JP4478135B2 - アンテナコイル - Google Patents
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(1)前記スリットは、前記シールド部材の一方の辺を出発点として直線状に伸びて前記コイル部の中心部分を貫きつつ、対向する辺に達しない長さで形成され、前記スリットとは、別に、前記スリットが出発点とする辺と反対の辺を出発点として、前記スリットの両側に2本の他のスリットが形成されている。
(2)前記スリットとは、別に、前記コイル部の中心部分で、前記スリットと中心が直交する他のスリットが形成され、この他のスリットは、前記シールド部材の辺よりも短く形成されている。
[構成]
本発明の第1の実施形態の構成を、図1及び図2を参照して説明する。すなわち、図1に示すように、本実施形態のアンテナコイル1は、空芯コイル2が設けられた基板3と、磁性部材4、シールド部材5を、互いに平行に積層することによって構成されている。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した複数の実施例と比較例に基づいて説明する。
[スリット長の異なる実施例]
まず、スリット長の異なる複数の実施例を作製した。基板3、磁性部材4及びシールド部材5の大きさは、75×70mmとした。シールド部材5は、アルミニウム板で、厚さ1.0mmのものを用いた。そして、スリット6の深さは、1.0mm(厚み方向に貫通)、幅0.8mmとして、スリット6の長さ(この例では、図1に示すようなシールド部材5の一辺を一端とする直線状の距離)について異なる実施例1〜7を作製した。実施例1〜7は、それぞれスリット6の長さを、1、2、3、4、5、6、7.5cmとした。なお、基板3と磁性部材4との間には間隙はない。
次に、スリット幅の異なる複数の実施例を作製した。各部材は、上記の実施例と同様のものを用いた。そして、図5に示すように、スリット6の深さを1.0mm(厚み方向に貫通)、長さ7.5cm(2つに分割)の一定として、幅が0.1〜3.0mmまでの異なる実施例8〜18を作製した。なお、基板3と磁性部材4との間には間隙はない。また、比較例2として、シールド部材5のスリット6がない(0.0mm)以外は、実施例8〜18と同様のものを作製した。
[構成]
本発明の第2の実施形態の構成を、図7を参照して説明する。すなわち、本実施形態のアンテナコイル1は、空芯コイル2が設けられた基板3と、磁性部材4との間に空隙が形成されるように、スペーサ7が挿入されている。スリット6は、図2に示したものと同様である。その他の構成についても、上記の第1の実施形態と同様である。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した複数の実施例と比較例に基づいて説明する。
[空隙の異なる実施例]
まず、空隙の異なる複数の実施例を作製した。基板3、磁性部材4及びシールド部材5の大きさは、75×70mmとした。磁性部材4の厚さは2.0mm、アルミニウム製のシールド部材5の厚さは1.0mmとした。スリット6の深さは、1.0mm(厚み方向に貫通)、幅0.8mm、長さ70mmとした。そして、基板3と磁性部材4との空隙が異なる実施例20を作製した。空隙は、0、2.4、4.0、7.2mmとした。なお、空隙が0のものは、上記の第1の実施形態と同様である。
上記の比較例3(A)、比較例4(B)と実施例20(C)について、外部に金属があるものを作製し、それぞれにおける通信距離を測定した結果を、表4に示す。また、表4における空隙(スペーサ高さ)が0mmの場合の通信距離の比較を、図12のグラフに示す。さらに、表4をグラフ化したものを、図13に示す。
[構成]
本発明の第3の実施形態の構成を、図14〜図17を参照して説明する。すなわち、本実施形態は、基本的には上記第1の実施形態(スペーサ7無し)、第2の実施形態(スペーサ7有り)と同様の構成である。但し、本実施形態は、図14及び図15に示すように、シールド部材5のスリット6が、複数本形成されている点に特徴を有している。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した複数の実施例に基づいて説明する。
[スリット形状の異なる実施例]
まず、図2に示したように、長さ60mmの1本のスリット6を形成したものを実施例21(D)とし、図14に示すように、長さ60mmの3本のスリット6を、空芯コイル2の内側とスリット6及びスリット6同士の間隔lが、16mmとなるように形成したものを実施例22(E)とした。
以上の実施例21〜24について、外部に金属があるものを作製し、それぞれにおける通信距離を測定した結果を、表5に示す。また、外部に金属があるものを作製し、それぞれにおけるスペーサ高さ(空隙)と通信距離の関係を測定した結果を、図18のグラフに示す。
[構成]
本発明の第4の実施形態の構成を、図19及び図20を参照して説明する。すなわち、本実施形態は、基本的には上記第1の実施形態と同様の構成である。但し、本実施形態は、図19及び図20に示すように、シールド部材5のスリット6が、貫通型ではなく、ハーフカット型となっている点に特徴を有している。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した複数の実施例に基づいて説明する。
[ハーフカット型のスリットの実施例]
まず、図19に示すようなスリット6を、幅1.0mm、深さ0.5mmで形成したものを実施例25(H)、図20に示すような十字のスリット6を、幅1.0mm、深さ0.5mmで形成したものを実施例26(I)とした。基板3と磁性部材4との空隙は、0mm、シールド部材5の大きさは、75×70mm、厚さ1.0mmである。比較例としては、上記のスリット6の無い比較例3(B)のうち、基板3と磁性部材4との空隙が0mmのものを用いた。
以上の実施例25(H)、実施例26(I)、比較例3(B)について、外部に金属があるものを作製し、それぞれにおける通信距離を測定した結果を、表6に示す。また、表6をグラフ化したものを、図21に示す。
[構成]
本発明の第5の実施形態の構成を、図22を参照して説明する。すなわち、本実施形態は、ケース8の底面に、シールド部材5を固定して、磁性材料を含んだ樹脂でポッティングすることにより磁性部材4を形成し、空芯コイル2が設けられた基板3を積層することによって構成されている。シールド部材5には、厚み方向に貫通した直線上のスリット6が設けられている。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した実施例と比較例に基づいて説明する。
[ポッティング型の実施例]
まず、ポッティング型の実施例を作製した。ケース8の大きさは100×75mm、磁性部材4のポッティングの厚さは2mm、シールド部材5は大きさ75×70mm、厚み1mmで、スリット6の長さ70mm、幅0.8mmとしたものを、実施例27(K)とした。また、シールド部材5のスリット6がない以外は、実施例27と同様のものを作製して、比較例5(J)とした。その断面図を、図23に示す。
[構成]
本発明の第6の実施形態の構成を、図27を参照して説明する。すなわち、本実施形態は、磁性部材4の内部に、シールド部材5を埋め込んだ複合磁性シートを作製して、空芯コイル2が設けられた基板3を積層することによって構成されている。シールド部材5には、厚み方向に貫通した直線上のスリット6が設けられている。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した実施例と比較例に基づいて説明する。
[複合磁性シート型の実施例]
まず、複合磁性シート型の実施例を作製した。複合磁性シートの大きさは、75×70mm、厚さは3mm(磁性部材2mm)であり、使用したシールド部材5は、大きさ75×70mm、厚み1mmで、スリットは長さ70mm、幅0.8mmとしたものを、実施例28(M)とした。また、比較例として、シールド部材5のスリット6がない以外は、実施例28と同様のものを作製して、比較例5(L)とした。その断面図を、図28に示す。
[構成]
本発明の第7の実施形態の構成を、図32を参照して説明する。すなわち、本実施形態は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様の構成である。但し、本実施形態のアンテナコイル1は、図32に示すように、導体板11上に置かれた基板3上で、電力伝送を損失なく伝達するため、インピーダンスマッチングを行う(以下、マッチング作業と言う)点に特徴を有している。シールド部材5には、厚み方向に貫通した直線上のスリット6が設けられている。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した実施例と比較例に基づいて説明する。
[マッチング型の実施例]
まず、導体板11上でマッチング作業を行う実施例を作製した。シールド部材5は大きさ75×70mm、厚み1mmで、スリットの長さ70mm、幅0.8mmとし、導体板11上で、50Ωのマッチング作業を行ったものを、実施例29(O)とした。また、図33に示すように、絶縁体(非導体)10上に積層してマッチング作業を行う以外は、実施例29と同様のものを作製して、比較例6(N)とした。
[構成]
本発明の第8の実施形態の構成を、図35を参照して説明する。本実施形態は、例えば、RFIDリーダライタを小さく形成するときに、金属部品を実装している回路基板がアンテナコイルの下に配置される場合に適用されるものである。すなわち、図35に示すように、本実施形態は、ケース8の底面に、金属部材を実装している回路基板12を備え、その上方に、シールド部材5、磁性部材4、空芯コイル2が設けられた基板3を積層することによって構成されている。シールド部材5には、厚み方向に貫通した直線上のスリット6が設けられている。
以上のような本実施形態の作用効果を、実際に作製した実施例と比較例に基づいて説明する。
[金属部品実装型の実施例]
まず、金属部品実装型の実施例を作製した。ケース8の大きさは55×40mm(外形)、51×36mm(内形)、高さ15mm、金属部品を実装した回路基板12の大きさ42×35mm、基板3の大きさ50×20mm、磁性部材4の大きさ50×35mm、厚さ1mm、シールド部材5の大きさ50×20mm、厚さ1mmで、スリット6の長さ45mm、幅0.8mmとしたものを、実施例30(Q)とした。また、シールド部材5のスリット6がない以外は、実施例30と同様のものを作製して、比較例7(P)とした。その断面図を、図36に示す。
[構成]
本発明の第1の参考例の構成を、図40を参照して説明する。すなわち、本参考例は、基本的には上記第1の実施形態と同様の構成である。但し、本参考例は、図40に示すように、シールド部材5のスリット6が、間隔を空けて形成されている点に特徴を有している。この図40の例では、スリット6は、シールド部材5の一方の辺と対向する辺から、それぞれ直線状に伸びていて、中央部分において途切れているいるため、スリット6が無い部分(長さX)が存在する。
以上のような本参考例の作用効果を、実際に作製した複数の実施例に基づいて説明する。
[スリット形状の異なる実施例]
まず、スリット6が無い部分の長さXが異なる実施例を作製した。基板3、磁性部材4及びシールド部材5の大きさは、75×70mm、磁性部材4の厚さ2.0mmとした。シールド部材5は、アルミニウム板で、厚さ1.0mmのものを用いた。そして、スリット6の深さは、1.0mm(厚み方向に貫通)、幅0.8mmとして、スリットが無い部分の長さXを、5.0、4.0、3.0、2.5、2.0、1.0、0.0cmとしたものを実施例31〜37とした。なお、実施例37は、図5と同様に、スリット6をシールド部材5の全長に亘って形成したものである。
以上の実施例31〜37と比較例8、9について、外部に金属があるものを作製し、それぞれにおける通信距離を測定した結果を、表11に示し、これをグラフ化したものを、図41に示す。
[構成]
本発明の第2の参考例の構成を、図42を参照して説明する。すなわち、本参考例は、基本的には上記第2の実施形態と同様の構成である。但し、本参考例は、図42に示すように、間隔を空けたスリット6が、シールド部材5に直交する方向に形成されている点に特徴を有している。この図42の例では、一方のスリット6の間隔(スリット6が無い部分の長さ)をX1、他方のスリット5の間隔(スリット6が無い部分の長さ)をX2とする。
以上のような本参考例の作用効果を、実際に作製した実施例に基づいて説明する。
[スリット形状の異なる実施例]
まず、スリット6が無い部分の長さX1、X2が同じ実施例を作製した。基板3、磁性部材4及びシールド部材5の大きさは、75×70mm、磁性部材4の厚さ2.0mmとした。シールド部材5は、アルミニウム板で、厚さ1.0mmのものを用いた。そして、スリット6の深さは、1.0mm(厚み方向に貫通)、幅0.8mmとして、スリットが無い部分の長さX1、X2を、いずれも1.0cmとしたものを、実施例38(S)とした。また、比較例10(R)として、スリット6が全く無い以外は、実施例38と同様のものを作製した。
以上の実施例38(S)と比較例10(R)について、外部に金属があるものを作製し、それぞれにおける通信距離を測定した結果を、表12に示し、これをグラフ化したものを、図43に示す。
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではなく、各部材の材質、大きさ、形状、数、配置等は、適宜変更可能であり、以下に説明する通り、種々の態様を含むものである。例えば、上記の第1の実施形態において、磁性部材として、あらかじめ作製された平板状の部材を用いたが、磁性材料を含んだ樹脂をシールド部材上に印刷若しくは塗布することにより、磁性部材を形成してもよい。シールド部材についても、導電性塗料を印刷若しくは塗布することににより構成してもよい。
2…空芯コイル
3…基板
4…磁性部材
4a…球状磁性材料層
4b…扁平状磁性材料層
5…シールド部材
6…スリット
7…スペーサ
8…ケース
9…樹脂層
10…絶縁体
11…導体板
12…回路基板
Claims (2)
- 平面内で渦巻き状に巻回されたコイル部と、平板状の磁性部材と、金属製のシールド部材とを備えたアンテナコイルにおいて、
前記シールド部材の面積は、前記コイル部の巻回内部を含む巻回面の面積と略同じ大きさであり、
前記シールド部材にスリットが設けられ、
前記スリットは、前記コイル部の中心部分を貫くように設けられるとともに、スリットの長さが前記コイル部の長径の半分程度以上であり、
前記スリットは、前記シールド部材の一方の辺を出発点として直線状に伸びて前記コイル部の中心部分を貫きつつ、対向する辺に達しない長さで形成され、
前記スリットとは、別に、前記スリットが出発点とする辺と反対の辺を出発点として、前記スリットの両側に2本の他のスリットが形成されたことを特徴とするアンテナコイル。 - 平面内で渦巻き状に巻回されたコイル部と、平板状の磁性部材と、金属製のシールド部材とを備えたアンテナコイルにおいて、
前記シールド部材の面積は、前記コイル部の巻回内部を含む巻回面の面積と略同じ大きさであり、
前記シールド部材にスリットが設けられ、
前記スリットは、前記コイル部の中心部分を貫くように設けられるとともに、スリットの長さが前記コイル部の長径の半分程度以上であり、
前記スリットとは、別に、前記コイル部の中心部分で、前記スリットと中心が直交する他のスリットが形成され、
この他のスリットは、前記シールド部材の辺よりも短く形成されたことを特徴とするアンテナコイル。
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