JP6079837B2 - 記録方法 - Google Patents

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本発明は、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に高速で高画質記録を行う記録方法に関する。
従来、特許文献1に示す如くインクジェット記録装置には、インク乾燥手段として予熱ランプと、送風手段とを搭載する提案がされていた。このうち前記予熱ランプは、駆動ローラーを加熱するように設けられており、また該駆動ローラーは、被記録媒体が印刷ゾーンを通る前に加熱されるように構成されていた。一方、前記送風手段は、印刷ゾーンにおいて印刷直後の被記録媒体に対して強い風を与えて加熱するように構成されていた。
特開平6−126952号公報
しかしながら、オフセット印刷用のキャスト紙やプラスチックフィルム等のインク吸収能力の著しく低い被記録媒体上に高速でインクジェット記録を行う場合には、従来の乾燥手段を用いた装置では高速で高画質の印刷をすることが不可能であった。例えば、罫線を印刷した場合に線幅の不均一さ(ビーディング)やベタ印刷をした場合に色ムラや異なる色の交じり合い(カラーブリード)等が発生するという課題があったためである。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、インク吸収能力の著しく低い被記録媒体上に高速でインクジェット記録を行う記録方法を提供するものである。
上記課題を達成するため、本発明の好ましい態様によれば、被記録媒体の表面に対してインクを吐出する記録ヘッドと対向し、被記録媒体を裏面から支持する媒体支持部の上で、前記記録ヘッドよりインクが噴射された被記録媒体に対して、前記被記録媒体に付着した前記インクを50〜85重量%蒸発させる第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程を経た前記被記録媒体を、前記媒体支持部より被記録媒体の送り方向下流側で乾燥させる第2乾燥工程と、を行うことを特徴とする。
さらに本発明の好ましい態様によれば、前記第1乾燥工程が、前記記録ヘッドよりインクが噴射された被記録媒体に対して、前記被記録媒体に付着した前記インクを60〜80重量%蒸発させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記第1乾燥工程は熱伝導式および/または対流式であることを特徴とする。
ここで、「熱伝導式」とは、物体の内部を通って高温部から低温部へ熱を伝える方式をいう。即ち、高温の物体が被記録媒体(被噴射媒体)と接触することにより、被記録媒体側へ熱を伝導する方式である。また、「対流式」とは、気体や液体などの流体によって熱を伝える方式をいう。
前記記録ヘッドより噴射されたインクが被記録媒体に付着後、第1乾燥部において加熱され、前記被記録媒体に付着したインク成分の50重量%より好ましくは60重量%以上が蒸発する。それよりも少ない場合には罫線を印刷した場合に線幅の不均一さ(ビーディング)やベタ印刷をした場合に色ムラや異なる色の交じり合い(カラーブリード)等が発生する。
また、前記記録ヘッドより噴射されたインクが被記録媒体に付着後、第1乾燥部において加熱され、前記被記録媒体に付着したインク成分の85重量%より好ましくは80重量%より多くは蒸発させない。それよりも多く蒸発させた場合には被記録媒体上でインク滴の付着ドット径が十分得られず、罫線を印刷した場合に線がつながらなかったり、ベタ印刷の場合にムラが発生したりする。また、インク滴の付着ドットが厚くなるため、耐擦性が低下する場合がある。
また、前記第2乾燥工程は、対流式であることが望ましい。
また、前記被記録媒体は、フィルム材であることが望ましい。
前記インクは、少なくとも(1)着色剤、(2)樹脂、(3)水溶性樹脂溶剤、(4)中揮発性保湿剤、(5)水溶性浸透溶剤、(6)界面活性剤、(7)水、を含み、水溶性樹脂溶剤、中揮発性保湿剤、水溶性浸透剤がいずれも沸点100℃以上250℃以下の有機溶剤であることが望ましい。
本発明に用いる被記録媒体としては、インク非吸収性または低吸収性の被記録媒体が好適に用いられる。このような被記録媒体として、インク非吸収性の被記録媒体としては、例えば、インクジェット印刷用に表面処理していない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の被記録媒体の例としては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙などが挙げられる。
ここで、インク非吸収性および低吸収性の被記録媒体としては、印刷面が、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
さらに本発明に用いるインクとしては、少なくとも、
(1)着色剤としての顔料 0.5〜10重量%
(2)着色剤の分散剤または樹脂エマルジョンまたは水溶性樹脂
からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の樹脂 0.5〜10重量%
(3)水溶性樹脂溶剤としてのN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ε−カプロラクタム、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン
からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の有機溶剤 2〜10重量%
(4)中揮発性保湿剤としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2,3−ブタンジオール
からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の有機溶剤 2〜15重量%
(5)水溶性浸透溶剤としてのn−ブタノール,1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,2−ペンタンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル
からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の有機溶剤 1〜8重量%
(6)アセチレングリコール系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤
からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の界面活性剤 0.5〜2重量%
(7)水 50〜80重量%
を含むものであることを特徴とする。
本発明の有彩色および無彩色のインクに用いる着色剤は、水不溶性の着色剤は、いわゆる顔料であり、好ましい無彩色黒インク用の着色剤としてカーボンブラックが挙げられる。
具体的には、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等(以上全て商品名、三菱化学株式会社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(以上全て商品名、デグサ社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上全て商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(以上全て商品名、キャボット社製)が挙げられる。なお、これらは本発明に好適なカーボンブラックの一例の記載であり、これらによって本発明が限定されるものでは無い。これらのカーボンブラックは単独あるいは二種類以上の混合物として用いてよい。
好ましい有彩色インク用の有機顔料としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料またはアゾ系顔料等が挙げられる。
具体的にはシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60等;C.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、及び60からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202、及び209、C.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、119、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185、等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、110、128、及び138からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の混合物である。
オレンジ顔料分散液に使用される顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ36もしくは43またはこれらの混合物である。
グリーン顔料分散液に使用される顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7もしくは36またはこれらの混合物であるこれら顔料は分散樹脂を用いて樹脂分散して用いてもよく、あるいはオゾン、次亜塩素酸、発煙硫酸等により、顔料表面を酸化、あるいはスルホン化して自己分散顔料として用いてもよい。
本発明に用いるインクの着色剤の分散剤または樹脂エマルジョンまたは水溶性樹脂は以下に列記するものが好ましい。
これらの樹脂は、水不溶性の場合であっても水分散性は必要であるため、親水性部分と、疎水性部分とを合わせもつ重合体であるのが好ましい。熱可塑性樹脂として樹脂エマルジョンを使用する場合、その粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、好ましくは150nm程度以下、より好ましくは5nm〜100nm程度である。
熱可塑性樹脂としては、インクジェット記録用インク組成物において従来から使用されている分散剤樹脂または樹脂エマルジョンと同様の樹脂成分を使用することができる。熱可塑性樹脂として、具体的には、アクリル系重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル若しくはその共重合体、ポリメタクリル酸エステル若しくはその共重合体、ポリアクリロニトリル若しくはその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、またはポリメタクリル酸;ポリオレフィン系重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン若しくはそれらの共重合体、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、またはテルペン樹脂;酢酸ビニル・ビニルアルコール系重合体、例えば、ポリ酢酸ビニル若しくはその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、またはポリビニルエーテル;含ハロゲン系重合体、例えば、ポリ塩化ビニル若しくはその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、またはフッ素ゴム;含窒素ビニル系重合体、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン若しくはその共重合体、ポリビニルピリジン、またはポリビニルイミダゾール;ジエン系重合体、例えば、ポリブタジエン若しくはその共重合体、ポリクロロプレン、またはポリイソプレン(ブチルゴム);あるいはその他の開環重合型樹脂、縮合重合型樹脂、または天然高分子樹脂等を用いることができる。
さらに、ハイテックE−7025P、ハイテックE−2213、ハイテックE−9460、ハイテックE−9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上すべて商品名、東邦化学株式会社製)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840、(以上すべて商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂をエマルジョンの状態で得る場合には、樹脂粒子を場合により界面活性剤と共に水に混合することによって調製することができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルの樹脂又はスチレン−(メタ)アクリル酸エステルの樹脂と、場合により(メタ)アクリル酸樹脂と、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常50:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合には、エマルジョンが形成されにくく、また前記範囲を越える場合には、インクの耐水性が低下したり、密着性が悪化したりする傾向があるので好ましくない。
ここで使用する界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としては、アニオン系界面活性剤(例えば、ドデシルベンザンスルホン酸ナトリウム、ラウルリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)を挙げることができ、これらは二種以上を混合して用いることができる。
また熱可塑性樹脂のエマルジョンは、上記した樹脂成分の単量体を、重合触媒および乳化剤を存在させた水中において乳化重合させることによっても得ることができる。乳化重合の際に使用される重合開始剤、乳化剤、分子量調整剤は常法に準じて使用できる。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合に用いられるものと同様のものが用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシド等が挙げられる。重合反応を水中で行う場合には、水溶性の重合開始剤が好ましい。乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤または両性界面活性剤として用いられているもの、およびこれらの混合物が挙げられる。これらは2種以上混合して使用することができる。
分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水を好ましくは60重量部〜400重量部、より好ましくは100重量部〜200重量部の範囲が適当である。
熱可塑性樹脂として、樹脂エマルジョンを使用する場合、公知の樹脂エマルジョンを用いることも可能である。例えば特公昭62−1426号公報、特開平3−56573号公報、特開平3−79678号公報、特開平3−160068号公報、または特開平4−18462号公報各公報などに記載の樹脂エマルジョンをそのまま用いることができる。また、市販の樹脂エマルジョンを利用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ペイント株式会社製)、ボンコート(登録商標)4001(アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ゼオン株式会社製)、またはサイビノール(登録商標)SK−200(アクリル系樹脂エマルジョン;サイデン化学株式会社製)などを挙げることができる。熱可塑性樹脂は、微粒子粉末として水性インク中の他の成分と混合されても良いが、樹脂微粒子を水媒体に分散させて、樹脂エマルジョンの形態とした後、水性インクの他の成分と混合することが好ましい。水性インクの長期保存安定性、吐出安定性の観点から、本発明に好ましい樹脂微粒子の粒径は5〜400nmの範囲であり、より好ましくは50〜200nmの範囲である。
水溶性の樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等の中の高分子で水不溶性のものが挙げられる。
樹脂は、水性インク全量に対して、固形分換算で0.5〜10.0重量%の範囲で含まれることが好ましい。樹脂成分が少なすぎると、プラスチック表面に形成されるインク被膜が薄くなり、プラスチック表面との密着性が不充分になることがある。樹脂成分が多すぎると、インク組成物の保存中に樹脂の分散が不安定になったり、わずかな水分の蒸発で樹脂成分が凝集固化したりして均一な被膜が形成できなくなることがある。
本発明に用いるインクに添加する好ましい水溶性浸透溶剤と界面活性剤は、具体的には以下のものが挙げられる。
水溶性浸透溶剤としては、n−ブタノール,1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,2−ペンタンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルであり、これらの含有量はンク組成物全量に対して1〜8重量%が好ましい。
本発明のインクに用いられるアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えばサーフィノール(登録商標)104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、SE、SE−F、61、82、DF−110D(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノール(登録商標)E00、E00P(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が好ましい。
本発明のインクに用いられるシリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社より、シリコン系添加剤BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348等が好ましい。
特に好ましくは、シリコーン系界面活性剤とHLB値が6以下のアセチレングリコール系界面活性剤とを同時に含む組み合わせである。
また、上記界面活性剤の含有量は0.5〜2重量%が好ましい。
上述の水溶性浸透溶剤と界面活性剤を組み合わせて、水性インクの表面張力を23.0mN/m〜40.0mN/mの範囲で用いることが好ましく、より好ましくは25.0mN/m〜35.0mN/mの範囲である。
本発明インクに用いる水溶性樹脂溶剤は、樹脂インクに同時に添加している樹脂エマルジョンと相溶する水溶性溶剤から選ばれる。用いる樹脂によって最適な組み合わせはあるが、具体的には、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン類、ジメチルスルホキシド、ε−カプロラクタム、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等が好ましい。特に、十分な乾燥速度と皮膜化促進の点で、ピロリドン類が特に好ましい。
本発明に用いるインクに添加する水溶性樹脂溶剤は有彩色および/または無彩色のインクさらには着色剤を含まない樹脂インクに添加しても良く、より皮膜を強化する為に有効である。
水溶性樹脂溶剤として具体的には、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ε−カプロラクタム、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサンが挙げられる。
また、上記水溶性樹脂溶剤の添加量は2〜10重量%が好ましい。
本発明のインクに用いる中揮発性保湿剤としては、乾燥時に印刷物塗膜中に残留しないものが好ましく、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2,3−ブタンジオールが挙げられる。
例えばグリセリンのような沸点の低い保湿剤をインクに添加した場合には、特にPETメディアのようなインクの非吸収性の被記録媒体への印刷において、第2乾燥部において非常に大きなエネルギーによる加熱が必要となるため、装置が大型化したり、記録装置稼動時の消費電力が増大したりしてしまうという問題が発生する。第2乾燥部での乾燥が不十分であると印刷物の耐水性や耐擦性が十分得られなかったり、記録装置内での記録媒体送り駆動部で印刷汚れが発生したりする事もある。さらに、本発明において高画質の印刷を得るために第1乾燥部ではインクを50〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%蒸発させる必要があるが、その状態を得るための加熱装置の条件コントロールが非常に難しくなり、装置に多大な負荷をかけてしまう。
水は、本発明に用いるインクの主溶媒であり、好ましい水としては、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いた水性インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
さらに必要に応じて添加するものとして、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属トラップ剤などがあげられる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などが挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、リン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。
金属トラップ剤としては、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム等があげられる。
本発明に係るインクジェット記録装置の全体の概略を示す側面図。 本発明に係るインクジェット記録装置の一例としてのプリンターの記録部の概略を示す側面図。 本発明に係るインクジェット記録装置の一例としてのプリンターの第2乾燥部の内部の概略を示す側面図。 本発明に係る試験1〜7の結果を示す表。 本発明に係る試験8の結果を示す表。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係るインクジェット記録装置1の全体の概略を示す側面図である。
図1に示す如く、インクジェット記録装置1は、被記録媒体の給送部10と、搬送部20と、記録部30と、乾燥装置90と、排出部70とを備えている。
このうち、乾燥装置90は、後述する第1乾燥工程を行う第1乾燥部50および第2乾燥工程を行う第2乾燥部40を有する。
また、給送部10は、被噴射媒体および被記録媒体の一例であるロール状の被記録媒体Fを搬送部20へ給送することができるように設けられている。
具体的には、ロール媒体ホルダー11を有し、ロール媒体ホルダー11がロール状の被記録媒体Fを保持している。そして、ロール状の被記録媒体Fを回動させることにより、送り方向下流側の搬送部20へ被記録媒体Fを給送することができるように構成されている。
尚、本実施形態では、被記録媒体Fとして説明するが、紙でもプラスチックフィルムでもよいのは勿論である。
また、搬送部20は、給送部10から送られた被記録媒体Fを記録部30へ搬送することができるように設けられている。具体的には、第1送りローラー21を有し、送られた被記録媒体Fをさらに送り方向下流側の記録部30へ搬送することができるように構成されている。
またさらに、記録部30は、搬送部20から送られた被記録媒体Fに対して液体の一例であるインクL(図2参照)を吐出して記録を実行することができるように設けられている。
具体的には、記録部30は、媒体支持部としてのプラテン34と、キャリッジ31と、記録ヘッド32とを有している。このうち、プラテン34は、被記録媒体Fを裏面から支持することができるように設けられている。また、キャリッジ31は、プラテン34と対向し、図示しない第1ガイド軸に案内されながら、図示しないキャリッジモーターの動力によって、被記録媒体Fの送り方向Yに対する幅方向Xに移動することができるように設けられている。
また、記録ヘッド32は、キャリッジ31に設けられ、幅方向Xにおいてキャリッジ31と一体に移動することができるように設けられている。さらに、記録ヘッド32は、送り方向Yにおいて、キャリッジ31に対して相対的に移動することができるように構成されている。具体的には、図示しない第2ガイド軸に案内されながら、図示しない記録ヘッドモーターの動力によって、送り方向Yに移動することができるように設けられている。即ち、記録ヘッド32は、プラテン34と対向する範囲において、送り方向Yおよび幅方向Xへ移動することができるように構成されている。そして、記録ヘッド32におけるプラテン34と対向する面に設けられたノズル列33からインクLを吐出することにより、被記録媒体Fに記録を実行することができる。
またさらに、プラテン34には、詳しくは後述するように、被記録媒体Fに吐出されたインクLにおけるインク成分を40〜80重量%蒸発させる第1乾燥部40が設けられている。
また、プラテン34より送り方向下流側には、第2送りローラー43が設けられている。そして、第2送りローラー43は、記録された被記録媒体Fを送り方向下流側である第2乾燥部50へ送ることができるように構成されている。
またさらに、第2乾燥部50は、詳しくは後述するように、被記録媒体Fに吐出されたインクLにおけるインク中の残存成分の一部をさらに蒸発させることができるように構成されている。
また、第2乾燥部50の出口64近傍には、第3送りローラー65が設けられている。第3送りローラー65は、被記録媒体Fの裏面と接触するように配設され、送り方向下流側である排出部70へ被記録媒体Fを送ることができるように構成されている。
またさらに、排出部70は、第2乾燥部50から送られた被記録媒体Fをさらに送り方向下流側へ送り、インクジェット記録装置1の外部へ排出することができるように設けられている。具体的には、排出部70は、第4送りローラー71と、第5送りローラー72と、第6送りローラー73と、第7送りローラー74と、巻き取りローラー75とを有している。このうち、第4送りローラー71および第5送りローラー72は、被記録媒体Fの表面と接触するように配設されている。また、第6送りローラー73および第7送りローラー74はローラー対を成すように配設されている。そして、第6送りローラー73および第7送りローラー74によって排出された被記録媒体Fは、巻き取りローラー75によって巻き取られるように設けられている。
第1乾燥工程について説明する。
図2に示すのは、本発明に係るインクジェット記録装置の一例としてのプリンターの記録部30の概略を示す側面図である。
図2に示す如く、プラテン34には、第1乾燥部40が設けられている。具体的には、第1乾燥部40は、熱伝導式加熱手段41の一例である第1ニクロム線42を有している。第1ニクロム線42は、プラテン34全領域の内部に、プラテン34の上面から一定の距離となるように配設されている。そして、通電されることにより、第1ニクロム線42自体が発熱し、プラテン34を介して接触しているプラテン34上の被記録媒体Fの裏面へ熱を伝達することができる。
ここで、第1ニクロム線42は、プラテン34の全領域に設けられているので、プラテン34の全領域において発熱することができる。そして、プラテン34上は、凹凸のない滑らかな面となっているので、プラテン34の上面は、被記録媒体Fと均一に接触することができる。また、第1ニクロム線42からプラテン34の上面までの距離は一定である。従って、プラテン34上の被記録媒体Fに対して熱を均一に伝導することができる。即ち、被記録媒体Fを均一に温めることができる。
本実施形態の被記録媒体Fは、プラスチック系フィルムである。
記録部30のプラテン34上に送られた被記録媒体Fは、一時停止する。そして、記録ヘッド32がプラテン34の送り方向下流側と対向する位置に位置している状態で、キャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出され記録が実行される。次に、記録ヘッド32がキャリッジ31に対して送り方向上流側へノズル列33の長さ分移動する。そして、キャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出され記録が実行される。
さらに、記録ヘッド32がキャリッジ31に対してさらに送り方向上流側へノズル列33の長さ分移動する。そして、キャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出され記録が実行される。これを、記録ヘッド32がプラテン34の送り方向上流側と対向する位置まで移動し、該状態でキャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出され記録が実行されるまで、複数回繰り返す。即ち、複数回走査する。
その後、被記録媒体Fは、プラテン34の送り方向Yの長さ分、即ち、上記複数回の走査によって記録された領域の送り方向Yの長さ分だけ、送り方向下流側へ送られ、再び一時停止する。そして、複数回の走査によってプラテン34上の被記録媒体Fに対して記録が実行される。所謂、間欠送りで記録を実行する構成である。
ここで、第1乾燥部40は、対流式ではなく、熱伝導式である。従って、記録ヘッド32のノズル列33に温風が直に吹き付けられる虞がない。その結果、記録ヘッド32のノズル列33の状態に影響を与える虞がない。具体的には、ノズル内のインクLが乾燥することによって粘度が上昇し、吐出不良となる虞がない。また、第1乾燥部40は、第2乾燥部50と比較して低温である。低温の程度は、記録ヘッド32のノズル列33の状態に影響を与える虞がない程度である。
第2乾燥工程について説明する。
図3に示すのは、本発明に係るインクジェット記録装置の一例としてのプリンターの第2乾燥部の内部の概略を示す側面図である。
図3に示す如く、第2乾燥部50は、対流式加熱手段51の一例として乾燥炉52を有する。乾燥炉52の内部には、第1区画板59、第2区画板60、第1通口61、第2通口62、媒体支持面53、第2ニクロム線54、クロスフローファン55、第1軸流ファン56、第2軸流ファン57および第3軸流ファン58が設けられている。
このうち、第1区画板59および第2区画板60は、空間A、B、Cを区画するように配設されている。また、第1通口61は、空間Aと空間Cとの間で空気が流れるように設けられている。またさらに、第2通口62は、空間Aと空間Bとの間で空気が流れるように設けられている。また、媒体支持面53は、入り口63から乾燥炉52の内部に送られた被記録媒体Fを支持するように設けられている。
またさらに、第2ニクロム線54は、通電されることにより、第2ニクロム線54自体が発熱し、第1区画板59によって区画された空間Aの空気を加熱することができるように配設されている。具体的には、第1通口61より空間Aに入ってきた空気を加熱する。また、クロスフローファン55は、第2ニクロム線54によって加熱された空気を、空間Aから第2通口62を介して空間Bへ送り出す流れを発生させる。
ここで、クロスフローファンとは、径が比較的小さく横に長いファンをもつものであって、羽根車の一方の半径方向から吸い込み反対側の半径方向から送風するものをいう。横流ファンともいう。
また、第1軸流ファン56〜第3軸流ファン58は、第2区画板60に設けられ、空間Bの温風を空間Cの媒体支持面53上の被記録媒体Fの表面に略垂直に当てるように設けられている。被記録媒体Fに吹付けられた温風は、媒体支持面53の脇を抜けて第1通口61を介して空間Aへと流れるように構成されている。
本実施形態では、媒体支持面53上における第1軸流ファン56〜第3軸流ファン58が吹付ける温風の温度は、60〜100度である。即ち、第1乾燥部40より高温である。そして、水分と比較して蒸発しにくい有機溶剤を、高温で比較的強い風力で一気に蒸発させて、インクLを乾燥させるように構成されている。
このとき、被記録媒体Fの表面のインクLは、前述したように既に粘度が上昇しているので、一気に強い風を吹付けても、インクLが乱れる虞が殆ど無い。具体的には、インクLが、強く吹かれることにより被記録媒体Fの表面上を移動する虞がない。そして、高温で一気に強い風を吹き付けることによって、蒸発させにくい有機溶剤を短時間で効率よく蒸発させることができる。
また、本実施形態において、被記録媒体Fは、前述したように間欠送りされるように構成されている。被記録媒体Fが媒体支持面53上に一時停止する時間は、5〜50秒程である。
この一時停止している間に、被記録媒体Fの表面に吐出されたインクLの蒸発をさらに促進し、乾燥させる事ができる。乾燥の状態は温風の温度と、一時停止する時間の長さと、インク中の有機溶剤成分等で調整する事ができるように構成されている。
特に、被記録媒体がインク成分中の水分や有機溶剤が染み込まない被記録媒体Fである場合、本実施形態の第1乾燥部40および第2乾燥部50による二段階の乾燥は有効である。また、被記録媒体が紙である場合でも、効率よくインクLを乾燥させることができるので有効である。またさらに、インクLを通常より多量に吐出する記録方式の場合にも、効率よくインクLを乾燥させることができるので有効である。
尚、クロスフローファン55および第1区画板59は、入り口63から入って出口64から出る被記録媒体Fの妨げとならないように、幅方向Xにおいて、被記録媒体Fとずれた位置に設けられているものとする。
第2乾燥部において、インク成分の蒸発促進ができず、乾燥が不十分な場合には排出部70において第4送りローラー71〜第7送りローラー74の部分にインクが付着し、さらにそこからの転写により、記録物自体に汚れが発生してしまう事がある。
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、もちろん本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(インク)
〔インクの調製〕
(シアンインク組成1の調整)
着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:3 4重量%
着色剤の分散樹脂として、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(分子量25000、ガラス転移温度80℃、酸価180) 2重量%
樹脂エマルジョンとして、スチレンーアクリル酸共重合体(分子量50000、酸価130、平均粒子径75nm) 2重量%
水溶性浸透溶剤として、1,2−ヘキサンジオール 5重量%
アセチレングリコール系界面活性剤として、サーフィノールDF−110D(商品名、日信化学工業株式会社製) 0.2重量%
シリコーン系界面活性剤として、BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製のポリエーテル変性オルガノシロキサン) 0.6重量%
水溶性樹脂溶剤として、2−ピロリドン 5重量%
中揮発性保湿剤として、プロピレングリコール 10重量%
純水 残量
にて、シアンインクを調整した。
(マゼンタインク組成2およびイエローインク組成3の調整)
有彩色インク1に対して着色剤を組成2:C.I.ピグメントレッド122 を5重量%、組成3:C.I.ピグメントイエロー180を6重量%に代えて、各々マゼンタインク、イエローインクを調整した。
(ブラックインク組成4の調整)
着色剤として、カーボンブラックのMA77(商品名、三菱化学株式会社製 6重量%
着色剤の分散樹脂として、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(分子量25000、ガラス転移温度80℃、酸価180) 2重量%
樹脂エマルジョンとしてスチレンーアクリル酸共重合体(分子量50000、酸価130、平均粒子径75nm) 2重量%
水溶性浸透溶剤として、1,2−ヘキサンジオール 5重量%
アセチレングリコール系界面活性剤として、サーフィノールDF−110D(商品名、日信化学工業株式会社製) 0.2重量%
シリコーン系界面活性剤として、BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製のポリエーテル変性オルガノシロキサン) 0.4重量%
水溶性樹脂溶剤として、2−ピロリドン 5重量%
中揮発性保湿剤として、プロピレングリコール 10重量%
純水 残量
にて、ブラックインクを調整した。
上述の組成1〜4のインクの表面張力はいずれも26mN/mであった。
〔印刷評価〕
被記録媒体として、いわゆる印刷本紙として使用されているグロス系微コート紙のOKトップコート+(商品名、王子製紙株式会社製)、PETメディアのコールドラミネートフィルムPG−50L(商品名、ラミーコーポレーション社製)、一般のオフィスでコピー用紙として普及しているPPC用紙 P(64g/m2、富士ゼロックス社製)について、図1〜3に示す構成のプリンターを用いて印刷評価を行った。
記録ヘッドとしてはインクジェットプリンターPX−B500(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載されているタイプのものを用い、上述のインク組成1〜4を記録ヘッドに充填し、吐出インク重量30ng/dot(ナノグラム/ドット)、360dpi(ドット/インチ)の解像度にて
(1)ブラック1ドットで形成された縦横の罫線
(2)シアン、マゼンタ、イエロー各色の印刷duty100%のベタ
(3)イエローの印刷duty100%のベタの上に3ドットで形成されたシアン、マゼンタ、ブラック各色の罫線を印刷した。
次に、第1乾燥部としてのプラテン34において、取り付けたヒーターの温度を変化させ、第1乾燥部におけるインク成分の蒸発量をコントロールした。印刷後被記録媒体を第2乾燥部としての乾燥炉52に送り、被記録媒体に温風をかける事によりインク成分の蒸発をさらに促進させた。
印刷評価結果は記録物を被験者5人による目視により、
評価(1)においてはA:ビーディング現象なし、B:ビーディング発生
評価(2)においてはA:ベタムラ現象なし、B:ベタムラ発生
評価(3)においてはA:カラーブリード現象なし、B:カラーブリード発生
として判定を行い、過半数の判定を採用した。その結果を表1に試験1〜8として示す。
次に、上述の組成1〜4のインク中の中揮発性保湿剤としてのプロピレングリコール、10重量%を沸点290℃の低揮発性保湿剤であるグリセリン、10重量%に代えて、シアンインク組成5、マゼンタインク組成6、イエローインク組成7、ブラックインク組成8を調整した。
上述の組成5〜8のインクの表面張力はいずれも27mN/mであった。
上述の印刷評価において、インク組成1〜4をインク組成5〜8に代えて、他の条件は試験1〜8と同様にして試験8を行った。その結果を表2に示す。
[効果]
図4の試験1〜7より明らかなように、被記録媒体に付着したインクの50重量%以上を第1乾燥部において蒸発させ、該第1乾燥部より被記録媒体の送り方向下流側に設けられる第2乾燥部でさらに蒸発させる事により、印刷本紙として使用されているグロス系微コート紙のようなインク吸収性能の低い被記録媒体に高速で高画質のインクジェット記録を行う事が可能であった。
さらに、被記録媒体に付着したインクの60重量%以上を第1乾燥部において蒸発させた場合には、PETメディアのようなインクの非吸収性の被記録媒体にも高速で高画質のインクジェット記録を行う事が可能であった。逆にそれらよりも第1乾燥部における蒸発量が少ない場合には、被記録媒体表面でインクの寄り集まり現象によるビーディングやベタムラが発生したり、被記録媒体上で乾燥の不十分なカラーインク同士が混ざり合ってカラーブリードを発生させたりしてしまうものであった。
また、被記録媒体に付着したインクの85重量%以上を第1乾燥部において蒸発させた場合には、一般のオフィスでコピー用紙として普及しているPPC用紙のようなインク吸収性能の高い被記録媒体および印刷本紙として使用されているグロス系微コート紙のようなインク吸収性能の低い被記録媒体には高画質のインクジェット記録を行う事ができたが、PETメディアのようなインクの非吸収性の被記録媒体においては、印刷に寄与するインク量が少なくなってしまうため、ヘッドのスキャン方向の罫線幅が狭くなり、結果としてduty100%のベタ部分で白筋が発生し、被験者らにはベタムラのように感知され、高画質のインクジェット記録を行う事が困難であった。
さらに、被記録媒体に付着したインクの90重量%以上を第1乾燥部において蒸発させた場合には、印刷本紙として使用されているグロス系微コート紙のようなインク吸収性能の低い被記録媒体においてもduty100%のベタ部分で白筋が発生し、高画質のインクジェット記録を行う事が困難であった。
図5より明らかなように、インク組成物中に沸点290℃の低揮発性保湿剤であるグリセリンを含むため、特にPETメディアのようなインクの非吸収性の被記録媒体においては第1乾燥部において適切な量のインクを蒸発させたにも関わらず、適切な量に達するまでの時間が比較的長く必要となるため、さらには付着したインク滴の最表面の乾燥が不十分なため、寄り集まり現象によるビーディングやベタムラが発生し、高画質のインクジェット記録を行う事が困難であった。
すなわち本発明によるインクジェット記録装置およびそれを用いた記録方法によればインク低吸収性または非吸収性の被記録媒体上に高速で高画質記録を行うことが可能であった。この場合、従来から提案されているような記録ヘッドの近傍の一箇所にインクの乾燥を促進するための加熱手段を設けた記録装置およびそれを用いた記録方法に比べて、インク乾燥のための熱が効率良く被記録物に与えられるため、全体として加熱に要するエネルギーも低く抑えられる効果も得られるものとなった。
1…インクジェット記録装置、10…給送部、11…ロール媒体ホルダー、20…搬送部、21…第1送りローラー、30…記録部、31…キャリッジ、32…記録ヘッド、33…ノズル列、34…プラテン、40…第1乾燥部、41…熱伝導式加熱手段、42…第1ニクロム線、43…第2送りローラー、50…第2乾燥部、51…対流式加熱手段、52…乾燥炉、53…媒体支持面、54…第2ニクロム線、55…クロスフローファン、56…第1軸流ファン、57…第2軸流ファン、58…第3軸流ファン、59…第1区画板、60…第2区画板、61…第1通口、62…第2通口、63…入り口、64…出口、65…第3送りローラー、70…排出部、71…第4送りローラー、72…第5送りローラー、73…第6送りローラー、74…第7送りローラー、75巻き取りローラー、90…乾燥装置、F…被記録媒体、L…インク、X…幅方向、Y…送り方向。

Claims (6)

  1. 被記録媒体の表面に対してインクを吐出する記録ヘッドと対向し、前記被記録媒体を裏面から支持する媒体支持部の上で、前記記録ヘッドより前記インクが噴射された前記被記録媒体に対して、前記被記録媒体に付着した前記インクを50〜85重量%蒸発させる第1乾燥工程と、
    前記第1乾燥工程を経た前記被記録媒体を、前記媒体支持部より前記被記録媒体の送り方向下流側で乾燥させる第2乾燥工程と、を行い、
    前記インクは、
    (1)着色剤
    (2)樹脂
    (3)水溶性樹脂溶剤
    (4)中揮発性保湿剤
    (5)水溶性浸透溶剤
    (6)界面活性剤
    (7)水
    を含み、グリセリンを含まず、前記水溶性樹脂溶剤、前記中揮発性保湿剤、前記水溶性浸透剤がいずれも沸点100℃以上250℃以下の有機溶剤であり、前記水の含有量はインクに対して50重量%以上であり、
    前記第1乾燥工程は、熱伝導式であり、
    前記第2乾燥工程は、前記被記録媒体に温風を吹付ける対流式である、記録方法。
  2. 請求項1に記載の記録方法において、
    前記インクに含まれる有機溶剤として、前記水溶性樹脂溶剤、前記中揮発性保湿剤、前記水溶性浸透剤であって沸点100℃以上250℃以下の有機溶剤以外の有機溶剤を含まない、記録方法。
  3. 請求項1または2に記載の記録方法において、
    前記第1乾燥工程が、前記記録ヘッドよりインクが噴射された前記被記録媒体に対して、前記被記録媒体に付着した前記インクを60〜80重量%蒸発させることを特徴とする記録方法。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記被記録媒体は、フィルム材であることを特徴とする記録方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記インクは、少なくとも
    (1)着色剤としての顔料 0.5〜10重量%
    (2)着色剤の分散剤または樹脂エマルジョンまたは水溶性樹脂
    からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の樹脂 0.5〜10重量%
    (3)水溶性樹脂溶剤としてのN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ε−カプロラクタム、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサンからなる群から選択される単独あるいは二種類以上の有機溶剤
    2〜10重量%
    (4)中揮発性保湿剤としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2,3−ブタンジオール
    からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の有機溶剤 2〜15重量%
    (5)水溶性浸透溶剤としてのn−ブタノール,1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,2−ペンタンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル
    からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の有機溶剤 1〜8重量%
    (6)アセチレングリコール系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤からなる群から選択される単独あるいは二種類以上の界面活性剤 0.5〜2重量%
    (7)水 50〜80重量%
    を含むものであることを特徴とする記録方法。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の記録方法において、前記第1乾燥工程の乾燥部が、前記第2乾燥工程の乾燥部よりも低温である、記録方法。
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