可能である。そのような場合には、前述の如き部材74aから部材74bに信号を送信した場合とは逆に、部材74bに設けられた図示しない制御回路等によって生成された信号が、通信用回路78で高周波電圧に重畳されて信号用コイル72bから信号用コイル72aにコア部材12,12を介して無接触の状態で伝送された後に、通信用回路76によって高周波電圧から取り出されることとなる。
このような構造とされた可動型トランス70においては、コア部材12の周方向に延びる磁路を用いて信号用コイル72a,72bが電磁結合せしめられるようになっており、これら信号用コイル72a,72bの間で信号の伝送を行なうことが可能とされている。即ち、コイルの芯がコア部材12の軸方向に延びる電力用コイル14aや信号用コイル16aによってコア部材12に及ぼされる軸方向の磁気モーメントに対して、コイルの芯がコア部材12の周方向に延びる信号用コイル72aによって、コア部材12の周方向の磁気モーメントが合成される。そして、合成された磁気モーメントの周方向成分によって信号用コイル72bに誘導起電力が生ぜしめられることとなり、信号用コイル72aと信号用コイル72bとの間で信号の送受信を行なうことが可能となるのである。これにより、本実施形態においては、第一乃至第三の3つの伝送路を共通のコア部材12を用いて形成することが可能とされており、第一の伝送路による電力の伝送路と、第二及び第三の伝送路による2chの信号の伝送路をコンパクトに形成することが出来る。
なお、本実施形態においては、理解を容易とするために、前述の第一の実施形態におけるキャンセルコイル32を除いた態様を例示したが、かかるキャンセルコイル32を設けることも、勿論可能である。
以下に、前述の第一の実施形態における可動型トランス10を例に、本発明に従う構造とされた可動型伝送装置の適用例を示す。但し、以下に示す適用例はあくまでも例示であって、本発明に従う構造とされた可動型伝送装置の適用例が以下に限定されることを示すものではないことが理解されるべきである。
例えば、本発明に従う構造とされた可動型伝送装置は、図8に示すような駆動装置90に好適に適用される。駆動装置90は、基台92に対して、回転板94が回転可能に組み付けられた構造とされている。基台92には電動モータ96が設けられており、かかる電動モータ96の出力軸98に、回転板94が取り付けられている。これにより、回転板94は、基台92に対して所定距離を隔てた状態で出力軸98回りに無限に回転可能とされている。
そして、基台92に、前述の第一の実施形態における可動型トランス10の一方のコイルヘッド18aが設けられると共に、回転板94に、他方のコイルヘッド18bが設けられる。ここにおいて、これら両コイルヘッド18a,18bは、端面34,36を互いに対向位置せしめた状態で同軸上に配設されており、電動モータ96の出力軸98は、これらコイルヘッド18a,18bの貫通孔20、20に挿通されて回転板94に取り付けられている。これにより、両コイルヘッド18a,18bが、中心軸回りで無限に相対回転可能とされている。
このようにすれば、互いに非接触とされて無限に相対回転せしめられる基台92と回転板94との間で、電力および信号の伝送を行うことが出来る。そして、本発明に従う構造とされた可動型トランス10を用いることによって、これら基台92と回転板94間の電気信号の伝送経路をよりコンパクトに構成することが可能となる。
また、図9に、前述の第一の実施形態における可動型トランス10のコレステリック液晶表示装置100への適用例を示す。コレステリック液晶表示装置100は、互いに独立して別体形成された液晶表示装置としての液晶表示器102と、液晶表示器102に電力を供給すると共に制御信号の送受信を行なうことによって液晶表示器102の作動を制御する表示制御装置としてのコントローラ104とを含んで構成されている。
より詳細には、液晶表示器102の内部には、図10および図11に示す液晶モジュール106が収容されている。液晶モジュール106は、例えばシリコン等から形成された絶縁性を有する基板108の一方の面に、コレステリック液晶素子としての液晶パネル110が設けられる一方、液晶パネル110の反対側の面には、液晶パネル110の作動を制御するための駆動回路112や前述の第一の実施形態における整流安定化回路42および通信用回路44等の各種の電子部品が設けられている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、表面とは液晶パネル110が設けられた面を言い、裏面および背面とは、液晶パネル110と反対側の面を言うものとする。
液晶パネル110は、従来公知のコレステリック液晶を用いた液晶パネルであり、コレステリック液晶の特徴である双安定性を利用することによって、電圧が印加されずともその表示内容が維持出来るようにされている。かかる液晶パネル110には、行電極を1行毎に順次走査する走査ドライバ回路114と、表示しようとする画像データに基づいて、走査された行電極上の所望する列に対応する列電極に駆動電圧を印加するデータドライバ回路116が接続されている。これら走査ドライバ回路114およびデータドライバ回路116はフラットケーブル118と電気的に接続されており、かかるフラットケーブル118が基板108を回り込んで、基板108における液晶パネル110の反対側の面に設けられたコネクタ120と接続されることによって、駆動回路112等と電気的に接続されている。
そして、基板108における液晶パネル110と同じ面上の隅部(本実施形態においては、図10中、右下隅部)に、前述の第一の実施形態におけるコイルヘッド18bが設けられており、電力用コイル14bを形成するリード線が整流安定化回路42と電気的に接続される一方、信号用コイル16bを形成するリード線が通信用回路44と電気的に接続されている。更に、基板108には、前述のノイズ除去回路46が設けられており、コイルヘッド18bに設けられたキャンセルコイル32を形成するリード線と電気的に接続されている。但し、キャンセルコイル32およびノイズ除去回路46は必ずしも必要ではない。かかるコイルヘッド18bは、液晶モジュール106を収容するケース122の表面に開口せしめられた開口部124を通じて、送受面となる端面34、36が、液晶表示器102の表面に露出せしめられるようになっている。
一方、コントローラ104は、入力装置126に送信機128が接続された構造とされている。入力装置126は、数値や文字を入力可能なキーボードやボタン等によって構成された入力部130と、入力内容や各種情報を表示可能な液晶表示板等によって構成された表示部132を備えている。
そして、入力装置126には、入力装置126の駆動電力を供給すると共に、液晶表示器102に駆動電力を供給するための給電回路としての電源回路134や、入力部130からの入力情報に基づいて液晶表示器102の作動を制御するコントロール回路としての制御回路136等が内蔵されている。
さらに、入力装置126には、接続ケーブル138を介して送信機128が接続されている。送信機128は、略棒形状とされた把持部140を有しており、かかる把持部140の一方の端部から、接続ケーブル138が延び出されている一方、他方の端部には、把持部140の延出方向から略直角に屈曲せしめられて先端部が開口せしめられた開口部142が形成されている。そして、開口部142内に、前述の第一の実施形態におけるコイルヘッド18aが、送受面となる端面34,36を表面に露出せしめた状態で配設されていると共に、電力用コイル14aを形成するリード線がインバータ38と電気的に接続される一方、信号用コイル16aを形成するリード線が通信用回路40と電気的に接続されている。
このような構造とされたコレステリック液晶表示装置10は、液晶表示器102の表示内容を更新する場合には、コントローラ104に適当な書換情報を入力した後に、送信機128に設けられたコイルヘッド18aと液晶表示器102に設けられたコイルヘッド18bとを重ね合わせて両コイルヘッド18a,18bの軸方向で対向位置せしめることによって、両コイルヘッド18a,18bの端面34,34および端面36,36を互いに接触乃至は所定距離を隔てた状態で対向位置せしめる。
そして、コントローラ104の電源回路134から電力用コイル14a,14bを通じて電力が供給されることによって、液晶表示器102の駆動回路112や走査ドライバ回路114、データドライバ回路116等の各電子部品が作動可能な状態とされる。更に、コントローラ104の制御回路136から信号用コイル16a,16bを通じて駆動回路112に制御信号が送信される。また、ノイズ除去回路46からキャンセルコイル32に所定の高周波電圧が供給されることによって、駆動回路112に送信される制御信号に混入するノイズが軽減される。これにより、駆動回路112は、受信した制御信号に基づいて走査ドライバ回路114およびデータドライバ回路116の作動を制御することによって、液晶パネル110に目的とする画像を表示する。そして、本適用例においては、液晶パネル110としてコレステリック液晶が用いられていることから、両コイルヘッド18a,18bを離して、液晶表示器110への電力の供給を停止しても、表示内容が維持される。
なお、例えば液晶パネル110の書き換えが完了したことを通知する制御信号を液晶表示器102からコントローラ104に向けて送信することも勿論可能である。そのような場合には、コントローラ104から液晶表示器102へ制御信号を送信した場合とは逆に、液晶表示器102の駆動回路112によって生成された制御信号が液晶表示器102側の通信用回路44で高周波電圧と重畳されて、信号用コイル16b,16aを介してコントローラ104側の通信用回路40に伝送された後に、通信用回路40によって高周波電圧から取り出されて制御回路136に送信される。
このようにすれば、共通のコア部材12を用いて電力と信号の両方を伝送することによって、液晶表示器102とコントローラ104との電気的な接続部をコンパクトに構成することが出来る。これにより、液晶表示器102の更なる小型化を図ることが出来て、例えば液晶表示器102をスーパーの商品棚に取り付けられる値札等のように比較的小さな部材寸法をもって構成する場合に、特に好適に用いることが出来る。
また、両コイルヘッド18a,18bを互いに対向位置せしめるのみで液晶表示器102とコントローラ104との電気的な接続が行なえることから、接続も容易に行なうことが出来る。更に、コネクタなどのような物理的な嵌合が不要とされることから、繰り返しの接続によって接続部分を物理的に損傷せしめるおそれも軽減することが出来る。加えて、両コイルヘッド18a,18bは周方向に相対変位可能とされていることから、接続に際して周方向位置を意識することも不要とされており、より容易に接続することが出来る。
さらに、特に本適用例における液晶表示装置102は、液晶パネル110としてコレステリック液晶を備えていることから、電力を供給せずとも、表示内容を維持することが可能とされている。そこで、可動型トランス10を用いて制御信号と共に作動に必要な電力を液晶表示器102の外部から併せて供給することによって、液晶表示器102内に電源装置を内蔵せしめるようなことも不要とすることが出来て、液晶表示器102の更なるコンパクト化および省電力化を図ることが出来る。
以上、本発明の幾つかの実施形態と適用例について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態および適用例における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、信号用コイル16a,16bやキャンセルコイル32は、必ずしもコア部材12に接触して巻回せしめられている必要は無く、コア部材12の周りに所定距離を隔てて周方向に延びるように形成する等しても良い。
また、キャンセルコイル32は必ずしもコア部材12の外周面30上にのみ設けられるものではなく、例えばリード溝22内に設ける等しても良い。また、前述のノイズ除去回路46は予め設定した所定の高周波電圧をキャンセルコイル32に供給するようにされていたが、例えば、信号用コイル16bに生ぜしめられるノイズ起電力を検出して、かかる検出結果に応じてキャンセルコイル32に供給する高周波電圧の周波数や電圧を変化せしめる等しても良い。
さらに、互いに対向位置せしめられる両コア部材12,12は同様の構造とされて、互いに略等しい内径寸法および外径寸法を有していたが、これらの寸法は必ずしも互いに等しくされている必要は無いのであって、伝送に支障が生じない程度に異ならされていても良い。
また、前述の実施形態におけるコア部材は、略円環形状を有する所謂ポット型コアとされていたが、本発明において用いられるコア部材は必ずしもポット型コアに限定されるものではない。例えば図13及び図14に、本発明の更に異なる態様としての可動型トランス150を示す。
可動型トランス150は、前述の実施形態と略同様に、コア部材152に第一のコイル部材としての電力用コイル14aおよび第二のコイル部材としての信号用コイル16aが組み付けられて構成されたコイルヘッド154aと、コア部材152に第一のコイル部材としての電力用コイル14bおよび第二のコイル部材としての信号用コイル16b、ノイズ抑制用コイル部材としてのキャンセルコイル32が組み付けられて構成されたコイルヘッド154bが対向位置せしめられた構造とされている。ここにおいて、特に本態様におけるコア部材152は、E字状の断面形状を有する所謂E型コアとされており、その中央部分には、軸方向(図14中、上下方向)の一方に突出する中央壁部としての中央突部156が形成されている一方、かかる中央突部156を挟んだ両側に、溝部としてのリード溝158を隔てて中央突部156と同方向に突出する外壁部としての外側突部160が一体的に形成されている。
そして、コア部材152の中央突部156に電力用コイル14a,14bが巻回されることによって、電力用コイル14a,14bがリード溝158内に配設される一方、外側突部160の外面162を含むコア部材152の最外周面上に、信号用コイル16a,16bが巻回されている。また、コイルヘッド154bを構成するコア部材152の最外周面上には、キャンセルコイル32が巻回されている。これにより、コイルヘッド154a,154bが構成されており、これらコイルヘッド154a,154bにおけるリード溝158の開口側の軸方向端面164が、コイルヘッド154a,154bの軸方向で対向位置せしめられている。
このような構造とされた可動型トランス150においては、前記実施形態と略同様に、電力用コイル14aから生ぜしめられた磁束BPは、コア部材152の外面162からの飛び出しが抑えられて、中央突部156および外側突部160の内側部分を通ると共に、信号用コイル16aから生ぜしめられた磁束BSは、外側突部160の外側部分を通る。これにより、電力用コイル14aから生ぜしめられる磁束BPと信号用コイル16aから生ぜしめられる磁束BSとの干渉が軽減されており、ノイズの混入を抑えた伝送が可能とされる。また、前記実施形態と同様に、キャンセルコイル32から生ぜしめられる磁束が、信号用コイル16bに生ぜしめられるノイズ起電力を軽減するようにされている。このように、本発明において用いられるコア部材は必ずしもポット型コアに限定されるものではなく、従来公知の各種形状のコア部材が適宜に採用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としての可動型伝送装置を説明するための説明図。 同可動型伝送装置を説明するための断面説明図。 同可動型伝送装置を構成するコイルヘッドの一方を説明するための上面説明図。 同可動型伝送装置を概略的に説明するブロック図。 本発明の第二の実施形態としての可動型伝送装置を説明するための断面説明図。 本発明の第三の実施形態としての可動型伝送装置を説明するための説明図。 同可動型伝送装置を概略的に説明するブロック図。 本発明の可動型伝送装置の適用例を説明するための一部断面説明図。 本発明の可動型伝送装置の異なる適用例を説明するための説明図。 同適用例における液晶モジュールの表面を説明するための説明図。 同液晶モジュールの裏面を説明するための説明図。 図10に示した適用例を概略的に説明するブロック図。 本発明の可動型伝送装置の異なる態様を説明するための説明図。 同可動型伝送装置を説明するための断面説明図。
符号の説明
10:可動型トランス、12:コア部材、14a,b:電力用コイル、16a,b:信号用コイル、18a,b:コイルヘッド、20:貫通孔、22:リード溝、24:底壁部、26:内周壁部、28:外周壁部、30:外周面、32:キャンセルコイル、34:端面、36:端面

Claims (11)

  1. 中央壁部の外周側に外壁部が形成されて該中央壁部と該外壁部の間において軸方向一方の端面に開口する溝部が形成された透磁性材からなるコア部材に対して、該溝部に第一のコイル部材が組み付けられると共に、該外壁部の外周面に第二のコイル部材が組み付けられることによってコイルヘッドが構成されている一方、該コイルヘッドの一対が用いられて、かかる一対のコイルヘッドが同一中心軸上で配されていると共に、各該コイルヘッドの該コア部材における該溝部の開口側の軸方向端面が相互に対向位置せしめられており、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第一のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第一の伝送路が構成されていると共に、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第二のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第二の伝送路が構成されており、更に、
    前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記コア部材にノイズ抑制用コイル部材が設けられていることを特徴とする可動型伝送装置。
  2. 前記第一の伝送路が電力を伝送する電力用伝送路とされていると共に、前記第二の伝送路が信号を伝送する信号用伝送路とされている一方、前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記外壁部の外周面上に前記ノイズ抑制用コイル部材が設けられた請求項に記載の可動型伝送装置。
  3. 前記電力用伝送路を通じての電力伝送に伴って前記信号用伝送路に生ぜしめられるノイズ起電力に対応して、該ノイズ起電力を低減する逆起電力を該信号用伝送路に生ぜしめるだけの磁界を、前記ノイズ抑制用コイル部材への通電によって惹起させるノイズ抑制用給電手段が設けられた請求項に記載の可動型伝送装置。
  4. 中央壁部の外周側に外壁部が形成されて該中央壁部と該外壁部の間において軸方向一方の端面に開口する溝部が形成された透磁性材からなるコア部材に対して、該溝部に第一のコイル部材が組み付けられると共に、該外壁部の外周面に第二のコイル部材が組み付けられることによってコイルヘッドが構成されている一方、該コイルヘッドの一対が用いられて、かかる一対のコイルヘッドが同一中心軸上で配されていると共に、各該コイルヘッドの該コア部材における該溝部の開口側の軸方向端面が相互に対向位置せしめられており、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第一のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第一の伝送路が構成されていると共に、かかる一対のコイルヘッドにおける各該第二のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第二の伝送路が構成されており、更に、
    前記一対のコア部材が中心軸上を貫通する貫通孔を有する環形状とされていると共に、これら一対のコア部材の該貫通孔に跨って挿通されて該一対のコア部材に跨って巻装された第三のコイル部材の一対を設けて、該第三のコイル部材の一対が電磁結合の状態で連結されることによって電力及び信号の少なくとも一方の伝送を行なう第三の伝送路が構成されている可動型伝送装置。
  5. 略環形状の透磁性材に対して前記溝部としての周溝が形成されることによって前記中央壁部としての該周溝の内周壁部と前記外壁部としての該周溝の外周壁部が形成された前記コア部材とされていると共に、前記第一のコイル部材が該内周壁部と該外周壁部の対向面間を該周溝に沿って周方向に延びるように該コア部材に組み付けられている一方、前記第二のコイル部材が該外周壁部の外周面上を周方向に延びるように該コア部材に組み付けられている請求項1乃至4の何れか一項に記載の可動型伝送装置。
  6. 前記第一の伝送路が電力を伝送する電力用伝送路とされていると共に、前記第二の伝送路が信号を伝送する信号用伝送路とされている請求項1乃至5の何れか一項に記載の可動型伝送装置。
  7. 前記一対のコイルヘッドが前記中心軸回りに相対回転可能に配されている請求項1乃至の何れか一項に記載の可動型伝送装置。
  8. 前記一対のコイルヘッドを構成する各前記コア部材が、互いに離隔して対向位置せしめられている請求項1乃至の何れか一項に記載の可動型伝送装置。
  9. 前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記コア部材の外側に電磁遮蔽部材が設けられている請求項1乃至8の何れか一項に記載の可動型伝送装置。
  10. 前記一対のコイルヘッドの少なくとも一方において、前記コア部材の外側に低透磁率部材が設けられている請求項1乃至9の何れか一項に記載の記載の可動型伝送装置。
  11. コレステリック液晶素子および該コレステリック液晶素子の駆動回路を含んで構成された液晶表示装置に前記一対のコイルヘッドの一方が装着されると共に、該液晶表示装置と独立して別体形成されて、該液晶表示装置の該駆動回路との間で表示制御信号を送受信するコントロール回路および電力を供給する給電回路を含んで構成された表示制御装置に該一対のコイルヘッドの他方が装着されて構成される一方、前記第一の伝送路が電力を伝送する電力用伝送路とされていると共に、前記第二の伝送路が信号を伝送する信号用伝送路とされている請求項1乃至1の何れか一項に記載の可動型伝送装置。
JP2007311751A 2007-11-30 2007-11-30 可動型伝送装置 Expired - Fee Related JP4999177B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007311751A JP4999177B2 (ja) 2007-11-30 2007-11-30 可動型伝送装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007311751A JP4999177B2 (ja) 2007-11-30 2007-11-30 可動型伝送装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009135842A JP2009135842A (ja) 2009-06-18
JP4999177B2 true JP4999177B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=40867276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007311751A Expired - Fee Related JP4999177B2 (ja) 2007-11-30 2007-11-30 可動型伝送装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4999177B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4125145A1 (de) * 1991-07-30 1993-02-04 Schwan Ulrich Uebertragungseinrichtung
JP3493537B2 (ja) * 1995-04-10 2004-02-03 オムロン株式会社 無線電力伝送装置
JP3700867B2 (ja) * 1995-09-01 2005-09-28 株式会社安川電機 無接触式電力と信号の伝送装置およびその製造方法
JPH1093484A (ja) * 1996-09-13 1998-04-10 Omron Corp データキャリア
JP3896965B2 (ja) * 2002-01-17 2007-03-22 三菱マテリアル株式会社 リーダ/ライタ用アンテナ及び該アンテナを備えたリーダ/ライタ
JP3919100B2 (ja) * 2002-10-29 2007-05-23 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 携帯通信端末
JP2007306201A (ja) * 2006-05-10 2007-11-22 Konica Minolta Holdings Inc 情報端末装置および無線通信システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009135842A (ja) 2009-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5335226B2 (ja) 可動型伝送装置
JP6481672B2 (ja) 回転型磁気結合装置
CN106888038A (zh) 通信装置
US20170033674A1 (en) Driving apparatus
JP2018512034A (ja) 金属バックプレート上の多巻きコイル
JP2018064002A (ja) 回転型磁気結合装置
JP2013254890A (ja) コイル部品
KR102050358B1 (ko) 전위측정장치
KR20160010981A (ko) 2단 노이즈 필터 및 이를 포함하는 전자장치
JP2010147420A (ja) 基板間伝送装置並びに電子装置並びに機器
JP2009135843A (ja) 表示器
US8044754B2 (en) Transformer for reducing electromagnetic interference and power transform circuit applied therein
JP4999176B2 (ja) 駆動装置
JP4999177B2 (ja) 可動型伝送装置
WO2018092569A1 (ja) 電子機器
KR102531048B1 (ko) 회전형 연결부용 무선전력 전송 시스템
JP2008004895A (ja) インバータトランス
KR20140141982A (ko) 노이즈 필터 및 이를 포함하는 전자장치
JP2018056215A (ja) 非接触伝送モジュール、撮像装置及びロボットハンド
JP6834698B2 (ja) 磁気結合装置およびこれを用いたワイヤレス電力伝送システム
KR101870877B1 (ko) 모바일 기기용 안테나 구조
JP2011066628A (ja) 平行2線ループアンテナ磁界とその応用システム
JP2009134191A (ja) 表示装置
CN108401472A (zh) 均匀的无线充电设备
JP2009134193A (ja) 表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120509

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120514

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees