JP2008126412A - 画像記録装置および画像記録方法 - Google Patents

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孝 荻野
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Abstract

【課題】記録媒体のカールが抑制されると共にこしが強化され、記録媒体詰まりや画像部のこすれ、記録媒体排出部での積み重ねトラブルが大幅に低減された画像記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に対して着色剤を含有するインクを吐出するインク吐出手段と、記録媒体にエネルギーを供給するエネルギー供給手段と、を備え、前記インクは、前記記録媒体を構成する構成成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有することを特徴とする画像記録装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙等の記録媒体にインクを用いて画像を記録する画像記録装置および画像記録方法に関するものである。
インクジェット記録方式はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、さらにプリンターの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有することから広く注目されてきている。さらに近年では、高画質化、高速化、高信頼化が進んでいるが、普通紙に印刷する機会も多く、普通紙に対する記録適性を向上させることが極めて重要である。これらインクジェット記録方式に用いられるインクとして、水を主成分とするいわゆる水性インクが安全性の点から広く用いられているが、水性インクはインク中の水分が用紙繊維に作用するため、用紙のカールが大きく、また用紙のこしがなくなり、プリンター内での用紙詰まりや画像部のこすれや用紙排出部での積み重ねトラブルが発生してしまう。特に、記録密度の高い画像を印字した場合は、放置乾燥後に発生するカールが大きいといった問題点があり、カール抑制、こしの強化を十分実現できていない。
上記の課題から、水性インクを用いたインクジェット記録方式でのカールを低減するべく検討がなされてきた。
例えば、インク中に飽和糖類を約4〜20質量%添加することで、カール低減を狙ったもの(例えば、特許文献1参照)や、1,3−ジオール類、1,3,5−トリオール類、アミノ−1,3,5−トリオール類、脂肪族ポリアミンポリオキシアルキレン誘導体などからなる群から選択される物質をカール防止剤として含有させたインク組成(例えば、特許文献2参照)などが開示されている。しかしながら、これらはカール改善のレベルが十分であるとはいえなかった。
一方、用紙の面からも様々な検討がなされてきた。例えば、ホルムアルデヒド系樹脂等を用いて水分による伸びを抑えることによりカール低減効果を狙った試みがなされている(例えば、特許文献3,4参照)が、内添で上記処理を実施するとこれら材料の反応性の高さから繊維がフロック化し地合が極端に低下してしまう。またサイズプレス処理において用いたとしても塗工前に反応が開始し、表面サイズ液が増粘・凝集し、カール低減材料が用紙中のセルロースに到達する量が少なくなり、カール低減効果が十分機能せず、有効な解決手段が未だ知られていなかった。また、パルプを原料とする普通紙に対し、用紙の製造段階で有機酸を含有させる方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
これら用紙面からのカール改善手法は、ユーザーの用紙選択の自由度に制約を与えるため、根本的なカール解決手段とはなっていない。
また、pH感応染料を含む第1のインクと、第1のインクの染料を印刷媒体に析出させるpHを有する第2のインクとを含むインクであって、第2のインクの緩衝剤としてクエン酸を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、これは画質改善効果はあるものの、用紙のカール抑制やこしの強化が望めるものではない。
特開平6−240189号公報 特開平6−157955号公報 特開平10−046498号公報 特開2002−201597号公報 特開2006−077356号公報 特開平5−208548号公報
本発明は、上記のような問題点を解消することを目的とし、即ち本発明の目的は、記録媒体のカールが抑制されると共にこしが強化され、記録媒体詰まりや画像部のこすれ、記録媒体排出部での積み重ねトラブルが大幅に低減された画像記録装置および画像記録方法を提供することにある。
上記従来における目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の画像記録装置は、
<1> 記録媒体に対して着色剤を含有するインクを吐出するインク吐出手段と、記録媒体にエネルギーを供給するエネルギー供給手段と、を備え、前記インクは、前記記録媒体を構成する構成成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有する画像記録装置である。
<2> 前記記録媒体を構成する構成成分は水酸基を備え、且つ、前記多塩基酸は、前記水酸基と水素結合力で相互作用可能な基または化学的に反応可能な基を分子内に2つ以上有する前記<1>に記載の画像記録装置である。
<3> 前記多塩基酸は、カルボキシル基または水酸基を分子内に2つ以上有する前記<2>に記載の画像記録装置である。
<4> 前記多塩基酸は、カルボキシル基を分子内に3つ以上有する前記<3>に記載の画像記録装置である。
<5> 前記多塩基酸は、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、オキシジコハク酸、タータレートジコハク酸、カルボキシエチルチオコハク酸、カルボキシメチルチオコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びポリカルボン酸ポリマーから選択される少なくとも1種である前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の画像記録装置である。
<6> 前記エネルギー供給手段は、電磁波を供給する手段である前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の画像記録装置である。
<7> 前記エネルギー供給手段は、マイクロ波および高周波から選ばれる少なくとも1種を供給する手段である前記<6>に記載の画像記録装置である。
また、本発明の画像記録方法は、
<8> 記録媒体に対して着色剤を含有するインクを吐出するインク吐出工程と、記録媒体にエネルギーを供給するエネルギー供給工程と、を有し、前記インクは、前記記録媒体を構成する構成成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有する画像記録方法である。
本発明によれば、記録媒体のカールが抑制されると共にこしが強化され、記録媒体詰まりや画像部のこすれ、記録媒体排出部での積み重ねトラブルが大幅に低減された画像記録装置および画像記録方法を提供することができる。
<画像記録装置および画像記録方法>
本発明の画像記録装置は、着色剤と、記録媒体を構成する構成成分(以下、記録媒体を単に「用紙」と、記録媒体を構成する構成成分を単に「用紙成分」と称することがある。)に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸と、を含有するインクを記録媒体の印字面に対して吐出するインク吐出手段(以下「記録ヘッド」と称す場合がある)、並びに記録媒体にエネルギーを供給するエネルギー供給手段を備えることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず本発明に用いられるインクについて詳述し、その後画像記録装置(方法)について説明する。
−インク−
(多塩基酸)
本発明において用いられるインクは、用紙成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有することを必須の要件とする。尚、上記「用紙成分に作用する基」とは、用紙成分と相互作用可能な基または化学的に反応可能な基を指し、例えば具体的には、用紙成分が水酸基を備える場合であれば、該水酸基と水素結合力で相互作用可能な基または化学的に反応可能な基が挙げられる。
上記用紙成分に作用する基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。これらの中でもカルボキシル基が特に好ましく、本発明における上記多塩基酸としては、カルボキシル基を分子内に3つ以上有する多塩基酸が特に好ましい。
カール改善、用紙のこし改善のメカニズムに関しては、明確ではないが以下のようなメカニズムが働いているのではと推測している。
パルプ紙等の記録媒体(用紙)は、用紙中の主成分であるセルロース構造中に含まれる水酸基が互いに水素結合力で相互作用している。水性インクを用いて印字を行った場合、水が用紙セルロース間の水素結合間に入り込み水素結合部の状態変化が生じるため、用紙変形を引き起こし、また用紙のこしが弱化する。しかし、用紙成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有するインクを用紙に付与し、且つ外部よりエネルギー供給処理を施すことで、繊維間の架橋が効果的に行われ、水の入り込みによる用紙変形、腰の弱化を効果的に抑制することができると推測している。特に、カルボキシル基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有したインクを用いた場合、カルボキシル基と用紙中の水酸基間でエステル化反応が生じ、用紙のこしやカールに対する改善効果がより大きくなっていると推測している。
上記多塩基酸の具体例としては、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、オキシジコハク酸、タータレートジコハク酸、カルボキシエチルチオコハク酸、カルボキシメチルチオコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ポリカルボン酸ポリマーなどが挙げられる。また、これら多塩基酸を加熱することなどで生成する酸無水物を使用してもよい。
上記具体例の中でも、カルボキシル基を3つ以上有する、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、オキシジコハク酸、タータレートジコハク酸、カルボキシエチルチオコハク酸、カルボキシメチルチオコハク酸がより好ましく、特にコストや安全性の観点などから、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が好ましい。
本発明のインク中における上記多塩基酸の添加量としては、インク総質量に対して、0.2〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。添加量が0.2質量%以上であることにより、良好なカール改善効果を得ることができ、一方20質量%以下であることにより、インクの経時劣化や噴射不安定性を効果的に抑制することができる。
(インク組成)
次に、本発明において、インク、或いはインクセットを構成する各色のインクに含まれる着色剤、水溶性有機溶媒、その他の添加剤、また処理液に含まれる水溶性有機溶媒、その他の添加剤について説明する。
本発明に用いられる着色剤は、染料であっても顔料であっても構わない。使用可能な染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、油性染料等を挙げることができる。
また、本発明に用いる着色剤としては、インクの信頼性の観点からスルホ基および/またはその塩を分子内に含む着色剤を用いることが好ましい。また、同様にインク信頼性の観点からカチオン性の着色剤を用いることも好ましい。
本発明において使用される顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料では、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することも可能である。更には、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
前記顔料の具体例としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000ULTRAII、Raven3500、Raven2500ULTRA、Raven2000、Raven1500、Raven1255、Raven1250、Raven1200、Raven1190ULTRAII、Raven1170、Raven1080ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven790ULTRA、Raven780ULTRA、Raven760ULTRA(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。また、黒色顔料としては、マグネタイト、フェライト等の磁性体粒子やチタンブラック等を用いてもよい。
また、着色剤としては水に自己分散可能な顔料も好ましく、該水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で安定に分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−250、Cab−o−jet−260、Cab−o−jet−270、Cab−o−jet−300、IJX−444、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2、さらには日本触媒社から販売されている自己分散顔料等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、−2、−3、−15、−15:1、−15:2、−15:3、−15:4、−16、−22、−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、−7、−12、−48、−48:1、−57、−112、−122、−123、−146、−168、−184、−202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらにイエロー色の顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、−2、−3、−12、−13、−14、−16、−17、−73、−74、−75、−83、−93、−95、−97、−98、−114、−128、−129、−138、−151、−154、−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また各色着色剤として、着色剤が各種樹脂でカプセル化されたいわゆるカプセル染料・顔料を使用してもよい。
一方、本発明に用いられる染料としては、前述の各種染料を用いることができ、例えば水溶性染料としては、C.I.Direct Black−2、−4、−9、−11、−17、−19、−22、−32、−80、−151、−154、−168、−171、−194、−195、C.I.Direct Blue−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−112、−142、−165、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236、−287、−307、C.I.Direct Red−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−15、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110、−189、−227、C.I.Direct Yellow−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−58、−86、−87、−88、−132、−135、−142、−144、−173、C.I.Food Black−1、−2、C.I.Acid Black−1、−2、−7、−16、−24、−26、−28、−31、−48、−52、−63、−107、−112、−118、−119、−121、−156、−172、−194、−208、C.I.Acid Blue−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−83、−90、−102、−104、−111、−185、−249、−254、C.I.Acid Red−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−52、−110、−144、−180、−249、−257、−289、C.I.Acid Yellow−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−18、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76、−78、−79、−122などが挙げられる。
また、分散染料としては、C.I.Disperse Yellow−3、−5、−7、−8、−42、−54、−64、−79、−82、−83、−93、−100、−119、−122、−126、−160、−184:1、−186、−198、−204、−224、C.I.Disperse Orange−13、−29、−31:1、−33、−49、−54、−66、−73、−119、−163、C.I.Disperse Red−1、−4、−11、−17、−19、−54、−60、−72、−73、−86、−92、−93、−126、−127、−135、−145、−154、−164、−167:1、−177、−181、−207、−239、−240、−258、−278、−283、−311、−343、−348、−356、−362、C.I.Disperse Violet−33、C.I.Disperse Blue−14、−26、−56、−60、−73、−87、−128、−143、−154、−165、−165:1、−176、−183、−185、−201、−214、−224、−257、−287、−354、−365、−368、C.I.Disperse Green−6:1、−9などが挙げられる。
本発明に用いられる着色剤は、インクの全質量に対し1〜15質量%の範囲で含まれることが好ましく、2〜10質量%の範囲で含まれることがより好ましい。インク中の着色剤量が1質量%以上であることにより、十分な光学濃度が得られ、着色剤量が15質量%以下であることにより、液体の噴射安定性を得ることができる。
本発明においては、インクに保湿性能を高め液体粘度を調整する材料として水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。
水溶性有機溶媒としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、あるいは、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルオキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
本発明に使用される水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。水溶性有機溶媒はインク全質量に対し1〜60質量%の範囲で含まれることが好ましく、更には5〜40質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
インクには通常水が用いられるが、この水は、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。
インクに含まれる水の含有量は、20〜80質量%の範囲、特に30〜60質量%の範囲とすることが好ましい。20質量%以上であることにより、吐出安定性が得られ良好な吐出を行うことができる。また、80質量%以下であることにより、長期にわたる保存安定性を得ることができる。
インクの液体粘度は、1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。粘度が1mPa・s以上であることにより、記録媒体(用紙)上で十分な増粘が得られ高い画質の画像を形成することができ、また良好な吐出安定性も得られる。一方20mPa・s以下であることにより、良好な吐出安定性が得られ、画像抜け・カスレの発生を効果的に抑制することができる。
さらに、インクには、画像濃度、にじみ、色間にじみ、画像均一性の向上効果を増幅させ、目詰まり、吐出応答性・吐出安定性、保存安定性を調整するために、水溶性樹脂を加えることもできる。特に、インクに水溶性樹脂を含有させると、画質向上効果が大きくなる。これは、水溶性樹脂を添加することにより、着色剤同士のネットワーク化を補助し、インク中にて着色剤が3次元構造をとりやすくするため、特に後述の凝集性処理液を用いる場合には、処理液と混合した際の増粘が促進・増幅されるためであると推測される。また、水溶性樹脂を添加することにより、画像が形成された後も用紙上でネットワーク構造を保持できるため、定着性、耐擦性に優れた画像を提供することができる。
前記水溶性樹脂としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する化合物などが有効に使用でき、具体的には、縮合系重合体および付加重合体などが挙げられる。上記縮合系重合体としてはポリエステル系重合体が挙げられ、一方、付加重合体としてはα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。また、付加重合体としては、例えば、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合したものなどが使用される。さらに、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体も使用できる。
上記親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等がある。
一方、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等がある。
上記親水基および疎水基を有するモノマーを共重合することにより得られる共重合体は、ランダム、ブロック、及びグラフト共重合体等いずれの構造でもよい。
好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの共重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマーを適宜共重合させてもよい。また、酸性官能基を表面に有する顔料との親和性を高め、分散安定性を良くするため、カチオン性の官能基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール等を適宜共重合させてもよい。
また、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレート・アクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も有効に使用できる。
特に限定するわけではないが、水溶性樹脂の親水基はカルボン酸またはカルボン酸の塩であることが好ましい。これは、特に親水基にカルボン酸を用いた場合には、用紙上の着色剤の凝集度合いが適度であるためと考えられる。
これらの水溶性樹脂のうち、親水基が酸性基である共重合体は、水溶性を高めるため、塩基性化合物との塩の状態で使用することが好ましい。
これらの重合体と塩を形成する化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類;モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類;アンモニア;等が使用できる。
好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類の塩基性化合物が使用される。これは、アルカリ金属類は強電解質であり、親水基の解離を促進させる効果があるためと考えられる。
前記水溶性樹脂の中和量としては、共重合体の酸価に対して60%以上中和されていることがより好ましく、更に好ましくは、共重合体の酸価に対して80%以上中和されていることである。
なお、これら水溶性樹脂は、単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。
その他、本発明に用いられるインクには、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、グルコース、フルクトース、マンニット、D−ソルビット、デキストラン、ザンサンガム、カードラン、シクロアミロース、マルチトール等多糖類及びその誘導体、その他ポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を用いることができる。
また、必要に応じて、酸化防止剤、防カビ剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等を含有させてもよい。該キレート化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノ二酢酸(IDA)、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’,N’−五酢酸(DTPA)、グリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(GEDTA)等が挙げられる。
これらに加えて、2次障害が出ない程度に電解質やカチオン性物質を使用してもよい。電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、及びアルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオンなどが挙げられる。
また、本発明に用いられるインクには、浸透剤として界面活性剤等を含有してもよい。
上記界面活性剤としてはノニオン、アニオン、カチオン、両性いずれの界面活性剤でも使用できる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等があげられる。
前記アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、並びに高級アルキルスルホコハク酸塩等を添加してもよい。
前記カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
また、前記両性界面活性剤としては、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等が使用できる。その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーファクタントなども使用できる。
これらの界面活性剤は単独でも2種以上を混合して使用することもできる。インク中に含まれる界面活性剤量は、表面張力や濡れ性の兼ね合いから、インク全質量に対して合計で0.001〜10質量%の範囲であることが望ましい。
本発明に用いられるインクは、表面張力が20〜60mN/mの範囲であることが好ましい。
ここで、上記表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
−インクを凝集及び/または増粘させる処理液(凝集性処理液)−
本発明は、上記インクと共に、インクを凝集及び/または増粘させる成分を含む処理液を用い、両者を用紙表面に吐出する態様であっても構わない。
上記凝集性処理液としては、水、水溶性有機溶媒、界面活性剤を基本成分として含有した処理液が好ましく、また、インクを凝集及び/または増粘させる成分(インク凝集剤)としては、インク中に含まれる着色剤の種類に応じて適宜公知のものを選択することができる。
表面にアニオン性基を有する着色剤を含有するインクに対しては、インク凝集剤として電解質化合物又はカチオン性化合物等を用いることが好ましい。
前記電解質化合物の電解質成分としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオン;塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸;酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び有機スルホン酸、およびその塩等が挙げられる。
上記に列挙した電解質成分を含むインク凝集剤の具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩;塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩、等が挙げられる。
一方、前記カチオン性化合物としては、1級、2級、3級および4級アミンおよびそれらの塩等が挙げられる。
前記カチオン性化合物からなるインク凝集剤の具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩、ポリアミン等が挙げられ、例えば、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
なお、上記に列挙したインク凝集剤の内でも、より好ましいものとしては硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸スズ、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム、モノアリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体等が挙げられる。
一方、表面にカチオン性基を有する着色剤を含有するインクに対しては、インク凝集剤としてアニオン性化合物等を用いることが好ましい。
前記アニオン性化合物としては、有機カルボン酸または有機スルホン酸、およびそれらの塩等が挙げられる。具体的には、有機カルボン酸としては、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等が挙げられ、これらの基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーであってもよい。また、有機スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の化合物が挙げられ、これら基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。
凝集性処理液中に含まれるインク凝集剤は、1種類のみでもよいが2種類以上を用いてもよい。また、凝集性処理液中のインク凝集剤の含有量としては、0.1〜15質量%の範囲内が好ましく、0.5〜10質量%の範囲内がより好ましい。
−記録媒体−
次いで、本発明に用いられる記録媒体について説明する。
本発明にて用いる記録媒体は、水酸基を備えた構成成分を有していることが好ましく、具体的には以下のような記録媒体(用紙)が挙げられる
本発明における用紙は、セルロースパルプ等を原料とするものが好ましく用いられ、下記原紙であってもよく、該原紙表面に顔料やバインダーなどを処理した普通紙であってもよい。前記原紙は、セルロースパルプを含むものであるが、セルロースパルプとしては公知のものを用いることができ、具体的には化学パルプ(例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ、木材、綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ)等が使用できる。
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを加えてもよい。
特にバージンで使用するパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free;ECF)や塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free;TCF)で漂白処理されたものが好ましい。
本発明における用紙の坪量は、特に限定されるものではないが、60〜128g/mの範囲内が好ましく、60〜100g/mの範囲内がより好ましく、60〜90g/mの範囲内が更に好ましい。坪量が128g/m以下であることにより、用紙の腰を適度な強さに制御することができ良好なプリンター用紙走行性が得られる。また60g/m以上であることにより、カール、波打ちの発生をより小さく抑えることができ、更に裏移りの観点からも好ましい。
また抄紙の際には繊維配向比を1.00〜1.55の範囲、好ましくは1.00〜1.40の範囲、さらに好ましくは1.05〜1.35の範囲に調整することが好ましい。このように調整することによって、インクジェット方式で印刷した後の用紙(記録媒体)のカールをより低減することができる。上記繊維配向比とは、超音波伝播速度法による繊維配向比であり、用紙のMD方向(抄紙機の進行方向)の超音波伝播速度を、用紙のCD方向(抄紙機の進行方向に対する垂直方向)の超音波伝播速度で除した値を示すもので、次式で表されるものである。
原紙の超音波伝播速度法による繊維配向比(T/Y比)
=MD方向超音波伝播速度÷CD方向超音波伝播速度
なお、この超音波伝播速度法による繊維配向比はSonicSheetTester(野村商事(株)社製)を使用して測定する。
本発明における用紙は、その表面にカチオンポリマーや多価金属塩を含んでいるものが好ましい。用紙の表面が、カチオンポリマーや多価金属塩を含むことにより、インク中にアニオン高分子を含む場合、これを架橋させることによって、着色剤の極めて早い凝集を可能にすると共に、優れた印字画質を得、かつ、インク溶媒の用紙内部への浸透を抑制すると考えられることから、印字直後に発生するカール及び波打ち、さらに、放置乾燥後のカール及び波打ちの発生を更に改善することができる。
前記多価金属塩としては、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、錫、マンガン、アルミニウムの他の多価金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩等が使用でき、具体的には、塩化バリウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ギ酸亜鉛、塩化錫、硝酸錫、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、ギ酸マンガン、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム等が例示でき、これらは単独又は2種以上併用して利用できる。これら多価金属塩のうち、水への溶解度が高く、価数の高い金属塩が好ましい。さらに多価金属塩の対イオンが強酸であると、付与後の用紙黄変が発生することがあるため、好ましくは、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウムがよい。カチオンポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化澱粉等があるが、これらに限定されるものではない。
前記に列挙したカチオンポリマー、多価金属塩は、表面サイズ液によって表面処理を施す場合には該表面サイズ液に混入させることができ、また別に作製した塗工液を用紙の表面に付与することにより、用紙表面に配することができる。後者の場合に、付与に際しては水に溶解させて得た塗工液を直接用紙に付与してもかまわないが、バインダーと混合して使用されるのが一般的である。
用紙表面に含まれるカチオンポリマー、多価金属塩の含有量としては、0.1〜2.0g/mの範囲であることが好ましく、0.5〜1.0g/mの範囲であることがより好ましい。含有量が0.1g/m以上であることにより、インク中の顔料やアニオン高分子と良好な反応が行われ、結果として高画質画像の形成や、印字直後のカール、波打ち、放置乾燥後のカール、波打ち等の抑制をより効果的に得ることができる。また、含有量が2.0g/m以下であることにより、良好なインクの浸透性が得られ、特に高速印字において良好なインク乾燥性が得られる。
−画像記録方法の各工程−
次に、本発明の画像記録方法における各工程について説明する。
前述の通り、本発明の画像記録方法は、少なくとも下記a)およびb)の工程を有することを特徴とする。
a)記録媒体(用紙)の印字面に対し、着色剤と、用紙成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸と、を含有するインクをインク吐出手段から吐出する工程(インク吐出工程)
b)前記用紙に、エネルギー供給手段からエネルギーを供給する工程(エネルギー供給工程)
尚、上記b)エネルギー供給工程は、a)インク吐出工程の後であることが好ましい。該順序であれば、本発明における前記多塩基酸を用紙内部に浸透させた後に用紙との相互作用を促進することができ、カール改善、こし強化の効果がより顕著に得られる。
また更に、上記b)エネルギー供給工程は、a)インク吐出工程の前後において行うことがより好ましい。前後にエネルギー供給を行うことにより、カール改善、こし強化の効果と共に、より良好な画質(画像濃度)を得ることができる。
a)インク吐出工程
インク吐出工程におけるインク吐出手段は特に限定されず、公知のインク吐出手段を用いることができる。ここでは、図を用いて好ましいインク吐出手段の一例を示す。
図1は、インク吐出手段を示す斜視図である。図1に示すインク吐出手段は、記録ヘッド3の幅が記録媒体(用紙)1幅と同じ又はそれ以上であり、副走査方向(用紙1の搬送方向:矢印X方向)の紙送り機構(本実施形態では搬送ローラ2を示しているが、例えばベルト式の紙送り機構でもよい)と、用紙1の面にインク吐出して画像を形成する画像形成部8(画像形成手段)と、画像形成部8のそれぞれのサブインクタンク5へインクを補給するメインインクタンク4と、から構成されている。
また、図示しないが、サブインクタンク51〜55を副走査方向(用紙1の搬送方向:矢印X方向)に順次配列させるのと同様に、各色を吐出するノズル群も副走査方向に配列させている。
画像形成部8は用紙1の面上にインクによる画像を形成する。画像形成部8は、主として記録ヘッド3と、サブインクタンク5と、給電信号ケーブル9とから構成されている。
サブインクタンク5はそれぞれ異なる色のインクが記録ヘッド3から吐出可能に納められたサブインクタンク51、52、53、54、55を有している。これらには、例えば、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)がメインインクタンク4から補給され納められている。
また、補給装置15はメインインクタンク4と補給管16を介して連結されており、補給装置15によりメインインクタンク4から補給孔を通じてサブインクタンク5へとインクを補給する。なお、図中、サブインクタンク5は補給装置15と常時連結した構成を示しているが、インク補給時に補給装置15と連結する構成でもよい。
ここで、メインインクタンク4も、それぞれ異なる色のインクが納めされたメインインクタンク41、42、43、44、45を有している。そして、これらには、例えば、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)が満たされている。
さらに、記録ヘッド3には給電信号ケーブル9とサブインクタンク5が接続されており、給電信号ケーブル9から外部の画像記録情報が記録ヘッド3に入力されると、記録ヘッド3はこの画像記録情報に基づき各サブインクタンク5から所定量のインクを吸引して記録媒体の面上に吐出する。なお、給電信号ケーブル9は画像記録情報の他に記録ヘッド3を駆動するために必要な電力を記録ヘッド3に供給する役割も担っている。
尚、良好なカール抑制、こし強化の効果を得る観点から、本発明における前記多塩基酸の用紙に対する付与量が0.03〜5.6g/mとなるよう制御することが好ましく、0.1〜2.2g/mとなるよう制御することがより好ましい。多塩基酸の付与量に関しては、インク中への多塩基酸の添加量と、インクの吐出量とを制御することにより調整することができる。
b)エネルギー供給工程
本発明においては、前記インクを付与すると共に、エネルギーを供給することにより、良好なカール改善、こし強化の効果が得られる。本発明においては、エネルギーの供給量を調整することにより架橋の程度を容易に制御でき、所望の効果を容易に得ることができる。
本発明に用いるエネルギー供給手段は特に限定されるわけではないが、好適な例として、ヒータ等による加熱手段、電磁波照射による手段等を挙げることができる。上記ヒータとしては遠赤外ヒータ、抵抗体に電流を流して発熱させるヒータ等が挙げられ、また、上記電磁波照射としてはマイクロ波や高周波の照射が挙げられる。これらの中でも、エネルギー効率および伝達速度の観点から電磁波照射手段がより好ましく、マイクロ波または高周波照射手段が特に好ましい。尚、上記エネルギー供給手段は、エネルギー付与時に記録媒体に接触しても非接触でもどちらでもよい。
ここで、上記ヒータの一態様について、図を用いて説明する。
図2(A)は、加熱手段としての加熱ローラ(電磁誘導加熱装置)を示す概略断面図であり、図2(B)は図2(A)におけるコイル20を詳細に示す概略構成図である。図2(A)に記載の加熱ローラは、弾性層26の表面に、導電層24、表面層22を有し、前記弾性層26の内側にコイル20を有している。コイル20は図2(B)に示すように、温度センサ30を有しており、温度センサ30によって検出された温度に応じ、分割コイル28A〜28Dに交流電流を流す。上記加熱ローラは、後述の図4において加熱ロール72A、72Bで示されるように、用紙を無端ベルト状搬送体66に押し付けるようにして加熱する加熱手段である。
尚、表面層22は、厚さ0.1〜30μmの離型性の高いシートまたはコート層であることが好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−シリコーン共重合体等が挙げられる。また、導電層24は、厚さ1〜50μmの鉄やコバルトの層またはメッキ処理を施したニッケル、銅、クロム等の金属層であることが好ましい。更に、弾性層26は、シリコンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコンゴム等の耐熱性がよく、熱伝導率もよい材質を選択することが好ましく、厚さは10〜500μmが好ましい。また本発明の画像記録装置における加熱ローラの設置条件としては、接触幅(ニップ幅)が1〜10mm、加圧値が0.1〜6kg/cmであることが好ましい。
また、架橋反応を良好に進行させカール抑制及びこしの強化との効果をより効果的に得る観点から、前記加熱ロールによる加熱接触時間は5〜50ms、電磁誘導コイルに流す交流電流の周波数は10〜100kHzであることが好ましい。
また、上記マイクロ波によるエネルギー付与の一態様について、図を用いて説明する。
図3は、エネルギー供給手段としてのマイクロ波発信装置を示す概略断面図であり、図3に記載のマイクロ波発信装置は、マイクロ波を発信させるマイクロ波発信器92と、用紙乾燥室95と、発信されたマイクロ波を前記用紙乾燥室95に導く導波管93と、マイクロ波を反射させる反射板98と、マイクロ波を吸収する電波吸収体96と、支持台101と、を有しており、用紙乾燥室95と支持台101とで挟まれる領域に搬送ベルト99によって用紙が搬送される構造となっている。上記マイクロ波発信装置は、後述の図5においてマイクロ波発信装置90A、90Bで示されるように、無端ベルト状搬送体66を覆うようにして用紙にエネルギーを供給するエネルギー供給手段である。
尚、上記マイクロ波発信装置は、マグネトロン方式を用いている。マグネトロン方式とは、真空管により直流電力をマイクロ波に変えるもので、中心の陰極の周りに2.45GHzに共振する空洞を持った円筒状の陽極があり、これらに対して磁界が垂直にかかるように磁石が設置され、この構造を用いて磁界の中で直流電流を通し、マイクロ波を発生させるものである。
−画像記録装置−
次いで、これらの機構を有する本発明の画像記録装置について説明する。
本発明の画像記録装置は、少なくとも下記A)およびB)の手段を有することを特徴とする。
A)用紙の印字面に、用紙成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有するインクを吐出する手段(インク吐出手段)
B)前記用紙にエネルギーを供給する手段(エネルギー供給手段)
ここで、本発明の画像記録装置について、図を用い、一例を示して説明する。図4は、本発明の画像記録装置の一例を示す概略断面図である。
図4に示す画像記録装置60は、給紙部62と、吸着手段64と、無端ベルト状搬送体66および68と、加熱ローラ(エネルギー供給手段)72Aおよび72Bと、記録ヘッド(インク吐出手段)74と、インクタンク76と、排紙部78と、を有してなる。
図4に示される画像記録装置60の機構を説明すると、給紙部62から供給される用紙は、矢印A1の方向に移動し、吸着手段64によって無端ベルト状搬送体66上に吸着され、記録ヘッド74によってインクが吐出される前に、加熱ローラ72Aによって無端ベルト状搬送体66に押し付けられながら加熱されエネルギーが供給される。その後、用紙は無端ベルト状搬送体68上に移動し、記録ヘッド74によってインクが吐出され画像が形成される。画像が形成された用紙は、無端ベルト状搬送体68の駆動により加熱ローラ72Bの接触部(ニップ部)に移動し、加熱ローラ72Bによって無端ベルト状搬送体68に押し付けられながら加熱されエネルギーが供給される。記録ヘッド74によるインク吐出の前後に用紙に供給されたエネルギーにより、インク中の多塩基酸が用紙成分と架橋反応する。その後、用紙は矢印A2の方向に移動し、排紙部78に排出される。
次に、両面印字の機構を有し、且つエネルギー供給手段としてマイクロ波発信装置を有する本発明の画像記録装置の一例を示す。図5は、両面印字の機構を有する本発明の画像記録装置の一例を示す概略断面図である。
図5に示す画像記録装置80においては、給紙部62における給紙から記録ヘッド74による画像形成の間、エネルギーの供給方法以外は図4に示される画像記録装置60と同様の機構により画像形成が行われる。尚、マイクロ波発信装置90Aおよび90Bによるエネルギーの供給は、前述の機構によって用紙にマイクロ波が照射されて行われる。
画像形成された用紙は、矢印A2およびA3の方向に搬送された後、Tの位置で逆方向に搬送され、矢印B1〜B6の順に搬送されて、再び裏面に画像形成が行われる。両面に画像形成された用紙は、矢印A2およびA3の方向に搬送され、排紙部78に排出される。
本発明の画像記録装置が上記のように、インク吐出手段およびエネルギー供給手段を有していることにより、用紙のカールが抑制されると共にこしが強化され、用紙詰まりや画像部のこすれ、用紙排出部での積み重ねトラブルを大幅に低減することができる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中においては、特に断りのない限り「部」および「%」は質量基準である。
[実施例1]
−インクの調製−
下記の組成に従い、色材分散液または色材含有液中に、水溶性有機溶媒、界面活性剤、イオン交換水を加え、各材料が所定量含まれるように調製し、これを混合・攪拌し、5μmフィルターにかけて、多塩基酸(クエン酸)を含有するインクジェット用インクAを調製した。
(インクジェット用インクA組成)
・クエン酸 4%
・Cabojet−200(キャボット社製) 2.5%
・ジエチレングリコール 10%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
<印字テスト>
インクジェット記録装置として図4に示す記録装置(但しエネルギー供給方法を下記表1および2に示すように変更した記録装置)を用い、試作品であるピエゾ方式の紙幅ライン型ヘッド(ノズル解像度800dpi(1インチ当たりのドット数))を装着してインクを印字した。尚、エネルギー供給手段としては、図2に示す取り外し可能なヒータユニットを用いた。該エネルギー供給の方法を下記表1および2に示す。また印字テストに利用した記録媒体としては、A4用紙(210×297mm、P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)を用いた。
印字テストには、上記のインクAを用い、下記の方法により行った。
インクAを前記試作ライン型ヘッドに充填し、滴量6pLとなるようにヘッドへの印加波形を調整し、記録媒体上に印字を行った。
−印字後のカールの評価−
カールの発生具合を以下の方法により評価した。結果を下記表1および2に示す。
カール評価チャートは、6pLのインク滴、印字解像度800×800dpiで前記記録媒体に150mm×200mmのサイズの画像を印字し、24時間後の用紙変形を評価した。尚、用紙は印字前に23℃50RH%環境に24時間放置して調湿を行ったものを使用した。また、印字時および印字後放置時の環境は23℃50RH%とした。
<カール評価基準>
放置後ほとんど変形しなかったもの :○
放置後変形するが丸まらなかったもの:△
放置後ほとんど丸まったもの :×
[実施例2]
実施例1において、用いるインクを下記インクBに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクB組成)
・クエン酸 5%
・C.I.AcidBlue−9 2.5%
・ジエチレングリコール 15%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例3]
実施例1において、用いるインクを下記インクCに変更し、且つエネルギー供給手段としての加熱を印字の前後に行った以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクC組成)
・クエン酸 3.5%
・カーボンブラック Raven1080 1.5%
(コロンビアン・カーボン株式会社製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 0.5%
・ジエチレングリコール 15%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例4]
実施例1において、用いるインクを下記インクDに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクD組成)
・クエン酸 3.5%
・自己分散顔料分散液 3.0%
(カチオン性顔料、IJX−253、キャボット社製)
・プロピレングリコール 10%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例5]
実施例1において、用いるインクを下記インクEに変更し、且つエネルギー供給手段としての加熱を印字の前後に行った以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクE組成)
・1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸 3.0%
・C.I.AcidBlue−9 2.5%
・プロピレングリコール 10%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例6]
実施例1において、用いるインクを下記インクFに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクF組成)
・1,2,3−プロパントリカルボン酸 2.5%
・C.I.Direct Blue199 2.5%
・プロピレングリコール 5%
・グリセリン 25%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例7]
実施例1において、用いるインクを下記インクGに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクG組成)
・クエン酸 2.0%
・自己分散顔料分散液 3.0%
(カチオン性顔料、IJX−253、キャボット社製)
・プロピレングリコール 10%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例8]
実施例1において、用いるインクを下記インクHに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクH組成)
・クエン酸 5.0%
・自己分散顔料分散液 3.0%
(カチオン性顔料、IJX−253、キャボット社製)
・プロピレングリコール 10%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例9]
実施例1において、用いるインクを下記インクIに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクI組成)
・クエン酸 2.0%
・カーボンブラック Raven1080 1.5%
(コロンビアン・カーボン株式会社製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 0.5%
・ジエチレングリコール 15%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例10]
実施例1において、用いるインクを下記インクJに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクJ組成)
・クエン酸 7.0%
・染料(AR52) 2.0%
・ジエチレングリコール 15%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[実施例11]
実施例2において、エネルギー供給方法としての加熱を印字前のみに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
[実施例12]
実施例2において、エネルギー供給手段を、図3に示すマイクロ波発信装置に変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
[実施例13]
実施例1において、用いるインクを下記インクKに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクK組成)
・マレイン酸 4.0%
・C.I.AcidBlue−9 2.5%
・ジエチレングリコール 10%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[比較例1]
実施例2において、エネルギー付与手段として用いていたヒータユニットを取り外した以外は、同様にして評価を行った。
[比較例2]
実施例1において、用いるインクを下記インクLに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクL組成)
・酢酸 5%
・C.I.AcidBlue−9 2.5%
・ジエチレングリコール 15%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
[比較例3]
実施例1において、用いるインクを下記インクMに変更した以外は、同様にして印字テストを行った。
(インクジェット用インクM組成)
・ピロリドンカルボン酸 3.5%
・C.I.AcidBlue−9 2.5%
・ジエチレングリコール 15%
・グリセリン 20%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製) 1%
・イオン交換水 残量
以上の結果等を下記表1および2に示す。
Figure 2008126412
Figure 2008126412
本発明に用いられるインク吐出手段の一例を示す斜視図である。 (A)は本発明に用いられるエネルギー供給手段としての加熱ローラを示す概略断面図であり、(B)は該加熱ローラにおけるコイルを示す概略断面図である。 本発明に用いられるエネルギー供給手段としてのマイクロ波発信装置を示す概略断面図である。 本発明の画像記録装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の画像記録装置の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 記録媒体(用紙)
2 搬送ローラ
3 記録ヘッド
4 メインインクタンク
5 サブインクタンク
8 画像形成部
9 給電信号ケーブル
15 補給装置
16 補給管
20 コイル
22 表面層
24 導電層
25 弾性層
28A、28B、28C、28D 分割コイル
30 温度センサ
41〜45 メインインクタンク
51〜55 サブインクタンク
60、80 画像記録装置
62 給紙部
64 吸着手段
66、68、99 無端ベルト状搬送体
72A、72B 加熱ローラ
74 記録ヘッド
76 インクタンク
78 排紙部
90A、90B マイクロ波発信装置
92 マイクロ波発信器
93 導波管
95 用紙乾燥室
96 電波吸収体
98 反射板
101 支持台

Claims (8)

  1. 記録媒体に対して着色剤を含有するインクを吐出するインク吐出手段と、
    記録媒体にエネルギーを供給するエネルギー供給手段と、を備え、
    前記インクは、前記記録媒体を構成する構成成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有することを特徴とする画像記録装置。
  2. 前記記録媒体を構成する構成成分は水酸基を備え、
    且つ、前記多塩基酸は、前記水酸基と水素結合力で相互作用可能な基または化学的に反応可能な基を分子内に2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
  3. 前記多塩基酸は、カルボキシル基または水酸基を分子内に2つ以上有することを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
  4. 前記多塩基酸は、カルボキシル基を分子内に3つ以上有することを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
  5. 前記多塩基酸は、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、オキシジコハク酸、タータレートジコハク酸、カルボキシエチルチオコハク酸、カルボキシメチルチオコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びポリカルボン酸ポリマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像記録装置。
  6. 前記エネルギー供給手段は、電磁波を供給する手段であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像記録装置。
  7. 前記エネルギー供給手段は、マイクロ波および高周波から選ばれる少なくとも1種を供給する手段であることを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置。
  8. 記録媒体に対して着色剤を含有するインクを吐出するインク吐出工程と、
    記録媒体にエネルギーを供給するエネルギー供給工程と、を有し、
    前記インクは、前記記録媒体を構成する構成成分に作用する基を分子内に2つ以上有する多塩基酸を含有することを特徴とする画像記録方法。
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