JP2009215407A - 水系着色剤分散物、水系着色剤分散物の製造方法、及びインクジェット記録用水系インク - Google Patents

水系着色剤分散物、水系着色剤分散物の製造方法、及びインクジェット記録用水系インク Download PDF

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隆史 細川
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Abstract

【課題】着色剤が微細に分散され、経時安定性、除去性に優れた水系着色剤分散物を提供する。
【解決手段】着色剤(A)、ポリマー(B)、及び水性液媒体(I)を含む水系着色剤分散物であって、前記ポリマー(B)が親水性構造単位と、80質量%を超え100質量%未満の疎水性構造単位とを含有する共重合体であり、前記疎水性構造単位として、前記ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していないベンゼン環を含有する疎水性構造単位(a)を含み、前記親水性構造単位としてイオン性基を含有する親水性構造単位(b)を含み、かつ、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を15質量%を超え90質量%未満含み、且つ前記ポリマー(B)のガラス転移温度が−30℃以上50℃以下であることを特徴とする水系着色剤分散物。
【選択図】なし

Description

本発明は、着色剤の分散性に優れた水系着色剤分散物、水系着色剤分散物の製造方法、及びインクジェット記録用水系インクに関する。
近年、資源保護、環境保全、作業の安定性の向上等のニーズの高まりによって塗料ならびにインク(以下、「インキ」ともいう)の水性化が進行しつつある。水性塗料ならびに水性インキに要求される品質は、油性塗料ならびに油性インキと同様、流動性、貯蔵安定性、皮膜の光沢、鮮明性、着色力等である。しかしながら、大部分の顔料は水性ビヒクルに対して油性の場合に比べ顔料分散性等の適性が著しく劣るため通常の分散方法では満足な品質は得られない。また、インクジェット用インクとして用いる場合には、ヘッド上に付着したインクが容易に除去できることが求められるが、従来の技術ではこのような性能は十分に満足できるものではなかった。すなわち、これまでに知られている水性用顔料分散樹脂や界面活性剤を使用したが、検討されてきた水性塗料または水性インキでは、上記すべての適性を満足することはできなかった。
このような問題を解決するために、例えば、有機顔料と、アクリル系共重合体(A)と、塩基性物質と、水とから成る、インクジェット記録用水性顔料インク調製のための水性顔料分散体と、有機顔料を被覆しないアクリル系共重合体(B)とを含有するインクジェット記録用水性顔料インク調製のための水性顔料分散体含有組成物において、アクリル系共重合体(A)が、質量基準でベンゼン環を含有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸単量体の合計が全重合単位の85%以上かつ酸価40〜100mgKOH/gかつ水酸基価が10mgKOH/g以下のアクリル系共重合体であり、アクリル系共重合体(B)が、ベンゼン環を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体と(メタ)アクリル酸単量体を必須成分とし、酸価40〜100mgKOH/gのアクリル系共重合体(B)であるインクジェット記録用水性顔料インク調製のための水性顔料分散体含有組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ガラス転移点が40℃以下であるポリマー粒子に蛍光色素を含有させた水系インクが開示されている(例えば特許文献2)。
特開2007−51199号公報 特開2003−73599号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術を用いた場合には、顔料の分散粒子径が十分に小さくすることができず、特許文献2においては、顔料の分散性が低いか、分散できたとしても分散粒径は十分に小さくすることができず、いずれも水系顔料分散物としての性能は十分満足できるものではなかった。
本発明は、上記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は着色剤が微細に分散され、経時安定性、除去性に優れた水系着色剤分散物、及び前記水系着色剤分散物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は前記水系着色剤分散物を含む吐出安定性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを目的とする。
<1> 着色剤(A)、ポリマー(B)、及び水性液媒体(I)を含む水系着色剤分散物であって、前記ポリマー(B)が親水性構造単位と、80質量%を超え100質量%未満の疎水性構造単位とを含有する共重合体であり、
前記疎水性構造単位として、前記ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を含有する疎水性構造単位(a)を含み、
前記親水性構造単位としてイオン性基を含有する親水性構造単位(b)を含み、かつ、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を15質量%を超え90質量%未満含み、
且つ前記ポリマー(B)のガラス転移温度が−30℃以上50℃以下であることを特徴とする水系着色剤分散物。
<2> 前記疎水性構造単位(a)が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする上記<1>に記載の水系着色剤分散物。
Figure 2009215407
(式中、*は主鎖との連結点を表し、Lは炭素数1〜30の2価の連結基を表す。)
<3> 前記疎水性構造単位(a)が、下記一般式(2)で表される構造単位を含むことを特徴とする上記<1>または<2>に記載の水系着色剤分散物。
Figure 2009215407
(式中、Rは水素原子、メチル基、またはハロゲン原子を表し、Lは(主鎖側)−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Lは単結合または炭素数1〜30の2価の連結基を表す。)
<4> 前記疎水性構造単位(a)がベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレートまたは2−フェノキシエチルメタクリレートに由来する構造単位を含むことを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<5> 前記親水性構造単位(b)が有するイオン性基がアニオン性基であることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<6> 前記アニオン性基がカルボキシル基、リン酸基、及びスルホン酸基より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<7> 前記親水性構造単位(b)として、アクリル酸またはメタクリル酸に由来する構造単位を含むことを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<8> 前記ポリマー(B)の酸価が10mgKOH/g以上、85mgKOH/g未満であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<9> 前記構造単位(c)として、アクリル酸またはメタクリル酸の、炭素数1〜6のアルキルエステルに由来する疎水性構造単位を含むことを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<10> 前記着色剤(A)が顔料であることを特徴とする上記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
<11> 着色剤(A)、ポリマー(B)及び前記ポリマー(B)を溶解、分散し得る有機溶媒(C)の混合物(II)に、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液(III)を加えた後、前記有機溶媒(C)を除くことを特徴とする上記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物の製造方法。
<12> 上記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物を含むインクジェット記録用水系インク。
本発明によれば、着色剤が微細に分散され、経時安定性、除去性に優れた水系着色剤分散物、及び前記水系着色剤分散物の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば前記水系着色剤分散物を含む吐出安定性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することができる。
本発明の水系着色剤分散物は、着色剤(A)、ポリマー(B)、及び水性液媒体(I)を含み、
前記ポリマー(B)が親水性構造単位と、80質量%を超え100質量%未満の疎水性構造単位とを含有する共重合体であり、
前記疎水性構造単位として、前記ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していないベンゼン環を含有する疎水性構造単位(a)を含み、
前記親水性構造単位としてイオン性基を含有する親水性構造単位(b)を含み、かつ、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を15質量%を超え90質量%未満含み、
且つ前記ポリマー(B)のガラス転移温度が−30℃以上50℃以下であることを特徴とする。
本発明の水系着色剤分散物は前記構成をとることにより、着色剤が微細に分散され、経時安定性、及び除去性に優れた分散物となる。
(着色剤(A))
本発明における着色剤(A)について詳細に説明する。
本発明における着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
本発明において用いられる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
黒色系のものとしては、カーボンブラックの具体例は、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060,Raven700(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1, Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.45,No.47,No.52,No.900,No.2200B,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において使用可能な有機顔料としては、イエローインクの顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、14C、16、17、24、34、35、37、42、53、55、65、73、74、75、81、83、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、150、151、153、154、155、180等が挙げられる。
また、マゼンタインクの顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、48(Ca)、48(Mn)、48:2、48:3、48:4、49、49:1、50、51、52、52:2、53:1、53、55、57(Ca)、57:1、60、60:1、63:1、63:2、64、64:1、81、83、87、88、89、90、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、163、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、269等、およびC.I.ピグメントバイオレット19が挙げられ、特に、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
また、シアンインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられ、特に、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
前記水系着色物分散物中における着色剤の含有量は、インク着色性、保存安定性等の観点から、該分散物の全固形分質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
[ポリマー(B)]
本発明におけるポリマー(B)について詳細に説明する。
前記ポリマー(B)は、水性液媒体(I)中での前記着色剤(A)の分散剤として用いる。
前記ポリマー(B)の構造は、疎水性構造単位と、親水性構造単位とからなる。
前記親水性構造単位及び疎水性構造単位の組成としては、それぞれの親水性、疎水性の程度にもよるが、疎水性構造単位がポリマー(B)全体の質量に対して80質量%を超えて含有されることが必要であり、85質量%以上がより好ましく、87質量%以上が特に好ましい。すなわち、親水性構造単位は20質量%以下とする必要があり、親水性構造単位がこれよりも多い場合には、着色剤の分散に寄与せず単独で水溶性媒体(I)中に溶解する成分が増加し、着色剤(A)の分散性等の諸性能を悪化させる原因となる。
また、前記ポリマー(B)は芳香環を含有し、該芳香環の含率はポリマー(B)の質量に対し、10質量%以上20質量%未満であり、より好ましくは12質量%以上20質量%未満であり、特に好ましくは、15質量%以上19質量%以下である。芳香環の含率が20質量%以上である場合にはインクジェットインクとした際の吐出安定性が不十分となり、10質量%以下である場合には着色剤(A)の分散性及び分散安定性を悪化させる原因となる。
(ガラス転移温度)
本発明に用いられるポリマー(B)は、−30℃以上50℃未満の範囲にガラス転移温度を有し、−20℃以上50℃未満の範囲にガラス転移温度を有することが好ましく、−20℃以上30℃未満の範囲にガラス転移温度を有することがより好ましく、−10℃以上30℃未満の範囲にガラス転移温度を有することが特に好ましい。ガラス転移温度がこの範囲(−20℃以上50℃未満)を上回る場合には、顔料分散物の洗浄性が低下し、この範囲を下回る場合には、顔料分散物の保存安定性が低下するため好ましくない。
本発明におけるガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができ、測定方法はJIS K 7121に従って測定した。
<疎水性構造単位>
(主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を含有する構造単位(a))
本発明におけるポリマー(B)は、疎水性構造単位として、ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を含有する疎水性構造単位(a)(以下、単に「疎水性構造単位(a)」ともいう。)を少なくとも含む。
ここでいう「直接に結合していない」とは、芳香環とポリマーの主鎖構造を形成する原子とが、連結基を介して結合した構造となっていることを表す。このような形態を有することで、ポリマー(B)中の親水性構造単位と疎水性の芳香環との間の適切な距離が維持されるため、ポリマー(B)と着色剤(A)とに相互作用が生じやすくなり、強固に吸着し、結果分散性が向上する。
また、本発明におけるポリマー(B)がグラフトポリマー、櫛形ポリマー、スターポリマー等の分岐ポリマーである場合、本発明においてはグラフトポリマー、櫛形ポリマーの所謂“側鎖”または“枝ポリマー”を形成する原子をも“主鎖”を形成する原子と見做し、同様にスターポリマーの“腕ポリマー”を形成する原子をも”主鎖”を形成する原子と見做す。
前記ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を有する疎水性構造単位(a)は、芳香環の種類によっても異なるが、前記芳香環含率の定められた範囲の中で、前記ポリマー(B)の全質量のうち25質量%以上83質量%未満であることが好ましく、30質量%以上80質量%未満であることがより好ましく、40質量%以上75質量%未満であることが特に好ましい。
本発明に於いては、前記疎水性構造単位(a)における前記芳香環は、置換または無置換のベンゼン環、置換または無置換のナフタレン環であることが好ましく、好ましい置換基としてはアルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられるが、着色剤(A)の分散性、入手性、汎用性の観点から無置換のベンゼン環であることが特に好ましい。
前記疎水性構造単位(a)におけるベンゼン環は下記一般式(1)のような構造でポリマー(B)に導入された形態が好ましい。
Figure 2009215407
一般式(1)中、*は前記ポリマー(B)の主鎖との連結点を表し、Lは炭素数1〜30の2価の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜20の連結基である。該2価の連結基は、飽和でも不飽和でも良く、また、直鎖構造でも、分岐構造、環構造を有しても良く、O、N、及びSより選ばれるヘテロ原子を含有しても良い。
前記ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していないベンゼン環を含有する疎水性構造単位(a)として、上記一般式(1)の中でも、特に好ましい例は、下記一般式(2)で表される構造を挙げることができる。
Figure 2009215407
一般式(2)中、Rは水素原子、メチル基、またはハロゲン原子を表し、Lは(主鎖側)−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Lは単結合または、炭素数1〜30の2価の連結基を表し、その好ましい範囲は前記Lと同様である。ここで、前記置換としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等、シアノ基等が挙げられるが、特に限定されない。
上記一般式(2)の中でも、Rが水素原子またはメチル基であり、Lが−COO−、であり、Lが炭素数1〜15の2価の連結基である構造単位の組合せが好ましく、より好ましくは、Rが水素原子またはメチル基であり、Lが−COO−であり、Lが炭素数1〜12のアルキレン基またはオキシアルキレン基を含む2価の連結基である構造単位の組合せである。対応するモノマーとしては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート並びに、オリゴ(繰り返し単位数が2〜6程度)エチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート類及びメタクリレート類から選択される1種以上が挙げられる。
<親水性構造単位>
本発明におけるポリマー(B)を構成する親水性構造単位について説明する。
該親水性構造単位は、前記ポリマー(B)の全質量に対して、20質量%以下含有され、2質量%以上20質量%以下含有されることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましく、7質量%以上13質量%以下が更に好ましい。
前記ポリマー(B)は、親水性構造単位としてイオン性基を含有する親水性構造単位(b)(以下、単に「親水性構造単位(b)」ともいう。)を少なくとも含む。
(イオン性基を含有する親水性構造単位(b))
イオン性基を含有する親水性構造単位(b)の含有量は、後述の構造単位(c)が親水性か、疎水性か、或いはその両方か等により変更する必要がある。
即ち、本発明におけるポリマー(B)は、疎水性構造単位として80質量%を超える量を含み、かつ親水性構造単位を20質量%以下とする量とすればよく、前記疎水性構造単位(a)、親水性構造単位(b)及び構造単位(c)により決定されるものである。
例えば、ポリマー(B)が、疎水性構造単位(a)と親水性構造単位(b)と構造単位(c)のみから構成される場合において、構造単位(c)が親水性のとき、イオン性基を含有する親水性構造単位(b)の含有量は、「(親水性構造単位の全質量%)−(構造単位(c)の質量%)」で求めることができる。
また、構造単位(c)が疎水性のとき、イオン性基を含有する親水性構造単位(b)の含有量は、「100−(疎水性構造単位(a)の質量%)−(構造単位(c)の質量%)」で求めることができる。
イオン性基を含有する構造単位(b)は、イオン性基含有モノマーを重合することにより得ることができるが、イオン性基を有さないポリマーの重合後、該ポリマー鎖にイオン性基(アニオン性基又はカチオン性基)を導入することで形成してもよい。
イオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基などのカチオン性基が挙げられ、中でも、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基より選ばれる1種以上のアニオン性基が好ましい。
本発明に用いることができるアニオン性基含有モノマー、カチオン性基含有モノマーの例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
アニオン性基含有モノマーのうち、カルボキシル基を含むものとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸モノマー類及び、β−カルボキシエチルアクリル酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
カチオン性基含有モノマーとしては、3級アミン含有ビニルモノマー及びアンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれた一種以上が挙げられる。
3級アミン含有ビニルモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
アンモニウム塩含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
これらのうちでは、アニオン性モノマーが好ましく、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマー類が好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸が特に好ましい。なお、イオン性基含有モノマーは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる
本発明におけるポリマー(B)がカルボキシル基等の酸性基を含有する場合、ポリマー(B)の酸価は10mgKOH/g以上、85mgKOH/g未満であることが好ましく、30mgKOH/g以上、85mgKOH/g未満であることがより好ましく、50mgKOH/g以上、80mgKOH/g未満であることが特に好ましい。なお、ここでいう酸価とは、ポリマー(B)の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法で測定することができ、本発明においてはこれを採用する。
カルボキシル基等の酸性基を含有する場合の前記ポリマー(B)の酸価が10mgKOH/g未満の場合には、解離したカルボキシル基による分散物の荷電反発が不足し、結果として分散性が低下する傾向となり、また、85mgKOH/g以上では、ポリマーの親水性が高くなり、着色剤に吸着せず水性媒体中に溶出する傾向となり好ましくない。
<構造単位(c)>
本発明におけるポリマー(B)は、前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)とは異なる構造を有する構造単位(c)(以下、単に「構造単位(c)」ともいう。)とを少なくとも含有する。
前記疎水性構造単位(a)及び親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)とは、前記(a)又は(b)とは異なる構造を有する構造単位であれば、該構造単位(c)が疎水性の構造単位であっても、親水性の構造単位であってもよく、単一の構造単位から成っても、二種類以上の構造単位を含んで成っていても良く、親水性の構造単位と疎水性の構造単位の両方を含んでいても良い。
前記ポリマー(B)に前記構造単位(c)を有することで、本発明の水系着色剤分散物は良好な分散性を示す。その機構は詳しくは不明だが、下記のように推測している。
すなわち、前記ポリマー(B)は主として着色剤との親和性を示す疎水性構造単位(a)と、主として水性媒体との親和性を示す親水性構造単位(b)という、謂わば相反する性質の構造単位を含む。仮にポリマー(B)がこれらのみで形成された場合には、疎水性構造単位(a)、親水性構造単位(b)のそれぞれが互いの機能を阻害し、結果分散性が不十分となってしまう。ポリマー(B)が、疎水性構造単位(a)と親水性構造単位(b)との中間的な性質を示す構造単位(c)を含有することで、このような問題は解消され、本発明の良好な分散性が示されると考えている。
ポリマー(B)は、親水性構造単位と疎水性構造単位の含率により概ね決定されるが、前記構造単位(c)の性質、含有量によっても、ポリマー(B)の親疎水性を調整することが可能である。洗浄性の観点からはポリマー(B)は親水的であることが好ましく、構造単位(c)も親水的であることが好ましい。しかし、ポリマー(B)が親水的になりすぎると、顔料の分散性、保存安定性が低下するため好ましくない。逆に、構造単位(c)が疎水的すぎる場合には、洗浄性が低下し好ましくない。
前記構造単位(c)は、前記ポリマー(B)に全質量中15質量%を超え90質量%未満の量で含まれ、15質量%を超え50質量%以下とすることがより好ましく、20質量%を超え45質量%以下とすることが更に好ましく、30質量%以上40質量%以下とすることが特に好ましい。
前記構造単位(c)が疎水性の構造単位である場合、前記構造単位(c)はこれに対応するモノマーを重合することにより形成することができる。また、ポリマーの重合後に、ポリマー鎖に疎水性官能基を導入してもよい。
前記構造単位(c)が疎水性の構造単位である場合のモノマーは、重合体を形成しうる官能基と疎水性の官能基とを有していれば特に制限はなく、公知の如何なるモノマー類をも用いることができる。
前記疎水性の構造単位を形成しうるモノマーとしては、入手性、取り扱い性、汎用性の観点から、ビニルモノマー類((メタ)アクレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類等)が好ましい。
これらの例として、(メタ)アクリレート類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリルアミド類としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、中でも、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられ、中でも、ビニルアセテートが好ましい。
構造単位(c)が疎水性の構造単位である場合、上記の中でも、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが特に好ましい。このような構造とすることで、ポリマー(B)の親疎水性が適切に制御され、洗浄性に優れる顔料分散物が得られる。
前記構造単位(c)が親水性の構造単位である場合には、構造単位(c)は非イオン性の親水性基を含有して成ることが好ましい。また、構造単位(c)は、これに対応するモノマーを重合することにより形成することができるが、ポリマーの重合後、ポリマー鎖に親水性官能基を導入してもよい。
前記構造単位(c)を形成するモノマーは、重合体を形成しうる官能基と非イオン性の親水性の官能基とを有していれば特に制限はなく、公知の如何なるモノマー類をも用いることができるが、入手性、取り扱い性、汎用性の観点からビニルモノマー類が好ましい。
これらビニルモノマー類の例として、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類が挙げられる。親水性の官能基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基及び、後述するようなポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド重合体が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記構造単位(c)は、アルキレンオキシド重合体構造を有する親水性の構造単位を含むことが好ましい。
前記アルキレンオキシド重合体のアルキレンとしては、ポリマー(B)の親疎水性の観点から炭素数1〜6が好ましく、炭素数2〜6がより好ましく、炭素数2〜4が特に好ましい。
また、前記アルキレンオキシド重合体の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
前記構造単位(c)は、水酸基を含む親水性の構造単位であることも好ましい態様である。
前記構造単位(c)中の水酸基数としては、特に限定されず、ポリマー(B)の親疎水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
本発明におけるポリマー(B)は、各構造単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であっても良く、ブロック共重合体である場合の各構造単位は、如何なる導入順序で合成されたものであっても良く、同一の構成成分を2度以上用いてもよいが、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
さらに、本発明で用いるポリマー(B)の分子量範囲は、重量平均分子量(Mw)で、好ましくは1000〜100万であり、より好ましくは2000〜20万であり、さらに好ましくは2000〜6万である。
前記分子量を上記範囲とすることにより、分散剤としての立体反発効果が良好な傾向となり、また立体効果により着色剤への吸着に時間がかからなくなる傾向の観点から好ましい。
また、本発明で用いるポリマーの分子量分布(重量平均分子量値/数平均分子量値で表される)は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
前記分子量分布を上記範囲とすることにより、顔料の分散時間の短縮、及び分散物の経時安定性の観点から好ましい。ここで数平均分子量及び、重量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用い換算して表した分子量である。
本発明に用いられるポリマーは、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合により合成することができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常、0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm、特に、1〜30kg/cm程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られたポリマーは再沈殿などの精製を行っても良い。
本発明におけるポリマー(B)として好ましい具体例を以下に示すが、本発明は以下に限定されるものではない。
Figure 2009215407
Figure 2009215407
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(水性液媒体(I))
本発明の水系着色剤分散物における水性液媒体としては、水を含むものであるが、水溶性有機溶媒を更に含むことができる。前記水溶性有機溶剤は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用される。
ノズルのインク噴射口において水系着色剤分散物を含む該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。
また、前記インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で浸透促進剤として、水溶性有機溶剤が好適に使用される。
水溶性有機溶媒の例として、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
乾燥防止剤や湿潤剤の目的としては,多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透剤の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
本発明に使用される水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水溶性有機溶媒の含有量としては、1質量%以上60質量%以下、好ましくは、5質量%以上40質量%以下で使用される。
本発明に使用される水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
本発明の水系着色剤分散物中の前記水性液媒体の含有量としては、乾燥防止、被着体への浸透性、粘度等の液物性の観点から、1〜70質量%が好ましく、2〜60質量%がより好ましく、5〜50質量%が特に好ましい。
水性液媒体の含有量を上記範囲とすることにより、水系着色剤分散物の乾燥速度、被着体への浸透性、粘度等の液物性を適切な状態に調整することができる。
本発明の水系着色剤分散物は、印刷物の定着性、耐擦性を高める目的で樹脂微粒子またはラテックスをさらに含有しても良い。本発明に用いられることができる樹脂微粒子あるいはポリマーラテックスとしては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等あるいはそのラテックスを用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
樹脂微粒子の重量平均分子量は1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
樹脂微粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂微粒子の添加量はインクに対して、0.5〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂微粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂微粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
本発明の水系着色剤分散物は、前記成分のほかに、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、表面張力調整剤等の公知の添加剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、調合される記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、本発明のインクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
本発明における界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
水系着色剤分散物に添加する界面活性剤の量は、特に限定されるものではないが、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
前記水系着色剤分散物の粘度としては、水系着色剤分散物の付与をインクジェット方式で行う場合、打滴安定性と凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2.5〜15mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、ここでの粘度の値は25℃での測定値とする。
水系着色剤分散物の粘度は、例えば、E型粘度計を用いて測定することができる。
(水系着色剤分散物の製造方法)
本発明の水系着色剤分散物の製造方法は、着色剤(A)、ポリマー(B)、及び前記ポリマー(B)を溶解または分散しうる有機溶媒(C)の混合物(II)に、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液(III)を混合した後(混合・水和工程)、前記有機溶媒(C)を除く(溶媒除去工程)ことを特徴とする。
本発明の水系着色剤分散物の製造方法によれば、前記着色剤が微細に分散され、保存安定性に優れた水系着色剤分散物を製造することができる。
本発明における有機溶媒(C)は、本発明におけるポリマー(B)を溶解または分散できることが必要だが、これに加えて水に対してある程度の親和性を有することが好ましい。具体的には、20℃において、水に対する溶解度が10質量%以上50質量%以下であるものが好ましい。
本発明の水系着色剤分散物は、更に詳細には下記に示す工程(1)、(2)より成る製造方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
工程(1):着色剤(A)、ポリマー(B)、及び前記ポリマー(B)を溶解・分散しうる有機溶媒(C)、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液(III)、及び水を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒(C)を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記ポリマー(B)を有機溶媒(C)に溶解、または分散させ、これらの混合物(II)を得る(混合工程)。
次に、着色剤(A)、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液(III)、水、及び必要に応じて界面活性剤等を、前記混合物(II)に加えて混合、分散処理し、水中油型の水系着色剤分散物を得る。
中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水系着色剤分散物の液性が、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ビニルポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
前記水系着色剤分散物の製造方法で用いる着色剤(A)、ポリマー(B)、及びその他の添加剤は、前述の水系着色剤分散物の項において記載したものと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明に用いられる有機溶媒(C)の好ましい例としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。これらのうちアルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。
また、これらの有機溶媒(C)は、単独で用いても複数併用してもよい。
前記水系着色剤分散物の製造においては、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことができる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
本発明の水系着色剤分散物の製造方法において、前記有機溶媒の除去は特に限定されず、減圧蒸留等の公知に方法により除去できる。
本発明の水系着色剤分散物の製造方法により得られた着色剤の平均粒径としては、10nm以上200nm未満が好ましく、50nm以上130nm未満がより好ましく、60nm以上100nm未満がさらに好ましい。このような範囲とすることにより発色性、分散安定性、ジェッティングの際の吐出安定性が良好となる点で好ましい。
前記着色剤の分散粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定した値を採用する。
本発明の水系着色剤分散物は、例えば、後述のインクジェット記録用水系インク、また、水性ボールペンやマーカーペンなどの筆記用具の水系インクに使用することができる。この場合、インクジェットノズルやペン先が乾燥により目詰まりするのを防ぐために、上記の水溶性有機溶剤のうち、低揮発性又は不揮発性の溶剤を添加することもできる。また、記録媒体への浸透性を高めるためには、揮発性の溶剤を添加することもできる。
(インクジェット記録用水系インク)
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、適宜「インクジェットインク」という。)は、前記本発明の水系着色分散物を含んで成ることを特徴とする。
本発明のインクジェットインクは前記本発明の水系着色剤分散物をそのまま、或いは必要に応じて、更に、前記乾燥防止剤や前記その他の添加剤を添加して、前記水性液媒体(I)で希釈して調製することができる。
前記インクジェットインクに含まれる着色剤の量は、インク着色性、保存安定性、吐出性の観点から、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.5〜10質量%の範囲がより好ましい。
該インクジェットインクに含まれる前記ポリマー(B)の量は、該水系インクの分散性、保存安定性、吐出性の観点から、顔料(着色剤)に対して、1〜150質量%の範囲とすることが好ましく、5〜100質量%の範囲とすることがより好ましい。
また、該インクジェットインクのpHは7〜10の範囲が好ましい。pHをこの範囲とすることで、保存安定性を向上させることができ、しかも、インクジェットインクが適用される装置であるインクジェット記録装置の部材の腐食を抑制することもできる。
該インクジェットインクにおけるpH調整は、前記水系着色剤分散物の項において記載した塩基性物質を用いて調製することができる。
本発明のインクジェットインクは、インクジェットノズルが乾燥により目詰まりするのを防ぐために、上記の水溶性有機溶剤のうち、低揮発性又は不揮発性の溶剤を添加するとよい。また、記録媒体への浸透性を高めるためには、揮発性の溶剤を添加するとよい。インクに適度な表面張力を持たせるために、界面活性剤を添加することも好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[合成例1](B−4の合成)
下記スキームに従って合成した。
Figure 2009215407
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン46.3gを加え窒素雰囲気下で75℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン100gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート2.9g、フェノキシエチルメタクリレート75g、メタクリル酸16.5g、エチルアクリレート58.5g、を溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン1.5gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.26gを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液はメチルエチルケトンで希釈した後、大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出したポリマーを乾燥してB−4を147g得た。
得られたポリマーの組成はH−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は45000であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、71.8mgKOH/gであった。また、得られたB−4は十分に乾燥した後、示差走査熱量測定(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した。測定方法はJIS K 7121に従って測定したところ、ガラス転移温度(Tg)は16.6℃であった。
[合成例2](B−2,B−7,B−10,B−15,B−16,B−20の合成)
B−2,B−7,B−10,B−15,B−16,B−20についても、前記B−4と同様に合成した。分子量の調整は、開始剤であるジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートの添加量を調整することで行った。
[合成例3](比較化合物C−1の合成)
下記スキームに従って合成した。
Figure 2009215407
攪拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン46.3gを加え窒素雰囲気下で75℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン100gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート2.9g、フェノキシオリゴエチレンアクリレート(新中村化学工業(株)製 AMP−60G)75g、アクリル酸15g、エチルアクリレート30g、ノルマルブチルアクリレート20gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン1.5gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.26gを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液はメチルエチルケトンで希釈した後、大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出したポリマーを乾燥してC−1を148g得た。
得られたポリマーの組成はH−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44800であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、78.1mgKOH/gであった。また、得られたC−1は十分に乾燥した後、示差走査熱量測定(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した。測定方法はJIS K 7121に従って測定したところ、ガラス転移温度(Tg)は−32.0℃であった。
[実施例1]
(顔料含有樹脂粒子の分散物(顔料分散物D−1)の調製)
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220) 10質量部と、前記B−4の5質量部と、メチルエチルケトン42質量部と、1規定モル NaOH水溶液 5.5質量部と、イオン交換水87.2質量部を混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の顔料含有樹脂粒子の分散物を得た。さらに、遠心分離機(05P−21、日立製作所製)により30分5000rpmで遠心分離させた後、顔料濃度15質量%になるようにイオン交換水を添加し顔料分散液を調整し、2.5μmのメンブレンフィルター(アドバンテック社製)を用いて加圧ろ過させた後、顔料濃度4質量%になるようにイオン交換水を添加し、本発明の顔料分散物(D−1)を得た。
[実施例2:顔料分散物(D−2)〜(D−9)の調製]
実施例1におけるB−4に代えて、それぞれ表1に記載のポリマーに変更した以外はすべて実施例1の顔料分散物(D−1)の調製と同様にして、本発明の顔料分散物(D−2)〜(D−7)をそれぞれ調製した。
また、実施例1におけるピグメントブルー15:3に代えて、それぞれC.I.Pigment Red 122(チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:CROMOPHTAL Jet Magenta DMQ)、C.I.Pigment Yellow 74(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)に変更した以外はすべて実施例1の顔料分散物(D−1)の調製と同様にして顔料分散物(D−8)、(D−9)を調製した。
[実施例3:水性インクの調製]
上記で得られた顔料分散物(D−1)を用い、下記の組成より成る顔料分散物含有組成物を調製し、該組成物に遠心分離(10000〜20000rpmで30分〜2時間)を行い、インクジェット記録用水性インク(J−1)を得た。
顔料分散物(D−1) 40質量部
グリセリン 7質量部
ジエチレングリコール 9質量部
トリエタノールアミン 1質量部
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9質量部
イオン交換水 34質量部
東亜DKK(株)製pHメータ−WM−50EGにて、インク組成物のpHを測定したところ、pHは8.6であった。
また、上記と同様にして顔料分散物(D−2)〜(D−9)よりそれぞれ対応する水性インク(J−2)〜(J−9)を調製した。
[比較例1:顔料分散物(D−10)、(D−11)の調製]
実施例1におけるB−1を、それぞれ特開2003−73599号公報における[0102]〜[0103]記載の共重合体(以下G−1と呼称する)、特開2007−51199号公報における[0067]記載の共重合体P−66に変更した以外は、実施例1の顔料分散物(D−1)の調製と同様にして、顔料分散物(D−10)、(D−11)をそれぞれ調製した。
[比較例2:水性インクの調製]
実施例3におけるインクジェット記録用水性インク(J−1)の調製において、顔料分散物(D−1)を用いる代わりに、前記顔料分散物(D−10)、(D−11)を用いた以外はすべて同様にして、水性インク(J−10)、(J−11)を調製した。
[顔料分散物の評価]
(1)平均粒径の測定
ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により得られた顔料分散物の体積平均粒径(着色剤の体積平均粒径)を測定した。この結果を表1に示す。
<測定条件>
分散物10μlに対しイオン交換水10mlを加え、測定用溶液を調整し、25℃で測定した。
(2)粘度の測定
得られた顔料分散物の粘度は、TV−22型粘度計(東機産業(株)社製)を用い、25℃で測定を行った。
(3)顔料分散物の洗浄性(除去性)
得られた顔料分散物の1mlをスライドガラス上に滴下し、温度25℃、65%RHでで3日間乾燥させた後、純水中に浸して洗浄し、顔料分散物の洗浄性を評価した。評価基準は下記に基づく。
−評価基準−
◎・・・ガラス上に残留物や着色がない
○・・・ガラス状には僅かな着色が残るが、ガラスは透明で残留物はない
△・・・ガラス上にわずかに残留物が残る
×・・・ガラス上の残留物が多く、ほとんど洗い流すことができない
(4)顔料分散物の経時安定性
得られた顔料分散物を密閉状態で65℃、20日間放置した後、顔料粒子の凝集及び増粘について、平均粒径、粘度の測定を行い、下記の評価基準で評価した。
−評価基準−
◎:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化は全く認められなかった。
○:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化はいずれも10%未満であった。
△:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化は僅かに認められたが実用上問題はなかった。
×:顔料粒子の平均粒径・粘度の変化は認められ、実用上問題となった。
なお、平均粒径の測定は、上記(1)と同様に行い、また、粘度の測定は上記(2)の手順により行った。
[インクジェット記録用インクの評価]
インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを用い、水性インク(J−1)〜(J−11)をインクジェット記録用インクとして用いた際の評価を行なった。
(1)吐出安定性
インクジェット記録装置を用いた印刷の際に、印字開始から印字終了までにインクの飛行曲がり、ミストが発生するか印刷物を観察して評価し、下記基準に基づき判定した。
−評価基準−
◎・・・発生しない。
○・・・発生するが実用上問題ない程度に頻度が低い。
×・・・頻繁に発生し実用上問題がある。
Figure 2009215407
上記表1から明らかな通り、本発明の顔料分散物及び水系インクは、平均粒径、洗浄性、経時安定性、吐出安定性のいずれにおいても良好な結果が得られた。一方、比較の顔料分散物及び水系インクは評価項目の全てを満たすものは得られなかった。

Claims (12)

  1. 着色剤(A)、ポリマー(B)、及び水性液媒体(I)を含む水系着色剤分散物であって、前記ポリマー(B)が親水性構造単位と、80質量%を超え100質量%未満の疎水性構造単位とを含有する共重合体であり、
    前記疎水性構造単位として、前記ポリマー(B)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を含有する疎水性構造単位(a)を含み、
    前記親水性構造単位としてイオン性基を含有する親水性構造単位(b)を含み、かつ、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を15質量%を超え90質量%未満含み、
    且つ前記ポリマー(B)のガラス転移温度が−30℃以上50℃以下であることを特徴とする水系着色剤分散物。
  2. 前記疎水性構造単位(a)が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の水系着色剤分散物。
    Figure 2009215407

    (式中、*は主鎖との連結点を表し、Lは炭素数1〜30の2価の連結基を表す。)
  3. 前記疎水性構造単位(a)が、下記一般式(2)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水系着色剤分散物。
    Figure 2009215407

    (式中、Rは水素原子、メチル基、またはハロゲン原子を表し、Lは(主鎖側)−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−、または置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Lは単結合または炭素数1〜30の2価の連結基を表す。)
  4. 前記疎水性構造単位(a)がベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレートまたは2−フェノキシエチルメタクリレートに由来する構造単位を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  5. 前記親水性構造単位(b)が有するイオン性基がアニオン性基であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  6. 前記アニオン性基がカルボキシル基、リン酸基、及びスルホン酸基より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  7. 前記親水性構造単位(b)として、アクリル酸またはメタクリル酸に由来する構造単位を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  8. 前記ポリマー(B)の酸価が10mgKOH/g以上、85mgKOH/g未満であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  9. 前記構造単位(c)として、アクリル酸またはメタクリル酸の、炭素数1〜6のアルキルエステルに由来する疎水性構造単位を含むことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  10. 前記着色剤(A)が顔料であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物。
  11. 着色剤(A)、ポリマー(B)及び前記ポリマー(B)を溶解、分散し得る有機溶媒(C)の混合物(II)に、塩基性物質を含み水を主成分とする溶液(III)を加えた後、前記有機溶媒(C)を除くことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物の製造方法。
  12. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の水系着色剤分散物を含むインクジェット記録用水系インク。
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