JP4883136B2 - コイルアンテナ - Google Patents

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Description

この発明は、外部機器と電磁界信号を介して通信するRFID(Radio Frequency Identification)システム等に用いられるコイルアンテナに関するものである。
RFIDシステムで用いられる携帯電子機器に搭載されるコイルアンテナが例えば特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示されている。
図1は特許文献1に記載されるアンテナコイルの構造を示す上面図である。図1に示されるアンテナコイル30は、フィルム32a上の平面内で導体31(31a,31b,31e,31d)を渦巻き状に巻回して構成された空芯コイル32と、その空芯コイル32の平面とほぼ平行となるように空芯コイル32に挿入された平板状の磁芯部材33とを備えている。空芯コイル32には孔32dが設けられ、この孔32dに磁芯部材33が挿入されている。第1ターミナル31aと連結導体31eとはスルーホール32bで連結され、第2ターミナル31bと連結導体31eとはスルーホール32cで連結されている。そして、この磁性体アンテナが導電板34上に配置されている。
また、特許文献2のアンテナコイルは、平面体からなるアンテナ磁心がアンテナコイルの空芯部内に挿通されつつ、アンテナコイルと実質的に同一平面を構成するように配置されている。
特許文献3のコイルアンテナは、平面上に巻いた複数のコイルが同一中心軸上に多層に配置され、各層のコイルが直列に接続されて、各層のコイル間に透磁率の高い部材が配設されている。
特開2002−325013号公報 特開2002−373319号公報 特開2005−94319号公報
一般に、コイルアンテナは、所定の共振周波数で共振させるために要するインダクタンスが得られれば、コイルの巻き数が多く、コイルの損失が小さく、磁心が太いほどコイルアンテナとしての特性が向上し、通信性能が良くなる。しかし、特許文献1〜3に示されているコイルアンテナにおいては次のような問題があった。
特許文献1,2のアンテナコイルは、コイルの巻き数を増やそうとすると磁性体コアを細くする必要がある、磁性体コアを太くするとコイルの巻き数が増やせない、コイル導体の線幅を細くして巻き数を増やすとコイルの損失が大きくなる、といった問題がある。
また、特許文献1のアンテナコイルは、図1に示されているように、背後の導電板34に平行な磁束と結合させる構造である。そのため、例えば携帯電話端末に搭載した場合に、筐体内部の回路基板に平行に実装すると、携帯電話端末をリーダライタの面に対して平行にかざして使用する、といったことができないという問題がある。
特許文献3のコイルアンテナでは、透磁率の高い部材(磁性体コア)が縦方向を向いているため、このコイルアンテナを導体板上に置くと通信できない。
そこで、この発明の目的は、導体板に近接配置しても作用し、通信相手側アンテナとの結合度が高く小型のコイルアンテナを提供することにある。
前記課題を解決するためにこの発明のコイルアンテナは、次のように構成する。
(1)磁性体コアと、この磁性体コアの周囲に巻回されるコイル導体とを備え、
前記コイル導体は、複数ターンのコイル導体パターンで構成されるとともに、前記コイル導体パターンのうち、一つの基準とする軸に平行な導体パターンである軸平行部と、前記軸平行部に対し直交する導体パターンである軸直交部とを有し、
前記磁性体コアは、平面視で少なくとも前記軸直交部の一部と重なるように配置され、
前記軸平行部の導体パターンの配置間隔は前記軸直交部の導体パターンの配置間隔より狭くされ、
前記軸の向きは、前記コイル導体に電流が流れることにより前記磁性体コアに生じる主たる磁束の向きであることを特徴とする
(2)前記コイル導体は複数の層に構成され、各層のコイル導体のうち前記軸平行部は、互いに重なる位置に配置されている。
(3)前記コイル導体はフレキシブル基板に形成され、前記コイル導体パターンはコイル導体開口部の周囲に巻回された渦巻き状であり、前記フレキシブル基板は前記コイル導体開口部に対応する位置にを備え、前記磁性体コアは前記穴に挿通されている。
(4)前記コイル導体パターン互いに平行な二つの前記軸直交部を備える矩形の渦巻き状であり、前記磁性体コアは前記二つの軸直交部のうちの一方を覆っている。
(5)前記コイル導体はフレキシブル基板に形成され、前記コイル導体パターンはコイル導体開口部の周囲に巻回された渦巻き状であり、前記フレキシブル基板は前記コイル導体開口部で折り曲げられて、前記磁性体コアを包むように配置されている。
この発明によれば、次の効果を奏する。
(A)導体板に近接配置しても作用し、通信できる。
(B)同じアンテナサイズで磁性体コアを太くすることができるので、磁性体コアを通る磁束が多くなり、通信性能が良くなる。
(C)同じアンテナサイズでコイルの線幅を太くすることができるので、コイルの損失が小さくなり、通信性能が良くなる。
(D)コイルパターンのピッチを広げることで、通信相手側のアンテナコイルとの結合係数が大きくなり、通信性能が良くなる。
特許文献1に記載されるコイルアンテナの構造を示す正面図である。 第1の実施形態に係るコイルアンテナの構成を示す図である。図2(A)は、フレキシブル基板101の上面図である。図2(B)はコイル導体11の上層コイル導体部11Sの形状を示す図である。図2(C)はコイル導体11の下層コイル導体部11Uの形状を示す図である。図2(D)は下層コイル導体部11Uと上層コイル導体部11Sとが重なった状態を示す図である。 図3(A)はコイルアンテナ201の上面図、図3(B)は正面図である。 コイルの長さLと結合係数との関係を示す図である。 図5(A)は第2の実施形態に係るコイルアンテナ202の上面図、図5(B)は、コイルアンテナ202を備えるアンテナ装置全体の正面図である。 図6(A)は第3の実施形態に係るコイルアンテナ203の上面図、図6(B)は、コイルアンテナ203の下面図である。図6(C)は、コイルアンテナ203を備えるアンテナ装置全体の正面図である。
《第1の実施形態》
図2は第1の実施形態に係るコイルアンテナの構成を示す図である。
図2(A)は、コイルアンテナの構成要素に一つであるフレキシブル基板101の上面図である。フレキシブル基板101は基材10とコイル導体11とで構成されている。コイル導体11は基材10の上面に形成されている。
図2(B)は前記コイル導体11の上層コイル導体部11Sの形状を示す図である。図2(C)は前記コイル導体11の下層コイル導体部11Uの形状を示す図である。そして、図2(D)は前記下層コイル導体部11Uと前記上層コイル導体部11Sとが重なった状態を示す図である。
前記下層コイル導体部11U及び前記上層コイル導体部11Sはそれぞれほぼ矩形の渦巻き状であり、下層コイル導体部11Uと上層コイル導体部11Sとの間には絶縁層が介在している。但し、下層コイル導体部11Uの内側の端部と上層コイル導体部11Sの内側の端部とは導通して、両者は直列接続されている。このようにして前記コイル導体11はコイル導体開口部CWの周囲に渦巻き状に形成されている。
フレキシブル基板101には、上層コイル導体部11Sの外側の端部に連続する端子電極12が設けられている。また、下層コイル導体部11Uの外側の端部に導通する端子電極13が設けられている。
なお、下層コイル導体部11Uと上層コイル導体部11Sは、フレキシブル基板の基材の片面に重ねて形成する代わりに、フレキシブル基板の基材の両面にそれぞれ形成してもよい。
図2(A)に示すように、フレキシブル基板101の基材10には前記コイル導体開口部CWに対応する位置に穴(スリット)Sが形成されている。
図3(A)はコイルアンテナ201の上面図、図3(B)は正面図である。
フレキシブル基板101の穴Sには矩形板状のフェライトシートによる磁性体コア1が挿通されている。このことによってコイルアンテナ201が構成されている。このコイルアンテナ201が平面導体2に近接配置されることによってアンテナ装置が構成される。平面導体2は、コイルアンテナ201を実装する回路基板などである。コイルアンテナ201は、図3(A)に示した端子電極12,13の形成面が平面導体(回路基板)2に対向するように配置される。
図2(A)に示したように、下層コイル導体部11U及び上層コイル導体部11Sについて、磁性体コア1の軸方向(図の左右方向)(磁路方向)に平行な軸平行部PAの配置間隔は、磁性体コア1の軸に直交する軸直交部CAの配置間隔より狭い。さらにこの例では、下層コイル導体部11Uの軸平行部PAに対して上層コイル導体部11Sの軸平行部PAが重なるように配置されている。
そのため、同じアンテナサイズで磁性体コアをより太くすることができ、同じアンテナサイズでコイルの線幅をより太くすることができ、コイルパターンのピッチをより広げることができる。
ここで、コイルの損失を表す抵抗値と、通信性能の良さを表す結合係数(通信相手側のコイルアンテナとの結合係数)のシミュレーション結果を示す。シミュレーションの条件は次のとおりである。
〈各コイルアンテナ〉
(1)第1の従来構造のコイルアンテナ
磁心の長さに平行なコイルを重ねず、コイル導体の線幅を広く、磁心を細くしたコイルアンテナ
磁性体コアのサイズ 14×15×0.2mm
コイル導体の線幅 0.1mm
(2)第2の従来構造のコイルアンテナ
磁心の長さに平行なコイルを重ねず、コイル導体の線幅を細く、磁心を太くしたコイルアンテナ
磁性体コアのサイズ 17×15×0.2mm
コイル導体の線幅 0.1mm
(3)本発明のコイルアンテナ
磁性体コアの長さに平行なコイルを重ね、コイル導体の線幅を広く、磁心を太くしたコイルアンテナ
磁性体コアのサイズ 17×15×0.2mm
コイル導体の線幅 0.3mm
〈共通項目〉
通信相手のコイルアンテナのサイズ 100×100mm
通信相手のコイルアンテナとの距離 30mm
各コイルアンテナのコイル導体のサイズ 20×15mm
各コイルアンテナのコイル導体のターン数 6
コイルの損失を表す抵抗値と、通信性能の良さを表す結合係数との関係は次のとおりである。
――――――――――――――――――――――――――――――
コイルアンテナ 抵抗[Ω] 結合係数
――――――――――――――――――――――――――――――
(1) 1.59 2.11%
(2) 2.00 2.29%
(3) 1.62 2.33%
――――――――――――――――――――――――――――――
このように、相手側アンテナとの結合係数が高く、且つ低抵抗のコイルアンテナが構成できる。
次に、コイルの長さ(磁性体コアの周囲に巻かれる範囲のコイル軸方向の大きさ)Lと結合係数との関係を図4に示す。シミュレーションの条件は前述したものと共通である。
このように、磁性体コア1の軸方向の長さMに対するコイルの長さLの比が25%を超えると、結合係数は最大値に達する。したがって、最良の通信性能を得ることができる。
《第2の実施形態》
図5(A)は第2の実施形態に係るコイルアンテナ202の上面図、図5(B)は、コイルアンテナ202を備えるアンテナ装置全体の正面図である。
フレキシブル基板102は基材10とコイル導体11とで構成されている。コイル導体11は基材10の上面に形成されている。
コイル導体11は、第1の実施形態の場合と同様に、それぞれほぼ矩形の渦巻き状の下層コイル導体部及び上層コイル導体部で構成されている。第1の実施形態で示したコイルアンテナと異なるのは、フレキシブル基板102と磁性体コア1とが重ねられるように配置されている点である。
コイル導体11は、磁性体コア1の軸に平行な軸平行部PAと磁性体コア1の軸に直交する軸直交部CAを備え、軸平行部PAの配置間隔は軸直交部CAの配置間隔より狭い。
磁性体コア1はコイル導体11の二つの軸平行部PAうち一方の部分を覆う。
このような構造であっても、第1の実施形態の場合と同様に、相手側アンテナとの結合係数が高く且つ低抵抗のコイルアンテナが構成できる。また、導体板に近接配置しても作用する小型のコイルアンテナが構成できる。
《第3の実施形態》
図6(A)は第3の実施形態に係るコイルアンテナ203の上面図、図6(B)はコイルアンテナ203の下面図、図6(C)は、コイルアンテナ203を備えるアンテナ装置全体の正面図である。
フレキシブル基板103は基材10とコイル導体11とで構成されている。コイル導体11は基材10の一方の表面に形成されている。
コイル導体11は、第1・第2の実施形態の場合と同様に、それぞれほぼ矩形の渦巻き状の下層コイル導体部及び上層コイル導体部で構成されている。第2の実施形態で示したコイルアンテナと異なるのは、フレキシブル基板103が折り曲げられて、磁性体コア1を包むように配置された点である。
コイル導体11は、磁性体コア1の軸に平行な軸平行部PAと磁性体コア1の軸に直交する軸直交部CAを備えている。
フレキシブル基板103はコイル導体11のコイル導体開口部CWを通るラインで折り曲げられて、磁性体コア1を包むように配置されている。
このような構造であっても、第1・第2の実施形態の場合と同様に、相手側アンテナとの結合係数が高く且つ低抵抗のコイルアンテナが構成できる。また、導体板に近接配置しても作用する小型のコイルアンテナが構成できる。
CA…軸直交部
CW…コイル導体開口部
PA…軸平行部
S…穴
1…磁性体コア
2…平面導体
10…基材
11…コイル導体
11S…上層コイル導体部
11U…下層コイル導体部
12,13…端子電極
101〜103…フレキシブル基板
201〜203…コイルアンテナ

Claims (5)

  1. 磁性体コアと、この磁性体コアの周囲に巻回されるコイル導体とを備えたコイルアンテナにおいて、
    前記コイル導体は、複数ターンのコイル導体パターンで構成されるとともに、前記コイル導体パターンのうち、一つの基準とする軸に平行な導体パターンである軸平行部と、前記軸平行部に対し直交する導体パターンである軸直交部とを有し、
    前記磁性体コアは、平面視で少なくとも前記軸直交部の一部と重なるように配置され、
    前記軸平行部の導体パターンの配置間隔は前記軸直交部の導体パターンの配置間隔より狭くされ、
    前記軸の向きは、前記コイル導体に電流が流れることにより前記磁性体コアに生じる主たる磁束の向きであることを特徴とするコイルアンテナ。
  2. 前記コイル導体は複数の層に構成され、各層のコイル導体のうち前記軸平行部は、互いに重なる位置に配置された、請求項1に記載のコイルアンテナ。
  3. 前記コイル導体はフレキシブル基板に形成され、前記コイル導体パターンはコイル導体開口部の周囲に巻回された渦巻き状であり、前記フレキシブル基板は前記コイル導体開口部に対応する位置に穴を備え、前記磁性体コアは前記穴に挿通された、請求項1または2に記載のコイルアンテナ。
  4. 前記コイル導体パターンは互いに平行な二つの前記軸直交部を備える矩形の渦巻き状であり、前記磁性体コアは前記二つの軸直交部のうちの一方を覆う、請求項1または2に記載のコイルアンテナ。
  5. 前記コイル導体はフレキシブル基板に形成され、前記コイル導体パターンはコイル導体開口部の周囲に巻回された渦巻き状であり、前記フレキシブル基板は前記コイル導体開口部で折り曲げられて、前記磁性体コアを包むように配置された、請求項1または2に記載のコイルアンテナ。
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