JP2005272705A - 水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに記録物 - Google Patents
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Abstract
【課題】専用紙に対する印字記録時の高光沢と普通紙に対する印字記録時の高発色を両立した水性インク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の水性インクは、表面処理顔料からなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記弱アルカリ化剤及び保湿剤とアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることにより、インク吐出の安定性とインクの保存安定性を確保し、更に普通紙に対する印字記録時の高発色と、専用紙に対する印字記録時の高光沢を両立した水性インク組成物を提供することが可能となった。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の水性インクは、表面処理顔料からなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記弱アルカリ化剤及び保湿剤とアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることにより、インク吐出の安定性とインクの保存安定性を確保し、更に普通紙に対する印字記録時の高発色と、専用紙に対する印字記録時の高光沢を両立した水性インク組成物を提供することが可能となった。
【選択図】 なし
Description
本発明は、水性インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物に関する。
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。
インクジェット記録方法に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色剤及び目詰まり防止等の目的でグリセリン等の保湿剤を含有したものが一般的である。インクジェット記録用インク組成物に用いられる着色剤としては、色剤の彩度の高さ、利用できる色剤の種類の豊富さ、水への溶解性等の理由から水溶性染料が数多く使用されている。
しかし、染料は耐光性及び耐水性等の諸特性に劣ることがあり、よって染料系のインク組成物により印刷された印刷物は、耐光性及び耐水性に劣ることになる。耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録媒体によって改善されているが、普通紙については未だ充分とは言い難い。
それに対して、顔料は染料に比べて耐光性及び耐水性に優れており、近年、耐光性及び耐水性を改善する目的でインクジェット記録用インク組成物の着色剤としての利用が検討されている。
しかしながら、顔料を着色剤として使用した水系インク組成物の場合、光沢を得るために表面の滑らかな吸収層を有する専用記録媒体へ印字した場合には、印字面の光沢が染料を使用したインクより確保し難いという問題もある。また、顔料は一般に水には不溶であるため、顔料を水系インクに利用する場合には、顔料を水溶性樹脂等の分散剤と共に混合し、水に安定分散させた後にインク組成物として調製する必要がある。
顔料が水系に安定的に分散するためには、顔料の種類、粒径、用いる分散剤の種類、及び分散手段等を検討する必要があり、これまで多くの分散方法及びインクジェット記録用インクが提案されている。例えば、カーボンブラックを界面活性剤や高分子分散剤で分散した水性顔料インクが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、水、スチレン−マレイン酸共重合体、ε−カプロラクタム、及び顔料からなるインク組成物が提案されている(特許文献3参照)。
また、水性媒体、スチレン−マレイン酸共重合体、及び銅フタロシアニン顔料を含有するインク組成物が提案されている(特許文献4参照)。
また、分散樹脂の酸基の60モル%以上がアルカリ性の中和剤で中和された樹脂を用いた水性インクが提案されている(特許文献5、特許文献6参照)。
さらに、インクにpH緩衝剤や尿素誘導体を添加してインクのpHを一定範囲に維持する工夫がなされたインク組成物が提案されている(特許文献7、特許文献8参照)。
上述の様に顔料をインクジェット記録用インク組成物に用いるためには、水中に安定的に分散させて長期間それを保持することが重要であるが、上記の従来技術(特許文献1〜特許文献4)は満足いくものではなかった。
また、インクジェット記録方法に用いるインクには、着色剤以外にインクジェット記録方法における種々の特性を最適化するために各種の添加剤、特には水溶性有機溶剤が添加される。その水溶性有機溶剤としては、乾燥を防止する保湿剤、インク組成物の表面張力を下げて記録媒体への浸透性を制御する浸透溶剤や界面活性剤等がある。これらの溶剤の中には分散している着色剤に影響してその分散性を阻害し、インク組成物の保存安定性を阻害する場合がある。特に、疎水性表面を有する顔料表面や分散樹脂中の疎水性部分に対して親和性の強い溶剤でこれらの影響が出やすいという問題があった。また、このような影響が出た場合、顔料表面から分散剤である分散樹脂が遊離してインク中に溶解してしまい、これをインクジェット記録用インクとして用いた場合にプリンタヘッドからのインク吐出が不安定となってしまうという問題、これらの点があった。
上記の従来技術(特許文献5、特許文献6)に記載された、分散樹脂の酸基の60モル%以上がアルカリ性の中和剤で中和された樹脂を用いた水性インクでは、使用する水溶性有機溶剤の種類によっては、分散樹脂と水溶性有機溶剤とが影響し合うことによって、保存安定性や吐出安定性、及び普通紙上での発色性が低下するという問題があった。
一方、上記の従来技術(特許文献7、8)では、インクの保存安定性の確保にはある程度の効果を有しているが、専用紙上の印字記録における高光沢を改善できるものではなかった。
従って、本発明は上述の問題点を解決するものであり、顔料インクにおいて、専用紙への印字記録時の高光沢と普通紙への記録時の高発色を両立するものであり、しかも、インク吐出の安定性とインクの保存安定性を確保したインク組成物を提供することを目的としている。
本発明の水性インク組成物は、表面処理顔料からなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記弱アルカリ化剤及び保湿剤とアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、表面処理顔料からなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、浸透性有機溶剤、水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記弱アルカリ化剤、保湿剤、浸透性有機溶剤とアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記弱アルカリ化剤が、有機アミン、有機酸塩及び有機緩衝剤から選ばれる少なくともいずれかの化合物を含んでなることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記表面処理顔料からなる色材分散体が、分散剤なしに単独でインク溶媒中に分散が可能な自己分散型の表面処理顔料であることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記浸透性有機溶剤が、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、及び1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体からなる群から選ばれることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記顔料が、有機顔料であることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上述に記載の水性インク組成物の液滴を吐出して、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行なうことを特徴とする。
本発明の記録物は、上述に記載の水性インク組成物をインクジェット記録方法にて印刷したことを特徴とする。
以下に本発明の水性インク組成物の構成要素を説明する。
[色材分散体]
本発明に水性インク組成物に用いる色材分散体は、顔料表面に分散性付与基(親水性官能基及び/又はその塩)を直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させ、分散剤なしに水性媒体中に分散する自己分散型の表面処理顔料であることが好ましい。
本発明に水性インク組成物に用いる色材分散体は、顔料表面に分散性付与基(親水性官能基及び/又はその塩)を直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させ、分散剤なしに水性媒体中に分散する自己分散型の表面処理顔料であることが好ましい。
本発明で用いることができる好ましい顔料の具体例としては、カーボンブラックとしては、三菱化学株式会社製のカーボンブラックとして、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等が挙げられる。デグサ社製のカーボンブラックとして、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等が挙げられる。コロンビアカーボン社製のカーボンブラックとして、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等が挙げられる。キャボット社製のカーボンブラックとして、キャボット社製のリガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等が挙げられる。なお、これらは本発明に好適なカーボンブラックの一例の記載であり、これらによって本発明が限定されるものではない。これらのカーボンブラックは一種又は二種以上の混合物として用いてよい。また、これらの顔料は水性インク組成物全量に対して0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%の添加が好ましい。
本発明で用いることができる好ましい有機顔料としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料又はアゾ系顔料等が挙げられる。
本発明による水性インク組成物に用いられる有機顔料の具体例としては下記のものが挙げられる。
シアンインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60等;C.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、及び60からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である。また、これらの顔料はシアンインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%で含有してなる。
マゼンタインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202、及び209、C.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である。また、これらの顔料はマゼンタインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
イエローインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、119、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185、等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、110、128、及び138からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である。また、これらの顔料はイエローインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
オレンジインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ36もしくは43又はこれらの混合物である。また、これらの顔料はオレンジインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
グリーンインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、36もしくは47又はこれらの混合物である。また、これらの顔料はグリーンインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
上記顔料を自己分散型の表面処理顔料に加工する方法としては、例えば、特開平10−195360号公報、特開平10−330665号公報等に記載のカーボンブラックの表面に直接又は多価の基を介してカルボキシル基、カルボニル基、スルホン基、ヒドロキシル基等の親水性基を結合させる方法、又は、特開平8−3498号公報、特開平10−195331号公報、特開平10−237349号公報等に記載の、カーボンブラックの表面を酸化処理して分散性を改善する方法、更に又は、特開平8−283598号公報、特開平10−110110号公報、特開平10−110111号公報等に記載の、有機顔料の表面にスルホン基を導入する方法等、様々な方法が従来から提案されている。
また、色材分散体として市販の表面処理顔料を利用することも可能であり、好ましい例としては黒色顔料としてカーボンブラックを原料としたオリエント化学工業株式会社製のマイクロジェットCW1等が挙げられる。
これらの表面処理顔料は、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点から、その平均粒子径が50〜250nmの範囲であることが好ましい。
[弱アルカリ化剤]
本発明のインク組成物において、専用紙への印字における光沢性を確保する目的で、インク組成物がアルカリ性に調整されていることが望ましい。但し、普通紙上での発色を確保する観点から、インクのpHは10.5以下であることが好ましく、より好ましくは9.0以下である。また、インクジェット記録装置において、インク組成物の流路に金属が用いられている場合は、インク組成物が酸性であると金属の腐食が生じることがあるので、本発明の水性インク組成物は中性又はアルカリ性(pHが7.0以上)に調整されていることが望ましい。
本発明のインク組成物において、専用紙への印字における光沢性を確保する目的で、インク組成物がアルカリ性に調整されていることが望ましい。但し、普通紙上での発色を確保する観点から、インクのpHは10.5以下であることが好ましく、より好ましくは9.0以下である。また、インクジェット記録装置において、インク組成物の流路に金属が用いられている場合は、インク組成物が酸性であると金属の腐食が生じることがあるので、本発明の水性インク組成物は中性又はアルカリ性(pHが7.0以上)に調整されていることが望ましい。
上記観点から本発明のインクのpHは7.0〜10.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは8.0〜9.0の範囲である。
本発明のインク組成物を上記pHの範囲に調整するためには、水性インク組成物は弱アルカリ化剤によりpHを調整されていることが好ましい。インクをはアルカリ性に調整するために水酸化ナトリウム等の強アルカリ性化合物を用いると、未中和基が酸基(カルボン酸基、スルホン酸基等)である場合、酸基の中和が進んでしまう恐れがある。本発明では弱アルカリ化剤を用いることで、前記添加樹脂の中和率を大きく変えずに水性インク組成物を中性又はアルカリ性に保つことができ、より信頼性の高い水性インク組成物を提供することができる。
前記弱アルカリ化剤としては、有機酸塩、有機アミン、及び有機緩衝剤から選ばれる化合物が挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩等のアルキルカルボン酸の塩類、乳酸塩、グリコール酸塩、グリセリン酸塩、もしくは、アルキルカルボン酸類のアルカリ金属塩であり、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等を挙げることができる。有機アミンとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−エチル−2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエチル)エタノールアミン等を挙げることができる。有機緩衝剤としては、トリス緩衝液やグッド緩衝液が使用でき、具体的には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス−塩酸塩、トリス−マレイン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、「ACES」:N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、「BES」:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、「Bicine」:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、「CAPS」:N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、「CAPSO」:N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、「CHES」:N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、「DIPSO」:3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、「EPPS」:3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸、「HEPES」:2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、「HEPPSO」:2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、「MES」:ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)・二水和物、「TAPS」:N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、「TAPSO」:2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、「TES」:N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノエタンスルホン酸、「Tricine」:N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン等を挙げることができる。
弱アルカリ化剤の添加量は、所望のインクpHに合わせて適宜設定することができ、0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
[アセチレングリコール系界面活性剤]
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体からなる界面活性剤を含んでいる。アセチレングリコール系界面活性剤は、記録媒体へのインク浸透性を速めるために用いている。また、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤は、起泡性が少ない、あるいは無い特性を持ち、本発明の水性インク組成物をインクジェット記録方法により用いる際に特に有用である。本発明において好ましいアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤の具体例としては、Air Products and Chemicals. Inc.社製のサーフィノール61、82、104、440、465、485、又はTG、日信化学工業株式会社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等、川崎ファインケミカル株式会社製のアセチレノールE00、アセチレノールE00P、アセチレノールE40、アセチレノールE100等が挙げられる。
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体からなる界面活性剤を含んでいる。アセチレングリコール系界面活性剤は、記録媒体へのインク浸透性を速めるために用いている。また、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤は、起泡性が少ない、あるいは無い特性を持ち、本発明の水性インク組成物をインクジェット記録方法により用いる際に特に有用である。本発明において好ましいアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤の具体例としては、Air Products and Chemicals. Inc.社製のサーフィノール61、82、104、440、465、485、又はTG、日信化学工業株式会社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等、川崎ファインケミカル株式会社製のアセチレノールE00、アセチレノールE00P、アセチレノールE40、アセチレノールE100等が挙げられる。
アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤の添加量は所望のインク乾燥時間で適宜決定されてよいが、水性インク組成物全量に対して0.01重量%〜10重量%が好ましい。
[保湿剤]
本発明による水性インク組成物は保湿剤を含んでおり、保湿剤は水性インク組成物の乾燥を抑制するため、プリンタヘッドノズル先端の乾燥による水分蒸発を抑制して、水性インク組成物の凝集・固化を防止するために添加される。
本発明による水性インク組成物は保湿剤を含んでおり、保湿剤は水性インク組成物の乾燥を抑制するため、プリンタヘッドノズル先端の乾燥による水分蒸発を抑制して、水性インク組成物の凝集・固化を防止するために添加される。
保湿剤は、水溶性で吸湿性の高い材料から選ばれ、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクラム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類を用いることができる。
さらに、上述の保湿性有機溶剤の能力を補助する目的で、水溶性の固体保湿剤を併用、添加することも可能である。詳しくは、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等、ε−カプロラクタム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類及びこれらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ糖等が挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビット等が挙げられる。
これらの保湿剤の添加量は、単独あるいは複数混合して、水性インク組成物全量に対して1重量%〜40重量%が好ましく、より好ましくは1重量%〜30重量%である。これらの保湿剤は、他のインク添加剤と合わせてインク粘度が25℃で25cPs以下になる添加量で加えることができる。
なお、保湿剤及び上述の弱アルカリ化剤と、上述のアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体からなるアセチレングリコール系界面活性剤は相互に溶解する少なくとも一種の組み合わせで用いることが好ましい。このような組み合わせにすることで、特に専用紙への印字記録時に粒状間のない高光沢の印字記録物を得ることができる。
[浸透性有機溶剤]
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する浸透性有機溶剤を含んでいる。さらに、浸透性有機溶剤として、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体から選ばれることがより好ましい。
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する浸透性有機溶剤を含んでいる。さらに、浸透性有機溶剤として、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体から選ばれることがより好ましい。
多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体としては、特にアルキルの炭素数は3以上の多価アルコールの誘導体が好ましい。具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体の添加量は、水性インク組成物全量に対して0.5重量%〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
1,2−アルキルジオール類としては、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等の炭素数が4〜8の1,2−アルキルジオールが好ましい。炭素数6〜8の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が強く、特に好ましい。これら1,2−アルキルジオールの添加量は、水性インク組成物全量に対して0.25重量%〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体としては、2−(2,2−ジエトキシエチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス[2−エチル−1,3−プロパンジオール]等が特に好ましい。これら1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体の添加量は、水性インク組成物全量に対して0.25重量%〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
[添加樹脂]
本発明によるインク組成物は、本インクにより記録された記録物の定着性や光沢性を向上する目的で樹脂を添加することができる。このような添加樹脂として、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂を用いることができる。あるいは、樹脂単体の樹脂エマルジョンとして添加して用いることもできる。
本発明によるインク組成物は、本インクにより記録された記録物の定着性や光沢性を向上する目的で樹脂を添加することができる。このような添加樹脂として、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂を用いることができる。あるいは、樹脂単体の樹脂エマルジョンとして添加して用いることもできる。
本発明に用いられる添加樹脂は、特に樹脂微粒子のエマルジョン形態でインク組成物中に配合されることが好ましい。その理由は、水溶性樹脂であると、樹脂の添加量に対するインクの粘度の上昇率が高く、定着性や光沢特性を十分向上可能な樹脂量が添加し難い為である。また、樹脂微粒子のままインク組成物中に添加しても樹脂粒子の分散が不十分となる場合があるため、インク組成物の製造上エマルジョンの形態が好ましいからである。
このような樹脂エマルジョンとしては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレンーアクリル系樹脂等と挙げることができ、これらの樹脂は、単相構造及び複相構造(コアシェル型)の何れのものも使用できる。
樹脂微粒子のエマルジョンは、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を重合開始剤、及び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和単量体としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類等が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独又は二種以上混合して使用することができる。
また、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体も使用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを単独又は二種以上混合して使用することができる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましい。
一方、本発明における樹脂微粒子の平均粒子径は、100nm〜300nmの範囲にあることで、色材を紙表面に留め、発色性を向上させる作用が発現するとともに、にじみの抑制も可能となる。樹脂微粒子の平均粒子径が、100nmより小さい場合、色材を紙表面に留める作用やにじみを抑制する作用が効果的に発現せず、また、300nmより大きい場合、インクジェット記録方法に用いた場合にノズルの目詰まりや吐出安定性に問題となる。尚、これらの平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子(株)製)等の粒径測定によって得ることができる。
本発明において、樹脂微粒子はインク組成物のインクジェット適正物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)、本発明の効果をより有効に得る観点から0.5〜10重量%の範囲で本発明のインク組成物中に含有されることが、好ましい。
[水]
水は、本発明の水性インク組成物の中心となる媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
また、紫外線照射、又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、水性インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
水は、本発明の水性インク組成物の中心となる媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
また、紫外線照射、又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、水性インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
[その他の成分]
本発明の水性インク組成物は、さらに必要に応じてインクジェット記録用インクに通常用いられる添加物を加えることもできる。
本発明の水性インク組成物は、さらに必要に応じてインクジェット記録用インクに通常用いられる添加物を加えることもできる。
必要に応じて加える添加物としては、界面活性剤、ヒドロトロピー剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、防腐剤・防かび剤等が挙げられる。
界面活性剤は、記録媒体へのインク浸透性を速めるための添加剤である。
好適な材料として、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、燐系界面活性剤、硼素系界面活性剤等を用いることができる。
シリコン系界面活性剤として、BYK−307、BYK−331、BYK−333、BYK−348(商品名、以上いずれもビックケミー株式会社製)等を挙げることができる
ヒドロトロピー剤は、インクの保存安定性や耐目詰まり性を改良するために加えるもので、尿素、チオ尿素、アルキル尿素等を用いることができる。
ヒドロトロピー剤は、インクの保存安定性や耐目詰まり性を改良するために加えるもので、尿素、チオ尿素、アルキル尿素等を用いることができる。
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレット等のビウレット類等、L−アスコルビン酸及びその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024等、あるいはランタニドの酸化物等が用いられる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等の中から選ぶことができる。
[インクジェット記録方法及び記録物]
本発明のインクジェット記録方法は、上述の水性インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方式であればいかなる方法も使用することができる。その幾つかを説明すると、先ず静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式がある。
本発明のインクジェット記録方法は、上述の水性インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方式であればいかなる方法も使用することができる。その幾つかを説明すると、先ず静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式がある。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上の様な種々のインクジェット記録方式の内、特に10m/s以下の比較的低速のインク吐出速度での印刷方法と本発明の水性インク組成物を組み合わせることで、吐出ノズルへのインク付着を防止して安定にインクジェット記録を行なうことができ、好ましい。
また、本発明の記録物は、上記した水性インク組成物をインクジェット記録方法にて印刷して得られる。
以下の実施例により本発明の内容を明確に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。また、本発明の水性インク組成物に用いられる分散液を以下に示す方法で調製した。
<分散液の作製>
(1)分散液K1
カーボンブラックとして(デグサ社製「FW−18」)30gを5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液600gと混合し、80〜95℃で加熱還流を10時間行った。しかるのち、水洗と遠心分離を繰り返したのち塩酸を加えてpHを1に調整し、逆浸透膜にて脱塩処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8に調整した。
(1)分散液K1
カーボンブラックとして(デグサ社製「FW−18」)30gを5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液600gと混合し、80〜95℃で加熱還流を10時間行った。しかるのち、水洗と遠心分離を繰り返したのち塩酸を加えてpHを1に調整し、逆浸透膜にて脱塩処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8に調整した。
得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度15重量%まで希釈して分散液K1を調製した。
(2)分散液C1
有機顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3 20gをスルホラン300g中に混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、ビーズ充填率70%及び回転数4500rpmの条件下で1時間整粒分散した。整粒分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、減圧しながら加熱して、系内に含まれる水分をできるだけ留去した。次いで、三酸化硫黄30gを加えて150℃で6時間反応させ、反応終了後、過剰なスルホランで数回洗浄した後、水中に注いだ後、濾別した。
有機顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3 20gをスルホラン300g中に混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、ビーズ充填率70%及び回転数4500rpmの条件下で1時間整粒分散した。整粒分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、減圧しながら加熱して、系内に含まれる水分をできるだけ留去した。次いで、三酸化硫黄30gを加えて150℃で6時間反応させ、反応終了後、過剰なスルホランで数回洗浄した後、水中に注いだ後、濾別した。
得られたスラリーに水と水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8に調整し、孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度15重量%まで希釈して分散液C1を調製した。
(3)分散液M1
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Red 122に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液M1とする。
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Red 122に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液M1とする。
(4)分散液Y1
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Yellow 74 に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液Y1とする。
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Yellow 74 に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液Y1とする。
(5)分散液C2
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Blue 15:4 に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液C2とする。
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Blue 15:4 に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液C2とする。
(6)分散液V1
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Violet 19 に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液V1とする。
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Violet 19 に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液V1とする。
(7)分散液G1
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Green 47に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液G1とする。
分散液C1に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Green 47に代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液G1とする。
<添加樹脂の調製>
水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂を下記の方法によって調製した。
水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂を下記の方法によって調製した。
(樹脂P1の調整)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水1000g及びラウリル硫酸ナトリウム6.5gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにスチレン550g、ブチルアクリレート200g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分37重量%、pH8の水性エマルジョンP1(粒子径:70nm)を得た。
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水1000g及びラウリル硫酸ナトリウム6.5gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにスチレン550g、ブチルアクリレート200g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分37重量%、pH8の水性エマルジョンP1(粒子径:70nm)を得た。
(樹脂P2の調整)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水800g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら75℃まで昇温した。内温を75℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム6gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにメチルメタクリレート600g、ブチルアクリレート215g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に5時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分40重量%、pH8の水性エマルジョンP2(平均粒子径:250nm)を得た。
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水800g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら75℃まで昇温した。内温を75℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム6gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム2gにアクリルアミド20gにメチルメタクリレート600g、ブチルアクリレート215g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に5時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分40重量%、pH8の水性エマルジョンP2(平均粒子径:250nm)を得た。
(樹脂P3の調整)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム3gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン300g、ブチルアクリレート640g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分40重量%、pH8の水性エマルジョンP3(平均粒子径:90nm)を得た。
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム3gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン300g、ブチルアクリレート640g、及びメタクリル酸30gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分40重量%、pH8の水性エマルジョンP3(平均粒子径:90nm)を得た。
(樹脂P4の調整)
樹脂P4としてジョンクリル501(ジョンソンポリマー社製アクリル変性SMA樹脂水溶液 固形分29.5重量% pH8.3)をそのまま使用した。
樹脂P4としてジョンクリル501(ジョンソンポリマー社製アクリル変性SMA樹脂水溶液 固形分29.5重量% pH8.3)をそのまま使用した。
<水性インクの調製>
(実施例1)
上述の材料・方法で得た分散液K1を48g、アセチレングリコールとしてサーフィノール104を0.5g及びサーフィノール465(以上2種共に商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)を1g、弱アルカリ化剤としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを2g、保湿剤としてトリエチレングリコールを20g、2−ピロリドンを4g、水性エマルジョンP1を6g、さらに超純水を加えて全量を100gとして2時間攪拌、孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して水性インク組成物を調製した。
(実施例1)
上述の材料・方法で得た分散液K1を48g、アセチレングリコールとしてサーフィノール104を0.5g及びサーフィノール465(以上2種共に商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)を1g、弱アルカリ化剤としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを2g、保湿剤としてトリエチレングリコールを20g、2−ピロリドンを4g、水性エマルジョンP1を6g、さらに超純水を加えて全量を100gとして2時間攪拌、孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して水性インク組成物を調製した。
(実施例2)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例3)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例4)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例5)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例6)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例7)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例8)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例9)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例10)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例11)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例12)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(実施例13)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(比較例1)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(比較例2)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(比較例3)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(比較例4)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1〜13及び比較例1〜4の組成を表1にまとめて示す。
<評価方法>
(保存安定性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物を60℃で2週間放置と1ヶ月放置、及び凍結で1週間放置して、インク調製直後の粘度と放置後の値を比較した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:変動幅が±6%未満
B:変動幅が±6%以上、±10%未満
C:変動幅が±10%以上
(保存安定性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物を60℃で2週間放置と1ヶ月放置、及び凍結で1週間放置して、インク調製直後の粘度と放置後の値を比較した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:変動幅が±6%未満
B:変動幅が±6%以上、±10%未満
C:変動幅が±10%以上
(吐出安定性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で文字・塗りつぶしが混在する画像を連続的に印刷して、印刷中の画像に飛行曲がりや抜け等の不具合の有無を目視にて測定した。判定基準は以下の通りである。
判定AA:200枚まで連続印刷しても、飛行曲がり・抜けが発生しない
A:100枚までの連続印刷で、飛行曲がり・抜けが発生しない
B:100枚までの連続印刷で、飛行曲がり・抜けが発生したが10箇所未満である。
上記実施例及び比較例の評価結果を表2にまとめて示す。
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で文字・塗りつぶしが混在する画像を連続的に印刷して、印刷中の画像に飛行曲がりや抜け等の不具合の有無を目視にて測定した。判定基準は以下の通りである。
判定AA:200枚まで連続印刷しても、飛行曲がり・抜けが発生しない
A:100枚までの連続印刷で、飛行曲がり・抜けが発生しない
B:100枚までの連続印刷で、飛行曲がり・抜けが発生したが10箇所未満である。
上記実施例及び比較例の評価結果を表2にまとめて示す。
(専用紙印字の光沢性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で「写真用紙<光沢>」(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に写真画像パターンを印字して、その非印字領域と印字領域の光沢性の差を目視により評価した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:非印字領域と印字領域で光沢性にほとんど差がなく全く問題ないレベルである。
B:非印字領域と印字領域に若干差がある。その差は実用上問題ないレベルである。
C:非印字領域と印字領域で光沢性の差があり、印字領域の光沢性が劣っているのが確
認できる。
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で「写真用紙<光沢>」(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に写真画像パターンを印字して、その非印字領域と印字領域の光沢性の差を目視により評価した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:非印字領域と印字領域で光沢性にほとんど差がなく全く問題ないレベルである。
B:非印字領域と印字領域に若干差がある。その差は実用上問題ないレベルである。
C:非印字領域と印字領域で光沢性の差があり、印字領域の光沢性が劣っているのが確
認できる。
(普通紙印字の発色性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で「Xerox4024」(商品名:Xerox Co.(米国))にベタパターンを印字して、その発色性を評価した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:印字領域において紙繊維が目立つことなく、よく発色しており、全く問題無いレベルである。
B:印字領域において若干紙繊維の浮きが見受けられる。但し、発色は良く、実用上問題ないレベルである。
C:印字領域において紙繊維が目立ち、発色性が悪い。
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で「Xerox4024」(商品名:Xerox Co.(米国))にベタパターンを印字して、その発色性を評価した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:印字領域において紙繊維が目立つことなく、よく発色しており、全く問題無いレベルである。
B:印字領域において若干紙繊維の浮きが見受けられる。但し、発色は良く、実用上問題ないレベルである。
C:印字領域において紙繊維が目立ち、発色性が悪い。
上記実施例及び比較例の評価結果を表2にまとめて示す。
表2に示した様に、本発明の実施例1から13のインクは、比較例1〜4のインクに対していずれも専用紙の光沢性と普通紙の発色性を両立しており、かつインクの保存安定性と吐出安定性も良好なインク組成物を供給することが可能になった。
さらに、浸透性有機溶剤として、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体を併用した実施例3、4、5、7、11、12、13は、特に優れた吐出安定性が得られた。
なお、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本発明の水性インク組成物は、専用紙の光沢性と普通紙の発色性を両立しており、しかも保存安定性・吐出安定性を確保している為、特にインクジェット記録用インクとして用いるのに適している。
Claims (9)
- 表面処理顔料からなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記弱アルカリ化剤及び保湿剤とアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする水性インク組成物。
- 表面処理顔料からなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、浸透性有機溶剤、水溶性及び/又は水分散性の添加樹脂、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記弱アルカリ化剤、保湿剤、浸透性有機溶剤とアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする水性インク組成物。
- 前記弱アルカリ化剤が、有機アミン、有機酸塩及び有機緩衝剤から選ばれる少なくともいずれかの化合物を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性インク組成物。
- 前記表面処理顔料からなる色材分散体が、分散剤なしに単独でインク溶媒中に分散が可能な自己分散型の表面処理顔料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
- 前記浸透性有機溶剤が、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、及び1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体からなる群から選ばれることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
- 前記顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
- 前記顔料が、有機顔料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性インク組成物の液滴を吐出して、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行なうインクジェット記録方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性インク組成物をインクジェット記録方法にて印刷した、記録物。
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- 2004-03-25 JP JP2004089418A patent/JP2005272705A/ja not_active Withdrawn
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