JP2006272733A - 廃インク液吸収体及びそれを含むインクジェット式記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェット記録装置の廃液タンクにおいて、廃液チューブから排出される廃インクが泡立つようなものであっても、容易に吸収される廃インク液吸収体、及びその廃インク液吸収体を含むインクジェット式記録装置を提供する。
【解決手段】 廃インク液吸収体32は、インクジェット式記録装置の廃インクタンク31用であって、水溶性樹脂を含む含浸液を、少なくとも廃インク液との接触表面を含む部分に含む。インクジェット式記録装置は、前記の廃インク液吸収体を含む。
【選択図】 図4

Description

本発明は、廃インク液吸収体及びそれを含むインクジェット式記録装置に関する。
インクジェット式記録装置においては、記録ヘッドの吐出口の乾燥を防止する等のためにフラッシングが行われる。これは、記録制御信号とは別に吐出口からインクを空吐出する操作である。また、記録ヘッドの吐出口が目詰まりした場合には、記録ヘッドの吐出口をキャッピング手段で封止し、このキャッピング手段に接続された吸引手段により吐出口からインクを強制的に排出させるいわゆるクリーニング操作が行われる。これらのフラッシング及びクリーニングなどにより、記録に使用されずに吐出口から吐出されたインクはキャッピング手段に受け取られ、廃液として吸引手段によりインクジェット式記録装置に設けられた廃液タンクに搬送される。また、縁無印刷においても、記録媒体の外側に吐出されたインクは、プラテンに設けた捕捉材を経て、廃液タンクに搬送される。
例えば、前記のフラッシングやクリーニングによる廃インク用の廃液タンクを備えるインクジェット式記録装置を図8に示す。図8は、インクジェット式記録装置10の部分斜視図であり、特に、印刷部40及びインク廃液搬送部70の構造を示すものである。印刷部40は、例えば、インクカートリッジを載置するキャリッジ42、インクを吐出する記録ヘッド44、キャリッジ42に設けられた軸穴46、及び軸穴46を挿通しキャリッジ42を給送方向に対して略垂直な方向にスライド可能に支持するガイド軸48を有する。記録ヘッド44は、被記録物11の給送方向に沿って配列された複数のインク吐出口を有する。印刷部40は、更に、タイミングベルト402、キャリッジモータ404、ブラックインクカートリッジ406、及びカラーインクカートリッジ408を有する。
キャリッジモータ404がタイミングベルト402を駆動することにより、キャリッジ42は、ガイド軸48に案内されて被記録物11の給送方向対し略直角に往復移動する。キャリッジ42の被記録物に対向する側には、ブラックインク用吐出口及びカラーインク用吐出口を含む記録ヘッド44が搭載される。キャリッジ42の上部には、記録ヘッド44にインクを供給するブラックインクカートリッジ406及びカラーインクカートリッジ408が着脱可能に装着される。
インクジェット式記録装置10は、更に、記録ヘッド44から排出されたインクを廃液として搬送するインク廃液搬送部70とワイピング手段80とを備える。インク廃液搬送部70は、記録ヘッド44の吐出口を封止するキャッピング手段72を有する。更に、インク廃液搬送部70は、吸引手段の一例として、記録ヘッド44の吐出口からキャッピング手段72に接続チューブ74と、チューブ74の一部を弾性変形させ、チューブ74内部のインクを搬送するポンプ76とを有する。インク廃液搬送部70は、更に、ポンプ76が搬送したインクを蓄積する廃液タンク100を有する。インク廃液搬送部70のキャッピング手段72は、記録領域(被記録物11の給送経路)外の非記録領域(ホームポジション)に配置される。被記録物11は、搬送ローラ(図示せず)や排出ローラ52によって搬送される。ワイピング手段80は、弾性を有しており、キャッピング手段72の記録領域側の端部近傍に配置される。
以上の構成を有するインクジェット式記録装置10が記録を行わない場合には、キャリッジ42が、記録領域から非記録領域(ホームポジション)へ移動する。キャリッジ42に設けられた記録ヘッド44がホームポジションの直上に移動してきた場合に、キャッピング手段72は、キャリッジ42側に上昇し、記録ヘッド44の吐出口を有する面を封止することができる。
キャッピング手段72は、記録ヘッド44の吐出口を有する面を封止することにより、記録ヘッド44の吐出口の乾燥を抑制することができる。また、キャッピング手段72は、記録ヘッド44にインク滴を空吐出させるフラッシング操作を行わせ、空吐出されたインクを受け取ることができる。このフラッシングは、例えば、記録とは関係のない駆動信号を記録ヘッド44に印加して行う。
キャッピング手段72が記録ヘッド44を封止している状態において、ポンプ76が記録ヘッド44とキャッピング部材72により形成される内部空間の空気を吸引することにより、記録ヘッド44の吐出口からインクが強制的に吸引排出される。記録ヘッド44の吐出口からインクが強制的に吸引排出されることにより記録ヘッド44がクリーニングされ、吐出口の目詰まりが解消される。
キャリッジ42が非記録領域から記録領域に戻る場合には、まずキャッピング手段72から離脱する。更に、キャリッジ42が非記録領域側に移動するのに伴い、ワイピング手段80が記録ヘッド44の移動経路上に進出し、記録ヘッド44のノズル形成面のインクを払拭する。
上記クリーニング及びフラッシング等により、キャッピング手段72に受け取られたインクは、インク廃液搬送部70のポンブ76により吸引され、キャッピング手段72に一端が接続されたチューブ74を経由して、チューブ74の他端に接続された廃液タンク100に移送される。
ここで、廃液タンク100が密閉されていると、廃インクの乾燥が妨げられ、廃インクにより廃液タンクはすぐに満杯となり、期待される量の廃インクの保持が難しい。一方、インクを乾燥させて体積を減らし、廃インクの保持量を増やすために、廃液タンクの上面を開放して、トレイ状の容器にすると、インクジェット記録装置10が記録中に振動することによりインクが飛散したり、インクジェット記録装置10が傾けられることによりインクが流出してしまうことがある。そこで、一般的には、廃液タンク100には廃インク液を吸収する吸収体が格納されている。
また、廃液タンク100は、一般的に、インク溜部(すなわち、廃インク拡散室)及びそのインク溜部の周囲(すなわち、吸収体保持室)に配置される吸収体を有している。チューブ74から搬送される廃インクがこの廃インク拡散室に溜められてから、吸収体の吸収面から廃インクが吸収されることになる。しかしながら、廃インク液に含まれている成分の内、色素成分は、溶剤成分や水成分と比較して吸収体に吸収されにくい。特にインクの色素成分が顔料である顔料インクにおいては、溶剤成分と水成分だけが吸収体内部に浸透し、顔料粒子が吸収体の表面に堆積しやすい傾向にある。
水性顔料インクにおいては、普通紙上での発色性(例えば、特許文献1)や普通紙の発色性と光沢性を両立させることを主な目的として、水不溶性の分散性ポリマーを含有する水性顔料インク(例えば、特許文献2)が開発されている。また、インクジェット記録装置の廃液タンクの構造についても種々の改良が提案されており、例えば、廃液タンクの廃インク拡散室底面を傾斜させる技術が知られている(例えば、特許文献3)。
特開2005−15765号公報 特開2004−75988号公報 特開2004−34361号公報
前記特許文献1や特許文献2に記載されている水性顔料インクを用いるインクジェット記録装置では、廃インクタンク内で、廃インクが、従来の顔料インクの場合よりも吸収体に一層吸収されにくい現象が発生している。具体的には、水不溶性のポリマーによって分散された顔料粒子は、従来の顔料粒子よりも溶剤成分と水成分だけが吸収体内部に浸透し、吸収体の表面により堆積しやすい傾向にある。更に、廃液チューブから廃インクタンク内の廃インク拡散室に排出される廃インクが泡だってしまうため、泡状体が残留すると、吸収体に更に吸収されにくく、最終的には廃液チューブの内部で廃インクが堆積してしまうので、吸収体自体には充分な吸収能力が残存していても、フラッシングやクリーニングを実施することができなくなる。
従って、本発明の目的は、インクジェット記録装置の廃液タンクにおいて、廃液チューブから排出される廃インクが泡立つようなものであっても、吸収体に容易に吸収される技術を提供することにあり、特に、水不溶性の分散性ポリマーを含有する顔料インクを用いる場合であっても、吸収体に容易に吸収される技術を提供することにある。
前記の課題は、本発明により、インクジェット式記録装置の廃インク用の廃インク吸収体であって、少なくとも水溶性樹脂を含む含浸液を、少なくとも廃インク液との接触表面を含む部分に含むことを特徴とする前記廃インク液吸収体によって解決することができる。
本発明による廃インク液吸収体の好ましい態様においては、廃インク液吸収体を充填しない廃インク拡散室を廃インク液吸収体を充填する吸収体保持室とを有する廃インクタンクの前記吸収体保持室に充填する。
本発明による廃インク液吸収体の別の好ましい態様においては、不織布又はフォームからなる。
本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、前記不織布が、再生セルロース繊維、及び/又はポリアクリル系繊維を含む。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、表面の少なくとも一部に飽和ポリエステルフィルム層を有する。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、廃インク拡散室を接触する廃インク液吸収体表面から、廃インク拡散室の内部の方向に突出して延びる廃インク液吸収体突出部を有し、その廃インク液吸収体突出部に少なくとも前記含浸液を含む。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、廃インク液吸収体突出部がポリウレタンフォームからなる。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、前記廃インク拡散室が廃インクタンクの底面と、廃インク液吸収体の上面及び4側面に包囲されている。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、廃インクが顔料と、その顔料を包含し、かつ前記顔料をインク組成物中に分散可能とし、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないポリマーと、主溶媒としての水を少なくとも含むインク組成物である。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、前記ポリマーが、
(A)式(I):
Figure 2006272733
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30の数を表す)
で表されるモノマーA1、
式(II):
Figure 2006272733
(式中、R1、R2及びnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30の数を表し、[]内のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基はブロック又はランダム付加のいずれであってもよい)で表されるモノマーA2、及び
式(III):
Figure 2006272733
(式中、R1、R2及びnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す)
で表されるモノマーA3から選ばれる少なくとも一種のモノマー5〜45重量%と、
(B)塩生成基を有するモノマー3〜40重量%と、
(C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマー5〜40重量%と、
(D)前記モノマー(A)、(B)、及び(C)と共重合可能なモノマー0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーである。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、前記ポリマーが、
(1)前記モノマーA3と、
(2)前記モノマーA1、前記モノマーA2、及び式(IV):
Figure 2006272733
(式中、R1、R2、m及びnは前記と同じ意味であり、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基はブロック付加又はランダム付加している)
で表されるモノマーA4からなる群より選ばれた1種以上のモノマーと、
(3)前記塩生成基を有するモノマー(B)と、
(4)前記モノマーA3、前記モノマーA1、前記モノマーA2、又は前記モノマーA4と、前記モノマー(B)、及び前記モノマー(C)と共重合可能なモノマーと
を重合させてなるビニルポリマーである。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、水溶性樹脂が親水性構造部と疎水性構造部を有する化合物である。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、水溶性溶剤を更に含む。
また、本発明による廃インク液吸収体の更に別の好ましい様態においては、前記水溶性溶剤の少なくとも1種は、20℃における蒸気圧が0.01mmHg以下である。
本発明は、前記廃インク液吸収体を含むことを特徴とする、インクジェット式記録装置にも関する。
本明細書において、プリンタに関して「上下」関係に関連する用語、例えば、「上方」又は「下方」、「上面」又は「下面」、「上側」又は「下側」、更には「上部」あるいは「直上」などは、プリンタによって印刷が行われている状態での重力方向に関する上下関係を意味する。
本発明による廃インク液吸収体は、少なくとも廃インク液との接触表面を含む部分に前記含浸液を含むので、廃液チューブから排出される廃インクが泡立つような性質を有する場合でも、吸収体に容易に吸収される。
また、本発明による廃インク液吸収体が、廃インク拡散室の内部の方向に突出して延びる廃インク液吸収体突出部を有し、その吸収体突出部に前記含浸液を含む場合には、吸収体による吸収能が一層向上する。
本発明の廃インク液吸収体に関し、最初に、その廃インク液吸収体を収納して使用することが可能な廃インクタンクについて説明し、続いて、廃インク液吸収体の構造や材料などについて、そして含浸液及びインク組成物等について順に説明する。
(A)廃インクタンク
本発明の廃インク液吸収体を収納して使用することが可能な廃インクタンクは、インクジェット式記録装置において実施されるフラッシング及びクリーニングの各操作において発生する廃インクを収容する廃インクタンクであれば、特に限定されず、更に、縁無印刷において記録媒体の外側に吐出され、プラテンに設けた捕捉材を経て搬送される廃インクを収容する廃インクタンクも含まれ、これらの機能を同時に満たす廃インクタンクも含まれる。本発明で用いる廃インクタンクは、閉鎖されていても開放されていてもよく、開放されていていることが好ましい。
本発明で用いる廃インクタンクは、廃インク拡散室と吸収体保持室とを有することが好ましい。ここで、廃インク拡散室とは、廃インク液吸収体を含まない内部空間であり、フラッシング及びクリーニングの各操作において発生する廃インクを廃インクタンクへ導く廃液チューブの排出口が挿入される内部空間である。また、吸収体保持室とは、廃インク液吸収体を充填する内部空間である。
図1は、廃インク拡散室と吸収体保持室とを有する廃インクタンク100から、吸収体保持室に充填されている吸収体を取り除いた状態を示す斜視図であり、図2は、図1の廃インクタンク100の吸収体保持室に吸収体146を充填した状態を示す斜視図である。
廃液タンク100は、上面全体が開放される略直方体の本体102を有する。廃液タンク100は、廃インクを流す傾斜底面を有する廃インク拡散室104と、廃インク拡散室104に沿って廃インク拡散室104の側面に設けられ、廃インク液吸収体146を保持する吸収体保持室106とを備える。廃インク拡散室104は、上部が開放され、インクを流す方向(図中の矢印Aの方向)に傾斜する。吸収体保持室106は、底面が廃インク拡散室104よりも下方に設けられ、上面が開放されるトレイ形状を有する。この廃液タンク100へ、キャッピング手段72からチューブ74を介して、廃インクが搬送される。この廃インクが、廃インク拡散室104に流されると、廃インク拡散室104の傾斜底面に沿って下方に、すなわち図1中の矢印Aの方向へ流れる。なお、廃インク拡散室104の底面は、水平であることもでき、あるいは吸収体保持室106の方向に向かって傾斜していることもできる。
図3は、廃液タンクの他の例を示す斜視図である。図3に示す廃液タンク180は、上面が開放される略直方体を有する。廃液タンク180は、廃インク拡散室184と、廃インク拡散室184に沿って廃インク拡散室184の側面に設けられる吸収体保持室とを備え、吸収体保持室には吸収体186を充填して含む。廃インク拡散室184は、上部が開放されている。廃液タンク180は、廃インク拡散室184と交差する方向(図3中の矢印Cの方向)にインクを誘導するインク廃液副流路188a、188b、188cが配される。これらインク廃液副流路188a、188b、188cは上部が開放され、廃インク拡散室184から遠くなるほど低くなる傾斜底面を有するか、あるいは水平底面であることができる。
本発明で用いる廃インク拡散室は、前記廃インク拡散室が、廃インクタンクの底面と、廃インク液吸収体の上面及び4側面に包囲されている態様であることもできる。
こうした態様の廃インク拡散室を含む廃液タンクを図4(斜視図)及び図5(断面図)に示す。
図4及び図5に示すように、廃液タンク15には、回収容器31と廃インク液吸収体32とが備えられている。その回収容器31は、その上側を開口した箱型状の容器である。その回収容器31の内側には、略直方体形状の回収空間Sが形成されている。その回収容器31の右側面31aには、図4及び図5に示すように、挿通孔31bが設けられている。挿通孔31bは、左右方向Xに沿って形成される円形孔であって回収容器31の外側から回収空間Sまでを貫通して形成されている。また、その挿通孔31bは、右側面31aの略中央に形成され、排出チューブ22の外径と略同じ大きさの孔径で形成されている。
図4に示すように、廃液タンクには、回収容器31と廃インク液吸収体32とが備えられている。その回収容器31は、図4に示すように、その上側を開口した箱型状の容器である。その回収容器31の内側には、略直方体形状の回収空間Sが形成されている。その回収容器31の右側面31aには、図4及び図5に示すように、挿通孔31bが設けられている。挿通孔31bは、例えば、円形孔であって回収容器31の外側から回収空間Sまでを貫通して形成されている。また、その挿通孔31bは、右側面31aの例えば略中央に形成され、排出チューブ22の外径と略同じ大きさの孔径で形成されている。
その挿通孔31bには、図4に示すように、排出チューブ22が挿通されている。その排出チューブ22の先端には、廃インクを排出する円環状の排出口22aが形成されている。そして、排出口22aを回収空間S内に配置することによって、排出チューブ22は、排出口22aを介して回収空間S内(廃液タンク内)への廃インクの排出を可能にしている。
その回収空間Sには、図4に示すように、廃インク液吸収体32が収容されている。廃インク液吸収体32は、多数の細孔を備える多孔質部材で形成され、回収空間Sと略同じサイズの直方体状に形成されている。その廃インク液吸収体32は、毛細管力などによってその細孔の内部に排出インクを吸収することができる。しかも、廃インク液吸収体32は、回収容器31の上側開口部を通じて、吸収するインクを所定の割合の揮発率で揮発させることができる。つまり、この廃インク液吸収体32は、吸収する廃インクをその揮発率に相対する分だけ揮発し、そのインクの容量を縮小して細孔の内部に収容することができる。
廃インク液吸収体32は、収容することのできるインクの最大容量(飽和量)をその細孔の総容積に相対させ、単位排出容量の例えば50倍、すなわち50回分のクリーニング動作によって排出される廃インクの総容量にすることができる。しかも、廃インク液吸収体32は、その揮発率を50%、すなわち吸収したインクの容量を半分にして収容するものとすることができる。この場合、廃インク液吸収体32(廃液タンク)は、100回のクリーニング動作を行うことによって、その廃インク容量の50%を揮発し、飽和量に相対する単位排出容量の50倍のインクでその細孔内部を満杯にするものとすることができる。換言すれば、廃液タンクは、その収容するインクが飽和量に到達するクリーニング回数(飽和クリーニング回数)を100回にするものとすることができる。
その廃インク液吸収体32の右側面にあって挿通孔31bと相対向する位置には、図4及び図5に示すように、凹部34が形成されている。凹部34は、廃インク液吸収体32の右側面31aの下側中央を左側に向かって切り欠いて凹設されている。そして、この凹部34が形成されることによって、回収空間S内には、排出口22aを収容して廃インク液吸収体32(凹部34)で覆われる空間、すなわち廃インク拡散室35が区画形成される。また、この廃インク拡散室35が形成されることによって、回収空間S内には、図4及び図5に示すように、廃インク拡散室35を除く廃インク液吸収体32で満たされた空間、すなわち吸収体保持室が形成される。
廃インク拡散室35は、図4及び図5に示すように、凹部34と回収容器31の内壁によって形成される直方体形状の空間である。その廃インク拡散室35は、図5に示すように、その上面35aと下面35bとが、それぞれ凹部34の上面と回収容器31の容器底面31cによって形成されている。例えば、その廃インク拡散室35の容積は、5回の連続したクリーニング動作によって廃インクを漏洩させない大きさ、つまり単位排出量の5倍に相対する廃インクを収容可能にする大きさで形成することができる。
その廃インク拡散室35の上面35aと下面35bとの間には、図5に示すように、排出口22aが配設されている。その排出口22aは、図4及び図5に示すように、その中心が廃インク拡散室35の左右方向の中央にあって、しかも前後方向の中央に位置するように配置することが好ましい。
そして、排出口22aから廃インクが排出されると、その廃インクは、自重によって落下し、排出口22aに対向する下面35bに注がれる。すると、下面35bに注がれる排出インクは、その付着力などによって下面35bに沿ってその中央から外方に向って等方的に拡散する。その下面35bを拡散する排出インクは、やがて、その殆どが回収容器31の容器底面31cに沿って廃インク拡散室35の外側(吸収体保持室側)に拡散し、廃インク液吸収体32の毛細管力などによって吸収体保持室内に吸収されて収容される。
本発明で用いる廃インク液吸収体は、廃インク拡散室と接触する廃インク液吸収体表面から、廃インク拡散室の内部の方向に突出して延びる廃インク液吸収体突出部を有していることが好ましい。この廃インク液吸収体突出部を有する態様を図6及び図7に示す。図6は、廃インク拡散室35に露出した廃インク液吸収体32の側面に設けた廃インク液吸収体突出部38を、廃液チューブ22の排出口22aと共に示す模式的部分拡大斜視図であり、図7は、その断面図である。
廃インク液吸収体突出部の形状は特に限定されず、例えば、角柱状、円柱状、半円柱状、錐体状、又は半球状など任意の形状であることができる。1つの廃インク拡散室の内部に設ける廃インク液吸収体突出部の数も特に限定されず、2つ以上を設けることもできる。
(B)廃インク液吸収体
本発明で用いる廃インク液吸収体は、例えば、不織布又はフォームからなることができる。
廃インク液吸収体の材料は、従来公知の廃インク液吸収体の材料と全く同様の材料であることができる。不織布としては、例えば、再生セルロース系繊維(特には、レーヨン繊維)が優れた吸水性を有しているので、構成繊維として用いるのが好ましい。また、ポリアクリル系繊維の内、優れた吸水性を有するものを用いるのも好ましく、ポリアクリル系繊維を用いると、難燃性が向上し、裁断加工が容易になる点でも好ましい。再生セルロース系繊維(特には、レーヨン繊維)のみからなる不織布は、吸水性の点で優れており、これを好適に用いることもできるが、柔らかくなりすぎ、ケバだち易く、裁断加工等の際に扱いにくいため、再生セルロース系繊維とポリアクリル系繊維とを混合して用いるのがより好ましい。例えば、再生セルロース系繊維(特には、レーヨン繊維)20〜60重量%(特には30〜50重量%)とポリアクリル系繊維80〜40重量%(特には70〜50重量%)との組み合わせが特に好ましい。
本発明による廃インク液吸収体は、従来の同種の吸収体と同様に、廃インク液をより多く保持する能力と、例えばプリンタを90度傾けた場合にも廃インクを完全に保持する能力が求められる。廃インク吸収体中の廃インクの乾燥が進むと、インクを完全に保持することは出来るが、廃インクの保持量は減少する。又、廃インクの乾燥が少ないと廃インクの保持量は増加するが、廃インクを完全に保持することが出来ず、傾けたときに廃インクが漏れてしまう。このような性能を両立するために、前記の不織布に飽和ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンレテフタレート繊維)の少量を含ませて、毛細管現象によって廃インクを浸透させることができる。更に、本発明で用いる廃インク液吸収体には、前記不織布の表面の少なくとも一部に飽和ポリエステルフィルム層を設けて、吸収された廃インクの乾燥を防止することができる。飽和ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンレテフタレートが好ましい。
フォームとしては、樹脂フォーム、好ましくはポリウレタンフォーム(特には、軟質ポリウレタンフォーム)を用いることができる。使用する軟質ポリウレタンフォームは、密度が0.005〜0.150g/cm3、特に0.01〜0.05g/cm3であることが好ましく、またセル数は40〜150個/25mm、特に60〜150個/25mmであることが好ましい。軟質ポリウレタンフォームを圧縮して用いる際は、セル数が好ましくは20〜150個/25mm、より好ましくは40〜150個/25mm、更に好ましくは40〜100個/25mmである。前記軟質ポリウレタンフォームは、圧縮しないでそのまま(非圧縮フォーム)、又は圧縮して(圧縮フォーム)から用いることができる。
本発明による廃インク液吸収体が、廃インク液吸収体突出部を有する場合は、廃インク液吸収体の本体に不織布を用い、突出部にポリウレタンフォーム(特には、軟質ポリウレタンフォーム)を用いることが好ましい。
(C)含浸液
本発明の含浸液は、水溶性樹脂を含む。
本発明で用いる水溶性樹脂は、例えば、親水性構造部と疎水性構造部を有する化合物であり、具体的には、付加重合体及び縮合系重合体等を挙げることができる。付加重合体としては、例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体を挙げることができる。付加重合体としては、例えば、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合したもの等を使用することができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体も用いることもできる。
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、又はリン酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、又はジエチレングリコールジメタクリレート等を使用することができる。
一方、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルを使用することができる。
上記親水基及び疎水基を有するモノマーを共重合することにより得られる共重合体は、ランダム、ブロック、及びグラフト共重合体等いずれの構造のものでもよい。好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等を挙げることができる。
これらの共重合体に、ポリオキシエチレン基、又は水酸基を有するモノマーを適宜共重合させてもよい。また、カチオン性の官能基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、又はN−ビニルイミダゾール等を適宜共重合させることもできる。
前記の縮合系重合体としては、公知のポリエステル系重合体を挙げることができ、ポリエステル系重合体としては、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類をカルボキシル基の過剰の条件下で反応させて得られる、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を挙げることができる。
具体的には、多価カルボン酸類として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、又はテトラヒドロフタル酸等の不飽和脂肪族、あるいは脂環族ジカルボン酸等を挙げることができる。
一方、多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上の脂肪族多価アルコール類、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、トリシクロデカン、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール類、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。
上記成分の内で、ジカルボン酸類とジオール類とを、まずは水酸基過剰で反応させた後、分子末端にトリメリット酸、トリメシン酸、又はピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸を反応させることにより、適度の酸価を有するポリエステル樹脂を得ることができる。
また、ポリエステル系重合体は、リン酸基含有ポリエステル樹脂であることもでき、そのリン酸基含有ポリエステル樹脂は、例えば、前記の多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との反応過程において、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、又は亜リン酸の少なくとも1種を併用することによって得ることができる。
更に、ポリエステル系重合体は、スルホン基含有ポリエステル樹脂であることもでき、そのスルホン基含有ポリエステル樹脂としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、又は5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等のスルホン基含有ジカルボン酸又はその金属塩、アンモニウム塩と、多価アルコール類とを用いて得られる、スルホン基含有ポリエステル樹脂を挙げることができる。
次に、ポリエステル系重合体は、酸基を有するポリウレタン樹脂であることもでき、その酸基を有するポリウレタン樹脂としては、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物とを反応させてウレタンプレポリマーを合成し、次いで、鎖伸長剤、及び反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂であって、高分子ジオール化合物、鎖伸長剤等にカルボキシル基を有する化合物を利用するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、高分子ジオール化合物等にスルホン基を有する化合物を利用するスルホン基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
ここで、本発明による含浸液の水溶性樹脂として用いられるポリウレタン樹脂の有機ジイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、又はテトラメチルキシリレンジイソシアネートが有用である。
また、カルボキシル基含有高分子ジオール化合物としては、ジメチロールプロピオン酸のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールと無水ピロメリット酸との反応物等、カルボキシル基含有鎖伸長剤としては、ジメチロールプロピオン酸のようなカルボキシル基含有ジオール化合物が有用である。
更に、高分子ジオール成分として、前記スルホン基含有ジカルボン酸化合物等とジオール化合物を反応させたスルホン基含有ポリエステルジオールを用いることにより、スルホン基含有ポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、水溶性樹脂として、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレート・アクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も、本発明において有効に使用することができる。
なお、特に限定するものではないが、水溶性樹脂の親水性基はカルボン酸基又はカルボン酸塩の基であることが好ましい。これらの水溶性樹脂のうち、親水基が酸性基である共重合体は、水溶性を高めるため、塩基性物質との塩の状態で使用することが好ましい。これらの重合体と塩を形成する塩基性物質としては、ナトリウム、カリウム、又はリチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、又はトリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、あるいはアンモニア等を挙げることができる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、又はリチウム等のアルカリ金属類の塩基性化合物を好適に使用することができる。アルカリ金属類は強電解質であり、親水性基の解離を促進させる効果があると考えられるからである。
水溶性樹脂は、共重合体の酸価に対して50%以上中和されていることがより好ましく、共重合体の酸価に対して80%以上中和されていることがより好ましい。水溶性樹脂は、重量平均分子量で2000〜15000のものが好ましく、重量平均分子量3500〜10000のものがより好ましい。これらの水溶性樹脂は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明による含浸液は、前記水溶性樹脂の他に、例えば水溶性溶剤を含有することができる。水溶性溶剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ブテンー1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類、ジオキサン等のエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等を挙げることができる。これらの水溶性溶剤は1種又は2種以上を用いることができる。また、捕捉部材に捕捉されたインクの乾燥防止の観点から、これらの水溶性溶剤の少なくとも1種は20℃における蒸気圧が0.01mmHg以下である高沸点低揮発であることが好ましく、より好ましくは20℃における蒸気圧が0.005mmHg以下である。
本発明による含浸液は、前記水溶性樹脂及び水溶性溶剤の他に、例えば固体保湿剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐・防カビ剤等を含有することができる。
固体保湿剤としては、融点が20℃以上で、かつ20℃における水への溶解度が5重量%以上のものが該当し、具体的には、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール等のアルコール類、炭酸エチレン等のエステル類、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、尿素、チオ尿素、N−エチル尿素等の窒素化合物、ジヒドロキシアセトン、エリトリトール、D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、2−デオキシ−β−D−リボース、D−リキソース、L−リキソース、D−リボース、D−アラビトール、リビトール、D−アルトロース、D−アロース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−キノボース、D−グルコース、D−ジギタロース、D−ジギトキソース、D−シマロース、L−ソルボース、D−タガトース、D−タロース、2−デオキシ−D−グルコース、D−フコース、L−フコース、D−フルクトース、D−マンノース、L−ラムノース、D−イノシトール、myo−イノシトール、D−グルシトール、D−マンニトール、メチル=D−ガラクトピラノシド、メチル=D−グルコピラノシド、メチル=D−マンノピラノシド、N−アセチルキトビオース、イソマルトース、キシロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、コンドロシン、スクロース、セロビオース、ソホロース、α,α−トレハロース、マルトース、メリビオース、ラクトース、ラミナリビオース、ルチノース、ゲンチアノース、スタキオース、セロトリオース、プランテオース、マルトトリオース、メレジトース、ラクト−N−テトラオース、ラフィノース等の糖類を挙げることができる。
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等を用いることが出来る。また、必要に応じて、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、硼酸等を挙げることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有することができる。ノニオン性界面活性剤の具体例として、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等を挙げることができる。上記ノニオン性界面活性剤の中でも特にアセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤が発泡も少なく、また優れた消泡性能を有する点で好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤の更なる具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどを挙げることができるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等を挙げることができる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビタン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、又は1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Arch Chemicals Inc.のプロキセルBZ、プロキセルBD20、プロキセルGXL、プロキセルXL2、又はプロキセルTN)等を挙げることができる。
本発明による含浸液は、水系であることが好ましい。主要な溶媒成分は水である。本発明による含浸液は、前記の水溶性樹脂及び場合により前記の水溶性溶剤を水と単に混合することによって調製することができる。
本発明の含浸液における水溶性樹脂の含有量は、特に限定されるものでなく、本発明の含浸液を捕捉部材に担持させることにより、捕捉部材上での顔料粒子の堆積発生を防止ないし抑制することができれば、特に限定されないが、捕捉部材上の水溶性樹脂の担持量の下限は、好ましくは、1mg/gである。
以上述べた水溶性溶剤、固体保湿剤、pH調整剤、界面活性剤、及び/又は防腐剤の使用形態は、単体でも混合液状態で用いてもよい。その混合比率は、廃インク液吸収体への含浸作業性や用いる顔料インクの種類等に応じて適宜決定することができ、目的とする効果を確保できれば特に限定されることはない。例えば、pH調整剤の添加量は、少なくとも混合液全体のpHが7以上であるように添加する必要があるが、それ以外の条件は、用いる顔料インク種類等に応じて適宜決定することができる。防腐剤の添加量についても防腐効果が十分得られる量であれば問題無い。
なお、含浸液は、それを廃インク液吸収体の表面に塗布するか、あるいは容器に充填した含浸液内に廃インク液吸収体を浸漬させることによって、廃インク液吸収体に含ませることができる。
本発明による廃インク液吸収体においては、廃インク液吸収体の全体に前記含浸液を含浸させることができるが、少なくとも廃インク液との接触表面を含む部分に前記含浸液を含ませる。ここで、廃インク液との接触表面を含む部分とは、例えば、図4及び図5に示す態様の廃液タンク15に装着させる廃インク液吸収体32の場合には、廃インク拡散室35との接触表面である。すなわち、廃インク拡散室35の6つの平面の内、回収容器31が形成する底面及び1つの側面を除き、3つの側面及び上面が、廃インク液との接触表面を含む部分であり、それらの各表面に前記含浸液を含ませる。また、図1及び図2に示す態様の廃インクタンク100や図3に示す態様の廃インクタンク180においても、廃インク拡散室104や廃インク拡散室184との接触表面が、廃インク液との接触表面を含む部分であり、それらの各表面に前記含浸液を含ませる。更に、縁無印刷を実施するインクジェット式記録装置の場合には、プラテンに設けた捕捉材を経て搬送される廃インクが、廃インク液吸収体に接触する表面が廃インク液との接触表面を含む部分であり、それらの各表面に前記含浸液を含ませる。
本発明による廃インク液吸収体が、例えば、図6及び図7に示すような廃インク液吸収体突出部を有する場合には、その廃インク液吸収体突出部において、少なくとも廃インク液との接触表面を含む部分に前記含浸液を含ませる。あるいは、廃インク液吸収体突出部の全体に前記含浸液を含浸させることができる。
本発明による廃インク液吸収体は、前記含浸液を湿潤状態又は乾燥状態で含むことができるが、湿潤状態であることが好ましい。本発明の含浸液における保湿剤及び塩基の含有量は、特に限定されるものでなく、本発明の含浸液を廃インク液吸収体に担持させることにより、泡立つような性質を有する廃インクの場合でも、廃インクを吸収体に容易に吸収させることができれば、特に限定されないが好ましくは3g/g以上である。
(D)インク組成物
本発明による廃インク液吸収体は、インクジェット記録方法に用いる任意のインク組成物の廃インク処理に用いることができるが、特には、水性顔料インク組成物、とりわけ、水不溶性の分散性ポリマーを含有する水性顔料インク組成物(例えば、特許文献1又は特許文献2に記載の水性顔料インク組成物)の廃インク処理に用いることができる。
すなわち、本発明による廃インク液吸収体は、
(1)顔料と、
(2)その顔料を包含し、かつ前記顔料をインク組成物中に分散可能とし、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないポリマーと、
(3)主溶媒としての水と
を少なくとも含むインク組成物の廃インク処理に有利に用いることができる。
顔料としては、従来からインクジェット用のインク組成物に使用されている有機顔料を用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、又はキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、又はキノフタロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、又はアニリンブラック等を用いることができる。
シアンインク組成物として使用されるシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、及び60等が好ましく用いられ、特にC.I.ピグメントブルー15:4が好ましい。
マゼンタインク組成物として使用されるマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、202、209及びピグメントバイオレット19等が好ましく用いられ、特にC.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントバイオレット19が好ましい。
イエローインク組成物として使用されるイエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74、93、109、110、128、138、150、151、154、155、及び180等が好ましく用いられる。
前記のポリマー(2)は、疎水性基と親水性基とを有し、顔料を包含しながらそれを水中に分散可能とし、かつ実質的にインク組成物中において溶解していないものである。前記のポリマー(2)は、30〜125KOHmg/gの酸価を有するものであることが好ましく、より好ましい下限は50KOHmg/gであり、より好ましい上限は100KOHmg/gである。
前記のポリマー(2)は、数平均分子量として1,000〜200,000を有するものであることが好ましく、より好ましい下限は3,000であり、より好ましい上限は150,000である。更に、前記ポリマー(2)は、解離性の親水性基(例えば、カルボキシル基)の塩生成率、すなわち中和率が100%未満に、後述の顔料包含工程又はインク組成物の配合工程に調整される。中和率の下限は60%が好ましく、その上限は95%であることが好ましい。
前記のポリマー(2)が有する疎水性基は、アルキル基、シクロアルキル基及び芳香環から選ばれた一種以上であることが好ましい。芳香環の好ましい例としては、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等)及びその誘導体を挙げることができる。親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びそれらの塩基から選ばれた一種以上であることが好ましい。前記のポリマー(2)は、二重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマー又はオリゴマー類から得ることができる。
前記のポリマー(2)は、例えば、
(A)式(I):
Figure 2006272733
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30の数を表す)
で表されるモノマーA1、
式(II):
Figure 2006272733
(式中、R1、R2及びnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30の数を表し、[]内のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基はブロック又はランダム付加のいずれであってもよい)で表されるモノマーA2、及び
式(III):
Figure 2006272733
(式中、R1、R2及びnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す)
で表されるモノマーA3から選ばれる少なくとも一種のモノマー5〜45重量%と、
(B)塩生成基を有するモノマー3〜40重量%と、
(C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマー5〜40重量%と、
(D)前記モノマー(A)、(B)、及び(C)と共重合可能なモノマー0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーであることができる。
モノマーA1の具体例としては、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。モノマーA2の具体例としては、例えば、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。商業的に入手可能なモノマーA1又はA2の例としては、日本油脂(株)製のブレンマーPP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500B、50POEP−800B、50AOEP−800B、ASEPシリーズ、PNEPシリーズ、PNPEシリーズ、43ANEP−500、70ANEP−550等を挙げることができる。
モノマーA3の具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを挙げることができ、商業的に入手可能なモノマーA3の具体例としては、新中村科学(株)製のNKエステル M−20G、40G、90G、230G、日本油脂(株)のブレンマーPEシリーズ、PME−100、200、400、1000等を挙げることができる。ビニルポリマーにおける(メタ)アクリル酸エステルモノマーAの含量は、印字濃度及びインク粘度の観点から、5〜45重量%、好ましくは5〜35重量%である。
前記の塩生成基含有モノマー(B)としては、アニオン性モノマー又はカチオン性モノマーの利用が好ましい。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーは、それぞれ単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーの具体例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、又は不飽和リン酸モノマーを挙げることができる。不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク等を挙げることができる。インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーとしては、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等を挙げることができ、特にN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが好ましい。塩生成基含有モノマー(B)の含量は、分散安定性及び吐出安定性の観点から、3〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。
前記マクロモノマー(C)は、好ましくは、片末端に重合性官能基を有し、数平均分子量はより好ましくは1,000〜10,000である。具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー等を挙げることができ、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロモノマーを構成するスチレン以外のモノマーとしては、アクリロニトリルを挙げることができる。また、スチレンの含有量は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では片末端に重合性官能基としてアクリルロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものであることが好ましい。商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成(株)製のAS−6、AN−6、AN−6S、HS−6S、HS−6等を挙げることができる。マクロマー(C)の含量は、耐水性及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
前記のモノマー(D)は上記モノマー(A)、(B)、及び(C)と共重合可能なものであり、その具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香環含有モノマー、マクロマーを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。このモノマー(D)には、耐水性及び耐擦過性の観点から、芳香環含有モノマー及びマクロマーからなる群より選ばれた1種以上が含有されていることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、エステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレートを挙げることができる。芳香環含有モノマーとしては、耐水性の観点から、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、又はビニルトルエン及びビニルナフタレンを挙げることができる。
以上のモノマー(A)、(B)、(C)、及び(D)を重合させてなるビニルモノマーにおけるこれらのモノマーの存在量は、モノマー(A)が5〜45重量%(好ましくは10〜35重量%)、モノマー(B)が3〜40重量%(好ましくは5〜35重量%)、モノマー(C)が5〜40重量%(好ましくは10〜35重量%)、モノマー(D)が0〜87重量%(好ましくは0〜75重量%)である。ビニルポリマーの重量平均分子量は、印字濃度と吐出安定性の観点から、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜200,000である。
前記のインク組成物において用いられる顔料を包含したポリマー粒子分散液は、具体的には、特開2001−247810号公報に記載の方法によって調製することができる。例えば、以下の工程により好ましく調製することができる。すなわち、
(1)水溶性有機溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類など)に溶解したポリマー溶液と、顔料と、必要により中和剤とを混合して、溶剤分散液を調製する工程;
(2)この分散液を水相に展開して水性の懸濁液を調製する転送乳化工程;
(3)溶剤分散液調整時に添加してある水溶性有機溶媒を蒸留して除き、顔料をポリマー粒子で包含する工程;からなる。
顔料をポリマーで包含する工程は、分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル、好ましくは、高圧ホモジナイザー)を用いて行うことができる。
前記ポリマーは、
(1)前記モノマーA3と、
(2)前記モノマーA1、前記モノマーA2、及び式(IV):
Figure 2006272733
(式中、R1、R2、m及びnは前記と同じ意味であり、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基はブロック付加又はランダム付加している)
で表されるモノマーA4からなる群より選ばれた1種以上のモノマーと、
(3)前記塩生成基を有するモノマー(B)と、
(4)前記モノマーA3、前記モノマーA1、前記モノマーA2、又は前記モノマーA4と、前記モノマー(B)、及び前記モノマー(C)と共重合可能なモノマーと
を重合させてなるビニルポリマーであることもできる。
このビニルポリマーは、例えば、(1)前記モノマーA3の5〜45重量%、(2)前記モノマーA1、前記モノマーA2、及び前記モノマーA4からなる群より選ばれた1種以上のモノマー5〜45重量%、(3)モノマー(B)3〜40重量%、及び(4)共重合可能なモノマー(D)15〜87重量%を含有するモノマー組成物を共重合させることによって得ることができる。
モノマーA4の具体例としては、プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明によるインクジェット式記録装置は、記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴を回収する廃液タンクを備えるインクジェット式記録装置である。記録媒体以外の領域に吐出されるインク滴とは、例えば、フラッシングやクリーニングによる廃インク、あるいは、縁無印刷による廃インクである。
(実施例)
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
〔1〕カラーインク組成物の調製
(1)ポリマー(I)の調製
以下の組成のモノマーを用意した。
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n=9) 15重量%
(前記式(I)において、R1がメチルおよびR2が水素である化合物。商品名:ブレンマー PP−500、日本油脂(株)製)
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=23) 10重量%
(前記式(IV)において、m=23、R1およびR2がメチルである化合物。商品名:NKエステル M−230G、新中村化学(株)製
メタクリル酸 14重量%
スチレンモノマー 36重量%
スチレンマクロマー 15重量%
(スチレン−アクロニトリル共重合マクロマー、スチレン含量:75重量%、数平均分子量:6000 官能基:メタクリロイル基、商品名:AN−6、東亜合成(株)製)
n−ブチルメタクリレート 10重量%
反応容器に、メチルエチルケトン20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプタンエタルール)0.03重量部、および上記のモノマーの全量の10%を充填し、混合した。その後、容器を窒素ガス置換した。一方、滴下装置に上記モノマー組成の残り90%を充填した。
重合連鎖移動剤(2−メルカプタンエタノール)0.27重量%、メチルエチルケトン60重量%、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を次いで滴下装置に加え、混合した。その後、滴下装置を窒素ガス置換した。
反応容器内の混合物の温度を、窒素雰囲気下、撹拌しながら65℃まで上げ、滴下装置内の混合物を反応容器に3時間かけて滴下した。65℃下での滴下終了後2時間経過した後に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量%をメチルエチルケトン5重量%に溶解した溶液を加えた。混合物を65℃で2時間、さらに70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
上記のようにして得たポリマー溶液の一部を、減圧留去して溶媒を除いて乾燥させて単離した。
重量平均分子量を、ポリスチレンを標準物質とし、濃度1mml/lのドデシルジメチルアミンを含むクロロホルムを溶媒としたゲルパーシエーションクロマトグラフィーにより決定した。その結果、重量平均分子量は、70,000であった。
(2)顔料分散液の調製
(a)イエロー分散液Iの調製
イエロー顔料を含有するポリマー粒子分散液を以下の通りに製造した。すなわち、上記で製造したポリマー(I)をメチルエチルケトンに溶解して50%溶液とし、この溶液50部、C.I.ピグメントイエロー74 75部、0.05%の水酸化カリウム 300部、メチルエチルケトン60部を混合し、ホモジナイザーで30分撹拌した。その後、イオン交換水300部添加して、さらに2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した後、0.3μmのメンブレンフィルターで濾過して、固形分が20重量%のイエロー分散体を得た。
(b)マゼンタ分散液Iの調製
マゼンタ顔料を含有するポリマー粒子分散液を、顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19 80部とポリマー(I)のメチルエチルケントン50%溶液を40部とする以外は、イエロー分散液と同様にして、マゼンタ分散液を得た。
(c)シアン分散液Iの調製
シアン顔料を含有するポリマー粒子分散液を、顔料としてC.I.ピグメントブルー15:4 50部とポリマー(I)のメチルエチルケントン50%溶液を100部とする以外は、イエロー分散液と同様にして、シアン分散液を得た。
〔2〕カラーインク組成物の調製
下記第1表に示した組成に従って、上記したイエロー分散液I、マゼンタ分散液I、又はシアン分散液Iと、溶剤類及び超純水とを混合して、2時間攪拌した。続いて、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(商品名;日本ミリポア・リミテッド製)を用いて濾過して、カラーインク組成物を調製した。表1中、各組成の添加量は重量%である。
Figure 2006272733
(表1においてサーフィノール465及びサーフィノールTGは商品名;Air Products社製である。)
〔3〕インクセットの調製
前項〔1〕〜〔2〕で得たイエロー、マゼンタ、及びシアンインクを、以下の表2の通り組み合わせて、インクセットとした。
Figure 2006272733
攪拌機、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル350部を仕込んで105℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸31部、メチルメタクリレート129部、ステアリルメタクリレート40部、及び開始剤として過酸化ベンゾイル5部の混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、酢酸ブチルを留去して、重量平均分子量11,000、及び酸価100mgKOH/gのアクリル共重合体樹脂を得た。
このアクリル共重合体樹脂10部を、共重合体の中和量の100%に相当する水酸化ナトリウムを溶解させた水酸化ナトリウム水溶液90部に加熱溶解させて、樹脂固形分10%の水溶性樹脂水溶液Aを調製して含浸液Aとした。
攪拌機、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル350部を仕込んで105℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、アシッドホスホニルメタクリレート20部、メチルメタクリレート120部、ブチルアクリレート60部、及び開始剤として過酸化ベンゾイル5部の混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、酢酸ブチルを留去して、重量平均分子量12,000、及び酸価165mgKOH/gのアクリル共重合体樹脂を得た。
このアクリル共重合体樹脂10部を、共重合体の中和量の100%に相当するトリエタノールアミンを溶解させたトリエタノールアミン水溶液90部に加熱溶解させて、樹脂固形分10%の水溶性樹脂水溶液Bを調製して含浸液Bとした。
攪拌機、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル350部を仕込んで105℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸95部、メチルメタクリレート65部、ステアリルメタクリレート40部、及び開始剤として過酸化ベンゾイル5部の混合物を2時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、酢酸ブチルを留去して、重量平均分子量11,000、及び酸価310mgKOH/gのアクリル共重合体樹脂を得た。
このアクリル共重合体樹脂10部を、共重合体の中和量の100%に相当する水酸化カリウムを溶解させた水酸化カリウム水溶液90部に加熱溶解させて、樹脂固形分10%の水溶性樹脂水溶液Cを調製して含浸液Cとした。
水溶性樹脂としてアクリル共重合体樹脂を含有したアクリル共重合体樹脂水溶液(ジョンクリル62;ジョンソンポリマー株式会社製)10%、グリセリン70%、トリプロパノールアミン1%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL2;Arch Chemicals Inc.製)0.1%、及び水18.9%と混合して水溶性樹脂水溶液Dを調製
して含浸液Dとした。
前記実施例1で調製した水溶性樹脂水溶液A10%、グリセリン60%、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル5%、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール5%、及び水20%を混合して水溶性樹脂水溶液Eを調製して含浸液Eとした。
前記実施例2で調製した水溶性樹脂水溶液B5%、アクリル共重合体樹脂水溶液(ジョンクリル62;ジョンソンポリマー株式会社製)5%、1,2,6−ヘキサントリオール80%、及び水10%を混合して水溶性樹脂水溶液Fを調製して含浸液Fとした。
前記実施例3で調製した水溶性樹脂水溶液C30%、グリセリン44%、トリエチレングリコール20%、1,2−ヘキサンジオール5%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL2;Arch Chemicals Inc.製)0.1%、及びトリエタノールア
ミン0.9%を混合して水溶性樹脂水溶液Gを調製して含浸液Gとした。
<物性評価例>
(1)廃インク液吸収体A及びB
廃インク液吸収体突出部を備えていない廃インク液吸収体と、廃インク液吸収体突出部を備えている廃インク液吸収体とを用いて、クリーニング処理を行った。具体的には、図4及び図5に示す態様の廃インク液吸収体(以下、廃インク液吸収体Aと称する)と、図6及び図7に示す突出部を備えた廃インク液吸収体(以下、廃インク液吸収体Bと称する)を用いた。
(2)含浸液
実施例1〜7で調製した混合液を、廃インク液吸収体A及びBに対して、含浸量5g/gで均一に含浸して用いた。
なお、比較例1としては、浸透性成分を含浸していない廃インク液吸収体Aを使用し、比較例2としては、純水を含浸した廃インク液吸収体Aを使用した。
(3)廃液クリーニング処理
前記の廃インク液吸収体A及びBをインクジェットプリンタ〔PX−V700(商品名):セイコーエプソン株式会社製〕に搭載し、前記のインクセット1又は2を充填したインクカートリッジをカラー列に装着した。ブラックインク列はPX−V700の標準インクカートリッジをそのまま用いた。40℃及び20%相対湿度の環境下で6時間ごとに廃液クリーニングを繰り返し、廃液が堆積して、廃液チューブが詰まるまでの回数を測定した。以下に示す4段階の判断基準によって評価した結果を表3に示す。
判定AA:41回以上廃液クリーニングしても廃液チューブが詰まらない。
A:廃液チューブが詰まるまでのクリーニング回数が31回〜40回
B:廃液チューブが詰まるまでのクリーニング回数が21回〜30回
C:20回以下の廃液クリーニングで廃液チューブが詰まる。
Figure 2006272733
本発明による廃インク液吸収体は、廃液チューブから排出される廃インクが泡立つような性質を有する場合でも、廃インク液を容易に吸収することができるので、フラッシング及びクリーニングあるいは縁無印刷を行うインクジェット式記録装置に有効に利用することができる。
廃インク拡散室と吸収体保持室とを有する廃インクタンクから、吸収体保持室に充填されている吸収体を取り除いた状態を示す斜視図である。 図1の廃インクタンクの吸収体保持室に吸収体を充填した状態を示す斜視図である。 廃液タンクの他の例を示す斜視図である。 廃インクタンクの底面と廃インク液吸収体の上面及び4側面に包囲されている廃インク拡散室を有する廃インクタンクの斜視図である。 図4の廃インクタンクの断面図である。 廃インク液吸収体突出部を有する廃インク液吸収体を含む廃インクタンクの部分斜視図である。 図6の廃インクタンクの部分断面図である。 廃インク用の廃液タンクを備えるインクジェット式記録装置の部分斜視図である。
符号の説明
10・・・インクジェット式記録装置;11・・・被記録物;
15・・・廃液タンク;22・・・排出チューブ;
22a・・・円環状排出口;31・・・回収容器;
31a・・・回収容器の右側面;31b・・・挿通孔;
32・・・廃インク液吸収体;34・・・凹部;
35・・・廃インク拡散室;35a・・・廃インク拡散室の上面;
35b・・・廃インク拡散室の下面;38・・・廃インク液吸収体突出部;
40・・・印刷部;42・・・キャリッジ;44・・・記録ヘッド;
46・・・軸穴;48・・・ガイド軸;52・・・排出ローラ;
402・・・タイミングベルト;404・・・キャリッジモータ;
406・・・ブラックインクカートリッジ;408・・・カラーインクカートリッジ;
70・・・廃液搬送部;72・・・キャッピング手段;
74・・・接続チューブ;76・・・ポンプ;80・・・ワイピング手段;
100・・・廃液タンク;102・・・廃液タンク本体;
104・・・廃インク拡散室;106・・・吸収体保持室;
146・・・吸収体;180・・・廃液タンク;
184・・・廃インク拡散室;186,186a,b,c・・・吸収体;
188,188a,b,c・・・インク廃液副流路。

Claims (15)

  1. インクジェット式記録装置の廃インクタンク用の廃インク液吸収体であって、少なくとも水溶性樹脂を含む含浸液を、少なくとも廃インク液との接触表面を含む部分に含むことを特徴とする、前記廃インク液吸収体。
  2. 前記水溶性樹脂が親水性構造部と疎水性構造部を有する化合物である、請求項1に記載の廃インク液吸収体。
  3. 水溶性溶剤を更に含む、請求項1又は2に記載の廃インク吸収体。
  4. 前記水溶性溶剤の少なくとも1種は、20℃における蒸気圧が0.01mmHg以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体。
  5. 廃インク液吸収体を充填しない廃インク拡散室と廃インク液吸収体を充填する吸収体保持室とを有する廃インクタンクの前記吸収体保持室に充填する請求項1〜4のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体。
  6. 不織布又はフォームからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体。
  7. 前記不織布が、再生セルロース系繊維、及び/又はポリアクリル系繊維を含む、請求項6に記載の廃インク液吸収体。
  8. 表面の少なくとも一部に飽和ポリエステルフィルム層を有する、請求項6又は7に記載の廃インク液吸収体。
  9. 廃インク拡散室と接触する廃インク液吸収体表面から、廃インク拡散室の内部の方向に突出して延びる廃インク液吸収体突出部を有し、その廃インク液吸収体突出部に少なくとも前記含浸液を含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体。
  10. 廃インク液吸収体突出部が、ポリウレタンフォームからなる、請求項9に記載の廃インク液吸収体。
  11. 前記廃インク拡散室が、廃インクタンクの底面と、廃インク液吸収体の上面及び4側面に包囲されている請求項5〜10のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体。
  12. 廃インクが、顔料と、その顔料を包含し、かつ前記顔料をインク組成物中に分散可能とし、疎水性基と親水性基とを有し、実質的にインク組成物中において溶解していないポリマーと、主溶媒としての水とを少なくとも含むインク組成物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体。
  13. 前記ポリマーが、
    (A)式(I):
    Figure 2006272733
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは1〜30の数を表す)
    で表されるモノマーA1、
    式(II):
    Figure 2006272733
    (式中、R1、R2及びnは式(I)で定義したものと同じ意味を表し、mは1〜30の数を表し、[]内のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基はブロック又はランダム付加のいずれであってもよい)で表されるモノマーA2、及び
    式(III):
    Figure 2006272733
    (式中、R1、R2及びnは、式(I)で定義したものと同じ意味を表す)
    で表されるモノマーA3から選ばれる少なくとも一種のモノマー5〜45重量%と、
    (B)塩生成基を有するモノマー3〜40重量%と、
    (C)数平均分子量500〜500,000のマクロモノマー5〜40重量%と、
    (D)前記モノマー(A)、(B)、及び(C)と共重合可能なモノマー0〜87重量%とを重合させてなるビニルポリマーである、請求項12に記載の廃インク液吸収体。
  14. 前記ポリマーが、
    (1)前記モノマーA3と、
    (2)前記モノマーA1、前記モノマーA2、及び式(IV):
    Figure 2006272733
    (式中、R1、R2、m及びnは前記と同じ意味であり、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基はブロック付加又はランダム付加している)
    で表されるモノマーA4からなる群より選ばれた1種以上のモノマーと、
    (3)前記塩生成基を有するモノマー(B)と、
    (4)前記モノマーA3、前記モノマーA1、前記モノマーA2、又は前記モノマーA4と、前記モノマー(B)、及び前記モノマー(C)と共重合可能なモノマーと
    を重合させてなるビニルポリマーである、請求項12に記載の廃インク液吸収体。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の廃インク液吸収体を含むことを特徴とする、インクジェット式記録装置。
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