JP4752183B2 - インクセットおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、色再現性に優れたインクセットおよびインクジェット記録方法に関する。
背景技術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。
最近では、複数の有彩色インク組成物を用意し、インクジェット記録によってカラー画像を形成することが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物の三色、さらにブラックインク組成物を加えた四色、さらには、前記四色に加えて、色濃度の低い(ライト)シアンインク組成物と色濃度の低い(ライト)マゼンタインク組成物とを加えた六色によってカラー画像形成を行うことが行われている。
このような複数色のインクによるインクドットを混在させることで、多様な色彩のカラー画像を印刷することができる。
シアン色,マゼンタ色,イエロー色の3種のインクドットを混在させて形成すると、明度の低い(暗い)カラー画像を印刷することができる。例えば、シアン色、マゼンタ色、イエロー色の各色インクドットをほぼ等量ずつ混在させて形成すると、減法混色によって視覚上ではブラックを呈する。このようにして表現されたブラックは、コンポジットブラックと呼ばれる。
一般に、記録媒体には、インクの滲み等による画質の悪化を回避する観点から、単位面積当たりに形成するインクドットの総量に所定の目安が設けられている。このようなインクドット総量の目安の値を通常インクデューティ制限値と呼んでいる。
明度の低い(暗い)カラー画像を印刷するためにコンポジットブラックを用いる場合には三種のインクドットを形成させる必要がある。この場合、インクデューティ制限値を越えてしまうことがあり、結果として画質の劣化を招くことがある。また、インクデューティ制限値が付着されるインク量よりも非常に大きい場合、画像中に空白が残る、所謂白ポチを生じてしまうこともある。そこで、カラープリンタにブラックインクを備えておき、コンポジットブラックの代わりにブラックインク単独のインクドットを用いることが行われている。
しかしながら、一般的に、ブラックインクによるドットはたいへん目立ち易いため、形成される画像によってはそのドットが目立ち、形成された画像に粒状感を生じさせることがある。
さらに、インク組成物にあっては、記録媒体における着色剤の定着性が要求されている。例えば、記録媒体に付着された画像が、指または印刷用具(例えば、ラインマーカ等)等で擦った場合、画像が汚れないとする耐擦過性が要求されている。このような要求に対して、特開2001−81366号公報(特許文献1)では着色剤と樹脂粒子とを含んでなるインクが、特開2002−80761号公報(特許文献2)では、顔料の水性媒体と樹脂粒子を含んでなるインクジェット記録用インク組成物が提案されている。
しかしながら、依然として、各種性能に優れたインク組成物およびインクセット、とりわけ優れた画像再現性、色再現性、および定着性を示すインク組成物およびインクセット並びにそれを用いたインクジェット記録方法への希求が存在している。
特開2001−81366号公報 特開2002−80761号公報
発明の概要
本発明者等は、今般、ブラックインク組成物における着色剤として自己分散型の表面処理顔料と二種以上の樹脂粒子とを組合せたものを使用し、かつ有彩色インク組成物における着色剤としてポリマーにより分散された顔料を使用することにより、ブラックの表現が必要なカラー印刷画像において、優れた画像再現性、色再現性および定着性を実現することができることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、画像再現性、色再現性、および定着性に優れた画像の印刷を実現することができるインクセットおよびインクジェット記録方法の提供をその目的としている。
よって、本発明の第一の態様によるインクセットは、ブラックインク組成物と、一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるインクセットであって、
前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種は膜化温度0℃未満のものであり、少なくともその一種は膜化温度30℃以上のものであり、かつ
前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないものである。
また、本発明の第二の態様によるインクセットは、ブラックインク組成物と、少なくとも一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるインクセットであって、
前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種は膜化温度0℃未満のものであり、少なくともその一種は膜化温度30℃以上のものであり、かつ
前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、
A)式(I):
Figure 0004752183
(式中、R水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30表す。)
で表されるモノマーA1、
式(II):
Figure 0004752183
(式中、R、Rおよびnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30を表し、[ ]内のオキシエチレン基およびオキシプロピレン基はブロックまたはランダム付加のいずれであってもよい。)で表されるモノマーA2、および
式(III):
Figure 0004752183
(式中、R、Rおよびnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す。)
で表されるA3から選ばれる、少なくとも一種のモノマーの5〜45重量%と、
B)塩生成基を有するモノマーの3〜40重量%と、
C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマーの5〜40重量%と、
D)前記モノマーA)、B)、およびC)と共重合可能なモノマーの0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーである、インクセット。
また、本発明の第三の態様によるインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物として、ブラックインク組成物と、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物とを用い、
前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種は膜化温度0℃未満のものであり、少なくともその一種は膜化温度30℃以上のものであり、
前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないものであり、かつ、
前記有彩色インク組成物を組み合わせて印刷するインクドットが無彩色または明度の低い有彩色である場合に、前記有彩色インク組成物の組み合わせに代えて、前記ブラックインク組成物を吐出させることによりインクドットを印刷することを特徴とするものである。
また、本発明の第四の態様によるインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物として、ブラックインク組成物と、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物とを用い、
前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種は膜化温度0℃未満のものであり、少なくともその一種は膜化温度30℃以上のものであり、
前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、ブラックインク組成物と、少なくとも一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるインクセットであって、
前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種は膜化温度0℃未満のものであり、少なくともその一種は膜化温度30℃以上のものであり、かつ
前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、
A)式(I):
Figure 0004752183
(式中、R水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30表す。)
で表されるモノマーA1、
式(II):
Figure 0004752183
(式中、R、Rおよびnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30を表し、[ ]内のオキシエチレン基およびオキシプロピレン基はブロックまたはランダム付加のいずれであってもよい。)で表されるモノマーA2、および
式(III):
Figure 0004752183

(式中、R、Rおよびnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す。)
で表されるA3から選ばれる、少なくとも一種のモノマーの5〜45重量%と、
B)塩生成基を有するモノマーの3〜40重量%と、
C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマーの5〜40重量%と、
D)前記モノマーA)、B)、およびC)と共重合可能なモノマーの0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーであり、かつ、
前記有彩色インク組成物を組み合わせて印刷するインクドットが無彩色または明度の低い有彩色である場合に、前記有彩色インク組成物の組み合わせに代えて、前記ブラックインク組成物を吐出させることによりインクドットを印刷することを特徴とする。
本発明によるインクセットによれば、普通紙に印刷した場合に生ずることがある所謂白ポチの発生またはカラーブリードの発生を防止し、また記録媒体の画像の耐擦過性を向上させることができる。本発明によるインクセットを使用することにより、または本発明の記録方法を適用することにより、画像再現性、および色再現性に優れた画像の印刷を行うことができる。
発明の具体的説明
インクセット
本発明によるインクセットは、ブラックインク組成物と、少なくとも一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるものである。
ここで、「有彩色インク組成物」とは、カラー、即ち、彩度を有する色(有彩色)を示すインク組成物を意味し、所謂有彩色印刷を行うことができるもの意味する。これは、彩度を有さない無彩色のみを印刷するブラックインク組成物との対比において使用されるものである。「有彩色」としては、例えば、シアン、マゼンタおよびイエロー等の色が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、前記有彩色インク組成物は、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物からなることが好ましい。ここで、「互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能」とは、使用される複数の有彩色インク組成物により形成される各インクドットを組み合わせることによって無彩色を表現できる場合のことをいい、このように無彩色を表現できるのであれば、各有彩色インク組成物の濃度および使用量は特に限定されない。
本発明のより好ましい態様によれば、前記有彩色インク組成物は、シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物とからなることが好ましく、さらに好ましくは、前記有彩色インク組成物は、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物と、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物と、イエローインク組成物とからなる。
ブラックインク組成物
(1)表面処理顔料
ブラックインク組成物に含まれる表面処理顔料とは、顔料表面に多数の親水性官能基および/またはその塩を、直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解が可能とされたものでいう。このことから、本発明による表面処理顔料は自己分散型顔料とも呼ばれることがある。本発明において、顔料が分散剤なしに水中に安定に存在している状態を「分散および/または溶解」と表現する。物質が溶解しているか、分散しているのかを明確に区別することが困難な場合も少なくない。本発明にあっては、分散剤なしに水中に安定に存在しうる顔料である限り、その状態が分散か、溶解かを問わず、そのような顔料を利用可能である。よって、本明細書において、分散剤なしに水中に安定に存在しうる顔料を水溶性顔料ということがあるが、顔料が分散状態にあるものまでも排除することを意味するものではない。
「親水性官能基および/またはその塩」の具体例としては、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、ホスホノ基、または第四級アミン基の少なくとも一種の官能基またはその塩が挙げられる。このような親水性官能基等を顔料に施す方法の具体例としては、物理的処理または化学的処理が挙げられる。物理的処理の具体例としては、真空プラズマ処理等が挙げられ、化学的処理の具体例としては、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、表面処理顔料は、顔料を次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、あるいはオゾンによる酸化処理したものにより得られるものが好ましい。これらの処理により得られる表面処理顔料は高い発色性を有するので好ましい。
本発明において用いられる表面処理顔料は、例えば特開平8−3498号公報記載の方法によって得ることができる。また、上記顔料として市販品を利用することも可能であり、好ましい例としてはオリエント化学工業株式会社製のマイクロジェットCW1が挙げられる。
本発明による表面処理顔料の平均粒径は、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点から、50〜250nmの範囲であることが好ましい。本発明において、表面処理顔料の添加量はブラックインク組成物全量に対して、1重量%以上15重量%以下が好ましく、より好ましい上限値は10重量%であり、より好ましい下限値は2重量%である。
(2)樹脂粒子
本発明によるブラックインク組成物は、二種以上の樹脂粒子を含んでなり、この二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種は膜化温度0℃未満のものであり、少なくともその一種は膜化温度30℃以上のものである。
膜化温度は、樹脂粒子を水に溶解または分散させて得られた水溶液または水性分散液をアルミニウム等の金属板の上に薄く塗布して、規定温度乾燥させた状態を観察して判断する。膜化するものは、透明な連続フィルムの形成され、膜化しないものは白濁状となる。
樹脂粒子を構成する樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂およびこれらの混合物からなる群より選択されるものが好ましくは挙げられる。これらの樹脂はホモポリマーまたはコポリマーして利用されて良く、単相構造または複相構造(コアシェル型)の何れのものとして利用されてよい。
本発明による二種以上の樹脂粒子のいずれか一方は、不飽和単量体および/または架橋性単量体等を水性媒体中で乳化重合して得られた樹脂粒子のエマルジョンの形態であることが好ましい。樹脂粒子がエマルジョンの形態でインク組成物に添加されることにより、樹脂粒子が均一に分散性し、インク組成物の保存安定性を向上させることができる。この樹脂粒子のエマルジョンの好ましい形態としては、アクリルエマルジョンが挙げられる。
樹脂粒子のエマルジョンは、例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)または特定の架橋性単量体等を重合開始剤または界面活性剤を存在させた水性媒体中において乳化重合することによって得ることができる。また、不飽和単量体または特定の架橋性単量体等を重合開始剤または界面活性剤を用いて重合体とし、この重合体を水性媒体中において分散/溶解することにより得ることができる。
不飽和単量体の具体例としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類等が挙げられる。これらの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
特定の架橋性単量体の具体例としては、重合可能な二重結合を二つ以上有するものが挙げられ、そのような具体例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
単量体の重合の際に、連鎖移動剤、中和剤等を利用してもよい。中和剤の具体例としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましい)が挙げられる。
樹脂粒子の平均粒子径は、50〜250nmであることが好ましい。平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)または粒度分布測定機LPA3100(大塚電子(株)製)等を利用して測定されてよい。
本発明において、樹脂粒子(固形分換算)の添加量は、好ましくは、ブラックインク組成物の全量に対して、0.5重量%以上10重量%以下であり、より好ましい上限値は7.5重量%であり、好ましい下限値は1重量%である。
樹脂粒子の添加量または平均粒径が上記の範囲にあることにより、ブラックインク組成物の安定性および信頼性を向上させることが可能となる。
(3)水、その他の成分

本発明によるブラックインク組成物は水を主溶媒として含んでなる。水はイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水の利用が、カビまたはバクテリアの発生を防止しインク組成物の長期保存を可能にするので好ましい。
水溶性有機溶媒
本発明によるブラックインク組成物は、水溶性有機溶媒を含んでなることが好ましい。水溶性有機溶媒は、主として、ブラックインク組成物の浸透剤、保湿剤、粘性調整剤等として機能するものである。水溶性有機溶媒の具体例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレンフリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテンー1,4−ジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−メチルー2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、尿素類等のいわゆる固体湿潤剤、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの一種または二種以上を利用することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記した水溶性有機溶媒の中で、多価アルコール、グリコール系ブチルエーテル、ピロリドンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましく、より好ましく多価アルコールと、グリコール系ブチルエーテルと、ピロリドンとの組合せが好ましい。この組合せをブラックインク組成物に添加すると、ブラックインク組成物の印刷品質、吐出安定性、目詰まり防止等の信頼性を向上させることができる。
多価アルコールの好ましい具体例としては、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものである。グリコール系ブチルエーテルの好ましい具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよび/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられ、ピロリドンの好ましい具体例としては2−ピロリドンが挙げられる。
水溶性有機溶媒の添加量は、好ましくは、ブラックインク組成物の全量に対して、5重量%以上40重量%以下であり、より好ましい上限値は30重量%であり、より好ましい下限値は10重量%である。
界面活性剤
本発明によるブラックインク組成物は、界面活性剤を含んでなることが好ましい。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が挙げられ、発泡または起泡の発生が少ないインク組成物を得るという理由から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられ、特に、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤はインク組成物に添加された場合、発泡性が少なく、また優れた消泡性機能を有するので好ましいで。アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、好ましくは、ブラックインク組成物の全量に対して、0.05重量%以上3重量%以下であり、より好ましい上限値は2.0重量%であり、好ましい下限値は0.1重量%である。
pH調整剤
本発明によるブラックインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでなることが好ましい。pH調整剤の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。pH調整剤を添加することにより、インク組成物のpHが6〜10に調整されることが好ましい。インク組成物のpHがこの範囲に調整されることにより、インクジェットプリンタを構成する材料等に悪影響を及ぼさず、またインク組成物の記録ヘッドの目詰まりを有効に防止することができる。よって、pH調整剤の添加量は、インク組成物のpHが6〜10に調整される程度の量が好ましい。
その他の成分
本発明によるブラックインク組成物は、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐または防カビ剤、キレート化剤等が添加されてよい。
pH緩衝剤の具体例としては、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等が挙げられる。
酸化防止剤または紫外線吸収剤の具体例としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類等、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024等、あるいはランタニドの酸化物等が挙げられる。
防腐剤または防かび剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Avecia社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。
有彩色インク組成物
本発明における有彩色インク組成物は、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなるものである。
本発明において、顔料はポリマーにより包含された結果、粒子の形態をとることとなる。この粒子は、後記する顔料とポリマーとから調製される。詳細は後記するが、簡潔に述べれば、顔料と、有機溶媒に溶解または分散されたポリマーと、水と、必要により中和剤とを混合分散し、前記有機溶媒を除去し、脱溶媒物を分散して顔料を包含した粒子を得ることができる。
(1)顔料
本発明の有彩色インク組成物に含有される顔料としては、従来からインクジェット用のインク組成物に使用されている有機顔料を用いることができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、またはアニリンブラック等を用いることができる。
有彩色インク組成物として、シアンインク組成物を使用する場合には、シアンインク組成物の着色剤としては、シアン顔料が好ましい。
このようなシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4および60等が好ましく用いられ、特に、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
また、有彩色インク組成物として、マゼンタインク組成物を使用する場合には、マゼンタインク組成物の着色剤としては、マゼンタ顔料が好ましい。
このようなマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、202、209およびC.I.ピグメントバイオレット19等が好ましく用いられ、特に、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
有彩色インク組成物として、イエローインク組成物を使用する場合には、イエローインク組成物の着色剤としては、イエロー顔料が好ましい。
このようなイエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74、93、109、110、128、138、150、151、154、155、180、185等が挙げられる。
これらのシアン顔料、マゼンタ顔料およびイエロー顔料は、それぞれ一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、有彩色インク組成物は、イエローインク組成物と、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物と、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物とからなるものであってもよい。なお、ここで色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物とは、濃度の濃い方のマゼンタインク組成物と、濃度の薄い方のマゼンタインク組成物(以下、「ライトマゼンタインク組成物」ということがある)とからなる。また、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物とは、濃度の濃い方のシアンインク組成物と、濃度の薄い方のシアンインク組成物(以下、「ライトシアンインク組成物」ということがある)とからなる。ライトマゼンタインク組成物およびライトシアンインク組成物は、顔料およびその他の成分を適宜選択し、またそれらの配合量を適宜変更することによって、その色濃度を低下させることにより調製することができる。
さらに、有彩色インク組成物としては、シアン、マゼンタまたはイエローインク組成物以外の有彩色インク組成物、例えば、オレンジインク組成物やグリーンインク組成物を用いてもよく、これらに用いられる顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ36,43等のオレンジ顔料、C.I.ピグメントグリーン7,36等のグリーン顔料が挙げられる。
(2)ポリマー
(a)第一の態様によるインクに用いられるポリマー
本発明の第一の態様によるインクにおいて用いられるポリマーは、疎水性基と親水性基とを有し、顔料を包含しながらそれを水中に分散可能とし、かつ実質的にインク組成物中において溶解していないものである。
本発明においてポリマーは、30〜125 KOH mg/gの酸価を有するものであることが好ましく、より好ましい下限は50 KOH mg/gであり、より好ましい上限は100 KOH mg/gである。
本発明においてポリマーは、数平均分子量として1,000〜200,000を有するものであることが好ましく、より好ましい下限は3,000であり、より好ましい上限は150,000である。
さらに本発明においてポリマーは、解離性の親水性基(例えば、カルボキシル基)の塩生成率、すなわち中和率が100%未満に、後述の顔料包含工程またはインク組成物の配合工程に調整される。本発明の好ましい態様によれば、中和率の下限は60%が好ましく、その上限は95%であることが好ましい。
上記ポリマーは、後記する工程により顔料を包含するものとされ、同時に顔料をインク組成物中に分散させるものとなる。さらに、上記ポリマーはそれ自体インク組成物中において実質的に溶解していない。従って、本発明によるインク組成物において顔料を包含したポリマー粒子はほぼ明確な粒径を観念できるものである。上記ポリマーの利用により、顔料を安定に分散させ、かつ定着性の良好な画像を実現できる。
本発明の好ましい態様によれば、ポリマーが有する疎水性基は、アルキル基、シクロアルキル基および芳香環から選ばれた一種以上であることが好ましい。芳香環の好ましい例としては、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等)およびその誘導体が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、ポリマーが有する親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびそれらの塩基から選ばれた一種以上であることが好ましい。
本発明においてポリマーは、二重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーまたはオリゴマー類から得ることができる。
本発明においてポリマーを構成するモノマーの具体例として、芳香環を有したものとして、例えばスチレン、(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。またその他のモノマーとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルメタクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他含フッ素、含塩素、含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等を用いることができる。また、上記の一官能基モノマーの他に、ポリマー中に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール及び1,10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。また、芳香環を含むポリマーとしてスチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリイミドと、その他のポリマーとしてポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた一種以上を主成分とするようにこれらのポリマーを添加しながら作成することもできる。
本発明において用いられるポリマーは、上記モノマーを重合して調製されるが、好ましい重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができる。
本発明において用いられるポリマーは、乳化重合により好ましく調製することができる。また、乳化重合にあたり、連鎖移動剤を用いることもできる。その具体例としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどが挙げられる。
また、本発明の好ましい態様によれば、ポリマーは、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた一種以上を主成分とするものからなることができる。
更に、本発明においてポリマーは、重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。ここで、重合性基を有する分散剤とは少なくとも疎水性基、親水性基、および重合性基を有するものを意味する。重合性基の具体例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基等であり、共重合性基も同じくクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基等が挙げられる。
(b)第二の態様によるインクに用いられるポリマー
本発明の第二の態様によるインクにおいて用いられるポリマーは、下記A)〜D)のモノマーを重合させてなるものである。
モノマーA)
モノマーA)は、下記の式(I)で表されるモノマーA1、下記式(II)で表されるモノマーA2、および式(III)で表されるA3から選ばれる少なくとも一種のモノマーを意味する。
A)式(I):
Figure 0004752183
(式中、R水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30表す。)
で表されるモノマーA1、
式(II):



Figure 0004752183
(式中、R、Rおよびnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30を表し、[ ]内のオキシエチレン基およびオキシプロピレン基はブロックまたはランダム付加のいずれであってもよい。)で表されるモノマーA2、および
式(III):
Figure 0004752183
(式中、R、Rおよびnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す。)
モノマーA1の具体例としては、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
モノマーA2の具体例としては、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。
商業的に入手しうるモノマーA1またはA2の例としては、日本油脂(株)製のブレンマーPP-1000、PP-500、PP-800、AP-150、AP-400、AP-550、AP-800、50PEP-300、70PEP-350B、AEPシリーズ、30PPT-800、50PPT-800、70PPT-800、APTシリーズ、10PPB-500B、10APB-500B、50POEP-800B、50AOEP-800B、ASEPシリーズ、PNEPシリーズ、PNPEシリーズ、43ANEP-500、70ANEP-550等が挙げられる。
モノマーA3具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
商業的に入手うるモノマーAの具体例としては、新中村科学(株)製のNKエステル M-20G、40G、90G、230G、日本油脂(株)のブレンマーPEシリーズ、PME-100、200、400、1000等が挙げられる。
ビニルポリマーにおける(メタ)アクリル酸エステルモノマーAの含量は、印字濃度及びインク粘度の観点から、5〜45重量%、好ましくは5〜35重量%である。
モノマー B)
モノマーBは、塩生成基を含んでなるモノマーである。
この塩生成基含有モノマーとしては、アニオン性モノマーまたはカチオン性モノマーの利用が好ましい。アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーは、それぞれ単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーの具体例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、および不飽和リン酸モノマーからなる群より選ばれた一種以上が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーとしては、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーとしては、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。これらのうち、特にN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、およびN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが好ましい
塩生成基含有モノマーB)の含量は、分散安定性及び吐出安定性の観点から、3〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。
モノマー C)
モノマーC)は、数平均分子量1,000〜10,000のポリスチレン系マクロモノマーである。
マクロモノマーの好ましい例としては、片末端に重合性官能基を有し、好ましくは数平均分子量が500〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000であるマクロマーが挙げられる。
マクロモノマーの具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー等が挙げられる。これらのうち、ビニルポリマーが着色剤と十分に含有し得るものであることから、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーを構成するスチレン以外のモノマーとしては、アクリロニトリルが挙げられる。また、スチレンの含有量は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では片末端に重合性官能基としてアクリルロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものであることが好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成(株)製のAS-6、AN-6、AN-6S、HS-6S、HS-6等が挙げられる。
マクロマーC)の含量は、耐水性及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
モノマー D)
モノマーD)は上記モノマーA)、B)、およびC)と共重合可能なものであり、その具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香環含有モノマー、マクロマーが挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。このモノマーD)には、耐水性及び耐擦過性の観点から、芳香環含有モノマー及びマクロマーからなる群より選ばれた1種以上が含有されていることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソまたはターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記「(イソまたはターシャリー)及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸およびネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた1種以上が、耐水性及び耐擦過性の観点からより好ましい。
以上のモノマーA)、B)、C)、およびD)を重合させてなるビニルモノマーにおけるこれらのモノマーの存在量は、モノマーA)が5〜45重量%(好ましくは10〜35重量%)、モノマーB)が3〜40重量%(好ましくは5〜35重量%)、モノマーC)が5〜40重量%(好ましくは10〜35重量%)、モノマーD)が0〜87重量%(好ましくは0〜75重量%)である。
ビニルポリマーの重量平均分子量は、印字濃度と吐出安定性の観点から、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜200,000である。
顔料を包含するポリマー粒子分散液の調製
本発明において用いられる顔料を包含したポリマー粒子分散液は、具体的には、特開2001−247810号公報に記載の方法によって調製することができる。例えば、以下の工程により好ましく調製することができる。すなわち、
(1)水溶性有機溶媒に溶解したポリマー溶液と、顔料と、必要により中和剤とを混合して、溶剤分散液を調製する工程
(2)この分散液を水相に展開して水性の懸濁液を調製する転送乳化工程
(3)溶剤分散液調整時に添加してある水溶性有機溶媒を蒸留して除き、顔料をポリマー粒子で包含する工程からなる。
中和剤は、適宜決定されてよいが、アルカリとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの三級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがあげられる。また、酸としては、塩酸、硫酸などの無機塩基、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸などの有機酸が利用可能である。
有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。
また、顔料をポリマーで包含する工程は分散機を利用出来、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなどの分散機を用いて分散する。より好ましくは、分散メディアの破砕片等が混入しにくい高圧ホモジナイザーが挙げられる。
このようにして得られたポリマー粒子の粒径は、好ましくは25〜250nm程度であり、より好ましくは下限が30nm程度であり、上限が175nm程度である。
これらの顔料と、それを包含するポリマーの重量比は、5:95〜95:5が好ましく、10:90〜90:10がより好ましい。顔料の添加量は、ポリマーに包含された形態で、かつ顔料のみの重量基準で、好ましくは、有彩色インク組成物全量に対して、0.5重量%以上15重量%以下であり、より好ましい上限値は10重量%であり、より好ましい下限値は1重量%である。
(3)水、その他の成分
本発明において有彩色インク組成物は、主溶媒として水を含んでなる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビまたはバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
水溶性有機溶媒
有彩色インク組成物は、水溶性有機溶媒をさらに含んでなることが好ましい。水溶性有機溶媒は、主として、ブラックインク組成物の浸透剤、保湿剤、粘性調整剤等として機能するものである。
水溶性有機溶媒は先にブラックインク組成物で述べたの同様であってよいが、より具体的な例としては、メタノール、エタノール、n−プロバノール、iso−プロバノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−プタノール、n−ペンタノール等の一価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類が挙げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、例えばグリコールモノ−n−ブチルエーテルが特に好ましいものとして挙げられる。
このようなグリコールモノ−n−ブチルエーテルとしては、例えば、エチレングルコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、またはジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルから選ばれるものが好ましいものとして挙げられる。これらは二種以上を併用しても良い。
水溶性有機溶媒の添加量は、好ましくは、有彩色インク組成物の全量に対して、0.25重量%以上15重量%以下であり、より好ましい上限値は10重量%であり、より好ましい下限値は0.5重量%である。
界面活性剤
本発明による有彩色インク組成物は、界面活性剤をさらに含んでなるものが好ましい。界面活性剤の具体例および好ましい界面活性剤の具体例等は先にブラックインク組成物において説明したものと同様であってよい。本発明の好ましい態様によれば、本発明による有彩色インク組成物は、界面活性剤(特にノニオン性界面活性剤)と、前記した水溶性有機溶媒とに組合せを添加したものが好ましい。
また、本発明の好ましい別の態様によれば、本発明によるインクセットを構成するブラックインク組成物と有彩色インク組成物のいずれもが、同時にノニオン性界面活性剤と浸透剤としての水溶性有機溶媒とをさらに含んでなるものであることが好ましい。このようなインクセットによれば、色再現性がより優れた画像を印刷することができる。
界面活性剤の添加量は、好ましくは、有彩色インク組成物の全量に対して、0.05重量%以上3重量%以下であり、より好ましい上限値は2.0重量%であり、より好ましい下限値は0.1重量%である。
1,2−アルカンジオール
本発明において、有彩色インク組成物は1,2−アルカンジオールをさらに含んでなることが好ましい。
このような1,2−アルカンジオールとしては、その炭素数が4〜10の1,2−アルカンジオールからなる群より選択されるものが好ましい。この場合、1,2−アルカンジオールは混合して添加してもよい。
本発明の好ましい態様において、1,2−アルカンジオールは、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、およびそれらの混合物からなる群より選択される。これらは、記録媒体への浸透性に優れている点でより好ましい。
本発明のより好ましい態様においては、前記1,2−アルカンジオールは、1,2−ヘキサンジオール、または1,2−ペンタンジオールであるのが好ましく、さらに好ましくは、1,2−ヘキサンジオールである。
1,2−アルカンジオールの添加量は、好ましくは、有彩色インク組成物の全量に対して、0.25重量%以上15重量%以下であり、より好ましい上限値は10重量%であり、より好ましい下限値は0.5重量%である。
その他の成分
本発明の好ましい態様によれば、有彩色インク組成物は、インクジェット記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止するためにポリオール類を含んでなることが好ましい。このようなポリオール類としては、水溶性のあるポリオール類が好ましく、その例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、チオジグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクラム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類を用いることもできる。さらに、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類として、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどを添加することもできる。さらにこれらの糖類の誘導体も用いることができ、例えば、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ糖などが挙げられる。このうち特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。また、市販品である、HS−500、HS−300等(林原生物化学研究所製)を入手して使用してもよい。これらは、二種以上を混合して使用してもよい。
これらの目詰まり防止成分の添加量は、好ましくは、有彩色インク組成物の全量に対して、5重量%以上40重量%以下であり、より好ましい上限値は30重量%であり、より好ましい下限値は10重量%である。
また、これらの成分は、他のインク添加剤と合わせてインク粘度が25℃で25cPs以下になる添加量で加えることが好ましい。
本発明による有彩色インク組成物は、その諸特性を改善するために、その他の任意成分、例えば、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、導電率調整剤、表面張力調整剤、または酸素吸収剤などをさらに含んでなることができる。これらその他の任意成分の具体例は先のブラックインク組成物において説明したものと同様のものが挙げられる。
インク組成物の調製
本発明によるインク組成物は、上記した成分を、分散/混合機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等)に供給し、分散させることにより調製されてよい。本発明の好ましい態様によれば、上記した分散/混合機により得られたインク原液をメンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、粗大粒子を除去することが好ましい。
インクセットの用途
本発明によるインクセットは、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印刷方式が挙げられる。本発明によるインクセットは、インク組成物を記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法に用いられ、好ましくはインクジェット記録方法に用いられる。
記録方法
本発明の別の態様によれば、インク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として、ブラックインク組成物と、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物とを用いる。本発明の好ましい態様によれば、このようなインクセットとして、上記した本発明によるインクセットを用いる。そしてさらに、有彩色インク組成物を組み合わせて印刷するインクドットが無彩色または明度の低い有彩色である場合に、有彩色インク組成物の組み合わせに代えて、ブラックインク組成物を吐出させることによりインクドットを印刷する。このようなインクジェット記録方法により、普通紙に印刷した場合に生ずることがある所謂白ポチの発生またはカラーブリードの発生を防止することが出来る。また、画像再現性、および色再現性に優れた画像の印刷が可能となる。
この記録方法において、明度の低い有彩色とは、以下の意味である。YMC各インクの打ち込み量はYMCのドットデータを元に決められ、YMCドットデータは画像のRGBデータを元にする。そして、本発明にあっては、RGBの各256階調の中で、R255/G255/B255の「白」からR0/G0/B0の「黒」の範囲において、R240、G180、B200以下の領域を「明度の低い有彩色」とする。従って、本発明による方法にあっては、RGBの各々が、R240、G180、B200以下の領域から、有彩色インク組成物の組み合せに代えて、ブラックインク組成物により印刷することが好ましく、R230、G160、B180以下からブラックインク組成物に代えることがより好ましい。
また、本発明によれば、前記した記録方法により記録された記録物も提供される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
ブラックインク組成物
表面処理顔料分散液の調製
顔料分散液1
市販のカーボンブラックであるカラーブラックS170(商品名:デグサ・ヒュルス社製)100gを水1kgに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)1400gを滴下して、ボールミルで粉砕しながら5時間反応させ、さらに攪拌しながら4時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名:アドバンテック東洋社製)で濾過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が2mS/cmになるまで脱塩および精製し、さらに顔料濃度が15重量%になるまで濃縮して分散液1を調製した。
この分散液の顔料の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、110nmであった。
顔料分散液2
市販のカーボンブラックであるMA8(商品名:三菱化学社製)100gを水500gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)500gを滴下して、攪拌しながら10時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維濾紙GA−100(商品名:アドバンテック東洋社製)で濾過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が2mS/cmになるまで脱塩および精製し、さらに顔料濃度が15重量%になるまで濃縮して分散液2を調製した。
この分散液の顔料の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、150nmであった。
顔料分散液3(比較例)
市販のカーボンブラックであるMA8(商品名:三菱化学社製)100g、水溶性樹脂分散剤であるジョンクリルJ62(商品名:ジョンソンポリマー社製)150g、水酸化ナトリウム6g、水250gを混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散した。得られた分散原液をガラス繊維濾紙GA−100(商品名:アドバンテック東洋社製)で濾過して、さらに水で洗浄した。
得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が2mS/cmになるまで脱塩および精製し、さらに顔料濃度が15重量%になるまで濃縮して分散液4を調製した。
この分散液の顔料の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、130nmであった。
樹脂粒子の調製
樹脂粒子を分散粒子とするエマルジョンを下記の方法によって調製した。
エマルジョン1の調製
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム3gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン300g、ブチルアクリレート640g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分40重量%、pH8に調整し、エマルジョン1を得た。
得られたエマルジョン1は約20℃の室内周囲温度で膜化すること確認し、熱分析装置SSC5000(セイコー電子(株)製)を用いた示差熱分析によりガラス転移温度を測定したところ、−15℃であった。また、このエマルジョン1の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、110nmであった。
エマルジョン2の調製
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分40重量%、pH8に調整し、エマルジョン2を得た。
得られたエマルジョン2は約20℃の室内周囲温度で膜化すること確認し、熱分析装置SSC5000(セイコー電子(株)製)を用いた示差熱分析によりガラス転移温度を測定したところ、−6℃であった。このエマルジョン2の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、200nmであった。
エマルジョン3の調製
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン615g、ブチルアクリレート295g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分40重量%、pH8に調整し、エマルジョン3を得た。
得られたエマルジョン3は約20℃の室内周囲温度で膜化しないこと確認し、熱分析装置SSC5000(セイコー電子(株)製)を用いた示差熱分析によりガラス転移温度を測定したところ、36℃であった。またこのエマルジョン3の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、110nmであった。
エマルジョン4の調製
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム3gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにメチルメタクリレート675g、ブチルアクリレート235g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分40重量%、pH8に調整し、エマルジョン4を得た。
得られたエマルジョン4は約20℃の室内周囲温度で膜化しないこと確認し、熱分析装置SSC5000(セイコー電子(株)製)を用いた示差熱分析によりガラス転移温度を測定したところ、50℃であった。このエマルジョン4の平均粒径をMicrotrac UPA150(Microtrac社製)の粒度分布測定により測定したところ、180nmであった。
ブラックインク組成物の調製
表1に示す各組成物を混合し、室温にて2時間攪拌した後、孔径約5μmのステンレス製フィルターにて濾過して、実施例1、2および比較例3の各水性ブラックインク組成物を調製した。表1中に示す各組成の添加量は全て重量%であり、顔料分散液および樹脂分散液の添加量はそれぞれ固形分濃度で示す。
Figure 0004752183
有彩色インク組成物
ポリマー(I)の調製
攪拌機、温度計、還流管、および滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、スチレン30部、α−メチルスチレン10部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱した。これに、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部、およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下して、分散ポリマーを重合反応させた。さらに、反応容器にメチルエチルケトンを添加して、50重量%濃度のポリマー溶液を作成した。
得られたポリマー溶液からポリマーを抽出して、中和手滴定法による酸価とGPC法による平均分子量を測定した。その結果、酸価は55 KOHmg/g、平均分子量は35,000であった。
顔料分散液の調製
イエロー分散液I
イエロー顔料を含有するポリマー粒子分散液を以下の通りに製造した。すなわち、上記で製造したポリマー(I)溶液50部、C.I.ピグメントイエロー74 75部、0.05wt%の水酸化ナトリウム水溶液27.5部、メチルエチルケトン60部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、更に1時間攪拌した。ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して固形分が20重量%のイエロー分散体1を得た。
マゼンタ分散液I
マゼンタ顔料を含有するポリマー粒子分散液を、顔料としてC.I.ピグメントレッド122 80部とポリマー(I)溶液40部とを用いた以外は、イエロー分散体と同様にして得た。
シアン分散液I
シアン顔料を含有するポリマー粒子分散液を、顔料としてC.I.ピグメントブルー15:4 50部とポリマー(I)溶液100部とを用いた以外は、イエロー分散体と同様にして得た。
有彩色インク組成物の調製
下記第2表に示した組成に従って、上記したイエロー分散液I、マゼンタ分散液I、またはシアン分散液Iと、溶剤類および超純水とを混合して、2時間攪拌した。続いて、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(商品名)(日本ミリポア・リミテッド製)を用いて濾過して、カラーインクを調製した。表2中、各組成物の添加量は重量%である。
Figure 0004752183
インクセットの調製
上で得たブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンインクを、以下の表の通り組み合わせて、インクセットとした。
なお、インクセット1および2は、ブラックインクとして表面処理型のブラック顔料インク組成物を用いたものであり、インクセット3は、ブラックとして、高分子分散剤型のブラック顔料インク組成物を用いたものである。
Figure 0004752183
印字品質評価試験
前記各インクセットについて、プリンタEM−930C(セイコーエプソン社製)を用いて、解像度720dpiで、印字画像として255階調のフルカラーチャートを印刷した。この際、R240、G180、B200からブラックインクへの交換を行なうYMCドットデータを作成して、これに従い印刷を行い、記録紙としてはXerox4024(ゼロックス社製)を用いた。
得られた各印字物の印字品質を評価した。印字品質の評価は、各印字物を、白ポチ、カラーブリード、および色再現性についてそれぞれ試験を行い、下記のようにして判定した。
試験1:白ポチ
前記の印字物を目視および顕微鏡によって観察し下記基準にしたがって評価した。顕微鏡観察には、顕微鏡BHZ−UMA(OLYMPUS社製)を用い、倍率50倍で観察を行った。
なお、ここで白ポチとは、目視観察または顕微鏡観察により、印字物中に、印刷されずに点状に残った空白部分をいうこととする。
評価A:顕微鏡観察によっても、印字物について白ポチが観察されない
評価B:目視観察によっては白ポチが観察されないが、顕微鏡観察によれば白ポチが観察される
評価C:目視観察によっても白ポチが観察される
試験2:カラーブリード
前記の印字物におけるカラーブリードの有無を、目視および顕微鏡によって観察し下記基準にしたがって評価した。顕微鏡観察には、顕微鏡BHZ−UMA(OLYMPUS社製)を用い、倍率50倍で観察を行った。
評価A:顕微鏡観察によっても、印字物についてカラーブリードが観察されない
評価B:目視観察によってはカラーブリードが観察されないが、顕微鏡観察によればカラーブリードが観察される
評価C:目視観察によってもカラーブリードが観察される
試験3:耐擦過性
前記の印字物における耐擦過性を、以下の条件で評価した。
印字後48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K 5701に準じて耐擦過性評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
評価A:色剤の剥離が全くない
評価B:色剤の剥離がわずかにある(色剤全体の20%未満)
評価C:色剤の剥離がある(色剤全体の20%以上80%未満)
評価D:色剤がほとんど剥離する(色剤全体の80%以上剥離する)
試験4:色再現性
色再現性については色再現範囲を以下の通りにして求めることにより評価した。
先ず、カラー384パッチ、グレー17パッチからなるカラーチャートを各インクセットについて印字し、Gretag Macbeth社製Type Spectrolinoを用いて、上記印刷物のL、a、b、を測色した。色再現範囲は、色空間をL値で10分割し、各L値のa空間の領域(aとbの値)を求めた後、全L値のa空間領域を計算し、L色空間体積(ガマット値)を算出することにより求めた。得られた結果を以下の基準で評価した。
評価A:色再現範囲の大きさが300000以上である。
評価B:色再現範囲の大きさが200000以上250000未満である。
評価C:色再現範囲の大きさが200000未満である
結果は以下の表に示されるとおりであった。
Figure 0004752183
ポリマーII
以下の組成のモノマーを用意した。
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n=9) 15重量%
(式(I)において、R’がメチルおよびR2が水素である化合物。商品名:Blemmer PP-500、NOF社製)
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=23) 10重量%
(式(IV)において、m=23、R’およびR2がメチルである化合物。商品名:NK ESTER M230G、新中村化学社製)
メタクリル酸 14重量%
スチレンモノマー 36重量%
スチレンマクロマー 15重量%
(スチレン−アクロニトリル共重合マクロマー、スチレン含量:75重量%、数平均分子量:6,000、重合性官能基:メタクリロイル基、商品名:AN-6、TOAGOSEI社製)
n−ブチルメタクリレート 10重量%
反応容器に、メチルエチルケトン20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプタンエタルール)0.03重量部、および上記のモノマーの全量の10%を充填し、混合した。その後、容器を窒素ガス置換した。一方、滴下装置に上記モノマー組成の残り90%を充填した。
重合連鎖移動剤(2−メルカプタンエタノール)0.27重量%、メチルエチルケトン60重量%、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を次いで滴下装置に加え、混合した。その後、滴下装置を窒素ガス置換した。
反応容器内の混合物の温度を、窒素雰囲気下、撹拌しながら65℃まで上げ、滴下装置内の混合物を反応容器に3時間かけて滴下した。65℃下での滴下終了後2時間経過した後に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量%をメチルエチルケトン5重量%に溶解した溶液を加えた。混合物を65℃で2時間、さらに70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
上記のようにして得たポリマー溶液の一部を、減圧留去して溶媒を除いて乾燥させて単離した。
重量平均分子量を、ポリスチレンを標準物質とし、濃度1mm1/lのドデシルジメチルアミンを含むクロロホルムを溶媒としたゲルパーシエーションクロマトグラフィーにより決定した。その結果、重量平均分子量は、70,000であった。
顔料分散液の調整
イエロー分散液II
イエロー顔料を含有するポリマー粒子分散液を以下の通りに製造した。すなわち、上記で製造したポリマー(II)をメチルエチルケトンに溶解して50%溶液とし、この溶液50部、C.I.ピグメントイエロー74 75部、0.05%の水酸化カリウム 300部、メチルエチルケトン60部を混合し、ホモジナイザーで30分撹拌した。その後、イオン交換水300部添加して、さらに2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過して、固形分が20重量%のイエロー分散体IIを得た。
マゼンタ分散液II
マゼンタ顔料を含有するポリマー粒子分散液を、顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19 80部とポリマー(II)のメチルエチルケントン50%溶液を40部とする以外は、イエロー分散液と同様にして、マゼンタ分散液IIを得た。
シアン分散液III
シアン顔料を含有するポリマー粒子分散液を、顔料としてC.I.ピグメントブルー15:4 50部とポリマー(II)のメチルエチルケントン50%溶液を100部とする以外は、イエロー分散液と同様にして、シアン分散液IIを得た。
有彩色インク組成物の調製
下記第5表に示した組成に従って、上記したイエロー分散液II、マゼンタ分散液II、またはシアン分散液IIと、溶剤類および超純水とを混合して、2時間攪拌した。続いて、孔経約1.2μmのメンブランフィルタ(商品名)(日本ミリポア・リミテッド製)を用いて濾過して、カラーインクを調製した。表5中、各組成物の添加量は重量%である。
Figure 0004752183
インクセットの調製
上で得たブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンインクを、以下の表の通り組み合わせて、インクセットとした。
なお、インクセット1および2は、ブラックインクとして表面処理型のブラック顔料インク組成物を用いたものであり、インクセット3は、ブラックとして、高分子分散剤型のブラック顔料インク組成物を用いたものである。
Figure 0004752183
評価試験
インクセットB1およびB2について、前記した印字品質評価試験1〜4を行った。その結果は、以下に示される通りであった。
Figure 0004752183

Claims (22)

  1. ブラックインク組成物と、少なくとも一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるインクセットであって、
    前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
    前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種はガラス転移温度0℃未満のものであり、少なくともその一種はガラス転移温度30℃以上のものであり、かつ
    前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないものである、インクセット。
  2. ブラックインク組成物と、少なくとも一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるインクセットであって、
    前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
    前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種はガラス転移温度0℃未満のものであり、少なくともその一種はガラス転移温度30℃以上のものであり、かつ
    前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、
    A)式(I):
    Figure 0004752183
    (式中、R水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30表す。)
    で表されるモノマーA1、
    式(II):
    Figure 0004752183
    (式中、R、Rおよびnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30を表し、[ ]内のオキシエチレン基およびオキシプロピレン基はブロックまたはランダム付加のいずれであってもよい。)で表されるモノマーA2、および
    式(III):
    Figure 0004752183
    (式中、R、Rおよびnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す。)
    で表されるモノマーA3から選ばれる、少なくとも一種のモノマーの5〜45重量%と、B)塩生成基を有するモノマーの3〜40重量%と、
    C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマーの5〜40重量%と、
    D)前記モノマーA)、B)、およびC)と共重合可能なモノマーの0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーである、インクセット。
  3. 前記表面処理顔料が、顔料を次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理あるいはオゾンによる酸化処理されたものである、請求項1または2に記載のインクセット。
  4. 前記ブラックインク組成物が、前記表面処理顔料をブラックインク組成物全量に対して1〜15重量%含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記樹脂粒子の少なくとも一つが、不飽和単量体および/または架橋性単量体を水性媒体中で乳化重合して得られたエマルジョンの形態で前記ブラックインク組成物に添加されてなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクセット。
  6. 前記樹脂粒子の平均粒子径が、50〜250nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクセット。
  7. 前記ブラックインク組成物が、前記二種以上の樹脂粒子をブラックインク組成物全量に対して0.5〜10重量%含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクセット。
  8. 前記ブラックインク組成物が、水溶性有機溶媒および/または界面活性剤をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクセット。
  9. 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール、グリコール系ブチルエーテル、ピロリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものであり、
    前記界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、請求項8に記載のインクセット。
  10. 前記ブラックインク組成物が、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるpH調整剤をさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクセット。
  11. 前記有彩色インク組成物が、顔料を有彩色インク組成物全量に対して0.5〜10重量%含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセット。
  12. 前記有彩色インク組成物が、水溶性有機溶媒、界面活性剤、1,2−アルカンジオールおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものをさらに含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクセット。
  13. 前記水溶性有機溶媒がグリコールモノ−n−ブチルエーテルであり、
    前記界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤であり、
    前記1,2−アルカンジオールが、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項12に記載のインクセット。
  14. 前記有彩色インク組成物が、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物からなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクセット。
  15. 前記有彩色インク組成物が、シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物とからなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載のインクセット。
  16. 前記有彩色インク組成物が、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物と、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物と、イエローインク組成物とからなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクセット。
  17. インク組成物を記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法に用いられる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクセット。
  18. インクジェット記録方法に用いられる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクセット。
  19. インク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、ブラックインク組成物と、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物とを用い、
    前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
    前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種はガラス転移温度0℃未満のものであり、少なくともその一種はガラス転移温度30℃以上のものであり、
    前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないものであり、かつ、
    前記有彩色インク組成物を組み合わせて印刷するインクドットが無彩色または明度の低い有彩色である場合に、前記有彩色インク組成物の組み合わせに代えて、前記ブラックインク組成物を吐出させることによりインクドットを印刷することを特徴とする、インクジェット記録方法。
  20. インク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、ブラックインク組成物と、互いに組み合わせることにより無彩色を印刷可能な少なくとも二種以上の有彩色インク組成物とを用い、
    前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
    前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種はガラス転移温度0℃未満のものであり、少なくともその一種はガラス転移温度30℃以上のものであり、
    前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、ブラックインク組成物と、少なくとも一種以上の有彩色インク組成物とを含んでなるインクセットであって、
    前記ブラックインク組成物が、分散剤無しに水に分散および/または溶解が可能な表面処理顔料と、二種以上の樹脂粒子と、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、
    前記二種以上の樹脂粒子の少なくとも一種はガラス転移温度0℃未満のものであり、少なくともその一種はガラス転移温度30℃以上のものであり、かつ
    前記有彩色インク組成物が、顔料と、該顔料を包含し、かつ該顔料をインク組成物中に分散可能とするポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含んでなり、ここで、前記ポリマーが、
    A)式(I):
    Figure 0004752183
    (式中、R水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30表す。)
    で表されるモノマーA1、
    式(II):
    Figure 0004752183
    (式中、R、Rおよびnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30を表し、[ ]内のオキシエチレン基およびオキシプロピレン基はブロックまたはランダム付加のいずれであってもよい。)で表されるモノマーA2、および
    式(III):
    Figure 0004752183
    (式中、R、Rおよびnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す。)
    で表されるA3から選ばれる、少なくとも一種のモノマーの5〜45重量%と、
    B)塩生成基を有するモノマーの3〜40重量%と、
    C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマーの5〜40重量%と、
    D)前記モノマーA)、B)、およびC)と共重合可能なモノマーの0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーであり、かつ、
    前記有彩色インク組成物を組み合わせて印刷するインクドットが無彩色または明度の低い有彩色である場合に、前記有彩色インク組成物の組み合わせに代えて、前記ブラックインク組成物を吐出させることによりインクドットを印刷することを特徴とする。
  21. 前記インク組成物が、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクセットを構成するインク組成物である、請求項19または20に記載のインクジェット記録方法。
  22. 請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法によって記録が行われた、記録物。
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