JPWO2003033602A1 - 水性インク、水性インクセット及び分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、普通紙、再生紙あるいはコート紙、及び光沢メディアに対して高い印字品質が得られ、且つ保存安定性に優れる水性インクに関する。
また、本発明は、特に普通紙や水性インクジェット印刷に通常用いられる光沢メディア等の印刷媒体上での色再現性及び印刷品質に優れた水性インクセットに関する。
また、本発明は、着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体の製造工程と、該分散体を水系媒体中に分散処理する分散工程との二つの工程からなる分散液の製造方法であって、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、方法およびこの方法により製造された分散液並びにこれを用いた水性インクに関する。
背景技術
近年来、水性インクジェットプリンタ用水性インクに求められる特性としては、印刷画像の耐水性や耐光性等の堅牢性が良好であること、また、印刷媒体種によらずに不規則な水性インクの流れや付着した水性インク小滴より大きく広がること(以下これを″にじみ″とする)等の不具合が無いこと、更に印刷媒体種によらずに印刷画像濃度・色再現性が高いことが挙げられる。
こうした目的のうち、印刷画像の堅牢性確保に対しては、染料の代わりに堅牢性に優れる顔料を利用することが検討されてきている。顔料は、染料と異なり水への溶解性がないため、顔料を水中に微粒子状態で分散することが必要であるが、この分散状態を安定して保つことが非常に困難である。そのために、顔料を水中に安定して分散させる技術が種々提案されており、その手段として特開平1−301760号公報にあるように分散性界面活性剤を用いる方法、または特公平5−64724号公報にあるように疎水部と親水部を有する分散ポリマーを用いる方法が提案されている。また、着色剤の表面を高分子で被覆する方法として、水性インクジェットプリンタ用水性インクとして、特開昭62−95366号公報には染料水性インクを内包したマイクロカプセルを用いる方法、特開平1−170672号公報には水に不溶な溶媒に色素を溶解または分散させこれを分散性界面活性剤で水中に乳化したマイクロカプセル化色素を用いる方法、特開平5−39447号公報には水、水溶性溶媒並びにポリエステルの少なくとも1種に昇華性分散染料を溶解または分散させた内包物を含むマイクロカプセルを記録液に使用する方法、特開平6−313141号公報には着色された乳化重合粒子と水性材料からなるインキ組成物、特開平10−140065号公報には転相乳化反応や酸析法による方法が提案されている。
また、色再現性の良好な印刷画像の実現に対しては、特開平5−155006号公報及び特開平10−52925号公報には特定の顔料を水溶性樹脂にて分散させたイエロー水性インク、マゼンタ水性インク、シアン水性インク、ブラック水性インクを組み合わせて画像形成を行なう方法、特開2001−354886号公報には顔料を水溶性樹脂にて分散させたイエロー水性インク、マゼンタ水性インク、シアン水性インク、ブラック水性インク、グリーン水性インク、レッド水性インクを組み合わせて画像形成を行なう方法が提案されている。
しかしながら、従来の分散体は不安定であり、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が存在すると、吸脱着が起こりやすくなり、その水性インクの保存安定性が劣るという課題がある。通常の水性インクは紙に対するにじみを低減させるため、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が必要である。これらの物質を用いない水性インクでは紙に対する浸透性が不十分となり、均一な印字を行なうためには紙種が制限され、印字画像の低下を引き起こしやすくなるという課題があった。
さらに、従来の分散体に本発明で用いるような添加剤(アセチレングリコール、アセチレンアルコール、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルまたは1,2−アルキレングリコールまたはこれらの混合物)を用いると長期の保存安定性が得られず、水性インクの再溶解性が悪いため水性インクが乾燥して水性インクジェットヘッドのノズルや筆記具のペン先等で詰まり易くなるという課題を有していた。
また、このような分散剤により分散された顔料は分散剤の残存物が水性インク系中に残り、分散剤が十分に分散に寄与せず顔料から脱離して粘度が高いものになってしまうという課題があった。粘度が高くなると顔料等の色材の添加量が制限され特に普通紙において十分な画質が得られない。
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、その目的とするところは、普通紙上ではにじみが少なく高発色であり、専用紙上では十分な発色に加えて定着性を有する水性インクを作成可能であり、水性インクジェット記録にあってはさらに吐出安定性が優れる水性インクを作成可能とする分散体を含む水性インクを提供するところにある。
発明の開示
本発明の水性インクは着色剤をポリマー(以下「分散ポリマー」ということもある。)で包含して水に分散可能にした分散体を含む水性インクであって、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%(以下単に%と示すこともある。)以上70%以下であることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、水性インクが分散体の安定性に優れ、普通紙上ではにじみが少なく高発色であり、専用紙上では十分な発色に加えて定着性を有する水性インクを作成可能であり、水性インクジェット記録にあってはさらに水性インクジェットヘッドからの水性インクの吐出安定性に優れることなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
本発明の好ましい実施の形態(a)
本発明の水性インクは着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体を含み、該ポリマー中の芳香環の量がそのポリマーの20%以上70%以下であることを特徴とする。芳香環の量がポリマーの20%以上であることで、そのポリマーは疎水性表面の着色剤に好適に吸着することが可能となる。また、その吸着したポリマーは本発明で好適に用いる添加剤を添加しても安定なものとなる。また、芳香環の量が70%を超えると分散が難しくなり、逆に安定性が得られなくなる。より好ましくは25%以上50%以下である。
以下に、本発明の水性インクについて説明する。
先ず、本発明の水性インクの特徴である分散体について説明する。上述したとおり、本発明の水性インクが含んでなる分散体は着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にしたものである。
本発明において着色剤とは、いわゆる有色の分子を有する物質をいい、顔料、および染料を含めたものをいう。そして、前述の着色剤としては有機顔料または無機顔料を好適に用いることができる。
顔料
顔料として用いることのできる無機顔料または有機顔料として、以下に例示する。
ブラック用の無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、若しくはチャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類を挙げることができる。
有機顔料としては、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ペリレン顔料等を使用することができる。
具体的には、例えばイエロー用の有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ハンザイエローG),2,3(ハンザイエロー10G),4,5(ハンザイエロー5G),6,7,10,11,12(ジスアゾイエローAAA),13,14,16,17,24(フラバントロンイエロー),55(ジスアゾイエローAAPT),61,61:1,65,73,74(ファストイエロー5GX),75,81,83(ジスアゾイエローHR),93(縮合アゾイエロー3G),94(縮合アゾイエロー6G),95(縮合アゾイエローGR),97(ファストイエローFGL),98,99(アントラキノン),100,108(アントラピリミジンイエロー),109(イソインドリノンイエロー2GLT),110(イソインドリノンイエロー3RLT),113,117,120(ベンズイミダゾロンイエローH2G),123(アントラキノンイエロー),124,128(縮合アゾイエロー8G),129,133,138(キノフタロンイエロー),139(イソインドリノンイエロー),147,151(ベンズイミダゾロンイエローH4G),153(ニッケルニトロソイエロー),154(ベンズイミダゾロンイエローH3G),155,156(ベンズイミダゾロンイエローHLR),167,168,172,173(イソインドリノンイエロー6GL),180(ベンズイミダゾロンイエロー)などを挙げることができる。
また、マゼンタ水性インク用の有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド1(パラレッド),2,3(トルイジンレッド),4,5(1TR Red),6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38(ピラゾロンレッドB),40,41,42,88(チオインジゴボルドー),112(ナフトールレッドFGR),114(ブリリアントカーミンBS),122(ジメチルキナクリドン),123(ペリレンバーミリオン),144,146,149(ペリレンスカーレッド),150,166,168(アントアントロンオレンジ),170(ナフトールレッドF3RK),171(ベンズイミダゾロンマルーンHFM),175(ベンズイミダゾロンレッドHFT),176(ベンズイミダゾロンカーミンHF3C),177,178(ペリレンレッド),179(ペリレンマルーン),185(ベンズイミダゾロンカーミンHF4C),187,188,189(ペリレンレッド),190(ペリレンレッド),194(ペリノンレッド),202(キナクリドンマゼンタ),209(ジクロロキナクリドンレッド),214(縮合アゾレッド),216,219,220(縮合アゾ),224(ペリレンレッド),242(縮合アゾスカーレット),245(ナフトールレッド),又は、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン),23(ジオキサジンバイオレット),31,32,33,36,38,43,50などを挙げることができる。
更に又、シアン用の有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6(以上いずれもフタロシアニンブルー),16(無金属フタロシアニンブルー),17:1,18(アルカリブルートナー),19,21,22,25,56,60(スレンブルー),64(ジクロロインダントロンブルー),65(ビオラントロン),66(インジゴ)等を挙げることができる。
又、ブラック用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料を用いることができる。
更に又、イエロー、シアン、又はマゼンタ水性インク以外のカラー水性インクに用いる有機顔料としては、
C.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16(バルカンオレンジ),24,31(縮合アゾオレンジ4R),34,36(ベンズイミダゾロンオレンジHL),38,40(ピラントロンオレンジ),42(イソインドリノンオレンジRLT),43,51,60(ベンズイミダゾロン系不溶性モノアゾ顔料),62(ベンズイミダゾロン系不溶性モノアゾ顔料),63;C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン),10(グリーンゴールド),36(塩臭素化フタロシアニングリーン),37,47(ビオラントロングリーン);あるいは
C.I.ピグメントブラウン1,2,3,5,23(縮合アゾブラウン5R),25(ベンズイミダゾロンブラウンHFR),26(ペリレンボルドー),32(ベンズイミダゾロンブラウンHFL)等を挙げることができる。
本発明で用いる水性インクにおいては、前記の顔料を1種で又は2種以上を混合して使用することもできる。
使用する顔料は、ポリマーで内包してマイクロカプセル(分散体を意味する)化する以前に予め粉砕処理をして微粒化してあることが望ましい。顔料の粉砕処理はジルコニアビーズ、ガラスビーズ、無機塩等の粉砕メディアを使用して、湿式粉砕あるいは乾式粉砕により実施することができ、粉砕装置としてはアトライター、ボールミル、振動ミル等を挙げることができる。
顔料を粉砕処理により微粒化する場合、少なからず粉砕メディア(ビーズ)の成分が顔料中に混入することが考えられる。具体的には、粉砕メディアにガラスビーズを使用すれば顔料中にSiの混入が、ジルコニアビーズの場合はZrの混入が考えられる。更に、粉砕装置の部材からの混入も考えられ、ステンレス部材から構成される粉砕装置を使用した場合には、Fe、Cr、Ni等の混入が考えられる。従って、粉砕処理後は顔料の洗浄、限外ろ過等により粉砕メディアや粉砕装置から発生するコンタミ成分を除去することが望ましい。
粉砕メディアに水溶性の無機塩(NaCl、BaCl2、KCl、Na2SO4等)を用いて粉砕処理をする方法(ソルトミリング法)もあり、この場合、理論上はイオン交換水等による洗浄で混入した粉砕メディア成分を除去できる。但し、表面積の大きい顔料と上記のような無機塩を混合する方法でもあるので、粉砕処理後の洗浄が不十分の場合、分散メディアである無機塩が多量に残留する可能性もあり注意が必要である。
分散方法は超音波分散、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ジェットミルその他の公知の分散方法を用いることができる。
水性インク中でも水性インクジェットに用いる場合これらの顔料としての添加量は、0.5〜30%が好ましいが、1.0〜12%がさらに好ましい。これ以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、またこれ以上の添加量では、水性インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、水性インクジェットヘッドからの水性インクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
また、顔料の粒経は5μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下の粒子からなる顔料を、さらに好ましくは0.01〜0.15μmの粒子からなる顔料が好ましい。
分散ポリマー
本発明の水性インクに使用する分散ポリマーは、前記顔料を包含してそれを水中に分散可能とし、かつ分散ポリマー中の芳香環の量がその分散ポリマーの20%以上70%以下である。分散ポリマーを形成する物質の疎水基が少なくともアルキル基、シクロアルキル基または芳香環から選ばれた1種以上であることが好ましいが、芳香環の量を上記の範囲にすることが好ましい。アルキル基、シクロアルキル基においては炭素数が4以上のアルキル基が好ましい。芳香環を分散ポリマー中に含ませる場合は、アリール基(具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等)及び/またはそれらの誘導体、その他の芳香環、ヘテロ環及び/またはそれらの誘導体の形態で含ませることができる。また、前記分散ポリマーを形成する物質中に親水性官能基を有しているのが好ましく、その親水性官能基は少なくともカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びそれらの塩基であることが好ましい。それら分散ポリマーを形成する物質の具体例として2重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類を用いることができる。
また、前述の顔料を包含するポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を成分とすることが好ましい。本発明で用いるアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質は通常の分散剤分散に用いる分散剤と吸脱着反応を起こすため、脱離した分散剤が水性インク中に浮遊し、それが原因で印字が乱れるという現象を生じやすい。しかし、上記のポリマーを用いて好適な分散を行なうことでポリマーが安定に着色剤を包含しているので吸脱着を起こしにくいので好ましい。
さらに、前述の顔料をポリマーで包含した着色剤が少なくとも重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体で該顔料を包含したものであることが好ましい。ここで、重合性基を有する分散剤とは少なくとも疎水基、親水基および重合性基を有するもので、重合性基はアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基などであり、共重合性基も同じくアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基などである。水性インクジェット記録用水性インクとしては粒径が比較的そろっていた方が目詰まりや吐出の安定性の観点から好ましいので、顔料をポリマーで包含した着色剤は、乳化重合または転相乳化法によって製造されることが好ましい。また、ポリマー中のベンゼン環が本発明の範囲にあり、好適な分散剤による好適な分散により、堅固なポリマーになり、本発明でよいとするアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質の添加によっても分散安定性が得られ、長期に安定性が得られるので好ましい。
前述の顔料をポリマーで包含した着色剤は、重合性基を有する分散剤で該顔料を分散させた後、該分散剤と共重合可能なモノマーと重合開始剤を用いて水中で乳化重合されたものまたは顔料をポリマーが覆うように水中への転相乳化であることが好ましい。
本発明の水性インクに使用する、分散ポリマーのモノマーとしては、具体的には、芳香環を分散ポリマー中に含ませるには、例えばスチレン、(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、スチレンマクロマー、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。またその他のモノマーとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルメタクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他含フッ素、含塩素、含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等を用いることができる。また上記の一官能基モノマーの他に、分散ポリマー中に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール及び1,10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。
また、芳香環を含むポリマーとしてスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリイミドと、その他のポリマーとしてポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、含珪素分散ポリマー、含硫黄分散ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とするようにこれらの分散ポリマーを添加しながら作成することもできる。
重合開始剤は過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムの他に、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができる。
本発明の水性インクに使用する、分散ポリマーは、乳化重合で調製することもでき、その際には連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、t−ドデシルメルカプタンの他にn−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、あるいはジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどが挙げられる。
以上述べた顔料と分散ポリマーを構成要素とした分散体を用いることによって、保存安定性に優れた水性インクジェット印刷に好適な水性インクとすることができる。更に、本発明の水性インクにおいて、後述する等の水溶性有機溶剤を含むことにより、普通紙や光沢メディア等の印刷媒体種によらずに、にじみが少なく定着性・色再現性の良好な画像を形成することができる。また、前述の分散体を筆記具用水性インクにも好適に用いることができる。
また、前述の顔料をポリマーで包含した着色剤が少なくとも重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体で該顔料を包含したものであることが好ましい。ここで、重合性基を有する分散剤とは少なくとも疎水基、親水基および重合性基を有するもので、重合性基はアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基などであり、共重合性基も同じくクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基などになる。
水性インクジェット記録用水性インクとしては粒径が比較的そろっていた方が目詰まりや吐出の安定性の観点から好ましいので、顔料をポリマーで包含した着色剤は、乳化重合または転相乳化法によって製造されることが好ましい。また、ポリマー中のベンゼン環が本発明の範囲にあり、好適な分散剤による好適な分散により、堅固なポリマーになり、分散安定性が得られ、長期に安定性が得られるので好ましい。
前述の顔料をポリマーで包含した分散体は、重合性基を有する分散剤で該顔料を分散させた後、該分散剤と共重合可能なモノマーと重合開始剤を用いて水中で乳化重合されたものであることが好ましい。
水性インク
本発明の水性インクは、少なくとも浸透剤、保湿剤、水、及び上述した分散体を含むことを特徴とする。
また、本発明で用いる水性インクは、水性インクの記録媒体である紙等の記録メディアに対する浸透性を高める目的で浸透剤を添加する場合があり、更にその放置安定性の確保、水性インク吐出ヘッドからの安定吐出達成等の目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤(浸透剤)、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加する場合がある。
(浸透剤)
浸透剤はその添加により印字物の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、特に印字記録の高速化を可能とする。更に水性インクジェットプリンタ用水性インクとして使用する場合、泡立ちが少ないこと、水性インクジェットヘッドのノズル内で乾燥し難い特性を有するものが特に好適である。
このような浸透剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、グリコールエーテル類、アルキレングリコール類から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。これらの浸透剤を用いることで普通紙上のにじみを低減でき、光沢メディア上での線幅を適当な程度に調整することができる。
浸透剤として好適に使用できるアセチレングリコール系界面活性剤、又はアセチレンアルコール系界面活性剤の具体的な製品名として、例えば、サーフィノールTG、サーフィノール104、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール61、サーフィノール82(以上いずれもエアープロダクツ株式会社製)、もしくはオルフィンE1010、オルフィンE1004、オルフィンSTG(以上いずれも日信化学工業株式会社製)、あるいはアセチレノールE00、アセチレノールE40、アセチレノールE100(以上いずれも川研ファインケミカル株式会社製)等を挙げることができる。
浸透剤として好適に使用できるグリコールエーテル類としてはとしては、ジエチレングリコールモノ(炭素数4〜8のアルキル)エーテル、トリエチレングリコールモノ(炭素数4〜8のアルキル)エーテル、プロピレングリコールモノ(炭素数3〜6のアルキル)エーテル、及びジプロピレングリコールモノ(炭素数3〜6のアルキル)エーテル等を挙げることができ、具体例としてジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
浸透剤として使用できるアルキレングリコールとしては、1,2−(炭素数4〜10のアルキル)ジオール、1,3−(炭素数4〜10のアルキル)ジオール1,5−(炭素数4〜10のアルキル)ジオール、1,6−(炭素数4〜10のアルキル)ジオール等を挙げることができ、具体例としては1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−プタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
前記のグリコールエーテル類及び/又はアルキレングリコール類は、これらの添加により印字の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、特に水性インクジェット記録にあっては高速印字が可能となる。また、前記のグリコールエーテル類及び/又はアルキレングリコール類は浸透剤としての効果を有する他、他の難溶性の水性インク添加剤に対する溶解助剤としての特性も備える。例えば前述のアセチレングリコール類のうち単独では水への溶解性が低い化合物を使用する場合、グリコールエーテル類を併用して添加することでアセチレングリコール類の溶解性を高めその添加量を増やすことできる。
更にまた、グリコールエーテル類、及び/又はアルキレングリコール類は少なからず殺菌・防菌作用を有する為、水性インク中に3〜5%程度含有することで、微生物、菌類等の発生を抑えることができるという効果も有する。
本発明の水性インクにおいては、浸透剤として前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、グリコールエーテル類、アルキレングリコール類を、単独又は併用して使うことができ、水性インクに対する添加量は、0.01〜30重量%が好ましいが、0.1〜10重量%がより好ましい。添加量が0.01%未満では印字品質向上の効果が低くなり、30重量%を越えると水性インク吐出ヘッドのノズル周りを不均一に濡らし、安定吐出が困難になる。
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上を0.1%以上5%以下含むことが好ましい。5%を超えると印字品質の効果が頭打ちであり、添加しても粘度が上昇して使いづらくなり、ヘッドの先端に水性インクが付着しやすくなり、印字が乱れやすくなる。0.1%未満では印字品質向上の効果が低くなる。より好ましい添加量は0.15〜2%である。
そして、少なくとも前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上とを同時に添加してなることが好ましい。アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上と、は同時に用いる方が印字品質が向上する。
そして、前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上が0〜0.5%であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上が1%以上であることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上は少量で浸透性を向上させる効果がある。従って、0.5%以下であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上は1%以上であることで印字品質がさらに向上する。
その他、本発明の水性インクの浸透剤としては、同様に、前述のアルコール類、ノニオン性界面活性剤、シリコン界面活性剤、水溶性有機溶剤、その他の界面活性剤を使用することができる。
例えば、浸透剤として好適に使用できるシリコン系界面活性剤の具体例としてはBYK−307、BYK−331、BYK−333、BYK−347、BYK−348(以上いずれもビックケミー株式会社製)等を挙げることができる。
本発明で用いる水性インクにおいては、これら前記の浸透剤を、1種で又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
特に、前述のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、炭素数3〜10のアルキルエーテルであることが好ましい。その中でも、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、及び/又は(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好まく、前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオール、及び/又は1,2−ペンタンジオールであることが好ましい。
また、前述のジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質の添加量が0.5%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以上15%以下である。
そして、少なくとも前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上を同時に添加することが印字品質上好ましい。
そして、前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤から選ばれた1種以上が0.01〜1.0%で、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上が1%以上であることが好ましい。アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤から選ばれた1種以上は少量で浸透性を向上させる効果がある。従って、1.0%以下の添加量であっても、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上は1%以上添加されていることで印字品質がさらに向上する。
前述の1,2−アルキレングリコールが炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールであり、添加量が10%以下であることが好ましい。しかし、筆記具用としてはこれに限定されない。より好ましくは1%以上8%以下である。
又、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとはジエチレングリコールモノブチルエーテルおよび/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示すが、印字品質改良のための浸透性の必要レベルとして、20%以下の添加が好ましい。より好ましくは0.5〜10%である。
本発明で用いる水性インクにおいては、前記浸透剤の助剤として、水性インクの浸透性を制御し、更にノズルの耐目詰まり性、水性インクの保湿性、あるいは浸透剤の溶解性を向上する目的で前述もしくは他の界面活性剤、並びに、高沸点低揮発性の多価アルコール類、あるいはそれらのモノエーテル化物、ジエーテル化物、若しくはエステル化物等の親水性高沸点低揮発性溶媒等を、1種で又は2種以上を組合せて、使用することができる。
より好ましくは1%以上8%以下である。
前述の1,2−アルキレングリコールが炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールであり、添加量が10%以下であることが好ましい。10%を超えると粘度上昇により水性インクジェット用としては使いづらくなり、それ以上添加しても印字品質向上の効果がない。しかし、筆記具用としてはこれに限定されない。
また、前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ペンタンジオールまたは1,2−ヘキサンジオールであることが好ましい。1,2−ペンタンジオールは3〜10%以下が好ましい。3%未満のものは浸透性の向上の効果が低く、そのためにじみの発生が多い。炭素数が10を超えると粘度が高くなり本発明のような水溶性水性インクには使用しづらい。1,2−ヘキサンジオールは0.5〜10%が好ましい。0.5%未満のものは浸透性の向上の効果が低く、炭素数が10を超えると水溶性が低いので本発明のような水溶性水性インクには使用しづらい。前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.5%以上のときはその1,2−アルキレングリコールとの比が1:0〜1:50の間が印字品質の観点から好ましく、1,2−アルキレングリコールがアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の50倍を超えると印字品質の向上効果が頭打ちでありそれ以上添加しても効果が低く、逆に粘度上昇の弊害を生じる。
そして、前述の(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルを10%以下含むことが好ましい。10%を超えると印字品質向上の効果が頭打ちであり、逆に粘度上昇の弊害と水溶性が低いので溶解助剤の添加が必要になってくる。より好ましくは0.5〜5%である。
前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルの比が1:0〜1:10であることが好ましい。(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルがアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍を超えると印字品質の向上効果が頭打ちでありそれ以上添加しても効果が低く、逆に粘度上昇の弊害を生じる。
前述のジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルを20%以下含むことが好ましい。20%を超えると粘度上昇により使いづらくなり、それ以上添加しても印字品質向上の効果がない。より好ましくは1%以上15%以下である。ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとはジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)および/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)を示すが、印字品質改良のための浸透性の必要レベルとして、20%以下の添加が好ましい。20%を超えると印字品質向上の効果が頭打ちであり、逆に粘度上昇の弊害が生じる。より好ましくは0.5〜10%である。
前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.5%以上であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとの比が1:0〜1:50であることが好ましい。アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の50倍まで添加することが印字品質の観点から好ましい。ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルはアセチレングリコール系の界面活性剤の溶解性を向上させることと印字品質の向上に役立つが、50倍を超える添加量ではそれらの効果が頭打ちになるので水性インクジェット用としては使用しにくくなる。
(保湿剤)
水性インクジェットのノズル面やペン先で乾燥を抑えるために水溶性のあるグリコール類としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、チオジグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、及び、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンチオール等がある。
又、本発明においてはノズル前面で水性インクが乾燥して詰まることを抑制するために、多くの種類の糖類を用いることもできる。単糖類および多糖類があり、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。そしてその添加量は0.05%以上で30%以下がよい。一般的な糖類である単糖類および多糖類のグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい添加量は3〜20%である。アルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類は水性インクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の添加量にする必要がある。
その他に水と相溶性を有し、水性インクに含まれる水との溶解性の低いグリコールエーテル類や水性インク成分の溶解性を向上させ、さらに被記録体たとえば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルやペン先の目詰まりを防止するために用いることのできるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
(その他の添加剤)
本発明における水性インクジェット記録用水性インクは、その放置安定性の確保、水性インク吐出ヘッドからの安定吐出達成等の目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加する場合がある。以下、それらを例示する。
水性インクジェットのノズル面や筆記具のペン先で乾燥を抑えるために水溶性のあるグリコール類を添加することが好ましく、その例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。
また、本発明においてはノズル前面で水性インクが乾燥して詰まることを抑制するために、多くの種類の糖類を用いることもできる。単糖類および多糖類があり、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。そしてその添加量は0.05%以上で30%以下がよい。0.05%未満では水性インクがヘッドの先端で乾燥して詰まる目詰まり現象を回復させる効果は少なく、30%を超えると水性インクの粘度が上昇して適切な印字ができなくなる。一般的な糖類である単糖類および多糖類のグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい添加量は3〜20%である。アルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類は水性インクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の添加量にする必要がある。
その他に水と相溶性を有し、水性インクに含まれる水との溶解性の低いグリコールエーテル類や水性インク成分の溶解性を向上させ、さらに被記録体たとえば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルやペン先の目詰まりを防止するために用いることのできるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
また、本発明による水性インクにはさらに紙や特殊紙等の媒体への浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は本発明の水性インク系との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル)などのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸(水素)カリウム、炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
さらに、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
pH調整剤は、ヘッド部材の耐久性と水性インクの安定性の観点から、水性インクのpH値が約7〜10になる量であることが好ましい。
又、本発明の顔料分散液、これを含有する水性インクは、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、防カビ剤、防腐剤、又は防錆剤として、安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、3,4−イソチアゾリン−3−オン、もしくは4、4−ジメチルオキサゾリジン等のオキサゾリジン系化合物、あるいはアルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコールおよび/またはクロルキシレノール等を含むことができる。更に、ノズル乾燥防止の目的で、尿素、チオ尿素、及び/又はエチレン尿素等を含むこともできる。
水性インク物性
本発明で用いる水性インクの諸物性は適宜制御することができるが、好ましい態様によれば、水性インクの粘度は10mPa・秒以下であるのが好ましく、より好ましくは5mPa・秒以下(20℃)である。この粘度範囲の水性インクは、水性インク吐出ヘッドから安定に吐出される。また、水性インクの表面張力も適宜制御することができるが、25〜50mN/m(20℃)であるのが好ましく、より好ましくは30〜40mN/m(20℃)である。
水性インクのエージング処理
本発明の水性インクに前述の界面活性剤や水溶性有機溶剤を添加した場合、添加後の各物性値が安定化する迄に時間を要する場合がある。このような場合、必要に応じてインクに加熱等のエージング処理を実施しても良い。
このようなエージング処理を実施する場合の加熱温度は室温(25℃)以上で100℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下である。エージング処理を実施する時間は数分程度から数日程度の範囲であることが好ましく、より好ましくは数時間以上24時間以下の範囲である。但し、このようなエージングの処理条件は使用する顔料や樹脂の種類によっても異なる為、必要な効果が得られれば、エージング処理条件は特に限定はしない。
例えば、加熱温度を70℃、処理時間を12〜24時間程度のエージング処理を実施することで、インク各物性を安定化することができる。
本発明のその他の好ましい実施の形態
本発明の水性インクは、上述した実施の形態(a)に記載した構成を基本として、さらに以下に述べるとおり種々の好ましい実施の形態とすることもできる。
その他の好ましい実施の形態(b)
本発明の水性インクは、顔料とその分散ポリマーとの重量比が10:90〜90:10の範囲であることを特徴とする。この範囲であれば、分散体及びこれを用いた水性インクの分散安定性に優れ、またこの分散体を水性インクジェットプリンタ用水性インクに用いた場合、普通紙のみならず光沢メディア(例えば光沢紙)等の専用紙上の印字画像が定着性・発色性・光沢性に優れたものとなる。
また、前記顔料と前記分散ポリマーの重量比が、前記顔料として黒色系顔料を用いる場合は40:60〜90:10、黄色系顔料の場合は50:50〜90:10、赤色系顔料の場合は50:50〜90:10、青色系顔料の場合は30:70〜70:30の範囲である。各々の顔料において上記の範囲にあれば、分散体及びこれを用いた水性インクの分散安定性に優れ、また水性インクジェット記録において普通紙のみならず光沢メディア上で発色性・定着性・光沢性が優れた鮮明な印字画像が得られる。ここで、上記範囲内でも顔料に対して分散ポリマー量が少ないと、この分散体を水性インクジェット記録用水性インクに用いた場合、分散体を比較的多く水性インク中に添加しても水性インク中の固形分濃度を低くできるため、ノズル先端での水性インク乾燥による目詰まりが発生しにくく、特に普通紙上において発色性に優れた水性インクを調製しやすいが、光沢メディア上での光沢性・定着性が得られにくい場合がある。また反対に、顔料に対して分散ポリマー量が多いと、普通紙上の発色性を高める目的で分散体を比較的多く水性インク中に添加した場合水性インク中の固形分濃度が高くなるため、ノズル先端での水性インク乾燥による目詰まりが発生しやすくなるが、光沢メディア上での光沢性・定着性が得られやすい。そのため、双方のバランスをみた場合、前記顔料として黒色系顔料を用いる場合は50:50〜70:30、黄色系顔料の場合は60:40〜80:20、赤色系顔料の場合は60:40〜90:10、青色系顔料の場合は40:60〜70:30の範囲がより好ましい。このように各々の顔料によって、好適な顔料と分散ポリマーの重量比の範囲が異なっている理由は、詳細には不明であるが、各々の顔料ではその粒子の表面状態が異なっており、それが分散ポリマーの吸着状態や分散体の表面状態に影響しているためと推定している。但しこの推定は本発明において限定されるものではない。
その他の好ましい実施形態(c)
本発明の水性インクは、着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体であり、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、さらに高分子微粒子を添加してなり、前記マイクロカプセルと前記高分子微粒子の混合状態でのゼータ電位の絶対値が30ミリボルト以上であることを特徴とする。
また、前述のマイクロカプセルおよび前述の高分子微粒子のゼータ電位の絶対値がそれぞれ独立して30ミリボルト以上であり、そのマイクロカプセルのゼータ電位の値とその高分子微粒子のゼータ電位の値との差が±10ミリボルト以下であることが好ましい。ゼータ電位を上記の範囲にすることで、水性インク中で安定して存在することが可能となる。前述のゼータ電位の差は好ましくは±5ミリボルト以下である。また、前述の高分子微粒子のイオンの極性が前述のマイクロカプセルと同一であることが好ましい。さらに、等電点におけるpH差が±2以下であることが好ましい。
また、本発明における水性インクのゼータ電位は、分散体濃度が0.001〜0.01重量%になるようにイオン交換水で希釈した希釈液として測定した場合の、20℃、pH8〜pH9における分散体のゼータ電位の絶対値が40mV以上であることが好ましい。より好ましくは45mV以上であり、更により好ましいゼータ電位の絶対値は50mV以上である。ゼータ電位の絶対値が20mV以下の分散体の場合、水性インクの保存安定性が低下する。
その他の好ましい実施形態(d)
本発明の水性インクは、水性インクの液性成分中に含有されるSi、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrの各イオン量がいずれも50ppm以下であること、及び水性インクの液性成分中に含有される多価金属イオンの総量が200ppm以下であることを特徴とする。
尚、本実施形態(c)において、水性インクの「液性成分」とは、水性インク中の顔料粒子などの固形部分と、それらの固形部分を分散して保持する液状部分とに分けた場合の液状部分を意味する。従って、その「液性成分」には、水性インクを調製する際にベヒクル(水性インク自体の液状部分)中に混入する不純物も含まれている。また、例えば、水性インクを遠心処理して上清成分と沈殿成分とに分離し、その上清成分を公知の任意の方法で測定することによって前記「液性成分」中に含まれるSi、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zr等の多価金属イオンの各イオン量を測定することができる。多価金属イオンとは二価以上の金属イオンを指す。
その他の好ましい実施形態(e)
本発明の水性インクは顔料をポリマーで包含して水に分散可能とした分散体を含有し、且つ該ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、且つ水性インクの液性成分中に含有される多価のアニオン量が1000ppm以下であることを特徴とする。
本発明に用いる水性インクは少なくとも前述の分散体を含有することを特徴とし、その含有量は、顔料の重量濃度として、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1.0〜12重量%、最も好ましくは2〜10重量%である。水性インクの顔料含有量が0.5重量%未満になると印字濃度が不充分となることがあり、30重量%を越えると、水性インク粘度の点から水性インク中に保湿成分を添加する量が制限され、水性インクジェットヘッドのノズル目詰まりが発生しやすくなったり、水性インクの粘度が高くなり安定吐出が得られないことがある。
また、本発明に用いる水性インクは必要に応じて、その製造工程における水性インクまたは分散液に対して、逆浸透膜、限外濾過、電気透析、またヌッチェによる水洗等の精製処理を実施することができる。特に水性インクの液性成分中に多価のアニオンが多量に存在する場合は、その弊害(保存安定性の低下や吐出安定性の低下、又は印字品質の低下等)を防止する為に、上述のような精製処理を実施することが好ましい。
このような多価のアニオンの具体例としては、硫酸イオン、リン酸イオン、低分子ポリカルボン酸イオン等を挙げることができる。
その混入経路としては、顔料や分散ポリマーの原料等にもともと含まれている場合があり、特に分散体の製造に用いる顔料に表面改質顔料(表面を酸化処理等により改質した顔料)を使用した場合には、その表面改質剤が残留している可能性がある。また、分散工程等の水性インク製造工程中に製造装置から混入する場合等が考えられる。
上記のような精製処理により液性成分中における多価のアニオン量を一定量以下に抑えることで、水性インク保存時における物性値変動(保存安定性の低下)を防止し、水性インクジェットヘッドからの吐出特性を維持し、そして従来の水性インクと比較して格段に高い、印字物の印字濃度を確保することができる。このような水性インク液性成分中の多価のアニオン量は1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは800ppm以下であり、さらに好ましくは600ppm以下である。
昨今、水性インクジェットプリンタ用水性インクに必要とされる特性は高くなっており、高い保存安定性や吐出安定性を確保しつつ、印字物として滲みやブリード等がなく印字濃度が十分濃いことが必要とされている。
従来から使用されている親水性の高い分散樹脂では保存安定性や吐出安定性の確保や、滲みやブリード等がなく高い印字濃度を得ることが難しかった。
即ち、従来の親水性の高い分散樹脂を使用した顔料水性インクでは、水を主成分とする水性インク溶媒中にも分散樹脂が少なからず溶解し、保存安定性や吐出安定性を損なう要因となっていた。さらに記録媒体である紙の構成成分が親水性のセルロースである為、顔料表面に吸着している分散樹脂や溶媒中の溶解樹脂の影響により、顔料が親水性のセルロース表面に留まることなく記録紙の中に入り込む為、高い印字濃度を確保することが難しかった。
本発明水性インクの顔料分散体は、その分散ポリマー中の芳香環の量がポリマーの20%以上であることにより、疎水性の表面を有する顔料に好適に吸着することが可能であり、水性インク中において顔料から脱離し難くなる。さらにこのような分散体を着色剤とした本発明の水性インクは、従来から使用されていた親水性の高い分散樹脂を使用した水性インクと比較して、記録紙表面に留まりやすく、従って印字物は非常に高い印字濃度を有する特性を有するものとなった。
高い印字濃度を得られるその理由は明確には分かっていないが、水性インクが記録ヘッドより吐出され、記録媒体である紙に着弾した瞬間に、着色剤である分散体が速やかに凝集して紙上に残る為だと推定される。
しかしながらこのように優れた水性インクであっても、イオン性物質が多量に存在すると、水性インクの長期保存時の物性変動や、長時間印字をしない状態で放置後、再度印字しようとすると吐出不良が発生した。
本発明者らは本発明による水性インクを開発する過程で、水性インクの液性成分中の多価のアニオン量が一定量を越えると、保存時において水性インクの物性値変動(保存安定性の低下)や、水性インクジェット記録ヘッドからの吐出特性の低下、及び印字濃度の低下等が発生することを確認した。
本発明の水性インクは、前述のように優れた特性を有している反面、水性インク中に多価のアニオンのような電荷イオンが多量に存在すると、その影響を受けて上記のような特性の低下を生じることがあると考えられる。
本発明者らは水性インク中の多価のアニオン量の上限値を定めることで上記のような特性の低下を防ぐことに成功した。
即ち水性インクの液性成分中に存在する多価のアニオンの量が1000ppm越えると吐出不良等が発生しやすくなり、800ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に確保可能であり、600ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に非常に良好であることを本発明者らは発見し、本発明に至った。
その他の好ましい実施形態(f)
本発明の水性インクは、水性インクの液性成分中に含有される一価のカチオンの総量が5000ppm以下であることを特徴とする。
即ち水性インクの液性成分中に存在するこのような一価のカチオンは5000ppm越えると吐出不良等が発生しやすくなり、2500ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に良好になる。
このような一価のカチオンにより水性インクの特性が低下する理由は明確には分からないが顔料表面を覆っている分散樹脂と反応して凝集等が発生する為と考えられる。
但し、分散樹脂の親水性官能基の中和には水酸化ナトリウムやアンモニアを使用する為、水性インク中には必然的にこのような一価のカチオンが若干量(数ppm〜数十ppm程度)存在することになる。一価のカチオンの低減には逆浸透膜、限外濾過、電気透析等による精製が有効であるが、本発明者らの評価では水性インクの液性成分中に存在する一価のカチオンの量が前述の2500ppm以下であれば特に問題はなかった。
また、本発明者らの評価において、分散樹脂の親水性官能基の中和にアルカリ金属の水酸化物を使用すると、印字評価における普通紙上での印字濃度が向上しやい傾向にあった。従って印字濃度確保の点からは水性インクの液性成分中にこのようなアルカリ金属イオンが若干量存在した方がより好ましい。
又、前記一価のカチオンがアルカリ金属イオンであることを特徴とし、更に又、前記アルカリ金属イオンがナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオンのいずれかであることを特徴とする。
更に、前記一価のカチオンがアンモニウムイオンであることを特徴とする。
尚、本明細書において、水性インクの「液性成分」とは、水性インク中の分散体などの固形部分と、それらの固形部分を分散して保持する液状部分とに分けた場合の液状部分を意味する。従って、その「液性成分」には、顔料分散液、又は水性インクを調製する際にベヒクル(水性インク自体の液状部分)中に混入する不純物も含まれている。また、例えば、水性インクを遠心処理して上清成分と沈殿成分とに分離し、その上清成分を公知の任意の方法で測定することによって前記「液性成分」中に含まれるアルカリ金属イオン等の一価のカチオンを測定することができる。カチオンとは正電荷を持つイオン(陽イオン)を指す。
一価のカチオンとは具体的には、アルカリ金属イオンであるリチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)や、アンモニウムイオン(NH4 +)等を指す。
その他の好ましい実施形態(g)
本発明の水性インクは水性インクの液性成分中に含有される一価のアニオンの総量が3000ppm以下であることを特徴とする。
即ち水性インクの液性成分中に存在するこのような一価のアニオンは3000ppm越えると吐出不良等が発生しやすくなり、1500ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に良好になる。
又、このような一価のアニオンとして水性インク中に存在するものにはハロゲンイオン、硝酸イオン類、低分子カルボン酸イオン類等がある。このような一価のアニオンは塩類を含んだカーボンブラックや、ハロゲン基を助色団として有する有機顔料、分散樹脂を合成する際の分解副生成物等として水性インク中混入すると考えられる。このような一価のアニオンの低減には逆浸透膜、限外濾過、電気透析等による精製が有効である。
又、前記一価のアニオンがハロゲンイオンであることを特徴とし、更に前記ハロゲンイオンが塩素イオン(Cl−)、臭素イオン(Br−)、沃素イオン(I−)のいずれかであることを特徴とする。
尚、本明細書において、水性インクの「液性成分」とは、水性インク中の分散体などの固形部分と、それらの固形部分を分散して保持する液状部分とに分けた場合の液状部分を意味する。従って、その「液性成分」には、顔料分散液、又は水性インクを調製する際にベヒクル(水性インク自体の液状部分)中に混入する不純物も含まれている。また、例えば、水性インクを遠心処理して上清成分と沈殿成分とに分離し、その上清成分を公知の任意の方法で測定することによって前記「液性成分」中に含まれるハロゲンイオン等の一価のアニオンを測定することができる。アニオンとは負電荷を持つイオンを指す。
その他の好ましい実施形態(h)
本発明の水性インクは顔料をポリマーで包含して水に分散可能とした分散体を含有し、且つ該ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、且つ水性インクの液性成分中に含有される遊離ポリマー量が3%以下であることを特徴とする
本発明の好ましい態様においては、前記水性インクの液性成分中に含有される遊離ポリマーの量が2%以下であることを特徴とする。
尚、本明細書において、水性インクの「液性成分」とは、水性インク中の分散体などの固形部分と、それらの固形部分を分散して保持する液状部分とに分けた場合の液状部分を意味する。従って、その「液性成分」には、顔料分散液、又は水性インクを調製する際にベヒクル(水性インク自体の液状部分)中に混入する不純物も含まれている。
また、本明細書において、水性インク中の「遊離ポリマー」とは、水性インク中において顔料表面を包含していない(顔料表面に吸着していない)ポリマーを意味する。したがって、例えば、水性インクを遠心処理して上清成分と沈殿成分とに分離し、その上清成分をTOC(全有機炭素計)や、重量法(蒸発乾燥させ、ポリマー量を測定する方法)等、公知の任意の方法で測定することによって、「遊離ポリマー」の構造やその量を測定することができる。
本発明者らが推定するに、水性インクの分散ポリマーの製造工程において重合が不完全なポリマー成分が不純物として混入した場合、このような不完全なポリマー成分は顔料表面への吸着力が弱いと考えられ、従って水性インク中に浸透剤として添加される界面活性剤や親水性有機溶剤等の影響によって水性インクの液性成分中に遊離ポリマーとして溶解すると推定される。その結果、上記のような水性インク特性の低下が発生したと考えられる。
本発明者らは、分散ポリマーの製造において、製造工程の最適化や、予め限外濾過等の洗浄を実施することで、水性インクの液性成分中におけるこれらの遊離ポリマー量を一定量以下に抑え、上記のような水性インク保存時における物性値変動(保存安定性の低下)や水性インクジェットヘッドからの吐出特性の低下、及び印字物の印字濃度低下等の問題を解消することに成功した。本発明の水性インクは以上のような知見によって得られた結果である。
その他の好ましい実施形態(i)
本発明の水性インクセットは、顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20%以上70%以下である分散体、保湿剤、浸透剤、水を少なくとも含んでなる水性インクにおいて、少なくともブラック水性インク、イエロー水性インク、マゼンタ水性インク、シアン水性インクからなることを特徴とする。
また本発明の水性インクセットは、その好ましい態様によれば、前記ブラック水性インクがC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7から選ばれる少なくとも1種を含んでなり、前記イエロー水性インクがC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー180、から選ばれる少なくとも1種を含んでなり、前記マゼンタ水性インクがC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19から選ばれる少なくとも1種を含んでなり、前記シアン水性インクがC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする。
また、本発明の水性インクは、その好ましい態様によれば、前記水性インクセットに、更にレッド水性インク及び/あるいはブルー水性インク及び/あるいはグリーン水性インクを含んでなることを特徴とする。
また、本発明の水性インクセットは、その好ましい態様によれば、前記レッド水性インクがC.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド190から選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする。
また、本発明の水性インクセットは、その好ましい態様によれば、前記ブルー水性インクがC.I.ピグメントバイオレット23を含んでなることを特徴とする。
また、本発明の水性インクセットは、その好ましい態様によれば、前記グリーン水性インクがC.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36から選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする。
本発明の水性インクセットは、上記の顔料から選ばれる少なくとも1種を含み、かつ後述する浸透剤、保湿剤、水を少なくとも含んだブラック水性インク、イエロー水性インク、マゼンタ水性インク及びシアン水性インクを組み合わせて画像を形成することにより、印刷媒体種によらずににじみが少なく定着性・色再現性の良好な印刷画像を得ることができる。特に二次色(レッド、ブルー、グリーン)において、にじみがなく色再現性に優れた印刷画像を得る目的で、上記水性インクセットに更にレッド水性インク、ブルー水性インク、グリーン水性インクを適宜組み合わせて画像を形成することもできる。レッド水性インク、ブルー水性インク、グリーン水性インクに好適な顔料として、具体的には、レッド水性インクに用いられるものとしてはC.I.ピグメントレッド178、190が、ブルー水性インクに用いられるものとしてはC.I.ピグメントバイオレット23が、グリーン水性インクに用いられるものとしてはC.I.ピグメントグリーン7、36が挙げられる。
以上述べた顔料の添加量は、水性インク全量に対して0.5〜30%の範囲が好ましく、更には1.0〜12%が好ましい。0.5%未満の添加量では、印刷濃度が確保できなくなり、また30%より多い添加量では、水性インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、水性インクジェットヘッドからの水性インクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
また、顔料の粒径は分散安定性の観点から5μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.01〜0.15μmの範囲である。
その他の好ましい実施形態(j)
本発明の水性インクセットは、顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にしかつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体、保湿剤、浸透剤、水を少なくとも含んでなる水性インクからなる水性インクセットであって、該水性インクセットが濃水性インクと淡水性インクとの組み合わせからなり、該濃水性インクが少なくとも濃ブラック水性インク、濃イエロー水性インク、濃マゼンタ水性インク、濃シアン水性インクであり、該淡水性インクが少なくとも淡マゼンタ水性インク、淡シアン水性インクであることを特徴とする。
また本発明の水性インクセットは、前記水性インクセットに、更に淡水性インクとして淡ブラック水性インクを含んでなることを特徴とする。
また本発明の水性インクセットは、前記水性インクセットに、更に淡水性インクとして淡イエロー水性インクを含んでなることを特徴とする。
また本発明の水性インクセットは、前記濃ブラック水性インク及び前記淡ブラック水性インクがC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7から選ばれる少なくとも1種の顔料を含んでなり、前記濃イエロー水性インク及び前記淡イエロー水性インクがC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー180から選ばれる少なくとも1種の顔料を含んでなり、前記濃マゼンタ水性インク及び前記淡マゼンタ水性インクがC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19から選ばれる少なくとも1種の顔料を含んでなり、前記濃シアン水性インク及び前記淡シアン水性インクがC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16から選ばれる少なくとも1種の顔料を含んでなることを特徴とする。
更に本発明の水性インクセットは、前記浸透剤が、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、1,2−アルキレングリコールから選ばれる1種以上であることを特徴とする。
本発明の水性インクセットは、上記の顔料から選ばれる少なくとも1種を含み、かつ後述する浸透剤、保湿剤、水を少なくとも含んだ濃ブラック水性インク、濃イエロー水性インク、濃マゼンタ水性インク、淡マゼンタ水性インク、濃シアン水性インク、淡シアン水性インク、更に必要ならば淡ブラック水性インク、淡イエロー水性インクを組み合わせて画像を形成することにより、普通紙や水性インクジェットプリンタ用専用紙(特に光沢系メディア)等の印刷媒体種によらずににじみが少なく定着性・色再現性・粒状性の良好な印刷画像を得ることができる。
以上述べた顔料の添加量は、水性インク全量に対して0.5〜30重量%の範囲が好ましい。より好ましくは、淡水性インクでは、0.5〜5重量%が、濃水性インクでは1〜12重量%の範囲である。また同一色の濃水性インクと淡水性インクの顔料濃度比は、重量比で濃水性インク:淡水性インク=10:1〜4:1の範囲が粒状性の観点で好ましい。顔料濃度が0.5重量%未満の添加量では印刷濃度が薄すぎて色再現性・粒状性に関して所望の目的を達成できなくなり、また30重量%より多い添加量では水性インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、水性インクジェットヘッドからの水性インクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
また、顔料の粒径は分散安定性の観点から5μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下(300nm以下)、更に好ましくは0.01〜0.15μm(10〜150nm)の範囲である。
その他の好ましい実施形態(k)
本発明の水性インクが含む顔料分散液の製造方法は、着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体の製造工程と、該分散体を水系媒体中に分散処理する分散工程との二つの工程からなる分散液の製造方法であって、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする。
また、前記分散工程が少なくとも前記分散体と水と分散促進剤との混合液状態で分散処理する工程であることを特徴とする。
本発明による顔料内包樹脂分散液はその製造工程において分散促進剤を使用することができ、分散体の水系媒体への分散工程において添加することでその分散効率を向上することができる。
本発明の顔料分散液で使用する分散体は、顔料をポリマーで包含して水に分散可能としたマイクロカプセルであるため、分散促進剤によってマイクロカプセルからなる分散体が水系媒体(イオン交換水又は蒸留水等)に分散するわけではなく、分散時に添加することで分散体が分散媒になじみ易く(湿潤し易く)する効果を有し、かつ分散媒中の分散粒子同士の接触抵抗を大きくして分散効率を上げる効果を有するものである。結果として、分散処理工程における装置のせん断条件を緩やかにでき(装置により分散液に与えるせん断力を低くでき)、また分散処理に要する時間を短縮すること、分散液中の多価金属イオン等のコンタミ成分を低減することができる。
分散促進剤として使用できるものは、このような分散効率を上げる効果を有するものであれば特に限定されることなく使用することができ、特に好適なものとして、アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、グリコールエーテル類、アルキレングリコール類等を挙げることができる。その他、低級アルコール、ノニオン性界面活性剤が使用でき、更にその他のアルコール類、水溶性有機溶剤やアニオン性、カチオン性、両性の各界面活性剤、糖類等を使用することができるが、これらは既に実施の形態(a)の箇所で述べた浸透剤、保湿剤等の水溶性有機溶剤として列挙したものと同じものを用いることができる。
また、分散促進剤の添加量は、最終製造物である水性インクの液性等を考慮し適宜決定すればよい。以下にその一例を述べる。
アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類の分散工程における添加量は、顔料に対して重量換算で50分の1以上、且つ2倍以下の範囲であることが好ましい。特に添加量が50分の1未満では十分な分散効果が得られなくなり、大量(例えば顔料の数倍以上)に添加すると表面張力の低下により、水性インクジェットヘッド近傍において水性インクが濡れ広がり、安定性した吐出特性が確保し難くなる。
水性インク中への分散促進剤の混入量を最小限に抑えたい場合や、水性インクの浸透性を抑えたい場合は、分散促進剤として分子量の小さいアセチレンアルコール類を使用すると良い。例えば分散促進剤として前述のサーフィノール61を使用した場合、分散工程の後、分散液を加熱することで揮発させ残存量を最小限に抑えることができる。
又、分散促進剤の添加量は、少なくとも添加により分散効率の向上効果が得られ、且つ、分散体の分散状態や分散液の実際の使用に弊害をもたらさない範囲であれば特に限定されないが、好ましい添加量は分散工程の顔料分散液に対して0.05重量%〜50重量%であり、より好ましい添加量は0.1〜30重量%である。添加量が0.05重量%より少ないと湿潤剤としての効果が十分得られない場合があり、50重量%を超えると顔料粒子の分散が不安定になる場合がある。
これらの分散促進剤は前述の顔料をポリマーで被覆内包した分散体を水系媒体に分散する際に使用するものであり、分散体の製造工程で得られた顔料内包樹脂分散体、あるいはそのスラリー、ウェットケーキ等を5〜40重量%程度の濃度になるように水系媒体(特にイオン交換水又は蒸留水)中に分散促進剤、必要に応じて中和剤等と共に添加し、攪拌装置、もしくは分散装置を用いて適当なせん断力を与えて分散体を水系媒体で分散させて分散液を得ることができる。
これらの「分散体の製造工程」と「分散工程」は連続して実施することも可能であり、特に顔料を樹脂で被覆内包する分散体の製造を水系媒体で実施する場合、分散体の製造工程と分散工程の分散媒が同じ水系にできるため連続した工程を組みやすい。但し、製造工程の残留未反応物、反応副生成物等の除去は分散工程の前に実施した方が、最終的により分散安定性に優れる顔料分散液を得やすい。
一方、分散体の製造工程の溶媒が非水系溶媒である方が、残留未反応物等を目的物である分散体から分離除去しやすい場合もある。
本発明における顔料分散液のゼータ電位は、顔料濃度が0.001〜0.01重量%になるように顔料分散液をイオン交換水で希釈した希釈液として測定した場合の、20℃、pH8〜pH9における顔料粒子のゼータ電位の絶対値が40mV以上であることが好ましい。より好ましくは45mV以上であり、更により好ましいゼータ電位の絶対値は50mV以上である。顔料粒子のゼータ電位の絶対値が20mV以下の顔料分散液の場合、分散性付与基の導入量が不十分である場合と同様に顔料分散液の保存安定性が低下する。
続いて発明における分散液、及びそれを含有する水性インクについて説明する。本発明の水性インクは少なくとも本発明の顔料製造方法により製造された顔料分散液を含有することを特徴とし、その含有量は、顔料の重量濃度として、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1.0〜12重量%、最も好ましくは2〜10重量%である。水性インクの顔料含有量が0.5重量%未満になると印字濃度が不充分となることがあり、30重量%を越えると、水性インク粘度の点から水性インク中に保湿成分を添加する量が制限され、水性インクジェットヘッドのノズル目詰まりが発生しやすくなったり、水性インクの粘度が高くなり安定吐出が得られないことがある。
本発明の水性インクが含む顔料分散液に前述の界面活性剤や水溶性有機溶剤等の分散促進剤を添加した場合、添加後の各物性値が安定化する迄に時間を要する場合がある。このような場合、必要に応じて顔料分散液に加熱等のエージング処理を実施しても良い。
このようなエージング処理を実施する場合の加熱温度は室温(25℃)以上で100℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下である。エージング処理を実施する時間は数分程度から数日程度の範囲であることが好ましく、より好ましくは数時間以上24時間以下の範囲である。但し、このようなエージングの処理条件は使用する顔料や樹脂の種類によっても異なる為、必要な効果が得られれば、エージング処理条件は特に限定はしない。
例えば、加熱温度を70℃、処理時間を12〜24時間程度のエージング処理を実施することで、顔料分散液各物性を安定化することができる。
また、さらに上記エージング処理した顔料分散液を用いて水性インクを調製した後、該インクを、前述した水性インクのエージング処理と同様の方法で、エージング処理することができる。
本発明による顔料分散液を開発する過程で本発明者らは以下の知見を得た。但し、本発明は以下の推論によって限定されるものではない。
前述のように、咋今、水性インクジェットプリンタの高画質化及び高速化により、特に顔料水性インクにおいて安定した吐出特性を確保することが困難になっている。
昨今さらに加えて、高画質・高速化の為、ノズル径が小さなりヘッド駆動周波数が高くなった水性インクジェットプリンタにおける印字では、水性インクドットの飛行曲がりが発生したり、長時間印字をしない状態で放置後、再度印字しようとすると顔料の凝集等によりノズルが詰まって吐出不良が発生した。本発明者らは顔料内包樹脂分散液を開発する過程で、分散液および水性インク中の多価金属イオンの含有量が一定量以下に抑えることで上記のような吐出不良、顔料の凝集等の問題を解決することに成功した。
水性インク中に混入する多価金属イオン等のコンタミにより吐出不良、特に保存安定性が損なわれる明確な要因はわかっていないが、このような多価金属イオンが水性インク中に存在すると、顔料表面を覆っている樹脂と反応して凝集等が発生する為と考えられる。このような凝集が発生し易いのは二価以上の金属イオンが存在する場合であり、本発明者らの実験ではNaやKおよびLi等の一価のアルカリ金属イオンが多少水性インク中に存在しても(数十〜数百ppm程度)すぐに水性インクの安定性や吐出安定性を大きく損ねるようなことは無かった。
また、水性インク中にEDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤を添加することで上記のような多価金属イオンによる影響を多少軽減することはできるが、根本的な解決には至らなかった。
上記のような多価金属イオンが顔料分散液および水性インク中に混入する要因を挙げると、例えば、分散体である顔料内部には、顔料分子合成時に反応槽から混入する場合や、特定の合成反応により顔料内部に取り込まれるもの(例えばグリニヤー反応におけるMg等)が考えられ、これらが分散時に水性インク溶媒成分中に混入することが考えられる。特にこのような顔料粒子内部から分散液および水性インク中に混入する例えばMg等は、分散時に分散メディアや分散槽を工夫してもの混入を防止するのが難しく、結果として、水性インク吐出、及び水性インクの長期保存安定性に悪影響を与えることになる。
また分散時に使用する分散メディア等により、ガラスビーズによるSi、ジルコニアビーズによるZr、ステンレスの分散槽内壁によるFe、Ni、Cr等が水性インク溶媒成分中に混入する。さらに長期間使用している装置の場合には、以前使用した時の残留物がコンタミとして混入する場合もある。
本発明者らは顔料分散時に適切な湿潤剤を添加することで、分散処理時間を大幅に短縮(約10分の1)することに成功し、上記のように分散時に多価金属イオンが水性インク中に混入するのを防止するのに成功した。その結果、昨今の高画質化、高速化の為に、ノズル径が小さくなり高周波数で駆動するヘッドを有する水性インクジェットプリンタにおける安定した印字特性、及び物性変化のない保存安定性の両特性を確保した水性インクジェットプリンタ用顔料水性インクの製造に成功した。
その他の好ましい実施の形態(l)
本発明の水性インクは顔料をポリマーで包含して水に分散可能とした分散体を含有する水性インクであって、且つ前記ポリマー中の芳香環の量が20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、且つ前記分散体中に含有される多価のカチオン量が1000ppm以下であることを特徴とする。
本発明による水性インクを調整する過程で、分散体中に含有される多価のカチオン量を上記範囲にすることで、水性インク保存時における物性値変動(保存安定性の低下)や水性インクジェットヘッドからの吐出特性の低下等の問題を発生することを防ぐことができる。
即ち水性インクの分散体中に存在するこのような多価のカチオンは1000ppm越えると吐出不良等が発生しやすくなり、800ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に良好になる。
その他の好ましい実施形態(m)
本発明の水性インクは顔料をポリマーで包含して水に分散可能とした分散体を含有する水性インクであって、且つ前記ポリマー中の芳香環の量が20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、且つ前記分散体中に含有される多価のアニオン量が800ppm以下であることを特徴とする。
本発明による水性インクを調整する過程で、分散体中に含有される多価のアニオン量を上記範囲にすることで、水性インク保存時における物性値変動(保存安定性の低下)や水性インクジェットヘッドからの吐出特性の低下等の問題を発生することを防ぐことができる。
即ち水性インクの分散体中に存在するこのような多価のアニオン量が800ppmを越えると吐出不良等が発生しやすくなり、600ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に確保可能であり、400ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に良好になる。
その他の好ましい実施形態(n)
本発明の水性インクは顔料をポリマーで包含して水に分散可能とした分散体を含有する水性インクであって、且つ前記ポリマー中の芳香環の量が20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、且つ前記分散体中に含有される一価のカチオン量が3500ppm以下であることを特徴とする。
本発明による水性インクを調整する過程で、分散体中に含有される一価のカチオン量を上記範囲にすることで、水性インク保存時における物性値変動(保存安定性の低下)や水性インクジェットヘッドからの吐出特性の低下等の問題を発生することを防ぐことができる。
即ち水性インクの分散体中に存在するこのような一価のカチオンは3500ppm越えると吐出不良等が発生しやすくなり、2500ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に良好になることを見いだした。本発明はこのような知見による。
その他の好ましい実施形態(p)
本発明の水性インクは顔料をポリマーで包含して水に分散可能とした分散体を含有する水性インクであって、且つ前記ポリマー中の芳香環の量が20重量%(以下単に%と示すものは重量%を示す)以上70%以下であり、且つ前記分散体中に含有される一価のアニオン量が5000ppm以下であることを特徴とする。
本発明による水性インクを調整する過程で、分散体中に含有される一価のアニオン量を上記範囲にすることで、水性インク保存時における物性値変動(保存安定性の低下)や水性インクジェットヘッドからの吐出特性の低下等の問題を発生することを防ぐことができる。
即ち水性インクの分散体中に存在するこのような一価のアニオンは5000ppm越えると吐出不良等が発生しやすくなり、3500ppm以下であれば、吐出特性、保存安定性共に良好になることを見いだした。本発明はこのような知見による。
なお、上述したその他の好ましい実施形態(l)〜その他の好ましい実施形態(p)までは、本発明の水性インクの分散体および本発明の水性インクが含む顔料分散液の製造方法における顔料分散液が含む分散体についての説明である。
[実施例]
次に本発明を具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は斯かる具体例によって制限されるものではない。
なお、以下の実施例Aは上述した好ましい実施形態(a)、実施例Bは好ましい実施形態(b)にそれぞれ対応している。
[実施例A]
次に本発明における具体的な実施の形態(a)について説明する。
本発明において示す着色剤の例として有機または無機顔料を用いる場合について述べる。実施例、および比較例における顔料A1はカーボンブラック顔料、顔料A2はフタロシアニン顔料、顔料A3はジメチルキナクリドン顔料、顔料A4はジケトピロロピロール顔料を用いた。しかし、これらに限定されず多くの有機、無機顔料を用いることができる。<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
本発明においては、顔料を反応性分散剤で分散し、次いで水中で触媒の存在下で乳化重合を行なうことによって得ることもできる。
(分散体A1〜A4の製造)
まず、分散体A1としては無機顔料であるカーボンブラックであるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を用いた。超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、および温度調整器を備えた反応容器にラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)25部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを5部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけて分散処理を行なった。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.6部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とのメチルエチルケトン溶液をさらに加えて60℃で8時間重合反応を行なう。得られた溶液を遠心ろ過してポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに0.4μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。このポリマーで包含された顔料溶液をホモジナイザーでほぐして再分散させた。
そして、反応容器に前述の顔料のメチルエチルケトン溶液を、さらにイオン交換水27部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去して、水酸化ナトリウムで中和してpH8.5に調整してから0.3μmのフィルターでろ過して分散体A1とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は40%であった。
上記と同様な手法で分散体A2〜A4を得た。分散体A2は有機顔料であるピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体A3は有機顔料であるピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体A4は有機顔料であるピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール:クラリアント製)を用いた。
(分散体A5〜A8の製造)
まず、分散体A5はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターでろ過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%の分散体A5とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は36%であった。
上記と同様な手法で分散体A6〜A8を得た。分散体A6はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体A7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体A8はピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール:クラリアント製)を用いた。
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明による水性インクジェット記録用水性インクに好適な水性インクの組成の例を示す。分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は顔料の粒径をnm単位で示す。尚、本実施例中の残量の水と示す中には水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05%、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
実施例A−1 添加量(%)
分散体A1<105>・・・・・・・・・・9.5
TEGmBE・・・・・・・・・・・・・・5.0
オルフィンE1010・・・・・・・・・・1.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・9.0
1,5−ペンタンジオール・・・・・・・・5.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.8
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
実施例A−2 添加量(%)
分散体A2<85>・・・・・・・・・・・4.5
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・10.0
ジプロピレングリコール・・・・・・・・・5.0
サーフィノール465・・・・・・・・・・1.2
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
サーフィノール465(アセチレングリコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
実施例A−3 添加量(%)
分散体A3<90>・・・・・・・・・・・8.5
1.2−ヘキサンジール・・・・・・・・・4.0
オルフィンSTG・・・・・・・・・・・・0.5
ジエチレングリコール・・・・・・・・・・7.0
チオジグリコール・・・・・・・・・・・・1.5
1,6−ヘキサンジオール・・・・・・・・5.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・1.0
水酸化カリウム・・・・・・・・・・・・・0.1
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
オルフィンSTG(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
実施例A−4 添加量(%)
分散体A4<80>・・・・・・・・・・10.0
TEGmBE・・・・・・・・・・・・・・3.0
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・5.0
サーフィノール61・・・・・・・・・・・0.5
テトラチレングリコール・・・・・・・・・9.0
1,5−ペンタンジオール・・・・・・・・2.0
ジメチル−2−イミダゾリジノン・・・・・2.0
安息香酸ナトリウム・・・・・・・・・・・0.1
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.7
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
サーフィノール61(アセチレンアルコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
実施例A−5 添加量(%)
分散体A5・・・・・・・・・・・・・・・8.0
DPGmBE・・・・・・・・・・・・・・2.0
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・・7.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・14.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
実施例A−6 添加量(%)
剤分散体A6・・・・・・・・・・・・・10.0
オルフィンE1010・・・・・・・・・・1.0
TEGmBE・・・・・・・・・・・・・・6.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・15.0
チオジグリコール・・・・・・・・・・・・2.0
1,5−ペンタンジオール・・・・・・・・1.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
実施例A−7 添加量(%)
分散体A7・・・・・・・・・・・・・・12.0
サーフィノール61・・・・・・・・・・・0.5
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・・8.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・15.0
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・1.0
トリメチロールエタン・・・・・・・・・・1.0
サーフィノール465・・・・・・・・・・1.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.5
KOH・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
実施例A−8 添加量(%)
分散体A8・・・・・・・・・・・・・・10.5
オルフィンSTG・・・・・・・・・・・・1.0
PGmBE・・・・・・・・・・・・・・・2.0
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・10.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・7.0
ジエチレングリコール・・・・・・・・・・5.0
テトラプロピレングリコール・・・・・・・5.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
KOH・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
比較例に用いた水性インクの組成を以下に示す。
比較例A−1 添加量(%)
顔料A1<105>・・・・・・・・・・・7.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・10.0
分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0
非イオン系界面活性剤・・・・・・・・・・1.0
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・残量
非イオン系界面活性剤:ノイゲンEA160(第一工業製薬株式会社製)
分散剤はソルスパース27000(アビシア製)を用いてビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって作成した。
比較例A−2 添加量(%)
アシッドブルー9・・・・・・・・・・・・6.5
DEGmME・・・・・・・・・・・・・・7.0
ジエチレングリコール・・・・・・・・・10.0
2−ピロリドン・・・・・・・・・・・・・5.0
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・残量
DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
比較例A−3 添加量(%)
ダイレクトブラック154・・・・・・・・2.5
ジエチレングリコール・・・・・・・・・10.0
非イオン系界面活性剤・・・・・・・・・・1.0
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・残量
非イオン系界面活性剤:エパン450(第一工業製薬株式会社製)
表1に印刷の評価結果として文字を印刷したときの滲みの評価結果を示す。表1中Aは極めてよい、Bはよい、Cは悪い、Dは極めて悪いということを示す。
表1の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印刷品質が悪く、本発明で用いる水性インクを用いると印刷品質が良好なことが分かる。
尚、これらの印刷評価はセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンターPM−900Cを用いることによって行なった。これらの評価に用いた紙は、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、XeroxR紙である。
以上のように、本発明においては印刷画像の紙等の被記録体に対する滲みが低減される高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
また、実施例A−1〜8の水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃/1週間で放置し、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)について調べた。
その結果いずれの水性インクも異物の発生、物性値の変化が殆ど無く、良好な保存安定性であった。
一方、実施例A−1の組成で分散体を比較例A−1の顔料に変えて同様に実験を行なったところ表面張力の変化は少なかったが、異物が発生して濾過性が低下し、増粘現象が生じ、吐出の安定性は得られなかった。
また、実施例A−1の組成においてDEGmBEとE1010の代りに本発明でよいとする他の添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いて作成した水性インクと比較例A−1で示す水性インクに本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を添加した場合について(表2の実施例A−9〜18)、同様に60℃/1週間で放置し、放置後の水性インクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)および吐出安定性について調べた結果を表2に示す。異物発生量は60℃放置後の異物量/初期の異物量、粘度は60℃放置後の粘度/初期の粘度、表面張力は60℃放置後表面張力/初期の表面張力の値を示し、吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンターPM−900Cを用いて、A4版Xerox P紙に100ページ連続印刷して全く印刷乱れなど生じないものをA、10個所未満印刷乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印刷乱れのあるものをC、100個所以上印刷乱れのあるものをDとする。
表1と表2の結果からわかるように、本発明になる分散体を用いた水性インクは良好な印刷品質であり、吐出安定性、保存性安定性に優れる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになることがわかる。また、実施例A−2〜8についても同様に添加剤を変えて試験を行なったところ、ほぼ同様な結果がえられた。
また、実施例A−1および実施例A−5に用いた分散ポリマーの芳香環の量を変える重合を行なって、芳香環の量と保存安定性の関係をもとめた結果を表3に示す。保存安定性は実施例A−1〜8の水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃および70℃/1週間放置し、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。異物発生量は60℃および70℃放置後の異物量/初期の異物量、粘度は60℃および70℃放置後の粘度/初期の粘度の値を示す。
表3の結果から分かるように本発明の分散ポリマー中の芳香環の量が20%以上70%以下、好ましくは25%以上50%以下であることが分かる。
以上より、従来のように一般的な分散剤で分散させた場合は本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため十分な印刷品質が得られない、しかし、本発明の着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にしたマクロカプセルであり、そのポリマー中の芳香環の量がそのポリマーの20重量%以上70%以下であることで十分な発色性を有しながら保存安定性や吐出安定性が得られる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになる。さらに、着色剤として好適には顔料を用いるので耐水性は通常の染料を用いる場合(例えば比較例A−2および3)より優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆するポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来のように通常の分散剤を用いる場合は分散剤では基本的に着色剤に吸着している分散剤の吸着力が弱く部分的な脱離が起こり、その脱離物や吸着されなかった分散剤により粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。
尚、本発明はこれらの実施例に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
[実施例B]
次に本発明によるその他の好ましい実施形態(b)における実施例について説明する。
本発明において示す着色剤の例として、以下の実施例及び比較例では一部の有機または無機顔料を用いた場合について述べているが、これらに限定されず多くの有機、無機顔料を用いることができる。<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
本発明においては、着色剤を反応性分散剤で分散し、次いで水中で触媒の存在下で乳化重合を行なうことによって得ることもできる。
(ブラック分散体B1の製造)
まず、ブラック分散体B1としては、着色剤として無機顔料のカーボンブラックであるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を用いた。超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、及び温度調整器を備えた反応容器にラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)58部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを5部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけて分散処理を行なった。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.6部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とのメチルエチルケトン溶液をさらに加えて60℃で8時間重合反応を行なった。得られた溶液を遠心濾過して分散ポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに0.4μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。この分散ポリマーで包含された顔料溶液をホモジナイザーでほぐして再分散させた。
そして、反応容器に前述の顔料のメチルエチルケトン溶液を、さらにイオン交換水27部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部及びt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去して、水酸化ナトリウムで中和してpH8.5に調整してから0.3μmのフィルターで濾過して、ブラック分散体B1とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/L濃度HClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いた13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は40%であった。
(シアン分散体B1の製造)
シアン分散体B1は、着色剤として有機顔料であるピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を58部用いた以外は、ブラック分散体B1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B1の製造)
マゼンタ分散体B1は、着色剤として有機顔料であるピグメントレッド81(クラリアント社製)を58部用いた以外は、ブラック分散体B1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B1の製造)
イエロー分散体B1は、着色剤として有機顔料であるピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール顔料、クラリアント社製)を58部用いた以外は、ブラック分散体B1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B2の製造)
ブラック分散体B2は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管及び滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部及びアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して50%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%のブラック分散体B2とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/L濃度HClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いた13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は36%であった。
(ブラック分散体B3の製造)
ブラック分散体B3は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を2.2部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B4の製造)
ブラック分散体B4は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を5部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B5の製造)
ブラック分散体B5は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を8.6部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B6の製造)
ブラック分散体B6は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を13.3部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B7の製造)
ブラック分散体B7は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を20部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B8の製造)
ブラック分散体B8は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を46.7部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B9の製造)
ブラック分散体B9は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を80部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体B10の製造)
ブラック分散体B10は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を180部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B2の製造)
シアン分散体B2は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を30部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B3の製造)
シアン分散体3は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を2.2部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B4の製造)
シアン分散体B4は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を5部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B5の製造)
シアン分散体B5は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を8.6部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B6の製造)
シアン分散体B6は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を13.3部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B7の製造)
シアン分散体B7は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を20部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B8の製造)
シアン分散体B8は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を46.7部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B9の製造)
シアン分散体B9は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を80部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体B10の製造)
シアン分散体B10は、着色剤としてピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)を180部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B2の製造)
マゼンタ分散体B2は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を30部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した
(マゼンタ分散体B3の製造)
マゼンタ分散体B3は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を2.2部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B4の製造)
マゼンタ分散体B4は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を5部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B5の製造)
マゼンタ分散体B5は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を8.6部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B6の製造)
マゼンタ分散体6は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を13.3部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B7の製造)
マゼンタ分散体B7は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を20部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B8の製造)
マゼンタ分散体B8は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を46.7部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B9の製造)
マゼンタ分散体B9は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を80部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体B10の製造)
マゼンタ分散体B10は、着色剤としてピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料、クラリアント社製)を180部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B2の製造)
イエロー分散体B2は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を30部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B3の製造)
イエロー分散体B3は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を2.2部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B4の製造)
イエロー分散体B4は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を5部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B5の製造)
イエロー分散体B5は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を8.6部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B6の製造)
イエロー分散体B6は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を13.3部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B7の製造)
イエロー分散体B7は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を20部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B8の製造)
イエロー分散体B8は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を46.7部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B9の製造)
イエロー分散体B9は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を80部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B10の製造)
イエロー分散体B10は、着色剤としてピグメントイエロー74(クラリアント社製)を180部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体B11の製造)
イエロー分散体B11は、着色剤としてピグメントイエロー110(イソインドリノン顔料、クラリアント社製)を46.7部用いた以外は、ブラック分散体B2の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明による水性インクジェット記録用水性インクに好適な水性インクの組成の例を示す。分散体の添加量は分散体中の固形分量(顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を示す。<>は顔料の粒径をnm単位で示す。なお、本実施例中の残量の水と示す中には水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05%、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(実施例B−1)
なお、上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
(実施例B−2)
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
(実施例B−3)
なお、上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
(実施例B−4)
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
(実施例B−5)
なお、上記組成中、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(実施例B−6)
分散体としてブラック分散体B3を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−6の水性インクを調製した。
(実施例B−7)
分散体としてブラック分散体B4を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−7の水性インクを調製した。
(実施例B−8)
分散体としてブラック分散体B5を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−8の水性インクを調製した。
(実施例B−9)
分散体としてブラック分散体B6を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−9の水性インクを調製した。
(実施例B−10)
分散体としてブラック分散体B7を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−10の水性インクを調製した。
(実施例B−11)
分散体としてブラック分散体B8を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−11の水性インクを調製した。
(実施例B−12)
分散体としてブラック分散体B9を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−12の水性インクを調製した。
(実施例B−13)
分散体としてブラック分散体B10を用いた他は、実施例B−5と同様の組成にて、実施例B−13の水性インクを調製した。
(実施例B−14)
(実施例B−15)
分散体としてシアン分散体B3を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−15の水性インクを調製した。
(実施例B−16)
分散体としてシアン分散体B4を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−16の水性インクを調製した。
(実施例B−17)
分散体としてシアン分散体B5を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−17の水性インクを調製した。
(実施例B−18)
分散体としてシアン分散体B6を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−18の水性インクを調製した。
(実施例B−19)
分散体としてシアン分散体B7を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−19の水性インクを調製した。
(実施例B−20)
分散体としてシアン分散体B8を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−20の水性インクを調製した。
(実施例B−21)
分散体としてシアン分散体B9を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−21の水性インクを調製した。
(実施例B−22)
分散体としてシアン分散体B10を用いた他は、実施例B−14と同様の組成にて、実施例B−22の水性インクを調製した。
(実施例B−23)
添加物 添加量(%)
マゼンタ分散体B2<105>・・・・・・12.0
サーフィノール61・・・・・・・・・・・・0.5
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・・・8.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・15.0
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・・1.0
トリメチロールエタン・・・・・・・・・・・1.0
サーフィノール465・・・・・・・・・・・1.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・0.5
水酸化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.05
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(実施例B−24)
分散体としてマゼンタ分散体B3を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−24の水性インクを調製した。
(実施例B−25)
分散体としてマゼンタ分散体B4を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−25の水性インクを調製した。
(実施例B−26)
分散体としてマゼンタ分散体B5を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−26の水性インクを調製した。
(実施例B−27)
分散体としてマゼンタ分散体B6を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−27の水性インクを調製した。
(実施例B−28)
分散体としてマゼンタ分散体B7を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−28の水性インクを調製した。
(実施例B−29)
分散体としてマゼンタ分散体B8を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−29の水性インクを調製した。
(実施例B−30)
分散体としてマゼンタ分散体B9を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−30の水性インクを調製した。
(実施例B−31)
分散体としてマゼンタ分散体B10を用いた他は、実施例B−23と同様の組成にて、実施例B−31の水性インクを調製した。
(実施例B−32)
なお、上記組成中、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(実施例B−33)
分散体としてイエロー分散体B3を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−33の水性インクを調製した。
(実施例B−34)
分散体としてイエロー分散体B4を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−34の水性インクを調製した。
(実施例B−35)
分散体としてイエロー分散体B5を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−35の水性インクを調製した。
(実施例B−36)
分散体としてイエロー分散体B6を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−36の水性インクを調製した。
(実施例B−37)
分散体としてイエロー分散体B7を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−37の水性インクを調製した。
(実施例B−38)
分散体としてイエロー分散体B8を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−38の水性インクを調製した。
(実施例B−39)
分散体としてイエロー分散体B9を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−39の水性インクを調製した。
(実施例B−40)
分散体としてイエロー分散体B10を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−40の水性インクを調製した。
(実施例B−41)
分散体としてイエロー分散体B11を用いた他は、実施例B−32と同様の組成にて、実施例B−41の水性インクを調製した。
(実施例B−42)
なお、上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(実施例B−43)
なお、上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(実施例B−44)
なお、上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(実施例B−45)
なお、上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(比較例B−1)
比較例B−1では、着色剤としてブラック分散体B1に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤として高分子分散剤と界面活性剤を用い、水性インクジェット記録用水性インクを作成した。その組成を以下に示す。
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン株式会社製)を、非イオン系界面活性剤はノイゲンEA160(商品名、第一工業製薬株式会社製)を、高分子分散剤はソルスパース27000(商品名、アビシア社製)を示す。上記組成物をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって、比較例B−1による水性インクジェット用水性インクを作成した。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
(比較例B−2)
比較例B−2では、着色剤としてブラック分散体B1に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤として界面活性剤を用い、水性インクジェット記録用水性インクを作成した。その組成を以下に示す。
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン株式会社製)を、アニオン性界面活性剤はハイテノールN07(商品名、第一製薬工業株式会社製)を、DEGmMEはジエチレングリコールモノメチルエーテルを示す。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA・2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
(比較例B−3)
比較例B−3では、着色剤としてブラック分散体B2に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤としてブラック分散体B2に用いた分散ポリマーを用いてブラック分散体B11を製造し、これを用いて比較例B−3の水性インクを作成した。但し、この比較例で用いたブラック分散体B11の製造は以下に示す方法で行なった。
ブラック分散体B2の製造で用いた50%濃度の分散ポリマー溶液を40部、カーボンブラック顔料としてモナーク880(商品名、キャボット社製、ピグメントブラック7)を0.4部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%の、比較例B−3によるブラック分散体B11とした。
以下に比較例B−3の水性インクの組成を示す。なお、以下に示すブラック分散体B11の%は、固形分(顔料と分散ポリマーを合わせたもの)を示す。
なお、上記組成中、非イオン系界面活性剤はエパン450(商品名、第一工業製薬株式会社製)を示す。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA・2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
(比較例B−4)
比較例B−4では、着色剤としてブラック分散体B2に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤としてブラック分散体B2に用いた分散ポリマーを用いてブラック分散体B12を製造し、これを用いて比較例B−4の水性インクを作成した。但し、この比較例で用いたブラック分散体B12の製造は以下に示す方法で行なった。
ブラック分散体B2の製造で用いた50%濃度の分散ポリマー溶液を40部、カーボンブラック顔料としてモナーク880(商品名、キャボット社製、ピグメントブラック7)を300部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%の、比較例B−3によるブラック分散体B12とした。
以下に比較例B−3の水性インクジェット記録用水性インクの組成を示す。なお、以下に示すブラック分散体B12の%は、固形分(顔料と分散ポリマーを合わせたもの)を示す。
なお、上記組成中、非イオン系界面活性剤はエパン450(商品名、第一工業製薬株式会社製)を示す。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA・2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
(分散体及び水性インクの評価)
<普通紙上の印刷品質>
上記実施例及び比較例で作成した水性インクを、水性インクジェットプリンタPM−900C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上に文字を印刷して印刷濃度と滲みによる印刷品質を評価した。この評価で用いた普通紙は、ヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、XeroxR紙である。評価は目視で行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表4に示した。
評価A:文字が濃く鮮明、あるいは滲みがわからない。
B:細い文字がわずかに薄く見える、あるいはわずかに滲みが認められる(実用レベル)。
C:細い文字が薄くかすれたように見える、あるいは文字太り・曲がりなどの滲みが認められる。
D:濃度が薄く判読できない文字がある、あるいは滲みがひどく判読できない文字がある。
表4の結果から明らかなように、比較例B−1〜4の水性インクは文字濃度が薄い、あるいは滲みが著しかったが、実施例B−1〜40の水性インクは文字濃度が濃く滲みが少なかった。この中でも特に、実施例B−1、2、5、10、11、12、13、14、18、19、20、21、22、23、29、30、31、32、38、39、40、41、42、43、44、45の水性インクは、紙種によらずに文字濃度が濃く鮮明で滲みのない画像が得られた。
以上のように、本発明においては、普通紙に対して濃く鮮明で滲みが少ない、高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
<光沢メディア上での光沢性>
上記実施例及び比較例で作成した水性インクを、水性インクジェットプリンタPM−900C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、光沢メディア上に10%から100%まで10%刻みでdutyを変えたベタパターン印刷をして、その印刷物の光沢性を評価した。この評価で用いた光沢メディアは、ヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている光沢メディアで、▲1▼フォトプリント紙2、▲2▼MC写真用紙(▲1▼、▲2▼とも商品名、セイコーエプソン株式会社製)、▲3▼Ink Jet Paper Photo Glossy Paper Super Photo Grade、▲4▼Ink Jet Paper Photo Paper High Grade(▲3▼、▲4▼とも商品名、富士写真フィルム株式会社製)、▲5▼Ink Jet Photographic Quality Paper Photo Weight(商品名、コダック社製)、▲6▼Photo like QP QP20A4GH(商品名、コニカ株式会社製)である。評価は目視で行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表5に示した。表5中、紙種については、上記の番号を示してある。
評価A:全てのベタパターンで光沢性が認められる。
B:100%dutyの印刷部分がわずかに光沢性に欠けるが、実用上問題ないレベル。
C:50%duty以上の印刷部分が光沢性に欠ける。
D:全てのベタパターンで光沢性に欠ける。
表5の結果から明らかなように、比較例B−1、2、4の水性インクは光沢性に欠けていた。比較例B−3は比較的光沢性を維持できていたが、100%dutyのベタパターンでも濃度が薄く実用性に欠けていた。それに対して、実施例B−1〜40の水性インクは光沢性を維持できていた。その中でも特に実施例B−1、2、3、4、5、9、10、11、14、17、18、19、23、28、29、30、32、37、38、39、41、42、43、44、45の水性インクで印刷した画像では、濃度が濃く鮮明で光沢性に優れていた。
以上のように、本発明においては、水性インクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢メディアにおいても、光沢性に優れた、高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
<印刷物の定着性>
上記実施例及び比較例で作成した水性インクを、水性インクジェットプリンタPM−900C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、上記の評価で用いた普通紙及び光沢メディア上に文字を印刷して、その印刷物の定着性を評価した。評価は、印刷後一時間20〜25℃/40〜60%RH下で乾燥させた印刷物を用い、指で擦った後の文字のずれ・かすれ状態を目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表6に示した。表6中、光沢メディアの紙種については、<光沢メディア上での光沢性>に示した光沢メディアの番号を示してある。
評価A:ずれ、かすれが認められない。
B:わずかにずれが認められるが、実用上問題ないレベル。
C:ずれ、あるいはかすれが認められる。
D:ずれ、かすれが甚だしく、文字が判読し難い。
表6および表7の結果から明らかなように、比較例B−1、2、4の水性インクは特に光沢メディアにおいて定着性に欠けていた。比較例B−3は比較的定着性が良かったが、文字濃度が薄く実用性に欠けていた。それに対して、実施例B−1〜40の水性インクは定着性が普通紙、光沢メディアとも良好であった。その中でも特に実施例B−1、2、4、5、9、10、11、14、17、18、19、23、28、29、30、32、37、38、39、41、42、43、44、45の水性インクで印刷した画像では、光沢メディア上でも定着性に優れていた。
以上のように、本発明においては、普通紙のみならず水性インクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢メディアにおいても、定着性に優れた、高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
<水性インクの保存性1>
上記実施例及び比較例の水性インクを、ガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃で1週間放置し、放置前後での水性インクの異物発生量、物性値(粘度、表面張力)について調べた。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表8に示した。
評価A:60℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が、0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
表8の結果から明らかなように、比較例B−1〜4の水性インクは保存性に劣っていた。それに対して、実施例B−1〜40の水性インクは保存性が異物、物性値とも良好であった。その中でも特に実施例B−1、2、4、5、9、10、11、12、13、14、17、18、19、20、23、28、29、30、31、32、37、38、39、40、41、42、43、44、45の水性インクは、60℃放置前後での異物発生量、物性値の差がほとんど無く、優れていた。
一方、実施例B−1の組成で分散体を比較例B−1の顔料に変えて同様に実験を行なったところ、表面張力の変化は少なかった(上記評価基準でB)が、異物が多量に発生(上記評価基準でD)して濾過性が低下し、また水性インクが増粘(上記評価基準でD)して、安定した保存性は得られなかった。
以上のように、本発明においては、保存性に優れた、高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。また、以上述べた印刷物の印刷品質、光沢性、定着性を見た場合、いずれの評価でも優れた特性を示す着色剤と分散ポリマーの重量比は、本発明でより好ましいとする範囲である事が判る。さらに、水性インクとして、2種の分散体を混合した場合でも(実施例B−41〜45の水性インク)、保存性に優れた、高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
また、実施例B−1の組成において、DEGmBEとオルフィンE1010の代りに本発明でよいとする他の添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いて作成した水性インクと、比較例B−1で示す水性インクに本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を添加した場合について(表8の水性インク組成1〜10)、同様に60℃/1週間で放置し、放置後の水性インクの異物発生量、物性値(粘度、表面張力)について調べた。評価判断基準は上記の<水性インクの保存性1>と同様に行なった。また、評価結果は表9に示した。
さらに、上記の水性インクの吐出安定性を評価した。評価方法は水性インクジェットプリンタPM−900C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に上記水性インクを各々搭載して、A4版Xerox P紙に100ページ連続印刷した時の印刷乱れを目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表8に示した。
評価A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
以上述べた評価の結果から判るように、本発明による分散体を用いた水性インクは普通紙、光沢メディアに関わらず良好な印刷品質を示し、また吐出安定性、保存性安定性に優れる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになることが判る。また、実施例B−2〜8についても同様に添加剤を変えて試験を行なったところ、ほぼ同様な結果が得られた。
<水性インクの安定性2>
ブラック分散体B1の製造に用いた分散ポリマーにおいて、芳香環を含むモノマーであるスチレン及びα−メチルスチレンと、その他のモノマーであるテトラヒドロフルフリルメタクリレート、ブチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレートとの比率を変えることで分散ポリマー中の芳香環の量を変える重合を行なった。そしてこの分散ポリマーを用いてブラック分散体B13〜B21を製造し、実施例B−1と同様の組成と方法にて水性インクを作成した。ブラック分散体B13〜B21においては、着色剤としてカーボンブラックであるラーベンC(商品名、コロンビアン株式会社製)と分散ポリマーの重量比をブラック分散体B1と同様にした。以下にブラック分散体B13〜B21の組成を示す。また、ブラック分散体B1と同様な方法にて分散ポリマー中の芳香環量を測定した結果を、分散体名の横に示した。
(ブラック分散体B13;分散ポリマー中の芳香環量:0%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:0部
α−メチルスチレン:0部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:0部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:2.5部
ブチルメタクリレート:37.5部
トリエチレングリコールメタクリレート:12.5部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B14;分散ポリマー中の芳香環量:10%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:1.3部
α−メチルスチレン:0.45部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:6.3部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:2.1部
ブチルメタクリレート:31.9部
トリエチレングリコールメタクリレート:10.6部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B15;分散ポリマー中の芳香環量:20%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:2.6部
α−メチルスチレン:0.9部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:12.6部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:1.74部
ブチルメタクリレート:26.1部
トリエチレングリコールメタクリレート:8.7部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B16;分散ポリマー中の芳香環量:25%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:3.25部
α−メチルスチレン:1.125部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:15.75部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:1.55部
ブチルメタクリレート:23.25部
トリエチレングリコールメタクリレート:7.75部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B17;分散ポリマー中の芳香環量:30%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:3.9部
α−メチルスチレン:1.35部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:18.9部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:1.35部
ブチルメタクリレート:20.25部
トリエチレングリコールメタクリレート:6.75部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B18;分散ポリマー中の芳香環量:50%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:6.5部
α−メチルスチレン:2.25部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:31.5部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:0.59部
ブチルメタクリレート:8.82部
トリエチレングリコールメタクリレート:2.94部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B19;分散ポリマー中の芳香環量:60%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:7.55部
α−メチルスチレン:2.65部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:36.55部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:0.25部
ブチルメタクリレート:4.2部
トリエチレングリコールメタクリレート:1.35部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B20;分散ポリマー中の芳香環量:70%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):5部
スチレン:7.8部
α−メチルスチレン:3.15部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:44.1部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:0部
ブチルメタクリレート:0部
トリエチレングリコールメタクリレート:0部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
(ブラック分散体B21;分散ポリマー中の芳香環量:72%)
ラーベンC:58部
アデカリアソープSE−10N(商品名、重合性界面活性剤、旭電化株式会社製):1部
スチレン:10部
α−メチルスチレン:0部
アゾビスイソブチロニトリル:0.5部
ラウリル硫酸ナトリウム:0.05部
過硫酸カリウム:0.5部
スチレン:46部
テトラヒドロフルフリルメタクリレート:0部
ブチルメタクリレート:0部
トリエチレングリコールメタクリレート:0部
t−ドデシルメルカプタン:0.02部
以上述べた方法と材料にて調製した分散体を用いた水性インクについて、保存安定性評価を行なった。評価方法は水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃および70℃/1週間放置し、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。評価判断基準は上記の<水性インクの保存性1>と同様に行なった。その評価結果を表10に示した。
表10の結果から、本発明の分散ポリマー中の芳香環量が20%以上70%以下の場合に保存安定性が確保できることが判る。さらに、25%以上50%以下であると異物発生及び粘度変化が無く、好ましい形態であることが判る。
以上より、従来のように一般的な分散剤(例えば水溶性高分子分散剤、界面活性剤)で分散させた場合は本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため十分な印刷品質が得られない。しかし、本発明による顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にし、かつ該分散ポリマー中の芳香環の量が該分散ポリマーの20%以上70%以下である分散体において、顔料と該分散ポリマーとの重量比が10:90〜90:10の範囲であることで、上記添加剤を含んだ水性インクにおいても、十分な発色性を有しながら保存安定性や吐出安定性が得られる。さらに、本発明で好ましいとする、着色剤と分散ポリマーの重量比が、黒色系顔料の場合は40:60〜90:10、黄色系顔料の場合は50:50〜90:10、赤色系顔料の場合は50:50〜90:10、青色系顔料の場合は20:80〜70:30の範囲であることにより、普通紙のみならず、水性インクジェットプリンタで通常用いられている光沢紙等の光沢メディアにおいても、光沢性・定着性に優れた濃度の高く鮮明な画像が得られる、水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供できる。さらに、着色剤として好適には顔料を用いるので、水性インクジェットプリンタ用水性インクの着色剤として従来多く用いられている染料を用いる場合より、耐水性や耐光性に優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆する分散ポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、さらなる多彩な機能(印刷物の耐光性、耐ガス性、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来、着色剤を水系に分散させるために用いられてきた分散剤(例えば、水溶性高分子分散剤、界面活性剤等)を用いる場合は、基本的に着色剤に対する分散剤の吸着力が弱く、その為に部分的な脱離が起こる。その結果、その脱離物や吸着されなかった分散剤により水性インクの粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。特に本発明でよいとする添加剤を用いると、その脱離が著しい。
なお、本発明はこれらの実施例に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
[実施例C]
次に本発明によるその他の好ましい実施形態cにおける実施例について説明する。
本発明において示す着色剤の例として有機または無機顔料を用いる場合について述べる。実施例、および比較例における顔料C1はカーボンブラック顔料、顔料C2はフタロシアニン顔料、顔料C3はジメチルキナクリドン顔料、顔料C4はジケトピロロピロール顔料を用いた。しかし、これらに限定されず多くの有機、無機顔料を用いることができる。<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
本発明においては、着色剤を反応性分散剤で分散し、次いで水中で触媒の存在下で乳化重合を行なうことによって得ることもできる。
(分散体C1〜C4の製造)
まず、分散体C1としては無機顔料であるカーボンブラックであるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を用いた。超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、および温度調整器を備えた反応容器にラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)25部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを5部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけて分散処理を行なった。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.6部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とのメチルエチルケトン溶液をさらに加えて60℃で8時間重合反応を行なった。得られた溶液を遠心ろ過してポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに0.4μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。このポリマーで包含された顔料溶液をホモジナイザーでほぐして再分散させた。
そして、反応容器に前述の顔料のメチルエチルケトン溶液を、さらにイオン交換水27部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去して、水酸化ナトリウムで中和してpH8.5に調整してから0.3μmのフィルターでろ過して分散体C1とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は40%であった。
上記と同様な手法で分散体C2〜C4を得る。分散体C2は有機顔料であるピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体C3は有機顔料であるピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体C4は有機顔料であるピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール:クラリアント製)を用いた。
(分散体C5〜C8の製造)
まず、分散体C5はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いる。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させる。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターでろ過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%の分散体C5とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は36%であった。
上記と同様な手法で分散体C6〜C8を得た。分散体C6はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体C7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いた。分散体C8はピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール:クラリアント製)を用いた。
(高分子微粒子の製造)
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておいた。イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、スチレン5部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作成した。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、スチレン30部、ブチルメタクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸2部、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート1部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子30%水溶液を作成してエマルジョンAとした。
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明による水性インクジェット記録用水性インクに好適な水性インクの組成の例を示す。分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は顔料の粒径をnm単位で示す。尚、本実施例中の残量の水と示す中には水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05%、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(実施例C−1) 添加量(%)
分散体C1<105>・・・・・・・・・・9.5
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・15.0
TEGmBE・・・・・・・・・・・・・・5.0
オルフィンE1010・・・・・・・・・・1.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・9.0
1,5−ペンタンジオール・・・・・・・・5.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.8
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
(実施例C−2) 添加量(%)
分散体C2<85>・・・・・・・・・・・4.5
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・10.0
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・10.0
ジプロピレングリコール・・・・・・・・・5.0
サーフィノール465・・・・・・・・・・1.2
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
サーフィノール465(アセチレングリコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
(実施例C−3) 添加量(%)
分散体C3<90>・・・・・・・・・・・8.5
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・10.0
1.2−ヘキサンジール・・・・・・・・・4.0
オルフィンSTG・・・・・・・・・・・・0.5
ジエチレングリコール・・・・・・・・・・7.0
チオジグリコール・・・・・・・・・・・・1.5
1,6−ヘキサンジオール・・・・・・・・5.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・1.0
水酸化カリウム・・・・・・・・・・・・・0.1
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
オルフィンSTG(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
(実施例C−4) 添加量(%)
分散体C4<80>・・・・・・・・・・10.0
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・10.0
TEGmBE・・・・・・・・・・・・・・3.0
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・5.0
サーフィノール61・・・・・・・・・・・0.5
テトラチレングリコール・・・・・・・・・9.0
1,5−ペンタンジオール・・・・・・・・2.0
ジメチル−2−イミダゾリジノン・・・・・2.0
安息香酸ナトリウム・・・・・・・・・・・0.1
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.7
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
サーフィノール61(アセチレンアルコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
(実施例C−5) 添加量(%)
分散体C5・・・・・・・・・・・・・・・8.0
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・15.0
DPGmBE・・・・・・・・・・・・・・2.0
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・・7.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・14.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
(実施例C−6) 添加量(%)
分散体C6・・・・・・・・・・・・・・10.0
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・10.0
オルフィンE1010・・・・・・・・・・1.0
TEGmBE・・・・・・・・・・・・・・6.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・15.0
チオジグリコール・・・・・・・・・・・・2.0
1,5−ペンタンジオール・・・・・・・・1.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(実施例C−7) 添加量(%)
分散体C7・・・・・・・・・・・・・・12.0
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・10.0
サーフィノール61・・・・・・・・・・・0.5
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・・8.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・15.0
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・1.0
トリメチロールエタン・・・・・・・・・・1.0
サーフィノール465・・・・・・・・・・1.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.5
KOH・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(実施例C−8) 添加量(%)
分散体C8・・・・・・・・・・・・・・10.5
エマルジョンA・・・・・・・・・・・・10.0
オルフィンSTG・・・・・・・・・・・・1.0
PGmBE・・・・・・・・・・・・・・・2.0
DEGmBE・・・・・・・・・・・・・10.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・7.0
ジエチレングリコール・・・・・・・・・・5.0
テトラプロピレングリコール・・・・・・・5.0
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・0.9
KOH・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
比較例に用いた水性インクの組成を以下に示す。
(比較例C−1) 添加量(%)
顔料C1<105>・・・・・・・・・・・7.0
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・10.0
分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0
非イオン系界面活性剤・・・・・・・・・・1.0
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・残量
非イオン系界面活性剤:ノイゲンEA160(第一工業製薬株式会社製)
分散剤はソルスパース27000(アビシア製)を用いてビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって作成した。
(比較例C−2) 添加量(%)
アシッドブルー9・・・・・・・・・・・・6.5
DEGmME・・・・・・・・・・・・・・7.0
ジエチレングリコール・・・・・・・・・10.0
2−ピロリドン・・・・・・・・・・・・・5.0
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・残量
DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
(比較例C−3) 添加量(%)
ダイレクトブラック154・・・・・・・・2.5
ジエチレングリコール・・・・・・・・・10.0
非イオン系界面活性剤・・・・・・・・・・1.0
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・残量
非イオン系界面活性剤:エパン450(第一工業製薬株式会社製)
表11に印刷の評価結果として文字を印刷したときの滲みの評価結果を示す。表11中Aは極めてよい、Bはよい、Cは悪い、Dは極めて悪いということを示す。
表11の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印刷品質が悪く、本発明の水性インクを用いると印刷品質が良好なことが分かる。
尚、これらの印刷評価はセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンターPM−900Cを用いることによって行なった。これらの評価に用いた紙は、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、XeroxR紙である。
以上のように、本発明においては印刷画像の紙等の被記録体に対する滲みが低減される高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
また、実施例C−1〜8の水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃/1週間で放置し、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)について調べた。
その結果いずれの水性インクも異物の発生、物性値の変化が殆ど無く、良好な保存安定性であった。
一方、実施例C−1の組成で分散体を比較例C−1の顔料に変えて同様に実験を行なったところ表面張力の変化は少なかったが、異物が発生して濾過性が低下し、増粘現象が生じ、吐出の安定性は得られなかった。
また、実施例C−1の組成においてDEGmBEとE1010の代りに本発明でよいとする他の添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いて作成した水性インクと比較例C−1で示す水性インクに本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を添加した場合について(表12の実施例C−9〜18)、同様に60℃/1週間で放置し、放置後の水性インクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)および吐出安定性について調べた結果を表12に示す。異物発生量は60℃放置後の異物量/初期の異物量、粘度は60℃放置後の粘度/初期の粘度、表面張力は60℃放置後表面張力/初期の表面張力の値を示し、吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンターPM−900Cを用いて、A4版Xerox P紙に100ページ連続印刷して全く印刷乱れなど生じないものをA、10個所未満印刷乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印刷乱れのあるものをC、100個所以上印刷乱れのあるものをDとする。
表11と表12の結果からわかるように、本発明になる分散体を用いた水性インクは良好な印刷品質であり、吐出安定性、保存性安定性に優れる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになることがわかる。また、実施例C−2〜8についても同様に添加剤を変えて試験を行なったところ、ほぼ同様な結果がえられた。
また、実施例C−1および実施例C−5に用いた分散ポリマーの芳香環の量を変える重合を行なって、芳香環の量と保存安定性の関係をもとめた結果を表13に示す。保存安定性は実施例C−1〜8の水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃および70℃/1週間放置し、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。異物発生量は60℃および70℃放置後の異物量/初期の異物量、粘度は60℃および70℃放置後の粘度/初期の粘度の値を示す。
表13の結果から分かるように本発明の分散ポリマー中の芳香環の量が20%以上70%以下、好ましくは25%以上50%以下であることが分かる。
また、表14に、実施例C−1から8の水性インクと、それらにおいてエマルジョンを添加していないものを比較例として、定着性の評価を行なった結果を示す。定着性の評価は普通紙(Xerox4024紙)と専用紙(PM写真用紙)を用いて印刷面とその裏面を300gの荷重で重ね合わせで1m/sの速度で移動させたときの画像の剥がれ具合を観察する方法による。印刷直後、5分後、1時間後、2時間後および3時間後の結果を示す。表14中Aは全く剥がれがないもの、Bはわずかにはがれがあるもの、Cは剥がれがあり裏面に移るもの、Dはかなり剥がれがあり裏面に移るものである。
表14の結果からわかるように、特に専用紙において1時間後には剥がれがなく良好な定着性があることが分かる。
表15に実施例C−1〜8におけるマイクロカプセル(分散体)のゼータ電位、高分子微粒子のゼータ電位およびマイクロカプセルと高分子微粒子の混合状態でのゼータ電位と、各水性インクを60℃7日放置したときの異物の発生状態を、ゼータ電位絶対値の低い分散体および高分子微粒子とのゼータ電位の差が大きい分散体を比較例として示す。表15の異物の評価は初期の異物量と60℃7日放置したときの異物量の比の値として示す。表15においてゼータ電位の測定はマルバーン社(英国)のゼータサイザー3000HSを用いてpH4から11までpH依存性を測定した。そして、粒子が安定して存在できるpH9の値を示す。
表15の結果から分かるように本発明になる水性インクは保存安定性が優れ、ゼータ電位の絶対値が低い場合と高分子微粒子とのゼータ電位の差が大きいと異物が発生しやすいことが分かる。
以上より、従来のように一般的な分散剤で分散させた場合は本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため十分な印刷品質が得られない、しかし、本発明の着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にしたマクロカプセルであり、そのポリマー中の芳香環の量がそのポリマーの20重量%以上70%以下であることで十分な発色性を有しながら保存安定性や吐出安定性が得られる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになる。さらに、着色剤として好適には顔料を用いるので耐水性は通常の染料を用いる場合(例えば比較例C−2および3)より優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆するポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来のように通常の分散剤を用いる場合は分散剤では基本的に着色剤に吸着している分散剤の吸着力が弱く部分的な脱離が起こり、その脱離物や吸着されなかった分散剤により粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。
尚、本発明はこれらの実施例C−に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
[実施例D]
次に本発明によるその他の好ましい実施形態dにおける実施例について説明する。
なお、以下に説明する実施例は、これらによって本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施例で得られた分散液の物性値(表面張力、平均粒径)は、以下の方法で測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た顔料分散液の20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た、顔料分散液を顔料濃度が0.001〜0.01重量%に(顔料により測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。粒径は<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
本実施例においては、顔料を反応性分散剤で包含し、水中で触媒の存在下で乳化重合を実施して分散体を製造する。続いて、製造した分散体に中和剤と分散促進剤を添加して水中で分散して各分散液を得た。
以下に本発明による分散液の製造方法を具体的に説明する。
・分散体の製造
(分散体D1)
分散体D1の製造にカーボンブラック顔料であるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を用いた。超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、および温度調整器を備えた反応容器にカーボンブラック顔料25部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを6部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけた。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.7部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とのメチルエチルケトン溶液をさらに加えて60℃で8時間重合反応を行ない、得られた溶液を遠心ろ過してポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに5μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。
次にポリマーで包含された前記顔料溶液をホモジナイザーでほぐした後、反応容器に前述の顔料のメチルエチルケトン溶液を、さらにイオン交換水30部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去した後、ろ別することで分散体D1を得た。
・分散液の製造(分散工程)
(分散液D1)
前記分散体D1を15部、中和剤として水酸化ナトリウムを0.5部、イオン交換水84.5部を加えペイントシェーカー(ジルコニアビーズ使用;ビーズ充填率=60%;メディア径=1.7mm)を使用して分散体の平均粒子径(二次粒子径)が110nmになるまで分散して分散液D1(表面張力;56mN/m)を得た。
・芳香環量の測定
分散液D1を必要量取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は43%であった。
・多価金属イオン量の測定
分散液D1を必要量取り出し、遠心限外濾過装置(C−15;ミリポア社)によって遠心分離処理した。フィルターとしては、タイプNMWL10000を使用し、遠心条件は、2500G×60分とした。得られた濾液10mgを酸素フラスコ法燃焼法で処理した後、0.2%硝酸水溶液に吸収させた。続いて、イオンクロマトグラフ法(カラム ionPac AS12A;日本ダイオネクス社DX−500)で定量したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、28ppm、36ppm、40ppm、55ppm、70ppm、62ppm、25ppmでありいずれも100ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約326ppmであり500ppm以下であった。
上記分散液D1と同様な手法で分散液D2〜D7を得た。分散液D2は有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用い、分散液D3は有機顔料である縮合アゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー128)を用い、分散液D4は有機顔料であるキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット19)を用い、分散液D5は有機顔料であるペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)用い、分散液D6は有機顔料であるベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用い、分散液D7は有機顔料であるペリノンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド178)用いた。表16に分散液D1〜D7の製造に使用した顔料、及び中和剤、分散ビーズ種等の分散方法について示し、表17に顔料と分散ポリマーとの比、及び芳香環量、多価金属イオン量の測定結果を示す。
次に前記分散液D1とは異なる製造方法を用いた分散液D8の製造について説明する。
・分散体の製造工程
(分散体D8)
分散体D8の製造にはカーボンブラック顔料であるモナーク880(キャボット社製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン21部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌後、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、ろ別することで分散体D8を得た。
・分散液の製造(分散工程)
(分散液D8)
前記分散体D8を15部、分散促進剤としてアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)を1部、中和剤として水酸化ナトリウムを1部、イオン交換水83部を加えペイントシェーカー(ガラスビース使用;ビーズ充填率=60%;メディア径=1.7mm)を使用して分散体の平均粒子径(二次粒子径)が100nmになるまで分散して分散液D8(表面張力;31mN/m)を得た。
・芳香環量の測定
分散液D8の一部を取り出し、分散液D1の場合と同様な方法により芳香環量を測定したところ、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は46%であった。
・多価金属イオン量の測定
分散液D8を必要量取り出し、分散液D1の場合と同様な方法により金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、38ppm、21ppm、22pm、9ppm、8ppm、12ppm、5ppmでありいずれも100ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約115ppmであり200ppm以下であった。
上記と同様な手法で分散液D9〜D14を得た。分散液D9はフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用い、分散液D10は不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用い、分散液D11は縮合アゾイエロー顔料(C.I.イエロー110)を用い、分散液D12はアントラキノンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー147)を用い、分散液D13はベンズイミダゾロンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180)を用い、分散液D14はキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
表18に分散液D8〜D14の製造に使用した顔料、及び分散促進剤、中和剤、分散ビーズ種等の分散方法について示し、表19に顔料と分散ポリマーとの比、及び芳香環量、多価金属イオン量の測定結果を示す。
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明による水性インクジェット記録用水性インクに好適な水性インクの組成の例を示す。尚、本実施例中の残量として添加するイオン交換水には、水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2と、水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を、それぞれ水性インク中の濃度が0.05%と0.01%になるように添加攪拌したものを用いた。
(実施例D−1)
実施例D−1の水性インク組成を以下に示す。
オルフィンE1010(アセチレングリコール類:日信化学工業株式会社製)
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・金属イオンの定量
実施例D−1で調整した水性インクを必要量取り出し、遠心限外濾過装置(C−15;ミリポア社)によって遠心分離処理した。フィルターとしては、タイプNMWL10000を使用し、遠心条件は、2500G×60分とした。得られた濾液10mgを酸素フラスコ法燃焼法で処理した後、0.2%硝酸水溶液に吸収させた。続いて、イオンクロマトグラフ法(カラム ionPac AS12A;日本ダイオネクス社DX−500)で定量したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、15ppm、19ppm、28ppm、20ppm、38ppm、31ppm、12ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約164ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−2)
実施例D−2の水性インク組成を以下に示す。
サーフィノールTG(アセチレングリコール類:エアープロダクツ株式会社製)DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・金属イオンの定量
実施例D−2で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、12ppm、10ppm、20ppm、35ppm、39ppm、29ppm、10ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約155ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−3)
実施例D−3の水性インク組成を以下に示す。
オルフィンSTG(アセチレングリコール類:日信化学工業株式会社製)
・金属イオンの定量
実施例D−3で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、22ppm、25ppm、13ppm、32ppm、20ppm、26ppm、15ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約153ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−4)
実施例D−4の水性インク組成を以下に示す。
サーフィノール104(アセチレングリコール類:エアープロダクツ株式会社製)
・金属イオンの定量
実施例D−4で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、26ppm、16ppm、43ppm、36ppm、37ppm、33ppm、5ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約196ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−5)
実施例D−5の水性インク組成を以下に示す。
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
・金属イオンの定量
実施例D−5で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、41ppm、25ppm、22ppm、15ppm、14ppm、26ppm、6ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約149ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−6)
実施例D−6の水性インク組成を以下に示す。
アセチレノールEO(アセチレングリコール類:川研ファインケミカル株式会社社製)
・金属イオンの定量
実施例D−6で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、39ppm、34ppm、14ppm、18ppm、22ppm、15ppm、8ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約150ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−7)
実施例D−7の水性インク組成を以下に示す。
・金属イオンの定量
実施例D−7で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、20ppm、15ppm、27ppm、23ppm、21ppm、41ppm、7ppmでありいずれも50ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約154ppmであり200ppm以下であった。
(実施例D−8)
実施例D−8の水性インク組成を以下に示す。
サーフィノール420(アセチレングリコール類:エアープロダクツ株式会社製)
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
・金属イオンの定量
実施例D−8で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、15ppm、8ppm、10ppm、3ppm、5ppm、7ppm、1ppmでありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約49ppmであり100ppm以下であった。
(実施例D−9)
実施例D−9の水性インク組成を以下に示す。
サーフィノール485(アセチレングリコール類:エアープロダクツ株式会社製)
・金属イオンの定量
実施例D−9で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、13ppm、14ppm、11ppm、7ppm、5ppm、7ppm、1ppmでありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約58ppmであり100ppm以下であった。
(実施例D−10)
実施例D−10の水性インク組成を以下に示す。
サーフィノールTG(アセチレングリコール類:エアープロダクツ株式会社製)DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・金属イオンの定量
実施例D−10で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、11ppm、8ppm、19ppm、4ppm、5ppm、9ppm、4ppmでありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約60ppmであり100ppm以下であった。
(実施例D−11)
実施例D−11の水性インク組成を以下に示す。
オルフィンSTG(アセチレングリコール類:日信化学工業株式会社製)
・金属イオンの定量
実施例D−11で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、8ppm、15ppm、16ppm、10ppm、11ppm、13ppm、7ppmでありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約80ppmであり100ppm以下であった。
(実施例D−12)
実施例D−12の水性インク組成を以下に示す。
サーフィノール104(アセチレングリコール類:エアープロダクツ株式会社製)
・金属イオンの定量
実施例D−12で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、16ppm、5ppm、9ppm、5ppm、6ppm、5ppm、0ppm(現出限界値以下)でありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約46ppmであり100ppm以下であった。
(実施例D−13)
実施例D−13の水性インク組成を以下に示す。
・金属イオンの定量
実施例D−13で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、8ppm、6ppm、7ppm、9ppm、10ppm、12ppm、4ppmでありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約56ppmであり100ppm以下であった。
(実施例D−14)
実施例D−14の水性インク組成を以下に示す。
アセチレノールEL(アセチレングリコール類:川研ファインケミカル株式会社社製)
・金属イオンの定量
実施例D−14で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、5ppm、7ppm、20ppm、3ppm、2ppm、2ppm、0ppm(検出限界値以下)でありいずれも20ppm以下であった。多価金属イオンの総量は約39ppmであり100ppm以下であった。
(比較例D−1)
比較例D−1では実施例D−1と同様にカーボンブラック顔料であるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を、分散剤としてソルスパース27000(アビシア製)を使用して分散した。
ラーベンCを15部と、ソルスパース27000(アビシア製)を4部、ジエタノールアミン4部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水76.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例D−1で使用する分散液D15とした。
比較例D−1の水性インク組成を以下に示す。
非イオン系界面活性剤:ノイゲンEA160(第一工業製薬株式会社製)
・金属イオンの定量
比較例D−1で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、68ppm、52ppm、72ppm、51ppm、54ppm、52ppm、50ppmでありいずれも50ppm以上であった。多価金属イオンの総量は約399ppmであり200ppmを大きく越えていた。
(比較例D−2)
比較例D−2では実施例D−1と同様に分散液D1を使用した。さらに比較例D−2では故意に多価金属イオンを含有する水を使用して水性インクを調整した。
比較例D−2の水性インク組成を以下に示す。
・金属イオンの定量
比較例D−2で調整した水性インクを必要量取り出し、前記実施例D−1と同様な方法により水性インク中の金属イオン量を測定したところ、Si、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrのイオン量はそれぞれ順に、110ppm、105ppm、118ppm、103ppm、101ppm、108ppm、103ppmでありいずれも50ppmを大きく越えて100ppm以上あった。多価金属イオンの総量は約748ppmであり200ppmを大きく越えていた。
表20に印刷の評価結果として文字を印刷したときの滲みの評価結果を示す。表20中Aは極めてよい、Bはよい、Cは悪い、Dは極めて悪いということを示す。
表20の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印刷品質が悪く、本発明の水性インクを用いると印刷品質が良好なことが分かる。
尚、これらの印刷評価はセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンタPM−900Cを用いることによって行なった。これらの評価に用いた紙は、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、XeroxR紙である。
以上のように、本発明においては印刷画像の紙等の被記録体に対する滲みが低減される高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
また、実施例D−1〜14、及び比較例D−1、2の水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)について調べた結果を表21に示す。
異物発生量は放置後の異物量/初期の異物量、粘度は放置後の粘度/初期の粘度、表面張力は放置後表面張力/初期の表面張力の値を示し、吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンタPM−900Cを用いて、A4版Xerox P紙に200ページ連続印刷して全く印刷乱れなど生じないものをA、10個所未満印刷乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印刷乱れのあるものをC、100個所以上印刷乱れのあるものをDとした。
表20と表21の結果からわかるように、本発明になる分散体を用いた水性インクは良好な印刷品質であり、吐出安定性、保存性安定性に優れる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになることがわかる。さらに、着色剤として好適には顔料を用いるので耐水性は通常の染料を用いる場合より優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆するポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来のように通常の分散剤を用いる場合は分散剤では基本的に着色剤に吸着している分散剤の吸着力が弱く部分的な脱離が起こり、その脱離物や吸着されなかった分散剤により粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。
[実施例E]
次に本発明によるその他の好ましい実施形態eにおける実施例を説明する。
なお、以下に説明する実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、多価のアニオン量、及び表面張力の測定方法)
本実施例で得られた各測定値(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、多価のアニオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散ポリマー溶液の一部を取り出し、溶媒成分を留去してポリマー成分のみを取り出し、DMSO−d6に溶解させ、13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)を使用して、ポリマー中の芳香環量を測定した。
「顔料:ポリマー比の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散液の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して分散体のみを酸析後、乾燥重量を測定した。次に、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、乾燥重量を測定することで、顔料:ポリマーの重量比を算出した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(水性インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。
「多価のアニオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し、遠心限外濾過装置(C−15;ミリポア社)によって遠心分離処理した。フィルターとしては、タイプNMWL10000を使用し、遠心条件は、2500G×60分とした。得られた濾液をイオンクロマトグラフ法(カラム ionPac AS12A;日本ダイオネクス社DX−500)により多価のアニオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
<実施例E−1>
(1)分散液の製造:分散液A1
本実施例E−1に用いる分散液E1の製造には無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン22部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は59%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、ブフナー漏斗で濾別と洗浄を繰り返す。次に濾別された顔料内包樹脂分散体に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径0.5μmのフィルターで濾過することで、分散体A1(カーボンブラック顔料を芳香環量が59%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E1を得た。
表22に分散液E1に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−1では、前記実施例E−1(1)で得た分散液E1、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E1の含有量が8.0%となるように分散液E1を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E1の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−1の水性インク組成中の「残量」として添加されるイオン交換水には、水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、及び水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を、それぞれ水性インク全重量に対して0.01%、0.01%、0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E1<120>・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.0%
オルフィンE1010・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・3.0%
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・2.5%
ジエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.5%
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0%
トリプロパノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価アニオン量の測定
前記実施例E−1(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は640ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
印刷画像評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用した水性インクジェットヘッドにより水性インクを吐出する水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−1(2)で調整した水性インクの印刷評価を実施した。
評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙として(a)Conqueror紙、(b)Reymat紙、(c)Mode Copy紙、(d)Rapid Copy紙、(e)Xerox P紙、(f)Xerox 4024紙、(g)Xerox 10紙、(h)Neenha Bond紙、(i)Ricopy 6200紙、及び(j)Hammer mill Copy Plus紙を使用した。
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全てのポイントの文字において、滲みがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかに滲みが認められる(実用レベル)。
C:滲みのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:滲みが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
印刷評価の結果を表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、A4版Xerox P紙に200ページ連続印刷して、印刷の乱れ具合を観察することで吐出安定性を評価した
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
吐出安定性評価の結果を表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−1(2)で調整した水性インクをガラス瓶に入れ密閉後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後における水性インクの発生異物と物性値変動(粘度、表面張力)について評価した。
なお、評価は以下の評価基準に基づいておこなった。
A:60℃あるいは−20℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が、0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
保存安定性評価結果を表24に示す。
<実施例E−2>
(1)分散液の製造:分散液E2
本実施例E−2に用いる分散液E2の製造には、有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、メタクリル酸3部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン20部、メルカプトエタノール1.0部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して35%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は25%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体A2(不溶性モノアゾイエロー顔料を芳香環量が25%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E2を得た。
表22に分散液E2に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
2)水性インクの調整
本実施例E−2では、前記実施例E−2(1)で得た分散液E2、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール440(エアープロダクツ株式会社製)とオルフィンSTG(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E2の含有量が7.0%となるように分散液A2を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体A2の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E2<120>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0%
サーフィノール440・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.2%
オルフィンSTG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・3.0%
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
2−ピロリドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13.5%
トリメチロールエタン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0%
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−2(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は451ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<実施例E−3>
(1)分散液の製造:分散液E3
本実施例E−3に用いる分散液E3の製造には、有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)6部、n−ドデシルメタクリレート3.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート12部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)25部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)8部、n−ドデシルメタクリレート7部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)30部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して38%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は40%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)25部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体A3(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E3を得た。
表22に分散液E3に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−3では、前記実施例E−3(1)で得た分散液E3、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104PG50(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E3の含有量が7.5%となるように分散液E3を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E3の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−3の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E3<140>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.5%
オルフィンE1010・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1%
サーフィノール104PG50・・・・・・・・・・・・・・・0.4%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・1.0%
1,2−ヘキサンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・2.5%
トリエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
2−ピロリドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13.8%
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−3(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は557ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−3(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<実施例E−4>
(1)分散液の製造:分散液E4
本実施例E−4に用いる分散液E4の製造には、フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
(1)分散液の製造:分散液E4
本実施例E−4に用いる分散液A4の製造には、有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)20部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は46%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)40部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体A4(フタロシアニンブルー顔料を芳香環量が46%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E4を得た。
表22に分散液E4に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−4では、前記実施例E−4(1)で得た分散液E4、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E4の含有量が8.0%となるように分散液E4を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E4の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−4の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E4<100>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.0%
アセチレノールE100・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5%
プロピレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・・3.0%
1,2−ヘキサンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0%
トリエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13.8%
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.2%
トリプロパノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.2%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−4(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は563ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−4(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<実施例E−5>
(1)分散液の製造:分散液E5
本実施例E−5に用いる分散液E5の製造には、ペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)を用いた。それ以外は、前記実施例E−4(1)に記載と同様の方法により、分散体E5(ペリノンオレンジ顔料を芳香環量が56%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E5を得た。
表22に分散液A5に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−5では、前記実施例E−5(1)で得た分散液E5、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール485とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E5の含有量が10.0%となるように分散液E5を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E5の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−5の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E5<150>・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0%
サーフィノール485・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5%
サーフィノールTG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.2%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・2.0%
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
N−メチル−2−ピロリドン・・・・・・・・・・・・・・・・5.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.2%
トレハロース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.8%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−5(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は362ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−5(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<実施例E−6>
(1)分散液の製造:分散液E6
本実施例E−6に用いる分散液E6の製造には、ベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用いた。それ以外は、前記実施例E−4(1)に記載と同様の方法により、分散体E6(ベンズイミダゾロンブラウン顔料を芳香環量が69%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E6を得た。
表22に分散液E6に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−6では、前記実施例E−6(1)で得た分散液E6、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール420、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E6の含有量が5.0%となるように分散液E6を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E6の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−6の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E6<140>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0%
サーフィノール420・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・・3.0%
1,6−ヘキサンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
テトラエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・5.5%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13.5%
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−6(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は695ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−6(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<実施例E−7>
(1)分散液の製造:分散液E7
本実施例E−7に用いる分散液E7の製造には、有機顔料であるとキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を用いた。それ以外は、前記実施例E−4(1)に記載と同様の方法により、分散体E7(キナクリドンバイオレット顔料を芳香環量が21%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E7を得た。
表22に分散液E7に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−7では、前記実施例E−7(1)で得た分散液E7、アセチレンアルコール系界面活性剤であるサーフィノール61とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E7の含有量が6.0%となるように分散液E7を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E7の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−7の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E7<120>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0%
サーフィノール61・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3%
サーフィノールTG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・1.5%
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
ジエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
チオジグリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12.6%
トリメチロールエタン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−7(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は540ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−7(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<実施例E−8>
(1)分散液の製造:分散液E8
本実施例E−8に用いる分散液E8の製造には、有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用いた。それ以外は、前記実施例E−1(1)に記載と同様の方法により、分散体E8(フタロシアニングリーン顔料を芳香環量が30%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E8を得た。
表22に分散液E8に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例E−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例E−8では、前記実施例E−8(1)で得た分散液E8、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E8の含有量が8.0%となるように分散液E8を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E8の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例E−8の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E8<110>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.0%
オルフィンE1010・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3%
サーフィノール104・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・1.0%
1,2−ペンタンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0%
トリエチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
チオジグリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13.8%
トリメチロールプロパン・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0%
トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
(3)多価のアニオン量の測定
前記実施例E−8(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は798ppmであった。なお、測定結果を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例E−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例E−8(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例E−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<比較例E−1>
(1)分散液の製造:分散液E9
本比較例E−1では、前記実施例E−1(1)と同様に無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いて、本比較例E−1で用いる分散液E9を製造した。
但し、本比較例E−1では、前記実施例E−1(1)において実施したブフナー漏斗での濾別と洗浄を実施しなかった。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン25部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.5部を入れ、本比較例では60℃に加熱した。別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れ、反応容器に滴下しながら本比較例では4時間で分散ポリマーを重合させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は40%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、本比較例ではブフナー漏斗での濾別と洗浄を実施せず、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体E9(カーボンブラック顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液E9を得た。
表22に分散液E9に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本比較例E−1では、前記比較例E−1(1)で得た分散液E9を使用して水性インクを調整した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E9の含有量が8.0%となるように分散液E9を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例E−1の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E9<140>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.0%
非イオン系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0%
エチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15.0%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)多価のアニオン量の測定
前記比較例E−1(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は1054ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例E−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例E−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例E−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
<比較例E−2>
(1)分散液の製造:分散液E10
本比較例E−2に用いる分散液E10の製造には、有機顔料のフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメントグリーン7)を分散樹脂であるソルスパース27000(アビシア株式会社製)を使用して分散した。
C.I.ピグメントグリーン7を15部と、ソルスパース27000を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって分散体B2を20%(顔料:15%、分散樹脂:5%)含有する比較例E−2で使用する分散液E10を得た。
(2)水性インクの調整
本比較例E−2では、前記比較例E−2(1)で得た分散液E10を使用して水性インクを調整した。本比較例の具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体E10の含有量が8.0%となるように分散液E10を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体E10の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例E−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例E−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体E10<150>・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.0%
非イオン系界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0%
エチレングリコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15.0%
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)多価のアニオン量の測定
前記比較例E−2(2)で調整した水性インクを、前記「多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、多価のアニオンの総量は1585ppmであった。なお、測定結果の詳細を表24に示す。
(4)印刷評価
前記実施例E−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例E−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例E−1(4)と同様の評価基準により印刷評価を行った。なお、印刷評価の結果は表23に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例E−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例E−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表24に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例E−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例E−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例E−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表24に示す。
表22、23の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印刷品質が悪く、本発明による水性インクを用いると印刷品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明の水性インクカートリッジを用いることにより、いずれの紙種に対しても滲みが低減される高品質な印刷記録を得ることができる。
表24の結果から明らかなように、水性インクの液性成分中の多価のアニオン量を800ppm以下に抑えた本発明による水性インクは優れた吐出安定性、保存性安定性を確保し、表23より印刷品質も優れていることがわかる。また、多価のアニオンの量が600ppm以下の場合は格段に吐出安定性、保存性安定性が優れたものになることがわかる。一方、比較例にあるように多価のアニオンの量が1000ppmを越えた場合は、印刷品質、吐出安定性、保存安定性ともに、実用レベルに至らないことがわかる。
以上の結果からわかるように、本発明による水性インクを用いることで良好な印刷品質、吐出安定性を得ることができ、しかも水性インク自体の保存性安定性も優れていることがわかる。
[実施例F]
次に本発明によるその他の好ましい実施形態(f)における実施例について説明する。
なお、以下に説明する実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施例で得られた各測定値(芳香環量、平均粒径、一価のカチオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散体の一部を取り出し、0.1mol/L濃度HClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いた13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定することにより、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量を測定した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(水性インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。粒径は<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
「一価のカチオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し、遠心限外濾過装置(C−15;ミリポア社)によって遠心分離処理した。フィルターとしては、タイプNMWL10000を使用し、遠心条件は、2500G×60分とした。得られた濾液をイオンクロマトグラフ法(カラム ionPac AS12A;日本ダイオネクス社DX−500)により一価のカチオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
次に本発明による分散体の製造方法を具体的に説明する。
本実施例においては、顔料を反応性分散剤で包含し、水中で触媒の存在下で乳化重合を実施して分散体を製造する。
≪分散体の製造(製造方法Ι)≫
(分散体F1)
分散体F1の製造にカーボンブラック顔料であるMA88(三菱化学株式会社製)を用いた。超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、および温度調整器を備えた反応容器にカーボンブラック顔料25部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを6部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけた。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.7部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とのメチルエチルケトン溶液をさらに加えて60℃で8時間重合反応を行ない、得られた溶液を遠心ろ過してポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに5μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。
次にポリマーで包含された前記顔料溶液をホモジナイザーでほぐした後、反応容器に前述の顔料のメチルエチルケトン溶液を、さらにイオン交換水30部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去し、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH8.5に調整してから0.3μmのフィルターで濾過して、分散体F1を得た。
分散体F1について分散ポリマー全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ39%であった。
上記分散体F1と同様の手法(製造方法Ι)により分散体F2〜F7を得た。分散体F2はフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用い、分散体F3は不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用い、分散体F4はイソインドリノン顔料(C.I.ピグメントイエロー109)を用い、分散体F5はアントラキノンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー147)を用い、分散体F6はベンズイミダゾロンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180)を用い、分散体F7はキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)とジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド23)を9:1で混合したものを用いた。
表25に製造方法Ιで製造した分散体F1〜F7の顔料、中和剤、顔料と分散ポリマーとの比、及び芳香環量について示す。
次に前記分散体F1とは異なる製造方法を用いた分散体F8の製造について説明する。
≪分散体の製造(製造方法II)≫
(分散体F8)
分散体F8の製造にはカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン21部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌後、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水溶液の混合液を使用してpH7.5に調整してから0.3μmのフィルターで濾過して、分散体F8を得た。
分散体F8について分散ポリマー全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ56%であった。
上記と同様な手法(製造方法II)で分散体F9〜F14を得た。分散体F9は有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用い、分散体F10は有機顔料である縮合アゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー128)を用い、分散体F11は有機顔料であるアゾレーキ顔料(C.I.ピグメントレッド53:1)を用い、分散体F12は有機顔料であるペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)用い、分散体F13は有機顔料であるベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用い、分散体F14は有機顔料であるペリレンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド178)用いた。
表26に製造方法IIで製造した分散体F8〜F14の顔料、中和剤、顔料と分散ポリマーとの比、及び芳香環量を示す。
(水性インクの調製例)
以下、本発明による水性インクについて特に水性インクジェット記録に好適な水性インクの組成の例を示す。各分散体の添加量はその固形分濃度(顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は顔料の粒径をnm単位で示す。尚、本実施例中の残量として添加するイオン交換水には、水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を、それぞれ水性インク中の濃度が0.05%、0.02%、0.01%になるように添加攪拌したものを用いた。
(実施例F−1)
実施例F−1の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;日信化学工業株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−1で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、120ppm、1300ppm、115ppm、80ppmであった。一価のカチオンの総量は1615ppmであった。
(実施例F−2)
実施例F−2の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノールTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−2で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、135ppm、460ppm、160ppm、710ppmであった。一価のカチオンの総量は1465ppmであった。
(実施例F−3)
実施例F−3の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;日信化学工業株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−3で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、450ppm、1050ppm、640ppm、240ppmであった。一価のカチオンの総量は1920ppmであった。
(実施例F−4)
実施例F−4の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール104はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−4で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、80ppm、1390ppm、550ppm、190ppmであった。一価のカチオンの総量は2210ppmであった。
(実施例F−5)
実施例F−5の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−5で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、1800ppm、260ppm、150ppm、250ppmであった。一価のカチオンの総量は2460ppmであった。
(実施例F−6)
実施例F−6の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、アセチレノールEOはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;川研ファインケミカル株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−6で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、460ppm、850ppm、1050ppm、65ppmであった。一価のカチオンの総量は2425ppmであった。
(実施例F−7)
実施例F−7の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−7で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、265ppm、500ppm、390ppm、595ppmであった。一価のカチオンの総量は1750ppmであった。
(実施例F−8)
実施例F−8の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール420はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−8で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、90ppm、1000ppm、210ppm、950ppmであった。一価のカチオンの総量は2250ppmであった。
(実施例F−9)
実施例F−9の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール485はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−9で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、950ppm、350ppm、290ppm、510ppmであった。一価のカチオンの総量は2100ppmであった。
(実施例F−10)
実施例F−10の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノールTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)をDEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−10で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、330ppm、450ppm、250ppm、350ppmであった。一価のカチオンの総量は1380ppmであった。
(実施例F−11)
実施例F−11の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;日信化学工業株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−11で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、465ppm、560ppm、350ppm、450ppmであった。一価のカチオンの総量は1825ppmであった。
(実施例F−12)
実施例F−12の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール104はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−12で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、1200ppm、480ppm、220ppm、90ppmであった。一価のカチオンの総量は1950ppmであった。
(実施例F−13)
実施例F−13の水性インク組成を以下に示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−13で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、350ppm、380ppm、980ppm、290ppmであった。一価のカチオンの総量は2000ppmであった。
(実施例F−14)
実施例F−14の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、アセチレノールELはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;川研ファインケミカル株式会社製)を示す。
「一価のカチオンの定量」
実施例F−14で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、750ppm、890ppm、710ppm、100ppmであった。一価のカチオンの総量は2450ppmであった。
(比較例F−1)
比較例F−1では実施例F−1と同様に分散体F1を使用した。さらに比較例F−1では故意に一価のカチオンを多量に含有する水を使用して水性インクを調整した。
比較例F−1の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
「一価のカチオンの定量」
比較例F−1で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、1350ppm、1640ppm、1090ppm、1100ppmであった。一価のカチオンの総量は5180ppmであった。 (比較例F−2)
比較例F−2では実施例F−1と同様にカーボンブラック顔料であるMA88(三菱化学株式会社製)を、分散剤としてソルスパース27000(アビシア製)を使用して分散した。
MA88を15部と、ソルスパース27000(アビシア製)を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例F−2で使用する分散液F15とした。
比較例F−2の水性インク組成を以下に示す。
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
「一価のカチオンの定量」
比較例F−2で調整した水性インクについて前記「一価のカチオン量の測定」による方法で測定した。
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンの各イオン量はそれぞれ順に、540ppm、810ppm、220ppm、490ppmであった。一価のカチオンの総量は2060ppmであった。
次に実施例F−1〜14,及び比較例F−1,2の各水性インクについて印刷評価を行った。尚、印刷評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用した水性インクジェットヘッドにより水性インクを吐出するセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンタPM−900Cを用い、評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙としてConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、XeroxR紙を使用した。
表27に印刷の評価結果として文字を印刷したときの滲みの評価結果を示す。表27中Aは極めてよい、Bはよい、Cは悪い、Dは極めて悪いということを示す。
表27の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印刷品質が悪く、本発明の水性インクを用いると印刷品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明においては印刷画像の紙等の被記録体に対する滲みが低減される高品質で実用性の高い水性インクジェット記録用に好適な水性インクを提供することができる。
また、実施例F−1〜14、及び比較例F−1、2の水性インクについて保存安定性評価、及び吐出安定性評価を行った。
保存安定性評価は各水性インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後での水性インクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)について調べた。
異物発生量は放置後の異物量/初期の異物量、粘度は放置後の粘度/初期の粘度、表面張力は放置後表面張力/初期の表面張力の値を示す。
吐出安定性評価は前述のセイコーエプソン株式会社製の水性インクジェットプリンタPM−900Cを用いて、A4版Xerox P紙に200ページ連続印刷して全く印刷乱れなど生じないものをA、10個所未満印刷乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印刷乱れのあるものをC、100個所以上印刷乱れのあるものをDとした。
以上実施例F−1〜14、比較例F−1、2の各水性インクの一価のカチオンの定量結果、保存安定性評価結果、吐出安定性評価結果について表28に示す。
表27と表28の結果からわかるように、本発明になる分散体を用いた水性インクは良好な印刷品質であり、吐出安定性、保存性安定性に優れる水性インクジェット記録用に好適な水性インクになることがわかる。又、このような水性インクは上記実施例のように圧電素子を用いた水性インクジェットヘッドに好適に用いることができる。更に、着色剤として好適には顔料を用いるので耐水性は通常の染料を用いる場合より優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆するポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来のように通常の分散剤を用いる場合は分散剤では基本的に着色剤に吸着している分散剤の吸着力が弱く剤を用いる場合は分散剤では基本的に着色剤に吸着している分散剤の吸着力が弱く部分的な脱離が起こり、その脱離物や吸着されなかった分散剤により粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。
[実施例G]
次に本発明による、その他の好ましい実施形態(g)における実施例について説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施例で得られた各測定値(芳香環量、平均粒径、一価のアニオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散体の一部を取り出し、0.1mol/L濃度HClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いた13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定することにより、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量を測定した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製ELS−800)で測定した。粒径は<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
「一価のアニオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し、遠心限外濾過装置(C−15;ミリポア社)によって遠心分離処理した。フィルターとしては、タイプNMWL10000を使用し、遠心条件は、2500G×60分とした。得られた濾液をイオンクロマトグラフ法(カラム ionPac AS12A;日本ダイオネクス社DX−500)により一価のカチオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
次に本発明による分散体の製造方法を具体的に説明する。
本実施例においては、顔料を反応性分散剤で包含し、水中で触媒の存在下で乳化重合を実施して分散体を製造する。
〈〈分散体の製造(製造方法I)〉〉
(分散体G1)
分散体G1の製造にカーボンブラック顔料であるMA7(三菱化学株式会社製)を用いた。超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、および温度調整器を備えた反応容器にカーボンブラック顔料25部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを6部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけた。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.7部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とのメチルエチルケトン溶液をさらに加えて60℃で8時間重合反応を行ない、得られた溶液を遠心ろ過してポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに5μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。
次にポリマーで包含された前記顔料溶液をホモジナイザーでほぐした後、反応容器に前述の顔料のメチルエチルケトン溶液を、さらにイオン交換水30部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去し、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH8.5に調整してから0.3μmのフィルターで濾過して、分散体G1を得た。
分散体G1について分散ポリマー全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ45%であった。
上記分散体G1と同様の手法(製造方法I)により分散体G2〜G7を得た。分散体G2はフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用い、分散体G3は不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用い、分散体G4はイソインドリノン顔料(C.I.ピグメントイエロー109)を用い、分散体G5はアントラキノンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー147)を用い、分散体G6はベンズイミダゾロンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180)を用い、分散体G7はキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)とジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド23)を8:2で混合したものを用いた。
表28に製造方法Iで製造した分散体G1〜G7の顔料、中和剤、顔料と分散ポリマーとの比、及び芳香環量について示す。
次に前記分散体G1とは異なる製造方法を用いた分散体G8の製造について説明する。
〈〈分散体の製造(製造方法II)〉〉
(分散体G8)
分散体G8の製造にはカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン21部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌後、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水溶液の混合液を使用してpH7.5に調整してから0.3μmのフィルターで濾過して、分散体G8を得た。
分散体G8について分散ポリマー全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ56%であった。
上記と同様な手法(製造方法II)で分散体G9〜G14を得た。分散体G9は有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用い、分散体G10は有機顔料である縮合アゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー128)を用い、分散体G11は有機顔料であるアゾレーキ顔料(C.I.ピグメントレッド53:1)を用い、分散体G12は有機顔料であるペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)用い、分散体G13は有機顔料であるベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用い、分散体G14は有機顔料であるペリレンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド178)用いた。
表29に製造方法IIで製造した分散体G8〜G14の顔料、中和剤、顔料と分散ポリマーとの比、及び芳香環量を示す。
(インクジェットインクの調製例)
以下、本発明による水性インクについて特にインクジェット記録に好適な組成の例を示す。各分散体の添加量はその固形分濃度(顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は顔料の粒径をnm単位で示す。尚、本実施例中の残量として添加するイオン交換水には、インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、インク系中の金属イオンの影響を低減するためのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を、それぞれインク中の濃度が0.05%、0.02%、0.01%になるように添加攪拌したものを用いた。
(実施例G−1)
実施例G−1のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;日信化学工業株式会社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−1で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、600ppm、100ppm、115ppm、40ppmであった。一価のアニオンの総量は855ppmであった。
(実施例G−2)
実施例G−2のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノールTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ株式会社製)を、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−2で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン最はそれぞれ順に、735ppm、90ppm、160ppm、30ppmであった。一価のアニオンの総量は1015ppmであった。
(実施例G−3)
実施例G−3のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;日信化学工業株式会社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−3で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、490ppm、80ppm、40ppm、140ppmであった。一価のアニオンの総量は750ppmであった。
(実施例G−4)
実施例G−4のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール104はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−4で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、680ppm、190ppm、150ppm、90ppmであった。一価のアニオンの総量は1110ppmであった。
(実施例G−5)
実施例G−5のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−5で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、500ppm、65ppm、100ppm、55ppmであった。一価のアニオンの総量は720ppmであった。
(実施例G−6)
実施例G−6のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、アセチレノールEOはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;川研ファインケミカル株式会社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−6で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、460ppm、55ppm、80ppm、65ppmであった。一価のアニオンの総量は660ppmであった。
(実施例G−7)
実施例G−7のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)を、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−7で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、845ppm、60ppm、90ppm、45ppmであった。一価のアニオンの総量は1040ppmであった。
(実施例G−8)
実施例G−8のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール420はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)を、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−8で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、550ppm、110ppm、75ppm、100ppmであった。一価のアニオンの総量は835ppmであった。
(実施例G−9)
実施例G−9のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール485はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−9で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、950ppm、250ppm、190ppm、105ppmであった。一価のアニオンの総量は1495ppmであった。
(実施例G−10)
実施例G−10のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノールTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)をDEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−10で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、630ppm、250ppm、120ppm、50ppmであった。一価のアニオンの総量は1050ppmであった。
(実施例G−11)
実施例G−11のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;日信化学工業株式会社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−11で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、465ppm、160ppm、135ppm、80ppmであった。一価のアニオンの総量は840ppmであった。
(実施例G−12)
実施例G−12のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、サーフィノール104はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;エアープロダクツ社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−12で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、300ppm、280ppm、260ppm、75ppmであった。一価のアニオンの総量は915ppmであった。
(実施例G−13)
実施例G−13のインク組成を以下に示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−13で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、650ppm、80ppm、70ppm、30ppmであった。一価のアニオンの総量は830ppmであった。
(実施例G−14)
実施例G−14のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、アセチレノールELはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名;川研ファインケミカル株式会社製)を示す。
「一価のアニオンの定量」
実施例G−14で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、250ppm、190ppm、210ppm、150ppmであった。一価のアニオンの総量は800ppmであった。
(比較例G−1)
比較例G−1では実施例G−1と同様に分散体G1を使用した。さらに比較例G−1では故意に一価のカチオンを多量に含有する水を使用してインクを調整した。
比較例G−1のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
「一価のアニオンの定量」
比較例G−1で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、1250ppm、640ppm、590ppm、530ppmであった。一価のアニオンの総量は3010ppmであった。
(比較例G−2)
比較例G−2では実施例G−1と同様にカーボンブラック顔料であるMA88(三菱化学株式会社製)を、分散剤としてソルスパース27000(アビシア製)を使用して分散した。
MA88を15部と、ソルスパース27000(アビシア製)を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例G−2で使用する分散液G15とした。
比較例G−2のインク組成を以下に示す。
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
「一価のアニオンの定量」
比較例G−2で調整したインクについて前記「一価のアニオン量の測定」による方法で測定した。
塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオンの各イオン量はそれぞれ順に、660ppm、190ppm、120ppm、80ppmであった。一価のアニオンの総量は1050ppmであった。
次に実施例G−1〜14,及び比較例G−1,2の各インクについて印字評価を行った。尚、印字評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用したインクジェットヘッドによりインクを吐出するセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタPM−900Cを用い、評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙としてConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、XeroxR紙を使用した。
表30に印字の評価結果として文字を印字したときのにじみの評価結果を示す。表30中Aは極めてよい、Bはよい、Cは悪い、Dは極めて悪いということを示す。
表30の結果から明らかなように比較例で用いるようなインクは印字品質が悪く、本発明で用いるインクジェット記録用インクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明においては印字画像の紙等の被記録体に対するにじみが低減される高品質で実用性の高いインクジェット記録用インクを提供することができる。
また、実施例G−1〜14、及び比較例G−1、2のインクについて保存安定性評価、及び吐出安定性評価を行った。
保存安定性評価は各インクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後でのインクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)について調べた。
異物発生量は放置後の異物量/初期の異物量、粘度は放置後の粘度/初期の粘度、表面張力は放置後表面張力/初期の表面張力の値を示す。
吐出安定性評価は前述のセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタPM−900Cを用いて、A4版Xerox P紙に200ページ連続印字して全く印字乱れなど生じないものをA、10個所未満印字乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印字乱れのあるものをC、100個所以上印字乱れのあるものをDとした。
以上実施例G−1〜14、比較例G−1、2の各インクの一価のアニオンの定量結果、保存安定性評価結果、吐出安定性評価結果について表31に示す。
表30と表31の結果からわかるように、本発明になる分散体を用いた水性インクは良好な印字品質であり、吐出安定性、保存性安定性に優れるインクジェット記録用に好適な水性インクになることがわかる。又、このようなインクは上記実施例のように圧電素子を用いたインクジェットヘッドに好適に用いることができる。更に、顔料を用いるので耐水性は通常の染料を用いる場合より優れた印字物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆するポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来のように通常の分散剤を用いる場合は分散剤では基本的に顔料に吸着している分散剤の吸着力が弱く剤を用いる場合は分散剤では基本的に顔料に吸着している分散剤の吸着力が弱く部分的な脱離が起こり、その脱離物や吸着されなかった分散剤により粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。
[実施例H]
次に本発明による、その他の好ましい実施形態(h)における実施例について説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、遊離ポリマー量、及び表面張力の測定方法)
本実施例で得られた各測定値(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、遊離ポリマー量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散ポリマー溶液の一部を取り出し、溶媒成分を留去してポリマー成分のみを取り出し、DMSO−d6に溶解させ、13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)を使用して、ポリマー中の芳香環量を測定した。
「顔料:ポリマー比の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散液の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して分散体のみを酸析後、乾燥重量を測定した。次に、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、乾燥重量を測定することで、顔料:ポリマーの重量比を算出した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製ELS−800)で測定した。
「遊離ポリマー量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し、遠心加速(条件:2500G×60分)によりインク中における分散体等の固形分を沈殿成分として沈降させた。
次に上清成分として得られたインクの液性成分を減圧加熱し、その溶媒成分を蒸発させ、液性成分中に存在する遊離ポリマーの重量を測定することで、インク全重量に対する遊離ポリマー量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
<実施例H−1>
(1)分散液の製造:分散液H1
本実施例H−1に用いる分散液H1の製造には無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ社製)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、メチルエチルケトン15部、スチレン21部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン100部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は58%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、ブフナー漏斗で濾別と洗浄を繰り返す。次に濾別された顔料内包樹脂分散体に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、分散体A1(カーボンブラック顔料を芳香環量が58%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液1を得た。
表32に分散液H1に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−1では、前記実施例H−1(1)で得た分散液H1、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H1の含有量が8.0%となるように分散液H1を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H1の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−1のインク組成中の「残量」として添加されるイオン交換水には、インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、及びインク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を、それぞれインク全重量に対して0.01%、0.01%、0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H1<120> 8.0%
オルフィンE1010 0.5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.5%
ジエチレングリコール 3.0%
グリセリン 11.5%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリプロパノールアミン 0.3%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−1(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は1.18%であった。
(4)印字評価
印字画像評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用したインクジェットヘッドによりインクを吐出するインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−1(2)で調整したインクの印字評価を実施した。
評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙として(a)Conqueror紙、(b)Reymat紙、(c)Mode Copy紙、(d)Rapid Copy紙、(e)Xerox P紙、(f)Xerox 4024紙、(g)Xerox 10紙、(h)Neenha Bond紙、(i)Ricopy 6200紙、及び(j)Hammer mill Copy Plus紙を使用した。
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全てのポイントの文字において、にじみがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかににじみが認められる(実用レベル)。
C:にじみのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:にじみが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
印字評価の結果を表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−1(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、A4版Xerox P紙に200ページ連続印字して、印刷の乱れ具合を観察することで吐出安定性を評価した
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
吐出安定性評価の結果を表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−1(2)で調整したインクをガラス瓶に入れ密閉後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後におけるインクの発生異物と物性値変動(粘度、表面張力)について評価した。
なお、評価は以下の評価基準に基づいておこなった。
A:60℃あるいは−20℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
保存安定性評価結果を表34に示す。
<実施例H−2>
(1)分散液の製造:分散液H2
本実施例H−2に用いる分散液H2の製造には、有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、メタクリル酸3部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン20部、メルカプトエタノール1.0部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は26%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体H2(不溶性モノアゾイエロー顔料を芳香環量が26%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H2を得た。
表32に分散液H2に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−2では、前記実施例H−2(1)で得た分散液H2、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール440(エアープロダクツ社製)とオルフィンSTG(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H2の含有量が7.0%となるように分散液H2を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H2の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−2のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H2<120> 7.0%
サーフィノール440 0.2%
オルフィンSTG 0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
2−ピロリドン 3.0%
グリセリン 13.5%
トリメチロールエタン 5.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−3(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は0.48%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−2(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−2(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−2(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<実施例H−3>
(1)分散液の製造:分散液H3
本実施例H−3に用いる分散液H3の製造には、有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)6部、n−ドデシルメタクリレート3.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート12部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)25部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)8部、n−ドデシルメタクリレート7部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)30部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は36%であった。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は36%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)25部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体H3(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が36%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H3を得た。
表32に分散液H3に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−3では、前記実施例H−3(1)で得た分散液H3、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104PG50(エアープロダクツ社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H3の含有量が7.5%となるように分散液H3を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H3の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−3のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H3<140> 7.5%
オルフィンE1010 0.1%
サーフィノール104PG50 0.4%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ヘキサンジオール 2.5%
トリエチレングリコール 2.0%
2−ピロリドン 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−3(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は0.63%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−3(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−3(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−3(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<実施例H−4>
(1)分散液の製造:分散液H4
本実施例H−4に用いる分散液H4の製造には、有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)20部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は49%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)40部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体H4(フタロシアニンブルー顔料を芳香環量が49%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H4を得た。
表32に分散液H4に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−4では、前記実施例H−4(1)で得た分散液H4、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H4の含有量が8.0%となるように分散液H4を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H4の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−4のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H4<100> 8.0%
アセチレノールE100 0.5%
プロピレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ヘキサンジオール 1.0%
トリエチレングリコール 3.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 5.2%
トリプロパノールアミン 0.2%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−4(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は0.54%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−4(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−4(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−4(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<実施例H−5>
(1)分散液の製造:分散液H5
本実施例H−5に用いる分散液H5の製造には、ペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)を用いた。それ以外は、前記実施例1(1)に記載と同様の方法により、分散体A5(ペリノンオレンジ顔料を芳香環量が44%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H5を得た。
表32に分散液H5に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−5では、前記実施例H−5(1)で得た分散液H5、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール485とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H5の含有量が10.0%となるように分散液H5を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H5の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−5のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H5<150> 10.0%
サーフィノール485 0.5%
サーフィノールTG 0.2%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
グリセリン 11.2%
トレハロース 5.8%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−5(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は1.62%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−5(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−5(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−5(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<実施例H−6>
(1)分散液の製造:分散液H6
本実施例H−6に用いる分散液H6の製造には、ベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用いた。それ以外は、前記実施例1(1)に記載と同様の方法により、分散体H6(ベンズイミダゾロンブラウン顔料を芳香環量が70%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H6を得た。
表32に分散液H6に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−6では、前記実施例H−6(1)で得た分散液H6、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール420、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H6の含有量が5.0%となるように分散液H6を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H6の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−6のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H6<140> 5.0%
サーフィノール420 0.1%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,6−ヘキサンジオール 2.0%
テトラエチレングリコール 5.5%
グリセリン 13.5%
トリエタノールアミン 0.5%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−6(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は1.98%であった。
(4)印字評価
記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−6(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−6(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−6(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と伺様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<実施例H−7>
(1)分散液の製造:分散液H7
本実施例H−7に用いる分散液H7の製造には、有機顔料であるとキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を用いた。それ以外は、前記実施例H−2(1)に記載と同様の方法により、分散体H7(キナクリドンバイオレット顔料を芳香環量が52%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H7を得た。
表32に分散液H7に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−7では、前記実施例H−7(1)で得た分散液H7、アセチレンアルコール系界面活性剤であるサーフィノール61とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H7の含有量が6.0%となるように分散液H7を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H7の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−7のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H7<120> 6.0%
サーフィノール61 0.3%
サーフィノールTG 0.1%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
ジエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 12.6%
トリメチロールエタン 7.2%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−7(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は0.39%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−7(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−7(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−7(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<実施例H−8>
(1)分散液の製造:分散液H8
本実施例H−8に用いる分散液H8の製造には、有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用いた。それ以外は、前記実施例H−3(1)に記載と同様の方法により、分散体H8(フタロシアニングリーン顔料を芳香環量が38%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液H8を得た。
表32に分散液H8に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例H−8では、前記実施例H−8(1)で得た分散液H8、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104(エアープロダクツ社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H8の含有量が8.0%となるように分散液H8を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H8の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例H−8のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H8<110> 8.0%
オルフィンE1010 0.3%
サーフィノール104 0.1%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ペンタンジオール 3.0%
トリエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.4%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)遊離ポリマー量の測定
前記実施例H−8(2)で製造したのインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は0.72%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例H−8(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例H−8(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例H−8(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<比較例H−1>
(1)分散液の製造:分散液H9
本比較例H−1では、前記実施例1(1)と同様に無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いて、本比較例H−1で用いる分散液H9を製造した。
但し、本比較例H−1では、インク中の遊離ポリマー量を実施例1と変更するため、意図的に前記実施例1(1)とは異なる条件で分散液を製造した。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン26部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート12部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.6部を入れ、本比較例では55℃に加熱した。別に用意したスチレン160部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れ、反応容器に滴下しながら本比較例では2時間で分散ポリマーを重合させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して38%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は20%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、本比較例ではブフナー漏斗での洗浄を実施せず、濾別された顔料内包樹脂分散体に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体H9(カーボンブラック顔料を芳香環量が20%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液1を得た。
表32に分散液H9に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本比較例H−1では、前記比較例H−1(1)で得た分散液H9を使用してインクを調整した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H9の含有量が8.0%となるように分散液H9を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例H−1のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体H9<140> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)遊離ポリマー量の測定
前記比較例H−1(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は3.02%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例H−1(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例H−1(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例H−1(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
<比較例H−2>
(1)分散液の製造:分散液H10
本比較例H−2に用いる分散液H10の製造には、有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメントグリーン7)をソルスパース12000(アビシア株式会社製)を使用して分散した。
フタロシアニングリーン顔料を15部と、ソルスパース12000を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例H−2で使用する分散体H10を20%(顔料:15%、分散樹脂:5%)含有する分散液H10を得た。
(2)インクの調整
本比較例H−2では、前記比較例H−2(1)で得た分散液H10を使用してインクを調整した。本比較例の具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体H10の含有量が8.0%となるように分散液H10を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体H10の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例H−2のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散液H10<150> 20.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)遊離ポリマー量の測定
前記比較例H−2(2)で調整したインクを、前記「遊離ポリマー量の測定」に記載の方法により測定したところ、インク全重量に対する遊離ポリマー量は4.23%であった。
(4)印字評価
前記実施例1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例H−2(2)で調整したインクについて、前記実施例1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表33に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例H−2(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例1(5)と同様の評価方法で、前記実施例1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表34に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例H−2(2)で調整したインクについて、前記実施例1(6)と同様の評価方法で、前記実施例1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表34に示す。
表33、34の結果から明らかなように比較例で用いるようなインクは印字品質が悪く、本発明によるインクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明の水性インクを用いることにより、いずれの紙種に対してもにじみが低減される高品質な印刷画像を得ることができる。
表35の結果から明らかなように、インク中の遊離ポリマー量を2%以下抑えた本発明による水性インクは優れた吐出安定性、保存性安定性を確保し、表34より印字品質も優れていることがわかる。また、遊離ポリマー量が1%以下の場合は格段に吐出安定性、保存性安定性が優れたものになることがわかる。一方、比較例にあるように遊離ポリマー量が3%を越えた場合は、印字品質、吐出安定性、保存安定性ともに、実用レベルに至らないことがわかる。
以上の結果からわかるように、本発明による水性インクを用いることで良好な印字品質、吐出安定性を得ることができ、しかも保存性安定性を優れていることがわかる。
[実施例I]
次に本発明によるその他の好ましい実施形態(i)を以下の実施例により説明する。なお、本発明の範囲は斯かる実施例等に制限されない。
本発明において示す着色剤の例として、以下の実施例及び比較例では一部の有機または無機顔料を用いた場合について述べているが、これらに限定されず本発明に好適な着色剤として例示した有機・無機顔料を用いることができる。<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
また、本発明の水性インクセットに用いる顔料分散体においては、以下に例示した実験例の他に、顔料を反応性分散剤で分散し、次いで水中で触媒の存在下で乳化重合を行なうことによって得ることもできる。
(ブラック分散液I1の製造)
ブラック分散液I1は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管及び滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、スチレン30部、α−メチルスチレン10部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部及びアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して50%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、更に1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%のブラック分散液I1とした。
この分散液の一部を取り出し、0.1mol/L濃度のHClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いた13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は50%であった。
(ブラック分散液I2の製造)
ブラック分散液I2は、着色剤としてカーボンブラックであるラーベンC(商品名;コロンビアカーボン社製、C.I.ピグメントブラック7)を20部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散液I3の製造)
ブラック分散液I3は、分子発色体としてカーボンブラックであるピグメントブラックA(商品名;BASF社製、C.I.ピグメントブラック1)を46.7部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散液I1の製造)
イエロー分散液I1は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー180を30部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散液I2の製造)
イエロー分散液I2は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー74(不溶性モノアゾ顔料)を46.7部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散液I3の調製)
イエロー分散液I3は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー128(縮合アゾ顔料)を80部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散液I1の製造)
マゼンタ分散液I1は、着色剤としてC.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料)を30部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散液I2の製造)
マゼンタ分散液I2は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド202(キナクリドン顔料)を46.7部用いた以外は、ブラック着色剤I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散液I3の製造)
マゼンタ分散液I3は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料)を80部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散液I1の製造)
シアン分散液I1は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料)を30部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散液I2の製造)
シアン分散液I2は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料)を20部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散液I3の製造)
シアン分散液Ic−3は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー16(無金属フタロシアニン顔料)を13.3部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(レッド分散液I1の製造)
レッド分散液I1は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド190(ペリレン顔料):30部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブルー分散液I1の製造)
ブルー分散液I1は、着色剤としてC.I.ピグメントバイオレット23(ジオキサジン顔料)を30部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(グリーン分散液I1の製造)
グリーン分散液I1は、着色剤としてC.I.ピグメントグリーン7(高塩素化銅フタロシアニン顔料)を30部用いた以外は、ブラック分散液I1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明の水性インクセットに好適なインク組成の例を示す。顔料分散液の添加量は固形分量(固形分量:顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの量)を重量で換算したものとして示す。<>内の数値は、以下の各実施例、比較例で得た顔料分散液を、顔料濃度が0.001〜0.01重量%(顔料により測定時の最適濃度が若干異なるため)になるように、イオン交換水で希釈し、その分散粒子の“20℃における平均粒径”を、粒度分布計(大塚電子社製ELS−800)で測定した値をnm単位で示したものである。なお、以下に示すインク組成例中の残量の水と示す中にはインクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(組成例I1:ブラックインクI1)
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
(組成例I2:ブラックインクI2)
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
(組成例I3:ブラックインクI3)
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I4:イエローインクI1)
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I5:イエローインクI2)
なお、上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I6:イエローインクI3)
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I7:マゼンタインクI1)
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I8:マゼンタインクI2)
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
(組成例I9:マゼンタインクI3)
なお、上記組成中、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I10:シアンインクI1)
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I11:シアンインクI2)
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I12:シアンインクI3)
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
(組成例I13:レッドインクI1)
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
(組成例I14:ブルーインクI1)
なお、上記組成中、オルフィンE1010はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
(組成例I15:グリーンインクI1)
なお、上記組成中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
以上述べた組成例で調製した各色水性インクを組み合わせて水性インクセットとし、後述する印刷評価に用いた。以下に、水性インクセットの組み合わせを示す。
(実施例I−1:水性インクセットI−1)
本実施例I−1では、上記の組成例で調製したブラックインクI1、イエローインクI2、マゼンタインクI3、シアンインクI2の4色インクを組み合わせ、これを水性インクセットI−1とした。
(実施例I−2:水性インクセットI−2)
本実施例I−2では、上記の組成例で調製したブラックインクI2、イエローインクI1、マゼンタインクI1、シアンインクI1の4色インクを組み合わせ、これを水性インクセットI−2とした。
(実施例I−3:水性インクセットI−3)
本実施例I−3では、上記の組成例で調製したブラックインクI3、イエローインクI3、マゼンタインクI2、シアンインクI3の4色インクを組み合わせ、これを水性インクセットI−3とした。
(実施例I−4:水性インクセットI−4)
本実施例I−4では、上記の組成例で調製したブラックインクI1、イエローインクI2、マゼンタインクI3、シアンインクI2、レッドインクI1、ブルーインクI1、グリーンインクI1の7色インクを組み合わせ、これを水性インクセットI−4とした。
(比較例)
(比較例I−1:水性インクセットI−5の調製)
比較例I−1では、着色剤としてブラック分散体I1に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤として高分子分散剤と界面活性剤を用い、本比較例I−1のブラック水性インクI4を調製した。その組成を以下に示す。
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン社製、C.I.ピグメントブラック7)を、非イオン系界面活性剤はノイゲンEA160(商品名、第一工業製薬株式会社製)を、高分子分散剤はソルスパース27000(商品名、アビシア社製)を示す。上記組成物をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって、比較例I−1によるインクジェット用水性インクを作成した。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA・2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントイエロー14(不溶性ジスアゾ顔料)に変更した他は同様の組成にて、本比較例I−1のイエローインクI4を調製した。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントレッド81(塩基性染料レーキ顔料)に変更した他は同様の組成にて、本比較例I−1のマゼンタインクI4を調製した。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントブルー2(塩基性染料レーキ顔料)に変更した他は同様の組成にて、本比較例I−1のシアンインクI4を調製した。
以上述べた組成で調製したブラックインクI4、イエローインクI4、マゼンタインクI4、及びシアンインクI4を組み合わせ、これを本比較例I−1の水性インクセットI−5とする。
(比較例I−2)
比較例I−2では、特開2001−354886号公報に記載の水性インクセットを調製した。以下に顔料分散体とそれを用いた水性インクの組成を示す。
<ブラック分散液I5の製造>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例I−2のブラック分散液I5を製造した。得られたブラック分散液I5中の分散粒子の平均粒径は90nmであった。
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン社製、C.I.ピグメントブラック7)を、スチレン−アクリル酸共重合体は重量平均分子量7,000、酸価150のものを用いた。
<ブラックインクI5の調製>
上記組成及び方法で製造したブラック分散液I5を用いて、本比較例I−2のブラックインクI5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、ペレックスOP−Tはアニオン系界面活性剤(商品名、花王株式会社製)を、TEGmEEはトリエチレングリコールモノエチルエーテルを示す。また、上記組成以外に、ブラック分散液I5に添加されているものとして、グリセリンが1.5%含まれている。
<イエロー分散液I5の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例I−2のイエロー分散液I5を製造した。得られたイエロー分散液I5中の分散粒子の平均粒径は120nmであった。
なお、上記組成中、スチレン−アクリル酸共重合体は重量平均分子量10,000、酸価120のものを用いた。
<イエローインクI5の調製>
上記組成及び方法で製造したイエロー分散液I5を用いて、本比較例I−2のイエローインクI5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、エマルゲン120はノニオン系界面活性剤(商品名、花王株式会社製)を、DEGmMEはジエチレングリコールモノメチルエーテルを示す。また、上記組成以外に、イエロー分散液I5に添加されているものとして、ジエチレングリコールが1.5%含まれている。
<マゼンタ分散液I5の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例I−2のマゼンタ分散液I5を製造した。得られたマゼンタ分散液I5中の分散粒子の平均粒径は100nmであった。
なお、上記組成中、スチレン−アクリル酸共重合体は重量平均分子量7,000、酸価150のものを用いた。
<マゼンタインクI5の調製>
上記組成及び方法で製造したマゼンタ分散液I5を用いて、本比較例I−2のマゼンタインクI5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、レベノールWXはアニオン系界面活性剤(商品名、花王株式会社製)を示す。また、上記組成以外に、マゼンタ分散液I5に添加されているものとして、グリセリンが2.0%含まれている。
<シアン分散液I5の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例I−2のシアン分散液I5を製造した。得られたシアン分散液I5中の分散粒子の平均粒径は90nmであった。
なお、上記組成中、ジョンクリル61はスチレン−アクリル酸系樹脂(商品名、ジョンソンポリマー株式会社製)を示す。
<シアンインクI5の調製>
上記組成及び方法で製造したシアン分散液I5を用いて、本比較例I−2のシアンインクI5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、プルロニックL−44は界面活性剤(商品名、旭電化株式会社製)を示す。また、上記組成以外に、シアン分散液I5に添加されているものとして、グリセリンが1.0%含まれている。
<レッド分散液I2の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例I−2のレッド分散液I2を製造した。得られたレッド分散液I2中の分散粒子の平均粒径は110nmであった。
なお、上記組成中、スチレン−アクリル酸共重合体は重量平均分子量10,000、酸価120のものを用いた。
<レッドインクI2の調製>
上記組成及び方法で製造したレッド分散液I2を用いて、本比較例I−2のレッドインクI2を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、レベノールWXはアニオン系界面活性剤(商品名、花王株式会社製)を示す。また、上記組成以外に、レッド分散液I2に添加されいるものとして、ジエチレングリコールが3.0%含まれている。
<グリーン分散液I2の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例I−2のグリーン分散液I2を製造した。得られたグリーン分散液I2中の分散粒子の平均粒径は110nmであった。
なお、上記組成中、ジョンクリル61はスチレン−アクリル酸系樹脂(商品名、ジョンソンポリマー株式会社製)を示す。
<グリーンインクI2の調製>
上記組成及び方法で製造したグリーン分散液I2を用いて、本比較例I−2のグリーンインクI2を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、プルロニックL−44は界面活性剤(商品名、旭電化株式会社製)を示す。また、上記組成以外に、グリーン分散液I2に添加されているものとして、エチレングリコールが更に1.0%含まれている。
以上述べた組成のブラックインクI5、イエローインクI5、マゼンタインクI5、シアンインクI5、レッドインクI2及びグリーンインクI2を組み合わせ、それを本比較例I−2における水性インクセットI−6とする。
(水性インクセットの評価)
<印刷画像の印刷品質>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットを、インクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上及び光沢メディアにフルカラー画像を印刷して、その印刷画像の印刷品質を評価した。この評価で用いた普通紙はヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている普通の紙で(1)Conqueror紙、(2)Reymat紙、(3)Mode Copy紙、(4)Rapid Copy紙、(5)Xerox P紙、(6)Xerox 4024紙、(7)Xerox 10紙、(8)Neenah Bond紙、(9)Ricopy 6200紙及び(10)Hammer mill Copy Plus紙であり、光沢メディアはヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている光沢メディアで、(11)フォトプリント紙2、(12)MC写真用紙((11)、(12)とも商品名、セイコーエプソン株式会社製)、(13)Ink Jet Paper Photo Glossy Paper Super Photo Grade、(14)Ink Jet Paper Photo Paper High Grade((13)、(14)とも商品名、富士写真フィルム株式会社製)、(15)Ink Jet Photographic Quality Paper Photo Weight(商品名、コダック社製)、(16)Photo like QP QP20A4GH(商品名、コニカ株式会社製)である。評価は印刷画像のにじみの程度を目視で観察することにより行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表36に示した。なお、表36中の“印刷媒体種”に示した丸数字は、上記の普通紙及び光沢メディアの名称につけたものと同一である。
評価A:二次色(レッド色、ブルー色、グリーン色)の画像部分でもにじみがわからない。
B:二次色(レッド色、ブルー色、グリーン色)の画像部分でわずかににじみが認められる(実用レベル)。
C:一次色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)の画像部分でにじみが認められる。
D:一次色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)の画像部分においてもにじみがひどい。
上記評価において、実施例I−1のインクセットI−1、実施例I−2のインクセットI−2、実施例I−3のインクセットI−3、及び比較例I−1のインクセットI−5については、レッド色はマゼンタインクとイエローインクを1:1の割合で、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はイエローインクとシアンインクを1:1の割合で印刷した。また、実施例I−4のインクセットI−4については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はブルーインクで、グリーン色はグリーンインクで印刷した。更に、比較例I−2のインクセットI−6については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はグリーンインクで印刷した。
表36の結果から明らかなように、比較例I−1の水性インクセットI−5及び比較例I−2の水性インクセットI−6を用いて印刷した画像は特に普通紙上においてにじみが多かったが、実施例I−1〜I−4の水性インクセットI−1〜I−4を用いて印刷した画像は普通紙・光沢メディアに関係なくにじみが少なかった。この中でも特に、実施例I−4の水性インクセットI−4を用いて印刷したレッド色、ブルー色及びグリーン色の画像部分は、普通紙・光沢メディアに関係なく鮮明でにじみのない画像が得られた。
以上のように、本発明においては、普通紙・光沢メディアに関係なく、鮮明でにじみが少ない、高品質で実用性の高いインクジェット印刷用水性インクを提供することができる。
<印刷画像の彩度(C*)>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットを、インクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上及び光沢メディア上に10%から100%まで5%刻みでdutyを変えたベタパターン印刷を行ない、その印刷画像の彩度(C*)を測定した。この評価で用いた普通紙及び光沢メディアは、印刷画像の印刷品質での評価で使用したものと同一である。評価は印刷画像を光学濃度計X−Rite938(エックスライト社製)にて測定し、CIEで規定されているL*a*b*表示系で求め、以下の式で定義される彩度(C*)を計算することにより行なった。
C*=〔(a*)2+(b*)2〕1/2
その結果を以下に示す評価判断基準に従って評価した。また、評価結果は表37に示した。なお、表37中の“印刷媒体種”に示した丸数字は、表36と同様である。
評価A:全てのカラー画像領域(イエロー領域、マゼンタ領域、シアン領域、レッド領域、ブルー領域、グリーン領域)において、彩度(C*)の最大値が普通紙で50以上、光沢メディアで60以上を示す。
B:彩度(C*)の最大値が普通紙で45以上50未満、光沢メディアで55以上60未満のカラー画像領域がある。
C:彩度(C*)の最大値が普通紙で40以上45未満、光沢メディアで50以上60未満のカラー画像領域がある。
D:彩度(C*)の最大値が普通紙で40未満、光沢メディアで50未満のカラー画像領域がある。
上記評価において、実施例I−1のインクセットI−1、実施例I−2のインクセットI−2、実施例I−3のインクセットI−3、及び比較例I−1のインクセットI−5については、レッド色はマゼンタインクとイエローインクを1:1の割合で、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はイエローインクとシアンインクを1:1の割合で印刷した。また、実施例I−4のインクセットI−4については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はブルーインクで、グリーン色はグリーンインクで印刷した。更に、比較例I−2のインクセットI−6については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はグリーンインクで印刷した。
表37の結果から明らかなように、比較例I−1の水性インクセットI−5及び比較例I−2の水性インクセットI−6は普通紙上での彩度(C*)が低かったが、実施例I−1〜I−4の水性インクセットI−1〜I−4は普通紙、光沢メディアともに彩度(C*)が高く、鮮明であった。特にレッドインク、ブルーインク、グリーンインクを用いた実施例I−4のインクセットI−4においては、レッド、ブルー、グリーンでの彩度がより高い鮮明な画像が得られた。
以上のように、本発明においては、光沢メディアのみならず普通紙に対しても彩度の高い鮮明な画像が得られる、高品質で実用性の高いインクジェット印刷用水性インクセットを提供することができる。
<印刷画像の光学濃度(O.D.値)>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットを、インクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上及び光沢メディア上に100%dutyのベタパターン印刷を行ない、その印刷画像の光学濃度(O.D.値)を測定した。この評価で用いた普通紙及び光沢メディアは、印刷画像の印刷品質での評価で使用したものと同一である。評価は印刷画像を光学濃度計X−Rite938(エックスライト社製)にて光学濃度(O.D.値)を測定することにより行なった。その結果を以下に示す評価判断基準に従って評価した。また、評価結果は表38に示した。なお、表38中の“印刷媒体種”に示した丸数字は、表36と同様である。
評価A:全ての画像領域(ブラック領域、イエロー領域、マゼンタ領域、シアン領域、レッド領域、ブルー領域、グリーン領域)において、光学濃度(O.D.値)が普通紙で1.2以上、光沢メディアで1.6以上を示す。
B:光学濃度(O.D.値)が普通紙で1.1以上1.2未満、光沢メディアで1.5以上1.6未満を示す画像領域がある。
C:光学濃度(O.D.値)が普通紙で1.0以上1.1未満、光沢メディアで1.4以上1.5未満を示す画像領域がある。
D:光学濃度(O.D.値)が普通紙で1.0未満、光沢メディアで1.4未満を示す画像領域がある。
上記評価において、実施例I−1のインクセットI−1、実施例I−2のインクセットI−2、実施例I−3のインクセットI−3、及び比較例I−1のインクセットI−5については、レッド色はマゼンタインクとイエローインクを1:1の割合で、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はイエローインクとシアンインクを1:1の割合で印刷した。また、実施例I−4のインクセットI−4については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はブルーインクで、グリーン色はグリーンインクで印刷した。更に、比較例I−2のインクセットI−6については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はグリーンインクで印刷した。
表38の結果から明らかなように、比較例I−1の水性インクセットI−5及び比較例I−2の水性インクセットI−6は特に普通紙上での光学濃度(O.D.値)が低かったが、実施例I−1〜I−4の水性インクセットI−1〜I−4は普通紙、光沢メディアともに光学濃度(O.D.値)が高く、濃く鮮明な画像が得られた。
以上のように、本発明においては、光沢メディアのみならず普通紙に対しても光学濃度(O.D.値)の高い鮮明な画像が得られる、高品質で実用性の高いインクジェット印刷用水性インクセットを提供することができる。
<印字物の定着性>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットを、インクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、光沢メディア上に文字印刷を行ない、その印刷物の定着性を評価した。この評価で用いた光沢メディアは、印刷画像の印刷品質での評価で使用したものと同一である。評価は、印字後一時間20〜25℃/40〜60%RH下で乾燥させた印刷画像を用い、指で擦った後の文字のずれ・かすれ状態を目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表39に示した。なお、表39中の“印刷媒体種”に示した丸数字は、表36と同様である。
評価A:ずれ、かすれが認められない。
B:わずかにずれが認められるが、実用上問題ないレベル。
C:ずれ、あるいはかすれが認められる。
D:ずれ、かすれが甚だしく、文字が判読し難い。
上記評価において、実施例I−1のインクセットI−1、実施例I−2のインクセットI−2、実施例I−3のインクセットI−3、及び比較例I−1のインクセットI−5については、レッド色はマゼンタインクとイエローインクを1:1の割合で、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はイエローインクとシアンインクを1:1の割合で印刷した。また、実施例I−4のインクセットI−4については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はブルーインクで、グリーン色はグリーンインクで印刷した。更に、比較例I−2のインクセットI−6については、レッド色はレッドインクで、ブルー色はマゼンタインクとシアンインクを1:1の割合で、グリーン色はグリーンインクで印刷した。
表39の結果から明らかなように、比較例I−1の水性インクセットI−5及び比較例I−2の水性インクセットI−6は定着性に欠けていた。それに対して、実施例I−1〜I−4の水性インクセットI−1〜I−4は定着性が良好であった。その中でも特に実施例I〜4の水性インクセットI−4は、レッド色、ブルー色、グリーン色で印刷された文字について、定着性に優れていた。
以上のように、本発明においては、普通紙のみならずインクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢メディアにおいても、定着性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット印刷用水性インクセットを提供することができる。
<水性インクの保存安定性及び吐出安定性>
上記実施例中の組成例及び比較例で調製した水性インクを、ガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃で1週間放置し、放置前後でのインクの異物発生量、物性値(粘度、表面張力)について調べた。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表40に示した。
評価A:60℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が、0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
また、上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットの吐出安定性を評価した。評価方法はインクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に上記水性インクセットを各々搭載して、A4版Xerox P紙に100ページ連続印刷した時の印刷乱れを目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表40に示した。
評価A:全く印刷乱れが発生しない
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
表40の結果から明らかなように、比較例I−1及び2の水性インクセットに用いた水性インクは保存安定性及び吐出安定性に劣っていた。それに対して、実施例I−1〜I−4の水性インクセットに用いた水性インクは保存安定性が異物、物性値とも良好であり、吐出安定性も良好であった。
一方、実施例中の組成例I1に示したインク組成で、ブラック分散液I1を比較例I−2のブラック分散液I4に変えて同様に実験を行なったところ、表面張力の変化は少なかった(上記評価基準でB)が、異物が多量に発生(上記評価基準でD)して濾過性が低下し、またインクが増粘(上記評価基準でD)して、安定した保存性は得られなかった。
以上述べた評価の結果から判るように、本発明による顔料分散体を用いたインクジェット印刷用水性インクセットは普通紙、光沢メディアに関わらずにじみが少なく、彩度・光学濃度・定着性の高い良好な印刷品質を示し、また吐出安定性、保存性安定性に優れるインクジェット印刷用水性インクセットになることが判る。
<水性インクの安定性の評価>
ブラック分散液I1の製造に用いた分散ポリマーにおいて、芳香環を含むモノマーであるスチレン及びα−メチルスチレンと、その他のモノマーであるブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリル酸との比率を変えることで分散ポリマー中の芳香環の量を変える重合を行なった。そしてこの分散ポリマーを用いてブラック分散液I6〜I13を製造し、実施例中の組成例I1と同様の組成と方法にて水性インクを調製した。ブラック分散液I6〜I14においては、着色剤として用いたカーボンブラック顔料のモナーク880(商品名、キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7)と分散ポリマーの重量比をブラック分散液I1と同様にした。以下にブラック分散液I6〜I13の組成を示す。また、ブラック分散液I1と同様な方法にて分散ポリマー中の芳香環量を測定した結果を、分散体名の横に示した。
(ブラック分散液I6;分散ポリマー中の芳香環量:0%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:0部
α−メチルスチレン:0部
ブチルメタクリレート:46部
ラウリルメタクリレート:30.7部
アクリル酸:6.1部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:0部
アクリル酸:46部
ブチルメタクリレート:153.3部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液17;分散ポリマー中の芳香環量:10%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:6部
α−メチルスチレン:2.3部
ブチルメタクリレート:39.7部
ラウリルメタクリレート:26.5部
アクリル酸:5.3部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:30部
アクリル酸:39.7部
ブチルメタクリレート:132.4部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液18;分散ポリマー中の芳香環量:20%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:12部
α−メチルスチレン:4.6部
ブチルメタクリレート:33.5部
ラウリルメタクリレート:22.3部
アクリル酸:4.5部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:60部
アクリル酸:33.5部
ブチルメタクリレート:111.7部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液I9;分散ポリマー中の芳香環量:25%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:15部
α−メチルスチレン:5.8部
ブチルメタクリレート:30.4部
ラウリルメタクリレート:20.2部
アクリル酸:4.1部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:75部
アクリル酸:30.4部
ブチルメタクリレート:101.2部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液I10;分散ポリマー中の芳香環量:30%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:18部
α−メチルスチレン:6.9部
ブチルメタクリレート:27.2部
ラウリルメタクリレート:18.2部
アクリル酸:3.6部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:90部
アクリル酸:27.2部
ブチルメタクリレート:90.8部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液I11;分散ポリマー中の芳香環量:60%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:36部
α−メチルスチレン:13.8部
ブチルメタクリレート:8.5部
ラウリルメタクリレート:5.7部
アクリル酸:1.1部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:180部
アクリル酸:8.5部
ブチルメタクリレート:28.4部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液I12;分散ポリマー中の芳香環量:70%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:42部
α−メチルスチレン:16.1部
ブチルメタクリレート:2.3部
ラウリルメタクリレート:1.5部
アクリル酸:0.3部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:210部
アクリル酸:2.3部
ブチルメタクリレート:7.6部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散液I13;分散ポリマー中の芳香環量:73%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:67部
α−メチルスチレン:0部
ブチルメタクリレート:0部
ラウリルメタクリレート:0部
アクリル酸:0部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:215部
アクリル酸:0部
ブチルメタクリレート:0部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
以上述べた方法と材料にて調製した分散液を用いた水性インクについて、保存安定性評価を行なった。評価方法はインクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃および70℃/1週間放置し、放置前後でのインクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。評価判断基準は上記の水性インクの保存安定性及び吐出安定性に示した保存安定性評価と同様に行なった。その評価結果を表41に示した。
表41の結果から、本発明の分散ポリマー中の芳香環量が20%以上70%以下の場合に保存安定性が確保できることが判る。更に、25%以上50%以下であると異物発生及び粘度変化が無く、好ましい形態であることが判る。
以上のように、本発明においては、保存安定性及び吐出安定性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット印刷用水性インクを提供することができる。また、このような水性インクを組み合わせた水性インクセットを用いることで、以上述べた印刷画像の彩度(C*)、光学濃度(O.D.値)、定着性を評価した場合、何れの評価でも普通紙のみならずインクジェット印刷に通常用いられる光沢メディアにおいても優れた印刷品質特性を示すことが判る。
以上より、従来のように一般的な分散剤(例えば水溶性高分子分散剤、界面活性剤)で分散させた場合は本発明で好ましいとする浸透剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため十分な印刷品質が得られない。しかし、本発明による顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にし、かつ該分散ポリマー中のベンゼン環の量が該分散ポリマーの20%以上70%以下である分散体を用いた場合、上記浸透剤を含んだ水性インクにおいても、普通紙・光沢メディア双方とも十分な発色性(彩度、光学濃度)や定着性を有しながら保存安定性や吐出安定性を確保した、インクジェット印刷に好適な水性インクセットが提供できる。更に、本発明の水性インクには顔料を用いるので、インクジェットプリンタ用インクの着色剤として従来多く用いられている染料を用いる場合より、耐水性や耐光性に優れた印刷物になるという効果を有する。更に、着色剤を被覆する分散ポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、更なる多彩な機能(印刷画像の更なる耐光性、耐ガス性、着色性、光沢性、定着性などの向上機能)を持たせることができるという効果も有する。従来、顔料を水系に分散させるために用いられてきた分散剤(例えば、水溶性高分子分散剤、界面活性剤等)を用いる場合は、基本的に顔料に対する分散剤の吸着力が弱く、その為に部分的な脱離が起こる。その結果、その脱離物や吸着されなかった分散剤によりインクの粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。特に本発明で好ましいとする浸透剤を用いると、その脱離が著しい。
なお、本発明はこれらの実施例に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
[実施例J]
次に本発明を実施例等によって詳細に説明する。しかし、本発明は斯かる実施例等により制限されるものではない。
本発明において示す着色剤の例として、以下の実施例及び比較例では一部の有機または無機顔料を用いた場合について述べているが、これらに限定されず本発明に好適な着色剤として例示した有機・無機顔料を用いることができる。<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
また、本発明の水性インクセットに用いる分散体においては、以下に例示した実験例の他に、顔料を反応性分散剤で分散し、次いで水中で触媒の存在下で乳化重合を行なうことによって得ることもできる。
(ブラック分散体J1の製造)
ブラック分散体J1は、着色剤としてカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管及び滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、スチレン30部、α−メチルスチレン10部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部及びアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して50%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%のブラック分散体J1とした。
この分散体の一部を取り出し、0.1mol/L濃度HClを添加して酸析させ、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いた13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対する芳香環の量は50%であった。
(ブラック分散体J2の製造)
ブラック分散体J2は、着色剤としてカーボンブラックであるラーベンC(商品名;コロンビアカーボン株式会社製、C.I.ピグメントブラック7)を20部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(ブラック分散体J3の製造)
ブラック分散体J3は、着色剤としてカーボンブラックであるピグメントブラックA(商品名;BASF社製、C.I.ピグメントブラック1)を46.7部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体J1の製造)
イエロー分散体J1は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー180を30部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散液J2の製造)
イエロー分散体J2は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー74(不溶性モノアゾ顔料)を46.7部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(イエロー分散体J3の製造)
イエロー分散体J3は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー128(縮合アゾ顔料)を80部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体J1の製造)
マゼンタ分散体J1は、着色剤としてC.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料)を30部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体J2の製造)
マゼンタ分散体J2は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド202(キナクリドン顔料)を46.7部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(マゼンタ分散体J3の製造)
マゼンタ分散体J3は、着色剤としてC.I.ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料)を80部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体J1の製造)
シアン分散体J1は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料)を30部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体J2の製造)
シアン分散体J2は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料)を20部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(シアン分散体J3の製造)
シアン分散体J3は、着色剤としてC.I.ピグメントブルー16(無金属フタロシアニン顔料)を13.3部用いた他は、ブラック分散体J1の製造と同様な組成と方法にて製造した。
(水性インクの調製例)
以下具体的に、本発明の水性インクセットに好適なインク組成の例を示す。分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は以下の各実施例、比較例で得た分散体及び水性インクを、顔料濃度が0.001〜0.01重量%(顔料により測定時の最適濃度が若干異なるため)になるように、イオン交換水で希釈し、その分散粒子の“20℃における平均粒径”を、粒度分布計(大塚電子社製ELS−800)で測定した値をnm単位で示す。なお、本実施例中の残量の水と示す中にはインクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05重量%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02重量%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を0.04重量%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
<組成例J1:濃ブラックインクJ1>
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を示す。
<組成例J2:淡ブラックインクJ1>
本組成例J2では、ブラック分散体J1の添加量を固形分濃度で3.0重量%とした他は前記組成例J1と同様の組成にて、淡ブラックインクJ1を調製した。
<組成例J3:濃ブラックインクJ2>
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
<組成例J4:濃ブラックインクJ3>
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J5:濃イエローインクJ1>
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J6:濃イエローインクJ2>
なお、上記組成中、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J7:濃イエローインクJ3>
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、DPGmBEはジプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J8:淡イエローインクJ1>
本組成例J8では、イエロー分散体J3の添加量を固形分濃度で2.0重量%とした他は前記組成例J7と同様な組成にて、淡イエローインクJ1を調製した。
<組成例J9:濃マゼンタインクJ1>
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J10:淡マゼンタインクJ1>
本組成例J10では、マゼンタ分散体J1の添加量を固形分濃度で4.0重量%とした他は前記組成例J9と同様な組成にて、淡マゼンタインクJ1を調製した。
<組成例J11:濃マゼンタインクJ2>
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。
<組成例J12:淡マゼンタインクJ2>
本組成例J12では、マゼンタ分散体J2の添加量を固形分濃度で3.0重量%とした他は前記組成例J11と同様な組成にて、淡マゼンタインクJ2を調製した。
<組成例J13:濃マゼンタインクJ3>
なお、上記組成中、オルフィンE1010及びオルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(いずれも商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J14:淡マゼンタインクJ3>
本組成例J14では、マゼンタ分散体J3の添加量を固形分濃度で2.0重量%とした他は前記組成例J15と同様な組成にて、淡マゼンタインクJ3を調製した。
<組成例J15:濃シアンインクJ1>
なお、上記組成中、DEGmBEはジエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J16:淡シアンインクJ1>
本組成例J16では、シアン分散体J1の添加量を固形分濃度で1.2重量%とした他は前記組成例J15と同様な組成にて、淡シアンインクJ1を調製した。
<組成例J17:濃シアンインクJ2>
なお、上記組成中、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、オルフィンSTGはアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、日信化学工業株式会社製)を、TEGmBEはトリエチレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J18:淡シアンインクJ2>
本組成例J18では、シアン分散体J2の添加量を固形分濃度で1.6重量%とした他は前記組成例J17と同様な組成にて、淡シアンインクJ2を調製した。
<組成例J19:濃シアンインクJ3>
なお、上記組成中、サーフィノール61はアセチレンアルコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を、PGmBEはプロピレングリコールモノブチルエーテルを示す。
<組成例J20:淡シアンインクJ3>
本組成例J20では、シアン分散体J3の添加量を固形分濃度で1.5重量%とした他は前記組成例J19と同様な組成にて、淡シアンインクJ3を調製した。
以上述べた組成例で調製した各色水性インクを組み合わせて水性インクセットとし、後述する印刷評価に用いた。以下に、水性インクセットの組み合わせを示す。
<実施例J−1:水性インクセットJ1>
本実施例J−1では、上記の組成例で調製した濃ブラックインクJ1、濃イエローインクJ2、濃マゼンタインクJ3、濃シアンインクJ2、淡マゼンタインクJ1、淡シアンインクJ1の6色のインクを組み合わせ、これを水性インクセットJ1として用いた。
<実施例J−2:水性インクセットJ2>
本実施例J−2では、上記の組成例で調製した濃ブラックインクJ2、濃イエローインクJ1、濃マゼンタインクJ1、濃シアンインクJ1、淡マゼンタインクJ2、淡シアンインクJ2の6色のインクを組み合わせ、これを水性インクセットJ2として用いた。
<実施例J−3:水性インクセットJ3>
本実施例J−3では、上記の組成例で調製した濃ブラックインクJ3、濃イエローインクJ3、濃マゼンタインクJ2、濃シアンインクJ3、淡マゼンタインクJ3、淡シアンインクJ3の6色のインクを組み合わせ、これを水性インクセットJ3として用いた。
<実施例J−4:水性インクセットJ4>
本実施例J−4では、上記の組成例で調製した濃ブラックインクJ1、濃イエローインクJ1、濃マゼンタインクJ1、濃シアンインクJ1、淡イエローインクJ1、淡マゼンタインクJ1、淡シアンインクJ1の7色のインクを組み合わせ、これを水性インクセットJ4として用いた。
<実施例J−5:水性インクセットJ5>
本実施例J−5では、上記の組成例で調製した濃ブラックインクJ2、濃イエローインクJ2、濃マゼンタインクJ2、濃シアンインクJ2、淡ブラックインクJ1、淡マゼンタインクJ2、淡シアンインクJ2の7色のインクを組み合わせ、これを水性インクセットJ5として用いた。
<実施例J−6:水性インクセットJ6>
本実施例J−6では、上記の組成例で調製した濃ブラックインクJ3、濃イエローインクJ3、濃マゼンタインクJ3、濃シアンインクJ3、淡ブラックインクJ1、淡イエローインクJ1、淡マゼンタインクJ3、淡シアンインクJ3の8色のインクを組み合わせ、これを水性インクセットJ6として用いた。
(比較例J)
<比較例J−1:水性インクセットJ7の調製>
比較例J−1では、着色剤としてブラック分散体J1に用いたカーボンブラック顔料を、分散剤として高分子分散剤と界面活性剤を用い、本比較例J−1の濃ブラックインクJ4を調製した。その組成を以下に示す。
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン株式会社製、C.I.ピグメントブラック7)を、非イオン系界面活性剤はノイゲンEA160(商品名、第一工業製薬株式会社製)を、高分子分散剤はソルスパース27000(商品名、アビシア社製)を示す。上記組成物をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって、比較例J−1による濃ブラックインク4を作成した。また、この比較例では、プロキセルXL−2、EDTA・2Na塩、ベンゾトリアゾールを添加しなかった。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントイエロー14(不溶性ジスアゾ顔料)に変更した他は同様の組成にて、本比較例J−1の濃イエローインクJ4を調製した。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントレッド81(塩基性染料レーキ顔料)に変更した他は同様の組成にて、本比較例J−1の濃マゼンタインクJ4を調製した。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントレッド81(塩基性染料レーキ顔料)に変更し、その添加量を2.0重量%とした他は同様の組成にて、本比較例J−1の淡マゼンタインクJ4を調製した。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントブルー2(塩基性染料レーキ顔料)に変更した他は同様の組成にて、本比較例J−1の濃シアンインクJ4を調製した。
また、上記組成中、カーボンブラック顔料をC.I.ピグメントブルー2(塩基性染料レーキ顔料)に変更し、その添加量を1.5重量%とした他は同様の組成にて、本比較例J−1の淡シアンインクJ4を調製した。
以上述べた組成で調製した濃ブラックインクJ4、濃イエローインクJ4、濃マゼンタインクJ4、濃シアンインクJ4、淡マゼンタインクJ4、及び淡シアンインクJ4の6色を組み合わせたインクセットを、本比較例J−1の水性インクセットJ7とする。
<比較例J−2>
比較例J−2では、特開2002−30235号公報に記載の分散体及び水性インクセットを製造した。この比較例では、分散体に使用する分散ポリマーとして水溶性樹脂を用いた。以下に分散体とそれを用いた水性インクの組成を示す。
<ブラック分散体J4の製造>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例J−2のブラック分散体J4を製造した。得られたブラック分散体J4の平均粒径は75nmであった。
なお、上記組成中、カーボンブラック顔料はラーベンC(商品名、コロンビアンカーボン株式会社製、C.I.ピグメントブラック7)を、スチレン−アクリル酸共重合体は重量平均分子量7,000、酸価150のものを用いた。
<濃ブラックインクJ5の調製>
上記組成及び方法で製造したブラック分散体J4を用いて、本比較例J−2の濃ブラックインクJ5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、アクリルエマルジョンはヨドゾールGD86B(商品名、日本NCS社製、ガラス転移温度:60℃、平均粒径:90nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、ブラック分散体J4に添加されているものとして、グリセリンが1.0重量%含まれている。
<淡ブラックインクJ2の調製>
上記組成及び方法で製造したブラック分散体J4を用いて、本比較例J−2の淡ブラックインクJ2を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、アクリルエマルジョンはヨドゾールGD86B(商品名、日本NCS社製、ガラス転移温度:60℃、平均粒径:90nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、ブラック分散体J4に添加されているものとして、グリセリンが0.2重量%含まれている。
<イエロー分散体J4の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例J−2のイエロー分散体J4を製造した。得られたイエロー分散体J4の平均粒径は112nmであった。
なお、上記組成中、スチレン−アクリル酸共重合体は重量平均分子量10,000、酸価120のものを用いた。
<濃イエローインクJ5の調製>
上記組成及び方法で製造したイエロー分散体J4を用いて、本比較例J−2の濃イエローインクJ5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、アクリルエマルジョンはヨドゾールAD53(商品名、日本NCS社製、ガラス転移温度:80℃、平均粒径:80nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、イエロー分散体J4に添加されているものとして、ジエチレングリコールが2.25重量%含まれている。
<淡イエローインクJ2の調製>
上記組成及び方法で製造したイエロー分散体J4を用いて、本比較例J−2の淡イエローインクJ2を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、アクリルエマルジョンはヨドゾールAD53(商品名、日本NCS社製、ガラス転移温度:80℃、平均粒径:80nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、イエロー分散体J4に添加されているものとして、ジエチレングリコールが0.45重量%含まれている。
<マゼンタ分散体J4の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例J−2のマゼンタ分散体J4を製造した。得られたマゼンタ分散体J4の平均粒径は100nmであった。
なお、上記組成中、ジョンクリル61Jはスチレン−アクリル酸共重合体(商品名、ジョンソンポリマー株式会社製、濃度:30.5重量%、重量平均分子量10,000、酸価195)を示す。
<濃マゼンタインクJ5の調製>
上記組成及び方法で製造したマゼンタ分散体J4を用いて、本比較例J−2の濃マゼンタインクJ5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、スチレン−アクリルエマルジョンはマイクロジェルE−1002(商品名、日本ペイント社製、ガラス転移温度:約60℃、平均粒径:100nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、マゼンタ分散体J4に添加されているものとして、ジエチレングリコールが2.25重量%含まれている。
<淡マゼンタインクJ5の調製>
上記組成及び方法で製造したマゼンタ分散体J4を用いて、本比較例J−2の淡マゼンタインクJ5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、スチレン−アクリルエマルジョンはマイクロジェルE−1002(商品名、日本ペイント社製、ガラス転移温度:約60℃、平均粒径:100nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、マゼンタ分散体J4に添加されているものとして、ジエチレングリコールが0.45重量%含まれている。
<シアン分散体J4の調製>
上記の添加物を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積比で60%充填したアイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、回転数5,000rpmの条件下で2時間分散し、本比較例J−2のシアン分散体J4を製造した。得られたシアン分散体J4の平均粒径は87nmであった。
なお、上記組成中、ジョンクリル61Jはスチレン−アクリル酸共重合体(商品名、ジョンソンポリマー株式会社製、濃度:30.5重量%、重量平均分子量10,000、酸価195)を示す。
<濃シアンインクJ5の調製>
上記組成及び方法で製造したシアン分散体J4を用いて、本比較例J−2の濃シアンインクJ5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、アクリルエマルジョンはヨドゾールGD86B(商品名、日本NCS社製、ガラス転移温度:60℃、平均粒径:90nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、シアン分散体J4に添加されているものとして、グリセリンが1.0重量%含まれている。
<淡シアンインクJ5の調製>
上記組成及び方法で製造したシアン分散体J4を用いて、本比較例J−2の淡シアンインクJ5を調製した。以下に組成を示す。
なお、上記組成中、アクリルエマルジョンはヨドゾールGD86B(商品名、日本NCS社製、ガラス転移温度:60℃、平均粒径:90nm)を、サーフィノール465はアセチレングリコール系界面活性剤(商品名、エアープロダクツ社(米国)製)を示す。また、上記組成以外に、シアン分散体J4に添加されているものとして、グリセリンが0.2重量%含まれている。
以上述べた材料と組成にて調製した濃ブラックインクJ5、淡ブラックインクJ2、濃イエローインクJ5、淡イエローインクJ2、濃マゼンタインクJ5、淡マゼンタインクJ5、濃シアンインクJ5、及び淡シアンインクJ5の8色を組み合わせて、本比較例J−2の水性インクセットJ8とする。
(水性インクセットの評価)
<▲1▼普通紙上及び光沢系メディア上での印刷品質の評価>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットを、改造したインクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上及び光沢系メディアに人物のフルカラー画像を印刷して、その印刷画像のにじみ及び粒状性による印刷品質を評価した。この評価で用いた普通紙はヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている普通の紙で(1)Conqueror紙、(2)Reymat紙、(3)Mode Copy紙、(4)Rapid Copy紙、(5)Xerox P紙、(6)Xerox 4024紙、(7)Xerox 10紙、(8)Neenah Bond紙、(9)Ricopy 6200紙及び(10)Hammer mill Copyplus紙であり、光沢系メディアはヨーロッパ、アメリカ及び日本の市販されている光沢系メディアで、(11)フォトプリント紙2、(12)MC写真用紙((11)、(12)とも商品名、セイコーエプソン株式会社製)、(13)Ink Jet Paper Photo Glossy Paper Super Photo Grade、(14)Ink Jet Paper Photo Paper High Grade((13)、(14)とも商品名、富士写真フィルム株式会社製)、(15)Ink Jet photographic Quality Paper photo Weight(商品名、コダック社製)、(16)Photolike QP QP20A4GH(商品名、コニカ株式会社製)である。評価は目視で行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表42に示した。なお、表42中の印刷媒体種に示した括弧数字は上記の普通紙、光沢系メディアの名称に付した括弧数字と同一である。
評価A:全ての画像部分でにじみがわからない。人物の肌の影部分が滑らかに見える。
B:二色以上インクが重なる画像部分でわずかににじみが認められる。人物の肌の影部分にわずかに粒状感がある(実用レベル)。
C:単色画像部分でわずかににじみが認められる。人物の肌の影部分に粒状感がある。
D:単色画像部分においてもにじみがひどい。人物の肌の影部分において粒状感が著しい。
表42の結果から明らかなように、比較例J−1の水性インクセットJ7及び比較例J−2の水性インクセットJ8を用いて印刷した画像は特に普通紙上においてにじみが多く粒状性に劣っていたが、実施例J−1〜6の水性インクセットJ1〜J6を用いて印刷した画像は普通紙・光沢系メディアに関係なくにじみが少なかった。この中でも特に、水性インクセットJ5あるいはJ6を用いて印刷した画像は、普通紙・光沢系メディアに関係なくグレー部分の階調が滑らかでにじみ・粒状感のない鮮明な画像が得られた。
以上のように、本発明においては、普通紙・光沢系メディアに関係なく、鮮明でにじみが少ない、高品質で実用性の高いインクジェット記録用水性インクを提供することができる。
<▲2▼光沢系メディア上での光沢性の評価>
上記実施例及び比較例で作成した水性インクセットを、改造したインクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、光沢系メディア上に720dpi×720dpiの解像度で、5%から100%まで5%刻みでdutyを変えたベタパターンを印刷して、その印刷物の光沢性を評価した。この評価で用いた光沢系メディアは、<▲1▼普通紙上及び光沢系メディア上での印刷品質の評価>で用いた光沢系メディア(番号(11)〜(16))である。評価は目視で行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表43に示した。なお、表43中の印刷媒体種に示した括弧数字は、表42と同様である。
評価A:全てのベタパターンで光沢性が認められる。
B:100%dutyの印字部分がわずかに光沢性に欠けるが、実用上問題ないレベル。
C:50%duty以上の印字部分が光沢性に欠ける。
D:全てのベタパターンで光沢性に欠ける。
表43の結果から明らかなように、比較例J−1の水性インクセットJ7及び比較例J−2の水性インクセットJ8は光沢性に欠け、更に印刷濃度も低かった。それに対して、実施例J−1〜6の水性インクセットJ1〜J6は、濃度が濃く鮮明で光沢性に優れていた。
以上のように、本発明においては、インクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢系メディアにおいても、光沢性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット記録に好適な水性インクセットを提供することができる。
<▲3▼印刷物の定着性の評価>
上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットを、改造したインクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載し、普通紙上及び光沢系メディア上に文字印刷を行ない、その印刷物の定着性を評価した。この評価で用いた普通紙及び光沢系メディアは、<▲1▼普通紙上及び光沢系メディア上での印刷品質の評価>で使用したものと同一なものを用いた。評価は、印刷後一時間20〜25℃/40〜60%RH下で乾燥させた印刷物を用い、指で擦った後の文字のずれ・かすれ状態を目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表44に示した。なお、表44中の印刷媒体種に示した括弧数字は、表42と同様である。
評価A:ずれ、かすれが認められない。
B:わずかにずれが認められるが、実用上問題ないレベル。
C:ずれ、あるいはかすれが認められる。
D:ずれ、かすれが甚だしく、文字が判読し難い。
表44の結果から明らかなように、比較例J−1の水性インクセットJ7及び比較例J−2の水性インクセットJ8は特に光沢系メディアにおいて定着性に欠けていた。それに対して、実施例J−1〜6の水性インクセットJ1〜J6は定着性が普通紙、光沢系メディアとも良好であった。
以上のように、本発明においては、普通紙のみならずインクジェットに通常用いられる光沢紙等の光沢系メディアにおいても、定着性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット記録用水性インクセットを提供することができる。
<▲4▼水性インクの保存安定性及び吐出安定性の評価>
上記実施例中の組成例及び比較例で調製した水性インクを、ガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃で1週間放置し、放置前後でのインクの異物発生量、物性値(粘度、表面張力)について調べた。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表45に示した。
評価A:60℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が、0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
また、上記実施例及び比較例で調製した水性インクセットの吐出安定性を評価した。評価方法は改造したインクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に上記水性インクセットを各々搭載して、A4版Xerox P紙に100ページ連続印刷した時の印刷乱れを目視で観察する事により行なった。以下に評価判断基準を示す。また、評価結果は表45に示した。
評価A:どの水性インクにおいても全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られた水性インクがあったが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある水性インクがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した水性インクがある。
表45の結果から明らかなように、比較例J−1及びJ−2の水性インクセットに用いた水性インクは保存安定性及び吐出安定性に劣っていた。それに対して、実施例J−1〜6の水性インクセットに用いた水性インクは保存安定性が異物、物性値とも良好であり、吐出安定性も良好であった。
一方、実施例中の組成例J1に示したインク組成で、ブラック分散体J1を比較例J−2のブラック分散体J4に変えて同様に実験を行なったところ、表面張力の変化は少なかった(上記評価基準でB)が、異物が多量に発生(上記評価基準でD)して濾過性が低下し、またインクが増粘(上記評価基準でD)して、安定した保存性は得られなかった。
以上述べた評価の結果から判るように、本発明による分散体を用いた水性インクセットは普通紙、光沢系メディアに関わらず良好な印刷品質を示し、また吐出安定性、保存性安定性に優れるインクジェット記録に好適な水性インクセットになることが判る。
<▲5▼水性インクの安定性の評価>
ブラック分散体J1の製造に用いた分散ポリマーにおいて、芳香環を含むモノマーであるスチレン及びα−メチルスチレンと、その他のモノマーであるブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリル酸との比率を変えることで分散ポリマー中の芳香環の量を変える重合を行なった。そしてこの分散ポリマーを用いてブラック分散体J5〜J12を製造し、実施例中の組成例J1と同様の組成と方法にて水性インクを調製した。ブラック分散体J5〜J12においては、着色剤として用いたカーボンブラック顔料のモナーク880(商品名、キャボット製、C.I.ピグメントブラック7)と分散ポリマーの重量比をブラック分散体J1と同様にした。以下にブラック分散体J5〜J12の組成を示す。また、ブラック分散体J1と同様な方法にて分散ポリマー中の芳香環量を測定した結果を、分散体名の横に示した。
(ブラック分散体J5;分散ポリマー中の芳香環量:0重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:0部
α−メチルスチレン:0部
ブチルメタクリレート:46部
ラウリルメタクリレート:30.7部
アクリル酸:6.1部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:0部
アクリル酸:46部
ブチルメタクリレート:153.3部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J6;分散ポリマー中の芳香環量:10重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:6部
α−メチルスチレン:2.3部
ブチルメタクリレート:39.7部
ラウリルメタクリレート:26.5部
アクリル酸:5.3部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:30部
アクリル酸:39.7部
ブチルメタクリレート:132.4部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J7;分散ポリマー中の芳香環量:20重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:12部
α−メチルスチレン:4.6部
ブチルメタクリレート:33.5部
ラウリルメタクリレート:22.3部
アクリル酸:4.5部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:60部
アクリル酸:33.5部
ブチルメタクリレート:111.7部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J8;分散ポリマー中の芳香環量:25重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:15部
α−メチルスチレン:5.8部
ブチルメタクリレート:30.4部
ラウリルメタクリレート:20.2部
アクリル酸:4.1部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:75部
アクリル酸:30.4部
ブチルメタクリレート:101.2部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J9;分散ポリマー中の芳香環量:30重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:18部
α−メチルスチレン:6.9部
ブチルメタクリレート:27.2部
ラウリルメタクリレート:18.2部
アクリル酸:3.6部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:90部
アクリル酸:27.2部
ブチルメタクリレート:90.8部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J10;分散ポリマー中の芳香環量:60重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:36部
α−メチルスチレン:13.8部
ブチルメタクリレート:8.5部
ラウリルメタクリレート:5.7部
アクリル酸:1.1部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:180部
アクリル酸:8.5部
ブチルメタクリレート:28.4部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J11;分散ポリマー中の芳香環量:70重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:42部
α−メチルスチレン:16.1部
ブチルメタクリレート:2.3部
ラウリルメタクリレート:1.5部
アクリル酸:0.3部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:210部
アクリル酸:2.3部
ブチルメタクリレート:7.6部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
(ブラック分散体J12;分散ポリマー中の芳香環量:73重量%)
モナーク880(商品名;キャボット社製、C.I.ピグメントブラック7):30部
スチレン:67部
α−メチルスチレン:0部
ブチルメタクリレート:0部
ラウリルメタクリレート:0部
アクリル酸:0部
t−ドデシルメルカプタン:0.3部
スチレン:215部
アクリル酸:0部
ブチルメタクリレート:0部
t−ドデシルメルカプタン:1部
アゾビスイソブチロニトリル:3部
以上述べた方法と材料にて調製した分散体を用いた水性インクについて、保存安定性評価を行なった。評価方法はインクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃および70℃/1週間放置し、放置前後でのインクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。評価判断基準は上記の<▲4▼水性インクの保存安定性及び吐出安定性の評価>に示した保存安定性評価と同様に行なった。その評価結果を表46に示した。
表46の結果から、本発明の分散ポリマー中の芳香環量が20重量%〜70重量%の範囲の場合に保存安定性が確保できることが判る。さらに、25重量%〜50重量%の範囲であると異物発生及び粘度変化が無く、好ましい形態であることが判る。
以上のように、本発明においては、保存安定性に優れた、高品質で実用性の高いインクジェット記録用水性インクを提供することができる。また、このような水性インクを組み合わせた水性インクセットを用いることで、以上述べた印刷物の印刷品質(にじみ、粒状性)、定着性を評価した場合、何れの評価でも普通紙のみならずインクジェット記録に通常用いられる光沢系メディアにおいても優れた印刷物特性を示すことが判る。
以上より、従来のように一般的な分散剤(例えば水溶性高分子分散剤、界面活性剤)で分散させた場合は本発明で好ましいとする浸透剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため充分な印刷品質が得られない。しかし、本発明による顔料を分散ポリマーで包含して水に分散可能にし、かつ該分散ポリマー中のベンゼン環の量が該分散ポリマーの20重量%〜70重量%の範囲である分散体を用いた場合、上記浸透剤を含んだ水性インクにおいても、普通紙・光沢系メディア双方とも充分な印刷品質や定着性を有しながら保存安定性や吐出安定性を確保した、インクジェット記録に好適な水性インクセットが提供できる。更に、本発明の水性インクには顔料を用いるので、インクジェットプリンタ用インクの着色剤として従来多く用いられている染料を用いる場合より、耐水性や耐光性に優れた印刷物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆する分散ポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、さらなる多彩な機能(印刷物の更なる耐光性、耐ガス性、着色性、光沢性、定着性などの向上機能)を持たせることができるという効果も有する。従来、顔料を水系に分散させるために用いられてきた分散剤(例えば、水溶性高分子分散剤、界面活性剤等)を用いる場合は、基本的に顔料に対する分散剤の吸着力が弱く、その為に部分的な脱離が起こる。その結果、その脱離物や吸着されなかった分散剤によりインクの粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され充分な発色を得ることが難しい。特に本発明で好ましいとする浸透剤を用いると、その脱離が著しい。
なお、本発明はこれらの実施例に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
[実施例K]
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施例で得られた分散液の物性値(表面張力、平均粒径)は、以下の方法で測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た顔料分散液の20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た、顔料分散液を顔料濃度が0.001〜0.01重量%に(顔料により測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。粒径は<>中にそれぞれの平均粒径をnm(ナノメートル)単位で示す。
本実施例においては、顔料を反応性分散剤で包含し、水中で触媒の存在下で乳化重合を実施して分散体を製造する。続いて、製造した分散体に中和剤と分散促進剤を添加して水中で分散して各分散液を得た。
以下に本発明による分散液の製造方法を具体的に説明する。
・分散体の製造工程
(分散体K1)
分散体K1の製造にはカーボンブラック顔料であるモナーク880(キャボット社製)を用いた。
攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、ろ別することで分散体K1を得た。
・分散液の製造(分散工程)
(分散液K1)
前記分散体K1を15部、分散促進剤としてサーフィノール485(エアープロダクツ社製)を1.5部、中和剤として水酸化ナトリウム0.5部、イオン交換水82.5部を加えペイントシェーカー(ガラスビース使用;ビーズ充填率=60%;メディア径=1.7mm)を使用して分散体の平均粒子径(二次粒子径)が95nmになるまで分散して分散液K1(表面張力;33mN/m)を得た。
この分散液K1の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対するベンゼン環の量は36%であった。
上記分散液K1と同様な手法で分散液K2〜K4を得た。分散液K2は有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメンブルー15:4)を用い、分散液K3は有機顔料であるジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用い、分散液K4は有機顔料であるキナクリドン顔料(C.I.ピグメントバイオレット19)を用いた。表47にこれらの分散液の製造に使用した分散促進剤と中和剤及びその添加割合を示す。
次に前記分散液K1とは異なる製造方法を用いた分散液K5の製造について説明する。
・分散体の製造
(分散体K5)
分散体K5の製造にカーボンブラック顔料であるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を用いた。
超音波発生機、攪拌機、滴下装置、水冷式還流コンデンサー、および温度調整器を備えた反応容器にカーボンブラック顔料25部(以下単に部と示すものは重量部を示す)と、重合性界面活性剤である旭電化株式会社製のアデカリアソープSE−10Nを5部とをイオン交換水180部中に加えて超音波を4時間かけた。
次に、スチレン5部とα−メチルスチレン1.6部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5部とアデカリアソープSE−10Nを3部さらに加えて60℃で8時間重合反応を行ない、得られた溶液を遠心ろ過してポリマーで包含された顔料を取り出し、さらに0.4μmのメンブレンイルターで濾過して粗大粒子を除去した。
次にポリマーで包含された前記顔料溶液をホモジナイザーでほぐした後、反応容器に、さらにイオン交換水27部とラウリル硫酸ナトリウム0.05部を添加し、イオン交換水100部と重合開始剤として過流酸カリウムを0.5部入れ、窒素雰囲気70℃を保持した。次いで、スチレン25部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1部、ブチルメタクリレート15部、トリエチレングリコールメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れた混合溶液を、滴下し反応させた後に、ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトンと水の一部を留去した後、ろ別することで分散体K5を得た。
・分散液の製造(分散工程)
(分散液K5)
前記分散体K5を15部、分散促進剤としてアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)を0.5部とトリエチレングリコールモノブチルエーテルを2.5部、中和剤として水酸化ナトリウムを0.5部、イオン交換水81部を加えペイントシェーカー(ガラスビース使用;ビーズ充填率=60%;メディア径=1.7mm)を使用して分散体の平均粒子径(二次粒子径)が100nmになるまで分散して分散液K5(表面張力;30mN/m)を得た。本製造ではアセチレノールEHとTEGmBEの二種類の分散促進剤を使用した。
この分散液K5の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して酸析し、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、DMSO−d6を用いたC13−NMRおよびH1−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)で測定したときの、この分散ポリマー全重量に対するベンゼン環の量は40%である。
上記分散液K5と同様な手法で分散液K6〜K8を得た。分散液K6はフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメントグリーン7)を用い、分散液K7は縮合アゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー128)を用い、分散液K8はベンズイミダゾロンオレンジ顔料(C.I.ピグメンオレンジ36)を用いた。表48にこれらの分散液の製造に使用した分散促進剤と中和剤及びその添加割合を示す。
(インクジェットインクの調製例)
以下具体的に、本発明によるインクジェット記録用インクに好適な組成の例を示す。各分散液の添加量はその固形分濃度(顔料とそれを取り巻く分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。<>は顔料の粒径をnm単位で示す。尚、本実施例中の残量の水と示す中にはインクの腐食防止のためプロキセルXL−2を0.05%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を0.01%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(実施例K−1)
実施例K−1のインク組成を以下に示す。
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
(実施例K−2)
実施例K−2のインク組成を以下に示す。
サーフィノールTG(アセチレングリコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(実施例K−3)
実施例K−3のインク組成を以下に示す。
オルフィンSTG(アセチレングリコール類:日信化学工業株式会社製)
(実施例K−4)
実施例K−4のインク組成を以下に示す。
サーフィノール104(アセチレングリコール類:エアープロダクツ(米国)製)
(実施例K−5)
実施例K−5のインク組成を以下に示す。
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
(実施例K−6)
実施例K−6のインク組成を以下に示す。
(実施例K−7)
実施例K−7のインク組成を以下に示す。
(実施例K−8)
実施例K−8のインク組成を以下に示す。
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
(比較例K−1)
比較例K−1では実施例K−1と同様にカーボンブラック顔料であるラーベンC(コロンビアンカーボン株式会社製)を、分散剤としてソルスパース27000(アビシア製)を使用して分散した。
ラーベンCを15部と、ソルスパース27000(アビシア製)を4部、ジエタノールアミン4部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水76.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例K−1で使用する分散液K9とした。
比較例K−1のインク組成を以下に示す。
非イオン系界面活性剤:ノイゲンEA160(第一工業製薬株式会社製)
(比較例K−2)
比較例K−2では着色剤として酸性染料であるアシッドブルー9を使用した。
比較例K−2のインク組成を以下に示す。
DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
(比較例K−3)
比較例K−3では着色剤として直接染料であるダイレクトブラック154を使用した。
比較例K−3のインク組成を以下に示す。
非イオン系界面活性剤:エパン450(第一工業製薬株式会社製)
表49に印字の評価結果として文字を印字したときのにじみの評価結果を示す。表49中Aは極めてよい、Bはよい、Cは悪い、Dは極めて悪いということを示す。
表49の結果から明らかなように比較例で用いるようなインクは印字品質が悪く、本発明で用いるインクジェット記録用インクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
尚、これらの印字評価の測定はセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターPM−900Cを用いることによって行なった。これらの評価に用いた紙は、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、Xerox R紙である。
以上のように、本発明においては印字画像の紙等の被記録体に対するにじみが低減される高品質で実用性の高いインクジェット記録用インクを提供することができる。
また、実施例K−1〜8のインクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃/1週間で放置し、放置前後でのインクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)について調べた。
その結果いずれのインクも異物の発生、物性値の変化が殆ど無く、良好な保存安定性であった。
一方、実施例K−1の組成で着色剤を比較例K−1の顔料に変えて同様に実験を行なったところ表面張力の変化は少なかったが、異物が発生して濾過性が低下し、増粘現象が生じ、吐出の安定性は得られなかった。
また、実施例K−1の組成においてTEGmBEとE1010の代りに本発明でよいとする他の添加剤(アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、ポリシロキサン類、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いて作成したインクと比較例K−1で示すインクに本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、ポリシロキサン類、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を添加した場合について(表50の実施例K−9〜18)、同様に60℃/1週間で放置し、放置後のインクの発生異物、物性値(粘度、表面張力)および吐出安定性について調べた結果を表50に示す。異物発生量は60℃放置後の異物量/初期の異物量、粘度は60℃放置後の粘度/初期の粘度、表面張力は60℃放置後表面張力/初期の表面張力の値を示し、吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターPM−900Cを用いて、A4版XeroxP紙に100ページ連続印字して全く印字乱れなど生じないものをA、10個所未満印字乱れのあるものをB、10個所以上100個所未満印字乱れのあるものをC、100個所以上印字乱れのあるものをDとする。
表49と表50の結果からわかるように、本発明になる分散体を用いたインクジェット記録用インクは良好な印字品質であり、吐出安定性、保存性安定性に優れるインクジェット記録用インクになることがわかる。また、実施例K−2〜8についても同様に添加剤を変えて試験を行なったところ、ほぼ同様な結果がえられた。また、実施例K−1および実施例K−5に用いた分散ポリマーのベンゼン環の量を変える重合を行なって、ベンゼン環の量と保存安定性の関係をもとめた結果を表51に示す。保存安定性は実施例K−1〜8のインクをガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、それぞれ60℃および70℃/1週間放置し、放置前後でのインクの発生異物、物性値(粘度)について調べた。異物発生量は60℃および70℃放置後の異物量/初期の異物量、粘度は60℃および70℃放置後の粘度/初期の粘度の値を示す。
表51の結果から分かるように本発明分散ポリマー中のベンゼン環の量が20%以上70%以下、好ましくは25%以上50%以下であることが分かる。
以上より、従来のように一般的な分散剤で分散させた場合は本発明でよいとする添加剤(アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、ポリシロキサン類、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質)を用いることが難しく、そのため十分な印字品質が得られない、しかし、本発明になるような顔料をポリマーで包含して水に分散可能にしたマクロカプセルであり、そのポリマー中のベンゼン環の量がそのポリマーの20重量%以上70%以下であることで十分な発色性を有しながら保存安定性や吐出安定性が得られるインクジェット記録用インクになる。さらに、顔料を用いるので耐水性は通常の染料を用いる場合(例えば比較例K−2および3)より優れた印字物になるという効果を有する。さらに、着色剤を被覆するポリマーの機能を重合モノマーやその他の反応剤によって自由に変えられるので、多彩な機能(耐光性、耐ガス、着色性、光沢性、定着性など)を持たせることができるという効果も有する。従来のように通常の分散剤を用いる場合は分散剤では基本的に顔料に吸着している分散剤の吸着力が弱く部分的な脱離が起こり、その脱離物や吸着されなかった分散剤により粘度が上昇するため、着色剤の添加量が制限され十分な発色を得ることが難しい。
[実施例L]
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の多価のカチオン量、及び表面張力の測定方法)
本実施例で得られた各測定値(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の多価のカチオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散ポリマー溶液の一部を取り出し、溶媒成分を留去してポリマー成分のみを取り出し、DMSO−d6に溶解させ、13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)を使用して、ポリマー中の芳香環量を測定した。
「顔料:ポリマー比の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散液の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して分散体のみを酸析後、乾燥重量を測定した。次に、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、乾燥重量を測定することで、顔料:ポリマーの重量比を算出した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。
「分散体中の多価のカチオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し遠心分離処理によりインクの溶媒成分と固形分である分散体に分離した。遠心条件は、2500G×60分とした。
得られた分散体を石英皿に採り、捕捉剤を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解し、希硝酸に溶解してICP発光分析法(ICPS−8000;島津製作所株式会社製)にて分散体中の多価のカチオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
<実施例L−1>
(1)分散液の製造:分散液L1
本実施例L−1に用いる分散液L1の製造には無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、メチルエチルケトン15部、スチレン22部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン100部、アクリル酸16部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記裁の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は57%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体L2(カーボンブラック顔料を芳香環量が57%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L1を得た。
表52に分散液L1に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−1では、前記実施例L−1(1)で得た分散液L1、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L1の含有量が8.0%となるように分散液L1を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L1の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−1のインク組成中の「残量」として添加されるイオン交換水には、インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、及びインク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を、それぞれインク全重量に対して0.01%、0.01%、0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L1<120> 8.0%
オルフィンE1010 0.5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.5%
ジエチレングリコール 3.0%
グリセリン 11.5%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリプロパノールアミン 0.3%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−1(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は387ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
印字評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用したインクジェットヘッドによりインクを吐出するインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−1(2)で調整したインクの印字評価を実施した。
評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙として(a)Conqueror紙、(b)Reymat紙、(c)Mode Copy紙、(d)Rapid Copy紙、(e)Xerox P紙、(f)Xerox 4024紙、(g)Xerox 10紙、(h)Neenha Bond紙、(i)Ricopy 6200紙、及び(j)Hammer mill Copy Plus紙を使用した。
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全てのポイントの文字において、にじみがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかににじみが認められる(実用レベル)。
C:にじみのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:にじみが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
印字評価の結果を表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−1(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、A4版Xerox P紙に200ページ連続印字して、印刷の乱れ具合を観察することで吐出安定性を評価した
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
吐出安定性評価の結果を表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−1(2)で調整したインクをガラス瓶に入れ密閉後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後におけるインクの発生異物と物性値変動(粘度、表面張力)について評価した。
なお、評価は以下の評価基準に基づいておこなった。
A:60℃あるいは−20℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
保存安定性評価結果を表54に示す。
<実施例L−2>
(1)分散液の製造:分散液L2
本実施例L−2に用いる分散液L2の製造には、有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、メタクリル酸3部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン20部、メルカプトエタノール1.0部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は40%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体L2(不溶性モノアゾイエロー顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L2を得た。
表52に分散液L2に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−2では、前記実施例L−2(1)で得た分散液L2、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール440(エアープロダクツ株式会社製)とオルフィンSTG(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L2の含有量が7.0%となるように分散液L2を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L2の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−2のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L2<120> 7.0%
サーフィノール440 0.2%
オルフィンSTG 0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
2−ピロリドン 3.0%
グリセリン 13.5%
トリメチロールエタン 5.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−2(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は272ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−2(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−2(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。(6)保存安定性評価
前記実施例L−2(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<実施例L−3>
(1)分散液の製造:分散液L3
本実施例L−3に用いる分散液L3の製造には、有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン10部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)5部、n−ドデシルメタクリレート3.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)25部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、n−ドデシルメタクリレート5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)30部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は28%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)25部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体L3(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が28%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L3を得た。
表52に分散液L3に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−3では、前記実施例L−3(1)で得た分散液L3、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104PG50(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L3の含有量が7.5%となるように分散液L3を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L3の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−3のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L3<140> 7.5%
オルフィンE1010 0.1%
サーフィノール104PG50 0.4%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ヘキサンジオール 2.5%
トリエチレングリコール 2.0%
2−ピロリドン 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−3(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は527ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−3(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−3(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−3(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<実施例L−4>
(1)分散液の製造:分散液L4
本実施例L−4に用いる分散液L4の製造には、有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、ラウリルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)20部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は45%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)40部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体L4(フタロシアニンブルー顔料を芳香環量が45%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L4を得た。
表52に分散液L4に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−4では、前記実施例L−4(1)で得た分散液L4、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L4の含有量が8.0%となるように分散液L4を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L4の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−4のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L4<100> 8.0%
アセチレノールE100 0.5%
プロピレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ヘキサンジオール 1.0%
トリエチレングリコール 3.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 5.2%
トリプロパノールアミン 0.2%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−4(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は172ppmであった。なお、本実施例では銅イオンが9300ppm検出されたが、銅イオンは顔料分子骨格を形成しているものであり、インク中に溶出することは無いので、本発明による分散体中に含有される多価のカチオンには該当しない。従って、上記多価のカチオンの総量には加えない。測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−4(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−4(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−4(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<実施例L−5>
(1)分散液の製造:分散液L5
本実施例L−5に用いる分散液L5の製造には、ペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)を用いた。それ以外は、前記実施例L−1(1)に記載と同様の方法により、分散体L5(ペリノンオレンジ顔料を芳香環量が56%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液5を得た。
表52に分散液L5に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−5では、前記実施例L−5(1)で得た分散液L5、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール485とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。なお、インクの調整では分散体L5の含有量が10.0%となるように分散液L5を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L5の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−5のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L5<150> 10.0%
サーフィノール485 0.5%
サーフィノールTG 0.2%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
グリセリン 11.2%
トレハロース 5.8%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−5(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は610ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−5(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−5(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−5(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<実施例L−6>
(1)分散液の製造:分散液L6
本実施例L−6に用いる分散液L6の製造には、ベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用いた。それ以外は、前記実施例L−1(1)に記載と同様の方法により、分散体L6(ベンズイミダゾロンブラウン顔料を芳香環量が69%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L6を得た。
表52に分散液L6に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−6では、前記実施例L−6(1)で得た分散液L6、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール420、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L6の含有量が5.0%となるように分散液L6を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L6の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−6のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L6<140> 5.0%
サーフィノール420 0.1%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,6−ヘキサンジオール 2.0%
テトラエチレングリコール 5.5%
グリセリン 13.5%
トリエタノールアミン 0.5%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−6(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は797ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−6(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−6(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−6(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<実施例L−7>
(1)分散液の製造:分散液L7
本実施例L−7に用いる分散液L7の製造には、有機顔料であるとキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を用いた。それ以外は、前記実施例L−1(1)に記載と同様の方法により、分散体L7(キナクリドンバイオレット顔料を芳香環量が21%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L7を得た。
表52に分散液L7に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−7では、前記実施例L−7(1)で得た分散液L7、アセチレンアルコール系界面活性剤であるサーフィノール61とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L7の含有量が6.0%となるように分散液L7を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L7の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−7のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L7<120> 6.0%
サーフィノール61 0.3%
サーフィノールTG 0.1%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
ジエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 12.6%
トリメチロールエタン 7.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−7(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は742ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−7(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−7(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−7(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<実施例L−8>
(1)分散液の製造:分散液L8
本実施例L−8に用いる分散液L8の製造には、有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用いた。それ以外は、前記実施例L−1(1)に記載と同様の方法により、分散体L8(フタロシアニングリーン顔料を芳香環量が30%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L8を得た。
表52に分散液L8に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例L−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本実施例L−8では、前記実施例L−8(1)で得た分散液L8、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L8の含有量が8.0%となるように分散液L8を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L8の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例L−8のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L8<110> 8.0%
オルフィンE1010 0.3%
サーフィノール104 0.1%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ペンタンジオール 3.0%
トリエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記実施例L−8(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は588ppmであった。なお、本実施例では銅イオンが8600ppm検出されたが、銅イオンは顔料分子骨格を形成しているものであり、インク中に溶出することは無いので本発明による分散体中に含有される多価のカチオンには該当しない。
従って、上記多価のカチオンの総量には加えない。測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例L−8(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例L−8(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例L−8(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<比較例L−1>
(1)分散液の製造:分散液L9
本比較例L−1では、前記実施例L−3(1)有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。但し、本比較例で使用した顔料は前述の顔料の粉砕処理において、意図的に通常の倍以上の時間をかけて粉砕処理を行った。それ以外は、前記実施例L−3(1)に記載と同様の方法により、分散体L9(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が20%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液L9を得た。
表52に分散液L9に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)インクの調整
本比較例L−1では、前記比較例L−1(1)で得た分散液L9を使用してインクを調整した。具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L9の含有量が8.0%となるように分散液L9を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例L−8のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L9<140> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記比較例L−1(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は1055ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例L−1(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例L−1(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例L−1(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
<比較例L−2>
(1)分散液の製造:分散液L10
本比較例では有機顔料であるキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)をソルスパース12000(アビシア株式会社製)を使用して分散した。
キナクリドンバイオレット顔料を15部と、ソルスパース12000を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって分散体L10を20%(顔料:15%、分散樹脂:5%)含有する比較例L−2で使用する分散液L10を得た。
(2)インクの調整
本比較例L−2では、前記比較例L−2(1)で得た分散液L10を使用してインクを調整した。本比較例の具体的な組成を以下に示す。
なお、インクの調整では分散体L10の含有量が8.0%となるように分散液L10を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体L10の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例L−2のインク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例L−1(2)と同様に、インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体L10<150> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の多価のカチオン量の測定
前記比較例L−2(2)で調整したインクを、前記「分散体中の多価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のカチオンの総量は1393ppmであった。なお、測定結果の詳細を表54に示す。
(4)印字評価
前記実施例L−1(4)と同様にインクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例L−2(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例L−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表53に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例L−2(4)と同様のプリンタ、及びインクを使用して、前記実施例L−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表54に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例L−2(2)で調整したインクについて、前記実施例L−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例L−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表54に示す。
表52、表53の結果から明らかなように比較例で用いるようなインクは印字品質が悪く、本発明によるインクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明の水性インクを用いることにより、いずれの紙種に対してもにじみが低減される高品質な印字記録を得ることができる。
表54の結果から明らかなように、インクの分散体中の多価のカチオン量を800ppm以下抑えた本発明による水性インクは優れた吐出安定性、保存性安定性を確保し、表53より印字品質も優れていることがわかる。また、多価のカチオン量が550ppm以下の場合は格段に吐出安定性、保存性安定性が優れたものになることがわかる。一方、比較例にあるように多価のカチオン量が1000ppmを越えた場合は、印字品質、吐出安定性、保存安定性ともに、実用レベルに至らないことがわかる。
以上の結果から分かるように、本発明による水性インクを用いることで良好な印字品質、吐出安定性を得ることができ、しかも保存性安定性についても優れていることがわかる。
[実施例M]
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の多価のアニオン量、及び表面張力の測定方法)
本実施例で得られた各測定値(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の多価のアニオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散ポリマー溶液の一部を取り出し、溶媒成分を留去してポリマー成分のみを取り出し、DMSO−d6に溶解させ、13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)を使用して、ポリマー中の芳香環量を測定した。
「顔料:ポリマー比の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散液の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して分散体のみを酸析後、乾燥重量を測定した。次に、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、乾燥重量を測定することで、顔料:ポリマーの重量比を算出した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(水性インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。
「分散体中の多価のアニオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し遠心分離処理により水性インクの溶媒成分と固形分である分散体に分離した。遠心条件は、2500G×60分とした。
得られた分散体を石英皿に採り、捕捉剤を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解し、希硝酸に溶解してICP発光分析法(ICPS−8000;島津製作所株式会社製)にて分散体中の多価のアニオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
<実施例M−1>
(1)分散液の製造:分散液M1
本実施例M−1に用いる分散液M1の製造には無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、メチルエチルケトン15部、スチレン22部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン100部、アクリル酸16部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は57%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体M1(カーボンブラック顔料を芳香環量が57%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M1を得た。
表55に分散液M1に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−1では、前記実施例M−1(1)で得た分散液M1、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M1の含有量が8.0%となるように分散液M1を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M1の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−1の水性インク組成中の「残量」として添加されるイオン交換水には、水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、及び水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を、それぞれ水性インク全重量に対して0.01%、0.01%、0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M1<120> 8.0%
オルフィンE1010 0.5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.5%
ジエチレングリコール 3.0%
グリセリン 11.5%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリプロパノールアミン 0.3%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−1(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は402ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
印字評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用した水性インクジェットヘッドにより水性インクを吐出する水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−1(2)で調整した水性インクの印字評価を実施した。
評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙として(a)Conqueror紙、(b)Reymat紙、(c)Mode Copy紙、(d)Rapid Copy紙、(e)Xerox P紙、(f)Xerox 4024紙、(g)Xerox 10紙、(h)Neenha Bond紙、(i)Ricopy 6200紙、及び(j)Hammer mill Copy Plus紙を使用した。
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全てのポイントの文字において、にじみがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかににじみが認められる(実用レベル)。
C:にじみのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:にじみが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
印字評価の結果を表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、A4版Xerox P紙に200ページ連続印字して、印刷の乱れ具合を観察することで吐出安定性を評価した
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
吐出安定性評価の結果を表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−1(2)で調整した水性インクをガラス瓶に入れ密閉後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後における水性インクの発生異物と物性値変動(粘度、表面張力)について評価した。
なお、評価は以下の評価基準に基づいておこなった。
A:60℃あるいは−20℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が、0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
保存安定性評価結果を表57に示す。
<実施例M−2>
(1)分散液の製造:分散液M2
本実施例M−2に用いる分散液M2の製造には、有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、メタクリル酸3部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン20部、メルカプトエタノール1.0部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は40%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体M2(不溶性モノアゾイエロー顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M2を得た。
表55に分散液M2に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−2では、前記実施例M−2(1)で得た分散液M2、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール440(エアープロダクツ株式会社製)とオルフィンSTG(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M2の含有量が7.0%となるように分散液M2を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M2の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M2<120> 7.0%
サーフィノール440 0.2%
オルフィンSTG 0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
2−ピロリドン 3.0%
グリセリン 13.5%
トリメチロールエタン 5.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−2(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は225ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<実施例M−3>
(1)分散液の製造:分散液M3
本実施例M−3に用いる分散液M3の製造には、有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン10部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)5部、n−ドデシルメタクリレート3.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)25部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、n−ドデシルメタクリレート5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)30部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は28%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)25部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体M3(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が28%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M3を得た。
表55に分散液M3に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−3では、前記実施例M−3(1)で得た分散液M3、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104PG50(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M3の含有量が7.5%となるように分散液M3を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M3の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−3の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M3<140> 7.5%
オルフィンE1010 0.1%
サーフィノール104PG50 0.4%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ヘキサンジオール 2.5%
トリエチレングリコール 2.0%
2−ピロリドン 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−3(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は287ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−3(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<実施例M−4>
(1)分散液の製造:分散液M4
本実施例M−4に用いる分散液M4の製造には、有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、ラウリルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)20部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記裁の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は45%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)40部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体M4(フタロシアニンブルー顔料を芳香環量が45%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M4を得た。
表55に分散液M4に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−4では、前記実施例M−4(1)で得た分散液M4、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M4の含有量が8.0%となるように分散液M4を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M4の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−4の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M4<100> 8.0%
アセチレノールE100 0.5%
プロピレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ヘキサンジオール 1.0%
トリエチレングリコール 3.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 5.2%
トリプロパノールアミン 0.2%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−4(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は375ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−4(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<実施例M−5>
(1)分散液の製造:分散液M5
本実施例M−5に用いる分散液M5の製造には、ペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)を用いた。それ以外は、前記実施例M−1(1)に記載と同様の方法により、分散体M5(ペリノンオレンジ顔料を芳香環量が56%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M5を得た。
表55に分散液M5に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−5では、前記実施例M−5(1)で得た分散液M5、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール485とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M5の含有量が10.0%となるように分散液M5を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M5の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−5の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M5<150> 10.0%
サーフィノール485 0.5%
サーフィノールTG 0.2%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
グリセリン 11.2%
トレハロース 5.8%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−5(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は248ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−5(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<実施例M−6>
(1)分散液の製造:分散液M6
本実施例M−6に用いる分散液M6の製造には、ベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用いた。それ以外は、前記実施例M−1(1)に記載と同様の方法により、分散体M6(ベンズイミダゾロンブラウン顔料を芳香環量が69%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M6を得た。
表55に分散液M6に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−6では、前記実施例M−6(1)で得た分散液M6、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール420、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M6の含有量が5.0%となるように分散液M6を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M6の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−6の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M6<140> 5.0%
サーフィノール420 0.1%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,6−ヘキサンジオール 2.0%
テトラエチレングリコール 5.5%
グリセリン 13.5%
トリエタノールアミン 0.5%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−6(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は515ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−6(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<実施例M−7>
(1)分散液の製造:分散液M7
本実施例M−7に用いる分散液M7の製造には、有機顔料であるとキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を用いた。それ以外は、前記実施例M−1(1)に記載と同様の方法により、分散体M7(キナクリドンバイオレット顔料を芳香環量が21%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M7を得た。
表55に分散液M7に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−7では、前記実施例M−7(1)で得た分散液M7、アセチレンアルコール系界面活性剤であるサーフィノール61とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M7の含有量が6.0%となるように分散液M7を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M7の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−7の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M7<120> 6.0%
サーフィノール61 0.3%
サーフィノールTG 0.1%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
ジエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 12.6%
トリメチロールエタン 7.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−7(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は351ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−7(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<実施例M−8>
(1)分散液の製造:分散液M8
本実施例M−8に用いる分散液M8の製造には、有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用いた。それ以外は、前記実施例M−1(1)に記載と同様の方法により、分散体M8(フタロシアニングリーン顔料を芳香環量が30%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M8を得た。
表55に分散液M8に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例M−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例M−8では、前記実施例M−8(1)で得た分散液M8、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M8の含有量が8.0%となるように分散液M8を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M8の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例M−8の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M8<110> 8.0%
オルフィンE1010 0.3%
サーフィノール104 0.1%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ペンタンジオール 3.0%
トリエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記実施例M−8(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は568ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例M−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例M−8(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例M−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<比較例M−1>
(1)分散液の製造:分散液M9
本比較例M−1では、前記実施例M−3(1)有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。但し、本比較例で使用した顔料は前述の顔料の粉砕処理において、意図的に通常の倍以上の時間をかけて粉砕処理を行った。それ以外は、前記実施例M−3(1)に記載と同様の方法により、分散体M9(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が20%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液M9を得た。
表55に分散液M9に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本比較例M−1では、前記比較例M−1(1)で得た分散液M9を使用して水性インクを調整した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M9の含有量が8.0%となるように分散液M9を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例M−8の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M9<140> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記比較例M−1(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は848ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例M−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例M−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例M−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
<比較例M−2>
(1)分散液の製造:分散液M10
本比較例M−では有機顔料であるキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)をソルスパース12000(アビシア株式会社製)を使用して分散した。
キナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を15部と、ソルスパース12000を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって分散体M9を20%(顔料:15%、分散樹脂:5%)含有する比較例M−2で使用する分散液M10を得た。
(2)水性インクの調整
本比較例M−2では、前記比較例M−2(1)で得た分散液M10を使用して水性インクを調整した。本比較例の具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体M9の含有量が8.0%となるように分散液M10を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体M9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例M−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例M−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体M9<150> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の多価のアニオン量の測定
前記比較例M−2(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の多価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、分散体中の多価のアニオンの総量は1386ppmであった。なお、測定結果の詳細を表57に示す。
(4)印字評価
前記実施例M−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例M−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例M−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表56に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例M−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例M−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表57に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例M−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例M−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例M−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表57に示す。
表55、56の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印字品質が悪く、本発明による水性インクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明の水性インクを用いることにより、いずれの紙種に対してもにじみが低減される高品質な印字記録を得ることができる。
表57の結果から明らかなように、水性インクの分散体中の多価のアニオン量を600ppm以下抑えた本発明による水性インクは優れた吐出安定性、保存性安定性を確保し、表56より印字品質も優れていることがわかる。また、多価のアニオン量が400ppm以下の場合は格段に吐出安定性、保存性安定性が優れたものになることがわかる。一方、比較例にあるように多価のアニオン量が800ppmを越えた場合は、印字品質、吐出安定性、保存安定性ともに、実用レベルに至らないことがわかる。
以上の結果から分かるように、本発明による水性インクを用いることで良好な印字品質、吐出安定性を得ることができ、しかも保存性安定性についても優れていることがわかる。
[実施例N]
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の一価のカチオン量、及び表面張力の測定方法)
本実施例で得られた各測定値(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の一価のカチオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散ポリマー溶液の一部を取り出し、溶媒成分を留去してポリマー成分のみを取り出し、DMSO−d6に溶解させ、13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)を使用して、ポリマー中の芳香環量を測定した。
「顔料:ポリマー比の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散液の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して分散体のみを酸析後、乾燥重量を測定した。次に、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、乾燥重量を測定することで、顔料:ポリマーの重量比を算出した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(水性インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。
「分散体中の一価のカチオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し遠心分離処理により水性インクの溶媒成分と固形分である分散体に分離した。遠心条件は、2500G×60分とした。
遠心処理後、得られた分散体を純水に希釈してICP発光分析法(島津製作所(株)社製ICPS−8000)にて分散体中の一価のカチオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
<実施例N−1>
(1)分散液の製造:分散液N1
本実施例N−1に用いる分散液N1の製造には無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、メチルエチルケトン15部、スチレン21部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン100部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は59%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体N1(カーボンブラック顔料を芳香環量が59%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液1を得た。
表58に分散液N1に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−1では、前記実施例N−1(1)で得た分散液N1、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N1の含有量が8.0%となるように分散液N1を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N1の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−1の水性インク組成中の「残量」として添加されるイオン交換水には、水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、及び水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を、それぞれ水性インク全重量に対して0.01%、0.01%、0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N1<120> 8.0%
オルフィンE1010 0.5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.5%
ジエチレングリコール 3.0%
グリセリン 11.5%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリプロパノールアミン 0.3%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−1(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1788ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
印字評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用した水性インクジェットヘッドにより水性インクを吐出する水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−1(2)で調整した水性インクの印字評価を実施した。
評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙として(a)Conqueror紙、(b)Reymat紙、(c)Mode Copy紙、(d)Rapid Copy紙、(e)Xerox P紙、(f)Xerox 4024紙、(g)Xerox 10紙、(h)Neenha Bond紙、(i)Ricopy 6200紙、及び(j)Hammer mill Copy Plus紙を使用した。
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全てのポイントの文字において、にじみがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかににじみが認められる(実用レベル)。
C:にじみのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:にじみが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
印字評価の結果を表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、A4版Xerox P紙に200ページ連続印字して、印刷の乱れ具合を観察することで吐出安定性を評価した
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
吐出安定性評価の結果を表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−1(2)で調整した水性インクをガラス瓶に入れ密閉後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後における水性インクの発生異物と物性値変動(粘度、表面張力)について評価した。
なお、評価は以下の評価基準に基づいておこなった。
A:60℃あるいは−20℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
保存安定性評価結果を表60に示す。
<実施例N−2>
(1)分散液の製造:分散液N2
本実施例N−2に用いる分散液N2の製造には、有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、メタクリル酸3部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン20部、メルカプトエタノール1.0部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して35%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は25%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体N2(不溶性モノアゾイエロー顔料を芳香環量が25%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N2を得た。
表58に分散液N2に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−2では、前記実施例N−2(1)で得た分散液N2、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール440(エアープロダクツ株式会社製)とオルフィンSTG(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N2の含有量が7.0%となるように分散液N2を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N2の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N2<120> 7.0%
サーフィノール440 0.2%
オルフィンSTG 0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
2−ピロリドン 3.0%
グリセリン 13.5%
トリメチロールエタン 5.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−2(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1085ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<実施例N−3>
(1)分散液の製造:分散液3
本実施例N−3に用いる分散液N3の製造には、有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)6部、n−ドデシルメタクリレート3.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート12部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)25部、メチルエチルケトン5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)8部、n−ドデシルメタクリレート7部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)30部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して38%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は40%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)25部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体N3(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N3を得た。
表58に分散液N3に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−3では、前記実施例N−3(1)で得た分散液N3、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104PG50(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N3の含有量が7.5%となるように分散液N3を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N3の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−3の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N3<140> 7.5%
オルフィンE1010 0.1%
サーフィノール104PG50 0.4%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ヘキサンジオール 2.5%
トリエチレングリコール 2.0%
2−ピロリドン 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−3(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1484ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−3(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<実施例N−4>
(1)分散液の製造:分散液N4
本実施例N−4に用いる分散液N4の製造には、有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)20部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は46%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)40部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体N4(フタロシアニンブルー顔料を芳香環量が46%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N4を得た。
表58に分散液N4に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−4では、前記実施例N−4(1)で得た分散液N4、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N4の含有量が8.0%となるように分散液N4を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N4の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−4の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N4<100> 8.0%
アセチレノールE100 0.5%
プロピレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ヘキサンジオール 1.0%
トリエチレングリコール 3.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 5.2%
トリプロパノールアミン 0.2%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−4(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1208ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−4(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<実施例N−5>
(1)分散液の製造:分散液N5
本実施例N−5に用いる分散液N5の製造には、ペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)を用いた。それ以外は、前記実施例N−1(1)に記載と同様の方法により、分散体N5(ペリノンオレンジ顔料を芳香環量が56%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液5を得た。
表58に分散液N5に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−5では、前記実施例N−5(1)で得た分散液N5、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール485とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。なお、水性インクの調整では分散体N5の含有量が10.0%となるように分散液N5を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N5の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−5の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N5<150> 10.0%
サーフィノール485 0.5%
サーフィノールTG 0.2%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
グリセリン 11.2%
トレハロース 5.8%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−5(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1040ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−5(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<実施例N−6>
(1)分散液の製造:分散液N6
本実施例N−6に用いる分散液N6の製造には、ベンズイミダゾロンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン32)を用いた。それ以外は、前記実施例N−1(1)に記載と同様の方法により、分散体N6(ベンズイミダゾロンブラウン顔料を芳香環量が67%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N6を得た。
表58に分散液N6に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−6では、前記実施例N−6(1)で得た分散液N6、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール420、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N6の含有量が5.0%となるように分散液N6を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N6の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−6の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N6<140> 5.0%
サーフィノール420 0.1%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,6−ヘキサンジオール 2.0%
テトラエチレングリコール 5.5%
グリセリン 13.5%
トリエタノールアミン 0.5%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−6(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1780ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−6(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<実施例N−7>
(1)分散液の製造:分散液N7
本実施例N−7に用いる分散液N7の製造には、有機顔料であるとキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を用いた。それ以外は、前記実施例N−1(1)に記載と同様の方法により、分散体N7(キナクリドンバイオレット顔料を芳香環量が21%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N7を得た。
表58に分散液N7に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−7では、前記実施例N−7(1)で得た分散液N7、アセチレンアルコール系界面活性剤であるサーフィノール61とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N7の含有量が6.0%となるように分散液N7を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N7の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−7の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N7<120> 6.0%
サーフィノール61 0.3%
サーフィノールTG 0.1%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
ジエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 12.6%
トリメチロールエタン 7.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−7(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は1123ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−7(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<実施例N−8>
(1)分散液の製造:分散液N8
本実施例N−8に用いる分散液N8の製造には、有機顔料であるフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を用いた。それ以外は、前記実施例N−1(1)に記載と同様の方法により、分散体N8(フタロシアニングリーン顔料を芳香環量が30%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N8を得た。
表58に分散液N8に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例N−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例N−8では、前記実施例N−8(1)で得た分散液N8、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N8の含有量が8.0%となるように分散液N8を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N8の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例N−8の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N8<110> 8.0%
オルフィンE1010 0.3%
サーフィノール104 0.1%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ペンタンジオール 3.0%
トリエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記実施例N−8(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は2387ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例N−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例N−8(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例N−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<比較例N−1>
(1)分散液の製造:分散液N9
本比較例N−1では、前記実施例N−1(1)と同様に無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
但し、本比較例N−1では、前記実施例N−1(1)において実施した限外濾過処理を実施しなかった。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン25部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.5部を入れ、本比較例では60℃に加熱した。別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れ、反応容器に滴下しながら本比較例では4時間で分散ポリマーを重合させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は40%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、本比較例では限外濾過処理を実施せず、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体N9(カーボンブラック顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液N9を得た。
表58に分散液N9に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本比較例N−1では、前記比較例N−1(1)で得た分散液N9を使用して水性インクを調整した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N9の含有量が8.0%となるように分散液N9を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例N−1の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体N9<140> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記比較例N−1(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は3678ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例N−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例N−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例N−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
<比較例N−2>
(1)分散液の製造:分散液N10
本比較例N−2に用いる分散液N10の製造には、有機顔料のフタロシアニングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン7)を分散樹脂であるソルスパース27000(アビシア株式会社製)を使用して分散した。
フタロシアニングリーン顔料を15部と、ソルスパース27000を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例N−2で使用する分散体N9を20%(顔料:15%、分散樹脂:5%)含有する分散液N10を得た。
(2)水性インクの調整
本比較例N−2では、前記比較例N−2(1)で得た分散液N10を使用して水性インクを調整した。本比較例の具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体N9の含有量が8.0%となるように分散液N10を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体N9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例N−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例N−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散液N10<150> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の一価のカチオン量の測定
前記比較例N−2(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のカチオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のカチオンの総量は4304ppmであった。なお、測定結果の詳細を表60に示す。
(4)印字評価
前記実施例N−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例N−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例N−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表59に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例N−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例N−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表60に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例N−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例N−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例N−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表60に示す。
表58、59の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクは印字品質が悪く、本発明による水性インクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明の水性インクを用いることにより、いずれの紙種に対してもにじみが低減される高品質な印字記録を得ることができる。
表60の結果から明らかなように、分散体中に含有される一価のカチオン量を2500ppm以下に抑えた本発明による水性インクは優れた吐出安定性、保存性安定性を確保し、表59より印字品質も優れていることがわかる。また、一価のカチオンの量が1500ppm以下の場合は格段に吐出安定性、保存性安定性が優れたものになることがわかる。一方、比較例にあるように一価のカチオンの量が3500ppmを越えた場合は、印字品質、吐出安定性、保存安定性ともに、実用レベルに至らないことがわかる。
以上の結果からわかるように、本発明による水性インクを用いることで良好な印字品質、吐出安定性を得ることができ、しかも保存性安定性についても優れていることがわかる。
[実施例P]
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の一価のアニオン量、及び表面張力の測定方法)
本実施例で得られた各測定値(芳香環量、顔料:ポリマー比、平均粒径、分散体中の一価のアニオン量、表面張力)は、以下の方法で測定した。
「芳香環量の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散ポリマー溶液の一部を取り出し、溶媒成分を留去してポリマー成分のみを取り出し、DMSO−d6に溶解させ、13C−NMR及び1H−NMR(ブルカー社(ドイツ)製AMX400)を使用して、ポリマー中の芳香環量を測定した。
「顔料:ポリマー比の測定」
各実施例、又は比較例で得た分散液の一部を取り出し、0.1mol/l濃度HClを添加して分散体のみを酸析後、乾燥重量を測定した。次に、アセトンを用いたソックスレー抽出法で分散ポリマーのみを取り出し、乾燥重量を測定することで、顔料:ポリマーの重量比を算出した。
「平均粒径の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの分散体濃度が0.001〜0.01重量%に(水性インクにより測定時の最適濃度が若干異なる為)なるようにイオン交換水で希釈し、その分散粒子の20℃における平均粒径を粒度分布計(大塚電子社製DLS−800)で測定した。
「分散体中の一価のアニオン量の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクを必要量取り出し遠心分離処理により水性インクの溶媒成分と固形分である分散体に分離した。遠心条件は、2500G×60分とした。
得られた分散体を石英皿に採り、捕捉剤を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解し、希硝酸に溶解してICP発光分析法(島津製作所(株)社製ICPS−8000)にて分散体中の一価のアニオン量を測定した。
「表面張力の測定」
各実施例、又は比較例で得た水性インクの20℃の表面張力を表面張力計(協和界面科学社製CBVP−A3)で測定した。
<実施例P−1>
(1)分散液の製造:分散液P1
本実施例P−1に用いる分散液P1の製造には無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、メチルエチルケトン15部、スチレン22部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート16部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン100部、アクリル酸16部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は56%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体P1(カーボンブラック顔料を芳香環量が56%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液1を得た。
表61に分散液P1に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−1では、前記実施例P−1(1)で得た分散液P1、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P1の含有量が8.0%となるように分散液P1を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P1の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−1の水性インク組成中の「残量」として添加されるイオン交換水には、水性インクの腐食防止のためプロキセルXL−2、水性インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾール、及び水性インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA・2Na塩を、それぞれ水性インク全重量に対して0.01%、0.01%、0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P1<120> 8.0%
オルフィンE1010 0.5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.5%
ジエチレングリコール 3.0%
グリセリン 11.5%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリプロパノールアミン 0.3%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−1(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は2570ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
印字評価には圧電素子(ピエゾ素子)を使用した水性インクジェットヘッドにより水性インクを吐出する水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−1(2)で調整した水性インクの印字評価を実施した。
評価紙として、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙として(a)Conqueror紙、(b)Reymat紙、(c)Mode Copy紙、(d)Rapid Copy紙、(e)Xerox P紙、(f)Xerox 4024紙、(g)Xerox 10紙、(h)Neenha Bond紙、(i)Ricopy 6200紙、及び(j)Hammer mill Copy Plus紙を使用した。
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全てのポイントの文字において、にじみがわからない。
B:5ポイント以下の文字で、わずかににじみが認められる(実用レベル)。
C:にじみのため、5ポイント以下の文字が太く見える。
D:にじみが著しく、5ポイント以下の文字が判別できない。
印字評価の結果を表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、A4版Xerox P紙に200ページ連続印字して、印刷の乱れ具合を観察することで吐出安定性を評価した
なお、評価は目視により行い、以下の評価基準に基づいておこなった。
A:全く印刷乱れが発生しない。
B:印刷乱れが見られたが10箇所未満である(実用レベル)。
C:10箇所以上100箇所未満の範囲で印刷乱れがある。
D:100箇所以上印刷乱れが発生した。
吐出安定性評価の結果を表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−1(2)で調整した水性インクをガラス瓶に入れ密閉後、それぞれ60℃/1週間、−20℃/1週間放置して、放置前後における水性インクの発生異物と物性値変動(粘度、表面張力)について評価した。
なお、評価は以下の評価基準に基づいておこなった。
A:60℃あるいは−20℃放置後の異物量・物性値と放置前のそれとの比が
0.99〜1.01の範囲内である。
B:比が0.95〜0.99、あるいは1.01〜1.05の範囲内である(実用レベル)。
C:比が0.90〜0.95、あるいは1.05〜1.10の範囲内である。
D:比が0.90未満、あるいは1.10より大きい。
保存安定性評価結果を表63に示す。
<実施例P−2>
(1)分散液の製造:分散液P2
本実施例P−2に用いる分散液P2の製造には、有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン12部、ラウリルメタクリレート9部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、メタクリル酸3部、メチルエチルケトン5部、メルカプトエタノール0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン20部、メルカプトエタノール1.0部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は26%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料である不溶性モノアゾイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体P2(不溶性モノアゾイエロー顔料を芳香環量が26%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液P2を得た。
表61に分散液P2に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−2では、前記実施例P−2(1)で得た分散液P2、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール440(エアープロダクツ株式会社製)とオルフィンSTG(日信化学工業株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P2の含有量が7.0%となるように分散液P2を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P2の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P2<120> 7.0%
サーフィノール440 0.2%
オルフィンSTG 0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
2−ピロリドン 3.0%
グリセリン 13.5%
トリメチロールエタン 5.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−2(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は1179ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<実施例P−3>
(1)分散液の製造:分散液3
本実施例P−3に用いる分散液P3の製造には、有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン10部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)5部、n−ドデシルメタクリレート3.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)25部、メチルエチルケトン5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、n−ドデシルメタクリレート5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM40G;新中村化学株式会社製)30部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを適宜添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は38%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるキナクリドンレッド顔料(C.I.ピグメントレッド122)25部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を380部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体P3(キナクリドンレッド顔料を芳香環量が38%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液P3を得た。
表61に分散液P3に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−3では、前記実施例P−3(1)で得た分散液P3、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104PG50(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P3の含有量が7.5%となるように分散液P3を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P3の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−3の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P3<140> 7.5%
オルフィンE1010 0.1%
サーフィノール104PG50 0.4%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ヘキサンジオール 2.5%
トリエチレングリコール 2.0%
2−ピロリドン 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−3(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は1008ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−3(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−3(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<実施例P−4>
(1)分散液の製造:分散液P4
本実施例P−4に用いる分散液P4の製造には、有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いた。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、ラウリルメタクリレート10部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)15部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)5部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)10部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン25部、ラウリルメタクリレート30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM90G;新中村化学株式会社製)20部、イソブチルメタクリレートマクロマー(AW−6S;東亜合成株式会社製)15部、スチレンマクロマー(AS−6;東亜合成株式会社製)15部、メタクリル酸5部、メチルエチルケトン20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は45%であった。
上記分散ポリマー溶液40部と有機顔料であるフタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)40部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン40部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、水を適宜加えながら、限外濾過システムのミリタン(ミリポア社製)による分画分子量10万の限外濾過を実施した。最後に、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体P4(フタロシアニンブルー顔料を芳香環量が45%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液P4を得た。
表61に分散液P4に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−4では、前記実施例P−4(1)で得た分散液P4、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ヘキサンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P4の含有量が8.0%となるように分散液P4を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P4の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−4の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P4<100> 8.0%
アセチレノールE100 0.5%
プロピレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,2−ヘキサンジオール 1.0%
トリエチレングリコール 3.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 5.2%
トリプロパノールアミン 0.2%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−4(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は1982ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−4(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−4(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<実施例P−5>
(1)分散液の製造:分散液P5
本実施例P−5に用いる分散液P5の製造には、ペリノンオレンジ顔料(C.I.ピグメントオレンジ43)を用いた。それ以外は、前記実施例P−1(1)に記載と同様の方法により、分散体P5(ペリノンオレンジ顔料を芳香環量が56%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液5を得た。
表61に分散液P5に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−5では、前記実施例P−5(1)で得た分散液P5、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール485とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。なお、水性インクの調整では分散体P5の含有量が10.0%となるように分散液P5を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P5の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−5の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P5<150> 10.0%
サーフィノール485 0.5%
サーフィノールTG 0.2%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 2.0%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
グリセリン 11.2%
トレハロース 5.8%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−5(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は2406ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−5(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−5(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<実施例P−6>
(1)分散液の製造:分散液P6
本実施例P−6に用いる分散液P6の製造には、ペリレンブラウン顔料(C.I.ピグメントブラウン26)を用いた。それ以外は、前記実施例P−1(1)に記載と同様の方法により、分散体P6(ペリレンブラウン顔料を芳香環量が67%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液P6を得た。
表61に分散液P6に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−6では、前記実施例P−6(1)で得た分散液P6、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール420、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P6の含有量が5.0%となるように分散液P6を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P6の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−6の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P6<140> 5.0%
サーフィノール420 0.1%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0%
1,6−ヘキサンジオール 2.0%
テトラエチレングリコール 5.5%
グリセリン 13.5%
トリエタノールアミン 0.5%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−6(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は2563ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−6(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−6(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<実施例P−7>
(1)分散液の製造:分散液P7
本実施例P−7に用いる分散液P7の製造には、有機顔料であるとキナクリドンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレッド19)を用いた。それ以外は、前記実施例P−1(1)に記載と同様の方法により、分散体P7(キナクリドンバイオレット顔料を芳香環量が21%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液P7を得た。
表61に分散液P7に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−7では、前記実施例P−7(1)で得た分散液P7、アセチレンアルコール系界面活性剤であるサーフィノール61とサーフィノールTG(いずれもエアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるトリエチレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P7の含有量が6.0%となるように分散液P7を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P7の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−7の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P7<120> 6.0%
サーフィノール61 0.3%
サーフィノールTG 0.1%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5%
1,2−ペンタンジオール 2.0%
ジエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 12.6%
トリメチロールエタン 7.0%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−7(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は2927ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−7(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−7(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<実施例P−8>
(1)分散液の製造:分散液P8
本実施例P−8に用いる分散液P8の製造には、有機顔料であるビオラントロングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン47)を用いた。それ以外は、前記実施例P−1(1)に記載と同様の方法により、分散体P8(ビオラントロングリーン顔料を芳香環量が30%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液P8を得た。
表61に分散液P8に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、ポリマー中の芳香環量、及び顔料:ポリマー比については実施例P−1(1)と同様に、前述の「芳香環量の測定」、及び「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本実施例P−8では、前記実施例P−8(1)で得た分散液P8、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)とサーフィノール104(エアープロダクツ株式会社製)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルであるジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及び1,2−アルキレングリコールである1,2−ペンタンジオールを使用した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P8の含有量が8.0%となるように分散液P8を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P8の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本実施例P−8の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P8<110> 8.0%
オルフィンE1010 0.3%
サーフィノール104 0.1%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
1,2−ペンタンジオール 3.0%
トリエチレングリコール 2.0%
チオジグリコール 4.0%
グリセリン 13.8%
トリメチロールプロパン 6.0%
トリエタノールアミン 0.1%
イオン交換水 残量
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記実施例P−8(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は3429ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記実施例P−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記実施例P−8(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記実施例P−8(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<比較例P−1>
(1)分散液の製造:分散液P9
本比較例P−1では、前記実施例P−1(1)と同様に無機顔料であるカーボンブラック顔料のカラーブラックFW18(デグサ株式会社製)を用いた。
また、本比較例P−1では、意図的に前記実施例P−1(1)とは異なる重合条件で分散ポリマーを重合した。
まず、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン25部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.5部を入れ、本比較例では65℃に加熱した。別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れ、反応容器に滴下しながら本比較例では2時間で分散ポリマーを重合させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
この分散ポリマー溶液の一部と取り出し、溶媒成分を留去後、全重量に対する芳香環の割合を前述の「芳香環量の測定」に記載の方法で測定したところ、分散ポリマー全重量に対する芳香環量は20%であった。
上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン35部を混合し、ホモジナイザーで30分以上分散処理し、イオン交換水を350部添加して、さらに1時間分散する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去後、本比較例では限外濾過を実施せず、イオン交換水、及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら適宜加えてpH7.5に調整してから、平均孔径5μmのメンブランフィルタで濾過することで、分散体P9(カーボンブラック顔料を芳香環量が40%であるポリマーにより包含した分散体)を20%含有する分散液1を得た。
表61に分散液P9に使用した顔料、分散ポリマー中の芳香環量、顔料:ポリマー比について示す。なお、顔料:ポリマー比については前記「顔料:ポリマー比の測定」に記載の方法で測定した。
(2)水性インクの調整
本比較例P−1では、前記比較例P−1(1)で得た分散液P9を使用して水性インクを調整した。具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P9の含有量が8.0%となるように分散液P9を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例8の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散体P9<140> 8.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
一価のアニオン含有水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてエパン450(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記比較例P−1(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は5059ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例P−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例P−1(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例P−1(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
<比較例P−2>
(1)分散液の製造:分散液P10
本比較例P−2に用いる分散液P10の製造には、有機顔料であるビオラントロングリーン顔料(C.I.ピグメングリーン47)をソルスパース12000(アビシア株式会社製)を使用して分散した。
ビオラントロングリーン顔料を15部と、ソルスパース12000を5部、ジエタノールアミン5部、2−プロパノール0.5部、及びイオン交換水74.5部をビーズミルミニゼータ(アジサワ株式会社製)により2時間分散処理を行なって比較例P−2で使用する分散体P9を20%(顔料:15%、分散樹脂:5%)含有する分散液P10を得た。
(2)水性インクの調整
本比較例P−2では、前記比較例P−2(1)で得た分散液P10を使用して水性インクを調整した。本比較例の具体的な組成を以下に示す。
なお、水性インクの調整では分散体P9の含有量が8.0%となるように分散液P10を添加した。<>内の値は前記「平均粒径の測定」に記載の方法により測定した分散体P9の平均粒径(単位:nm)を示す。
また、下記本比較例P−2の水性インク組成中において「残量」として添加されるイオン交換水には、前記実施例P−1(2)と同様に、水性インク全重量に対してプロキセルXL−2を0.01%、ベンゾトリアゾールを0.01%、及びEDTA・2Na塩を0.02%となるように添加したものを用いた。
分散液P10<150> 20.0%
非イオン系界面活性剤 1.0%
エチレングリコール 5.0%
グリセリン 15.0%
イオン交換水 残量
なお上記組成中、非イオン系界面活性剤としてノイゲンEA160(商品名;第一工業製薬株式会社製)を使用した。
(3)分散体中の一価のアニオン量の測定
前記比較例P−2(2)で調整した水性インクを、前記「分散体中の一価のアニオン量の測定」に記載の方法により測定したところ、一価のアニオンの総量は5393ppmであった。なお、測定結果の詳細を表63に示す。
(4)印字評価
前記実施例P−1(4)と同様に水性インクジェットプリンタPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を使用して、前記比較例P−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(4)と同様の評価紙を用いて、前記実施例P−1(4)と同様の評価基準により印字評価を行った。なお、印字評価の結果は表62に示す。
(5)吐出安定性評価
前記比較例P−2(4)と同様のプリンタ、及び水性インクを使用して、前記実施例P−1(5)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(5)と同様の評価基準により吐出安定性評価を行った。なお、吐出安定性評価の結果は表63に示す。
(6)保存安定性評価
前記比較例P−2(2)で調整した水性インクについて、前記実施例P−1(6)と同様の評価方法で、前記実施例P−1(6)と同様の評価基準により保存安定性評価を行った。なお、保存安定性評価の結果は表63に示す。
表61、62の結果から明らかなように比較例で用いるような水性インクカートリッジは印字品質が悪く、本発明による水性インクカートリッジを用いると印字品質が良好なことが分かる。
以上のように、本発明の水性インクカートリッジを用いることにより、いずれの紙種に対してもにじみが低減される高品質な印字記録を得ることができる。
表63の結果から明らかなように、分散体中に含有される一価のアニオン量を3500ppm以下抑えた本発明による水性インクは優れた吐出安定性、保存性安定性を確保し、表62より印字品質も優れていることがわかる。また、一価のアニオンの量が2500ppm以下の場合は格段に吐出安定性、保存性安定性が優れたものになることがわかる。一方、比較例にあるように一価のアニオンの量が5000ppmを越えた場合は、印字品質、吐出安定性、保存安定性ともに、実用レベルに至らないことがわかる。
以上の結果からわかるように、本発明による水性インクを用いることで良好な印字品質、吐出安定性を得ることができ、しかも保存性安定性についても優れていることがわかる。
産業上の利用可能性
普通紙上ではにじみが少なく高発色であり、専用紙上では十分な発色に加え、定着性を有し、更に吐出安定性が優れた水性インクを提供できる。
Claims (66)
- 着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体を含む水性インクであって、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、水性インク。
- 前記着色剤と前記ポリマーとの重量比が10:90〜90:10の範囲であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記着色剤と前記ポリマーの重量比が、黒色系着色剤の場合は40:60〜90:10、黄色系着色剤の場合は50:50〜90:10、赤色系着色剤の場合は50:50〜90:10、青色系着色剤の場合は20:80〜70:30の範囲であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- さらに、高分子微粒子を添加してなり、前記分散体と該高分子微粒子との混合状態でのゼータ電位の絶対値が30ミリボルト以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記分散体および前記高分子微粒子のゼータ電位の絶対値がそれぞれ独立して30ミリボルト以上であり、該分散体のゼータ電位の値と該高分子微粒子のゼータ電位の値との差が±10ミリボルト以下である請求の範囲第4項に記載の水性インク。
- 前記高分子微粒子のイオンの極性が前記分散体と同一である請求の範囲第4項または第5項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有される多価金属イオンの総量が200ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有されるSi、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrの各イオン量がいずれも50ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有される多価のアニオン量の総量が1000ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記多価のアニオンが硫酸イオン、リン酸イオン、低分子ポリカルボン酸イオンであることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有される一価のカチオンの総量が5000ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記一価のカチオンがアルカリ金属イオンであることを特徴とする請求の範囲第1項1に記載の水性インク。
- 前記アルカリ金属イオンがリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンのいずれかであることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の水性インク。
- 前記一価のカチオンがアンモニウムイオンであることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有される一価のアニオンの総量が3000ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記一価のアニオンがハロゲンイオンであることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の水性インク。
- 前記ハロゲンイオンが塩素イオン、臭素イオン、沃素イオンのいずれかであることを特徴とする請求の範囲第16項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有される遊離ポリマー量が3%以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記水性インクの液性成分中に含有される多価金属イオンの総量が200ppm以下であり、多価のアニオン量の総量が1000ppm以下であり、一価のカチオンの総量が5000ppm以下であり、一価のアニオンの総量が3000ppm以下であり、且つ遊離ポリマーの量が2%以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記分散体における着色剤を包含するポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた一種、又は二種以上であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第19項のいずれか一項に記載の水性インク。
- さらに、界面活性剤を含む請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求の範囲21項に記載の水性インク。
- さらに、アルキレングリコールモノアルキルエーテルおよび/または1,2−アルキレングリコールを含む請求の範囲第1項または第21項に記載の水性インク。
- 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、且つ炭素数4〜10のアルキルエーテルであることを特徴とする請求の範囲第23項に記載の水性インク。
- 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルがジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることを特徴とする請求の範囲第24項に記載の水性インク。
- 前記1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオールおよび/または1,2−ペンタンジオールであることを特徴とする請求の範囲第23項に記載の水性インク。
- ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上からなる物質を含む水性インクであって、該物質の添加量が0.5重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の物質の添加量が0.1重量%以上5重量%以下であることを特徴とする請求の範囲第22項に記載のンク。
- 少なくともアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上とを含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の水性インク。
- 前記アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.01重量%〜0.5重量%であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上の添加量が1重量%以上であることを特徴とする請求の範囲第29項に記載の水性インク。
- 前記1,2−アルキレングリコールの添加量が10重量%以下であることを特徴とする請求の範囲23、26、27、29項または第30項のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.5重量%以上であり前記1,2−アルキレングリコールとの添加量の比(以下単に比と示すものは添加量の重量比を示す)が1:0〜1:50であることを特徴とする請求の範囲第29項に記載の水性インク。
- 前記(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルを10重量%以下含むことを特徴とする請求の範囲第25、27、29項または第30項に記載の水性インク。
- 前記アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.5重量%以上であり、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルの比が1:0〜1:10であることを特徴とする請求の範囲第29項に記載の水性インク。
- 前記ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルを20重量%以下含むことを特徴とする請求の範囲第25、27、29項または第30項に記載の水性インク。
- 前記アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.5重量%以上であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとの比が1:0〜1:50であることを特徴とする請求の範囲第29項に記載の水性インク。
- 前記着色剤が顔料であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第36項のいずれか一項に記載の水性インク。
- 前記顔料がC.I.ピグメントブラック、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントグリーン、C.I.ピグメントブラウンからなる群から選ばれた一種又は二種以上であることを特徴とする請求の範囲第37項に記載の水性インク。
- 前記顔料がカーボンブラック顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、モノアゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料からなる群から選ばれた一種又は二種以上であることを特徴とする請求の範囲第37項に記載の水性インク。
- 少なくともブラック水性インク、イエロー水性インク、マゼンタ水性インク及びシアン水性インクからなる水性インクセットであって、それぞれの水性インクが、着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体を含み、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、水性インクセット。
- 前記水性インクセットが、更にレッド水性インクを含んでなることを特徴とする、請求の範囲第40項に記載の水性インクセット。
- 前記水性インクセットが、更にブルー水性インクを含んでなることを特徴とする、請求の範囲第40項または第41項に記載の水性インクセット。
- 前記水性インクセットが、更にグリーン水性インクを含んでなることを特徴とする、請求の範囲第40項〜第42項のいずれか一項に記載の水性インクセット。
- 濃水性インクと淡水性インクとの組み合わせからなる水性インクセットであって、該濃水性インクが少なくとも濃ブラック水性インク、濃イエロー水性インク、濃マゼンタ水性インク及び濃シアン水性インクであり、該淡水性インクが少なくとも淡マゼンタ水性インク及び淡シアン水性インクであり、それぞれの水性インクが、着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体を含み、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、水性インクセット。
- 前記水性インクセットが、更に淡水性インクとして淡ブラック水性インクを含んでなることを特徴とする、請求の範囲第44項に記載の水性インクセット。
- 前記水性インクセットが、更に淡水性インクとして淡イエロー水性インクを含んでなることを特徴とする、請求の範囲第44項または第45項に記載の水性インクセット。
- 請求の範囲第1項〜第39項のいずれかに記載の水性インクまたは請求の範囲第40項〜第46項のいずれか1項に記載の水性インクセットにエネルギーを与えて記録ヘッドから吐出させ、記録媒体に付着させて印字記録することを特徴とする水性インクジェット記録方法。
- 着色剤をポリマーで包含して水に分散可能にした分散体の製造工程と、該分散体を水系媒体中に分散処理する分散工程との二つの工程からなる分散液の製造方法であって、該ポリマー中の芳香環の量が該ポリマーの20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする、方法。
- 前記分散工程が少なくとも前記分散体と水と分散促進剤との混合液状態で分散処理する工程であることを特徴とする請求の範囲第48項記載の方法。
- 前記分散工程における混合液の表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする請求の範囲第48項または第49項に記載の方法。
- 前記分散工程における混合液中の分散体の濃度が50重量%以下であることを特徴とする請求の範囲第48項〜第50項のいずれか1項に記載の方法。
- 前記分散促進剤がアセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、ポリシロキサン類、グリコールエーテル類、アルキレングリコール類からなる群から選ばれた一つ又は二つ以上の物質であることを特徴とする請求の範囲第49項〜第51項のいずれか一項に記載の方法。
- 前記分散体中に含有される多価のカチオン量が1000ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第48項に記載の方法。
- 前記分散体中に含有される多価のアニオン量が800ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第48項に記載の方法。
- 前記分散体中に含有される一価のカチオン量が3500ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第48項に記載の方法。
- 前記一価のカチオンがアルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンであることを特徴とする請求の範囲第55項に記載の方法。
- 前記アルカリ金属イオンがリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンのいずれかであることを特徴とする請求の範囲第56項に記載の方法。
- 前記分散体中に含有される一価のアニオン量が5000ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第48項に記載の方法。
- 前記一価のアニオンがハロゲンイオンであることを特徴とする請求の範囲第58項に記載の方法。
- 前記ハロゲンイオンが塩素イオン、臭素イオン、沃素イオンのいずれかであることを特徴とする請求の範囲第59項に記載の方法。
- 請求の範囲第48項〜第60項のいずれか一項に記載の方法により製造されたことを特徴とする分散液。
- 前記分散液の液性成分中に含有される多価金属イオンの総量が500ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第61項に記載の分散液。
- 前記分散液の液性成分中に含有されるSi、Ca、Mg、Fe、Cr、Ni、Zrの各イオン量がいずれも100ppm以下であることを特徴とする請求の範囲第61項に記載の分散液。
- 前記着色剤が顔料である請求の範囲第61項〜第63項のいずれかに記載の分散液。
- 前記顔料を包含するポリマーの分散体中の含有率が10重量%以上70重量%以下の範囲であることを特徴とする請求の範囲第64項に記載の顔料分散液。
- 請求の範囲第61項〜第65項のいずれか一項に記載の分散液を含有する水性インク。
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